JP4335411B2 - 被熱転写記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

被熱転写記録媒体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂型インクリボンなどにより熱転写印字が可能であり、乗車券、定期券、もしくは回数券などに利用できる被熱転写記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報記録カード上に可視情報を印字する用途が普及している。例えば、定期券の乗車区間や有効期限、プリペイドカードの残高表示及び回数券などの可視情報の印字である。これらの記録媒体の基材上には印字を熱転写するための受像層が形成され、さらに、偽造や改ざんを防止するために、受像層の上にインキで印刷された地紋パターンが形成されている。
【0003】
従来、この種の情報記録カードは長期間の多数回の反復使用を目的としており、情報記録カードの基材は多数回の使用に耐えうる物理的強度が必要である。また、この基材上に形成される受像層は耐水性、耐油性、耐磨耗性、耐可塑剤性及び耐薬品性などが要求されている。
さらに、この受像層上にはインキを印刷することにより地紋パターンが形成されるので、インキとの密着性がよい受像層が要求されている。さらに、この受像層上には熱転写などにより文字情報などが印字されるので、熱転写時の熱に影響されないで、鮮明に文字情報を印字することができる受像層が要求されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、情報記録カードの偽造防止の機能を向上させるため、受像層の上に印刷される地紋パターン、すなわち、網点及び万線の組み合わせからなる複写防止パターンが複雑になってきている。このため、地紋パターンの印刷は従来のグラビア印刷法からオフセット印刷法へ移行しつつある。これは、オフセット印刷法は175線/インチ〜250線/インチ程度の印刷を行うことができるので、グラビア印刷法より微細な地紋パターンを印刷することができるからである。
【0005】
すなわち、このオフセット印刷法を用いることにより、グラビア印刷法では困難である、カラーコピー機での複写による偽造を防止できる複写防止パターンを容易に印刷することができる。このオフセット印刷法では、例えば、インキを紫外線で硬化させるUVオフセットインキを使用することができる。
従来技術で形成した受像層上に、このオフセット印刷法によりUVオフセットインキを印刷して地紋パターンを形成すると、受像層とUVオフセットインキとの密着性が悪いため、地紋パターンが受像層から剥がれやすいという問題点がある。
【0006】
例えば、定期券の場合、受像層及び地紋パターンの上に乗車区間や有効期限などを熱転写媒体にて印字する。受像層からこの印字パターンより早く地紋パターンが剥がれると乗車区間や有効期限などを改ざんしたものと見なされてしまう。従って、熱転写にて文字情報などが印字される情報記録カードの受像層と地紋パターンとの密着性は非常に重要である。
【0007】
本発明は以上の問題点を鑑みて創作されたものであり、地紋パターンとの密着性がよく、熱転写により文字情報などを鮮明に印字することができる受像層を有する被熱転写記録媒体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、基材と、前記基材の一方の面に、少なくとも、融点が100℃〜200℃の滑剤を1〜5重量%含み、かつ、ガラス転移点が−30℃〜50℃である熱可塑性樹脂を10〜30重量%含む材料を用いて形成された受像層と、前記受像層の上に、オフセット印刷法によるUVオフセットインキで印刷された地紋パターンとを有することを特徴とする被熱転写記録媒体により解決する。
【0009】
本発明によれば、基材上に形成された受像層に地紋パターンを形成する場合、受像層は融点が100℃〜200℃の滑剤を1〜5重量%含み、かつガラス転移点が−30℃〜50℃の熱可塑性樹脂を10〜30重量%含んでいるので、受像層と地紋パターンとの密着性を向上させることができる。
また、受像層は融点が100℃〜200℃の滑剤を1〜5重量%含んでいるので、さらに、次のような作用がある。受像層の上に文字情報などを熱転写で印字する場合、受像層に含まれる滑剤は熱転写時の熱の影響を受けやすい。特に、受像層の表面近傍に存在する滑剤は熱転写による印字に影響を与える。融点が100℃〜200℃の滑剤を使用することにより、受像層の表面近傍の滑剤は熱転写時の熱がかかっても、完全には溶融せず、熱可塑性樹脂となじむ程度に溶融する。
【0010】
すなわち、熱転写時の印字ムラの原因となる、受像層の表面近傍の滑剤が完全に溶けて受像層の表面に滑剤を主成分とする膜が形成されたり、滑剤が固形状態のまま受像層の表面近傍に点在して受像層の表面がざらつくことがなくなる。従って、受像層上に熱転写により文字情報などを鮮明に印字することができる。
さらに、好ましい形態においては、受像層はガラス転移点が−30℃〜50℃の熱可塑性樹脂のほかに、ガラス転移点が50℃より高い熱可塑性樹脂を含んでいる。これによれば、高温、高湿の雰囲気で長期間にわたり被熱転写記録媒体を複数枚重ねて保管する場合、ガラス転移点が50℃より高い樹脂を含むので受像層のブロッキングを防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
(本願発明者の調査)
本願発明者は被熱転写記録媒体の受像層の成分である熱可塑性樹脂のガラス転移点及び滑剤であるワックスの融点に注目した。これらの重量比を変化させて受像層を形成し、この受像層の上にオフセット印刷法によりUVオフセットインキを全面に印刷して受像層とUVオフセットインキとの密着性の調査を行った。
【0012】
第1の実験として、ガラス転移点が異なる熱可塑性樹脂の重量比を変化させて基材上に受像層を形成し、受像層とUVオフセットインキとの密着性を調査した。
まず、エポキシ樹脂(ガラス転移点:70℃)、ポリエステル樹脂(ガラス転移点:67℃)、ポリエステル樹脂(ガラス転移点:47℃)及びポリエチレンワックス(融点130℃)をそれぞれが所定の重量比になるように混合して塗料を作成した。ここで、ガラス転移点が47℃のポリエスエテル樹脂の重量比を全体の固形重量比の5重量%以上10重量%未満と、10重量%以上とに変化させた。また、融点が130℃のポリエチレンワックスの重量比を5重量%とした。
【0013】
その後、これらの二種類の塗料をそれぞれ基材上に塗布し、これを乾燥させて受像層を形成した。
次に、ガラス転移点が47℃のポリエステル樹脂の重量比が5重量%以上10重量%未満含む受像層上の全面に、オフセット印刷法により、UVオフセットインキ(東洋インキ製造(株)製:FDカルトン−P(青色))を印刷して、テストサンプル1を作成した。
【0014】
次に、テストサンプル1の受像層とインキとの密着性の調査を行った。試験方法はJIS規格に従い、透明感圧付着テープを印刷したインキに貼り付け、インキの剥がれ状態を調査した。はがれ状態の評価はJIS規格の試験結果の分類に従った。表1はJIS規格の試験結果の分類を示す表である。
【0015】
【表1】
Figure 0004335411
【0016】
ガラス転移点が47℃であるポリエステル樹脂の重量比が5重量%以上10重量%未満含んで形成された受像層を有するテストサンプル1では、受像層からのUVオフセットインキの剥がれが確認された(表1の分類3)。
次の実験として、ガラス転移点が47℃のポリエステル樹脂の重量比が10重量%以上含んで形成された受像層上の全面に、オフセット印刷法により、UVオフセットインキを印刷して、テストサンプル2を作成した。そして、上記と同じ方法でテストサンプル2の受像層とUVオフセットインキとの密着性を調査した。
【0017】
ガラス転移点が47℃のポリエステル樹脂の重量比が10重量%以上含んで形成された受像層を有するテストサンプル2では、受像層からのUVオフセットインキの剥がれは確認されなかった(表1の分類0もしくは1)。
すなわち、ガラス転移点が50℃以下の熱可塑性樹脂の重量比を上げることによりUVオフセットインキとの密着性のよい受像層を形成することができることが分かった。
【0018】
さらに、本願発明者は上記と同様な方法で基材上に受像層及び地紋パターンを形成し、ブロッキングについて調査した。調査方法としては、基材上に受像層及び地紋パターンを形成し、これを複数枚重ねて、その上から4.9kPaの荷重をかけ、温度が40℃及び湿度が90%の雰囲気で 48時間にわたって保管し、受像層及び地紋パターンの剥がれを目視にて確認した。
【0019】
まず、熱可塑性樹脂としてガラス転移点が47℃のポリエステル樹脂のみとし、これに融点が130℃のポリエチレンワックスを5重量%混合して基材上に受像層を形成した。
その後、この受像層の上にオフセット印刷法により、UVオフセットインキで地紋パターンを印刷し、テストサンプル3を作成した。そして、テストサンプル3のブロッキングの調査を行った。
【0020】
ガラス転移点が47℃のポリエステル樹脂のみを含む受像層を有するテストサンプル3では、ブロッキングが発生した。しかし、受像層と地紋パターンの密着性は良好であった。
このテストサンプル3の受像層の成分に、さらに、ガラス転移点が70℃のエポキシ樹脂を混合し、エポキシ樹脂を50重量%以上含む受像層を基材上に形成した。この受像層の上に、オフセット印刷法により、UVオフセットインキで地紋パターンを印刷し、テストサンプル4を作成した。そして、テストサンプル4のブロッキングの調査を行った。
【0021】
ガラス転移点が70℃のエポキシ樹脂を50重量%以上含む受像層を有するテストサンプル4ではブロッキングが発生しなかった。
さらに、ガラス転移点が70℃のエポキシ樹脂の重量比を上げていき、エポキシ樹脂が90重量%以上含む受像層を基材上に形成し、オフセット印刷法により、UVオフセットインキで地紋パターンを印刷し、テストサンプル5を作成した。そして、テストサンプル5のブロッキングの調査を行った。
【0022】
ガラス転移点が70℃のエポキシ樹脂が90重量%以上含む受像層を有するテストサンプル5ではブロッキングが発生しなかった。しかし、UVオフセットインキで印刷された地紋パターンとの密着性が低下した。
すなわち、受像層の成分として、ガラス転移点が50℃より高い樹脂の重量比を上げることにより、受像層のブロッキングを防止できるが、重量比を上げすぎると、UVオフセットインキとの密着性が低下することが分かった。
【0023】
以上のことより、受像層の成分として、ガラス転移点が50℃以下の樹脂の重量比を上げるとUVオフセットインキとの密着性はよいが、ブロッキングが発生しやすい。また、ガラス転移点が50℃より高い樹脂の重量比を上げるとUVオフセットインキとの密着性が悪いが、ブロッキングが発生しなくなることが分かった。
【0024】
従って、ガラス転移点が50℃以下の熱可塑性樹脂及びガラス転移点が50℃より高い熱可塑性樹脂を所定の重量比にすることにより、UVオフセットインキとの密着性がよく、かつブロッキングが発生しない受像層を形成することができる。さらに、詳しくは、本願発明者の実験により、受像層の組成として、ガラス転移点が−30℃〜50℃の熱可塑性樹脂の重量比を10〜30重量%、ガラス転移点が50℃を超える熱可塑性樹脂を65〜85重量%及びポリエチレンワックスを5重量%とすることにより、受像層とUVオフセットインキとの密着性が良好になり、かつ受像層のブロックキングが発生しないことを見出した。
【0025】
第2の実験として、本願発明者は熱可塑性樹脂に混合する滑剤であるワックスの融点に注目した。第1の実験は熱可塑性樹脂のガラス転移点に注目した実験であるが、融点が130℃のポリエチレンワックスを含む受像層とUVオフセットインキとの密着性の実験も兼ねている。すなわち、融点が130℃のポリエチレンワックスと、ガラス転移点が47℃のポリエステル樹脂を10〜30重量%含む受像層はUVオフセットインキとの密着性が良好であることは確認されている。
【0026】
そこで、融点が130℃のポリエチレンワックスの代わりに、融点が36℃の天然の動物系ワックスであるラノリンを受像層のワックスに用い、受像層とUVオフセットインキとの密着性を調査した。
まず、エポキシ樹脂(ガラス転移点:70℃)を60重量%、ポリエステル樹脂(ガラス転移点:67℃)を5重量%、ポリエステル樹脂(ガラス転移点:47℃)を30重量%、ラノリン(融点36℃、天然の動物系ワックス)を5重量%になるように混合して塗料を作成した。
【0027】
その後、基材上にこの塗料を塗布し、乾燥させて受像層を形成した。
次に、受像層上にオフセット印刷法により、UVオフセットインキを全面に印刷し、テストサンプル6を作成した。そして、テストサンプル6の受像層とUVオフセットインキとの密着性の調査を行った。評価方法及び試験結果の分類は第1の実験と同様である。
【0028】
融点が36℃のラノリンをワックスに使用した受像層を有するテストサンプル6では、受像層とUVオフセットインキとの剥がれが確認された(表1の分類4)。すなわち、融点が比較的低いワックスを含む受像層はUVオフセッットインキとの密着性が悪いことが分かった。
さらに、詳しくは、本願発明者の実験により、受像層の成分として融点が100℃〜200℃のワックスの重量比を1〜5重量%の範囲にすることにより、受像層の上に印刷されたUVオフセットインキの剥がれが発生せず、密着性が良好になることを見出した。
【0029】
以上の第1の実験結果及び第2の実験結果より、本願発明者は融点が100℃〜200℃のワックスを1〜5重量%の範囲で含み、かつガラス転移点が−30℃〜50℃の熱可塑性樹脂を10〜30重量%の範囲で含む受像層は、UVオフセットインキとの密着性が良好で、かつブロッキングが発生しないことを見出した。
【0030】
(実施の形態)
以上の本願発明者の実験結果に基づき、本発明の実施の形態を図を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態の被熱転写記録媒体を示す断面図である。
本発明の実施の形態の被熱転写記録媒体18は、基材10と、基材10の表面に形成された受像層12と、受像層12の上に形成された地紋パターン16と、基材10の裏側に形成された磁気記録層14とで構成されている。
【0031】
基材10はポリエステル系樹脂、例えば、ポリエチレンテフレート(PET)樹脂、ポリプチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリオレフィン(PO)系樹脂などからなる。これらを材料とする基材10は被記録媒体の用途に応じて任意の厚さにすることができる。
磁気記録層14は従来からプリペイドカードなどの磁気記録層に用いられている、例えば、Ba−フェライト、Sr−フェライトなどで形成されている。磁気記録用の材料を結合する樹脂(バインダー樹脂)として、例えば、ポリエステル系樹脂、アルキッド系樹脂、ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂またはそれらの混合樹脂を用いることができる。
【0032】
受像層12は熱可塑性樹脂及び滑剤であるワックスを成分として形成されている。受像層12の成分の一つである熱可塑性樹脂は少なくとも、ガラス転移点が−30℃〜50℃の熱可塑性樹脂を固形総量100重量%に対して、10〜30重量%の範囲で含有している。ガラス転移点が−30℃〜50℃の樹脂は、例えば、ガラス転移点が47℃のポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製:RV103)もしくは、ガラス転移点が−22℃のポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡績(株)製:UR−8700)を使用することができる。
【0033】
ガラス転移点が−30℃〜50℃の樹脂の重量比としては、ガラス転移点が47℃であるポリエステル樹脂を30重量%、もしくはガラス転移点が−22℃のポリエステルポリウレタン樹脂を10重量%とすることが好ましい。
好ましい実施の形態においては、受像層12はガラス転移点が−30℃〜50℃の熱可塑性樹脂のほかに、ガラス転移点が50℃より高い熱可塑性樹脂を含んでいる。このガラス転移点が50℃より高い熱可塑性樹脂として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、フェノキシ系樹脂及びエポキシ系樹脂などを使用することができる。
【0034】
受像層12の他の成分の一つであるワックスは合成ワックスからなる。合成ワックスの種類としては合成炭化水素ワックス及び変成ワックスがある。合成炭化水素ワックスとしてはフィッシャー・トロプシュワックス及びポリエチレンワックスがある。また、変成ワックスとしてはモンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体及びマイクロクリスタリンワックス誘導体がある。
【0035】
以上の合成炭化水素ワックス及び変成ワックスはすべて融点が100℃〜200℃である。受像層12は少なくとも、これらのワックスを1〜5重量%含有している。これらのワックスの中では融点が130℃のポリエチレンワックスが好ましく、また、重量比は5重量%とすることが好ましい。
次に、融点が100℃未満のワックス、本実施の形態で使用する融点が100℃〜200℃のワックスもしくは融点が200℃より高いワックスをそれぞれ含む受像層の上に、熱転写により印字を行う際の受像層内のワックスの挙動について説明する。
【0036】
図3は融点が100℃未満のワックスを含む受像層12aを有する被熱転写記録媒体の断面図である。図3に示すように、基材10の上に受像層12aが形成され、受像層12aの上には地紋パターン16が形成されている。この受像層12aには融点が100℃未満のワックス(図示せず)と樹脂22とが含まれている。受像層12a上に文字情報などを熱転写プリンターなどで熱転写すると、図3に示すように、ワックスの融点が比較的低いので、熱転写時の熱で受像層12aの表面近傍のワックスが溶け出し、受像層の表面にワックスを主成分とするワックスの膜20が部分的に形成される。これにより、転写印字のステッキングや印字ムラが発生し、鮮明な転写印字層を形成できなくなる。
【0037】
図4は融点が200℃より高いワックスを含む受像層12bを有する被熱転写記録媒体の断面図である。図4に示すように、基材10上に受像層12bが形成され、受像層12bの上には地紋パターン16が形成されている。この受像層12bには融点が200℃より高いワックス20aと樹脂22とが含まれている。受像層12b上に文字情報を熱転写プリンターなどで熱転写すると、図4に示すように、ワックスの融点が比較的高いので、熱転写時の熱がかかっても、ワックス20aは溶融せず、固形状態のまま樹脂中に点在する。これにより、受像層の表面がざらつくため、転写印字するときに印字ムラが発生し、鮮明な転写印字層を形成できなくなる。
【0038】
図5は本実施の形態で使用する融点が100℃〜200℃のワックスを含む受像層12cを有する被熱転写記録媒体の断面図である。図5に示すように、基材10上に受像層12cが形成され、受像層12cの上には地紋パターン16が形成されている。この受像層12cには融点が100℃〜200℃のワックス20bと樹脂22とが含まれている。受像層12c上に文字情報を熱転写プリンターなどで熱転写すると、ワックス20bの融点は100℃〜200℃なので、熱転写時の熱でワックス20bは完全には溶融しないが、受像層の表面ではワックス20bが樹脂22になじむ程度に溶融する。
【0039】
従って、ワックス20bが樹脂22の中に点在していても受像層12cの表面がざらつくことはないので、転写印字時に印字ムラができることはなく、鮮明な転写印字層を形成することができる。
以上のことより、受像層12の成分の一つであるワックスの融点は100℃〜200℃の範囲で、好ましくは、110℃〜150℃、最適な融点としては130℃である。
【0040】
次に、本発明の実施の形態の被熱転写記録媒体の製造方法を説明する。
基材10として白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(東レ(株)製:E−24(厚さ約188μm)を用いる。
まず、図1に示すように、磁気記録材料として抗磁力219kA/mのBa−フェライトとアクリル樹脂エマルジョンを分散・混合して磁気塗料を作成する。そして、この磁気塗料をグラビアコーターで基材10の裏面に塗布、乾燥し膜厚が約10μmになるように磁気記録層14を形成する。
【0041】
その後、下記の組成の塗料1を高速プロペラ攪拌機で十分攪拌した後、基材10の表面にグラビアリバース方式で、乾燥温度120℃の条件で塗布し、乾燥したあとの厚さが約5μmになるように受像層12を形成する。
Figure 0004335411
受像層12形成用の塗料1はガラス転移点が47℃であるポリエステル樹脂を30重量%含み、かつ融点が130℃のポリエチレンワックス5重量%含んでいる。さらに、ガラス転移点が50℃より高い、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂を含んでいる。この組成の塗料1を用いて形成された受像層12は、UVオフセットインキとの密着性がよく、ブロッキングが発生せず、熱転写での印字ムラの発生を防止することができる。
なお、受像層12形成用の塗料として、塗料1の代わりに、下記の塗料2を用いてもよい。
【0042】
Figure 0004335411
すなわち、塗料1のガラス転移点が47℃のポリエステル樹脂に代えて、ガラス転移点が−22℃のポリエステルポリウレタン樹脂を用い、この樹脂の重量比を30重量%から10重量%に変更している。この塗料2を用いて形成された受像層12は、塗料1を用いて形成された受像層12と同様な効果を有する。
【0043】
また、ガラス転移点が−30℃〜50℃の範囲の熱可塑性樹脂を10重量%〜30重量%含み、かつ融点が100℃〜200℃の範囲のワックスを1重量%〜5重量%含む塗料を用いることにより、上記と同様の効果を有する受像層12を形成することができる。
次に、受像層12の上に、オフセット印刷法により、UVオフセットインキ(東洋インキ(株)製:FDカルトンーP(青色))を印刷して地紋パターン16を形成する。これにより、受像層12上に密着性のよい地紋パターン16を形成することができる。
【0044】
なお、、別の色のインキを用いるなどして、地紋パターン16上にさらに、別の地紋パターンを積層して複雑な地紋パターンを形成してもよい。
以上により、本発明の実施の形態の被熱転写記録媒体18を製造することができる。
本実施の形態の被熱転写記録媒体18によれば、受像層12はガラス転移点が47℃のポリエステル樹脂を30重量%、もしくはガラス転移点が−22℃のポリエステルポリウレタン樹脂を10重量%含み、かつ融点が130℃のポリエチレンワックスを5重量%含んでいる。
【0045】
受像層12はガラス転移点が−30℃〜50℃の熱可塑性樹脂と融点が100℃〜200℃のワックスとを含んでいるので、受像層12とオフセット印刷法によりUVオフセットインキで印刷された地紋パターン16との密着性を向上させることができる。これにより、複数の色の地紋パターンを積層構造などで形成することにより、被熱転写記録媒体18である情報記録カードの隠蔽性が向上し、偽造や改ざんを防止することができる。
【0046】
また、受像層12は融点が130℃のワックスを5重量%含んでいるので、上記で説明したように、受像層12に熱転写で印字する際の印字ムラの発生を防止することができる。
さらに、受像層12は他の熱可塑性樹脂として、ガラス転移点が70℃のエポキシ樹脂を60重量%含み、ガラス転移点が67℃のポリエステル樹脂を5重量%含んでいる。このように、ガラス転移点が50℃より高い熱可塑性樹脂を含んでいるので、受像層12のブロッキングの発生を防止することができる。
【0047】
次に、本実施の形態の被熱転写記録媒体18の受像層12に熱転写により印字を行う方法について説明する。
図2は本実施の形態の被熱転写記録媒体18の受像層12に熱転写により印字を行う状態を示す断面図である。図2に示すように、受像層12上に、例えば、熱転写プリンター(TEC(株)のバーコードプリンタ:B−30)のサーマルヘッドTHによって、熱転写リボンTRを用いて文字情報などを印字する。
【0048】
このとき、受像層12に含まれるポリエチレンワックスの融点は130℃なので、熱転写時の熱ではワックスは完全には溶融せずに、熱可塑性樹脂となじむ程度に溶融する。従って、受像層12の表面には、印字ムラの原因となる、受像層12の表面近傍のワックスが完全に溶融して形成されるワックスの膜20や、固形のワックスが表面に点在して受像層12の表面がざらつくことはないので、印字ムラを防止することができる。
【0049】
上記の熱転写プリンターで受像層12上に文字情報を印字したところ、印字ムラのない鮮明な文字情報を印字することができた。被熱転写記録媒体18は情報記録カードであり、定期券、回数券又はプリペイドカードなどに応用することができる。
本発明は、その精神また主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求範囲によって示すものであって、実施の形態には、なんら拘束されない。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、熱転写記録媒体の受像層は融点が100℃〜200℃である滑剤を1〜5重量%含み、かつガラス転移点が−30℃〜50℃の熱可塑性樹脂を10〜30重量%含んでいる。これにより、受像層の上に地紋パターンを形成する場合、受像層と地紋パターンとの密着性を向上させることが可能となる。
【0051】
受像層の上に文字情報などを熱転写で印字する際、受像層に含まれる滑剤は熱転写時の熱の影響を受けやすい。特に、受像層の表面近傍に存在する滑剤は熱転写による印字に影響を与える。本発明の熱転写記録媒体の受像層は融点が100℃〜200℃の滑剤を含んでいるので、受像層の表面近傍の滑剤は熱転写時の熱がかかっても、完全には溶融せず、熱可塑性樹脂となじむ程度に溶融する。
【0052】
すなわち、熱転写時の印字ムラの原因となる、受像層の表面近傍の滑剤が完全に溶けて受像層の表面に滑剤を主成分とする膜が形成されたり、滑剤が固形状態のまま受像層の表面近傍に点在して受像層の表面がざらつくことがなくなる。従って、受像層上に熱転写により文字情報などを鮮明に印字することが可能となる。
【0053】
好ましい形態においては、受像層はガラス転移点が−30℃〜50℃の熱可塑性樹脂のほかに、ガラス転移点が50℃より高い熱可塑性樹脂を含んでいる。これによれば、高温、高湿の雰囲気で長期間にわたり被熱転写記録媒体を複数重ねて保管する際、ガラス転移点が50℃より高い樹脂を含むので受像層のブロッキングを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施の形態の被熱転写記録媒体を示す断面図である。
【図2】図2は実施の形態の被熱転写記録媒体の受像層上に熱転写により印字を行う状態を示す断面図である。
【図3】図3は受像層上に熱転写により印字する際の受像層に含まれている融点が100℃未満のワックスの状態を示す断面図である。
【図4】図4は受像層上に熱転写により印字する際の受像層に含まれている融点が200℃より高いワックスの状態を示す断面図である。
【図5】図5は受像層上に熱転写により印字する際の受像層に含まれている融点が100〜200℃のワックスの状態を示す断面図である。
【符号の説明】
10 基材、
12,12a,12b 受像層、
14 磁気記録層、
16 地紋パターン、
18 被熱転写記録媒体、
20 ワックスの膜
20a,20b ワックス、
22 樹脂。

Claims (8)

  1. 基材と、前記基材の一方の面に、少なくとも、融点が100℃〜200℃の滑剤を1〜5重量%含み、かつ、ガラス転移点が−30℃〜50℃である熱可塑性樹脂を10〜30重量%含む材料を用いて形成された受像層と、
    前記受像層の上に、オフセット印刷法によるUVオフセットインキで印刷された地紋パターンとを有することを特徴とする被熱転写記録媒体。
  2. 前記滑剤は合成炭化水素もしくは変成ワックスからなることを特徴とする請求項1に記載の被熱転写記録媒体。
  3. 前記合成炭化水素はフィッシャー・トロプシュワックスもしくはポリエチレンワックスであることを特徴とする請求項2に記載の被熱転写記録媒体。
  4. 前記変成ワックスはモンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体もしくはマイクロクリスタリンワックス誘導体であることを特徴とする請求項2に記載の被熱転写記録媒体。
  5. 前記熱可塑性樹脂はポリエステル樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1に記載の被熱転写記録媒体。
  6. 前記材料は前記熱可塑性樹脂の他にガラス転移点が50℃より高い熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の被熱転写記録媒体。
  7. 前記基材のもう一方の面に磁気記録層を有することを特徴とする請求項1に記載の被熱転写記録媒体。
  8. 基材上に、少なくとも、融点が100℃〜200℃以下の高分子系の滑剤を1〜5重量%含み、かつ、ガラス転移点が−30℃〜50℃である熱可塑性樹脂を10〜30重量%含む材料を用いて受像層を形成する工程と、
    前記受像層の上に、オフセット印刷法によるUVオフセットインキで地紋パターンを印刷する工程とを有することを特徴とする被熱転写記録媒体の製造方法。
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