JP2004322379A - 薄肉成形品の製造方法、薄肉成形品及び成形金型 - Google Patents

薄肉成形品の製造方法、薄肉成形品及び成形金型 Download PDF

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武文 水島
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貴英 鈴木
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Abstract

【課題】スプルー内にて成形されるスプルー成形体が冷却固化するまで待つことなく、薄肉成形品が固化した時点で薄肉成形品のチャッキング用治具を用いた脱型を行うことができ、生産サイクルを向上することができる薄肉成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】厚み0.2mm以下の薄肉部の投影面積が10mm〜2000mmの範囲である薄肉成形品1を合成樹脂材料により金型成形にて形成する。この金型成形時には、チャッキング用成形体2を前記薄肉成形品1と一体に形成する。スプルー成形体が成形固化されることを待つことなく、薄肉成形品1とチャッキング用成形体2とが共に完全に成形固化されたならば、型開きして、チャッキング用成形体2をチャッキング用治具40により挟持しながら引き抜くことにより、薄肉成形品1を容易に脱型することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に携帯電話等の携帯情報端末に使用されるシールド部品や、フラッシュメモリー等が搭載されるメモリーカード成形品として好適に使用することができる薄肉成形品の製造方法、この方法により製造される薄肉成形品及びこの方法に使用する成形金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、厚みや大きさが制限されている携帯電話等の携帯情報端末やメモリーカードの高機能化に伴い、内蔵される部品の高実装化が要求される中で、携帯情報端末に内蔵されるシールド部品やメモリーカード用成形品の厚みを可能な限り薄くして、携帯情報端末やメモリーカードに部品をより多く搭載する容積を稼ぐことが要求されてきている。
【0003】
そのため、従来、特許文献1に開示されているように、熱可塑性樹脂の射出金型成形による厚み0.2mm以下の薄肉部を有する成形品が提供されている。
【0004】
このような薄肉成形品を金型成形により得る場合には、従来、図10に示すような薄肉成形品1を金型内で冷却固化した後、脱型時に成形品に一体に形成されたスプルー成形体5(金型のスプルーにおいて成形される成形体)をロボットアーム等のチャッキング用治具にて挟持すると共に引き出すことにより、薄肉成形品1を金型から取り外すようにしていた。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−157358号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のようにスプルー成形体5を支持することで薄肉成形品を脱型する場合は、スプルー成形体5が十分に冷却固化されている必要があるが、上記のスプルー成形体5は最大肉厚部分の厚みが3〜10mm程度であって、薄肉成形品1と比べて厚みが厚く、このため、スプルー成形体5を十分に冷却固化させるためには、金型内で薄肉成形品1が十分に固化された後も、スプルー成形体5が固化するまで冷却を行わなければならなかった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、スプルー成形体が冷却固化するまで待つことなく、成形品が固化した時点で成形品の脱型を行うことができ、生産サイクルを向上することができる薄肉成形品の製造方法、この製造方法により得られる薄肉成形品、及びこの製造方法に用いる成形金型を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る薄肉成形品の製造方法は、厚み0.2mm以下の薄肉部3の投影面積が10mm〜2000mmの範囲である薄肉成形品1を合成樹脂材料により金型成形にて形成するにあたり、チャッキング用成形体2を前記薄肉成形品1と一体に形成することを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記チャッキング用成形体2を、厚み2mm以下に形成することを特徴とするものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記チャッキング用成形体2を複数形成することを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に係る薄肉成形品は、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法にて形成されたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に係る成形金型は、厚み0.2mm以下の薄肉部3の投影面積が10mm〜2000mmの範囲である薄肉成形品1を成形するためのキャビティと、前記キャビティと連通するように設けられたチャッキング用成形体2を成形するためのキャビティとを具備することを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
薄肉成形品1を得るために用いる成形用樹脂としては、適宜の熱可塑性樹脂を用いることができ、例えばポリカーボネート、ポリエステル、ポリオレフィン、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリー等、或いはこれらの樹脂のアロイ等のような、エンジニアリングプラスチックを用いることができる。
【0015】
図1は本発明で得られる薄肉成形品1の一例を示すものである。この薄肉成形品1には、チャッキング用成形体2が一体に設けられている。
【0016】
薄肉成形品1は、厚み0.2mm以下の薄肉部3を有するものであり、この薄肉部3の、厚み方向に投影した投影面積は、10〜2000mmである。また薄肉成形品1には、厚み0.2mmを超える厚肉部分を設けても良いが、このような厚肉部分を設ける場合、その厚みは、2mm以下であることが好ましく、またその厚み方向の投影面積は2〜40mmであることが好ましい。
【0017】
またチャッキング用成形体2は、薄肉成形品1から突出するように一体に形成されている。図示の例では、チャッキング用成形体2は、平面視略矩形状の薄肉成形品1の周縁部の一部に、外縁方向に向けて一体に突設されている。また図1に示す例では、このチャッキング用成形体2は、更に薄肉成形品1の厚み方向に向けて、薄肉成形品1の表面を含む平面よりも突出するように形成されている。
【0018】
チャッキング用成形体2の形状は特に制限されないが、チャッキング用治具40による支持が容易であるようにするためには、平板状に形成することが好ましく、図示の例では、その厚み方向が薄肉成形品1からの外縁に向けてのチャッキング用成形体2の突出方向、及び、薄肉成形品1の厚み方向と、直交する方向となった平板状に形成されている。
【0019】
またチャッキング用成形体2は、薄肉成形品1の成形金型20内での冷却固化時において、薄肉成形品1の薄肉部3とチャッキング用成形体2の固化完了のタイミングの差が小さくなるように、その厚みを2mm以下となるように形成することが好ましい。
【0020】
また、図1ではチャッキング用成形体2は薄肉成形品1に対して一つ設けられているが、複数のチャッキング用成形体2を設けることもできる。例えば図2(a)に示す例では、チャッキング用成形体2は、平面視略矩形状の薄肉成形品1の周縁部の一部に、外縁方向に向けて一体に突設されており、このとき複数のチャッキング用成形体2が直列に連設形成されている。
【0021】
また図2(b)に示すように、複数のチャッキング用成形体2を連設成形する代わりに、薄肉成形品1からの突出寸法が大きいチャッキング用成形体2を一つ設けるようにしても良い。
【0022】
また、図示の薄肉成形品1には、ゲート成形体4とスプルー成形体5も一体に形成されている。スプルー成形体5は、薄肉成形品1の金型成形時に、成形金型20のスプルー内にて成形された樹脂成形体であり、またゲート成形体4は、薄肉成形品1の金型成形時に、成形金型20のゲートにて成形された樹脂成形体である。
【0023】
このように形成された薄肉成形品1は、金型成形後の型開き時等に、図6(a)に示すようにロボットアーム等のチャッキング用治具40にてチャッキング用成形体2を挟持して支持し、金型から取り出すなど、移動させることができる。
【0024】
また、チャッキング用成形体2は、成形金型20の構成や薄肉成形品1の取りだし方向等に応じて、適宜の位置に適宜の形状となるように形成すればよく、例えば図6(b)に示すように、チャッキング用成形体2を、平面視略矩形状の薄肉成形品1の周縁部の一部に、外縁方向に向けて一体に突設し、更にその厚み方向が薄肉成形品1の厚み方向と一致する平板状に形成しても良い。
【0025】
このようなチャッキング用成形体2やゲート成形体4、スプルー成形体5が一体に形成された薄肉成形品1から、チャッキング用成形体2、ゲート成形体4及びスプルー成形体5を切り離すことで、薄肉成形品1の完成品が得られるものである。
【0026】
図3は、薄肉成形品1の形状の一例を示すものであり、ここでは電磁波シールドとして形成する例を挙げている。この薄肉成形品1は平面視矩形状の平板状に形成されており、厚み方向に凹入する薄肉凹部6や、厚み方向に貫通する貫通部7が形成されている。そして薄肉凹部6が形成されている部位が、厚み0.2mm以下の薄肉部3として形成されている。このような薄肉成形品1は、例えば表面全面にめっき処理を施した後、図4に示すように、電子部品9が実装された基板8を添設すると共に薄肉凹部6内や貫通部7内に電子部品9が配置されるようにして、電磁波シールド用部材として使用される。このとき、電磁波シールドを施す必要がある電子部品9は薄肉凹部6内に配置し、貫通部7内には寸法の大きい電子部品9や電磁波シールドを施す必要がない電子部品9を配置することが好ましい。またこれらの電子部品9には、金属等からなる放熱層10を設けることも好ましいものであり、図示の例では、貫通部7に配置された電子部品9の、貫通部7から外部に露出する外面に、放熱層10が設けられている。
【0027】
また図5に示すように、薄肉成形品1の一面側に開口する薄肉凹部6と、他面側に開口する薄肉凹部6とを形成すれば、めっき処理が施された薄肉成形品1の一面と他面とに、それぞれ電子部品9が実装された基板8を添設すると共に薄肉凹部6内や貫通部7内に電子部品9が配置されるようにして、電磁波シールド用部材として使用することもできる。このとき、寸法の大きな電子部品9を貫通部7内に配置するようにして、電子部品9が配置される領域を確保することができる。
【0028】
上記のようなチャッキング用成形体2を作製するにあたっては、図7に示すような成形金型20を用いることができる。この成形金型20は、厚み0.2mm以下の薄肉部3の投影面積が10mm〜2000mmの範囲である薄肉成形品1を成形するためのキャビティ21と、このキャビティ21と連通するように設けられたチャッキング用成形体2を成形するためのキャビティ22とを備えている。
【0029】
図示の成形金型20は、一対の型体20a,20bから構成されている。この型体20a,20bは、通常は一方が固定側型、他方が可動側型として形成されるものであり、図示の例では例えば上型である型体20aが固定側型、下型である型体20bが可動側型として形成される。
【0030】
キャビティ21,22は、凹凸に形成された型体20aと型体20bの各対向面を合わせることで、この型体20aと型体20bとの間に形成される。
【0031】
チャッキング用成形体2が形成されるキャビティ22は、各型体20a,20bの一方又は双方に形成された凹所32により構成することができる。このときチャッキング用成形体2用のキャビティ22は一方の型体20a(又は20b)に設けられた凹所32のみにて形成されるようにすることが好ましく、この場合、成形金型作製時にチャッキング用成形体2用のキャビティ22のための凹所32を一方の型体20a(又は20b)にのみ形成すればよくなり、金型作製の際の加工に要する手間が削減できる。またこのキャビティ22が形成される凹所32を、成形時に上側に配置される型体20a(型体20a)にのみ形成すれば、残存分を落下させやすいなど、使いやすいので好ましい。すなわち、型開き時に薄肉成形品1を型体20bに残存させやすくなり、またこのときチャッキング用成形体2は型体20bから上方に突出するように形成され、チャッキング用治具40によってチャッキング用成形体2を掴みやすくなるものである。またこのキャビティ22は、型開き時にチャッキング用成形体2がチャッキング用治具40に広い面をさらすように設けることでチャッキング用治具40によってチャッキング用成形体2を掴みやすくなるようにすることが好ましいものであり、そのためにも、上記のようにキャビティ22が形成される凹所32を一方の型体20a(又は20b)、特に成形時に上側に配置される型体20aにのみ形成することが好ましい。
【0032】
また図示の例では、薄肉成形品1が形成されるキャビティ21は、型体20aに設けられた上記凹所32と連通する凹所31aと、型体20bに設けられた凹所31bとから構成されるものであり、型合わせ時に二つの凹所31a,31bが互いにその開口を塞ぎ合うように合わさって、この凹所31a,31b内にキャビティ21が形成されるようになっている。
【0033】
また図示の例では、型体20aの凹所31aは、その底面(天井面)が凹凸なく平坦に形成されている。一方、型体20bの凹所31bには、薄肉成形品1の薄肉凹部6の形成位置に相当する箇所に凸部26が、貫通部7の形成位置に相当する箇所に凸部27が、それぞれ設けられている。各凸部26,27は凹所31bの底面凹所31外に突出するように形成されている。
【0034】
ここで型合わせ時には、薄肉凹部6に相当する凸部26は型合わせ時にその先端面と型体20aの底面との間に隙間が形成されて、この隙間が薄肉部3が形成される空間23となるように設けられている。また貫通部7に相当する凸部27は型合わせ時にその先端面と上型の底面とが当接するように設けられている。
【0035】
上記の例では、薄肉凹部6のような凹凸や貫通部7等を形成するための凸部26,27を、型体20bの凹所31bにのみ設けているが、特に薄肉凹部6等のような凹凸を薄肉成形品1の片面にのみ設ける場合には、このように凸部26,27を一方の型体20a(又は20b)の凹所31a(又は31b)にのみ設けるようにすれば、片方の型体20a(又は20b)にのみ凸部26,27を設ければよくなり、金型作製の際の加工に要する手間が削減できる。
【0036】
また、スプルー成形体5が形成されるキャビティ25(スプルー)は、型体20aに設けられた凹所35aと、型体20bに設けられた凹所35bとから構成されるものであり、型合わせ時に二つの凹所35a,35bが互いにその開口を塞ぎ合うように合わさって、この凹所35a,35b内にキャビティ25が形成されるようになっている。図示の例では、型体20aに円錐状の凹所35aを形成して、この凹所35a側から合成樹脂材料が注入されるようにし、また型体20bには平面視円形状の浅い凹所35bを形成して、型合わせ時にこの凹所35bにて上記凹所35aが閉塞されるようになっている。ここで凹所35bは、成形後の型開き時にスプルー成形体5を噛み込んで成形体全体を型体20b側に残存させる機能も有する。
【0037】
また、薄肉成形品1が形成されるキャビティ21と、スプルー成形体5が形成されるキャビティ25とは、ゲート成形体4が形成されるキャビティ24(ゲート)にて連通されている。このキャビティ24は、一方の型体20a(又は20b)に設けられた凹所34のみにて形成されるようにすることが好ましく、この場合、成形金型作製時にゲート成形体4用のキャビティ24のための凹所34を一方の型体20a(又は20b)にのみ形成すればよくなり、金型作製の際の加工に要する手間が削減できる。図示の例では、凹所34は型体20bにのみ形成され、この凹所34が、凹所31b及び凹所35bに連通するように形成され、これにより、ゲート成形体4用のキャビティ24が、薄肉成形品1用のキャビティ21及びスプルー成形体5用のキャビティ25と連通するように形成されている。
【0038】
またこの成形金型20には、必要に応じてノックアウトピン等も設けられる。
【0039】
成形金型20を用いて薄肉成形品1を製造するにあたっては、上記のような適宜の熱可塑性樹脂を用い、射出成形を行う。このときの成形条件は、熱可塑性樹脂の種類や成形金型20の構成等に応じて適宜設定されるが、射出ピーク圧力294MPa以下、射出速度500mm/s以上、射出時間0.015〜0.01秒、金型温度60〜90℃、冷却時間5〜30秒の範囲で行うことが好ましい。
【0040】
そして成形後、成形金型20を型開きし、ロボットアーム等のチャッキング用治具40にてチャッキング用成形体2を挟持して引き出すことにより脱型することで、図1や図2に示すような、チャッキング用成形体2とスプルー成形体5が一体に形成された薄肉成形品1が得られる。脱型の際には、ノックアウトピン等により成形体を脱離させた後にチャッキング用治具40にてチャッキング用成形体2を挟持して引き出し、次工程へ移動させることもできる。次いで、チャッキング用成形体2とスプルー成形体5とを薄肉成形品1から切断することにより、薄肉成形品1の完成品が得られるものである。
【0041】
このようにして薄肉成形品1を形成すると、冷却固化時に薄肉成形品1と、チャッキング用成形体2とが共に完全に成形固化されるので、型開きして、チャッキング用成形体2をチャッキング用治具40により挟持しながら引き抜くことにより、薄肉成形品1を容易に脱型することができるものであり、脱型時にスプルー成形体5を挟持しながら引き抜く場合のようにスプルー成形体5を完全に固化させる必要がなくなって、冷却固化時間を短縮し、薄肉成形品1の成形サイクルを向上することができるものである。
【0042】
また、薄肉成形品1に対してチャッキング用成形体2を複数個設けると、これに対応して、脱型時に複数箇所でチャッキング用治具40にてチャッキング用成形体2を挟持することができて、ねじれ、反り等が少ない、より安定した支持が可能となり、薄肉成形品1を、チャッキング用成形体2やスプルー成形体5の切断等のための後工程へ移動させる際にロボットアーム等のチャッキング用治具40の振動等による薄肉成形品1の振動を抑制して、薄肉成形品1を所定のセッティング位置に容易に移動させることができるものである。
【0043】
以上の説明においては、単数取りでの金型成形における例を示しているが、多数個取りで薄肉成形品1を形成する場合でも、同様にチャッキング用成形体2を形成して、脱型時にはこのチャッキング用成形体2をチャッキング用治具40により挟持しながら、脱型や次工程への移動を行うようにすることができる。
【0044】
例えば図8に示す例では、四個取りで薄肉成形品1を形成する場合を示しており、この場合、スプルー成形体5から四つに分岐したランナ成形体11(成形金型20のランナに形成された成形体)及びこのランナ成形体11の端部に形成されたゲート成形体4が設けられ、このゲート成形体4に薄肉成形品1が一体に設けられている。四個の薄肉成形品1は2行2列のマトリクス状に配置されており、各薄肉成形品1は内側の端縁でゲート成形体4に接続され、外側の端縁にはチャッキング用成形体2がそれぞれ形成されている。各チャッキング用成形体2は、図1に示すものと同様に形成されている。
【0045】
このような薄肉成形品1を射出成形により成形する場合には、上記のような薄肉成形品1、チャッキング用成形体2、ゲート成形体4、スプルー成形体5、ランナ成形体11等を形成するためのキャビティが設けられた成形金型を用い、射出成形により形成される。
【0046】
このように多数個取りで薄肉成形品1が形成される場合も、成形体の脱型時には、一個取りの場合と同様に、型開き後、チャッキング用成形体2をチャッキング用治具40により挟持しながら引き抜くことにより、薄肉成形品1を容易に脱型することができる。このとき、複数箇所(図8の例では4箇所)に形成された各チャッキング用成形体2を、それぞれチャッキング用治具40により挟持するようにすれば、薄肉成形品1を安定して支持することができる。また、総てのチャッキング用成形体2を支持しなくても、例えば図8の例において、対角線状に配置された二つのチャッキング用成形体2のみをチャッキング用治具40により挟持するなどのように、任意の複数のチャッキング用成形体2を選択してこれをチャッキング用治具40により挟持すれば、安定した支持が可能となる。
【0047】
また、図9に示す例では、二個取りで薄肉成形品1を形成する場合を示しており、この場合、スプルー成形体5から二つに分岐したランナ成形体11(成形金型20のランナに形成された成形体)及びこのランナ成形体11の端部に形成されたゲート成形体4が設けられ、このゲート成形体4に薄肉成形品1が一体に設けられている。二つの薄肉成形品1は2列に並んで配置されており、各薄肉成形品1は内側の端縁でゲート成形体4に接続され、外側の端縁にはチャッキング用成形体2がそれぞれ形成されている。
【0048】
また図示の例では、チャッキング用成形体2は図6(b)に示すように、薄肉成形品1の周縁部の一部に、外縁方向に向けて一体に突設し、更にその厚み方向が薄肉成形品1の厚み方向と一致する平板状に形成されている。
【0049】
このようなチャッキング用成形体2やゲート成形体4、スプルー成形体5が一体に形成された薄肉成形品1から、チャッキング用成形体2、ゲート成形体4及びスプルー成形体5を切り離すことで、薄肉成形品1の完成品が得られるものである。
【0050】
この図9に示す例でも、成形体の脱型時には、一個取りの場合と同様に、型開き後、チャッキング用成形体2をチャッキング用治具40により挟持しながら引き抜くことにより、薄肉成形品1を容易に脱型することができる。このとき、図示のように、チャッキング用治具40により、二つのチャッキング用成形体2のうちの一方の外縁と他方の外縁とをそれぞれ外側方から挟み込むことで成形体全体を挟持して支持することができる。
【0051】
この図9に示す例は、成形金型20を横開き状に形成する場合、すなわち一対の型体20a,20bが横方向に対向して配置されるように形成する場合に、適用することが好ましい。この場合は、型開き後、ノックアウトピン等により成形体を脱型すると同時にチャッキング用治具40による支持を行うようにすることができる。
【0052】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。
【0053】
(実施例1)
成形用樹脂としては、三菱レーヨン株式会社製のABS樹脂(品番「TM20M」)を用いた。
【0054】
また、成形用金型としては、図7に示すような形状を有し、平面視寸法70×42mm、厚み0.2mmの薄肉部3の投影面積が1764mm、厚み1.5mmの厚肉部分の投影面積が323mmである薄肉成形品1が形成されるキャビティと、厚み1.5mmのチャッキング用成形体2を成形するためのキャビティと、最も大径の部分の直径が5mmとなったスプルーを有するものを用いた。
【0055】
そして、射出ピーク圧力2000kgf/cm(196MPa)、射出速度600mm/s、射出時間0.022秒、金型温度70℃、冷却時間6秒の条件で射出圧縮成形を行い、スプルー成形体5とチャッキング用成形体2とが一体に形成された薄肉成形品1を得た。また冷却速度を4秒に変更した以外は同様にして薄肉成形品1を得た。
【0056】
この薄肉成形品1からは、脱型後、スプルー成形体5とチャッキング用成形体2とを切り離した。
【0057】
このようにして薄肉成形品1を形成すると、冷却時間が6秒と4秒のいずれの場合でも、薄肉成形品1と、チャッキング用成形体2とは、共に完全に成形固化され、型開き後、チャッキング用成形体2をチャッキング用治具40により挟持しながら引き抜くことにより、薄肉成形品1を容易に脱型することができた。
【0058】
(実施例2)
成形金型におけるチャッキング用成形体2が形成されるキャビティを、チャッキング用成形体2の厚みが0.8mmとなるように形成し、それ以外は実施例1と同様にして、薄肉成形品1を得た。
【0059】
このようにして薄肉成形品1を形成する場合でも、冷却時間が6秒と4秒のいずれにおいても、薄肉成形品1と、チャッキング用成形体2とは、共に完全に成形固化され、型開き後、チャッキング用成形体2をチャッキング用治具40により挟持しながら引き抜くことにより、薄肉成形品1を容易に脱型することができた。
【0060】
(比較例1)
成形用金型としては、チャッキング用成形体2を成形するためのキャビティを有しないものを用い、それ以外は上記各実施例と同様にして、スプルー成形体5が一体に形成された薄肉成形品1を成形したところ、冷却時間が4秒、6秒のいずれの場合でも、薄肉成形品1は完全に成形固化されたが、スプルー成形体5は軟質な状態にあり、スプルー成形体5をチャッキング用治具40により挟持しながら引き抜こうとしてもスプルー成形体5が変形してしまって、薄肉成形品1を脱型することができなかった。
【0061】
(比較例2)
比較例1において、成形時の冷却時間を13秒に延長したところ、脱型することは可能となったが、冷却時間が長くなることで、成形サイクル時間が長くなってしまった。
【0062】
【発明の効果】
上記のように請求項1に係る薄肉成形品の製造方法によって、成形時に薄肉成形品とチャッキング用成形体とが共に完全に成形固化されたならば、型開きして、チャッキング用成形体をチャッキング用治具により挟持しながら引き抜くことにより、薄肉成形品を容易に脱型することができるものであり、脱型時にスプルー成形体を挟持しながら引き抜く場合のようにスプルー成形体を完全に固化させる必要がなくなって、成形時間を短縮し、薄肉成形品の成形サイクルを向上することができるものである。
【0063】
また請求項2の発明によって、チャッキング用成形体が成形固化されるための要する時間を短縮して、成形時間を更に短縮し、薄肉成形品の成形サイクルを更に向上することができるものである。
【0064】
また請求項3の発明によって、脱型時に複数箇所でチャッキング用治具にてチャッキング用成形体を挟持することができて、より安定した支持が可能となり、薄肉成形品を後工程へ移動させる際にチャッキング用治具の振動等による薄肉成形品の振動を抑制して、薄肉成形品を所定のセッティング位置に容易に移動させることができるものである。
【0065】
また請求項4に係る薄肉成形品は、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法にて形成されたものであるため、この薄肉成形品の金型成形時には、薄肉成形品とチャッキング用成形体とが共に完全に成形固化されたならば、型開きして、チャッキング用成形体をチャッキング用治具により挟持しながら引き抜くことにより、薄肉成形品を容易に脱型することができるものであり、脱型時にスプルー成形体を挟持しながら引き抜く場合のようにスプルー成形体を完全に固化させる必要がなくなって、成形時間を短縮し、薄肉成形品の成形サイクルを向上することができるものである。
【0066】
また請求項5に係る成形金型を用いて、厚み0.2mm以下の薄肉部の投影面積が10mm〜2000mmの範囲である薄肉成形品と、チャッキング用成形体とを一体に形成することができ、この金型成形時には、薄肉成形品とチャッキング用成形体とが共に完全に成形固化されたならば、型開きして、チャッキング用成形体をチャッキング用治具により挟持しながら引き抜くことにより、薄肉成形品を容易に脱型することができるものであり、脱型時にスプルー成形体を挟持しながら引き抜く場合のようにスプルー成形体を完全に固化させる必要がなくなって、成形時間を短縮し、薄肉成形品の成形サイクルを向上することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図2】本発明の実施の形態の他例を示すものであり、(a)は側面図、(b)は他の一部の側面図、(c)は正面図である。
【図3】(a)は同上の実施の形態における薄肉成形品の完成品の一例を示す斜視図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。
【図4】同上の実施の形態における薄肉成形品の使用形態の一例を示す断面図である。
【図5】同上の実施の形態における薄肉成形品の使用形態の他例を示す断面図である。
【図6】(a)本発明の実施の形態の一例を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態の他例を示す斜視図である。
【図7】成形金型の構成の一例の概略を示すものであり、(a)は断面図、(b)は一方の型体の対向面側の平面図、(c)は他方の型体の対向面側の平面図である。
【図8】本発明の実施の形態の別の例を示す平面図である。
【図9】本発明の実施の形態の更に別の例を示す平面図である。
【図10】従来技術を示すものであり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【符号の説明】
1 薄肉成形品
2 チャッキング用成形体
3 薄肉部

Claims (5)

  1. 厚み0.2mm以下の薄肉部の投影面積が10mm〜2000mmの範囲である薄肉成形品を合成樹脂材料により金型成形にて形成するにあたり、チャッキング用成形体を前記薄肉成形品と一体に形成することを特徴とする薄肉成形品の製造方法。
  2. 前記チャッキング用成形体を、厚み2mm以下に形成することを特徴とする請求項1に記載の薄肉成形品の製造方法。
  3. 前記チャッキング用成形体を複数形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の薄肉成形品の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の方法にて形成されたことを特徴とする薄肉成形品。
  5. 厚み0.2mm以下の薄肉部の投影面積が10mm〜2000mmの範囲である薄肉成形品を成形するためのキャビティと、前記キャビティと連通するように設けられたチャッキング用成形体を成形するためのキャビティとを具備することを特徴とする成形金型。
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WO2012057102A1 (ja) * 2010-10-29 2012-05-03 コニカミノルタオプト株式会社 成形型、その成形型を用いて製造されるマイクロチップ、及びそのマイクロチップを製造する製造装置
CN102814932A (zh) * 2012-09-03 2012-12-12 晟扬精密模具(昆山)有限公司 Sd卡成型模具

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