JP2004322052A - 可視光応答型光触媒 - Google Patents

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修 高木
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良典 木全
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Abstract

【目的】可視光、例えば市販の蛍光灯による光でも優れた光触媒性能を発揮する光触媒に関するものである。
【構成】ニオブを含有するチタニアが、上記問題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明はニオブを含有し、特定の結晶相を有し、近赤外領域における特性吸収帯(5400〜4400cm−1の間に吸収ピークを少なくとも2個以上有する)を持ったチタニアであることを特徴とするチタニア光触媒である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可視光でも光触媒活性を有する光触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光照射により、化学反応を呈するものとして光触媒があり、廃棄物の分解浄化、悪臭の原因となる気体分子の分解による無臭化、および水の分解による水素の合成等に利用されている。このような光触媒として層状チタン化合物や、金属化合物などの研究も多くなされているが、特にチタニアからなる光触媒は、触媒効果が比較的高く、安価であることから、各方面で検討されている。更に、光触媒が励起する波長を可視光領域にまで広げた、可視光応答型チタニアも、光の有効利用方法として多く研究されている。可視光応答性のチタニアとしては、窒素原子またはイオウ原子をドーピングあるいは置換したチタニアが知られている(例えば、特許文献1参照)。酸化チタンの酸素サイトの一部を窒素原子またはイオウ原子で置換、ドーピング、または配したものににバナジウム、クロムやニオブなどから選ばれる少なくとも1種を置換、ドーピング、または配したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。また、酸素欠陥型チタニアおよび1価イオンを含有するチタニアが知られている(例えば、特許文献3参照)。また、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルおよび銅からなる群より選択される少なくとも一種類のドーパントがドーピングされているチタニアが知られている(例えば、特許文献4参照)。
またアナターゼに五酸化ニオブを加熱して固溶させたものが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−205103号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開2001−205104号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開2000−157841号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】
特開平09−192496号公報(特許請求の範囲)
【非特許文献1】
菱田俊一、外2名、「五酸化ニオブの添加による,アナターゼ−ルチル相転移の抑制:固溶体の生成と相転移の抑制の関係」,窯業協会誌,1983年,第91巻,9号,p399−404。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、可視光、例えば市販の蛍光灯による光でも優れた光触媒性能を発揮する光触媒に関するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、ニオブを含有する特定のチタニアが、上記問題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明はニオブを含有し、特定の結晶相を有し、近赤外領域における特性吸収帯を持ったチタニアであることを特徴とするチタニア光触媒である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。なお、「%」は質量%を示す。
【0007】
○チタニア光触媒
本発明のチタニア光触媒とは、可視光触媒能が優れるニオブを含有するチタニアである。以下、本発明のチタニア光触媒をチタニア光触媒と称する。
チタニア光触媒中のチタン原子とニオブ原子との比率は、チタン原子に対し0.01〜20モル%(モル%は(ニオブ/(チタン+ニオブ))×100から算出した。なお,ニオブおよびチタンとはチタニア光触媒中に存在するそれぞれの物質のモル値である)であり、0.2〜20モル%が好ましく、更に1〜20モル%が好ましく、特に2〜15モル%が好ましい。
【0008】
チタニア光触媒の結晶形態は、この粉末X線回折パターンから、ルチル型結晶を含むこともあるアナターゼ型結晶相である。チタニア光触媒中のアナターゼ型結晶の含有量は、50〜100%が好ましく、更に60〜95%が好ましく、特に80〜95%が好ましい。
チタニア光触媒中のアナターゼ型結晶の含有量の算出方法は、粉末X線回折法(以下XRD)により検出されたチタニア光触媒の回折パターンについてPERSON VII関数を用いてリートベルト法でフィッティングし、精密分離したアナターゼ型結晶の最強干渉線(面指数(101))の強度Iとルチル型結晶の最強干渉線(面指数(110))の強度Iとを得て、下記式(清野学,「酸化チタン−物性と応用技術」,p.50,技報堂出版,1991年)で算出した。
アナターゼ型結晶の含有量(%)=100/(1+(1.265×I/I))
【0009】
チタニア光触媒中のアナターゼ型結晶は、a軸格子定数が3.775〜3.95Åであり、好ましくは3.775〜3.82Åであり、c軸の格子定数が9.46〜10Åであり、好ましくは9.46〜9.7Åであり、更に好ましくは9.46〜9.54Åである。
なお、チタニア光触媒におけるXRDの回折ピークには、a軸の格子定数が3.775Å〜3.820Å、c軸の格子定数が9.460Å〜10.0Åと観察されるものがある(通常、アナターゼ型チタニアの格子定数は、a軸が3.785Å、c軸が9.514Åである)。
【0010】
チタニア光触媒中におけるルチル型結晶は、a軸格子定数が4.598〜4.668Åであり、好ましくは4.598〜4.65Åであり、c軸の格子定数が2.96〜3.2Åであり、好ましくは2.96〜3Åであり、更に好ましくは2.96〜2.98Åである。
なお、チタニア光触媒におけるXRDの回折ピークには、a軸の格子定数が4.598Å〜4.668Å、c軸の格子定数が2.960Å〜3.200Åと観察されるものがある(通常、ルチル型チタニア結晶は、a軸が4.593Å、c軸が2.959Åである)。
【0011】
チタニア光触媒は、近赤外領域5400〜4400cm−1において特徴のある吸収ピークを少なくとも2個以上有するものであり、更に3個以上有するものが好ましく、特に4個以上有するものが好ましいものである。このチタニア光触媒の近赤外吸収ピークは、4800〜4400cm−1(近赤外吸収帯Iとする)、5000〜4800cm−1(近赤外吸収帯IIとする)、および/または5400〜5000cm−1(近赤外吸収帯IIIとする)に存在することを特徴とする。
近赤外吸収帯I〜IIIは、チタニア光触媒を任意の温度と時間とで熱処理することにより、この吸収率および/または構成比率を調整することができる。
チタニア光触媒は、近赤外吸収帯Iに吸収ピークを少なくとも1個以上有するものが好ましく、更に近赤外吸収帯Iおよび近赤外吸収帯IIIにそれぞれ吸収ピークを少なくとも1個以上有するものが好ましく、特に近赤外吸収帯I、近赤外吸収帯II、および近赤外吸収帯IIIにそれぞれ吸収ピークを少なくとも1個以上有するものが持つことが好ましい。
【0012】
チタニア光触媒の大きさとしては、走査型電子顕微鏡で確認することができる。チタニア光触媒の大きさは、0.01μm〜10μmが好ましく、更に好ましくは0.1μm〜5μmである。粒子が大き過ぎると、比表面積が低下して、光触媒としての反応効率が低下するおそれがあり、また塗膜や成型体として加工時に不良を生じるおそれがある。また、粒子が小さすぎると、作業性が低下するおそれがある。
【0013】
○製造方法
チタニア光触媒の製造方法は、硫酸チタンを水に溶解してチタン水溶液とし、五酸化ニオブを蓚酸などを用いて水に溶解してニオブ水溶液とし、これらを混合して混合液とする。この混合液を、60〜150℃で処理することにより、チタニア光触媒が得られる。このチタニア光触媒を製造するとき、アルカリを用いて混合液のpH調整を行っても良い。このアルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩、アルカリ土類金属の炭酸水素塩、アンモニア水溶液、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、尿素、およびヘキサメチレンテトラミンなどが例示でき、これらを一種または複数組合わせても良い。このアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、およびカリウムが好ましく、更にリチウムが好ましい。このアルカリ土類金属としては、カルシウム、ストロンチウム、およびバリウムが好ましく、更にカルシウムが好ましい。そして、アルカリ土類金属とアルカリ金属とではアルカリ金属の方が好ましい。更にこのアルカリとしては、アンモニア水溶液、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、尿素、およびヘキサメチレンテトラミンが好ましく、これらを一種または複数組合わせても良く、特に炭酸アンモニウム、尿素およびヘキサメチレンテトラミンが好ましく、これらを一種または複数組合わせても良い。
【0014】
チタニア光触媒生成時の加熱温度としては、150℃以下が好ましい。なお、60℃以上で反応させた場合はルチル結晶相が主に生成しやすいことから、チタニア光触媒におけるアナターゼ型結晶とルチル型結晶との組成比は、ニオブ水溶液とチタン水溶液との混合液における加熱温度と時間とを調整する事によってなし得る。このようなことから、チタニア光触媒を製造するときの混合液の温度が60〜150℃であることが好ましく、更に60〜120℃であることが好ましく、特に60〜100℃であることが好ましい。
【0015】
このようにして得られたチタニア光触媒を後加熱することによって、更にチタニア光触媒の可視光応答性や光触媒活性などの性能を良くすることができる。
この後加熱する温度としては、200℃以上が好ましく、900℃以下が好ましい。この後加熱が200℃以下であると、洗浄後にも残存する有機分が残存している可能性がある。一方、900℃以上で加熱すると、光触媒性能が悪くなるおそれがある。このようなことから、この後加熱の温度は200〜900℃であり、更に好ましくは225〜700℃が好ましく、特に250〜650℃が好ましい。
【0016】
○配合物について
チタニア光触媒を用いて、大気中のホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなどのアルデヒド類ガスやトルエンなどの分解対象ガスを分解したり、溶液中の有機化合物などの分解対象物質を分解することができる。このようなとき、チタニア光触媒と、活性炭やシリカゲルなどの吸着性物質とを混合したり、または他の光触媒(既存の光触媒)と混合することにより、更に分解性能を発揮しやすくすることが可能である。
チタニア光触媒と混合する配合物としては、物理的に化合物を吸着する物質や化学的に化合物を吸着する物質が例示できる。物理的に化合物を吸着する物質としては、比表面積の多い活性炭やゼオライトなどの多孔性物質やアエロジルなどの超微粒子が挙げられる。吸着性物質の比表面積が小さいと、化合物の吸着量が少なくなり、光触媒による分解反応効率が低くなるため10m・g−1以上の比表面積が好ましい。化学的に吸着する物質としては、イオン交換体や吸着対象の化合物と化学反応をする物質、または吸着対象の化合物と化学反応する物質を担持した物質が挙げられる。この吸着対象の化合物と化学反応する物質としては、例えばホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなどのアルデヒド類に対してシッフ反応を生じるアミン化合物が挙げられ、この化学反応する物質を担持する物質としては、多孔質シリカや陽イオン交換性を有する粘土鉱物などが挙げられる。
【0017】
○用途について
チタニア光触媒は、付着、担持、塗布、含浸または溶着などにより、基材表面に実用に耐えうる強度で形成できれば、いずれの方法でもよく、その方法は限定されない。
基材としては、建築物の外壁面、屋根外面、屋上面、窓ガラス外面、窓ガラス内面、部屋の壁面、床面、天井面、ブラインド、カーテン、道路の防護壁、トンネルの内壁、照明灯の外面、照明灯の反射面、乗用車やバスや電車などの車両の内装面、ミラー面、ガラス外面、ガラス内面などを挙げることができる。
チタニア光触媒の担持方法としては、塗料やバインダーを塗布した後に光触媒を吹き付ける方法または塗料やバインダー中に光触媒を混入させて吹き付ける方法等が挙げられるが、これらの方法に限られるわけではない。このバインダーとしては、光触媒活性に対して耐性のあるバインダーが良く、例えばシロキサン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ケイ酸ガラス等が挙げられる。また、混合されたチタニア光触媒をより有効に利用するには、バインダーとして透光性を有するものがより好適である。また、汚れが付きにくい点を考えると、シロキサン樹脂、フッ素樹脂等の撥水性を有するものが好ましい。
基材表面に塗布して膜を形成させる場合には、基材の表面全面に塗布してもよいし、一部に塗布してもよい。また、チタニア光触媒を含有する塗液は、基材に直接塗布してもよいし、プライマー層を介して塗布してもよい。特に基材が金属、ガラス質の場合には、プライマー層を介する方が接着強度向上の上で好ましい。
また、チタニア光触媒を合成樹脂に練り込んだり、釉薬に添加して陶器表面やホーローに用いても良い。チタニア光触媒をシリカゲル、アルミナ、またはハイドロキシアパタイトなどと混合または渾融させて用いることもできる。
チタニア光触媒を合成樹脂に練り込んだものをフィルム状に加工し、基材表面に張り付けて使用することもできる。チタニア光触媒を含有するフィルムは、例えば離型紙上にチタニア光触媒とバインダーとの混合物をチタニア光触媒の一部がバインダー層から露出するように、吹き付けて、硬化または乾燥させ、次いで離型紙を剥離して得られるが、これに限定されるものではない。次いで得られたフィルムを基材の上に積層または貼着し、加熱してバインダー層を溶融せしめた後に冷却することによって、基材表面にチタニア光触媒を含有するフィルムの積層された多機能部材を得ることができる。
【0018】
チタニア光触媒により大気中に含まれる窒素酸化物濃度の低減方法としては、窒素酸化物を含有する大気を、可視光を含む光線の照射下でチタニア光触媒と接触させることにより行うことができる。可視光を含む光は、太陽光線または人工光線であることができる。人工光線源としては、可視光を含む光を供給できるものであればよく、例えば、蛍光灯、白熱灯またはハロゲンランプからの光であることができる。
【0019】
大気中に含まれる窒素酸化物の種類に制限はなく、通常NOXと総称されるものであることができる。また、窒素酸化物を含有する大気にも制限はなく、例えば、室内の大気、野外の大気、あるいはトンネル等の自動車から排出される高濃度の窒素酸化物を含有する大気等を挙げることができる。また、処理されるべき大気と光触媒との接触は、ファン等を用いて強制的に行うこともできるが、単に、光触媒を処理すべき大気中に静置しておくこともできる。
【0020】
光触媒による窒素酸化物の酸化のメカニズムは必ずしも定かではないが、例えば、NOはNOになり、NOはさらに酸化され、最終的には、光触媒の吸着水または表面水酸基と反応してHNOとなる。HNOは、光触媒が、雨水に当たる場所に設置されたものである場合は、雨水に洗い流され、基材の表面は清浄化される。
【0021】
生活空間で使用するもので例えば、器具、機器、設備、生活用品等で、油等の有機汚れ等が付き易い部位等の表面に、光触媒を付けて浄化することができる。
また、光触媒により、水質等を清浄化することが可能であり、例えば、TOCを小さくすることができる。
【0022】
チタニア光触媒が適用できるものとして、照明器具の反射板、カバー若しくは傘部;レンジフードとしてフィルター、フード若しくはファン部;キッチン周り品としてテーブル、食器棚、壁、タイル若しくは天井部;トイレ周り品として壁、便座若しくは便器;浴室周り品として浴槽、壁、タイル部若しくは天井部;収納具として下駄箱、押入、タンス、床下収納庫、米櫃、クーラーボックス若しくはごみ箱;建材として外装材、レンガ、間仕切り、ふすま、障子若しくは床;寝具としてふとん、まくら若しくは毛布;カーテン;じゅうたん;家電製品としてテレビ、ビデオ、ステレオ、クーラー、ストーブ、掃除機、洗濯機、冷蔵庫、電気ポット、こたつ、炊飯器、シェーバー、むだ毛剃り器若しくはドライヤー;調理器具としてなべ、茶瓶若しくはフライパン;食器としてコップ、茶碗若しくはどんぶり鉢;自動車として窓ガラス若しくはハンドル;自転車;携帯品として帽子、バッグ、時計、釣竿若しくは靴;衣類として制服、背広、靴下、下着、コート、ジャンバー、セーター、トレーナー、ワイシャツ、ズボン、着物、スカート、ストッキング若しくはタイツ;浄化設備として排水処理設備、浄化槽、空気浄化器、水浄化器若しくは生ゴミ処理器;水槽としてプール、観賞魚用水槽、生けす用水槽若しくは池周り用石;または動物用品としてペット小屋、犬小屋若しくは鳥かご等が挙げられ、これらの部品の表面または内面に光触媒が形成されているもの等が挙げられる。
前記部品とは、例えば、シェーバーおよびむだ毛剃り器についていうと、その歯等が挙げられる。
【0023】
チタニア光触媒が適用できるものとして、光が当たる天井、壁や床など使用することにより、細菌やカビなどを殺菌することができる。特に、可視光で活性を有することから、ブラックライトなどの照射が必要なく、普通の照明器具で殺菌効果を出すことができる。このことから、病院、食品工場、製薬工場、および化粧品工場などに用いることができる。また、空調施設に組み入れることもできる。
【0024】
○実施態様
粒子径が0.01〜10μmであるチタニア光触媒。
チタン水溶液とニオブ水溶液との混合液を、60〜150℃で処理することを特徴とするチタニア光触媒の製造方法。
チタン水溶液とニオブ水溶液との混合液を、60〜150℃で処理するときアルカリを用いることを特徴とするチタニア光触媒の製造方法。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0026】
○使用溶液の調製
硫酸チタニル(キシダ化学(株)製)を純水に溶かし、チタン濃度0.5mol/リットル溶液を調製した(チタン水溶液)。
五酸化ニオブ(キシダ化学(株)製)と蓚酸とを純水に溶かし、ニオブ濃度0.5mol/リットル溶液を調製した(ニオブ水溶液)。
ヘキサメチレンテトラミンを純水に溶かし、1mol/リットル溶液を調製した(以下HMT溶液)。
尿素(キシダ化学(株)製)を純水に溶かし、2mol/リットル溶液を調製した(以下尿素溶液)。
【0027】
<実施例1>
○チタニア光触媒の合成(サンプルA)
フラスコ中にチタン溶液500ml、ニオブ溶液50ml、およびHMT溶液を500ml添加し、充分混合する。この混合液を80℃に加温し、2時間撹拌する。次にこの溶液を90℃に昇温し、24時間撹拌した。その後、室温まで放冷、濾過し、純水で洗浄後、120℃で乾燥し、サンプルAを調製した。
【0028】
<実施例2>
○チタニア光触媒の合成(サンプルB)
ニオブ溶液5mlとした以外は、実施例1と同様に操作し、サンプルBを調製した。
【0029】
<実施例3>
○チタニア光触媒の合成(サンプルC)
フラスコ中にチタン溶液500ml、ニオブ溶液100ml、および尿素溶液を1000ml添加し、充分混合する。この混合液を80℃に加温し、2時間撹拌する。次にこの溶液を90℃に昇温し、24時間撹拌した。その後、室温まで放冷し、濾過し、純水で洗浄後、120℃で乾燥し、サンプルCを調製した。
【0030】
<実施例4>
○チタニア光触媒の合成(サンプルD)
実施例1で調製したサンプルAを300℃で4時間加熱し、サンプルDを調製した。
【0031】
<実施例5>
○チタニア光触媒の合成(サンプルE)
実施例3で調製したサンプルCを600℃で2時間加熱し、サンプルEを調製した。
【0032】
<比較例1>
○比較サンプルA
ニオブを添加していない高純度アナターゼ型チタニアを比較例として、市販チタニア(石原産業(株),グレードST−01)を用いた。
【0033】
<比較例2>
○比較サンプルBの合成
比較例1のST−01をアンモニア気流中で600℃24時間保持して窒素置換型チタニアを得た(比較サンプルB)。
【0034】
<比較例3>
○比較サンプルCの合成
HMTを用いない以外は実施例1と同様の操作を行い、比較サンプルCを調製した。
【0035】
<実施例6>
○メチレンブルー分解試験
サンプルA〜E並びに比較サンプルA〜Cの光触媒性能を検討するために、紫外線照射下、蛍光灯下および暗所とでメチレンブルーの分解性を評価した。
紫外線照射による試験は、紫外線ランプ(東芝ライテック(株):FL20SBLB−A,20ワット)により紫外線強度を1.0mW・cm−2(ミノルタ(株):UVラジオメーター,UM−10により測定)に調整した条件で実施した。蛍光灯下試験は、蛍光灯(NEC(株):FL40SSEX−D/37−HG,37ワット、UVカットフィルムを取り付ける)により照度1000ルクス(東京硝子器械(株):FLX−1330により測定)に調整した条件で実施した。また、暗所試験は、光遮蔽板により囲み、暗所で実施した。
メチレンブルー溶液は、試薬(キシダ化学(株)製メチレンブルー試薬特級)を純水に溶解し、10ppmの濃度溶液を調製した。
メチレンブルー分解試験の方法は、直径4cmのガラス製シャーレにサンプルA〜Eと比較サンプルA〜Cをそれぞれ0.1gずつ入れ、メチレンブルー溶液を各シャーレに5ml添加して、前述した3条件下に静置した(21±1℃)。分解活性は、メチレンブルーの青色が目視で無色透明になるまでの時間を分解時間として評価した。この結果を表1に記載した。
【0036】
【表1】
Figure 2004322052
【0037】
<実施例7>
○光吸収性試験
サンプルA〜E並びに比較サンプルAおよびBの光吸収性を検討するために、UV−vis拡散反射法(日本分光(株):UV−VISスペクトルメーター,V−550)によって300〜500nmの吸光度を測定した。
この測定結果を図1(サンプルA〜E)および図2(比較サンプルAおよびB)に示す。
サンプルA〜サンプルEは、可視光領域での光吸収性があり、可視光応答型材料である可能性が高いことが判る。また、比較サンプルAの可視光領域での光吸収性が低いこと、比較サンプルBの窒素置換型では可視光領域での光吸収性があることが分かった。
【0038】
<実施例8>
○結晶性分析
サンプルA〜E並びに比較サンプルAおよびBの粉末X線回折パターンから結晶相の同定を行い、回折ピークをリートベルト法で分離したピークから結晶の格子定数を求めた。また、ニオブ含有量は、ICP分析法で各元素を測定して求めた。
これらの、アナターゼ型結晶(アナターゼ相と表示)およびルチル型結晶(ルチル相と表示)の結晶格子定数(Å)、アナターゼ型結晶の含有量(%)およびチタンに対するニオブ含有量(mol%)の結果を表2に示した。なお、比較サンプルCは、アナターゼ型結晶相以外の結晶相が多数認められ、同定できなかった。
【0039】
【表2】
Figure 2004322052
【0040】
<実施例9>
○近赤外吸収スペクトル分析
拡散反射用アクセサリを具備したフーリェ変換方式の近赤外分光分析装置(ニコレー社製MAGNA750型:光源 タングステンハロゲン白色ランプ、検出器 DTGS、ビームスプリッタ CaF)を用いて、サンプルCの近赤外吸収スペクトル分析を行った。測定波長領域8000〜4000cm−1、分解能8cm−1、積算回数256回の条件で測定した拡散反射近赤外スペクトルをクベルカ−ムンク補正計算によって透過スペクトル相当の吸光度に変換し、近赤外吸収スペクトルを得た。また、熱処理品であるサンプルD、Eおよび、比較サンプルAについても同様の条件で分析した。
サンプルC並びに熱処理を実施したサンプルDおよびEの近赤外吸収スペクトルを図3に示す。また、比較サンプルAの結果を図4に示す。
【0041】
サンプルCにおいては4640cm−1、4920cm−1、および5160cm−1などに吸収ピークが観測された(これらの吸収ピークは、それぞれ近赤外吸収帯I、II、およびIIIに存在するものである)。これに対して、図4の比較サンプルAには、近赤外吸収帯IおよびIIに存在する吸収ピークが観測されなかった。すなわちチタニア光触媒には、従来から光触媒として用いられる純粋な酸化チタンには存在しない官能基の存在が証された。さらには、熱処理を施したサンプルDにおいても近赤外吸収帯I、II、およびIIIに吸収ピークが存在し、熱処理したサンプルEにおいても近赤外吸収帯IおよびIIIに吸収ピークが存在することが観測された。
【0042】
<実施例10>
○ガス分解試験
フッ化ビニル製バック(フッ化ビニル製フィルムを袋状に加工して使用、以下テドラーバックと称する)にサンプルA〜Eおよび比較サンプルA〜Cをそれぞれ0.1g封入後、100ppmのアセトアルデヒドガスを含有する空気を3リットル注入した。これらを実施例6と同じ条件で暗所、蛍光灯照射下、紫外線照射下に静置した。2時間後に、これらテドラーバッグ中のアセトアルデヒドの残存濃度をガス検知管(ガステック製No.92およびNo.92L)で測定した。また、サンプルを添加しない系でも同様に試験し、ブランクとした。このガス検知管のアセトアルデヒドガスの検出限界は0.1ppmである。それぞれの残存ガス濃度を表3に示す。残存ガス濃度が低いほどガス分解性能(触媒)が高いことを意味する。
【0043】
【表3】
Figure 2004322052
【0044】
サンプルA〜Eにおいては、紫外線照射下での残存ガス濃度が暗所での残存ガス濃度よりも明らかに低下し、アセトアルデヒドガス分解性能が高いことが判った。更に蛍光灯照射下においてもガス濃度が比較サンプルよりも低下しており、ガス分解性能が発現していることが明らかであった。
【0045】
【発明の効果】
チタニア光触媒は、可視光、例えば市販蛍光灯下で優れた光触媒性能を発揮する光触媒である。チタニア光触媒は、このままでも使用できるが、塗料、樹脂、または繊維などに添加あるいは混練などの加工することによって、可視光にも応答する光分解性能を有する塗料、樹脂、または繊維などを作製することも出来る。
【0046】
【図面の簡単な説明】
【図1】サンプルA〜EのUV−vis拡散反射法によって吸光度を測定した結果。
【図2】比較サンプルAおよび比較サンプルBのUV−vis拡散反射法によって吸光度を測定した結果。
【図3】サンプルC、サンプルDおよびサンプルEの近赤外吸収スペクトル。
【図4】比較サンプルAの近赤外吸収スペクトル。
【符号の説明】
図1〜4の縦軸は、任意スケールである。
図1〜2の横軸は、波長nmである。
図3〜4の横軸は、波数cm−1である。
図1のAは、実施例1で調製したサンプルAを示す。
図1のBは、実施例2で調製したサンプルBを示す。
図1と図3とのCは、実施例3で調製したサンプルCを示す。
図1と図3とのDは、実施例4で調製したサンプルDを示す。
図1と図3とのEは、実施例5で調製したサンプルEを示す。
図2と図4とのaは、比較例1の比較サンプルAを示す。
図2のbは、比較例1で調製した比較サンプルBを示す。

Claims (7)

  1. 近赤外吸収帯Iに吸収ピークを少なくとも1個以上有するチタニア光触媒。
  2. 近赤外領域の5400〜4400cm−1の間に吸収ピークを少なくとも2個以上有するチタニア光触媒。
  3. ニオブ含有量がチタンに対し0.01〜20mol%である請求項1または請求項2記載のチタニア光触媒。
  4. 請求項1〜請求項3にそれぞれ記載のチタニア光触媒にアナターゼ型結晶を含み、このアナターゼ型結晶のa軸の格子定数が3.775〜3.95Åおよびc軸の格子定数が9.46〜10Åであるチタニア光触媒。
  5. a軸の格子定数が4.598〜4.668Åおよびc軸の格子定数が2.96〜3.2Åのルチル型結晶を含有することもある請求項1〜請求項4にそれぞれ記載のチタニア光触媒。
  6. 請求項1〜5にそれぞれ記載のチタニア光触媒と、吸着性物質および/または他の光触媒とを含有するチタニア光触媒組成物。
  7. 請求項1〜5にそれぞれ記載のチタニア光触媒または請求項6に記載のチタニア光触媒組成物を含有する製品。
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