JP4810678B2 - 光触媒の製造方法、光触媒の使用方法及び有害物質の分解方法 - Google Patents

光触媒の製造方法、光触媒の使用方法及び有害物質の分解方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4810678B2
JP4810678B2 JP2006232438A JP2006232438A JP4810678B2 JP 4810678 B2 JP4810678 B2 JP 4810678B2 JP 2006232438 A JP2006232438 A JP 2006232438A JP 2006232438 A JP2006232438 A JP 2006232438A JP 4810678 B2 JP4810678 B2 JP 4810678B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photocatalyst
iron
titanium dioxide
containing titanium
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006232438A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007090336A (ja
Inventor
照尚 横野
博晃 西本
慎一郎 小河
達彦 見矢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyushu Institute of Technology NUC
Sekisui Jushi Corp
Original Assignee
Kyushu Institute of Technology NUC
Sekisui Jushi Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyushu Institute of Technology NUC, Sekisui Jushi Corp filed Critical Kyushu Institute of Technology NUC
Priority to JP2006232438A priority Critical patent/JP4810678B2/ja
Publication of JP2007090336A publication Critical patent/JP2007090336A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4810678B2 publication Critical patent/JP4810678B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)
  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Description

本発明は、光触媒の製造方法光触媒の使用方法及び有害物質の分解方法に関する。
二酸化チタンに紫外線が照射された場合、該二酸化チタンは、光触媒作用を発現することが知られている。かかる二酸化チタンによる光触媒作用は、例えば、シックハウス症候群の原因物質として考えられているホルムアルデヒド、トルエン等の化合物の分解等に用いられている。しかしながら、前記二酸化チタンは、光触媒作用の発現に際し、自然光に含まれるごく一部の紫外線のエネルギーしか実質的に吸収せず、利用できないという欠点がある。
したがって、現在、二酸化チタンに窒素原子又は硫黄原子をドープすることにより、二酸化チタンに可視光を吸収させる性質を付与する試みがなされている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
しかしながら、前記特許文献1に記載の窒素原子が導入された二酸化チタン及び前記特許文献2に記載の硫黄原子が導入された二酸化チタンを用いた場合であっても、例えば、屋内の蛍光灯等の光を利用する環境下では、十分な光触媒作用、例えば、シックハウス症候群の発生の防止等を行なうに十分な光触媒作用を得ることができないという欠点がある。
特開2001−205094号公報 特開2004−143032号公報
本発明は、1つの側面では、可視光線領域の光の吸収能が高められ、紫外線が少ない環境下、例えば、屋内の蛍光灯等の光がある環境下においても、高い光触媒作用を十分に発揮することができる光触媒を製造する製造方法を提供することに関する。
本発明は、他の側面では、前記光触媒を効率よく、より短時間で、簡便な操作で得ることができる、前記光触媒の製造方法を提供することに関する。
本発明は、さらに別の側面は、従来使用することが困難であった前記環境下においても、前記光触媒作用を発揮させることができること、例えば、自動車関連部材、事務用品、生活用品、家屋の内外、公共品部材、電気機器等で発生する悪臭、皮脂汚れ、埃の堆積、汚染物質の付着、雑菌の付着等を軽減させることができること、環境を容易に効率よく改善することができることなどの少なくとも1つを達成しうる、光触媒の使用方法を提供することに関する。
本発明は、さらに別の側面では、従来使用することが困難であった前記環境下においても、前記光触媒作用を発揮させることができること、例えば、ホルムアルデヒド等のシックハウス症候群の原因となる有害物質等を効率よく分解することができること、環境を容易に効率よく改善することができることなどの少なくとも1つを達成しうる、有害物質の分解方法を提供することを課題とする。
本発明の他の課題は、本明細書の記載からも明らかである。
すなわち、本発明の要旨は、
〔1〕 窒素原子含有酸化チタンを、鉄(III)化合物が溶解した溶液中に浸漬させ、それにより、該窒素原子含有酸化チタンに鉄(III)化合物を担持させることにより得られた産物を、さらに還元させ、その後、得られた産物を酸化させる光触媒の製造方法、
〔2〕 硫黄原子含有酸化チタンを、鉄(III)化合物が溶解した溶液中に浸漬させ、それにより、該硫黄原子含有酸化チタンに鉄(III)化合物を担持させることにより得られた産物を、さらに還元させ、その後、得られた産物を酸化させる光触媒の製造方法、
〕 前記〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法で製造した光触媒に光を照射させて、該光触媒を活性化させ、それにより、消臭作用、皮脂汚れの分解作用、埃の除去作用、汚染物質の分解作用及び抗菌活性からなる群から選ばれた少なくとも1つを発現せしめることを特徴とする、光触媒の使用方法、
〕 前記〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法で製造した光触媒に光を照射させて、該光触媒を活性化させ、それにより、空気中の有害物質を分解することを特徴とする、有害物質の分解方法、並びに
〕 該有害物質が、ホルムアルデヒド又はトルエンである、前記〔〕記載の有害物質の分解方法、に関する。
本発明の製造方法で製造した光触媒によれば、可視光線領域の光の吸収能が高められ、紫外線が少ない環境下、例えば、屋内の蛍光灯等の光がある環境下においても、高い光触媒作用を十分に発揮することができるという優れた効果を奏する。
本発明の光触媒の製造方法によれば、前記光触媒を効率よく、より短時間で、簡便な操作で得ることができるという優れた効果を奏する。
本発明の光触媒の使用方法によれば、従来使用することが困難であった前記環境下においても、前記光触媒作用を発揮させることができること、例えば、自動車関連部材、事務用品、生活用品、家屋の内外、公共品部材、電気機器等で発生する悪臭、皮脂汚れ、埃の堆積、汚染物質の付着、雑菌の付着等を軽減させることができること、環境を容易に効率よく改善することができることなどの少なくとも1つを達成することができるという優れた効果を奏する。
本発明の有害物質の分解方法によれば、従来使用することが困難であった前記環境下においても、前記光触媒作用を発揮させることができること、例えば、ホルムアルデヒド等のシックハウス症候群の原因となる有害物質等を効率よく分解することができること、環境を容易に効率よく改善することができることなどの少なくとも1つを達成することができるという優れた効果を奏する。
本発明は、1つの側面では、窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンと鉄(III)化合物とを含有し、かつ該窒素原子含有二酸化チタン又は該硫黄原子含有二酸化チタンの結晶の表面に、該鉄(III)化合物を保持した光触媒を製造する製造方法に関する。
以下、本明細書において、「窒素原子含有二酸化チタンと鉄(III)化合物とを含有し、かつ該窒素原子含有二酸化チタンの結晶の表面に、該鉄(III)化合物を保持した光触媒」を、「窒素原子含有光触媒」ともいう。また、本明細書において、「硫黄原子含有二酸化チタンと鉄(III)化合物とを含有し、かつ該硫黄原子含有二酸化チタンの結晶の表面に、該鉄(III)化合物を保持した光触媒」を、「硫黄原子含有光触媒」ともいう。
さらに、本明細書において、「窒素原子含有二酸化チタン」とは、二酸化チタンの結晶中、本来酸素原子が存在する位置の少なくとも1つに、窒素原子が存在する状態、すなわち、該結晶中に含まれる全酸素原子中の少なくとも1つが窒素原子に置換された状態、二酸化チタンの結晶中、本来チタン原子が存在する位置の少なくとも1つに、窒素原子が存在する状態、すなわち、該結晶中に含まれる全チタン原子中の少なくとも1つが窒素原子に置換された状態、及び該結晶中の結晶格子間に窒素原子がドープされた状態のいずれの概念をも包含することを意図する。また、本明細書において、「硫黄原子含有二酸化チタン」とは、二酸化チタンの結晶中、本来酸素原子が存在する位置の少なくとも1つに、硫黄原子が存在する状態、すなわち、該結晶中に含まれる全酸素原子中の少なくとも1つが硫黄原子に置換された状態、二酸化チタンの結晶中、本来チタン原子が存在する位置の少なくとも1つに、硫黄原子が存在する状態、すなわち、該結晶中に含まれる全チタン原子中の少なくとも1つが硫黄原子に置換された状態、及び該結晶中の結晶格子間に硫黄原子がドープされた状態のいずれの概念をも包含することを意図する。なお、ここで、上記「少なくとも1つ」とは、光触媒機能を発揮する結晶構造を維持できる程度の数であればよい。酸素原子を窒素原子に置換する場合には、二酸化チタンの結晶中における窒素原子の含有量が、好ましくは、上限2atomic %程度であることが望ましい。また、チタン原子を硫黄原子に置換する場合には、二酸化チタンの結晶中における硫黄原子の含有量が、好ましくは、上限3atomic %程度であることが望ましい。
本発明においては、前記「硫黄原子含有二酸化チタン」の場合、二酸化チタンの結晶中、本来チタン原子が存在する位置の少なくとも1つの位置に、硫黄原子が存在する状態であるものが好ましい。
さらに、本明細書において、「鉄(III)化合物」は、三価の鉄に由来する化合物を意味する。また、本明細書において、窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンの結晶の表面に保持された鉄(III)化合物を、「表面鉄(III)化合物」と称する場合もある。
前記光触媒は、窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンの結晶の表面に、鉄(III)化合物を保持していることに1つの大きな特徴がある。したがって、前記光触媒によれば、窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンに比べ、可視光線を、より高い効率で吸収することができる。また、前記光触媒によれば、電荷分離効率が増加し、それにより、光触媒活性が顕著に向上する。そのため、前記光触媒によれば、本来使用するに十分ではないものの可視光線領域の光の吸収能を示す窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンによる光触媒作用と、三価の鉄イオンによる電子の保持効果とが相俟って、従来、二酸化チタンの光触媒作用を発揮させることが困難であった紫外線が少ない環境下、例えば、屋内の蛍光灯等の光がある環境下においても、極めて高い光触媒作用を十分に発揮することができるという優れた効果を発揮する。
前記光触媒は、例えば、結晶格子の歪みやチタン原子又は酸素原子の欠損により表面が不活性化され、不活性化部位が生じる場合がある、窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンに、イオン半径の小さい三価の鉄イオンが担持されている。そのため、前記光触媒は、不活性化部位の補填が効率よく行なわれるので、より高い光触媒としての性能を発揮しうる。
なお、本明細書において、「可視光線」とは、400nm〜800nmの波長の光をいう。
前記光触媒が窒素原子含有光触媒である場合、窒素原子含有二酸化チタンの結晶の表面における鉄(III)化合物の量は、可視光線の吸収を十分に行なう観点から、窒素原子含有二酸化チタン1gに対して、0.00107g(0.05重量%)以上、好ましくは、0.00429g(0.2重量%)以上となる量であり、紫外線が少ない環境下における光触媒作用を効率よく発揮させる観点から、0.42916g(20重量%)以下、好ましくは、0.21458g(10重量)%以下となる量であることが望ましい。
一方、前記光触媒が硫黄原子含有光触媒であって、ルチル型二酸化チタンを含有するものである場合、硫黄原子含有二酸化チタンの結晶の表面における鉄(III)化合物の量は、可視光線の吸収を十分に行なう観点から、硫黄原子含有二酸化チタン1gに対して、0.00052g(0.03重量%)以上、好ましくは、0.00174g(0.1重量%)以上となる量であり、紫外線が少ない環境下における光触媒作用を効率よく発揮させる観点から、0.17406g(10重量%)以下、好ましくは、0.12184g(7重量%)以下となる量であることが望ましい。
また、前記光触媒が、硫黄原子含有光触媒であって、アナターゼ型二酸化チタンを含有するものである場合、可視光線の吸収を十分に行なう観点から、二酸化チタン1gに対して、0.00122g(0.07重量%)以上、好ましくは、0.00522g(0.3重量%)以上となる量であり、紫外線が少ない環境下においても十分な光触媒作用を発揮させる観点から、0.34813g(20重量%)以下、好ましくは、0.17406g(10重量%)以下となる量であることが望ましい。
前記表面鉄(III)化合物は、可視光線を、より高い効率で当該光触媒に吸収させる観点から、好ましくは、γ型鉄(III)化合物である。また、前記表面鉄(III)化合物としては、三価の鉄に由来する化合物であればよく、例えば、鉄(III)水酸化物、鉄(III)酸化物等が挙げられる。具体的には、前記表面鉄(III)化合物としては、例えば、FeO(OH)、Fe2O3等が挙げられる。なかでも、紫外線が少ない環境下において、高い光触媒作用を十分に発揮させる観点から、前記表面鉄(III)化合物は、FeO(OH)が好ましく、γ−FeO(OH)が、より好ましい。
前記光触媒において、窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンの結晶の表面における鉄(III)化合物の分散状態は、実質的に凝集していない状態であることが望ましい。前記表面鉄(III)化合物の分散状態は、例えば、電子顕微鏡下での観察等により評価されうる。
前記光触媒における表面鉄(III)化合物は、例えば、X線回折装置(特に限定されないが、例えば、日本電子株式会社製、商品名:JDX−3500K等)を用いた分析によって確認されうる。
前記光触媒は、窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンを、鉄(III)化合物が溶解した溶液(例えば、硝酸鉄水溶液、塩化鉄水溶液、硫酸鉄水溶液等)中に浸漬させ、それにより、該窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンに鉄(III)化合物を担持させることにより得られる。
したがって、本発明は、他の側面では窒素原子含有二酸化チタンを、鉄(III)化合物が溶解した溶液中に浸漬させて、該窒素原子含有二酸化チタンに鉄(III)化合物を担持させることを特徴とする、光触媒の製造方法;及び硫黄原子含有酸化チタンを、鉄(III)化合物が溶解した溶液中に浸漬させ、それにより、該硫黄原子含有酸化チタンに鉄(III)化合物を担持させることを特徴とする、光触媒の製造方法に関する。
かかる光触媒は、製造に際して、鉄(III)化合物が溶解した溶液が用いられていることに1つの大きな特徴がある。したがって、かかる光触媒は、該光触媒を製造するに際して、二価の鉄に由来する化合物が溶解した溶液を用いる場合に比べ、製造時における攪拌に要する時間が実質的に短縮され、かつ製造時における光照射の操作を実質的に省略できるという点で有利である。そのため、かかる光触媒は、簡便な操作で製造されうる。
また、かかる触媒は、製造の際、窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンを、鉄(III)化合物が溶解した溶液中に浸漬させ、それにより、該窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンに鉄(III)化合物を担持させることにより得られたものである。そのため、かかる触媒によれば、可視光線領域の光をより多く吸収することができ、可視光、例えば、屋内の蛍光灯等の光を利用する環境下においても、極めて高い光触媒作用を十分に発現することができるという優れた効果を発揮する。
前記溶液に用いられる鉄(III)化合物としては、窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンによる光触媒作用の発現に際して、可視光線領域の光の吸収能をより向上せしめる化合物であればよく、好ましくは、水に対する溶解性が高い化合物であることが望ましい。前記鉄(III)化合物としては、特に限定されないが、例えば、Fe2(SO4)3、Fe(NO3)3、FeCl3、FeBr3、Fe(ClO4)3等が挙げられる。なかでも、本発明においては、前記Fe(NO3)3及びFeCl3は、窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンに鉄(III)化合物を担持させた後に生じうる硝酸イオン又は塩化物イオンが、塩化水素若しくは塩酸又は硝酸となるため、容易に除去することができ、光触媒の結晶中への残留を抑制することができる点で好適である。そのため、前記Fe(NO3)3及びFeCl3を用いた場合、得られる光触媒は、光触媒作用を十分に発揮させることができ、かつ簡便な操作で製造されうる。
前記溶液中における前記鉄(III)化合物の含有量は、窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンに担持せしめる表面鉄(III)化合物の量に応じて設定されうる。
前記溶液は、例えば、適切な溶媒中にFeCl3等の鉄(III)化合物を含む粉末物質等を溶解させて、鉄(III)化合物をイオン化し、ついで、三価の鉄イオンを分散させることにより得られる。前記溶媒としては、鉄をイオン化することができる溶媒であればよく、例えば、水等が挙げられる。
前記窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンを、鉄(III)化合物が溶解した溶液中に浸漬させる場合、例えば、攪拌子を用いて、該窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンと該鉄(III)化合物との混合物を攪拌させればよい。攪拌に要する時間は、特に限定されないが、前記光触媒作用を発揮させるに十分な表面鉄(III)化合物を前記窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンに担持させる観点から、2時間以上であり、表面鉄(III)化合物を前記窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンに担持させるに十分な時間(特に限定されないが、例えば、10時間以下、好ましくは、5時間以下)であればよい。かかる攪拌に要する時間は、二価の鉄に由来する化合物が溶解した溶液を用いる場合に比べ、格段に低減されているため、製造に要する時間の短縮の点で有利なものといえる。
かる触媒は、紫外線が少ない環境下において、より一層高い光触媒作用を発揮させる観点から、前記窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンに鉄(III)化合物を担持させることにより得られた産物を、さらに還元させ、その後、得られた産物を酸化させたものである
前記光触媒による作用は、特に限定されないが、例えば、後述の実施例に示される2−プロパノールの分解測定法等により評価される。
本発明の光触媒の製造方法は、例えば、
(A)前記鉄(III)化合物が溶解した溶液中に、窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンの結晶を浸漬させ、該窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンに鉄(III)化合物を担持させる工程、及び
(B)前記工程(A)で得られた産物を、適切な溶液で洗浄する工程、
により行なわれうる。
前記工程(A)において、前記鉄(III)化合物が溶解した溶液として、例えば、FeCl3やFe(NO3)3等が溶解し、三価の鉄イオンを放出した後に酸性を呈する性質を有する溶液を用いた場合、窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンに鉄(III)化合物を担持させた後、前記工程(B)において、酸化反応を効率よく進行させる観点から、窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンに鉄(III)化合物を担持させた産物を、アンモニア等の塩基性物質で洗浄して中和し、さらに水等により洗浄することにより、塩化物イオンや硝酸イオンを容易にかつ十分に洗浄・除去でき、光触媒の活性作用を最大限に発揮させることができる。
本発明の光触媒の製造方法では、可視光、例えば、屋内の蛍光灯等の光がある環境下における光触媒作用をより向上させる観点から、前記窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンに鉄(III)化合物を担持させることにより得られた産物を、さらに還元させ、その後、得られた産物を酸化させる
前記窒素原子含有二酸化チタン又は硫黄原子含有二酸化チタンに鉄(III)化合物を担持させることにより得られた産物の還元は、前記産物に電子を与える条件により行なわれうる。より具体的には、前記還元は、還元剤、特に限定されないが、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化アルミニウムリチウム、硫化水素、ヨウ化水素、水素、一酸化炭素、二酸化硫黄、亜硫酸塩、硫化ナトリウム、ポリ硫化ナトリウム、硫化アンモニウム、アルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、アルデヒド化合物、ギ酸、シュウ酸等を用いる方法等により行なわれうる。前記還元に際して、例えば、水素化ホウ素ナトリウムを用いる場合、該水素化ホウ素ナトリウムの量は、前記産物に担持させた表面鉄(III)化合物のモル数の少なくとも10倍のモル数である量が望ましい。その後、例えば、イオン交換水等を用いて、得られた産物を洗浄すればよい。
前記還元後に得られた産物の酸化は、自然酸化により行なわれてもよく、かかる産物から電子を奪う条件下に維持して人為的に行なわれてもよい。前記酸化は、酸化剤、特に限定されないが、例えば、過マンガン酸塩、クロム酸、硝酸、ハロゲン、過酸化物、ペルオクソ酸塩、酸素酸塩、その他の酸化剤(例えば、ニトロベンゼン、ヨードソ化合物等)等を用いる方法等により行なわれうる。
前記光触媒を含有した光触媒組成物、前記光触媒に加え、吸着剤及び/又は多孔質剤をさらに含有したものであってもよい。また、前記光触媒組成物は、本発明の効果を妨げないものであれば、各種溶媒、各種担体等をさらに含有していてもよい。前記光触媒組成物によれば、前記光触媒作用を、より高い汎用性で十分に発揮させることができる。
前記光触媒組成物が、吸着剤をさらに含有したものである場合、該吸着剤によって光触媒組成物又はその近傍に酸化分解の対象となる物質が吸着されるため、前記光触媒組成物は、光触媒による酸化分解の対象となる物質が効率よく分解できるようになる点で好ましい。また、前記光触媒組成物が、多孔質剤をさらに含有したものである場合、酸化分解の対象となる物質の吸着可能な表面積が拡大されているため、前記光触媒組成物は、光触媒作用の適用の対象、例えば、光触媒による酸化分解の対象となる物質が効率よく分解できるようになる点で好ましい。また、前記光触媒組成物が、吸着剤と多孔質剤とをさらに含有したものである場合、当該光触媒組成物によれば、光触媒作用の適用の対象、例えば、光触媒による酸化分解の対象となる物質をより効率よく分解できるようになる。
前記吸着剤としては、活性炭、シリカゲル、ゼオライト、人工ゼオライト、合成ゼオライト、ベントナイト、アパタイト、セピオライト、モンモリロナイト、タルク等が挙げられる。前記吸着剤は、単独で用いてもよく、複数種類、すなわち、2種以上を混合して用いてもよい。
また、前記多孔質剤としては、活性炭等の前記吸着剤として挙げたもののうち、多孔質のもの、珪藻土、珪藻頁石、パリゴルスカイト(例えば、商品名:アタパルジャイト等)等が挙げられる。前記多孔質剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
さらに前記吸着剤及び/又は多孔質剤に、前記光触媒を担持させてもよく、前記吸着剤及び/又は多孔質剤に、該光触媒を被覆してもよい。さらには、前記光触媒と、吸着剤及び/又は多孔質剤とをバインダー中に分散させ、マトリックス状に配置させるようにしてもよい。
なお、前記光触媒組成物には、前記光触媒と反応して化合物を生じるものであっても、前記光触媒作用を発揮するものであれば配合されていてもよい。
本発明には、前記光触媒を用いた産物用途も包含される。
前記光触媒と、建材とを含有し、該建材の表面に、該光触媒を含有した層を保持した内装用建材に関して説明する。
前記内装用建材は、前記光触媒を含有しているため、前記内装用建材によれば、紫外線が少ない環境下においても、高い光触媒作用を示すという優れた効果を発揮する。そのため、前記光触媒を建材に塗装すること、該基材の表面付近に担持させること等で、内装用建材に容易に光触媒による高い活性エネルギーを備えさせることができるため、前記内装用建材によれば、室内の有害物質を高い効率で分解することができ、例えば、シックハウス症候群や化学物質アレルギー等を防止することができる。
また、前記内装用建材は、該建材の表面に、前記光触媒を含有した層を保持しているため、前記内装用建材によれば、従来使用することが困難であった前記環境下においても、高い光触媒作用を十分に発揮させることができ、種々の場所で利用することができ、有害物質を高い効率で分解してシックハウス症候群や化学物質アレルギー等を防止することができる。
前記内装用建材は、例えば、壁材、壁紙、天井材、天井板、床材、カーテン、棚材等をはじめとする様々な建材の表面に、前記光触媒を担持させること、エアーフィルターに担持させること等により得られうる。
前記光触媒を、内装用建材に担持させる方法としては、該光触媒を塗料中に分散させて前記建材の表面に塗装すること、内装用建材が樹脂成形品の場合、表面層に配合すること等の一般的に既存の様々な担持方法が挙げられる。前記内装用建材中に含まれる前記光触媒の量は、前記光触媒作用を発揮させるに十分な量であればよい。
なお、内装用建材の耐久性を十分に得る観点から、光触媒の一部を、光触媒作用の影響を実質的に受けない物質、例えば、シリカ等によりマスクしてもよい。
前記光触媒と塗料とを配合したものである塗料組成物に関して説明する。
前記塗料組成物は、前記光触媒を含有しているため、前記塗料組成物によれば、狭い空間等の使用形態が限定される場所においても、該塗料組成物を塗布することにより、前記光触媒作用を十分に発揮させることができる。すなわち、前記塗料によれば、該塗料を塗装することのみで配合された前記光触媒を塗布対象物の表面付近に保持せしめることができ、塗布対象物に、該光触媒による高い活性エネルギーを備えさせ、光触媒作用の適用の対象、例えば、酸化分解の対象となる物質(例えば、空気中の有害物質や付着した汚染物質等)を高い効率で分解させる機能を容易に備えさせることができる。したがって、前記塗料組成物によれば、光触媒作用の適用の対象、例えば、酸化分解の対象となる物質(例えば、空気中の有害物質や付着した汚染物質等)を高い効率で分解させる機能を容易に効率よく発揮させることができる。
前記塗料組成物は、前記光触媒を、液状の塗料又は粉体塗料に分散させて、配合することにより得られうる。
前記塗料としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系樹脂、例えば、テトラアルコキシシラン化合物の4官能性物質であるテトラメトキシシラン、テトラエトシキシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等;アルコキシシラン化合物の3官能性物質であるアルコキシシランメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリプロポキシシラン等;フッ素樹脂系塗料、例えば、カイナー型フッ素樹脂、ルミフロン型フッ素樹脂等;セメント系塗料、例えば、水硬性石灰、ポルトランドセメント、アルミナセメント、混合セメント等の水硬化セメント系、石灰、石こう等の気硬性セメント等;酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、アクリル−アルキド系樹脂等の水性合成エマルジョン塗料等が挙げられる。なかでも、前記塗料は、取り扱いが容易である観点から、好ましくは、シリコーン系樹脂をベースとするものが望ましい。前記塗料は、単独で用いてもよく、複数種、すなわち2種以上を混合して用いてもよい。
前記塗料組成物によれば、例えば、木質板系ボード、石こうボード、ロックウール、硅酸カルシウム板、布ばく、繊維等に塗布して、内装用建材を形成させることもできる。
前記塗料組成物中における前記光触媒の量は、前記光触媒作用を発揮させるに十分な量であればよい。
前記光触媒と合成樹脂とを配合したものである合成樹脂成形体に関して説明する。
前記合成樹脂成形体は、前記光触媒が配合されているため、前記合成樹脂成形体によれば、前記光触媒作用を発揮でき、光触媒作用の適用の対象、例えば、酸化分解の対象となる物質(例えば、空気中の有害物質や付着した汚染物質等)を高い効率で分解させる機能を容易に効率よく発揮させることができる。
また、前記合成樹脂成形体は、用途に応じた形態になるように製造できるため、前記合成樹脂成形体によれば、前記光触媒による光触媒作用をより高い汎用性で利用することが可能になる。
前記合成樹脂成形体は、例えば、硬化前状態、軟化状態若しくは溶融状態の合成樹脂に光触媒を混合すること、表面付近に付着させること等により得られうる。これにより、前記光触媒を、合成樹脂成形体の表面付近にも保持せしめることができ、前記光触媒作用をより高い汎用性で容易にかつ効率よく発揮させることができる。
前記合成樹脂としては、熱硬化性樹脂であってもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。前記合成樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンとの共重合化合物(ABS樹脂)、アクリロニトリルとアクリルゴムとスチレンとの共重合化合物(AAS樹脂)、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、天然ゴムやその誘導体等が挙げられる。前記合成樹脂は、単独で用いてもよく、複数種、すなわち、2種以上を混合して用いてもよい。
また、前記合成樹脂成形体には、光触媒及び/又は合成樹脂と反応するものであっても、本発明の目的を妨げないものであれば用いてもよい。
なお、合成樹脂成形体の耐久性を十分に得る観点から、光触媒の一部を、光触媒作用の影響を実質的に受けない物質、例えば、シリカ等によりマスクしてもよい。
前記光触媒と、繊維成分とを含有し、該光触媒が該繊維成分に保持されたものであることを特徴とする、繊維に関して説明する。
前記繊維は、前記光触媒が繊維成分に保持されたものであるため、前記繊維によれば、前記光触媒作用を発揮できる。
前記繊維において、前記光触媒は、製造に際して、繊維成分中に練りこまれてもよく、繊維成分表面に担持させてもよい。なお、繊維の強度を十分に維持する観点から、光触媒の一部を、光触媒作用の影響を実質的に受けない物質、例えば、シリカ等によりマスクしてもよい。
前記繊維成分としては、例えば、綿、麻、羊毛、絹、セルロース系繊維、アセテート系繊維、ポリエステル繊維、アクリル系繊維、ビニル系合成繊維、ポリプロピレン繊維、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維等が挙げられる。
本発明は、よりさらに別の側面は、前記光触媒に光を照射させて、該光触媒を活性化させ、それにより、消臭作用、皮脂汚れの分解作用、埃の除去作用、汚染物質の分解作用及び抗菌活性からなる群から選ばれた少なくとも1つを発現せしめることを特徴とする、光触媒の使用方法に関する。
本発明の光触媒の使用方法によれば、前記光触媒が用いられているため、従来使用することが困難であった前記環境下においても、前記光触媒作用を効率よく簡便に発揮させることができる。また、本発明の光触媒の使用方法によれば、前記光触媒に光を照射させることによって光触媒を活性化させ、前記光触媒を保持する場所若しくは物又は該光触媒を担持せしめた場所若しくは物の表面あるいは近傍において、消臭作用、皮脂汚れの分解作用、埃の除去作用、汚染物質の分解作用、抗菌活性等を発揮させることができる。そのため、本発明の光触媒の使用方法によれば、自動車関連部材、事務用品、生活用品、家屋の内外、公共品部材、電気機器等で発生する悪臭、皮脂汚れ、埃の堆積、汚染物質の付着、雑菌の付着等を軽減させることができ、環境を容易に効率よく改善することができる。
本発明の光触媒の使用方法において、光触媒の活性化は、通常の屋内の蛍光灯等の光によって行なってもよく、人為的にさらに強い照射量の可視光線等を照射することによって行なってもよい。
本発明の光触媒の使用方法により消臭を行なう用途としては、自動車関連部材のメータ表示板、ガラス内面、内装内張、シーツ、事務用品の収納棚、パーテーション、スリッパ、生活用品の靴下、背広、防寒衣服、制服、ワイシャツ、下着、着物、ゴミ箱、タオル、かつら、帽子、家屋用部材の簀の子、天井、下駄箱、押入、枕、布団、毛布、フィルター、扇風機、照明灯の傘、ブラインド、絨毯、シーツ、ペット小屋、鳥かご、畳、ふすま、障子、ペット用トイレ、観葉植物、靴敷き、カーテン、壁紙、塗り壁、トイレ周り、便器の蓋、公共品部材の車内広告、電気機器の喫煙用空気清浄機、エアコンフィルター、OA機器、AV機器、ファンヒーター、こたつ、空気清浄機、掃除機等への適用が挙げられる。本発明の光触媒の使用方法を、前記用途に適用することによって、光触媒に光が照射された結果、例えば、悪臭等の原因となる物質が酸化分解作用によって分解される。
また、本発明の光触媒の使用方法により皮脂汚れの分解を行なう用途としては、自動車関連部材のメータ表示板、ガラス内面、ハンドル、事務用品の机の上面及び縁、キーボード、電話、生活用品のコップ、かつら、帽子、家屋用部材の手摺、椅子、表示器具の表示面、メガネのフレーム、公共品部材の手摺、車内の吊革、電気機器のOA機器、AV機器、テレビ、洗濯機等への適用が挙げられる。本発明の光触媒の使用方法を、前記用途に適用することによって、光触媒に光が照射された結果、例えば、有機物質である皮脂汚れが酸化分解作用によって分解される。
さらに、本発明の光触媒の使用方法により埃の除去を行なう用途としては、自動車関連部材のエアコンのファン、事務用品のディスプレイ、パソコンのファン、ハードディスクの表面、家屋用部材の照明灯の傘、ブラインド等への適用が挙げられる。本発明の光触媒の使用方法を、前記用途に適用することによって、光触媒に光が照射された結果、例えば、埃に含まれる有機物質が酸化分解作用によって分解され、当該埃が適用物から容易に脱離するようになされる。
また、本発明の光触媒の使用方法により汚染物質の分解を行なう用途としては、自動車関連部材のナンバープレート、ライト、ドアミラー、事務用品のコード表面、生活用品の電子レンジフード、水槽、自転車、プール、傘、家屋用部材の床、タイル、エアコンのファン、流し台、扇風機、テーブル、ふすま、障子、窓、電気機器の喫煙用空気清浄機、ステレオ、ファンヒーター、洗濯機、炊飯器、ドライヤー、食器洗浄機等への適用が挙げられる。本発明の光触媒の使用方法を、前記用途に適用することによって、光触媒に光が照射された結果、例えば、これらの主として外面に付着して汚れの原因となる汚染物質に含まれる有機物質が酸化分解作用によって分解されて汚染物質が容易に脱離するようになされると共に、光触媒の親水性が発現されて汚染物質が容易に洗い流されるようになされる。
また、本発明の光触媒の使用方法により抗菌を行なう用途としては、自動車関連部材のシーツ、事務用品の電話、パーテーション、スリッパ、生活用品の靴下、コップ、背広、防寒衣服、制服、ワイシャツ、下着、着物、水槽、プール、ゴミ箱、タオル、かつら、帽子、風呂の蓋、メガネのフレーム、車椅子、杖、家屋用部材の簀の子、米櫃、枕、布団、毛布、扇風機、流し台、照明灯の傘、ブラインド、シーツ、ペット小屋、鳥かご、畳、ペット用トイレ、壁紙、塗り壁、トイレ周り、便器の蓋、電気機器のエアコンフィルター、洗濯機、こたつ、食器洗浄機、空気清浄機、掃除機等への適用が挙げられる。本発明の光触媒の使用方法を、前記用途に適用することによって、光触媒に光が照射された結果、例えば、酸化分解作用により付着した雑菌が死滅若しくは弱体化され、抗菌作用が発現される。
本発明は、さらに別の側面では、前記光触媒に光を照射させて、該光触媒を活性化させ、それにより、空気中の有害物質を分解することを特徴とする、有害物質の分解方法に関する。本発明の有害物質の分解方法においては、前記光触媒が用いられているため、本発明の有害物質の分解方法によれば、従来使用することが困難であった前記環境下においても、前記光触媒作用を発揮させることができ、ホルムアルデヒド等のシックハウス症候群の原因となる有害物質等を効率よく分解することができ、環境を容易に効率よく改善することができる。
また、本発明の有害物質の分解方法は、工業的規模での有害物質の分解にも応用できる。本発明の有害物質の分解方法を、工業的規模での有害物質の分解に応用した場合、慣用の蛍光灯等の簡単な設備により、前記光触媒作用を発揮させることができ、少ない設備投資及び少ない運転費用で、効率よく、有害物質を分解することができる。
本発明の有害物質の分解方法の適用対象となる有害物質としては、例えば、アセトアルデヒド、フェノブカルブ、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレン、クロルピリホス、フタル酸ジ−n−ブチル、テトラデカン、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、ダイアジノン等が挙げられる。特に、本発明の有害物質の分解方法では、従来、効率よく分解することが困難であったトルエンをも分解することができ、より一層環境を改善することができるという優れた効果を発揮する。
本発明の有害物質の分解方法において、光触媒の活性化は、前述と同様の手法により行なわれうる。
以下、本発明を実施例等により詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例により限定されるものではない。
(製造例1)
(1)窒素原子含有二酸化チタンの調製
アナターゼ型二酸化チタン〔石原産業株式会社製、商品名:ST−01〕と、尿素とを、1:4(モル比)となるように混合した。得られた混合物を、電気炉において、焼成温度:400℃、500℃又は600℃で、3時間焼成させた。焼成後の産物を、イオン交換水を用いて、濾過洗浄した。なお、濾液のpHが7になるまで、前記のように、洗浄及び濾過を繰り返した。その後、得られた粉末を、60℃で真空乾燥させた。その後、得られた粉末による2−プロパノールの分解を、下記(2)に示す手法により測定した。
(2)2−プロパノールの分解測定法
50mM 2−プロパノールのアセトニトリル溶液 5mlと、測定対象試料 100mgとを、パイレックス(登録商標)ガラス試験管に入れた。前記試験管をシリコンダブルキャップで密封した。ついで、前記試験管を、超音波処理(条件:60W、47kHz、5分間)に供して、測定対象試料をよく分散させ、試料を得た。その後、前記試験管中の試料に、1時間光照射し、光触媒による2−プロパノールの分解反応を行なった。前記光照射の際、光源として、500W キセノンランプ(ウシオ電機株式会社製、商品名:SXUL500XQ)を用いた。また、色ガラスフィルターとして、商品名:UV−35(株式会社ケンコー製)又は商品名:Y−42(株式会社ケンコー製)を、光源と試料との間に挿入し、照射光の波長を調整した。
反応終了後、試料を遠心分離に供して、測定対象試料と溶液成分とを分離した。その後、溶液成分を、ガスクロマトグラフィーに供して、2−プロパノールの減少量及びアセトンの生成量をそれぞれ測定した。なお、前記ガスクロマトグラフィーの測定条件は、インジェクション温度:250℃、検出温度:270℃、冷却温度:70℃、窒素ガス圧:0.5kg/cm2、水素ガス圧:0.7kg/cm2、空気圧:0.5kg/cm2、使用カラム:DB−WAX(商品名、J&W Scientific Inc.社製)とした。
その結果、400℃で焼成した粉末が、2−プロパノールを最もよく分解することがわかった。そこで、以下、400℃で焼成した粉末を、窒素原子含有二酸化チタンとして用いた。
(製造例2)
前記製造例1において、ルチル型二酸化チタン〔テイカ株式会社製、商品名:MT−150A〕及びアナターゼ型二酸化チタン〔石原産業株式会社製、商品名:ST−01〕それぞれを用いたことと、尿素の代わりに、チオ尿素を用いたことと、焼成温度を400℃としたこととを除き、同様の操作により、硫黄原子含有二酸化チタンを調製した。
(製造例3)
光触媒(鉄含有窒素原子含有二酸化チタン)の調製
窒素原子含有二酸化チタンに担持させる鉄(III)化合物として、硫酸鉄(III)・N水和物(シグマ アルドリッチ社製、カタログ番号:30771−8) 0.00644g、0.03219g、0.06437g、0.193121g又は0.32187gを、イオン交換水 300mlに溶解させた。
なお、例えば、前記硫酸鉄(III)・N水和物の量は、下記式:
3.00(g)×[47.87(g/mol)/79.87(g/mol)]×N×[55.85(g/mol)]-1×0.5×399.9(g/mol)
〔式中、Nは、窒素原子含有二酸化チタンに担持させる鉄(III)化合物の量(重量%/100)を示す〕
により算出した。これにより、窒素原子含有二酸化チタンには、0.1重量%、0.5重量%、1.0重量%、3.0重量%又は5重量%の鉄(III)化合物を担持させた。
得られた水溶液に、前記製造例1の(1)で得られた窒素原子含有二酸化チタン 3gを添加し、その後、得られた混合物を攪拌した。2時間後、上清を分取し、該上清中における鉄イオン量を定量した。また、イオン交換水を用いて、粉末を、洗浄後の廃液がpH7になるまで洗浄した。なお、洗浄後の廃液中における鉄イオン量も定量した。洗浄後の粉末を、60℃で真空乾燥させ、光触媒(鉄含有窒素原子含有二酸化チタン)を得た。
(製造例4)
光触媒(還元−鉄含有窒素原子含有二酸化チタン)の調製
前記製造例3で得られた光触媒(鉄含有窒素原子含有二酸化チタン) 1gと、水 30gと、前記粉末に吸着させた鉄(III)化合物の10倍モル量に相当する水素化ホウ素ナトリウムとを混合し、得られた混合物を2時間攪拌させた。その後、得られた産物を、イオン交換水を用いて、洗浄後の廃液がpH7になるまで洗浄した。洗浄後の粉末を、60℃で真空乾燥させ、光触媒(還元−鉄含有窒素原子含有二酸化チタン)を得た。
(製造例5)
光触媒(鉄含有硫黄原子含有二酸化チタン)の調製
イオン交換水 100mlに、塩化鉄(III) 0.0174g、0.087g又は0.174gを添加した。得られた混合物を攪拌し、水溶媒中に三価の鉄イオンが溶解した水溶液を調製した。前記水溶液に、前記製造例2で得られた硫黄原子含有二酸化チタン 1gを浸漬させた。得られた混合物を、攪拌子により、1時間攪拌した。次に、得られた産物を吸引濾過して、粉末を濾別した。得られた粉末を、1N アンモニア水により洗浄して、中和した。さらに、前記吸引濾過と、イオン交換水による洗浄とを、2回繰り返した。得られた産物を、60℃で真空乾燥させ、1重量%、5重量%又は10重量%の鉄(III)化合物導入光触媒(鉄含有硫黄原子含有二酸化チタン)を得た。
(製造例6)
光触媒(還元−鉄含有硫黄原子含有二酸化チタン)の調製
前記製造例4と同様の手法により、光触媒(還元−鉄含有硫黄原子含有二酸化チタン)を調製した。
(比較例1)
製造例1で得られた窒素原子含有二酸化チタンを比較例1とした。
(比較例2)
製造例2で得られた硫黄原子含有二酸化チタンを比較例2とした。
(比較例3)
鉄(III)化合物の導入に際し、硫酸鉄(III)・N水和物(シグマ アルドリッチ社製、カタログ番号:30771−8) 0.06437g、0.32187g又は0.64373gを、イオン交換水 300mlに溶解させた。これにより、窒素原子含有二酸化チタンには、1重量%、5重量%又は10重量%の鉄(III)化合物を担持させた。
得られた水溶液に、前記製造例2で得られた硫黄原子含有二酸化チタン 3gを添加し、その後、得られた混合物を攪拌した。2時間後、上清を分取し、該上清中における鉄イオン量を定量した。また、イオン交換水を用いて、粉末を、洗浄後の廃液がpH7になるまで洗浄した。なお、洗浄後の廃液中における鉄イオン量も定量した。洗浄後の粉末を、60℃で真空乾燥させ、光触媒(鉄含有硫黄原子含有二酸化チタン)を得た。
(試験例1)
製造例2、5及び6の光触媒のX線回折パターンを分析した。X線回折装置として、日本電子株式会社製、商品名:JDX−3500Kを用いた結果を一例として図1に示す。
図1に示されるように製造例6の光触媒は、γ-FeO(OH)を保持していることがわかる。
(試験例2)
製造例3、製造例4及び比較例1それぞれの光触媒を用い、前記製造例1の(2)の2−プロパノールの分解測定と同様に、光触媒活性の評価を行なった。なお、光源の光強度を、210mW/cm2とした。その結果を図2に示す。なお、図2における評価の際、色ガラスフィルターであるUV−35(株式会社ケンコー製)を用いた。また、図中、「0重量%」は、比較例を示す。
その結果、図2に示されるように、0.1重量%〜3.0重量%の鉄(III)化合物を担持させ鉄含有窒素原子含有二酸化チタンは、比較例1の窒素原子含有二酸化チタンに比べ、高い2−プロパノール分解活性を示すことがわかる。また、図2に示されるように、製造例4の還元−鉄含有窒素原子含有二酸化チタンは、比較例1の窒素原子含有二酸化チタンに比べ、より高い2−プロパノール分解活性を示し、同じ量の鉄(III)化合物を担持させた製造例3の鉄含有窒素原子含有二酸化チタンと比べても、顕著に高い2−プロパノール分解活性を示すことがわかる。
したがって、鉄(III)化合物を担持させた鉄含有窒素原子含有二酸化チタンをさらに還元することにより、格段に光触媒活性が向上することがわかる。
(試験例3)
製造例5、製造例6、比較例2及び比較例3それぞれの光触媒を用い、前記製造例1の(2)の2−プロパノールの分解測定法と同様に、光触媒活性の評価を行なった。アナターゼ型二酸化チタンを用いた場合の結果の代表例を図3に示し、ルチル型二酸化チタンを用いた場合の結果の代表例を図4に示す。なお、図3における評価では、光源の光強度を、7.3mW/cm2とし、図4における評価では、光源の光強度を、210mW/cm2とした。なお、図3及び図4における評価の際、色ガラスフィルターであるUV−35(株式会社ケンコー製)を用いた。また、図中、「0重量%」は、比較例を示す。
その結果、アナターゼ型二酸化チタンを用いた場合、図3に示されるように、比較例2の硫黄原子含有二酸化チタンに比べ、前記製造例5の光触媒(鉄含有硫黄原子含有二酸化チタン)は、高い2−プロパノール分解活性を示し、前記製造例6の光触媒(還元−鉄含有硫黄原子含有二酸化チタン)は、より一層高い2−プロパノール分解活性を示すことがわかる。また、前記製造例5の光触媒(鉄含有硫黄原子含有二酸化チタン)と、前記製造例6の光触媒(還元−鉄含有硫黄原子含有二酸化チタン)とについて、同量の鉄(III)化合物を担持させたもの同士を比較した場合、前記製造例6の光触媒(還元−鉄含有硫黄原子含有二酸化チタン)において、顕著に高い2−プロパノール分解活性を示すことがわかる。
したがって、硫黄原子含有二酸化チタンに、鉄(III)化合物を導入することにより、格段に光触媒活性が向上することがわかる。また、鉄(III)化合物を担持させた硫黄原子含有二酸化チタンをさらに還元することにより、より光触媒活性を向上させることができることがわかる。また、ルチル型二酸化チタンを用いた場合も同様であった。
(試験例4)
製造例3、製造例4、及び比較例1それぞれの光触媒 100mgを、内径32mmのシャーレに広げた。ついで、前記シャーレ上の光触媒を、光強度:1.5mW/cm2のブラックライトに30分間曝して、該光触媒の表面に付着している残留有機物を除去した。
テドラーバッグに、125mLの純空気を封入し、ガス化させたアセトアルデヒド 62.5μlを、ガスタイトシリンジを用いて採取し、テドラーバッグに注入し、それにより、500ppm アセトアルデヒドガスを調製した。また、別のテドラーバッグに、前記光触媒が入ったシャーレを入れ、封をした。ついで、光触媒が入ったテドラーバックに、前記アセトアルデヒドガス 125mLを添加した。
その後、前記光触媒が入ったテドラーバックを、アセトアルデヒド濃度が変化しなくなるまで、暗所で放置した。ついで、テドラーバック中の光触媒に、所定時間、光照射し、光触媒によるアセトアルデヒドの分解反応を行なった。前記光照射は、光源として、500Wキセノンランプ(ウシオ電機株式会社製、商品名:SXUL500XQ)を用い、光強度:13mW/cm2の条件で行なった。また、前記光照射に際する照射波長を350nm以上の波長にするために、カットオフフィルター〔商品名:UV−35、株式会社ケンコー製〕を用いた。
アセトアルデヒドの分解により生じる二酸化炭素の量を、ガスクロマトグラフィーにより測定した。なお、前記ガスクロマトグラフィーの測定条件は、インジェクション温度:120℃、検出温度:150℃、カラム温度:100℃、窒素ガス圧:1.0kg/cm2、水素ガス圧:0.7kg/cm2、空気圧:0.5kg/cm2、使用カラム:TCP 20% Uniport R 60/80を充填したパックドカラムとし、メタナイザー(GL Science製、商品名:MT−221)を用いた。その結果を図5に示す。なお、パネル(A)は、鉄含有窒素原子含有二酸化チタンの場合の結果を示し、パネル(B)は、還元−鉄含有窒素原子含有二酸化チタンの場合の結果を示す。また、図中、丸印は、窒素原子含有二酸化チタンの場合の結果、四角印は、3.0重量%の鉄(III)化合物を担持させた鉄含有窒素原子含有二酸化チタン又は還元−鉄含有窒素原子含有二酸化チタンの場合の結果、三角印は、1.0重量%の鉄(III)化合物を担持させた鉄含有窒素原子含有二酸化チタン又は還元−鉄含有窒素原子含有二酸化チタンの場合の結果を示す。
その結果、図5に示されるように、比較例1の窒素原子含有二酸化チタンに比べ、前記製造例3の光触媒(鉄含有窒素原子含有二酸化チタン)は、アセトアルデヒドの分解により生じる二酸化炭素の量が多く、高いアセトアルデヒド分解活性を示し、前記製造例4の光触媒(還元−鉄含有窒素原子含有二酸化チタン)は、より高いアセトアルデヒド分解活性を示すことがわかる。また、前記製造例3の光触媒(鉄含有窒素原子含有二酸化チタン)と、前記製造例4の光触媒(還元−鉄含有窒素原子含有二酸化チタン)とについて、同量の鉄(III)化合物を担持させたもの同士を比較した場合、前記製造例4の光触媒(還元−鉄含有窒素原子含有二酸化チタン)において、顕著に高いアセトアルデヒド分解活性を示すことがわかる。
したがって、窒素原子含有二酸化チタンに、鉄(III)化合物を導入することにより、格段に光触媒活性が向上することがわかる。また、鉄(III)化合物を担持させた窒素原子含有二酸化チタンをさらに還元することにより、より光触媒活性を向上させることができることがわかる。
(試験例5)
製造例3で得られた光触媒〔1.0重量% の鉄(III)化合物を担持させた鉄含有窒素原子含有二酸化チタン〕について、光照射下でのESRスペクトルを測定した。なお、前記ESRスペクトルは、ESRスペクトロメーター(日本電子株式会社製)を用い、測定温度:77K、磁場:1560G±250G、掃引時間:500Gの間隔を4分、出力:8mWおよびGain:160の条件で測定した。結果を図6に示す。
その結果、図6に示されるように、光照射前(図中、点線)の光触媒のESRスペクトルでは、3価の鉄イオン由来のピークが検出されるが、光照射後(図中、実線および太線)の光触媒のESRスペクトルでは、ピークは検出されなかった。かかる結果より、光触媒において、3価の鉄イオンにより、光照射で生成した励起電子がトラップされ、二価の鉄イオンを生成したことが示唆される。以上の結果から、鉄含有窒素原子含有二酸化チタンによれば、励起電子が、3価の鉄イオンに効率よくトラップされ、電荷分離効率が向上し、それにより、光触媒活性が顕著に増加することが示唆される。
本発明によれば、従来適用することが困難であった紫外線が少ない環境下、例えば、屋内の蛍光灯等の光がある環境下においても、消臭、皮脂汚れの分解、埃の除去、汚染物質の分解、抗菌等が可能になる。
図1は硫黄原子含有二酸化チタン、鉄含有硫黄原子含有二酸化チタン、及び該鉄含有硫黄原子含有二酸化チタンを還元させて得られた還元−鉄含有硫黄原子含有二酸化チタンそれぞれのX線回折パターンを示す図である。 図2は、窒素原子含有二酸化チタン、鉄含有窒素原子含有二酸化チタン、及び該鉄含有窒素原子含有二酸化チタンを還元させて得られた還元−鉄含有窒素原子含有二酸化チタンそれぞれによる光触媒作用を調べた結果を示す図である。なお、図中の光強度の値は、色ガラスフィルターであるUV−35(株式会社ケンコー製)を用いた場合の値である。また、図中、黒棒線は、2−プロパノール分解量を示し、白棒線は、アセトン生成量を示す。 図3は、アナターゼ型硫黄原子含有二酸化チタン、鉄含有硫黄原子含有二酸化チタン(アナターゼ型)、及び該鉄含有硫黄原子含有二酸化チタン(アナターゼ型)を還元させて得られた還元−鉄含有硫黄原子含有二酸化チタンそれぞれによる光触媒作用を調べた結果を示す図である。なお、図中の光強度の値は、色ガラスフィルターであるUV−35(株式会社ケンコー製)を用いた場合の値である。図中、黒棒線は、2−プロパノール分解量を示し、白棒線は、アセトン生成量を示す。 図4は、硫酸鉄を用いて製造されたルチル型硫黄原子含有二酸化チタン及び塩化鉄を用いて製造されたルチル型硫黄原子含有二酸化チタンそれぞれによる光触媒作用を調べた結果を示す図である。なお、図中の光強度の値は、色ガラスフィルターであるUV−35(株式会社ケンコー製)を用いた場合の値である。図中、黒棒線は、2−プロパノール分解量を示し、白棒線は、アセトン生成量を示す。 図5は、光触媒によるアセトアルデヒドの分解により生じる二酸化炭素の量を調べた結果を示す図である。パネル(A)は、鉄含有窒素原子含有二酸化チタンの場合の結果を示し、パネル(B)は、還元−鉄含有窒素原子含有二酸化チタンの場合の結果を示す。図中、丸印は、窒素原子含有二酸化チタンの場合の結果、四角印は、3.0重量%の鉄(III)化合物を担持させた鉄含有窒素原子含有二酸化チタン又は還元−鉄含有窒素原子含有二酸化チタンの場合の結果、三角印は、1.0重量%の鉄(III)化合物を担持させた鉄含有窒素原子含有二酸化チタン又は還元−鉄含有窒素原子含有二酸化チタンの場合の結果を示す。 図6は、光触媒〔1.0重量% の鉄(III)化合物を担持させた鉄含有窒素原子含有二酸化チタン〕のESRスペクトルを測定した結果を示す図である。図中、点線は、光照射前の光触媒のESRスペクトル、実線は、5分間の光照射後の光触媒のESRスペクトル、太線は、20分間の光照射後の光触媒のESRスペクトルを示す。

Claims (5)

  1. 窒素原子含有酸化チタンを、鉄(III)化合物が溶解した溶液中に浸漬させ、それにより、該窒素原子含有酸化チタンに鉄(III)化合物を担持させることにより得られた産物を、さらに還元させ、その後、得られた産物を酸化させる光触媒の製造方法。
  2. 硫黄原子含有酸化チタンを、鉄(III)化合物が溶解した溶液中に浸漬させ、それにより、該硫黄原子含有酸化チタンに鉄(III)化合物を担持させることにより得られた産物を、さらに還元させ、その後、得られた産物を酸化させる光触媒の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の製造方法で製造した光触媒に光を照射させて、該光触媒を活性化させ、それにより、消臭作用、皮脂汚れの分解作用、埃の除去作用、汚染物質の分解作用及び抗菌活性からなる群から選ばれた少なくとも1つを発現せしめることを特徴とする、光触媒の使用方法。
  4. 請求項1又は2に記載の製造方法で製造した光触媒に光を照射させて、該光触媒を活性化させ、それにより、空気中の有害物質を分解することを特徴とする、有害物質の分解方法。
  5. 該有害物質が、ホルムアルデヒド又はトルエンである、請求項記載の有害物質の分解方法。
JP2006232438A 2005-09-01 2006-08-29 光触媒の製造方法、光触媒の使用方法及び有害物質の分解方法 Active JP4810678B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006232438A JP4810678B2 (ja) 2005-09-01 2006-08-29 光触媒の製造方法、光触媒の使用方法及び有害物質の分解方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005253803 2005-09-01
JP2005253803 2005-09-01
JP2006232438A JP4810678B2 (ja) 2005-09-01 2006-08-29 光触媒の製造方法、光触媒の使用方法及び有害物質の分解方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007090336A JP2007090336A (ja) 2007-04-12
JP4810678B2 true JP4810678B2 (ja) 2011-11-09

Family

ID=37976621

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006232438A Active JP4810678B2 (ja) 2005-09-01 2006-08-29 光触媒の製造方法、光触媒の使用方法及び有害物質の分解方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4810678B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5055271B2 (ja) * 2006-04-28 2012-10-24 石原産業株式会社 光触媒及びその製造方法並びにそれを用いた光触媒コート剤、光触媒分散体、光触媒体
CN101678346B (zh) * 2007-06-05 2012-07-25 国立大学法人东京大学 光催化剂材料及其生产方法、以及使用该材料的污染物质分解方法
JP5711582B2 (ja) * 2011-03-28 2015-05-07 株式会社ダイセル 光触媒、及びそれを用いた有機化合物の酸化方法
JP5771065B2 (ja) * 2011-05-18 2015-08-26 国立大学法人東北大学 光触媒組成物、壁材、建材、および光触媒組成物の製造方法
CN108367987A (zh) * 2015-10-07 2018-08-03 罗地亚阿塞托有限公司 复合材料在结构材料中的用途、结构材料和净化空气的方法
JP7454142B2 (ja) * 2019-03-27 2024-03-22 フォトジェン株式会社 光触媒の製造方法及び光触媒

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2889778B2 (ja) * 1992-11-20 1999-05-10 工業技術院長 水浄化法
JPH0866635A (ja) * 1993-12-14 1996-03-12 Toto Ltd 光触媒薄膜及びその形成方法
JP2909403B2 (ja) * 1994-02-07 1999-06-23 石原産業株式会社 光触媒用酸化チタンおよびその製造方法
JP3566786B2 (ja) * 1995-06-16 2004-09-15 チタン工業株式会社 二酸化チタンを基体とする光触媒及びその製造方法
JP2001062309A (ja) * 1999-08-30 2001-03-13 Akira Fujishima 防汚性に優れた光触媒膜並びにそれを利用した建築用外装材及び建築物外装
JP3949055B2 (ja) * 2000-12-28 2007-07-25 昭和電工株式会社 高活性光触媒
JP3914982B2 (ja) * 2001-09-27 2007-05-16 独立行政法人産業技術総合研究所 抗菌材料及びそれを用いた抗菌製品
JP2003253130A (ja) * 2002-02-28 2003-09-10 Sumitomo Chem Co Ltd 樹脂組成物およびその製造方法
TWI229011B (en) * 2002-12-31 2005-03-11 Ind Tech Res Inst Visible light-induced strong oxidation strong reduction photo catalyst
JP4053911B2 (ja) * 2003-03-19 2008-02-27 株式会社日本触媒 光触媒および光触媒の製造方法
WO2005014170A1 (ja) * 2003-08-08 2005-02-17 Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho 可視光活性を有する光触媒体、その原料及びその製造方法
JP2006082071A (ja) * 2004-02-20 2006-03-30 Sekisui Jushi Co Ltd 光触媒組成物、内装用建材、塗料、合成樹脂成形体、光触媒の活用方法及び有害物質の分解方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007090336A (ja) 2007-04-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4810678B2 (ja) 光触媒の製造方法、光触媒の使用方法及び有害物質の分解方法
JP5102034B2 (ja) 酸化タングステン系光触媒及びその製造方法並びに消臭・防汚機能を有する繊維布帛
JP2006082071A (ja) 光触媒組成物、内装用建材、塗料、合成樹脂成形体、光触媒の活用方法及び有害物質の分解方法
KR101334970B1 (ko) 광촉매 재료, 유기물 분해 방법, 내장부재, 공기청정 장치, 산화제 제조 장치
JP4878141B2 (ja) 複合光触媒体
WO2013002151A1 (ja) 銅化合物担持酸化チタン光触媒及びその製造方法
US20090093359A1 (en) Fiber Fabric Having VOC Removing Function
US20110198210A1 (en) Photocatalytic material, method of decomposing organic substance, interior member, air cleaning device, and device for producing oxidizing agent
JP4293801B2 (ja) 活性管状酸化チタン粒子、該酸化チタン粒子を含む触媒および消臭剤
JP5127134B2 (ja) 管状酸化チタン粒子からなる消臭剤
WO2007026796A1 (ja) 光触媒
JP2004262941A (ja) 防臭・抗菌・防カビ被覆用組成物
JP4980204B2 (ja) 酸化チタン系消臭剤の製造方法
JP4428510B2 (ja) 光触媒を担持した、消臭機能を有する繊維布帛。
JP5610329B2 (ja) ケイ酸塩でコーティングされた酸化チタン揮発性有機化合物分解材料
JP2010150434A (ja) 耐候性・耐汚染性エマルション塗料の製造方法とその塗膜
JPWO2005044447A1 (ja) 複合酸化型チタニア系光触媒及びその用途
WO2008018178A1 (fr) Photocatalyseur, son procédé de production, dispersion de photocatalyseur contenant le photocatalyseur et composition de revêtement de photocatalyseur
JP2010265561A (ja) 消臭およびvoc除去機能を有する繊維布帛。
RU2482912C1 (ru) Способ получения фильтрующе-сорбирующего материала с фотокаталитическими свойствами
JP2018158316A (ja) 光触媒と吸着剤との複合体
JP3443288B2 (ja) 消臭フィルタの製造方法
KR100562476B1 (ko) 마이크로 캡슐화된 천연향이 첨가된 광촉매 코팅용 졸 및이의 제조방법
JP2004322052A (ja) 可視光応答型光触媒
JP2004195416A (ja) 光触媒含有繊維

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080313

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100610

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100625

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100824

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101203

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110128

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110708

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110801

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4810678

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140902

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250