JP2004321889A - スラリからの触媒回収方法および芳香族カルボン酸の製造方法 - Google Patents

スラリからの触媒回収方法および芳香族カルボン酸の製造方法 Download PDF

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哲也 鈴木
Kiyoshi Nakagawa
清 中川
Kaneyoshi Sakano
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Abstract

【課題】反応母液の残留物スラリから固液分離処理で触媒を回収する際に、スラリ中の微粒子が原因で生じる固液分離不良による触媒回収の低下をなくし、触媒の高収率での回収に繋がる方法を提案する。
【解決手段】重金属触媒、芳香族アルデヒドおよび酢酸を含有するスラリから重金属触媒を回収する際に、スラリ中の芳香族アルデヒド濃度を0.1〜5重量%、酢酸濃度を0.5〜8重量%に調整した後スラリを65℃以上に加熱し、芳香族アルデヒドを含む芳香族炭化水素をペースト状にした後55℃以下までスラリを冷却し、固化または粒子化した芳香族アルデヒドのペーストを固液分離し、重金属触媒を含む液体を回収する。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明に属する技術分野】
本発明は、芳香族カルボン酸などの製造過程において反応に用いる重金属触媒の回収方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
芳香族カルボン酸を製造する方法において触媒の回収方法は特許文献1などに記載されており、芳香族カルボン酸を分離した反応母液を蒸留して酢酸と残留物に分けている。
【0003】
残留物は、触媒の金属成分を多く含むため水を加え一度スラリ化させ、水側に金属成分を溶解後、スラリを固液分離処理し、ろ液側は触媒金属成分を多く含むため炭酸アルカリを添加し、炭酸塩化させ回収リサイクルを行い、残りの固形物は産業廃棄物処理していた。
【0004】
【特許文献1】
特開平05−015788号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の回収方法では炭酸塩化処理過程前のスラリを固液分離する際、スラリ中の微粒子(0.1mm未満の小粒)が原因となり、固液分離機の目詰まりを引き起こし、固液分離不良を発生させ固形物側へのろ液含水量が増加し、固形物に同伴する重金属触媒損失が多くなり回収率が思うほど上がらないという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは上記実状を鑑み、固液分離不良の原因となるスラリ中の微粒子を低減する方法について鋭意検討した結果、スラリ中の芳香族アルデヒド、酢酸濃度を調整した後スラリを加熱再溶解することでスラリ中の芳香族アルデヒドを含む芳香族炭化水素を0.1〜3mmの粒子状(平均粒径1mm)にすることに成功し、固液分離不良の解消、触媒回収強化ができることを見いだした。
【0007】
すなわち、本発明は、重金属触媒、芳香族アルデヒドおよび酢酸を含有するスラリから重金属触媒を回収する際に、スラリ中の芳香族アルデヒド濃度を0.1〜5重量%、酢酸濃度を0.5〜8重量%に調整した後スラリを65℃以上に加熱し、芳香族アルデヒドを含む芳香族炭化水素をペースト状にした後55℃以下までスラリを冷却し、固化または粒子化した芳香族アルデヒドを含む芳香族炭化水素のペーストを固液分離し、重金属触媒を含む液体を回収することを特徴とするスラリからの触媒回収方法および、芳香族炭化水素を高温・高圧下、触媒成分を含む溶媒中で分子状酸素により酸化して芳香族カルボン酸を製造するプロセスにおいて、前記のスラリからの触媒回収方法工程を含むことを特徴とする芳香族カルボン酸の製造方法である。
【0008】
【発明の実態の形態】
以下、重金属触媒を用いて芳香族カルボン酸など製造する際の触媒回収工程に関し具体的に説明する。
【0009】
本発明の触媒回収方法は、おもに、芳香族炭化水素の液相酸化反応で芳香族カルボン酸を製造する工程の触媒回収に有用である。
【0010】
ここで、原料となる芳香族炭化水素としてアルキル置換基、または一部酸化したアルキル置換基を有する芳香族化合物が好ましく用いられる。アルキル置換基としては、炭素数が通常1〜8程度のものが用いられるが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などの炭素数1〜3のものが好ましい。また、一部酸化したアルキル置換基をもつ芳香族炭化水素も使用でき、通常炭素数1〜8の一部酸化したアルキル置換基をもつものが用いられ、例えばホルミル基、カルボキシル基、ヒドロキシアルキル基等で置換された芳香族炭化水素が挙げられる。これらの置換基は一つに限られるものではなく、2つ以上置換しても良い。また、複数個の置換基を有する場合は、各々の置換基は同一でも異なるものでも良い。芳香族炭化水素の芳香核は、ベンゼン環のように単環式のもののみならず、ナフタレンのような多環式芳香核も含まれる。
【0011】
上記のアルキル基、または一部酸化したアルキル置換基を含有する芳香族化合物としては、具体的には、トルエン、エチレン、イソプロピルベンゼン、4−4’−ジメチルビフェニル、オルト−、メタ−、またはパラキシレン、1.2.4−トリメチルベンゼン、2.6−ジメチルナフタレン等のアルキル基の置換した芳香族化合物。ベンズアルデヒド、オルト−、メタ−、またはパラアルデヒド、2.4−ジメチルベンズアルデヒド等のホルミル基の置換した芳香族化合物、ベンジルアルコール等のヒドロキシルアルキル基の置換した芳香族化合物、オルト−、メタ−、またはパラカルボキシベンズアルデヒド等のカルボキシ基の置換した芳香族化合物、あるいは、これらの混合物などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0012】
芳香族カルボン酸の製造法として最も代表的な例としては、パラキシレンを液相空気酸化して、テレフタル酸を製造する場合が挙げられる。以下は、このパラキシレンの製造の場合について説明をするが、本発明は他の原料化合物を用い、芳香族カルボン酸を製造する場合についても適用することが出来る。
【0013】
パラキシレンを酢酸溶媒中、触媒の存在下、分子状酸素含有ガスで液相酸化する場合触媒として重金属触媒を単独で用いても良いが、通常反応促進剤が組み合わされて用いられる。重金属触媒としては、主にコバルト化合物、マンガン化合物が用いられ、通常これらが併用されて用いられる。また、必要に応じバナジウム化合物、クロム化合物、鉄化合物、ニッケル化合物等を加えても良い。これら化合物は、溶媒に可溶なものであれば特に制限はない。
【0014】
コバルト化合物およびマンガン化合物としては、酢酸塩、プロピオン酸塩、ナフテン酸塩等の有機酸塩。アセチルアセナート錯体、カルボニル錯体、アンミン錯体等の有機錯体、塩化物、臭化物等のハロゲン化物。水酸化物。ホウ酸塩、硝酸塩、炭酸塩等の無機酸塩等を挙げることができる。これらの中で、最も好ましいのは酢酸塩である。
【0015】
反応促進剤としては、通常臭素化合物が用いられるが、アセトアルデヒド、メチルエチルケトン、パラアルデヒド等が用いられることもあり、臭素化合物と併用することもできる。臭素化合物としては、例えば臭素、臭化水素、臭化アンモニウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム等のアルカリ金属臭化物。テロラブロモエタン、ブロモ酢酸、臭化ベンジル等の有機臭化化合物を挙げることができる。これらの中でも、特に臭化水素が好ましい。
【0016】
前記コバルト化合物、およびマンガン化合物の使用量は、溶媒に対する各々の金属として通常10〜5000ppm、また臭素化合物は溶媒に対する臭素として通常30〜10000ppmであることが好ましい。原料のパラキシレンは、通常酢酸溶媒に対して1〜50重量%の割合で用いられる。また、酢酸中には約30重量%まで水を含んでも良い。また、酸化反応器に供給する分子状酸素は、純酸素、空気、不活性ガスとの混合物が用いられ、通常パラキシレン1モルに対し、酸素として3〜20モルの割合になるようにする。 反応条件としては、通常反応温度150〜260℃、反応圧力0.2〜5.0MPa、滞留時間10〜200分の範囲で行い、排ガス中の酢酸濃度は1〜7%の範囲になるように操作するのが好ましい。酸化反応により生成したテレフタル酸は、酸化反応混合物から通常、晶析、遠心分離等により固液分離される。また、晶析の前に未反応の中間体をさらに酸化処理してテレフタル酸とする等の精製が施されることもある。反応方式としては、回転式、半連続式、連続式のいずれも採用できるが、連続式が好ましく用いられる。
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の触媒回収工程の説明をする。図1は、本発明の実施態様のフロー一例を示す図である。
【0018】
酸化反応で得られる酢酸反応物からテレフタル酸を分離した反応母液(1)は蒸発缶(2)で120〜150℃の温度で加熱し、酢酸−水の混合蒸気(3)を発生させ溶媒である酢酸の回収を行う。未回収物は濃縮され蒸発缶(2)の缶下部から残留物(4)を回収する。残留物(4)はテレフタル酸、酸化中間体(パラトルイル酸、パラトルアルデヒド等)、酸化副生成物(安息香酸等)と酢酸を多く含むため濃縮缶(5)で170〜190℃まで加熱濃縮し、更に酢酸(6)を回収(酢酸を回収すると同時に芳香族アルデヒドの飛沫同伴がある)する。
【0019】
濃縮後、濃縮缶(5)に濃縮後残留物重量に対して好ましくは0.5重量倍以上、さらに好ましくは2〜4重量倍の水、好ましくは70〜120℃の温水(7)を加えスラリ(8)とする。このスラリ(8)を受けそう(9)に全量移液し、スラリ(8)を65℃以上、好ましくは70〜80℃に昇温させ、攪拌下均一に混和する。
【0020】
次いで、このスラリを30〜300分かけて攪拌冷却し、60℃以下で濃縮缶(5)の濃縮後残留物重量に対して好ましくは0.5〜10重量倍の水(10)を加え55℃以下まで冷却する。
【0021】
このような操作によって得られたスラリ(11)は、次いでろ過、遠心分離或いは沈降分離等通常の固液分離手段(12)によって固形物(13)と重金属触媒を含む液体(14)に分離する。固液分離器(12)には、触媒回収量を上げるため濃縮缶(5)の濃縮後残留物重量に対して10〜80重量%の水(15)で洗浄するのが好ましい。固形物(13)は、ろ液含水率が20〜50重量%であり、触媒成分としてコバルト100〜3000ppm、マンガン100〜3000ppmを含有しており、産業廃棄物処理される。重金属触媒を含む液体(14)は、触媒成分としてコバルト1000〜10000ppm、マンガン1000〜10000ppmを含有するほか、残存酢酸1〜5%およびテレフタル酸や反応酸性副生物を含んでおり、後工程で酢酸回収、触媒回収される。
【0022】
本発明のポイントは、濃縮缶(5)の酢酸(6)回収においてスラリ中の芳香族アルデヒド濃度を0.1〜5重量%、酢酸濃度を0.5〜8重量%に調整することと、受けそう(9)でスラリ(8)を65℃以上に昇温させ攪拌下均一に混和後、55℃以下まで冷却させることである。こうすることで、冷却後のスラリは芳香族アルデヒドを含む芳香族炭化水素が固化または粒子化し、平均粒径1mmの粒子を含むスラリとなり、固液分離が容易となり、重金属触媒の回収率を向上させることができる。
【0023】
濃縮缶(5)の酢酸(6)回収においてスラリ中の芳香族アルデヒド濃度を0.1〜5重量%、酢酸濃度を0.5〜8重量%に調整する方法については、酢酸(6)を回収すると同時に芳香族アルデヒドの飛沫同伴が発生し、温度が高くなる程同伴量が増えることから、芳香族アルデヒド濃度を調整するため濃縮缶(5)の過剰加熱を止め、加熱温度を173〜183℃とすることで達成できる。濃縮缶(5)の濃縮後残留物重量の変動に応じて濃縮缶(5)の加熱温度を調整するのが好ましく、例えば、濃縮後残留物の重量が2.5tの時は173℃、同重量が3.5tの時は183℃に調整することで、スラリ中の芳香族アルデヒド濃度を好ましい範囲に調整することができる。また、濃縮缶(5)にスクラバ等の還流を行う場合は、スクラバ中の芳香族アルデヒド濃度が高い液を使用した方が芳香族アルデヒドを含む芳香族炭化水素の粒子形成に好ましい。
【0024】
スラリに含まれる芳香族アルデヒドの量の分析は、島津製の液体クロマトグラフを用いた。(ポンプ:LC−10A、カラムオーブン:CTO−10A、検出器:SPD−10A、カラム:資生堂製のCAPCELL PAC C18 4.6φ×25cm TYPE UG 120Å 5μm、カラム温度:50℃、移動相:1%酢酸水溶液90%、アセトニトリル10%、移動相流量:1.2mL/分、検出器条件:UV254nm、サンプル前処理条件:スラリをろ過し、ろ液とケークに分離し割合を把握する。)
【0025】
ケークについてはサンプルを検量線範囲内になるように50mLメスフラスコに採取し、0.5N−アンモニアで完全溶解後、2mLを栓付10mL試験管に採取。内部標準液にニトロベンゼン(ニトロベンゼン0.30mL/アセトニトリル3.0mL)を3mL加え、0.5N−アンモニアを加え合計10mLにした後、液体クロマトグラフに10μL注入分析する。
【0026】
ろ液についてはサンプルを検量線範囲内になるように50mLメスフラスコに採取し、アセトニトリルと水を半分ずつ加え完全溶解後、2mLを栓付10mL試験管に採取。内部標準液にニトロベンゼン(ニトロベンゼン0.30mL/アセトニトリル3.0mL)を3mL加え、アセトニトリルを加え合計10mLにした後、液体クロマトグラフに10μL注入分析する。
【0027】
スラリに含まれる酢酸の量の分析は、島津製のガスクロマトグラフを用いて行った。(機種:GC−14A、カラム:島津製のChromosorb WAWDMCS PEG20M 3.2φ×2.2mガラスカラム、注入口温度:200℃、キャリアガス(He)流量:50mL/分、H圧力:0.6Kg/cm、Air圧力:0.5Kg/cm、検出法:FID、昇温条件:スタート60℃×4分、昇温(8℃/分)、150℃×8分、サンプル前処理条件:ろ液約1gを栓付10mL試験管に採取。内部標準液に1、4−ジオキサン(1、4−ジオキサン12.7mg/水1.0mL)を2mL加え、酢酸メチルを加え合計10mLにし完全混合後、上澄み液をガスクロマトグラフに1.0μL注入分析する。
【0028】
受けそう(9)でスラリ(8)を65℃以上、好ましくは70〜80℃に昇温させ、攪拌下均一に混和する方法については、昇温は、温水、蒸気、コイル等の外部加熱を一部併用しても良く、攪拌については、アンカー型でも平羽根型でも均一混合ができれば種類は拘らず、攪拌方式も中心攪拌、側面攪拌、偏心攪拌いずれでも良いが、中心攪拌が適当である。攪拌速度は均一混和できれば特にこだわらないが、40〜80rpmが適当である。
【0029】
このような加熱処理により、スラリ中の芳香族アルデヒド、カルボン酸が液相に溶解し粘性のあるペースト状(水と交わらないオイル分)を形成する。ペースト状は、特に安息香酸とパラトルイル酸とパラトルアルデヒドが反応し粘性を帯びたものであり、酢酸濃度が好ましくは2%以下と低いほど形成しやすいので、水酸化ナトリウム等のアルカリを加え調整することもできる。受けそう(9)内では攪拌によりペーストが水と交わらす粒子状になり存在している。
【0030】
受けそう(9)で、スラリを55℃以下まで冷却させることでペースト中の芳香族アルデヒドを含む炭化水素が固化または粒子化し、平均粒径1mm程度の粒子を含むスラリとなる。冷却は水、コイル、ジャケット等の外部冷却を併用しても良い。粒子状で存在していた芳香族アルデヒド、カルボン酸は55〜60℃で固化するため、60℃以下で濃縮缶(5)の濃縮後残留物重量に対して0.5〜10重量倍の水(10)を加え55℃以下まで冷却するのが好ましい。この冷却操作により、粘性のあるペーストは一気に固まり、粒子を含むスラリ(11)が出来上がる。
【0031】
この粒子を含むスラリを固液分離することで、おもに芳香族アルデヒドを含む固体部分と、重金属触媒を含む液体部分に分離をすることができ、回収した液体から重金属触媒を回収することができる。回収した重金属触媒は単離、精製をして再使用しても良いし、重金属触媒を含む液体のままで触媒として再使用をすることも可能である。
【0032】
本発明によれば、反応母液の残留物スラリから固液分離処理で触媒を回収する方法において、残留物スラリ中に粒子を形成させることで固液分離不良を防止し、触媒の高収率での回収が可能である。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0034】
(実施例1)
溶媒に対して、コバルト原子として300ppmの金属コバルト(製造会社:東洋金属粉株式会社、純度:99.5%以上)、マンガン原子として200ppmの酢酸マンガン(製造会社:日本化学産業株式会社、純度:99.0%以上)、臭素原子として1000ppmの臭化水素(製造会社:東ソー株式会社、純度:48%以上)を含有する酢酸(10%含水)を溶媒とし、溶媒/パラキシレン重量比3で反応温度200℃、圧力2.0MPa、滞留時間120分、排ガス中の酢酸濃度5%の条件下、液相酸化し得られた混合物スラリから減圧冷却後、固液分離し反応母液とテレフタル酸の結晶を得た。
【0035】
前記固液分離で得られた反応母液(1)約37m/hrを蒸発缶(2)に連続供給し140℃に加熱し、酢酸−水の混合蒸気(3)を発生させ、溶媒である酢酸回収を行う。蒸発缶(2)の容量は37.6mで液面変動がないように反応母液(1)流量を調整する。酢酸−水の混合蒸気(3)は140℃に達し、酢酸90重量%、水分10重量%を含むベーパーであり、脱水工程で脱水処理を行い酢酸回収する。平均10hrサイクルで蒸発缶(2)の残留物(4)10.5tを濃縮缶(5)に抜き出す。濃縮缶(5)の容量は12.9mであり、3.5hrかけて180℃まで加熱する。加熱後の重量は約3.5tになり、濃縮されたテレフタル酸、酸化中間体(パラトルイル酸、パラトルアルデヒド)、酸化副生成物(安息香酸等)と酢酸がほとんどである。濃縮缶(5)に90℃の温水(7)を7t加え合計10.5tのスラリ(8)とした後、受けそう(9)に送液する。受けそう(9)では平羽板の攪拌機2台を設置しており、60rpmの速度で連続均一攪拌をしている。濃縮缶(5)からのスラリ(8)移液により、受けそう(9)内の液温が70℃まで上昇した。スラリ中の芳香族アルデヒド濃度0.3%、酢酸濃度3%、pH試験紙では2であり、条件範囲内であることを確認した。更に90℃温水(7)を加え78℃まで液温を上昇させた後、5%水酸化ナトリウム(16)を1.5t加え、酢酸濃度1.5%、pH試験紙4とした。受けそう(9)内液温冷却のため、約60分かけてジャケット冷却後、液温55℃で25℃の水(10)3tを加え、平均粒径1mmの粒子を含むスラリ(11)を得た。
【0036】
このスラリ(11)を1.5m/hrずつ2台の分離器(12)に供給(650rpmの脱水機と1800rpmの遠心分離器)する。洗浄水(15)はいずれも0.5m/rを供給した。
【0037】
この結果、廃棄する固形物(13)は400kg/hで発生し、含水率が35重量%、固形物中コバルト濃度が1000ppm(9.6kg/日)、マンガン濃度が650ppm(6.2kg/日)であり、回収するろ液(14)は3.6m/hになり、ろ液中コバルト濃度は1430ppm(140kg/日)、マンガン濃度は930ppm(91kg/日)であった。触媒の使用するコバルト量は約150kg/日、マンガン量は約97kg/日であり、コバルト、マンガンの回収量は共に93%に達した。
【0038】
(比較例)
実施例1において、濃縮缶(5)の温度を192℃、受けそう(8)の温度60℃以外は、実施例1と同様にして運転を行った結果、スラリの平均粒径は0.1mm、分離器(12)分離後の廃棄固形物(13)中の含水率は45重量%、固形物中コバルト濃度は1300ppm(13.1kg/日)、マンガン濃度は845ppm(8.5kg/日)であり、回収するろ液(14)中コバルト濃度は1400ppm(136.9kg/日)、マンガン濃度は908ppm(88.7kg/日)であった。コバルト、マンガンの回収量は共に91%であった。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、アルキル置換基または、一部酸化したアルキル置換基を有する芳香族化合物などを液相空気酸化して芳香族カルボン酸などを製造する方法に用いる触媒を回収する際に、反応母液の残留物スラリ中に粒子を形成させることにより、従来スラリ固液分離後の固形物中に廃棄していた触媒を回収強化できるため触媒の損失が著しく低下し、かつ固形物含水率も低減できることから、産業廃棄物量の低減にも繋がり極めて経済的で工業的に有利な触媒の回収方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の触媒回収工程を含む代表的な製造工程のフローを示す図である。
【符号の説明】
1:反応母液
2:蒸発缶
3:酢酸と水の混合ガス
4:残留物
5:濃縮缶
6:酢酸(少量の芳香族アルデヒドを含む)ガス
7:温水
8:スラリ
9:受けそう
10:水
11:スラリ
12:固液分離器
13:固形物
14:重金属触媒を含む液体
15:洗浄水
16:5%水酸化ナトリウム

Claims (6)

  1. 重金属触媒、芳香族アルデヒドおよび酢酸を含有するスラリから重金属触媒を回収する際に、スラリ中の芳香族アルデヒド濃度を0.1〜5重量%、酢酸濃度を0.5〜8重量%に調整した後スラリを65℃以上に加熱し、芳香族アルデヒドを含む芳香族炭化水素をペースト状にした後55℃以下までスラリを冷却し、固化または粒子化した芳香族アルデヒドのペーストを固液分離し、重金属触媒を含む液体を回収することを特徴とするスラリからの触媒回収方法。
  2. 芳香族アルデヒドがパラトルアルデヒドであることを特徴とする請求項1記載のスラリからの触媒回収方法。
  3. 重金属触媒が芳香族炭化水素の液相空気酸化反応触媒である請求項1または2記載のスラリからの触媒回収方法。
  4. 重金属触媒がコバルト化合物およびマンガン化合物である請求項3記載のスラリからの触媒回収方法。
  5. 芳香族炭化水素を高温・高圧下、触媒成分を含む溶媒中で分子状酸素により酸化して芳香族カルボン酸を製造するプロセスにおいて、請求項1から4のいずれか1項記載のスラリからの触媒回収方法工程を含むことを特徴とする芳香族カルボン酸の製造方法。
  6. 芳香族カルボン酸がテレフタル酸であることを特徴とする請求項5記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
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