JP2004319885A - チャックテーブル及び半導体ウェーハの研削方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】研削水を供給しながら半導体ウェーハWを研削する研削装置に搭載されるチャックテーブル10であって、半導体ウェーハWを吸引する吸引部11と、吸引部11を囲繞する枠体12とから構成され、吸引部11の外径は、吸引する半導体ウェーハWの外径と等しいか、または半導体ウェーハWの外径より大きく、吸引部11には、半導体ウェーハWの外径より小さい外径からなる隔壁13が形成され、隔壁13は、吸引部11を内周側吸引部14と外周側吸引部15とに区画する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウェーハを研削する研削装置に搭載され半導体ウェーハを保持するチャックテーブル、及び、そのチャックテーブルにおいて半導体ウェーハを保持して研削する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウェーハを研削して所定の厚さとする際には、例えば図7に示すように、研削対象の半導体ウェーハがチャックテーブル50において真空吸着される。このチャックテーブル50は、吸引部51が枠体52によって囲繞された構成となっており、吸引部51には、通常は多孔質(ポーラス)セラミックスを用いる。
【0003】
上記のようなチャックテーブル50においては、空気漏れを防止して十分な吸引力を確保するために、図8に示すように、吸引部51の外径は半導体ウェーハWの外径より小さく形成しておき、吸引部51の全面が半導体ウェーハWによってシールされる構成としたものが一般的である(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、吸引部51の外径を半導体ウェーハの外径より大きくした構成のものにおいては、平均気孔径を小さくすることにより空気漏れを少なくするような工夫もなされている(例えば特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−38556号公報(第5頁、第2図)
【特許文献2】
特開平6−8086号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年は、各種電子機器の小型化、軽量化の要望に応えるべく、半導体ウェーハもその厚さを100μm以下、50μm以下というように極めて薄く形成することが求められている。このように極めて薄い半導体ウェーハを従来と同様に保持して研削すると、吸引されていない外周部分にバタツキが生じて破損するという問題がある。
【0007】
また、吸引部の外径が半導体ウェーハの外径より大きい場合においては、平均気孔径が小さいために吸引力が十分でなく、半導体ウェーハのバタツキを完全に防止することができないという問題がある。更に、研削時に供給される研削水が吸引部に流入し、研削水の混じった研削屑がチャックテーブル内部に侵入すると共に、半導体ウェーハの吸着される側の面にも研削屑が付着して品質を低下させるという問題もある。
【0008】
従って、チャックテーブルにおいて半導体ウェーハを吸引保持して研削する場合においては、厚さが100μm以下、50μm以下というように薄く研削されても研削時に外周部にバタツキが生じないようにすると共に、半導体ウェーハの吸着される側の面に研削屑が付着するのを防止することに課題を有している。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための具体的手段として本発明は、研削水を供給しながら半導体ウェーハを研削する研削装置に搭載されるチャックテーブルであって、半導体ウェーハを吸引する吸引部と、吸引部を囲繞する枠体とから構成され、吸引部の外径は、吸引する半導体ウェーハの外径と等しいか、または半導体ウェーハの外径より大きく、吸引部には、半導体ウェーハの外径より小さい外径からなる隔壁が形成され、隔壁は、吸引部を外周側吸引部と内周側吸引部とに区画することを特徴とするチャックテーブルを提供する。
【0010】
そしてこのチャックテーブルは、吸引部の外径が、半導体ウェーハの外径より0〜2mm大きく形成されること、外周側吸引部の半径方向の幅が10mm〜20mmであること、外周側吸引部及び内周側吸引部が、細孔径が40μm〜60μmのポーラスセラミックスで形成され、隔壁が、細孔径が4μm〜10μmのポーラスセラミックスで形成されていることを付加的な要件とする。
【0011】
また本発明は、上記のチャックテーブルと、チャックテーブルに保持された半導体ウェーハに研削水を供給しながら半導体ウェーハを研削する研削手段とを備えた研削装置を用いた半導体ウェーハの研削方法であって、チャックテーブルの吸引部の外径と等しいか、または、吸引部より外径が小さい半導体ウェーハをチャックテーブルに吸引保持する保持工程と、チャックテーブルに保持された半導体ウェーハに研削水を供給しながら該半体ウェーハを研削する研削工程とから構成される半導体ウェーハの研削方法を提供する。
【0012】
そしてこの半導体ウェーハの研削方法は、半導体ウェーハの厚さが100μm〜20μmになるまで研削が行われることを付加的な要件とする。
【0013】
上記のように構成されるチャックテーブル及び半導体ウェーハによれば、吸引部の外径が半導体ウェーハの外径と等しいか、または半導体ウェーハの外径より大きく形成されていることにより、半導体ウェーハの全面を吸引することができるため、研削により半導体ウェーハが薄くなった場合でも外周がばたつくことがない。
【0014】
また、吸引部には、吸引部を外周側吸引部と内周側吸引部とに区画し、半導体ウェーハの外径より小さい外径の隔壁が形成されていることにより、半導体ウェーハの外周部分の吸引力を確保しつつ、研削屑が混じった研削水が内周側吸引部に流入するのを隔壁が阻止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態として、図1に示すチャックテーブル10及びこれによって半導体ウェーハを保持して研削する方法について説明する。
【0016】
図1に示すチャックテーブル10は、半導体ウェーハWを吸引する吸引部11と、吸引部11を外周側から囲繞する枠体12とを備えている。
【0017】
図2にも示すように、吸引部11の内部には隔壁13が形成されており、隔壁13は、吸引部11を内周側吸引部14と外周側吸引部15とに区画している。隔壁13、内周側吸引部14及び外周側吸引部15は、その下方において吸引路16を介して吸引源17に連通している。
【0018】
隔壁13、内周側吸引部14、外周側吸引部15は、いずれもポーラスセラミックス等の多孔質部材により形成されているが、隔壁13は、内周側吸引部14及び外周側吸引部15より細孔径が小さな多孔質部材により形成されている。例えば、隔壁13は細孔径が4μm〜10μmのポーラスセラミックスにより形成され、内周側吸引部14及び外周側吸引部15は細孔径が40μm〜60μmのポーラスセラミックスにより形成されている。
【0019】
吸引部11の外径は、吸引保持する半導体ウェーハWの外径より大きいか、または半導体ウェーハWの外径と等しくなるように構成されている。図2においては、吸引部11の外径が半導体ウェーハWの外径より若干大きい場合を例示している。吸引部11の外径が半導体ウェーハWの外径より大きい場合は、その差は例えば2mm程度である。また、吸引部11のうち、外周側吸引部15の半径方向の幅は、例えば10mm〜20mmであり、隔壁13の厚みは5mm程である。
【0020】
図1及び図2に示したチャックテーブル10は、例えば図3に示す研削装置20に搭載される。この研削装置20においては、基台21の端部から壁部22が起立しており、この壁部22の内側の面には一対のレール23が垂直方向に配設され、レール23に沿って支持板24が昇降するのに伴って支持板24に取り付けられた研削手段25が昇降するよう構成されている。また、基台21にはターンテーブル26が回転可能に配設され、更にターンテーブル26は、チャックテーブル10を回転可能に支持している。
【0021】
研削手段25においては、垂直方向の軸心を有するスピンドル27の先端にマウンタ28が装着され、更にその下部に研削ホイール29が固定されている。研削ホイール29の下面には研削砥石30が固着されており、研削砥石30は、スピンドル27の回転に伴って回転する構成となっている。
【0022】
図4に示すように、スピンドル27、マウンタ28及び研削ホイール29には、これらの内部を連通する研削水流通路31が形成されており、この内部を通った研削水40は研削ホイール29の下部から吐出される。
【0023】
研削装置20を用いて、例えば半導体ウェーハの研削を行う際は、チャックテーブル10を構成する吸引部11の外径と等しいか、または吸引部11より外径が小さい半導体ウェーハWをチャックテーブル10において吸引保持する(保持工程)。
【0024】
次に、半導体ウェーハWを研削手段25の直下に位置付け、スピンドル27を回転させると共に、研削手段25を下降させていく。そして、スピンドル27の回転に伴って研削ホイール29が回転し、研削水を供給しながら、回転する研削砥石30が半導体ウェーハWに接触して押圧力が加えられることにより、その表面が研削砥石30によって研削される(研削工程)。例えば厚さが100μm〜20μmになるまで研削される。
【0025】
図5に示すように、外周側吸引部15の外径が半導体ウェーハWの外径と等しい場合は、半導体ウェーハWの全面が吸引部11によって吸引され、吸引されない部分がないため、研削時に半導体ウェーハWの外周部分がばたつくのを防止することができる。たとえ研削により半導体ウェーハWの厚さが100μm〜20μmというように極めて薄くなって剛性が失われた場合であっても、全面が吸引されているため、外周部分がばたつくことがない。
【0026】
また、吸引部11はすべて半導体ウェーハWによってシールされているため、研削屑が混じった研削水が吸引部11に流入することもない。仮にその研削水が流入したとしても、細孔径が小さい隔壁13によって内周側吸引部14への侵入は防止することができるため、半導体ウェーハWのうち、内周側吸引部14によって吸引保持されている部分の面に研削屑が付着するのを防止することができる。
【0027】
一方、図6に示すように、外周側吸引部15の外径が半導体ウェーハWの外径より1mm〜2mm程大きい場合も、半導体ウェーハWの全面が吸引部11によって吸引され、吸引されない部分がなく、吸引部11の細孔径も十分な吸引力を確保できる程度であるため、研削時に半導体ウェーハWの外周部分がばたつくのを防止することができる。この場合、外周側吸引部15には半導体ウェーハWによってシールされない部分があるが、研削水がその部分をシールするため、空気漏れを防止することができる。従って、半導体ウェーハWの全面が十分な吸引力によって保持され、半導体ウェーハWの外周部分がばたつくのを防止することができる。半導体ウェーハWの厚さが100μm〜20μmになるまで研削され剛性が失われた場合においても同様である。なお、外周側吸引部15の外径が半導体ウェーハWの外径より3mm以上大きくなると空気漏れが生じて吸引力が低下するので、外周側吸引部15の外径は半導体ウェーハWの外径より0〜2mm大きくすることが好ましい。
【0028】
また、図6の例では、研削屑が混じった研削水が外周側吸引部15に流入するが、内周側吸引部14と外周側吸引部15との間には隔壁13が形成されているため、その研削水は内周側吸引部14には流入しない。従って、半導体ウェーハWのうち、内周側吸引部14によって吸引保持されている部分の面に研削屑が付着するのを防止することができる。このとき、隔壁13が、内周側吸引部14及び外周側吸引部15より細孔径が小さな多孔質部材により形成されていて、吸引力が弱くても、隔壁13の外径は半導体ウェーハWの外径より小さいため、半導体ウェーハWの外周部分は外周側吸引部15によって十分な吸引力で吸引保持されており、外周部分がばたつくことはない。なお、図2において、内周側吸引部14と外周側吸引部15とは同一の吸引源に連通しているが、それぞれ別個の吸引源に連通させてもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るチャックテーブル及び半導体ウェーハの研削方法によれば、吸引部の外径が半導体ウェーハの外径と等しいか、または半導体ウェーハの外径より僅かに大きく形成されていることにより、半導体ウェーハの全面を吸引することができるため、研削により半導体ウェーハが薄くなった場合でも外周がばたつくことがなく、破損することがない。
【0030】
また、吸引部には、吸引部を外周側吸引部と内周側吸引部とに区画し、半導体ウェーハの外径より小さい外径の隔壁が形成されていることにより、半導体ウェーハの外周部分の吸引力を確保しつつ、研削屑が混じった研削水が内周側吸引部に流入するのを隔壁が阻止することができるため、半導体ウェーハのうち、内周側吸引部によって吸引保持されている部分に研削屑が付着するのを防止することができ、半導体ウェーハの品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るチャックテーブル及び半導体ウェーハを示す斜視図である。
【図2】同チャックテーブルの構造を示す断面図である。
【図3】本発明に係る半導体ウェーハの研削方法の実施に用いる研削装置の一例を示す斜視図である。
【図4】同研削装置を構成する研削手段の内部構造を示す断面図である。
【図5】同研削装置を用いて外径がチャックテーブルの吸引部と等しい半導体ウェーハを研削する様子を示す断面図である。
【図6】同研削装置を用いて外径がチャックテーブルの吸引部より小さい半導体ウェーハを研削する様子を示す断面図である。
【図7】従来のチャックテーブル及び半導体ウェーハを示す斜視図である。
【図8】従来のチャックテーブルの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
10…チャックテーブル 11…吸引部
12…枠体 13…隔壁 14…内周側吸引部
15…外周側吸引部 16…吸引路 17…吸引源
20…研削装置 21…基台 22…壁部
23…レール 24…支持板 25…研削手段
26…ターンテーブル 27…スピンドル
28…マウンタ 29…研削ホイール
30…研削砥石 31…研削水流通路 40…研削水
Claims (6)
- 研削水を供給しながら半導体ウェーハを研削する研削装置に搭載されるチャックテーブルであって、
半導体ウェーハを吸引する吸引部と、該吸引部を囲繞する枠体とから構成され、
該吸引部の外径は、吸引する半導体ウェーハの外径と等しいか、または該半導体ウェーハの外径より大きく、
該吸引部には、該半導体ウェーハの外径より小さい外径からなる隔壁が形成され、該隔壁は、該吸引部を内周側吸引部と外周側吸引部とに区画することを特徴とするチャックテーブル。 - 吸引部の外径が、半導体ウェーハの外径より0〜2mm大きく形成される請求項1に記載のチャックテーブル。
- 外周側吸引部の半径方向の幅は10mm〜20mmである請求項1または2に記載のチャックテーブル。
- 内周側吸引部及び外周側吸引部は、細孔径が40μm〜60μmのポーラスセラミックスで形成され、
隔壁は、細孔径が4μm〜10μmのポーラスセラミックスで形成されている請求項1、2または3に記載のチャックテーブル。 - 請求項1、2、3または4に記載のチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された半導体ウェーハに研削水を供給しながら該半導体ウェーハを研削する研削手段とを備えた研削装置を用いた半導体ウェーハの研削方法であって、
該チャックテーブルの吸引部の外径と等しいか、または、該吸引部より外径が小さい半導体ウェーハを該チャックテーブルに吸引保持する保持工程と、
該チャックテーブルに保持された半導体ウェーハに研削水を供給しながら該半導体ウェーハを研削する研削工程と
から構成される半導体ウェーハの研削方法。 - 研削工程では、半導体ウェーハの厚さが100μm〜20μmになるまで研削が行われる請求項5に記載の半導体ウェーハの研削方法。
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