JP2004319659A - フレキシブル回路基板の製造方法及び積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粘着剤と熱膨張性微小球とを含有する粘着体層と、該粘着体層の両面に形成した樹脂層からなる積層体における該樹脂層の外面に導電体層を形成し、該導電体層をパターン化した後、該粘着体層を加熱して該微小球を膨張させて該粘着体層と該樹脂層との間を剥離させることを特徴とするフレキシブル回路基板の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はフレキシブル回路基板を製造する方法及びフレキシブル基板製造用積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フレキシブル回路基板を製造する方法としては、例えば、銅張積層板の印刷回路を形成する面の反対側表面に、粘着剤を塗布したキャリアフィルムを貼り合せ後、印刷回路を形成した後、該粘着剤の粘着力を低下させてからキャリアフィルムを剥離するフレキシブル印刷配線板の製造方法(特許文献1参照)が提案されている。また、キャリアフィルムとしての使用においては、基材上に加熱により接着性が低下する粘着層を設けたものを使用することが提案されている(特許文献2及び3参照)。
これらのものはいずれも基材上に粘着性が低下する粘着剤層を設けたものであるため、キャリアフィルムの粘着剤層面のみしか使えないものであるので、キャリアフィルム使用量と同程度の量の加工処理しかできないものであり、作業効率、コスト面でいまだ満足できるものでなかった。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−99379号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献2】
特開平11−166164号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献3】
特開平11−302610号公報(特許請求の範囲その他)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、フレキシブル回路基板を生産効率よく製造する方法及びフレキシブル回路基板製造用積層体を提供することをその課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、以下に示すフレキシブル回路基板の製造方法及びフレキシブル回路基板製造用積層体が提供される。
【0006】
(1)粘着剤と熱膨張性微小球とを含有する粘着体層と、該粘着体層の両面に形成した樹脂層からなる積層体における該樹脂層の外面に導電体層を形成し、該導電体層をパターン化した後、該粘着体層を加熱して該微小球を膨張させて該粘着体層と該樹脂層との間を剥離させることを特徴とするフレキシブル回路基板の製造方法。
(2)粘着剤と熱膨張性微小球とを含有する粘着体層と、該粘着体層の両面に形成した樹脂層と、該樹脂層の外面に形成した導電体層からなる積層体における該導電体層をパターン化した後、該粘着体層を加熱して該微小球を膨張させて該粘着体層と該樹脂層との間を剥離させることを特徴とするフレキシブル回路基板の製造方法。
(3)粘着剤と熱膨張性微小球とを含有する粘着体層と、該粘着体層の両面に形成した樹脂層と、該樹脂層の外面に形成したパターン化された導電層からなる積層体における該粘着体層を加熱して該微小球を膨張させて該粘着体層と該樹脂層との間を剥離させることを特徴とするフレキシブル回路基板の製造方法。
(4)粘着剤と熱膨張性微小球とを含有する粘着体層と、該粘着体層の両面に形成した導電体層からなる積層体における該導電体層をパターン化した後、該導電体層外面に樹脂層を形成し、次いで該粘着体層を加熱して該微小球を膨張させて該粘着体層と該導電体層との間を剥離させることを特徴とするフレキシブル回路基板の製造方法。
(5)該導電体層が、銅からなることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)フレキシブル回路基板製造用積層体であって、粘着剤と熱膨張性微小球とを含有する粘着体層と、該粘着体層の両面に形成した樹脂層からなることを特徴とする積層体。
(7)フレキシブル回路基板製造用積層体であって、粘着剤と熱膨張性微小球とを含有する粘着体層と、該粘着体層の両面に形成した樹脂層と、該樹脂層の外面に形成した導電体層からなることを特徴とする積層体。
(8)フレキシブル回路基板製造用積層体であって、粘着剤と熱膨張性微小球とを含有する粘着体層と、該粘着体層の両面に形成した樹脂層と、該樹脂層の外面に形成したパターン化された導電体層からなることを特徴とする積層体。
(9)該樹脂層が、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリーテルエーテルケトン及び液晶ポリマーフィルムの少なくとも1種からなることを特徴とする前記(6)〜(8)のいずれかに記載の積層体。
(10)フレキシブル回路基板製造用積層体であって、粘着剤と熱膨張性微小球とを含有する粘着体層と、該粘着体層の両面に形成した導電体層からなることを特徴とする積層体。
(11)該導電体層が、銅からなることを特徴とする前記(6)〜(10)のいずれかに記載の積層体。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる粘着体は、粘着剤と熱膨張性微小球とを含有するものである。粘着剤としては、従来、粘着シートに用いられている従来公知の粘着剤、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等いずれのものも用いることができるが、特にアクリル系粘着剤が好ましい。このアクリル系粘着剤としては、アクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルの1種以上の単量体成分と架橋剤と反応し得る官能基を有する単量体成分との共重合体からなるものである。
【0008】
前記アクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルのアルキルエステルとしては、例えばメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、イソオクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、ペンタデシルエステル、オクタデシルエステル、ノナデシルエステル、エイコシルエステル等が挙げられる。
【0009】
架橋剤と反応し得る官能基を有する単量体としては、官能基がカルボキシル基であるアクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、等の他、官能基がヒドロキシル基であるアクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ヒドロキシヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシヘキシル、アクリル酸ヒドロキシオクチル、メタクリル酸ヒドロキシオクチル、アクリル酸ヒドロキシデシル、メタクリル酸ヒドロキシデシル、アクリル酸ヒドロキシラウリル、メタクリル酸ヒドロキシラウリル等が挙げられる。これらの単量体は単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0010】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルAと架橋剤と反応し得る官能基を有する単量体Bとの比は、AとBとの質量比で92:8〜98:2の範囲であることが好ましく、この範囲より架橋剤と反応し得る官能基を有する単量体Bの配合比が少ないと被着体との密着力が乏しくなるし、この範囲を超えると熱膨張性微小球が膨張したとき被着体との剥離性が損なわれるものとなる。被着体との密着性及び剥離性の面から特に好ましいAとBの質量比は、95:5〜93:7である。
【0011】
さらに、所望により前記単量体以外の単量体を併用してもよい。このようなものとしては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド、ポリエチレングリコールアクリレート、N−ビニルピロリドン、テトラフルフリルアクリレート等が挙げられる。
【0012】
本発明で用いる粘着剤成分は、前記単量体をラジカル共重合させることによって得ることができる。この場合の共重合法は良く知られており、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、光重合法等が挙げられる。
また、架橋剤を用いる場合は、架橋剤を粘着剤に合せて適宜選択すればよく、特に制約を受けず、イソシアネート系架橋剤、金属キレート架橋剤及びエポキシ系架橋剤等が用いられるが、特に後述する熱膨張性微小球が膨張する温度に加熱後、被着体からの剥離性及び糊残り防止性の面から、エポキシ系の架橋剤を用いることが好ましい。
【0013】
エポキシ系架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられ、常温での被着体との密着性及び熱膨張性微小球膨張後の剥離性の面で特に多官能性のもの、好ましくは4官能のエポキシ系架橋剤が好ましい。このようなものとしては、例えば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンが挙げられる。このエポキシ系架橋剤は、架橋反応速度が遅くなる傾向にあり、反応が不十分の場合、粘着剤層の凝集力が低くなり被着体表面に糊残り等が発生することがある。架橋反応を促進するために(1)アミン等の触媒を添加する、(2)粘着剤の構成成分としてアミン系官能基を持つ単量体を用いる、(3)架橋剤にアジリジン系架橋剤を併用する、等を行うことが望ましい。
【0014】
架橋剤を用いる場合は、前述した架橋剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。粘着剤成分と架橋剤成分のモル比は、100:1.0〜5.0の範囲である。この範囲より架橋剤成分の割合が少ないと被着体に糊残りなどが発生したり、被着体との剥離性が損なわれるし、この範囲を超えると常温付近での被着体との密着力が低下する。被着体への汚染防止、被着体との密着性及び剥離性の面から好ましい粘着剤成分と架橋剤成分のモル比は100:1.5〜3.0の範囲である。
【0015】
熱膨張性微小球としては、従来公知のもの、例えば、イソブタン、プロパン、ペンタン等の加熱により容易にガス化して膨張する物質を、弾性を有する殻内に内包させた微小球が挙げられる。この殻は、熱溶融性物質や熱膨張により破壊する物質で形成される場合が多い。殻を形成する物質として、例えば、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホン等が挙げられる。熱膨張性微小球は、例えばマイクロスフェア(商品名、松本油脂製薬社製)等の市販品もある。熱膨張性微小球の選択に際しては、使用する温度により最適な熱膨張温度のものを適宜選択すればよく、特に制限はないが、好ましくは熱膨張温度が、加工温度の25℃以上であるものを用いるのがよい。
加熱処理により粘着層の接着力を効率よく低下させるため、体積膨張率が5倍以上、好ましくは7倍以上、特に好ましくは10倍以上となるまで破裂しない適度な強度を有する熱膨張性微小球が好ましい。この熱膨張性微小球の大きさは平均粒径で7〜30μmの範囲から適宜選択するのがよい。この熱膨張性微小球は粒径の異なる2種以上を組合わせて用いることもできる。
【0016】
粘着体中の前記熱膨張性微小球と粘着剤成分との配合割合は、粘着剤成分100質量部に対し、熱膨張性微小球を10〜100質量部の範囲である。この範囲より熱膨張性微小球の配合量が少ないと熱膨張性微小球が膨張した後、被着体からの剥離性が低下するし、この範囲を超えると常温付近での被着体との密着力が低下する。被着体との密着性及び剥離性の面から好ましい熱膨張性微小球成分の配合割合は、粘着剤成分100重量部当り、15〜40質量部である。
【0017】
粘着体の製造方法は、前記した成分を適当な溶剤に溶解又は分散させて固形分濃度を10〜50質量%程度の粘着体形成塗工液を調製し、前記粘着体形成塗工液をセパレータの表面に、常法に従って、塗布、乾燥することにより、厚さ20〜100μmのシート状粘着体を得る。この範囲より層の厚さが厚いと、加熱処理後の剥離時に凝集破壊が起こり易くなるため、良好な剥離性が得られなくなるし、この範囲より薄いと、被着体との十分な密着力が得られなくなる。また、粘着剤層中に残っている溶剤の量(以下、残存溶剤量という)により粘着剤層と基材との密着性や熱膨張性微小球が膨張する温度以上に加熱後の被着体からの剥離性、糊残り性に悪影響を及ぼす場合がある。したがって、粘着剤層中の残存溶剤量は4質量%以下、1.5質量%以下とすることが好ましい。
【0018】
この際、粘着体形成塗工液には、従来慣用されている各種添加剤、例えば、粘着付与樹脂を含有させることができる。粘着付与樹脂成分としては、常温で液状及び/又は固形のものを本発明の物性が得られるように適宜選択すればよい。粘着付与樹脂としては、例えば、α−ピネン系、β−ピネン系、ジペンテン系、テルペンフェノール系等のテルペン系樹脂やガム系、ウッド系、トール油系等の天然系ロジン又はこれらに水素化、不均化、重合、マレイン化、エステル化等の処理をしたロジン系誘導体等のロジン系樹脂があげられ、これらの中でも、特に軟化点が80℃〜150℃の範囲であるものが好ましい。中でもテルペンフェノール系の粘着付与樹脂は、被着体への汚染、糊残りが少ないばかりか、50℃〜90℃の環境下での被着体との密着性に優れる、しかも熱膨張性微小球膨張後は、被着体から容易に剥離可能な粘着層を得ることができるので好ましい。この粘着付与樹脂成分の配合割合は、前記粘着剤成分100質量部に対し5〜100質量部の範囲である。この範囲より粘着付与樹脂成分の量が少ないと加熱時の発泡倍率が低くなるため被着体との密着性が低くならず、剥離しにくく、かつノリ残りを起こし易くなるし、この範囲を超えると被着体との初期密着力が低下し、メッキ処理工程中に被着体と粘着層との間にメッキ液がしみ込み易くなり、被着体を汚染する。また、加熱剥離時にノリ残りを生ずる。被着体との密着性と剥離性及び剥離時のノリ残りの面から、好ましい粘着性付与樹脂成分の配合割合は、粘着剤成分100重量部当り、10〜40質量部の範囲である。さらに、粘着体形成塗工液には、界面活性剤、潤滑剤、安定剤、粘度調整剤などの各種添加剤を添加することができる。
【0019】
本発明の積層体1つの態様(積層体A)は、前記粘着体の両面にフレキシブル性を有する樹脂層を設けたものである。前記樹脂層としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、セロハン、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、液晶ポリマーフィルム等の耐熱性を有する合成樹脂製フィルムが使用できる。この基材は、透明であっても、基材中に各種顔料や染料を配合して着色したものや、表面がマット状となっているものであってもよい。本発明においては、この樹脂層としては、ポリイミドやポリエチレンナフタレートなどからなる樹脂層が好ましい。該樹脂層の厚さは、通常35μm以下、特に6〜25μmの範囲である。
【0020】
本発明による積層体の他の態様(積層体B)は、粘着剤と熱膨張性微小球とを含有する粘着体層と、該粘着体層の両面に形成した樹脂層と、該樹脂層の外面に形成した導電体層からなる。
この積層体Bにおいて、該粘着体層及び該樹脂層の構成は、前記積層体Aの場合と同様である。この積層体Bにおける導電体層を構成する導電体としては、導電性を有する各種の材料(合金を含む金属や炭素、有機導電体)を使用することができる。このようなものとしては、例えば、金、白金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、錫、インジム、ビスマス、亜鉛、鉛、パラジウム、クロム、鉄、マンガン、マグネシウム、シリコン、ガリウム等の金属や半導体、これらの合金や、カーボンなどが挙げられる。好ましい導電体は、銅である。導電体層の厚さは、用途により適宜選択すればよいが、フレキシブル回路基板やTABなどに用いる場合は、通常1〜36μm程度、電磁波シールド材用として用いる場合は、通常10〜18μmの範囲である。
【0021】
本発明による積層体の他の態様(積層体C)は、粘着剤と熱膨張性微小球とを含有する粘着体層と、該粘着体層の両面に形成した樹脂層と、該樹脂層の外面に形成したパターン化された導電体層からなる。
この積層体(C)において、該粘着体、該樹脂層及び該導電体層の構成は、前記積層体(B)の場合と同様である。
この積層体(C)においては、該導電体層は、パターン化処理されていることを特徴とする。
【0022】
本発明による積層体のさらに他の態様(積層体D)は、粘着剤と熱膨張性微小球とを含有する粘着体層と、該粘着体層の両面に形成した導電体層からなる。
この積層体Dにおいて、該粘着体及び該導電体層の構成は、前記積層体Bの場合と同様である。
【0023】
次に、本発明の積層体A、B及びCの製造方法について詳述する。
積層体Aは、粘着体の両面に樹脂層を形成することによって製造することができる。この場合の粘着体両面に対する樹脂層の形成は、粘着体の両面に樹脂フィルムを積層接着する方法や、樹脂溶液を塗布し、乾燥する方法等の慣用の方法により実施することができる。
【0024】
本発明の積層体Bは、前記積層体Aの両面に導電体層を形成することによって製造することができる。この場合の該導電体層の形成は、慣用の導電化方法、例えば、導電体微粒子を含む塗工液を塗工し、乾燥する方法、導電体を蒸着する方法、導電体を化学めっきする方法、導電体をスパッタリングする方法、導電体フィルムを積層接着する方法等により、実施することができる。
【0025】
本発明の積層体Cは、前記積層体Aの両面に導電体層を形成し、次いで該導電体層をパターン化することによって製造することができる。この場合の導電層のパターン化は、従来公知の片面構造のフレキシブル回路基板の各種の方法、例えば、以下の方法を示すことができる。
(1)写真法:まず、導電層全面に液状感光剤を塗布、乾燥するか、または、感光性のドライフィルムを張り合わせる。導体パターン部分だけを露光、ついで現像を行ない、露光した個所に耐エッチング性被膜を残す。
続いて、エッチング液にて導体パターン部以外の露出不要導体を溶解除去し、最後にエッチングレジスト層を剥離、除去し、導体パターンを形成、露出させる。
(2)印刷法:前記(1)写真法にて用いられる感光剤の代わりに、耐エッチング性インキをスクリーン印刷にて、塗布、乾燥させる。続いて、エッチング工程及びレジスト剥離工程を行ない、導体パターンを形成、露出させる。
【0026】
前記導電体層に形成される導電体からなるパターンは、ネガ型であってもよいし、ポジ型であってもよく、所望する回路に応じて適宜選定される。
【0027】
本発明の積層体Dは、粘着体の両面に導電体層を形成することによって製造することができる。この場合の粘着体の両面に対する導電体層の形成は、前記積層体Bの製造方法について示した各種の導電化方法により実施することができる。
【0028】
本発明で用いる粘着体の説明断面図を図1に示す。
図1において、1は粘着体を示し、2は粘着剤及び3は熱膨張性微小球を示す。
【0029】
本発明の積層体Aの説明断面図を図2に示す。
図2において、1は粘着体、4は樹脂層(ポリイミドフィルム等)、5は積層体Aを示す。
【0030】
本発明の積層体Bの説明断面実施例を図3に示す。
図3において、1は粘着体、4は樹脂層、5は積層体A、6は導電体層、7は積層体Bを示す。
【0031】
本発明の積層体Cの説明断面図を図4に示す。
図4において、4は樹脂層、5は積層体A、6’は回路(パターン化された導電体)を示し、8はフレキシブル回路基板を示す。
【0032】
本発明の積層体Dの説明断面図を図5に示す。
図5において、1は粘着体、6は導電体層及び9は積層体Dを示す。
【0033】
従来の積層体の説明断面図を図6に示す。
図6において、1は粘着体、4は樹脂層、6は導電体層、10は高分子フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)を示す。
【0034】
次に、本発明の積層体A〜Dを用いてフレキシブル回路基板(以下、単に製品とも言う)を製造する方法について詳述する。
【0035】
積層体A(図2)を用いて製品を製造する場合、該積層体Aの両面に導電体層6を形成し、次いで該導電体層6をパターン化して導電体回路6’を形成した後、粘着体層1を加熱して該粘着体層中の熱膨張性微小球体3を膨張させる。その結果、粘着体層1と樹脂層4との間の界面が剥離し、樹脂4と導電体回路6’からなる2つの製品を得ることができる。
【0036】
前記粘着体層1の加熱は、積層体全体を加熱装置やオーブン等で加熱することによって実施し得る他、該粘着体層中にあらかじめ鉄粉等の金属粉を充填しておき、これに交番磁場を加え、該金属粉を発熱させる方法(誘電加熱)や、該粘着体中にフェライト等の強磁性体粉末を充填しておき、これにマイクロ波を加え、該磁性体を発熱させる方法等によっても実施することができる。
【0037】
積層体B(図3)を用いて製品を製造する場合、導電体層6をパターン化して導電体回路6’を形成した後、粘着体層1を加熱して該粘着体層中の熱膨張性微小球体3を膨張させる。その結果、粘着体層1と樹脂層4との間の界面が剥離し、樹脂4と導電体回路6’からなる2つの製品を得ることができる。
【0038】
積層体C(図4)を用いて製品を製造する場合、粘着体層1を加熱して該粘着体層中の熱膨張性微小球体3を膨張させる。その結果、粘着体層1と樹脂層4との間の界面が剥離し、樹脂4と導電体回路6’からなる2つの製品を得ることができる。
【0039】
積層体D(図5)を用いて製品を製造する場合、該導電体層6をパターン化して導電体回路6’を形成した後、該導電体回路6’上に樹脂層4を形成し、次いで粘着体層1を加熱して該粘着体層中の熱膨張性微小球体3を膨張させる。その結果、粘着体層1と導電体層6との間の界面が剥離し、樹脂4と導電体回路6’からなる2つの製品を得ることができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、図6に示す積層体を用いる従来の方法に比べて、2倍の生産量で製品を得ることができる。従って、本発明によれば、製品コストを大幅に低減させることができる。
本発明により得られるフレキシブル回路基板は、従来品と同様の用途、例えば、HDDのワイヤレスサスペンション、CSPやMCMのインターポーザ、各種フラットパネルディスプレイ等のドライバーに用いられる。
【0041】
【実施例】
次に本発明について実施例によりさらに詳述する。
【0042】
参考例1
(粘着体の製造方法)
アクリル系粘着剤(アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸からなる共重合体。重量平均分子量27万、ガラス転移温度−31℃、酸価46mgKOH/g)35質量部、架橋剤(N,N,’N,’N−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン)0.2質量部、熱膨張性微小球(製品名:マイクロスフィアF−50D、松本油脂製薬社製、)8.8質量部、粘着付与樹脂A(テルペンフェノール樹脂、軟化点125℃、水酸基価200)10.5質量部、トルエン42質量部を均一に混合、溶解し、粘着体形成塗工液を調製した。この塗工液を厚さ100μmの離型処理したポリエチレンテレフタレートシートの離型処理面上にベーカー式アプリケーターにて塗布し、80℃で3分間加熱乾燥し厚さ50μmの粘着体を作製した。
【0043】
実施例1
図2は、本発明の積層体Aを示す断面図である。この積層体5(積層体A)は、前記粘着体1の両面に厚さ25μmのポリイミドフィルム4を積層したものである。積層体5のポリイミドフィルムと粘着剤層との初期密着力は20N/mmであった。
また、図5は、この樹脂層に代え、導電体層6を積層するものである。
【0044】
図3は、本発明の積層体Aの表面に無電解メッキ処理をし、導電体層として銅層6を形成した積層体Bを示す断面図である。銅層6の厚さは1〜15μmの範囲である。この無電解メッキ処理においては、粘着体1とポリイミドフィルム4との間にメッキ液のしみ込みは見られなかった。
また、この得られたものをオーブンで120℃、1分間加熱後、室温まで冷却後、剥離したところ、ノリ残りなく、該粘着体1と該樹脂層4との間を剥離することができた。
【0045】
図4は、積層体B(図3)の銅層6に回路6’を形成した積層体Cを示す断面図である。回路の形成方法としては、スクリーン印刷法、ドライフィルム/写真法、液体レジスト/写真法等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粘着体を示す断面図を示す。
【図2】本発明の積層体Aを示す断面図を示す。
【図3】本発明の積層体Bを示す断面図を示す。
【図4】本発明の積層体Cを示す断面図を示す。
【図5】本発明の積層体Dを示す断面図を示す。
【図6】従来のキャリアフィルムを用いて製造した積層板を示す断面図を示す。
【符号の説明】
1 粘着体
2 粘着剤
3 熱膨張性微小球
4 樹脂層
5 積層体A
6 導電体層
6’ 導電体回路
7 積層体B
8 フレキシブル回路基板
10 高分子フィルム(キャリアフィルム)
Claims (11)
- 粘着剤と熱膨張性微小球とを含有する粘着体層と、該粘着体層の両面に形成した樹脂層からなる積層体における該樹脂層の外面に導電体層を形成し、該導電体層をパターン化した後、該粘着体層を加熱して該微小球を膨張させて該粘着体層と該樹脂層との間を剥離させることを特徴とするフレキシブル回路基板の製造方法。
- 粘着剤と熱膨張性微小球とを含有する粘着体層と、該粘着体層の両面に形成した樹脂層と、該樹脂層の外面に形成した導電体層からなる積層体における該導電体層をパターン化した後、該粘着体層を加熱して該微小球を膨張させて該粘着体層と該樹脂層との間を剥離させることを特徴とするフレキシブル回路基板の製造方法。
- 粘着剤と熱膨張性微小球とを含有する粘着体層と、該粘着体層の両面に形成した樹脂層と、該樹脂層の外面に形成したパターン化された導電層からなる積層体における該粘着体層を加熱して該微小球を膨張させて該粘着体層と該樹脂層との間を剥離させることを特徴とするフレキシブル回路基板の製造方法。
- 粘着剤と熱膨張性微小球とを含有する粘着体層と、該粘着体層の両面に形成した導電体層からなる積層体における該導電体層をパターン化した後、該導電体層外面に樹脂層を形成し、次いで該粘着体層を加熱して該微小球を膨張させて該粘着体層と該導電体層との間を剥離させることを特徴とするフレキシブル回路基板の製造方法。
- 該導電体層が、銅からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- フレキシブル回路基板製造用積層体であって、粘着剤と熱膨張性微小球とを含有する粘着体層と、該粘着体層の両面に形成した樹脂層からなることを特徴とする積層体。
- フレキシブル回路基板製造用積層体であって、粘着剤と熱膨張性微小球とを含有する粘着体層と、該粘着体層の両面に形成した樹脂層と、該樹脂層の外面に形成した導電体層からなることを特徴とする積層体。
- フレキシブル回路基板製造用積層体であって、粘着剤と熱膨張性微小球とを含有する粘着体層と、該粘着体層の両面に形成した樹脂層と、該樹脂層の外面に形成したパターン化された導電体層からなることを特徴とする積層体。
- 該樹脂層が、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリーテルエーテルケトン及び液晶ポリマーフィルムの少なくとも1種からなることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の積層体。
- フレキシブル回路基板製造用積層体であって、粘着剤と熱膨張性微小球とを含有する粘着体層と、該粘着体層の両面に形成した導電体層からなることを特徴とする積層体。
- 該導電体層が、銅からなることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の積層体。
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