JP2004316352A - 緑化用法面構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】法面に配置された植生基盤材の侵食を効果的に防止できる緑化用法面構造を提供すること。
【解決手段】長尺木材11を格子状に組み立てた木製ネット1と、前記木製ネット1を法面5に固定するアンカーピン2と、前記木製ネット1を覆土する植生基盤材4と、からなり、複数の前記木製ネット1,1を曲折可能に連結して法面5に配置したことを特徴とするものである。ここで、複数配置した前記木製ネット1,1,・・・,1の上面は、網目材3で覆うことができる。
【選択図】 図3
【解決手段】長尺木材11を格子状に組み立てた木製ネット1と、前記木製ネット1を法面5に固定するアンカーピン2と、前記木製ネット1を覆土する植生基盤材4と、からなり、複数の前記木製ネット1,1を曲折可能に連結して法面5に配置したことを特徴とするものである。ここで、複数配置した前記木製ネット1,1,・・・,1の上面は、網目材3で覆うことができる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、法面に植生基盤材を配置して緑化をおこなう緑化用法面構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から掘削した切土法面を緑化するために、斜面に客土などの植生基盤材を吹き付ける緑化用法面構造が構築されている。特に、岩盤法面やモルタル吹き付け法面のように急勾配で、植物が育成する土壌が法面にほとんど存在しない場合は、コンクリート製の法枠や、金網などを使用して製作した植生基盤材の保持部材を法面に配置し、植生基盤材をできるだけ厚く配置する工夫がなされている。
本願の出願人においても、法面にセメント系の法枠を構築する方法(特許文献1)、金網製の植生基盤保持枠を使用する構造(特許文献2)、間伐材を有効利用する方法(特許文献3及び4)など様々な発明をしている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−329543号公報
【特許文献2】
特開2003−41591号公報
【特許文献3】
特開2002−371561号公報
【特許文献4】
特開2003−41594号公報
【0004】
一方、シラス土壌の法面や、トンネルなどを構築するために地中を掘削して排出された排土からなる盛土法面などは、法面勾配が緩やかであっても、植物が育成するだけの有効な土壌成分が含まれておらず、植生基盤材を薄く吹き付けただけの簡易な植生工法では緑化することが難しい。このため、急勾配斜面と同様に断面の大きなコンクリート製の法枠や、高価な部材を使用して法面を緑化することになる。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】
前記した従来の緑化用法面構造にあっては、次のような問題点がある。
<イ>特殊な部材で法枠を構築したり、断面の大きな法枠を構築したりすると、工事費が高くなる。
<ロ>法面を押さえる法枠や間伐材の間隔が広い場合は、その間に配置された植生基盤材が降雨、表流水、表層水又は凍結凍上作用によって侵食されることがある。また、金網のように線で保持する場合にも同様の問題が生じる場合がある。
<ハ>コンクリート、金網及び金属製の金具は、分解されない材料であり、法面が緑化された後も法面に残ることになる。
【0006】
【本発明の目的】
本発明は上記したような従来の問題を解決するためになされたもので、法面に配置された植生基盤材の侵食を効果的に防止できる緑化用法面構造を提供することを目的とする。
また、安価な材料で簡単に構築できる緑化用法面構造を提供することを目的とする。
さらに、使用開始後に年月を経ることによって腐食化し、緑化された法面と一体になることができる緑化用法面構造を提供することを目的とする。
本発明は、これらの目的の少なくとも一つを達成するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明の緑化用法面構造は、長尺木材を格子状に組み立てた木製ネットと、前記木製ネットを法面に固定するアンカーピンと、前記木製ネットの格子内部に充填する植生基盤材と、からなり、複数の前記木製ネットを剛結合することなく法面に配置したことを特徴とするものである。ここで、植生基盤材は木製ネットを被覆して覆土するように配置するのが好ましい。また、隣り合う複数の前記木製ネット同士を剛結合することなく法面に配置した構造とは、木製ネット間を連結せずに個々に独立させた構造や、木製ネット間を曲折可能に連結した構造をいう。
また、複数配置した前記木製ネットの上面を網目材で覆うこともできる。網目材は、木製ネットと同じアンカーピン、又は別途設置したアンカーピンで固定することができる。
さらに、前記木製ネットを構成する長尺木材の断面高さは5cm以下にすることが好ましい。例えば横断面が四角形の長尺木材を使用する場合は、一辺を5cm以下にすることが好ましい。
また、前記木製ネットに袋体に充填した遅効性肥料を取り付けることもできる。
【0008】
【本発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0009】
<イ>木製ネット(図1)
木製ネット1は、棒状に製材した木製の長尺木材11を複数本使用し、長尺木材11,11同士が交差するように組み立てたパネル状の部材である。
木製ネット1は、作業員が一人で法面5に運搬し、設置できる程度の大きさが好ましい。例えば、断面高さが5cm以下となるように製材した長尺木材11を使用し、縦方向と横方向に30〜50cmの間隔を置いて長尺木材11を並べ、格子状に組み立てる。組み立てた木製ネット1の外形から算出される見かけの平面積は5m2以下、好ましくは4m2前後にする。例えば、木製ネット1の一辺の長さを2m程度以下にすると運搬し易い。木製ネット1の製作は工場で行うことが適しているため、運搬し易い形状に成形するのが好ましい。
長尺木材11,11同士の交差部は、例えば互いに断面の半分ほどを切り欠いて組み合わせる組手に形成することができる。また、交差部は、釘やL型金具などの接合金具を使用して補強してもよい。なお、交差部の構造は以上に述べた構造に限定されるものではなく、公知の交差部の構造が採用できる。
また、長尺木材11の横断面は、図1に示したような四角形に限定されるものではなく、三角形、多角形又は円形などの断面を有する長尺木材11が使用できる。また、複数の長尺木材11を組み立てた全体形状も、図1に示したような略四角形状に限定されるものではなく、三角形状や六角形状に成形することもできる。
【0010】
製材した長尺木材11で製作した木製ネット1は、水分を素早く吸収し取り込むことができるため、吸水性能及び保水性能に優れ、シラス土壌、荒廃地土壌又は土壌の無い法面5での植物の育成を助けることができる。また、木製ネット1は、施工後3年間程度は法枠としての機能を発揮し、小径の落石を防止する効果や法面5の侵食防止効果が期待できる。また、その後、徐々に腐食化して植物の栄養として変化してゆき、最後には土壌となって法面5と一体化する。
また、木製ネット1には、袋体に充填した遅効性肥料6を取り付けることができる(図5参照)。袋体には織布、不織布又はネットなどの透過性材料を使用することができる。遅効性肥料6は、木製ネット1を構成する長尺木材11に沿うように取り付けたり(図5左右部)、長尺木材11から紐などでぶら下げるように取り付けたり(図5中央部)することができる。
【0011】
<ロ>連結部
本発明では、複数の木製ネット1を法面5上に並べて使用する。隣り合う木製ネット1,1同士は必ずしも連結する必要はない。連結しない場合は、木製ネット1に連結部12を設ける必要はない。木製ネット1,1の端面間には隙間があってもよい。また、曲折可能に連結することもできる。木製ネット1自体は平板状で曲がらないため、木製ネット1,1間の連結を剛結合にした場合、連結した木製ネット1の枚数分の平面が形成される。これに対して法面5は、凹凸やうねりや曲面などがあり、完全な平面を形成できることはほとんど無い。このため、木製ネット1,1間を剛結合にした場合は法面5との間に隙間ができ、侵食の原因ともなる。そこで、木製ネット1,1間を連結しないか、または曲折可能に連結しておけば、1枚1枚は平らなパネルであってもそれほど面積が大きくないため、木製ネット1,1,・・・,1を法面5の形状に合わせて密着させることができる。
ここで、図4を参照しながら曲折可能な連結方法について例示する。例えば図4(a)は、長尺木材11の長手方向の端部に凸状のほぞ12aと、凹状の穴12bを形成して組み合わせた実施例である。連結部12としてほぞ12aや穴12bを使用する場合は、ほぞ12aよりも差し込まれる穴12bの大きさを大きくしておく。こうすることで、穴12bの遊びの中で、ほぞ12aは自由に移動することができ、結果として曲折可能な連結となる。
また、図4(b)は、長尺木材11の長手方向の端部に埋め込んだフック状の金具12cと、フックを係合する金具12dを組み合わせて、回動可能に連結する実施例である。このように回動可能に連結すれば、木製ネット1,1間は自由に折り曲げることができる。
さらに別の連結構造として、木製ネット1,1間をヒンジ結合した構造や、針金などの曲がり易い線材で連結した構造も採用できる。
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の緑化用法面構造の構築方法について説明する。
【0013】
<イ>木製ネットの設置
法面5上に木製ネット1を設置する。木製ネット1は、細い長尺木材11を組み合わせて製作するため、軽量であり、法面5の設置位置まで人力で運ぶことができる。また、木製ネット1は工場で大量に製作することができるので、現場での施工の省力化に繋がる。
法面5に設置した木製ネット1は、アンカーピン2で法面5に固定する。アンカーピン2は法面5に打設して法面5上に設置した部材を固定する棒状部材であり、公知のものが使用できる。また、鉄筋やロックボルトや中空ボルトなどもアンカーピン2として使用できる。木製ネット1は軽量パネルであるため、アンカーピン2で数箇所留めるだけで固定することができる。
木製ネット1の左右方向又は上下方向の隣には木製ネット1を設置する(図2参照)。木製ネット同士1,1を連結させる場合は、連結部12を介して曲折可能に連結させる。
【0014】
<ロ>網目材の配置(図3)
木製ネット1を敷き並べた上面は、必要に応じて網目材3で覆う。網目材3は、植生基盤材4を後から木製ネット1の枠内に充填できる程度の網目を有するシート材で、金網、ラス網、エキスパンドメタルなどが使用できる。網目材3は木製ネット1を固定するために打設したアンカーピン2の頭部で固定することができる。この場合は、木製ネット1を固定するときは仮止めとし、網目材3を敷設した後に網目材3と木製ネット1を一緒に固定することができる。また、別途、網目材3を固定するためにアンカーピン2を打設することもできる。
網目材3を複数の木製ネット1,1,・・・,1に跨って覆うように配置することで、個々の木製ネット1,1,・・・,1を一体化することができる。すなわち、網目材3で木製ネット1,1,・・・,1を一度に法面5に押し付けることができるので、木製ネット1,1,・・・,1同士の一体感が増し、面的に法面5を保護することができる。また、網目材3には、吸水・乾燥などによって変形し易い木製ネット1の形状を拘束する効果もある。さらに、網目材3を配置することで植生基盤材4の保持機能も増すことが期待できる。
なお、網目材3は必須要件ではなく、例えば法面5の角度が40度以下の緩やかな法面5においては省略することができる。
【0015】
<ハ>植生基盤材の配置
植生基盤材4は、植物の生育に必要な材料をいい、客土、肥料、砂利、木質繊維、侵食防止剤やこれらを混合したもの等が該当する。植生基盤材4には種子を混合しておくことも出来る。
植生基盤材4は、吹付けホース41で吹付けるなどして木製ネット1の枠内に充填する。木製ネット1の升目は、1辺が30〜50cmと従来の法枠工法に比べて狭いため、充填された植生基盤材4を短い間隔で保持することができる。例えば、降雨や湧き水によって法面5に表流水が流下しても、短い間隔で長尺木材11に衝突するため、流速が減衰し、配置された植生基盤材4の侵食を防ぐことができる。
また、植生基盤材4は、木製ネット1を被覆して覆い隠すように木製ネット1,1,・・・,1を設置した法面全体に配置するのが好ましい(図3参照)。このように植生基盤材4で木製ネット1,1,・・・,1を覆土することで、木製ネット1が法面に露出せず、法面5全体を緑化することができる。
【0016】
【本発明の効果】
本発明の緑化用法面構造は、以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ>従来の法枠に比べて短い間隔で枠部材(長尺木材)が配置され、金網などの線材に比べて保持部材(長尺木材)の面積が広いため、法面に配置された植生基盤材の侵食を効果的に防止できる。
<ロ>使用する長尺木材は間伐材などから製作できるため、材料費が安価である。また、パネルを嵌めるようにして木製ネットを設置すればよいので、簡単に緑化用法面構造を構築できる。
<ハ>法面に設置した木製ネットは、時間の経過によって腐食化が進行し、最終的には緑化された法面と一体になることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する木製ネットの実施例の斜視図。
【図2】本発明の緑化用法面構造の構築方法を示した実施例の説明図。
【図3】本発明の緑化用法面構造の実施例の断面図。
【図4】(a)木製ネットの連結部をほぞと穴で構成した実施例の拡大説明図。(b)木製ネットの連結部をヒンジ結合とした実施例の拡大説明図。
【図5】遅効性肥料を取り付けた木製ネットの実施例の斜視図。
【符号の説明】
1・・・木製ネット
11・・長尺木材
12・・連結部
2・・・アンカーピン
3・・・網目材
4・・・植生基盤材
5・・・法面
6・・・遅効性肥料
【発明の属する技術分野】
本発明は、法面に植生基盤材を配置して緑化をおこなう緑化用法面構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から掘削した切土法面を緑化するために、斜面に客土などの植生基盤材を吹き付ける緑化用法面構造が構築されている。特に、岩盤法面やモルタル吹き付け法面のように急勾配で、植物が育成する土壌が法面にほとんど存在しない場合は、コンクリート製の法枠や、金網などを使用して製作した植生基盤材の保持部材を法面に配置し、植生基盤材をできるだけ厚く配置する工夫がなされている。
本願の出願人においても、法面にセメント系の法枠を構築する方法(特許文献1)、金網製の植生基盤保持枠を使用する構造(特許文献2)、間伐材を有効利用する方法(特許文献3及び4)など様々な発明をしている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−329543号公報
【特許文献2】
特開2003−41591号公報
【特許文献3】
特開2002−371561号公報
【特許文献4】
特開2003−41594号公報
【0004】
一方、シラス土壌の法面や、トンネルなどを構築するために地中を掘削して排出された排土からなる盛土法面などは、法面勾配が緩やかであっても、植物が育成するだけの有効な土壌成分が含まれておらず、植生基盤材を薄く吹き付けただけの簡易な植生工法では緑化することが難しい。このため、急勾配斜面と同様に断面の大きなコンクリート製の法枠や、高価な部材を使用して法面を緑化することになる。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】
前記した従来の緑化用法面構造にあっては、次のような問題点がある。
<イ>特殊な部材で法枠を構築したり、断面の大きな法枠を構築したりすると、工事費が高くなる。
<ロ>法面を押さえる法枠や間伐材の間隔が広い場合は、その間に配置された植生基盤材が降雨、表流水、表層水又は凍結凍上作用によって侵食されることがある。また、金網のように線で保持する場合にも同様の問題が生じる場合がある。
<ハ>コンクリート、金網及び金属製の金具は、分解されない材料であり、法面が緑化された後も法面に残ることになる。
【0006】
【本発明の目的】
本発明は上記したような従来の問題を解決するためになされたもので、法面に配置された植生基盤材の侵食を効果的に防止できる緑化用法面構造を提供することを目的とする。
また、安価な材料で簡単に構築できる緑化用法面構造を提供することを目的とする。
さらに、使用開始後に年月を経ることによって腐食化し、緑化された法面と一体になることができる緑化用法面構造を提供することを目的とする。
本発明は、これらの目的の少なくとも一つを達成するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明の緑化用法面構造は、長尺木材を格子状に組み立てた木製ネットと、前記木製ネットを法面に固定するアンカーピンと、前記木製ネットの格子内部に充填する植生基盤材と、からなり、複数の前記木製ネットを剛結合することなく法面に配置したことを特徴とするものである。ここで、植生基盤材は木製ネットを被覆して覆土するように配置するのが好ましい。また、隣り合う複数の前記木製ネット同士を剛結合することなく法面に配置した構造とは、木製ネット間を連結せずに個々に独立させた構造や、木製ネット間を曲折可能に連結した構造をいう。
また、複数配置した前記木製ネットの上面を網目材で覆うこともできる。網目材は、木製ネットと同じアンカーピン、又は別途設置したアンカーピンで固定することができる。
さらに、前記木製ネットを構成する長尺木材の断面高さは5cm以下にすることが好ましい。例えば横断面が四角形の長尺木材を使用する場合は、一辺を5cm以下にすることが好ましい。
また、前記木製ネットに袋体に充填した遅効性肥料を取り付けることもできる。
【0008】
【本発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0009】
<イ>木製ネット(図1)
木製ネット1は、棒状に製材した木製の長尺木材11を複数本使用し、長尺木材11,11同士が交差するように組み立てたパネル状の部材である。
木製ネット1は、作業員が一人で法面5に運搬し、設置できる程度の大きさが好ましい。例えば、断面高さが5cm以下となるように製材した長尺木材11を使用し、縦方向と横方向に30〜50cmの間隔を置いて長尺木材11を並べ、格子状に組み立てる。組み立てた木製ネット1の外形から算出される見かけの平面積は5m2以下、好ましくは4m2前後にする。例えば、木製ネット1の一辺の長さを2m程度以下にすると運搬し易い。木製ネット1の製作は工場で行うことが適しているため、運搬し易い形状に成形するのが好ましい。
長尺木材11,11同士の交差部は、例えば互いに断面の半分ほどを切り欠いて組み合わせる組手に形成することができる。また、交差部は、釘やL型金具などの接合金具を使用して補強してもよい。なお、交差部の構造は以上に述べた構造に限定されるものではなく、公知の交差部の構造が採用できる。
また、長尺木材11の横断面は、図1に示したような四角形に限定されるものではなく、三角形、多角形又は円形などの断面を有する長尺木材11が使用できる。また、複数の長尺木材11を組み立てた全体形状も、図1に示したような略四角形状に限定されるものではなく、三角形状や六角形状に成形することもできる。
【0010】
製材した長尺木材11で製作した木製ネット1は、水分を素早く吸収し取り込むことができるため、吸水性能及び保水性能に優れ、シラス土壌、荒廃地土壌又は土壌の無い法面5での植物の育成を助けることができる。また、木製ネット1は、施工後3年間程度は法枠としての機能を発揮し、小径の落石を防止する効果や法面5の侵食防止効果が期待できる。また、その後、徐々に腐食化して植物の栄養として変化してゆき、最後には土壌となって法面5と一体化する。
また、木製ネット1には、袋体に充填した遅効性肥料6を取り付けることができる(図5参照)。袋体には織布、不織布又はネットなどの透過性材料を使用することができる。遅効性肥料6は、木製ネット1を構成する長尺木材11に沿うように取り付けたり(図5左右部)、長尺木材11から紐などでぶら下げるように取り付けたり(図5中央部)することができる。
【0011】
<ロ>連結部
本発明では、複数の木製ネット1を法面5上に並べて使用する。隣り合う木製ネット1,1同士は必ずしも連結する必要はない。連結しない場合は、木製ネット1に連結部12を設ける必要はない。木製ネット1,1の端面間には隙間があってもよい。また、曲折可能に連結することもできる。木製ネット1自体は平板状で曲がらないため、木製ネット1,1間の連結を剛結合にした場合、連結した木製ネット1の枚数分の平面が形成される。これに対して法面5は、凹凸やうねりや曲面などがあり、完全な平面を形成できることはほとんど無い。このため、木製ネット1,1間を剛結合にした場合は法面5との間に隙間ができ、侵食の原因ともなる。そこで、木製ネット1,1間を連結しないか、または曲折可能に連結しておけば、1枚1枚は平らなパネルであってもそれほど面積が大きくないため、木製ネット1,1,・・・,1を法面5の形状に合わせて密着させることができる。
ここで、図4を参照しながら曲折可能な連結方法について例示する。例えば図4(a)は、長尺木材11の長手方向の端部に凸状のほぞ12aと、凹状の穴12bを形成して組み合わせた実施例である。連結部12としてほぞ12aや穴12bを使用する場合は、ほぞ12aよりも差し込まれる穴12bの大きさを大きくしておく。こうすることで、穴12bの遊びの中で、ほぞ12aは自由に移動することができ、結果として曲折可能な連結となる。
また、図4(b)は、長尺木材11の長手方向の端部に埋め込んだフック状の金具12cと、フックを係合する金具12dを組み合わせて、回動可能に連結する実施例である。このように回動可能に連結すれば、木製ネット1,1間は自由に折り曲げることができる。
さらに別の連結構造として、木製ネット1,1間をヒンジ結合した構造や、針金などの曲がり易い線材で連結した構造も採用できる。
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の緑化用法面構造の構築方法について説明する。
【0013】
<イ>木製ネットの設置
法面5上に木製ネット1を設置する。木製ネット1は、細い長尺木材11を組み合わせて製作するため、軽量であり、法面5の設置位置まで人力で運ぶことができる。また、木製ネット1は工場で大量に製作することができるので、現場での施工の省力化に繋がる。
法面5に設置した木製ネット1は、アンカーピン2で法面5に固定する。アンカーピン2は法面5に打設して法面5上に設置した部材を固定する棒状部材であり、公知のものが使用できる。また、鉄筋やロックボルトや中空ボルトなどもアンカーピン2として使用できる。木製ネット1は軽量パネルであるため、アンカーピン2で数箇所留めるだけで固定することができる。
木製ネット1の左右方向又は上下方向の隣には木製ネット1を設置する(図2参照)。木製ネット同士1,1を連結させる場合は、連結部12を介して曲折可能に連結させる。
【0014】
<ロ>網目材の配置(図3)
木製ネット1を敷き並べた上面は、必要に応じて網目材3で覆う。網目材3は、植生基盤材4を後から木製ネット1の枠内に充填できる程度の網目を有するシート材で、金網、ラス網、エキスパンドメタルなどが使用できる。網目材3は木製ネット1を固定するために打設したアンカーピン2の頭部で固定することができる。この場合は、木製ネット1を固定するときは仮止めとし、網目材3を敷設した後に網目材3と木製ネット1を一緒に固定することができる。また、別途、網目材3を固定するためにアンカーピン2を打設することもできる。
網目材3を複数の木製ネット1,1,・・・,1に跨って覆うように配置することで、個々の木製ネット1,1,・・・,1を一体化することができる。すなわち、網目材3で木製ネット1,1,・・・,1を一度に法面5に押し付けることができるので、木製ネット1,1,・・・,1同士の一体感が増し、面的に法面5を保護することができる。また、網目材3には、吸水・乾燥などによって変形し易い木製ネット1の形状を拘束する効果もある。さらに、網目材3を配置することで植生基盤材4の保持機能も増すことが期待できる。
なお、網目材3は必須要件ではなく、例えば法面5の角度が40度以下の緩やかな法面5においては省略することができる。
【0015】
<ハ>植生基盤材の配置
植生基盤材4は、植物の生育に必要な材料をいい、客土、肥料、砂利、木質繊維、侵食防止剤やこれらを混合したもの等が該当する。植生基盤材4には種子を混合しておくことも出来る。
植生基盤材4は、吹付けホース41で吹付けるなどして木製ネット1の枠内に充填する。木製ネット1の升目は、1辺が30〜50cmと従来の法枠工法に比べて狭いため、充填された植生基盤材4を短い間隔で保持することができる。例えば、降雨や湧き水によって法面5に表流水が流下しても、短い間隔で長尺木材11に衝突するため、流速が減衰し、配置された植生基盤材4の侵食を防ぐことができる。
また、植生基盤材4は、木製ネット1を被覆して覆い隠すように木製ネット1,1,・・・,1を設置した法面全体に配置するのが好ましい(図3参照)。このように植生基盤材4で木製ネット1,1,・・・,1を覆土することで、木製ネット1が法面に露出せず、法面5全体を緑化することができる。
【0016】
【本発明の効果】
本発明の緑化用法面構造は、以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ>従来の法枠に比べて短い間隔で枠部材(長尺木材)が配置され、金網などの線材に比べて保持部材(長尺木材)の面積が広いため、法面に配置された植生基盤材の侵食を効果的に防止できる。
<ロ>使用する長尺木材は間伐材などから製作できるため、材料費が安価である。また、パネルを嵌めるようにして木製ネットを設置すればよいので、簡単に緑化用法面構造を構築できる。
<ハ>法面に設置した木製ネットは、時間の経過によって腐食化が進行し、最終的には緑化された法面と一体になることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する木製ネットの実施例の斜視図。
【図2】本発明の緑化用法面構造の構築方法を示した実施例の説明図。
【図3】本発明の緑化用法面構造の実施例の断面図。
【図4】(a)木製ネットの連結部をほぞと穴で構成した実施例の拡大説明図。(b)木製ネットの連結部をヒンジ結合とした実施例の拡大説明図。
【図5】遅効性肥料を取り付けた木製ネットの実施例の斜視図。
【符号の説明】
1・・・木製ネット
11・・長尺木材
12・・連結部
2・・・アンカーピン
3・・・網目材
4・・・植生基盤材
5・・・法面
6・・・遅効性肥料
Claims (5)
- 長尺木材を格子状に組み立てた木製ネットと、
前記木製ネットを法面に固定するアンカーピンと、
前記木製ネットの格子内部に充填する植生基盤材と、からなり、
複数の前記木製ネットを剛結合することなく法面に配置したことを特徴とする、緑化用法面構造。 - 長尺木材を格子状に組み立てた木製ネットと、
前記木製ネットを法面に固定するアンカーピンと、
前記木製ネットを覆土する植生基盤材と、からなり、
複数の前記木製ネットを剛結合することなく法面に配置したことを特徴とする、緑化用法面構造。 - 複数配置した前記木製ネットの上面を網目材で覆うことを特徴とする、請求項1又は2記載の緑化用法面構造。
- 前記木製ネットを構成する長尺木材の断面高さが5cm以下であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の緑化用法面構造。
- 前記木製ネットに袋体に充填した遅効性肥料を取り付けたことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の緑化用法面構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003114727A JP2004316352A (ja) | 2003-04-18 | 2003-04-18 | 緑化用法面構造 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003114727A JP2004316352A (ja) | 2003-04-18 | 2003-04-18 | 緑化用法面構造 |
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JP2004316352A true JP2004316352A (ja) | 2004-11-11 |
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ID=33474213
Family Applications (1)
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JP2003114727A Pending JP2004316352A (ja) | 2003-04-18 | 2003-04-18 | 緑化用法面構造 |
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JP (1) | JP2004316352A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111758431A (zh) * | 2020-06-30 | 2020-10-13 | 浙江久核地质生态环境规划设计有限公司 | 一种适用于不平整陡立边坡的复绿结构 |
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2003
- 2003-04-18 JP JP2003114727A patent/JP2004316352A/ja active Pending
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CN111758431A (zh) * | 2020-06-30 | 2020-10-13 | 浙江久核地质生态环境规划设计有限公司 | 一种适用于不平整陡立边坡的复绿结构 |
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