JP2004316030A - 有機繊維集束糸の製造方法及びその集束糸 - Google Patents

有機繊維集束糸の製造方法及びその集束糸 Download PDF

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Abstract

【課題】表面積の大きな有機単繊維を束ねたマルチフィラメント内部に樹脂を充分に含浸させる方法であり、投入時や攪拌・練混における繊維の飛散、作業環境の悪化、繊維歩留まりの悪化などを防ぎ、更には、攪拌・練混ぜ後の分散斑やファイバーボールの発生を防止する有機繊維束を提供する。
【解決手段】扁平率5〜20の有機単繊維を複数本束ねたマルチフィラメントに水溶性樹脂を集束剤として付与する方法において、第一の樹脂浴と第二の樹脂浴を用いてディップ・ニップ法によって集束剤を付与するとともに、第二の樹脂液の粘度を第一の樹脂液粘度以上の粘度で付与することを特徴とする有機繊維集束糸の製造方法である。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抄紙や短繊維湿式不織布の分野、水硬性硬化材料などのマトリックスの補強材の分野、強化プラスチックスにおける補強材の分野などで好適な有機繊維集束糸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
抄紙、湿式不織布などの製造において、短繊維と熱融着短繊維を水中で混合して製造する方法がある。この場合、短繊維は熱融着短繊維とともにパルパーやビーターなどの機械に投入されるが、投入される短繊維に付与されている油剤は保管中に移行して一部の繊維は、乾いた状態になる場合がある。かかる繊維は投入時に周りに飛散し易く、作業性、製造性の点で問題がある。また、短繊維が単糸繊度10dtex以下のポリエチレン繊維などの場合、剛性が小さく容易に隣接する繊維と絡み合い、ファイバーボールが発生し易くなり、不織布の斑になる。
また、セメント構造物の補強に使用される場合、短繊維はセメントや砂、あるいは砂利などと一緒に攪拌されるので、繊維はファイバーボールに成り易い問題がある。この解決策としてポリプロピレン繊維の水溶性集束剤による集束糸を用いてセメント中での分散性を向上させる提案がなされている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7‐291690号公報(請求項1など)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、湿式抄紙、湿式不織布や繊維補強セメント構造材などに使用する短繊維において、表面積の大きな単繊維を束ねたマルチフィラメント内部に樹脂を含浸させる方法に関するものであり、投入時や攪拌・練混において繊維が飛散し、作業環境の悪化や繊維歩留まりの悪化を防ぎ、更には、攪拌・練混ぜ後に分散斑やファイバーボールの発生という課題を解決しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の構成を採用するものである。すなわち、
1.扁平率5〜20の有機単繊維を複数本束ねたマルチフィラメントに水溶性樹脂を集束剤として付与する方法において、第一の樹脂浴と第二の樹脂浴を用いてディップ・ニップ法によって集束剤を付与するとともに、第二の樹脂液の粘度を第一の樹脂浴粘度以上の粘度で付与することを特徴とする有機繊維集束糸の製造方法。
2.第一の樹脂浴でのディップ・ニップの後に、乾燥工程で水溶性樹脂を固化させた後に、第二の樹脂浴にディップ・ニップさせ、次いで第二の乾燥工程を通すことを特徴とする第1記載の有機繊維集束糸の製造方法。
3.第1または2記載の方法で得られ、有機繊維の物性が、引張強度が10cN/dtex以上、引張弾性率が400cN/dtex以上で、比重が1.0未満、単糸繊度0.5dtex以上10dtex以下のポリオレフィン繊維であることを特徴とする有機繊維集束糸。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、扁平率5〜20の単繊維を複数本束ねたマルチフィラメントに水溶性樹脂を含浸するものであり、本発明によれば、内部浸透しにくいマルチフィラメントに水溶性樹脂を内部まで含浸させることができる。
即ち、本発明は、第一樹脂浴にディップ(浸漬)し、ニップ(絞り)する第一工程と、第二の樹脂浴の樹脂液粘度を第一浴の樹脂液粘度以上の高い樹脂液としてディップとニップを繰り返す第二工程を必須とする。
第一の樹脂浴の樹脂液粘度は50cps以下であることが好ましい。より好ましくは40cps以下、更に好ましくは30cps以下である。第一浴目の樹脂液粘度を50cps以下とすることで、表面積が大きく浸透抵抗の大きなマルチフィラメントに対しても、低粘性ゆえに内部まで樹脂を浸透させることが可能になる。そして、第二浴目において、第一浴目よりも高い粘度の樹脂液に浸漬することにより、繊維外部を被覆する様に樹脂を塗布することができる。繊維内部の樹脂が繊維同士の接着を向上させ、繊維外部の樹脂が外部の衝撃などから繊維が分割する要因を防ぎ、水に触れた後、外部樹脂が均一に分散する為の時間を稼ぎ、外部樹脂が溶解した後に、内部樹脂が溶解し始め、内部樹脂が溶解する時間だけ、その周辺に単繊維の状態で分散させることができる。ここで、粘度とはせん断応力とせん断速度の比として表される値である。
【0007】
ディップ方法については樹脂液槽を設け、その槽内にローラーが浸漬するように設置し、集束糸がローラーによって樹脂液内に浸漬させる方法が挙げられる。
浸漬するローラーは複数本設置し、その複数本のローラーを通過する間にニップローラーを設置し、複数回処理を行なうようにする。それ以外の方法として、樹脂液槽に半分ローラーが入るように設置し、束ねられた糸はローラー上部に触れる様にし、樹脂液がローラーの回転によってローラー上部に持ち上げられて束ねられた糸に樹脂を含浸するタッチローラー式も挙げられる。
【0008】
ニップ方法については、1対のローラーの間に束ねられた糸を通し、絞る方法が挙げられる。ローラーの材質はゴムローラーや金属ローラーなどが挙げられる。ニップ圧力は、ローラーにかかる荷重として1kg/cm以上30 kg/cm以下、好ましくは2kg/cm以上20 kg/cm以下である。
【0009】
第一工程及び第二工程の後に必要により実施される乾燥工程の乾燥温度については、100℃以上で繊維が熱劣化、溶融などの品質に影響を及ぼさない温度までの範囲なら、任意に選ぶことができる。乾燥時間については、繊維束に含浸された水溶性樹脂の水分が十分蒸発し、樹脂が固化するまでの時間を選ぶのがよい。
【0010】
本発明に使用される水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール系やアクリル酸共重合体系の樹脂、エチレンオキシドに有機塩、無機塩を付与したもの、その他、CMC(カルボキシルメチルセルロース)やMC(メチルセルロース)などが挙げられる。一浴目と二浴目の樹脂は、同種類の樹脂を使用することが好ましいが、目的によっては、違うタイプの樹脂を組み合わせることも可能である。
【0011】
有機繊維の物性については、高強度である方が好ましく、形状については扁平である方が好ましい。例えば、湿式不織布の電池などの用途においては、小型化により、セパレータの厚みを薄くする必要があるが、不織布の引張強度を落とすことは出来ない為、高強度な繊維を用いる必要がある。繊維の断面形状が扁平であれば、接着面積が大きくなり、接着性の悪いポリオレフィン系の繊維でも、融着糸との接着面積を大きくすることができることにより、より高強度な湿式不織布を得ることが可能となる。また、別の使用例として、セメント補強材においても扁平である方がモルタルやコンクリートとの接着面積が大きくなるので、すり抜け難くなり、繊維の強度を十分発揮することが可能となる。
【0012】
本発明に使用する繊維の物性として、引張強度が10cN/dtex以上、引張弾性率が400cN/dtex以上、好ましくは引張強度が15cN/dtex以上、引張弾性率が500cN/dtex以上で、扁平率が5以上20以下であり、比重が1.0未満のポリオレフィン繊維であることが望ましい。
【0013】
本発明における扁平率とは、単繊維の断面において、最も長い径と最も短い径の比率(最も長い径/最も短い径)であり、その計測例を図1に示す。扁平率が5未満になると、接着面積が小さくなり、20を超えると引張強度が高くできない傾向がある。扁平率のより好ましい範囲は10〜18程度である。
【0014】
本発明における有機繊維としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、アクリルなどの合成繊維が使用可能であるが、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの共重合ポリマーなどのポリオレフィン系繊維が好ましい。ポリオレフィン系繊維は、電池セパレータやセメント補強材などの優れた耐薬品性能が必要とされる用途に好適なためである。このような繊維の例としては、超高分子量ポリエチレン繊維(商品名ダイニーマ;東洋紡績社製、商品名スペクトラ;ハネウェル社製)や高強度ポリプロピレン繊維(商品名シムテックス;日東宇部社製)などが挙げられる。
【0015】
本発明における有機繊維の単糸繊度については、0.5dtex以上10dtex以下、好ましくは1.0dex以上10dtex以下である。0.5dtex未満の繊維を用いれば、その剛性が極端に低下し、ファイバーボールが発生し易くなる。また10dtexを超えると、単繊維質量が大きくなり、繊維飛散が幾分抑えられる傾向になるが、単糸繊度が太くなりすぎるために、電池セパレータなどの場合、不織布の緻密さが損なわれ、短絡し易くなる問題が挙げられ、セメント補強材に使用した場合、補強効果が低減する可能性がある。
【0016】
本発明における有機繊維は、比重1.0未満、単糸繊度0.5dtex以上10dtex以下の繊維であることが好ましい。かかる単繊維は、非常に軽い為、繊維飛散を誘発し易く問題となるが、本発明によれば、この問題を解消することができる。また、上記の様な細い単糸繊度を束ねる場合、生産効率上、集束本数は1,000本以上100,000本以下であることが好ましいが、集束本数が多くなると、加工中に機械にかかる負荷が大きくなり、機械の故障などを誘発する問題も予想されるためである。
【0017】
本発明によって得られる集束糸の形状としては、真円でも楕円形状でも良いが、好ましくは楕円形状である。楕円形状にすることで、水との接触面積が大きくなり、拡散後の開繊がし易くなる。扁平にする方法としては、繊維束を無撚の状態で処理する方法が挙げられる。
【0018】
得られた集束糸は、適当な長さにカットして使用される。カット長については、使用用途に応じて異なるが、湿式不織布向けには2mm以上20mm以下、セメント補強材向けには、3mm以上50mm以下であることが好ましい。また、プラスチック補強用短繊維としては、カット長が100μm以上1mm以下であることが好ましい。
【0019】
ポリオレフィン繊維の場合、問題点として接着性が挙げられる。接着性を向上させる方策として、単繊維断面の扁平率をできるだけ高くする方法、接着性を向上させる手段として、コロナ処理やプラズマ処理などの電気的な表面処理が挙げられる。また、グラフト重合などの化学的な処理も挙げられる。
【0020】
樹脂の付着量は、繊維飛散を抑え、且つ拡散後の開繊性を高めるために重要な要素である。樹脂付着量は塗布前の繊維重量に対し10 重量%以上35重量%以下、好ましくは13重量%以上25重量%以下であることが好ましい。樹脂付着量が10重量%以下になると繊維飛散が多く、作業環境や歩留まりが悪化する問題が挙げられる。また樹脂付着量が35重量%を超えると、拡散後の開繊が不十分となり、ファイバーボールの発生を誘発する恐れがあり、また水溶性樹脂を多量に使用することにより材料費の高騰を招く恐れがある。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例、比較例に示す評価は以下の方法によって行った。湿式不織布の製造を模擬して繊維の分散状況を評価した。
【0022】
(湿式不織布での分散性の測定)
ジュースミキサーに水400ccを入れ、試験サンプルを1gと熱融着糸0.02gを加えて30秒低速にて攪拌した。
その後、スタンダードシートマシーン(東洋精機社製)に移し、水を加えて羽根付きの攪拌棒を使用し手動で3分間攪拌した。その後、下部から水を除去し、メッシュの上に出来た不織布をカレンダーロールにて乾燥して、湿式不織布を得た。円形状のサンプルの端部は目付けが薄くなっているので、φ150mmのサイズに裁断し、サンプルを得た。その抄紙内にあるファイバーボールの数を計測した。
【0023】
(セメント練混ぜでの繊維飛散の状態と歩留まり、分散状況の評価方法)
市販のプレミックスモルタル材(畑中産業社製 HSインスタントセメント)を700cmホバートミキサーに入れ、水を144ml加えて、180秒間練混ぜを行なった。更に試験サンプルを7cm (約7g)加えて60秒間練混ぜを行なった。
▲1▼練混ぜ中の繊維飛散を、ホバートミキサーの周辺に50cm角のエリアを3箇所設け、それぞれのエリア内に落下した繊維の状態を目視にて評価した。
(目視評価の規準)
面積内に繊維の落下が目立つ…×
面積内に繊維の落下が若干ある…△
面積内に繊維の落下が殆どない…○
▲2▼エリア内に落下した繊維を集め、その重量を電子天秤(小数点下4桁まで測定可能)測定し、歩留まり損量(mg)とした。
▲3▼繊維の分散性については、(1)、(2)評価後に、練混ぜ終えたモルタルペーストを、約50g採取して、格子ピッチ0.5mmのメッシュ上に移し、水をシャワー状に浴びせて余分な繊維のみを濾し取った。メッシュ上に残るファイバーボールの個数を計測した。この作業を3回繰り返し、その平均値をファイバーボールの個数とした。
【0024】
(扁平度の測定)
単繊維をエポキシ樹脂で包埋し、樹脂が硬化した後、繊維の断面がわかる位置で切断し、VP‐8500(キーエンス社製)で断面形状を撮影した。最も長い長径と、最も短い短径を測定し、最も長い長径/最も短い短径で扁平率を算出した。
【0025】
(繊度の測定)
高強度繊維を温度20℃、湿度65%に保たれた部屋に24時間静置し、サンプルの水分率を一定にした後、JIS L 1013 8.3に準拠し、繊度を測定した。
(引張強度の測定)
サンプルを温度20℃、湿度65%に保たれた部屋に24時間静置し、サンプルの水分率を一定にした後、JIS L 1013 8.5に準拠し、引張強度を測定した。(株)オリエンテック製5tテンシロンを使用し、歪み速度1(min−1)で測定を行なった。繰り返し数は5回行ない、その平均値を高強度繊維の引張強度とした。
【0026】
(引張弾性率)
サンプルを温度20℃、湿度65%に保たれた部屋に24時間静置し、サンプルの水分率を一定にした後、JIS L 1013 8.10に準拠し、引張弾性率を測定した。(株)オリエンテック製5tテンシロンを使用し、歪み速度1(min−1)で測定を行なった。繰り返し数は5回行ない、その平均値を高強度繊維の引張弾性率とした。
【0027】
繊維に付着した樹脂付着量の測定は、下記の式より求めた。
樹脂付着量(重量%)=(加工後の集束糸重量‐加工前の繊維重量)/加工前の繊維重量×100
【0028】
(樹脂液の粘度の測定)
樹脂液を1Lガラスビーカーに入れ、25℃に調温されたバスの中に、2時間放置した。樹脂液が25℃であることを確認した上で、バスから取りだした。粘度はB型(BL型)粘度測定機(東機産業社製)を使用し、回転速度60rpmでローターはNo.1のものを用いた。ローターがビーカーの中央に来るようにセッティングして測定を行なった。5回繰り返し、その平均値を粘度とした。
【0029】
(実施例1)
有機繊維として、超高分子量ポリエチレン繊維(商品名ダイニーマ;東洋紡績社製)2640Tを10本束ねて使用した。なお、単糸繊度は1.1dtex、扁平率は15.5、フィラメント集束本数は2340本、引張強度は31.1cN/dtex、引張弾性率は1101cN/dtexであった。また、比重は0.97であった。
水溶性樹脂として、アクリル酸エステル重合体(商品名DICNAL RS−100C;大日本インキ社製)を使用した。この樹脂の固形分濃度は約20%である。第一浴目の樹脂と水の配合比率(重量比率)は、1:3とし、第二浴目の樹脂は3:1とした。樹脂処理の条件は、処理速度は50m/minで、第一浴目にディップの後、10kg/cmでニップし、乾燥温度110℃、乾燥時間1分間で乾燥した。続けて第二浴目にディップし、後は第一浴目と同じ条件で乾燥まで行なった。処理後の有機繊維束を6mmにカットし、評価サンプルを得た。
【0030】
(実施例2)
使用した繊維、樹脂は実施例1と同様で、樹脂処理条件が、第一浴目にディップ、ニップ処理後、乾燥せずに第二浴目にディップしニップを行なった。ニップ条件、加工速度は実施例1と同じである。その後乾燥を行なった。乾燥条件は乾燥温度110℃、乾燥時間1分で通した。処理後の有機繊維束を6mmにカットし、評価サンプルを得た。
【0031】
(実施例3)
有機繊維として、超高分子量ポリエチレン繊維(商品名ダイニーマ;東洋紡績社製)5260Tを10本束ねて使用した。なお、単糸繊度は1.1dtex、扁平率は13.8、フィラメント集束本数は4680本、引張強度は31.1cN/dtex、引張弾性率は1056cN/dtexであった。また、比重は0.97であった。
水溶性樹脂として、ポリビニルアルコール系の樹脂(商品名ゴーセナール330H;日本合成社製)を用いた。樹脂処理の手順は実施例1と同様に行なった。樹脂液の調合は、重量比率で第一浴目が、樹脂:水=1:199、第二浴目が2:48で調合した。実施例1と同様に有機繊維束を得て、6mmにカットし、評価サンプルを得た。
【0032】
(比較例1)
実施例1で使用した水溶性樹脂を樹脂と水の配合比率を1:1に調合し、一浴だけで処理を行なった。繊維は実施例1と同じとした。ニップ条件や加工速度、乾燥条件などは、実施例1と同様であり、有機繊維束カット長も6mmとし評価サンプルを得た。
【0033】
(比較例2)
実施例3で使用した水溶性樹脂を樹脂と水との配合比率を1:49に調合して使用した以外は比較例1と同様にして、評価サンプルを得た。
【0034】
(比較例3)
実施例1で使用した有機繊維を水溶性樹脂で集束させずに、原糸のままで6mm長にカットを行ない、評価サンプルを得た。
以上の実施例及び比較例について、処理浴粘度、樹脂付着量、繊維飛散、歩留まり、ファイバーボールの発生についての評価した結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
Figure 2004316030
【0036】
表1の結果より、第一浴目に粘度の低い樹脂で処理し、第二浴目に第一浴目より高い粘度の樹脂で処理を行なったサンプルは、繊維飛散が少なく、歩留まりが良く、ファイバーボールの発生を抑制することがわかる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、抄紙工程やセメントなどとの練混ぜ時の繊維飛散が防止でき、歩留まりを向上させる効果があり、またファイバーボールの発生も防ぐことができる。また、抄紙の場合の表面は滑らかで均一性があり、またモルタルペーストにおいては、コテ仕上げ時に滑らかな表面を形成することが可能となる。さらに繊維がマトリックス全体に均一に拡散、開繊するモルタルペーストを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における有機単繊維の一例の断面図であり、扁平率測定における最も長い径と最も短い径を示す図である。
【符号の説明】
1・・・有機単繊維
2・・・最も長い径
3・・・最も短い径

Claims (3)

  1. 扁平率5〜20の有機単繊維を複数本束ねたマルチフィラメントに水溶性樹脂を集束剤として付与する方法において、第一の樹脂浴と第二の樹脂浴を用いてディップ・ニップ法によって集束剤を付与するとともに、第二の樹脂液の粘度を第一の樹脂液粘度以上の粘度で付与することを特徴とする有機繊維集束糸の製造方法。
  2. 第一の樹脂浴でのディップ・ニップの後に、乾燥工程で水溶性樹脂を固化させた後に、第二の樹脂浴にディップ・ニップさせ、次いで第二の乾燥工程を通すことを特徴とする請求項1記載の有機繊維集束糸の製造方法。
  3. 請求項1または2記載の方法で得られ、有機繊維の物性が、引張強度が10cN/dtex以上、引張弾性率が400cN/dtex以上で、比重が1.0未満、単糸繊度0.5dtex以上10dtex以下のポリオレフィン繊維であることを特徴とする有機繊維集束糸。
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