JPH11240740A - コンクリ―ト補強用繊維 - Google Patents

コンクリ―ト補強用繊維

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JPH11240740A
JPH11240740A JP36562398A JP36562398A JPH11240740A JP H11240740 A JPH11240740 A JP H11240740A JP 36562398 A JP36562398 A JP 36562398A JP 36562398 A JP36562398 A JP 36562398A JP H11240740 A JPH11240740 A JP H11240740A
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JP
Japan
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fiber
concrete
polyolefin
strength
single yarn
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JP36562398A
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English (en)
Inventor
Norihiro Nakai
徳宏 中井
Hiroaki Nishio
浩昭 西尾
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JNC Corp
Original Assignee
Chisso Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】衝撃吸収エネルギーが大きく、セメントマトリ
クスとの親和性と分散性が向上し、コンクリート成形体
の曲げ強度や圧縮強度特に衝撃強度の向上が見られるコ
ンクリート補強用繊維を提供する。 【解決手段】単糸強度が5g/d以上、単糸伸度が60%
以上、ヤング率250kgf/mm2以上を有するポリオレフ
ィン系繊維からなるコンクリート補強用繊維であって、
該繊維には炭素数が8〜22の高級脂肪酸塩がポリオレ
フィン系繊維重量に対し、0.1〜5重量%付着されて
いることを特徴とするコンクリート補強用繊維およびこ
れを含むコンクリート成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート補強
効果に優れたコンクリート補強用繊維に関する。さらに
詳しくは、施工ボード、瓦等の建築材料を主とするコン
クリート成形体に好適に使用されるコンクリート補強用
繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セメントの硬化物は、圧縮強度、耐久
性、不燃性等の優れた性質に加えて安価なるが故に大量
に建築、土木分野等に使用されている。しかしながら、
脆性物質であるために耐屈曲性が著しく低く、引張り、
曲げ応力が加わると容易に破損したり、ひびがはいり、
耐衝撃性が弱い等の欠点がある。近年、これらの問題点
を改善するためにセメント補強用繊維として種々の無機
繊維、有機合成繊維の使用が提案されている。しかしな
がら、繊維の特性を効果的に利用できなかったり、繊維
が長所と短所を併せ持つため効果を十分に発揮できず、
コンクリート補強効果が満足できる域に到達していな
い。例えば、ポリオレフィン系繊維は耐アルカリ性、耐
熱性もあり、かつオートクレーブ養生や蒸気養生ができ
コンクリート補強には有利である。しかし、オレフィン
系繊維の表面は疎水性であり、親水性のセメントマトリ
ックスとの接着性が悪く、更に、セメントスラリー中で
の分散性も悪い。この問題点を解決する先行技術とし
て、繊維を界面活性剤等で表面処理することでセメント
との親和性を向上させる技術が知られている(特開平4
−21556、特開平5−170497、PCT国際公
開WO90/06902等)。これらの先行技術文献に
記載されている繊維は、かなり良好なコンクリート補強
効果を示してはいるが、曲げ強度、衝撃強度が共にさら
に改善されたコンクリート成形体が求められている。ま
た、近年では、分散性や親和性を改善させたり、補強効
果を向上させるために、繊維の断面を異形化したり、繊
維表面に突起や節を付けたり、または表面を他の成分で
皮膜したり、あるいは繊維強度を向上させたり、さらに
は他の成分を練り込んだり、原料を特殊化したりする等
の改善策が提案されているが、未だに満足のできる域に
は達していない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、衝撃
吸収エネルギーが大きく、セメントマトリクスとの親和
性と分散性が向上し、コンクリート成形体の曲げ強度や
圧縮強度特に衝撃強度の向上が見られるコンクリート補
強用繊維を提供しようとするものである。
【0004】本発明者らは、上記目的を達成するため
に、鋭意検討を重ねた結果、ポリオレフィン系繊維の物
性とコンクリート補強の関係を生かして、ポリオレフィ
ン系繊維の強度のみならず伸度も高く維持し、かつ一定
値以上のヤング率を有することがコンクリート成形体の
曲げ強度だけでなく衝撃強度を向上させる効果があるこ
と、それに組み合わせて炭素数が8〜22のアルキル基
を有する高級脂肪酸塩をポリオレフィン系繊維表面に付
着させた場合に、衝撃吸収エネルギーが大きくなり、か
つセメントマトリックスとの親和性と分散性が向上し、
コンクリート成形体の曲げ強度や圧縮強度特に衝撃強度
を飛躍的に向上させる効果が見られることから、かかる
ポリオレフィン系繊維が、コンクリート補強用繊維とし
て適していることを知り、かつその繊維を用いて形成し
たコンクリート成形体は極めて優れた衝撃強度を発現す
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するために以下の構成を有する。 (1)単糸強度5g/d以上、単糸伸度60%以上、ヤン
グ率250kgf/mm2以上を有するポリオレフィン系繊維
からなるコンクリート補強用繊維であって、該繊維には
炭素数が8〜22のアルキル基を有する高級脂肪酸塩が
ポリオレフィン系繊維重量に対し、0.1〜5重量%付
着されていることを特徴とするコンクリート補強用繊
維。 (2)ポリオレフィン系繊維が、単糸強度7g/d以上、
単糸伸度70%以上、ヤング率450kgf/mm2以上を有
する前記1項に記載のコンクリート補強用繊維。 (3)ポリオレフィン系繊維が、ポリプロピレン繊維で
ある前記1または2項に記載のコンクリート補強用繊
維。 (4)前記塩が、Na,Li,Kから選ばれた少なくとも1
種のアルカリ金属塩またはアルキルアミン塩、アルキル
アンモニウム塩である前記1〜3項のいずれかに記載の
コンクリート補強用繊維。 (5)前記1〜4項のいずれかに記載の繊維を含むコン
クリート成形体。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のコンクリート補強用繊維は、単糸強度5g/d以
上、単糸伸度60%以上であり、かつヤング率250kg
f/mm2以上であるポリオレフィン系繊維に炭素数が8〜
22のアルキル基を有する高級脂肪酸塩がポリオレフィ
ン系繊維重量に対し、0.1〜5重量%付着されている
コンクリート補強用繊維である。
【0007】また本発明の更に好ましい態様としては、
単糸強度7g/d以上、単糸伸度70%以上であり、かつ
ヤング率450kgf/mm2以上であるポリオレフィン系繊
維に前記の高級脂肪酸塩がポリオレフィン系繊維重量に
対し、0.1〜5重量%付着されているコンクリート補
強用繊維である。高級脂肪酸塩の塩としては、Na,Li,
Kから選ばれた少なくとも1種のアルカリ金属塩が用い
られる。また、その他の塩としては、第1級アミン塩、
第2級アミン塩、第3級アミン塩で代表される、アルキ
ルアミン塩、第4級アンモニウム塩の如きアルキルアン
モニウム塩が用いられる。さらには、Ca,Mg,Ba等の2
価の金属塩も用いることができる。
【0008】本発明のコンクリート補強用繊維の基材と
なるポリオレフィン系繊維は、一種の原料からなる単独
繊維及び二種以上の異なる原料からなる、例えば並列
型、鞘芯型、偏芯鞘芯型等の複合繊維の何れの形状でも
良く、ポリオレフィンを原料とする繊維で単糸強伸度5
g/d以上、単糸伸度60%以上、ヤング率250kgf/mm2
以上であれば特に限定されるものではない。原料が、1
00%単体からなるもの、その他重合体中2重量%以下
のエチレン単位もしくはC4以上の例えばブテン−1、
ペンテン−1,4−メチルペンテン−1、ヘキセン−
1、オクテン−1等のオレフィン単位を含有していたり
他のオレフィンの共重合体であってもよい。また原料の
樹脂に、プロピレンとエチレン、オレフィンとの結晶ラ
ンダム共重合体もしくはブロック共重合体の混合物であ
ってもよい。(また原料のポリオレフィン樹脂は、上記
原料中に、プロピレンがエチレンまたは他のオレフィン
と共重合した結晶ランダム共重合体もしくはブロック共
重合体を混合したものであってもよい。)
【0009】本発明に関わるポリオレフィン樹脂には、
本発明の効果を妨げない範囲内でさらに、酸化防止剤、
光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、エポキシ安
定剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、可塑
剤などの添加剤を適宜必要に応じて添加してもよい。
【0010】次に本発明のコンクリート補強用繊維の基
材となる単糸強度5g/d以上、単糸伸度60%以上、ヤ
ング率250kgf/mm2以上のポリオレフィン系繊維の製
造法について説明する。まず紡糸温度は、250〜35
0℃の範囲で紡糸することが好ましいが、できるだけ高
温で溶融紡糸することが繊維の配向を抑えた未延伸糸と
することができ好ましい。紡糸温度を低温にすると押出
機で溶融したポリオレフィン溶融物を紡糸口金から押出
した繊維状のポリオレフィン溶融物は急激に冷却され、
固化点での繊維の変形が大きく、配向がより進んだ未延
伸糸となるため好ましくはない。また紡糸温度が高くな
りすぎると急激にポリオレフィン樹脂の分解が進み、繊
維の発泡などから曳糸性の良い未延伸糸を得ることが困
難であるばかりでなく、繊維の分子鎖が著しく切断され
てしまい、低分子量化し、延伸しても高強度かつ高いヤ
ング率を維持したポリオレフィン系繊維とならない。
【0011】また、押し出した繊維状のポリオレフィン
溶融物を冷却する場合、従来の方法、例えば空気、水、
グリセリン等の媒体中で融点以下の温度まで冷却し、引
き取ることができるが、未延伸糸の配向を極力抑えるに
は、液体で急冷却するのではなく、空気で冷却すること
が好ましい。空気の温度、風量は任意に設定できるが、
より配向を抑えた未延伸糸とするため、徐冷却、即ち風
量は弱く、温度はあまり低温すぎないことが好ましい。
このように徐冷することにより、ラメラが繊維軸方向に
対して直角に配列したような結晶の高次構造を充分に形
成させることができ好ましい。
【0012】未延伸糸の巻取り速度は、繊維状のポリオ
レフィン溶融物の固化点での変形が小さく、配向が進ま
ない未延伸糸とするために引き取り速度が200〜10
00m/minであることが好ましいが、なるべく低速で引
き取ることが好ましい。また、引き取り速度が高速であ
ると繊維状のポリオレフィン溶融物の固化点での変形が
大きく、配向が進んだ未延伸糸となり、延伸性が悪く、
高倍率で延伸できない。また、引き取り速度が低速すぎ
ると、高温度紡糸により、溶融粘度が低くなったポリオ
レフィン溶融物の自然落下速度よりも遅く均一な未延伸
糸とすることができない。
【0013】コンクリート補強用繊維の基材となるポリ
オレフィン系繊維の断面形状は、円形または異形の形状
とすることができる。異形断面の場合には、例えば偏平
形、三角〜八角形等の角型、T字形、多葉形、中空断面
形等任意の形状とすることができ、特に限定されるもの
ではない。
【0014】次に延伸について説明する。前述の方法で
得たポリオレフィン未延伸糸を延伸して強度、伸度およ
びヤング率の高いポリオレフィン系繊維を得る。ポリオ
レフィン未延伸糸の延伸法は、熱ロール延伸、温水延
伸、加熱プレートなど公知の方法が採用される。延伸操
作は、1段延伸、2段延伸、多段延伸のいずれによって
も行うことができるが、強度、伸度およびヤング率がよ
り高いポリオレフィン繊維を得るためには1段延伸より
も2段延伸以上の延伸操作を行うことが好ましい。1段
延伸を行った場合でもポリマーの結晶配向が急激に進行
しない程度に遅い延伸速度であれば、強度、伸度および
ヤング率が本発明の範囲を満足する繊維を得ることがで
きる。しかし、延伸を多段階に分けて行ったほうがポリ
マーの結晶化(分子配向)をより抑えることができ、上
記の繊維物性をより高くすることができる。ただし、多
段延伸を行う場合の製造設備の問題を考慮するならば、
2段延伸程度が好ましい。延伸温度は50〜90℃の比
較的低温度で延伸する。高い温度で延伸した場合、急激
に未延伸糸の配向結晶化が進行し、低い温度では延伸性
が低下し高強度化するに必要な倍率で延伸できない。
【0015】この時の全延伸倍率は、3.8〜8.0倍の
範囲が好ましい。3.8倍未満では単糸強度およびヤン
グ率が低く、8.0倍を超えては単糸伸度が低下する。
次に、2段延伸を行う場合は、1段延伸で全延伸倍率の
40〜70%の延伸倍率、好ましくは50〜60%の延
伸倍率で延伸し、ついで2段目で単糸切れ、ケバ立ちが
起きない範囲まで延伸し、トータル延伸倍率を前記の範
囲内とすることが好ましい。1段目の延伸で全延伸倍率
の70%を大きく越える場合は、1段目の延伸でポリマ
ーの結晶化が著しく進行し、また逆に1段目の延伸で全
延伸倍率の40%を大きく下回る場合は、2段目の延伸
でのポリマーの結晶化を抑えることができなくなってし
まう。全延伸倍率が同じであっても、各段での延伸によ
るポリマーの結晶化を抑えることができなければ、ポリ
オレフィン系繊維の単糸強度及び単糸伸度が低下するた
め、2段延伸による効果が期待できない。ここで延伸倍
率とは、供給ロール速度と引き取りロール速度の比で表
したものである。
【0016】また、延伸したポリオレフィン系繊維の延
伸物にアニール処理を行ってもよい。アニール処理は、
融点付近の温度(融点より低い温度、通常100℃以上)
で繊維が伸びない程度の張力をかけて熱処理を行った
後、同じ温度で張力をかけずに熱処理を行う。このアニ
ール処理を行うことにより熱収縮が改善されたポリオレ
フィン系繊維が得られる。
【0017】この様な紡糸、延伸行程を経ることで単糸
強度5g/d以上、単糸伸度60%以上、ヤング率250k
gf/mm2以上の物性を有するポリオレフィン系繊維が得ら
れる。特に、高温で紡糸し、低温延伸、または2段延伸
を行うとコンクリート補強に最適な単糸強度7g/d以
上、単糸伸度70%以上、ヤング率450kgf/mm2以上
の高強伸度ポリオレフィン系繊維が得られるのである。
また、好ましい繊維の太さは、2〜30d/fで、繊維の
長さは、3〜25mmである。しかし、使用する際のコン
クリート補強用繊維の混率等により、構成される本数が
変化するため、必ずしもこの範囲である必要はない。
【0018】ポリオレフィン系繊維への高級脂肪酸塩の
付着は紡糸工程、延伸工程、のいずれの段階で付着させ
ても良い。また、付着方法は、ローラ法、浸漬法、噴霧
法、パットドライ法などを用いることができる。好まし
くは、紡糸工程、延伸工程で付着させるのが均一付着が
できてよい。
【0019】本発明のコンクリート補強用繊維は炭素数
が8〜22の高級脂肪酸塩がポリオレフィン系繊維重量
に対して0.1〜5重量%付着されている。付着量が0.
1重量%未満では補強効果が十分得られず、5重量%を
超えると効果が飽和状態となり曲げ強度、衝撃強度、衝
撃吸収エネルギーが平衡に達してしまう。また、繊維の
表面が粘着性になるため生産性が悪くなり、不経済でも
あるため実用する必要性がない。
【0020】本発明のコンクリート補強用繊維は、単糸
強度5g/d以上、単糸伸度60%以上で、かつヤング率
250kgf/mm2以上であるポリオレフィン系繊維に前記
の高級脂肪酸塩が付着されているので、コンクリート補
強効果、特に衝撃強度への補強効果が向上する。
【0021】コンクリートの衝撃強度は、衝撃吸収エネ
ルギーが大きいものほど高くなる。ここで衝撃吸収エネ
ルギーとは、コンクリート成形体が応力を受けてから、
破断後応力がゼロになるまでのエネルギーのことであ
る。
【0022】ポリオレフィン系繊維の単糸伸度を60%
以上、単糸強度を5g/d以上、ヤング率を250kgf/mm2
以上とすることにより、従来のポリオレフィン系コンク
リート補強用繊維以上の衝撃吸収エネルギーを示すた
め、衝撃強度が高くなる。即ち、単糸伸度によってコン
クリート成形体の破断後の強度の保持が発現し、単糸強
度とヤング率によって初期強度とコンクリート成形体自
身の強度が向上し、これらの効果が同時に発現するた
め、従来より補強効果が向上する。さらに、ポリオレフ
ィン系繊維の単糸伸度70%以上、単糸強度7g/d以
上、ヤング率450kgf/mm2以上であれば、衝撃吸収エ
ネルギーが飛躍的に向上するため衝撃強度が一段と向上
するのである。また、ヤング率が250kgf/mm2以上で
あるため初期の衝撃に強く、繊維自身の断裂等を防止し
て単糸強度及び単糸伸度さらに高級脂肪酸塩の効果を十
分発揮させることができる。好ましくは、ヤング率45
0kgf/mm2以上であり、できる限りヤング率を高い値に
することが望ましい。
【0023】また、ポリオレフィン系繊維の表面に、前
記の高級脂肪酸塩を付着させることにより、コンクリー
トとの親和性と分散性が向上する。前記高級脂肪酸塩
は、親水基と疎水基の両方の極性を併せ持つ化合物であ
る。前記高級脂肪酸塩をポリオレフィン系繊維表面に付
着させることにより、ポリオレフィン系繊維と前記高級
脂肪酸塩の間では疎水基同士が親和性を持ち結合力が得
られ、前記高級脂肪酸塩とセメントとの間では親水基同
士が向き合いセメント中のカルシウムイオンと前記高級
脂肪酸塩の塩が置換され、前記高級脂肪酸のカルシウム
塩となって不溶性で粘着性のある物質となり、コンクリ
ート補強用繊維の表面にセメント粒子が付着する。即
ち、前記高級脂肪酸塩をポリオレフィン系繊維とセメン
トとの間に介在させることによってセメントとコンクリ
ート補強用繊維の接着性が強固になり親和性を向上さ
せ、セメント中にコンクリート補強用繊維が均一に分散
しやすくなり分散性も向上する。
【0024】ポリオレフィン系繊維の単糸伸度と単糸強
度およびヤング率の向上改善によるコンクリート補強効
果、および前記高級脂肪酸塩を付着することによるコン
クリート補強効果が得られるが、本発明のように両者を
組み合わせると相乗効果で補強効果は飛躍的に向上す
る。特に単糸強度5g/d以上を有し単糸伸度60%以
上、ヤング率250kgf/mm2以上であるポリオレフィン
系繊維は、基本的な強度物性に優れているが、さらに前
記高級脂肪酸塩を付着させることにによって、ポリオレ
フィン系繊維と高級脂肪酸塩の親和力のバランスがよく
なり、繊維表面への吸着力がさらに高まる。従って、コ
ンクリート成形体の物性(特に衝撃強度)を飛躍的に向
上させる作用が見られる。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。コン
クリート成形体の物性の評価方法に関し、曲げ強度の
測定は、JIS-A1408(1995−1−1)に準じて行っ
た。衝撃強度の測定は、JIS-B7722(1995−1−
1)シャルピー衝撃試験に準じて行った。
【0026】「実施例1〜9、比較例1〜8」で使用さ
れる、繊維の製造条件及び糸物性を表1に示す。単糸強
伸度の測定は、JIS-L-1015(1995−1−1)に準じ
て行った。表中のポリプロピレン繊維の原料として、メ
ルトフローレートが8g/10minの樹脂を使用した。メル
トフローレートは、JIS-K7210に準じて測定した。ヤン
グ率は、単糸強伸度測定時の結果を解析して算出した。
【0027】
【表1】
【0028】実施例1 表1の(1)のポリプロピレン繊維0.18kgと普通ポルト
ランドセメント18kgと水6リットルを混合し、120kg/cm2
の圧力で10秒間圧縮し、1サンプル30cm×25cm×1.1cm
のサイズでコンクリート成形体とした。この成形体を、
60℃の蒸気の中で5時間養生させた後、28日間室内に
放置し前記評価項目について測定を行った。
【0029】実施例2 繊維を表1の(2)のポリプロピレン繊維を使用した以
外は、実施例1と同様としてコンクリート成形体を得
た。
【0030】実施例3 繊維を表1の(3)のポリプロピレン繊維を使用した以
外は、実施例1と同様としてコンクリート成形体を得
た。
【0031】実施例4 繊維を表1の(4)のポリプロピレン繊維を使用した以
外は、実施例1と同様としてコンクリート成形体を得
た。
【0032】実施例5 繊維を表1の(5)のポリプロピレン繊維を使用した以
外は、実施例1と同様としてコンクリート成形体を得
た。
【0033】実施例6 繊維を表1の(6)のポリプロピレン繊維を使用した以
外は、実施例1と同様としてコンクリート成形体を得
た。
【0034】実施例7 繊維を表1の(7)のポリプロピレン繊維を使用した以
外は、実施例1と同様としてコンクリート成形体を得
た。
【0035】実施例8 繊維を表1の(8)のポリプロピレン繊維を使用した以
外は、実施例1と同様としてコンクリート成形体を得
た。
【0036】実施例9 繊維を表1の(9)のポリプロピレン繊維を使用した以
外は、実施例1と同様としてコンクリート成形体を得
た。
【0037】比較例1 繊維を表1の(10)のポリプロピレン繊維を使用した
以外は、実施例1と同様としてコンクリート成形体を得
た。
【0038】比較例2 繊維を表1の(11)のポリプロピレン繊維を使用した
以外は、実施例1と同様としてコンクリート成形体を得
た。
【0039】比較例3 繊維を表1の(12)のポリプロピレン繊維を使用した
以外は、実施例1と同様としてコンクリート成形体を得
た。
【0040】比較例4 繊維を表1の(13)のポリプロピレン繊維を使用した
以外は、実施例1と同様としてコンクリート成形体を得
た。
【0041】比較例5 繊維を表1の(14)のポリプロピレン繊維を使用した
以外は、実施例1と同様としてコンクリート成形体を得
た。
【0042】比較例6 繊維を表1の(15)のポリプロピレン繊維を使用した
以外は、実施例1と同様としてコンクリート成形体を得
た。
【0043】比較例7 繊維を表1の(16)のポリプロピレン繊維を使用した
以外は、実施例1と同様としてコンクリート成形体を得
た。
【0044】比較例8 繊維を表1の(17)のポリプロピレン繊維を使用した
以外は、実施例1と同様としてコンクリート成形体を得
た。
【0045】上記「実施例1〜9」および「比較例1〜
8」のコンクリート成形体の物性を評価した結果を、表
2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】表2から明らかな通り、実施例1〜9は、
コンクリート補強効果に優れていることが判る。
【0048】実施例8,9のコンクリート補強用繊維
は、コンクリート補強効果に特に優れていることが判
る。実施例1〜7の補強効果よりさらに補強効果が向上
している。これは、実施例1〜7でも満足できる値であ
るが、さらに繊維の強度を7g/d以上、伸度を70%以
上、ヤング率450kgf/mm2以上にすることにより衝撃
吸収エネルギーが著しく大きくなるためコンクリート成
形体の補強効果が飛躍的に上昇する。
【0049】比較例1については前記高級脂肪酸塩の付
着量が0.1重量%未満であるため繊維の補強効果があ
まり発現せず、比較例2については、前記高級脂肪酸塩
が未付着なので特に衝撃強度が劣っている。
【0050】比較例3〜8については、繊維の物性が満
足できるレベルではないので、満足のいく補強効果が得
られない。さらに、比較例4,6,8については前記高
級脂肪酸塩が未付着なため、高強伸度ポリオレフィン系
繊維に起因する補強効果が十分発揮できず、比較例3,
5,7よりも補強効果が低下する。また、比較例2のよ
うに、繊維物性は満足できるレベルであっても、前記高
級脂肪酸塩が未付着なために満足のいく補強効果が得ら
れない。すなわち、繊維物性が単糸強度5g/d、単糸伸
度60%以上、ヤング率250kgf/mm2以上、より好ま
しくは、単糸強度7g/d、単糸伸度70%以上、ヤング
率450kgf/mm2以上であり、かつ前記高級脂肪酸塩で
表面処理を行うことにより本発明の効果が得られるので
ある。
【0051】
【発明の効果】本発明のコンクリート補強用繊維は、優
れたコンクリート補強効果を有する。コンクリート補強
用繊維の強度と伸度が高くさらにヤング率を高く維持
し、かつ特殊な高級脂肪酸塩がセメントとコンクリート
補強用繊維の結合性を向上させ、コンクリート成形体の
中で補強効果を十分に発揮できている。したがって、コ
ンクリート成形体の強力の向上を図ることができた。特
にヤング率が高いことによりコンクリート成形体の補強
効果を改善し、特に衝撃強度を向上させるセメント補強
用繊維を得ることができた。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単糸強度5g/d以上、単糸伸度60%以
    上、ヤング率250kgf/mm2以上を有するポリオレフィ
    ン系繊維からなるコンクリート補強用繊維であって、該
    繊維には炭素数が8〜22の高級脂肪酸塩がポリオレフ
    ィン系繊維重量に対し、0.1〜5重量%付着されてい
    ることを特徴とするコンクリート補強用繊維。
  2. 【請求項2】ポリオレフィン系繊維が、単糸強度7g/d
    以上、単糸伸度70%以上、ヤング率450kgf/mm2
    上を有する請求項1に記載のコンクリート補強用繊維。
  3. 【請求項3】ポリオレフィン系繊維が、ポリプロピレン
    繊維である請求項1または2に記載のコンクリート補強
    用繊維。
  4. 【請求項4】前記塩が、Na,Li,Kから選ばれた少なく
    とも1種のアルカリ金属塩またはアルキルアミン塩、ア
    ルキルアンモニウム塩である請求項1〜3のいずれかに
    記載のコンクリート補強用繊維。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の繊維を含
    むコンクリート成形体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004316030A (ja) * 2003-04-17 2004-11-11 Toyobo Co Ltd 有機繊維集束糸の製造方法及びその集束糸
JP2006143541A (ja) * 2004-11-22 2006-06-08 Dainichi Seikan Kk コンクリート補強用ポリプロピレン短繊維

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