JP2004315357A - 結晶育成装置および育成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は、結晶育成時の炉内温度分布を適正に制御しながら、結晶冷却時の雰囲気温度を育成した単結晶に亀裂が入らないような冷却条件とすることができる抵抗加熱式結晶育成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
回転引上げ機構のついた抵抗加熱式結晶育成炉において、ヒーター上端部位置に高温下で装着可能な第1の蓋と、第1の蓋の上方に高温下で着脱可能な第2の蓋と第3の蓋とを備えた抵抗加熱式結晶育成装置である。
【選択図】 図1
本発明は、結晶育成時の炉内温度分布を適正に制御しながら、結晶冷却時の雰囲気温度を育成した単結晶に亀裂が入らないような冷却条件とすることができる抵抗加熱式結晶育成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
回転引上げ機構のついた抵抗加熱式結晶育成炉において、ヒーター上端部位置に高温下で装着可能な第1の蓋と、第1の蓋の上方に高温下で着脱可能な第2の蓋と第3の蓋とを備えた抵抗加熱式結晶育成装置である。
【選択図】 図1
Description
本発明は光通信や情報処理に用いられる光学結晶の製造装置に関する。
結晶育成の概略プロセスは、原料をルツボに充填する工程(原料充填工程)、加熱してルツボ内の原料を融解する工程(融解工程)、種結晶を融けた原料表面に浸す工程(シードタッチ工程)、浸した種結晶に結晶を析出させて大きくする工程(成長工程)、原料融液から成長した結晶を引き離して室温まで冷却する工程(冷却工程)からなる。原料を融解する方法は、誘導加熱と抵抗加熱式が主に利用される。例えば、抵抗加熱式結晶育成装置の育成炉本体は、加熱源である電気ヒータ、セラミックス製炉心管、および炉心管内に結晶原料を充填したルツボが配置され、加熱電気ヒータの通電電力を制御することによってルツボ内部と周辺の雰囲気温度を結晶育成に適した温度分布を実現する構造となっている。
このような抵抗加熱式育成炉においては、加熱ヒーターはルツボ内の原料溶融に必要な加熱能力のみに注目して設計されるため炉心管全長に加熱用ヒーターを配置することはなく、またこのような抵抗加熱式育成炉においては、育成炉の外壁及び機構部分には過熱損傷や人体への危害を防止し、炉心管及びヒーターからなる炉体を室温環境下で容易に取り扱うことが可能なよう冷却機構が配置される。特に炉心管及びヒーターからなる炉体を室温環境下で容易に取り扱うために周囲を冷却すると、炉体中心から遠い位置である炉心管端部は炉心管中央部に比べて必然的に低温度となってしまう。このような抵抗加熱式結晶育成装置では、温度の変動に敏感な結晶の育成には適さない場合があり、結晶に亀裂が入り良質の結晶が得られないという問題がある。
ここで代表的な単結晶であるKNbO3単結晶を例に従来の結晶育成をさらに説明する。KNbO3単結晶は非線形光学定数を始めとして圧電定数や電気光学定数が大きく、近年デバイス応用が注目されつつあり、工業的応用面からは大型な結晶が望まれている。このKNbO3単結晶の性質としては、融点は約1060℃であって主にK2O過剰な溶液からTSSG法により育成されるのが一般的であり、またKNbO3単結晶は育成されてから室温にまで冷却される間に、約420℃で立方晶から正方晶へ第1の相転移、約200℃で正方晶から斜方晶へ第2の相転移を起こすことが知られている。従来技術に基づく抵抗加熱式結晶育成装置では炉心管の直径とその長さは使用するルツボの寸法により、経験的に決められており、例として挙げたKNbO3単結晶育成時に直径100mm、高さ100mmのルツボを使用する場合では炉心管の内径が120mm、長さが500mm前後である。またこの様な炉心管を用いた場合の加熱電気ヒータの全長は、通常炉心管の長さの50%前後で2分割ないし3、4分割からなる設計が合理的とされ一般的である。
図3に示す従来技術では原料を充填したルツボ1を炉心管2の中央付近の適当な位置に配置し、炉心管周囲に配置された加熱電気ヒータ3により加熱溶融した後に種結晶4を保持した保持棒5を炉心管内に挿入し種結晶先端に所望の結晶を成長させるものであり、また炉心管上部には保温のためのセラミックス製保温蓋6が配置され、炉全体を覆う筐体7と筐体蓋8が高温危険の無いように水冷管により水冷され、また断熱材9が上部にとりつけられている。このルツボ内の原料融液中で所望のサイズまで育成された結晶は加熱電気ヒータの入力電力を減少させることによって徐冷され、常温に達した後にルツボから取り出される。以上の過程において成長時に必要なヒータの加熱条件を設定することは経験的に比較的容易であるが冷却時のヒータ電力の制御は困難を極め、特に相転移時に結晶の亀裂を発生させること無く常温まで徐冷する制御条件は見出し難い。
なし
なし
本発明は、結晶育成時の炉内温度分布を適正に制御しながら、結晶冷却時の雰囲気温度を育成した単結晶に亀裂が入らないような冷却条件とすることができる抵抗加熱式結晶育成装置を提供することを目的とする。以上述べた通り、従来の結晶育成装置では、温度の変動に敏感な結晶の育成には適さない場合がある。すなわち種結晶から結晶を所望のサイズまでに成長させるシードタッチ工程と成長工程に適した炉心管内部の温度分布に対して、成長が終了した後に結晶の温度を常温まで冷却させる冷却工程に適した炉心管内部の温度分布が異なる場合には、従来技術により設計製造された育成装置では結晶に亀裂が入り良質の結晶が得られないという問題がある。
本発明はこのような従来技術による結晶育成装置の限界に鑑みてなされたもので、結晶育成時の炉内温度分布を従来と同等の条件で適正に制御する機能を保ちながら、結晶冷却時の雰囲気温度を冷却に適した特性とすることができる結晶育成装置を使用した育成方法を提供することを目的としている。
本発明者は前記目的を達成するために鋭意研究の結果、加熱電気ヒータの中心から遠い位置である炉心管端部は炉心管中央部に比べて必然的に低温度となってしまうことにより、炉心管中央部において温度分布と温度揺らぎが発生していることを見出した。すなわち本発明者は加熱電気ヒータの設置されていない炉心管上部が加熱電気ヒータの設置されている炉心管中央部に比べて低温であるが故に炉心管上部の空間に存在する雰囲気ガスの温度が低くなり、このためガスの密度差が発生して低温のガスが炉心管内部を下降し対流するために炉心管中央部に設置されたルツボ周辺の温度に分布と揺らぎを発生させていることを発見した。これを解決するため、結晶育成空間の上部に従来では設置されることが無い遮蔽蓋を設置し、該蓋により上部と結晶育成空間の雰囲気を分離することによって結晶育成空間である遮蔽蓋の下の炉内温度の分布と揺らぎを改善し、且つ該蓋設置後に所定の安定化時間を設けることによって亀裂の無い良質な単結晶を得るものである。
すなわち本発明は、回転引上げ機構のついた抵抗加熱式結晶育成炉において、ヒーター上端部位置に高温下で着装可能な第1の蓋と、第1の蓋の上方に高温下で着脱可能な第2の蓋と第3の蓋とを備えた抵抗加熱式結晶育成装置である。ここで高温とは結晶の一番高い相転移温度から融点までの温度をいう。 また本発明は、原料融液中に種結晶を浸漬した後に単結晶を成長させ、単結晶を融液の外で緩やかに冷却させることにより単結晶を得る単結晶育成方法であって、成長した単結晶を室温まで冷却する途中で、育成空間の上部を遮蔽する蓋を設置し且つ設置後に単結晶周辺の温度が一定になった後もさらに一定の温度に維持する安定化時間を設けることを特徴とする単結晶育成方法である。
すなわち本発明は、回転引上げ機構のついた抵抗加熱式結晶育成炉において、ヒーター上端部位置に高温下で着装可能な第1の蓋と、第1の蓋の上方に高温下で着脱可能な第2の蓋と第3の蓋とを備えた抵抗加熱式結晶育成装置である。ここで高温とは結晶の一番高い相転移温度から融点までの温度をいう。 また本発明は、原料融液中に種結晶を浸漬した後に単結晶を成長させ、単結晶を融液の外で緩やかに冷却させることにより単結晶を得る単結晶育成方法であって、成長した単結晶を室温まで冷却する途中で、育成空間の上部を遮蔽する蓋を設置し且つ設置後に単結晶周辺の温度が一定になった後もさらに一定の温度に維持する安定化時間を設けることを特徴とする単結晶育成方法である。
本発明によれば育成した単結晶の冷却時において単結晶に亀裂が発生しないような温度条件を設定できる。
また第1の蓋、第2の蓋、第3の蓋にはそれぞれ、中心に結晶軸用の穴と、周辺にすくなくとも1箇所の結晶観察用の窓があることが好ましい。これにより、種結晶の溶融原料への適正な接触状態をその場観察により容易に実現し、また結晶の育成経過を観察し適正な育成条件を見出すことを容易に実現し、また結晶の冷却経過を観察し適正な冷却条件を見出すことができる。それにより炉内温度の分布と揺らぎを、育成した単結晶に亀裂が入らない条件に制御することができる。
また回転引上げ機構のついた抵抗加熱式結晶育成炉において、加熱用の主たるヒーター上端部から炉心管上端部の間に補助ヒーターがあり、炉心管上端部にセラミックス製の第1の蓋があり、第1の蓋の上方にさらに閉空間を画する第2の蓋があることが好ましい。これにより炉内温度の分布と揺らぎを改善することができる。
また第1の蓋、第2の蓋にはそれぞれ中心に結晶軸用の穴と、周辺にすくなくとも1箇所の結晶観察用の窓があることが好ましい。これにより、種結晶の溶融原料への適正な接触状態をその場観察により容易に実現し、また結晶の育成経過を観察し適正な育成条件を見出すことを容易に実現し、また結晶の冷却経過を観察し適正な冷却条件を見出すことができる。
本発明により炉内温度の分布と揺らぎが従来より低減され、炉内温度の分布と揺らぎにより発生していた結晶の亀裂がほとんど発生せず、室温にまで亀裂発生なく冷却できるようになる。従来は結晶冷却時に亀裂が数多く発生していたが、本発明により亀裂がない結晶が収率良く得られるようになり、工業的には効果甚大である。
また従来から設計製造された育成炉の構造を殆ど変更することなく、従って従来から蓄積された結晶の適正な育成条件を殆ど変更することなく、結晶の適切な冷却条件を容易に設定できる。
以下、本発明を適用した具体的な結晶育成例としてKNbO3単結晶の育成例を基に図面を参照しながら説明する。
本発明の一実施態様を図1に示す。ルツボ1、加熱電気ヒータ3、種結晶保持棒5の配置は従来の図3と同様である。図1では原料の融解や結晶成長時の高い温度域で動作可能な加熱電気ヒータ3の上端部に遮蔽蓋11を設置する構造としている。その上には保温蓋6と筐体蓋8が設けられている。蓋11には種結晶保持棒5を貫通させる孔が設けられており、結晶冷却時に筐体蓋8と保温蓋6を開放して蓋11を設置する。蓋11により加熱ヒーターによる加熱がされない炉心管部分を空間的に分離できる構造としている。この分離構造により炉心管上部の空間に存在する低温の雰囲気ガスが炉心管内部を下降し対流するために炉心管中央部に設置されたルツボ周辺の温度に分布と揺らぎを発生させることを防止することが可能である。KNbO3単結晶育成では徐冷時に炉心管内部の温度が例えば約600℃に達したときに蓋11を挿入することにより徐冷中の結晶の温度分布と揺らぎを防止することが可能である。
さらに蓋11を装着した後に蓋6と蓋8を装着し、加熱電気ヒータの温度設定値を一定に保ったまま所定の時間を経過させ、蓋6と蓋8を開放した際に周囲温度の急激な変化により発生する結晶内部の歪を緩和し、その後に冷却を再開する。蓋11を挿入し安定化させるときの一定温度は、作業上は低温が望ましいが、周囲温度の急激な低下に対する余裕を見込んで直下の相転移温度よりも100℃〜300℃高温の温度に設定するのが好ましい。このとき結晶近傍の温度が一定になっても、さらにこの温度を長時間維持することが歪緩和のために重要である。
結晶育成時には蓋11は存在しないため、従来培ってきたなかから育成条件を作り出すことは極めて容易である。ここでは抵抗加熱炉を例に説明しているが、加熱手段である電気ヒータを誘導加熱式に変えてもその効果は変わらないことは容易に推定できる。
また図2に示すように加熱ヒーターの上部に補助ヒーター21を配置した構造を用いてKNbO3単結晶を育成する場合、徐冷時に炉心管内部の温度が例えば約500℃に達したときに補助ヒーター21により炉心管上部を500℃以上の適正な温度に設定した後に炉心管内部の雰囲気ガス対流が発生しないような条件下で夫々のヒーター入力電力を制御することもできる。
(実施例1)
図1に示した結晶育成装置を用いた。100mmφルツボに原料を1.8kg投入し、3段の抵抗加熱ヒータを有する育成炉を使用してKNbO3結晶を育成した。結晶サイズが50×50×25mm程度に成長した段階で、結晶を溶融原料から切り離し、冷却を開始した。冷却速度は10℃/hとして600℃まで温度を下げ、600℃の状態を1時間保持した。その後蓋6と蓋8を開放し、蓋11を予め設置してある蓋保持具12上に挿入し、直ちに蓋6と蓋8を閉止した。更に蓋6と蓋8を閉止後6時間の間600℃を保持した後に冷却を再開した。次に第1の転移開始まえに、上部加熱電気ヒータを470℃、中間部ヒータを420℃、下部ヒータを420℃とした。この結果、結晶上方の温度ゆらぎが標準偏差で0.1℃以下になった。また結晶の上面と下面の温度差は0℃になっていた。さらに相転移過程において、1.5℃/hでヒータを冷却し、相転移過程を観察した。その結果、立方晶から正方晶への相転移時間は60分で、その過程において相転移境界が止まることは一度もなかった。さらに正方晶から斜方晶への相転移時間は60分で、その過程において相転移境界が止まることは一度もなかった。室温まで冷却した後に取出した結晶は、ドメインバンダリが数カ所はいっているが、亀裂なく透明であった。なお結晶やその周辺の温度測定は、シード保持棒に沿って挿入した熱電対により行なった。
図1に示した結晶育成装置を用いた。100mmφルツボに原料を1.8kg投入し、3段の抵抗加熱ヒータを有する育成炉を使用してKNbO3結晶を育成した。結晶サイズが50×50×25mm程度に成長した段階で、結晶を溶融原料から切り離し、冷却を開始した。冷却速度は10℃/hとして600℃まで温度を下げ、600℃の状態を1時間保持した。その後蓋6と蓋8を開放し、蓋11を予め設置してある蓋保持具12上に挿入し、直ちに蓋6と蓋8を閉止した。更に蓋6と蓋8を閉止後6時間の間600℃を保持した後に冷却を再開した。次に第1の転移開始まえに、上部加熱電気ヒータを470℃、中間部ヒータを420℃、下部ヒータを420℃とした。この結果、結晶上方の温度ゆらぎが標準偏差で0.1℃以下になった。また結晶の上面と下面の温度差は0℃になっていた。さらに相転移過程において、1.5℃/hでヒータを冷却し、相転移過程を観察した。その結果、立方晶から正方晶への相転移時間は60分で、その過程において相転移境界が止まることは一度もなかった。さらに正方晶から斜方晶への相転移時間は60分で、その過程において相転移境界が止まることは一度もなかった。室温まで冷却した後に取出した結晶は、ドメインバンダリが数カ所はいっているが、亀裂なく透明であった。なお結晶やその周辺の温度測定は、シード保持棒に沿って挿入した熱電対により行なった。
(実施例2)
図1に示した結晶育成装置を用いた。蓋11の挿入までは実施例1と同様に行ったが蓋6と蓋8閉止後の時間を1時間30分としてその後に冷却を再開した。冷却再開後は実施例1と同様に第1の転移開始まえに、上部加熱電気ヒータを470℃、中間部ヒータを420℃、下部ヒータを420℃とした。この結果、結晶上方の温度ゆらぎは標準偏差で0.1℃以下になり、また結晶の上面と下面の温度差も0℃になり、実施例1と同様であった。さらに相転移過程において、1.5℃/hでヒータを冷却し、相転移過程を観察した。その結果、立方晶から正方晶への相転移時間は50分で、その過程において相転移境界が止まることはなかったが、結晶の上面中央部に亀裂が発生した。さらに正方晶から斜方晶への相転移時間は90分で、その過程において相転移境界が3回以上止まり、止まった領域から亀裂が広がった。室温まで冷却した後に取出した結晶は、約60%が白濁し、大きな亀裂が3箇所入っていて、使用が可能な部分の割合は全体の約30%であった。
図1に示した結晶育成装置を用いた。蓋11の挿入までは実施例1と同様に行ったが蓋6と蓋8閉止後の時間を1時間30分としてその後に冷却を再開した。冷却再開後は実施例1と同様に第1の転移開始まえに、上部加熱電気ヒータを470℃、中間部ヒータを420℃、下部ヒータを420℃とした。この結果、結晶上方の温度ゆらぎは標準偏差で0.1℃以下になり、また結晶の上面と下面の温度差も0℃になり、実施例1と同様であった。さらに相転移過程において、1.5℃/hでヒータを冷却し、相転移過程を観察した。その結果、立方晶から正方晶への相転移時間は50分で、その過程において相転移境界が止まることはなかったが、結晶の上面中央部に亀裂が発生した。さらに正方晶から斜方晶への相転移時間は90分で、その過程において相転移境界が3回以上止まり、止まった領域から亀裂が広がった。室温まで冷却した後に取出した結晶は、約60%が白濁し、大きな亀裂が3箇所入っていて、使用が可能な部分の割合は全体の約30%であった。
(比較例1)
図3に示した結晶育成装置を用いた。結晶育成までは実施例1と同様に行った。その後、第1の転移開始まえに、結晶の温度勾配が0℃/cmになるように、3段のヒータ温度を設定し、冷却速度10℃/hとして冷却を開始した。具体的には、最上部に位置するヒータを470℃、中間部ヒータを420、下部ヒータを420℃とした。この時、結晶上部の温度ゆらぎは標準偏差σで約4℃であった。さらに相転移過程において、1.5℃/hでヒータを冷却し、相転移過程を観察した。その結果、立方晶から正方晶への相転移時間は180分で、その過程において相転移境界が10回以上とまり、留まった領域から亀裂が広がった。さらに正方晶から斜方晶への相転移時間は160分で、その過程において主として第1の相転移過程で発生した亀裂部分で相転移境界伝播が10回以上止まり、止まった領域から亀裂が広がった。室温まで冷却した後に取出した結晶は、全体に白濁し、細かい亀裂が全面に入っており、使用が可能な部分は無かった。
図3に示した結晶育成装置を用いた。結晶育成までは実施例1と同様に行った。その後、第1の転移開始まえに、結晶の温度勾配が0℃/cmになるように、3段のヒータ温度を設定し、冷却速度10℃/hとして冷却を開始した。具体的には、最上部に位置するヒータを470℃、中間部ヒータを420、下部ヒータを420℃とした。この時、結晶上部の温度ゆらぎは標準偏差σで約4℃であった。さらに相転移過程において、1.5℃/hでヒータを冷却し、相転移過程を観察した。その結果、立方晶から正方晶への相転移時間は180分で、その過程において相転移境界が10回以上とまり、留まった領域から亀裂が広がった。さらに正方晶から斜方晶への相転移時間は160分で、その過程において主として第1の相転移過程で発生した亀裂部分で相転移境界伝播が10回以上止まり、止まった領域から亀裂が広がった。室温まで冷却した後に取出した結晶は、全体に白濁し、細かい亀裂が全面に入っており、使用が可能な部分は無かった。
本発明による結晶育成装置は、KNbO3などの光学結晶や圧電結晶など電子光学部品に有用な単結晶の生産に利用できる。
1: ルツボ、 2: 炉心管、 3: 加熱電気ヒーター 、
4: 種結晶、 5: 保持棒、 6: 保温蓋、 7: 筐体、
8: 筐体蓋、 9: 断熱材、 10: 結晶、
11:遮蔽蓋、 12:蓋保持具、 21: 補助ヒーター
4: 種結晶、 5: 保持棒、 6: 保温蓋、 7: 筐体、
8: 筐体蓋、 9: 断熱材、 10: 結晶、
11:遮蔽蓋、 12:蓋保持具、 21: 補助ヒーター
Claims (3)
- 回転引上げ機構のついた抵抗加熱式結晶育成炉において、ヒーター上端部位置に高温下で装着可能な第1の蓋と、第1の蓋の上方に高温下で着脱可能な第2の蓋と第3の蓋とを備えたことを特徴とする抵抗加熱式結晶育成装置。
- 第1の蓋、第2の蓋、第3の蓋にはそれぞれ、中心に結晶軸用の穴と、周辺にすくなくとも1箇所の結晶観察用の窓があることを特徴とする請求項1記載の抵抗加熱式結晶育成装置。
- 原料融液中に種結晶を浸漬した後に単結晶を成長させ、単結晶を融液の外で緩やかに冷却させることにより単結晶を得る単結晶育成方法であって、成長した単結晶を室温まで冷却する途中で、育成室の上部を遮蔽する蓋を設置し且つ設置後に単結晶周辺の温度が一定になった後もさらに一定の温度に維持する安定化時間を設けることを特徴とする単結晶育成方法。
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---|---|---|---|
JP2004099667A JP2004315357A (ja) | 2003-04-01 | 2004-03-30 | 結晶育成装置および育成方法 |
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Cited By (1)
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JP6060403B1 (ja) * | 2015-11-11 | 2017-01-18 | 並木精密宝石株式会社 | サファイア部材製造装置およびサファイア部材の製造方法 |
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2004
- 2004-03-30 JP JP2004099667A patent/JP2004315357A/ja active Pending
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JP2017088453A (ja) * | 2015-11-11 | 2017-05-25 | 並木精密宝石株式会社 | サファイア部材製造装置およびサファイア部材の製造方法 |
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