JP2004314796A - 動力伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】デフケースの外部からイニシャルトルクの調整を可能にし、コンベンショナルデフとの間でデフケースの共用を可能にする。
【解決手段】差動機構5を収容する差動機構収容部材7と、差動機構5から駆動力を出力する一対の駆動軸9,11と、差動機構収容部材7と駆動軸11との間で伝達トルクを制御可能な断続機構15とを備え、断続機構15を差動機構収容部材7の外部に配置した。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、差動機構を備えた動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1に図7のようなデファレンシャル装置701が記載されている。このデファレンシャル装置701は、エンジンの駆動力によって回転駆動されるデフケース703と、デフケース703に連結された複数本のピニオンシャフト705と、各ピニオンシャフト705に支承されたピニオンギア707と、各ピニオンギア707と噛み合うと共に、それぞれ車軸に連結された出力側サイドギア709,711とからなるベベルギア式の差動機構713と、デフケース703に対して移動自在に連結されたクラッチリング715とサイドギア711との間に形成された噛み合いクラッチ717と、クラッチリング715を噛み合いクラッチ717の噛み合い解除側に付勢するターンスプリング719と、リターンスプリング719の付勢力に抗してクラッチリング715をスライドさせ噛み合いクラッチ717を噛み合わせる空気式のアクチュエータ721から構成されている。
【0003】
デフケース703の回転はピニオンシャフト705とピニオンギア707とサイドギア709,711から各車軸を介して左右の車輪側に配分され、悪路などを走行中に、左右の車輪間に駆動抵抗差が生じるとエンジンの駆動力は各ピニオンギア707の自転によって左右各側に差動配分される。
【0004】
アクチュエータ721がクラッチリング715をスライドさせて噛み合いクラッチ717が噛み合うと、差動機構713の差動回転がロックされて車輪の空転が防止され、悪路などでの車両の走破性と脱出性が向上し、良路でも、発進性、加速性、操縦性が向上する。また、アクチュエータ721の動作を停止させると、リターンスプリング719の付勢力によってクラッチリング715が後退して噛み合いクラッチ717の噛み合いが解除され、差動ロック機能が解除されて差動機構713の差動回転がフリーになる。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−96461号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、車両の走破性、脱出性、発進性、加速性、操縦性などを向上させるために、デファレンシャル装置には差動を制限する機構が必要であり、この差動制限機構には、デファレンシャル装置701の噛み合いクラッチ717のような差動ロック機構の他に、バネなどで摩擦部を押圧して一定の差動制限トルク(イニシャルトルク)を与えるイニシャルトルク付加機構、摩擦クラッチによって差動制限トルクを与える差動制限機構、粘性流体の剪断抵抗を用いて差動制限トルクを与える粘性流体カップリングなどがある。
【0007】
イニシャルトルク付加機構は、従来、デフケースの内部に配置されているが、差動制限力を持たないデファレンシャル装置(コンベンショナルデフ)の場合、充分なトルクバイアスレシオ(一方の車輪がスリップしたとき差動制限力によって他方の車輪に送られる駆動力)が得られない上に、イニシャルトルク付加機構を配置するスペースと、必要な摩擦部も得られない。
【0008】
また、デフケースの内部に配置されたイニシャルトルク付加機構は、デフケースの外部からイニシャルトルクを調整することが困難である。
【0009】
また、差動ロック機構と摩擦クラッチによる差動制限機構と粘性流体カップリングの場合は、いずれもある程度の配置スペースが必要であり、容積の大きなデフケースが必要であるから、コンベンショナルデフとの間でデフケースを共用することができない。
【0010】
また、差動ロック機構及び摩擦クラッチによる差動制限機構にはアクチュエータが必要であり、このアクチュエータに油圧アクチュエータや空気圧アクチュエータのような流体圧式のアクチュエータを用いる場合は、配管の引き回しやポンプの配置などに広いスペースが必要になるから、トランスミッションケースやトランスファケースに収容する場合、配置スペースを確保するのが難しいという問題が発生する。
【0011】
特に、FF車(フロントエンジン・フロントドライブ車)のトランスミッションケースに、流体圧式のアクチュエータを用いた差動制限装置を収容するのは困難である。
【0012】
また、自動変速機(AT)はミッションオイルがコンタミネーション(特に、金属製の摩耗粉による汚染:汚染物質)を嫌うから、デファレンシャル装置を自動変速機のトランスミッションケースに収容する場合は、コンタミネーションが発生する摩擦部を作りたくない。
【0013】
そこで、本発明は、デフケース(差動機構収容部材)の外部からイニシャルトルクの調整が可能であり、コンベンショナルデフとの間でデフケースの共用が可能であり、トランスミッションケースやトランスファケースに対して配置スペースやコンタミネーションの問題を与えない動力伝達装置(差動制限機能付きのデファレンシャル装置)の提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の動力伝達装置は、差動機構を収容すると共に、前記差動機構に対する駆動力の入力側差動回転部材である差動機構収容部材と、前記差動機構から駆動力を出力する一対の駆動軸と、差動機構収容部材側と、前記一対の駆動軸のいずれかとの間で伝達トルクを制御可能な断続機構とを備え、前記断続機構は、前記差動機構収容部材の外部に配置されていることを特徴としている。
【0015】
このように、本発明の動力伝達装置では、伝達トルクを制御可能な断続機構(差動制限装置)が差動機構収容部材(デフケース)の外部に配置されている。
【0016】
従って、差動制限装置にイニシャルトルク付加機構を配置することが容易になると共に、差動機構収容部材の外部からイニシャルトルクを調整することが可能になる。
【0017】
また、差動制限機構が、イニシャルトルク付加機構、差動ロック機構、摩擦クラッチによって差動制限トルクを与える差動制限機構、粘性流体カップリングのいずれであっても、これらが差動機構収容部材の外部に配置されるから、差動機構収容部材を大型化する必要がなくなり、コンベンショナルデフとの間でデフケースの共用が可能になると共に、これらの差動制限機構を用いて充分な差動制限トルクを得ることができる。
【0018】
また、差動制限装置を差動機構収容部材の外部に配置したから、差動制限装置でコンタミネーション(金属製の摩耗粉)が発生しても、差動機構(例えば、ギアの噛み合い部)に対する悪影響(摩耗、発熱、振動など)が避けられる。
【0019】
また、差動制限装置を差動機構収容部材の外部に配置する本発明の構成では、差動制限装置をトランスミッションケースやトランスファケースの外部に配置することが可能であるから、トランスミッションケース(特に、FF車でのトランスミッションケース)及びトランスファケースに対する配置スペースの問題や、トランスミッション(特に、自動変速機)に対するコンタミネーションの問題が解消される。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1に記載された動力伝達装置であって、前記差動機構収容部材と前記断続機構との間に、トルク伝達機構を配置したことを特徴とし、請求項1の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0021】
差動機構収容部材と断続機構との間にトルク伝達機構を配置したこの構成では、前記駆動軸はトルク伝達機構の一部をなしており、断続機構はトルク伝達機構を介して伝達される差動回転を、差動機構収容部材とこの駆動軸との間で制限する。
【0022】
また、この構成では、差動機構収容部材と断続機構との間にトルク伝達機構を配置したことにより、断続機構の配置個所を決定する際の自由度が向上するから、レイアウトがそれだけ容易になる。
【0023】
請求項3の発明は、請求項1に記載された動力伝達装置であって、前記駆動軸が、前記差動機構収容部材から外部に突き出して、前記断続機構を貫通していることを特徴とし、請求項1の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0024】
また、この構成では、駆動軸が差動機構収容部材から断続機構を貫通することにより、差動機構収容部材と断続機構とが同軸上に配置され、動力伝達装置が径方向コンパクトにレイアウトされるから、車載性が向上する。
【0025】
請求項4の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載された動力伝達装置であって、前記断続機構が、摩擦クラッチであることを特徴とし、請求項1〜請求項3の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0026】
また、摩擦クラッチは、アクチュエータによって断続操作され、締結力(差動制限力)を調整されるものであり、伝達トルクや差動トルクによって作動するものではないから、このようなトルクの影響を受けずに所望の差動制限力が安定して得られる。
【0027】
請求項5の発明は、請求項4に記載された動力伝達装置であって、前記摩擦クラッチが、トルクを受けて作動するカム機構のカムスラスト力によって締結されることを特徴とし、請求項4の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0028】
また、トルクを受けて作動するカム機構の倍力機能により、摩擦クラッチは充分な差動制限力が得られると共に、カム機構のカムスラスト力を調整することによって差動制限力を容易に制御できる。
【0029】
請求項6の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載された動力伝達装置であって、前記断続機構が、回転差感応型のカップリングであることを特徴とし、請求項1〜請求項3の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0030】
また、回転差感応型のカップリングは、例えば、上記の粘性流体カップリングであり、コンタミネーションが発生しないから、本発明の動力伝達装置をトランスミッションケースやトランスファケースに収容しても、コンタミネーションの問題が生じない。
【0031】
請求項7の動力伝達装置は、一対の駆動軸を介して駆動力を2方向へ分配可能な動力伝達装置であって、前記両駆動軸の間に、トルク伝達機構を配置したことを特徴としている。
【0032】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
図1と図2によって動力伝達装置1(本発明の第1実施形態)と、これを用いて構成されたトランスファ3の説明をする。図1は動力伝達装置1とトランスファ3を示し、図2はトランスファ3が用いられた4輪駆動車を示している。左右の方向はこの4輪駆動車及び図1での左右の方向であり、図1の上方はこの車両の前方に相当する。
【0033】
[動力伝達装置1の構成]
動力伝達装置1は、ベベルギア式の差動機構5を収容すると共に、差動機構5に対する駆動力の入力側差動回転部材であるデフケース7(差動機構収容部材)と、差動機構5から駆動力を出力する一対のドライブシャフト9,11(駆動軸)と、デフケース7に連結された中空軸13(トルク伝達機構)とドライブシャフト11(トルク伝達機構)との間で伝達トルクを制御可能な多板クラッチ15(断続機構:摩擦クラッチ)と、多板クラッチ15を押圧し一定のイニシャルトルクを与える皿ばね97(イニシャルトルク付加機構:図2)と、多板クラッチ15を押圧する油圧アクチュエータと、この油圧アクチュエータを操作するコントローラとを備えており、多板クラッチ15と油圧アクチュエータは、デフケース7及びトランスファケース75の外部に配置されている。また、差動機構5は、デフケース7に収容されてフロントデフ31を構成している。
【0034】
[トランスファ3の構成]
トランスファ3は、動力伝達装置1と、ベベルギア17,19で構成された方向変換ギア組21と、ベベルギア19と一体に形成されたドライブピニオンシャフト23と、ドライブピニオンシャフト23にスプライン連結されたフランジ25から構成されている。
【0035】
[4輪駆動車の動力系の構成]
図2のように、上記の4輪駆動車の動力系は、車両の前部に配置された横置きのエンジン27(原動機)、トランスミッション29、トランスファ3(及び動力伝達装置1)、動力伝達装置1に含まれるフロントデフ31(エンジンの駆動力を左右の前輪に配分するデファレンシャル装置)、ドライブシャフト9,11(前車軸)、左右の前輪33,35、後輪側のプロペラシャフト37、方向変換ギア組39、リヤデフ41(エンジンの駆動力を左右の後輪に配分するデファレンシャル装置)、後車軸43,45、左右の後輪47,49から構成されている。
【0036】
エンジン27の駆動力はトランスミッション29の出力ギア51と噛み合ったリングギア53からフロントデフ31のデフケース7に伝達され、差動機構5からドライブシャフト9,11を介して左右の前輪33,35に配分されると共に、デフケース7から中空軸13と方向変換ギア組21とドライブピニオンシャフト23とフランジ25からプロペラシャフト37と方向変換ギア組39とを介してリヤデフ41に伝達され、リヤデフ41から後車軸43,45を介して左右の後輪47,49に配分される。
【0037】
[動力伝達装置1とトランスミッション3を構成する上記各部材の説明]
差動機構5は、複数本のピニオンシャフト55、複数個のピニオンギア57、左右の出力側サイドギア59,61から構成されている。各ピニオンシャフト55はデフケース7に端部を固定され、スプリングピン63によって抜け止めされており、各ピニオンギア57はピニオンシャフト55上にそれぞれ支承されている。また、サイドギア59,61は左右から各ピニオンギア57と噛み合っており、サイドギア59は左のドライブピニオンシャフト9にスプライン連結され、サイドギア61は右のドライブピニオンシャフト11にスプライン連結されている。
【0038】
デフケース7は、トランスミッションケース65に収容されており、ボールベアリング67,69によってトランスミッションケース65に支承されている。また、上記のリングギア53はボルト71,71によってデフケース7に固定されている。トランスミッションケース65にはトランスミッションオイルが封入されている。
【0039】
ドライブシャフト9は、デフケース7とトランスミッションケース65を左に貫通して外部に突き出し、左前輪33側に連結されている。また、ドライブシャフト9とトランスミッションケース65との間にはシール73が配置され、トランスミッションケース65からのオイル漏れと外部からの異物の侵入を防止している。
【0040】
また、ドライブシャフト11は、デフケース7とトランスミッションケース65とトランスファケース75を右に貫通して外部に突き出し、右前輪35側に連結されている。トランスファケース75にはトランスファオイルが封入されている。
【0041】
中空軸13は、トランスファケース75に収容されており、トランスミッションケース65に貫入してデフケース7の右端部にスプライン連結されている。また、トランスファケース75の右端部にはカバー77がボルト79によって固定されており、中空軸13は左端部をスラストベアリング81によってトランスファケース75に支承され、右端部をスラストベアリング83によってカバー77に支承されている。ドライブシャフト11は中空軸13を貫通しており、中空軸13の外周にはスピードメータ用のパルスギア85が連結されている。トランスミッションケース65及びトランスファケース75と中空軸13との間にはシール87,87が、また、ドライブシャフト11と中空軸13との間にはシール89,89が配置されており、トランスミッションオイルとトランスファオイルとの混ざり合いをそれぞれ防止している。
【0042】
多板クラッチ15は、上記のようにトランスファケース75の外部(右側外部)に配置されており、中空軸13にスプライン連結されたクラッチハウジング91と、ドライブシャフト11にスプライン連結されたクラッチハブ93との間に設けられている。
【0043】
また、多板クラッチ15の油圧アクチュエータはシリンダとピストン95から構成されており、ピストン95はスナップリング96によってクラッチハウジング91に位置決めされている。皿ばね97は、ピストン95と多板クラッチ15との間に配置されており、上記のように多板クラッチ15を押圧してイニシャルトルクを与えている。トランスファケース75とカバー77との間にはOリング99が、また、カバー77とクラッチハウジング91との間にはシール101が、また、ピストン95とドライブシャフト11との間にはシール103が、また、ピストン95とクラッチハウジング91との間にはOリング104が配置されており、トランスファケース75からのオイル漏れと外部からの異物の侵入をそれぞれ防止している。
【0044】
ベベルギア17,19は上記のように方向変換ギア組21を構成しており、ベベルギア17は、中間軸13に設けられたフランジ部105にボルト107で固定され、ベベルギア19は、上記のようにドライブピニオンシャフト23に一体形成されている。また、方向変換ギア組21には、入力側のベベルギア17を出力側のベベルギア19より大径にすることによって、増速機能が与えられている。
【0045】
ドライブピニオンシャフト23は車両の前後方向に配置されている。トランスファケース75の後部には、円筒部材109がボルト111によって固定されており、ドライブピニオンシャフト23はスラストベアリング113,115によって円筒部材109に支承され、スラストベアリング113,115の間には円筒状のバネ部材117が配置されている。
【0046】
フランジ25は、上記のようにドライブピニオンシャフト23にスプライン連結されており、ドライブピニオンシャフト23の後端部にはナット119が螺着され、フランジ25を介してスラストベアリング115とバネ部材117とスラストベアリング113とを押圧してスラストベアリング115,113を予圧し、ドライブピニオンシャフト23をセンターリングしている。フランジ25と円筒部材109には互いの間で塵埃などの侵入を防止する非接触型のシール121を構成するシール部材123,125がそれぞれ固定され、また、円筒部材109とフランジ25及びシール部材123との間には(接触型の)シール127が配置され、また、トランスファケース75と円筒部材109との間にはOリング129が配置されており、トランスファケース75からのオイル漏れと外部からの異物の侵入をそれぞれ防止している。
【0047】
コントローラは、油圧ポンプとの間で、油圧アクチュエータの作動、その押圧力の制御、作動停止などを行う。
【0048】
[動力伝達装置1とトランスファ3の動作]
動力伝達装置1とトランスファ3において、上記のようにフロントデフ31のデフケース7に伝達されたエンジン27の駆動力は、デフケース7から中空軸13とベベルギア17とを介して方向変換ギア組21に伝達され、方向変換ギア組21は、伝達された駆動力を増速しながら方向を変換してベベルギア19(ドライブピニオンシャフト23)に伝達し、フランジ25からプロペラシャフト37を介してリヤデフ41側に伝達する。
【0049】
また、悪路走行時、発進時、加速時などで前輪33,35の間に駆動抵抗差が生じると、フロントデフ31のピニオンギア57が自転し、エンジン27の駆動力を左右の前輪33,35に差動配分する。
【0050】
また、悪路、加速時、発進時などに前輪33,35の一方が空転し駆動力が逃げようとする場合は、皿ばね97によって多板クラッチ15に与えられているイニシャルトルク(一定の差動制限力)により、フロントデフ31(差動機構5)の差動回転が制限され、その結果、前輪33,35の他方に駆動力が伝達されて、悪路の脱出性、加速性、発進性などの低下が防止される。
【0051】
また、コントローラが油圧アクチュエータを作動させると、多板クラッチ15が押圧されて締結され、フロントデフ31の差動制限力が強化され、悪路の脱出性、加速性、発進性が向上する。
【0052】
コントローラは、油圧アクチュエータによる多板クラッチ15の押圧力(差動制限力)を調整することにより、車両の走行条件、路面状態などに応じて、フロントデフ31に最適の差動制限機能を与えることができる。
【0053】
また、油圧アクチュエータの作動を停止させ多板クラッチ15を開放すると、フロントデフ31は、皿ばね97によってイニシャルトルクを与えられた状態に戻る。
【0054】
[動力伝達装置1とトランスファ3の効果]
動力伝達装置1とトランスファ3は、上記のように構成されたことによって次のような効果が得られる。
【0055】
差動制限装置である多板クラッチ15と、イニシャルトルク付加機構である皿ばね97を、デフケース7及びトランスファケース75の外部に配置したことにより、皿ばね97を用いて多板クラッチ15にイニシャルトルクを付加することが容易になると共に、皿ばね97を交換してイニシャルトルクを変えるに当たっては、デフケース7やトランスファケース75を分解する必要がないから、イニシャルトルクを外部から容易に調整することができる。
【0056】
また、多板クラッチ15をデフケース7の外部に配置したことにより、多板クラッチ15を収容するためにデフケース7を大型化する必要がなくなり、コンベンショナルデフとの間でデフケース7を共用することが可能になる。
【0057】
また、多板クラッチ15でコンタミネーション(金属製の摩耗粉)が発生しても、デフケース7に収容された差動機構5の各ギア57,59,61の噛み合い部に対する悪影響(摩耗、発熱、振動など)は生じない。
【0058】
また、本発明の構成では、上記のように多板クラッチ15と油圧アクチュエータをトランスミッションケース65とトランスファケース75の外部に配置することができるから、トランスミッションケース65及びトランスファケース75に対する配置スペースの問題や、トランスミッション29及びトランスファ3に対するコンタミネーションの問題が解消される。
【0059】
また、ドライブシャフト11がデフケース7と多板クラッチ15を貫通することによってデフケース7と多板クラッチ15が同軸に配置され、動力伝達装置1が径方向コンパクトにレイアウトされるから、動力伝達装置1とトランスファ3の車載性が向上する。
【0060】
また、油圧アクチュエータによって操作される多板クラッチ15は、伝達トルクや差動トルクの影響を受けないから、所望の差動制限機能が安定して得られる。
【0061】
また、多板クラッチ15は、小型でありながら摩擦面積が広いから、大きな連結力(差動制限力)が得られる。
【0062】
[第2実施形態]
図3によって動力伝達装置201(本発明の第2実施形態)と、これを用いて構成されたトランスファ3の説明をする。動力伝達装置201は、第1実施形態の動力伝達装置1において、多板クラッチ15に代えてコーンクラッチ203を用いた例であり、以下、動力伝達装置1と同機能の部材に同一の符号を付して引用しながら説明する。
【0063】
[動力伝達装置201の構成]
動力伝達装置201は、差動機構5を収容するデフケース7と、ドライブシャフト9,11と、デフケース7に連結された中空軸13とドライブシャフト11との間で伝達トルクを制御可能なコーンクラッチ203(断続機構:摩擦クラッチ)と、コーンクラッチ203を押圧し一定のイニシャルトルクを与える皿ばね97と、コーンクラッチ203を押圧する油圧アクチュエータと、この油圧アクチュエータを操作するコントローラとを備えており、コーンクラッチ203と油圧アクチュエータは、デフケース7及びトランスファケース75の外部に配置されている。
【0064】
[動力伝達装置201を構成する上記各部材の説明]
コーンクラッチ203は、中空軸13側のクラッチハウジング91に形成された円錐面205と、ドライブシャフト11側のクラッチリング207に形成された円錐面209とで構成されている。
【0065】
また、皿ばね97は、クラッチリング207と油圧アクチュエータのピストン95との間に配置され、上記のようにコーンクラッチ203を押圧してイニシャルトルクを与えている。
【0066】
[動力伝達装置201とトランスファ3の動作]
動力伝達装置201とトランスファ3はエンジン27の駆動力を、フロントデフ31によって左右の前輪33,35に配分すると共に、デフケース7、中空軸13、方向変換ギア組21、ドライブピニオンシャフト23、フランジ25からプロペラシャフト37を介してリヤデフ41側に伝達する。
【0067】
また、悪路走行時、発進時、加速時などで、前輪33,35の間に駆動抵抗差が生じると、フロントデフ31のピニオンギア57が自転し、エンジン27の駆動力を左右の前輪33,35に差動配分すると共に、前輪33,35の一方が空転し駆動力が逃げようとした場合は、皿ばね97によってコーンクラッチ203に与えられているイニシャルトルクにより、フロントデフ31(差動機構5)の差動回転が制限され、前輪33,35の他方に駆動力が伝達され、悪路脱出性、加速性、発進性などの低下が防止される。
【0068】
また、コーンクラッチ203を締結させると、フロントデフ31の差動制限力が強化され、悪路脱出性、加速性、発進性を向上させることができる。
【0069】
さらに、コーンクラッチ203の押圧力(差動制限力)を調整することにより、車両の走行条件、路面状態などに応じてフロントデフ31に最適の差動制限機能を与えることができ、また、コーンクラッチ203を開放すると、フロントデフ31は皿ばね97によってイニシャルトルクが与えられた状態に戻る。
【0070】
[動力伝達装置201とトランスファ3の効果]
動力伝達装置201とトランスファ3は、上記のように構成されたことによって次のような効果が得られる。
【0071】
コーンクラッチ203と皿ばね97をデフケース7及びトランスファケース75の外部に配置したことにより、皿ばね97を用いてコーンクラッチ203にイニシャルトルクを付加することが容易になると共に、皿ばね97を交換してイニシャルトルクを変えるに当たっては、デフケース7やトランスファケース75を分解する必要がないから、イニシャルトルクを外部から容易に調整することができる。
【0072】
また、コーンクラッチ203をデフケース7の外部に配置したことにより、コーンクラッチ203を収容するためにデフケース7を大型化する必要がなくなり、コンベンショナルデフとの間でデフケース7を共用することが可能になる。
【0073】
また、コーンクラッチ203でコンタミネーション(金属製の摩耗粉)が発生しても、デフケース7に収容された差動機構5の各ギア57,59,61の噛み合い部に対する悪影響(摩耗、発熱、振動など)は生じない。
【0074】
また、上記のようにコーンクラッチ203と油圧アクチュエータをトランスミッションケース65とトランスファケース75の外部に配置することができるから、トランスミッションケース65及びトランスファケース75に対する配置スペースの問題や、トランスミッション29及びトランスファ3に対するコンタミネーションの問題から解放される。
【0075】
また、ドライブシャフト11がデフケース7とコーンクラッチ203を貫通することによってデフケース7とコーンクラッチ203が同軸配置され、動力伝達装置201が径方向コンパクトにレイアウトされるから、動力伝達装置201とトランスファ3の車載性が向上する。
【0076】
また、油圧アクチュエータによって操作されるコーンクラッチ203は、伝達トルクや差動トルクの影響を受けないから、所望の差動制限機能が安定して得られる。
【0077】
また、コーンクラッチ203は、部品点数が少ない上に、円錐面205,209の楔効果によって大きな連結力(差動制限力)が得られる。
【0078】
[第3実施形態]
図4と図5によって動力伝達装置301(本発明の第3実施形態)と、これを用いて構成されたトランスファ3の説明をする。動力伝達装置301は、第1実施形態の動力伝達装置1において、多板クラッチ15を、油圧アクチュエータではなく、電磁石303とアーマチャ305で操作するように構成した例であり、以下、動力伝達装置1と同機能の部材に同一の符号を付して引用しながら説明する。
【0079】
[動力伝達装置301の構成]
動力伝達装置301は、差動機構5を収容するデフケース7と、ドライブシャフト9,11と、
デフケース7とトランスファケース75の外部に配置され、デフケース7に連結された中空軸13とドライブシャフト11との間で伝達トルクを制御可能な多板クラッチ15と、電磁石303と、電磁石303によって移動操作され、多板クラッチ15を押圧する上記のアーマチャ305と、電磁石303を操作するコントローラとを備えており、多板クラッチ15と電磁石303は、デフケース7及びトランスファケース75の外部に配置されている。
【0080】
[動力伝達装置301を構成する上記各部材の説明]
多板クラッチ15は、上記のようにトランスファケース75の外部に配置されており、中空軸13側のクラッチハウジング91とドライブシャフト11側のクラッチハブ93との間に設けられている。
【0081】
ドライブシャフト11の外周には、磁性材料で作られて電磁石303の磁束循環経路の一部を構成するロータ307が相対回転自在に支持されており、その突部309をクラッチハウジング91の切り欠き311に係合させて回り止めされ、クラッチハウジング91に取り付けられたスナップリング313によって軸方向に位置決めされている。
【0082】
ロータ307は非磁性体であるオーステナイト系ステンレス鋼のリング315によって径方向の外側と内側に分断されており、多板クラッチ15には、このリング315と対応する径方向位置に、複数の開口部317と各開口部317を連結するブリッジ部がそれぞれ周方向等間隔に設けられており、これらのリング315と開口部317の磁気抵抗によって上記の磁束循環経路上での磁束の短絡が防止されている。
【0083】
ロータ307とドライブシャフト11との間には断面がX字状のシールであるXリング319が配置され、また、クラッチハウジング91とロータ307との間にはOリング321が配置されており、トランスファケース75からのオイル漏れと外部からの異物の侵入をそれぞれ防止している。
【0084】
電磁石303のコイルハウジング323は、両側シール型のボールベアリング325によってロータ307上に支承され、切り欠き327と係合した連結部材329を介して車体側に回り止めされていると共に、ロータ307に設けられたリング状の凹部331に所定間隔のエアギャプを介して貫入している。また、電磁石303のリード線333はコントローラを介して車載のバッテリに接続されている。
【0085】
電磁石303の磁束循環経路は、コイルハウジング323、ロータ307、上記のエアギャップ、多板クラッチ15、アーマチャ305によって構成されている。
【0086】
コントローラは、電磁石303の励磁、励磁電流の制御、励磁停止などを行う。
【0087】
電磁石303が励磁されると、磁束循環経路に磁束ループ335が発生してアーマチャ305が吸引され、多板クラッチ15を押圧して締結させ、差動制限力を発生させる。
【0088】
[動力伝達装置301とトランスファ3の動作]
動力伝達装置301とトランスファ3はエンジン27の駆動力を、フロントデフ31によって左右の前輪33,35に配分すると共に、リヤデフ41側に伝達する。
【0089】
また、前輪33,35の一方が空転し駆動力が逃げようとした場合は、多板クラッチ15を締結させるとフロントデフ31(差動機構5)の差動回転が制限され、前輪33,35の他方に駆動力が伝達され、悪路の脱出性、加速性、発進性の低下が防止される。
【0090】
また、コントローラによって電磁石303の励磁電流を調整し、多板クラッチ15によるフロントデフ31の差動制限力を調整すると、車両の走行条件、路面状態などに応じてフロントデフ31に最適の差動制限機能を与えることができ、悪路脱出性、加速性、発進性などが向上する。
【0091】
また、電磁石303の励磁を停止すると、多板クラッチ15が開放され、フロントデフ31は差動が自由の状態に戻る。
【0092】
[動力伝達装置301とトランスファ3の効果]
動力伝達装置301とトランスファ3は、上記のように構成されたことによって次のような効果が得られる。
【0093】
多板クラッチ15をデフケース7の外部に配置したことにより、多板クラッチ15を収容するためにデフケース7を大型化する必要がなくなり、コンベンショナルデフとの間でデフケース7を共用することが可能になる。
【0094】
また、多板クラッチ15でコンタミネーション(金属製の摩耗粉)が発生しても、デフケース7に収容された差動機構5の各ギア57,59,61の噛み合い部に対する悪影響(摩耗、発熱、振動など)は生じない。
【0095】
また、多板クラッチ15と電磁石303をトランスミッションケース65とトランスファケース75の外部に配置することができるから、トランスミッションケース65及びトランスファケース75に対する配置スペースの問題や、トランスミッション29及びトランスファ3に対するコンタミネーションの問題が解消される。
【0096】
また、ドライブシャフト11がデフケース7と多板クラッチ15と電磁石303を貫通することによってデフケース7と多板クラッチ15と電磁石303が同軸配置され、動力伝達装置301が径方向コンパクトにレイアウトされるから、動力伝達装置301とトランスファ3の車載性が向上する。
【0097】
また、電磁石303によって操作される多板クラッチ15は、伝達トルクや差動トルクの影響を受けないから、所望の差動制限機能が安定して得られる。
【0098】
また、第1実施形態の動力伝達装置1と同様に、皿ばね97を用れば、多板クラッチ15にイニシャルトルクを付加することが容易であると共に、皿ばね97を交換してイニシャルトルクを変えるに当たってデフケース7やトランスファケース75を分解する必要がないから、イニシャルトルクを外部から容易に調整することができる。
【0099】
[第4実施形態]
図6によって動力伝達装置401(本発明の第4実施形態)と、これを用いて構成されたトランスファ3の説明をする。図6は動力伝達装置401とトランスファ3が用いられた4輪駆動車を示しており、左右の方向はこの4輪駆動車及び図6での左右の方向であり、符号を与えていない部材等は図示されていない。以下、第1実施形態の動力伝達装置1と同機能の部材に同一の符号を付して引用しながら説明する。
【0100】
[動力伝達装置401の構成]
動力伝達装置401は、デフケース7と、ドライブシャフト9,11と、
デフケース7とトランスファケース75の外部に配置され、伝達トルクを制御可能な多板クラッチ403(断続機構:摩擦クラッチ)と、デフケース7と多板クラッチ403との間に配置されたトルク伝達機構405と、多板クラッチ403にイニシャルトルクを与える皿ばね97と、多板クラッチ403を押圧する油圧アクチュエータと、この油圧アクチュエータを操作するコントローラとを備えており、多板クラッチ403と油圧アクチュエータは、デフケース7及びトランスファケース75の外部に配置されている。
【0101】
[トランスファ3の構成]
トランスファ3は、動力伝達装置401と、ベベルギア17,19で構成された方向変換ギア組21と、ベベルギア19と一体に形成されたドライブピニオンシャフト23と、ドライブピニオンシャフト23にスプライン連結されたフランジ25から構成されている。
【0102】
[動力伝達装置401とトランスファ3を構成する上記各部材の説明]
多板クラッチ403は、クラッチハウジング407とカウンターシャフト409(副軸)との間に設けられており、カウンターシャフト409はドライブシャフト9,11と平行に配置されている。皿ばね97は、クラッチハウジング407に取り付けられたスナップリング411と多板クラッチ403との間に配置され、上記のように多板クラッチ403にイニシャルトルクを与えている。
【0103】
トルク伝達機構405は、カウンターシャフト409と2対のギア組413,415から構成されている。
【0104】
ギア組413は、デフケース7に固定されているリングギア53と、これと噛み合ったギア417とで構成されており、ギア417はカウンターシャフト409にスプライン連結されている。
【0105】
ギア組415は、互いに噛み合ったギア419,421で構成されており、ギア419はドライブシャフト11にスプライン連結され、ギア421は多板クラッチ403のクラッチハウジング407に連結されている。
【0106】
このように、トルク伝達機構405はデフケース7と多板クラッチ403との間に配置されており、多板クラッチ403はトルク伝達機構405を介しデフケース7と多板クラッチ403との間でフロントデフ31(差動機構5)の差動を制限する。
【0107】
[4輪駆動車の動力系の構成]
上記の4輪駆動車の動力系は、エンジン27、トランスミッション29、トランスファ3(及び動力伝達装置401)、動力伝達装置401に含まれるフロントデフ31、ドライブシャフト9,11、左右の前輪33,35、後輪側のプロペラシャフト37、方向変換ギア組39、リヤデフ41、後車軸43,45、左右の後輪47,49から構成されている。
【0108】
[動力伝達装置401とトランスファ3の動作]
動力伝達装置401とトランスファ3において、エンジン27の駆動力はギア51,53からデフケース7に伝達され、フロントデフ31からドライブシャフト9,11を介して左右の前輪33,35に配分されると共に、デフケース7からギア組413とカウンターシャフト409と方向変換ギア組21とドライブピニオンシャフト23とフランジ25とプロペラシャフト37と方向変換ギア組39とを介してリヤデフ41に伝達され、リヤデフ41から後輪47,49に配分される。
【0109】
また、悪路走行時、加速時、発進時などに前輪33,35の一方が空転し駆動力が逃げようとした場合は、皿ばね97によって多板クラッチ403に与えられているイニシャルトルクにより、フロントデフ31(差動機構5)の差動回転が制限され、前輪33,35の他方に駆動力が伝達されて、悪路脱出性、加速性、発進性の低下が防止される。
【0110】
また、油圧アクチュエータを作動させると、多板クラッチ403が締結されて、フロントデフ31の差動制限力が強化され、悪路脱出性、加速性、発進性を向上させることができる。コントローラは、油圧アクチュエータによる多板クラッチ403の押圧力(差動制限力)を調整することにより、車両の走行条件、路面状態などに応じて、フロントデフ31に最適の差動制限機能を与える。また、多板クラッチ403を開放すると、フロントデフ31は皿ばね97によってイニシャルトルクを与えられた状態に戻る。
【0111】
[動力伝達装置401とトランスファ3の効果]
動力伝達装置401とトランスファ3は、上記のように構成されたことによって次のような効果が得られる。
【0112】
多板クラッチ403と皿ばね97をデフケース7及びトランスファケース75の外部に配置したことにより、皿ばね97を用いて多板クラッチ403にイニシャルトルクを付加することが容易になると共に、皿ばね97を交換してイニシャルトルクを変えるに当たっては、デフケース7やトランスファケース75を分解する必要がないから、イニシャルトルクを外部から容易に調整することができる。
【0113】
また、多板クラッチ403をデフケース7の外部に配置したことにより、多板クラッチ403を収容するためにデフケース7を大型化する必要がなくなり、コンベンショナルデフとの間でデフケース7を共用することが可能になる。
【0114】
また、多板クラッチ403でコンタミネーション(金属製の摩耗粉)が発生しても、デフケース7に収容された差動機構5の各ギア57,59,61の噛み合い部に対する悪影響(摩耗、発熱、振動など)は生じない。
【0115】
また、上記のように多板クラッチ403と油圧アクチュエータをトランスミッションケース65とトランスファケース75の外部に配置することができるから、トランスミッションケース65及びトランスファケース75に対する配置スペースの問題や、トランスミッション29及びトランスファ3に対するコンタミネーションの問題が解消される。
【0116】
また、油圧アクチュエータによって操作される多板クラッチ403は、伝達トルクや差動トルクの影響を受けないから、所望の差動制限機能が安定して得られる。
【0117】
また、デフケース7と多板クラッチ403との間にトルク伝達機構405を配置したことにより、多板クラッチ403の配置上の自由度が向上し、レイアウトがそれだけ容易になる。
【0118】
また、多板クラッチ403は、小型でありながら摩擦面積が広いから、大きな差動制限力が得られる。
【0119】
[本発明の範囲に含まれる他の態様]
本発明の動力伝達装置において、伝達トルクを制御可能な断続機構(差動制限装置)は、実施形態に用いられた多板クラッチやコーンクラッチや単板クラッチのような摩擦クラッチでもよく、この他に、噛み合いクラッチ(ドッグクラッチ)、バンドブレーキ、ドラムブレーキなどでもよい。
【0120】
噛み合いクラッチを用いれば、差動ロック機能が得られる。
【0121】
また、これらを操作するアクチュエータは、油圧アクチュエータや空気圧式アクチュエータのような流体圧式アクチュエ−タ、電磁石、電動モータなどでもよく、あるいは、断続機構を手動で操作するように構成してもよい。
【0122】
また、本発明の動力伝達装置は、トランスファの一部に用いられた実施形態のような例(フロントデフ)に限らず、必要ならば、リヤデフにも適用することができる。
【0123】
また、差動機構は、ベベルギア式の差動機構に限らず、プラネタリーギア式の差動機構、デフケースの収容孔に回転自在に収容されたピニオンギアで出力側のサイドギアを連結した差動機構、ウォームギアを用いた差動機構などでもよい。
【0124】
【発明の効果】
請求項1の動力伝達装置は、伝達トルクを制御可能な断続機構(差動制限装置)を差動機構収容部材(デフケース)の外部に配置したことにより、差動制限装置にイニシャルトルク付加機構を配置することが容易になると共に、差動機構収容部材の外部からイニシャルトルクの調整が可能になる。
【0125】
また、差動制限機構を差動機構収容部材の外部に配置するから、差動機構収容部材を大型化する必要がなくなり、コンベンショナルデフとの間で差動機構収容部材の共用が可能になる。
【0126】
また、差動制限装置を差動機構収容部材の外部に配置したから、差動制限装置でコンタミネーション(金属製の摩耗粉)が発生しても、差動機構(例えば、ギアの噛み合い部)に対する悪影響(摩耗、発熱、振動など)が避けられる。
【0127】
また、本発明の構成によれば、差動制限装置をトランスミッションケースやトランスファケースの外部に配置することが可能であるから、トランスミッションケース(特に、FF車でのトランスミッションケース)及びトランスファケースに対する配置スペースの問題や、トランスミッション(特に、自動変速機)及びトランスファに対するコンタミネーションの問題が解消される。
【0128】
請求項2の動力伝達装置は、請求項1の構成と同等の効果を得ることができる。
【0129】
また、差動機構収容部材と断続機構との間にトルク伝達機構を配置したことにより、断続機構の配置箇所(レイアウト)の自由度が向上する。
【0130】
請求項3の動力伝達装置は、請求項1の構成と同等の効果を得ることができる。
【0131】
また、駆動軸が差動機構収容部材から断続機構を貫通することによって、動力伝達装置が径方向コンパクトにレイアウトされ、車載性が向上する。
【0132】
請求項4の動力伝達装置は、請求項1〜請求項3の構成と同等の効果を得ることができる。
【0133】
また、摩擦クラッチを用いたことにより、伝達トルクや差動トルクの影響を受けずに、所望の差動制限力が安定して得られる。
【0134】
請求項5の動力伝達装置は、請求項4の構成と同等の効果を得ることができる。
【0135】
また、カム機構を用いたことにより、摩擦クラッチは充分な差動制限力が得られると共に、カム機構のカムスラスト力調整によって差動制限力を容易に制御することができる。
【0136】
請求項6の動力伝達装置は、請求項1〜請求項3の構成と同等の効果を得ることができる。
【0137】
また、回転差感応型のカップリングではコンタミネーションが発生しないから、本発明の動力伝達装置をトランスミッションケースやトランスファケースに収容しても、コンタミネーションの問題が生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】第1実施形態を用いた4輪駆動車のスケルトン機構図である。
【図3】本発明の第2実施形態を示す要部断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態を示す断面図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【図6】本発明の第4実施形態を用いた4輪駆動車のスケルトン機構図である。
【図7】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 動力伝達装置
5 ベベルギア式の差動機構
7 デフケース(差動機構収容部材)
9 ドライブシャフト(駆動軸)
11 ドライブシャフト(駆動軸:トルク伝達機構)
13 中空軸(トルク伝達機構)
15 伝達トルクを制御可能な多板クラッチ(断続機構:摩擦クラッチ)
97 皿ばね(イニシャルトルク付加機構)
201 動力伝達装置
203 伝達トルクを制御可能なコーンクラッチ(断続機構:摩擦クラッチ)
301 動力伝達装置
401 動力伝達装置
403 伝達トルクを制御可能な多板クラッチ(断続機構:摩擦クラッチ)
405 デフケース7と多板クラッチ403との間に配置されたトルク伝達機構
409 カウンターシャフト(トルク伝達機構)
413,415 ギア組(トルク伝達機構)

Claims (7)

  1. 差動機構を収容すると共に、前記差動機構に対する駆動力の入力側差動回転部材である差動機構収容部材と、
    前記差動機構から駆動力を出力する一対の駆動軸と、
    差動機構収容部材側と、前記一対の駆動軸のいずれかとの間で伝達トルクを制御可能な断続機構とを備え、
    前記断続機構は、前記差動機構収容部材の外部に配置されていることを特徴とする動力伝達装置。
  2. 請求項1に記載された動力伝達装置であって、
    前記差動機構収容部材と前記断続機構との間に、トルク伝達機構を配置したことを特徴とする動力伝達装置。
  3. 請求項1に記載された動力伝達装置であって、
    前記駆動軸が、前記差動機構収容部材から外部に突き出して、前記断続機構を貫通していることを特徴とする動力伝達装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載された動力伝達装置であって、
    前記断続機構が、摩擦クラッチであることを特徴とする動力伝達装置。
  5. 請求項4に記載された動力伝達装置であって、
    前記摩擦クラッチが、トルクを受けて作動するカム機構のカムスラスト力によって締結されることを特徴とする動力伝達装置。
  6. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載された動力伝達装置であって、
    前記断続機構が、回転差感応型のカップリングであることを特徴とする動力伝達装置。
  7. 一対の駆動軸を介して駆動力を2方向へ分配可能な動力伝達装置であって、
    前記両駆動軸の間に、トルク伝達機構を配置したことを特徴とする動力伝達装置。
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