JP2004313881A - 中空糸膜の巻き取り方法および中空糸膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】管状ボビンに巻き取られて得られる、特に透過性能が高い(より多孔質化され空隙率の高い)中空糸膜において、膜の閉塞や偏平が少ない良好な真円度を有する中空糸膜を簡便に提供する。
【解決手段】37℃純水の透水性(UFR)が100mL/(m2・hr・mmHg)以上、かつ破断強度が60g以下または降伏強度が40g以下の中空糸膜の巻き取り方法であって、チーズに対する接圧がチーズ幅1mmあたり1.0g以上2.5g以下で、かつ巻き取り時の張力が中空糸膜1本あたり4.0g以上で、かつ降伏強度を超えない張力で中空糸膜をチーズ状に巻き取る。
【解決手段】37℃純水の透水性(UFR)が100mL/(m2・hr・mmHg)以上、かつ破断強度が60g以下または降伏強度が40g以下の中空糸膜の巻き取り方法であって、チーズに対する接圧がチーズ幅1mmあたり1.0g以上2.5g以下で、かつ巻き取り時の張力が中空糸膜1本あたり4.0g以上で、かつ降伏強度を超えない張力で中空糸膜をチーズ状に巻き取る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工臓器として血液浄化等に用いられる中空糸膜を管状ボビンに巻き取る際の、中空糸膜の真円度改善および偏平や閉塞の低減に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
大きな膜面積を小型のモジュールに納めることのできる中空糸膜は、容積効率に優れた構造を持ち、液体処理関係の様々な分野で活用されており、特に血液浄化処理分野においてはその主流を占めている。中空糸膜の巻き取り方法として、いくつかの方法があるが、その中でも紡糸速度への対応や扱い上の簡便さなどから、管状ボビンの外周上に中空糸膜を巻きつけていく方法が広く用いられている。この「ボビン巻き」と呼ばれる巻き取り方法では、中空糸膜がボビンの外周面上の一定幅の間を往復することにより何層にも中空糸膜が巻きつけられてチーズが形成される。従って、チーズの内層に近づくほど、中空糸膜はその張力により締め付けられるだけでなく、チーズの重力や巻き取り後の熱処理による収縮により、中空糸膜内部の閉塞や偏平といった真円度の低下を引き起こす可能性があった。
【0003】
このような不良中空糸膜を用いて、血液浄化用のモジュールとした際には、中空糸膜内部の閉塞や偏平によって血栓が生じやすく、残血と呼ばれる安全上の重大な問題の原因となる。こういった中空糸膜の閉塞や偏平は、中空糸膜を巻き取る際に発生すると考えられるが、内径に比して膜厚の薄い場合や、特に、近年求められているハイパフォーマンス膜と呼ばれる糸質のやわらかい透過性能の高い中空糸膜ではこれらの不良の発生はより顕著となり、改善が強く望まれていた。また、血液浄化時の透析効率を上げるために、熱処理によるクリンプ付与を施す場合にはこのような問題がさらに発生しやすくなる。
【0004】
そこで、このような問題を回避するためにこれまで多くの提案がなされてきた。例えば、中空糸膜を巻き取るボビンについて検討し、ボビンに弾性を有するクッション材を付与したクッション性ボビンを使用する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、チーズ内層部の中空糸膜の閉塞や偏平を防ぐことには優れているが、ボビンの持つ弾性のために、輸送時の振動などでチーズ外層部に必要以上の張力がかかってしまい、品質上の問題が懸念される。また最内層部の中空糸膜がクッション材に埋もれてしまうため、製品としてのロスが多く発生してしまう。
【0005】
また、クリンプ付与方法について検討し、湿潤状態でクリンプ付与および熱処理することで中空糸膜の閉塞や偏平を防止する手法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この方法をボビン巻きで実施するためには、湿潤状態でボビンに巻き上げた後、湿潤状態のままクリンプ付与、熱セット処理を行い、膜保持のためのグリセリン処理をした後、最後に乾燥処理を行うというように、非常に多くの後工程が発生するだけでなく、湿潤状態でのボビンの移動を伴い、労力とエネルギー、設備の面で産業的にはデメリットが多い。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−302917号公報(1頁〜4頁)
【特許文献2】
特開平8−10322号公報(1頁〜4頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの従来技術に鑑み、管状ボビンに巻き取られて得られる、特に透過性能が高い、すなわちより多孔質化され、空隙率の高い中空糸膜において、膜の閉塞や偏平が少ない良好な真円度を有する中空糸膜を簡便に提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の構成を含む。
(1)37℃純水の透水性(UFR)が100ml/(m2・hr・mmHg)以上、かつ破断強度が60g以下または降伏強度が40g以下の中空糸膜の巻き取り方法であって、チーズに対する接圧がチーズ幅1mmあたり1.0g以上2.5g以下で、かつ巻き取り時の張力が中空糸膜1本あたり4.0g以上、降伏強度を超えないことを特徴とする中空糸膜の巻き取り方法。
(2)(1)記載の中空糸膜の巻き取り方法で巻き取られた中空糸膜の真円度がチーズ最内層部(ボビンからの距離が5mm以内)において0.75以上である中空糸膜。
(3)該中空糸膜の内径が100μm以上250μm未満であり、かつ膜厚が10μm以上30μm未満である(2)記載の中空糸膜。
【0009】
この発明によれば、巻き取られる中空糸膜が透過性能の高い膜であっても、チーズ内層部の閉塞や偏平を抑えて中空糸膜のボビン巻きチーズを簡便に得ることができる。
【0010】
また、本発明における中空糸膜の真円度とは、中空糸膜断面の長径に対する短径の比である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を適用したボビン巻きの実施の形態を図1により説明する。図1はボビン巻きの外観図である。
【0012】
図1において、中空糸膜巻き取り用ボビン▲1▼は、ワインダー軸部▲4▼にセットされ、これを中心として回転することで中空糸膜が巻き取られ、次第にボビン▲1▼上に中空糸膜のチーズ▲2▼が形成されていく。その際にチーズ▲2▼は、接圧ローラー▲3▼により常時加圧を受けており、これによって中空糸膜は形状の整ったチーズとして巻き取られる。
【0013】
本発明において、中空糸膜巻き取り時における、チーズに対する接圧はチーズ幅1mmあたり1.0g以上2.5g以下である。2.5gを超えると、中空糸膜が強く圧迫されてしまうために、中空糸膜内部の閉塞や中空糸膜の偏平を引き起こす可能性がある。接圧はより低いほうが好ましいが、1.0g未満になると、チーズの形状維持機能が失われてしまうため、輸送中に中空糸膜がずれて、ボビンから落下したり、梱包ケースと衝突したりして、中空糸膜が潰れたり折れたり等の問題が発生する可能性がある。したがって、中空糸捲取時の接圧は1.0g以上とするのが好ましく、1.5gないし2.2gに設定することがより好ましい。
【0014】
巻き取り時に中空糸膜にかかる張力は中空糸膜1本あたり、4.0g以上で、かつその中空糸膜の降伏強力未満である。巻き取り時には少なからず張力を加えることが必須であり、4.0g未満となると巻き取り時に中空糸膜の弛みが発生し、良好なチーズが得られない。また逆に強い張力をかけると中空糸膜に負担がかかるため、品質の低下や膜形状の異常を引き起こす可能性がある。巻き取り時の中空糸膜にかかる張力は5.0g以上8.0g以下とすることがより好ましい。
【0015】
中空糸膜の素材は特に限定されず、セルロース、セルロースアセテート、ポリメチルメタクリレート、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドなどが挙げられるが、市場における普及率や高い透過性能が発現できる点などからセルロースアセテート系素材およびポリスルホン系が本発明の効果が高く、好適に使用できる。
【0016】
【実施例】
以下、実施例にて本発明の好ましい実施態様を説明する。
【0017】
(中空糸の内径、外径、膜厚の測定)
中空糸断面のサンプルは以下のようにして得ることができる。測定には中空形成材を洗浄、除去した後、中空糸膜を乾燥させた形態で観察することが好ましい。乾燥方法は問わないが、乾燥により著しく形態が変化する場合には中空形成材を洗浄、除去したのち、純水で完全に置換した後、湿潤状態で形態を観察することが好ましい。中空糸膜の内径、外径および膜厚は、中空糸膜をスライドグラスの中央に開けられたφ3mmの孔に中空糸膜が抜け落ちない程度に適当本数通し、スライドグラスの上下面でカミソリによりカットし、中空糸膜断面サンプルを得た後、投影機Nikon−12Aを用いて中空糸膜断面の短径、長径を測定することにより得られる。中空糸膜断面1個につき2方向の短径、長径を測定し、それぞれの算術平均値を中空糸膜断面1個の内径および外径とし、膜厚は(外径−内径)/2で算出した。5断面について同様に測定を行い、平均値を内径、膜厚とした。
【0018】
(真円度の測定)
得られたチーズの最内層部(ボビン表面からの距離が3mm)の中空糸膜をチーズより解除、集束、切断し、中空糸膜モジュールを作製した。得られた中空糸膜モジュールより透過性能を測定し、さらにモジュール端面中任意の100個の中空糸膜断面に関して、イメージアナライザーによって中空糸膜の真円度を測定した。真円度とは中空糸膜断面における中空糸内径の短軸/長軸比のことであり、例えば真円であれば真円度は1である。
【0019】
(中空糸膜の透水性の測定)
透水性の測定に関しては、以下の手順で実施する。
中空糸膜を3000〜20000本充填した中空糸膜モジュールを作製する。計算に用いる中空糸膜面積は、中空糸内径(ID)基準とし、接着部分を除いた有効長(L)から有効膜面積を計算する。予め純水を中空糸膜内部(中空部)、中空糸膜外部(モジュール内)の順に通水し、空気を除去する。モジュールを37℃に恒温した後、中空糸膜内部(中空部)に通じるモジュール入口から37℃の純水によって圧力をかけて、膜の内側と外側の圧力差、すなわち膜間圧力差(P)を生じせしめ、1分間に膜を通して膜外側に出てくる純水の量(W)を測定した。4点の異なったPにおける1分間のWを測定し、PとWを2次元座標にプロットして、それらの近似直線の傾きを数値として求めた。次に下記式により中空糸膜の透水性(UFR、ml/(m2・hr・mmHg))を計算した。
UFR=W(ml/min)×60(min/hr)÷A(m2)÷P(mmHg)
ここで、有効膜面積A(m2)=ID(μm)×10−6×π×L(m)×中空糸本数
【0020】
(中空糸膜の透過係数の測定)
透過係数の測定に関しては、以下の手順で実施する。
中空糸膜500〜2000本、長さ約15cmの中空糸膜束にした後、両端部を樹脂により接着し切断して中空部を開口させた測定用ミニモジュールを作製した。計算に用いる中空糸膜面積は、中空糸内径(ID)基準とし、接着部分を除いた有効長(L)から有効膜面積を計算する。中空糸膜内部(中空部)に純水を通水し気泡を除去した後、中空部に純水を充填したままミニモジュールを37℃に恒温された純水に浸漬しておく。ミニモジュールを純水に浸漬させた状態で、中空糸膜内部(中空部)に通じるミニモジュール入口(一方の端部)から37℃の尿素0.5wt%、ビタミンB120.005wt%水溶液を15〜20(ml/min)で通液させ、モジュール入口と出口(反対側の端部)の液をサンプリングした。また同時に入口流量(QBin)および出口流量(QBout)の測定を行った。その際、中空糸膜外部は中空糸膜を透過した溶質による濃度分極層が生成しないように多量の純水により希釈した。サンプリングしたミニモジュール入口と出口の液それぞれについて、尿素およびビタミンB12の濃度を吸光光度法により測定した。(入口の濃度をCin、出口の濃度をCoutとする。)なお、尿素の分析には東亜電波製の酵素(ZM0503)および緩衝液(ZM0490)を使用した。
次に下記式により中空糸膜の透過係数(P、cm/sec)を計算した。
P=A/B
A= QBout(ml/min) ×ln(Cin/Cout)×QBin×ln(QBin/QBout)
B=S(cm2)×(QBin−QBout)×60
ここで、有効膜面積S(cm2)=ID(μm)×10−4×π×L(cm)×中空糸本数
【0021】
(実施例1)
紡糸原液として、セルローストリアセテート(CTA)17.5重量%、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)57.75重量%、トリエチレングリコール(TEG)24.75重量%を180℃にて混合溶解したものを用いた。これを20μmの焼結フィルターに通した後、2重管構造の紡糸用口金から垂直下方に向け吐出した。同時に内側の管には流動パラフィンを供給し、中空糸膜を形成した。
この中空糸膜は60mmの蒸気雰囲気中を通過後、凝固浴、水洗浴、グリセリン浴を経て、熱風乾燥された後、4本合糸とし、ワインダーによってチーズの厚みが50mmとなるまでボビンに巻き取られた。このときのチーズの幅は300mmであり、巻上げ速度は75m/分であった。チーズに対する接圧はチーズ幅1mmあたり1.8gとし、巻き取り時の中空糸膜にかかる張力は1本あたり6.0gとした。
また、ランダムに抜き取った10本から中空糸膜の降伏強度および破断強度を測定し、その平均値を算出し降伏強度、破断強度とした。
中空糸膜モジュールのUFRは278ml/(m2・hr・mmHg)であり、尿素およびビタミンB12の透過係数はそれぞれ142×105cm/sec、39.4×105cm/secであった。また、真円度の平均値は0.79であり、真円度が0.3以下の偏平または閉塞した中空糸膜は存在しなかった。降伏強度および破断強度はそれぞれ19.9(g)、31.7(g)であった。
結果を表1に示す。
【0022】
(実施例2)
ポリエーテルスルホン(住友ケムテックス社4800P)25重量%およびポリビニルピロリドン(K−30、BASF社)5重量%をNMPとTEGの混合液(重量比でNMP:TEG=8:2)に溶解し、均一な溶液とした。この溶液を紡糸原液として、二重環状スリット口金の外側スリットから吐出すると同時に、紡糸原液に対して非凝固性の流動パラフィンを内液として吐出した。口金から凝固層までの乾式部分(70mm)を経て25℃のRO水からなる凝固層内に紡糸原液/内液を落とし込み、凝固させて中空糸膜として成形して凝固層内より曳き上げた。続いて、水洗浴、35重量%のグリセリン水溶液浴を経ることで洗浄、表面へのグリセリン塗布を行い、ワインダーによってチーズの厚みが50mmとなるまでボビンに巻き取った。このときのチーズの幅は300mmであり、巻上げ速度は75m/分であった。チーズに対する接圧はチーズ幅1mmあたり1.8gとし、巻き取り時の中空糸膜にかかる張力は1本あたり7.5gとした。
得られたチーズの最内層部(ボビン表面からの距離が3mm)の中空糸膜を集束、切断し、中空糸膜モジュールを作製した。得られた中空糸膜モジュールより透過性能を測定し、さらにモジュール端面中任意の100個の中空糸膜断面に関して、イメージアナライザーによって中空糸膜の真円度を測定した。また、ランダムに抜き取った10本から中空糸膜の降伏強度および破断強度を測定し、その平均値を算出した。
中空糸膜モジュールのUFRは121ml/(m2・hr・mmHg)であり、尿素およびビタミンB12の透過係数はそれぞれ116×105cm/sec、24.5×105cm/secであった。また、真円度の平均値は0.81であり、真円度が0.3以下の偏平または閉塞した中空糸膜は存在しなかった。降伏強度および破断強度はそれぞれ10.1g、13.8gであった。
結果を表1に示す。
【0023】
(実施例3)
上記実施例2で示した製膜方法により得られた中空糸膜を同様にワインダーにてボビンに巻き取った。このとき、チーズに対する接圧はチーズ幅1mmあたり2.3gとし、巻き取り時の中空糸膜にかかる張力は1本あたり6.0gとした。
中空糸膜モジュールのUFRは121ml/(m2・hr・mmHg)であり、尿素およびビタミンB12の透過係数はそれぞれ116×105cm/sec、25.1×105cm/secであった。また、真円度の平均値は0.78であり、真円度が0.3以下の偏平または閉塞した中空糸膜は存在しなかった。降伏強度および破断強度はそれぞれ10.1g、14.3gであった。
結果を表1に示す。
【0024】
(比較例1)
上記実施例1で示した製膜方法により得られた中空糸膜を同様にワインダーにてボビンに巻き取った。このとき、チーズにかかる接圧のみ、チーズ幅1mmあたり2.7gとした。
上記実施例1と同様に中空糸膜モジュールを作製し、透過性能、真円度、降伏強度および破断強度を測定した。
中空糸膜モジュールのUFRは270ml/(m2・hr・mmHg)であり、尿素およびビタミンB12の透過係数はそれぞれ139×105cm/sec、39.3×105cm/secであった。また、真円度の平均値は0.72であり、真円度が0.3以下の偏平または閉塞した中空糸膜の存在率は3.0%であった。降伏強度および破断強度はそれぞれ20.5g、34.2gであった。
結果を表1に示す。
【0025】
(比較例2)
上記実施例1で示した製膜方法により得られた中空糸膜を同様にワインダーにてボビンに巻き取った。このとき、チーズにかかる接圧のみ、チーズ幅1mmあたり7.0gとした。
しかし、接圧ローラーへの中空糸膜の捲き付きが多発し、サンプルを得ることができなかった。
【0026】
(比較例3)
上記実施例2で示した製膜方法により得られた中空糸膜を同様にワインダーにてボビンに巻き取った。このとき、中空糸膜にかかる張力のみ、中空糸膜1本あたり12.0gとした。
上記実施例2と同様に中空糸膜モジュールを作製し、透過性能、真円度、降伏強度および破断強度を測定した。
中空糸膜モジュールのUFRは123ml/(m2・hr・mmHg)であり、尿素およびビタミンB12の透過係数はそれぞれ119×105cm/sec、24.6×105cm/secであった。また、真円度の平均値は0.70であり、真円度が0.3以下の偏平または閉塞した中空糸膜の存在率は4.2%であった。降伏強度および破断強度はそれぞれ10.3g、15.5gであった。
結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、透過性能が高く、透水性(UFR)が100(ml/m2・hr・mmHg)以上の中空糸膜であっても、透過性能を維持したまま、偏平や閉塞を引き起こすことなくボビン巻きによって簡便に巻き取ることができ、真円度の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はボビン巻きの外観図
【符号の説明】
▲1▼中空糸膜巻き取り用ボビン
▲2▼中空糸膜チーズ
▲3▼接圧ローラー
▲4▼ワインダー軸部
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工臓器として血液浄化等に用いられる中空糸膜を管状ボビンに巻き取る際の、中空糸膜の真円度改善および偏平や閉塞の低減に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
大きな膜面積を小型のモジュールに納めることのできる中空糸膜は、容積効率に優れた構造を持ち、液体処理関係の様々な分野で活用されており、特に血液浄化処理分野においてはその主流を占めている。中空糸膜の巻き取り方法として、いくつかの方法があるが、その中でも紡糸速度への対応や扱い上の簡便さなどから、管状ボビンの外周上に中空糸膜を巻きつけていく方法が広く用いられている。この「ボビン巻き」と呼ばれる巻き取り方法では、中空糸膜がボビンの外周面上の一定幅の間を往復することにより何層にも中空糸膜が巻きつけられてチーズが形成される。従って、チーズの内層に近づくほど、中空糸膜はその張力により締め付けられるだけでなく、チーズの重力や巻き取り後の熱処理による収縮により、中空糸膜内部の閉塞や偏平といった真円度の低下を引き起こす可能性があった。
【0003】
このような不良中空糸膜を用いて、血液浄化用のモジュールとした際には、中空糸膜内部の閉塞や偏平によって血栓が生じやすく、残血と呼ばれる安全上の重大な問題の原因となる。こういった中空糸膜の閉塞や偏平は、中空糸膜を巻き取る際に発生すると考えられるが、内径に比して膜厚の薄い場合や、特に、近年求められているハイパフォーマンス膜と呼ばれる糸質のやわらかい透過性能の高い中空糸膜ではこれらの不良の発生はより顕著となり、改善が強く望まれていた。また、血液浄化時の透析効率を上げるために、熱処理によるクリンプ付与を施す場合にはこのような問題がさらに発生しやすくなる。
【0004】
そこで、このような問題を回避するためにこれまで多くの提案がなされてきた。例えば、中空糸膜を巻き取るボビンについて検討し、ボビンに弾性を有するクッション材を付与したクッション性ボビンを使用する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、チーズ内層部の中空糸膜の閉塞や偏平を防ぐことには優れているが、ボビンの持つ弾性のために、輸送時の振動などでチーズ外層部に必要以上の張力がかかってしまい、品質上の問題が懸念される。また最内層部の中空糸膜がクッション材に埋もれてしまうため、製品としてのロスが多く発生してしまう。
【0005】
また、クリンプ付与方法について検討し、湿潤状態でクリンプ付与および熱処理することで中空糸膜の閉塞や偏平を防止する手法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この方法をボビン巻きで実施するためには、湿潤状態でボビンに巻き上げた後、湿潤状態のままクリンプ付与、熱セット処理を行い、膜保持のためのグリセリン処理をした後、最後に乾燥処理を行うというように、非常に多くの後工程が発生するだけでなく、湿潤状態でのボビンの移動を伴い、労力とエネルギー、設備の面で産業的にはデメリットが多い。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−302917号公報(1頁〜4頁)
【特許文献2】
特開平8−10322号公報(1頁〜4頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの従来技術に鑑み、管状ボビンに巻き取られて得られる、特に透過性能が高い、すなわちより多孔質化され、空隙率の高い中空糸膜において、膜の閉塞や偏平が少ない良好な真円度を有する中空糸膜を簡便に提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の構成を含む。
(1)37℃純水の透水性(UFR)が100ml/(m2・hr・mmHg)以上、かつ破断強度が60g以下または降伏強度が40g以下の中空糸膜の巻き取り方法であって、チーズに対する接圧がチーズ幅1mmあたり1.0g以上2.5g以下で、かつ巻き取り時の張力が中空糸膜1本あたり4.0g以上、降伏強度を超えないことを特徴とする中空糸膜の巻き取り方法。
(2)(1)記載の中空糸膜の巻き取り方法で巻き取られた中空糸膜の真円度がチーズ最内層部(ボビンからの距離が5mm以内)において0.75以上である中空糸膜。
(3)該中空糸膜の内径が100μm以上250μm未満であり、かつ膜厚が10μm以上30μm未満である(2)記載の中空糸膜。
【0009】
この発明によれば、巻き取られる中空糸膜が透過性能の高い膜であっても、チーズ内層部の閉塞や偏平を抑えて中空糸膜のボビン巻きチーズを簡便に得ることができる。
【0010】
また、本発明における中空糸膜の真円度とは、中空糸膜断面の長径に対する短径の比である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を適用したボビン巻きの実施の形態を図1により説明する。図1はボビン巻きの外観図である。
【0012】
図1において、中空糸膜巻き取り用ボビン▲1▼は、ワインダー軸部▲4▼にセットされ、これを中心として回転することで中空糸膜が巻き取られ、次第にボビン▲1▼上に中空糸膜のチーズ▲2▼が形成されていく。その際にチーズ▲2▼は、接圧ローラー▲3▼により常時加圧を受けており、これによって中空糸膜は形状の整ったチーズとして巻き取られる。
【0013】
本発明において、中空糸膜巻き取り時における、チーズに対する接圧はチーズ幅1mmあたり1.0g以上2.5g以下である。2.5gを超えると、中空糸膜が強く圧迫されてしまうために、中空糸膜内部の閉塞や中空糸膜の偏平を引き起こす可能性がある。接圧はより低いほうが好ましいが、1.0g未満になると、チーズの形状維持機能が失われてしまうため、輸送中に中空糸膜がずれて、ボビンから落下したり、梱包ケースと衝突したりして、中空糸膜が潰れたり折れたり等の問題が発生する可能性がある。したがって、中空糸捲取時の接圧は1.0g以上とするのが好ましく、1.5gないし2.2gに設定することがより好ましい。
【0014】
巻き取り時に中空糸膜にかかる張力は中空糸膜1本あたり、4.0g以上で、かつその中空糸膜の降伏強力未満である。巻き取り時には少なからず張力を加えることが必須であり、4.0g未満となると巻き取り時に中空糸膜の弛みが発生し、良好なチーズが得られない。また逆に強い張力をかけると中空糸膜に負担がかかるため、品質の低下や膜形状の異常を引き起こす可能性がある。巻き取り時の中空糸膜にかかる張力は5.0g以上8.0g以下とすることがより好ましい。
【0015】
中空糸膜の素材は特に限定されず、セルロース、セルロースアセテート、ポリメチルメタクリレート、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドなどが挙げられるが、市場における普及率や高い透過性能が発現できる点などからセルロースアセテート系素材およびポリスルホン系が本発明の効果が高く、好適に使用できる。
【0016】
【実施例】
以下、実施例にて本発明の好ましい実施態様を説明する。
【0017】
(中空糸の内径、外径、膜厚の測定)
中空糸断面のサンプルは以下のようにして得ることができる。測定には中空形成材を洗浄、除去した後、中空糸膜を乾燥させた形態で観察することが好ましい。乾燥方法は問わないが、乾燥により著しく形態が変化する場合には中空形成材を洗浄、除去したのち、純水で完全に置換した後、湿潤状態で形態を観察することが好ましい。中空糸膜の内径、外径および膜厚は、中空糸膜をスライドグラスの中央に開けられたφ3mmの孔に中空糸膜が抜け落ちない程度に適当本数通し、スライドグラスの上下面でカミソリによりカットし、中空糸膜断面サンプルを得た後、投影機Nikon−12Aを用いて中空糸膜断面の短径、長径を測定することにより得られる。中空糸膜断面1個につき2方向の短径、長径を測定し、それぞれの算術平均値を中空糸膜断面1個の内径および外径とし、膜厚は(外径−内径)/2で算出した。5断面について同様に測定を行い、平均値を内径、膜厚とした。
【0018】
(真円度の測定)
得られたチーズの最内層部(ボビン表面からの距離が3mm)の中空糸膜をチーズより解除、集束、切断し、中空糸膜モジュールを作製した。得られた中空糸膜モジュールより透過性能を測定し、さらにモジュール端面中任意の100個の中空糸膜断面に関して、イメージアナライザーによって中空糸膜の真円度を測定した。真円度とは中空糸膜断面における中空糸内径の短軸/長軸比のことであり、例えば真円であれば真円度は1である。
【0019】
(中空糸膜の透水性の測定)
透水性の測定に関しては、以下の手順で実施する。
中空糸膜を3000〜20000本充填した中空糸膜モジュールを作製する。計算に用いる中空糸膜面積は、中空糸内径(ID)基準とし、接着部分を除いた有効長(L)から有効膜面積を計算する。予め純水を中空糸膜内部(中空部)、中空糸膜外部(モジュール内)の順に通水し、空気を除去する。モジュールを37℃に恒温した後、中空糸膜内部(中空部)に通じるモジュール入口から37℃の純水によって圧力をかけて、膜の内側と外側の圧力差、すなわち膜間圧力差(P)を生じせしめ、1分間に膜を通して膜外側に出てくる純水の量(W)を測定した。4点の異なったPにおける1分間のWを測定し、PとWを2次元座標にプロットして、それらの近似直線の傾きを数値として求めた。次に下記式により中空糸膜の透水性(UFR、ml/(m2・hr・mmHg))を計算した。
UFR=W(ml/min)×60(min/hr)÷A(m2)÷P(mmHg)
ここで、有効膜面積A(m2)=ID(μm)×10−6×π×L(m)×中空糸本数
【0020】
(中空糸膜の透過係数の測定)
透過係数の測定に関しては、以下の手順で実施する。
中空糸膜500〜2000本、長さ約15cmの中空糸膜束にした後、両端部を樹脂により接着し切断して中空部を開口させた測定用ミニモジュールを作製した。計算に用いる中空糸膜面積は、中空糸内径(ID)基準とし、接着部分を除いた有効長(L)から有効膜面積を計算する。中空糸膜内部(中空部)に純水を通水し気泡を除去した後、中空部に純水を充填したままミニモジュールを37℃に恒温された純水に浸漬しておく。ミニモジュールを純水に浸漬させた状態で、中空糸膜内部(中空部)に通じるミニモジュール入口(一方の端部)から37℃の尿素0.5wt%、ビタミンB120.005wt%水溶液を15〜20(ml/min)で通液させ、モジュール入口と出口(反対側の端部)の液をサンプリングした。また同時に入口流量(QBin)および出口流量(QBout)の測定を行った。その際、中空糸膜外部は中空糸膜を透過した溶質による濃度分極層が生成しないように多量の純水により希釈した。サンプリングしたミニモジュール入口と出口の液それぞれについて、尿素およびビタミンB12の濃度を吸光光度法により測定した。(入口の濃度をCin、出口の濃度をCoutとする。)なお、尿素の分析には東亜電波製の酵素(ZM0503)および緩衝液(ZM0490)を使用した。
次に下記式により中空糸膜の透過係数(P、cm/sec)を計算した。
P=A/B
A= QBout(ml/min) ×ln(Cin/Cout)×QBin×ln(QBin/QBout)
B=S(cm2)×(QBin−QBout)×60
ここで、有効膜面積S(cm2)=ID(μm)×10−4×π×L(cm)×中空糸本数
【0021】
(実施例1)
紡糸原液として、セルローストリアセテート(CTA)17.5重量%、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)57.75重量%、トリエチレングリコール(TEG)24.75重量%を180℃にて混合溶解したものを用いた。これを20μmの焼結フィルターに通した後、2重管構造の紡糸用口金から垂直下方に向け吐出した。同時に内側の管には流動パラフィンを供給し、中空糸膜を形成した。
この中空糸膜は60mmの蒸気雰囲気中を通過後、凝固浴、水洗浴、グリセリン浴を経て、熱風乾燥された後、4本合糸とし、ワインダーによってチーズの厚みが50mmとなるまでボビンに巻き取られた。このときのチーズの幅は300mmであり、巻上げ速度は75m/分であった。チーズに対する接圧はチーズ幅1mmあたり1.8gとし、巻き取り時の中空糸膜にかかる張力は1本あたり6.0gとした。
また、ランダムに抜き取った10本から中空糸膜の降伏強度および破断強度を測定し、その平均値を算出し降伏強度、破断強度とした。
中空糸膜モジュールのUFRは278ml/(m2・hr・mmHg)であり、尿素およびビタミンB12の透過係数はそれぞれ142×105cm/sec、39.4×105cm/secであった。また、真円度の平均値は0.79であり、真円度が0.3以下の偏平または閉塞した中空糸膜は存在しなかった。降伏強度および破断強度はそれぞれ19.9(g)、31.7(g)であった。
結果を表1に示す。
【0022】
(実施例2)
ポリエーテルスルホン(住友ケムテックス社4800P)25重量%およびポリビニルピロリドン(K−30、BASF社)5重量%をNMPとTEGの混合液(重量比でNMP:TEG=8:2)に溶解し、均一な溶液とした。この溶液を紡糸原液として、二重環状スリット口金の外側スリットから吐出すると同時に、紡糸原液に対して非凝固性の流動パラフィンを内液として吐出した。口金から凝固層までの乾式部分(70mm)を経て25℃のRO水からなる凝固層内に紡糸原液/内液を落とし込み、凝固させて中空糸膜として成形して凝固層内より曳き上げた。続いて、水洗浴、35重量%のグリセリン水溶液浴を経ることで洗浄、表面へのグリセリン塗布を行い、ワインダーによってチーズの厚みが50mmとなるまでボビンに巻き取った。このときのチーズの幅は300mmであり、巻上げ速度は75m/分であった。チーズに対する接圧はチーズ幅1mmあたり1.8gとし、巻き取り時の中空糸膜にかかる張力は1本あたり7.5gとした。
得られたチーズの最内層部(ボビン表面からの距離が3mm)の中空糸膜を集束、切断し、中空糸膜モジュールを作製した。得られた中空糸膜モジュールより透過性能を測定し、さらにモジュール端面中任意の100個の中空糸膜断面に関して、イメージアナライザーによって中空糸膜の真円度を測定した。また、ランダムに抜き取った10本から中空糸膜の降伏強度および破断強度を測定し、その平均値を算出した。
中空糸膜モジュールのUFRは121ml/(m2・hr・mmHg)であり、尿素およびビタミンB12の透過係数はそれぞれ116×105cm/sec、24.5×105cm/secであった。また、真円度の平均値は0.81であり、真円度が0.3以下の偏平または閉塞した中空糸膜は存在しなかった。降伏強度および破断強度はそれぞれ10.1g、13.8gであった。
結果を表1に示す。
【0023】
(実施例3)
上記実施例2で示した製膜方法により得られた中空糸膜を同様にワインダーにてボビンに巻き取った。このとき、チーズに対する接圧はチーズ幅1mmあたり2.3gとし、巻き取り時の中空糸膜にかかる張力は1本あたり6.0gとした。
中空糸膜モジュールのUFRは121ml/(m2・hr・mmHg)であり、尿素およびビタミンB12の透過係数はそれぞれ116×105cm/sec、25.1×105cm/secであった。また、真円度の平均値は0.78であり、真円度が0.3以下の偏平または閉塞した中空糸膜は存在しなかった。降伏強度および破断強度はそれぞれ10.1g、14.3gであった。
結果を表1に示す。
【0024】
(比較例1)
上記実施例1で示した製膜方法により得られた中空糸膜を同様にワインダーにてボビンに巻き取った。このとき、チーズにかかる接圧のみ、チーズ幅1mmあたり2.7gとした。
上記実施例1と同様に中空糸膜モジュールを作製し、透過性能、真円度、降伏強度および破断強度を測定した。
中空糸膜モジュールのUFRは270ml/(m2・hr・mmHg)であり、尿素およびビタミンB12の透過係数はそれぞれ139×105cm/sec、39.3×105cm/secであった。また、真円度の平均値は0.72であり、真円度が0.3以下の偏平または閉塞した中空糸膜の存在率は3.0%であった。降伏強度および破断強度はそれぞれ20.5g、34.2gであった。
結果を表1に示す。
【0025】
(比較例2)
上記実施例1で示した製膜方法により得られた中空糸膜を同様にワインダーにてボビンに巻き取った。このとき、チーズにかかる接圧のみ、チーズ幅1mmあたり7.0gとした。
しかし、接圧ローラーへの中空糸膜の捲き付きが多発し、サンプルを得ることができなかった。
【0026】
(比較例3)
上記実施例2で示した製膜方法により得られた中空糸膜を同様にワインダーにてボビンに巻き取った。このとき、中空糸膜にかかる張力のみ、中空糸膜1本あたり12.0gとした。
上記実施例2と同様に中空糸膜モジュールを作製し、透過性能、真円度、降伏強度および破断強度を測定した。
中空糸膜モジュールのUFRは123ml/(m2・hr・mmHg)であり、尿素およびビタミンB12の透過係数はそれぞれ119×105cm/sec、24.6×105cm/secであった。また、真円度の平均値は0.70であり、真円度が0.3以下の偏平または閉塞した中空糸膜の存在率は4.2%であった。降伏強度および破断強度はそれぞれ10.3g、15.5gであった。
結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、透過性能が高く、透水性(UFR)が100(ml/m2・hr・mmHg)以上の中空糸膜であっても、透過性能を維持したまま、偏平や閉塞を引き起こすことなくボビン巻きによって簡便に巻き取ることができ、真円度の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はボビン巻きの外観図
【符号の説明】
▲1▼中空糸膜巻き取り用ボビン
▲2▼中空糸膜チーズ
▲3▼接圧ローラー
▲4▼ワインダー軸部
Claims (3)
- 37℃純水の透水性(UFR)が100ml/(m2・hr・mmHg)以上、かつ破断強度が60g以下または降伏強度が40g以下の中空糸膜の巻き取り方法であって、チーズに対する接圧がチーズ幅1mmあたり1.0g以上2.5g以下で、かつ巻き取り時の張力が中空糸膜1本あたり4.0g以上、降伏強度を超えないことを特徴とする中空糸膜の巻き取り方法。
- 請求項1記載の中空糸膜の巻き取り方法で巻き取られた中空糸膜の真円度がチーズ最内層部(ボビンからの距離が5mm以内)において0.75以上である中空糸膜。
- 該中空糸膜の内径が100μm以上250μm未満であり、かつ膜厚が10μm以上30μm未満である請求項2記載の中空糸膜。
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2003
- 2003-04-14 JP JP2003109213A patent/JP2004313881A/ja active Pending
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