JP2004313081A - 緑化方法とこれに用いる植生型枠 - Google Patents
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Abstract
【課題】緑化対象面の周囲環境に悪影響を与えることなく、これとマッチした緑化を安価かつ確実に行うことができ、自然度の高い緑化を行うことのできる緑化方法およびこの緑化方法に好適に用いることのできる植生型枠を提供すること。
【解決手段】網状体よりなる植生型枠3を緑化対象面1に格子状に配置し、この植生型枠1内に表土シードバンクを含んだ植生基材4を吹き付ける。
【選択図】 図1
【解決手段】網状体よりなる植生型枠3を緑化対象面1に格子状に配置し、この植生型枠1内に表土シードバンクを含んだ植生基材4を吹き付ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、緑化方法とこれに用いる植生型枠に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2002−332640号公報
近年、生物の多様性、遺伝子攪乱防止などへの配慮から、緑化施工地周辺の植物を使用することへの要望が高まっており、施工地周辺の種子を採取して用いたり、施工地周辺の表層土壌や施工地周辺の森林内からそこに生育する植物の種子を埋土種子として含む表土シードバンクを採取して、この表土シードバンクを緑化工法に使用する傾向が高まって、それが実施されつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記表土シードバンクを活用する緑化方法において、緑化対象面である法面を吹き付け等によって全面緑化しようとすると、その吹き付け等のために採取する表土の量が多くなりそれだけ周囲環境に与える影響が大きくなるとともにコスト高となる。また、目的とする木本類の侵入が遅れるといった問題がある。
【0004】この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、緑化対象面の周囲環境に悪影響を与えることなく、これとマッチした緑化を安価かつ確実に行うことができ、自然度の高い緑化を行うことのできる緑化方法およびこの緑化方法に好適に用いることのできる植生型枠を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、この発明の緑化方法は、網状体よりなる植生型枠を緑化対象面に格子状に配置し、この植生型枠内に表土シードバンクを含んだ植生基材を吹き付けることを特徴としている(請求項1)。
【0006】上記緑化方法においては、植生型枠によって格子内部は人工的な裸地となっており、周辺から植物種子が入り易く、植生の遷移が促進され、自然度の高い緑化を行うことができる。そして、表土シードバンクを含んだ植生基材を、緑化対象面全体に吹き付けるのではなく、緑化対象面に格子状に配置された植生型枠内にのみ吹き付けるだけでよいので、表土の採取量が少なくて済み、周囲環境に及ぼされる悪影響がほとんど無いとともにコスト安に施工することができる。また、前記植生型枠内に吹き付けられた表土シードバンクから植物が生育することにより、格子状に植物が生育し、この生育した植物によって前記格子内は適当に遮光され、防風される。したがって、格子内の裸地の保水性が向上し、余所から飛来してきた種子の発芽が促進される。
【0007】そして、前記緑化方法において、緑化対象面に植生型枠を設置するに際して、当該緑化対象面に植生ネットを敷設してもよく(請求項2)、このようにした場合、急な傾斜面においても、この緑化方法を好適に適用することができる。
【0008】また、上記目的を達成するため、この発明の植生型枠は、緑化対象面に適宜の間隔をおいて配置され、二つの平行する型枠部材を連結してなることを特徴としている(請求項3)。
【0009】上記植生型枠においては、緑化対象面に所定の格子枠を確実に形成することができ、表土シードバンクを含んだ植生基材を確実に保持することができる。特に、等高線に沿うように設けられる植生型枠において、下位に配置される型枠部材の目合いが上位に配置される型枠部材の目合いよりも小さくしてある場合(請求項4)、前記植生型枠内に注入された植生基材を確実に保持することができる。
【0010】そして、前記植生型枠において、等高線に沿うように設けられる植生型枠において、上位に配置される型枠部材の高さを下位に配置される型枠部材の高さよりも低くした場合(請求項5)、上部勾配を緩和することができる。また、型枠部材に保水シートを設けた場合(請求項6)、植生型枠内の植生基材の乾燥を防止することができる。さらに、前記植生型枠において、その上部に蓋を開閉自在に設けた場合、植生型枠内の植生基材の飛散などを防止することができ好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明の詳細を、図を参照しながら説明する。図1〜図3は、この発明の第1の実施の形態を示すものである。まず、図1および図2において、1は緑化対象面としての法面で、その傾斜角度は比較的小さい。2はこの法面1の上面に格子状に形成される格子体で、主として植生型枠3とこの植生型枠3の内部に吹き付けられる植生基材4とから構成される。5は植生型枠3の内部に配設される鉄筋、6はこの鉄筋5を固定するアンカーボルトである。
【0012】前記植生型枠3は、例えば、図3に示すように、一対の型枠部材としての金網3a,3bよりなり、この実施の形態においては、金網3a,3bは互いに同一サイズの長方形状であり、例えば、高さHが10cm、幅Wが100cmの長方形状に形成されているとともに、植生基材4を可及的に流出させない目合いに形成されている。そして、これらの金網3a,3bは、適宜太さの針金などの連結部材7を例えば2本を互いにクロスするようにして金網3a,3b間に設けることにより、離間・接近自在に結合されている。すなわち、金網3a,3bは、同図(A)に示すように、間隔dが20cm程度になり、また、同図(B)に示すように、互いに近づけた場合、ほとんど重なるように、離間・接近自在に連結されている。つまり、この実施の形態においては、植生型枠3は、その高さよりも幅が大きくなるように、網状体としての金網3a,3bを組み合わせて構成されている。
【0013】そして、前記植生基材4は、表土シードバンクを含んだものよりなり、より具体的には、前記法面1の近傍の地山や森林等の表土(植物種子8を含んでいるもの)にピートモスやバーク堆肥や保水材など生育補助材9を適宜混合してなるものである。
【0014】次に、この発明の緑化方法について、図1〜図3を参照しながら説明すると、まず、緑化対象面(施工対象面)である法面1を適宜整備して、凹凸した部分をできるだけ少なくなるように整地する(必ずしも平坦な面にする必要はない)。
【0015】前記整地後の法面1に複数の植生型枠3を、図1に示すように、格子状に配置する。この場合、図3(A)に示すように、金網3a,3bを最大限に離間させて、それらの間が所定の間隔となるようにする。なお、植生型枠3を構成する金網3a,3bは予め連結部材7によって連結してあってもよいが、法面1に敷設する際に、当該現場(法面1)において連結部材7によって連結するようにしてもよい。
【0016】そして、適宜太さおよび長さの鉄筋5をクロスしている連結部材7の交点位置に載置するとともに、法面1に打ち込まれるアンカーボルト6によって固定する。この場合、鉄筋5をアンカーボルト6に対して適宜の番線を用いて結束するようにしてもよい。
【0017】その後、図1に示すように、適宜の吹付け装置(図示していない)を用いて、植生基材4を、鉄筋5を配設してある植生型枠3内に吹き付けるのである。なお、図1において、10は植生基材4を吹き付けるためのノズルである。
【0018】前記植生基材4の吹き付けによって、法面1には、図1に示すような格子体1が形成され、その内部には法面1の人工的に形成された複数の裸地部分1aが露出している。この裸地部分1aの一つの大きさは、例えば、横方向(等高線に水平な方向)Xの長さが150cm、縦方向(高さ方向)Yの長さが100cmである。
【0019】上記のように法面1に格子体1を形成した場合、格子体1によって囲まれた複数の格子内部1aは、人工的な裸地となっており、この裸地部分1aには周辺から植物種子が入り易く、植生の遷移が促進され、自然度の高い緑化が行われる。そして、格子体1は植生基材4を含むものであり、この植生基材4から植物が生育する。この植物が前記格子体1内の裸地部分1aを適当に遮光し、防風することにより、裸地部分1aの乾燥が巧みに防止され、余所から飛来してきた種子の発芽が促進される。
【0020】そして、上記緑化方法においては、緑化対象面である法面1全体に植生基材4を吹き付けるのではなく、格子状に配置された植生型枠3内にのみ吹き付けるだけでよいので、表土の採取量が少なくて済み、周囲環境に及ぼされる悪影響がほとんど無いとともにコスト安に施工することができる。
【0021】また、前記植生型枠3は、構造が簡単であり、その取扱いも容易であるので、搬送を楽に行うことができる、特に、足場や作業環境が悪い傾斜面などにおける取扱いや施工性が良いので、上記緑化方法に好適に使用することができる。
【0022】上述した緑化方法および植生型枠3は、傾斜が比較的緩やかな法面や斜面などに好適に適用できるものであったが、急傾斜面においては、図4および図5に示すようにするのが好ましい。
【0023】すなわち、図4および図5は、この発明の第2の実施の形態を示すもので、図4に示すように、予め整地された法面1に、例えば、複数の収容部10を備えた植生ネット11を、収容部10が等高線に沿うようにして敷設し、各収容部10内に、適宜の肥料12を収容した肥料袋13を収容する。なお、肥料袋13はアンカーピン14によって固定するようにしてもよく、植生ネット11の製造時に収容部10内に予め収容しておいてもよい。また、等高線に沿って設けられる植生型枠3Aについては、図5(A)に示すように、下位に配置される型枠部材3bの目合いを上位に配置される型枠部材3aの目合いよりも小さくしてあるのが好ましい。さらに、前記植生ネット11として、金網やプラスチック網を用いてもよいが、植物性素材または動物性素材や他の腐食性素材の網を用いることにより、木本植物の生育を阻害するおそれがなくなるとともに、周辺環境に与える負荷を低減することができ、環境保護の面においても好適である。
【0024】この第2の実施の形態においては、法面1に植生ネット11を敷設してあるので、法面1が急傾斜であっても、法面1の崩落やエロージョンが植生ネット11によって巧みに防止される。そして、植生ネット11に適宜の肥料12を収容した肥料袋13を付設してあるので、植生の成育が速やかに行われる。また、等高線に沿って設けられる植生型枠3Aについては、下位に配置される型枠部材3bの目合いを上位に配置される型枠部材3aの目合いよりも小さくしてあるので、図5(B)に示すように、植生型枠3内に注入された植生基材4の流出が巧みに防止される。したがって、この第2の実施の形態の緑化方法においても、前記第1の実施の形態の緑化方法と同様の効果が得られる。
【0025】この発明は、上述した実施の形態に限られるものではなく、種々に変形して実施することができる。例えば、等高線に沿うように設けられる植生型枠3Aにおいて、図6(A)に示すように、上位に配置される型枠部材3aの高さを下位に配置される型枠部材3bの高さよりも低くした場合,上部勾配を緩和することができる。さらに、各植生型枠3において、図7に示すように、その上部に蓋14を開閉自在に設けた場合、植生型枠3内の植生基材4の飛散などを防止することができる。そしてさらに、各植生型枠3において、図8に示すように、型枠部材3a,3bにヤシマットなどの保水シート15を付設した場合、植生型枠3内の植生基材4の乾燥を防止することができる。なお、保水シート15は、型枠部材3a,3bのいずれかに設けてあってもよい。
【0026】そして、図5〜図8に示す実施態様は、適宜組み合わせてもよく、例えば、等高線に沿うように設けられる植生型枠3Aにおいて、下位に配置される型枠部材3bの目合いを上位に配置される型枠部材3aよりも小さくし、かつ、上位に配置される型枠部材3aの高さを下位に配置される型枠部材よりも低くし、蓋14を設け、さらに、型枠部材3a,3bの少なくともいずれかに保水シート15を設けるなど、種々の実施態様が考えられる。また、上記各植生型枠3を構成する型枠部材3a,3bは、金網に限らず、プラスチック網などで構成してあってもよく、さらには、腐食性素材よりなる網状体で構成してあってもよく、この場合、周辺環境に与える負荷を低減することができ、環境保護の面においても好適である。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の緑化方法は、緑化対象面の周囲環境に悪影響を与えることなく、これとマッチした緑化を安価かつ確実に行うことができ、自然度の高い緑化を達成することができる。そして、この発明の植生型枠は、前記緑化方法の実施に際して好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態における緑化方法を示す図である。
【図2】前記緑化方法における法面の縦断面図である。
【図3】前記緑化方法で用いる植生型枠を示す図である。
【図4】この発明の第2の実施の形態における緑化方法を示す図である。
【図5】前記緑化方法で用いる植生型枠を示す図である。
【図6】この発明の緑化方法で用いる植生型枠の他の例を説明するための図である。
【図7】この発明の緑化方法で用いる植生型枠のさらに他の例を説明するための図である。
【図8】この発明の緑化方法で用いる植生型枠のさらに他の例を説明するための図である。
【符号の説明】
1…緑化対象面、3,3A…植生型枠、3a,3b…型枠部材、4…植生基材、11…植生ネット、14…蓋、15…保水シート。
【発明の属する技術分野】
この発明は、緑化方法とこれに用いる植生型枠に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2002−332640号公報
近年、生物の多様性、遺伝子攪乱防止などへの配慮から、緑化施工地周辺の植物を使用することへの要望が高まっており、施工地周辺の種子を採取して用いたり、施工地周辺の表層土壌や施工地周辺の森林内からそこに生育する植物の種子を埋土種子として含む表土シードバンクを採取して、この表土シードバンクを緑化工法に使用する傾向が高まって、それが実施されつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記表土シードバンクを活用する緑化方法において、緑化対象面である法面を吹き付け等によって全面緑化しようとすると、その吹き付け等のために採取する表土の量が多くなりそれだけ周囲環境に与える影響が大きくなるとともにコスト高となる。また、目的とする木本類の侵入が遅れるといった問題がある。
【0004】この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、緑化対象面の周囲環境に悪影響を与えることなく、これとマッチした緑化を安価かつ確実に行うことができ、自然度の高い緑化を行うことのできる緑化方法およびこの緑化方法に好適に用いることのできる植生型枠を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、この発明の緑化方法は、網状体よりなる植生型枠を緑化対象面に格子状に配置し、この植生型枠内に表土シードバンクを含んだ植生基材を吹き付けることを特徴としている(請求項1)。
【0006】上記緑化方法においては、植生型枠によって格子内部は人工的な裸地となっており、周辺から植物種子が入り易く、植生の遷移が促進され、自然度の高い緑化を行うことができる。そして、表土シードバンクを含んだ植生基材を、緑化対象面全体に吹き付けるのではなく、緑化対象面に格子状に配置された植生型枠内にのみ吹き付けるだけでよいので、表土の採取量が少なくて済み、周囲環境に及ぼされる悪影響がほとんど無いとともにコスト安に施工することができる。また、前記植生型枠内に吹き付けられた表土シードバンクから植物が生育することにより、格子状に植物が生育し、この生育した植物によって前記格子内は適当に遮光され、防風される。したがって、格子内の裸地の保水性が向上し、余所から飛来してきた種子の発芽が促進される。
【0007】そして、前記緑化方法において、緑化対象面に植生型枠を設置するに際して、当該緑化対象面に植生ネットを敷設してもよく(請求項2)、このようにした場合、急な傾斜面においても、この緑化方法を好適に適用することができる。
【0008】また、上記目的を達成するため、この発明の植生型枠は、緑化対象面に適宜の間隔をおいて配置され、二つの平行する型枠部材を連結してなることを特徴としている(請求項3)。
【0009】上記植生型枠においては、緑化対象面に所定の格子枠を確実に形成することができ、表土シードバンクを含んだ植生基材を確実に保持することができる。特に、等高線に沿うように設けられる植生型枠において、下位に配置される型枠部材の目合いが上位に配置される型枠部材の目合いよりも小さくしてある場合(請求項4)、前記植生型枠内に注入された植生基材を確実に保持することができる。
【0010】そして、前記植生型枠において、等高線に沿うように設けられる植生型枠において、上位に配置される型枠部材の高さを下位に配置される型枠部材の高さよりも低くした場合(請求項5)、上部勾配を緩和することができる。また、型枠部材に保水シートを設けた場合(請求項6)、植生型枠内の植生基材の乾燥を防止することができる。さらに、前記植生型枠において、その上部に蓋を開閉自在に設けた場合、植生型枠内の植生基材の飛散などを防止することができ好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明の詳細を、図を参照しながら説明する。図1〜図3は、この発明の第1の実施の形態を示すものである。まず、図1および図2において、1は緑化対象面としての法面で、その傾斜角度は比較的小さい。2はこの法面1の上面に格子状に形成される格子体で、主として植生型枠3とこの植生型枠3の内部に吹き付けられる植生基材4とから構成される。5は植生型枠3の内部に配設される鉄筋、6はこの鉄筋5を固定するアンカーボルトである。
【0012】前記植生型枠3は、例えば、図3に示すように、一対の型枠部材としての金網3a,3bよりなり、この実施の形態においては、金網3a,3bは互いに同一サイズの長方形状であり、例えば、高さHが10cm、幅Wが100cmの長方形状に形成されているとともに、植生基材4を可及的に流出させない目合いに形成されている。そして、これらの金網3a,3bは、適宜太さの針金などの連結部材7を例えば2本を互いにクロスするようにして金網3a,3b間に設けることにより、離間・接近自在に結合されている。すなわち、金網3a,3bは、同図(A)に示すように、間隔dが20cm程度になり、また、同図(B)に示すように、互いに近づけた場合、ほとんど重なるように、離間・接近自在に連結されている。つまり、この実施の形態においては、植生型枠3は、その高さよりも幅が大きくなるように、網状体としての金網3a,3bを組み合わせて構成されている。
【0013】そして、前記植生基材4は、表土シードバンクを含んだものよりなり、より具体的には、前記法面1の近傍の地山や森林等の表土(植物種子8を含んでいるもの)にピートモスやバーク堆肥や保水材など生育補助材9を適宜混合してなるものである。
【0014】次に、この発明の緑化方法について、図1〜図3を参照しながら説明すると、まず、緑化対象面(施工対象面)である法面1を適宜整備して、凹凸した部分をできるだけ少なくなるように整地する(必ずしも平坦な面にする必要はない)。
【0015】前記整地後の法面1に複数の植生型枠3を、図1に示すように、格子状に配置する。この場合、図3(A)に示すように、金網3a,3bを最大限に離間させて、それらの間が所定の間隔となるようにする。なお、植生型枠3を構成する金網3a,3bは予め連結部材7によって連結してあってもよいが、法面1に敷設する際に、当該現場(法面1)において連結部材7によって連結するようにしてもよい。
【0016】そして、適宜太さおよび長さの鉄筋5をクロスしている連結部材7の交点位置に載置するとともに、法面1に打ち込まれるアンカーボルト6によって固定する。この場合、鉄筋5をアンカーボルト6に対して適宜の番線を用いて結束するようにしてもよい。
【0017】その後、図1に示すように、適宜の吹付け装置(図示していない)を用いて、植生基材4を、鉄筋5を配設してある植生型枠3内に吹き付けるのである。なお、図1において、10は植生基材4を吹き付けるためのノズルである。
【0018】前記植生基材4の吹き付けによって、法面1には、図1に示すような格子体1が形成され、その内部には法面1の人工的に形成された複数の裸地部分1aが露出している。この裸地部分1aの一つの大きさは、例えば、横方向(等高線に水平な方向)Xの長さが150cm、縦方向(高さ方向)Yの長さが100cmである。
【0019】上記のように法面1に格子体1を形成した場合、格子体1によって囲まれた複数の格子内部1aは、人工的な裸地となっており、この裸地部分1aには周辺から植物種子が入り易く、植生の遷移が促進され、自然度の高い緑化が行われる。そして、格子体1は植生基材4を含むものであり、この植生基材4から植物が生育する。この植物が前記格子体1内の裸地部分1aを適当に遮光し、防風することにより、裸地部分1aの乾燥が巧みに防止され、余所から飛来してきた種子の発芽が促進される。
【0020】そして、上記緑化方法においては、緑化対象面である法面1全体に植生基材4を吹き付けるのではなく、格子状に配置された植生型枠3内にのみ吹き付けるだけでよいので、表土の採取量が少なくて済み、周囲環境に及ぼされる悪影響がほとんど無いとともにコスト安に施工することができる。
【0021】また、前記植生型枠3は、構造が簡単であり、その取扱いも容易であるので、搬送を楽に行うことができる、特に、足場や作業環境が悪い傾斜面などにおける取扱いや施工性が良いので、上記緑化方法に好適に使用することができる。
【0022】上述した緑化方法および植生型枠3は、傾斜が比較的緩やかな法面や斜面などに好適に適用できるものであったが、急傾斜面においては、図4および図5に示すようにするのが好ましい。
【0023】すなわち、図4および図5は、この発明の第2の実施の形態を示すもので、図4に示すように、予め整地された法面1に、例えば、複数の収容部10を備えた植生ネット11を、収容部10が等高線に沿うようにして敷設し、各収容部10内に、適宜の肥料12を収容した肥料袋13を収容する。なお、肥料袋13はアンカーピン14によって固定するようにしてもよく、植生ネット11の製造時に収容部10内に予め収容しておいてもよい。また、等高線に沿って設けられる植生型枠3Aについては、図5(A)に示すように、下位に配置される型枠部材3bの目合いを上位に配置される型枠部材3aの目合いよりも小さくしてあるのが好ましい。さらに、前記植生ネット11として、金網やプラスチック網を用いてもよいが、植物性素材または動物性素材や他の腐食性素材の網を用いることにより、木本植物の生育を阻害するおそれがなくなるとともに、周辺環境に与える負荷を低減することができ、環境保護の面においても好適である。
【0024】この第2の実施の形態においては、法面1に植生ネット11を敷設してあるので、法面1が急傾斜であっても、法面1の崩落やエロージョンが植生ネット11によって巧みに防止される。そして、植生ネット11に適宜の肥料12を収容した肥料袋13を付設してあるので、植生の成育が速やかに行われる。また、等高線に沿って設けられる植生型枠3Aについては、下位に配置される型枠部材3bの目合いを上位に配置される型枠部材3aの目合いよりも小さくしてあるので、図5(B)に示すように、植生型枠3内に注入された植生基材4の流出が巧みに防止される。したがって、この第2の実施の形態の緑化方法においても、前記第1の実施の形態の緑化方法と同様の効果が得られる。
【0025】この発明は、上述した実施の形態に限られるものではなく、種々に変形して実施することができる。例えば、等高線に沿うように設けられる植生型枠3Aにおいて、図6(A)に示すように、上位に配置される型枠部材3aの高さを下位に配置される型枠部材3bの高さよりも低くした場合,上部勾配を緩和することができる。さらに、各植生型枠3において、図7に示すように、その上部に蓋14を開閉自在に設けた場合、植生型枠3内の植生基材4の飛散などを防止することができる。そしてさらに、各植生型枠3において、図8に示すように、型枠部材3a,3bにヤシマットなどの保水シート15を付設した場合、植生型枠3内の植生基材4の乾燥を防止することができる。なお、保水シート15は、型枠部材3a,3bのいずれかに設けてあってもよい。
【0026】そして、図5〜図8に示す実施態様は、適宜組み合わせてもよく、例えば、等高線に沿うように設けられる植生型枠3Aにおいて、下位に配置される型枠部材3bの目合いを上位に配置される型枠部材3aよりも小さくし、かつ、上位に配置される型枠部材3aの高さを下位に配置される型枠部材よりも低くし、蓋14を設け、さらに、型枠部材3a,3bの少なくともいずれかに保水シート15を設けるなど、種々の実施態様が考えられる。また、上記各植生型枠3を構成する型枠部材3a,3bは、金網に限らず、プラスチック網などで構成してあってもよく、さらには、腐食性素材よりなる網状体で構成してあってもよく、この場合、周辺環境に与える負荷を低減することができ、環境保護の面においても好適である。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の緑化方法は、緑化対象面の周囲環境に悪影響を与えることなく、これとマッチした緑化を安価かつ確実に行うことができ、自然度の高い緑化を達成することができる。そして、この発明の植生型枠は、前記緑化方法の実施に際して好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態における緑化方法を示す図である。
【図2】前記緑化方法における法面の縦断面図である。
【図3】前記緑化方法で用いる植生型枠を示す図である。
【図4】この発明の第2の実施の形態における緑化方法を示す図である。
【図5】前記緑化方法で用いる植生型枠を示す図である。
【図6】この発明の緑化方法で用いる植生型枠の他の例を説明するための図である。
【図7】この発明の緑化方法で用いる植生型枠のさらに他の例を説明するための図である。
【図8】この発明の緑化方法で用いる植生型枠のさらに他の例を説明するための図である。
【符号の説明】
1…緑化対象面、3,3A…植生型枠、3a,3b…型枠部材、4…植生基材、11…植生ネット、14…蓋、15…保水シート。
Claims (6)
- 網状体よりなる植生型枠を緑化対象面に格子状に配置し、この植生型枠内に表土シードバンクを含んだ植生基材を吹き付けることを特徴とする緑化方法。
- 緑化対象面に植生型枠を設置するに際して、当該緑化対象面に植生ネットを敷設してなる請求項1に記載の緑化方法。
- 緑化対象面に適宜の間隔をおいて配置され、二つの平行する型枠部材を連結してなることを特徴とする植生型枠。
- 等高線に沿うように設けられる植生型枠において、下位に配置される型枠部材の目合いが上位に配置される型枠部材の目合いよりも小さくしてある請求項3に記載の植生型枠。
- 等高線に沿うように設けられる植生型枠において、上位に配置される型枠部材の高さを下位に配置される型枠部材の高さよりも低くしてある請求項3または4に記載の植生型枠。
- 型枠部材に保水シートを設けてある請求項3〜5のいずれかに記載の植生型枠。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003112079A JP2004313081A (ja) | 2003-04-16 | 2003-04-16 | 緑化方法とこれに用いる植生型枠 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003112079A JP2004313081A (ja) | 2003-04-16 | 2003-04-16 | 緑化方法とこれに用いる植生型枠 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004313081A true JP2004313081A (ja) | 2004-11-11 |
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Family Applications (1)
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JP2003112079A Pending JP2004313081A (ja) | 2003-04-16 | 2003-04-16 | 緑化方法とこれに用いる植生型枠 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105684850A (zh) * | 2016-02-05 | 2016-06-22 | 中国科学院东北地理与农业生态研究所 | 一种精确模拟草地土壤种子库对土壤增温响应的方法 |
CN107604928A (zh) * | 2017-09-12 | 2018-01-19 | 衡水健林橡塑制品有限公司 | 一种抗径流抗侵蚀生态防护毯复合结构体及其施工方法 |
-
2003
- 2003-04-16 JP JP2003112079A patent/JP2004313081A/ja active Pending
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CN105684850A (zh) * | 2016-02-05 | 2016-06-22 | 中国科学院东北地理与农业生态研究所 | 一种精确模拟草地土壤种子库对土壤增温响应的方法 |
CN107604928A (zh) * | 2017-09-12 | 2018-01-19 | 衡水健林橡塑制品有限公司 | 一种抗径流抗侵蚀生态防护毯复合结构体及其施工方法 |
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