JPH08260468A - 深根性植物による岩盤法面の保護方法 - Google Patents

深根性植物による岩盤法面の保護方法

Info

Publication number
JPH08260468A
JPH08260468A JP8873595A JP8873595A JPH08260468A JP H08260468 A JPH08260468 A JP H08260468A JP 8873595 A JP8873595 A JP 8873595A JP 8873595 A JP8873595 A JP 8873595A JP H08260468 A JPH08260468 A JP H08260468A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
deep
planting
slope
rock
root
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8873595A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Miyawaki
昭 宮脇
Shigeo Takanashi
重男 高梨
Akio Tamura
彰男 田村
Koji Takeuchi
耕司 竹内
Satoru Naoki
哲 直木
Toshihiko Nagusa
俊比古 名草
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Construction Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Construction Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Construction Co Ltd filed Critical Mitsui Construction Co Ltd
Priority to JP8873595A priority Critical patent/JPH08260468A/ja
Publication of JPH08260468A publication Critical patent/JPH08260468A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】地域本来の樹種による緑の回復・創造をおこな
いつつ、美観或いは景観を損ねない形で岩盤の法面を強
化保護する。 【構成】所定の傾斜方向に傾斜した法面2が形成された
岩盤地山3において、岩盤地山3の法面2側に植溝5を
掘削形成し、植溝5に植土材11を設置すると共に、該
植土材11にポット苗12を植えつけ、該ポット苗12
を樹木19に成長させることにより、該樹木19の根群
20を、植溝5から、岩盤地山3中の自然亀裂17を介
して該岩盤地山3中に成長進入させて、該岩盤地山3中
に成長進入させた根群20により、該岩盤地山3を固定
する形で法面2を保護するようにして構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、深根性の植物を利用し
て岩盤の法面を保護するのに好適な、深根性植物による
岩盤法面の保護方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、岩盤法面を保護する方法として
は、コンクリートを吹き付けて岩盤法面にコンクリート
層を構築する方法や、岩盤法面に法枠を構築する方法等
が実施されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、コンクリート
層や法枠は、時間と共にこれらの使用材(即ちコンクリ
ート等)の劣化による斜面保全能力の低下を来す。ま
た、これらコンクリート層や法枠は、これらが構築され
る岩盤法面周囲の自然環境(例えば森林など)に調和し
ない場合が多く、美観或いは景観上の不都合があった。
【0004】そこで本発明は上記事情に鑑み、美観或い
は景観を損ねない形で岩盤法面を保護することのでき
る、深根性植物による岩盤法面の保護方法を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち本発明のうち第一の
発明は、所定の傾斜方向(矢印A、B方向)に傾斜した
岩盤法面(2)が形成された岩盤地山(3)において、
前記岩盤地山(3)の岩盤法面(2)側に植付部(5、
30、35)を掘削形成し、前記植付部(5、30、3
5)に植土材(11)を設置すると共に、該植土材(1
1)に深根性植物(12)を植えつけ、前記深根性植物
(12)を成長させることにより、該深根性植物(1
9)の根群(20)を、前記植付部(5、30、35)
から、前記岩盤地山(3)中の自然亀裂(17)を介し
て該岩盤地山(3)中に成長進入させて、該岩盤地山
(3)中に成長進入させた根群(20)により、該岩盤
地山(3)を固定する形で前記岩盤法面(2)を保護す
るようにして構成される。
【0006】また本発明のうち第二の発明は、第一の発
明による深根性植物(19)による岩盤法面(2)の保
護方法において、前記植付部(5、30、35)の掘削
形成と共に、該植付部(5、30、35)に隣接する形
で土留手段(6、31)を設置し、前記植土材(11)
の前記植付部(5、30、35)からの流失を、前記土
留手段(6、31)により防止するようにした。
【0007】また本発明のうち第三の発明は、第二の発
明による深根性植物(19)による岩盤法面(2)の保
護方法において、前記土留手段(6)は、有機材料によ
り形成されたものである。
【0008】また本発明のうち第四の発明は、第一の発
明による深根性植物(19)による岩盤法面(2)の保
護方法において、前記植付部(5、30、35)の植土
材(11)には、複数種類の深根性植物(12)を前記
岩盤法面(2)に対して0.6〜2本/m2の密度で植
えつける。
【0009】また本発明のうち第五の発明は、第一の発
明による深根性植物(19)による岩盤法面(2)の保
護方法において、前記植付部(5)は、前記岩盤法面
(2)に水平方向に伸延した形で掘削形成された筋状の
植溝(5)である。
【0010】また本発明のうち第六の発明は、第一の発
明による深根性植物(19)による岩盤法面(2)の保
護方法において、前記植土材(11)への深根性植物の
植えつけは、深根性植物のポット苗(12)を植えつけ
る形で行う。
【0011】なお、括弧内の番号等は、図面における対
応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述
は図面上の記載に限定拘束されるものではない。以下の
「作用」の欄についても同様である。
【0012】
【作用】上記した構成により本発明のうち第一の発明で
は、岩盤法面(2)には深根性植物(12、19)が植
えられ、従来のようにコンクリート層や法枠等が構築さ
れない。
【0013】また本発明のうち第二の発明では、植付部
(5、30)において植土材(11)が保持される。
【0014】また本発明のうち第三の発明では、土留手
段(6)の保湿性が極力向上される。
【0015】また本発明のうち第四の発明では、いわゆ
る密植・混植効果によって強風、温度変化、乾燥等によ
る深根性植物(12、19)に対する影響が緩和され、
深根性植物(12、19)の成長が促進される。
【0016】また本発明のうち第五の発明では、植溝
(5)内に進入した水は該植溝(5)内を、該植溝
(5)に沿って流動自在になる。
【0017】また本発明のうち第六の発明では、ポット
苗(12)を植えつける際には、該ポット苗(12)に
ついていた容器等を取外してすぐに植えつける。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。図1は、法面保護作業が完了した状態の岩盤法面の
一例を示す図、図2は、図1に示す岩盤法面において、
法面保護作業途中の状態を示す図、図3は、図2に示す
岩盤法面における植付部付近の拡大図、図4は、図2を
上方から見た図、図5は、図1に示す岩盤法面におい
て、深根性植物が更に成長した状態を示す図、図6及び
図7は、別の形で構成された植付部等を示した図であ
る。
【0019】法面保護作業途中の法面保護作業現場1
は、図2及び図4に示すように山の斜面部等を構成する
岩盤地山3を有しており、岩盤地山3の表面側には図2
及び図4の紙面左側に向かって下向き(即ち図の矢印A
方向)に約45゜で傾斜した法面2が形成されている。
なお、法面2の途中には水平な犬走り面2aが、該法面
2の傾斜方向である図の矢印A、B方向とは垂直な方
向、即ち図の矢印C、D方向に伸延した形で筋状に形成
されている。岩盤地山3の法面2側には植付部としての
複数の植溝5が掘削形成されている。各植溝5は、図2
乃至図4に示すように法面2に水平方向に、従って図4
の矢印C、D方向に伸延した形で筋状に形成されてお
り、各植溝5は図の矢印A、B方向に所定の間隔L1を
おいて配置されている(なお、本実施例では植溝5は図
4の矢印C、D方向に連続した筋状に形成されている
が、植溝5は断続した筋状など様々な形で形成されるこ
とが可能である。)。また、岩盤地山3の犬走り面2a
側においても同様な植溝5が矢印C、D方向に伸延した
形で1つ掘削形成されている。
【0020】法面2側の各植溝5に対しては、該植溝5
の矢印A側に隣接して位置し、該該植溝5に沿った形、
従って矢印C、D方向に伸延した形で土留手段としての
編柵6がそれぞれ設けられている(なお、犬走り面2a
側の植溝5に対しては編柵6が設けられていない。)。
即ち、各編柵6は、各植溝5の矢印A側の位置において
岩盤地山3に対して鉛直方向に打ち込まれた複数の杭部
材7(杭部材7の例としては鉄筋等がある)を有してお
り、これら杭部材7は該該植溝5に沿った形で一列に配
置されている。また、これら杭部材7の列の矢印B側に
は矢印C、D方向に伸延した丸太材9が、例えば図3に
示すように、上下3段に積み重ねる形で設置されてい
る。つまり、前記杭部材7の列によって丸太材9が矢印
A方向に転がり落ちないようになっている。各編柵6は
以上の杭部材7及び丸太材9によって構成されている。
各植溝5には所定の植土材11が設置されており、設置
されている植土材11は、前記編柵6によって、該植溝
5から矢印A方向等への流失が防止されている。なお、
植土材11としては例えば客土がよく、また客土として
は例えば、現地土(或いは良質土)にバーク堆肥を混入
したもの等が望ましい。また、土留である編柵6を丸太
材9等の有機材料で構成しているので、編柵6の保湿性
は高く、植土材11の乾燥が極力防止され都合がよい
(従って、編柵6の丸太材9の変わりに竹材等の他の有
機材料を適用しても都合がよい。)。この丸太材9等の
有機材料には間伐材や開発行為に伴う伐採材などを適用
することにより、これら間伐材や伐採材などを焼却しな
いで、地球資源として使いきることができ更に有効であ
る。
【0021】各植溝5の植土材11には、それぞれ複数
のポット苗12が植えられている。ポット苗とは種子か
ら発芽した苗木をビニール等の容器に移し、根群を充満
させるように育てたものであり、このポット苗を植えつ
ける際には、前記容器を取外してすぐに植えつけること
ができ、細根を傷つけることなく移植できるようになっ
ている。ポット苗は、高木を採用した場合に比べて格段
に活着率が高く、移植後の成長が早く、支柱などを必要
としないので有利である。また、ポット苗の根群は高木
の根と比べてよく発達しており、十分に細いため後述す
るようにポット苗の根群が岩盤地山3中の自然亀裂17
を介して該岩盤地山3中に成長進入する際には、根群の
自然亀裂17への進入がスムーズに行われるので都合が
よい。なお、ポット苗12の樹種としては深根性植物、
例えばシイ、タブ、カシ類等が採用されている。また、
各植溝5の複数のポット苗12は、例えば図4に示すよ
うに、矢印C、D方向に千鳥状にランダムに植えられて
おり、各植溝5に対して2〜4本/m程度(従って法面
2に対して0.6〜2本/m2程度)の密植・混植とな
っている。密植により、強風、温度変化、乾燥によるポ
ット苗12等に対する影響が緩和され、早期に枝葉が繁
茂し得るようになっている。また、複数種類の深根性植
物を混植することにより、異種間での競争力が生じ成長
が促進され、特に現地の環境に対して強い種類の成長が
促進されるようになっている。なお、混植により各樹種
の根系が地上部同様にせり合いながら空間を無駄なく利
用し、より完全に斜面保護に寄与する。各植溝5の複数
のポット苗12は一列植えを避けて自然生態系を早期回
復させるためにも、上述したように千鳥状やランダムで
植える。更に、ポット苗12が植えられた植土材11の
表面側には、稲ワラ等のマルチング部材13によりマル
チングが施されている。即ち、マルチングにより植土材
11の表面を被覆することによって、該植土材11の乾
燥防止、流失防止、雑草の抑制、寒冷地では防寒などが
図られている。また、稲ワラ等のマルチング部材13で
は、稲ワラ等が数年で腐敗するため、将来の有機肥料と
しての効果も有している。なお、植土材11の表面側に
マルチングされたマルチング部材13は、図3及び図4
に示すように、ワラ縄等による縄部材15によって飛散
などしないように適宜固定されている。
【0022】また、岩盤地山3のうち前記犬走り面2a
側の部位には、図2に示すように、上方に開口した断面
U字型の排水溝16が該犬走り面2aに沿って矢印C、
D方向に伸延した形で設けられており、該排水溝16
は、該犬走り面2a側に設けられた植溝5の矢印B側に
隣接した形で配置されている。この排水溝16によって
犬走り面2a等に溜ろうとする水が適宜排水されるよう
になっている。なお、岩盤地山3には図2の二点鎖線で
示すように、多数の自然亀裂17が形成されている。
【0023】次に法面保護作業が完了した状態(例えば
ポット苗12を植土材11に植えて2〜3年以上経過し
た状態)では、図1に示すように、各植溝5の植土材1
1に植えられた複数のポット苗12が樹高2〜3m以上
の樹木19に成長しており、深根性植物である樹木19
の各根20aが、植溝5から岩盤地山3中の自然亀裂1
7を介して該岩盤地山3中に成長進入している。つま
り、樹木19の複数の根20aからなる根群20が岩盤
地山3中に成長進入した形で該岩盤地山3を固定してい
る。岩盤地山3のうち特に法面2付近の表層部位におい
ては自然亀裂17により不安定であったが、該自然亀裂
17中に成長進入した樹木19の根群20によって安定
した状態になっている。つまり、岩盤地山3の法面2の
保護が実現している。
【0024】法面保護作業途中の法面保護作業現場1及
び、法面保護作業途中が完了した状態の法面保護作業現
場1は以上のように構成されているので、法面保護作業
現場1での法面保護作業は次のように行われる。まず、
山の斜面部等を構成する岩盤地山3を掘削整地して、図
2及び図4に示すように、該岩盤地山3に上述した法面
2及び犬走り面2aを形成し、該岩盤地山3の法面2側
に複数の植溝5を掘削形成する。また、岩盤地山3の犬
走り面2a側に1つの植溝5を掘削形成すると共に、前
記排水溝16を構築する。更に前記植溝5の掘削形成と
共に、法面2側の植溝5の矢印A側に隣接する形で編柵
6を設置する。次いで、前記各植溝5に植土材11を設
置すると共に、該植土材11に深根性植物であるポット
苗12を植えつける。ポット苗12の植えつけの際に
は、上述したマルチング部材13によるマルチングを行
い、このマルチング部材13を縄部材15によって適宜
固定しておく。
【0025】ポット苗12を植えつけた後、所定の期間
(例えば2〜3年程度)、所定の育成管理作業(例えば
除草や施肥など)を行うことにより、図1に示すよう
に、前記ポット苗12を樹高2〜3m以上の樹木19に
成長させる。即ち、樹木19の成長により、該樹木19
の複数の根20aを、前記植溝5から、岩盤地山3中の
自然亀裂17を介して該岩盤地山3中にそれぞれ成長進
入させる。これら根20aの岩盤地山3中への成長進
入、即ち根群20の岩盤地山3中への成長進入は、該樹
木19が深根性植物であることから効果的に行われる。
即ち、シイ、タブ、カシ類などの深根性植物は、その地
域固有の昔からあった潜在自然植生の主木で、二次林で
あるマツ、スギなどの浅根性植物と違って、深根性でし
かも根群が網目状に樹高と同程度に成長するので、根群
20の岩盤地山3中への成長進入が効果的に行われるか
らである。こうして、岩盤地山3中に成長進入させた根
群20により、該岩盤地山3は固定され、法面2は保護
される。また、地上部は、より多様な、従来からあった
地域固有の緑が再形成される。
【0026】なお、上述したように各植溝5の複数のポ
ット苗12は、各植溝5に対して2〜4本/m程度(従
って法面2に対して0.6〜2本/m2程度)の密植と
なっていたので、これらポット苗12が例えば2〜3年
程度で樹木19に成長し、該樹木19が更に成長した場
合、例えばポット苗12の移植後から5年程度が経過し
た場合には、図5に示すように、これら樹木19の枝葉
が繁茂して岩盤地山3の法面2上方を覆い隠すようにな
る。従って降雨等は法面2に直接落下することがなく、
洗掘や土砂流出或いは岩盤表面の風化等が防止され法面
の保護がより一層強固になる。また、防風、防火、騒音
防止、大気浄化、集中豪雨及び地震による崩壊防止、動
植物と共生する自然生態系の確実な回復・再生などの多
様な効果も生じる。
【0027】本発明において掘削形成する植付部は、上
述した1番目の実施例に示す植溝5以外にも様々な形で
掘削形成してよい。例えば、図7に示すように、本発明
において掘削形成する植付部を水平植付部30の形で掘
削形成してもよい。即ち、法面2の途中に、該法面2の
傾斜方向である図7の矢印A、B方向とは垂直な方向
(即ち図7の紙面奥手前方向)に伸延した筋状に、従っ
て上述した1番目の実施例に示す犬走り面2aと略同様
に水平植付部30を掘削形成する。なお、はじめ水平な
部位等が形成されていなかった法面2に水平植付部30
を形成する場合には、はじめの法面2の傾斜角度よりも
大きくなるように該法面2全体を掘削する形で水平植付
部30を形成するようにする。
【0028】また上述したように岩盤地山3に水平植付
部30を掘削形成し、該水平植付部30において岩盤地
山3を、図7の二点鎖線に示すように、更に下方に掘削
して下部溝35(例えば下部溝35は、水平植付部30
の伸延方向に沿って筋状に形成されている)を形成し、
これら水平植付部30及び下部溝35を本発明において
掘削形成する植付部としてもよい。水平植付部30に加
えて下部溝35を掘削形成することにより、これら水平
植付部30及び下部溝35に設置される植土材11の量
が極力増加され、保水性が向上される。
【0029】また上述した各実施例では、法面2の傾斜
が約45゜になっていたが、本発明が適用され得る法面
は45゜に限らない。例えば図6に示すように傾斜が約
40゜の法面などにも適用される。
【0030】また本発明において設置する土留手段は、
上述した1番目の実施例に示す編柵6以外にも様々な形
で構成されていてよい。例えば、図6に示すように、編
柵6の丸太材9を上下2段にしてもよいし、また土留手
段を図7に示すように編柵31のように構成してもよ
い。即ち、編柵31は、前記水平植付部30(或いは植
溝5でもよい)の矢印A側に隣接して、岩盤地山3に鉛
直に(或いは直角に)打ち込まれた鉄筋等からなる複数
の杭部材32及び、これら杭部材32の矢印B側に隣接
配置された、間伐や採伐樹木の枝葉などの粗朶類及びこ
もむしろ等からなる土留部材33によって構成すること
も可能である。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように本発明のうち第一の
発明は、矢印A、B方向等の所定の傾斜方向に傾斜した
法面2等の岩盤法面が形成された岩盤地山3等の岩盤地
山において、前記岩盤地山の岩盤法面側に植溝5、水平
植付部30、下部溝35等の植付部を掘削形成し、前記
植付部に植土材11等の植土材を設置すると共に、該植
土材にポット苗12等の深根性植物を植えつけ、前記深
根性植物を樹木19等に成長させることにより、該樹木
19等に成長した深根性植物の根群20等の根群を、前
記植付部から、前記岩盤地山中の自然亀裂17等の自然
亀裂を介して該岩盤地山中に成長進入させて、該岩盤地
山中に成長進入させた根群により、該岩盤地山を固定す
る形で前記岩盤法面を保護するようにして構成されるの
で、岩盤法面には深根性植物が植えられ、従来のように
コンクリート層や法枠等が構築されずに済むので、該岩
盤法面周囲の自然環境(例えば森林など)に調和しやす
い。従って、美観或いは景観を損ねないばかりか、地域
の緑の回復・創造による景観の向上を可能として岩盤法
面を保護することができる。また、従来のようにコンク
リート層や法枠等のように劣化による斜面保全能力の低
下を来すことがないので都合がよい。また、岩盤法面に
は深根性植物が植えられるので、岩盤地山の緑化も併せ
て実現する。そして、深根性植物が樹木19等の高木に
成長した後には、枝葉が繁茂した林を形成するので、防
風、防火、騒音防止、大気浄化、集中豪雨及び地震によ
る崩壊防止、動植物と共生する自然生態系の確実な回復
・再生などの多様な効果も生じる。更に本発明では、深
根性植物の根群が岩盤地山中の自然亀裂を介して該岩盤
地山中に成長進入し、該岩盤地山中に成長進入した根群
により、該岩盤地山を固定する。つまり、従来のコンク
リート層や法枠等のように岩盤法面の表層付近だけを固
定するのに対し、本発明では、深根性植物の根群がアン
カーのような作用をもち、岩盤法面付近を岩盤地山の内
部に対して固定するようにしている。よって本発明では
岩盤法面の保護が強固な形で行える。更に、シイ、タ
ブ、カシ類などの深根性植物は、その地域固有の昔から
あった潜在自然植生で、二次林であるマツ、スギなどの
浅根性植物と違って根群が網目状に樹高と同程度に成長
するので、前記根群の岩盤地山中への成長進入がより効
果的に行われる。つまり、岩盤法面の保護が半永久的に
より一層強固な形で行える。更に本発明では、従来行わ
れている吹き付け植生の場合等と違い、深根性植物が移
植後2〜3年程度成長した後は雑草が出にくくなるの
で、移植後所定期間が経過した後における管理の手間が
省けるので都合がよい。
【0032】また本発明のうち第二の発明は、第一の発
明による深根性植物による岩盤法面の保護方法におい
て、前記植付部の掘削形成と共に、該植付部に隣接する
形で編柵6、31等の土留手段を設置し、前記植土材の
前記植付部からの流失を、前記土留手段により防止する
ようにしたので、植付部における植土材の保持が確実に
行われる。従って、第一の発明による効果に加えて、深
根性植物の成長が一層確実になされるので、岩盤法面の
保護が一層確実になされる。更に、土留手段により植土
材の流失が防止されるので、植付部には極力多くの植土
材を設置できる。よって植付部の保水性が向上し、深根
性植物の成長に都合がよい。
【0033】また本発明のうち第三の発明は、第二の発
明による深根性植物による岩盤法面の保護方法におい
て、前記土留手段は、有機材料により形成されたもので
あるので、土留手段の保湿性は極力向上される。よっ
て、第二の発明による効果に加えて、植付部の保水性が
向上し、深根性植物の成長に都合がよい。
【0034】また本発明のうち第四の発明は、第一の発
明による深根性植物による岩盤法面の保護方法におい
て、前記植付部の植土材には、複数種類の深根性植物を
前記岩盤法面に対して0.6〜2本/m2の密度で植え
つけるので、いわゆる密植・混植効果によって強風、温
度変化、乾燥等による深根性植物に対する影響が緩和さ
れ、また異種間の競争力が生まれることにより深根性植
物の成長が促進される。従って、第一の発明による効果
に加えて、深根性植物の成長が促進されることにより、
岩盤法面の保護が極力早期に完了されるので都合がよ
い。更に、深根性植物が密植されていることから、これ
ら深根性植物が樹木19等の高木に成長した後には、枝
葉が密に繁茂した林を形成するので、防風、防火、騒音
防止等が更に一層効果的になされ都合がよい。
【0035】また本発明のうち第五の発明は、第一の発
明による深根性植物による岩盤法面の保護方法におい
て、前記植付部は、前記岩盤法面に水平方向に伸延した
形で掘削形成された筋状の植溝5等の植溝であるので、
植溝内に進入した水は該植溝内を、該植溝に沿って流動
自在になる。従って、第一の発明による効果に加えて、
植溝内に進入した水が特定の箇所に溜ったりせず都合が
よい。
【0036】また本発明のうち第六の発明は、第一の発
明による深根性植物による岩盤法面の保護方法におい
て、前記植土材への深根性植物の植えつけは、深根性植
物のポット苗12等のポット苗を植えつける形で行うの
で、第一の発明による効果に加えて、このポット苗を植
えつける際には、該ポット苗についていた容器等を取外
してすぐに植えつけることができ、細根を傷つけること
なく移植できるので都合がよい。また、ポット苗は、高
木を植えつけた場合に比べて活着率が高く、移植後の成
長が早く、支柱などを必要としないので有利である。更
に、ポット苗の根群は高木の根と比べて十分に細いた
め、ポット苗の根群が岩盤地山中の自然亀裂を介して該
岩盤地山中に成長進入する際には、根群の自然亀裂への
進入がスムーズに行われるので、岩盤法面の保護が一層
確実になされ都合がよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、法面保護作業が完了した状態の岩盤法
面の一例を示す図である。
【図2】図2は、図1に示す岩盤法面において、法面保
護作業途中の状態を示す図である。
【図3】図3は、図2に示す岩盤法面における植付部付
近の拡大図である。
【図4】図4は、図2を上方から見た図である。
【図5】図5は、図1に示す岩盤法面において、深根性
植物が更に成長した状態を示す図である。
【図6】図6は、別の形で構成された植付部等を示した
図である。
【図7】図7は、別の形で構成された植付部等を示した
図である。
【符号の説明】
2……岩盤法面(法面) 3……岩盤地山 5……植付部、植溝(植溝) 6……土留手段(編柵) 11……植土材 12……深根性植物、ポット苗(ポット苗) 17……自然亀裂 19……深根性植物(樹木) 20……根群 30……植付部(水平植付部) 31……土留手段(編柵) 35……植付部(下部溝)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高梨 重男 東京都中央区日本橋室町弐丁目壱番壱号 三井不動産株式会社内 (72)発明者 田村 彰男 東京都中央区日本橋室町弐丁目壱番壱号 三井不動産株式会社内 (72)発明者 竹内 耕司 東京都中央区日本橋室町弐丁目壱番壱号 三井不動産株式会社内 (72)発明者 直木 哲 東京都中央区明石町6番4号 三井不動産 グリーンテック株式会社内 (72)発明者 名草 俊比古 東京都千代田区岩本町三丁目10番1号 三 井建設株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の傾斜方向に傾斜した岩盤法面が形成
    された岩盤地山において、 前記岩盤地山の岩盤法面側に植付部を掘削形成し、 前記植付部に植土材を設置すると共に、該植土材に深根
    性植物を植えつけ、 前記深根性植物を成長させることにより、該深根性植物
    の根群を、前記植付部から、前記岩盤地山中の自然亀裂
    を介して該岩盤地山中に成長進入させて、該岩盤地山中
    に成長進入させた根群により、該岩盤地山を固定する形
    で前記岩盤法面を保護するようにして構成した、深根性
    植物による岩盤法面の保護方法。
  2. 【請求項2】前記植付部の掘削形成と共に、該植付部に
    隣接する形で土留手段を設置し、 前記植土材の前記植付部からの流失を、前記土留手段に
    より防止するようにしたことを特徴とする請求項1記載
    の深根性植物による岩盤法面の保護方法。
  3. 【請求項3】前記土留手段は、有機材料により形成され
    たものであることを特徴とする請求項2記載の深根性植
    物による岩盤法面の保護方法。
  4. 【請求項4】前記植付部の植土材には、複数種類の深根
    性植物を前記岩盤法面に対して0.6〜2本/m2の密
    度で植えつけることを特徴とする請求項1記載の深根性
    植物による岩盤法面の保護方法。
  5. 【請求項5】前記植付部は、前記岩盤法面に水平方向に
    伸延した形で掘削形成された筋状の植溝であることを特
    徴とする請求項1記載の深根性植物による岩盤法面の保
    護方法。
  6. 【請求項6】前記植土材への深根性植物の植えつけは、
    深根性植物のポット苗を植えつける形で行うことを特徴
    とする請求項1記載の深根性植物による岩盤法面の保護
    方法。
JP8873595A 1995-03-22 1995-03-22 深根性植物による岩盤法面の保護方法 Pending JPH08260468A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8873595A JPH08260468A (ja) 1995-03-22 1995-03-22 深根性植物による岩盤法面の保護方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8873595A JPH08260468A (ja) 1995-03-22 1995-03-22 深根性植物による岩盤法面の保護方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08260468A true JPH08260468A (ja) 1996-10-08

Family

ID=13951188

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8873595A Pending JPH08260468A (ja) 1995-03-22 1995-03-22 深根性植物による岩盤法面の保護方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08260468A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006121917A (ja) * 2004-10-26 2006-05-18 Furukawa Co Ltd 岩盤植栽方法
JP2006342572A (ja) * 2005-06-08 2006-12-21 Mito Green Service:Kk 置苗用基盤保持固定具および自然修復法面工法
CN100350106C (zh) * 2003-05-20 2007-11-21 广东省生态环境与土壤研究所 弃土场水土保持生态恢复方法
CN110537438A (zh) * 2019-08-28 2019-12-06 星景生态环保科技(苏州)有限公司 一种坡面森林植被种植装置及种植方法
CN113179870A (zh) * 2021-03-24 2021-07-30 贵州省草业研究所 一种山区耕作层生态防渗系统及其使用方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100350106C (zh) * 2003-05-20 2007-11-21 广东省生态环境与土壤研究所 弃土场水土保持生态恢复方法
JP2006121917A (ja) * 2004-10-26 2006-05-18 Furukawa Co Ltd 岩盤植栽方法
JP4694175B2 (ja) * 2004-10-26 2011-06-08 古河機械金属株式会社 岩盤植栽方法
JP2006342572A (ja) * 2005-06-08 2006-12-21 Mito Green Service:Kk 置苗用基盤保持固定具および自然修復法面工法
JP4611124B2 (ja) * 2005-06-08 2011-01-12 株式会社水戸グリーンサービス 自然修復法面工法
CN110537438A (zh) * 2019-08-28 2019-12-06 星景生态环保科技(苏州)有限公司 一种坡面森林植被种植装置及种植方法
CN113179870A (zh) * 2021-03-24 2021-07-30 贵州省草业研究所 一种山区耕作层生态防渗系统及其使用方法
CN113179870B (zh) * 2021-03-24 2023-06-02 贵州省草业研究所 一种山区耕作层生态防渗系统及其使用方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN106900195B (zh) 一种取土场生态修复方法
CN111296160B (zh) 一种海岛迎风坡植被修复的前沿区域快速成林方法
CN111456043A (zh) 一种排土场边坡覆绿的结构
JPH08260468A (ja) 深根性植物による岩盤法面の保護方法
CN100402756C (zh) 活网栅截泥坝
CN218713114U (zh) 一种节理发育高陡岩质边坡沟堑式生态护坡
CN212561559U (zh) 一种基于生物桩和藤蔓植物的急陡土坡绿色防护结构
JP3236210B2 (ja) 法面緑化のための植生決定方法及び植栽方法
KR100500378B1 (ko) 리싸이클링 에코녹화공법
Dinesen et al. Draft Ramsar Technical Report on peatland restoration and rewetting methodologies in Northern bogs
Andreu et al. Ecotechnological solutions for unstable slopes: Ground bio-and eco-engineering techniques and strategies
JP5408463B2 (ja) 植栽マット
CN212452694U (zh) 一种排土场边坡覆绿的结构
JP3262719B2 (ja) 硬質法面の緑化工法及びこれに使用する柵状体
CN211973359U (zh) 一种平地型弃土场保土蓄水的结构
Weber Soil conservation technical sheets
CN210562230U (zh) 一种高陡边坡绿化种植结构
JP2717368B2 (ja) 法面植栽工法
JP5699291B2 (ja) 植生工法
JP3226486B2 (ja) 法尻部における木本植物の発芽成立抑制方法及び法面緑化工法
JP3484098B2 (ja) 緑化用野草マット及び緑化方法
RU2197079C2 (ru) Способ создания защитных насаждений вокруг промышленных предприятий, загрязняющих окружающую среду промышленными выбросами
Rutebuka Erosion Control Success Stories and Challenges in the Context of Sustainable Landscape Management, Rwanda Experience
KR100279285B1 (ko) 경사면의 녹화시공방법
SU865145A1 (ru) Способ защиты почв от водной эрозии в садах, расположенных на склонах