JP2004311639A - 露光装置及び露光方法、並びにデバイス製造方法 - Google Patents

露光装置及び露光方法、並びにデバイス製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レイヤ毎のパターン設計上の自由度の向上及びデバイスの生産性の向上の少なくとも一方を実現する露光装置及び露光方法を提供する。
【解決手段】露光光ILによりマスクRが照明され、マスクと物体とが同期移動される最中に、主制御装置20がマスクの位置情報に応じてパターンの転写条件を変更する。このため、例えばマスク上に同期移動方向(走査方向)に沿ってクリティカルレイヤ領域、ノンクリティカルレイヤ領域などのように、好適転写条件が異なるパターン領域が形成されている場合に、パターン領域毎の好適転写条件に応じて、パターンの転写条件が変更される。従って、同一レイヤの露光に際してパターン領域毎に好適ないしは最適な転写条件で露光が可能となる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光装置及び露光方法、並びにデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、半導体素子などを製造するリソグラフィ工程で用いられる露光装置及び露光方法、並びに該露光方法を用いるデバイス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体素子(集積回路)、液晶表示素子、撮像素子(CCD等)あるいは薄膜磁気ヘッド等を製造するためのリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下、「レチクル」と総称する)のパターンを投影光学系を介してウエハ又はガラスプレートなどの基板(以下、「基板」と呼ぶ)上の各ショット領域に転写するステッパ等の投影露光装置が主として用いられている。
【0003】
例えば、半導体素子は、レジスト塗布→露光→現像→エッチング・ドーピング等→レジスト除去→前処理工程(酸化膜形成、ドーピング、CVD及び電極形成等)の1サイクルを複数サイクル行うことで製造される。半導体素子は3次元構造であり、上記1サイクルで生成される構造を順次積層させていくことにより完成する。この多層構造における個々の層をレイヤと呼ぶ。
【0004】
従来、ステッパ等の投影露光装置では、同一レイヤにおける露光の際には、二重路光などの特殊な露光を除き、露光フィールド内の露光を、一定の条件の下で行うことが当然のこととして考えられ、装置の設計もそのような考えの下でなされていた。このため、従来の投影露光装置では、同一レイヤの露光に用いられるレチクル上に配置されている複数のパターンを、それぞれ異なる転写条件(例えば投影光学系の開口数(numerical aperture:N.A.)の設定、照明系のσ値の設定など)の下で基板上に転写することは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の集積回路(IC)の構造や製造方法は、上述した投影露光装置の構造などから来る制約に適合するよう配慮されていたが、以下のような課題を本質的に内在しており、これを解決することによりICの機能、性能の向上や生産性の向上を図る余地が残されていると言える。
【0006】
リソグラフィ工程で、基板上にパターンを形成する上で重要な要素として、露光装置の実用解像度と実用焦点深度が挙げられる。これら実用解像度及び実用焦点深度は、パターンのピッチや寸法・形状、さらにはフィールド内におけるパターンの配置されている位置によっても大きく左右される。また、実用解像度及び実用焦点深度は、投影光学系のN.A.や照明光学系のN.A.、照明光学系内の開口絞りの形状及び大きさ(例えば小σ、輪帯、あるいは四重極など)の組合せによっても大きく変化する。
【0007】
この一方、個々のパターンの転写の際に要求される解像度と焦点深度も様々で、同一ではない。
【0008】
このことは、ICを構成する全てのパターンの転写の際には、厳密には個々における要求結像スペックと、それに対する最適な露光条件が存在することを意味する。
【0009】
一例を挙げると、高解像度が要求されるコンタクトホール等の微細パターンの転写には、大N.A.の投影光学系を備えた露光装置が適している。また、キャパシタの直上に配置されるパターンのように、パターンそのものはそれほど微細ではなく、基板そのものの平坦度が悪いため転写に際して深い焦点深度が要求されるパターンの場合は、逆に小N.A.で焦点深度を稼いだ上での露光が好ましい。また、ゲートのように微細な孤立パターンを形成する場合には、位相シフトレチクルなどを用いた露光を併用して超解像を得ることがしばしば行われる。この場合、その原理から小N.A.による露光が適しているものと考えられる。
【0010】
しかし、現実にはこのように全てのパターンに対して最適な露光条件を設定して露光を行うことは、投影露光という手法を採用する以上、これを実現することは非常に困難である。
【0011】
この問題を簡易な方法で解決するための手段として、最適な露光条件が似ているパターン同士を同一レイヤに配置することが行われていた。すなわち、クリティカルレイヤ、ノンクリティカルレイヤといった用語で知られているように、例えば微細で極めて高い解像度を要するパターンは同一レイヤに集めて設計される。これにより、クリティカルレイヤは高N.A.による高解像度露光を行えば良いことになる。この場合、ノンクリティカルレイヤでは低N.A.による大焦点深度露光を行えば良く、このような単純な使い分けが可能となる。このことは、結果的に、露光装置の効果的な使い分けが可能となることを意味する。
【0012】
しかしながら、このようなレイヤの分離は、必ずしも半導体設計上の必然的な要請では無く、同一レイヤ中おいては露光条件を変えられないという、露光装置側の制約による場合も多い。換言すれば、従来の技術では、同一レイヤに配置した方が性能的・機能的、あるいはコスト的に好ましい場合においても、製造上の都合により、別々のレイヤに配置せざるを得なかった。
【0013】
また、従来の技術では、その露光条件を1つしか選択できない都合から、同一レイヤに配置されるパターン中の特定のパターンについては、最適な露光条件から外れての露光を強いられていた。あるいは、このような妥協がどうしても許容できない場合には、同一レイヤ中のパターンであっても最適な露光条件が似ているパターン毎に分割して別々のマスク上に配置し、これら複数のマスクを用いて露光を複数回に分割して行い、マスク交換の際に露光条件を切り替えることを行っていた。前者の場合、デバイスの歩留まりの低下を招き、後者の場合スループットの低下を招く。いずれにしても、デバイスの生産性を著しく低下させる要因となっていた。
【0014】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、上記従来技術の有する不都合を改善し、レイヤ毎のパターン設計上の自由度の向上及びデバイスの生産性の向上の少なくとも一方を実現することができる露光方法を提供することにある。
【0015】
また、本発明の第2の目的は、レイヤ毎のパターン設計上の自由度の向上及びデバイスの生産性の向上の少なくとも一方を実現することができる露光装置を提供することにある。
【0016】
また、本発明の第3の目的は、マイクロデバイスの生産性の向上を確実に実現することができるデバイス製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、マスク(R)と物体(W)とを同期移動して前記マスクに形成されたパターンを投影光学系(PL)を介して前記物体上に転写する露光装置であって、エネルギビーム(IL)により前記マスクを照明する照明光学系(2〜8)と;前記マスクと物体とを同期移動する駆動装置(11、19、21)と;前記照明光学系からの前記エネルギビームにより前記マスクが照明され、前記駆動装置により前記マスクと物体とが同期移動される最中に、前記マスクの位置情報に応じてパターンの転写条件を変更する転写条件変更装置と;を備える露光装置である。
【0018】
本明細書において、「マスクの位置情報」とは、マスクの同期移動中の位置に関する情報の総称であり、マスクの位置、あるいはこれを微分した速度などは勿論、マスクと同期移動する物体の位置、あるいは速度など、所定の演算によりマスクの同期移動中の位置を算出できる情報の全てを含む。また、本明細書において、「パターンの転写条件」とは、広義の露光条件のうち、パターンの形成条件を除く、照明条件、投影光学系に関する条件、物体に照射されるエネルギビームのエネルギ量に関する条件などの全てを含む。
【0019】
これによれば、照明光学系からのエネルギビームによりマスクが照明され、駆動装置によりマスクと物体とが同期移動される最中に、転写条件変更装置がマスクの位置情報に応じてパターンの転写条件を変更する。このため、例えばマスク上に同期移動方向(走査方向)に沿ってクリティカルレイヤ領域、ノンクリティカルレイヤ領域、ミドルレイヤ領域などのように、転写条件が異なるパターン領域が形成されている場合などに、上記マスクの位置情報に応じて、すなわちパターン領域に応じて、パターンの転写条件が変更される。従って、同一レイヤの露光に際してパターン領域毎に好適ないしは最適な転写条件で露光、すなわちパターンの物体上への転写を行うことが可能となる。従って、このことを予め考慮すれば、同一レイヤに配置した方が性能的・機能的、あるいはコスト的に好ましいパターン同士を、同一マスク上に領域毎に分割配置するだけで良く、従来のようにレイヤを分けて設計する必要がなくなる。また、機能の異なる(通常好適転写条件が異なる)パターンが同一レイヤに配置される場合にも、そのレイヤ中のいずれのパターンについても好適ないしは最適な露光条件での露光が可能となるとともに、前述した同一レイヤのパターンの複数マスク上への分割及びこれらのマスクを用いた複数回の露光(分割露光)なども必要がなくなる。
【0020】
このように本請求項1に記載の露光装置によれば、レイヤ毎のパターン設計上の自由度の向上及びデバイスの生産性の向上の少なくとも一方を実現することが可能となる。
【0021】
この場合において、請求項2に記載の露光装置の如く、前記転写条件変更装置は、前記投影光学系の開口数(N.A.)を変更する第1の変更装置(20、24)を有することとすることができる。かかる場合には、大N.A.による高解像度露光や、小N.A.による大焦点深度露光などパターンに応じた好適転写条件での露光が可能となる。
【0022】
この場合において、請求項3に記載の露光装置の如く、前記転写条件変更装置は、前記照明光学系の瞳面及びこの共役面のいずれかにおける光量分布を変更する第2の変更装置(4、20、40)を更に有することとすることができる。通常、照明光学系の開口数(照明N.A.)が固定の場合に、投影光学系のN.A.を変更すると、コヒーレンスファクタ(σ値)が変更される。そこで、例えば第2の変更装置が、照明光学系の瞳面及びこの共役面のいずれかにおける光量分布を、投影光学系のN.A.の変更に応じて変更することにより、σ値を所望の値に設定したり、維持したりすることも可能となる。なお、前記光量分布の変更は、照明N.A.の変更のみならず、照明光学系の瞳面及びこの共役面のいずれかにおける光量分布を規定する照明開口絞りなどの形状の変更なども含む概念である。
【0023】
上記請求項2及び3に記載の各露光装置において、請求項4に記載の露光装置の如く、前記転写条件変更装置は、前記駆動装置による前記マスクと物体との同期移動時における速度と前記物体上に照射される前記エネルギビームのエネルギ量とを連動して変更する第3の変更装置(1、18、20)を更に有することとすることができる。かかる場合には、適正な露光ドーズ量を確保した状態で同期移動速度を低下させることが可能となるので、前述の投影光学系のN.A.や光量分布などのパターンの転写条件の変更(切り替え)に時間を要する場合であっても、その切り替えを円滑に行うことが可能となる。
【0024】
上記請求項1〜4に記載の各露光装置において、請求項5に記載の露光装置の如く、前記転写条件変更装置は、前記マスク上のパターンの形成状態に応じて前記転写条件を変更することとすることができる。
【0025】
上記請求項1〜5に記載の各露光装置において、請求項6に記載の露光装置の如く、前記転写条件変更装置による前記転写条件の変更動作シーケンスは、外部から設定可能であることとすることができる。
【0026】
請求項7に記載の発明は、マスクに形成されたパターンを投影光学系を介して物体上に転写する露光方法であって、エネルギビームにより前記マスクを照明した状態で前記マスクと物体とを同期移動し、該同期移動中に、前記マスクの位置情報に応じてパターンの転写条件を変更する転写条件変更工程を含む露光方法である。
【0027】
これによれば、エネルギビームによりマスクを照明した状態でマスクと物体とを同期移動し、該同期移動中に、マスクの位置情報に応じてパターンの転写条件を変更する。このため、例えばマスク上に同期移動方向(走査方向)に沿ってクリティカルレイヤ領域、ノンクリティカルレイヤ領域、ミドルレイヤ領域などのように、転写条件が異なるパターン領域が形成されている場合などに、前述のマスクの位置情報に応じて、すなわちパターン領域に応じて、パターンの転写条件が変更される。従って、同一レイヤの露光に際してパターン領域毎に好適ないしは最適な転写条件で露光、すなわちパターンの物体上への転写を行うことが可能となる。
【0028】
従って、本請求項7に記載の露光方法によれば、前述の請求項1の露光装置の場合と同様の理由により、レイヤ毎のパターン設計上の自由度の向上及びデバイスの生産性の向上の少なくとも一方を実現することが可能となる。
【0029】
この場合において、請求項8に記載の露光方法の如く、前記転写条件の変更は、前記投影光学系の開口数の変更を含むこととすることができる。
【0030】
この場合において、請求項9に記載の露光方法の如く、前記転写条件の変更は、前記エネルギビームで前記マスクを照明する照明光学系の瞳面及びこの共役面のいずれかにおける光量分布の変更を更に含むこととすることができる。
【0031】
上記請求項8及び9に記載の各露光方法において、請求項10に記載の露光方法の如く、前記転写条件の変更は、前記マスクと物体との同期移動時における速度と前記物体上に照射される前記エネルギビームのエネルギ量とを連動して変更することを更に含むこととすることができる。
【0032】
上記請求項7〜10に記載の各露光方法において、請求項11に記載の露光方法の如く、前記転写条件変更工程では、前記マスク上のパターンの形成状態に応じて前記転写条件を変更することとすることができる。
【0033】
請求項12に記載の発明は、異なる複数のパターンを投影光学系を介して物体上の所定の領域に重ね合わせて転写する露光方法であって、第1パターンが形成された第1マスク及び前記第1パターンとは転写条件の異なる第2パターンが形成された第2マスクと、前記物体とがエネルギビームに対して相対走査されるように、前記第1マスク及び第2マスクが載置されたマスクステージと、前記物体とを所定の走査方向に同期移動しつつ、該同期移動中の前記第1パターン及び第2パターン間の転写対象パターンの切り替え中に、その切り替え後のパターンに応じて転写条件を変更し、前記第1パターンと第2パターンとを投影光学系を介して前記物体上の前記走査方向に並んだ2つの領域にそれぞれ転写する第1露光工程と;前記第1露光工程で前記第1パターン、第2パターンがそれぞれ転写された2つの領域のうち、少なくとも一方の領域に、前記第1露光工程で転写されたパターンと異なるパターンを重ねて転写する第2露光工程と;を含む露光方法である。
【0034】
これによれば、第1露光工程において、マスクステージと物体とを所定の走査方向に同期移動しつつ、該同期移動中の転写対象パターンの切り替え中に、その切り替え後のパターンに応じて転写条件を変更し、物体上の走査方向に並んだ2つの領域にそれぞれ、第1マスクのパターンと第2マスクのパターンとが、走査露光方式で連続的に転写される。すなわち、第1露光工程では、2つのマスクのパターンの転写、すなわち物体上の2つの領域(ショット領域)に対する露光を、マスクステージ及び物体を所定方向に同期移動する一連の動作の間に行うことができるので、従来困難であった2つの領域に対する連続的な走査露光が可能となり、領域毎に走査露光を行う場合に比べて、少なくとも領域間におけるマスクステージと物体との加速、減速時間の低減が可能となり、その分スループットを向上することが可能である。
【0035】
また、第2露光工程では、第1マスクのパターンと第2マスクのパターンとの物体上への転写が行われ、第1露光工程で第1パターン、第2パターンがそれぞれ転写された2つの領域のうち、少なくとも一方の領域に、第1露光工程で転写されたパターンと異なるパターンが重ねて転写される。
【0036】
また、第2露光工程で、第1露光工程で転写されたパターンと異なるパターンが転写された領域についてみると、転写条件の異なるパターン同士の重ね合わせを、例えば二重露光にてかつそれぞれのパターン転写時の転写条件を適切に設定して容易に実現することができる。このため、機能の異なる(通常、転写条件が異なる)パターンについて好適ないしは最適な露光条件での露光が可能となり、更に、上記の二重露光により、焦点深度の増大と、解像度の向上とを同時に実現することも可能である。
【0037】
このように本請求項12に記載の露光方法によれば、スループット及び歩留まりの向上により、デバイスの生産性の向上を実現することが可能である。
【0038】
この場合において、請求項13に記載の露光方法の如く、前記第2露光工程では、前記第1、第2マスクと、前記物体とがエネルギビームに対して相対走査されるように、前記マスクステージと、前記物体とを所定の走査方向に同期移動しつつ、該同期移動中の転写対象パターンの切り替え中に、その切り換え後のパターンに応じて転写条件を変更することとすることができる。かかる場合には、第2露光工程においても、物体上の2つのショット領域に対する露光を、マスクステージ及び物体を走査方向に移動する一連の動作の間に行うことができるので、前述と同様に少なくとも領域間におけるマスクステージと物体との加速、減速時間の低減が可能となり、その分スループットを向上することが可能である。
【0039】
上記請求項12及び13に記載の各露光方法において、請求項14に記載の露光方法の如く、前記第1露光工程では、前記物体に対する前記第1、第2パターンの転写を行う工程と、前記物体を移動する工程とを交互に繰り返して、前記物体上の2つ1組の複数組の領域に対し、前記第1パターンと第2パターンとの転写を行い、前記第2露光工程では、前記物体に対する前記第1、第2パターンの転写を行う工程と、前記物体を移動する工程とを交互に繰り返して、前記第1露光工程で前記第1パターンと第2パターンとが転写された領域の組毎に、少なくとも一方の領域に、前記第1露光工程で転写されたパターンとは異なるパターンを重ねて転写することとすることができる。例えば、第1露光工程での物体上の複数の領域に対して第2露光の際の複数の領域を1領域分走査方向にずらして二重露光を行うことにより、異なるパターン領域のパターンの像同士が物体上で重なるようにすることができる。
【0040】
請求項15に記載の発明は、リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、前記リソグラフィ工程では、請求項7〜14のいずれか一項に記載の露光方法を用いることを特徴とするデバイス製造方法である。
【0041】
【発明の実施の形態】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。図1には、第1の実施形態に係る露光装置100の概略構成が示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置、すなわちいわゆるスキャニング・ステッパである。
【0042】
この露光装置100は、エネルギビームILをパターンが形成されたマスクとしてのレチクルRに照射し、該レチクルRのパターンを投影光学系PLを介して物体としてのウエハW上に転写する露光装置本体102と、該露光装置本体102を全体的に制御する主制御装置20とを備えている。
【0043】
露光装置本体102は、エネルギビーム源としてのArFエキシマレーザ(発振波長193nm)、KrFエキシマレーザ(発振波長248nm)、あるいはFレーザ(発振波長157nm)等のパルスレーザ光源(以下、「光源」という)1、該光源1とともに照明系を構成する照明光学系(2〜8)、照明系からのエネルギビーム(以下、「露光光」と呼ぶ)ILにより照明されるレチクルRを保持するマスクステージとしてのレチクルステージRST、レチクルRから射出された露光光ILをウエハW上に投射する投影光学系PL、ウエハWを保持してXY2次元面内で移動する基板ステージとしてのウエハステージWST、及び光源1を除く上記構成各部を収納するチャンバ10等を備えている。
【0044】
前記光源1は、実際には、光源1を除く露光装置本体102の構成各部を収納するチャンバ10が設置されたクリーンルームとは別のクリーン度の低いサービスルームに配置され、このチャンバ10に不図示の引き回し光学系(送光光学系)を介して接続されている。なお、光源として、紫外域の輝線(g線、i線等)を発生する超高圧水銀ランプや、銅蒸気レーザあるいはYAGレーザの高調波発生装置などを用いても良い。
【0045】
光源1は、レーザ共振器、ビームモニタ、レーザコントローラ及び高圧電源等(いずれも図示省略)を有する。ビームモニタは、レーザ共振器からのパルス光の光学特性をモニタする。レーザコントローラは、通常の発光時には、ビームモニタから出力されるエネルギ量の検出値が、主制御装置20から与えられる1パルス当たりのエネルギの目標値に対応した値となるように、高圧電源での電源電圧をフィードバック制御する。また、レーザコントローラは、レーザ共振器に供給されるエネルギを高圧電源を介して制御することにより発振周波数(繰り返し周波数)をも変更する。すなわち、レーザコントローラは、主制御装置20からの制御情報に応じて光源1の発振周波数を主制御装置20から指示された周波数に設定するとともに、光源1での1パルス当たりのエネルギ強度が主制御装置20から指示された値(すなわちエネルギ強度のばらつきの許容値の範囲内の値)となるように高圧電源の電源電圧のフィードバック制御を行なう。かかる詳細は、例えば特開平8−250402号公報等に詳細に開示されている。
【0046】
また、光源1内には、主制御装置20からの制御情報に応じて露光光ILを遮光するためのシャッタも配置されている。
【0047】
前記照明光学系は、照度均一化光学系2、照明系開口絞り板4、リレーレンズ3、レチクルブラインド5、リレーレンズ6、折り曲げミラー7及びコンデンサレンズ8等を含んで構成されている。
【0048】
前記照度均一化光学系2は、例えば、露光光ILの光路上に順次配置されたビーム整形光学系、エネルギ粗調器、オプティカルインテグレータ(フライアイレンズ、内面反射型インテグレータ、又は回折光学素子などであり、本実施形態ではフライアイレンズを用いているので、以下では「フライアイレンズ」とも呼ぶ)等(いずれも図示せず)によって構成される。
【0049】
これを更に詳述すると、ビーム整形光学系は、光源1でパルス発光され、入射した露光光ILの断面形状を、光路後方に設けられたフライアイレンズに効率良く入射するように整形するもので、例えばシリンダレンズやビームエキスパンダ等で構成される。
【0050】
また、エネルギ粗調器は、ビーム整形光学系後方の露光光ILの光路上に配置され、例えば透過率(=1−減光率)を100%から等比級数的に複数段階で切り換えることができるようになっている。このエネルギ粗調器の透過率の切り換えは、不図示の駆動装置を介して主制御装置20によって行われる。
【0051】
前記フライアイレンズは、エネルギ粗調器から出た露光光ILの光路上に配置され、レチクルRを均一な照度分布で照明するためにその射出側焦点面に多数の点光源(光源像)から成る面光源、すなわち2次光源を形成する。
【0052】
前記照明系開口絞り板4は、フライアイレンズの射出側焦点面(照明光学系の瞳面に相当)あるいはその近傍に配置されている。この照明系開口絞り板4は円板状部材から成り、ほぼ等角度間隔で、例えば通常の円形開口より成る開口絞り、小さな円形開口より成りコヒーレンスファクタであるσ値を小さくするための開口絞り、輪帯照明用の輪帯状の開口絞り、及び変形光源法用に複数の開口を偏心させて配置して成る変形照明用の開口絞り等が配置されている。この場合、主制御装置20によって駆動系40を介して照明系開口絞り板4が駆動され、いずれかの開口絞りを露光光ILの光路上に選択的に設定できるようになっている。すなわち、照明系開口絞り板4の開口絞りの選択設定により、照明光学系の瞳面における露光光ILの光量分布、具体的には2次光源の大きさ及び配置の少なくとも一方を変更できるようになっている。
【0053】
なお、図示は省略されているが、照度均一化光学系2の内部には、フライアイレンズより光源1側にフライアイレンズに入射する露光光ILの断面形状を変更するズーム光学系などを含む光学ユニットが設けられており、主制御装置20が、上記照明系開口絞り板4の開口絞りの切り替えに応じてその光学ユニットを制御し、レチクルRの照明条件の変更に伴う光量損失を抑えるようになっている。
【0054】
照明系開口絞り板4のいずれかの開口絞りから出た露光光ILの光路上に、反射率が小さく透過率の大きなビームスプリッタ12が配置され、更にこの後方の光路上に、固定レチクルブラインド5A及び可動レチクルブラインド5Bから成るレチクルブラインド5を介在させてリレーレンズ3及び6から成るリレー光学系が配置されている。
【0055】
固定レチクルブラインド5Aは、レチクルRのパターン面に対する共役面から僅かにデフォーカスした面に配置され、レチクルR上での照明領域IARを規定する矩形開口が形成されている。また、この固定レチクルブラインド5Aの近傍に走査方向に対応する方向の位置及び幅が可変の開口部を有する可動レチクルブラインド5Bが配置され、走査露光の開始時及び終了時にその可動レチクルブラインド5Bを介して照明領域IARを更に制限することによって、不要な部分の露光が防止されるようになっている。
【0056】
リレー光学系を構成するリレーレンズ6後方の露光光ILの光路上には、当該リレーレンズ6を通過した露光光ILをレチクルRに向けて反射する折り曲げミラー7が配置され、このミラー7後方の露光光ILの光路上にコンデンサレンズ8が配置されている。
【0057】
更に、前記ビームスプリッタ12の反射光路上には、集光レンズ17を介して露光光ILの一部を受光する光電変換素子よりなるインテグレータセンサ18が配置されている。
【0058】
このようにして構成された照明光学系の作用を簡単に説明すると、光源1からパルス発光された露光光ILは、照度均一化光学系2内に入射する。この照度均一化光学系2内では、露光光ILは、まず、ビーム整形光学系によって後方のフライアイレンズに効率よく入射するようにその断面形状が整形された後、エネルギ粗調器に入射する。そして、このエネルギ粗調器を透過した露光光ILは、フライアイレンズに入射する。これにより、フライアイレンズの射出側焦点面に多数の点光源(光源像)から成る面光源、すなわち2次光源が形成される。この2次光源から射出された露光光ILは、照明系開口絞り板4上のいずれかの開口絞りを通過した後、リレーレンズ3を経て固定レチクルブラインド5Aの矩形の開口部及び可動レチクルブラインド5Bを通過した後、リレーレンズ6を通過してミラー7によって光路が垂直下方に折り曲げられた後、コンデンサレンズ8を経て、レチクルステージRST上に保持されたレチクルR上における矩形の照明領域IARを均一な照度分布で照明する。
【0059】
一方、照度均一化光学系2内の前記ビームスプリッタ12で反射された露光光ILは、集光レンズ17を介してインテグレータセンサ18で受光され、そのインテグレータセンサ18の光電変換信号が、不図示のピークホールド回路及びA/D変換器を介して主制御装置20に供給される。
【0060】
前記レチクルステージRST上にはレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、不図示のレチクルベース上に配置され、照明光学系の光軸IX(後述する投影光学系PLの光軸AXに一致)に垂直な平面(XY平面)内で微小駆動可能であるとともに、レチクル駆動部11によって走査方向(ここでは図1の紙面左右方向であるY軸方向とする)に所定ストローク範囲で走査されるようになっている。なお、レチクルRについては、更に後述する。
【0061】
レチクルステージRSTの移動面内の位置(回転を含む)は、その上面に固定された移動鏡15を介してレチクルレーザ干渉計16により、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出される。レチクルレーザ干渉計16からのレチクルステージRSTの位置情報はステージ制御系19及びこれを介して主制御装置20に送られる。ステージ制御系19では、主制御装置20からの指示に応じ、レチクルステージRSTの位置情報に基づいてレチクル駆動部11を介してレチクルステージRSTを駆動制御する。
【0062】
前記投影光学系PLは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置され、その光軸AX(照明光学系の光軸IXに一致)の方向がZ軸方向とされ、ここでは両側テレセントリックな縮小光学系、かつ光軸AX方向に沿って所定間隔で配置された複数枚のレンズエレメントから成る屈折光学系が使用されている。この投影光学系PLの投影倍率βは、例えば1/5又は1/4となっている。このため、前記の如くして、露光光ILによりレチクルR上における照明領域IARが照明されると、そのレチクルRに形成されたパターンが投影光学系PLによって投影倍率βで縮小された像(部分等立像)が表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上のスリット状の露光領域IAに投影される。
【0063】
また、本実施形態では、投影光学系PLの瞳面に、その開口数N.A.を所定範囲で連続的に変更できる、瞳開口絞り(N.A.絞りとも呼ばれる)24が設けられている。この瞳開口絞り24としては、ここではいわゆる虹彩絞りが用いられている。この瞳開口絞り24は、不図示の駆動系を介して主制御装置20によって制御されるようになっている。
【0064】
前記ウエハステージWSTは、例えばリニアモータあるいは平面モータ等を含むウエハ駆動部21を介してXY2次元面内(θz回転(Z軸回りの回転)を含む)に自在に駆動される。ウエハステージWST上には、ウエハホルダ25が設けられ、このウエハホルダ25によってウエハWが例えば真空吸着によって保持されている。このウエハホルダ25は、実際には、Z軸方向及びXY面に対する傾斜方向(X軸回りの回転方向であるθx方向及びY軸回りの回転方向であるθy方向)に微少駆動可能なZレベリングテーブル上に載置されている。従って、ウエハWは、X、Y、Z、θx、θy、θzの6自由度方向について位置・姿勢制御が可能になっている。また、図示は省略されているが、不図示のZレベリングテーブル上には、その表面がウエハW表面とほぼ同一高さとされ、かつ各種の基準マークが形成された基準マーク板が設けられている。
【0065】
また、ウエハステージWSTのXY面内での位置は、移動鏡27を介してウエハレーザ干渉計31によって例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。ウエハステージWSTの位置情報(又は速度情報)はステージ制御系19及びこれを介して主制御装置20に送られ、ステージ制御系19では主制御装置20からの指示に応じて前記位置情報(又は速度情報)に基づいてウエハ駆動部21を介してウエハステージWSTを駆動制御する。
【0066】
前記投影光学系PLの鏡筒の側面には、オフアクシス(off−axis)方式のマーク検出系としてのアライメント検出系ALGが設置されている。このアライメント検出系ALGとしては、例えば、ハロゲンランプ等のブロードバンド(広帯域)光でマークを照明し、このマーク画像を画像処理することによってマーク位置を計測するいわゆるFIA(Field Image Alignment)系のアライメントセンサが用いられている。このアライメント検出系ALGは、ウエハステージWST上に設けられた不図示の基準マーク板上の基準マーク及びウエハ上のアライメントマークのX、Y2次元方向の位置計測を行なうことが可能である。
【0067】
このアライメント検出系ALGからの情報は、不図示のアライメント制御装置に送られる。そして、アライメント制御装置により、その情報がA/D変換され、そのデジタル化された波形信号を演算処理してマーク位置が検出される。この検出されたマーク位置の情報が、主制御装置20に送られる。
【0068】
なお、アライメント検出系として、例えばコヒーレントな検出光を対象マークに照射し、その対象マークから発生する散乱光又は回折光を検出したり、その対象マークから発生する2つの回折光(例えば同次数)を干渉させて検出したりするアライメントセンサを単独であるいは適宜組み合わせて用いても構わない。
【0069】
また、露光装置本体102は、投影光学系PLを保持する保持部材に一体的に固定された照射系13と受光系14とから成り、ウエハWのZ軸方向位置を計測するフォーカスセンサを備えている。このフォーカスセンサ(13,14)としては、ここでは、例えば特開平6−283403号公報等などに開示される多点焦点位置検出系が用いられている。このフォーカスセンサ(13,14)の出力が主制御装置20に供給され、主制御装置20ではステージ制御系19に指示を与えて、ウエハホルダ25のZ位置、及びレベリングを不図示のZレベリングテーブルを介して制御し、いわゆるフォーカスレベリング制御を行うようになっている。
【0070】
さらに、図1では図示が省略されているが、レチクルRの上方に、例えば特開平7−176468号公報等に開示される、投影光学系PLを介してレチクルR上のレチクルマーク(図示省略)と基準マーク板上のマークとを同時に観察するための露光波長の光を用いたTTR(Through The Reticle )アライメント検出系から成る一対のレチクルアライメント顕微鏡が設けられている。これらのレチクルアライメント顕微鏡の検出信号は、不図示のアライメント制御装置を介して主制御装置20に供給されるようになっている。
【0071】
前記主制御装置20は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)、I/Oインタフェース等を含むマイクロコンピュータ(あるいはワークステーション)により構成され、露光装置本体102の構成各部を統括的に制御する。
【0072】
この主制御装置20には、入出力装置30が併設されている。この入出力装置30は、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、及びディスプレイ等を含む。この入出力装置30を介してオペレータにより各種のデータ入力が行われ、露光条件の設定のための一種のデータベースであるプロセスプログラムなども作成される。
【0073】
主制御装置20は、露光動作が的確に行われるように、例えばレチクルRとウエハWの同期走査、ウエハWのステッピング、露光タイミング等を統括して制御する。
【0074】
具体的には、主制御装置20は、例えば走査露光時には、レーザ干渉計16、31の計測値に基づいてレチクルステージRSTとウエハステージWSTとの位置を管理しつつ、ステージ制御系19に対してレチクルステージRSTとウエハステージWSTとの同期移動の指示を与える。ステージ制御系19では、この指示に応じ、レチクルRがレチクルステージRSTを介して照明領域IARに対して+Y方向(又は−Y方向)に速度Vr=Vで走査されるのに同期して、ウエハステージWSTを介してウエハWが露光領域IAに対して−Y方向(又は+Y方向)に速度Vw=β・V(βはレチクルRからウエハWに対する投影倍率)で走査されるように、レーザ干渉計16、31の計測値をモニタしつつレチクル駆動部11、ウエハ駆動部21をそれぞれ介してレチクルステージRST、ウエハステージWSTの位置及び速度をそれぞれ制御する。このように、本実施形態では、レチクル駆動部11、ウエハ駆動部21及びステージ制御系19によって、露光の都度、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとを同期して露光光ILに対して所定方向に駆動する駆動装置が構成されている。
【0075】
また、ステッピングの際には、主制御装置20は、レーザ干渉計31の計測値に基づいてウエハステージWSTの位置を管理しつつ、ステージ制御系19に対してステッピングの指示を与える。ステージ制御系19では、この指示に応じてレーザ干渉計31の計測値をモニタしつつウエハ駆動部21を介してウエハステージWSTの位置を制御する。
【0076】
また、主制御装置20は、上記の走査露光時には、露光条件及びレジスト感度に応じて決定された目標積算エネルギ量(目標ドーズ量)をウエハWに与えるため、前述したインテグレータセンサ18の出力をモニタしつつ制御情報を光源1に供給することによって、光源1の発振周波数(発光タイミング)、及び発光パワー等を制御し、あるいは、エネルギ粗調器を制御することにより、レチクルRに照射される露光光ILの光量(エネルギ量)の調整を行う。また、本実施形態では、主制御装置20は、後述するように走査露光の開始前及び必要な場合走査露光の途中に、瞳開口絞り24(及び照明系開口絞り板4)を制御し、更にステージ系の動作情報に同期して可動レチクルブラインド5Bの開閉動作を制御する。
【0077】
次に、本実施形態で用いられるレチクルRについて図2に基づいて説明する。このレチクルRは、図2に示されるように、長方形のガラス基板から成り、このガラス基板の一方の面(図1における下面に相当)に周囲をクロムなどによって形成された遮光帯ESによって囲まれた長方形のパターン領域PAが形成されている。なお、パターン領域PAは、前述の如く、下面側に形成されているが、図2では、説明の便宜上、上方から見た平面図が示されている。
【0078】
パターン領域PAは、走査方向であるY軸方向に沿って第1パターン領域PA1と、第2パターン領域PA2との2つの領域から構成されている。このうち、第1パターン領域PA1は、露光装置100の解像限界とほぼ同程度の微細な線幅の回路パターンが殆どの部分を占めるクリティカルなパターンAが形成されたパターン領域となっている。また、第2パターン領域PA2は、線幅が太い回路パターンの集合から成るノンクリティカルなパターンBが形成されたパターン領域となっている。
【0079】
また、このレチクルRの第1パターン領域PA1と第2パターン領域PA2との境界線上に位置するパターン領域PAの中心(レチクルセンタに一致)からX軸方向一側と他側に同一距離だけ離れた位置で、かつ遮光帯ESの外側の位置には、一対のレチクルアライメントマークRM1、RM2がそれぞれ形成されている。また、レチクルアライメントマークRM1を中心としてY軸方向の一側と他側には、レチクルアライメントマークRM1から同一距離だけ離れてレチクルアライメントマークRM3、RM5がそれぞれ形成されている。さらに、レチクルアライメントマークRM2を中心としてY軸方向の一側と他側には、レチクルアライメントマークRM2から同一距離だけ離れてレチクルアライメントマークRM4、RM6とがそれぞれ形成されている。また、レチクルアライメントマークRM3とRM4とは、同一のX軸上に存在し、相互に対をなしている。同様に、レチクルアライメントマークRM5とRM6とは、同一のX軸上に存在し、相互に対をなしている。
【0080】
次に、上述した露光装置100において行われる、ウエハWに対する第2層目(セカンドレイヤ)以降の露光処理動作について説明する。
【0081】
前提として、予めオペレータにより、入出力装置30を介して入力されたレチクルRに関する情報や、照明条件その他の各種露光条件の指定情報に基づいて、プロセスプログラムと呼ばれる露光条件の設定ファイルが主制御装置20によって作成され、不図示の記憶装置に記憶されているものとする。また、ウエハW上には、前層までの露光により、複数のショット領域が形成されているものとする。この場合、各ショット領域は、パターン領域PAの形状及び大きさに対応した形状及び大きさを有しているものとする。
【0082】
さらに、この露光処理動作の開始の際には、ウエハステージWST上へのウエハWのロード、アライメント検出系ALGを用いたEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)方式のウエハアライメントなどのウエハWに関連する準備作業は終了しているものとする。なお、EGA方式のウエハアライメントについては、特開昭61−44429号公報等に詳細に開示されている。
【0083】
そして、オペレータにより入出力装置30を介して露光開始の指示が入力されると、露光処理動作が開始される。
【0084】
まず、主制御装置20は、記憶装置に記憶された露光条件データ(プロセスプログラムファイルの一部)を読み出し、この読み出した露光条件データに基づいて露光条件を設定する。具体的には、不図示のレチクルローダを介してレチクルRをレチクルステージRST上にロードする。その他、読み出したデータに基づいて、第1パターン領域PA1のパターンAの転写の際の照明条件の設定、その他の露光条件の設定を行う。ここで、照明条件の設定には、例えば照明系開口絞り板4上の開口絞りの選択設定が含まれる。この場合、例えば輪帯絞り(例えば輪帯比1/2)が選択される。また、併せて、前述の瞳開口絞り24を、投影光学系PLのN.A.がほぼ最大の値、例えばN.A.=0.85になるように設定する。
【0085】
さらに、主制御装置20は、上で読み出したデータに基づいて、第2パターン領域PA2のパターンBの転写の際の投影光学系PLのN.A.及び照明条件などの好適転写条件の情報をRAM内の一時記憶領域に記憶する。
【0086】
次に、主制御装置20では、読み出した露光精度に関連するデータ、例えばレチクルR(の第1、第2パターン領域PA1、PA2)の情報に基づいて、レチクルR上にクリティカルなパターン領域が存在していることを認識し、一例として、次のようにして、ファインモードのレチクルアライメントを行う。
【0087】
すなわち、主制御装置20では、レーザ干渉計16、31の計測結果に基づいて、ステージ制御系19に指示を与え、前述の一対のレチクルアライメント顕微鏡を用いて、ウエハステージWST上の基準マーク板に形成された3対のレチクルアライメント用基準マーク(以下、「第1基準マーク」と呼ぶ)のうちの所定の一対の第1基準マークと、これに対応するレチクルR上のレチクルアライメントマーク(例えばRM1、RM2)とを投影光学系PLを介して同時に観察可能な位置に、レチクルステージRST、ウエハステージWSTを移動する。
【0088】
そして、主制御装置20は、一対のレチクルアライメント顕微鏡を用いて、前記所定の一対の第1基準マークと対応する1対のレチクルアライメントマークとの相対位置(位置ずれ量)を検出する。
【0089】
次いで、主制御装置20では、ステージ制御系19に指示を与え、基準マーク板とレチクルRとを投影倍率比でY軸方向に同期して移動することによって、順次他の2対の第1基準マークと対応するレチクルアライメントマークとの相対位置を検出する。
【0090】
そして、主制御装置20では、これら3対の第1基準マークと対応するレチクルアライメントマークとの相対位置の検出結果から、基準マーク板ひいてはウエハステージWSTに対するレチクルRの投影像の位置ずれ量のオフセット、回転角、及び走査方向の角度ずれ等を算出し、この算出結果を記憶装置に記憶する。なお、このレチクルアライメント動作は、特開平7−176468号公報などに詳細に開示されている。
【0091】
上記のレチクルアライメントの終了後、主制御装置20では、アライメント検出系ALGの真下に基準マーク板が配置されるようにウエハステージWSTを移動して、基準マーク板上の第2基準マークのアライメント検出系ALGの検出中心に対する位置ずれ量を検出し、この位置ずれ量の検出結果と、このときのレーザ干渉計31の計測値と、設計上のベースラインとに基づいてアライメント検出系ALGのいわゆるベースラインを算出する。
【0092】
このようにして、ウエハWの露光のための準備動作が終了すると、主制御装置20では、前述したウエハアライメントの結果、ベースライン計測結果等に基づいて、ステージ制御系19に対してウエハステージWST、レチクルステージRSTの移動を指示する。これにより、ステージ制御系19では、レーザ干渉計31の計測値に基づいてウエハ駆動部21を制御してウエハWの第1ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)にウエハステージWSTを移動すると同時に、レーザ干渉計16の計測値に基づいてレチクル駆動部11を制御してレチクルステージRSTを走査開始位置に移動する。この際、主制御装置20からの指示に基づいて、ステージ制御系19では前述したレチクルアライメントの際に求められた、レチクルRの位置ずれ量が最小になるようにレチクルRの位置を補正する。
【0093】
次いで、主制御装置20からの指示に基づき、ステージ制御系19により、駆動部11、21を介してレチクルステージRSTとウエハステージWSTとのY軸方向の相対走査が開始される。この場合、一例としてレチクルステージRSTが+Y方向に駆動され、ウエハステージWSTが−Y方向に駆動されるものとする。図3(A)には、この両ステージの相対走査の開始後の、レチクルステージRSTのY軸方向の位置yに応じた移動速度Vr(=V)の変化が示され、図3(B)には、図3(A)に対応するウエハW表面(像面)における単位時間当たりの露光光ILのエネルギ量Pの変化が示されている。
【0094】
この場合、図示は省略されているが、ウエハステージWSTの移動速度Vwは、Vw=β・Vとなっている。
【0095】
そして、図3(A)に示されるように、上記の相対走査開始(この時点をtとする)から所定時間経過して両ステージRST、WSTがそれぞれの第1目標走査速度(スキャン速度)V、β・Vに達し、主制御装置20が両ステージRST、WSTが同期整定状態に達したと判断した時点、すなわちレチクルステージRSTが位置yに達した時点(この時点をtとする)で、光源1からの露光光ILによってレチクルRの第1パターン領域PA1が照明され始め、前述した走査露光が開始される。
【0096】
この走査露光の開始に先立って、光源1の発光は開始されているが、主制御装置20によって可動レチクルブラインド5Bの各ブレードの移動がレチクルステージRSTの移動と同期制御されているため、レチクルR上のパターン領域外への露光光ILの照射が防止されることは、通常のスキャニング・ステッパと同様である。
【0097】
そして、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとを同期して露光光ILに対して所定方向に駆動することにより、第1パターン領域PA1のパターンAが逐次ウエハW上に転写される。
【0098】
このようにして、レチクルステージRSTが位置y(この位置は、第1パターン領域PA1の露光終了位置から所定距離手前の位置である)に達する(この時点をtとする)と、主制御装置20からの指示に応じてステージ制御系19が両ステージRST、WSTの減速を開始する。この減速中も、両ステージの速度比βは維持されている。また、主制御装置20では、図3(B)に示されるように、この減速中に両ステージRST、WSTの速度変化に合わせてウエハW上に照射される露光光ILのエネルギ量Pを制御する。このエネルギ量Pの制御は、次のようにして行われる。
【0099】
ウエハW上(の一点)に照射される積算エネルギ量、すなわち露光量(ドーズ量)Sは、照明領域IARのウエハW上への投影領域(前述の露光領域IA)の走査方向の長さ(いわゆるスリット幅)をD、光源1の繰り返し周波数をf、1パルスの平均エネルギ(エネルギ密度)をpとすると、次式(1)のように表すことができる。
【0100】
S=D・f・p/Vw ……(1)
通常スリット幅Dは固定であり、また、露光量Sは、レジストの感度などを基準として定められる目標露光量を維持する必要があるため、主制御装置20は、上式(1)が維持されるように、繰り返し周波数f及び1パルスの平均エネルギpの少なくとも一方をVw=β・Vの変化に応じて制御する。すなわち、主制御装置20では、インテグレータセンサ18の出力に基づき、単位時間当たりの像面上のエネルギ量P=f・pを、P/Vw=一定となるように、光源1に指令を与えて制御する。
【0101】
従って、上記の両ステージの減速動作によっても、第1パターン領域PA1のパターンAの転写精度は殆ど低下しない。
【0102】
そして、レチクルステージRSTが図3(A)に示される位置yに達する(この時点をtとする)と、パターンAの転写が終了すると同時に、レチクルステージRSTが予め定めた最低設定速度Vminまでの減速が終了している。このとき、ウエハステージWSTは、β・Vminまで減速されている。
【0103】
上記のパターンAの転写が終了した時点tで、主制御装置20では、ステージ制御系19に対して最低設定速度Vmin、β・Vminに両ステージRST、WSTの速度を維持するように指令を与える。これにより、時点t以後、ステージ制御系19によって、両ステージRST、WSTの速度が最低設定速度Vmin、β・Vminに維持される。
【0104】
このような両ステージRST、WSTの最低設定速度での等速同期状態が維持されるのと並行して、主制御装置20では、RAM内の一時記憶領域に格納されている、前述の第2パターン領域PA2のパターンBの転写条件の情報を参照して、転写条件を変更する。具体的には、瞳開口絞り24をN.A.が予め設定された値、例えばN.A.=0.70まで小さくなるように制御する。
【0105】
このような転写条件の変更が行われる期間、すなわち、N.A.=0.85→NA=0.70に変更される期間であり、図3(A)中のDW(=y−y)に相当する期間には、両ステージWST、RSTの等速同期移動状態で第2パターン領域PA2のパターンBのウエハW上への転写が開始されている。
【0106】
そして、上記の瞳開口絞り24の設定の変更が終了する(この時点をtとする)と、主制御装置20からの指示に応じてステージ制御系19が両ステージRST、WSTの再加速を開始する。この加速中も、両ステージRST、WSTの同期状態は維持されるとともに、前述と同様に、その速度変化に合わせて単位時間当たりの像面上のエネルギ量Pが主制御装置20によって制御される。
【0107】
そして、レチクルステージRSTが図3(A)に示される位置yに達する(この時点をtとする)と、両ステージRST、WSTがそれぞれの第2目標走査速度(スキャン速度)V、β・Vに達する。
【0108】
主制御装置20は、両ステージRST、WSTがそれぞれの第2目標走査速度に達した時点tで、ステージ制御系19に対して第2目標走査速度に両ステージRST、WSTの速度を維持するように指令を与える。これにより、時点t以後、ステージ制御系19によって、両ステージRST、WSTの速度が第2目標走査速度度に維持され、両ステージWST、RSTの等速同期移動状態で第2パターン領域PA2のパターンBのウエハW上への転写が続行して行われる。
【0109】
このようにして、レチクルステージRSTが図3(A)中の位置yに達する(この時点をtとする)と、パターンBの転写が終了する。
【0110】
上記時点tで、主制御装置20からの指示に基づき、ステージ制御系19が両ステージRST、WSTの走査方向に関する減速を開始する。そして、所定時間経過後、すなわちレチクルステージRSTが移動開始点yから2・yだけ移動した時点で、両ステージの減速が終了する。上記の時点tで光源1内のシャッタの閉鎖動作を開始してもシャッタの閉鎖が完了する所定時間の間は、露光光ILのレチクルRに対する照射が続行される。従って、主制御装置20は、可動レチクルブラインド5Bの各ブレードの移動をレチクルステージRSTの移動と同期して制御し、不要な部分の露光を防止するようになっている。
【0111】
以上により、ウエハW上の第1ショット領域に対する走査露光が終了し、これにより、レチクルR上の第1パターン領域のパターンA、第2パターン領域のパターンBがウエハW上の第1ショット領域にそれぞれ隣接して縮小転写される。
【0112】
ここで、上記の走査露光時に、主制御装置20は、ステージ制御系19に指令を与えて、前述したレチクルアライメント時に求められたレチクルRの走査方向角度誤差を補正することが望ましい。
【0113】
このようにして、第1ショット領域に対する走査露光が終了すると、主制御装置20からの指示に基づき、ステージ制御系19により、ウエハ駆動部21を介してウエハステージWSTのショット領域間ステッピングが行われ、第2ショット領域の露光のための加速開始位置にウエハWが移動される。
【0114】
また、主制御装置20では、上記のショット領域間ステッピングが終了するまでの間に、RAM内の一時記憶領域に記憶された情報に基づいて、前述の第1パターン領域PA1のパターンAの転写の際の露光条件の設定、例えば瞳開口絞り24の設定などを行う。
【0115】
上記のステッピングの際に、ステージ制御系19では、主制御装置20からの指示に応じ、レーザ干渉計31の計測値に基づいてウエハステージWSTのX、Y、θz方向の位置変位をリアルタイムに計測する。そして、ステージ制御系19では、この計測結果に基づき、ウエハ駆動部21を制御してウエハステージWSTのXY位置変位が所定の状態になるように制御する。
【0116】
また、上記のウエハステージWSTのショット領域間ステッピングと並行して、ステージ制御系19では、主制御装置20からの指示に応じてレチクルステージRSTを前述の相対走査の開始位置y(図3(A)参照)に戻す。
【0117】
この際、ステージ制御系19では、主制御装置20からの指示に応じ、ウエハステージWSTのθz方向の変位の情報に基づいてレチクル駆動部11を制御し、そのウエハW側の回転変位の誤差を補償するようにレチクルステージRSTを回転制御する。
【0118】
このようにして、主制御装置20が、両ステージRST、WSTの第2ショット領域の露光のための加速開始位置への位置決めが整定したと判断したときに、ウエハW上の第2ショット領域に対して上記と同様の走査露光が行われる。
【0119】
このようにして、ウエハW上のショット領域に対する走査露光と次ショット領域露光のためのステッピング動作(及びレチクル(レチクルステージ)の加速開始点への戻し動作)とが繰り返し行われ、ウエハW上の露光対象ショット領域の全てにレチクルRのパターンが順次転写され、露光が終了する。
【0120】
これまでの説明から明らかなように、本実施形態では、瞳開口絞り24とこれを制御する主制御装置20とによって、投影光学系PLの開口数(N.A.)を変更する第1の変更装置が構成され、光源1(内のレーザコントローラ)とインテグレータセンサ18と主制御装置20とによって、前記駆動装置によるレチクルRとウエハWとの同期移動時における速度とウエハ上に照射される露光光ILのエネルギ量とを連動して変更する第3の変更装置が構成されている。そして、上記第1の変更装置、第3の変更装置などを含んで、レチクルRの位置情報に応じてパターンの転写条件を変更する転写条件変更装置が構成されている。
【0121】
以上説明したように、本実施形態に係る露光装置100及びその露光方法によると、照明光学系(2〜8)からの露光光ILによりレチクルRが照明され、ステージ制御系19及び駆動部11、21を介してレチクルRとウエハWとが同期移動される最中に、前述の転写条件変更装置がレチクルRの走査方向の位置yに応じてパターンの転写条件、一例として投影光学系PLのN.A.を変更する。
【0122】
ここで、本実施形態では、レチクルRとして、同期移動方向(走査方向)に沿って好適転写条件が異なる2つのパターン領域、すなわちクリティカルなパターン領域である第1パターン領域PA1とノンクリティカルなパターン領域である第2パターン領域PA2とが形成されたレチクルが用いられている。
【0123】
このため、前述の走査露光時に、レチクルRの位置に応じて、すなわちパターン領域に応じて、パターンの転写条件を変更することができるようになっている。従って、同一レイヤの露光に際してパターン領域毎に好適ないしは最適な転写条件で、第1、第2パターン領域PA1、PA2のパターンA、BをウエハW上への転写することが可能となる。
【0124】
これを更に詳述すると、投影露光装置の解像力Rcは、露光波長をλ、投影光学系PLの開口数N.A.を用いて、次式(2)で表されることが知られている。
【0125】
Rc=k1・λ/N.A. ……(2)
ここで、k1はプロセス係数と呼ばれる比例定数である。
【0126】
また、焦点深度DOFは、次式(3)で表される。
【0127】
DOF=k2・λ/(N.A.) ……(3)
k2は比例定数である。
【0128】
本実施形態では、高い解像力を要求される、パターンAの転写の際には、投影光学系PLのN.A.を大きくして高解像度露光を実現し、より大きな焦点深度が要求されるパターンBの転写の際には、投影光学系PLのN.A.を小さくして大焦点深度露光を実現する。このように、本実施形態では、パターンに応じた好適転写条件での露光を行うことが可能となる。
【0129】
すなわち、上述した本実施形態の露光装置100の走査露光中の転写条件の変更機能に着目すれば、同一レイヤに配置した方が性能的・機能的、あるいはコスト的に好ましいパターン同士の場合、同一のレチクル上に領域毎に分割配置するだけで良くなる。すなわち、このような場合に、従来のようにレイヤを分けて設計する必要がなくなる。また、機能の異なる(通常好適転写条件が異なる)パターンが同一レイヤに配置される場合にも、そのレイヤ中のいずれのパターンについても好適ないしは最適な露光条件での露光が可能となるとともに、先に従来技術のところで説明した同一レイヤのパターンの複数マスク上への分割及びこれらのマスクを用いた複数回の露光(分割露光)なども不要である。
【0130】
従って、本実施形態の露光装置100及びその露光方法によると、レイヤ毎のパターン設計上の自由度の向上及びデバイスの生産性の向上とをともに実現することが可能となっている。
【0131】
更に、本実施形態では、適正な露光ドーズ量を確保した状態で同期移動速度を低下させることが可能となるので、前述の投影光学系のN.A.などの転写条件の変更(切り替え)に時間を要する場合であっても、その切り替えを円滑に行うことが可能となる。
【0132】
さらに、本実施形態では、前述のパターン転写条件の変更動作シーケンスは、プセスプログラムの作成の際に、入出力装置30を介してオペレータが外部から自在に設定可能となっているので、オペレータは、転写に用いられるパターンに応じてパターン転写条件の設定変更を自在に行うことが可能である。
【0133】
ところで、上記実施形態では、異なるパターン領域の転写条件として、投影光学系PLのN.A.を変更する場合について説明したが、照明光学系の照明条件を変更することとしても良い。そこで、照明条件を変更する場合について説明すると、上記実施形態では、クリティカルなパターンAのみならず、ノンクリティカルなパターンBの転写の際にも、輪帯照明の下で露光を行うものとしたが、ノンクリティカルなパターンの転写に際しては、通常照明等、輪帯照明と異なる照明条件の下で露光を行うことが多い。このような場合、前述の図3(A)の区間DWで行われる投影光学系PLのN.A.の変更の際に、照明系開口絞り板4の開口絞りの切り替えを行う必要がある。しかし、このような照明系開口絞り板4の開口絞りの切り替えを、前述の走査露光中に行うと、切り替え途中で露光光ILが照明系開口絞り板4でほぼ完全に遮られるおそれがある。このような場合には、上記の切り替えの途中で露光が行われないことが望ましい。
【0134】
そのための対策として、例えば図4に示されるようなレチクルR1をレチクルRに代えて用いても良い。このレチクルR1には、パターン領域PAを構成する第1パターン領域PA1と第2パターン領域PA2との間に、所定幅の遮光帯ES1が設けられている。
【0135】
このレチクルR1を用いる場合、主制御装置20は、例えば図5(A)に示されるような速度変化曲線に従ってレチクルステージRSTをステージ制御系19を介して走査方向に駆動すれば良い。この図5(A)において、横軸はY軸方の位置である。勿論、この場合も、ウエハステージWSTを速度Vw=β・Vで駆動することが必要である。また、この場合も、主制御装置20は、図5(B)に示されるように、単位時間当たりにウエハW上に照射されるエネルギ量Pを、ステージの速度変化に合わせて制御することが望ましい。
【0136】
この場合、第1パターン領域PA1のパターンAと第2パターン領域PA2のパターンBとのいずれの転写の際にも、露光中の両ステージRST、WSTの速度は最高速度に設定されている。
【0137】
このように、図4のレチクルR1を用いて露光装置100で露光を行えば、転写対象のパターン毎にほぼ最適な転写条件で露光を行うことが可能となる。この場合には、照明系開口絞り板4、駆動系40及び主制御装置20によって、照明光学系の瞳面における光量分布を変更する第2の変更装置が構成される。そして、この第2の変更装置は、照明光学系の瞳面における光量分布を、投影光学系PLのN.A.の変更に応じて変更することにより、コヒーレンスファクタσ値を所望の値に設定したり維持したりすることも可能となる。
【0138】
この場合、照明系開口絞り板4の切り替えに要する時間tch1と前述の瞳開口絞り24の変更設定に要する時間tch2とのいずれか長い方の時間T=max(tch1,tch2)が、遮光帯ES1の走査方向の幅BD(図5(A)参照)をレチクルステージRSTが横切る時間内に収まるように最低設定速度Vminを設定することが好ましい。すなわち、Vmin=BW/Tに基づいて、最低設定速度Vminを設定するようにすることが好ましい。
【0139】
更に、図4のレチクルR1を用いる場合、転写条件の切り替え中には露光が行われないので、パターンAの転写からパターンBの転写への切り替えの場合のみならず、パターンBの転写からパターンAの転写への切り替えの際にも、瞳開口絞り24や照明系開口絞り板4の駆動を行っても特に支障はない。従って、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとのスキャン方向を、ショット領域毎に反転するいわゆる完全交互スキャン方式の露光を行うことが可能となる。
【0140】
また、以上の説明から容易に想像されるように、時間Tが非常に短い場合には、近似的にVmin=Vmaxが成立するので、レチクルステージRSTを減速を行うことなく露光中常にV=Vmaxで移動することも可能となる。この場合、前述のエネルギ量Pの変更は不要である。
【0141】
しかるに、上記のレチクルR1のように、パターン領域が遮光帯で分離されている場合、その遮光帯に対応するウエハW上の領域が未露光領域となってしまい、1枚のウエハから得られるチップ数が減少する可能性がある。
【0142】
そこで、前述したレチクルRを用いる場合に、前述の照明系開口絞り板4に代えて、前述の瞳開口絞り24と同様の虹彩絞りから成る照明系開口絞りを用いても良い。このようにする場合には、主制御装置20は、前述の走査露光中の瞳開口絞り24の変更と並行してその照明系開口絞りの開口の大きさ、すなわち照明光学系のN.A.(照明N.A.)を変更することが可能となる。この場合には、その照明系開口絞りと主制御装置20とによって、照明光学系の瞳面における光量分布を変更する第2の変更装置が構成されることとなる。
【0143】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を図6〜図8(B)に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については、同一の符号を用いるとともに、その説明を簡略にし若しくは省略するものとする。
【0144】
近年、超解像を得るために、二重露光が行われている。この露光方法は、1st露光用のレチクル(「レチクルRc」と呼ぶ)と2nd露光用のレチクル(「レチクルRd」と呼ぶ)を用意し、まずレチクルRcに最適な転写条件を用いて、レチクルRcのパターンをウエハW上の各ショット領域に転写する。次に露光に用いるレチクルをレチクルRcからレチクルRdに交換するとともに、レチクルRdに最適な転写条件を用いて、レチクルRdのパターンをレチクルRcのパターンが転写された各ショット領域に転写する方法である。
【0145】
この二重露光を行う場合、ウエハW上の各ショット領域に対して、レチクルRcのパターン及びレチクルRdのパターンを重ね焼きする必要があるため、1枚のウエハの任意のレイヤに対して、レチクルRc及びレチクルRdを交換して露光することが必要になる。このレチクルの交換を速やかに行うために、ダブルレチクルホルダ方式のレチクルステージが設けられる。
【0146】
すなわち、本第2の実施形態の露光装置では、レチクルステージRSTとして、レチクルを2枚同時に保持可能なダブルレチクルホルダ方式のレチクルステージが設けられているとともに、これに伴い、走査露光時の露光シーケンスとしていわゆる完全交互スキャンシーケンスが採用されている点に特徴を有する。
【0147】
図6には、本第2の実施形態で用いられるレチクルステージRSTの平面図が概略的に示されている。このレチクルステージRSTは、走査方向であるY軸方向に細長い長方形の形状を有し、その上面には、2枚のレチクルRc,RdがY軸方向に沿って所定間隔で配置され、不図示のバキュームチャックをそれぞれ介して吸着保持されている。
【0148】
レチクルステージRSTのX軸方向の両側面には、レチクル駆動部を構成する一対のリニアモータ34,36それぞれの可動子34A、36Aがそれぞれ固定されている。これらのリニアモータ34,36それぞれの固定子34B、36BはY軸方向に沿って延設され、不図示の支持部材によって支持されている。また、レチクルステージRSTは、不図示の気体静圧軸受けによって、レチクルベース38の上面に数μm程度のクリアランスを介して浮上支持されている。
【0149】
レチクルステージRST上面の+X側端部には、図6に示されるように、平面ミラーから成るレチクルX移動鏡15Xが固定されている。このX移動鏡15Xに対して、不図示のレチクルX軸干渉計からの測長ビームが垂直に照射されている。また、レチクルステージRST上面の+Y側端部には、一対のコーナーキューブ15Y,15Yが固定されており、これらのコーナーキューブ15Y,15Yに対して、不図示の一対のレチクルY軸干渉計からの測長ビームがそれぞれ照射されている。これらの測長ビームは、レチクルベース38上に固定された反射ミラー42、44でそれぞれ反射され、元の光路を逆向きに折り返してレチクルY軸干渉計によってそれぞれ受光される。
【0150】
そして、レチクルY軸干渉計によって、レチクルステージRSTのY軸方向の位置及びθz回転が、例えば反射ミラー42、44、あるいはその他の固定鏡を基準として例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出され、レチクルX軸干渉計によって、レチクルステージRSTのX軸方向の位置が、所定の固定鏡を基準として例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。
【0151】
この場合、レチクルY軸干渉計として、コーナーキューブ15Y,15Yに対して測長ビームを投射し、それぞれの反射光を受光してコーナーキューブ15Y,15YのY軸方向の位置を検出する一対のダブルパス干渉計を用いているので、レチクルステージRSTにθz回転が存在しても、それぞれの測長ビームの投射位置のY軸方向位置を精度良く検出することができる。
【0152】
その他の装置の構成部分などは、前述した第1の実施形態の露光装置100と同様になっている。
【0153】
次に、本第2の実施形態の露光装置によって、ウエハWに対して二重露光により第1マスクとしてのレチクルRc上のパターンCと、第2マスクとしてのレチクルRd上のパターンDとを重ねて転写する際の動作について簡単に説明する。本実施形態では、パターンCとパターンDとは、1つのレイヤで形成すべきパターンであるものとする。
【0154】
前提として、予めオペレータにより、入出力装置30を介して入力されたレチクルRc、Rdに関する情報や、照明条件その他の各種露光条件の指定情報に基づいて、プロセスプログラムと呼ばれる露光条件の設定ファイルが主制御装置20によって作成され、不図示の記憶装置に記憶されているものとする。また、ウエハW上には、前層までの露光により、複数のショット領域が形成されているものとする。この場合、各ショット領域は、レチクルRc(又はRd)上のパターン領域の形状及び大きさに対応した形状及び大きさを有しているものとする。
【0155】
さらに、この露光処理動作の開始の際には、ウエハステージWST上へのウエハWのロード、アライメント検出系ALGを用いたEGA方式のウエハアライメントなどのウエハWに関連する準備作業は終了しているものとする。
【0156】
そして、オペレータにより入出力装置30を介して露光開始の指示が入力されると、露光処理動作が開始される。
【0157】
まず、主制御装置20は、記憶装置に記憶された露光条件データ(プロセスプログラムファイルの一部)を読み出し、この読み出した露光条件データに基づいて露光条件を設定する。具体的には、不図示のレチクルローダを介してレチクルRc、RdをレチクルステージRST上にロードする。その他、読み出したデータに基づいて、先に露光に用いられる一方のレチクルRcに形成されたパターン領域のパターンCの転写の際の照明条件の設定、その他の露光条件の設定を行う。この場合、例えば輪帯絞り(例えば輪帯比1/2)が選択される。また、併せて、前述の瞳開口絞り24を、投影光学系PLのN.A.がほぼ最大の値、例えばN.A.=0.85になるように設定する。このとき主制御装置20は、設定した好適転写条件の情報、例えば瞳開口絞り24の設定情報などをRAM内の第1記憶領域に記憶する。
【0158】
さらに、主制御装置20は、上で読み出したデータに基づいて、レチクルRdに形成されたパターン領域のパターンDの転写の際の投影光学系PLのN.A.及び照明条件などの好適転写条件の情報をRAM内の第2記憶領域に記憶する。
【0159】
次に、主制御装置20では、読み出したレチクルRc、Rd(のパターン領域)の情報に基づいて、レチクルRc、Rd上にクリティカルなパターン領域が存在していることを認識し、前述と同様のファインモードのレチクルアライメントを行う。この際、本第2の実施形態では、レチクルRc、Rdの両者について、前述のレチクルアライメントマークと対応する第1基準マークとの相対位置の検出を行い、その相対位置の検出結果から、基準マーク板ひいてはウエハステージWSTに対するレチクルRc、Rdの投影像の位置ずれ量のオフセット、回転角、及び走査方向の角度ずれ等を算出し、この算出結果を記憶装置に記憶する。
【0160】
上記のレチクルアライメントの終了後、主制御装置20では、前述と同様の手順でアライメント検出系ALGのいわゆるベースラインを算出する。
【0161】
このようにして、ウエハWの露光のための準備動作が終了すると、主制御装置20は、前述の第1の実施形態と同様の手順で、ステージ制御系19を介して両ステージRST、WSTをウエハW上の第1ショット領域SA1の露光のための加速開始位置に移動する。その後、主制御装置20は、ステージ制御系19を介してレチクルステージRSTを−Y方向にかつウエハステージWSTを+Y方向に駆動する両ステージRST、WSTの相対走査を開始し、前述と同様にして走査露光方式でレチクルRc上のパターン領域のパターンCを、ウエハW上の第1ショット領域SA1に転写する(図7(A)参照)。
【0162】
そして、第1ショット領域SA1に対するパターンCの転写後も、レチクルステージRSTを−Y方向、ウエハステージWSTを+Y方向に走査し続け、照明領域にレチクルRdのパターンDが入った段階で、第2ショット領域SA2に対するパターンDの転写が行われる。
【0163】
このとき、パターンCの転写終了からパターンDの転写開始までの間の走査移動中に、前述の第1の実施形態と同様にして、RAM内の第2記憶領域内の情報を用いて、瞳開口絞り24の設定変更を行うと共に、両ステージRST、WSTの走査方向の速度制御、単位時間当たりの像面におけるエネルギ量の制御を前述の第1の実施形態と同様にして行う。
【0164】
このようにして、第2ショット領域に対する走査露光が終了すると、主制御装置20は、ステージ制御系19に対して第3ショット領域SA3の露光のための加速開始位置にウエハWを移動させるための指示を与える。この指示に応じてステージ制御系19が、前述と同様の手順でウエハ駆動部21を介してウエハステージWSTのショット領域間ステッピングを行い、第3ショット領域SA3の露光のための加速開始位置にウエハWを移動させる。
【0165】
この場合、第3ショット領域SA3の露光の際には、図7(A)に示されるようにパターンDが用いられるので、露光条件、例えば瞳開口絞り24の設定などを変更する必要は無い。
【0166】
また、上記のウエハステージWSTのショット領域間ステッピングと並行して、ステージ制御系19では、主制御装置20からの指示に応じてレチクルRdのパターンを用いた第3ショット領域SA3の露光のための加速開始位置を目標値としてレチクルステージRSTを更に+Y方向に所定距離移動する。
【0167】
このようにして、主制御装置20が、両ステージRST、WSTの第3ショット領域の露光のための加速開始位置への位置決めが整定したと判断したときに、前述とは逆向きの両ステージRST、WSTの相対走査が開始され、前述と同様にしてウエハW上の第3ショット領域に対する走査露光が行われ、レチクルRdのパターン領域のパターンDがウエハW上の第3ショット領域SA3(第2ショット領域SA2の+X側に隣接するショット領域)に転写される。
【0168】
そして、第3ショット領域SA3に対するパターンDの転写後も、レチクルステージRSTを+Y方向、ウエハステージWSTを−Y方向に走査し続け、照明領域にレチクルRcのパターンCが入った段階で、第4ショット領域SA4に対するパターンCの転写が行われる。
【0169】
このとき、パターンDの転写終了からパターンCの転写開始までの間の走査移動中に、前述と同様にして、RAM内の第1記憶領域内の情報を用いて、瞳開口絞り24の設定変更を行うと共に、両ステージRST、WSTの走査方向の速度制御、単位時間当たりの像面におけるエネルギ量の制御を行う。
【0170】
このようにして、ウエハW上のY軸方向に並ぶ2つのショット領域に対する走査露光と次ショット領域露光のためのステッピング動作とが繰り返し行われ、ウエハW上の露光対象ショット領域の全てにレチクルRのパターンが順次転写され、第1回目の露光が終了する。図7(A)には、上述のようにして、ウエハW上の複数のショット領域、一例として第1ショット領域SA1から第16ショット領域SA16に、レチクルRc上のパターンC及びレチクルRd上のパターンDが、転写された状態が示されている。この図7(A)からもわかるように、+Y側から見て、1行目、3行目(奇数行目)のショット領域では、パターンCの像(潜像)が形成され、2行目、4行目(偶数行目)のショット領域では、パターンDの像(潜像)が形成されている。
【0171】
上述のウエハWに対する第1回目の露光処理が終了すると、主制御装置20は、第2回目の露光処理を直ちに、すなわちレチクルアライメントなどを行うことなく、開始する。
【0172】
この第2回目の露光処理は、基本的には、前述の第1回目の露光処理と同様であるが、ウエハW、すなわちウエハステージWSTの各ショット領域に対する露光の際の加速開始位置が、前述のショット領域の走査方向の長さ分+Y方向にずれた位置に設定されるとともに、走査方向に関するショット領域の配列が2行分だけ増加する点が相違する。
【0173】
この結果、第2回目の露光処理により、各ショット領域SAiのパターンCの像が形成されたショット領域には、パターンDの像が重ねて転写され、パターンDの像が形成されたショット領域には、パターンCの像が重ねて転写される。
【0174】
図7(B)には、前述した図7(A)のウエハW上に、第2回目の露光処理により、レチクルRcとレチクルRdとのパターンが重ねて転写された様子が示されている。この図7(B)において、括弧内に示されるC、Dは、第1回目の露光処理により、ウエハW上に形成されたパターンの種別を示す。この図7(B)に示されるように、ウエハW上には、走査方向の一端と他端のショット領域を除く、ショット領域、すなわち前述のショット領域SA1〜SA16を構成する各ショット領域にパターンCとパターンDとが二重露光により転写されている。
【0175】
以上の二重露光により、ウエハW上のショット領域SA1〜SA16のそれぞれには、パターンCとパターンDとの像が形成され、このウエハWを現像装置により、現像することにより、ウエハW上の各ショット領域には、1つのレイヤで形成すべき、パターンCとパターンDとのレジスト像が形成される。
【0176】
図8(A)には、上記のようにして露光を行った場合の露光中心(照明領域IAの中心)のウエハW上での軌跡が示されている。この図8(A)に示されるように、通常の露光動作において、1ショットを露光するのに要する時間をTexp、ステッピングに要する時間をTstepとすると、本実施形態では、16ショットの露光に要する時間は、概略、次式(4)にて表すことができる。なお、式(4)では、露光のための走査中以外の走査方向に関するウエハステージWSTの移動時間については無視するものとしている。また、走査方向に隣接するショット領域、例えばショット領域SA1、SA2間などの転写パターンの切り替え時における、ステージRST、WSTの加減速は殆ど不要なので、この時間も実際には短くなるが、これについても式(4)では無視している。
2×(4・2Texp+3Tstep)=16Texp+6Tstep ……(4)
【0177】
一方、図8(B)には1ショット毎にステッピングを行う従来の露光を行う場合の露光中心のウエハW上での軌跡が示されており、この図10(B)に示されるように従来の露光動作を行うと、16ショットの露光に要する時間は、概略、次式(5)で表すことができる。なお、式(5)では、露光のための走査中以外の走査方向に関するウエハステージWSTの移動時間については無視するものとしている。
4×(4Texp+3Tstep)=16Texp+12Tstep ……(5)
【0178】
この場合に、式(4)と式(5)を比較すると分かるように、本実施形態のほうが、ステッピングの回数が少ないだけ、露光及びステッピングに要するトータルの時間が短縮されている。
【0179】
以上説明したように、本第2の実施形態の露光装置及びその露光方法によると、主制御装置20は、第1回目の露光処理に際し、パターンC、DとウエハWとが露光光ILに対して相対走査されるように、パターンC,Dが形成されたレチクルRc(又はRd)とウエハWとを走査方向(Y軸方向)に同期移動し、該同期移動中の転写パターンの切り替え中に、切り換え後のパターンに応じて転写条件を変更し、パターンC,Dを投影光学系PLを介してウエハW上の複数のショット領域SA1〜SA16に転写する。
【0180】
次いで、主制御装置20は、第2回目の露光処理に際し、パターンC,DとウエハWとが露光光ILに対して相対走査されるように、パターンC,Dが形成されたレチクルRc(又はRd)とウエハWとを走査方向(Y軸方向)に同期移動し、該同期移動中の転写パターンの切り替え中に、切り替え後のパターンに応じて転写条件を変更し、第1回目の露光処理によりレチクルRc(又はレチクルRd)上のパターンC,Dが転写されたウエハW上の複数のショット領域に、レチクルRd(又はRc)上のパターンD,Cを重ねて転写する。
【0181】
この場合、第1回目の露光において、2つのレチクルRc,Rdのパターンの転写、すなわちウエハW上の2つのショット領域に対する露光を、レチクルステージRST及びウエハステージWSTをY軸方向に同期移動する一連の動作の間に行うことができるので、前ショットの露光終了から次ショットの露光開始までの間に行われるウエハステージWSTのX軸方向への移動動作(ステッピング動作)を一部省略することが可能となっている。これにより、1ショット領域に対する露光動作とステッピング動作とを繰り返す従来の露光方法に比べ、ステッピングが一部省略される分だけ、スループットの向上を図ることが可能となっている。また、第2回目の露光においても、第1回目の露光と同様に、露光動作とステッピング動作とを繰り返す従来の露光方法に比べ、スループットを向上することが可能となっている。
【0182】
また、第1回目の露光処理の際のウエハW上の複数のショット領域に対して第2回目の露光の際の複数のショット領域をずらして二重露光を行うことにより、異なるパターン領域のパターンの像同士がウエハ上で重なるようにすることができる。
【0183】
従って、本第2の実施形態によると、レチクルRc、Rd上の転写条件の異なるパターンC、Dの重ね合わせを、二重露光にてかつそれぞれのパターン転写時の転写条件を適切に設定して容易に実現することができる。このため、機能の異なる(通常、転写条件が異なる)パターンが同一レイヤに配置される場合にも、そのレイヤ中のいずれのパターンについても好適ないしは最適な露光条件での露光が可能となる。
【0184】
また、二重露光により、焦点深度の増大と、解像度の向上とを同時に実現することも可能である。
【0185】
以上により、最終的に、スループットの向上と歩留まりの向上とにより、デバイスの生産性の向上を実現することが可能となっている。
【0186】
なお、上記第2の実施形態では、ウエハW上にマトリックス状配置で形成された複数のショット領域に対して二重露光を行う場合について説明したが、これに限らず、走査方向に1列に並ぶ複数のショット領域に対して二重露光を行う場合にも、本発明は、好適に適用できる。すなわち、かかる場合には、第1回目の露光処理で、第1マスクと第2マスクとが載置されたマスクステージ(レチクルステージRSTに相当)とウエハ等の物体が載置された物体ステージ(ウエハステージWSTに相当)とを所定の走査方向に同期移動しつつ、該同期移動中の転写対象パターン(マスク)の切り替え中に、その切り替え後のパターンに応じて転写条件を変更し、物体上の走査方向に並んだ2つの領域それぞれに、第1マスクのパターンと第2マスクのパターンとが、走査露光方式で連続的に転写される。すなわち、従来困難であった2つの領域に対する、転写条件の異なるパターンの連続的な走査露光が可能となり、領域毎に走査露光を行う場合に比べて、少なくとも領域間におけるマスクステージと物体ステージとの加速、減速時間の低減が可能となり、その分スループットを向上することが可能である。
【0187】
また、第2回目の露光処理では、上記と同様にして、第1マスクのパターンと第2マスクのパターンとの物体上への転写が行われ、第1回目の露光処理で第1パターン、第2パターンがそれぞれ転写された2つの領域のうち、少なくとも一方の領域に、第1回目の露光処理で転写されたパターンと異なるパターンが重ねて転写される。従って、第2回目の露光処理においても、前述と同様に少なくとも領域間におけるマスクステージと物体ステージとの加速、減速時間の低減が可能となり、その分スループットを向上することが可能である。
【0188】
また、この場合も、第1マスクのパターンと第2マスクのパターンとが転写された領域についてみると、転写条件の異なるパターン同士の重ね合わせ露光が、それぞれのパターン転写時の転写条件を適切に設定した二重露光にて容易に実現される。
【0189】
なお、上記第2の実施形態において、レチクルRc及びレチクルRdとして、同一のパターンが形成されたレチクルを用いることも可能である。かかる場合には、前述した第2の実施形態と同一の効果を得られる他、転写パターン(レチクル)の切り換えに際して転写条件の切り替えが不要となる。同様に、上記の走査方向に1列に並ぶ複数のショット領域に対する二重露光や、通常の露光の場合にも、同一パターンが形成された2つのレチクルを用いても良い。かかる場合にも、少なくとも領域間におけるマスクステージと物体ステージとの加速、減速時間の低減が可能となる。
【0190】
なお、上記第2の実施形態においても、前述の照明系開口絞り板4に代えて、前述の瞳開口絞り24と同様の虹彩絞りから成る照明系開口絞りを用いても良い。このようにする場合には、主制御装置20は、前述の走査露光中の瞳開口絞り24の変更と並行してその照明系開口絞りの開口の大きさ、すなわち照明光学系のN.A.(照明N.A.)を変更することが可能となる。
【0191】
なお、上記第2の実施形態では、同一ウエハに対する二重露光の場合について説明したが、パターンの好適転写条件に応じて両ステージRST、WSTの同期移動中にパターンの転写条件を変更するという手法は、三重露光以上の多重露光にもそのまま適用できることは、特に説明を要しないであろう。この場合も、転写条件変更装置を構成する主制御装置は、前記レチクル上のパターンの形成状態に応じ、レチクルステージの位置情報に基づいて転写条件を変更することとすれば良い。
【0192】
なお、上記各実施形態では、レチクル(レチクルステージ)の走査方向の位置に応じて、パターンの転写条件(投影光学系のN.A.など)を変更するものとしたが、これに限らず、レチクル(レチクルステージ)の走査方向の位置を微分した速度などは勿論、レチクルステージと同期移動するウエハステージ(ウエハ)の位置、あるいは速度など、所定の演算によりレチクルの同期移動中の位置を算出できる情報のいずれの情報に基づいて、パターンの転写条件を変更しても良い。
【0193】
なお、上記各実施形態では本発明が露光光ILとして、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)あるいはFレーザ光(波長157nm)等を用いる露光装置に適用された場合について説明したが、これに限らず、波長146nmのKrレーザ光、波長126nmのArレーザ光等の真空紫外光を用いる露光装置、あるいは波長5〜30nmの軟X線領域のEUV光を用いるEUV露光装置などにも本発明は好適に適用できる。
【0194】
この他、本発明では、エネルギビームとして、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。この場合、単一波長発振レーザとしては例えばイッテルビウム・ドープ・ファイバーレーザなどを用いることができる。
【0195】
なお、上記各実施形態で示した投影光学系や、照明光学系はほんの一例であって、本発明がこれに限定されないことは勿論である。例えば、投影光学系として屈折光学系に限らず、反射光学素子のみからなる反射系、又は反射光学素子と屈折光学素子とを有する反射屈折系(カタッディオプトリック系)を採用しても良い。
【0196】
さらに、本発明は、半導体素子の製造に用いられる露光装置だけでなく、角型のガラスプレート上に液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、プラズマディスプレイや有機ELなどの表示装置、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置、さらにはマスク又はレチクルの製造に用いられる露光装置などにも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0197】
なお、複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系PLを露光装置のボディに組み込み、光学調整をするとともに、多数の機械部品からなるレチクルステージRSTやウエハステージWST等を露光装置のボディに取り付けて配線や配管を接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより上記実施形態の露光装置等の本発明に係る露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0198】
《デバイス製造方法》
次に、上述した各実施形態の露光装置及びその露光方法をリソグラフィ工程で使用したデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
【0199】
図9には、デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートが示されている。図9に示されるように、まず、ステップ201(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ202(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ203(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
【0200】
次に、ステップ204(ウエハ処理ステップ)において、ステップ201〜ステップ203で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ205(デバイス組立ステップ)において、ステップ204で処理されたウエハを用いてデバイス組立を行う。このステップ205には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
【0201】
最後に、ステップ206(検査ステップ)において、ステップ205で作製されたデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
【0202】
図10には、半導体デバイスの場合における、上記ステップ204の詳細なフロー例が示されている。図10において、ステップ211(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ212(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ213(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ214(イオン打込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップ211〜ステップ214それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0203】
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ215(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップ216(露光ステップ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置)によってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップ217(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップ218(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ219(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
【0204】
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0205】
以上説明した本実施形態のデバイス製造方法によると、露光工程(ステップ216)において上記各実施形態の露光装置及びその露光方法を用いて露光が行われるので、パターンに応じた露光精度を十分に維持しつつ露光が行われる。従って、微細パターンを有するマイクロデバイスの少なくとも歩留まりを向上させることができ、その生産性を向上させることができる。
【0206】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る露光方法によれば、レイヤ毎のパターン設計上の自由度の向上及びデバイスの生産性の向上の少なくとも一方を実現することができるという効果がある。
【0207】
また、本発明に係る露光装置によれば、レイヤ毎のパターン設計上の自由度の向上及びデバイスの生産性の向上の少なくとも一方を実現することができるという効果がある。
【0208】
また、本発明に係るデバイス製造方法によれば、マイクロデバイスの生産性の向上を確実に実現することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態で用いられるレチクルを示す平面図である。
【図3】図3(A)は、第1の実施形態における露光の際のレチクルステージの速度変化の様子を横軸を走査方向の位置として示す図、図3(B)は、図3(A)に対応する像面におけるエネルギ量の変化を示す図である。
【図4】変形例に係るレチクルを示す平面図である。
【図5】図5(A)は、図4のレチクルを用いた露光の際のレチクルステージの速度変化の様子を横軸を走査方向の位置として示す図、図5(B)は、図5(A)に対応する像面におけるエネルギ量の変化を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るレチクルステージを示す平面図である。
【図7】図7(A)は、第2の実施形態において二重露光を行う際に、第1回目の露光終了後にウエハ上に形成されたパターンの像の一例を示す図、図7(B)は、第2回目の露光終了後にウエハ上に形成されたパターンの像の一例を示す図である。
【図8】図8(A)、図8(B)は、本発明の第2の実施形態の効果を説明するための図である。
【図9】本発明に係るデバイス製造方法の実施形態を説明するためのフローチャートである。
【図10】図9におけるステップ204の具体的処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…光源(第3の変更装置の一部、転写条件変更装置の一部)、4…照明系開口絞り板(第2の変更装置の一部、転写条件変更装置の一部)、11…レチクル駆動部(駆動装置の一部)、19…ステージ制御系(駆動装置の一部)、20…(第1の変更装置の一部、第2の変更装置の一部、第3の変更装置の一部、転写条件変更装置の一部)、21…ウエハ駆動部(駆動装置の一部)、24…瞳開口絞り(第1の変更装置の一部、転写条件変更装置の一部)、40…駆動系(第2の変更装置の一部、転写条件変更装置の一部)、100…露光装置、R…レチクル(マスク)、W…ウエハ(物体)、PL…投影光学系、IL…露光光(エネルギビーム)。

Claims (15)

  1. マスクと物体とを同期移動して前記マスクに形成されたパターンを投影光学系を介して前記物体上に転写する露光装置であって、
    エネルギビームにより前記マスクを照明する照明光学系と;
    前記マスクと物体とを同期移動する駆動装置と;
    前記照明光学系からの前記エネルギビームにより前記マスクが照明され、前記駆動装置により前記マスクと物体とが同期移動される最中に、前記マスクの位置情報に応じて前記パターンの転写条件を変更する転写条件変更装置と;を備える露光装置。
  2. 前記転写条件変更装置は、前記投影光学系の開口数を変更する第1の変更装置を有することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  3. 前記転写条件変更装置は、前記照明光学系の瞳面及びこの共役面のいずれかにおける光量分布を変更する第2の変更装置を更に有することを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
  4. 前記転写条件変更装置は、前記駆動装置による前記マスクと物体との同期移動時における速度と前記物体上に照射される前記エネルギビームのエネルギ量とを連動して変更する第3の変更装置を更に有することを特徴とする請求項2又は3に記載の露光装置。
  5. 前記転写条件変更装置は、前記マスク上のパターンの形成状態に応じて前記転写条件を変更することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の露光装置。
  6. 前記転写条件変更装置による前記転写条件の変更動作シーケンスは、外部から設定可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の露光装置。
  7. マスクに形成されたパターンを投影光学系を介して物体上に転写する露光方法であって、
    エネルギビームにより前記マスクを照明した状態で前記マスクと物体とを同期移動し、該同期移動中に、前記マスクの位置情報に応じて前記パターンの転写条件を変更する転写条件変更工程を含む露光方法。
  8. 前記転写条件の変更は、前記投影光学系の開口数の変更を含むことを特徴とする請求項7に記載の露光方法。
  9. 前記転写条件の変更は、前記エネルギビームで前記マスクを照明する照明光学系の瞳面及びこの共役面のいずれかにおける光量分布の変更を更に含むことを特徴とする請求項8に記載の露光方法。
  10. 前記転写条件の変更は、前記マスクと物体との同期移動時における速度と前記物体上に照射される前記エネルギビームのエネルギ量とを連動して変更することを更に含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の露光方法。
  11. 前記転写条件変更工程では、前記マスク上のパターンの形成状態に応じて前記転写条件を変更することを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の露光方法。
  12. 異なる複数のパターンを投影光学系を介して物体上の所定の領域に重ね合わせて転写する露光方法であって、
    第1パターンが形成された第1マスク及び前記第1パターンとは転写条件の異なる第2パターンが形成された第2マスクと、前記物体とがエネルギビームに対して相対走査されるように、前記第1マスク及び第2マスクが載置されたマスクステージと、前記物体とを所定の走査方向に同期移動しつつ、該同期移動中の前記第1パターン及び第2パターン間の転写対象パターンの切り替え中に、その切り替え後のパターンに応じて転写条件を変更し、前記第1パターンと第2パターンとを投影光学系を介して前記物体上の前記走査方向に並んだ2つの領域にそれぞれ転写する第1露光工程と;
    前記第1露光工程で前記第1パターン、第2パターンがそれぞれ転写された2つの領域のうち、少なくとも一方の領域に、前記第1露光工程で転写されたパターンと異なるパターンを重ねて転写する第2露光工程と;を含む露光方法。
  13. 前記第2露光工程では、前記第1、第2マスクと、前記物体とがエネルギビームに対して相対走査されるように、前記マスクステージと、前記物体とを所定の走査方向に同期移動しつつ、該同期移動中の転写対象パターンの切り替え中に、その切り換え後のパターンに応じて転写条件を変更することを特徴とする請求項12に記載の露光方法。
  14. 前記第1露光工程では、前記物体に対する前記第1、第2パターンの転写を行う工程と、前記物体を移動する工程とを交互に繰り返して、前記物体上の2つ1組の複数組の領域に対し、前記第1パターンと第2パターンとの転写を行い、
    前記第2露光工程では、前記物体に対する前記第1、第2パターンの転写を行う工程と、前記物体を移動する工程とを交互に繰り返して、前記第1露光工程で前記第1パターンと第2パターンとが転写された領域の組毎に、少なくとも一方の領域に、前記第1露光工程で転写されたパターンとは異なるパターンを重ねて転写することを特徴とする請求項12又は13に記載の露光方法。
  15. リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、
    前記リソグラフィ工程では、請求項7〜14のいずれか一項に記載の露光方法を用いることを特徴とするデバイス製造方法。
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