JP2004319780A - 露光方法及び露光装置並びにデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マスク及び基板を同期移動しつつ露光を行う露光装置において、同期移動方向におけるショット領域の大きさに応じて最適な移動速度及び露光量設定を行うことで、露光処理に要する時間を短縮することができる露光方法及び露光装置を提供する。
【解決手段】主制御系24は、ウェハWに設定された各ショット領域の同期移動方向SDにおける大きさに応じてレチクルRのパターンをウェハW上のショット領域に転写する際の最適な移動速度を求め、駆動制御ユニット35,41に出力して設定する。また、主制御系24は設定したレチクルステージ31及びウェハステージ37の移動速度に応じて、露光量が目標露光量に等しくなるように露光光源1から射出される露光光ILのパルス数、又は可変減光器3の減光率を求めて露光制御ユニット23に出力して調整する。
【選択図】 図1
【解決手段】主制御系24は、ウェハWに設定された各ショット領域の同期移動方向SDにおける大きさに応じてレチクルRのパターンをウェハW上のショット領域に転写する際の最適な移動速度を求め、駆動制御ユニット35,41に出力して設定する。また、主制御系24は設定したレチクルステージ31及びウェハステージ37の移動速度に応じて、露光量が目標露光量に等しくなるように露光光源1から射出される露光光ILのパルス数、又は可変減光器3の減光率を求めて露光制御ユニット23に出力して調整する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光方法及び露光装置並びに当該方法又は装置を用いてデバイスを製造するデバイス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ、半導体デバイス、撮像装置(CCD等)、薄膜磁気ヘッド等のマイクロデバイスの製造工程におけるフォトリソグラフィ工程では、投影光学系を介して、マスク又はレチクル(以下、これらを総称する場合にはマスクという)に形成された回路パターンを、表面にフォトレジストが塗布されたウェハ、ガラスプレート等の感光基板に投影する露光装置が用いられている。この露光装置の一つとして、レチクルに形成されたパターンをウェハ上の各ショット領域に一括して縮小投影するようにしたステップ・アンド・リピート方式の露光装置(ステッパー)が知られている。ステッパーでは1つのショット領域に対して一括露光を行い、露光が終了するとウェハをステップ移動して次のショット領域に対する一括露光を行う動作が繰り返し行われる。
【0003】
また、レチクルに形成されたパターンの露光範囲を拡大するために、照明光学系からのパルス状の露光光(以下、パルス露光光という)をスリット状に制限し、このスリット光を用いてレチクルに形成されたパターンの一部をウェハ上に縮小投影した状態で、レチクルとウェハとを投影光学系に対して同期移動させてパターンをウェハ上に逐次転写するようにしたステップ・アンド・スキャン方式の走査型の露光装置も用いられている。
【0004】
上記のステップ・アンド・スキャン方式の走査型の露光装置は、レチクルとウェハとを高い精度をもって同期移動する必要がある。このため、レチクルを保持するレチクルステージ及びウェハを保持するウェハステージの加速を開始してから各々のステージがそれぞれの目標速度に達した後で、レチクルに対してスリット状のパルス露光光を照射して露光動作を開始する。ウェハ上に設定された1つのショット領域に対する各ステージの制御期間は、加速動作を行う加速時間、加速を終えて振動が抑制されるまでの整定時間、一定速度でレチクル及びウェハを移動させる移動時間(この時間内でレチクルのパターンがウェハ上に転写される)、レチクル及びウェハを空走させる空走時間、及びレチクル及びウェハを減速させる減速期間に大別される。
【0005】
従来の露光装置は、上記の加速時間と減速時間とをほぼ等しく設定するとともに、整定時間と空走時間とをほぼ等しく設定して各ステージの動作を制御している。また、通常、ウェハ上には複数のショット領域が設定されるが、ショット領域の大きさは製造するデバイスの種類及び露光工程の種類毎に様々である。従来の露光装置は、同期移動方向のショット領域の大きさの変化に応じて移動時間を設定しているが、移動時間内におけるレチクルステージ及びウェハステージの移動速度は一定に設定されていた。尚、従来のステップ・アンド・スキャン方式の露光装置の詳細については、例えば以下の特許文献1,2を参照されたい。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−230183号公報
【特許文献2】
特開平10−270343号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年においてはマイクロデバイスの製造効率を高めるために、スループット、即ち単位時間に露光処理を行うことができるウェハの枚数を向上させることが要求されている。この要求を達成するためには、レチクルステージ及びウェハステージの移動速度を向上させれば良いと考えられる。レチクルステージ及びウェハステージの速度は、上述した移動時間内において最大となる。この時間を短縮する観点から、従来の露光装置はレチクルステージ及びウェハステージの速度を極力最大にする方法で制御していた。
【0008】
しかしながら、レチクルステージ及びウェハステージの速度が極力最大となるように設定されていても、同期移動方向におけるショット領域の大きさによっては必ずしも最短時間で露光処理が終了するとは限らず無駄な時間が生じており、スループットの低下を招く要因の一つになっていたという問題があった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、マスク及び基板を同期移動しつつ露光を行う露光装置において、同期移動方向におけるショット領域の大きさに応じて最適な移動速度の設定を行うことで、露光処理に要する時間を短縮することができる露光方法及び露光装置、並びに当該方法及び装置を用いることで高いスループットでデバイスを製造することができるデバイス製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点による露光方法は、パターンが形成されたマスク(R)と基板(W)とを同期移動しつつ、前記マスクに形成されたパターンを前記基板上の複数のショット領域(SA、SA1、SA2)に順次転写する露光方法であって、前記ショット領域の前記同期移動方向(SD)の大きさに応じて、前記マスク及び前記基板の移動速度の設定を行って露光することを特徴としている。
この発明によれば、同期移動方向におけるショット領域の大きさに応じてマスク及び基板の移動速度の設定を行って露光するようにしているため、各ショット領域が同期移動方向の大きさに応じた最適な速度で露光され、その結果として露光処理に要する時間を短縮することができる。
ここで、本発明の第1の観点による露光方法は、設定した前記移動速度に応じて、前記基板に照射される露光光の強度の設定を行うことが好ましい。
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点による露光方法は、パターンが形成されたマスク(R)と基板(W)とを同期移動しつつ、前記マスクに形成されたパターンを前記基板上に転写する露光方法であって、前記パターンを前記基板上へ転写するときの前記基板の移動速度Vは以下の式で表されることを特徴としている。
【数4】
但し、前記Lはショット領域(SA、SA1、SA2)の前記同期移動方向における大きさであり、前記Accは前記基板の加減速時における平均加速度である。
この発明によれば、上記式で表される通り、同期移動方向におけるショット領域の大きさLに応じて基板の移動速度Vの設定を行って露光するようにしているため、各ショット領域が同期移動方向の大きさに応じた最適な速度で露光され、その結果として露光処理に要する時間を短縮することができる。
ここで、本発明の第2の観点による露光方法は、前記マスクに照射する露光光はパルス状の露光光であり、前記パターンを前記ショット領域へ転写するときの露光量は以下の式で表されるように調整されることが好ましい。
【数5】
但し、前記Nは前記マスクに対する前記露光光の照射回数であり、Gは前記露光光の減光係数であり、Kは定数である。
上記課題を解決するために、本発明の露光装置はパターンが形成されたマスク(R)と基板(W)とを同期移動しつつ、前記マスクに形成されたパターンを前記基板上の複数のショット領域(SA、SA1、SA2)に順次転写する露光装置(EX)であって、前記マスクを保持して移動するマスクステージ(31)と、前記基板を保持して移動する基板ステージ(37)と、前記ショット領域の前記同期移動方向の大きさに応じて、前記マスク及び前記基板の移動速度の設定を行って前記マスクステージ及び前記基板ステージを駆動する制御装置(23、24、35、41)とを備えることを特徴としている。
この発明によれば、ショット領域の同期移動方向におけるショット領域の大きさに応じた移動速度でマスクステージ及び基板ステージを駆動して露光処理を行っているため、各ショット領域が同期移動方向の大きさに応じた最適な速度で露光され、その結果として露光処理に要する時間を短縮することができる。
本発明のデバイス製造方法は、リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法であって、前記リソグラフィ工程において上記の露光方法、又は、上記の露光装置を用いて露光を行う露光工程(S46)を含むことを特徴としている。
この発明によれば、各ショット領域がショット領域の同期移動方向におけるショット領域の大きさに応じた移動速度で露光され、露光処理に要する時間が短縮されるため、高スループットでデバイスを効率よく製造することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による露光方法及び露光装置並びにデバイス製造方法について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による露光装置EXの全体構成の概略を示す図である。図1に示す露光装置EXは、図1中の投影光学系PLに対してマスクとしてのレチクルRと基板としてのウェハWとを相対的に移動させつつ、レチクルRに形成されたパターンをウェハWに逐次転写して半導体素子を製造するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置である。
【0012】
尚、以下の説明においては、図1中に示したXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がウェハWに対して平行となるよう設定され、Z軸がウェハWに対して直交する方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。また、本実施形態ではレチクルR及びウェハWを同期移動させる方向(同期移動方向SD)をY方向に設定している。
【0013】
図1において、1は断面が略長方形状の平行光束である露光光ILを射出する露光光源であり、例えばArFエキシマレーザ光源(波長193nm)である。露光光源1からの波長193nmの紫外パルスよりなる露光光ILは、ビームマッチングユニット(BMU)2を通り、光アッテネータとしての可変減光器3に入射する。露光光源1の発光の開始及び停止、並びに出力(発振周波数、パルスエネルギー、パルス数)は、ウェハW上のフォトレジストに対する露光光の強度(照度)を制御するための露光制御ユニット23が制御する。また、露光制御ユニット23は、可変減光器3における減光率を段階的、又は連続的に調整する。
【0014】
可変減光器3を通った露光光ILは、レンズ系4a,4bよりなるビーム成形系5を経て第1段のオプティカル・インテグレータ(ユニフォマイザ、又はホモジナイザ)としての第1フライアイレンズ6に入射する。この第1フライアイレンズ6から射出された露光光ILは、第1レンズ系7a、光路折り曲げ用のミラー8、及び第2レンズ系7bを介して第2段のオプティカル・インテグレータとしての第2フライアイレンズ9に入射する。
【0015】
第2フライアイレンズ9の射出面、即ちレチクルRのパターン面に対する光学的なフーリエ変換面(照明系の瞳面、投影光学系PLの瞳面と光学的に共役な面)には開口絞り板10が、駆動モータ10eによって回転自在に配置されている。図2は、開口絞り板10の一例を示す正面図である。図2に示すように、開口絞り板10は回転軸Oの周りで回転自在に構成された円板からなり、通常照明用の円形の開口絞り10a、輪帯照明用の開口絞り10b、複数(例えば4極)の偏心した小開口よりなる変形照明用の開口絞り10c、及び小さいコヒーレンスファクタ(σ値)用の小円形の開口絞り10dが周方向に沿って形成されている。尚、図2中に示した破線の大きな円は通常照明用の円形の開口絞り10aの大きさを表しており、開口絞り10b〜10dとの大きさの比較のため図示している。
【0016】
開口絞り板10の回転軸Oは駆動モータ10eの回転軸に接続されており、駆動モータ10eを駆動して開口絞り板10を回転軸Oの周りで回転させることにより、第2フライアイレンズ9の射出面に配置する開口絞りを切り替えることができる。第2フライアイレンズ9の射出面に配置される開口絞りに応じて、その射出面における露光光ILの強度分布が変更される。駆動モータ10eの駆動は露光装置EXの全体の動作を統括制御する主制御系24が制御する。
【0017】
尚、変形照明(輪帯照明、4極照明等)を行うときに、露光光ILの利用効率を高めて高い照度(パルスエネルギー)を得るには、露光光ILが第2フライアイレンズ9に入射する段階で、露光光ILの断面形状をほぼ輪帯形状に整形しておくことが望ましい。このためには、第1フライアイレンズ6を例えば多数の位相型の回折格子の集合体よりなる回折光学格子(Diffractive Optical Element:DOE)で置き換えればよい。また、照明条件切り換え系は上記の構成に限られるものではなく、開口絞り板10に組み合わせて又は単独で円錐プリズム(アキシコン)及び/又はズーム光学系と、回折光学素子とを用いるようにしても良い。尚、第2段のオプティカル・インテグレータとして内面反射型インテグレータ(ロッドインテグレータ等)を用いる場合には、例えばDOE、円錐プリズム、又は多面体プリズム等を用いて、照明系の光軸IAXに関して露光光ILを傾けて内面反射型インテグレータに入射させるとともに、照明条件に応じてその入射面での露光光ILの入射角度範囲を変更することが望ましい。
【0018】
図1において、第2フライアイレンズ9から射出されて開口絞り板10に形成された開口絞り10a〜10dの何れかを通過した露光光ILは、透過率が高く反射率が低いビームスプリッタ11に入射する。ビームスプリッタ11で反射された露光光は、集光用のレンズ21を介して光電検出器よりなるインテグレータセンサ22に入射する。インテグレータセンサ22の検出信号は露光制御ユニット23に供始されている。インテグレータセンサ22の検出信号とウェハW上での露光光ILの照度との関係は予め高精度に計測されて、露光制御ユニット23内のメモリに記憶されている。露光制御ユニット23は、インテグレータセンサ22の検出信号より間接的にウェハWに対する露光光ILの照度(平均値)、及びその積分値をモニタできるように構成されている。
【0019】
ビームスプリッタ11を透過した露光光ILは、光軸IAXに沿ってレンズ系12,13を順次経て、固定ブラインド(固定照明視野絞り)14及び可動ブラインド(可動照明視野絞り)15に入射する。固定ブラインド14は、後述する投影光学系PLの円形視野内の中央で同期移動方向SDと直交した方向に直線スリット状、又は矩形状(以下、まとめて「スリット状」という)に伸びるように配置された開口部を有する。
【0020】
可動ブラインド15は、光軸IAXに直交する面内において移動可能に構成されており、ウェハW上の各ショット領域への走査露光の開始時及び終了時に不要な露光を防止するために、又は照明視野領域の同期移動方向SDの幅を可変とするために使用される。また、稼動ブラインド15は、同期移動方向SDと直交した方向に関してレチクルRのバターン領域のサイズを可変するために使用される。可動ブラインド15の開口率の情報は露光制御ユニット23にも供給され、インテグレータセンサ22の検出信号から求められる値にその開口率を乗じた値が、ウェハW上の実際の照度となる。
【0021】
固定ブラインド14及び可動ブラインド15は、レチクルRのパターンが形成されている面(以下、レチクル面という)に対する共役面から光軸IAX方向に所定量だけデフォーカスした面に配置されている。このように、固定ブラインド14及び可動ブラインド15をデフォーカスさせて配置するのは、ウェハW上の任意の点での露光量(DOSE量)のばらつきを防止するため、ウェハW上に照射される露光光ILの同期移動方向SDにおける照度分布を台形形状とするためである。
【0022】
露光時に可動ブラインド15を通過した露光光ILは、光路折り曲げ用のミラー17、結像用のレンズ系18、コンデンサレンズ19、及び主コンデンサレンズ系20を順次介して、マスクとしてのレチクルRのパターン面(下面)の照明領域(照明視野領域)IAを照明する。
【0023】
尚、以上説明した露光光源1、ビームマッチングユニット2、可変減光器3、レンズ系4a,4bよりなるビーム成形系5、第1フライアイレンズ6、第1レンズ系7a、光路折り曲げ用のミラー8、第2レンズ系7b、第2フライアイレンズ9、開口絞り板10、ビームスプリッタ11、レンズ系12,13、固定ブラインド14、可動ブラインド15、光路折り曲げ用のミラー17、結像用のレンズ系18、コンデンサレンズ19、及び主コンデンサレンズ系20は、照明光学系ISを構成している。
【0024】
露光光ILのもとで、レチクルRの照明領域IA内の回路パターンの像が両側テレセントリックな投影光学系PLを介して所定の投影倍率β(βは例えば1/4又は1/5等)で、投影光学系PLの結像面に配置された基板としてのウェハW上のスリット状の露光領域EAに転写される。尚、投影光学系PLは片側テレセントリックであっても良い。ここで、ウェハW上に照射される露光光ILの分布について説明する。
【0025】
図3は、ウェハW上の露光領域EAに照射される露光光ILの同期移動方向SDにおける分布を示す図である。図3に示す通り、露光光ILは、同期移動方向SD(Y方向)に台形形状の分布であり、傾斜的な強度分布を有するスロープ部SLと一定の強度分布を有する平坦部FLとを有する。図3に示す分布において、SW1は固定ブラインド14の開口の大きさによって規定される同期移動方向SDにおける露光光ILの幅(以下、スリット幅という)を示している。つまり、固定ブラインド14がレチクル面に対する共役面に配置されていたならば、スリット幅SW1を有する矩形状の露光光ILがウェハW上に照射される。
【0026】
また、図3において、SW2はスロープ幅を示している。本実施形態の露光装置においては、スロープ幅SW2はレチクル面と光学的に共役な共役面に対する固定ブラインド14の光軸IAX方向のデフォーカス量によって規定される。尚、本実施形態においては、ウェハW上に照射される露光光ILはX方向の分布が均一であり、照明条件の変更によって変化しないものとする。
【0027】
図1に戻り、本実施形態の投影光学系PLは、ジオプトリック系(屈折系)であるが、カタジオプトリック系(反射屈折系)や反射系も使用できることはいうまでもない。また、本実施形態では露光光ILが真空紫外光であるため、通常の空気中の酸素、二酸化炭素、水蒸気等によって大きく吸収されてしまう。これを避けるために、図1に示した露光光源1からウェハWまでの露光光ILの光路には、真空紫外光に対しても高透過率の高純度のパージガス(ヘリウム、ネオン等の希ガス、又は窒素ガス等の所謂不活性ガス)が供給されている。更に、投影光学系PLを構成する屈折部材の硝材としては、例えば合成石英又は蛍石(フッ化カルシウム:CaF2)が用いられる。
【0028】
図1において、レチクルRは、マスクステージとしてのレチクルステージ31上に吸着保持され、レチクルステージ31は、レチクルベース32上でY方向に等速移動できると共に、X方向、Y方向、回転方向に傾斜できるように載置されている。レチクルステージ31の一端には移動鏡33が取り付けられており、移動鏡33の鏡面に対面してレーザ干渉計34が設けられている。このレーザ干渉計34によってレチクルステージ31(レチクルR)の2次元的な位置及び回転角がリアルタイムに計測されている。このレーザ干渉計34の計測結果及び主制御系24からの制御情報に基づいて、駆動制御ユニット35がレチクルステージ31の走査速度、及び位置の制御を行う。
【0029】
一方、ウェハWは、ウェハホルダ36を介して基板ステージとしてのウェハステージ37上に吸着保持され、ウェハステージ37は、ウェハベース38上で投影光学系PLの像面と平行なXY平面に沿って2次元移動する。即ち、ウェハステージ37は、ウェハベース38上でY方向に一定速度で移動すると共に、X方向、Y方向にステップ移動する。更に、ウェハステージ37には、ウェハWのZ方向の位置(フォーカス位置)、並びにX軸及びY軸の回りの傾斜角を制御するZレベリング機構も組み込まれている。
【0030】
また、図示は省略しているが、投影光学系PLの側面に、ウェハWの表面(ウェハ面)の複数の計測点に斜めにスリット像を投影する投射光学系と、そのウェハ面からの反射光を受光してそれらの複数の計測点のフォーカス位置に対応するフォ−カス信号を生成する受光光学系とからなる多点のオートフォーカスセンサも設けられており、それらのフォ−カス信号が主制御系24中の合焦制御部に供給されている。走査露光時には、主制御系24中の合焦制御部は、それらのフォーカス信号(フォーカス位置)の情報に基づいてオートフォーカス方式でウェハステージ37中のZレベリング機構を連続的に駆動する。これによって、ウェハWの表面が投影光学系PLの像面に合焦される。
【0031】
ウェハステージ37の一端には移動鏡39が取り付けられており、移動鏡39の鏡面に対面してレーザ干渉計40が設けられている。このレーザ干渉計40によってウェハステージ37のX方向、Y方向の位置、及びX軸、Y軸、Z軸の回りの回転角がリアルタイムに計測されている。レーザ干渉計40の計測結果及び主制御系24からの制御情報に基づいて、駆動制御ユニット41がウェハステージ37の走査速度、及び位置の制御を行う。尚、上述した露光制御ユニット23、主制御系24、駆動制御ユニット35、及び駆動制御ユニット41は、本発明にいう制御装置に相当するものである。
【0032】
また、本実施形態の露光装置は、ウェハステージ37上に、投影光学系PLを介してウェハW上に照射される露光光ILの照度ムラを測定するための照度センサ42が固定されている。この照度センサ42の検出信号は露光制御ユニット23に供給されている。尚、この照度ムラの測定は、例えば定期的に実行される。その際に、図1の開口絞り板10を駆動して照明条件を通常照明、輪帯照明、変形照明、小σ値照明等に切り換えて各照明条件毎にその照度ムラの計測が実行される。そして、露光装置の稼働時間の経過に伴う照度ムラの状態が照明方式毎にテーブルとして主制御系24内の記憶部に記憶される。
【0033】
主制御系24は、レチクルステージ31及びウェハステージ37のそれぞれの移動位置、移動速度、移動加速度、位置オフセット等の各種情報を駆動制御ユニット35,41に送る。これに応じて、レチクルステージ31を介して露光光ILの照明領域IAに対してレチクルRが+Y方向(又は−Y方向)に速度Vrで走査されるのに同期して、ウェハステージ37を介してレチクルRのパターン像の露光領域EAに対してウェハWが−Y方向(又は+Y方向)に速度β・Vr(βはレチクルRからウェハWへの投影倍率)で走査される。この際の走査露光の開始時及び終了時に不要な部分への露光を防止するために、主制御系24によって可動ブラインド15の開閉動作が制御される。レチクルRとウェハWとの移動方向が逆であるのは、本実施形態の投影光学系PLが反転投影を行うためである。
【0034】
主制御系24は、ウェハW上の各ショット領域のフォトレジストを適正露光量で走査露光するための各種露光条件を露光データファイルより読み出して、露光制御ユニット23とも連携して最適な露光シーケンスを実行する。即ち、ウェハW上の1つのショット領域への走査露光開始の指令が主制御系24から露光制御ユニット23に発せられると、露光制御ユニット23は露光光源1の発光を開始すると共に、インテグレータセンサ22を介してウェハWに対する露光光ILの照度(単位時間当たりのパルスエネルギーの和)の積分値を算出する。その積分値は走査露光開始時に0にリセットされている。そして、露光制御ユニット23では、その照度の積分値を逐次算出し、この結果に応じて、走査露光後のウェハW上のフォトレジストの各点で適正露光量が得られるように、露光光源1の出力(発振周波数、パルスエネルギー、パルス数)及び可変減光器3の減光率を制御する。そして、当該ショット領域への走査露光の終了時に、露光光源1の発光が停止される。
【0035】
また、主制御系24は、露光データファイルから露光処理を行うウェハW上に設定されたショット領域に関する情報を読み出し、各ショット領域の同期移動方向SDにおける大きさに応じてレチクルステージ31及びウェハステージ37の移動速度及び露光量(単位時間にウェハW上に照射される露光光ILのパルス数及び露光光ILの強度)の設定を行う。主制御系24が設定した移動速度を示す情報は駆動制御ユニット35,41に出力され、露光量を示す情報は露光制御ユニット23に出力される。尚、これらの情報は、主制御系24から駆動制御ユニット35,41及び露光制御ユニット23へウェハWの各ショット領域を露光する度に出力される。ここで、レチクルステージ31又はウェハステージ37を駆動する際の速度の経時変化について説明する。
【0036】
図4は、レチクルステージ31又はウェハステージ37を駆動する際の速度の経時変化の概略を示す図である。図4の横軸は時間であり、縦軸は速度である。尚、レチクルステージ31及びウェハステージ37を加速、減速する際の実際の速度の経時変化は例えば5次関数等の高次関数で表されるが、図4においては簡単のために加速期間及び減速期間における加速度を平均加速度で置き換えて、速度の経時変化を一定加速度による直線で表している。また、図4においては、同期移動方向SDの一方の方向(例えば、+Y方向)への移動が終了した後で、他方の方向(例えば、−Y方向)へ移動させる場合の速度の経時変化を示している。
【0037】
前述した通り、レチクルRのパターンを転写する際にはレチクルステージ31とウェハステージ37とは互いに逆方向に移動する。このため、図4に示した速度の経時変化をレチクルステージ31の速度の経時変化と見立てた場合には、ウェハステージ37の速度の経時変化は、図4に示す速度の経時変化を縦軸に関して投影光学系PLの投影倍率分だけ縮小し、縦軸の符号を入れ替えることでウェハステージ37の速度の経時変化と見立てることができる。逆に、図4に示した速度の経時変化をウェハステージ37の速度の経時変化と見立てた場合には、レチクルステージ31の速度の経時変化は、図4に示す速度の経時変化を縦軸に関して投影光学系PLの投影倍率の逆数分だけ拡大し、縦軸の符号を入れ替えることでレチクルステージ31の速度の経時変化と見立てることができる。
【0038】
図4中における時間t1は加速時間、時間t2は整定時間、時間t3は移動時間、時間t4は空走時間、時間t5は減速時間である。本実施形態では、加速時間t1と減速時間t5が同一であり、整定時間t2と空走時間t4が同一であるとしている。図4を参照すると、レチクルステージ31及びウェハステージ37の速度は、レチクルRのパターンをウェハW上に転写する移動時間t3において最大になることが分かる。
【0039】
次に、ウェハステージ37を移動させたときに、加速開始から停止までに要する時間(以下、移動完了時間という)Tについて考察する。尚、以下の説明では、ウェハステージ37を駆動する場合を例に挙げて説明するが、レチクルステージ31についても同様の方法で移動完了時間を考察することができる。
【0040】
いま、ウェハステージ37の最大速度をV、加減速時間をTacc、整定時間をTs、平均加速度をAcc、露光移動距離(図4に示す移動時間t3内においてウェハステージ37が移動する距離)をLとすると、加速時間t1は以下の(1)式で表される。
【数6】
【0041】
ここで、露光移動距離Lについて説明する。図5は、露光移動距離Lを説明するための図である。図5において、SAは露光すべき領域である矩形形状のショット領域を示しており、このショット領域SAの同期移動方向SDの長さはLSであるとする。また、図5中において、EAはウェハW上において露光光ILが照射されるスリット状の露光領域を示している(図1参照)。ウェハWが図中左方向に移動しているものとし、相対的に露光領域EAが図中左側から右側へショット領域SAに接近しているとすると、露光移動距離Lは、同期移動方向SDに交差する露光領域EAの一辺A1が同期移動方向SDに直交するショット領域の一辺B1に達してから露光領域SAの他辺B2に至るまでの距離である。よって、図5に示した例においては、露光移動距離LはLS+w1になる。ショット領域SAは、例えばウェハWに形成するデバイスの種類毎に変化し、これにより露光移動距離Lも変化する。
【0042】
上述したように、図4中の加速時間t1と減速時間t5が同一であり、整定時間t2と空走時間t4が同一であるため、移動完了時間Tは以下の式で表すことができる。
移動完了時間T=(加速時間t1+整定時間t2)×2+移動時間t3
この式を、最大速度V、平均加速度Acc、整定時間Ts、及び露光移動距離Lを用いて表すと、以下の(2)式となる。
【数7】
【0043】
上記(2)式を参照すると、移動完了時間Tはウェハステージ37の最大速度Vの関数となっている。よって、移動完了時間Tを最大速度Vで微分すると以下の(3)式となる
【数8】
上記(2)式が極値を取るための条件はdT/dV=0であるため、上記(3)式において左辺を0とすると、(2)式が極値をとるための最大速度Vは、以下の(4)式で表される。
【数9】
【0044】
図6は、移動完了時間Tと最大速度Vとの関係を示すグラフである。尚、移動完了時間Tと最大速度Vとの関係は上記(2)式で表されている。図6においては横軸に最大速度Vをとり、縦軸に移動完了時間Tをとっている。ここで、最大速度V(レチクルRのパターンをウェハW上に転写する移動時間t3における速度:図4参照)を高く設定した方が移動完了時間Tが短縮されると考えられる。しかしながら、図6を参照すると最大速度Vに単純比例して移動完了時間Tが短縮される訳ではなく、移動完了時間Tを最短にする最大速度Vが存在する。最短の移動完了時間Tminを得ることができる最大速度Vが上記(4)式で示した最大速度である。
【0045】
更に、図6を参照すると、ウェハステージ37の最大速度Vが(5)式で示される最大速度以下であるときには、最大速度Vが上昇するに従って移動完了時間Tは短縮されるが、ウェハステージ37の最大速度Vが(5)式で示される最大速度よりも速くなると、最大速度Vが上昇するに従って移動完了時間Tが長くなることが分かる。このように、ウェハステージ37の最大速度Vを上記(4)式で示した値に設定することで移動完了時間Tを最短の移動完了時間Tminとすることができる。
【0046】
ここで、(4)式を参照すると、最短の移動完了時間Tminを得ることができるウェハステージ37の速度は、平均加速度Accと露光移動距離Lとの関数である。ウェハステージ37を移動させる際には同一の平均加速度Accで加減速させるとすると、(4)式において平均加速度Accを定数とみなすことができる。このため、最短の移動完了時間Tminを得ることができるウェハステージ37の速度は、露光移動距離L、即ちショット領域の同期移動方向SDにおける長さのみの関数となる。このため、ショット領域の同期移動方向SDにおける長さに応じて(4)式からウェハステージ37の最大速度を設定すればウェハステージ37の移動完了時間を、最短の移動完了時間Tminにすることができる。
【0047】
次に、上記(4)式で求められた最大速度Vを(2)式に代入することにより、最短の移動完了時間Tminは以下の(5)式で表される。
【数10】
【0048】
ここで、加減速時間Taccは加速時間t1と減速時間t5とを加算して求められ、加速時間t1は減速時間t5と同一であって(1)式で表されるため、最短の移動完了時間Tminが得られるときの加速時間Taccは以下の(6)式で表すことができる。
【数11】
また、最短移動完了時間Tminが得られるときのレチクルRのパターンをウェハW上に転写する移動時間t3は以下の(7)式で表すことができる。
【数12】
【0049】
上記(6)式と(7)式とを比較すると両式は同じ式であることが分かる。つまり、最短の移動完了時間Tminを得るためにウェハステージ37の最大速度Vを(4)式に示された最大速度に設定すると、加減速間TaccとレチクルRのパターンをウェハW上に転写する移動時間t3とが等しくなる。換言すると、加減速時間TaccとレチクルRのパターンをウェハW上に転写する移動時間t3とを等しく設定すると、ウェハステージ37の移動完了時間Tを最短にの移動完了時間Tminに設定することができる。
【0050】
このように、主制御系24は、露光対象であるショット領域の同期移動方向SDの長さに応じてレチクルステージ31及びウェハステージ37の移動速度(最大速度V)を設定し、レチクルステージ31及びウェハステージ37を駆動することで、これらのステージの移動完了時間を最短の移動完了時間Tminにしている。
【0051】
ウェハW上のショット領域を露光するときには、ショット領域の各点における露光量(DOSE量)を一定にする必要がある。上述した通り、レチクルステージ31及びウェハステージ37の最大速度Vを変化させると最大速度Vに応じて露光時間が変化し、この結果として露光量も変化してしまう。このため、主制御系24は、設定したレチクルステージ31及びウェハステージ37の最大速度Vに応じて単位時間にウェハW上に照射される露光光ILのパルス数又は露光光ILの強度を可変する制御を行う。
【0052】
具体的には、レチクルステージ31及びウェハステージ37の最大速度Vに拘わらずショット領域内の任意の点における露光量を一定にする(目標露光量と等しくなるようにする)必要があるため、以下の(8)式が満足されるように制御する。
【数13】
上記(8)式中における変数NはレチクルR(ひいては、ウェハW)に対する露光光ILの照射回数であり、Gは露光光ILの減光係数であり、Kは定数である。例えば、(8)式中の最大速度Vを高く設定した場合には、露光光ILの照射回数を増大させ、又は減光係数Gを小さく設定する。
【0053】
露光光ILの照射回数Nを可変して露光量を制御する場合には、主制御系24は設定した最大速度Vから(8)式を用いて露光光ILの照射回数Nを求め、求めた照射回数Nを露光制御ユニット23に出力する。一方、減光係数Gを可変して露光量を制御する場合には、主制御系24は設定した最大速度Vから(8)式を用いて露光光ILの減光係数Gを求め、求めた減光係数Gを露光制御ユニット23に出力する。主制御系24からの照射回数N又は減光係数Gを受けた露光制御ユニット23は、露光光源1又は可変減光器3を制御することで、露光光源1から射出される露光光ILのパルス数又は露光光ILの減光率をそれぞれ制御する。
【0054】
尚、図5においては、ショット領域SAの形状が矩形形状である場合を例示し、このショット領域SAの同期走査方向SDにおける長さLがデバイスの種類毎に変化する旨を説明した。しかしながら、近年においてはウェハWを有効に活用するために、より多くのショット領域をウェハW上に設定する場合がある。このため、ウェハW上には、ウェハW上に矩形形状のショット領域全体が載っているショット領域(フルショット領域)と、ウェハWのエッジによって一部が欠けたショット領域(欠けショット領域)とが存在する。
【0055】
図7は、ウェハW上に設定されたショット領域の一例を示す図である。図7(a)において、例えば符号SA1を付したショット領域がフルショット領域であり、符号SA2を付したショット領域が欠けショット領域である。図7(b)に示す如く、欠けショット領域SA2は本来は矩形形状に設定されるべきものであったが、図中の破線で示す部分が欠けてしまっている。
【0056】
フルショット領域SA1の同期移動方向SDの長さをLSとすると、フルショット領域SA1を露光する場合には、フルショット領域SA1の同期移動方向SDの長さLSと露光領域EAの同期移動方向SDの長さw1とに基づいて露光移動距離Lを設定し、上述した(4)式からレチクルステージ31及びウェハステージ37の最大速度Vを設定するとともに、(8)式から露光量の設定を行って露光を行えばよい。
【0057】
一方、欠けショット領域SA2を露光する場合には、図7(b)に示す通り、欠けショット領域SA2の同期移動方向における長辺の長さLS1をショット領域の長さに設定し、この長さLS1と露光領域EAの同期移動方向SDの長さw1とに基づいて露光移動距離Lを設定して最大速度V及び露光量を設定し、露光を行えばよい。或いは、図7(c)に示す通り、欠けショット領域SA2内において露光したい領域SA20を設定し、この領域SA20の同期移動方向SDにおける長さLS2をショット領域の長さに設定し、この長さLS2と露光領域EAの同期移動方向SDの長さw1とに基づいて露光移動距離Lを設定して最大速度V及び露光量を設定し、露光を行えばよい。
【0058】
以上、本発明の一実施形態による露光装置EXの構成について説明したが、次に露光時の動作について説明する。図8は、本発明の一実施形態による露光装置EXの露光時における動作の概略を示すフローチャートである。尚、図8に示すフローチャートは、ウェハステージ37上に載置された1枚のウェハWに対して露光処理を行うフローチャートを示しており、ウェハWを交換して複数枚のウェハWの露光処理を行う場合には、図8に示すフローチャートの各処理が繰り返される。
【0059】
露光動作が開始されると、まず主制御系24は、露光データファイルから各種露光条件を読み出す(ステップS10)。ここで、露光データファイルから読み出される露光条件は、ウェハW上に設定された各ショット領域の同期移動方向SDにおける長さを含むショット領域の大きさに関する情報、ウェハW上におけるショット領域の配列、ウェハW上に塗布されたフォトレジストを露光するための適正露光量を示す情報、照明条件、使用するレチクルRの種類を示す情報、露光時のレチクルステージ31及びウェハステージ37の加速度等の各種情報を含むものである。
【0060】
各種露光条件の読み出しが完了すると、主制御系24は駆動モータ10eを駆動して開口絞り10a〜10dの何れか1つを第2フライアイレンズ9の射出面に配置し、読み出した露光条件で設定されている照明条件を設定する。次に、主制御系24は、露光条件に含まれるレチクルRの種類を示す情報に基づいて、レチクルライブラリ(図示省略)から使用するレチクルRを搬入してレチクルステージ31上に配置し、配置完了後にレチクルステージ31上のレチクルRとウェハステージ37との相対的な位置合わせを行う。その後で、ウェハWをウェハステージ37上に配置し、ウェハステージ37上におけるウェハWの位置情報を計測する。
【0061】
以上の処理が終了すると、主制御系24は読み出した露光条件からショット領域の大きさに関する情報から各ショット領域の同期移動方向SDにおける長さLS(図5、図7参照)を抽出し、これらの長さと露光領域EAの同期移動方向の幅w1(図5参照)とから露光移動距離Lを算出し、各ショット領域を露光する際のレチクルステージ31及びウェハステージ37の最大速度Vを算出する。ここで、最大速度Vの算出は前述した(4)式を用いて行う。また、図7を参照して説明した通り、欠けショット領域がある場合には、欠けショット領域SA2の同期移動方向における長辺の長さ、又は欠けショット領域内において露光したい領域を設定し、この領域の同期移動方向SDにおける長さをショット領域の長さに設定して最大速度Vを算出する(ステップS11)。
【0062】
各ショット領域毎の最大速度Vの算出を終えると、主制御系24は駆動制御ユニット35を制御してレチクルRを移動開始位置に配置するとともに、駆動制御ユニット41を駆動して露光すべきショット領域を露光開始位置に配置する(ステップS12)。ここで、露光開始位置とは、露光すべきショット領域を露光するために、ウェハステージ37の加速を開始する位置である。
【0063】
以上の処理が終了すると、主制御系24はステップS11で算出した最大速度Vの内、露光開始位置に配置されたショット領域に関する最大速度Vを駆動制御ユニット41に出力し、ウェハステージ37の最大速度V(本発明にいう移動速度)を露光対象のショット領域の同期移動方向SDにおける長さ(大きさ)に応じた最大速度Vに設定する。ウェハステージ37の最大速度の設定に合わせて、主制御系24はレチクルステージ31の最大速度の設定も行う。具体的には、レチクルステージ31の最大速度は、ウェハステージ37に設定された最大速度の4倍(投影光学系PLの投影倍率の逆数)に設定される(ステップS13)。
【0064】
尚、ここで設定される最大速度Vは、前述した通り、そのショット領域の移動完了時間を(5)式に示した最短の移動完了時間Tminにする速度である。かかる最大速度Vが設定されると、(6)式及び(7)式を用いて説明した通り、加減速間TaccとレチクルRのパターンをウェハW上に転写する移動時間t3とが等しくなる。
【0065】
最大速度Vの設定が完了すると、主制御系24は設定した移動速度に応じて露光量を調整する(ステップS14)。具体的には、ウェハステージ37の最大速度Vに拘わらずショット領域内の任意の点における露光量を一定にする(目標露光量と等しくなるようにする)ため、前述した(8)式が満足されるように設定した最大速度Vから露光光ILの照射回数N又は減光係数Gを求め、求めた値を露光制御ユニット23に出力して、露光光源1から射出される露光光ILのパルス数又は可変減衰器3の減光率を調整する。
【0066】
露光量の調整が完了すると、主制御系24は露光開始命令を駆動制御ユニット35,41に出力してレチクルステージ31及びウェハステージ37の加速を開始さる。加速を開始するとレチクルステージ31及びウェハステージ37の速度が上昇する。各々のステージが加速を終えて整定時間t2(図4参照)が経過すると、速度が設定された最大速度となり、この時点においてレチクルRに露光光ILを照射し、投影光学系PLを介してレチクルRのパターンを逐次ウェハW上の1つのショット領域に転写する。
【0067】
ショット領域へのレチクルRのパターン転写が完了すると、空走時間t4(図4参照)経過後にレチクルステージ31及びウェハステージ37を減速して1つのショット領域に対する露光処理が終了する。次に、主制御系24はウェハステージ37上に載置されたウェハW上に露光すべきショット領域が有るか否かを判断し、有ると判断した場合(判断結果が「YES」の場合)には、ステップS12の処理に下って他のショット領域の露光処理を行う。一方、ウェハWに設定された全てのショット領域の露光処理が完了し、露光すべきショット領域が無いと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)は一連の処理が完了する。連続して他のウェハWに対する露光処理を行う場合には、ウェハステージ37上に載置さている露光処理を終えたウェハWを搬出するとともに、新たなウェハWを搬入して図8に示す処理を行う。
【0068】
図9は、最大速度Vを可変させて露光処理を行ったときのスループットの変化を示すシミュレーション結果である。尚、このシミュレーションにおいては、ウェハW上のショット数を76に設定し、露光領域EAの同期移動方向SDにおける幅を8[mm]に設定し、ウェハステージ37の平均加速度を0.8Gに設定し、整定時間を0.03[sec]に設定している。図9(a)は、同期移動方向SDにおけるショット領域の長さが12mmである場合のシミュレーション結果であり、図9(b)は、同期移動方向SDにおけるショット領域の長さが33mmである場合のシミュレーション結果である。
【0069】
図9(a)に示す通り、同期移動方向SDのショット領域の長さが12[mm]と比較的短い場合には、最大速度Vを高く設定するにつれて、ウェハ1枚当たりの露光処理時間が長くなる傾向を示していることが分かる。ウェハステージ37の最大速度Vを288.62[mm/sec]に設定した場合のスループット(1時間当たりの処理枚数)は141枚であり、最大速度Vを500[mm/sec]に設定した場合のスループット133枚と比較するとウェハWを8枚分多く露光処理できることが分かる。
【0070】
また、図9(b)に示す通り、同期移動方向SDのショット領域の長さが33[mm]と比較的長い場合には、最大速度Vを413.24[mm/sec]に設定した場合に、ウェハ1枚当たりの露光処理時間が最短となることが分かる。また、最大速度Vを413.24[mm/sec]に設定した場合には、最大速度Vを他の値に設定した場合よりもスループットが向上していることが分かる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、露光光源1から射出される露光光ILのパルス数又は可変減光器3による減光率の制御により露光量の制御を行っていたが、露光光源1から射出される露光光ILの出力強度を調整することで露光量の制御を行っても良い。
【0072】
また、上記実施形態においては、露光量を設定する際に、ウェハW上に設定された各ショット領域内における任意の点における露光量が一定の目標露光量に等しくなるよう設定する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、ウェハW上に形成された線幅がウェハW上の位置に応じてばらつくことがある。この原因は、ウェハW上に塗布されたフォトレジストの厚みのばらつき、ウェハW上に照射される露光光ILの照度むら、レチクルステージ31とウェハステージ37との同期誤差、投影光学系PLの像面に対するウェハWの位置誤差(フォーカス誤差)等が挙げられる。
【0073】
ウェハ上における線幅誤差を防止するためには、露光処理を行う前に予めウェハW上に塗布されたフォトレジストの膜厚むらを計測してショット領域毎の最適露光量を求めて露光処理を行ったり、実際に露光処理を行って形成されたパターンの線幅誤差分布を計測し、その分布に応じた最適目標露光量を求めて露光処理を行っている。このため、図8に示すフローチャートのステップS11においてショット領域毎の最大速度Vを算出した後で、算出したショット領域毎の最大速度Vを示す情報と、フォトレジストの膜厚むらを示す情報(厚さ分布情報)又はパターンの線幅誤差分布を示す情報(線幅誤差分布情報)とに基づいてショット毎の最適目標露光量を求めて、ショット領域毎にレチクルステージ31及びウェハステージ37の移動速度及び目標露光量(露光光源1から射出される露光光ILの強度、発信周波数、又は減光率)を調整することが好ましい。
【0074】
また、露光領域EAの同期走査方向SDにおける幅w1(図5参照)の調整によっても目標露光量を調整することができる。かかる調整を行う場合には、幅w1の調整によってレチクルステージ31及びウェハステージ37の最適な最大速度V(ショット領域の同期移動方向SDの大きさに応じた移動速度)も変わってしまう。このため、先に最適目標露光量から露光領域EAの幅w1を決定し、この幅w1に応じてレチクルステージ31及びウェハステージ37の最適な最大速度Vを計算するようにすることが好適である。
【0075】
また、上記実施形態では露光光源1として、ArFエキシマレーザ光源の場合を例に挙げて説明したが、これ以外に露光光源1としては、例えばg線(波長436nm)、i線(波長365nm)を射出する超高圧水銀ランプ、又はKrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)、Kr2レーザ(波長146nm)、YAGレーザの高周波発生装置、若しくは半導体レーザの高周波発生装置を用いることができる。
【0076】
更に、光源としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。例えば、単一波長レーザの発振波長を1.51〜1.59μmの範囲内とすると、発生波長が189〜199nmの範囲内である8倍高調波、又は発生波長が151〜159nmの範囲内である10倍高調波が出力される。
【0077】
特に、発振波長を1.544〜1.553μmの範囲内とすると、発生波長が193〜194nmの範囲内の8倍高調波、即ちArFエキシマレーザ光とほぼ同一波長となる紫外光が得られ、発振波長を1.57〜1.58μmの範囲内とすると、発生波長が157〜158nmの範囲内の10倍高調波、即ちF2レ−ザ光とほぼ同一波長となる紫外光が得られる。また、発振波長を1.03〜1.12μmの範囲内とすると、発生波長が147〜160nmの範囲内である7倍高調波が出力され、特に発振波長を1.099〜1.106μmの範囲内とすると、発生波長が157〜158μmの範囲内の7倍高調波、即ちF2レーザ光とほぼ同一波長となる紫外光が得られる。この場合、単一波長発振レーザとしては例えばイットリビウム・ドープ・ファイバーレーザを用いることができる。
【0078】
また、上記実施形態では上記照明光学系内に設けられるレンズ系4a,4bよりなるビーム成形系5、第1フライアイレンズ6、第1レンズ系7a、第2レンズ系7b、第2フライアイレンズ9、レンズ系12,13、結像用のレンズ系18、コンデンサレンズ19、及び主コンデンサレンズ系20の硝材、及び、投影光学系PLを構成する屈折部材の硝材としては蛍石(フッ化カルシウム:CaF2)を用いる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、これらは、露光光ILの波長に応じて蛍石(フッ化カルシウム:CaF2)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化ストロンチウム(SrF2)、LiCAF(コルキライト:LiCaAlF6)、LiSAF(LiSrAlF6)、LiMgAlF6、LiBeAlF6、KMgF3、KCaF3、KSrF3等のフッ化物結晶又はこれらの混晶、又フッ素や水素等の物質をドープした石英硝子等の真空紫外光を透過する光学材料から選択される。尚、所定の物質をドープした石英硝子は、露光光の波長が150nm程度より短くなると透過率が低下するため、波長が150nm程度以下の真空紫外光を露光光ILとして用いる場合には、光学素子の光学材料としては、蛍石(フッ化カルシウム)、フッ化マグネシウム、フッ化リチウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム、LiCAF(コルキライト)、LiSAF(LiSrAlF6)、LiMgAlF6、LiBeAlF6、KMgF3、KCaF3、KSrF3等のフッ化物結晶又はこれらの混晶が使用される。
【0079】
また、本発明は半導体素子の製造に用いられる露光装置だけではなく、液晶表示素子(LCD)等を含むディスプレイの製造に用いられてデバイスパターンをガラスプレート上へ転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられてデバイスパターンをセラミックウェハ上へ転写する露光装置、及びCCD等の撮像素子の製造に用いられる露光装置等にも適用することができる。更には、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウェハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウェハなどが用いられる。
【0080】
次に、本発明の一実施形態による露光装置及び露光方法をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法の実施形態について説明する。図10は、マイクロデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートを示す図である。図10に示すように、まず、ステップS30(設計ステップ)において、マイクロデバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS31(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスク(レチクル)を製作する。一方、ステップS32(ウェハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウェハを製造する。
【0081】
次に、ステップS33(ウェハ処理ステップ)において、ステップS30〜ステップS32で用意したマスクとウェハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウェハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS34(デバイス組立ステップ)において、ステップS33で処理されたウェハを用いてデバイス組立を行う。このステップS34には、ダイシング工程、ボンティング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。最後に、ステップS35(検査ステップ)において、ステップS34で作製されたマイクロデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にマイクロデバイスが完成し、これが出荷される。
【0082】
図11は、半導体デバイスの場合における、図10のステップS33の詳細なフローの一例を示す図である。図11において、ステップS41(酸化ステップ)においてはウェハの表面を酸化させる。ステップS42(CVDステップ)においてはウェハ表面に絶縁膜を形成する。ステップS43(電極形成ステップ)においてはウェハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップS44(イオン打込みステップ)においてはウェハにイオンを打ち込む。以上のステップS41〜ステップS44のそれぞれは、ウェハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0083】
ウェハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップS45(レジスト形成ステップ)において、ウェハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップS46(露光ステップ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置)及び露光方法によってマスクの回路パターンをウェハに転写する。次に、ステップS47(現像ステップ)においては露光されたウェハを現像し、ステップS48(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップS49(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウェハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0084】
以上説明した本実施形態のマイクロデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップS46)において、ウェハW上におけるショット領域の同期移動方向SDの大きさに応じてレチクルステージ31及びウェハステージ37の移動速度が設定されて露光処理が行われており、露光処理に要する時間を短縮することができるため、結果的に最小線幅が0.1μm程度の高集積度のデバイスを歩留まり良く且つ高スループットで生産することができる。
【0085】
また、半導体素子等のマイクロデバイスだけではなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置等で使用されるレチクル又はマスクを製造するために、マザーレチクルからガラス基板やシリコンウェハ等ヘ回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(深紫外)やVUV(真空紫外)光等を用いる露光装置では、一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶等が用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置や電子線露光装置等では、透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウェハ等が用いられる。なお、このような露光装置は、WO99/34255号、WO99/50712号、WO99/66370号、特開平11−194479号、特開2000−12453号、特開2000−29202号等に開示されている。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、同期移動方向におけるショット領域の大きさに応じてマスク及び基板の移動速度の設定を行って露光するようにしているため、各ショット領域が同期移動方向の大きさに応じた最適な速度で露光され、その結果として露光処理に要する時間を短縮することができるという効果がある。
また、各ショット領域がショット領域の同期移動方向におけるショット領域の大きさに応じた移動速度で露光され、露光処理に要する時間が短縮されるため、高スループットでデバイスを効率よく製造することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による露光装置EXの全体構成の概略を示す図である。
【図2】開口絞り板10の一例を示す正面図である。
【図3】ウェハW上の露光領域EAに照射される露光光ILの同期移動方向SDにおける分布を示す図である。
【図4】レチクルステージ31又はウェハステージ37を駆動する際の速度の経時変化の概略を示す図である。
【図5】露光移動距離Lを説明するための図である。
【図6】移動完了時間Tと最大速度Vとの関係を示すグラフである。
【図7】ウェハW上に設定されたショット領域の一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による露光装置EXの露光時における動作の概略を示すフローチャートである。
【図9】最大速度Vを可変させて露光処理を行ったときのスループットの変化を示すシミュレーション結果である。
【図10】マイクロデバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図11】半導体デバイスの場合における、図10のステップS33の詳細なフローの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 露光光源(光源)
3 可変減光器(減光部材)
23 露光制御ユニット(制御装置)
24 主制御系(制御装置)
31 レチクルステージ(マスクステージ)
35 駆動制御ユニット(制御装置)
37 ウェハステージ(基板ステージ)
41 駆動制御ユニット(制御装置)
EX 露光装置
IS 照明光学系
R レチクル
SA ショット領域
SA1 ショット領域
SA2 ショット領域
SD 同期移動方向
W ウェハ
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光方法及び露光装置並びに当該方法又は装置を用いてデバイスを製造するデバイス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ、半導体デバイス、撮像装置(CCD等)、薄膜磁気ヘッド等のマイクロデバイスの製造工程におけるフォトリソグラフィ工程では、投影光学系を介して、マスク又はレチクル(以下、これらを総称する場合にはマスクという)に形成された回路パターンを、表面にフォトレジストが塗布されたウェハ、ガラスプレート等の感光基板に投影する露光装置が用いられている。この露光装置の一つとして、レチクルに形成されたパターンをウェハ上の各ショット領域に一括して縮小投影するようにしたステップ・アンド・リピート方式の露光装置(ステッパー)が知られている。ステッパーでは1つのショット領域に対して一括露光を行い、露光が終了するとウェハをステップ移動して次のショット領域に対する一括露光を行う動作が繰り返し行われる。
【0003】
また、レチクルに形成されたパターンの露光範囲を拡大するために、照明光学系からのパルス状の露光光(以下、パルス露光光という)をスリット状に制限し、このスリット光を用いてレチクルに形成されたパターンの一部をウェハ上に縮小投影した状態で、レチクルとウェハとを投影光学系に対して同期移動させてパターンをウェハ上に逐次転写するようにしたステップ・アンド・スキャン方式の走査型の露光装置も用いられている。
【0004】
上記のステップ・アンド・スキャン方式の走査型の露光装置は、レチクルとウェハとを高い精度をもって同期移動する必要がある。このため、レチクルを保持するレチクルステージ及びウェハを保持するウェハステージの加速を開始してから各々のステージがそれぞれの目標速度に達した後で、レチクルに対してスリット状のパルス露光光を照射して露光動作を開始する。ウェハ上に設定された1つのショット領域に対する各ステージの制御期間は、加速動作を行う加速時間、加速を終えて振動が抑制されるまでの整定時間、一定速度でレチクル及びウェハを移動させる移動時間(この時間内でレチクルのパターンがウェハ上に転写される)、レチクル及びウェハを空走させる空走時間、及びレチクル及びウェハを減速させる減速期間に大別される。
【0005】
従来の露光装置は、上記の加速時間と減速時間とをほぼ等しく設定するとともに、整定時間と空走時間とをほぼ等しく設定して各ステージの動作を制御している。また、通常、ウェハ上には複数のショット領域が設定されるが、ショット領域の大きさは製造するデバイスの種類及び露光工程の種類毎に様々である。従来の露光装置は、同期移動方向のショット領域の大きさの変化に応じて移動時間を設定しているが、移動時間内におけるレチクルステージ及びウェハステージの移動速度は一定に設定されていた。尚、従来のステップ・アンド・スキャン方式の露光装置の詳細については、例えば以下の特許文献1,2を参照されたい。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−230183号公報
【特許文献2】
特開平10−270343号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年においてはマイクロデバイスの製造効率を高めるために、スループット、即ち単位時間に露光処理を行うことができるウェハの枚数を向上させることが要求されている。この要求を達成するためには、レチクルステージ及びウェハステージの移動速度を向上させれば良いと考えられる。レチクルステージ及びウェハステージの速度は、上述した移動時間内において最大となる。この時間を短縮する観点から、従来の露光装置はレチクルステージ及びウェハステージの速度を極力最大にする方法で制御していた。
【0008】
しかしながら、レチクルステージ及びウェハステージの速度が極力最大となるように設定されていても、同期移動方向におけるショット領域の大きさによっては必ずしも最短時間で露光処理が終了するとは限らず無駄な時間が生じており、スループットの低下を招く要因の一つになっていたという問題があった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、マスク及び基板を同期移動しつつ露光を行う露光装置において、同期移動方向におけるショット領域の大きさに応じて最適な移動速度の設定を行うことで、露光処理に要する時間を短縮することができる露光方法及び露光装置、並びに当該方法及び装置を用いることで高いスループットでデバイスを製造することができるデバイス製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点による露光方法は、パターンが形成されたマスク(R)と基板(W)とを同期移動しつつ、前記マスクに形成されたパターンを前記基板上の複数のショット領域(SA、SA1、SA2)に順次転写する露光方法であって、前記ショット領域の前記同期移動方向(SD)の大きさに応じて、前記マスク及び前記基板の移動速度の設定を行って露光することを特徴としている。
この発明によれば、同期移動方向におけるショット領域の大きさに応じてマスク及び基板の移動速度の設定を行って露光するようにしているため、各ショット領域が同期移動方向の大きさに応じた最適な速度で露光され、その結果として露光処理に要する時間を短縮することができる。
ここで、本発明の第1の観点による露光方法は、設定した前記移動速度に応じて、前記基板に照射される露光光の強度の設定を行うことが好ましい。
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点による露光方法は、パターンが形成されたマスク(R)と基板(W)とを同期移動しつつ、前記マスクに形成されたパターンを前記基板上に転写する露光方法であって、前記パターンを前記基板上へ転写するときの前記基板の移動速度Vは以下の式で表されることを特徴としている。
【数4】
但し、前記Lはショット領域(SA、SA1、SA2)の前記同期移動方向における大きさであり、前記Accは前記基板の加減速時における平均加速度である。
この発明によれば、上記式で表される通り、同期移動方向におけるショット領域の大きさLに応じて基板の移動速度Vの設定を行って露光するようにしているため、各ショット領域が同期移動方向の大きさに応じた最適な速度で露光され、その結果として露光処理に要する時間を短縮することができる。
ここで、本発明の第2の観点による露光方法は、前記マスクに照射する露光光はパルス状の露光光であり、前記パターンを前記ショット領域へ転写するときの露光量は以下の式で表されるように調整されることが好ましい。
【数5】
但し、前記Nは前記マスクに対する前記露光光の照射回数であり、Gは前記露光光の減光係数であり、Kは定数である。
上記課題を解決するために、本発明の露光装置はパターンが形成されたマスク(R)と基板(W)とを同期移動しつつ、前記マスクに形成されたパターンを前記基板上の複数のショット領域(SA、SA1、SA2)に順次転写する露光装置(EX)であって、前記マスクを保持して移動するマスクステージ(31)と、前記基板を保持して移動する基板ステージ(37)と、前記ショット領域の前記同期移動方向の大きさに応じて、前記マスク及び前記基板の移動速度の設定を行って前記マスクステージ及び前記基板ステージを駆動する制御装置(23、24、35、41)とを備えることを特徴としている。
この発明によれば、ショット領域の同期移動方向におけるショット領域の大きさに応じた移動速度でマスクステージ及び基板ステージを駆動して露光処理を行っているため、各ショット領域が同期移動方向の大きさに応じた最適な速度で露光され、その結果として露光処理に要する時間を短縮することができる。
本発明のデバイス製造方法は、リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法であって、前記リソグラフィ工程において上記の露光方法、又は、上記の露光装置を用いて露光を行う露光工程(S46)を含むことを特徴としている。
この発明によれば、各ショット領域がショット領域の同期移動方向におけるショット領域の大きさに応じた移動速度で露光され、露光処理に要する時間が短縮されるため、高スループットでデバイスを効率よく製造することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による露光方法及び露光装置並びにデバイス製造方法について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による露光装置EXの全体構成の概略を示す図である。図1に示す露光装置EXは、図1中の投影光学系PLに対してマスクとしてのレチクルRと基板としてのウェハWとを相対的に移動させつつ、レチクルRに形成されたパターンをウェハWに逐次転写して半導体素子を製造するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置である。
【0012】
尚、以下の説明においては、図1中に示したXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がウェハWに対して平行となるよう設定され、Z軸がウェハWに対して直交する方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。また、本実施形態ではレチクルR及びウェハWを同期移動させる方向(同期移動方向SD)をY方向に設定している。
【0013】
図1において、1は断面が略長方形状の平行光束である露光光ILを射出する露光光源であり、例えばArFエキシマレーザ光源(波長193nm)である。露光光源1からの波長193nmの紫外パルスよりなる露光光ILは、ビームマッチングユニット(BMU)2を通り、光アッテネータとしての可変減光器3に入射する。露光光源1の発光の開始及び停止、並びに出力(発振周波数、パルスエネルギー、パルス数)は、ウェハW上のフォトレジストに対する露光光の強度(照度)を制御するための露光制御ユニット23が制御する。また、露光制御ユニット23は、可変減光器3における減光率を段階的、又は連続的に調整する。
【0014】
可変減光器3を通った露光光ILは、レンズ系4a,4bよりなるビーム成形系5を経て第1段のオプティカル・インテグレータ(ユニフォマイザ、又はホモジナイザ)としての第1フライアイレンズ6に入射する。この第1フライアイレンズ6から射出された露光光ILは、第1レンズ系7a、光路折り曲げ用のミラー8、及び第2レンズ系7bを介して第2段のオプティカル・インテグレータとしての第2フライアイレンズ9に入射する。
【0015】
第2フライアイレンズ9の射出面、即ちレチクルRのパターン面に対する光学的なフーリエ変換面(照明系の瞳面、投影光学系PLの瞳面と光学的に共役な面)には開口絞り板10が、駆動モータ10eによって回転自在に配置されている。図2は、開口絞り板10の一例を示す正面図である。図2に示すように、開口絞り板10は回転軸Oの周りで回転自在に構成された円板からなり、通常照明用の円形の開口絞り10a、輪帯照明用の開口絞り10b、複数(例えば4極)の偏心した小開口よりなる変形照明用の開口絞り10c、及び小さいコヒーレンスファクタ(σ値)用の小円形の開口絞り10dが周方向に沿って形成されている。尚、図2中に示した破線の大きな円は通常照明用の円形の開口絞り10aの大きさを表しており、開口絞り10b〜10dとの大きさの比較のため図示している。
【0016】
開口絞り板10の回転軸Oは駆動モータ10eの回転軸に接続されており、駆動モータ10eを駆動して開口絞り板10を回転軸Oの周りで回転させることにより、第2フライアイレンズ9の射出面に配置する開口絞りを切り替えることができる。第2フライアイレンズ9の射出面に配置される開口絞りに応じて、その射出面における露光光ILの強度分布が変更される。駆動モータ10eの駆動は露光装置EXの全体の動作を統括制御する主制御系24が制御する。
【0017】
尚、変形照明(輪帯照明、4極照明等)を行うときに、露光光ILの利用効率を高めて高い照度(パルスエネルギー)を得るには、露光光ILが第2フライアイレンズ9に入射する段階で、露光光ILの断面形状をほぼ輪帯形状に整形しておくことが望ましい。このためには、第1フライアイレンズ6を例えば多数の位相型の回折格子の集合体よりなる回折光学格子(Diffractive Optical Element:DOE)で置き換えればよい。また、照明条件切り換え系は上記の構成に限られるものではなく、開口絞り板10に組み合わせて又は単独で円錐プリズム(アキシコン)及び/又はズーム光学系と、回折光学素子とを用いるようにしても良い。尚、第2段のオプティカル・インテグレータとして内面反射型インテグレータ(ロッドインテグレータ等)を用いる場合には、例えばDOE、円錐プリズム、又は多面体プリズム等を用いて、照明系の光軸IAXに関して露光光ILを傾けて内面反射型インテグレータに入射させるとともに、照明条件に応じてその入射面での露光光ILの入射角度範囲を変更することが望ましい。
【0018】
図1において、第2フライアイレンズ9から射出されて開口絞り板10に形成された開口絞り10a〜10dの何れかを通過した露光光ILは、透過率が高く反射率が低いビームスプリッタ11に入射する。ビームスプリッタ11で反射された露光光は、集光用のレンズ21を介して光電検出器よりなるインテグレータセンサ22に入射する。インテグレータセンサ22の検出信号は露光制御ユニット23に供始されている。インテグレータセンサ22の検出信号とウェハW上での露光光ILの照度との関係は予め高精度に計測されて、露光制御ユニット23内のメモリに記憶されている。露光制御ユニット23は、インテグレータセンサ22の検出信号より間接的にウェハWに対する露光光ILの照度(平均値)、及びその積分値をモニタできるように構成されている。
【0019】
ビームスプリッタ11を透過した露光光ILは、光軸IAXに沿ってレンズ系12,13を順次経て、固定ブラインド(固定照明視野絞り)14及び可動ブラインド(可動照明視野絞り)15に入射する。固定ブラインド14は、後述する投影光学系PLの円形視野内の中央で同期移動方向SDと直交した方向に直線スリット状、又は矩形状(以下、まとめて「スリット状」という)に伸びるように配置された開口部を有する。
【0020】
可動ブラインド15は、光軸IAXに直交する面内において移動可能に構成されており、ウェハW上の各ショット領域への走査露光の開始時及び終了時に不要な露光を防止するために、又は照明視野領域の同期移動方向SDの幅を可変とするために使用される。また、稼動ブラインド15は、同期移動方向SDと直交した方向に関してレチクルRのバターン領域のサイズを可変するために使用される。可動ブラインド15の開口率の情報は露光制御ユニット23にも供給され、インテグレータセンサ22の検出信号から求められる値にその開口率を乗じた値が、ウェハW上の実際の照度となる。
【0021】
固定ブラインド14及び可動ブラインド15は、レチクルRのパターンが形成されている面(以下、レチクル面という)に対する共役面から光軸IAX方向に所定量だけデフォーカスした面に配置されている。このように、固定ブラインド14及び可動ブラインド15をデフォーカスさせて配置するのは、ウェハW上の任意の点での露光量(DOSE量)のばらつきを防止するため、ウェハW上に照射される露光光ILの同期移動方向SDにおける照度分布を台形形状とするためである。
【0022】
露光時に可動ブラインド15を通過した露光光ILは、光路折り曲げ用のミラー17、結像用のレンズ系18、コンデンサレンズ19、及び主コンデンサレンズ系20を順次介して、マスクとしてのレチクルRのパターン面(下面)の照明領域(照明視野領域)IAを照明する。
【0023】
尚、以上説明した露光光源1、ビームマッチングユニット2、可変減光器3、レンズ系4a,4bよりなるビーム成形系5、第1フライアイレンズ6、第1レンズ系7a、光路折り曲げ用のミラー8、第2レンズ系7b、第2フライアイレンズ9、開口絞り板10、ビームスプリッタ11、レンズ系12,13、固定ブラインド14、可動ブラインド15、光路折り曲げ用のミラー17、結像用のレンズ系18、コンデンサレンズ19、及び主コンデンサレンズ系20は、照明光学系ISを構成している。
【0024】
露光光ILのもとで、レチクルRの照明領域IA内の回路パターンの像が両側テレセントリックな投影光学系PLを介して所定の投影倍率β(βは例えば1/4又は1/5等)で、投影光学系PLの結像面に配置された基板としてのウェハW上のスリット状の露光領域EAに転写される。尚、投影光学系PLは片側テレセントリックであっても良い。ここで、ウェハW上に照射される露光光ILの分布について説明する。
【0025】
図3は、ウェハW上の露光領域EAに照射される露光光ILの同期移動方向SDにおける分布を示す図である。図3に示す通り、露光光ILは、同期移動方向SD(Y方向)に台形形状の分布であり、傾斜的な強度分布を有するスロープ部SLと一定の強度分布を有する平坦部FLとを有する。図3に示す分布において、SW1は固定ブラインド14の開口の大きさによって規定される同期移動方向SDにおける露光光ILの幅(以下、スリット幅という)を示している。つまり、固定ブラインド14がレチクル面に対する共役面に配置されていたならば、スリット幅SW1を有する矩形状の露光光ILがウェハW上に照射される。
【0026】
また、図3において、SW2はスロープ幅を示している。本実施形態の露光装置においては、スロープ幅SW2はレチクル面と光学的に共役な共役面に対する固定ブラインド14の光軸IAX方向のデフォーカス量によって規定される。尚、本実施形態においては、ウェハW上に照射される露光光ILはX方向の分布が均一であり、照明条件の変更によって変化しないものとする。
【0027】
図1に戻り、本実施形態の投影光学系PLは、ジオプトリック系(屈折系)であるが、カタジオプトリック系(反射屈折系)や反射系も使用できることはいうまでもない。また、本実施形態では露光光ILが真空紫外光であるため、通常の空気中の酸素、二酸化炭素、水蒸気等によって大きく吸収されてしまう。これを避けるために、図1に示した露光光源1からウェハWまでの露光光ILの光路には、真空紫外光に対しても高透過率の高純度のパージガス(ヘリウム、ネオン等の希ガス、又は窒素ガス等の所謂不活性ガス)が供給されている。更に、投影光学系PLを構成する屈折部材の硝材としては、例えば合成石英又は蛍石(フッ化カルシウム:CaF2)が用いられる。
【0028】
図1において、レチクルRは、マスクステージとしてのレチクルステージ31上に吸着保持され、レチクルステージ31は、レチクルベース32上でY方向に等速移動できると共に、X方向、Y方向、回転方向に傾斜できるように載置されている。レチクルステージ31の一端には移動鏡33が取り付けられており、移動鏡33の鏡面に対面してレーザ干渉計34が設けられている。このレーザ干渉計34によってレチクルステージ31(レチクルR)の2次元的な位置及び回転角がリアルタイムに計測されている。このレーザ干渉計34の計測結果及び主制御系24からの制御情報に基づいて、駆動制御ユニット35がレチクルステージ31の走査速度、及び位置の制御を行う。
【0029】
一方、ウェハWは、ウェハホルダ36を介して基板ステージとしてのウェハステージ37上に吸着保持され、ウェハステージ37は、ウェハベース38上で投影光学系PLの像面と平行なXY平面に沿って2次元移動する。即ち、ウェハステージ37は、ウェハベース38上でY方向に一定速度で移動すると共に、X方向、Y方向にステップ移動する。更に、ウェハステージ37には、ウェハWのZ方向の位置(フォーカス位置)、並びにX軸及びY軸の回りの傾斜角を制御するZレベリング機構も組み込まれている。
【0030】
また、図示は省略しているが、投影光学系PLの側面に、ウェハWの表面(ウェハ面)の複数の計測点に斜めにスリット像を投影する投射光学系と、そのウェハ面からの反射光を受光してそれらの複数の計測点のフォーカス位置に対応するフォ−カス信号を生成する受光光学系とからなる多点のオートフォーカスセンサも設けられており、それらのフォ−カス信号が主制御系24中の合焦制御部に供給されている。走査露光時には、主制御系24中の合焦制御部は、それらのフォーカス信号(フォーカス位置)の情報に基づいてオートフォーカス方式でウェハステージ37中のZレベリング機構を連続的に駆動する。これによって、ウェハWの表面が投影光学系PLの像面に合焦される。
【0031】
ウェハステージ37の一端には移動鏡39が取り付けられており、移動鏡39の鏡面に対面してレーザ干渉計40が設けられている。このレーザ干渉計40によってウェハステージ37のX方向、Y方向の位置、及びX軸、Y軸、Z軸の回りの回転角がリアルタイムに計測されている。レーザ干渉計40の計測結果及び主制御系24からの制御情報に基づいて、駆動制御ユニット41がウェハステージ37の走査速度、及び位置の制御を行う。尚、上述した露光制御ユニット23、主制御系24、駆動制御ユニット35、及び駆動制御ユニット41は、本発明にいう制御装置に相当するものである。
【0032】
また、本実施形態の露光装置は、ウェハステージ37上に、投影光学系PLを介してウェハW上に照射される露光光ILの照度ムラを測定するための照度センサ42が固定されている。この照度センサ42の検出信号は露光制御ユニット23に供給されている。尚、この照度ムラの測定は、例えば定期的に実行される。その際に、図1の開口絞り板10を駆動して照明条件を通常照明、輪帯照明、変形照明、小σ値照明等に切り換えて各照明条件毎にその照度ムラの計測が実行される。そして、露光装置の稼働時間の経過に伴う照度ムラの状態が照明方式毎にテーブルとして主制御系24内の記憶部に記憶される。
【0033】
主制御系24は、レチクルステージ31及びウェハステージ37のそれぞれの移動位置、移動速度、移動加速度、位置オフセット等の各種情報を駆動制御ユニット35,41に送る。これに応じて、レチクルステージ31を介して露光光ILの照明領域IAに対してレチクルRが+Y方向(又は−Y方向)に速度Vrで走査されるのに同期して、ウェハステージ37を介してレチクルRのパターン像の露光領域EAに対してウェハWが−Y方向(又は+Y方向)に速度β・Vr(βはレチクルRからウェハWへの投影倍率)で走査される。この際の走査露光の開始時及び終了時に不要な部分への露光を防止するために、主制御系24によって可動ブラインド15の開閉動作が制御される。レチクルRとウェハWとの移動方向が逆であるのは、本実施形態の投影光学系PLが反転投影を行うためである。
【0034】
主制御系24は、ウェハW上の各ショット領域のフォトレジストを適正露光量で走査露光するための各種露光条件を露光データファイルより読み出して、露光制御ユニット23とも連携して最適な露光シーケンスを実行する。即ち、ウェハW上の1つのショット領域への走査露光開始の指令が主制御系24から露光制御ユニット23に発せられると、露光制御ユニット23は露光光源1の発光を開始すると共に、インテグレータセンサ22を介してウェハWに対する露光光ILの照度(単位時間当たりのパルスエネルギーの和)の積分値を算出する。その積分値は走査露光開始時に0にリセットされている。そして、露光制御ユニット23では、その照度の積分値を逐次算出し、この結果に応じて、走査露光後のウェハW上のフォトレジストの各点で適正露光量が得られるように、露光光源1の出力(発振周波数、パルスエネルギー、パルス数)及び可変減光器3の減光率を制御する。そして、当該ショット領域への走査露光の終了時に、露光光源1の発光が停止される。
【0035】
また、主制御系24は、露光データファイルから露光処理を行うウェハW上に設定されたショット領域に関する情報を読み出し、各ショット領域の同期移動方向SDにおける大きさに応じてレチクルステージ31及びウェハステージ37の移動速度及び露光量(単位時間にウェハW上に照射される露光光ILのパルス数及び露光光ILの強度)の設定を行う。主制御系24が設定した移動速度を示す情報は駆動制御ユニット35,41に出力され、露光量を示す情報は露光制御ユニット23に出力される。尚、これらの情報は、主制御系24から駆動制御ユニット35,41及び露光制御ユニット23へウェハWの各ショット領域を露光する度に出力される。ここで、レチクルステージ31又はウェハステージ37を駆動する際の速度の経時変化について説明する。
【0036】
図4は、レチクルステージ31又はウェハステージ37を駆動する際の速度の経時変化の概略を示す図である。図4の横軸は時間であり、縦軸は速度である。尚、レチクルステージ31及びウェハステージ37を加速、減速する際の実際の速度の経時変化は例えば5次関数等の高次関数で表されるが、図4においては簡単のために加速期間及び減速期間における加速度を平均加速度で置き換えて、速度の経時変化を一定加速度による直線で表している。また、図4においては、同期移動方向SDの一方の方向(例えば、+Y方向)への移動が終了した後で、他方の方向(例えば、−Y方向)へ移動させる場合の速度の経時変化を示している。
【0037】
前述した通り、レチクルRのパターンを転写する際にはレチクルステージ31とウェハステージ37とは互いに逆方向に移動する。このため、図4に示した速度の経時変化をレチクルステージ31の速度の経時変化と見立てた場合には、ウェハステージ37の速度の経時変化は、図4に示す速度の経時変化を縦軸に関して投影光学系PLの投影倍率分だけ縮小し、縦軸の符号を入れ替えることでウェハステージ37の速度の経時変化と見立てることができる。逆に、図4に示した速度の経時変化をウェハステージ37の速度の経時変化と見立てた場合には、レチクルステージ31の速度の経時変化は、図4に示す速度の経時変化を縦軸に関して投影光学系PLの投影倍率の逆数分だけ拡大し、縦軸の符号を入れ替えることでレチクルステージ31の速度の経時変化と見立てることができる。
【0038】
図4中における時間t1は加速時間、時間t2は整定時間、時間t3は移動時間、時間t4は空走時間、時間t5は減速時間である。本実施形態では、加速時間t1と減速時間t5が同一であり、整定時間t2と空走時間t4が同一であるとしている。図4を参照すると、レチクルステージ31及びウェハステージ37の速度は、レチクルRのパターンをウェハW上に転写する移動時間t3において最大になることが分かる。
【0039】
次に、ウェハステージ37を移動させたときに、加速開始から停止までに要する時間(以下、移動完了時間という)Tについて考察する。尚、以下の説明では、ウェハステージ37を駆動する場合を例に挙げて説明するが、レチクルステージ31についても同様の方法で移動完了時間を考察することができる。
【0040】
いま、ウェハステージ37の最大速度をV、加減速時間をTacc、整定時間をTs、平均加速度をAcc、露光移動距離(図4に示す移動時間t3内においてウェハステージ37が移動する距離)をLとすると、加速時間t1は以下の(1)式で表される。
【数6】
【0041】
ここで、露光移動距離Lについて説明する。図5は、露光移動距離Lを説明するための図である。図5において、SAは露光すべき領域である矩形形状のショット領域を示しており、このショット領域SAの同期移動方向SDの長さはLSであるとする。また、図5中において、EAはウェハW上において露光光ILが照射されるスリット状の露光領域を示している(図1参照)。ウェハWが図中左方向に移動しているものとし、相対的に露光領域EAが図中左側から右側へショット領域SAに接近しているとすると、露光移動距離Lは、同期移動方向SDに交差する露光領域EAの一辺A1が同期移動方向SDに直交するショット領域の一辺B1に達してから露光領域SAの他辺B2に至るまでの距離である。よって、図5に示した例においては、露光移動距離LはLS+w1になる。ショット領域SAは、例えばウェハWに形成するデバイスの種類毎に変化し、これにより露光移動距離Lも変化する。
【0042】
上述したように、図4中の加速時間t1と減速時間t5が同一であり、整定時間t2と空走時間t4が同一であるため、移動完了時間Tは以下の式で表すことができる。
移動完了時間T=(加速時間t1+整定時間t2)×2+移動時間t3
この式を、最大速度V、平均加速度Acc、整定時間Ts、及び露光移動距離Lを用いて表すと、以下の(2)式となる。
【数7】
【0043】
上記(2)式を参照すると、移動完了時間Tはウェハステージ37の最大速度Vの関数となっている。よって、移動完了時間Tを最大速度Vで微分すると以下の(3)式となる
【数8】
上記(2)式が極値を取るための条件はdT/dV=0であるため、上記(3)式において左辺を0とすると、(2)式が極値をとるための最大速度Vは、以下の(4)式で表される。
【数9】
【0044】
図6は、移動完了時間Tと最大速度Vとの関係を示すグラフである。尚、移動完了時間Tと最大速度Vとの関係は上記(2)式で表されている。図6においては横軸に最大速度Vをとり、縦軸に移動完了時間Tをとっている。ここで、最大速度V(レチクルRのパターンをウェハW上に転写する移動時間t3における速度:図4参照)を高く設定した方が移動完了時間Tが短縮されると考えられる。しかしながら、図6を参照すると最大速度Vに単純比例して移動完了時間Tが短縮される訳ではなく、移動完了時間Tを最短にする最大速度Vが存在する。最短の移動完了時間Tminを得ることができる最大速度Vが上記(4)式で示した最大速度である。
【0045】
更に、図6を参照すると、ウェハステージ37の最大速度Vが(5)式で示される最大速度以下であるときには、最大速度Vが上昇するに従って移動完了時間Tは短縮されるが、ウェハステージ37の最大速度Vが(5)式で示される最大速度よりも速くなると、最大速度Vが上昇するに従って移動完了時間Tが長くなることが分かる。このように、ウェハステージ37の最大速度Vを上記(4)式で示した値に設定することで移動完了時間Tを最短の移動完了時間Tminとすることができる。
【0046】
ここで、(4)式を参照すると、最短の移動完了時間Tminを得ることができるウェハステージ37の速度は、平均加速度Accと露光移動距離Lとの関数である。ウェハステージ37を移動させる際には同一の平均加速度Accで加減速させるとすると、(4)式において平均加速度Accを定数とみなすことができる。このため、最短の移動完了時間Tminを得ることができるウェハステージ37の速度は、露光移動距離L、即ちショット領域の同期移動方向SDにおける長さのみの関数となる。このため、ショット領域の同期移動方向SDにおける長さに応じて(4)式からウェハステージ37の最大速度を設定すればウェハステージ37の移動完了時間を、最短の移動完了時間Tminにすることができる。
【0047】
次に、上記(4)式で求められた最大速度Vを(2)式に代入することにより、最短の移動完了時間Tminは以下の(5)式で表される。
【数10】
【0048】
ここで、加減速時間Taccは加速時間t1と減速時間t5とを加算して求められ、加速時間t1は減速時間t5と同一であって(1)式で表されるため、最短の移動完了時間Tminが得られるときの加速時間Taccは以下の(6)式で表すことができる。
【数11】
また、最短移動完了時間Tminが得られるときのレチクルRのパターンをウェハW上に転写する移動時間t3は以下の(7)式で表すことができる。
【数12】
【0049】
上記(6)式と(7)式とを比較すると両式は同じ式であることが分かる。つまり、最短の移動完了時間Tminを得るためにウェハステージ37の最大速度Vを(4)式に示された最大速度に設定すると、加減速間TaccとレチクルRのパターンをウェハW上に転写する移動時間t3とが等しくなる。換言すると、加減速時間TaccとレチクルRのパターンをウェハW上に転写する移動時間t3とを等しく設定すると、ウェハステージ37の移動完了時間Tを最短にの移動完了時間Tminに設定することができる。
【0050】
このように、主制御系24は、露光対象であるショット領域の同期移動方向SDの長さに応じてレチクルステージ31及びウェハステージ37の移動速度(最大速度V)を設定し、レチクルステージ31及びウェハステージ37を駆動することで、これらのステージの移動完了時間を最短の移動完了時間Tminにしている。
【0051】
ウェハW上のショット領域を露光するときには、ショット領域の各点における露光量(DOSE量)を一定にする必要がある。上述した通り、レチクルステージ31及びウェハステージ37の最大速度Vを変化させると最大速度Vに応じて露光時間が変化し、この結果として露光量も変化してしまう。このため、主制御系24は、設定したレチクルステージ31及びウェハステージ37の最大速度Vに応じて単位時間にウェハW上に照射される露光光ILのパルス数又は露光光ILの強度を可変する制御を行う。
【0052】
具体的には、レチクルステージ31及びウェハステージ37の最大速度Vに拘わらずショット領域内の任意の点における露光量を一定にする(目標露光量と等しくなるようにする)必要があるため、以下の(8)式が満足されるように制御する。
【数13】
上記(8)式中における変数NはレチクルR(ひいては、ウェハW)に対する露光光ILの照射回数であり、Gは露光光ILの減光係数であり、Kは定数である。例えば、(8)式中の最大速度Vを高く設定した場合には、露光光ILの照射回数を増大させ、又は減光係数Gを小さく設定する。
【0053】
露光光ILの照射回数Nを可変して露光量を制御する場合には、主制御系24は設定した最大速度Vから(8)式を用いて露光光ILの照射回数Nを求め、求めた照射回数Nを露光制御ユニット23に出力する。一方、減光係数Gを可変して露光量を制御する場合には、主制御系24は設定した最大速度Vから(8)式を用いて露光光ILの減光係数Gを求め、求めた減光係数Gを露光制御ユニット23に出力する。主制御系24からの照射回数N又は減光係数Gを受けた露光制御ユニット23は、露光光源1又は可変減光器3を制御することで、露光光源1から射出される露光光ILのパルス数又は露光光ILの減光率をそれぞれ制御する。
【0054】
尚、図5においては、ショット領域SAの形状が矩形形状である場合を例示し、このショット領域SAの同期走査方向SDにおける長さLがデバイスの種類毎に変化する旨を説明した。しかしながら、近年においてはウェハWを有効に活用するために、より多くのショット領域をウェハW上に設定する場合がある。このため、ウェハW上には、ウェハW上に矩形形状のショット領域全体が載っているショット領域(フルショット領域)と、ウェハWのエッジによって一部が欠けたショット領域(欠けショット領域)とが存在する。
【0055】
図7は、ウェハW上に設定されたショット領域の一例を示す図である。図7(a)において、例えば符号SA1を付したショット領域がフルショット領域であり、符号SA2を付したショット領域が欠けショット領域である。図7(b)に示す如く、欠けショット領域SA2は本来は矩形形状に設定されるべきものであったが、図中の破線で示す部分が欠けてしまっている。
【0056】
フルショット領域SA1の同期移動方向SDの長さをLSとすると、フルショット領域SA1を露光する場合には、フルショット領域SA1の同期移動方向SDの長さLSと露光領域EAの同期移動方向SDの長さw1とに基づいて露光移動距離Lを設定し、上述した(4)式からレチクルステージ31及びウェハステージ37の最大速度Vを設定するとともに、(8)式から露光量の設定を行って露光を行えばよい。
【0057】
一方、欠けショット領域SA2を露光する場合には、図7(b)に示す通り、欠けショット領域SA2の同期移動方向における長辺の長さLS1をショット領域の長さに設定し、この長さLS1と露光領域EAの同期移動方向SDの長さw1とに基づいて露光移動距離Lを設定して最大速度V及び露光量を設定し、露光を行えばよい。或いは、図7(c)に示す通り、欠けショット領域SA2内において露光したい領域SA20を設定し、この領域SA20の同期移動方向SDにおける長さLS2をショット領域の長さに設定し、この長さLS2と露光領域EAの同期移動方向SDの長さw1とに基づいて露光移動距離Lを設定して最大速度V及び露光量を設定し、露光を行えばよい。
【0058】
以上、本発明の一実施形態による露光装置EXの構成について説明したが、次に露光時の動作について説明する。図8は、本発明の一実施形態による露光装置EXの露光時における動作の概略を示すフローチャートである。尚、図8に示すフローチャートは、ウェハステージ37上に載置された1枚のウェハWに対して露光処理を行うフローチャートを示しており、ウェハWを交換して複数枚のウェハWの露光処理を行う場合には、図8に示すフローチャートの各処理が繰り返される。
【0059】
露光動作が開始されると、まず主制御系24は、露光データファイルから各種露光条件を読み出す(ステップS10)。ここで、露光データファイルから読み出される露光条件は、ウェハW上に設定された各ショット領域の同期移動方向SDにおける長さを含むショット領域の大きさに関する情報、ウェハW上におけるショット領域の配列、ウェハW上に塗布されたフォトレジストを露光するための適正露光量を示す情報、照明条件、使用するレチクルRの種類を示す情報、露光時のレチクルステージ31及びウェハステージ37の加速度等の各種情報を含むものである。
【0060】
各種露光条件の読み出しが完了すると、主制御系24は駆動モータ10eを駆動して開口絞り10a〜10dの何れか1つを第2フライアイレンズ9の射出面に配置し、読み出した露光条件で設定されている照明条件を設定する。次に、主制御系24は、露光条件に含まれるレチクルRの種類を示す情報に基づいて、レチクルライブラリ(図示省略)から使用するレチクルRを搬入してレチクルステージ31上に配置し、配置完了後にレチクルステージ31上のレチクルRとウェハステージ37との相対的な位置合わせを行う。その後で、ウェハWをウェハステージ37上に配置し、ウェハステージ37上におけるウェハWの位置情報を計測する。
【0061】
以上の処理が終了すると、主制御系24は読み出した露光条件からショット領域の大きさに関する情報から各ショット領域の同期移動方向SDにおける長さLS(図5、図7参照)を抽出し、これらの長さと露光領域EAの同期移動方向の幅w1(図5参照)とから露光移動距離Lを算出し、各ショット領域を露光する際のレチクルステージ31及びウェハステージ37の最大速度Vを算出する。ここで、最大速度Vの算出は前述した(4)式を用いて行う。また、図7を参照して説明した通り、欠けショット領域がある場合には、欠けショット領域SA2の同期移動方向における長辺の長さ、又は欠けショット領域内において露光したい領域を設定し、この領域の同期移動方向SDにおける長さをショット領域の長さに設定して最大速度Vを算出する(ステップS11)。
【0062】
各ショット領域毎の最大速度Vの算出を終えると、主制御系24は駆動制御ユニット35を制御してレチクルRを移動開始位置に配置するとともに、駆動制御ユニット41を駆動して露光すべきショット領域を露光開始位置に配置する(ステップS12)。ここで、露光開始位置とは、露光すべきショット領域を露光するために、ウェハステージ37の加速を開始する位置である。
【0063】
以上の処理が終了すると、主制御系24はステップS11で算出した最大速度Vの内、露光開始位置に配置されたショット領域に関する最大速度Vを駆動制御ユニット41に出力し、ウェハステージ37の最大速度V(本発明にいう移動速度)を露光対象のショット領域の同期移動方向SDにおける長さ(大きさ)に応じた最大速度Vに設定する。ウェハステージ37の最大速度の設定に合わせて、主制御系24はレチクルステージ31の最大速度の設定も行う。具体的には、レチクルステージ31の最大速度は、ウェハステージ37に設定された最大速度の4倍(投影光学系PLの投影倍率の逆数)に設定される(ステップS13)。
【0064】
尚、ここで設定される最大速度Vは、前述した通り、そのショット領域の移動完了時間を(5)式に示した最短の移動完了時間Tminにする速度である。かかる最大速度Vが設定されると、(6)式及び(7)式を用いて説明した通り、加減速間TaccとレチクルRのパターンをウェハW上に転写する移動時間t3とが等しくなる。
【0065】
最大速度Vの設定が完了すると、主制御系24は設定した移動速度に応じて露光量を調整する(ステップS14)。具体的には、ウェハステージ37の最大速度Vに拘わらずショット領域内の任意の点における露光量を一定にする(目標露光量と等しくなるようにする)ため、前述した(8)式が満足されるように設定した最大速度Vから露光光ILの照射回数N又は減光係数Gを求め、求めた値を露光制御ユニット23に出力して、露光光源1から射出される露光光ILのパルス数又は可変減衰器3の減光率を調整する。
【0066】
露光量の調整が完了すると、主制御系24は露光開始命令を駆動制御ユニット35,41に出力してレチクルステージ31及びウェハステージ37の加速を開始さる。加速を開始するとレチクルステージ31及びウェハステージ37の速度が上昇する。各々のステージが加速を終えて整定時間t2(図4参照)が経過すると、速度が設定された最大速度となり、この時点においてレチクルRに露光光ILを照射し、投影光学系PLを介してレチクルRのパターンを逐次ウェハW上の1つのショット領域に転写する。
【0067】
ショット領域へのレチクルRのパターン転写が完了すると、空走時間t4(図4参照)経過後にレチクルステージ31及びウェハステージ37を減速して1つのショット領域に対する露光処理が終了する。次に、主制御系24はウェハステージ37上に載置されたウェハW上に露光すべきショット領域が有るか否かを判断し、有ると判断した場合(判断結果が「YES」の場合)には、ステップS12の処理に下って他のショット領域の露光処理を行う。一方、ウェハWに設定された全てのショット領域の露光処理が完了し、露光すべきショット領域が無いと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)は一連の処理が完了する。連続して他のウェハWに対する露光処理を行う場合には、ウェハステージ37上に載置さている露光処理を終えたウェハWを搬出するとともに、新たなウェハWを搬入して図8に示す処理を行う。
【0068】
図9は、最大速度Vを可変させて露光処理を行ったときのスループットの変化を示すシミュレーション結果である。尚、このシミュレーションにおいては、ウェハW上のショット数を76に設定し、露光領域EAの同期移動方向SDにおける幅を8[mm]に設定し、ウェハステージ37の平均加速度を0.8Gに設定し、整定時間を0.03[sec]に設定している。図9(a)は、同期移動方向SDにおけるショット領域の長さが12mmである場合のシミュレーション結果であり、図9(b)は、同期移動方向SDにおけるショット領域の長さが33mmである場合のシミュレーション結果である。
【0069】
図9(a)に示す通り、同期移動方向SDのショット領域の長さが12[mm]と比較的短い場合には、最大速度Vを高く設定するにつれて、ウェハ1枚当たりの露光処理時間が長くなる傾向を示していることが分かる。ウェハステージ37の最大速度Vを288.62[mm/sec]に設定した場合のスループット(1時間当たりの処理枚数)は141枚であり、最大速度Vを500[mm/sec]に設定した場合のスループット133枚と比較するとウェハWを8枚分多く露光処理できることが分かる。
【0070】
また、図9(b)に示す通り、同期移動方向SDのショット領域の長さが33[mm]と比較的長い場合には、最大速度Vを413.24[mm/sec]に設定した場合に、ウェハ1枚当たりの露光処理時間が最短となることが分かる。また、最大速度Vを413.24[mm/sec]に設定した場合には、最大速度Vを他の値に設定した場合よりもスループットが向上していることが分かる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、露光光源1から射出される露光光ILのパルス数又は可変減光器3による減光率の制御により露光量の制御を行っていたが、露光光源1から射出される露光光ILの出力強度を調整することで露光量の制御を行っても良い。
【0072】
また、上記実施形態においては、露光量を設定する際に、ウェハW上に設定された各ショット領域内における任意の点における露光量が一定の目標露光量に等しくなるよう設定する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、ウェハW上に形成された線幅がウェハW上の位置に応じてばらつくことがある。この原因は、ウェハW上に塗布されたフォトレジストの厚みのばらつき、ウェハW上に照射される露光光ILの照度むら、レチクルステージ31とウェハステージ37との同期誤差、投影光学系PLの像面に対するウェハWの位置誤差(フォーカス誤差)等が挙げられる。
【0073】
ウェハ上における線幅誤差を防止するためには、露光処理を行う前に予めウェハW上に塗布されたフォトレジストの膜厚むらを計測してショット領域毎の最適露光量を求めて露光処理を行ったり、実際に露光処理を行って形成されたパターンの線幅誤差分布を計測し、その分布に応じた最適目標露光量を求めて露光処理を行っている。このため、図8に示すフローチャートのステップS11においてショット領域毎の最大速度Vを算出した後で、算出したショット領域毎の最大速度Vを示す情報と、フォトレジストの膜厚むらを示す情報(厚さ分布情報)又はパターンの線幅誤差分布を示す情報(線幅誤差分布情報)とに基づいてショット毎の最適目標露光量を求めて、ショット領域毎にレチクルステージ31及びウェハステージ37の移動速度及び目標露光量(露光光源1から射出される露光光ILの強度、発信周波数、又は減光率)を調整することが好ましい。
【0074】
また、露光領域EAの同期走査方向SDにおける幅w1(図5参照)の調整によっても目標露光量を調整することができる。かかる調整を行う場合には、幅w1の調整によってレチクルステージ31及びウェハステージ37の最適な最大速度V(ショット領域の同期移動方向SDの大きさに応じた移動速度)も変わってしまう。このため、先に最適目標露光量から露光領域EAの幅w1を決定し、この幅w1に応じてレチクルステージ31及びウェハステージ37の最適な最大速度Vを計算するようにすることが好適である。
【0075】
また、上記実施形態では露光光源1として、ArFエキシマレーザ光源の場合を例に挙げて説明したが、これ以外に露光光源1としては、例えばg線(波長436nm)、i線(波長365nm)を射出する超高圧水銀ランプ、又はKrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)、Kr2レーザ(波長146nm)、YAGレーザの高周波発生装置、若しくは半導体レーザの高周波発生装置を用いることができる。
【0076】
更に、光源としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。例えば、単一波長レーザの発振波長を1.51〜1.59μmの範囲内とすると、発生波長が189〜199nmの範囲内である8倍高調波、又は発生波長が151〜159nmの範囲内である10倍高調波が出力される。
【0077】
特に、発振波長を1.544〜1.553μmの範囲内とすると、発生波長が193〜194nmの範囲内の8倍高調波、即ちArFエキシマレーザ光とほぼ同一波長となる紫外光が得られ、発振波長を1.57〜1.58μmの範囲内とすると、発生波長が157〜158nmの範囲内の10倍高調波、即ちF2レ−ザ光とほぼ同一波長となる紫外光が得られる。また、発振波長を1.03〜1.12μmの範囲内とすると、発生波長が147〜160nmの範囲内である7倍高調波が出力され、特に発振波長を1.099〜1.106μmの範囲内とすると、発生波長が157〜158μmの範囲内の7倍高調波、即ちF2レーザ光とほぼ同一波長となる紫外光が得られる。この場合、単一波長発振レーザとしては例えばイットリビウム・ドープ・ファイバーレーザを用いることができる。
【0078】
また、上記実施形態では上記照明光学系内に設けられるレンズ系4a,4bよりなるビーム成形系5、第1フライアイレンズ6、第1レンズ系7a、第2レンズ系7b、第2フライアイレンズ9、レンズ系12,13、結像用のレンズ系18、コンデンサレンズ19、及び主コンデンサレンズ系20の硝材、及び、投影光学系PLを構成する屈折部材の硝材としては蛍石(フッ化カルシウム:CaF2)を用いる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、これらは、露光光ILの波長に応じて蛍石(フッ化カルシウム:CaF2)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化ストロンチウム(SrF2)、LiCAF(コルキライト:LiCaAlF6)、LiSAF(LiSrAlF6)、LiMgAlF6、LiBeAlF6、KMgF3、KCaF3、KSrF3等のフッ化物結晶又はこれらの混晶、又フッ素や水素等の物質をドープした石英硝子等の真空紫外光を透過する光学材料から選択される。尚、所定の物質をドープした石英硝子は、露光光の波長が150nm程度より短くなると透過率が低下するため、波長が150nm程度以下の真空紫外光を露光光ILとして用いる場合には、光学素子の光学材料としては、蛍石(フッ化カルシウム)、フッ化マグネシウム、フッ化リチウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム、LiCAF(コルキライト)、LiSAF(LiSrAlF6)、LiMgAlF6、LiBeAlF6、KMgF3、KCaF3、KSrF3等のフッ化物結晶又はこれらの混晶が使用される。
【0079】
また、本発明は半導体素子の製造に用いられる露光装置だけではなく、液晶表示素子(LCD)等を含むディスプレイの製造に用いられてデバイスパターンをガラスプレート上へ転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられてデバイスパターンをセラミックウェハ上へ転写する露光装置、及びCCD等の撮像素子の製造に用いられる露光装置等にも適用することができる。更には、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウェハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウェハなどが用いられる。
【0080】
次に、本発明の一実施形態による露光装置及び露光方法をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法の実施形態について説明する。図10は、マイクロデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートを示す図である。図10に示すように、まず、ステップS30(設計ステップ)において、マイクロデバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS31(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスク(レチクル)を製作する。一方、ステップS32(ウェハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウェハを製造する。
【0081】
次に、ステップS33(ウェハ処理ステップ)において、ステップS30〜ステップS32で用意したマスクとウェハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウェハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS34(デバイス組立ステップ)において、ステップS33で処理されたウェハを用いてデバイス組立を行う。このステップS34には、ダイシング工程、ボンティング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。最後に、ステップS35(検査ステップ)において、ステップS34で作製されたマイクロデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にマイクロデバイスが完成し、これが出荷される。
【0082】
図11は、半導体デバイスの場合における、図10のステップS33の詳細なフローの一例を示す図である。図11において、ステップS41(酸化ステップ)においてはウェハの表面を酸化させる。ステップS42(CVDステップ)においてはウェハ表面に絶縁膜を形成する。ステップS43(電極形成ステップ)においてはウェハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップS44(イオン打込みステップ)においてはウェハにイオンを打ち込む。以上のステップS41〜ステップS44のそれぞれは、ウェハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0083】
ウェハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップS45(レジスト形成ステップ)において、ウェハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップS46(露光ステップ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置)及び露光方法によってマスクの回路パターンをウェハに転写する。次に、ステップS47(現像ステップ)においては露光されたウェハを現像し、ステップS48(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップS49(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウェハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0084】
以上説明した本実施形態のマイクロデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップS46)において、ウェハW上におけるショット領域の同期移動方向SDの大きさに応じてレチクルステージ31及びウェハステージ37の移動速度が設定されて露光処理が行われており、露光処理に要する時間を短縮することができるため、結果的に最小線幅が0.1μm程度の高集積度のデバイスを歩留まり良く且つ高スループットで生産することができる。
【0085】
また、半導体素子等のマイクロデバイスだけではなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置等で使用されるレチクル又はマスクを製造するために、マザーレチクルからガラス基板やシリコンウェハ等ヘ回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(深紫外)やVUV(真空紫外)光等を用いる露光装置では、一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶等が用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置や電子線露光装置等では、透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウェハ等が用いられる。なお、このような露光装置は、WO99/34255号、WO99/50712号、WO99/66370号、特開平11−194479号、特開2000−12453号、特開2000−29202号等に開示されている。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、同期移動方向におけるショット領域の大きさに応じてマスク及び基板の移動速度の設定を行って露光するようにしているため、各ショット領域が同期移動方向の大きさに応じた最適な速度で露光され、その結果として露光処理に要する時間を短縮することができるという効果がある。
また、各ショット領域がショット領域の同期移動方向におけるショット領域の大きさに応じた移動速度で露光され、露光処理に要する時間が短縮されるため、高スループットでデバイスを効率よく製造することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による露光装置EXの全体構成の概略を示す図である。
【図2】開口絞り板10の一例を示す正面図である。
【図3】ウェハW上の露光領域EAに照射される露光光ILの同期移動方向SDにおける分布を示す図である。
【図4】レチクルステージ31又はウェハステージ37を駆動する際の速度の経時変化の概略を示す図である。
【図5】露光移動距離Lを説明するための図である。
【図6】移動完了時間Tと最大速度Vとの関係を示すグラフである。
【図7】ウェハW上に設定されたショット領域の一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による露光装置EXの露光時における動作の概略を示すフローチャートである。
【図9】最大速度Vを可変させて露光処理を行ったときのスループットの変化を示すシミュレーション結果である。
【図10】マイクロデバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図11】半導体デバイスの場合における、図10のステップS33の詳細なフローの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 露光光源(光源)
3 可変減光器(減光部材)
23 露光制御ユニット(制御装置)
24 主制御系(制御装置)
31 レチクルステージ(マスクステージ)
35 駆動制御ユニット(制御装置)
37 ウェハステージ(基板ステージ)
41 駆動制御ユニット(制御装置)
EX 露光装置
IS 照明光学系
R レチクル
SA ショット領域
SA1 ショット領域
SA2 ショット領域
SD 同期移動方向
W ウェハ
Claims (14)
- パターンが形成されたマスクと基板とを同期移動しつつ、前記マスクに形成されたパターンを前記基板上の複数のショット領域に順次転写する露光方法であって、
前記ショット領域の前記同期移動方向の大きさに応じて、前記マスク及び前記基板の移動速度の設定を行って露光することを特徴とする露光方法。 - 設定した前記移動速度に応じて、前記基板に照射される露光光の強度の設定を行うことを特徴とする請求項1記載の露光方法。
- 前記マスク及び前記基板の移動速度の設定は、前記マスク及び前記基板の加減速に要する加減速時間と、前記マスク及び前記基板を一定速度で移動させて前記パターンを前記ショット領域へ転写するのに要する移動時間とが等しくなるように行われることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の露光方法。
- 前記露光光の強度の設定は、前記マスク及び前記基板の移動速度に拘わらず、前記ショット領域に照射される露光量が目標露光量と等しくなるように行われることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の露光方法。
- 前記複数のショット領域は、前記同期移動方向の大きさが異なる複数のショット領域を有し、各ショット領域毎に前記移動速度の設定を行うことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の露光方法。
- 前記露光量の調整は、前記マスクに対して露光光を照射する光源の発光強度、発振周波数、及び前記光源と前記マスクとの間の光路に配置された減光部材の減光量の少なくとも一つを制御することによって行われることを特徴とする請求項2から請求項6及び請求項8の何れか一項に記載の露光方法。
- 前記目標露光量は、前記基板上に塗布された感光剤の厚さ分布情報、又は前記基板上に形成されたパターンの線幅誤差分布情報に応じて設定されることを特徴とする請求項5記載の露光方法。
- パターンが形成されたマスクと基板とを同期移動しつつ、前記マスクに形成されたパターンを前記基板上の複数のショット領域に順次転写する露光装置であって、
前記マスクを保持して移動するマスクステージと、
前記基板を保持して移動する基板ステージと、
前記ショット領域の前記同期移動方向の大きさに応じて、前記マスク及び前記基板の移動速度の設定を行って前記マスクステージ及び前記基板ステージを駆動する制御装置と
を備えることを特徴とする露光装置。 - 前記制御装置は、前記マスク及び前記基板の加減速に要する加減速時間と、前記マスク及び前記基板を一定速度で移動させて前記パターンを前記ショット領域へ転写するのに要する移動時間とが等しくなるように前記マスク及び前記基板の移動速度の設定を行うことを特徴とする請求項11記載の露光装置。
- パルス状の露光光を射出する光源と、
少なくとも減光部材を含み、前記光源から射出される露光光を均一化して前記マスクに照射する照明光学系とを備え、
前記制御装置は、設定した前記基板の移動速度に応じて、前記ショット領域に照射される露光量が目標露光量と等しくなるように前記光源から射出される前記露光光の発光強度、発振周波数、及び前記減光部材の減光量の少なくとも一つを制御することを特徴とする請求項11又は請求項12記載の露光装置。 - リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法であって、
前記リソグラフィ工程において請求項1から請求項10の何れか一項に記載の露光方法、又は、請求項11から請求項13の何れか一項に記載の露光装置を用いて露光を行う露光工程を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
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