JP2005032813A - 露光装置及び露光方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】制御系における処理の効率化を図ることにより露光処理に要する時間を短縮することができ、その結果として高いスループットでデバイスを製造することができる露光装置及び露光方法を提供する。
【解決手段】上位制御部がシーケンスC1の解析・準備処理を行った後で、この処理によって得られた情報に基づいて下位制御部がシーケンスC1の下位実行処理を行っている間に、上位制御部はシーケンスC2の解析・準備処理を行う。
【選択図】 図4
【解決手段】上位制御部がシーケンスC1の解析・準備処理を行った後で、この処理によって得られた情報に基づいて下位制御部がシーケンスC1の下位実行処理を行っている間に、上位制御部はシーケンスC2の解析・準備処理を行う。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスクに形成されたパターンをフォトレジスト等の感光剤が塗布された基板上に転写する露光装置及び露光方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイス、液晶表示素子、撮像装置(CCD等)、薄膜磁気ヘッドその他のデバイスの製造工程におけるフォトリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下、これらを総称するときには、マスクという)に形成された回路パターンを、投影光学系を介して、表面にフォトレジストが塗布されたウェハ、ガラスプレート等の基板に投影する露光装置が用いられている。
【0003】
半導体デバイスを製造する際に用いる露光装置の一つとして、レチクルに形成されたパターンをウェハ上の各ショット領域に一括して縮小投影するステップ・アンド・リピート方式の露光装置(ステッパー)が知られている。ステッパーでは1つのショット領域に対して一括露光を行い、露光が終了するとウェハをステップ移動して次のショット領域に対する一括露光を行う動作が繰り返し行われる。
【0004】
また、半導体デバイスを製造する際に用いる他の露光装置として、レチクルに形成されたパターンの露光範囲を拡大するために、照明光学系からの露光光をスリット状に制限し、このスリット光を用いてレチクルに形成されたパターンの一部がウェハ上に縮小投影された状態で、レチクルとウェハとを投影光学系に対して同期移動させてパターンをウェハ上に逐次転写するステップ・アンド・スキャン方式の走査型の露光装置も用いられている。
【0005】
これらの露光装置は階層的に構成された制御系を備えており、上位に位置する制御系の下で、下位に位置する制御系が露光装置の各部の動作を制御することで、露光装置全体の動作が制御される。このように、制御系を階層的に構成するのは、統括的な制御を行う制御系と、単機能を制御する制御系とを分けて階層的に構成することにより各制御系の負荷が分散し、効率的で細かい制御が可能となるためである。また、制御対象(例えば、レチクルステージ又はウェハステージ)の変更又は増減があった場合に、大幅な装置構成の変更を伴わず変更又は増減のあった制御対象を制御する下位の制御系の変更、追加、又は削除で対応するためでもある。
【0006】
制御系が露光装置の動作を制御するときの基本的な制御手順は以下の通りである。まず、上位の制御系が露光動作に必要な各種の制御コマンドからなるレシピから制御コマンドを読み込んで内容を解析する。次に、上位の制御系が解析を終えた時点で解析結果を下位の制御系に出力して制御コマンドで規定される処理(例えば、レチクルステージ又はウェハステージの移動)を下位の制御系に行わせる。そして、下位の制御系が処理を終えると、その処理の実行結果を上位の制御系に出力し、この実行結果に基づいて上位の制御系が後処理(例えば、エラー処理)を行う。このような制御手順が順次繰り返されて、レシピに規定される動作が実行される。尚、従来の露光装置に設けられた制御系の構成及び動作の一例については、例えば以下の特許文献1を参照されたい。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−97338号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年においてはマイクロデバイスの製造効率を高めるために、スループット、即ち単位時間に露光処理を行うことができるウェハの枚数を向上させることが要求されている。この要求を達成するためには、ウェハ上に設定された複数のショットに対してパターンを転写している時間以外の時間、即ちパターンの転写に寄与しない無駄な時間を極力短縮する必要がある。
【0009】
しかしながら、上述した従来の露光装置においては、上位の制御系が制御コマンドの内容の解析を終了してから下位の制御系が制御対象の制御を行い、下位の制御系の処理が終了してから上位の制御系がその処理の実行結果に応じた後処理を行うようにしている。そして、上位の制御系は後処理を終えた後で次の制御コマンドの内容の解析を開始している。このため、無駄な時間が多く生じておりスループットの低下を招く要因の一つになっていたという問題があった。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、制御系における処理の効率化を図ることにより露光処理に要する時間を短縮することができ、その結果として高いスループットでデバイスを製造することができる露光装置及び露光方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点による露光装置は、マスク(R)を保持した状態で移動可能に構成されたマスクステージ(31)と、基板(W)を保持した状態で移動可能に構成された基板ステージ(37)とを備え、予め用意された制御コマンドに基づいて前記マスクステージと前記基板ステージとを同期移動させつつ前記マスクに形成されたパターンを逐次前記基板上に転写する露光装置(EX)において、前記制御コマンドを解析して、少なくとも前記マスクステージ及び前記基板ステージを移動させるための移動制御情報を得る上位制御部(60)と、前記上位制御部の解析により得られた前記移動制御情報に基づいて前記マスクステージと前記基板ステージとの同期移動制御を実行し、その実行結果を前記上位制御部に出力する下位制御部(70)とを備え、前記上位制御部は、前記制御コマンドの解析を終了後、前記下位制御部が前記同期移動制御を実行している間に次の制御コマンドの解析を行うことを特徴としている。
この発明によれば、上位制御部が制御コマンドを解析して得た移動制御情報に基づいて下位制御部がマスクステージと基板ステージとの同期移動制御を実行している間に、上位制御部が次の制御コマンドの解析を行うようにしているため、同期移動制御の終了を待ってから次の制御コマンドの解析を行う場合に比べて制御系における処理の効率化を図ることができる。この結果として、露光処理に要する時間を短縮することができる。
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点による露光装置は、予め用意された制御コマンドで規定される処理を実行してマスク(R)に形成されたパターンを基板(W)上に転写する露光装置(EX)において、前記制御コマンドを解析する上位制御部(50、60)と、前記上位制御部で解析された前記制御コマンドで規定される処理を実行し、当該処理の実行結果を前記上位制御部に出力する下位制御部(70)とを備え、前記上位制御部は、前記制御コマンドの解析を終了後、前記下位制御部が前記処理を行っている間に次の制御コマンドの解析を行うことを特徴としている。
この発明によれば、制御コマンドで規定される下位制御部の処理と並行して上位制御部が次の制御コマンドの解析を行うようにしているため、制御系における処理の効率化を図ることができて露光処理に要する時間を短縮することができ、その結果高いスループットでデバイスを製造することができるという効果がある。
上記課題を解決するために、本発明の露光方法は、予め用意された制御コマンドで規定される処理を実行してマスク(R)に形成されたパターンを基板(W)上に転写する露光方法において、前記制御コマンドを解析する解析ステップと、前記解析ステップで解析された前記制御コマンドで規定される処理を実行する実行ステップと、前記実行ステップ中に次の制御コマンドの解析を行う先行解析ステップとを含むことを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による露光装置及び露光方法について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による露光装置EXの全体構成の概略を示す図である。図1に示す露光装置EXは、図1中の投影光学系PLに対してマスクとしてのレチクルRと基板としてのウェハWとを相対的に移動させつつ、レチクルRに形成されたパターンをウェハWに逐次転写して半導体素子を製造するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置である。
【0013】
尚、以下の説明においては、図中にXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。図1に示すXYZ直交座標系は、X軸及びY軸がウェハWに対して平行となるよう設定され、Z軸がウェハWに対して直交する方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。
また、本実施形態ではレチクルR及びウェハWを同期移動させる方向(同期移動方向SD)をY方向に設定している。
【0014】
図1において、1は断面が略長方形状の平行光束である露光光ILを射出する露光光源であり、例えばArFエキシマレーザ光源(波長193nm)である。露光光源1からの波長193nmの紫外パルスよりなる露光光ILは、ビームマッチングユニット(BMU)2を通り、光アッテネータとしての可変減光器3に入射する。露光光源1の発光の開始及び停止、並びに出力(発振周波数、パルスエネルギー、パルス数)は、主制御系24が制御する。また、主制御系24は、可変減光器3における減光率を段階的、又は連続的に調整する。
【0015】
可変減光器3を通った露光光ILは、レンズ系4a,4bよりなるビーム成形系5を経て第1段のオプティカル・インテグレータ(ユニフォマイザ、又はホモジナイザ)としての第1フライアイレンズ6に入射する。この第1フライアイレンズ6から射出された露光光ILは、第1レンズ系7a、光路折り曲げ用のミラー8、及び第2レンズ系7bを介して第2段のオプティカル・インテグレータとしての第2フライアイレンズ9に入射する。
【0016】
第2フライアイレンズ9の射出面、即ちレチクルRのパターン面に対する光学的なフーリエ変換面(照明系の瞳面、投影光学系PLの瞳面と光学的に共役な面)には複数の開口絞りを備えた開口絞り板10が、駆動モータ10eによって回転自在に配置されている。
【0017】
開口絞り板10は駆動モータ10eの回転軸に接続されており、駆動モータ10eを駆動して開口絞り板10を回転させることにより、第2フライアイレンズ9の射出面に配置する開口絞りを切り替えることができる。駆動モータ10eの駆動は露光装置EXの全体の動作を統括制御する主制御系24が制御する。
【0018】
図1において、第2フライアイレンズ9から射出されて開口絞り板10に形成された開口絞りの何れかを通過した露光光ILは、透過率が高く反射率が低いビームスプリッタ11に入射する。ビームスプリッタ11で反射された露光光は、集光用のレンズ21を介して光電検出器よりなるインテグレータセンサ22に入射する。インテグレータセンサ22の検出信号は、主制御系24に供始されている。インテグレータセンサ22の検出信号とウェハW上での露光光ILの照度との関係は予め高精度に計測されて、主制御系24内の記憶部(不図示)に記憶されている。主制御系24は、インテグレータセンサ22の検出信号に基づいて、ウェハWに対する露光量を制御する。
【0019】
ビームスプリッタ11を透過した露光光ILは、光軸IAXに沿ってレンズ系12,13を順次経て、固定ブラインド(固定照明視野絞り)14及び可動ブラインド(可動照明視野絞り)15に入射する。固定ブラインド14は、後述する投影光学系PLの円形視野内の中央で同期移動方向SDと直交した方向に伸びた直線スリット状、又は矩形状(以下、まとめて「スリット状」という)の照明視野を形成する開口部を有する。
【0020】
可動ブラインド15は、光軸IAXに直交する面内において移動可能に構成されており、ウェハW上の各ショット領域への走査露光の開始時及び終了時に不要な露光を防止するために、又は照明視野領域の同期移動方向SDの幅を可変とするために使用される。また、可動ブラインド15は、ウェハWに転写するレチクルRのパターン領域を可変するために使用される。
【0021】
固定ブラインド14は、レチクルRのパターンが形成されている面(以下、レチクル面という)に対する共役面から光軸IAX方向に所定量だけデフォーカスした面に配置されている。このように、固定ブラインド14をデフォーカスさせて配置するのは、ウェハW上の任意の点での露光量(DOSE量)のばらつきを防止するため、ウェハW上に照射される露光光ILの同期移動方向SDにおける照度分布を台形形状とするためである。露光時に可動ブラインド15を通過した露光光ILは、光路折り曲げ用のミラー17、結像用のレンズ系18、コンデンサレンズ19、及び主コンデンサレンズ系20を順次介して、マスクとしてのレチクルRのパターン面(下面)の照明フィールド(照明視野領域)IAを照明する。
【0022】
尚、以上説明した露光光源1、ビームマッチングユニット2、可変減光器3、レンズ系4a,4bよりなるビーム成形系5、第1フライアイレンズ6、第1レンズ系7a、光路折り曲げ用のミラー8、第2レンズ系7b、第2フライアイレンズ9、開口絞り板10、ビームスプリッタ11、レンズ系12,13、固定ブラインド14、可動ブラインド15、光路折り曲げ用のミラー17、結像用のレンズ系18、コンデンサレンズ19、及び主コンデンサレンズ系20は、照明光学系ISを構成している。
【0023】
露光光ILのもとで、レチクルRの照明フィールドIA内の回路パターンの像が両側テレセントリックな投影光学系PLを介して所定の投影倍率β(βは例えば1/4又は1/5等)で、投影光学系PLの結像面に配置された基板としてのウェハW上のスリット状の露光フィールドEAに転写される。尚、投影光学系PLは片側テレセントリックであっても良い。本実施形態の投影光学系PLは、ジオプトリック系(屈折系)であるが、カタジオプトリック系(反射屈折系)や反射系も使用できることはいうまでもない。また、本実施形態では露光光ILが真空紫外光であるため、通常の空気中の酸素、二酸化炭素、水蒸気等によって大きく吸収されてしまう。これを避けるために、図1に示した露光光源1からウェハWまでの露光光ILの光路には、真空紫外光に対しても高透過率の高純度のパージガス(ヘリウム、ネオン等の希ガス、又は窒素ガス等の所謂不活性ガス)が供給されている。更に、投影光学系PLを構成する屈折部材の硝材としては、例えば合成石英又は蛍石(フッ化カルシウム:CaF2)が用いられる。
【0024】
図1において、レチクルRは、マスクステージとしてのレチクルステージ31上に吸着保持され、レチクルステージ31は、レチクルベース32上でY方向に等速移動できると共に、X方向にも微小移動でき、更にZ軸を中心とした回転移動もできるように載置されている。レチクルステージ31の一端には移動鏡33が取り付けられており、移動鏡33の鏡面に対面してレーザ干渉計34が設けられている。尚、図1では図示を簡略化しているが、移動鏡33はX軸に垂直な鏡面を有する移動鏡及びY軸に垂直な鏡面を有する移動鏡から構成されている。
【0025】
また、レーザ干渉計34は、Y軸に沿って移動鏡33にレーザ光を照射する2個のY軸用のレーザ干渉計及びX軸に沿って移動鏡33にレーザ光を照射するX軸用のレーザ干渉計より構成され、Y軸用の1個のレーザ干渉計及びX軸用の1個のレーザ干渉計によりレチクルステージ31のX座標及びY座標が計測される。また、Y軸用の2個のレーザ干渉計の計測値の差により、レチクルステージ31のZ軸回りの回転角が計測される。レーザ干渉計34によって検出されたレチクルステージ31のX座標、Y座標、及び回転角の情報は主制御系24に供給される。主制御系24は供給されたステージ位置情報をモニターしつつレチクルステージ31の位置決め動作を制御する。
【0026】
一方、ウェハWは、ウェハホルダ36を介して基板ステージとしてのウェハステージ37上に吸着保持され、ウェハステージ37は、ウェハベース38上で投影光学系PLの像面と平行なXY平面に沿って2次元移動する。即ち、ウェハステージ37は、ウェハベース38上でY方向に一定速度で移動すると共に、X方向、Y方向にステップ移動する。更に、ウェハステージ37には、ウェハWのZ方向の位置(フォーカス位置)、並びにX軸及びY軸の回りの傾斜角を制御するZレベリング機構も組み込まれている。
【0027】
ウェハステージ37の一端には移動鏡39が取り付けられており、移動鏡39の鏡面に対面してレーザ干渉計40が設けられている。尚、図1では図示を簡略化しているが、移動鏡39はX軸に垂直な鏡面を有する移動鏡及びY軸に垂直な鏡面を有する移動鏡から構成されている。また、レーザ干渉計40は、Y軸に沿って移動鏡39にレーザビームを照射する2個のY軸用のレーザ干渉計及びX軸に沿って移動鏡39にレーザビームを照射するX軸用のレーザ干渉計より構成され、Y軸用の1個のレーザ干渉計及びX軸用の1個のレーザ干渉計によりウェハステージ37のX座標及びY座標が計測される。また、Y軸用の2個のレーザ干渉計の計測値の差により、ウェハステージ37の回転角が計測される。レーザ干渉計40によって計測されたウェハステージ37のX座標、Y座標、及び回転角の情報は主制御系24に供給される。主制御系24は供給されたステージ位置情報をモニターしつつウェハステージ37の位置決め動作を制御する。
【0028】
また、ウェハステージ37上の一端には、ウェハステージ37の基準位置を定める基準部材45が設けられている。この基準部材45は、ウェハステージ37の座標系に対するレチクルRの相対的な位置及びベースラインを計測するために用いられる。ここで、ベースラインとは、例えばレチクルRに形成されたパターンの投影光学系PLによる投影像の中心位置と後述するウェハ・アライメントセンサ44の計測視野中心との距離をいう。この基準部材45には基準マークとして、例えば光透過性の5組のL字状パターンから成るスリットパターンと、光反射性のクロムで形成された2組の基準パターン(デューティ比は1:1)とが設けられている。
【0029】
また、本実施形態においては、投影光学系PLの結像面に向けてピンホール又はスリット状の像を形成するための結像光束を、投影光学系PLの光軸AXに対して斜め方向から供給する照射光学系43aと、その結像光束のウェハW表面での反射光束を受光する受光光学系43bとからなる斜入射方式の焦点位置検出系43が設けられている。この焦点位置検出系43により、ウェハW表面の結像面に対するZ方向の位置を検出してウェハWと投影光学系PLとの合焦状態を検出することができるようになっている。
【0030】
更に、本実施形態の露光装置は、オフ・アクシス方式のウェハ・アライメントセンサ44を投影光学系PLの側方に備える。このウェハ・アライメントセンサ44は、FIA(Field Image Alignment)方式のアライメントセンサである。
ウェハ・アライメントセンサ44は、例えばハロゲンランプから射出される広帯域波長の光束を検知ビームとしてウェハW上に照射し、ウェハWから得られる反射光をCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子で撮像し、得られた画像信号を画像処理することでウェハWに形成されたマークのX方向及びY方向における位置情報を計測する。ウェハ・アライメントセンサ44の計測結果は主制御系24に供給される。
【0031】
また更に、本実施形態の露光装置は、レチクルステージ31の上方に配置されたレチクル・アライメントセンサ46を備える。このレチクル・アライメントセンサ46は、レチクルRの外周付近に形成された位置検出用のレチクルマークと投影光学系PLを介してウェハステージ37上に形成された基準部材45とを同時に観察し、レチクルRとウェハステージ37との相対的な位置関係を直接的に計測(観察)する。
【0032】
レチクル・アライメントセンサ46の計測結果は主制御系24へ出力され、画像処理、演算処理、フィルタリング処理等の処理が施されてレチクルRとウェハステージ37の相対的な位置ずれ量が求められる。そして、主制御系24は、この位置ずれ量に応じてレチクルステージ31を微動させ、レチクルRとウェハステージ37とを相対的に位置決めする。このレチクル・アライメントセンサ46は、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のアライメントセンサの一種であるTTR(スルー・ザ・レチクル)方式のアライメントセンサである。
【0033】
次に、主制御系24の構成について説明する。図2は、主制御系24の概略構成を示すブロック図である。図2に示す通り、本実施形態の露光装置に設けられる主制御系24は上位、中位、及び下位の3層の制御系から構成されている。尚、図示は省略しているが、主制御系24は、露光装置EXの動作を規定する各種の制御コマンド、及び露光条件情報を格納したレシピを記憶する記憶部を備えている。この記憶部は、例えばハードディスク等の外部記憶装置、又は半導体メモリ等の内部記憶装置から構成される。
【0034】
主制御系24を構成する最上位の制御系は、シーケンスプロセッサ50であり、主制御系24に設けられた不図示の記憶部に記憶された制御コマンドをレシピに格納された露光条件情報とともに順次発行する。シーケンスプロセッサ50は、オペレーティング・システム(OS)として、例えばコンパック株式会社製のOSである、VMSを備えており、マルチタスク処理が可能なワークステーションで実現される。このシーケンスプロセッサ50の下位には主制御系24を構成する中位の制御系となるスレーブプロセッサ60が配置されている。スレーブプロセッサ60は、シーケンスプロセッサ50から発行された制御コマンドを解析し、ファンクションプロセッサ70(後述)に対して実行処理コマンドを発行する。
【0035】
このスレーブプロセッサ60は、ボディーコントローラ61、レチクルローダコントローラ62、及びウェハローダコントローラ63等から構成される。これらのスレーブプロセッサ60は、例えばウインドリバー株式会社製のOSであるVxWorksを備えており、マルチタスク処理が可能なコンピュータ(例えば、PowerPC(登録商標))で実現される。また、シーケンスプロセッサ50とスレーブプロセッサ60とはイーサネット(登録商標)で接続されており、相互に通信を行いつつ露光装置EXの各部を制御する。
【0036】
ボディーコントローラ61は、主としてレチクルRに形成されたパターンをウェハW上に転写する際の露光装置EXの各部の動作を制御するコントローラである。レチクルローダコントローラ62は、複数のレチクルRを格納するレチクルライブラリ(不図示)から所定のレチクルRをレチクルステージ31上へ搬入(ロード)し、レチクルステージ31上に保持されたレチクルRをレチクルライブラリに搬出(アンロード)するレチクルローダの制御を行うコントローラである。また、ウェハローダコントローラ63は、ウェハWを複数枚格納するウェハカセット(不図示)からウェハWをウェハステージ37上へ搬入(ロード)し、ウェハステージ37上に保持されたウェハWを搬出(アンロード)して別のウェハカセットに格納させるウェハローダの制御を行うコントローラである。
【0037】
上記のボディーコントローラ61、レチクルローダコントローラ62、及びウェハローダコントローラ63各々の下位には、主制御系24を構成する最下位の制御系となるファンクションプロセッサ70が配置されている。ファンクションプロセッサ70は、スレーブプロセッサ60と同様に、例えばウインドリバー株式会社製のOSであるVxWorksを備えており、マルチタスク処理が可能なコンピュータ(例えば、PowerPC(登録商標))で実現される。上記のスレーブプロセッサ60とファンクションプロセッサ70とは、高速化のために光ファイバで接続されており、相互に通信を行いつつ露光装置EXの各部を制御する。また、各ファンクションプロセッサ71〜79間も光ファイバで接続されており、相互に高速な通信が行われている。
【0038】
ボディーコントローラ61の下位に配置されるファンクションプロセッサ70としては、レチクルステージコントローラ71、ウェハステージコントローラ72、オートフォーカスコントローラ73、ウェハテーブルコントローラ74、ブラインドコントローラ75、防振台コントローラ76、干渉計コントローラ77、露光コントローラ78、及びアライメントコントローラ79等がある。
【0039】
レチクルステージコントローラ71は、レーザ干渉計34によって検出され、干渉計コントローラ77(後述)によって処理されて求められたレチクルステージ31の位置情報を参照しながら、ボディーコントローラ61から与えられる位置情報を目標値としてレチクルステージ31の位置決め動作を制御する。ウェハステージコントローラ72(後述)は、レーザ干渉計40によって検出され、干渉計コントローラ77(後述)によって処理されて求められたウェハステージ37の位置情報を参照しながら、ボディーコントローラ61から与えられる位置情報を目標値としてウェハステージ37の位置決め動作を制御する。
【0040】
オートフォーカスコントローラ73は、ボディーコントローラ61の制御の下で焦点位置検出系43が備える受光光学系43bの検出結果に基づいて、投影光学系PLの像面に対するウェハW表面の合焦状態(ずれ具合)を検出し、ウェハWの表面が投影光学系PLの像面に一致するようにウェハステージ37を制御する。ウェハテーブルコントローラ74は、ウェハステージ37のZ方向の位置及びZ軸回り、Y軸回りの回転量(傾き)を制御して、例えば露光時における投影光学系PLの像面にウェハW表面を合致させる。ブラインドコントローラ75は、可動ブラインド15の開口の大きさを制御するとともに、露光時においてレチクルステージ31の移動に同期させて可動ブラインド15を光軸IAXに垂直な面内(例えば、Z方向)で移動させることで、不要な露光光ILがウェハW上に照射されるのを防止する。
【0041】
防振台コントローラ76は、外部から露光装置に伝わる振動及びレチクルステージ31又はウェハステージ37の移動により生ずる振動を抑制するための防振台(図示省略)を制御するコントローラである。干渉計コントローラ77は、レチクルステージ31に関して設けられたレーザ干渉計34及びウェハステージ37に関して設けられたレーザ干渉計40が検出した信号を処理し、それぞれの位置情報を求める。露光コントローラ78は、露光光源1の発光及び停止をボディーコントローラ61の指令に従って制御するとともに、インテグレータセンサ22の検出信号より間接的にウェハWに対する露光量を求め、これに基づいて露光光源1の出力(発振周波数、パルスエネルギー、パルス数)を制御し、可変制御器3の減光率を段階的又は連続的に調整する。
【0042】
アライメントコントローラ79は、レチクル・アライメントセンサ46及びウェハ・アライメントセンサ44を制御する。このアライメントコントローラ76が行う制御は、例えば、レチクル・アライメントセンサ46を計測位置へ移動させる制御、及びウェハ・アライメントセンサ44から検知ビームの射出を開始する制御、並びに検出された信号を所定のアルゴリズムに従って処理する制御等である。
【0043】
次に、露光処理において上記構成を有する主制御系24で実行される処理シーケンスについて説明する。図3は、本発明の一実施形態による露光装置EXが備える主制御系24で行われる基本的な処理シーケンスを示す図である。図3に示す通り、主制御系24内において実行される処理シーケンスは、「解析・準備処理」、「下位実行処理」、及び「後処理」の3つの処理から構成される。斜線を付していない「解析・準備処理」及び「後処理」は上位の制御系で実行され、斜線を付した「下位実行処理」は下位の制御系で実行される。
【0044】
例えば、図2に示すシーケンスプロセッサ50とスレーブプロセッサ60とに着目すると、「解析・準備処理」及び「後処理」はシーケンスプロセッサ50で実行され、「下位実行処理」はスレーブプロセッサ60で実行される。また、図2に示すスレーブプロセッサ60とファンクションプロセッサ70とに着目すると、「解析・準備処理」及び「後処理」はスレーブプロセッサ60で実行され、「下位実行処理」はファンクションプロセッサ70で実行される。
【0045】
ここで、図2に示すスレーブプロセッサ60とファンクションプロセッサ70とに着目し、シーケンスプロセッサ50から2つの制御コマンドが出力され、各々の制御コマンドに対してシーケンスC1,C2が実行される場合を考える。シーケンスプロセッサ50から最初の制御コマンドが出力されると、スレーブプロセッサ60はシーケンスC1の「解析・準備処理」を行う(解析ステップ)。シーケンスC1の「解析・準備処理」が完了すると、その解析結果はファンクションプロセッサ70に出力され、ファンクションプロセッサ70において解析結果に応じた処理が行われる(実行ステップ)。
【0046】
一方、スレーブプロセッサ60でシーケンスC1の「解析・準備処理」が完了すると、スレーブプロセッサ60は次にシーケンスプロセッサ50から出力される次の制御コマンドを受け取り、シーケンスC2の「解析・準備処理」を行う。(先行解析ステップ)つまり、ファンクションプロセッサ70でシーケンスC1の「下位実行処理」が実行されている最中に、並列してスレーブプロセッサ60でシーケンスC2の「解析・準備処理」が行われる。
【0047】
制御コマンドの「解析・準備処理」はスレーブプロセッサ60を構成する電子回路で電気処理により行われ、「下位実行処理」は、例えばレチクルステージ31又はウェハステージ37の移動等の機械的な処理であるため、通常は「解析・準備処理」を完了するのに要する時間の方が「下位実行処理」を完了するのに要する時間よりも短い。例えば、「解析・準備処理」に要する時間は10msec程度であり、「下位実行処理」に要する時間は100〜2000msec程度である。このため、シーケンスC1の「下位実行処理」がファンクションプロセッサ70で行われている間にスレーブプロセッサ60はシーケンスC2の「解析・準備処理」を完了する。
【0048】
ファンクションプロセッサ70がシーケンスC1の「下位実行処理」を完了すると、その実行結果がスレーブプロセッサ60に出力される。この実行結果に基づいて、スレーブプロセッサ60はシーケンスC1の「後処理」を行う。スレーブプロセッサ60がシーケンスC1の「後処理」を終えると、先にスレーブプロセッサ60で実行されて完了しているシーケンスC2の「解析・準備処理」の解析結果がファンクションプロセッサ70に出力され、ファンクションプロセッサ70において解析結果に応じた処理(「下位実行処理」)が行われる。そして、この処理を終えると、ファンクションプロセッサ70からスレーブプロセッサ60に実行結果が出力され、この実行結果に基づいてスレーブプロセッサ60がシーケンスC2の「後処理」を行う。
【0049】
このように、本実施形態においては、ファンクションプロセッサ70が先の制御コマンドの処理シーケンスであるシーケンスC1の「下位実行処理」を行っている間に、スレーブプロセッサ60が次の制御コマンドの処理シーケンスであるシーケンスC2の「解析・準備処理」を行っている。このため、シーケンスC1を終えた後に直ちに、シーケンスC2の「下位実行処理」を行うことができるため制御系における処理の効率化を図ることができる。
【0050】
尚、図3中に示した「後処理」は、「下位実行処理」を実行した結果、露光処理を継続できるか又は露光処理を継続できない程のエラーが生じたかを判定する「エラー判定処理」と、その他の処理(例えば、ファンクションプロセッサ70の制御対象が所定の精度内で動作しているか否かの情報を得る処理)とに大別される。このため、図4に示す処理シーケンスにすることもできる。図4は、本発明の一実施形態による露光装置EXが備える主制御系24で行われる基本的な処理シーケンスの他の例を示す図である。
【0051】
図4に示す処理シーケンスでは、ファンクションプロセッサ70がシーケンスC1の「下位実行処理」を完了してその実行結果をスレーブプロセッサ60に出力したときに、スレーブプロセッサ60は「エラー判定処理」のみを行う。この判定により、露光処理を継続できない程のエラーは生じておらず露光処理を継続できると判定した場合には、直ちにファンクションプロセッサ70がシーケンスC2の「下位実行処理」を行う。そして、ファンクションプロセッサ70でシーケンスC2の「下位実行処理」が行われている間に並列してスレーブプロセッサ60でその他の「後処理」を行っている。
【0052】
「後処理」は「解析・準備処理」と同様に、スレーブプロセッサ60を構成する電子回路で電気処理により行われるため、通常は「後処理」を完了するのに要する時間の方が「下位実行処理」を完了するのに要する時間よりも短い。例えば、「後処理」に要する時間は、2〜3msec程度である。このため、シーケンスC2の「下位実行処理」がファンクションプロセッサ70で行われている間にスレーブプロセッサ60はシーケンスC1の「後処理」を完了する。このような処理シーケンスを用いると、ファンクションプロセッサ70でシーケンスC1の「下位実行処理」とシーケンスC2の「下位実行処理」とがほぼ連続的に行われるため、更なる処理の効率化を図ることができる。
【0053】
以上、本発明の一実施形態による露光装置EXが備える主制御系24で行われる基本的な処理シーケンスについて説明したが、次に露光装置EXで実行される走査露光時の処理シーケンスをより具体的に説明する。図5は、本発明の一実施形態による露光装置EXが備える主制御系24で行われる走査露光時の処理シーケンスの具体例を示す図である。
【0054】
図5において、まずシーケンスプロセッサ50がスキャン露光を指令する制御コマンド(露光コマンド)をスレーブプロセッサ60へ送信する(ステップS10)。尚、ここに示す例では、ウェハW上に設定された各ショット領域毎に制御コマンドが用意されているとする。ここで、スレーブプロセッサ60へ送信されるスキャン露光コマンドには、ウェハW上における最初に露光すべきショット領域の露光中心位置、ショット領域の形状(可動ブラインド15の形状)、露光量、及びフォーカスオフセット量等の情報が含まれている。このスキャン露光コマンドを受け取ると、スレーブプロセッサ60は「解析・準備処理」を開始する(ステップS11)。
【0055】
シーケンスプロセッサ50はステップS10においてスレーブプロセッサ60に対してスキャン露光コマンドを出力した後、次のショット領域を露光するためのスキャン露光コマンドをスレーブプロセッサ60へ送信する(ステップS20)。つまり、スレーブプロセッサ60が「解析・準備処理」を行っている最中に次のスキャン露光コマンドがスレーブプロセッサ60へ送信される。スレーブプロセッサ60がステップS20で送信されてきたスキャン露光コマンドを受信すると、このスキャン露光指令に対して直ちに「解析・準備処理」は行わず、一時的に記憶して処理待ちの状態に設定する(ステップS21)。
【0056】
スレーブプロセッサ60がステップS11における「解析・準備処理」を完了すると、レチクルステージ31及びウェハステージ37のスキャン速度、スキャン加減速距離、スキャン開始位置、スキャン加速開始位置、ウェハステージ/レチクルステージ間の座標変換行列、可動ブラインド15の目標位置、及び防振台の許容値等の情報が得られる。これらの情報は光ファイバを介して各ファンクションプロセッサ70に実行処理コマンドと共に送信される(ステップS12)。
【0057】
上記の情報の内のレチクルステージ31及びウェハステージ37のスキャン速度、スキャン加減速距離、スキャン開始位置、及びウェハステージ/レチクルステージ間の座標変換行列は、ファンクションプロセッサ70の一部をなすレチクルステージコントローラ71及びウェハステージコントローラ72へ送信される。また、スキャン加速開始位置、ショット領域の露光中心位置、及びフォーカスオフセット等の情報は、オートフォーカスコントローラ73及びウェハテーブルコントローラ74に送信される。更に、可動ブラインド15の目標位置を示す情報はブラインドコントローラ75へ送信され、防振台の許容値を示す情報は防振台コントローラ76へ送信され、露光量を示す情報は露光コントローラ78へ送信される。
【0058】
これらの各種情報を含む処理コマンドをファンクションプロセッサ70が受信すると、ファンクションプロセッサ70は「下位実行処理」を開始する(ステップS13)。具体的には、ファンクションプロセッサ70の一部をなすレチクルステージコントローラ71及びウェハステージコントローラ72は、レチクルステージ31及びウェハステージ37をそれぞれスキャン開始位置へ移動させるとともに、オートフォーカスコントローラ73が計測するウェハWの姿勢情報に基づいて、ウェハテーブルコントローラ74がウェハステージ37の姿勢を制御する。かかる制御が終了すると、レチクルステージコントローラ71及びウェハステージコントローラ72が各々のステージの加速を開始する。
【0059】
そして、レチクルステージ31及びウェハステージ37が所定の速度に達するとともに露光開始位置に達したときに、露光コントローラ78が露光光源1に対して制御信号を出力して露光光ILを射出させ、レチクルRに形成されたパターンの転写を開始する。レチクルRのパターンを転写を行っている最中は、レチクルステージコントローラ71及びウェハステージコントローラ72はレチクルステージ31及びウェハステージ37の各々を一定速度で同期走査させる。
【0060】
ここで、ウェハコントローラ72は、ウェハW上の所定のショット領域がレチクルRのパターン像の露光フィールドEAに対して速度Vwで+Y方向(又は−Y方向)に走査するようにウェハステージ37を制御し、レチクルステージコントローラ71はレチクルRが露光光ILの照明フィールドIAに対して速度Vw/β(βはレチクルRからウェハWへの投影倍率)で−Y方向(又は+Y方向)にウェハWと同期して走査するようにレチクルステージ31を制御する。
【0061】
レチクルRとウェハWとの移動方向が逆であるのは、本実施形態の投影光学系PLが反転投影を行うためである。また、露光コントローラ78は、レチクルRのパターン転写中、インテグレータセンサ22を介してウェハWに対する露光光ILの照度(単位時間当たりのパルスエネルギーの和)の積分値を逐次積算し、その結果に応じて走査露光後のウェハW上のフォトレジストの各点でボディーコントローラ61から指定された露光量が得られるように、露光光源1の出力(発振周波数、パルスエネルギー、パルス数)及び可変減光器3の減光率を制御する。
【0062】
一方、オートフォーカスコントローラ71はパターンの転写を行っている最中も、ウェハステージ37の姿勢を常時検出し、ウェハテーブルコントローラ74がその検出結果に応じてウェハステージ37の制御を行っている。また、防振台コントローラ74は不図示の防振台(ボディー)の目標位置を常時監視している。
【0063】
レチクルステージ31及びウェハステージ37が露光終了位置に達すると、露光コントローラ78が露光光源1に対して制御信号を出力して露光光ILの発光を停止させるとともに、レチクルステージコントローラ71及びウェハステージコントローラ72がレチクルステージ31及びウェハステージ37を減速させて、停止させる。
【0064】
一方、上記ステップS12において、スレーブプロセッサ60が解析により得た情報をファンクションプロセッサ70に送信し終えると、スレーブプロセッサ60は、ステップS20でシーケンスプロセッサ50から送信されたスキャン露光コマンドに対する「解析・準備処理」を開始する(ステップS22)。ここでは、次に露光すべきショット領域に対するスキャン加速開始位置、ショット領域の露光中心位置等の情報が得られるとする。図5に示す通り、ステップS22の処理に要する時間は、ステップS13の処理に要する時間よりも短いため、スレーブプロセッサ60は、「解析・準備処理」を終了すると、得られた情報を一時的に記憶して、待機状態に移る(ステップS23)。
【0065】
ファンクションプロセッサ70におけるステップS13の処理が終了すると、ファンクションプロセッサ70はスレーブプロセッサ60に対してステップS13の処理の実行結果を送信する(ステップS14)。ここで、レチクルステージコントローラ71、ウェハステージコントローラ72、及びウェハテーブルコントローラ74からは、実行結果としてエラーコード及びレチクルステージ31とウェハステージ37との同期誤差を示す情報が送信され、オートフォーカスコントローラ73からフォーカス追従誤差を示す情報と共にエラーコードが送信される。また、ブラインドコントローラ75からは、エラーコード及び可動ブラインド15の設定精度を示す情報が送信される。更に、露光コントローラ78からは露光量制御精度を示す情報が送信され、防振台コントローラ74からは露光中のボディーの位置及び振動情報と共にエラーコードが送信される。
【0066】
ファンクションプロセッサ70から実行結果が送信されてくると、スレーブプロセッサ60は、実行結果に含まれるエラーコードに基づいて、露光処理を継続することができるか否かを判定するエラー判定処理を行う(ステップS15)。エラー判定処理の結果、露光処理の継続が可能と判定されると、スレーブプロセッサ60は、ステップS22の「解析・準備処理」で得た情報を含む実行処理コマンドをファンクションプロセッサ70へ出力する(ステップS24)。この実行処理コマンドを受信すると、ファンクションプロセッサ70はステップS13に示した動作と同様の動作を行って次に露光すべきショット領域の露光処理を行う(ステップS25)。
【0067】
一方、ステップS15のエラー判定処理を終えると、スレーブプロセッサ60は、「後処理」を実行する(ステップS16)。この「後処理」は、例えば、レチクルステージ31とウェハステージ37との同期精度(相対位置ずれ量の平均値及びばらつき)、オートフォーカスの追従同期精度、露光量制御精度等が予め設定された閾値を越えておらず、予め設定された精度内であるかを判定する。以上の処理を終了すると、スレーブプロセッサ60はエラーコード及びステップS16で求めた同期精度等の情報をシーケンスプロセッサ50へ送信する(ステップS17)。以上説明した処理を繰り返して、露光装置EXはウェハW上に設定された全てのショット領域に対する露光処理を行う。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、主制御系24がシーケンスプロセッサ50、スレーブプロセッサ60、及びファンクションプロセッサ70の3層の制御系を備える場合を例に挙げて説明したが、本発明は、少なくとも2層以上の制御系を備える場合に適用することが可能である。また、上記実施形態では、ウェハW上に設定されたショット領域毎に制御コマンドが用意されている場合を例に挙げて説明したが、制御コマンドが用意される単位は、例えばウェハW毎、又はロット(所定枚数のウェハ)毎であっても良い。
【0069】
また、上記実施形態では露光光源1として、ArFエキシマレーザ光源の場合を例に挙げて説明したが、これ以外に露光光源1としては、例えばg線(波長436nm)、i線(波長365nm)を射出する超高圧水銀ランプ、又はKrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)、Kr2レーザ(波長146nm)、YAGレーザの高周波発生装置、若しくは半導体レーザの高周波発生装置を用いることができる。
【0070】
また、本発明は半導体素子の製造に用いられる露光装置だけではなく、液晶表示素子(LCD)等を含むディスプレイの製造に用いられてデバイスパターンをガラスプレート上へ転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられてデバイスパターンをセラミックウェハ上へ転写する露光装置、及びCCD等の撮像素子の製造に用いられる露光装置等にも適用することができる。更には、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウェハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウェハなどが用いられる。
【0071】
次に、本発明の一実施形態による露光装置及び露光方法をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法の実施形態について説明する。図6は、マイクロデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートを示す図である。図6に示すように、まず、ステップS40(設計ステップ)において、マイクロデバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS41(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスク(レチクル)を製作する。一方、ステップS42(ウェハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウェハを製造する。
【0072】
次に、ステップS43(ウェハ処理ステップ)において、ステップS40〜ステップS42で用意したマスクとウェハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウェハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS44(デバイス組立ステップ)において、ステップS43で処理されたウェハを用いてデバイス組立を行う。このステップS44には、ダイシング工程、ボンティング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。最後に、ステップS45(検査ステップ)において、ステップS44で作製されたマイクロデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にマイクロデバイスが完成し、これが出荷される。
【0073】
図7は、半導体デバイスの場合における、図6のステップS43の詳細なフローの一例を示す図である。図7において、ステップS51(酸化ステップ)においてはウェハの表面を酸化させる。ステップS52(CVDステップ)においてはウェハ表面に絶縁膜を形成する。ステップS53(電極形成ステップ)においてはウェハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップS54(イオン打込みステップ)においてはウェハにイオンを打ち込む。以上のステップS51〜ステップS54のそれぞれは、ウェハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0074】
ウェハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップS55(レジスト形成ステップ)において、ウェハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップS56(露光ステップ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置)及び露光方法によってマスクの回路パターンをウェハに転写する。次に、ステップS57(現像ステップ)においては露光されたウェハを現像し、ステップS58(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップS59(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウェハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0075】
以上説明した本実施形態のマイクロデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップS56)において、主制御系24の処理の効率が行われて露光処理が実行されており、露光処理に要する時間を短縮することができるため、結果的に最小線幅が0.1μm程度の高集積度のデバイスを歩留まり良く且つ高スループットで生産することができる。
【0076】
また、半導体素子等のマイクロデバイスだけではなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置等で使用されるレチクル又はマスクを製造するために、マザーレチクルからガラス基板やシリコンウェハ等ヘ回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(深紫外)やVUV(真空紫外)光等を用いる露光装置では、一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶等が用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置や電子線露光装置等では、透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウェハ等が用いられる。なお、このような露光装置は、WO99/34255号、WO99/50712号、WO99/66370号、特開平11−194479号、特開2000−12453号、特開2000−29202号等に開示されている。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、上位制御部が制御コマンドを解析して得た移動制御情報に基づいて下位制御部がマスクステージと基板ステージとの同期移動制御を実行している間に、上位制御部が次の制御コマンドの解析を行うようにしているため、同期移動制御の終了を待ってから次の制御コマンドの解析を行う場合に比べて制御系における処理の効率化を図ることができるという効果がある。この結果として、露光処理に要する時間を短縮することができるという効果がある。
また、本発明によれば、制御コマンドで規定される下位制御部の処理と並行して上記制御部が次の制御コマンドの解析を行うようにしているため、制御系における処理の効率化を図ることができて露光処理に要する時間を短縮することができ、その結果高いスループットでデバイスを製造することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による露光装置EXの全体構成の概略を示す図である。
【図2】主制御系24の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による露光装置EXが備える主制御系24で行われる基本的な処理シーケンスを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による露光装置EXが備える主制御系24で行われる基本的な処理シーケンスの他の例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による露光装置EXが備える主制御系24で行われる走査露光時の処理シーケンスの具体例を示す図である。
【図6】マイクロデバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図7】半導体デバイスの場合における、図6のステップS43の詳細なフローの一例を示す図である。
【符号の説明】
R レチクル(マスク)
W ウェハ(基板)
31 レチクルステージ(マスクステージ)
37 ウェハステージ(基板ステージ)
EX 露光装置
50 シーケンスプロセッサ(上位制御部)
60 スレーブプロセッサ(上位制御部)
70 ファンクションプロセッサ(下位制御部)
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスクに形成されたパターンをフォトレジスト等の感光剤が塗布された基板上に転写する露光装置及び露光方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイス、液晶表示素子、撮像装置(CCD等)、薄膜磁気ヘッドその他のデバイスの製造工程におけるフォトリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下、これらを総称するときには、マスクという)に形成された回路パターンを、投影光学系を介して、表面にフォトレジストが塗布されたウェハ、ガラスプレート等の基板に投影する露光装置が用いられている。
【0003】
半導体デバイスを製造する際に用いる露光装置の一つとして、レチクルに形成されたパターンをウェハ上の各ショット領域に一括して縮小投影するステップ・アンド・リピート方式の露光装置(ステッパー)が知られている。ステッパーでは1つのショット領域に対して一括露光を行い、露光が終了するとウェハをステップ移動して次のショット領域に対する一括露光を行う動作が繰り返し行われる。
【0004】
また、半導体デバイスを製造する際に用いる他の露光装置として、レチクルに形成されたパターンの露光範囲を拡大するために、照明光学系からの露光光をスリット状に制限し、このスリット光を用いてレチクルに形成されたパターンの一部がウェハ上に縮小投影された状態で、レチクルとウェハとを投影光学系に対して同期移動させてパターンをウェハ上に逐次転写するステップ・アンド・スキャン方式の走査型の露光装置も用いられている。
【0005】
これらの露光装置は階層的に構成された制御系を備えており、上位に位置する制御系の下で、下位に位置する制御系が露光装置の各部の動作を制御することで、露光装置全体の動作が制御される。このように、制御系を階層的に構成するのは、統括的な制御を行う制御系と、単機能を制御する制御系とを分けて階層的に構成することにより各制御系の負荷が分散し、効率的で細かい制御が可能となるためである。また、制御対象(例えば、レチクルステージ又はウェハステージ)の変更又は増減があった場合に、大幅な装置構成の変更を伴わず変更又は増減のあった制御対象を制御する下位の制御系の変更、追加、又は削除で対応するためでもある。
【0006】
制御系が露光装置の動作を制御するときの基本的な制御手順は以下の通りである。まず、上位の制御系が露光動作に必要な各種の制御コマンドからなるレシピから制御コマンドを読み込んで内容を解析する。次に、上位の制御系が解析を終えた時点で解析結果を下位の制御系に出力して制御コマンドで規定される処理(例えば、レチクルステージ又はウェハステージの移動)を下位の制御系に行わせる。そして、下位の制御系が処理を終えると、その処理の実行結果を上位の制御系に出力し、この実行結果に基づいて上位の制御系が後処理(例えば、エラー処理)を行う。このような制御手順が順次繰り返されて、レシピに規定される動作が実行される。尚、従来の露光装置に設けられた制御系の構成及び動作の一例については、例えば以下の特許文献1を参照されたい。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−97338号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年においてはマイクロデバイスの製造効率を高めるために、スループット、即ち単位時間に露光処理を行うことができるウェハの枚数を向上させることが要求されている。この要求を達成するためには、ウェハ上に設定された複数のショットに対してパターンを転写している時間以外の時間、即ちパターンの転写に寄与しない無駄な時間を極力短縮する必要がある。
【0009】
しかしながら、上述した従来の露光装置においては、上位の制御系が制御コマンドの内容の解析を終了してから下位の制御系が制御対象の制御を行い、下位の制御系の処理が終了してから上位の制御系がその処理の実行結果に応じた後処理を行うようにしている。そして、上位の制御系は後処理を終えた後で次の制御コマンドの内容の解析を開始している。このため、無駄な時間が多く生じておりスループットの低下を招く要因の一つになっていたという問題があった。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、制御系における処理の効率化を図ることにより露光処理に要する時間を短縮することができ、その結果として高いスループットでデバイスを製造することができる露光装置及び露光方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点による露光装置は、マスク(R)を保持した状態で移動可能に構成されたマスクステージ(31)と、基板(W)を保持した状態で移動可能に構成された基板ステージ(37)とを備え、予め用意された制御コマンドに基づいて前記マスクステージと前記基板ステージとを同期移動させつつ前記マスクに形成されたパターンを逐次前記基板上に転写する露光装置(EX)において、前記制御コマンドを解析して、少なくとも前記マスクステージ及び前記基板ステージを移動させるための移動制御情報を得る上位制御部(60)と、前記上位制御部の解析により得られた前記移動制御情報に基づいて前記マスクステージと前記基板ステージとの同期移動制御を実行し、その実行結果を前記上位制御部に出力する下位制御部(70)とを備え、前記上位制御部は、前記制御コマンドの解析を終了後、前記下位制御部が前記同期移動制御を実行している間に次の制御コマンドの解析を行うことを特徴としている。
この発明によれば、上位制御部が制御コマンドを解析して得た移動制御情報に基づいて下位制御部がマスクステージと基板ステージとの同期移動制御を実行している間に、上位制御部が次の制御コマンドの解析を行うようにしているため、同期移動制御の終了を待ってから次の制御コマンドの解析を行う場合に比べて制御系における処理の効率化を図ることができる。この結果として、露光処理に要する時間を短縮することができる。
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点による露光装置は、予め用意された制御コマンドで規定される処理を実行してマスク(R)に形成されたパターンを基板(W)上に転写する露光装置(EX)において、前記制御コマンドを解析する上位制御部(50、60)と、前記上位制御部で解析された前記制御コマンドで規定される処理を実行し、当該処理の実行結果を前記上位制御部に出力する下位制御部(70)とを備え、前記上位制御部は、前記制御コマンドの解析を終了後、前記下位制御部が前記処理を行っている間に次の制御コマンドの解析を行うことを特徴としている。
この発明によれば、制御コマンドで規定される下位制御部の処理と並行して上位制御部が次の制御コマンドの解析を行うようにしているため、制御系における処理の効率化を図ることができて露光処理に要する時間を短縮することができ、その結果高いスループットでデバイスを製造することができるという効果がある。
上記課題を解決するために、本発明の露光方法は、予め用意された制御コマンドで規定される処理を実行してマスク(R)に形成されたパターンを基板(W)上に転写する露光方法において、前記制御コマンドを解析する解析ステップと、前記解析ステップで解析された前記制御コマンドで規定される処理を実行する実行ステップと、前記実行ステップ中に次の制御コマンドの解析を行う先行解析ステップとを含むことを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による露光装置及び露光方法について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による露光装置EXの全体構成の概略を示す図である。図1に示す露光装置EXは、図1中の投影光学系PLに対してマスクとしてのレチクルRと基板としてのウェハWとを相対的に移動させつつ、レチクルRに形成されたパターンをウェハWに逐次転写して半導体素子を製造するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置である。
【0013】
尚、以下の説明においては、図中にXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。図1に示すXYZ直交座標系は、X軸及びY軸がウェハWに対して平行となるよう設定され、Z軸がウェハWに対して直交する方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。
また、本実施形態ではレチクルR及びウェハWを同期移動させる方向(同期移動方向SD)をY方向に設定している。
【0014】
図1において、1は断面が略長方形状の平行光束である露光光ILを射出する露光光源であり、例えばArFエキシマレーザ光源(波長193nm)である。露光光源1からの波長193nmの紫外パルスよりなる露光光ILは、ビームマッチングユニット(BMU)2を通り、光アッテネータとしての可変減光器3に入射する。露光光源1の発光の開始及び停止、並びに出力(発振周波数、パルスエネルギー、パルス数)は、主制御系24が制御する。また、主制御系24は、可変減光器3における減光率を段階的、又は連続的に調整する。
【0015】
可変減光器3を通った露光光ILは、レンズ系4a,4bよりなるビーム成形系5を経て第1段のオプティカル・インテグレータ(ユニフォマイザ、又はホモジナイザ)としての第1フライアイレンズ6に入射する。この第1フライアイレンズ6から射出された露光光ILは、第1レンズ系7a、光路折り曲げ用のミラー8、及び第2レンズ系7bを介して第2段のオプティカル・インテグレータとしての第2フライアイレンズ9に入射する。
【0016】
第2フライアイレンズ9の射出面、即ちレチクルRのパターン面に対する光学的なフーリエ変換面(照明系の瞳面、投影光学系PLの瞳面と光学的に共役な面)には複数の開口絞りを備えた開口絞り板10が、駆動モータ10eによって回転自在に配置されている。
【0017】
開口絞り板10は駆動モータ10eの回転軸に接続されており、駆動モータ10eを駆動して開口絞り板10を回転させることにより、第2フライアイレンズ9の射出面に配置する開口絞りを切り替えることができる。駆動モータ10eの駆動は露光装置EXの全体の動作を統括制御する主制御系24が制御する。
【0018】
図1において、第2フライアイレンズ9から射出されて開口絞り板10に形成された開口絞りの何れかを通過した露光光ILは、透過率が高く反射率が低いビームスプリッタ11に入射する。ビームスプリッタ11で反射された露光光は、集光用のレンズ21を介して光電検出器よりなるインテグレータセンサ22に入射する。インテグレータセンサ22の検出信号は、主制御系24に供始されている。インテグレータセンサ22の検出信号とウェハW上での露光光ILの照度との関係は予め高精度に計測されて、主制御系24内の記憶部(不図示)に記憶されている。主制御系24は、インテグレータセンサ22の検出信号に基づいて、ウェハWに対する露光量を制御する。
【0019】
ビームスプリッタ11を透過した露光光ILは、光軸IAXに沿ってレンズ系12,13を順次経て、固定ブラインド(固定照明視野絞り)14及び可動ブラインド(可動照明視野絞り)15に入射する。固定ブラインド14は、後述する投影光学系PLの円形視野内の中央で同期移動方向SDと直交した方向に伸びた直線スリット状、又は矩形状(以下、まとめて「スリット状」という)の照明視野を形成する開口部を有する。
【0020】
可動ブラインド15は、光軸IAXに直交する面内において移動可能に構成されており、ウェハW上の各ショット領域への走査露光の開始時及び終了時に不要な露光を防止するために、又は照明視野領域の同期移動方向SDの幅を可変とするために使用される。また、可動ブラインド15は、ウェハWに転写するレチクルRのパターン領域を可変するために使用される。
【0021】
固定ブラインド14は、レチクルRのパターンが形成されている面(以下、レチクル面という)に対する共役面から光軸IAX方向に所定量だけデフォーカスした面に配置されている。このように、固定ブラインド14をデフォーカスさせて配置するのは、ウェハW上の任意の点での露光量(DOSE量)のばらつきを防止するため、ウェハW上に照射される露光光ILの同期移動方向SDにおける照度分布を台形形状とするためである。露光時に可動ブラインド15を通過した露光光ILは、光路折り曲げ用のミラー17、結像用のレンズ系18、コンデンサレンズ19、及び主コンデンサレンズ系20を順次介して、マスクとしてのレチクルRのパターン面(下面)の照明フィールド(照明視野領域)IAを照明する。
【0022】
尚、以上説明した露光光源1、ビームマッチングユニット2、可変減光器3、レンズ系4a,4bよりなるビーム成形系5、第1フライアイレンズ6、第1レンズ系7a、光路折り曲げ用のミラー8、第2レンズ系7b、第2フライアイレンズ9、開口絞り板10、ビームスプリッタ11、レンズ系12,13、固定ブラインド14、可動ブラインド15、光路折り曲げ用のミラー17、結像用のレンズ系18、コンデンサレンズ19、及び主コンデンサレンズ系20は、照明光学系ISを構成している。
【0023】
露光光ILのもとで、レチクルRの照明フィールドIA内の回路パターンの像が両側テレセントリックな投影光学系PLを介して所定の投影倍率β(βは例えば1/4又は1/5等)で、投影光学系PLの結像面に配置された基板としてのウェハW上のスリット状の露光フィールドEAに転写される。尚、投影光学系PLは片側テレセントリックであっても良い。本実施形態の投影光学系PLは、ジオプトリック系(屈折系)であるが、カタジオプトリック系(反射屈折系)や反射系も使用できることはいうまでもない。また、本実施形態では露光光ILが真空紫外光であるため、通常の空気中の酸素、二酸化炭素、水蒸気等によって大きく吸収されてしまう。これを避けるために、図1に示した露光光源1からウェハWまでの露光光ILの光路には、真空紫外光に対しても高透過率の高純度のパージガス(ヘリウム、ネオン等の希ガス、又は窒素ガス等の所謂不活性ガス)が供給されている。更に、投影光学系PLを構成する屈折部材の硝材としては、例えば合成石英又は蛍石(フッ化カルシウム:CaF2)が用いられる。
【0024】
図1において、レチクルRは、マスクステージとしてのレチクルステージ31上に吸着保持され、レチクルステージ31は、レチクルベース32上でY方向に等速移動できると共に、X方向にも微小移動でき、更にZ軸を中心とした回転移動もできるように載置されている。レチクルステージ31の一端には移動鏡33が取り付けられており、移動鏡33の鏡面に対面してレーザ干渉計34が設けられている。尚、図1では図示を簡略化しているが、移動鏡33はX軸に垂直な鏡面を有する移動鏡及びY軸に垂直な鏡面を有する移動鏡から構成されている。
【0025】
また、レーザ干渉計34は、Y軸に沿って移動鏡33にレーザ光を照射する2個のY軸用のレーザ干渉計及びX軸に沿って移動鏡33にレーザ光を照射するX軸用のレーザ干渉計より構成され、Y軸用の1個のレーザ干渉計及びX軸用の1個のレーザ干渉計によりレチクルステージ31のX座標及びY座標が計測される。また、Y軸用の2個のレーザ干渉計の計測値の差により、レチクルステージ31のZ軸回りの回転角が計測される。レーザ干渉計34によって検出されたレチクルステージ31のX座標、Y座標、及び回転角の情報は主制御系24に供給される。主制御系24は供給されたステージ位置情報をモニターしつつレチクルステージ31の位置決め動作を制御する。
【0026】
一方、ウェハWは、ウェハホルダ36を介して基板ステージとしてのウェハステージ37上に吸着保持され、ウェハステージ37は、ウェハベース38上で投影光学系PLの像面と平行なXY平面に沿って2次元移動する。即ち、ウェハステージ37は、ウェハベース38上でY方向に一定速度で移動すると共に、X方向、Y方向にステップ移動する。更に、ウェハステージ37には、ウェハWのZ方向の位置(フォーカス位置)、並びにX軸及びY軸の回りの傾斜角を制御するZレベリング機構も組み込まれている。
【0027】
ウェハステージ37の一端には移動鏡39が取り付けられており、移動鏡39の鏡面に対面してレーザ干渉計40が設けられている。尚、図1では図示を簡略化しているが、移動鏡39はX軸に垂直な鏡面を有する移動鏡及びY軸に垂直な鏡面を有する移動鏡から構成されている。また、レーザ干渉計40は、Y軸に沿って移動鏡39にレーザビームを照射する2個のY軸用のレーザ干渉計及びX軸に沿って移動鏡39にレーザビームを照射するX軸用のレーザ干渉計より構成され、Y軸用の1個のレーザ干渉計及びX軸用の1個のレーザ干渉計によりウェハステージ37のX座標及びY座標が計測される。また、Y軸用の2個のレーザ干渉計の計測値の差により、ウェハステージ37の回転角が計測される。レーザ干渉計40によって計測されたウェハステージ37のX座標、Y座標、及び回転角の情報は主制御系24に供給される。主制御系24は供給されたステージ位置情報をモニターしつつウェハステージ37の位置決め動作を制御する。
【0028】
また、ウェハステージ37上の一端には、ウェハステージ37の基準位置を定める基準部材45が設けられている。この基準部材45は、ウェハステージ37の座標系に対するレチクルRの相対的な位置及びベースラインを計測するために用いられる。ここで、ベースラインとは、例えばレチクルRに形成されたパターンの投影光学系PLによる投影像の中心位置と後述するウェハ・アライメントセンサ44の計測視野中心との距離をいう。この基準部材45には基準マークとして、例えば光透過性の5組のL字状パターンから成るスリットパターンと、光反射性のクロムで形成された2組の基準パターン(デューティ比は1:1)とが設けられている。
【0029】
また、本実施形態においては、投影光学系PLの結像面に向けてピンホール又はスリット状の像を形成するための結像光束を、投影光学系PLの光軸AXに対して斜め方向から供給する照射光学系43aと、その結像光束のウェハW表面での反射光束を受光する受光光学系43bとからなる斜入射方式の焦点位置検出系43が設けられている。この焦点位置検出系43により、ウェハW表面の結像面に対するZ方向の位置を検出してウェハWと投影光学系PLとの合焦状態を検出することができるようになっている。
【0030】
更に、本実施形態の露光装置は、オフ・アクシス方式のウェハ・アライメントセンサ44を投影光学系PLの側方に備える。このウェハ・アライメントセンサ44は、FIA(Field Image Alignment)方式のアライメントセンサである。
ウェハ・アライメントセンサ44は、例えばハロゲンランプから射出される広帯域波長の光束を検知ビームとしてウェハW上に照射し、ウェハWから得られる反射光をCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子で撮像し、得られた画像信号を画像処理することでウェハWに形成されたマークのX方向及びY方向における位置情報を計測する。ウェハ・アライメントセンサ44の計測結果は主制御系24に供給される。
【0031】
また更に、本実施形態の露光装置は、レチクルステージ31の上方に配置されたレチクル・アライメントセンサ46を備える。このレチクル・アライメントセンサ46は、レチクルRの外周付近に形成された位置検出用のレチクルマークと投影光学系PLを介してウェハステージ37上に形成された基準部材45とを同時に観察し、レチクルRとウェハステージ37との相対的な位置関係を直接的に計測(観察)する。
【0032】
レチクル・アライメントセンサ46の計測結果は主制御系24へ出力され、画像処理、演算処理、フィルタリング処理等の処理が施されてレチクルRとウェハステージ37の相対的な位置ずれ量が求められる。そして、主制御系24は、この位置ずれ量に応じてレチクルステージ31を微動させ、レチクルRとウェハステージ37とを相対的に位置決めする。このレチクル・アライメントセンサ46は、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のアライメントセンサの一種であるTTR(スルー・ザ・レチクル)方式のアライメントセンサである。
【0033】
次に、主制御系24の構成について説明する。図2は、主制御系24の概略構成を示すブロック図である。図2に示す通り、本実施形態の露光装置に設けられる主制御系24は上位、中位、及び下位の3層の制御系から構成されている。尚、図示は省略しているが、主制御系24は、露光装置EXの動作を規定する各種の制御コマンド、及び露光条件情報を格納したレシピを記憶する記憶部を備えている。この記憶部は、例えばハードディスク等の外部記憶装置、又は半導体メモリ等の内部記憶装置から構成される。
【0034】
主制御系24を構成する最上位の制御系は、シーケンスプロセッサ50であり、主制御系24に設けられた不図示の記憶部に記憶された制御コマンドをレシピに格納された露光条件情報とともに順次発行する。シーケンスプロセッサ50は、オペレーティング・システム(OS)として、例えばコンパック株式会社製のOSである、VMSを備えており、マルチタスク処理が可能なワークステーションで実現される。このシーケンスプロセッサ50の下位には主制御系24を構成する中位の制御系となるスレーブプロセッサ60が配置されている。スレーブプロセッサ60は、シーケンスプロセッサ50から発行された制御コマンドを解析し、ファンクションプロセッサ70(後述)に対して実行処理コマンドを発行する。
【0035】
このスレーブプロセッサ60は、ボディーコントローラ61、レチクルローダコントローラ62、及びウェハローダコントローラ63等から構成される。これらのスレーブプロセッサ60は、例えばウインドリバー株式会社製のOSであるVxWorksを備えており、マルチタスク処理が可能なコンピュータ(例えば、PowerPC(登録商標))で実現される。また、シーケンスプロセッサ50とスレーブプロセッサ60とはイーサネット(登録商標)で接続されており、相互に通信を行いつつ露光装置EXの各部を制御する。
【0036】
ボディーコントローラ61は、主としてレチクルRに形成されたパターンをウェハW上に転写する際の露光装置EXの各部の動作を制御するコントローラである。レチクルローダコントローラ62は、複数のレチクルRを格納するレチクルライブラリ(不図示)から所定のレチクルRをレチクルステージ31上へ搬入(ロード)し、レチクルステージ31上に保持されたレチクルRをレチクルライブラリに搬出(アンロード)するレチクルローダの制御を行うコントローラである。また、ウェハローダコントローラ63は、ウェハWを複数枚格納するウェハカセット(不図示)からウェハWをウェハステージ37上へ搬入(ロード)し、ウェハステージ37上に保持されたウェハWを搬出(アンロード)して別のウェハカセットに格納させるウェハローダの制御を行うコントローラである。
【0037】
上記のボディーコントローラ61、レチクルローダコントローラ62、及びウェハローダコントローラ63各々の下位には、主制御系24を構成する最下位の制御系となるファンクションプロセッサ70が配置されている。ファンクションプロセッサ70は、スレーブプロセッサ60と同様に、例えばウインドリバー株式会社製のOSであるVxWorksを備えており、マルチタスク処理が可能なコンピュータ(例えば、PowerPC(登録商標))で実現される。上記のスレーブプロセッサ60とファンクションプロセッサ70とは、高速化のために光ファイバで接続されており、相互に通信を行いつつ露光装置EXの各部を制御する。また、各ファンクションプロセッサ71〜79間も光ファイバで接続されており、相互に高速な通信が行われている。
【0038】
ボディーコントローラ61の下位に配置されるファンクションプロセッサ70としては、レチクルステージコントローラ71、ウェハステージコントローラ72、オートフォーカスコントローラ73、ウェハテーブルコントローラ74、ブラインドコントローラ75、防振台コントローラ76、干渉計コントローラ77、露光コントローラ78、及びアライメントコントローラ79等がある。
【0039】
レチクルステージコントローラ71は、レーザ干渉計34によって検出され、干渉計コントローラ77(後述)によって処理されて求められたレチクルステージ31の位置情報を参照しながら、ボディーコントローラ61から与えられる位置情報を目標値としてレチクルステージ31の位置決め動作を制御する。ウェハステージコントローラ72(後述)は、レーザ干渉計40によって検出され、干渉計コントローラ77(後述)によって処理されて求められたウェハステージ37の位置情報を参照しながら、ボディーコントローラ61から与えられる位置情報を目標値としてウェハステージ37の位置決め動作を制御する。
【0040】
オートフォーカスコントローラ73は、ボディーコントローラ61の制御の下で焦点位置検出系43が備える受光光学系43bの検出結果に基づいて、投影光学系PLの像面に対するウェハW表面の合焦状態(ずれ具合)を検出し、ウェハWの表面が投影光学系PLの像面に一致するようにウェハステージ37を制御する。ウェハテーブルコントローラ74は、ウェハステージ37のZ方向の位置及びZ軸回り、Y軸回りの回転量(傾き)を制御して、例えば露光時における投影光学系PLの像面にウェハW表面を合致させる。ブラインドコントローラ75は、可動ブラインド15の開口の大きさを制御するとともに、露光時においてレチクルステージ31の移動に同期させて可動ブラインド15を光軸IAXに垂直な面内(例えば、Z方向)で移動させることで、不要な露光光ILがウェハW上に照射されるのを防止する。
【0041】
防振台コントローラ76は、外部から露光装置に伝わる振動及びレチクルステージ31又はウェハステージ37の移動により生ずる振動を抑制するための防振台(図示省略)を制御するコントローラである。干渉計コントローラ77は、レチクルステージ31に関して設けられたレーザ干渉計34及びウェハステージ37に関して設けられたレーザ干渉計40が検出した信号を処理し、それぞれの位置情報を求める。露光コントローラ78は、露光光源1の発光及び停止をボディーコントローラ61の指令に従って制御するとともに、インテグレータセンサ22の検出信号より間接的にウェハWに対する露光量を求め、これに基づいて露光光源1の出力(発振周波数、パルスエネルギー、パルス数)を制御し、可変制御器3の減光率を段階的又は連続的に調整する。
【0042】
アライメントコントローラ79は、レチクル・アライメントセンサ46及びウェハ・アライメントセンサ44を制御する。このアライメントコントローラ76が行う制御は、例えば、レチクル・アライメントセンサ46を計測位置へ移動させる制御、及びウェハ・アライメントセンサ44から検知ビームの射出を開始する制御、並びに検出された信号を所定のアルゴリズムに従って処理する制御等である。
【0043】
次に、露光処理において上記構成を有する主制御系24で実行される処理シーケンスについて説明する。図3は、本発明の一実施形態による露光装置EXが備える主制御系24で行われる基本的な処理シーケンスを示す図である。図3に示す通り、主制御系24内において実行される処理シーケンスは、「解析・準備処理」、「下位実行処理」、及び「後処理」の3つの処理から構成される。斜線を付していない「解析・準備処理」及び「後処理」は上位の制御系で実行され、斜線を付した「下位実行処理」は下位の制御系で実行される。
【0044】
例えば、図2に示すシーケンスプロセッサ50とスレーブプロセッサ60とに着目すると、「解析・準備処理」及び「後処理」はシーケンスプロセッサ50で実行され、「下位実行処理」はスレーブプロセッサ60で実行される。また、図2に示すスレーブプロセッサ60とファンクションプロセッサ70とに着目すると、「解析・準備処理」及び「後処理」はスレーブプロセッサ60で実行され、「下位実行処理」はファンクションプロセッサ70で実行される。
【0045】
ここで、図2に示すスレーブプロセッサ60とファンクションプロセッサ70とに着目し、シーケンスプロセッサ50から2つの制御コマンドが出力され、各々の制御コマンドに対してシーケンスC1,C2が実行される場合を考える。シーケンスプロセッサ50から最初の制御コマンドが出力されると、スレーブプロセッサ60はシーケンスC1の「解析・準備処理」を行う(解析ステップ)。シーケンスC1の「解析・準備処理」が完了すると、その解析結果はファンクションプロセッサ70に出力され、ファンクションプロセッサ70において解析結果に応じた処理が行われる(実行ステップ)。
【0046】
一方、スレーブプロセッサ60でシーケンスC1の「解析・準備処理」が完了すると、スレーブプロセッサ60は次にシーケンスプロセッサ50から出力される次の制御コマンドを受け取り、シーケンスC2の「解析・準備処理」を行う。(先行解析ステップ)つまり、ファンクションプロセッサ70でシーケンスC1の「下位実行処理」が実行されている最中に、並列してスレーブプロセッサ60でシーケンスC2の「解析・準備処理」が行われる。
【0047】
制御コマンドの「解析・準備処理」はスレーブプロセッサ60を構成する電子回路で電気処理により行われ、「下位実行処理」は、例えばレチクルステージ31又はウェハステージ37の移動等の機械的な処理であるため、通常は「解析・準備処理」を完了するのに要する時間の方が「下位実行処理」を完了するのに要する時間よりも短い。例えば、「解析・準備処理」に要する時間は10msec程度であり、「下位実行処理」に要する時間は100〜2000msec程度である。このため、シーケンスC1の「下位実行処理」がファンクションプロセッサ70で行われている間にスレーブプロセッサ60はシーケンスC2の「解析・準備処理」を完了する。
【0048】
ファンクションプロセッサ70がシーケンスC1の「下位実行処理」を完了すると、その実行結果がスレーブプロセッサ60に出力される。この実行結果に基づいて、スレーブプロセッサ60はシーケンスC1の「後処理」を行う。スレーブプロセッサ60がシーケンスC1の「後処理」を終えると、先にスレーブプロセッサ60で実行されて完了しているシーケンスC2の「解析・準備処理」の解析結果がファンクションプロセッサ70に出力され、ファンクションプロセッサ70において解析結果に応じた処理(「下位実行処理」)が行われる。そして、この処理を終えると、ファンクションプロセッサ70からスレーブプロセッサ60に実行結果が出力され、この実行結果に基づいてスレーブプロセッサ60がシーケンスC2の「後処理」を行う。
【0049】
このように、本実施形態においては、ファンクションプロセッサ70が先の制御コマンドの処理シーケンスであるシーケンスC1の「下位実行処理」を行っている間に、スレーブプロセッサ60が次の制御コマンドの処理シーケンスであるシーケンスC2の「解析・準備処理」を行っている。このため、シーケンスC1を終えた後に直ちに、シーケンスC2の「下位実行処理」を行うことができるため制御系における処理の効率化を図ることができる。
【0050】
尚、図3中に示した「後処理」は、「下位実行処理」を実行した結果、露光処理を継続できるか又は露光処理を継続できない程のエラーが生じたかを判定する「エラー判定処理」と、その他の処理(例えば、ファンクションプロセッサ70の制御対象が所定の精度内で動作しているか否かの情報を得る処理)とに大別される。このため、図4に示す処理シーケンスにすることもできる。図4は、本発明の一実施形態による露光装置EXが備える主制御系24で行われる基本的な処理シーケンスの他の例を示す図である。
【0051】
図4に示す処理シーケンスでは、ファンクションプロセッサ70がシーケンスC1の「下位実行処理」を完了してその実行結果をスレーブプロセッサ60に出力したときに、スレーブプロセッサ60は「エラー判定処理」のみを行う。この判定により、露光処理を継続できない程のエラーは生じておらず露光処理を継続できると判定した場合には、直ちにファンクションプロセッサ70がシーケンスC2の「下位実行処理」を行う。そして、ファンクションプロセッサ70でシーケンスC2の「下位実行処理」が行われている間に並列してスレーブプロセッサ60でその他の「後処理」を行っている。
【0052】
「後処理」は「解析・準備処理」と同様に、スレーブプロセッサ60を構成する電子回路で電気処理により行われるため、通常は「後処理」を完了するのに要する時間の方が「下位実行処理」を完了するのに要する時間よりも短い。例えば、「後処理」に要する時間は、2〜3msec程度である。このため、シーケンスC2の「下位実行処理」がファンクションプロセッサ70で行われている間にスレーブプロセッサ60はシーケンスC1の「後処理」を完了する。このような処理シーケンスを用いると、ファンクションプロセッサ70でシーケンスC1の「下位実行処理」とシーケンスC2の「下位実行処理」とがほぼ連続的に行われるため、更なる処理の効率化を図ることができる。
【0053】
以上、本発明の一実施形態による露光装置EXが備える主制御系24で行われる基本的な処理シーケンスについて説明したが、次に露光装置EXで実行される走査露光時の処理シーケンスをより具体的に説明する。図5は、本発明の一実施形態による露光装置EXが備える主制御系24で行われる走査露光時の処理シーケンスの具体例を示す図である。
【0054】
図5において、まずシーケンスプロセッサ50がスキャン露光を指令する制御コマンド(露光コマンド)をスレーブプロセッサ60へ送信する(ステップS10)。尚、ここに示す例では、ウェハW上に設定された各ショット領域毎に制御コマンドが用意されているとする。ここで、スレーブプロセッサ60へ送信されるスキャン露光コマンドには、ウェハW上における最初に露光すべきショット領域の露光中心位置、ショット領域の形状(可動ブラインド15の形状)、露光量、及びフォーカスオフセット量等の情報が含まれている。このスキャン露光コマンドを受け取ると、スレーブプロセッサ60は「解析・準備処理」を開始する(ステップS11)。
【0055】
シーケンスプロセッサ50はステップS10においてスレーブプロセッサ60に対してスキャン露光コマンドを出力した後、次のショット領域を露光するためのスキャン露光コマンドをスレーブプロセッサ60へ送信する(ステップS20)。つまり、スレーブプロセッサ60が「解析・準備処理」を行っている最中に次のスキャン露光コマンドがスレーブプロセッサ60へ送信される。スレーブプロセッサ60がステップS20で送信されてきたスキャン露光コマンドを受信すると、このスキャン露光指令に対して直ちに「解析・準備処理」は行わず、一時的に記憶して処理待ちの状態に設定する(ステップS21)。
【0056】
スレーブプロセッサ60がステップS11における「解析・準備処理」を完了すると、レチクルステージ31及びウェハステージ37のスキャン速度、スキャン加減速距離、スキャン開始位置、スキャン加速開始位置、ウェハステージ/レチクルステージ間の座標変換行列、可動ブラインド15の目標位置、及び防振台の許容値等の情報が得られる。これらの情報は光ファイバを介して各ファンクションプロセッサ70に実行処理コマンドと共に送信される(ステップS12)。
【0057】
上記の情報の内のレチクルステージ31及びウェハステージ37のスキャン速度、スキャン加減速距離、スキャン開始位置、及びウェハステージ/レチクルステージ間の座標変換行列は、ファンクションプロセッサ70の一部をなすレチクルステージコントローラ71及びウェハステージコントローラ72へ送信される。また、スキャン加速開始位置、ショット領域の露光中心位置、及びフォーカスオフセット等の情報は、オートフォーカスコントローラ73及びウェハテーブルコントローラ74に送信される。更に、可動ブラインド15の目標位置を示す情報はブラインドコントローラ75へ送信され、防振台の許容値を示す情報は防振台コントローラ76へ送信され、露光量を示す情報は露光コントローラ78へ送信される。
【0058】
これらの各種情報を含む処理コマンドをファンクションプロセッサ70が受信すると、ファンクションプロセッサ70は「下位実行処理」を開始する(ステップS13)。具体的には、ファンクションプロセッサ70の一部をなすレチクルステージコントローラ71及びウェハステージコントローラ72は、レチクルステージ31及びウェハステージ37をそれぞれスキャン開始位置へ移動させるとともに、オートフォーカスコントローラ73が計測するウェハWの姿勢情報に基づいて、ウェハテーブルコントローラ74がウェハステージ37の姿勢を制御する。かかる制御が終了すると、レチクルステージコントローラ71及びウェハステージコントローラ72が各々のステージの加速を開始する。
【0059】
そして、レチクルステージ31及びウェハステージ37が所定の速度に達するとともに露光開始位置に達したときに、露光コントローラ78が露光光源1に対して制御信号を出力して露光光ILを射出させ、レチクルRに形成されたパターンの転写を開始する。レチクルRのパターンを転写を行っている最中は、レチクルステージコントローラ71及びウェハステージコントローラ72はレチクルステージ31及びウェハステージ37の各々を一定速度で同期走査させる。
【0060】
ここで、ウェハコントローラ72は、ウェハW上の所定のショット領域がレチクルRのパターン像の露光フィールドEAに対して速度Vwで+Y方向(又は−Y方向)に走査するようにウェハステージ37を制御し、レチクルステージコントローラ71はレチクルRが露光光ILの照明フィールドIAに対して速度Vw/β(βはレチクルRからウェハWへの投影倍率)で−Y方向(又は+Y方向)にウェハWと同期して走査するようにレチクルステージ31を制御する。
【0061】
レチクルRとウェハWとの移動方向が逆であるのは、本実施形態の投影光学系PLが反転投影を行うためである。また、露光コントローラ78は、レチクルRのパターン転写中、インテグレータセンサ22を介してウェハWに対する露光光ILの照度(単位時間当たりのパルスエネルギーの和)の積分値を逐次積算し、その結果に応じて走査露光後のウェハW上のフォトレジストの各点でボディーコントローラ61から指定された露光量が得られるように、露光光源1の出力(発振周波数、パルスエネルギー、パルス数)及び可変減光器3の減光率を制御する。
【0062】
一方、オートフォーカスコントローラ71はパターンの転写を行っている最中も、ウェハステージ37の姿勢を常時検出し、ウェハテーブルコントローラ74がその検出結果に応じてウェハステージ37の制御を行っている。また、防振台コントローラ74は不図示の防振台(ボディー)の目標位置を常時監視している。
【0063】
レチクルステージ31及びウェハステージ37が露光終了位置に達すると、露光コントローラ78が露光光源1に対して制御信号を出力して露光光ILの発光を停止させるとともに、レチクルステージコントローラ71及びウェハステージコントローラ72がレチクルステージ31及びウェハステージ37を減速させて、停止させる。
【0064】
一方、上記ステップS12において、スレーブプロセッサ60が解析により得た情報をファンクションプロセッサ70に送信し終えると、スレーブプロセッサ60は、ステップS20でシーケンスプロセッサ50から送信されたスキャン露光コマンドに対する「解析・準備処理」を開始する(ステップS22)。ここでは、次に露光すべきショット領域に対するスキャン加速開始位置、ショット領域の露光中心位置等の情報が得られるとする。図5に示す通り、ステップS22の処理に要する時間は、ステップS13の処理に要する時間よりも短いため、スレーブプロセッサ60は、「解析・準備処理」を終了すると、得られた情報を一時的に記憶して、待機状態に移る(ステップS23)。
【0065】
ファンクションプロセッサ70におけるステップS13の処理が終了すると、ファンクションプロセッサ70はスレーブプロセッサ60に対してステップS13の処理の実行結果を送信する(ステップS14)。ここで、レチクルステージコントローラ71、ウェハステージコントローラ72、及びウェハテーブルコントローラ74からは、実行結果としてエラーコード及びレチクルステージ31とウェハステージ37との同期誤差を示す情報が送信され、オートフォーカスコントローラ73からフォーカス追従誤差を示す情報と共にエラーコードが送信される。また、ブラインドコントローラ75からは、エラーコード及び可動ブラインド15の設定精度を示す情報が送信される。更に、露光コントローラ78からは露光量制御精度を示す情報が送信され、防振台コントローラ74からは露光中のボディーの位置及び振動情報と共にエラーコードが送信される。
【0066】
ファンクションプロセッサ70から実行結果が送信されてくると、スレーブプロセッサ60は、実行結果に含まれるエラーコードに基づいて、露光処理を継続することができるか否かを判定するエラー判定処理を行う(ステップS15)。エラー判定処理の結果、露光処理の継続が可能と判定されると、スレーブプロセッサ60は、ステップS22の「解析・準備処理」で得た情報を含む実行処理コマンドをファンクションプロセッサ70へ出力する(ステップS24)。この実行処理コマンドを受信すると、ファンクションプロセッサ70はステップS13に示した動作と同様の動作を行って次に露光すべきショット領域の露光処理を行う(ステップS25)。
【0067】
一方、ステップS15のエラー判定処理を終えると、スレーブプロセッサ60は、「後処理」を実行する(ステップS16)。この「後処理」は、例えば、レチクルステージ31とウェハステージ37との同期精度(相対位置ずれ量の平均値及びばらつき)、オートフォーカスの追従同期精度、露光量制御精度等が予め設定された閾値を越えておらず、予め設定された精度内であるかを判定する。以上の処理を終了すると、スレーブプロセッサ60はエラーコード及びステップS16で求めた同期精度等の情報をシーケンスプロセッサ50へ送信する(ステップS17)。以上説明した処理を繰り返して、露光装置EXはウェハW上に設定された全てのショット領域に対する露光処理を行う。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、主制御系24がシーケンスプロセッサ50、スレーブプロセッサ60、及びファンクションプロセッサ70の3層の制御系を備える場合を例に挙げて説明したが、本発明は、少なくとも2層以上の制御系を備える場合に適用することが可能である。また、上記実施形態では、ウェハW上に設定されたショット領域毎に制御コマンドが用意されている場合を例に挙げて説明したが、制御コマンドが用意される単位は、例えばウェハW毎、又はロット(所定枚数のウェハ)毎であっても良い。
【0069】
また、上記実施形態では露光光源1として、ArFエキシマレーザ光源の場合を例に挙げて説明したが、これ以外に露光光源1としては、例えばg線(波長436nm)、i線(波長365nm)を射出する超高圧水銀ランプ、又はKrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)、Kr2レーザ(波長146nm)、YAGレーザの高周波発生装置、若しくは半導体レーザの高周波発生装置を用いることができる。
【0070】
また、本発明は半導体素子の製造に用いられる露光装置だけではなく、液晶表示素子(LCD)等を含むディスプレイの製造に用いられてデバイスパターンをガラスプレート上へ転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられてデバイスパターンをセラミックウェハ上へ転写する露光装置、及びCCD等の撮像素子の製造に用いられる露光装置等にも適用することができる。更には、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウェハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウェハなどが用いられる。
【0071】
次に、本発明の一実施形態による露光装置及び露光方法をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法の実施形態について説明する。図6は、マイクロデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートを示す図である。図6に示すように、まず、ステップS40(設計ステップ)において、マイクロデバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS41(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスク(レチクル)を製作する。一方、ステップS42(ウェハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウェハを製造する。
【0072】
次に、ステップS43(ウェハ処理ステップ)において、ステップS40〜ステップS42で用意したマスクとウェハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウェハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS44(デバイス組立ステップ)において、ステップS43で処理されたウェハを用いてデバイス組立を行う。このステップS44には、ダイシング工程、ボンティング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。最後に、ステップS45(検査ステップ)において、ステップS44で作製されたマイクロデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にマイクロデバイスが完成し、これが出荷される。
【0073】
図7は、半導体デバイスの場合における、図6のステップS43の詳細なフローの一例を示す図である。図7において、ステップS51(酸化ステップ)においてはウェハの表面を酸化させる。ステップS52(CVDステップ)においてはウェハ表面に絶縁膜を形成する。ステップS53(電極形成ステップ)においてはウェハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップS54(イオン打込みステップ)においてはウェハにイオンを打ち込む。以上のステップS51〜ステップS54のそれぞれは、ウェハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0074】
ウェハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップS55(レジスト形成ステップ)において、ウェハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップS56(露光ステップ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置)及び露光方法によってマスクの回路パターンをウェハに転写する。次に、ステップS57(現像ステップ)においては露光されたウェハを現像し、ステップS58(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップS59(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウェハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0075】
以上説明した本実施形態のマイクロデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップS56)において、主制御系24の処理の効率が行われて露光処理が実行されており、露光処理に要する時間を短縮することができるため、結果的に最小線幅が0.1μm程度の高集積度のデバイスを歩留まり良く且つ高スループットで生産することができる。
【0076】
また、半導体素子等のマイクロデバイスだけではなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置等で使用されるレチクル又はマスクを製造するために、マザーレチクルからガラス基板やシリコンウェハ等ヘ回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(深紫外)やVUV(真空紫外)光等を用いる露光装置では、一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶等が用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置や電子線露光装置等では、透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウェハ等が用いられる。なお、このような露光装置は、WO99/34255号、WO99/50712号、WO99/66370号、特開平11−194479号、特開2000−12453号、特開2000−29202号等に開示されている。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、上位制御部が制御コマンドを解析して得た移動制御情報に基づいて下位制御部がマスクステージと基板ステージとの同期移動制御を実行している間に、上位制御部が次の制御コマンドの解析を行うようにしているため、同期移動制御の終了を待ってから次の制御コマンドの解析を行う場合に比べて制御系における処理の効率化を図ることができるという効果がある。この結果として、露光処理に要する時間を短縮することができるという効果がある。
また、本発明によれば、制御コマンドで規定される下位制御部の処理と並行して上記制御部が次の制御コマンドの解析を行うようにしているため、制御系における処理の効率化を図ることができて露光処理に要する時間を短縮することができ、その結果高いスループットでデバイスを製造することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による露光装置EXの全体構成の概略を示す図である。
【図2】主制御系24の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による露光装置EXが備える主制御系24で行われる基本的な処理シーケンスを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による露光装置EXが備える主制御系24で行われる基本的な処理シーケンスの他の例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による露光装置EXが備える主制御系24で行われる走査露光時の処理シーケンスの具体例を示す図である。
【図6】マイクロデバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図7】半導体デバイスの場合における、図6のステップS43の詳細なフローの一例を示す図である。
【符号の説明】
R レチクル(マスク)
W ウェハ(基板)
31 レチクルステージ(マスクステージ)
37 ウェハステージ(基板ステージ)
EX 露光装置
50 シーケンスプロセッサ(上位制御部)
60 スレーブプロセッサ(上位制御部)
70 ファンクションプロセッサ(下位制御部)
Claims (9)
- マスクを保持した状態で移動可能に構成されたマスクステージと、基板を保持した状態で移動可能に構成された基板ステージとを備え、予め用意された制御コマンドに基づいて前記マスクステージと前記基板ステージとを同期移動させつつ前記マスクに形成されたパターンを逐次前記基板上に転写する露光装置において、
前記制御コマンドを解析して、少なくとも前記マスクステージ及び前記基板ステージを移動させるための移動制御情報を得る上位制御部と、
前記上位制御部の解析により得られた前記移動制御情報に基づいて前記マスクステージと前記基板ステージとの同期移動制御を実行し、その実行結果を前記上位制御部に出力する下位制御部とを備え、
前記上位制御部は、前記制御コマンドの解析を終了後、前記下位制御部が前記同期移動制御を実行している間に次の制御コマンドの解析を行うことを特徴とする露光装置。 - 前記実行結果は、前記マスクステージと前記基板ステージとの同期誤差に関する情報を含むことを特徴とする請求項1記載の露光装置。
- 前記上位制御部は、前記下位制御部が前記次の移動制御情報に基づいて前記マスクステージと前記基板ステージとの同期移動制御を実行している間に、前記下位制御部から得られた前記同期誤差が所定の精度内であるか否かを判定することを特徴とする請求項2記載の露光装置。
- 予め用意された制御コマンドで規定される処理を実行してマスクに形成されたパターンを基板上に転写する露光装置において、
前記制御コマンドを解析する上位制御部と、
前記上位制御部で解析された前記制御コマンドで規定される処理を実行し、当該処理の実行結果を前記上位制御部に出力する下位制御部とを備え、
前記上位制御部は、前記制御コマンドの解析を終了後、前記下位制御部が前記処理を行っている間に次の制御コマンドの解析を行うことを特徴とする露光装置。 - 前記上位制御部は、前記下位制御部から前記実行結果を受け取る前に、前記次の制御コマンドの解析を開始することを特徴とする請求項4記載の露光装置。
- 前記上位制御部は、前記下位制御部が前記次のコマンドで規定される処理を実行している間に、前記下位制御部から得られた実行結果を用いた後処理を行うことを特徴とする請求項5記載の露光装置。
- 前記制御コマンドは、前記基板に設定された1つのショット領域に対する露光処理を単位として用意されることを特徴とする請求項4から請求項6の何れか一項に記載の露光装置。
- 予め用意された制御コマンドで規定される処理を実行してマスクに形成されたパターンを基板上に転写する露光方法において、
前記制御コマンドを解析する解析ステップと、
前記解析ステップで解析された前記制御コマンドで規定される処理を実行する実行ステップと、
前記実行ステップ中に次の制御コマンドの解析を行う先行解析ステップとを含むことを特徴とする露光方法。 - 前記制御コマンドは、前記基板に設定された1つのショット領域に対する露光処理を単位として用意されることを特徴とする請求項8記載の露光方法。
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JP2003193573A JP2005032813A (ja) | 2003-07-08 | 2003-07-08 | 露光装置及び露光方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007123608A (ja) * | 2005-10-28 | 2007-05-17 | Nikon Corp | デバイス製造処理システム、露光装置及び露光方法、測定検査装置及び測定検査方法、並びにデバイス製造方法 |
JP2018116287A (ja) * | 2012-10-12 | 2018-07-26 | ローレンス リバモア ナショナル セキュリティー, エルエルシー | 光学基板の平坦化 |
-
2003
- 2003-07-08 JP JP2003193573A patent/JP2005032813A/ja not_active Withdrawn
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