JP2004311555A - ビルドアップ多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビルドアップ層に形成された小径且つ高いアスペクト比のビア形成用穴に、フィルドビアを比較的簡単に形成することができるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法を提供すること。
【解決手段】所定厚さの絶縁層にビア形成用穴を形成し、無電解めっき浴を用いて絶縁層全体に下地めっき層を形成し、フィルドビア用添加剤を用いた電解めっき浴を用いて、下地めっき層に対する電解パネルめっきを行いビア形成用穴を埋めること。ビア形成用穴の開口径が、厚さ20μm〜150μmの絶縁層にて100μm以下で、ビア形成用穴のアスペクト比が0.7以上。
【選択図】図1
【解決手段】所定厚さの絶縁層にビア形成用穴を形成し、無電解めっき浴を用いて絶縁層全体に下地めっき層を形成し、フィルドビア用添加剤を用いた電解めっき浴を用いて、下地めっき層に対する電解パネルめっきを行いビア形成用穴を埋めること。ビア形成用穴の開口径が、厚さ20μm〜150μmの絶縁層にて100μm以下で、ビア形成用穴のアスペクト比が0.7以上。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板の製造方法に関するものであり、特に、小径且つ高いアスペクト比のビア形成用穴に、比較的簡単にフィルドビアを形成することができるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、導体パターンの高多層化や高密度化等を図ることにより、高密度実装が可能な配線板を作製することが盛んに試みられている。その例としては、アディティブプロセスに形成されるビルドアップ層をベース基板上に備えた多層プリント配線板が知られている。
【0003】
このような多層プリント配線板におけるビルドアップ層は、次のような手順により形成される。
1)ベース基板上に絶縁層形成用のアディティブ接着剤を厚さ数十μmに塗布する。
2)形成された絶縁層に対して露光、現像を行うことにより、所定箇所に内径100μm〜200μm程度のビア形成用穴を形成する。
3)粗化処理、触媒核付与及びその活性化処理を行った後、無電解めっきを施すことにより、絶縁層の表面全体に下地めっき層を形成する。
4)下地めっき層に対して電解パネルめっきを施す。このとき同時に、ビア形成用穴内にめっき層を析出させフィルドビアを形成する。
5)絶縁層上に析出しためっき層をエッチングすることにより、所定形状の導体パターンを形成する。
上記、1)〜5)の諸工程を繰り返す。
【0004】
以上の結果、絶縁層と導体層を交互に積層してなるビルドアップ層が形成され、ビルドアップ多層プリント配線板を作る事が出来る。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−261870号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この種のビルドアップ多層プリント配線板では、ビルドアップ層の表面を平坦な状態にするという要求がある。これは、ビルドアップ層の表面に凹凸があると、はんだボイドの発生などにより、表面実装時に各電子部品の障害を起こすからである。
このような凹凸が発生する最大の原因としては、ビアに対する穴埋めが不完全で、ビアの中央部が窪んでしまうことが挙げられる。よって、めっき層でビア形成用穴を完全に穴埋めするフィルドビアを形成することが望ましいと考えられている。
【0007】
しかしながら、近年の導体パターンの高多層化や高密度化によりビアの小径化や高アスペクト比化が進むことによりビア形成用穴はより小さく、また、深くなっている。そのため、フィルドビアを形成する電解パネルめっきを行う場合に、ビア形成用穴の中でのめっき液交換がされにくくなり、結果として、めっき層による穴埋めが不完全でビアの中央部が窪んでしまうことや、めっき層中にボイド(空洞化)が発生してしまうという問題が生じていた。
【0008】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、ビルドアップ層を構成する絶縁層に形成された小径且つ高いアスペクト比のビア形成用穴に、フィルドビアを比較的簡単に形成することができるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ベース基板上に設けられたビルドアップ層を構成する絶縁層に、めっき法によってフィルドビアを形成するビルドアップ多層プリント配線板の製造方法において、
1)所定厚さの絶縁層にビア形成用穴を形成し、
2)無電解めっき浴を用いて該絶縁層全体に下地めっき層を形成し、
3)フィルドビア用添加剤を用いた電解めっき浴を用いて、該下地めっき層に対する電解パネルめっきを行い、
上記ビア形成用穴を埋めることを特徴とするビルドアップ多層プリント配線板の製造方法である。
【0010】
また、本発明は、上記発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法において、前記ビア形成用穴の開口径の寸法が、厚さ20μm〜150μmの絶縁層において100μm以下であり、ビア形成用穴のアスペクト比が0.7以上であることを特徴とするビルドアップ多層プリント配線板の製造方法である。
【0011】
また、本発明は、上記発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法において、前記無電解めっき浴が無電解銅めっき浴であり、前記電解めっき浴が電解硫酸銅めっき浴であることを特徴とするビルドアップ多層プリント配線板の製造方法である。
【0012】
また、本発明は、上記発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法において、前記電解パネルめっきが、噴流構造のめっき設備を用いた電解めっきであることを特徴とするビルドアップ多層プリント配線板の製造方法である。
【0013】
また、本発明は、上記発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法において、前記電解パネルめっきが、DC電流とPR電流の二段階の電流条件での電解めっきであることを特徴とするビルドアップ多層プリント配線板の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法によって製造したビルドアップ多層プリント配線板の一例を示す断面図である。
図1に示すように、このビルドアップ多層プリント配線板1を構成するベース基板3は、リジッドな絶縁基材の両面に内層導体パターン2を備える。この内層導体パターン2は、銅箔をエッチングすることにより形成されたものである。
内層導体パターン2は、上面内層導体パターン2aと下面内層導体パターン12aで構成される。
【0015】
ベース基板3の上面には、第1絶縁層5a、第2絶縁層6aと、第1導体層7a、第2導体層8aとが交互に積層された上面ビルドアップ層4が形成されている。ベース基板3の下面には、下面ビルドアップ層14が形成されている。
ここでは上面ビルドアップ層4及び下面ビルドアップ層14は、ともに2層構造となっている。
【0016】
第1絶縁層5aはベース基材3上に形成されており、その上面には第1導体層(導体パターン)7aが形成されている。さらに、第2絶縁層6aは第1絶縁層5a上に形成されており、その上面には第2導体層(部品接続用パッド)8aが形成されている。
ここでは第1絶縁層5a、第2絶縁層6aはエポキシ樹脂等からなる。第1導体層7a、第2導体層8aは好適な導電性を有する金属である銅からなる。本例の場合、第1導体層7a、第2導体層8aの厚さは1μm〜20μm程度に設定したものである。また第1絶縁層5a、第2絶縁層6aの厚さは20μm〜150μm程度に設定したものである。尚、下面ビルドアップ層14の構成については省略する。
【0017】
図1に示すように、この多層プリント配線板1は、小径の第1フィルドビア9aを備えている。小径の第1フィルドビア9aは上面ビルドアップ層4内に、より詳細にいうと上面ビルドアップ層4を構成する第1絶縁層5a内に形成されている。この第1フィルドビア9aは、第1絶縁層5aに形成された、後述する第1ビア形成用穴10aを、主として第1電解パネルめっき層11aで穴埋めすることにより形成されたものである。
尚、第1電解パネルめっき層11aと第1ビア形成用穴10aとの界面には、図示しない下地めっき層が介在している。
【0018】
この下地めっき層は第1電解パネルめっき層11aに比較して極めて薄いものであるため、図1ではこれを便宜上省略してある。第1絶縁層5aに設けられる第1ビア形成用穴10aは、上面内層導体パターン2aにおける層間接続部位に対応した位置にある。第2絶縁層6aに設けられる第2ビア形成用穴10b(図示せず)は、第1導体層7aにおける層間接続部位に対応した位置にある。
後述する、図3における第1絶縁層5aの厚さが20μm〜150μmにおいては、第1ビア形成用穴10aの開口径D1は100μm未満の設定が好ましい。
【0019】
第1絶縁層5aの第1フィルドビア9aは、上面内層導体パターン2aと第1導体層(導体パターン)7aとを層間接続している。第2絶縁層6aの第2フィルドビア9bは、第1導体層(導体パターン)7aと第2導体層(部品接続用パッド)8aとを層間接続している。尚、第2導体層(部品接続用パッド)8aに対しては、図示しない電子部品がはんだ付けにより表面実装されるようになっている。
【0020】
さて、めっき法によってフィルドビアを形成する際に、ビア形成用穴を小径且つ高いアスペクト比にすると、電解パネルめっき時にビア形成用穴内でのめっき液の交換がされにくくなり、浴中の金属イオンや添加剤の供給が不足してしまう。そのため、その底面や側面からのめっきの析出は抑制されて、ビア形成用穴がめっき層により穴埋めされにくくなる。
本発明においては、電解めっき浴として、フィルドビア用添加剤を用いた電解めっき浴を用いることを特徴とするものであり、フィルドビア用添加剤を用いることにより、電解めっき浴中に添加された添加剤が、十分な穴埋めを行う作用をする。
【0021】
一般的に、フィルドビア用添加剤の中には、サプレッサー、ブライトナー、レベラーといった3種の成分が含まれていると言われている。これらはそれぞれ特化した成膜機能を有し、めっき浴そのものの特性を決めている。
ちなみに、サプレッサーはめっき成長を抑制する機能を、ブライトナーは促進する機能を、レベラーはビア形成用穴の開口部のめっき成長を抑制する機能をもつ。これらの成分を使い分けることで十分な穴埋めを行う作用をもたせることができる。
【0022】
また、本発明においては、ビア形成用穴の開口径の寸法が、厚さ20μm〜150μmの絶縁層において100μm以下であり、ビア形成用穴のアスペクト比が0.7以上であることを特徴としている。
上記のビア形成用穴の寸法やアスペクト比の条件では、めっき法によってフィルドビアを形成する際に、めっき時にビア形成用穴の中でのめっき液の交換がされにくくなり、浴中の金属イオンや添加剤の供給が不足してしまい、底面や側面からのめっきの析出は抑制されて、ビア形成用穴がめっき層により穴埋めされにくくなる。
【0023】
また、本発明においては、無電解めっき浴が無電解銅めっき浴であり、電解めっき浴が電解硫酸銅めっき浴であることを特徴とするものである。第1及び第2導体層とそれに析出するめっき層の全てがともに銅であることから、同種の金属同士であるため互いに馴染みやすく、各層の界面に高い密着性が得られるため、信頼性の高いフィルドビアを得ることができる。さらに、銅は導電性に優れるので、低抵抗のフィルドビアを得ることができる。
【0024】
また、本発明においては、電解パネルめっきが、噴流構造のめっき設備を用いた電解めっきであり、また、DC電流とPR電流の二段階の電流条件での電解めっきであることを特徴としている。
噴流めっき装置での十分な液撹拌や、DC電流での低電流密度の条件下では電解反応が遅くなり、めっきの析出速度は相対的に遅くなるといった低電流密度の条件を用いたDC電流や、PR電流でのリバース電解は、金属イオンが電極に引き付けられるということがないため、金属イオンのランダムな熱拡散運動によって、拡散層の金属イオン濃度が回復するといったPR電流は、小径且つ高いアスペクト比となったビア形成用穴に、電解めっき時の浴中の金属イオンや添加剤の供給するといった作用があり、めっき析出をより促進する作用を有する。
【0025】
従って、電解めっき浴中に添加されている添加剤が、十分な穴埋めを行う上で本来の作用をするものとなる。これにより、奥まった箇所である小径のビア形成用穴の底部に、浴中の金属イオンや添加剤の供給が十分になされ、当該部分へのめっき析出は促進され、めっきの析出速度は相対的に速くなる。
このように、ビア形成用穴の開口部周辺と底部との間でめっきの析出速度に差が生じる結果、めっき層でのフィリングが図られ、底部の方により厚いめっき層が形成されるようになり、電解析出の状態をよりスムーズに改善する事が出来る。
【0026】
また、電流条件として、DC電流はPR電流に比べめっき析出をより促進する作用が高いため、めっき初期の電流条件として採用することがより安定的にフィリングを行う事に有効である。
従って、電解パネルめっき時にめっき層による穴埋めが不完全でビアの中央部が窪んでしまうことや、めっき層のボイド(空洞化)が発生するという問題が生じにくくなり、これによって得られるビアはフィルドビアとなる。
【0027】
次に、このようなビルドアップ多層プリント配線板1を製造する方法の一実施例を、図2〜6に従い、順を追って説明する。
1)まず、常法によりベース基板3を作製する。ここでは銅張積層板をベース材料とし、サブトラクティブプロセスに従って、エッチングにより、上面内層導体パターン2aと下面内層導体パターン12aで構成される内層導体パターン2をガラスエポキシ製絶縁基材の両面に形成する(図2参照)。
【0028】
2)次いで、上面ビルドアップ層4を構成する第1絶縁層5aを形成すべく、ベース基板3の両面に絶縁層形成用の接着剤を均一に塗付し、乾燥させ、所定厚さの第1絶縁層5aをベース基板の上面に形成する。
この接着剤は、難溶のエポキシ樹脂マトリクス中に易溶の樹脂フィラーを分散させた、いわゆるアディティブ用接着剤である。
【0029】
3)第1絶縁層5aにおいて上面内層導体パターン2aの層間接続部位に対応した箇所に露光機を用いて露光した後、ベース基板3を現像機により現像を行い、所定箇所に小径の第1ビア形成用穴10aを形成する。その結果、その部分から層間接続部位が露出した状態となる(図3参照)。
このようなフォトリソグラフィ法による穴あけに代えて、例えば、レーザ法による穴あけを行ってもよい。上記の如くフォトリソグラフィ法を採用する場合には、アディティブ用接着剤に感光性を付与しておく必要がある。レーザ法を採用する場合には特にその必要はない。
【0030】
4)穴あけ工程を経たベース基板3を粗化剤で処理することにより、第1絶縁層5aの表面全体及び第1ビア形成用穴10aの内壁面全体を粗面化する。この処理を行うと、微細なアンカー用凹部を有する好適な粗化面が得られる。本実施例において粗化剤とは、アディティブ接着剤中の易溶成分を溶解する薬剤であって、例えば、クロム酸、クロム酸塩、硫酸、塩酸、過マンガン酸等の溶液をいう。
【0031】
5)次に、第1絶縁層5aの表面全体に、無電解めっき析出時のコアとなるPd等の触媒核15を付与した後、それを活性化する処理を行う。このとき、第1ビア形成用穴10aの側面や、第1ビア形成用穴10aの底面にて露出する層間接続部位である、上面内層導体パターン2aの表面にも、触媒核15を付与する(図4参照)。
【0032】
6)次に、無電解めっきを施すことにより、第1絶縁層5aの表面全体にめっき層(下地めっき層)を形成する。このときのめっきは、いわゆる薄付けめっきであり、その厚さは0.1μm〜3.0μmと極めて薄いものである(図示せず)。
無電解めっき浴としては、無電解銅めっき浴である。以下、本実施例において設定した無電解めっきの諸条件を記す。
【0033】
・無電解銅めっき浴:シプレイ・ファーイースト(株)製:「キューポジットR(商品名)」
・処理温度: 30℃〜40℃
・処理時間: 10分〜40分
【0034】
7)上記のような薄付けめっきを行った後、さらにフィルドビア用添加剤を添加してなる電解めっき浴を用いて電解パネルめっきを施す。その結果、下地めっき層上に第1電解パネルめっき層11aが析出する。本実施例では、電解めっき浴として電解硫酸銅めっき浴を用いて、また、めっき装置としては噴流式めっき装置を用いて浴の撹拌を行う。
更に、パルス電源による電解パネルめっきは、DC電流とPR電流の二段階の電流条件を用い厚付けめっきを行う。そして、このような電解めっき工程を経ることにより、第1絶縁層5aの表面全体に所定厚さの第1電解パネルめっき層11aが形成される。同時にこのとき第1ビア形成用穴10a内にも第1電解パネルめっき層11aが形成される結果、第1フィルドビア9aが形成される(図5参照)。
【0035】
以下、本例において設定した電解パネルめっきの諸条件を記す。
・電解銅めっき浴:CuSO4 60〜250g/リットル、H2SO4 50〜220g/リットル、Cl 40〜80mg/リットル
・添加剤:荏原ユージライト社製:「キューブライトVF(商品名)」
・処理温度:20℃〜30℃
・処理時間: 30分〜300分
・通電条件:1次条件
DC電流:電流密度0.3〜3.0A/dm2、めっき厚〜20μm以下、電圧一定
2次条件
PR電流:電流密度0.3〜3.0A/dm2
(正側電流密度0.3〜3.0A/dm2,負側電流密度0.3〜5.0A/dm2)
・めっき厚〜20μm以下、電圧一定
・噴流式めっき装置での浴の攪拌条件:噴流流量30L/分以上
【0036】
8)次に、第1絶縁層5a上にある第1電解パネルめっき層11aの表面に図示しないエッチングレジストを形成し、この状態で銅を溶解しうるエッチャントを用いてエッチングを行う。その結果、第1電解パネルめっき層11aが部分的にエッチングされ、所定形状の第1導体層7aが第1絶縁層5a上に形成される(図6参照)。
【0037】
9)前記2)〜8)の諸工程を繰り返すことにより、第2フィルドビア9bを持つ第2絶縁層6aや第2導体層(部品接続用パッド)8a等を形成し、図1に示した所望のビルドアップ多層プリント配線板1を完成させる。
尚、下面ビルドアップ層14の形成については説明を省略する。
【0038】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を詳細に説明する。
<実施例1>
まず、常法によりベース基板3を作製した。ここでは銅張積層板をベース材料とし、サブトラクティブプロセスに従って、エッチングにより導体パターン2をガラスエポキシ製絶縁基材の両面に形成した(図2参照)。
【0039】
次いで、上面ビルドアップ層4を構成する第1絶縁層5aを形成すべく、ベース基板両面に絶縁層形成用の接着剤を均一に塗付し、かつそれを乾燥させ、所定厚さの第1絶縁層5aを形成した。
第1絶縁層5aにおける上面内層導体パターン2aの層間接続部位に対応した箇所を露光機を用いて露光した後、ベース基板3を現像機により現像を行い、小径50μmの第1ビア形成用穴10aを形成した(図3参照)。
【0040】
次に、穴あけ工程を経たベース基板3を過マンガン酸溶液での粗化剤で処理した。第1絶縁層5aの表面全体に、無電解めっき析出時のコアとなるPd等の触媒核15を付与した後、それを活性化する処理を行った。
次に、無電解めっきを施し、第1絶縁層5aの表面全体にめっき層(下地めっき層)を形成した。その厚さは0.5μmと極めて薄いものである。
【0041】
上記のような無電解めっきを行った後、さらにフィルドビア用添加剤を添加してなる電解めっき浴を用いて電解パネルめっきを施し、下地めっき層上に第1電解パネルめっき層11aを析出させた。その厚さは25μmである。
電解めっき浴として電解硫酸銅めっき浴用いて、通電条件としては、DC電流で電流密度0.3A/dm2の条件でめっき厚10μmの電解パネルめっきを行ない、更に、PR電流で電流密度(電流比:正側電流密度1.0A/dm2 、負側電流密度3.0A/dm2)の条件でめっき厚15μmの電解パネルめっきを行った。
【0042】
また、めっき装置としては噴流式めっき装置を用いて浴中の撹拌を30リットル/分に設定した。そして、このような電解パネルめっき工程を経ることにより、第1絶縁層5aの表面全体に所定厚さの第1電解パネルめっき層11aを形成した。同時にこのとき第1ビア形成用穴10a内にも第1電解パネルめっき層11aを形成し第1フィルドビア9aを得た。(図5参照)。
【0043】
次に、第1絶縁層5a上にある第1電解パネルめっき層11aの表面にエッチングレジストを形成し、この状態で塩化第2鉄溶液を用いてエッチングを行った。その結果、第1電解パネルめっき層11aが部分的にエッチングされ、第1絶縁層5a上に形成された所定形状の第1導体層7aを得た(図6参照)。
【0044】
前記の諸工程を繰り返すことにより、第2フィルドビア9bを持つ第2絶縁層6aや第2導体層(部品接続用パッド)8a等を形成し、図1に示した所望のビルドアップ多層プリント配線板1を完成させた。
【0045】
以上により、ほぼ完全な穴埋めが達成されることが明らかとなった。そして、この場合には、第1電解パネルめっき層11aの中央部に窪みがなく、極めて好適な性状を有するフィルドビアが確実に得られた。
【0046】
従って、本発明によれば以下のような効果を得ることができる。すなわち、本発明による製造方法では、ビア形成用穴を小径にするとともに、フィルドビア用添加剤を添加してなる電解めっき浴を用いて、そこへの電解パネルめっきを行っている。従って、前記添加剤のもたらすフィリング作用により、ビア形成用穴の中央部のほうにより厚い電解パネルめっき層が形成される。
これにより、電解パネルめっき層の中央部に窪みが生じにくくなり、図1のようなフィルドビアを得ることができる。
【0047】
また、下地めっき層及びそれに析出する電解めっき層の各層が、ともに銅からなるものであることから、よりいっそう高コスト化を防止することができる。また、同種の金属同士であるため互いに馴染みやすく、各層の界面に高い密着性が付与されるため、信頼性の高いフィルドビアを得ることができる。さらに、銅は導電性に優れるので、低抵抗のフィルドビアを得ることができる。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、高コスト化を伴うことなく比較的簡単にビルドアップ層にフィルドビアを形成することができるプリント配線板の製造方法を提供することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、高コスト化を伴うことなく比較的簡単にビルドアップ層に極めて好適な性状のフィルドビアを形成することができるプリント配線板の製造方法を提供することにある。
さらに、請求項3、4、及び5に記載の発明によれば、比較的簡単に高信頼性かつ低抵抗のフィルドビアを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法によって製造したビルドアップ多層プリント配線板の一例を示す断面図である。
【図2】本発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法の一実施例の説明図である。
【図3】本発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法の一実施例の説明図である。
【図4】本発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法の一実施例の説明図である。
【図5】本発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法の一実施例の説明図である。
【図6】本発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法の一実施例の説明図である。
【符号の説明】
1・・・・本発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法によって製造したビルドアップ多層プリント配線板の一例
2・・・・内層導体パターン
3・・・・ベース基板
4・・・・上面ビルドアップ層
5a・・・・第1絶縁層
6a・・・・第2絶縁層
7a・・・・第1導体層
8a・・・・第2導体層
9a・・・・第1フィルドビア
9b・・・・第2フィルドビア
10a・・・・第1ビア形成用穴
11a・・・・第1電解パネルめっき層
14・・・・下面ビルドアップ層
15・・・・触媒核
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板の製造方法に関するものであり、特に、小径且つ高いアスペクト比のビア形成用穴に、比較的簡単にフィルドビアを形成することができるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、導体パターンの高多層化や高密度化等を図ることにより、高密度実装が可能な配線板を作製することが盛んに試みられている。その例としては、アディティブプロセスに形成されるビルドアップ層をベース基板上に備えた多層プリント配線板が知られている。
【0003】
このような多層プリント配線板におけるビルドアップ層は、次のような手順により形成される。
1)ベース基板上に絶縁層形成用のアディティブ接着剤を厚さ数十μmに塗布する。
2)形成された絶縁層に対して露光、現像を行うことにより、所定箇所に内径100μm〜200μm程度のビア形成用穴を形成する。
3)粗化処理、触媒核付与及びその活性化処理を行った後、無電解めっきを施すことにより、絶縁層の表面全体に下地めっき層を形成する。
4)下地めっき層に対して電解パネルめっきを施す。このとき同時に、ビア形成用穴内にめっき層を析出させフィルドビアを形成する。
5)絶縁層上に析出しためっき層をエッチングすることにより、所定形状の導体パターンを形成する。
上記、1)〜5)の諸工程を繰り返す。
【0004】
以上の結果、絶縁層と導体層を交互に積層してなるビルドアップ層が形成され、ビルドアップ多層プリント配線板を作る事が出来る。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−261870号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この種のビルドアップ多層プリント配線板では、ビルドアップ層の表面を平坦な状態にするという要求がある。これは、ビルドアップ層の表面に凹凸があると、はんだボイドの発生などにより、表面実装時に各電子部品の障害を起こすからである。
このような凹凸が発生する最大の原因としては、ビアに対する穴埋めが不完全で、ビアの中央部が窪んでしまうことが挙げられる。よって、めっき層でビア形成用穴を完全に穴埋めするフィルドビアを形成することが望ましいと考えられている。
【0007】
しかしながら、近年の導体パターンの高多層化や高密度化によりビアの小径化や高アスペクト比化が進むことによりビア形成用穴はより小さく、また、深くなっている。そのため、フィルドビアを形成する電解パネルめっきを行う場合に、ビア形成用穴の中でのめっき液交換がされにくくなり、結果として、めっき層による穴埋めが不完全でビアの中央部が窪んでしまうことや、めっき層中にボイド(空洞化)が発生してしまうという問題が生じていた。
【0008】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、ビルドアップ層を構成する絶縁層に形成された小径且つ高いアスペクト比のビア形成用穴に、フィルドビアを比較的簡単に形成することができるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ベース基板上に設けられたビルドアップ層を構成する絶縁層に、めっき法によってフィルドビアを形成するビルドアップ多層プリント配線板の製造方法において、
1)所定厚さの絶縁層にビア形成用穴を形成し、
2)無電解めっき浴を用いて該絶縁層全体に下地めっき層を形成し、
3)フィルドビア用添加剤を用いた電解めっき浴を用いて、該下地めっき層に対する電解パネルめっきを行い、
上記ビア形成用穴を埋めることを特徴とするビルドアップ多層プリント配線板の製造方法である。
【0010】
また、本発明は、上記発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法において、前記ビア形成用穴の開口径の寸法が、厚さ20μm〜150μmの絶縁層において100μm以下であり、ビア形成用穴のアスペクト比が0.7以上であることを特徴とするビルドアップ多層プリント配線板の製造方法である。
【0011】
また、本発明は、上記発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法において、前記無電解めっき浴が無電解銅めっき浴であり、前記電解めっき浴が電解硫酸銅めっき浴であることを特徴とするビルドアップ多層プリント配線板の製造方法である。
【0012】
また、本発明は、上記発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法において、前記電解パネルめっきが、噴流構造のめっき設備を用いた電解めっきであることを特徴とするビルドアップ多層プリント配線板の製造方法である。
【0013】
また、本発明は、上記発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法において、前記電解パネルめっきが、DC電流とPR電流の二段階の電流条件での電解めっきであることを特徴とするビルドアップ多層プリント配線板の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法によって製造したビルドアップ多層プリント配線板の一例を示す断面図である。
図1に示すように、このビルドアップ多層プリント配線板1を構成するベース基板3は、リジッドな絶縁基材の両面に内層導体パターン2を備える。この内層導体パターン2は、銅箔をエッチングすることにより形成されたものである。
内層導体パターン2は、上面内層導体パターン2aと下面内層導体パターン12aで構成される。
【0015】
ベース基板3の上面には、第1絶縁層5a、第2絶縁層6aと、第1導体層7a、第2導体層8aとが交互に積層された上面ビルドアップ層4が形成されている。ベース基板3の下面には、下面ビルドアップ層14が形成されている。
ここでは上面ビルドアップ層4及び下面ビルドアップ層14は、ともに2層構造となっている。
【0016】
第1絶縁層5aはベース基材3上に形成されており、その上面には第1導体層(導体パターン)7aが形成されている。さらに、第2絶縁層6aは第1絶縁層5a上に形成されており、その上面には第2導体層(部品接続用パッド)8aが形成されている。
ここでは第1絶縁層5a、第2絶縁層6aはエポキシ樹脂等からなる。第1導体層7a、第2導体層8aは好適な導電性を有する金属である銅からなる。本例の場合、第1導体層7a、第2導体層8aの厚さは1μm〜20μm程度に設定したものである。また第1絶縁層5a、第2絶縁層6aの厚さは20μm〜150μm程度に設定したものである。尚、下面ビルドアップ層14の構成については省略する。
【0017】
図1に示すように、この多層プリント配線板1は、小径の第1フィルドビア9aを備えている。小径の第1フィルドビア9aは上面ビルドアップ層4内に、より詳細にいうと上面ビルドアップ層4を構成する第1絶縁層5a内に形成されている。この第1フィルドビア9aは、第1絶縁層5aに形成された、後述する第1ビア形成用穴10aを、主として第1電解パネルめっき層11aで穴埋めすることにより形成されたものである。
尚、第1電解パネルめっき層11aと第1ビア形成用穴10aとの界面には、図示しない下地めっき層が介在している。
【0018】
この下地めっき層は第1電解パネルめっき層11aに比較して極めて薄いものであるため、図1ではこれを便宜上省略してある。第1絶縁層5aに設けられる第1ビア形成用穴10aは、上面内層導体パターン2aにおける層間接続部位に対応した位置にある。第2絶縁層6aに設けられる第2ビア形成用穴10b(図示せず)は、第1導体層7aにおける層間接続部位に対応した位置にある。
後述する、図3における第1絶縁層5aの厚さが20μm〜150μmにおいては、第1ビア形成用穴10aの開口径D1は100μm未満の設定が好ましい。
【0019】
第1絶縁層5aの第1フィルドビア9aは、上面内層導体パターン2aと第1導体層(導体パターン)7aとを層間接続している。第2絶縁層6aの第2フィルドビア9bは、第1導体層(導体パターン)7aと第2導体層(部品接続用パッド)8aとを層間接続している。尚、第2導体層(部品接続用パッド)8aに対しては、図示しない電子部品がはんだ付けにより表面実装されるようになっている。
【0020】
さて、めっき法によってフィルドビアを形成する際に、ビア形成用穴を小径且つ高いアスペクト比にすると、電解パネルめっき時にビア形成用穴内でのめっき液の交換がされにくくなり、浴中の金属イオンや添加剤の供給が不足してしまう。そのため、その底面や側面からのめっきの析出は抑制されて、ビア形成用穴がめっき層により穴埋めされにくくなる。
本発明においては、電解めっき浴として、フィルドビア用添加剤を用いた電解めっき浴を用いることを特徴とするものであり、フィルドビア用添加剤を用いることにより、電解めっき浴中に添加された添加剤が、十分な穴埋めを行う作用をする。
【0021】
一般的に、フィルドビア用添加剤の中には、サプレッサー、ブライトナー、レベラーといった3種の成分が含まれていると言われている。これらはそれぞれ特化した成膜機能を有し、めっき浴そのものの特性を決めている。
ちなみに、サプレッサーはめっき成長を抑制する機能を、ブライトナーは促進する機能を、レベラーはビア形成用穴の開口部のめっき成長を抑制する機能をもつ。これらの成分を使い分けることで十分な穴埋めを行う作用をもたせることができる。
【0022】
また、本発明においては、ビア形成用穴の開口径の寸法が、厚さ20μm〜150μmの絶縁層において100μm以下であり、ビア形成用穴のアスペクト比が0.7以上であることを特徴としている。
上記のビア形成用穴の寸法やアスペクト比の条件では、めっき法によってフィルドビアを形成する際に、めっき時にビア形成用穴の中でのめっき液の交換がされにくくなり、浴中の金属イオンや添加剤の供給が不足してしまい、底面や側面からのめっきの析出は抑制されて、ビア形成用穴がめっき層により穴埋めされにくくなる。
【0023】
また、本発明においては、無電解めっき浴が無電解銅めっき浴であり、電解めっき浴が電解硫酸銅めっき浴であることを特徴とするものである。第1及び第2導体層とそれに析出するめっき層の全てがともに銅であることから、同種の金属同士であるため互いに馴染みやすく、各層の界面に高い密着性が得られるため、信頼性の高いフィルドビアを得ることができる。さらに、銅は導電性に優れるので、低抵抗のフィルドビアを得ることができる。
【0024】
また、本発明においては、電解パネルめっきが、噴流構造のめっき設備を用いた電解めっきであり、また、DC電流とPR電流の二段階の電流条件での電解めっきであることを特徴としている。
噴流めっき装置での十分な液撹拌や、DC電流での低電流密度の条件下では電解反応が遅くなり、めっきの析出速度は相対的に遅くなるといった低電流密度の条件を用いたDC電流や、PR電流でのリバース電解は、金属イオンが電極に引き付けられるということがないため、金属イオンのランダムな熱拡散運動によって、拡散層の金属イオン濃度が回復するといったPR電流は、小径且つ高いアスペクト比となったビア形成用穴に、電解めっき時の浴中の金属イオンや添加剤の供給するといった作用があり、めっき析出をより促進する作用を有する。
【0025】
従って、電解めっき浴中に添加されている添加剤が、十分な穴埋めを行う上で本来の作用をするものとなる。これにより、奥まった箇所である小径のビア形成用穴の底部に、浴中の金属イオンや添加剤の供給が十分になされ、当該部分へのめっき析出は促進され、めっきの析出速度は相対的に速くなる。
このように、ビア形成用穴の開口部周辺と底部との間でめっきの析出速度に差が生じる結果、めっき層でのフィリングが図られ、底部の方により厚いめっき層が形成されるようになり、電解析出の状態をよりスムーズに改善する事が出来る。
【0026】
また、電流条件として、DC電流はPR電流に比べめっき析出をより促進する作用が高いため、めっき初期の電流条件として採用することがより安定的にフィリングを行う事に有効である。
従って、電解パネルめっき時にめっき層による穴埋めが不完全でビアの中央部が窪んでしまうことや、めっき層のボイド(空洞化)が発生するという問題が生じにくくなり、これによって得られるビアはフィルドビアとなる。
【0027】
次に、このようなビルドアップ多層プリント配線板1を製造する方法の一実施例を、図2〜6に従い、順を追って説明する。
1)まず、常法によりベース基板3を作製する。ここでは銅張積層板をベース材料とし、サブトラクティブプロセスに従って、エッチングにより、上面内層導体パターン2aと下面内層導体パターン12aで構成される内層導体パターン2をガラスエポキシ製絶縁基材の両面に形成する(図2参照)。
【0028】
2)次いで、上面ビルドアップ層4を構成する第1絶縁層5aを形成すべく、ベース基板3の両面に絶縁層形成用の接着剤を均一に塗付し、乾燥させ、所定厚さの第1絶縁層5aをベース基板の上面に形成する。
この接着剤は、難溶のエポキシ樹脂マトリクス中に易溶の樹脂フィラーを分散させた、いわゆるアディティブ用接着剤である。
【0029】
3)第1絶縁層5aにおいて上面内層導体パターン2aの層間接続部位に対応した箇所に露光機を用いて露光した後、ベース基板3を現像機により現像を行い、所定箇所に小径の第1ビア形成用穴10aを形成する。その結果、その部分から層間接続部位が露出した状態となる(図3参照)。
このようなフォトリソグラフィ法による穴あけに代えて、例えば、レーザ法による穴あけを行ってもよい。上記の如くフォトリソグラフィ法を採用する場合には、アディティブ用接着剤に感光性を付与しておく必要がある。レーザ法を採用する場合には特にその必要はない。
【0030】
4)穴あけ工程を経たベース基板3を粗化剤で処理することにより、第1絶縁層5aの表面全体及び第1ビア形成用穴10aの内壁面全体を粗面化する。この処理を行うと、微細なアンカー用凹部を有する好適な粗化面が得られる。本実施例において粗化剤とは、アディティブ接着剤中の易溶成分を溶解する薬剤であって、例えば、クロム酸、クロム酸塩、硫酸、塩酸、過マンガン酸等の溶液をいう。
【0031】
5)次に、第1絶縁層5aの表面全体に、無電解めっき析出時のコアとなるPd等の触媒核15を付与した後、それを活性化する処理を行う。このとき、第1ビア形成用穴10aの側面や、第1ビア形成用穴10aの底面にて露出する層間接続部位である、上面内層導体パターン2aの表面にも、触媒核15を付与する(図4参照)。
【0032】
6)次に、無電解めっきを施すことにより、第1絶縁層5aの表面全体にめっき層(下地めっき層)を形成する。このときのめっきは、いわゆる薄付けめっきであり、その厚さは0.1μm〜3.0μmと極めて薄いものである(図示せず)。
無電解めっき浴としては、無電解銅めっき浴である。以下、本実施例において設定した無電解めっきの諸条件を記す。
【0033】
・無電解銅めっき浴:シプレイ・ファーイースト(株)製:「キューポジットR(商品名)」
・処理温度: 30℃〜40℃
・処理時間: 10分〜40分
【0034】
7)上記のような薄付けめっきを行った後、さらにフィルドビア用添加剤を添加してなる電解めっき浴を用いて電解パネルめっきを施す。その結果、下地めっき層上に第1電解パネルめっき層11aが析出する。本実施例では、電解めっき浴として電解硫酸銅めっき浴を用いて、また、めっき装置としては噴流式めっき装置を用いて浴の撹拌を行う。
更に、パルス電源による電解パネルめっきは、DC電流とPR電流の二段階の電流条件を用い厚付けめっきを行う。そして、このような電解めっき工程を経ることにより、第1絶縁層5aの表面全体に所定厚さの第1電解パネルめっき層11aが形成される。同時にこのとき第1ビア形成用穴10a内にも第1電解パネルめっき層11aが形成される結果、第1フィルドビア9aが形成される(図5参照)。
【0035】
以下、本例において設定した電解パネルめっきの諸条件を記す。
・電解銅めっき浴:CuSO4 60〜250g/リットル、H2SO4 50〜220g/リットル、Cl 40〜80mg/リットル
・添加剤:荏原ユージライト社製:「キューブライトVF(商品名)」
・処理温度:20℃〜30℃
・処理時間: 30分〜300分
・通電条件:1次条件
DC電流:電流密度0.3〜3.0A/dm2、めっき厚〜20μm以下、電圧一定
2次条件
PR電流:電流密度0.3〜3.0A/dm2
(正側電流密度0.3〜3.0A/dm2,負側電流密度0.3〜5.0A/dm2)
・めっき厚〜20μm以下、電圧一定
・噴流式めっき装置での浴の攪拌条件:噴流流量30L/分以上
【0036】
8)次に、第1絶縁層5a上にある第1電解パネルめっき層11aの表面に図示しないエッチングレジストを形成し、この状態で銅を溶解しうるエッチャントを用いてエッチングを行う。その結果、第1電解パネルめっき層11aが部分的にエッチングされ、所定形状の第1導体層7aが第1絶縁層5a上に形成される(図6参照)。
【0037】
9)前記2)〜8)の諸工程を繰り返すことにより、第2フィルドビア9bを持つ第2絶縁層6aや第2導体層(部品接続用パッド)8a等を形成し、図1に示した所望のビルドアップ多層プリント配線板1を完成させる。
尚、下面ビルドアップ層14の形成については説明を省略する。
【0038】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を詳細に説明する。
<実施例1>
まず、常法によりベース基板3を作製した。ここでは銅張積層板をベース材料とし、サブトラクティブプロセスに従って、エッチングにより導体パターン2をガラスエポキシ製絶縁基材の両面に形成した(図2参照)。
【0039】
次いで、上面ビルドアップ層4を構成する第1絶縁層5aを形成すべく、ベース基板両面に絶縁層形成用の接着剤を均一に塗付し、かつそれを乾燥させ、所定厚さの第1絶縁層5aを形成した。
第1絶縁層5aにおける上面内層導体パターン2aの層間接続部位に対応した箇所を露光機を用いて露光した後、ベース基板3を現像機により現像を行い、小径50μmの第1ビア形成用穴10aを形成した(図3参照)。
【0040】
次に、穴あけ工程を経たベース基板3を過マンガン酸溶液での粗化剤で処理した。第1絶縁層5aの表面全体に、無電解めっき析出時のコアとなるPd等の触媒核15を付与した後、それを活性化する処理を行った。
次に、無電解めっきを施し、第1絶縁層5aの表面全体にめっき層(下地めっき層)を形成した。その厚さは0.5μmと極めて薄いものである。
【0041】
上記のような無電解めっきを行った後、さらにフィルドビア用添加剤を添加してなる電解めっき浴を用いて電解パネルめっきを施し、下地めっき層上に第1電解パネルめっき層11aを析出させた。その厚さは25μmである。
電解めっき浴として電解硫酸銅めっき浴用いて、通電条件としては、DC電流で電流密度0.3A/dm2の条件でめっき厚10μmの電解パネルめっきを行ない、更に、PR電流で電流密度(電流比:正側電流密度1.0A/dm2 、負側電流密度3.0A/dm2)の条件でめっき厚15μmの電解パネルめっきを行った。
【0042】
また、めっき装置としては噴流式めっき装置を用いて浴中の撹拌を30リットル/分に設定した。そして、このような電解パネルめっき工程を経ることにより、第1絶縁層5aの表面全体に所定厚さの第1電解パネルめっき層11aを形成した。同時にこのとき第1ビア形成用穴10a内にも第1電解パネルめっき層11aを形成し第1フィルドビア9aを得た。(図5参照)。
【0043】
次に、第1絶縁層5a上にある第1電解パネルめっき層11aの表面にエッチングレジストを形成し、この状態で塩化第2鉄溶液を用いてエッチングを行った。その結果、第1電解パネルめっき層11aが部分的にエッチングされ、第1絶縁層5a上に形成された所定形状の第1導体層7aを得た(図6参照)。
【0044】
前記の諸工程を繰り返すことにより、第2フィルドビア9bを持つ第2絶縁層6aや第2導体層(部品接続用パッド)8a等を形成し、図1に示した所望のビルドアップ多層プリント配線板1を完成させた。
【0045】
以上により、ほぼ完全な穴埋めが達成されることが明らかとなった。そして、この場合には、第1電解パネルめっき層11aの中央部に窪みがなく、極めて好適な性状を有するフィルドビアが確実に得られた。
【0046】
従って、本発明によれば以下のような効果を得ることができる。すなわち、本発明による製造方法では、ビア形成用穴を小径にするとともに、フィルドビア用添加剤を添加してなる電解めっき浴を用いて、そこへの電解パネルめっきを行っている。従って、前記添加剤のもたらすフィリング作用により、ビア形成用穴の中央部のほうにより厚い電解パネルめっき層が形成される。
これにより、電解パネルめっき層の中央部に窪みが生じにくくなり、図1のようなフィルドビアを得ることができる。
【0047】
また、下地めっき層及びそれに析出する電解めっき層の各層が、ともに銅からなるものであることから、よりいっそう高コスト化を防止することができる。また、同種の金属同士であるため互いに馴染みやすく、各層の界面に高い密着性が付与されるため、信頼性の高いフィルドビアを得ることができる。さらに、銅は導電性に優れるので、低抵抗のフィルドビアを得ることができる。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、高コスト化を伴うことなく比較的簡単にビルドアップ層にフィルドビアを形成することができるプリント配線板の製造方法を提供することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、高コスト化を伴うことなく比較的簡単にビルドアップ層に極めて好適な性状のフィルドビアを形成することができるプリント配線板の製造方法を提供することにある。
さらに、請求項3、4、及び5に記載の発明によれば、比較的簡単に高信頼性かつ低抵抗のフィルドビアを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法によって製造したビルドアップ多層プリント配線板の一例を示す断面図である。
【図2】本発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法の一実施例の説明図である。
【図3】本発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法の一実施例の説明図である。
【図4】本発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法の一実施例の説明図である。
【図5】本発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法の一実施例の説明図である。
【図6】本発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法の一実施例の説明図である。
【符号の説明】
1・・・・本発明によるビルドアップ多層プリント配線板の製造方法によって製造したビルドアップ多層プリント配線板の一例
2・・・・内層導体パターン
3・・・・ベース基板
4・・・・上面ビルドアップ層
5a・・・・第1絶縁層
6a・・・・第2絶縁層
7a・・・・第1導体層
8a・・・・第2導体層
9a・・・・第1フィルドビア
9b・・・・第2フィルドビア
10a・・・・第1ビア形成用穴
11a・・・・第1電解パネルめっき層
14・・・・下面ビルドアップ層
15・・・・触媒核
Claims (5)
- ベース基板上に設けられたビルドアップ層を構成する絶縁層に、めっき法によってフィルドビアを形成するビルドアップ多層プリント配線板の製造方法において、
1)所定厚さの絶縁層にビア形成用穴を形成し、
2)無電解めっき浴を用いて該絶縁層全体に下地めっき層を形成し、
3)フィルドビア用添加剤を用いた電解めっき浴を用いて、該下地めっき層に対する電解パネルめっきを行い、
上記ビア形成用穴を埋めることを特徴とするビルドアップ多層プリント配線板の製造方法。 - 前記ビア形成用穴の開口径の寸法が、厚さ20μm〜150μmの絶縁層において100μm以下であり、ビア形成用穴のアスペクト比が0.7以上であることを特徴とする請求項1に記載のビルドアップ多層プリント配線板の製造方法。
- 前記無電解めっき浴が無電解銅めっき浴であり、前記電解めっき浴が電解硫酸銅めっき浴であることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のビルドアップ多層プリント配線板の製造方法。
- 前記電解パネルめっきが、噴流構造のめっき設備を用いた電解めっきであることを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のビルドアップ多層プリント配線板の製造方法。
- 前記電解パネルめっきが、DC電流とPR電流の二段階の電流条件での電解めっきであることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、又は請求項4に記載のビルドアップ多層プリント配線板の製造方法。
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2003
- 2003-04-03 JP JP2003100079A patent/JP2004311555A/ja active Pending
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