JP3984092B2 - 多層プリント配線板とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は多層プリント配線板とその製造方法に関し、特にサブトラクティブ法による回路形成性に優れた多層プリント配線板とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板の回路形成方法は、銅箔などの金属箔上にエッチングレジストパターンを形成し、当該エッチングレジストパターンから露出した金属箔をエッチング処理して配線回路を形成するサブトラクティブ法と、回路と逆パターンのめっきレジストを形成し、当該めっきレジスト開口部にめっきを析出させて配線回路を形成するアディティブ法の2つに大別される。
【0003】
サブトラクティブ法はアディティブ法と比較して製造工程が容易なことから、非常に安価に製造することが可能であるが、スルーホール及びブラインドバイアホール等の形成の際、絶縁基板全体に無電解めっき及び電解めっき処理を施す必要があるため、エッチングする導体厚さ(金属箔+めっき)が非常に厚くなり、良好な配線回路形成が困難であった。特に、パターン幅/パターン間隙=75μm/75μm以下の微細配線回路の形成には不向きな工法であった。これに対してアディティブ法は、微細配線回路形成には有利であるが、絶縁層にめっきを析出して配線回路を形成するため、サブトラクティブ法のように、元から絶縁層に金属箔が積層された絶縁基板を加工するのと比較して、配線回路の密着性に劣る等の不具合を有していた。
【0004】
このような技術背景から、図3(a)、(b)に示したように(図(a)は平面図、図(b)は図(a)のB−B線でカットした状態の断面図)、配線層間を接続するスルーホールやブラインドバイアホール(図ではブラインドバイアホール14のみ表示)の形成部のみにめっき処理を施す技術が開発された。即ち、スルーホールやブラインドバイアホール14のみにめっきを析出し、他の部分は金属箔5のままにすることによって、サブトラクティブ法による微細配線回路15の形成を可能にするというものである。
【0005】
しかし、上記のようにスルーホールやブラインドバイアホールのみにめっきを析出する方法では、以下のような不具合を有していた。
まず第一に、標準的なめっき工法であるパネルめっき法でめっき処理した場合、本来、絶縁基板全体に対してめっきを析出させるパネルめっき法では、当該絶縁基板全体の1%程度の面積率でしかないスルーホールやブラインドバイアホールのみにめっきを析出させることは、めっきコントロール上、非常に困難であった。
【0006】
第二に、スルーホールやブラインドバイアホールはプリント配線板の設計上、基板面内に不均一に配置されており、少数あるいは単独で存在しているところでは、電流が必要以上に集中し、めっき析出形状が基板面内において非常に不安定であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エッチング(サブトラクティブ法)により微細配線回路を形成するために、スルーホール及び/又はブラインドバイアホールのみにめっきを施すといった不具合の発生し易い処理を施す必要がなく、容易に接続信頼性の高いスルーホール及び/又はブラインドバイアホール、並びに微細配線回路の形成を可能にした多層プリント配線板とその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく請求項1に係る本発明は、少なくとも表面に金属箔を備えた絶縁基板に貫通孔及び/又は非貫通孔を穿設し、当該貫通孔及び/又は非貫通孔にめっき処理を施すことによって異なる配線層間を接続するスルーホール及び/又はブラインドバイアホールを形成するようにした多層プリント配線板の製造方法であって、当該貫通孔及び/又は非貫通孔が穿設された絶縁基板に無電解めっきを施すことによって、当該貫通孔及び/又は非貫通孔を導通させる工程と、当該導通された貫通孔及び/又は非貫通孔と、微細配線回路形成部を除く配線回路形成部に開口部を設けためっきレジストを介して電解めっきを施す工程と、当該めっきレジストを剥離後、少なくとも当該電解めっきの表側面及び微細配線回路形成部にエッチングレジストを形成する工程と、エッチングにより回路形成を行う工程と、当該エッチングレジストを剥離する工程とを含んでなる多層プリント配線板の製造方法である。
【0013】
このように、めっき面積率を広げるべく配線回路形成部にも電解めっきを形成したため、安定したスルーホール及び/又はブラインドバイアホールが得られ、また、微細配線回路部及びエッチング界面には電解めっきが存在しない結果その導体厚が薄く(金属箔と無電解めっきの合計厚)なるため、サブトラクティブ法においても微細配線回路が得られる。
【0016】
また、請求項2に係る本発明は、当該配線回路形成が、液状エッチングレジストを用いてエッチング処理されることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法である。
【0017】
このように液状エッチングレジストを用いることにより、配線回路の電解めっき形成部にエッチングレジストを追従させることができるため、当該電解めっきの段差部におけるレジスト未着を防止することができる。
【0018】
また、請求項3に係る本発明は、当該液状エッチングレジストが、ポジ型のエッチングレジストであることを特徴とする請求項2に記載の多層プリント配線板の製造方法である。
【0019】
液状エッチングレジストとしてポジ型のものを用いることにより、スルーホールやブラインドバイアホールにおけるエッチングレジスト形成が容易に行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1及び図2を用いて説明する。
【0021】
まず最初に、本発明の多層プリント配線板について説明する。
図1(a)は、本発明多層プリント配線板の一実施形態を説明するための平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A線でカットした状態の断面図で、内外層を1層づつ抜粋して示したものであり、内層に形成されたビア底部ランド8と、当該ビア底部ランド8を含んだ内層上に積層された層間絶縁層4と、当該層間絶縁層4上に形成された外層配線回路13及び微細配線回路15と、当該外層配線回路13と当該ビア底部ランド8とを接続するブラインドバイアホール14とからなり、当該外層配線回路13及び当該ブラインドバイアホール14のビアランド14aには、電解めっき11が形成されない金属箔5と無電解めっき9の層(以降これを「下地導電層9a」と呼ぶことにする)からなる段差部16を有しており、エッチング界面16aが全て当該下地導電層9aと同じ厚さで形成された構成となっている。
【0022】
つづいて、上記構成の多層プリント配線板の製造方法を図2を用いて説明する。尚、本説明に用いる図面は、説明の便宜上図1とは異なるものを使用した。
まず、図2(a)に示したように、絶縁基材1に内層配線回路2が形成されたコア基板3に層間絶縁層4及び銅箔などの金属箔5(あるいは層間絶縁層4に金属箔5を積層した樹脂付き金属箔5a)を積層した積層板6を用意する。次に、図2(b)に示したように、当該積層板6の所望の箇所に、レーザー加工等によって内層のビア底部ランド8に達する非貫通孔7を穿設する。次に、当該非貫通孔にデスミア処理を施した後、図2(c)に示したように、非貫通孔7及び金属箔5上に無電解めっき9を析出させて、内外層を導通させる下地導電層9aを形成する。次に、図2(c)の状態の積層板6に感光性のめっきレジストフィルムをラミネートし、露光・現像によりブラインドバイアホール形成部を含んだ外層配線回路形成部(微細配線回路形成部を除く)に開口部10aを設けためっきレジスト10を形成し(図2(d)参照)、次いで、下地導電層9aをめっきリードとして当該めっきレジスト10の開口部10aに電解めっき11を形成する(図2(e)参照)。次に、図2(e)の状態の積層板6に形成されているめっきレジスト10を、図2(f)に示したように剥離した後、液状エッチングレジストを全面に塗布する。次いで、露光・現像により、電解めっき11の表側面及び微細配線回路形成部にエッチングレジスト12を形成する(図2(g)参照)。次いで、当該エッチングレジスト12から露出した下地導電層9aをエッチングした後、当該エッチングレジスト12を剥離することによって、図2(h)に示した多層プリント配線板17を得る。
【0023】
本発明において最も注目すべき点は、ブラインドバイアホール14を安定して形成するために、当該ブラインドバイアホール形成部の他に外層配線回路形成部にも電解めっき11を析出させ、尚且つ、ビアランド14aを含んだ当該外層配線回路13のエッチング界面16aには電解めっき11を析出させない構成とした点にある。これにより、安定したブラインドバイアホール14と、微細配線回路15を含んだ外層配線回路13とを備えた多層プリント配線板17を、サブトラクティブ法により容易に得ることができる。
【0024】
本実施の形態においてブラインドバイアホールを備えた4層プリント配線板を用いて説明したが、本発明の構成はこの限りでなく、スルーホールを備えた構成、あるいは、4層以外の構成(両面プリント配線板を含む)としても構わない。
【0025】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を更に説明する。
実施例1
まず、ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸したガラスエポキシ樹脂基板の両面に厚さ12μmの銅箔が積層されたガラスエポキシ銅張り積層板を用意し、一般的なフォトプロセスによって回路形成を行い、コア基板を得た。次いで、厚さ60μmの層間絶縁層に厚さ12μmの銅箔を積層した樹脂付き銅箔(住友ベークライト社製:APL−4001)を当該コア基板に積層することによって、4層の積層板を得た(図2(a)参照)。次に、所望とする位置の銅箔をエッチング除去してφ0.18mmのウインドウ部を形成し、当該ウインドウ部から露出した層間絶縁層に炭酸ガスレーザを照射することによって、内層に形成されたビア底部ランドに達する非貫通孔を穿設した(図2(b)参照)。次に、当該非貫通孔を過マンガン酸カリウム系溶液でデスミア処理を行った後、当該非貫通孔を含んだ当該積層板の表面に厚さ0.3μm程度の無電解銅めっきを形成して、当該非貫通孔を導通させた(図2(c)参照)。次に、導通させた非貫通孔を有する積層板に、厚さ30μmの感光性めっきレジストフィルム(ニチゴーモートン社製:NIT230)をラミネートし、80mjで露光した後、現像することによって微細配線回路形成部以外の配線回路形成部(ブラインドバイアホール形成部を含む)に開口部を有するめっきレジストを形成した(図2(d)参照)。尚、ブラインドバイアホール形成部のめっきレジスト開口部は、キリ径φ0.1mm、ランド径φ0.25mmの設計値に対して、φ0.2mmの開口とした。次に、当該銅箔及び無電解銅めっきからなる下地導電層をめっきリードとして電解銅めっき処理を行うことによって、当該めっきレジストの開口部に厚さ20μmの電解銅めっきを形成した(図2(e)参照)。次いで、当該めっきレジストを剥離した後(図2(f)参照)、ポジ型の液状エッチングレジストを電着形成し、当該電解銅めっきの表側面及び微細配線回路形成部をマスクするマスクパターンを備えた露光用マスクを介して露光を行い、次いで、一般的な現像処理によって露光された部位のエッチングレジストを除去した(図2(g)参照)。尚、微細配線回路形成部には、配線幅/配線間隔=30μm/30μmのエッチングレジストを形成するようにした。次に、当該エッチングレジストから露出した下地導体層を、塩化第二鉄系のエッチャントによりエッチング除去した後、当該エッチングレジストを剥離除去することによって、安定したブラインドバイアホール(電解銅めっき形成部がφ0.2mmで且つφ0.25mmのランド径を有するブラインドバイアホール)と微細配線回路(配線幅/配線間隔=30μm/30μm)を含んだ外層配線回路とを備えた多層プリント配線板を得た。
【0026】
【発明の効果】
スルーホール及び/又はブラインドバイアホールを備えた多層プリント配線板とその製造方法を、本発明の構成とすることにより、安定したスルーホール及び/又はブラインドバイアホールと、微細配線回路とを備えた多層プリント配線板をサブトラクティブ法により容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明多層プリント配線板の概略平面説明図、(b)は該(a)のA−A線概略断面説明図及びその一部拡大説明図。
【図2】本発明多層プリント配線板の製造方法を示す概略断面工程説明図。
【図3】(a)は従来多層プリント配線板の概略平面説明図、(b)は該(a)のB−B線概略断面説明図。
【符号の説明】
1:絶縁基板
2:内層配線回路
3:コア基板
4:層間絶縁層
5:金属箔
5a:樹脂付き金属箔
6:積層板
7:非貫通孔
8:ビア底部ランド
9:無電解めっき
9a:下地導電層
10:めっきレジスト
10a:開口部
11:電解めっき
12:エッチングレジスト
13:外層配線回路
14:ブラインドバイアホール
14a:ビアランド
15:微細配線回路
16:段差部
16a:エッチング界面
17:多層プリント配線板
Claims (3)
- 少なくとも表面に金属箔を備えた絶縁基板に貫通孔及び/又は非貫通孔を穿設し、当該貫通孔及び/又は非貫通孔にめっき処理を施すことによって異なる配線層間を接続するスルーホール及び/又はブラインドバイアホールを形成するようにした多層プリント配線板の製造方法であって、当該貫通孔及び/又は非貫通孔が穿設された絶縁基板に無電解めっきを施すことによって、当該貫通孔及び/又は非貫通孔を導通させる工程と、当該導通された貫通孔及び/又は非貫通孔と、微細配線回路形成部を除く配線回路形成部に開口部を設けためっきレジストを介して電解めっきを施す工程と、当該めっきレジストを剥離後、少なくとも当該電解めっきの表側面及び微細配線回路形成部にエッチングレジストを形成する工程と、エッチングにより回路形成を行う工程と、当該エッチングレジストを剥離する工程とを含んでなる多層プリント配線板の製造方法。
- 当該回路形成は、液状エッチングレジストを用いてエッチング処理することを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
- 当該液状エッチングレジストは、ポジ型のエッチングレジストであることを特徴とする請求項2に記載の多層プリント配線板の製造方法。
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