JP2004308711A - 複列偏心スラスト軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】互いに軸方向に対向して配置され且つ相互に一体的に接合した二つの外側ケース2と、これらの外側ケース間に介在する内側ケース3とを有する複列偏心スラスト軸受である。内側ケース3の両外側ケース対向面のそれぞれには、周方向に沿って分割して配置された3個以上の内レース5が局所的に設けられ、二つの外側ケース2,2のそれぞれには、各内レース5に対向する位置に分割して配置された3個以上の外レース4が局所的に設けられる。対向した内レース5と外レース4との間のそれぞれに転動体である玉6が挟持されている。分割して配置された各レースにおける各玉8の移動可能範囲の全てが互いに略対応した範囲とされている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複列の偏心スラスト軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の複列偏心スラスト軸受として、一枚の内側レースと、この内側レースの両面に対して対向する2枚の外側レースと、これらレース間に介在する2列の転動体からなるものが公然実施されている。この複列偏心スラスト軸受では、2枚の外側レースを備え、2列の転動体がそれぞれ互いに逆方向のアキシャル荷重を支持することにより、両方向のアキシャル荷重を支持できるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来型の複列偏心スラスト軸受では、レース部分が大きいため、レース軌道面の平面度を確保するのが困難となる等、その加工が極めて困難となる場合があり、軸受の大型化を行うのが容易でなかった。さらに、軸受鋼等の鉄系金属で作製されるレース部分が大きいため軸受が重くなり、軽量化が困難であるという問題もあった。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、レース部分を小さくすることにより、軸受の大型化と軽量化を容易とする複列偏心スラスト軸受を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、本発明では、互いに軸方向に対向して配置され且つ相互に一体的に接合した二つの外側ケースと、これらの外側ケース間に介在する内側ケースとを有し、前記内側ケースの両外側ケース対向面のそれぞれには、周方向に沿って分割して配置された3個以上の内レースが局所的に設けられるとともに、前記二つの外側ケースのそれぞれには、前記各内レースに対向する位置に分割して配置された3個以上の外レースが局所的に設けられ、且つ対向した前記内レースと前記外レースとの間のそれぞれに転動体が挟持されており、前記分割して配置された各レースにおける前記各転動体の移動可能範囲は、全て互いに略等しいことを特徴とする複列偏心スラスト軸受としている。
【0006】
このようにすると、レースが分割されて局所的に配置されているので、個々のレースを小さくすることができ、個々のレースの加工が容易となるので、軸受の大型化が容易となる。レースは周方向に沿って3個以上設けられており、各レース間に転動体が挟持されていることから、内側ケースと外側ケースは周方向に沿った3カ所以上で支持されることとなり、アキシャル荷重とモーメント荷重が支持可能となる。また、転動体と接触するレース以外の部分である内側ケース及び外側ケースは、レースと別体であるので、軸受鋼等の鉄系金属でなくアルミ合金等の低比重金属を使用でき軸受を軽量化できる。さらに、分割して局所的に配置された各レースにおける前記各転動体の移動可能範囲は、全て互いに略等しいので、任意の転動体が移動可能範囲全体亘って移動したとき、他の全ての転動体もほぼ移動可能範囲全体に移動することとなる。レースの大きさは転動体の移動可能範囲を決定する要素となるが、このように各転動体の移動可能範囲を全て互いに略等しくすることにより、複数のレースのうちの一部を不必要に大きくすることが無く、全てのレースを最小あるいは最小限とすることができる。また、以上のような構成とした場合、軸受の各部材が分離せず、組み立てられた軸受単体として供給することが可能である。
【0007】
この場合、前記内側ケースと前記外側ケースとの間の隙間により生ずる相対移動可能範囲が、前記転動体の移動可能範囲に略対応している構成とするのが好ましい。このようにすると、内側ケースと外側ケースの間の隙間が無くなるまで両者を相対移動させると、転動体もレース上に設けられた隙間が略無くなるまで移動することとなる。よって、余分な隙間が無くなるか又は最小限となり、結果として、軸受を小型化しながら偏心可能範囲を大きくすることができる。
【0008】
前記内側ケース及び外側ケースの各面に設けられた各内外レースは、当該各面において全て同一PCD(同一円周上)で配置されるとともに、周方向に均等に分配されていてもよい。このようにすると、軸受の支持点となる転動体が周方向及び径方向に均等に分配されるので、両方向のアキシャル荷重、及び、アキシャル荷重の作用点が径方向で相違することにより生ずるモーメント荷重を、より安定的に支持できる。また各転動体にかかる負荷も均等化できるため、軸受全体としての負荷容量も大きくできる。この場合、前記各内外レースは全て同一径の円形形状であり、且つ前記外側ケース及び内側ケースは円環状である構成とすると、周方向に均等な構成の軸受となり、可動面内の全方位に対して一定幅で相対移動可能な軸受とすることができる。また、全ての内外レースが同一径の円形であるので、レース部材を共通化することができる。
【0009】
この軸受において、前記各内外レースの周囲に設けられた保持器ガイドを有する構成とすることもできる。このようにすると、転動体の位置調整が容易となる。即ち、転動体の位置をレース上の最適位置に調整するのは容易ではないが、軸受に軽予圧をかけた状態で径方向全体(全周)に亘って最大に相対移動させることにより、位置ズレした転動体は保持器ガイドに係止されレース上を適宜滑りつつ位置調整がなされる。よって、転動体をレース上の最適な位置に配置することが容易となる。また、対向するレース間への異物の侵入や、潤滑油やグリース等の潤滑剤の流出を抑制できるため、軸受全体のシール機能も有する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、この実施形態の軸受1の斜視図である。図2は、この軸受1の断面図(軸心から下半分は記載を省略)であり、その周方向位置は転動体である玉6の中心を通る位置としている。図3は、図2のA−A断面の位置から矢印方向に軸受を見た要部正面図(1/4周分の図)である。
【0011】
図1及び図2に示すように、この軸受1は、互いに軸方向に対向して配置された二つの円環状の外側ケース2,2と、これら二つの外側ケース2,2の間に介在する円環状の内側ケース3とを有している。従って、内側ケース3の軸方向両側面に二つの外側ケース2,2がそれぞれ対向している。二つの外側ケースは同一形状で且つ内側ケース3に対して対称な向きに対向し、且つその内周側の縁部近傍において、周方向に等間隔をおいて設けられた複数個のねじ11で一体的に接合されている。外側ケース2,2の内側面と対向する内側ケース3の両面(両外側ケース対向面)にはそれぞれ6枚の円形形状の内レース5が装着されている。これらの内レース5は、内側ケース3の両外側ケース対向面の各面において同一PCD(同一円周上)で、且つ周方向に均等に(即ち周方向に60度おきに)分割して局所的に配置されている。また、二つの外側ケース2の内側面にはそれぞれ6枚の円形形状の外レース4が局所的に設けられている。これらの外レース4は、外側ケース2の内側面の各面において同一PCD(同一円周上)で、且つ周方向に均等に(即ち周方向に60度おきに)分割して局所的に配置されている。また、全ての内レース5及び外レース4は同一径の円形形状とされている。
【0012】
なお図1では、各部材の構成を見やすくするため、外側ケース2の上側半周分を切除し、且つこの切除部分に装着された外レース4も適宜除外し、さらに外側ケース2を内側ケース3に対して図面下方奥側に相対移動した図としている。また、外側ケースの外側面の一部を覆うように設けられた後述のシールド10(図2参照)も除外した図としている。また図2及び図3では、図1と異なり、玉6がいずれの方向にも移動していない中立の状態(以下、標準状態などという)における断面図である。
【0013】
そして、図2に示すように、標準状態では各内レース5と各外レース4がそれぞれ同一位置で軸方向に対向している。また、内側ケース3の裏表両面(両外側ケース対向面)で内レース5の配置位置(位相)は同一としている。よって、二つの外側ケース2,2相互間における外レース4の設置位置(位相)も同一である。なお、図2及び図1に示すように、円板状の内外レース4,5は、その周縁にレース段差13を設けることにより軸方向外側面を凸状とする一方、各外側ケース2及び内側ケース3には、この凸部に対応する凹部を設け、これら凹凸を組み合わせることにより内外レース4,5を外側ケース2及び内側ケース3に取り付けている。
【0014】
標準状態では、円形の各内外レース5,4の中心に転動体である玉6が配置される。玉6は各内外レース対に対して1個づつ、合計12個が使用され、同一平面上に6個づつ2列に配置された複列の軸受を構成する。各玉6は個々に円筒形の保持器7に収容されており、また各内レース5及び外レース4にはそれぞれリング状の保持器ガイド8が外嵌しており、かつこの保持器ガイド8は各内外レース4,5の軌道面よりも各玉6側に突出して設けられている。この保持器ガイド8があると、玉6を標準状態において円形の各内外レース5,4の中心に位置させることが容易となる。即ち、軸受1に予圧付加用ねじ(図示しない)等により軽予圧をかけた状態で径方向全体(全周)に亘って最大に相対移動させると、位置ズレした転動体は保持器ガイド8に係止されレース上を適宜滑りつつ位置調整がなされる。このように、保持器ガイド8により軸受1を組み立てたままの状態で、極めて簡便に各玉6の位置を調整できる。
【0015】
内外レース4,5は、玉6の各配置位置に分割して局所的に配置されているので、分割しない場合と比較して個々のレースを小さくすることができる。そうすると、レースの加工がしやすくなるので、軸受の大型化が容易となる。また、玉6と接触するレース部分は軸受鋼等の鉄系金属とする一方、内側ケース及び外側ケースはアルミ合金等の軽金属を使用できるため軸受を軽量化できる。
【0016】
標準状態において、内外レース4,5は全て同一円周15上(図3参照)に配置されPCDが同一となっており、さらに周方向に角度α(図3参照)おきに均等に分配されている。本実施形態では角度αは60度である。このようにすると、軸受1の支持点となる玉6が周方向及び径方向に均等に分配されるので、両方向のアキシャル荷重、及びモーメント荷重をより安定的に支持でき、また、転動体である各玉6にかかる負荷を均等化することができる。
【0017】
また、標準状態において、内外レース4,5は全て同一円周15上(図3参照)に配置されPCDが同一となっており、さらに、内外レース4,5は全て同一径の円形形状であるので、分割して局所的に配置された各内外レース4,5における各玉6の移動可能範囲は、全て互いに等しくなっている。即ち、任意の各玉6がその移動可能範囲全体に亘って移動したとき、他の全ての玉6もそれぞれの移動可能範囲全体に亘って移動することとなる。このように、本実施形態では、複数の内外レース4,5の全ての大きさを最小としている。
【0018】
更に、本実施形態では、外側ケース2及び内側ケース3はいずれも円環状でかつ同心に配置したので、フランジ内周面3cと外側ケース2の外周面2cとの隙間は、全周で均一な幅を有する円環状となっている。加えて、各玉6の移動可能範囲も各内外レース4,5の円形形状に応じて円形範囲とされている。従って、この軸受1は、可動面内の全方位に対して一定幅の相対移動が可能となっており、また周方向に均等な構成の軸受1となっている。また、全ての内外レース4,5が同一径の円形であるので、各内外レース4,5を同一のレース部材とすることにより、全ての内外レース4,5が共通部材とされている。
【0019】
内側ケース3の外周縁部には、略板状の基部3aから両軸方向に向かって延びるフランジ3b,3bが設けられている(図2参照)。このフランジ3b,3bの軸方向末端には、この末端から径方向内側に向かって延びる円環状のシールド10が設けられている。このシールド10は円環状の薄い板であり、その軸方向位置は、外側ケース2の外面に対してほとんど隙間が無い状態で重なるような位置となっている。このシールド10は内側ケース3のフランジ3bの軸方向末端に固定されており、外側ケース2とは固定されていない。よってシールド10は、外側ケース2の外側面と略隙間なく重なる状態を保ちながら互いに可動面内で相対移動が可能であり、軸受1内に異物が侵入するのを抑制するのに役立つ。また、フランジ3bの軸方向末端位置を外側ケース2の外側面の軸方向位置と略一致させることにより、シールド10を設けることが可能となっている。
【0020】
このように、内側ケース3のフランジ3bの軸方向末端位置と、外側ケース2の外側面の軸方向位置が略一致しているので、内側ケース3のフランジ3bの内周面であるフランジ内周面3cと外側ケース2の外周面2cとは径方向で互いに対向している部分をもつ。従って、軸受の相対移動距離が大きくなれば互いに接触しうる位置関係にある。図2に示すように、このフランジ内周面3cと外側ケース2の外周面2cとの間には、標準状態において径方向に距離Lの隙間が全周に亘って存在する。また、円環状である内側ケース3の最も径方向内側に位置する内周面3dと、外側ケース2の連結部外周面2aとについても、軸受の相対移動距離が大きくなれば互いに接触しうる状態にある。図2に示すように、これらの間には標準状態で径方向に距離Mの隙間が全周に亘って存在する。この距離Mは前記距離Lと略同一であり、ねじ11が挿通されるボルト穴の誤差分だけ距離Mは距離Lより若干長くなっている。これらの内側ケースと外側ケースの間の隙間により、相対移動可能範囲が生じている。
【0021】
一方、図2に示すように、標準状態において、玉8を収容する保持器7の外周面と、レースに外嵌する保持器ガイド8の内周面との間には、玉8を中心とした全周に距離Rの幅の隙間が存在する。この隙間の範囲により転動体である玉6の移動可能範囲が決まる。即ち、本実施形態では、内レース5及び外レース4の直径、玉8及び保持器7の外径、保持器ガイド8の内径等が、転動体である各玉8の移動可能範囲を決める要素となっている。
【0022】
本実施形態では、前記距離Rが、前記距離Lの半分となっている。即ち、次の式が成立している。
L=2R
これは、レースの相対移動距離に対して玉の移動距離が半分となることに対応させたものである。このように、本実施形態では、分割して配置された内外レース4,5における各玉6のそれぞれの移動可能範囲は、外側ケース2と内側ケース3との間の隙間生ずる前述の相対移動可能範囲に略対応させている。この結果、軸受1の偏心可能範囲は、外側ケース2と内側ケース3との間の隙間生ずる相対移動可能範囲と一致する。このようにすると、隙間距離Lが無くなるまで外側ケース2と内側ケース3とを相対移動させると、各玉6は隙間距離Rが無くなるまで移動することとなる。したがって、外側ケース2の外周面2cと内側ケース3との間に余分な隙間が無く、且つ、玉6が移動するための内外レース4,5間にも余分な隙間が無い。その結果、軸受1を小型化することができる。
【0023】
また、本実施形態では、距離Lと距離Mを略同一としていることから、ある径方向において距離Lが無くなるまで内側ケース3と外側ケース2とを相対移動させると、その径方向における距離Mも略無くなることとなる。隙間距離Lと隙間距離Mとの差が大きい場合は、これらのうち隙間距離が小さい方の隙間よって軸受1の偏心可能範囲が制約されてしまうが、両者を略同一としたことにより、軸受1を小型化しながら軸受1の偏心可能範囲を最大あるいは最大限とすることができる。しかも、距離Mを小さくできるので、円環状の外側ケース3の内径を大きくすることができ、軸受1をさらに軽量化することができる。
【0024】
なお、本実施形態では、内側ケース3のうち内レース5の存在しない位置に、円形の貫通孔9を設けている。このような貫通孔9を設けることにより内側ケース3が更に軽量化でき、軸受1をより軽量化することができる。また、本実施形態では、内外レース4,5を全て同一円周15上(図3参照)に配置してPCDを同一とし、且つ周方向均等に分配しているので、これに対応して、貫通孔9も、同一円周上に且つ周方向に均等に分割して設けている。また、全ての貫通孔9は同一径としている。このようにすると、内レース5の存在しない位置に、貫通孔9を周方向及び径方向に均等に設けることができるので、内側ケース3の剛性を周方向に均等としつつ軽量化することができる。
【0025】
本実施形態において、略ドーナツ状円板のシールド10は、軸受1の偏心可能範囲を狭くしないよう工夫されている。つまり、図2に示すように、シールド10の内周面から、外側ケース2の径方向内側付近に設けられたシールド用段差12までの径方向距離Tは、前記距離Lよりも大とされている。このようにすると、軸受1の偏心可能範囲がシールド10により規制されることがない。なお、シールド用段差12は、シールド10の厚みと略同一の深さとしており、軸受1の軸方向厚みが必要以上に大きくならないようにしている。
【0026】
各玉6を図2のような位置、即ち、標準状態において内外レース部4,5の中心位置に配置するには、予圧付加用ねじ等で外側ケース2と内側ケース3との間に軽予圧を与えた状態で、軸受1を偏心可能範囲の全体に亘って限界まで相対移動させればよい。このようにすると、位置がずれている玉6は、保持器ガイド8によって滑り位置調整がなされる。その後、所定のトルクで予圧付加用ねじを締結すればよい。本発明では、各局在位置における玉6等の転動体がそれぞれPCD(ピッチ円径)を変えることなく、標準状態において内外レース4,5の中心に位置しているのが好ましい。しかし、アキシャル荷重等により転動体に偏荷重が作用して、一部の転動体がレースから浮いてしまう等により特定の玉6が位置ズレすることもありうる。この場合でも、保持器ガイド8を設けることにより、前述のように軸受1を組み立てたままの状態で各玉6の位置を修正することができる。また、標準状態における各玉6のPCDを維持するためには、予圧付加用ねじ等により内外部材間に予圧を与えて、転動体である各玉6と内外レース4,5間の滑りを抑えるようにしておくのがよい。
【0027】
保持器7及び保持器ガイド8は本発明では必ずしも必要ではないが、本実施形態のように、各玉6を収容する保持器7を用いると、転動体周辺の潤滑油やグリース等の潤滑剤の流出を抑制できる。前述のように、保持器ガイド8により玉6の位置調整が容易となるが、さらに、保持器7を設けることによりこの位置調整が確実となる。即ち、保持器7の外周面と保持器ガイド8の内周面とが当接することにより、位置調整の際により確実に玉6を滑らすことができる。また、保持器ガイド8により対向するレース4,5間への異物の侵入を抑制することが可能となる。
【0028】
本発明では、転動体の形状は問わないが、すべての転動体を玉6とすれば、軌道面の全方位に対して転がり抵抗の少ない軸受とすることができる点で好ましい。また、転動体の数は特に限定されず、一組の内外レース4,5あたり複数の転動体を設けてもよいし、本実施形態のように、一組の内外レース4,5あたり一個の転動体としてもよい。一組の内外レース4,5あたり一個の転動体が最低限必要である。
【0029】
本発明では、各外側ケース2および内側ケース3の両外側ケース対向面のそれぞれにおいて、内外レース4,5はそれぞれ周方向に沿って3カ所以上に分割して局所的に配置する。従って、内側ケース3の表裏で同一位置に設けた内レース5を表裏一体とすることなく、本実施形態のように、内側ケース3の両外側ケース対向面にそれぞれ別個の内レース5を設けた場合には、内レース5は合計6個以上必要である。これらの内外レース4,5相互間のそれぞれに玉6等の転動体が挟持されているので、内側ケース3及び外側ケース2はそれぞれ周方向に沿った3点以上で支持されるため、両方向のアキシャル荷重及びモーメント荷重を安定的に支持できる。
【0030】
本実施形態では、各内外レース4,5および各玉6は周方向の全周にわたって分散しているが、本発明はこのような構成に限定されない。ただし、内外レース4,5を、各外側ケース2,2の内側面及び内側ケース3の両外側ケース対向面のそれぞれにおいて、周方向で180度(半円)よりも大きい周方向範囲に3カ所以上に分散させて設けると、アキシャル荷重やモーメント荷重をより安定的に支持できる。特に、大きなモーメント荷重を支持するには、このような実施形態が好ましい。
【0031】
本実施形態では、外側ケース2及び内側ケース3のそれぞれ6カ所に内外レース4,5を設けているが、特に本実施形態のように、内外レース4,5を全て同一PCD(図3に記載の面内における同一円周上)とし且つ周方向に均等に分配する場合には、内側ケース3及び外側ケース2のそれぞれにおいて、内外レース4,5を3個〜8個程度に分割して局所的に配置するのが好ましい。2個以下では外側ケース2を安定的に支持できず、多すぎると各レースの大きさが小さくなって転動体の移動可能範囲が小さくなりすぎる場合がある他、部材の点数が増加し且つ構造が複雑化する傾向となってコストが高くなる。
【0032】
本実施形態では、距離Lを距離Rの2倍とし、且つ、距離Mも距離Rの略2倍としたが、距離Mを距離Rの略2倍としない場合でも、距離Lを距離Rの略2倍とすると、各玉6の移動可能範囲が軸受1の偏心可能範囲と略対応し、各内外レース4,5の大きさを最小限とすることができる。且つ、内側ケース3の外径を最小限とすることができる。
【0033】
本実施形態では、図2に示すように、内側ケース3の両外側ケース対向面に設けられた内レース5,5は、内側ケース3の表裏において同一の位置(同一の位相)となるように設けられている。その結果、これら内レース5,5に対向する二つの外側ケース2,2に設けられた外レース4も、標準状態においては、これら内レース5,5と同一の位置(同一の位相)で揃った構成となっている。本発明はこのような構成に限定されず、内レース5の位置(位相)が内側ケース3の表裏で異なっていてもよい。
【0034】
軸受1がアセンブル部材として軸受1以外の他の外部装置に取り付けられて使用された場合に、この外部装置において例えばゴムやバネ等の反力を用いて軸受1の相対移動範囲を制約する手段があり、これにより制約される範囲が軸受1の偏心可能範囲より狭い範囲であれば、軸受1は各構成部品間で互いに干渉することがない。
【0035】
なお、本発明の軸受は、外側ケース又は内側ケースが円形(円環状)のものに限定されず、例えば多角形であってもよい。多角形の場合、本願にいう径方向及び周方向とは、この多角形の外接円における径方向及び周方向を意味するものとする。
【0036】
【発明の効果】
上述の通り、本発明により、レース部分を小さくすることができ、軸受の大型化と軽量化を容易とする複列偏心スラスト軸受を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の軸受の斜視図(一部欠截図)である。
【図2】本発明の実施形態の軸受の断面図である。
【図3】本発明の実施形態の軸受において、図2のA−A断面の位置から矢印方向に軸受を見た要部正面図である。
【符号の説明】
1 軸受
2 外側ケース
3 内側ケース
4 外レース
5 内レース
6 玉
7 保持器
8 保持器ガイド
9 貫通孔
10 シールド
11 ねじ
L 内側ケースのフランジの内周面と外側ケースの外周面との間の径方向距離
M 内側ケースの内周面と外側ケースの連結部外周面との間の隙間距離
R 保持器の外周面と保持器ガイドの内周面との間の隙間距離
Claims (5)
- 互いに軸方向に対向して配置され且つ相互に一体的に接合した二つの外側ケースと、これらの外側ケース間に介在する内側ケースとを有し、
前記内側ケースの両外側ケース対向面のそれぞれには、周方向に沿って分割して配置された3個以上の内レースが局所的に設けられるとともに、前記二つの外側ケースのそれぞれには、前記各内レースに対向する位置に分割して配置された3個以上の外レースが局所的に設けられ、且つ対向した前記内レースと前記外レースとの間のそれぞれに転動体が挟持されており、
前記分割して配置された各レースにおける前記各転動体の移動可能範囲は、全て互いに略等しいことを特徴とする複列偏心スラスト軸受。 - 前記内側ケースと前記外側ケースとの間の隙間により生ずる相対移動可能範囲が、前記転動体の移動可能範囲に略対応していることを特徴とする請求項1に記載の複列偏心スラスト軸受。
- 前記各内外レースは、全て同一PCDで配置されるとともに、周方向に均等に分配されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の複列偏心スラスト軸受。
- 前記各内外レースは全て同一径の円形形状であり、且つ前記外側ケース及び内側ケースは円環状であることを特徴とする請求項3に記載の複列偏心スラスト軸受。
- 前記各内外レースの周囲に設けられた保持器ガイドを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の複列偏心スラスト軸受。
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