JP2004308621A - 容量可変型斜板式圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成で、斜板の位置精度の高い駆動軸と斜板との連結構造を得る。
【解決手段】駆動軸22と一体回転するとともに該駆動軸22に対して傾動可能な斜板30と、斜板30の回転および傾斜角に応じて往復運動のストロークを変化させながら流体を圧縮するピストン20を備え、駆動軸22と斜板30の間を、それぞれに揺動可能な第1リンク34および第2リンク36とで連結し、斜板30の駆動軸22に対する傾斜角の変化を許容しながら、第1リンク34および第2リンク36が協働して、斜板30の軸方向ならびに径方向の位置を制約するように構成した。
【選択図】 図1
【解決手段】駆動軸22と一体回転するとともに該駆動軸22に対して傾動可能な斜板30と、斜板30の回転および傾斜角に応じて往復運動のストロークを変化させながら流体を圧縮するピストン20を備え、駆動軸22と斜板30の間を、それぞれに揺動可能な第1リンク34および第2リンク36とで連結し、斜板30の駆動軸22に対する傾斜角の変化を許容しながら、第1リンク34および第2リンク36が協働して、斜板30の軸方向ならびに径方向の位置を制約するように構成した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として車両用空調装置等に用いられ、駆動軸と一体回転する斜板の傾斜角に応じてピストンの往復運動のストロークを変えるようにした容量可変型斜板式圧縮機(以下、単に「圧縮機」という)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置等に用いる圧縮機は、駆動軸に一体のロータと斜板との間に一対のヒンジ機構を備えて圧縮反力等によるモーメントを受承するとともに、斜板の中心部には駆動軸が貫通する一種の長孔形状とした貫通孔が形成されて斜板が駆動軸に対し傾斜可能であるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−91366号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成の従来の圧縮機にあっては、斜板の回転中心を維持する機能(調芯機能)がなく、駆動軸が斜板の長孔に嵌挿されるように構成されて斜板と駆動軸との間に径方向の隙間が生じるようになっているため、特に吐出量が少ない運転状態において外部からのショック等を受けると、この隙間の分だけ斜板が動いて騒音や振動を発生しやすいという問題があった。
また、斜板の長孔と駆動軸とが互いに振動による衝突で摩耗し、この結果、斜板の回転中心の維持がますます困難になって、振動、騒音をますます助長するという問題もある。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、斜板の長孔を駆動軸が貫通するようにした上記従来の容量可変型斜板式圧縮機に比べて、より長期間にわたって斜板の回転中心を精度良く維持し、もって振動や騒音の発生を抑制することを可能とした容量可変型斜板式圧縮機を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機は、駆動軸と、該駆動軸と一体回転するとともに該駆動軸に対して傾動可能な斜板と、シリンダボアを形成したシリンダブロックと、該シリンダブロックのシリンダボア内に嵌挿され、駆動軸の回転運動を往復運動に変換し、斜板の回転および傾斜角に応じて往復運動のストロークを変化させながら流体を圧縮するピストンと、駆動軸の軸方に離間した位置にそれぞれ連結され、駆動軸と斜板との間を揺動可能に連結する第1リンクおよび第2リンクとを備え、斜板の駆動軸に対する傾斜角の変化を許容しながら、第1リンクおよび第2リンクが協働して、斜板の軸方向ならびに径方向の位置を制約することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機は、第1リンクは、駆動軸側と斜板側とにそれぞれに揺動可能に連結され、第2リンクは、駆動軸側と斜板側とのそれぞれに揺動可能に連結されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機は、第1リンクは、駆動軸側と斜板側とのそれぞれに揺動可能に連結され、第2リンクは、斜板側に固定されるとともに一端部側が駆動軸に揺動および摺動可能に連結されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機は、第1リンクは、斜板に当接して該斜板の最小傾斜角を規制する部分を有することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機は、第2リンクは、斜板に当接して該斜板の最大傾斜角を規制する部分を有することを特徴とする。
【0011】
【作用】
請求項1に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機にあっては、駆動軸と、該駆動軸と一体回転するとともに該駆動軸に対して傾動可能な斜板と、シリンダボアを形成したシリンダブロックと、該シリンダブロックのシリンダボア内に嵌挿され、駆動軸の回転運動を往復運動に変換し、斜板の回転および傾斜角に応じて往復運動のストロークを変化させながら流体を圧縮するピストンと、駆動軸の軸方に離間した位置にそれぞれ連結され、駆動軸と斜板との間を揺動可能に連結する第1リンクおよび第2リンクとを備え、斜板の駆動軸に対する傾斜角の変化を許容しながら、第1リンクおよび第2リンクが協働して、斜板の軸方向ならびに径方向の位置を制約するように構成したため、斜板の回転によってピストンが往復して圧縮作用を行うとともに、斜板の傾斜角とともに吐出量が変化する。
【0012】
請求項2に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機にあっては、第1リンクは、駆動軸側と斜板側とにそれぞれに揺動可能に連結され、第2リンクは、駆動軸側と斜板側とのそれぞれに揺動可能に連結されているため、斜板の駆動軸に対する傾斜角が変動する場合に、第1リンクと第2リンクにより斜板の位置と姿勢が制約されながら、ピストンのストロークが変化する。
【0013】
請求項3に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機にあっては、第1リンクは、駆動軸側と斜板側とのそれぞれに揺動可能に連結され、第2リンクは、斜板側に固定されるとともに一端部側が駆動軸に揺動および摺動可能に連結されているため、斜板の駆動軸に対する傾斜角が変動する場合に、第1リンクと第2リンクにより斜板の位置と姿勢が制約されながら、ピストンのストロークが変化する。
【0014】
請求項4に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機にあっては、第1リンクは、斜板に当接して該斜板の最小傾斜角を規制する部分を有するため、斜板の傾斜角は設定された角度より小さくなることを規制される。
【0015】
請求項5に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機にあっては、第2リンクは、斜板に当接して該斜板の最大傾斜角を規制する部分を有するため、斜板の傾斜角は設定された角度より大きくなることを規制される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る圧縮機の主要部の断面を表す。
また、図2は図1の一部拡大図であり、図3は図2におけるD−D線に沿って切断した断面図である。
さらに図4は、斜板の傾斜角度が図1の状態から変化した状態を表し、図2の状態に対応している。
【0017】
図1において、シリンダブロック10は、この図中左側にはケース12が、また図中右側にはプレート14を介してハウジング16がそれぞれ接合され、ボルト18によりこれらが一体に組み付けられている。
シリンダブロック10には複数のシリンダボア10aが形成され、これらのそれぞれにピストン20が往復動可能に嵌挿されている。
ハウジング16の内部には、図示を省略したが、吸入室および吐出室、吸入弁および吐出弁、そして後述する吐出量を可変制御するための制御弁がそれぞれ設けられている。
【0018】
これらは、ピストン20がシリンダボア10a内を往復することにより、吸入室から冷媒(流体)を吸い込んで圧縮して吐出室へ吐出することができるように構成している。
ここで、図1に示したピストン20の位置が最も右寄りにあって圧縮した状態であり、この位置を上死点と呼ぶ。
【0019】
ケース12の内側にはクランク室12aを形成しており、以下の構成部品を収めている。
駆動軸22は、その左右端側がシリンダブロック10およびケース12にベアリング24、26によってそれぞれ支承されており、その左側への移動がスラストベアリング28によって規制されている。
駆動軸22は、図示しないベルトおよびプーリを介して車両のエンジンによって駆動されるようにしてある。
【0020】
駆動軸22とピストン20との間には斜板30が配置されている。
斜板30は円盤状の形状に形成してある。
斜板30とピストン20の球面座20aとの間には球状のシュー32が、各々のピストン20につき2個ずつ介在して、斜板30とピストン20とを相対傾動可能に連結している。この結果、後述するように、斜板30が回転するとピストン20がシリンダボア10a内を往復するようになっており、そのストロークは斜板30の傾斜角によって変化する。
【0021】
一方、駆動軸22の図中上下方向への突出部22−1、22−2には、2カ所の孔22aおよび22bが、また斜板30の突起部20aには、2ヶ所の孔30bおよび30cがそれぞれ形成されている。
第1リンク34と第2リンク38とは、これらに形成したピン38、40、42、44が上記それぞれの孔22a、22b、30a、30bに挿入されて揺動可能に連結され、駆動軸22と斜板30とが一体回転するようにしてある。
【0022】
すなわち、図3にその一部を拡大して示すように、ピン42、44は両端部が第2リンク36を構成する2枚の第2リンク片B36−1、36−2にかしめられて一体になっており、駆動軸22と斜板30をこれらの孔22b、30cを介して揺動可能に連結している。図示は省略するが、他方のピン38、40側も同様である。
【0023】
このため、斜板30は、第1リンク34と第2リンク36によって駆動軸22に対しその姿勢を規制されながら、図2と図4とに示す状態間で駆動軸22に対する傾斜角を変化させることができる。
すなわち、図2は斜板30が最も傾斜した状態であり最もピストン20のストロークが大きく、したがって吐出量が多くなる。これに対し、図4は最も傾斜角が小さく、最もピストン20のストロークが小さく吐出量が少なる。そしてこれら両状態間を斜板30は、自由に傾斜角を変化することができ、上記両状態の間の吐出量を得ることができるようになっている。
【0024】
なお、斜板30は、第1リンク34と第2リンク36の作用により、傾斜角の変化とともに姿勢と位置が一義的に決まってしまうこととなる。
そして、前述した駆動軸22と斜板30に設けた孔22a、22b、30a、30bの配置は、斜板30の傾斜角が変化した場合に、ピストン20の上死点位置が軸方向に、斜板30の回転中心の位置が径方向に、それぞれ極力変化しないような配置にしてある。
【0025】
つまり、図2と図4を見比べるとわかるように、斜板30の傾斜角が異なっていても、ピストン20の上死点位置はほぼ同じであり、斜板30の回転中心の位置は軸方向には変化しているが、径方向には殆ど変化していない。
これは、前述のように駆動軸22と斜板30とが、第1リンク34と第2リンク36とで連結されているからである。
また、図3でわかるように、第2リンク36−1、36−2と斜板30および駆動軸22との間には、ピン40、42の長手方向に最小限の隙間があるのみであり、この方向の位置変化も少ない。
【0026】
第1リンク34と第2リンク36の間にはこれらを押し離す方向に弾性力を作用するスプリング46が設けられ、他に斜板30に作用するモーメントがない場合には、スプリング46の張力で図4に示すように斜板30の傾斜角が最も小さくなるようになっている。
【0027】
また、図2でわかるように、最も傾斜角が大きい状態にあっては、斜板30が第2リンク36の下端部36aに突き当たって、これ以上の傾斜角にならないようになっている。
一方、図4でわかるように、最も傾斜角が小さい状態にあっては、斜板30が第1リンク34の右端のフック部34aに突き当たって、これ以下の傾斜角にならないようになっている。
【0028】
続いて、図1乃至図4示した実施の形態における圧縮機の作動を説明する。
前述のように、駆動軸22は車両のエンジンによって駆動されて回転する。
このとき駆動軸22と第1リンク34、第2リンク36によって連結されている斜板30も一緒に回転する。
【0029】
図1に示す状態にあっては、ピストン20は上死点位置にあるが、この状態から駆動軸22および斜板30が回転すると、ピストン20は徐々に左側へ移動して冷媒を吸入していき、図1から斜板30が180°回転した場合に最も左側へ移動した状態になって吸入が完了する。この位置を下死点という。
【0030】
さらに斜板30が回転し続けるとピストン20は徐々に右側へ戻って、冷媒を圧縮・吐出するようになり、360°回転して図1の上死点位置に戻ると吐出が完了する。
以上は図1に示したピストン20についてであるが、図示しない複数の他の位置にあるピストン20’も、斜板30の回転位相は異なるが、斜板30の回転とともに吸入・圧縮・吐出を繰り返す。
【0031】
一方、ハウジング16内に設けた図示しない制御弁の作用により、クランク室12aに圧縮された冷媒の一部が流入して、クランク室12aの圧力が上昇すると、ピストン20に背圧が右方向に作用するため、ピストン20のストロークが減っていき、それにつられて斜板30の傾斜角が小さくなる。
【0032】
この際、前述のようにピストン20の上死点位置は変化せず、下死点位置が移動するようにストロークが変化して吸入・圧縮・吐出作用が行われ、斜板30の1回転当たりの吐出量が少なくなっていく。
したがって、制御弁の作用でクランク室12aの圧力を制御することで、斜板30の傾斜角とピストン20のストロークが変化して、吐出量が変化する。
すなわち、圧縮機としては可変容量制御が可能になる。
【0033】
この場合、前に説明したように、駆動軸22に対して斜板30の傾斜角が変化しても、ピストン20の上死点は殆ど変化せず、圧縮機としての機能を果たすとともに、斜板30の回転中心が径方向に殆ど変化しないので、回転に伴う振動や音の発生を防ぐことができる。
【0034】
また、これらを司る第1リンク34、第2リンク36と、これらを連結するピン38、40、42、44および、それぞれが嵌合する孔22a、22b、30b、30cはいずれも加工による寸法精度が確保しやすいため、上記ピストン20の上死点位置および斜板30の回転中心位置の維持精度も高くできる。
また、一般にリンク機構は作動が円滑であり、上記の斜板30の傾斜角が変化する際にもスムーズに動くので、吐出容量の制御も円滑に行われる。
【0035】
このように、本発明の実施の形態に係る圧縮機は、駆動軸22と斜板30との連結機構が簡単な部品構成でありながら、スムーズで精度の高い作動が期待でき、騒音や振動が少ない可変容量制御を実現することができる。また、上記連結機構での摩擦による磨耗も少なく、従来のものより長い期間スムーズで精度の高い作動を保持でき、磨耗による騒音や振動の助長を抑制できる。
【0036】
次に、図5乃至図7は本発明の圧縮機における第2の実施の形態を示す。
図5は主要部の断面図であり、図6は図2に、図7は図4にそれぞれ対応した状態を示している。
【0037】
ここでは、図1乃至図4に示した第1の実施の形態と異なる部分である連結機構を中心に説明し、実質的に同じ部分については同じ番号を付しその説明を省略する。
この第2の実施の形態の圧縮機では、駆動軸22と一体のロータ50が設けられるとともに、図1乃至図4における第2リンク34がない代わりに、ロータ50に設けたガイド孔50aに嵌挿される球部52aを有するガイドピン52が斜板30の突起部30aに一体に設けられている。なお、ロータ50とガイドピン52とは、駆動軸22と斜板30側とが揺動可能に連結されたリンクとして、本発明の第2リンクを構成する。
【0038】
また、第1リンク34はロータ50と斜板30との間に設けられている。
ロータ50には孔50bが形成されている。
さらに、スプリング46は第1リンク34と斜板30との間に設けられているが、この張力による作用は図1乃至図5に示した第1の実施の形態と変わらない。
【0039】
これらにより、斜板30は駆動軸22に対する傾斜角が変化する際に、その位置および姿勢は第1リンク34と、ガイドピン52およびガイド孔50aとの位置関係に制約されることになる。
したがって、これらの配置や角度等を適切に設定することで、ピストン20の上死点位置や斜板30の回転中心位置の変化を最小限に保ちながら可変容量制御を達成できることは図1乃至図4の実施の形態と同様であるので、詳細の説明は省略する。
【0040】
尚、前述した従来例(特開平7−91366号公報)においては、ガイドピンおよびガイド孔が一対ずつ必要であったのに対して、この第2の実施の形態の圧縮機においては、ガイドピン52および、これが嵌合するガイド孔50aは1カ所でよい。
【0041】
図5乃至図7に示した第2の実施の形態に係る圧縮機も、簡単な部品構成でありながら、上記のピストン20の上死点位置および斜板30の回転中心位置の維持精度が高いので、騒音、振動の発生が少なく吐出容量の制御も円滑に行うことができる。また、連結機構において摩擦による磨耗が少なく、従来のものより長い期間スムーズで精度の高い作動を保持でき、磨耗による騒音や振動の助長を抑制できる。
【0042】
以上の説明は、斜板30とピストン20との間にシュー32を介在させたタイプにおける実施の形態であったが、いわゆるワッブル式と呼ばれるロッドを介在させたタイプでも応用可能であることは言うまでもない。
【0043】
以上、説明したように、本発明における各実施の形態の圧縮機によれば、以下のような効果が得られるとともに、当業者の一般的な知識に基づいて、各構成部品の回転バランスや遠心力の影響を抑える設計にするなどの、変更や改良を加えた態様で実施することができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明の容量可変型斜板式圧縮機によれば、以下のような効果を得ることができる。
請求項1に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機によれば、駆動軸と、該駆動軸と一体回転するとともに該駆動軸に対して傾動可能な斜板と、シリンダボアを形成したシリンダブロックと、該シリンダブロックのシリンダボア内に嵌挿され、駆動軸の回転運動を往復運動に変換し、斜板の回転および傾斜角に応じて往復運動のストロークを変化させながら流体を圧縮するピストンと、駆動軸の軸方に離間した位置にそれぞれ連結され、駆動軸と斜板との間を揺動可能に連結する第1リンクおよび第2リンクとを備え、斜板の駆動軸に対する傾斜角の変化を許容しながら、第1リンクおよび第2リンクが協働して、斜板の軸方向ならびに径方向の位置を制約するように構成したため、斜板の傾斜角が変化しても、上記従来のものに比べてピストンの上死点位置および斜板の回転中心位置が精度良く維持され、振動や騒音の発生が少ない。また、この部分の摩擦による磨耗が少なく、従来のものより長い期間スムーズで精度の高い作動を保持でき、磨耗による騒音や振動の助長を抑制できる。
【0045】
請求項2に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機によれば、第1リンクは、駆動軸側と斜板側とにそれぞれに揺動可能に連結され、第2リンクは、駆動軸側と斜板側とのそれぞれに揺動可能に連結される構成であるため、第1リンクおよび第2リンクは寸法精度が出しやすいので、製造コストが安いとともに、ピストンの上死点位置および斜板の回転中心位置の精度を高めることができ、振動や騒音の発生を抑制できる。
【0046】
請求項3に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機によれば、第1リンクは、駆動軸側と斜板側とのそれぞれに揺動可能に連結され、第2リンクは、斜板側に固定されるとともに一端部側が駆動軸に揺動および摺動可能に連結される構成であるため、第1リンクおよび第2リンクは寸法精度が出しやすい形状であるので、製造コストが安いとともに、ピストンの上死点位置および斜板の回転中心位置の精度を高めることができ、振動や騒音の発生を抑制できる。
【0047】
請求項4に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機によれば、第1リンクは、斜板に当接して該斜板の最小傾斜角を規制する部分を有するため、最小傾斜角を規制するための専用部品が不要になるので、製造コストを抑えることができる。
【0048】
請求項5に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機によれば、第2リンクは、斜板に当接して該斜板の最大傾斜角を規制する部分を有するため、最大傾斜角を規制するための専用部品が不要になるので、製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧縮機の主要部断面図である。
【図2】図1の一部拡大図である。
【図3】図2のD−D断面図である。
【図4】図2から斜板の傾斜角が変化した状態を示す断面図である。
【図5】本発明の圧縮機における第2の実施の形態を示す要部断面図である。
【図6】図5の一部拡大図である。
【図7】図6から斜板の傾斜角が変化した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
10:シリンダブロック
12:ケース
14:プレート
16:ハウジング
18:ボルト
20:ピストン
22:駆動軸
24、26:ベアリング
28:スラストベアリング
30:斜板
32:シュー
34:第1リンク
36:第2リンク
38、40、42、44:ピン
46:スプリング
50:ロータ
52:ガイドピン
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として車両用空調装置等に用いられ、駆動軸と一体回転する斜板の傾斜角に応じてピストンの往復運動のストロークを変えるようにした容量可変型斜板式圧縮機(以下、単に「圧縮機」という)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置等に用いる圧縮機は、駆動軸に一体のロータと斜板との間に一対のヒンジ機構を備えて圧縮反力等によるモーメントを受承するとともに、斜板の中心部には駆動軸が貫通する一種の長孔形状とした貫通孔が形成されて斜板が駆動軸に対し傾斜可能であるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−91366号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成の従来の圧縮機にあっては、斜板の回転中心を維持する機能(調芯機能)がなく、駆動軸が斜板の長孔に嵌挿されるように構成されて斜板と駆動軸との間に径方向の隙間が生じるようになっているため、特に吐出量が少ない運転状態において外部からのショック等を受けると、この隙間の分だけ斜板が動いて騒音や振動を発生しやすいという問題があった。
また、斜板の長孔と駆動軸とが互いに振動による衝突で摩耗し、この結果、斜板の回転中心の維持がますます困難になって、振動、騒音をますます助長するという問題もある。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、斜板の長孔を駆動軸が貫通するようにした上記従来の容量可変型斜板式圧縮機に比べて、より長期間にわたって斜板の回転中心を精度良く維持し、もって振動や騒音の発生を抑制することを可能とした容量可変型斜板式圧縮機を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機は、駆動軸と、該駆動軸と一体回転するとともに該駆動軸に対して傾動可能な斜板と、シリンダボアを形成したシリンダブロックと、該シリンダブロックのシリンダボア内に嵌挿され、駆動軸の回転運動を往復運動に変換し、斜板の回転および傾斜角に応じて往復運動のストロークを変化させながら流体を圧縮するピストンと、駆動軸の軸方に離間した位置にそれぞれ連結され、駆動軸と斜板との間を揺動可能に連結する第1リンクおよび第2リンクとを備え、斜板の駆動軸に対する傾斜角の変化を許容しながら、第1リンクおよび第2リンクが協働して、斜板の軸方向ならびに径方向の位置を制約することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機は、第1リンクは、駆動軸側と斜板側とにそれぞれに揺動可能に連結され、第2リンクは、駆動軸側と斜板側とのそれぞれに揺動可能に連結されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機は、第1リンクは、駆動軸側と斜板側とのそれぞれに揺動可能に連結され、第2リンクは、斜板側に固定されるとともに一端部側が駆動軸に揺動および摺動可能に連結されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機は、第1リンクは、斜板に当接して該斜板の最小傾斜角を規制する部分を有することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機は、第2リンクは、斜板に当接して該斜板の最大傾斜角を規制する部分を有することを特徴とする。
【0011】
【作用】
請求項1に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機にあっては、駆動軸と、該駆動軸と一体回転するとともに該駆動軸に対して傾動可能な斜板と、シリンダボアを形成したシリンダブロックと、該シリンダブロックのシリンダボア内に嵌挿され、駆動軸の回転運動を往復運動に変換し、斜板の回転および傾斜角に応じて往復運動のストロークを変化させながら流体を圧縮するピストンと、駆動軸の軸方に離間した位置にそれぞれ連結され、駆動軸と斜板との間を揺動可能に連結する第1リンクおよび第2リンクとを備え、斜板の駆動軸に対する傾斜角の変化を許容しながら、第1リンクおよび第2リンクが協働して、斜板の軸方向ならびに径方向の位置を制約するように構成したため、斜板の回転によってピストンが往復して圧縮作用を行うとともに、斜板の傾斜角とともに吐出量が変化する。
【0012】
請求項2に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機にあっては、第1リンクは、駆動軸側と斜板側とにそれぞれに揺動可能に連結され、第2リンクは、駆動軸側と斜板側とのそれぞれに揺動可能に連結されているため、斜板の駆動軸に対する傾斜角が変動する場合に、第1リンクと第2リンクにより斜板の位置と姿勢が制約されながら、ピストンのストロークが変化する。
【0013】
請求項3に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機にあっては、第1リンクは、駆動軸側と斜板側とのそれぞれに揺動可能に連結され、第2リンクは、斜板側に固定されるとともに一端部側が駆動軸に揺動および摺動可能に連結されているため、斜板の駆動軸に対する傾斜角が変動する場合に、第1リンクと第2リンクにより斜板の位置と姿勢が制約されながら、ピストンのストロークが変化する。
【0014】
請求項4に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機にあっては、第1リンクは、斜板に当接して該斜板の最小傾斜角を規制する部分を有するため、斜板の傾斜角は設定された角度より小さくなることを規制される。
【0015】
請求項5に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機にあっては、第2リンクは、斜板に当接して該斜板の最大傾斜角を規制する部分を有するため、斜板の傾斜角は設定された角度より大きくなることを規制される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る圧縮機の主要部の断面を表す。
また、図2は図1の一部拡大図であり、図3は図2におけるD−D線に沿って切断した断面図である。
さらに図4は、斜板の傾斜角度が図1の状態から変化した状態を表し、図2の状態に対応している。
【0017】
図1において、シリンダブロック10は、この図中左側にはケース12が、また図中右側にはプレート14を介してハウジング16がそれぞれ接合され、ボルト18によりこれらが一体に組み付けられている。
シリンダブロック10には複数のシリンダボア10aが形成され、これらのそれぞれにピストン20が往復動可能に嵌挿されている。
ハウジング16の内部には、図示を省略したが、吸入室および吐出室、吸入弁および吐出弁、そして後述する吐出量を可変制御するための制御弁がそれぞれ設けられている。
【0018】
これらは、ピストン20がシリンダボア10a内を往復することにより、吸入室から冷媒(流体)を吸い込んで圧縮して吐出室へ吐出することができるように構成している。
ここで、図1に示したピストン20の位置が最も右寄りにあって圧縮した状態であり、この位置を上死点と呼ぶ。
【0019】
ケース12の内側にはクランク室12aを形成しており、以下の構成部品を収めている。
駆動軸22は、その左右端側がシリンダブロック10およびケース12にベアリング24、26によってそれぞれ支承されており、その左側への移動がスラストベアリング28によって規制されている。
駆動軸22は、図示しないベルトおよびプーリを介して車両のエンジンによって駆動されるようにしてある。
【0020】
駆動軸22とピストン20との間には斜板30が配置されている。
斜板30は円盤状の形状に形成してある。
斜板30とピストン20の球面座20aとの間には球状のシュー32が、各々のピストン20につき2個ずつ介在して、斜板30とピストン20とを相対傾動可能に連結している。この結果、後述するように、斜板30が回転するとピストン20がシリンダボア10a内を往復するようになっており、そのストロークは斜板30の傾斜角によって変化する。
【0021】
一方、駆動軸22の図中上下方向への突出部22−1、22−2には、2カ所の孔22aおよび22bが、また斜板30の突起部20aには、2ヶ所の孔30bおよび30cがそれぞれ形成されている。
第1リンク34と第2リンク38とは、これらに形成したピン38、40、42、44が上記それぞれの孔22a、22b、30a、30bに挿入されて揺動可能に連結され、駆動軸22と斜板30とが一体回転するようにしてある。
【0022】
すなわち、図3にその一部を拡大して示すように、ピン42、44は両端部が第2リンク36を構成する2枚の第2リンク片B36−1、36−2にかしめられて一体になっており、駆動軸22と斜板30をこれらの孔22b、30cを介して揺動可能に連結している。図示は省略するが、他方のピン38、40側も同様である。
【0023】
このため、斜板30は、第1リンク34と第2リンク36によって駆動軸22に対しその姿勢を規制されながら、図2と図4とに示す状態間で駆動軸22に対する傾斜角を変化させることができる。
すなわち、図2は斜板30が最も傾斜した状態であり最もピストン20のストロークが大きく、したがって吐出量が多くなる。これに対し、図4は最も傾斜角が小さく、最もピストン20のストロークが小さく吐出量が少なる。そしてこれら両状態間を斜板30は、自由に傾斜角を変化することができ、上記両状態の間の吐出量を得ることができるようになっている。
【0024】
なお、斜板30は、第1リンク34と第2リンク36の作用により、傾斜角の変化とともに姿勢と位置が一義的に決まってしまうこととなる。
そして、前述した駆動軸22と斜板30に設けた孔22a、22b、30a、30bの配置は、斜板30の傾斜角が変化した場合に、ピストン20の上死点位置が軸方向に、斜板30の回転中心の位置が径方向に、それぞれ極力変化しないような配置にしてある。
【0025】
つまり、図2と図4を見比べるとわかるように、斜板30の傾斜角が異なっていても、ピストン20の上死点位置はほぼ同じであり、斜板30の回転中心の位置は軸方向には変化しているが、径方向には殆ど変化していない。
これは、前述のように駆動軸22と斜板30とが、第1リンク34と第2リンク36とで連結されているからである。
また、図3でわかるように、第2リンク36−1、36−2と斜板30および駆動軸22との間には、ピン40、42の長手方向に最小限の隙間があるのみであり、この方向の位置変化も少ない。
【0026】
第1リンク34と第2リンク36の間にはこれらを押し離す方向に弾性力を作用するスプリング46が設けられ、他に斜板30に作用するモーメントがない場合には、スプリング46の張力で図4に示すように斜板30の傾斜角が最も小さくなるようになっている。
【0027】
また、図2でわかるように、最も傾斜角が大きい状態にあっては、斜板30が第2リンク36の下端部36aに突き当たって、これ以上の傾斜角にならないようになっている。
一方、図4でわかるように、最も傾斜角が小さい状態にあっては、斜板30が第1リンク34の右端のフック部34aに突き当たって、これ以下の傾斜角にならないようになっている。
【0028】
続いて、図1乃至図4示した実施の形態における圧縮機の作動を説明する。
前述のように、駆動軸22は車両のエンジンによって駆動されて回転する。
このとき駆動軸22と第1リンク34、第2リンク36によって連結されている斜板30も一緒に回転する。
【0029】
図1に示す状態にあっては、ピストン20は上死点位置にあるが、この状態から駆動軸22および斜板30が回転すると、ピストン20は徐々に左側へ移動して冷媒を吸入していき、図1から斜板30が180°回転した場合に最も左側へ移動した状態になって吸入が完了する。この位置を下死点という。
【0030】
さらに斜板30が回転し続けるとピストン20は徐々に右側へ戻って、冷媒を圧縮・吐出するようになり、360°回転して図1の上死点位置に戻ると吐出が完了する。
以上は図1に示したピストン20についてであるが、図示しない複数の他の位置にあるピストン20’も、斜板30の回転位相は異なるが、斜板30の回転とともに吸入・圧縮・吐出を繰り返す。
【0031】
一方、ハウジング16内に設けた図示しない制御弁の作用により、クランク室12aに圧縮された冷媒の一部が流入して、クランク室12aの圧力が上昇すると、ピストン20に背圧が右方向に作用するため、ピストン20のストロークが減っていき、それにつられて斜板30の傾斜角が小さくなる。
【0032】
この際、前述のようにピストン20の上死点位置は変化せず、下死点位置が移動するようにストロークが変化して吸入・圧縮・吐出作用が行われ、斜板30の1回転当たりの吐出量が少なくなっていく。
したがって、制御弁の作用でクランク室12aの圧力を制御することで、斜板30の傾斜角とピストン20のストロークが変化して、吐出量が変化する。
すなわち、圧縮機としては可変容量制御が可能になる。
【0033】
この場合、前に説明したように、駆動軸22に対して斜板30の傾斜角が変化しても、ピストン20の上死点は殆ど変化せず、圧縮機としての機能を果たすとともに、斜板30の回転中心が径方向に殆ど変化しないので、回転に伴う振動や音の発生を防ぐことができる。
【0034】
また、これらを司る第1リンク34、第2リンク36と、これらを連結するピン38、40、42、44および、それぞれが嵌合する孔22a、22b、30b、30cはいずれも加工による寸法精度が確保しやすいため、上記ピストン20の上死点位置および斜板30の回転中心位置の維持精度も高くできる。
また、一般にリンク機構は作動が円滑であり、上記の斜板30の傾斜角が変化する際にもスムーズに動くので、吐出容量の制御も円滑に行われる。
【0035】
このように、本発明の実施の形態に係る圧縮機は、駆動軸22と斜板30との連結機構が簡単な部品構成でありながら、スムーズで精度の高い作動が期待でき、騒音や振動が少ない可変容量制御を実現することができる。また、上記連結機構での摩擦による磨耗も少なく、従来のものより長い期間スムーズで精度の高い作動を保持でき、磨耗による騒音や振動の助長を抑制できる。
【0036】
次に、図5乃至図7は本発明の圧縮機における第2の実施の形態を示す。
図5は主要部の断面図であり、図6は図2に、図7は図4にそれぞれ対応した状態を示している。
【0037】
ここでは、図1乃至図4に示した第1の実施の形態と異なる部分である連結機構を中心に説明し、実質的に同じ部分については同じ番号を付しその説明を省略する。
この第2の実施の形態の圧縮機では、駆動軸22と一体のロータ50が設けられるとともに、図1乃至図4における第2リンク34がない代わりに、ロータ50に設けたガイド孔50aに嵌挿される球部52aを有するガイドピン52が斜板30の突起部30aに一体に設けられている。なお、ロータ50とガイドピン52とは、駆動軸22と斜板30側とが揺動可能に連結されたリンクとして、本発明の第2リンクを構成する。
【0038】
また、第1リンク34はロータ50と斜板30との間に設けられている。
ロータ50には孔50bが形成されている。
さらに、スプリング46は第1リンク34と斜板30との間に設けられているが、この張力による作用は図1乃至図5に示した第1の実施の形態と変わらない。
【0039】
これらにより、斜板30は駆動軸22に対する傾斜角が変化する際に、その位置および姿勢は第1リンク34と、ガイドピン52およびガイド孔50aとの位置関係に制約されることになる。
したがって、これらの配置や角度等を適切に設定することで、ピストン20の上死点位置や斜板30の回転中心位置の変化を最小限に保ちながら可変容量制御を達成できることは図1乃至図4の実施の形態と同様であるので、詳細の説明は省略する。
【0040】
尚、前述した従来例(特開平7−91366号公報)においては、ガイドピンおよびガイド孔が一対ずつ必要であったのに対して、この第2の実施の形態の圧縮機においては、ガイドピン52および、これが嵌合するガイド孔50aは1カ所でよい。
【0041】
図5乃至図7に示した第2の実施の形態に係る圧縮機も、簡単な部品構成でありながら、上記のピストン20の上死点位置および斜板30の回転中心位置の維持精度が高いので、騒音、振動の発生が少なく吐出容量の制御も円滑に行うことができる。また、連結機構において摩擦による磨耗が少なく、従来のものより長い期間スムーズで精度の高い作動を保持でき、磨耗による騒音や振動の助長を抑制できる。
【0042】
以上の説明は、斜板30とピストン20との間にシュー32を介在させたタイプにおける実施の形態であったが、いわゆるワッブル式と呼ばれるロッドを介在させたタイプでも応用可能であることは言うまでもない。
【0043】
以上、説明したように、本発明における各実施の形態の圧縮機によれば、以下のような効果が得られるとともに、当業者の一般的な知識に基づいて、各構成部品の回転バランスや遠心力の影響を抑える設計にするなどの、変更や改良を加えた態様で実施することができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明の容量可変型斜板式圧縮機によれば、以下のような効果を得ることができる。
請求項1に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機によれば、駆動軸と、該駆動軸と一体回転するとともに該駆動軸に対して傾動可能な斜板と、シリンダボアを形成したシリンダブロックと、該シリンダブロックのシリンダボア内に嵌挿され、駆動軸の回転運動を往復運動に変換し、斜板の回転および傾斜角に応じて往復運動のストロークを変化させながら流体を圧縮するピストンと、駆動軸の軸方に離間した位置にそれぞれ連結され、駆動軸と斜板との間を揺動可能に連結する第1リンクおよび第2リンクとを備え、斜板の駆動軸に対する傾斜角の変化を許容しながら、第1リンクおよび第2リンクが協働して、斜板の軸方向ならびに径方向の位置を制約するように構成したため、斜板の傾斜角が変化しても、上記従来のものに比べてピストンの上死点位置および斜板の回転中心位置が精度良く維持され、振動や騒音の発生が少ない。また、この部分の摩擦による磨耗が少なく、従来のものより長い期間スムーズで精度の高い作動を保持でき、磨耗による騒音や振動の助長を抑制できる。
【0045】
請求項2に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機によれば、第1リンクは、駆動軸側と斜板側とにそれぞれに揺動可能に連結され、第2リンクは、駆動軸側と斜板側とのそれぞれに揺動可能に連結される構成であるため、第1リンクおよび第2リンクは寸法精度が出しやすいので、製造コストが安いとともに、ピストンの上死点位置および斜板の回転中心位置の精度を高めることができ、振動や騒音の発生を抑制できる。
【0046】
請求項3に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機によれば、第1リンクは、駆動軸側と斜板側とのそれぞれに揺動可能に連結され、第2リンクは、斜板側に固定されるとともに一端部側が駆動軸に揺動および摺動可能に連結される構成であるため、第1リンクおよび第2リンクは寸法精度が出しやすい形状であるので、製造コストが安いとともに、ピストンの上死点位置および斜板の回転中心位置の精度を高めることができ、振動や騒音の発生を抑制できる。
【0047】
請求項4に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機によれば、第1リンクは、斜板に当接して該斜板の最小傾斜角を規制する部分を有するため、最小傾斜角を規制するための専用部品が不要になるので、製造コストを抑えることができる。
【0048】
請求項5に記載した本発明の容量可変型斜板式圧縮機によれば、第2リンクは、斜板に当接して該斜板の最大傾斜角を規制する部分を有するため、最大傾斜角を規制するための専用部品が不要になるので、製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧縮機の主要部断面図である。
【図2】図1の一部拡大図である。
【図3】図2のD−D断面図である。
【図4】図2から斜板の傾斜角が変化した状態を示す断面図である。
【図5】本発明の圧縮機における第2の実施の形態を示す要部断面図である。
【図6】図5の一部拡大図である。
【図7】図6から斜板の傾斜角が変化した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
10:シリンダブロック
12:ケース
14:プレート
16:ハウジング
18:ボルト
20:ピストン
22:駆動軸
24、26:ベアリング
28:スラストベアリング
30:斜板
32:シュー
34:第1リンク
36:第2リンク
38、40、42、44:ピン
46:スプリング
50:ロータ
52:ガイドピン
Claims (5)
- 駆動軸と、
該駆動軸と一体回転するとともに該駆動軸に対して傾動可能な斜板と、
シリンダボアを形成したシリンダブロックと、
該シリンダブロックの前記シリンダボア内に嵌挿され、前記駆動軸の回転運動を往復運動に変換し、前記斜板の回転および傾斜角に応じて前記往復運動のストロークを変化させながら流体を圧縮するピストンと、
前記駆動軸の軸方に離間した位置にそれぞれ連結され、前記駆動軸と前記斜板との間を揺動可能に連結する第1リンクおよび第2リンクとを備え、
前記斜板の前記駆動軸に対する傾斜角の変化を許容しながら、前記第1リンクおよび前記第2リンクが協働して、前記斜板の軸方向ならびに径方向の位置を制約することを特徴とする容量可変型斜板式圧縮機。 - 前記第1リンクは、前記駆動軸側と前記斜板側とにそれぞれに揺動可能に連結され、前記第2リンクは、前記駆動軸側と前記斜板側とのそれぞれに揺動可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の容量可変型斜板式圧縮機。
- 前記第1リンクは、前記駆動軸側と前記斜板側とのそれぞれに揺動可能に連結され、前記第2リンクは、前記斜板側に固定されるとともに一端部側が前記駆動軸に揺動および摺動可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の容量可変型斜板式圧縮機。
- 前記第1リンクは、前記斜板に当接して該斜板の最小傾斜角を規制する部分を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の容量可変型斜板式圧縮機。
- 前記第2リンクは、前記斜板に当接して該斜板の最大傾斜角を規制する部分を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の容量可変型斜板式圧縮機。
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