JP2004293388A - 揺動斜板型ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】揺動斜板型ポンプ(圧縮機を含む)において、斜板の回転を抑制することにより斜板とピストンのシューとの間に生じる大きい摺動摩擦を低減すると共に、その場合に発生する振動及び騒音や容量制御性の悪化を防止する。
【解決手段】ピストン7の一端が摺動係合する揺動斜板6を、傾斜すると共にシャフト4に連結されて回転するドライブプレート5によってベアリング61,62を介して支持し、揺動斜板6の回転を抑制して摺動摩擦を低減する。しかしながら、斜板型ポンプの常として、ピストンに作用する圧縮反力によって揺動斜板6にその傾斜角度を更に増大させようとする軸方向力が加わるし、この場合は揺動斜板6の回転を抑制するので、その遠心力によって動的バランスをとることができない。そこで、ドライブプレート5にバランサ52を設けて、遠心力により傾斜角度の復原力を発生させる。
【選択図】 図1
【解決手段】ピストン7の一端が摺動係合する揺動斜板6を、傾斜すると共にシャフト4に連結されて回転するドライブプレート5によってベアリング61,62を介して支持し、揺動斜板6の回転を抑制して摺動摩擦を低減する。しかしながら、斜板型ポンプの常として、ピストンに作用する圧縮反力によって揺動斜板6にその傾斜角度を更に増大させようとする軸方向力が加わるし、この場合は揺動斜板6の回転を抑制するので、その遠心力によって動的バランスをとることができない。そこで、ドライブプレート5にバランサ52を設けて、遠心力により傾斜角度の復原力を発生させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、揺動斜板型ポンプに係り、特に、揺動斜板が揺動運動をするが、その回転は連れ回り程度に抑制された構造の、圧縮機を含むポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的な斜板型圧縮機においては、斜板が駆動シャフトと共に回転するため、斜板と、それに対して摩擦摺動状態で係合するピストンのシューとの間の相対的な摺動速度が大きくなるので、これが圧縮機の機械損失を増大させる大きな原因となっていた。また、最悪の場合には斜板の表面にカジリや焼き付きが発生し、圧縮機がロックする恐れもあった。それを防止する必要から、例えば、斜板の表面に耐焼き付き性を向上させるための表面処理を施こすというような対策がとられてきた。
【0003】
この問題に対する根本的な解決策として、シャフトに取り付けられたドライブプレートによって、ベアリング等を介して斜板を支持することにより、斜板の回転を抑制することにより主に揺動運動をするようにして、斜板とシューとの間に大きい摺動摩擦が生じないようにした圧縮機が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第5826490号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
斜板型ポンプ(圧縮機を含む)において斜板の回転を抑制するように構成することによって、斜板とシューとの間に大きい摺動摩擦が生じなくなる。従って、ポンプの機械損失が少なくなると共に、焼き付きのようなポンプのロックに繋がる重大な問題をも回避することができるため、ポンプの耐久性や信頼性が向上するという利点が生じるが、それに伴って別の弱点が発生する。
【0006】
即ち、斜板型ポンプの共通の問題として、ピストンが作動室の流体から受ける圧縮反力の合力は、斜板を支持する点との位置関係から、斜板の傾斜角度を増大させる方向に作用する。また、ピストンの慣性力も斜板の傾斜角度を更に増大させる方向に作用する。従って、これらの軸方向力がいずれも斜板の傾斜角度を更に増大させる方向に作用することになる。しかし、斜板が回転する形式の従来の圧縮機においては、斜板が回転することによって斜板に遠心力が作用するので、この遠心力が前述の軸方向力の作用を抑制する復原力を発生させる結果、自然に動的バランスがとれて、斜板の傾斜角度が更に増大することもなく、それによって発生する振動及び騒音等も防止することができる。
【0007】
これに対して、前述のように斜板の回転を抑制するように構成すると、斜板の回転による遠心力が弱いために、斜板の傾斜角度を増大させようとする圧縮反力による軸方向力に対抗する復原力も発生しない。そのために、斜板の回転を抑制した可変容量型の非回転揺動斜板型圧縮機においては斜板の動的バランスが悪化する結果、振動及び騒音が増大するとか、エンジンの負荷に応じて圧縮機の負荷を調節するような制御を行なうと、圧縮機容量の制御性が悪化するという問題が生じる。また、容量制御をしない固定容量型の圧縮機においても振動及び騒音の問題は残る。
【0008】
本発明は、従来の揺動斜板型ポンプにおける前述の問題に鑑み、新規な手段によってそれらの問題を解消することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の請求項1に記載された揺動斜板型ポンプ(圧縮機を含む)を提供する。
【0010】
本発明の揺動斜板型ポンプにおいては、揺動斜板に作用してその傾斜角度を増大させようとする圧縮反力による軸方向力を相殺するために、ドライブプレートに取り付けられて回転することにより発生する遠心力によって傾斜角度に関する復原力を発生する追加質量としてのバランサが設けられているので、揺動斜板が回転しなくても、バランサが回転することによって発生する遠心力によって傾斜角度についての復原力が発生するため、ドライブプレートや揺動斜板の傾斜角度を増大させようとする圧縮反力による軸方向力を相殺することができる。それによって、揺動斜板とドライブプレートの動的バランスをとることができるので、それらによる振動及び騒音の発生を防止することができる。また、可変容量型の揺動斜板型ポンプにおいては、容量の制御性を向上させることができる。また、揺動斜板の回転を抑制できるので、ピストンのシューとの間に大きな摺動摩擦を発生することがないから、ポンプの機械損失を減少させることができる。
【0011】
バランサは実質的にリング状の形状として、ドライブプレートの一部に取り付けることができる。このバランサは揺動斜板の前面側に取り付けてもよいし、揺動斜板の後面側に取り付けてもよい。なお、バランサは、それを別体のものとしてドライブプレートに取り付けることができるだけでなく、始めからドライブプレートと一体的に成形することもできる。
【0012】
本発明の揺動斜板型ポンプにおいては、揺動斜板とドライブプレートの傾斜角度を可変とすることにより、可変容量型のポンプを構成することができるだけでなく、揺動斜板とドライブプレートの傾斜角度を固定として固定容量型のポンプを構成することもできる。いずれの場合でも振動及び騒音を防止することができるという共通の作用効果を奏する。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、添付の図面を参照しながら、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。図1及び図2は本発明の揺動斜板型ポンプの第1実施例としての可変容量型圧縮機の構成を示すもので、図中に示す参照符号1はフロントハウジング、2はシリンダブロック、3はリアハウジングであって、これらのハウジング構成要素は数本のスルーボルト9によって締結されることによって一体化されている。4は回転駆動のためのシャフトであって、フロントラジアルベアリング12とリアラジアルベアリング21を介してハウジング1,2によって回転自在に支持されている。11はシャフトシールであって、シャフト4がフロントハウジング1を貫通する開口部分をシールするために設けられている。フロントハウジング1の内部空間はクランク室14を形成しているが、その底面に近い部分において、シャフト4にその中心軸線に対して直交する鍔状の円板部43が一体に形成されている。円板部43とフロントハウジング1との間にはフロントスラストベアリング13が設けられて、シャフト4に作用する軸推力(スラスト力)を支持する。
【0014】
5はドライブプレートであって、概ね円環状の本体部分のフロント側の一部にフォーク状のドライブプレートリンク機構部51が半径方向に突出するように形成されていると共に、リア側には円筒部53が形成されている。円筒部53の中心穴はシャフト4に嵌合しているが、ドライブプレート5がシャフト4の中心軸線に対して所定の角度範囲内で自由に傾斜することができるように、円筒部53の中心穴の内面と、ドライブプレート5の本体部分における内面の一部には、それぞれシャフト4を受け入れる切り欠きが設けられている。また、前述の円板部43のリア側の一部には、ドライブプレートリンク機構部51を間に挟むように軸方向に突出する2枚の腕状の板からなるシャフトリンク機構部41が設けられていて、それによって支持されるピン42が、ドライブプレートリンク機構部51のカム状のスリットに係合している。
【0015】
6は概ね円板状の揺動斜板であって、ラジアルベアリング61と、スラストベアリング62を介して前述のドライブプレート5によって支持されている。63はベアリングを取り付けるためのナットを示している。このような揺動斜板6の支持構造によって、ドライブプレート5が円板部43に対して傾斜した状態でシャフト4と共に回転しても、揺動斜板6は連れ回りを除いて回転を抑制され、シャフト4の軸方向におけるドライブプレート5の中心部の位置と、円板部43に対するドライブプレート5の傾斜角度とに応じて、揺動斜板6が軸方向の移動と、特定の面内における傾斜に伴う揺動運動だけをすることができる。ここに言う特定の面とは、図示実施例においてはシャフト4の中心軸線を含む垂直面のことである。
【0016】
ハウジングの一部をなすシリンダブロック2にはシャフト4の中心軸線に対して平行に複数個(例えば5個)のシリンダボア22が形成されていて、それらのシリンダボア22にそれぞれピストン7が挿入されている。それぞれのピストン7の一端(フロント側)はフォーク状に形成されていて、フォーク状の部分が対になった半球形のシュー71を介して共通の揺動斜板6の周縁部を挟むことにより、揺動斜板6に係合してそれから軸方向の往復駆動力を受ける。このようにしてシリンダボア22の内面とピストン7の端面とによって冷媒のような流体を圧縮する作動室Vが形成される。
【0017】
シリンダブロック2とリアハウジング3との間にはバルブプレート8が挟み込まれて固定されている。また、リアハウジング3の内部の中心部には吐出室31が形成されていると共に、その外周部には隔壁をおいて環状の吸入室32が形成されている。バルブプレート8には作動室Vと吸入室32とを連通させ得る吸入ポート85が形成されて、それを閉塞し得るように図示しない吸入弁が設けられている。また、バルブプレート8には作動室Vと吐出室31を連通させ得る吐出ポート84が形成されて、それを閉塞し得るようにリード状の吐出弁81が設けられている。なお、82は吐出弁81を保護するためのストッパを、83はそれを取り付けるためのボルトを示している。
【0018】
本発明の特徴に対応して、第1実施例の揺動斜板型圧縮機においては、ドライブプレート5に所定の大きさの質量を有するリング状のバランサ52が圧入等の方法で一体的に取り付けられている。この場合のバランサ52はドライブプレート5のドライブプレートリンク機構部51と円筒部53との間の本体部分に嵌着されている。
【0019】
第1実施例の揺動斜板型圧縮機はこのように構成されているから、シャフト4が車両に搭載された内燃機関やモータのような外部の動力源によって回転駆動されると、シャフト4の円板部43に対してシャフトリンク機構部41とピン42及びドライブプレートリンク機構部51を介して連結されているドライブプレート5はシャフト4と共に回転する。従って、ドライブプレート5が、例えば円板部43のような、シャフト4に対して直交している平面に対して傾斜している場合、即ち図1に示すような場合には、ドライブプレート5はその中心部の軸方向位置によって決まる傾斜角度を維持しながらシャフト4と共に回転する。しかしながら、揺動斜板6はドライブプレート5によってラジアルベアリング61及びスラストベアリング62を介して支持されていると共に、複数個のピストン7がシュー71を介して揺動斜板6に係合しているので、揺動斜板6は回転を抑制され、ドライブプレート5の傾斜角度に応じた振幅の揺動運動を主に行う。それによって、揺動斜板6に対してシュー71を介して連結されている各ピストン7がそれぞれのシリンダボア22内で往復運動をする。
【0020】
第1実施例の揺動斜板型圧縮機においては、ドライブプレート5と揺動斜板6は、それらの中心部がシャフト4上を軸方向に移動することによって、ピン42がドライブプレートリンク機構部51のスリット状の案内溝の中を摺動しながら移動するときに、円板部43のようなシャフト4に対して垂直な平面に対する傾斜角度が無段階に変化するので、全てのピストン7の往復運動のストロークが同時に同じ量だけ変化する。それによってこの圧縮機の吐出容量が無段階に変化することになる。
【0021】
複数個のピストン7の中でも図1の上部に示されているもののように上死点から吸入行程にあるものでは、その端面とシリンダボア22との間に形成される作動室Vは拡大する傾向にあるために低圧となるので、その中へ吸入室32内にある圧縮すべき流体、例えば空調装置の冷媒がバルブプレート8の吸入ポート85に設けられた吸入弁を押し開いて流入する。これと反対に、図1の下部に示されているもののように、下死点から圧送行程にあるピストン7の頂面に形成される作動室Vは縮小する傾向にあるため、その内部にある流体は圧縮されて高圧となり、バルブプレート8の吐出ポート84に設けられた吐出弁81を押し開いて吐出室31へ吐出される。このようにして流体が圧縮されて吐出されるが、圧縮機の吐出容量はドライブプレート5及び揺動斜板6の傾斜角度によって決まるピストン7のストロークの長さに比例している。
【0022】
第1実施例のような可変容量型の圧縮機では、ドライブプレート5及び揺動斜板6の傾斜角度を変化させると圧縮機の吐出容量が変化するので、吐出容量を制御するために、第1実施例の圧縮機においては、全てのピストン7の背圧となるクランク室14内の圧力を、図示しない圧力制御弁等を使用して変化させる。そのために、クランク室14内には吐出室32内の高圧と、吸入室32内の低圧との中間の圧力が圧力制御弁から導入される。
【0023】
クランク室14内の圧力、即ち、全てのピストン7に共通な背圧を高めると、各ピストン7の頂面に形成される作動室V内の圧力との釣り合い状態が崩れるので、新たな釣り合い状態が得られるところまで、各ピストン7の往復動における平均的な位置がバルブプレート8に近い位置に向かって移動し、それに伴って、ドライブプレート5及び揺動斜板6の中心部の位置もバルブプレート8に向かって軸方向に且つ無段階に移動する。その結果、全てのピストン7のストロークが一斉に小さくなるので、圧縮機の吐出容量が無段階に減少する。全てのピストン7が上死点に来て実質的なストロークが零になり、圧縮機の吐出容量も零になった状態が図2に示されている。この時はドライブプレート5及び揺動斜板6の傾斜角度が零になっているために、シャフト4とドライブプレート5が回転していても揺動斜板6が揺動運動をすることがなく、全てのピストン7が上死点位置で停止しているので、ピストン7が流体を圧縮することもない。
【0024】
これと反対に、図示しない圧力制御弁を作動させてクランク室14内の圧力を無段階に低下させると、ピストン7に作用する背圧が小さくなるために、全てのピストン7のストロークが一斉に大きくなって、圧縮機の吐出容量が無段階に大きくなる。図1は、クランク室14内の圧力が最小となってドライブプレート5と揺動斜板6の傾斜角度が最大限度まで大きくなり、ピストン7のストローク及び圧縮機の吐出容量が最大となった状態を示している。
【0025】
このような揺動斜板型圧縮機においては、ピストン7に作動室Vにおける流体の圧縮によって圧縮反力が作用する。複数のピストン7に作用する圧縮反力の合力はドライブプレート5を支持するピン42との位置関係により、揺動斜板6の傾斜角度が更に増大しようとする傾向を帯びることになる。また、ピストン7の慣性力も揺動斜板6の傾斜角度を増大させる方向に作用する。揺動斜板6が回転する場合にはそれに作用する遠心力によって軸方向の力を或る程度相殺することもできるが、揺動斜板6の回転が抑制される形式の圧縮機においてはそのような作用も生じない。従って、揺動斜板6の動的バランスが崩れて振動や騒音が発生する。更に、第1実施例のような可変容量型の圧縮機においては吐出容量の制御性が悪化することになる。
【0026】
この問題に対処するために、第1実施例の圧縮機においてはドライブプレート5の本体部分にリング状のバランサ52を設けている。バランサ52はドライブプレート5と共に回転するので、その質量には遠心力が作用する。図1に示すように、バランサ52がドライブプレート5と共に円板部43に対して傾斜している状態では、バランサ52に作用する遠心力がドライブプレート5の傾斜角度を小さくする方向に作用する。ドライブプレート5の傾斜角度が小さくなると揺動斜板6の傾斜角度も小さくなる。つまり、バランサ52はその遠心力によって、ドライブプレート5及び揺動斜板6に傾斜に対する復原力を与える。この復原力が、前述のように圧縮反力によって揺動斜板6の傾斜角度を増大させようとする軸方向の力の少なくとも一部を相殺するので、動的バランスの崩れによる振動及び騒音の発生や、容量制御性の悪化が防止される。
【0027】
図3に本発明の揺動斜板型ポンプの第2実施例としての揺動斜板型圧縮機を示す。第1実施例と実質的に同じ部分には同じ参照符号を付けることによって重複する説明を省略する。第2実施例の揺動斜板型圧縮機は固定容量型のものであって、そのドライブプレート501及び揺動斜板6の傾斜角度は一定不変である。しかし、揺動斜板6はラジアルベアリング61及びスラストベアリング62を介してドライブプレート501によって支持されているので、第1実施例の場合と同様に揺動斜板6の回転が抑制される。従って、圧縮行程にある一部のピストン7が受ける圧縮反力によって発生する軸方向力が振動及び騒音を発生させる場合があるので、第2実施例においてもドライブプレート501にバランサ52を取り付けて遠心力を発生させることにより、前述の軸方向力を相殺して動的バランスをとっている。
【0028】
図4は本発明の揺動斜板型ポンプの第3実施例としての揺動斜板型圧縮機を示すもので、この場合は可変容量型のものを例示しているが、同様な可変容量型の揺動斜板型圧縮機である図1に示す第1実施例と比べて異なる点は、第3実施例においては、第1実施例におけるドライブプレート5とバランサ52が始めから一体化されていて、バランサ一体型のドライブプレート502になっている点にある。その他の点は第1実施例と同じであり、ドライブプレート5及び揺動斜板6の傾斜角度と吐出容量が零になった状態は図2と同様なものになるので、その図示を省略している。また、第3実施例の特徴部分を固定容量型の揺動斜板型圧縮機に転用することができることは言うまでもない。
【0029】
図5及び図6に本発明の揺動斜板型ポンプの第4実施例としての揺動斜板型圧縮機を示す。第4実施例も第1実施例や第3実施例と同様な可変容量型のものであるが、それらと同様に第2実施例のような固定容量型の圧縮機に転用することができる。図1と図5を比較すれば明らかなように、第1実施例に対する第4実施例の特徴は、第4実施例におけるドライブプレート503の円筒部53の後端部に、従って、揺動斜板の後部にリング状のバランサ513が設けられていることである。バランサ513はナットとして形成して、円筒部53に形成された雄螺子部に螺着してもよい。バランサ513は円筒部53に揺動斜板6やベアリング61,62を挿通した後に、円筒部53の後端部に螺着又は圧入、溶接、接着等の方法で取り付ける。
【0030】
第4実施例におけるバランサ513の位置は前述の各実施例と比べて異なっているが、バランサ513をこのような位置に取り付けても、それがシャフト4と共に回転する時に発生する遠心力によって、揺動斜板6やドライブプレート503の傾斜角度を減少させようとする復原力が発生する点は同じである。また、第1実施例や第3実施例におけるシャフトリンク機構部41及びドライブプレートリンク機構部51に対応する部分も、第4実施例ではシャフトリンク機構部411及びドライブプレートリンク機構部511となっていて、ピン42が後者によって支持されると共に、前者に形成されたスリット状の溝に係合する構造となっているが、これらは均等の構造であるから、第4実施例もまた第1実施例や第3実施例と同様な作用効果を奏する。なお、第4実施例の揺動斜板型圧縮機の吐出容量が零となった状態は図6に示されている。
【0031】
なお、図示実施例はいずれも揺動斜板型圧縮機に関するものであるが、本発明は圧縮機に限らず、液体を含む色々な流体を取り扱う揺動斜板型ポンプにそのまま適用可能であることは明らかである。また、本発明においてベアリングと呼んでいるものは、ボールベアリングやローラベアリング等のように転動体を有するものに限られない。従って、ベアリングは、例えば、メタルサーフェイスベアリングのように、低摩擦の摺動接触面の組み合わせからなるものを含む。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の揺動斜板型圧縮機の最大容量の運転状態を示す縦断面図である。
【図2】第1実施例の揺動斜板型圧縮機の最小容量の運転状態を示す縦断面図である。
【図3】第2実施例の揺動斜板型圧縮機の運転状態を示す縦断面図である。
【図4】第3実施例の揺動斜板型圧縮機の最大容量の運転状態を示す縦断面図である。
【図5】第4実施例の揺動斜板型圧縮機の最大容量の運転状態を示す縦断面図である。
【図6】第4実施例の揺動斜板型圧縮機の最小容量の運転状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
4…シャフト
5,501,502,503…ドライブプレート
6…揺動斜板
7…ピストン
52,513…バランサ
53…ドライブプレートの円筒部
61…ラジアルベアリング
62…スラストベアリング
V…作動室
【発明の属する技術分野】
本発明は、揺動斜板型ポンプに係り、特に、揺動斜板が揺動運動をするが、その回転は連れ回り程度に抑制された構造の、圧縮機を含むポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的な斜板型圧縮機においては、斜板が駆動シャフトと共に回転するため、斜板と、それに対して摩擦摺動状態で係合するピストンのシューとの間の相対的な摺動速度が大きくなるので、これが圧縮機の機械損失を増大させる大きな原因となっていた。また、最悪の場合には斜板の表面にカジリや焼き付きが発生し、圧縮機がロックする恐れもあった。それを防止する必要から、例えば、斜板の表面に耐焼き付き性を向上させるための表面処理を施こすというような対策がとられてきた。
【0003】
この問題に対する根本的な解決策として、シャフトに取り付けられたドライブプレートによって、ベアリング等を介して斜板を支持することにより、斜板の回転を抑制することにより主に揺動運動をするようにして、斜板とシューとの間に大きい摺動摩擦が生じないようにした圧縮機が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第5826490号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
斜板型ポンプ(圧縮機を含む)において斜板の回転を抑制するように構成することによって、斜板とシューとの間に大きい摺動摩擦が生じなくなる。従って、ポンプの機械損失が少なくなると共に、焼き付きのようなポンプのロックに繋がる重大な問題をも回避することができるため、ポンプの耐久性や信頼性が向上するという利点が生じるが、それに伴って別の弱点が発生する。
【0006】
即ち、斜板型ポンプの共通の問題として、ピストンが作動室の流体から受ける圧縮反力の合力は、斜板を支持する点との位置関係から、斜板の傾斜角度を増大させる方向に作用する。また、ピストンの慣性力も斜板の傾斜角度を更に増大させる方向に作用する。従って、これらの軸方向力がいずれも斜板の傾斜角度を更に増大させる方向に作用することになる。しかし、斜板が回転する形式の従来の圧縮機においては、斜板が回転することによって斜板に遠心力が作用するので、この遠心力が前述の軸方向力の作用を抑制する復原力を発生させる結果、自然に動的バランスがとれて、斜板の傾斜角度が更に増大することもなく、それによって発生する振動及び騒音等も防止することができる。
【0007】
これに対して、前述のように斜板の回転を抑制するように構成すると、斜板の回転による遠心力が弱いために、斜板の傾斜角度を増大させようとする圧縮反力による軸方向力に対抗する復原力も発生しない。そのために、斜板の回転を抑制した可変容量型の非回転揺動斜板型圧縮機においては斜板の動的バランスが悪化する結果、振動及び騒音が増大するとか、エンジンの負荷に応じて圧縮機の負荷を調節するような制御を行なうと、圧縮機容量の制御性が悪化するという問題が生じる。また、容量制御をしない固定容量型の圧縮機においても振動及び騒音の問題は残る。
【0008】
本発明は、従来の揺動斜板型ポンプにおける前述の問題に鑑み、新規な手段によってそれらの問題を解消することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の請求項1に記載された揺動斜板型ポンプ(圧縮機を含む)を提供する。
【0010】
本発明の揺動斜板型ポンプにおいては、揺動斜板に作用してその傾斜角度を増大させようとする圧縮反力による軸方向力を相殺するために、ドライブプレートに取り付けられて回転することにより発生する遠心力によって傾斜角度に関する復原力を発生する追加質量としてのバランサが設けられているので、揺動斜板が回転しなくても、バランサが回転することによって発生する遠心力によって傾斜角度についての復原力が発生するため、ドライブプレートや揺動斜板の傾斜角度を増大させようとする圧縮反力による軸方向力を相殺することができる。それによって、揺動斜板とドライブプレートの動的バランスをとることができるので、それらによる振動及び騒音の発生を防止することができる。また、可変容量型の揺動斜板型ポンプにおいては、容量の制御性を向上させることができる。また、揺動斜板の回転を抑制できるので、ピストンのシューとの間に大きな摺動摩擦を発生することがないから、ポンプの機械損失を減少させることができる。
【0011】
バランサは実質的にリング状の形状として、ドライブプレートの一部に取り付けることができる。このバランサは揺動斜板の前面側に取り付けてもよいし、揺動斜板の後面側に取り付けてもよい。なお、バランサは、それを別体のものとしてドライブプレートに取り付けることができるだけでなく、始めからドライブプレートと一体的に成形することもできる。
【0012】
本発明の揺動斜板型ポンプにおいては、揺動斜板とドライブプレートの傾斜角度を可変とすることにより、可変容量型のポンプを構成することができるだけでなく、揺動斜板とドライブプレートの傾斜角度を固定として固定容量型のポンプを構成することもできる。いずれの場合でも振動及び騒音を防止することができるという共通の作用効果を奏する。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、添付の図面を参照しながら、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。図1及び図2は本発明の揺動斜板型ポンプの第1実施例としての可変容量型圧縮機の構成を示すもので、図中に示す参照符号1はフロントハウジング、2はシリンダブロック、3はリアハウジングであって、これらのハウジング構成要素は数本のスルーボルト9によって締結されることによって一体化されている。4は回転駆動のためのシャフトであって、フロントラジアルベアリング12とリアラジアルベアリング21を介してハウジング1,2によって回転自在に支持されている。11はシャフトシールであって、シャフト4がフロントハウジング1を貫通する開口部分をシールするために設けられている。フロントハウジング1の内部空間はクランク室14を形成しているが、その底面に近い部分において、シャフト4にその中心軸線に対して直交する鍔状の円板部43が一体に形成されている。円板部43とフロントハウジング1との間にはフロントスラストベアリング13が設けられて、シャフト4に作用する軸推力(スラスト力)を支持する。
【0014】
5はドライブプレートであって、概ね円環状の本体部分のフロント側の一部にフォーク状のドライブプレートリンク機構部51が半径方向に突出するように形成されていると共に、リア側には円筒部53が形成されている。円筒部53の中心穴はシャフト4に嵌合しているが、ドライブプレート5がシャフト4の中心軸線に対して所定の角度範囲内で自由に傾斜することができるように、円筒部53の中心穴の内面と、ドライブプレート5の本体部分における内面の一部には、それぞれシャフト4を受け入れる切り欠きが設けられている。また、前述の円板部43のリア側の一部には、ドライブプレートリンク機構部51を間に挟むように軸方向に突出する2枚の腕状の板からなるシャフトリンク機構部41が設けられていて、それによって支持されるピン42が、ドライブプレートリンク機構部51のカム状のスリットに係合している。
【0015】
6は概ね円板状の揺動斜板であって、ラジアルベアリング61と、スラストベアリング62を介して前述のドライブプレート5によって支持されている。63はベアリングを取り付けるためのナットを示している。このような揺動斜板6の支持構造によって、ドライブプレート5が円板部43に対して傾斜した状態でシャフト4と共に回転しても、揺動斜板6は連れ回りを除いて回転を抑制され、シャフト4の軸方向におけるドライブプレート5の中心部の位置と、円板部43に対するドライブプレート5の傾斜角度とに応じて、揺動斜板6が軸方向の移動と、特定の面内における傾斜に伴う揺動運動だけをすることができる。ここに言う特定の面とは、図示実施例においてはシャフト4の中心軸線を含む垂直面のことである。
【0016】
ハウジングの一部をなすシリンダブロック2にはシャフト4の中心軸線に対して平行に複数個(例えば5個)のシリンダボア22が形成されていて、それらのシリンダボア22にそれぞれピストン7が挿入されている。それぞれのピストン7の一端(フロント側)はフォーク状に形成されていて、フォーク状の部分が対になった半球形のシュー71を介して共通の揺動斜板6の周縁部を挟むことにより、揺動斜板6に係合してそれから軸方向の往復駆動力を受ける。このようにしてシリンダボア22の内面とピストン7の端面とによって冷媒のような流体を圧縮する作動室Vが形成される。
【0017】
シリンダブロック2とリアハウジング3との間にはバルブプレート8が挟み込まれて固定されている。また、リアハウジング3の内部の中心部には吐出室31が形成されていると共に、その外周部には隔壁をおいて環状の吸入室32が形成されている。バルブプレート8には作動室Vと吸入室32とを連通させ得る吸入ポート85が形成されて、それを閉塞し得るように図示しない吸入弁が設けられている。また、バルブプレート8には作動室Vと吐出室31を連通させ得る吐出ポート84が形成されて、それを閉塞し得るようにリード状の吐出弁81が設けられている。なお、82は吐出弁81を保護するためのストッパを、83はそれを取り付けるためのボルトを示している。
【0018】
本発明の特徴に対応して、第1実施例の揺動斜板型圧縮機においては、ドライブプレート5に所定の大きさの質量を有するリング状のバランサ52が圧入等の方法で一体的に取り付けられている。この場合のバランサ52はドライブプレート5のドライブプレートリンク機構部51と円筒部53との間の本体部分に嵌着されている。
【0019】
第1実施例の揺動斜板型圧縮機はこのように構成されているから、シャフト4が車両に搭載された内燃機関やモータのような外部の動力源によって回転駆動されると、シャフト4の円板部43に対してシャフトリンク機構部41とピン42及びドライブプレートリンク機構部51を介して連結されているドライブプレート5はシャフト4と共に回転する。従って、ドライブプレート5が、例えば円板部43のような、シャフト4に対して直交している平面に対して傾斜している場合、即ち図1に示すような場合には、ドライブプレート5はその中心部の軸方向位置によって決まる傾斜角度を維持しながらシャフト4と共に回転する。しかしながら、揺動斜板6はドライブプレート5によってラジアルベアリング61及びスラストベアリング62を介して支持されていると共に、複数個のピストン7がシュー71を介して揺動斜板6に係合しているので、揺動斜板6は回転を抑制され、ドライブプレート5の傾斜角度に応じた振幅の揺動運動を主に行う。それによって、揺動斜板6に対してシュー71を介して連結されている各ピストン7がそれぞれのシリンダボア22内で往復運動をする。
【0020】
第1実施例の揺動斜板型圧縮機においては、ドライブプレート5と揺動斜板6は、それらの中心部がシャフト4上を軸方向に移動することによって、ピン42がドライブプレートリンク機構部51のスリット状の案内溝の中を摺動しながら移動するときに、円板部43のようなシャフト4に対して垂直な平面に対する傾斜角度が無段階に変化するので、全てのピストン7の往復運動のストロークが同時に同じ量だけ変化する。それによってこの圧縮機の吐出容量が無段階に変化することになる。
【0021】
複数個のピストン7の中でも図1の上部に示されているもののように上死点から吸入行程にあるものでは、その端面とシリンダボア22との間に形成される作動室Vは拡大する傾向にあるために低圧となるので、その中へ吸入室32内にある圧縮すべき流体、例えば空調装置の冷媒がバルブプレート8の吸入ポート85に設けられた吸入弁を押し開いて流入する。これと反対に、図1の下部に示されているもののように、下死点から圧送行程にあるピストン7の頂面に形成される作動室Vは縮小する傾向にあるため、その内部にある流体は圧縮されて高圧となり、バルブプレート8の吐出ポート84に設けられた吐出弁81を押し開いて吐出室31へ吐出される。このようにして流体が圧縮されて吐出されるが、圧縮機の吐出容量はドライブプレート5及び揺動斜板6の傾斜角度によって決まるピストン7のストロークの長さに比例している。
【0022】
第1実施例のような可変容量型の圧縮機では、ドライブプレート5及び揺動斜板6の傾斜角度を変化させると圧縮機の吐出容量が変化するので、吐出容量を制御するために、第1実施例の圧縮機においては、全てのピストン7の背圧となるクランク室14内の圧力を、図示しない圧力制御弁等を使用して変化させる。そのために、クランク室14内には吐出室32内の高圧と、吸入室32内の低圧との中間の圧力が圧力制御弁から導入される。
【0023】
クランク室14内の圧力、即ち、全てのピストン7に共通な背圧を高めると、各ピストン7の頂面に形成される作動室V内の圧力との釣り合い状態が崩れるので、新たな釣り合い状態が得られるところまで、各ピストン7の往復動における平均的な位置がバルブプレート8に近い位置に向かって移動し、それに伴って、ドライブプレート5及び揺動斜板6の中心部の位置もバルブプレート8に向かって軸方向に且つ無段階に移動する。その結果、全てのピストン7のストロークが一斉に小さくなるので、圧縮機の吐出容量が無段階に減少する。全てのピストン7が上死点に来て実質的なストロークが零になり、圧縮機の吐出容量も零になった状態が図2に示されている。この時はドライブプレート5及び揺動斜板6の傾斜角度が零になっているために、シャフト4とドライブプレート5が回転していても揺動斜板6が揺動運動をすることがなく、全てのピストン7が上死点位置で停止しているので、ピストン7が流体を圧縮することもない。
【0024】
これと反対に、図示しない圧力制御弁を作動させてクランク室14内の圧力を無段階に低下させると、ピストン7に作用する背圧が小さくなるために、全てのピストン7のストロークが一斉に大きくなって、圧縮機の吐出容量が無段階に大きくなる。図1は、クランク室14内の圧力が最小となってドライブプレート5と揺動斜板6の傾斜角度が最大限度まで大きくなり、ピストン7のストローク及び圧縮機の吐出容量が最大となった状態を示している。
【0025】
このような揺動斜板型圧縮機においては、ピストン7に作動室Vにおける流体の圧縮によって圧縮反力が作用する。複数のピストン7に作用する圧縮反力の合力はドライブプレート5を支持するピン42との位置関係により、揺動斜板6の傾斜角度が更に増大しようとする傾向を帯びることになる。また、ピストン7の慣性力も揺動斜板6の傾斜角度を増大させる方向に作用する。揺動斜板6が回転する場合にはそれに作用する遠心力によって軸方向の力を或る程度相殺することもできるが、揺動斜板6の回転が抑制される形式の圧縮機においてはそのような作用も生じない。従って、揺動斜板6の動的バランスが崩れて振動や騒音が発生する。更に、第1実施例のような可変容量型の圧縮機においては吐出容量の制御性が悪化することになる。
【0026】
この問題に対処するために、第1実施例の圧縮機においてはドライブプレート5の本体部分にリング状のバランサ52を設けている。バランサ52はドライブプレート5と共に回転するので、その質量には遠心力が作用する。図1に示すように、バランサ52がドライブプレート5と共に円板部43に対して傾斜している状態では、バランサ52に作用する遠心力がドライブプレート5の傾斜角度を小さくする方向に作用する。ドライブプレート5の傾斜角度が小さくなると揺動斜板6の傾斜角度も小さくなる。つまり、バランサ52はその遠心力によって、ドライブプレート5及び揺動斜板6に傾斜に対する復原力を与える。この復原力が、前述のように圧縮反力によって揺動斜板6の傾斜角度を増大させようとする軸方向の力の少なくとも一部を相殺するので、動的バランスの崩れによる振動及び騒音の発生や、容量制御性の悪化が防止される。
【0027】
図3に本発明の揺動斜板型ポンプの第2実施例としての揺動斜板型圧縮機を示す。第1実施例と実質的に同じ部分には同じ参照符号を付けることによって重複する説明を省略する。第2実施例の揺動斜板型圧縮機は固定容量型のものであって、そのドライブプレート501及び揺動斜板6の傾斜角度は一定不変である。しかし、揺動斜板6はラジアルベアリング61及びスラストベアリング62を介してドライブプレート501によって支持されているので、第1実施例の場合と同様に揺動斜板6の回転が抑制される。従って、圧縮行程にある一部のピストン7が受ける圧縮反力によって発生する軸方向力が振動及び騒音を発生させる場合があるので、第2実施例においてもドライブプレート501にバランサ52を取り付けて遠心力を発生させることにより、前述の軸方向力を相殺して動的バランスをとっている。
【0028】
図4は本発明の揺動斜板型ポンプの第3実施例としての揺動斜板型圧縮機を示すもので、この場合は可変容量型のものを例示しているが、同様な可変容量型の揺動斜板型圧縮機である図1に示す第1実施例と比べて異なる点は、第3実施例においては、第1実施例におけるドライブプレート5とバランサ52が始めから一体化されていて、バランサ一体型のドライブプレート502になっている点にある。その他の点は第1実施例と同じであり、ドライブプレート5及び揺動斜板6の傾斜角度と吐出容量が零になった状態は図2と同様なものになるので、その図示を省略している。また、第3実施例の特徴部分を固定容量型の揺動斜板型圧縮機に転用することができることは言うまでもない。
【0029】
図5及び図6に本発明の揺動斜板型ポンプの第4実施例としての揺動斜板型圧縮機を示す。第4実施例も第1実施例や第3実施例と同様な可変容量型のものであるが、それらと同様に第2実施例のような固定容量型の圧縮機に転用することができる。図1と図5を比較すれば明らかなように、第1実施例に対する第4実施例の特徴は、第4実施例におけるドライブプレート503の円筒部53の後端部に、従って、揺動斜板の後部にリング状のバランサ513が設けられていることである。バランサ513はナットとして形成して、円筒部53に形成された雄螺子部に螺着してもよい。バランサ513は円筒部53に揺動斜板6やベアリング61,62を挿通した後に、円筒部53の後端部に螺着又は圧入、溶接、接着等の方法で取り付ける。
【0030】
第4実施例におけるバランサ513の位置は前述の各実施例と比べて異なっているが、バランサ513をこのような位置に取り付けても、それがシャフト4と共に回転する時に発生する遠心力によって、揺動斜板6やドライブプレート503の傾斜角度を減少させようとする復原力が発生する点は同じである。また、第1実施例や第3実施例におけるシャフトリンク機構部41及びドライブプレートリンク機構部51に対応する部分も、第4実施例ではシャフトリンク機構部411及びドライブプレートリンク機構部511となっていて、ピン42が後者によって支持されると共に、前者に形成されたスリット状の溝に係合する構造となっているが、これらは均等の構造であるから、第4実施例もまた第1実施例や第3実施例と同様な作用効果を奏する。なお、第4実施例の揺動斜板型圧縮機の吐出容量が零となった状態は図6に示されている。
【0031】
なお、図示実施例はいずれも揺動斜板型圧縮機に関するものであるが、本発明は圧縮機に限らず、液体を含む色々な流体を取り扱う揺動斜板型ポンプにそのまま適用可能であることは明らかである。また、本発明においてベアリングと呼んでいるものは、ボールベアリングやローラベアリング等のように転動体を有するものに限られない。従って、ベアリングは、例えば、メタルサーフェイスベアリングのように、低摩擦の摺動接触面の組み合わせからなるものを含む。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の揺動斜板型圧縮機の最大容量の運転状態を示す縦断面図である。
【図2】第1実施例の揺動斜板型圧縮機の最小容量の運転状態を示す縦断面図である。
【図3】第2実施例の揺動斜板型圧縮機の運転状態を示す縦断面図である。
【図4】第3実施例の揺動斜板型圧縮機の最大容量の運転状態を示す縦断面図である。
【図5】第4実施例の揺動斜板型圧縮機の最大容量の運転状態を示す縦断面図である。
【図6】第4実施例の揺動斜板型圧縮機の最小容量の運転状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
4…シャフト
5,501,502,503…ドライブプレート
6…揺動斜板
7…ピストン
52,513…バランサ
53…ドライブプレートの円筒部
61…ラジアルベアリング
62…スラストベアリング
V…作動室
Claims (7)
- 回転するように支持されたシャフトと、該シャフトと直交する垂直な平面に対して必要な傾斜角度を与えられて前記シャフトと共に回転するように前記シャフトに連結されたドライブプレートと、該ドライブプレートによってベアリングを介して相対回転可能に支持されることによって回転を抑制された状態で揺動運動をする揺動斜板と、該揺動斜板の周縁部に係合して駆動されることによって往復運動をするピストンと、該ピストンを受け入れて流体を圧縮するための作動室を形成するシリンダボアとを備えている揺動斜板型ポンプにおいて、前記揺動斜板に作用してその傾斜角度を増大させようとする圧縮反力による軸方向力を相殺するために、前記ドライブプレートに取り付けられて回転することにより発生する遠心力によって傾斜角度に関する復原力を発生する追加質量としてのバランサが設けられていることを特徴とする揺動斜板型ポンプ。
- 請求項1において、前記バランサが実質的にリング状の形状を有すると共に、前記ドライブプレートの一部に取り付けられていることを特徴とする揺動斜板型ポンプ。
- 請求項2において、前記バランサが前記揺動斜板の前面側において前記ドライブプレートに取り付けられていることを特徴とする揺動斜板型ポンプ。
- 請求項2において、前記バランサが前記揺動斜板の後面側において前記ドライブプレートに取り付けられていることを特徴とする揺動斜板型ポンプ。
- 請求項1ないしの4いずれかにおいて、前記バランサが前記ドライブプレートに対して始めから一体的に形成されていることを特徴とする揺動斜板型ポンプ。
- 請求項1ないしの5いずれかにおいて、前記揺動斜板と前記ドライブプレートの傾斜角度が可変となっていることを特徴とする揺動斜板型ポンプ。
- 請求項1ないしの5いずれかにおいて、前記揺動斜板と前記ドライブプレートの傾斜角度が固定となっていることを特徴とする揺動斜板型ポンプ。
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