JP2004308559A - 圧縮自己着火内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吸気ポート3には、内部EGR制御弁10が設けられており、この内部EGR制御弁10を閉弁した状態で、排気行程において吸気弁7が開弁される。これにより既燃ガスが燃焼室1から既燃ガス滞留室11内に導入される。次いで吸気弁7が閉弁され、既燃ガス滞留室11内に燃料噴射弁14により、燃料が噴射される。高温の既燃ガス中に燃料が噴射されるので、燃料の活性化が促進され、る。その後吸気行程において吸気弁7が開弁され、活性化した燃料と既燃ガスの混合気が燃焼室1に導入される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸気ポートに内部排気還流制御弁を備える圧縮自己着火内燃機関の制御する制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
2つの吸気ポートと、該2つの吸気ポートを連通する接続通路とを備える内燃機関において、一方の吸気ポートに内部排気還流制御弁を設けて吸気ポート内に既燃ガスを導入するとともに、その既燃ガスを前記接続通路及び他方の吸気ポートを介して燃焼室内に還流させるようにした制御装置が、特許文献1に示されている。
【0003】
また特許文献2には、圧縮自己着火内燃機関において、燃焼室に連通する排気還流チャンバを設け、該排気還流チャンバに備えられた制御弁を開閉制御することにより、高温の既燃ガスを燃焼室に還流させる技術が示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−224626号公報
【特許文献2】
特開平11−343874号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載の制御装置によれば、内部排気還流により既燃ガスの還流が行われるが、火花点火式内燃機関の制御装置であるため、圧縮自己着火内燃機関における着火を確実にするための技術は示されていない。また、特許文献2に示された圧縮自己着火内燃機関は、排気還流のために専用のチャンバを設ける必要があるため構造が複雑化するという課題がある。また燃焼室内に導入される混合気の着火をより確実にするために改良の余地が残されていた。
【0006】
本発明は上述した点に着目してなされたものであり、圧縮自己着火内燃機関において混合気を確実に着火させ、燃焼性能を向上させることができる制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、燃焼室と、該燃焼室に混合気を導入する吸気ポートと、該吸気ポートが前記燃焼室に開口する部分を開閉する吸気弁とを備える圧縮自己着火内燃機関の制御装置において、前記吸気ポート内に設けられた内部排気還流制御弁と、前記吸気ポート内に燃料を噴射する燃料噴射手段と、前記機関の排気行程において、前記内部排気還流制御弁を閉弁し、前記吸気弁を開弁させることにより、前記吸気ポート内に既燃ガスを導入する内部排気還流制御手段と、前記吸気ポート内に導入された既燃ガスに対して、前記燃料噴射弁による燃料噴射を実行する燃料噴射制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、排気行程において吸気ポートに高温の既燃ガスが導入され、その既燃ガス中に燃料が噴射される。したがって、噴射された燃料の活性化が促進され、吸気行程において十分に活性化した燃料を燃焼室に供給することができる。その結果、圧縮着火性能を向上させることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の圧縮自己着火内燃機関の制御装置において、前記吸気ポートは、断熱手段により断熱されていることを特徴とする。
この構成によれば、吸気ポートに導入された既燃ガスの温度の低下が抑制されるので、より確実に混合気を着火させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1及び図2は本発明の一実施形態にかかる圧縮自己着火内燃機関の1つの気筒の構造を模式的に示す図である。図1は上方から見た図であり、図2は断面図である。内燃機関(以下単に「エンジン」という)20は、例えば4気筒を備えており、各気筒は燃焼室1と、2つの吸気弁6,7と、2つの排気弁8,9と、燃焼室1に混合気を導入する2つの吸気ポート2,3と、燃焼室1から既燃ガスを排出する2つの排気ポート4,5と、ピストン15とを備えている。吸気弁6,7は、吸気ポート2,3が燃焼室1に開口する部分を開閉し、排気弁8,9は、排気ポート4,5が燃焼室1に開口する部分を開閉する。吸気ポート2,3には、それぞれ燃料噴射弁13,14が設けられている。燃料噴射弁13,14には、図示しない燃料供給通路を介して加圧された燃料が供給される。
【0011】
吸気弁6,7及び排気弁8,9は、電磁駆動機構22により駆動される電磁駆動弁であり、開弁時期及び閉弁時期を任意に設定することができる。電磁駆動型の吸排気弁は、例えば特開2000−283316号公報などに示されている。
【0012】
吸気ポート3には、内部排気還流制御弁(以下「内部EGR制御弁」という)10が設けられている。この内部EGR制御弁10を閉弁することにより、既燃ガス滞留室11が吸気ポート3内に形成される。内部EGR制御弁10は、アクチュエータ21により駆動され、開閉弁動作を行う。
【0013】
また吸気ポート3の周囲には、断熱材12が設けられている。断熱材12としは、アルミニウムやセラミックが用いられる。
燃料噴射弁13,14は、図3に示すように電子制御ユニット(以下「ECU」という)31に電気的に接続されており、燃料噴射時期及び燃料噴射時間がECU31により制御される。ECU31は、アクチュエータ21及び電磁駆動機構22に接続されており、内部EGR制御弁10、吸気弁6,7及び排気弁8,9の開閉弁制御を行う。
【0014】
ECU31には、エンジン20のクランク軸(図示せず)の回転角度を検出するクランク角度位置センサ32が接続されており、クランク軸の回転角度に応じた信号がECU31に供給される。クランク角度位置センサ32は、エンジン10の特定の気筒の所定クランク角度位置でパルス(以下「CYLパルス」という)を出力する気筒判別センサ、各気筒の吸入行程開始時の上死点(TDC)に関し所定クランク角度前のクランク角度位置で(4気筒エンジンではクランク角180度毎に)TDCパルスを出力するTDCセンサ及びTDCパルスより短い一定クランク角周期(例えば30度周期)で1パルス(以下「CRKパルス」という)を発生するCRKセンサから成り、CYLパルス、TDCパルス及びCRKパルスがECU31に供給される。これらのパルスは、吸排気弁の開弁期間、燃料噴射時期等の各種タイミング制御及びエンジン回転数(エンジン回転速度)NEの検出に使用される。
【0015】
またECU31には、エンジン20により駆動される車両のアクセルペダルの踏み込み量(以下「アクセルペダル操作量」という)APを検出するアクセルセンサ33が接続されており、その検出信号はECU31に供給される。
ECU31は、アクセルペダル操作量APに応じてエンジンの要求出力トルクTRQを算出し、該要求出力トルクTRQ及びエンジン回転数NEに応じて、燃料噴射弁13,14の燃料噴射時期CAINJ1,CAINJ2、及び燃料噴射時間TOUT1,TOUT2を算出する。そして、算出された燃料噴射時期CAINJ1,CAINJ2、及び燃料噴射時間TOUT1,TOUT2に応じて、燃料噴射弁13,14の作動制御が行われる。
【0016】
さらにECU31は、要求出力トルクTRQ及びエンジン回転数NEに応じて吸気弁6,7及び排気弁8,9の開弁時期及び閉弁時期を決定し、吸気弁6,7及び排気弁8,9の駆動制御を行う。
【0017】
図4は、吸気弁6,7及び排気弁8,9、並びに内部EGR制御弁10の動作例を説明するため図である。この図において、「BDC」はピストン15が下死点(Bottom Dead Center)にあるクランク角度位置に対応し、「TDC」は、ピストン15が上死点(Top Dead Center)にあるクランク角度位置に対応する。また、この図の縦軸は、吸気弁及び排気弁のリフト量LFTを示し、曲線L1が排気弁8,9のリフト特性を示し、曲線L2及びL4が吸気弁7のリフト特性を示し、曲線L3が吸気弁6のリフト特性を示す。
【0018】
すなわち、図4に示す例では排気行程の前半部分で排気弁8,9が開弁され、排気行程の後半部分において吸気弁7が開弁される。このとき内部EGR制御弁10は閉弁されている。吸気弁7の開弁により、既燃ガスが燃焼室1から既燃ガス滞留室11に導入される。そして排気TDCに対応するクランク角度で、吸気弁7が閉弁され、吸気行程の前半部、すなわち排気TDCからクランク角度CA1までの期間(図において「FI」で示される期間)内において燃料噴射弁14による既燃ガス滞留室11への燃料噴射が実行される。その後クランク角度CA1において内部EGR制御弁10が開弁されるとともに、吸気弁7が開弁され、既燃ガス滞留室11内の既燃ガスが燃焼室1に導入される。また吸気弁6は、吸気行程の前半部で開弁され、燃焼室1に新気が導入される。したがって、新気と活性化された混合気が燃焼室1内で層状となり、圧縮行程において確実に自己着火させることができる。
【0019】
このように本実施形態では、排気行程において内部EGR制御弁10を閉弁し、吸気弁7を開弁することにより、高温の既燃ガスが既燃ガス滞留室11に導入され、その既燃ガスに対して燃料噴射が行われる。したがって、噴射された燃料の活性化が促進され、吸気行程において十分に活性化した燃料を燃焼室に供給することができる。その結果、圧縮着火性能を向上させることができる。
【0020】
また本実施形態では、吸気ポート内に活性化した燃料と既燃ガスの混合気が存在するため、吸気行程でその混合気が全量吸入され、自己着火燃焼が効果的に促進される。
本実施形態においては、断熱材12が断熱手段に相当し、燃料噴射弁14が燃料噴射手段に相当する。またECU31が内部排気還流制御手段及び燃料噴射制御手段を構成する。
【0021】
(変形例1)
図5は、他の動作例を説明するための図である。この例では、排気行程の前半部分で吸気弁7が開弁され(曲線L11)、既燃ガスが既燃ガス滞留室11内に導入される。そして、吸気弁7がほぼ閉弁するクランク角度CA2から排気TDCに対応するクランク角度までの期間(FI)において燃料噴射が実行される。また排気弁8,9は、排気行程の後半部分で開弁される(曲線L12)。排気TDCに対応するクランク角度からクランク角度CA3までの間、内部EGR制御弁10が開弁されるとともに、吸気弁7が開弁され(曲線L13)、既燃ガス及び噴射された燃料の混合気が燃焼室1に導入される。吸気行程の後半部分で吸気弁6が開弁され(曲線L14)、新気と燃料の混合気が燃焼室1に導入される。
【0022】
この動作例においても、排気行程において既燃ガス滞留室11内に既燃ガスが導入され、その既燃ガスに対して燃料噴射が実行されるので、圧縮行程において確実に自己着火させることができる。
【0023】
(変形例2)
図6は、さらに他の動作例を説明するための図である。この例では、排気行程中の吸排気弁の動作は、図4の例と同一である(曲線L21,L22)。吸気行程においては、クランク角度CA4からCA5の間、2つの吸気弁6,7が同時に開弁する(曲線L23)。また燃料噴射は、排気TDCに対応するクランク角度からクランク角度CA4間での期間(FI)に実行される。
【0024】
この動作例においても、排気行程において既燃ガス滞留室11内に既燃ガスが導入され、その既燃ガスに対して燃料噴射が実行されるので、圧縮行程において確実に自己着火させることができる。またエンジンの要求出力トルク(エンジン負荷)によっては、この動作例のように2つの吸気弁6,7を同時に動作させることにより、活性化された燃料と新気を燃焼室1内でより均質な状態とすることが可能となる。
【0025】
(変形例3)
図7は、さらに他の動作例を説明するための図である。この例では、吸気行程中の吸気弁の動作は、図6の動作例と同一であり(曲線L33)、排気行程中の吸排気弁の動作は図5の動作例と同一である(曲線L31,L32)。そして、吸気弁7が閉弁するクランク角度CA6から、吸気弁7が再度開弁するクランク角度CA4までの期間(FI)中において燃料噴射が実行される。この動作例においても図6の動作例と同様の効果を得ることできる。
【0026】
(その他の変形例)
なお本発明は上述した実施形態に限るものではなく、種々の変形が可能である。例えば、吸気ポート3は、図8に示すように空隙12aにより断熱するようにしてもよい。
また本発明は、クランク軸を鉛直方向とした船外機などのような船舶推進機用エンジンなどの制御にも適用が可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1に記載の発明によれば、排気行程において吸気ポートに高温の既燃ガスが導入され、その既燃ガス中に燃料が噴射される。したがって、噴射された燃料の活性化が促進され、吸気行程において十分に活性化した燃料を燃焼室に供給することができる。その結果、圧縮着火性能を向上させることができる。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、吸気ポートに導入された既燃ガスの温度の低下が抑制されるので、より確実に混合気を着火させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる内燃機関の構造を模式的に示す図である。
【図2】図1に示す内燃機関の断面構造を模式的に示す図である。
【図3】図1に示す内燃機関の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】吸気弁、排気弁、内部排気還流制御弁及び燃料噴射弁の動作例を説明するための図である。
【図5】図4に示す動作例の変形例を示す図である。
【図6】図4に示す動作例の変形例を示す図である。
【図7】図4に示す動作例の変形例を示す図である。
【図8】吸気ポートを断熱するための構造を示す図である。
【符号の説明】
1 燃焼室
2,3 吸気ポート
4,5 排気ポート
6,7 吸気弁
8,9 排気弁
10 内部排気還流制御弁
11 既燃ガス滞留室
12 断熱材(断熱手段)
13 燃料噴射弁(燃料噴射手段)
20 圧縮自己着火内燃機関
31 電子制御ユニット(内部排気還流制御手段、燃料噴射制御手段)
Claims (2)
- 燃焼室と、該燃焼室に混合気を導入する吸気ポートと、該吸気ポートが前記燃焼室に開口する部分を開閉する吸気弁とを備える圧縮自己着火内燃機関の制御装置において、
前記吸気ポート内に設けられた内部排気還流制御弁と、
前記吸気ポート内に燃料を噴射する燃料噴射手段と、
前記機関の排気行程において、前記内部排気還流制御弁を閉弁し、前記吸気弁を開弁させることにより、前記吸気ポート内に既燃ガスを導入する内部排気還流制御手段と、
前記吸気ポート内に導入された既燃ガスに対して、前記燃料噴射弁による燃料噴射を実行する燃料噴射制御手段とを備えることを特徴とする圧縮自己着火内燃機関の制御装置。 - 前記吸気ポートは、断熱手段により断熱されていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮自己着火内燃機関の制御装置。
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