JP2004307954A - めっき形成部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐食性が向上され、封孔処理が施されない場合であっても優れた防錆特性を有するめっき形成部材を提供する。
【解決手段】銅系素材からなる部材の表面にニッケル合金からなる合金めっき層と、貴金属めっき層とを順次形成する。これにより、封孔処理を施さない場合であっても優れた耐食性を有する。封孔処理に要する工程を削減することができる。またこのような優れた耐食性を有するめっき層を低コストで形成することができる。これにより、特に狭ピッチコネクタ、スイッチ、リレー等の接点・端子用部材として好適に用いることができる。
【選択図】 なし
【解決手段】銅系素材からなる部材の表面にニッケル合金からなる合金めっき層と、貴金属めっき層とを順次形成する。これにより、封孔処理を施さない場合であっても優れた耐食性を有する。封孔処理に要する工程を削減することができる。またこのような優れた耐食性を有するめっき層を低コストで形成することができる。これにより、特に狭ピッチコネクタ、スイッチ、リレー等の接点・端子用部材として好適に用いることができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅系部材にめっき層を形成しためっき形成部材に関し、特に狭ピッチコネクタ、スイッチ、リレー等の接点・端子用部材として用いられるものに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、特許文献1,2等に示されるように、ニッケルめっき層と貴金属めっき層(金めっき層、パラジウムめっき層等)を順次形成した複合めっきは、狭ピッチコネクタ、スイッチ、リレー等の接点・端子用部材に耐食性を付与するためなどに広く利用されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−234361号公報
【特許文献2】
特開2001−234360号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような複合めっきには、通常は封孔処理が施されるものであり、このような封孔処理を施さなければ、十分な耐食性が得られず、錆が発生し易いものであり、特に上記のような接点・端子用部材に適用する場合には接点等の導通信頼性を長期間維持することが困難であった。このため、複合めっきの形成時には、封孔処理のための工程が必要となり、処理工程の煩雑化や処理効率の低下を招いていた。また封孔処理を施さずに貴金属めっき層の厚みを厚くすることで耐食性を向上することもできるが、めっき処理に要するコストが高くなってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、封孔処理を施さなくても優れた耐食性を有して、封孔処理を削減することが可能であり、且つめっき処理に要するコストを低減することが可能な、めっき形成部材を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係るめっき形成部材は、銅系素材からなる部材の表面にニッケル合金からなる合金めっき層と、貴金属めっき層とを順次形成して成ることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に係るめっき形成部材は、銅系素材からなる部材の表面にCo−Sn合金からなる合金めっき層と、貴金属めっき層とを順次形成して成ることを特徴とするものである。
【0008】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、銅系素材からなる部材の表面に、合金めっき層の形成に先だって、ニッケルめっき層を形成して成ることを特徴とするものである。
【0009】
また請求項4の発明は、請求項3において、上記のニッケルめっき層が、硫黄成分を含まないものであることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
部材としては適宜の銅系素材からなるものを用いることができるが、銅系素材としては、銅や、ベリリウム−銅、リン青銅等の銅合金を挙げることができる。この部材は、特に狭ピッチコネクタ、スイッチ、リレー等の接点・端子用の部材として形成されたものであることが好ましい。
【0012】
第一の実施形態では、この部材に対して、次のような合金めっき層と、貴金属めっき層とを順次形成する。
【0013】
合金めっき層としては、ニッケル合金めっき層と、コバルト−スズ(Co−Sn)合金めっき層のうちの、いずれかを形成することができる。
【0014】
このうちニッケル合金めっき層としては、ニッケル−リン(Ni−P)めっき、ニッケル−スズ(Ni−Sn)めっき、パラジウム−ニッケル(Pd−Ni)めっき等を形成することができる。
【0015】
これらの合金めっき層のめっき組成は、適宜設定されるが、Ni−Pめっきの場合はリン含有量1%以上(好ましくはNi:P=9:1〜8:2)、Ni−Snめっきの場合はNi:Sn=2:8〜7:3(好ましくはNi:Sn=3:7)、Pd−Niめっきの場合はPd:Ni=9:1〜3:7(好ましくはPd:Ni=8:2)、Co−Snめっきの場合はCo:Sn=1:9〜9:1の各重量比率とすることが好ましい。
【0016】
これらの合金めっき層は、一つの組成の合金めっき層を一層のみを形成するほか、二種以上の組成の各合金めっき層を二層以上順次形成しても良い。
【0017】
この合金めっき層は、適宜のめっき浴を用いて、適宜の手法により形成することができる。このときの電解電流密度は、例えばPd−Niめっきの場合には、0.1〜20A/dm2の範囲とすることが好ましい。
【0018】
この合金めっき層の厚みは、十分な防錆特性を得るためには0.1μm以上に形成することが好ましい。またこの厚みの上限は特に設定しないが、生産性向上やめっき形成部材の曲げ加工時におけるめっき層の割れ防止の点で5.0μm以下とすることが好ましい。
【0019】
貴金属めっき層は、例えば金(Au)めっき、パラジウム(Pd)めっき等にて形成することができる。
【0020】
また貴金属めっき層には、この貴金属めっき層の改質、例えば硬度向上等のために、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)等のような他の金属を含有させることもでき、例えば貴金属めっき層に、Au:Co=99.7:0.3の重量比率でコバルトを含有させることができる。このような他の金属を含有させる場合には、貴金属めっき層中の他の金属の含有量は、1.0重量%以下であることが好ましい。
【0021】
この貴金属めっき層は、適宜のめっき浴を用いて、適宜の手法により形成することができる。このときの電解電流密度は、例えば電解金めっきを施す場合には、0.1〜20A/dm2の範囲とすることが好ましい。
【0022】
この貴金属めっき層の厚みは、十分な防錆特性を得るためには0.03μm以上に形成することが好ましい。またこの厚みの上限は特に制限しないが、生産性向上や金使用量の削減のためには、厚み5.0μm以下とすることが好ましい。
【0023】
このようなめっき層が形成された部材は、従来のようなニッケルめっき層と貴金属めっき層のみからなる複合めっきを形成する場合よりも耐食性が著しく向上し、封孔処理を施さない場合であっても、優れた防錆特性を有することとなる。
【0024】
第二の実施形態では、第一の実施形態と同様の部材に対して、ニッケルめっき層と、合金めっき層と、貴金属めっき層とを順次形成するものであり、第一の実施形態において、部材の表面に、合金めっき層の形成に先だって、ニッケルめっき層を形成したものである。
【0025】
ニッケルめっき層は、適宜のめっき浴を用いて、適宜の手法により形成することができるが、例えばスルファミン酸浴、スルニックNi、ワット浴等の適宜のめっき浴による電解めっきにて形成することができる。このときの電解電流密度は、例えばスルファミン酸浴を用いる場合には、1.0〜40A/dm2の範囲とすることが好ましい。
【0026】
またこのニッケルめっき層中には、不純物が含有される場合があるが、この不純物の含有量は5重量%以下であることが望ましい。
【0027】
このニッケルめっき層の厚みは、0.1μm以上に形成することが好ましい。またこの厚みの上限は特に設定しないが、十分な耐食性を確保するためには、10μm以下とすることが好ましい。
【0028】
合金めっき層は、上記第一の実施形態における合金めっき層と同様に形成することができるが、その厚みは、十分な防錆特性を得るためには0.03μm以上に形成することが好ましい。またこの厚みの上限は特に制限しないが、生産性の確保やめっき形成部材の曲げ加工時におけるめっき層の割れ防止のためには、5.0μm以下とすることが好ましい。
【0029】
貴金属めっき層は、上記第一の実施形態における合金めっき層と同様に形成することができ、その厚みも上記第一の実施形態と同様に、十分な防錆特性を得るためには0.03μm以上に形成することが好ましい。またこの厚みの上限は特に制限しないが、耐食性を確保すると共に生産性の向上及びめっき処理コストの削減のためには、4.0μm以下とすることが好ましい。
【0030】
このようなめっき層が形成された部材は、従来のようなニッケルめっき層と貴金属めっき層のみからなる複合めっきを形成する場合よりも耐食性が著しく向上し、封孔処理を施さない場合であっても、優れた防錆特性を有することとなる。
【0031】
また、上記の第一の実施形態では、ニッケルめっき層を形成せずに合金めっき層を形成しているが、合金めっき層を形成する際には電解電流密度を上げることが困難であって、めっき層の形成速度の高速化が困難なものである。これに対し、第二の実施形態のようにまず電解電流密度を大きくすることが容易でめっき層の形成速度の高速化が容易なニッケルめっき層を形成した後に、合金めっき層を形成すると、合金めっき層の厚みを薄く形成してもニッケルめっき層により十分なめっき厚みを確保することができて、十分な防錆特性を得ることが可能となり、めっき層の処理効率を向上しつつ、十分な耐食性を有するめっき層を形成することができるものである。また上記の第一の実施形態における合金めっき層に相当するめっき層を、合金めっき層とニッケルめっき層とで形成することで、合金めっきの処理量を低減すると共に、めっき形成に要するコストがより低いニッケルめっきを形成し、これによりめっき層形成に要する全体のコストを低減することも可能なものであり、またそれにもかかわらず十分な耐食性を付与することができるものである。
【0032】
第三の実施形態では、上記の第二の実施形態において、ニッケルめっき層として、硫黄成分が含有されないものを形成するものである。すなわち、ニッケルめっき層中には上記のように不純物が含有される場合があるが、このような不純物として硫黄成分が含有されないようなニッケルめっき層を形成するものである。このような硫黄を含有しないニッケルめっき層を形成するためには、めっき浴として、浴中に硫黄析出成分を含むもの(例えばスルファミン酸浴等)や、浴中に硫黄を含有する光沢剤等を含むもの(例えば荏原ユージライト製の品番「#61」や「#63」)などを用いないようにして、浴中に硫黄析出成分を含まないもの(例えはスルニックNi、ワット浴等)や、このような硫黄析出成分を含まないめっき浴中に、更に硫黄を含まない添加剤(例えば荏原ユージライト(株)製、「CF−24」等)を添加したものなどのように、硫黄を含有しないめっき浴を用いるようにする。
【0033】
このような硫黄を含有しないニッケルめっき層は、硫黄を含有するニッケルめっき層と比較すると、合金めっき層及び貴金属めっき層との間の電位差が小さくなり、このため硫黄を含有するニッケルめっき層を形成する場合よりも更に高い耐食性が得られるものである。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。
【0035】
(実施例1)
銅系素材(ベリリウム−銅)からなる部材(厚み約0.10mmのコネクタ形成用部材)に対して、電解ニッケルめっき浴(上村工業株式会社製、「スルニックAMT」)中で、電解電流密度5.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み2.0μmのニッケルめっき層を形成した。
【0036】
次に、Pd−Ni合金めっき浴(日本高純度化学株式会社製、「パラブライトTN−20S」)中で、電解電流密度5.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.5μmの合金めっき層(Pd−Ni合金めっき層;Pd:Ni=8:2)を形成した。
【0037】
次に、金めっき浴(日本高純度化学株式会社製、「オーロブライトHS−2」)中で、電解電流密度3.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.06μmの貴金属めっき層(金めっき層)を形成し、ニッケルめっき層、合金めっき層、貴金属めっき層を順次形成しためっき形成部材を得た。
【0038】
(実施例2)
実施例1と同様の部材に対して、ニッケル−リン合金めっき浴(キザイ株式会社製、「エバナイ」)中で、電解電流密度1.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.5μmの合金めっき層(ニッケル−リン合金めっき層)を形成した。
【0039】
次に、金めっき浴(日本高純度化学株式会社製、「オーロブライトHS−2」)中で、電解電流密度3.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.06μmの貴金属めっき層(金めっき層)を形成し、合金めっき層、貴金属めっき層を順次形成しためっき形成部材を得た。
【0040】
(実施例3)
実施例1と同様の部材に対して、実施例2と同様にして、厚み0.5μmの合金めっき層(ニッケル−リン合金めっき層)を形成した。
【0041】
次に、Pd−Ni合金めっき浴(日本高純度化学株式会社製、「TN−20S」)中で、電解電流密度5.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.1μmの合金めっき層(Pd−Ni合金めっき層;Pd:Ni=8:2)を形成した。
【0042】
次に、金めっき浴(日本高純度化学株式会社製、「オーロブライトHS−2」)中で、電解電流密度3.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.06μmの貴金属めっき層(金めっき層)を形成し、合金めっき層、貴金属めっき層を順次形成しためっき形成部材を得た。
【0043】
(実施例4)
合金めっき層(ニッケル−リン合金めっき層)の厚みを2.0μmに形成した以外は、実施例2と同様にして、合金めっき層、貴金属めっき層を順次形成しためっき形成部材を得た。
【0044】
(実施例5)
合金めっき層(ニッケル−リン合金めっき層)の厚みを2.0μmに形成した以外は、実施例3と同様にして、合金めっき層、貴金属めっき層を順次形成しためっき形成部材を得た。
【0045】
(実施例6)
実施例1において、Pd−Ni合金めっき浴を日本高純度化学株式会社製の「パラブライトTN40S」)に変更して、厚み0.5μmの合金めっき層(Pd−Ni合金めっき層;Pd:Ni=6:4)を形成した。それ以外は実施例1と同様にして、めっき形成部材を得た。
【0046】
(実施例7)
実施例3において、Pd−Ni合金めっき浴を日本高純度化学株式会社製の「パラブライトTN40S」)に変更して、厚み0.1μmの合金めっき層(Pd−Ni合金めっき層;Pd:Ni=6:4)を形成した。それ以外は実施例3と同様にして、めっき形成部材を得た。
【0047】
(実施例8)
実施例1と同様の部材に対して、ニッケル−スズ合金めっき浴(キザイ株式会社製、「スタナロイ ナイスワン」)中で、電解電流密度0.5A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み2.0μmの合金めっき層(ニッケル−スズ合金めっき層;Ni:Sn=3:7)を形成した。
【0048】
次に、金めっき浴(日本高純度化学株式会社製、「オーロブライトHS−2」)中で、電解電流密度3.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.06μmの貴金属めっき層(金めっき層)を形成し、合金めっき層、貴金属めっき層を順次形成しためっき形成部材を得た。
【0049】
(実施例9)
実施例1と同様の部材に対して、ニッケル−スズ合金めっき浴(キザイ株式会社製、「スタナロイ ナイスワン」)中で、電解電流密度0.5A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み2.0μmの合金めっき層(ニッケル−スズ合金めっき層)を形成した。
【0050】
次に、Pd−Ni合金めっき浴(日本高純度化学株式会社製、「TN−20S」)中で、電解電流密度5.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.1μmの合金めっき層(Pd−Ni合金めっき層;Pd:Ni=8:2)を形成した。
【0051】
次に、金めっき浴(日本高純度化学株式会社製、「オーロブライトHS−2」)中で、電解電流密度3.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.06μmの貴金属めっき層(金めっき層)を形成し、合金めっき層、貴金属めっき層を順次形成しためっき形成部材を得た。
【0052】
(実施例10)
実施例3において、Pd−Ni合金めっき浴を日本高純度化学株式会社製の「パラブライトTN40S」)に変更して、厚み0.1μmの合金めっき層(Pd−Ni合金めっき層;Pd:Ni=6:4)を形成した。それ以外は実施例9と同様にして、めっき形成部材を得た。
【0053】
(比較例1)
実施例1と同様の部材に対して、電解ニッケルめっき浴(スルファミン酸ニッケル溶液)中で、電解電流密度5.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み2.0μmのニッケルめっき層を形成した。
【0054】
次に、金めっき浴(日本高純度化学株式会社製、「オーロブライトHS−2」)中で、電解電流密度3.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.06μmの貴金属めっき層(金めっき層)を形成し、ニッケルめっき層、貴金属めっき層を順次形成しためっき形成部材を得た。
【0055】
(比較例2)
実施例1と同様の部材に対して、電解ニッケルめっき浴(上村工業株式会社製、品番「スルニックAMT」)中で、電解電流密度5.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み2.0μmのニッケルめっき層を形成した。
【0056】
次に、金めっき浴(日本高純度化学株式会社製、「オーロブライトHS−2」)中で、電解電流密度3.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.02μmの貴金属めっき層(金めっき層)を形成し、ニッケルめっき層、貴金属めっき層を順次形成しためっき形成部材を得た。
【0057】
(評価試験)
各実施例及び比較例で得られためっき形成部材として、封孔処理を施さないものと封孔処理を施したものを用意した。
【0058】
そして、これらのものについて、濃度10ppmの亜硫酸ガス含有雰囲気中に40℃、95%RHの条件で24時間と96時間曝露した結果をそれぞれ観察し、耐食性を評価した。評価基準は次の通りである。
・×…「悪い」
・△…「若干悪い」
・○…「良い」
・◎…「とても良い」
以上の結果を下記表1、2に示す。尚、表1は24時間処理の結果、表2は96時間処理の結果を、それぞれ示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
これらの結果から明らかなように、実施例1〜10では、硫黄を含むニッケルめっき層と貴金属めっき層とを順次形成した比較例1や、硫黄を含まないニッケルめっき層を貴金属めっき層とを順次形成した比較例2と較べて、優れた耐食性を有し、且つ封孔処理を施さない場合であっても優れた良好な耐食性を有することが、確認された。
【0062】
【発明の効果】
上記のように請求項1に係るめっき形成部材は、銅系素材からなる部材の表面にニッケル合金からなる合金めっき層と、貴金属めっき層とを順次形成するため、封孔処理を施さない場合であっても優れた耐食性を有し、封孔処理に要する工程を削減することができるものであり、且つこのような優れた耐食性を有するめっき層を低コストで形成することができて、特に狭ピッチコネクタ、スイッチ、リレー等の接点・端子用部材として好適に用いることができるものである。
【0063】
請求項2に係るめっき形成部材は、銅系素材からなる部材の表面にCo−Sn合金からなる合金めっき層と、貴金属めっき層とを順次形成するため、封孔処理を施さない場合であっても優れた耐食性を有し、封孔処理に要する工程を削減することができるものであり、且つこのような優れた耐食性を有するめっき層を低コストで形成することができて、特に狭ピッチコネクタ、スイッチ、リレー等の接点・端子用部材として好適に用いることができるものである。
【0064】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、銅系素材からなる部材の表面に、合金めっき層の形成に先だって、ニッケルめっき層を形成するため、十分な耐食性を維持しながら、めっき形成時に電解電流密度を上げにくい合金めっき層の厚みを薄く形成すると共にその代わりにめっき形成時の電解電流密度を高く設定できるニッケルめっき層を形成することができて、めっき層形成時の全体の処理効率を向上することができ、またニッケルめっき層を形成することで処理コストの高い合金めっき層の処理量を低減して、めっき層形成に要する全体のコストを低減することも可能なものであり、特に狭ピッチコネクタ、スイッチ、リレー等の接点・端子用部材として好適に用いることができるものである。
【0065】
また請求項4の発明は、請求項3において、上記のニッケルめっき層が、硫黄成分を含まないものであるため、ニッケルめっき層と、合金めっき層及び貴金属めっき層との間の電位差を低減して、更に高い耐食性を付与することができるものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅系部材にめっき層を形成しためっき形成部材に関し、特に狭ピッチコネクタ、スイッチ、リレー等の接点・端子用部材として用いられるものに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、特許文献1,2等に示されるように、ニッケルめっき層と貴金属めっき層(金めっき層、パラジウムめっき層等)を順次形成した複合めっきは、狭ピッチコネクタ、スイッチ、リレー等の接点・端子用部材に耐食性を付与するためなどに広く利用されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−234361号公報
【特許文献2】
特開2001−234360号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような複合めっきには、通常は封孔処理が施されるものであり、このような封孔処理を施さなければ、十分な耐食性が得られず、錆が発生し易いものであり、特に上記のような接点・端子用部材に適用する場合には接点等の導通信頼性を長期間維持することが困難であった。このため、複合めっきの形成時には、封孔処理のための工程が必要となり、処理工程の煩雑化や処理効率の低下を招いていた。また封孔処理を施さずに貴金属めっき層の厚みを厚くすることで耐食性を向上することもできるが、めっき処理に要するコストが高くなってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、封孔処理を施さなくても優れた耐食性を有して、封孔処理を削減することが可能であり、且つめっき処理に要するコストを低減することが可能な、めっき形成部材を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係るめっき形成部材は、銅系素材からなる部材の表面にニッケル合金からなる合金めっき層と、貴金属めっき層とを順次形成して成ることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に係るめっき形成部材は、銅系素材からなる部材の表面にCo−Sn合金からなる合金めっき層と、貴金属めっき層とを順次形成して成ることを特徴とするものである。
【0008】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、銅系素材からなる部材の表面に、合金めっき層の形成に先だって、ニッケルめっき層を形成して成ることを特徴とするものである。
【0009】
また請求項4の発明は、請求項3において、上記のニッケルめっき層が、硫黄成分を含まないものであることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
部材としては適宜の銅系素材からなるものを用いることができるが、銅系素材としては、銅や、ベリリウム−銅、リン青銅等の銅合金を挙げることができる。この部材は、特に狭ピッチコネクタ、スイッチ、リレー等の接点・端子用の部材として形成されたものであることが好ましい。
【0012】
第一の実施形態では、この部材に対して、次のような合金めっき層と、貴金属めっき層とを順次形成する。
【0013】
合金めっき層としては、ニッケル合金めっき層と、コバルト−スズ(Co−Sn)合金めっき層のうちの、いずれかを形成することができる。
【0014】
このうちニッケル合金めっき層としては、ニッケル−リン(Ni−P)めっき、ニッケル−スズ(Ni−Sn)めっき、パラジウム−ニッケル(Pd−Ni)めっき等を形成することができる。
【0015】
これらの合金めっき層のめっき組成は、適宜設定されるが、Ni−Pめっきの場合はリン含有量1%以上(好ましくはNi:P=9:1〜8:2)、Ni−Snめっきの場合はNi:Sn=2:8〜7:3(好ましくはNi:Sn=3:7)、Pd−Niめっきの場合はPd:Ni=9:1〜3:7(好ましくはPd:Ni=8:2)、Co−Snめっきの場合はCo:Sn=1:9〜9:1の各重量比率とすることが好ましい。
【0016】
これらの合金めっき層は、一つの組成の合金めっき層を一層のみを形成するほか、二種以上の組成の各合金めっき層を二層以上順次形成しても良い。
【0017】
この合金めっき層は、適宜のめっき浴を用いて、適宜の手法により形成することができる。このときの電解電流密度は、例えばPd−Niめっきの場合には、0.1〜20A/dm2の範囲とすることが好ましい。
【0018】
この合金めっき層の厚みは、十分な防錆特性を得るためには0.1μm以上に形成することが好ましい。またこの厚みの上限は特に設定しないが、生産性向上やめっき形成部材の曲げ加工時におけるめっき層の割れ防止の点で5.0μm以下とすることが好ましい。
【0019】
貴金属めっき層は、例えば金(Au)めっき、パラジウム(Pd)めっき等にて形成することができる。
【0020】
また貴金属めっき層には、この貴金属めっき層の改質、例えば硬度向上等のために、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)等のような他の金属を含有させることもでき、例えば貴金属めっき層に、Au:Co=99.7:0.3の重量比率でコバルトを含有させることができる。このような他の金属を含有させる場合には、貴金属めっき層中の他の金属の含有量は、1.0重量%以下であることが好ましい。
【0021】
この貴金属めっき層は、適宜のめっき浴を用いて、適宜の手法により形成することができる。このときの電解電流密度は、例えば電解金めっきを施す場合には、0.1〜20A/dm2の範囲とすることが好ましい。
【0022】
この貴金属めっき層の厚みは、十分な防錆特性を得るためには0.03μm以上に形成することが好ましい。またこの厚みの上限は特に制限しないが、生産性向上や金使用量の削減のためには、厚み5.0μm以下とすることが好ましい。
【0023】
このようなめっき層が形成された部材は、従来のようなニッケルめっき層と貴金属めっき層のみからなる複合めっきを形成する場合よりも耐食性が著しく向上し、封孔処理を施さない場合であっても、優れた防錆特性を有することとなる。
【0024】
第二の実施形態では、第一の実施形態と同様の部材に対して、ニッケルめっき層と、合金めっき層と、貴金属めっき層とを順次形成するものであり、第一の実施形態において、部材の表面に、合金めっき層の形成に先だって、ニッケルめっき層を形成したものである。
【0025】
ニッケルめっき層は、適宜のめっき浴を用いて、適宜の手法により形成することができるが、例えばスルファミン酸浴、スルニックNi、ワット浴等の適宜のめっき浴による電解めっきにて形成することができる。このときの電解電流密度は、例えばスルファミン酸浴を用いる場合には、1.0〜40A/dm2の範囲とすることが好ましい。
【0026】
またこのニッケルめっき層中には、不純物が含有される場合があるが、この不純物の含有量は5重量%以下であることが望ましい。
【0027】
このニッケルめっき層の厚みは、0.1μm以上に形成することが好ましい。またこの厚みの上限は特に設定しないが、十分な耐食性を確保するためには、10μm以下とすることが好ましい。
【0028】
合金めっき層は、上記第一の実施形態における合金めっき層と同様に形成することができるが、その厚みは、十分な防錆特性を得るためには0.03μm以上に形成することが好ましい。またこの厚みの上限は特に制限しないが、生産性の確保やめっき形成部材の曲げ加工時におけるめっき層の割れ防止のためには、5.0μm以下とすることが好ましい。
【0029】
貴金属めっき層は、上記第一の実施形態における合金めっき層と同様に形成することができ、その厚みも上記第一の実施形態と同様に、十分な防錆特性を得るためには0.03μm以上に形成することが好ましい。またこの厚みの上限は特に制限しないが、耐食性を確保すると共に生産性の向上及びめっき処理コストの削減のためには、4.0μm以下とすることが好ましい。
【0030】
このようなめっき層が形成された部材は、従来のようなニッケルめっき層と貴金属めっき層のみからなる複合めっきを形成する場合よりも耐食性が著しく向上し、封孔処理を施さない場合であっても、優れた防錆特性を有することとなる。
【0031】
また、上記の第一の実施形態では、ニッケルめっき層を形成せずに合金めっき層を形成しているが、合金めっき層を形成する際には電解電流密度を上げることが困難であって、めっき層の形成速度の高速化が困難なものである。これに対し、第二の実施形態のようにまず電解電流密度を大きくすることが容易でめっき層の形成速度の高速化が容易なニッケルめっき層を形成した後に、合金めっき層を形成すると、合金めっき層の厚みを薄く形成してもニッケルめっき層により十分なめっき厚みを確保することができて、十分な防錆特性を得ることが可能となり、めっき層の処理効率を向上しつつ、十分な耐食性を有するめっき層を形成することができるものである。また上記の第一の実施形態における合金めっき層に相当するめっき層を、合金めっき層とニッケルめっき層とで形成することで、合金めっきの処理量を低減すると共に、めっき形成に要するコストがより低いニッケルめっきを形成し、これによりめっき層形成に要する全体のコストを低減することも可能なものであり、またそれにもかかわらず十分な耐食性を付与することができるものである。
【0032】
第三の実施形態では、上記の第二の実施形態において、ニッケルめっき層として、硫黄成分が含有されないものを形成するものである。すなわち、ニッケルめっき層中には上記のように不純物が含有される場合があるが、このような不純物として硫黄成分が含有されないようなニッケルめっき層を形成するものである。このような硫黄を含有しないニッケルめっき層を形成するためには、めっき浴として、浴中に硫黄析出成分を含むもの(例えばスルファミン酸浴等)や、浴中に硫黄を含有する光沢剤等を含むもの(例えば荏原ユージライト製の品番「#61」や「#63」)などを用いないようにして、浴中に硫黄析出成分を含まないもの(例えはスルニックNi、ワット浴等)や、このような硫黄析出成分を含まないめっき浴中に、更に硫黄を含まない添加剤(例えば荏原ユージライト(株)製、「CF−24」等)を添加したものなどのように、硫黄を含有しないめっき浴を用いるようにする。
【0033】
このような硫黄を含有しないニッケルめっき層は、硫黄を含有するニッケルめっき層と比較すると、合金めっき層及び貴金属めっき層との間の電位差が小さくなり、このため硫黄を含有するニッケルめっき層を形成する場合よりも更に高い耐食性が得られるものである。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。
【0035】
(実施例1)
銅系素材(ベリリウム−銅)からなる部材(厚み約0.10mmのコネクタ形成用部材)に対して、電解ニッケルめっき浴(上村工業株式会社製、「スルニックAMT」)中で、電解電流密度5.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み2.0μmのニッケルめっき層を形成した。
【0036】
次に、Pd−Ni合金めっき浴(日本高純度化学株式会社製、「パラブライトTN−20S」)中で、電解電流密度5.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.5μmの合金めっき層(Pd−Ni合金めっき層;Pd:Ni=8:2)を形成した。
【0037】
次に、金めっき浴(日本高純度化学株式会社製、「オーロブライトHS−2」)中で、電解電流密度3.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.06μmの貴金属めっき層(金めっき層)を形成し、ニッケルめっき層、合金めっき層、貴金属めっき層を順次形成しためっき形成部材を得た。
【0038】
(実施例2)
実施例1と同様の部材に対して、ニッケル−リン合金めっき浴(キザイ株式会社製、「エバナイ」)中で、電解電流密度1.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.5μmの合金めっき層(ニッケル−リン合金めっき層)を形成した。
【0039】
次に、金めっき浴(日本高純度化学株式会社製、「オーロブライトHS−2」)中で、電解電流密度3.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.06μmの貴金属めっき層(金めっき層)を形成し、合金めっき層、貴金属めっき層を順次形成しためっき形成部材を得た。
【0040】
(実施例3)
実施例1と同様の部材に対して、実施例2と同様にして、厚み0.5μmの合金めっき層(ニッケル−リン合金めっき層)を形成した。
【0041】
次に、Pd−Ni合金めっき浴(日本高純度化学株式会社製、「TN−20S」)中で、電解電流密度5.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.1μmの合金めっき層(Pd−Ni合金めっき層;Pd:Ni=8:2)を形成した。
【0042】
次に、金めっき浴(日本高純度化学株式会社製、「オーロブライトHS−2」)中で、電解電流密度3.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.06μmの貴金属めっき層(金めっき層)を形成し、合金めっき層、貴金属めっき層を順次形成しためっき形成部材を得た。
【0043】
(実施例4)
合金めっき層(ニッケル−リン合金めっき層)の厚みを2.0μmに形成した以外は、実施例2と同様にして、合金めっき層、貴金属めっき層を順次形成しためっき形成部材を得た。
【0044】
(実施例5)
合金めっき層(ニッケル−リン合金めっき層)の厚みを2.0μmに形成した以外は、実施例3と同様にして、合金めっき層、貴金属めっき層を順次形成しためっき形成部材を得た。
【0045】
(実施例6)
実施例1において、Pd−Ni合金めっき浴を日本高純度化学株式会社製の「パラブライトTN40S」)に変更して、厚み0.5μmの合金めっき層(Pd−Ni合金めっき層;Pd:Ni=6:4)を形成した。それ以外は実施例1と同様にして、めっき形成部材を得た。
【0046】
(実施例7)
実施例3において、Pd−Ni合金めっき浴を日本高純度化学株式会社製の「パラブライトTN40S」)に変更して、厚み0.1μmの合金めっき層(Pd−Ni合金めっき層;Pd:Ni=6:4)を形成した。それ以外は実施例3と同様にして、めっき形成部材を得た。
【0047】
(実施例8)
実施例1と同様の部材に対して、ニッケル−スズ合金めっき浴(キザイ株式会社製、「スタナロイ ナイスワン」)中で、電解電流密度0.5A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み2.0μmの合金めっき層(ニッケル−スズ合金めっき層;Ni:Sn=3:7)を形成した。
【0048】
次に、金めっき浴(日本高純度化学株式会社製、「オーロブライトHS−2」)中で、電解電流密度3.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.06μmの貴金属めっき層(金めっき層)を形成し、合金めっき層、貴金属めっき層を順次形成しためっき形成部材を得た。
【0049】
(実施例9)
実施例1と同様の部材に対して、ニッケル−スズ合金めっき浴(キザイ株式会社製、「スタナロイ ナイスワン」)中で、電解電流密度0.5A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み2.0μmの合金めっき層(ニッケル−スズ合金めっき層)を形成した。
【0050】
次に、Pd−Ni合金めっき浴(日本高純度化学株式会社製、「TN−20S」)中で、電解電流密度5.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.1μmの合金めっき層(Pd−Ni合金めっき層;Pd:Ni=8:2)を形成した。
【0051】
次に、金めっき浴(日本高純度化学株式会社製、「オーロブライトHS−2」)中で、電解電流密度3.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.06μmの貴金属めっき層(金めっき層)を形成し、合金めっき層、貴金属めっき層を順次形成しためっき形成部材を得た。
【0052】
(実施例10)
実施例3において、Pd−Ni合金めっき浴を日本高純度化学株式会社製の「パラブライトTN40S」)に変更して、厚み0.1μmの合金めっき層(Pd−Ni合金めっき層;Pd:Ni=6:4)を形成した。それ以外は実施例9と同様にして、めっき形成部材を得た。
【0053】
(比較例1)
実施例1と同様の部材に対して、電解ニッケルめっき浴(スルファミン酸ニッケル溶液)中で、電解電流密度5.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み2.0μmのニッケルめっき層を形成した。
【0054】
次に、金めっき浴(日本高純度化学株式会社製、「オーロブライトHS−2」)中で、電解電流密度3.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.06μmの貴金属めっき層(金めっき層)を形成し、ニッケルめっき層、貴金属めっき層を順次形成しためっき形成部材を得た。
【0055】
(比較例2)
実施例1と同様の部材に対して、電解ニッケルめっき浴(上村工業株式会社製、品番「スルニックAMT」)中で、電解電流密度5.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み2.0μmのニッケルめっき層を形成した。
【0056】
次に、金めっき浴(日本高純度化学株式会社製、「オーロブライトHS−2」)中で、電解電流密度3.0A/dm2の条件で電解めっき処理を施し、厚み0.02μmの貴金属めっき層(金めっき層)を形成し、ニッケルめっき層、貴金属めっき層を順次形成しためっき形成部材を得た。
【0057】
(評価試験)
各実施例及び比較例で得られためっき形成部材として、封孔処理を施さないものと封孔処理を施したものを用意した。
【0058】
そして、これらのものについて、濃度10ppmの亜硫酸ガス含有雰囲気中に40℃、95%RHの条件で24時間と96時間曝露した結果をそれぞれ観察し、耐食性を評価した。評価基準は次の通りである。
・×…「悪い」
・△…「若干悪い」
・○…「良い」
・◎…「とても良い」
以上の結果を下記表1、2に示す。尚、表1は24時間処理の結果、表2は96時間処理の結果を、それぞれ示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
これらの結果から明らかなように、実施例1〜10では、硫黄を含むニッケルめっき層と貴金属めっき層とを順次形成した比較例1や、硫黄を含まないニッケルめっき層を貴金属めっき層とを順次形成した比較例2と較べて、優れた耐食性を有し、且つ封孔処理を施さない場合であっても優れた良好な耐食性を有することが、確認された。
【0062】
【発明の効果】
上記のように請求項1に係るめっき形成部材は、銅系素材からなる部材の表面にニッケル合金からなる合金めっき層と、貴金属めっき層とを順次形成するため、封孔処理を施さない場合であっても優れた耐食性を有し、封孔処理に要する工程を削減することができるものであり、且つこのような優れた耐食性を有するめっき層を低コストで形成することができて、特に狭ピッチコネクタ、スイッチ、リレー等の接点・端子用部材として好適に用いることができるものである。
【0063】
請求項2に係るめっき形成部材は、銅系素材からなる部材の表面にCo−Sn合金からなる合金めっき層と、貴金属めっき層とを順次形成するため、封孔処理を施さない場合であっても優れた耐食性を有し、封孔処理に要する工程を削減することができるものであり、且つこのような優れた耐食性を有するめっき層を低コストで形成することができて、特に狭ピッチコネクタ、スイッチ、リレー等の接点・端子用部材として好適に用いることができるものである。
【0064】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、銅系素材からなる部材の表面に、合金めっき層の形成に先だって、ニッケルめっき層を形成するため、十分な耐食性を維持しながら、めっき形成時に電解電流密度を上げにくい合金めっき層の厚みを薄く形成すると共にその代わりにめっき形成時の電解電流密度を高く設定できるニッケルめっき層を形成することができて、めっき層形成時の全体の処理効率を向上することができ、またニッケルめっき層を形成することで処理コストの高い合金めっき層の処理量を低減して、めっき層形成に要する全体のコストを低減することも可能なものであり、特に狭ピッチコネクタ、スイッチ、リレー等の接点・端子用部材として好適に用いることができるものである。
【0065】
また請求項4の発明は、請求項3において、上記のニッケルめっき層が、硫黄成分を含まないものであるため、ニッケルめっき層と、合金めっき層及び貴金属めっき層との間の電位差を低減して、更に高い耐食性を付与することができるものである。
Claims (4)
- 銅系素材からなる部材の表面にニッケル合金からなる合金めっき層と、貴金属めっき層とを順次形成して成ることを特徴とするめっき形成部材。
- 銅系素材からなる部材の表面にCo−Sn合金からなる合金めっき層と、貴金属めっき層とを順次形成して成ることを特徴とするめっき形成部材。
- 銅系素材からなる部材の表面に、合金めっき層の形成に先だって、ニッケルめっき層を形成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のめっき形成部材。
- 上記のニッケルめっき層が、硫黄成分を含まないものであることを特徴とする請求項3に記載のめっき形成部材。
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