JP2004307797A - 耐光性樹脂組成物 - Google Patents

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和郎 吉田
Tadayuki Ishii
忠幸 石井
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Abstract

【課題】耐光変色性に優れ、射出成形時の発煙、金型への付着物の問題が殆どない、環境上好ましい変性PPEをベースとした耐光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリフェニレンエーテル樹脂とスチレン系樹脂との組み合わせより成る樹脂(A)成分、ヒンダードアミン光安定剤(B)成分、ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤(C)成分、エポキシ化合物(D)成分および必要に応じて用いられるリン酸エステル(E)成分からなる変性PPEをベースとした耐光性樹脂組成物。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐光性に優れたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェニレンエーテルまたはこれとスチレン系樹脂とを基本成分とする混合樹脂(以下、変性PPE樹脂と略することもある)は、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂との混合比率により、スチレン系樹脂単独からポリフェニレンエーテル単独までの範囲で任意の耐熱性を有し、電気特性、寸法安定性、耐衝撃性、耐酸性、耐アルカリ性、低吸水性、低比重等の優れた特性を有する。また、有害性が問題と言われているハロゲン系化合物および三酸化アンチモンを用いずに、リン化合物やシリコーン化合物による難燃化が可能であり、環境や安全衛生面にも優れている。これらの優れた特性を有するため多くの用途に使われており、例えば、電気・電子関係部品、事務機器部品、各種外装材、工業用品などが挙げられる。
【0003】
しかし、変性PPE樹脂は、光に曝されると変色し易く、特に紫外線により黄色に変色し易い欠点を有するために、有彩色特に白色系など明るい色に着色される場合は使用が制限される。
変性PPE樹脂の耐光変色性を改善するために、過去に色々な技術が開発されている。一般的には、ベンゾトリアゾール化合物やベンゾフェノン化合物などの紫外線吸収剤、およびヒンダードアミン光安定剤などを添加することが知られている。また、ヒンダードアミン光安定剤と特定のエポキシ化合物との併用(例えば、特許文献1参照)、ベンゾフェノン化合物とヒンダードアミン光安定剤さらに環式脂肪酸エポキシ化合物との併用(例えば、特許文献2参照)、ベンゾトリアゾール化合物とエポキシ化合物との併用(例えば、特許文献3参照)、ポリフェニレンエーテル樹脂15〜35重量部とスチレン系樹脂85〜65重量部との混合比のものに、ベンゾトリアゾール化合物やベンゾフェノン化合物などの紫外線吸収剤、およびヒンダードアミン光安定剤さらに特定のエポキシ化合物との併用(例えば、特許文献4参照。)などの技術が開示されている。
【0004】
しかしながら、これらの耐光性改良技術は十分ではなく、耐光剤を多量に用いる必要がある。耐光剤を多量に用いることにより、耐熱性の低下、加工時のガスの増加、更には金型への耐光剤の付着などの問題があり、更なる耐光性改善技術が望まれていた。特に、事務機用およびテレビジョン用の筐体用途においては、屋内での蛍光灯の光による変色が重視される。その中でも、パソコンやIT機器の普及に伴い、明色系の筐体の様々な種類の複写機が開発されており、複写機用筐体の耐光性向上が強く望まれている。
変性PPE樹脂は、加水分解性や熱的安定性に優れ、光に対しても機械物性の低下は少ないことから、リサイクル性にも優れており、環境面で優れた樹脂として事務機用およびテレビジョン用の筐体として注目されているが、光特に屋内光による変色が欠点とされている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭60−149646号公報
【特許文献2】
特開昭62−283183号公報
【特許文献3】
特開平11−60934号公報
【特許文献4】
特開平11−71488号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐光変色性に著しく優れ、成形加工時の発煙、金型への付着物等の問題が殆どなく、環境上好ましい、変性PPEをベースとした耐光性樹脂組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を達成する技術を鋭意検討した結果、ヒンダードアミン光安定剤、ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤、さらにエポキシ化合物を添加することにより目的を達成できることを見いだし本発明に到達した。
即ち本発明は、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂との組み合わせより成る樹脂(A)成分、ヒンダードアミン光安定剤(B)成分、ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤(C)成分、エポキシ化合物(D)成分、および必要に応じて用いられるリン酸エステル(E)成分からなる変性PPEをベースとした耐光性樹脂組成物である。
本発明で用いられる(A)成分のポリフェニレンエーテルは、一般式(III)
【0008】
【化3】
Figure 2004307797
【0009】
及び/または一般式(IV)
【0010】
【化4】
Figure 2004307797
【0011】
(ここで、R1〜R6は各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜9のアリール基またはハロゲン原子を表す。但し、R5、R6は同時に水素ではない。)で表される繰り返し単位を有する単独重合体、あるいは共重合体である。
【0012】
ポリフェニレンエーテルの単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−14−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテルポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等のホモポリマーが挙げられる。
【0013】
この中で、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好ましく、特開昭63−301222号公報等に記載されている、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニットや2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等を部分構造として含んでいるポリフェニレンエーテルは特に好ましい。
ここでポリフェニレンエーテル共重合体とは、フェニレンエーテル構造を主単量単位とする共重合体である。その例としては、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体あるいは2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体等がある。
【0014】
実用上特に好ましいのは、30℃のクロロホルム溶液で測定したηsp/cが0.3〜0.7の範囲、好ましくは0.4〜0.6の範囲にあり、且つゲルパーメーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の分子量を基準とした重量平均分子量/数平均分子量の比が2.2〜5.0の範囲、好ましくは2.3〜3.5の範囲にあるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルである。このようなポリフェニレンエーテルは、成形流動性の観点から特に好ましい。
【0015】
本発明においては、ポリフェニレンエーテルの一部又は全部を、不飽和カルボン酸又はその官能的誘導体で変性された官能化ポリフェニレンエーテルを用いることができる。この官能化ポリフェニレンエーテルは、特開平2−276823号公報、特開昭63−108059号公報、特開昭59−59724号公報等に記載されており、例えばラジカル開始剤の存在下または非存在下において、ポリフェニレンエーテルに不飽和カルボン酸やその官能的誘導体を溶融混練して反応させることによって製造される。あるいは、ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸やその官能的誘導体とをラジカル開始剤存在下または非存在下で有機溶剤に溶かし、溶液下で反応させることによって製造される。
【0016】
不飽和カルボン酸又はその官能的誘導体としては、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ハロゲン化マレイン酸、シス−4−シクロヘキセン1,2−ジカルボン酸、エンド−シス−ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸などや、これらジカルボン酸の酸無水物、エステル、アミド、イミドなど、さらにはアクリル酸、メタクリル酸などや、これらモノカルボン酸のエステル、アミドなどが挙げられる。また、飽和カルボン酸であるが官能化ポリフェニレンエーテルを製造する際の反応温度でそれ自身が熱分解し、本発明で用いる官能的誘導体となり得る化合物も用いることができ、具体的にはリンゴ酸、クエン酸などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0017】
本発明においてポリフェニレンエーテルと組み合わせて用いられるスチレン系樹脂とは、スチレン系化合物およびスチレン系化合物と共重合可能な化合物をゴム質重合体存在または非存在下に重合して得られる重合体である。
スチレン系化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられ、最も好ましいのはスチレンである。また、スチレン系化合物と共重合可能な化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類;無水マレイン酸等の酸無水物等が挙げられ、スチレン系化合物とともに使用される。共重合可能な化合物の使用量は、スチレン系化合物との合計量に対して20重量%以下が好ましく、さらに好ましくは15重量%以下である。
【0018】
ゴム質重合体としては共役ジエン系ゴム、共役ジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体あるいはエチレン−プロピレン共重合体ゴム等が挙げられる。具体的には特に、ポリブタジエンおよびスチレン−ブタジエン共重合体が好ましい。また、ゴム質重合体としては、部分的に水素添加された不飽和度80〜20%のポリブタジエン、または1,4−シス結合を90%以上含有するポリブタジエンを用いることが好ましい。該スチレン系樹脂の具体例としては、ポリスチレンおよびゴム補強ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)およびゴム補強スチレン−アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)、その他のスチレン系共重合体等が挙げられる。好ましいのは、ポリスチレンおよびゴム変性ポリスチレンである。
【0019】
本発明において、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂との重量比率は、所望の耐熱性と難燃性を考慮して、99/1〜1/99の範囲で任意に選ぶことができる。事務機用およびテレビジョン用の筐体に用いられる本願組成物においては、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂との重量比率は、45/55〜10/90の範囲、より好ましくは35/65〜15/85の範囲である。
【0020】
本発明で用いられるヒンダードアミン光安定剤(B)成分は、ヒンダードアミン系光安定剤として市販されているものを用いることができる。例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)セバケート、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)セバケート、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルペピリジンとの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンと2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ペピリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合物が挙げられる。
【0021】
また、1,2,3,4−テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)−ブタンテトラカルボキシレート、1,4−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)−2,3−ブタンジオン、トリス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)トリメリテート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ペピリジル−n−オクトエート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ペピリジルステアレート、4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルペピリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ペピリジニル)セバケート、2−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ペピリジル)等が挙げられ、単独または2種以上を併用することができる。
【0022】
商品としての一例は、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社のTINUVINおよびCHIMASSORBの商品名で販売されている。ヒンダードアミン光安定剤の添加量は、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂との混合樹脂100重量部に対して0.03〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部の範囲である。
【0023】
本発明で用いられるベンゾトリアゾール紫外線吸収剤(C)成分は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として市販されているものを用いることができる。例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミノフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス{4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール}、6−(2−ベンゾトリアゾリル)−4−t−オクチル−6’−t−ブチル−4’−メチル−2,2’−メチレンビスフェノール等が挙げられる。
【0024】
商品としての一例は、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社のTINUVINの商品名で販売されている。ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤の添加量は、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂との混合樹脂100重量部に対して0.01〜3重量部、好ましくは0.03〜1重量部の範囲である。
本発明のおいては、ヒンダードアミン光安定剤(B)成分とベンゾトリアゾール紫外線吸収剤(C)成分とを特定併用比率で用いることにより耐光変色性が一段と向上し、更にまた成形加工時の金型表面への付着物が著しく改善される。ヒンダードアミン光安定剤(B)成分とベンゾトリアゾール紫外線吸収剤(C)成分との重量比率が50/50〜99/1の範囲、より好ましくは70/30〜95/5である。また、(B)成分と(C)成分の合計添加量は、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂との混合樹脂100重量部に対して0.05〜5重量部、より好ましくは0.2〜3重量部の範囲で用いられる。
【0025】
本発明で用いられるエポキシ化合物(D)成分は、エポキシ基を有する化合物であればよいが、好ましいのはオキシラン酸素を3%以上有するエポキシ化油脂やエポキシ化脂肪酸エステルなどの一般に熱可塑性合成樹脂の可塑剤として用いられる脂肪族エポキシ化合物であり、より好ましくはエポキシ化油脂であり、特に好ましいエポキシ化合物はオキシラン酸素を6%以上有するエポキシ化大豆油である。エポキシ化合物の添加量は、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂との混合樹脂100重量部に対して0.01〜3重量部、より好ましくは0.1〜2重量部の範囲で用いられる。
【0026】
本発明で必要に応じて用いられるリン酸エステル(E)成分は、難燃性を向上するのに添加されるものであり、変性PPE樹脂の難燃剤として一般的に用いられる有機リン酸エステルであればいずれも用いることができる。より好ましいのは、次式(I)または次式(II)で示される縮合リン酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分とするものである。
次式(I)
【0027】
【化5】
Figure 2004307797
【0028】
または次式(II)
【0029】
【化6】
Figure 2004307797
【0030】
(式中、Q1、Q2、Q3、Q4は、各々置換基であって各々独立に炭素数1から6のアルキル基を表し、R1、R2は各々置換基であってメチル基を表し、R3、R4は各々独立に水素原子またはメチル基を表す。nは1以上の平均値を有し、n1、n2は各々独立に0から2の整数を示し、m1、m2、m3、m4は各々独立に0から3の整数を示す。)
【0031】
なお、上記式(I)および(II)で示される縮合リン酸エステルは複数の分子鎖より成り、それぞれの分子の各々については、nは1以上の整数、好ましくは1〜3の整数であり、全体としてnは1以上の平均値を有する。
この中で、好ましい縮合リン酸エステルは、式(I)におけるm1、m2、m3、m4、n1、n2がゼロであって、R3、R4がメチル基である縮合リン酸エステル、および式(I)におけるQ1、Q2、Q3、Q4、R3、R4がメチル基であり、n1、n2がゼロであり、m1、m2、m3、m4が1から3の整数の縮合リン酸エステルであって、nの範囲は1〜3、特にnが1であるリン酸エステルを50%以上含有するものが好ましい。
これらの難燃剤は、一般に市販されており、例えば大八化学(株)の商品名CR−741、CR733S、PX−200等を挙げることができる。
【0032】
リン酸エステル(E)成分の添加量は、必要な難燃性レベルにより異なるが、一般的な範囲はポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂との樹脂(A)成分およびリン酸エステル(E)成分との合計量を基準にして、1〜35重量%の範囲、好ましくは5〜25重量%の範囲である。
【0033】
本発明組成物には必要に応じて、ドリップ防止剤を含んでいてもよい。このドリップ防止剤とは、燃焼の際に、ドリップ(滴下)を抑制する働きのある添加剤であり、公知のものが使用できる。ドリップ防止剤 は、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂(回収スチレン系樹脂、バージン材も含む)との合計100重量部に対し、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部の範囲で添加される。
【0034】
本発明では、特に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などに代表される変性PPE樹脂中でフィブリル構造を形成するものがドリップの抑制効果が高いので好適である。このようなドリップ防止剤が含まれる樹脂組成物は特に難燃性に優れている。このようなポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の中でも、分散性に優れたもの、たとえば水などの溶液にPTFEを乳化分散させたもの、またアクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂等でPTFEをカプセル化処理したものは、変性PPE樹脂からなる成形体に、よい表面外観を与えるので好ましい。
【0035】
水などの溶液にPTFEを乳化分散させたものの場合、特に制限はないが、PTFEが1ミクロン以下の平均粒子径であるものが好ましく、特に0.5ミクロン以下であることが好ましい。このようなPTFEとして市販されているものの具体例としては、テフロン (登録商標)30J(商標、三井デュポンフルオロケミ カル(株))、ポリフロンD−2C(商標、ダイキン化学工業(株))、アフロンAD1(商標、旭硝子(株))などが挙げられる。
【0036】
また、このようなポリテトラフルオロエチレンは、公知の方法によって製造することもできる(米国特許第2393967号明細書参照)。具体的には、ペルオキシ二硫酸ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムなどの遊離基触媒を使用して、水性の溶媒中において、100〜1000psiの圧力下で、0〜200℃、好ましくは20〜100℃の温度条件のもと、テトラフルオロエチレンを重合させることによって、ポリテトラフルオロエチレンを白色の固体として得ることができる。このようなポリテトラフルオロエチレンは、分子量が10万以上、好ましくは20万〜300万程度のものが望ましい。このため、ポリテトラフルオロエチレンが配合された樹脂組成物は、燃焼時のドリップが抑制される。さらに、ポリテトラフルオロエチレンとシリコーン樹脂とを併用すると、ポリテトラフルオロエチレンのみを添加したときに比べて、さらにドリップを抑制し、しかも燃焼時間を短くすることができる。
【0037】
本発明の樹脂組成物は、耐光性を要求される明色用途に適し、白色着色剤としての二酸化チタンを0.5重量%以上、特に1重量%以上添加して着色された明色の樹脂組成物においても優れた耐光変色性を示す。一般に、複写機、プリンター、パーソナルコンピューターなどの事務機器およびテレビジョンなどの筐体は、淡灰色ないしはアイボリー色などの明色に着色された難燃性樹脂が用いられる。これらの明色に着色された難燃樹脂は、黒や濃灰色に着色された難燃樹脂に比べて光による変色が大きい。耐光変色性は、商品価値の観点から極めて重要であり、本発明樹脂組成物はこれらの事務機器およびテレビジョンなどの明色の筐体用途、特に二酸化チタンを1重量%以上添加して淡灰色ないしはアイボリー色に着色されたに適した筐体用途材料を提供する。
【0038】
本発明の組成物には、耐衝撃性改良剤として、熱可塑性ゴム状重合体を添加することができる。好ましい熱可塑性ゴム状重合体は、スチレン系化合物ブロックとジエン化合物ブロックを有する不飽和ブロック共重合体およびその水添ブロック共重合体である。
本発明の組成物には、射出成形時の金型からの離型性改良剤として、ポリオレフィン系重合体、特にポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体などを添加することができる。
耐衝撃性改良剤と離型性改良剤とを併用することは、より好ましい。
【0039】
本発明の樹脂組成物には、ガラス繊維、ガラスフレーク、カオリンクレー、タルク等の無機充填剤やその他の繊維状補強剤等を配合し、流動性と耐熱性に優れた高強度複合体を得ることができる。
本発明の樹脂組成物には、更に他の特性を付与するため、または本発明の効果を損なわない範囲で他の添加剤、例えば可塑剤、酸化防止剤、及び各種安定剤、帯電防止剤、離型剤、染顔料、あるいはその他の樹脂を添加することができる。また、従来から知られた各種難燃剤および難燃助剤、例えば結晶水を含有する水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の水酸化物、ホウ酸亜鉛化合物、スズ酸亜鉛化合物、さらにはシリカ、カオリンクレー、タルクなどの無機ケイ素化合物を添加して更なる難燃性の向上も可能である。
【0040】
本発明の樹脂組成物の製造方法は、特に規定するものではなく、押出機、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練製造することができる。その中でも押出機による混練りが、生産性の面で好ましい。混練り温度は、ベース樹脂の好ましい加工温度に従えばよく、目安としては200〜360℃の範囲、好ましくは240〜320℃の範囲である。
本発明の耐光性樹脂組成物は、屋内光による変色に優れ、また加水分解性や熱的安定性に優れ、光に対しても機械物性の低下は少ないことから、リサイクル性にも優れており、環境面で優れた樹脂として事務機用およびテレビジョン用の筐体、特に明色系筐体の複写機用途に有用である。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
実施例および比較例で用いた各成分は以下のものである。
(A−1)ポリフェニレンエーテル(PPE)
30℃のクロロホルム溶液で測定したηsp/cが0.51、重量平均分子量/数平均分子量が2.8のポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル。
(A−2)ゴム補強ポリスチレン(HIPS)
ゴム含量9%、30℃、トルエン溶液で測定したマトリックスポリスチレンのηsp/cが0.70、体積平均ゴム粒子径が1.5μmのゴム補強ポリスチレン。
【0042】
(B)ヒンダードアミン光安定剤
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)セバケート
(C)ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
(D)エポキシ化合物
(D−1)エポキシ化大豆油として、オキシラン酸素を6.3%以上有する花王(株)製、商品名「KAPOX S−6」を用いた。
(D−2)エポキシ樹脂として、アルコールとエピクロルヒドリンの縮合物である、大日本インキ化学(株)製、商品名「エピクロン707」を用いた。
(E)リン酸エステル;
大八化学(株)製の縮合リン酸エステル、商品名「CR−741」を用いた。
【0043】
実施例および比較例において、組成物の評価は以下の方法により実施した。
(1)耐光性
射出成形された50mm×90mm×2.5mmの平板を用い、ATLAS社製キセノンウェザオメーターにより下記条件にて400時間の促進耐光試験を行った。
試験方法:ASTM D4459に準拠。
ブラックパネル温度:55℃、試験槽温度:45℃、相対湿度:55%、放射照度(340nm下):0.30W/m、ガラスフィルター:インナー Borosilicate / アウター Soda Lim
耐光試験した平板について、分光測色計を用いて測色(L*,a*,b*)した。未試験の平板との色差を国際照明委員会(CIE)準拠の色差式に従い(ΔE*ab)を算出した。
(2)成形時の金型表面への付着物
加熱筒280℃、金型温度50℃にて50mm×90mm×2.5mmの平板を射出成形し、金型表面のレベルを目視判定した。付着物がほとんどないものは○、付着物が少ないものは△、付着物が多いものは×で表示した。
【0044】
【実施例1〜7、比較例1〜5】
各成分を表1および2に示す割合で配合した。上記組成物中には、その他に、安定剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを0.3重量部、着色剤として二酸化チタンを3重量部、難燃補助剤としてポリテトラフルオロエチレンを0.15重量部配合した。これらの配合組成のものを、加熱シリンダーの最高温度を320℃に設定したスクリュー直径25mmの二軸押出機に供給して、スクリュー回転数300rpmで溶融混練りし、ストランドを冷却細断して樹脂組成物ペレットを得た。次に、得られた樹脂組成物ペレットを、射出成形により加熱筒240℃、金型温度50℃にて50mm×90mm×2.5mmの平板を成形し、上記試験法により耐光性試験を行い、表1および2の結果を得た。
【0045】
【表1】
Figure 2004307797
【0046】
【表2】
Figure 2004307797
【0047】
【発明の効果】
本発明は、耐光性に優れ、射出成形時の発煙、金型への付着物等の問題が殆どない、変性PPEをベースとした耐光性樹脂組成物を提供する。

Claims (9)

  1. ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂との組み合わせより成る樹脂(A)成分、ヒンダードアミン光安定剤(B)成分、ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤(C)成分、エポキシ化合物(D)成分および必要に応じて用いられるリン酸エステル(E)成分からなる耐光性樹脂組成物。
  2. ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂との重量比が10/90〜95/5の樹脂(A)成分および必要に応じて用いられる(E)成分との合計量100重量部、(B)成分0.03〜5重量部、(C)成分0.01〜3重量部および(D)成分0.01〜3重量部からなる請求項1に記載の耐光性樹脂組成物。
  3. (D)成分が、エポキシ化大豆油からなる請求項1または2に記載の耐光性樹脂組成物。
  4. (B)成分と(C)成分との重量比率が、50/50〜99/1である請求項1〜3のいずれかに記載の耐光性樹脂組成物。
  5. (B)成分と(C)成分との重量比率が70/30〜95/5であり、且つ(B)成分と(C)成分の合計量が0.05〜5重量部である請求項1〜3のいずれかに記載の耐光性樹脂組成物。
  6. (E)成分が、次式(I)
    Figure 2004307797
    または次式(II)
    Figure 2004307797
    (式中、Q1、Q2、Q3、Q4は、各々置換基であって各々独立に炭素数1から6のアルキル基を表し、R1、R2は各々置換基であってメチル基を表し、R3、R4は各々独立に水素原子またはメチル基を表す。nは1以上の平均値を有し、n1、n2は各々独立に0から2の整数を示し、m1、m2、m3、m4は各々独立に0から3の整数を示す。)
    で示される縮合リン酸エステルからなる請求項1〜5のいずれかに記載の耐光性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物が、着色剤としての二酸化チタンを2重量%以上含有してなる耐光性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物から成形された事務機用およびテレビジョン用の筐体。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物から成形された複写機用筐体。
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