JP2004307629A - プロトン伝導性樹脂組成物および熱融着可能なプロトン伝導膜 - Google Patents
プロトン伝導性樹脂組成物および熱融着可能なプロトン伝導膜 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】プロトン伝導性樹脂組成物は、流動開始温度が100〜220℃である芳香族ポリエーテル(A)60〜10重量%と、プロトン酸基含有芳香族ポリエーテル(B)40〜90重量%からなる。芳香族ポリエーテル(A)は下記式(1)の繰り返し構造単位を有しプロトン酸基を有さないものが好ましい。
【化1】
[A1、A2は直接結合,−CH2−,−C(CH3)2−,−C(CF3)2−,−O−,−SO2−,−CO−であり、g,h,iは0又は1、芳香環の水素原子はCmH2m+1(mは1〜10の整数),−Cl,−F,−CF3,−CNに置換されていてよい。]
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水素、アルコールなどを燃料に用いる燃料電池などにおいて有用なプロトン伝導性樹脂組成物に関する。より詳しくは、燃料電池などにおいて用いられる熱融着可能なプロトン伝導膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
[高分子電解質型燃料電池]
高分子電解質型燃料電池とは電解質としてプロトン伝導性高分子を用いる燃料電池で、水素やメタノールなどの燃料を酸素または空気を用いて電気化学的に酸化することにより、燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに変換して取り出すものである。高分子電解質型燃料電池には、燃料として、ボンベ、配管などから供給される純水素を用いるタイプのほか、改質器によりガソリンやメタノールから水素を発生させて用いるタイプなどがある。また、燃料としてメタノール水溶液を用いて直接発電を行う直接メタノール型燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)も開発されている。このDMFCは、水素を発生させるための改質器が不要なためシンプルでコンパクトなシステムが構成でき、特に携帯機器用電源として注目されている。
【0003】
高分子電解質型燃料電池は、高分子電解質膜とこの両側に接触して配置される正極および負極から構成される。燃料の水素あるいはメタノールは負極において電気化学的に酸化されてプロトンと電子を生成する。このプロトンは高分子電解質膜内を、酸素が供給される正極に移動する。一方、負極で生成した電子は電池に接続された負荷を通り、正極に流れ、正極においてプロトンと電子が反応して水を生成する。そのため、電解質膜、膜と電極をつなぐ結着剤、水素の酸化および酸素の還元反応を促進する触媒を固定する結着剤などとして用いられる高分子材料には高いプロトン伝導性が求められる。また、膜と電極の界面や、触媒と結着剤の界面の接着が不十分な場合、剥離界面でプロトン伝導が阻害されるため、これらに用いられる高分子材料には高い接着性が求められる。
【0004】
[プロトン酸基含有フッ素系高分子]
高いプロトン伝導性を有する高分子材料としては、プロトン酸基含有フッ素系高分子が知られている。しかしながら、このプロトン酸基含有フッ素系高分子は、非常に高価格である、廃棄時に焼却するとフッ酸ガスが発生する、高温低湿度下ではプロトン伝導性が急激に低下するといった問題を有していた。また、このプロトン酸基含有フッ素系高分子はメタノールの透過性が高いため、DMFCの電解質膜として用いた場合、メタノールのクロスオーバーによる電圧低下や発電効率低下がおこるという問題も有していた。
【0005】
[プロトン酸基含有炭化水素系高分子]
一方、プロトン酸基含有炭化水素系高分子を用いた非フッ素系のプロトン伝導材料の開発も進められている。プロトン酸基含有炭化水素系高分子は低価格で製造できるほか、焼却時のハロゲン系ガスの発生もなく、高温低湿度下でのプロトン伝導性の低下も少ないことが知られている。
ただし、たとえばスルホン化ポリスチレンは、その主鎖構造が有する3級炭素がラジカルの攻撃を受けやすく、電池内で容易にα位の水素を放出してしまうため、電池特性が経時的に悪化することが知られている。
【0006】
そのため、主鎖に脂肪族鎖を有さない、すなわち芳香族炭化水素系のプロトン酸基含有高分子が数多く開発されてきた(Macromol. Chem. Phys., 199, 1421−1426 (1998)、Polymer, 40, 795−799 (1999)、 Polymer, 42, 3293−3296 (2001)など)。なかでも、スルホン化したポリエーテルエーテルケトンから成る膜は、耐熱性と化学的耐久性に優れ、高分子電解質として長時間の使用に耐えうることが報告されている(本間格、第3回セパレーションズサイエンス&テクノロジー研究会講座講演要旨集「高分子膜燃料電池の基礎と応用」p.17 (1999))。
【0007】
しかしながら、プロトン酸基含有芳香族炭化水素系高分子を用いた燃料電池は、湿度や温度の変動により、電池特性が低下するといった問題を有していた。これは、湿度や温度の変動によりプロトン伝導材料が膨張・収縮を繰り返した結果、膜と電極の界面や触媒と結着剤の界面が剥離するためであると考えられる。
そのため、良好な接着性を有するプロトン酸基含有芳香族炭化水素系高分子が求められていた。
【0008】
なお、一般的な熱可塑性樹脂の場合、樹脂は流動開始温度以上、分解温度以下の温度で溶融接着できるが、プロトン酸基含有芳香族炭化水素系高分子は熱可塑性を示さず、溶融接着ができない。これは、プロトン酸基の極性が高く、凝集力が高いため溶融流動性が著しく阻害される一方、そのプロトン酸基の熱安定性が低く、比較的低温で脱離するためである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、良好な接着性を有する燃料電池用のプロトン伝導性樹脂組成物を提供することにある。また、熱融着が可能な燃料電池用のプロトン伝導膜を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特定の芳香族ポリエーテルとプロトン酸基含有芳香族ポリエーテルからなる樹脂組成物が、熱融着が可能で、かつ、熱融着後にも優れたプロトン伝導性を有し、燃料電池用プロトン伝導材料として好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明のプロトン伝導性樹脂組成物は、流動開始温度が100〜220℃である芳香族ポリエーテル(A)60〜10重量%と、プロトン酸基を有する芳香族ポリエーテル(B)40〜90重量%からなることを特徴とする。
【0012】
前記芳香族ポリエーテル(A)が、下記一般式(1)で表わされる繰り返し構造単位を有し、プロトン酸基を有さないことは、本発明のプロトン伝導性樹脂組成物の好ましい態様である。
【化5】
[式(1)中、A1およびA2はそれぞれ独立して直接結合,−CH2−,−C(CH3)2−,−C(CF3)2−,−O−,−SO2−または−CO−であり、g,h,iはそれぞれ独立して0または1を示し、芳香環の水素原子は、−CmH2m+1(mは1〜10の整数),−Cl,−F,−CF3または−CNに置換されていても良い。]
【0013】
前記芳香族ポリエーテル(A)が、下記一般式(2)または(3)で表わされる繰り返し構造単位を有し、プロトン酸基を有さないことは、本発明のプロトン伝導性樹脂組成物の好ましい態様である。
【化6】
[式(2)および(3)中、A1は直接結合,−CH2−,−C(CH3)2−,−C(CF3)2−,−O−,−SO2−または−CO−を示し、芳香環の水素原子は、−CmH2m+1(mは1〜10の整数),−Cl,−F,−CF3または−CNに置換されていても良い。]
【0014】
前記芳香族ポリエーテル(B)が、下記一般式(4)で表わされる繰り返し構造単位を有する芳香族ポリエーテルであることは、本発明のプロトン伝導性樹脂組成物の好ましい態様である。
【化7】
[式(4)中、X1〜X5の少なくとも1つがプロトン酸基であり、他はそれぞれ独立してHまたはプロトン酸基であり、A3およびA4はそれぞれ独立して直接結合,−CH2−,−C(CH3)2−,−C(CF3)2−,−O−,−SO2−または−CO−であり、j,k,lはそれぞれ独立して0または1を示し、芳香環の水素原子は、−CmH2m+1(mは1〜10の整数),プロトン酸基,−Cl,−F,−CF3または−CNに置換されていても良い。]
【0015】
前記芳香族ポリエーテル(B)が、下記一般式(5)で表わされる繰り返し構造単位を有する芳香族ポリエーテルであることは、本発明のプロトン伝導性樹脂組成物の好ましい態様である。
【化8】
[式(5)中、X1またはX2の少なくとも1つがプロトン酸基であり、他はそれぞれ独立してHまたはプロトン酸基であり、A3は−SO2−または−CO−、A4は直接結合,−CH2−,−C(CH3)2−,−C(CF3)2−,−O−,−SO2−または−CO−であり、k,lはそれぞれ独立して0または1を示し、芳香環の水素原子は、−CmH2m+1(mは1〜10の整数),プロトン酸基,−Cl,−F,−CF3または−CNに置換されていても良い。]
【0016】
前記プロトン酸基が、−CnH2n−SO3Y(nは0〜10の整数、YはH,NaまたはKである。)であることは、本発明のプロトン伝導性樹脂組成物の好適な態様である。
【0017】
本発明により前記プロトン伝導性樹脂組成物を含んでなる熱融着可能なプロトン伝導膜が提供される。
【0018】
本発明により前記プロトン伝導膜を用いてなる燃料電池が提供される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るプロトン伝導性樹脂組成物について具体的に説明する。
本発明のプロトン伝導性樹脂組成物は、流動開始温度が100〜220℃である芳香族ポリエーテル(A)60〜10重量%とプロトン酸基を有する芳香族ポリエーテル(B)40〜90重量%からなり、好ましくは、芳香族ポリエーテル(A)40〜10重量%と芳香族ポリエーテル(B)60〜90重量%からなり、さらに好ましくは芳香族ポリエーテル(A)30〜20重量%と芳香族ポリエーテル(B)70〜80重量%からなる。
【0020】
ここで、流動開始温度が100〜220℃である芳香族ポリエーテル(A)は熱プレス時に溶融流動することにより相手材料と融着する役割を担い、プロトン酸基を有する芳香族ポリエーテル(B)はプロトン伝導を担う。流動開始温度が100〜220℃である芳香族ポリエーテル(A)が上記組成範囲内である場合は、組成物重量当たりのプロトン酸基を有する芳香族ポリエーテル(B)の量が適当であるため良好なプロトン伝導性を得ることができ、また、芳香族ポリエーテル(A)が接着界面を覆ってしまうことによる界面抵抗の増大等の問題を生じることがない。さらに、接着強度が低下し燃料電池の使用環境において剥離が起ったり、接着界面に部分的に未接着部分ができ界面抵抗が高くなる等の問題を生じることがない。
【0021】
なお、本発明における芳香族ポリエーテルとは、繰り返し単位中に、エーテル基で連結される2つの芳香環を有する芳香族高分子を示し、繰り返し単位中に他の連結基やエーテル基により連結されていない芳香環を含んでいても良い。すなわち、本発明における芳香族ポリエーテルとは、例えばポリフェニレンオキシドなど、芳香環の連結基がエーテル基のみからなる芳香族ポリエーテルだけでなく、連結基がエーテル基とカルボニル基からなるポリエーテルケトン、連結基がエーテル基とスルホン基からなるポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルニトリルなども包含する。
【0022】
本発明の流動開始温度が100〜220℃である芳香族ポリエーテル(A)とは、樹脂を加熱した際に溶融流動を開始する温度が100〜220℃、好ましくは120〜200℃、さらに好ましくは140〜180℃である芳香族ポリエーテルである。流動開始温度が上記範囲内である場合には、燃料電池に用いた際、発電中に樹脂が流動することによる接着面の剥離や膜、電極等の変形が起こることがない。また、熱融着するための温度が低いために熱融着時のプロトン酸基の脱離が起こることがない。
【0023】
ここで、流動開始温度とは、高化式フローテスタを用いた昇温法により測定した際に、試料がダイから流出し始める流出開始温度を示す。流動開始温度は、より具体的には、孔径1.0mm、孔長10.0mmのダイを備えたシリンダー中に試料を装入し、ピストンにより9.8MPaで加圧したまま5℃/分の昇温速度で加熱した際に試料がダイから流出を開始しピストンが移動し始める温度を示す。
【0024】
本発明の流動開始温度が100〜220℃である芳香族ポリエーテル(A)としては、より具体的には、下記一般式(1)で表わされる繰り返し構造単位を有し、プロトン酸基を有さない芳香族ポリエーテルが好ましい。
【化9】
[式(1)中、A1およびA2はそれぞれ独立して直接結合,−CH2−,−C(CH3)2−,−C(CF3)2−,−O−,−SO2−または−CO−であり、g,h,iはそれぞれ独立して0または1を示すし、芳香環の水素原子は、−CmH2m+1(mは1〜10の整数),−Cl,−F,−CF3または−CNに置換されていても良い。]
【0025】
本発明の流動開始温度が100〜220℃である芳香族ポリエーテル(A)の中でも、下記一般式(2)または(3)で表わされる繰り返し構造単位を有し、プロトン酸基を有さない芳香族ポリエーテルが特に好ましい。
【化10】
[式(2)および(3)中、A1は直接結合,−CH2−,−C(CH3)2−,−C(CF3)2−,−O−,−SO2−または−CO−を示し、芳香環の水素原子は、−CmH2m+1(mは1〜10の整数),−Cl,−F,−CF3または−CNに置換されていても良い。]
【0026】
ここで、前記式(1),(2),(3)のいずれかで示される繰り返し構造単位を有し、プロトン酸基を有さず、かつ流動開始温度が100〜220℃である芳香族ポリエーテル(A)は、その流動開始温度が上記範囲内であれば、他の繰り返し構造単位を含んでいても良い。すなわち、該芳香族ポリエーテルは、前記繰り返し構造単位と他の繰り返し構造単位からなるランダムあるいはブロックコポリマーであっても良い。
【0027】
前記式(1),(2),(3)のいずれかで示される繰り返し構造単位を有し、プロトン酸基を有さず、かつ流動開始温度が100〜220℃である芳香族ポリエーテル(A)は、プロトン酸基が脱離しない温度範囲において優れた溶融流動性を有し、さらにプロトン酸基を有する芳香族ポリエーテルとの接着性に優れる。また、該芳香族ポリエーテルは、熱水、酸、アルカリ、アルコールなどによる加水分解や、ラジカルの攻撃による変性を受けにくいため、燃料電池内で用いた際にも、剥離等が起こりにくい。
【0028】
なお、プロトン酸基を有する芳香族ポリエーテル(B)は、プロトン酸基が高極性で凝集しやすいため溶融流動性が著しく阻害され、100〜220℃の範囲で溶融流動しないことがあるため好ましくない。また、前記式(1),(2),(3)のいずれかで示される繰り返し構造単位を有し、プロトン酸基を有さない芳香族ポリエーテルであっても、流動開始温度が上記範囲を超える場合があるが、この場合には熱融着可能な温度においてプロトン酸基の脱離が起こるため好ましくない。さらに、流動開始温度が100〜220℃の範囲にある熱可塑性樹脂であっても、主鎖に脂肪族鎖を有するポリオレフィン類、脂肪族ポリエーテル類、脂肪族ポリアミド類や、加水分解を受けやすいポリカーボネート類、芳香族ポリアミド類、ポリイミド類などは、燃料電池に用いた際に変性を受けやすく、接着面の剥離も起こりやすいため好ましくない。
【0029】
なお、本発明の流動開始温度が100〜220℃である芳香族ポリエーテル(A)は従来公知のモノマー類を用い、従来公知の方法により製造することができ、例えば、芳香族ジハライド化合物と芳香族ジヒドロキシ化合物を縮合重合することにより製造することができる。
【0030】
本発明のプロトン酸基を有する芳香族ポリエーテル(B)とは、プロトン酸基を有する繰り返し構造単位を有する芳香族ポリエーテルである。ここで、プロトン酸基を有する芳香族ポリエーテル(B)は、プロトン酸基を有する繰り返し構造単位を有していれば、他にプロトン酸基を有さない繰り返し構造単位を含んでいても良い。すなわち、該芳香族ポリエーテルは、プロトン酸基を有する繰り返し構造単位とプロトン酸基を有さない繰り返し構造単位からなる、ランダムあるいはブロックコポリマーであっても良い。
【0031】
ここで、本発明におけるプロトン酸基とは、具体的には、下記式(6)〜(8)で示されるスルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基などが挙げられる。中でも下記式(6)で示されるスルホン酸基が好ましく、下記式(6)においてn=0、Y=Hで示されるスルホン酸基が特に好ましい。
−CnH2n−SO3Y(nは0〜10の整数、YはH,NaまたはK)・・(6)
−CnH2n−COOY(nは0〜10の整数、YはH,NaまたはK)・・(7)
−CnH2n−PO3Y2(nは0〜10の整数、YはH,NaまたはK)・・(8)
【0032】
本発明のプロトン酸基を有する芳香族ポリエーテル(B)のプロトン酸基含有量に特に制限はないが、好ましくは、イオン交換基当量にして200〜5000g/mol、より好ましくは200〜1000g/molである。ここで、イオン交換基当量とは、プロトン酸基1モル当たりの樹脂重量で定義され、樹脂単位重量当たりのプロトン酸基モル数の逆数を意味する。すなわち、イオン交換基当量が小さいほど、樹脂単位重量当たりのプロトン酸基量が多いことを示す。イオン交換基当量が小さすぎる場合には、樹脂の水への溶解性が著しく高く、樹脂の製造や精製(樹脂中からの無機酸や無機塩の除去)が困難となる。イオン交換基当量が大きすぎる場合には、プロトン伝導性が低く高出力の燃料電池を得ることができない。
【0033】
本発明のプロトン酸基を有する芳香族ポリエーテル(B)としては、より具体的には、下記一般式(4)で表わされる繰り返し構造単位を有する芳香族ポリエーテルであることが好ましい。
【化11】
[式(4)中、X1〜X5の少なくとも1つがプロトン酸基であり、他はそれぞれ独立してHまたはプロトン酸基であり、A3およびA4はそれぞれ独立して直接結合,−CH2−,−C(CH3)2−,−C(CF3)2−,−O−,−SO2−または−CO−であり、j,k,lはそれぞれ独立して0または1を示し、芳香環の水素原子は、−CmH2m+1(mは1〜10の整数),プロトン酸基,−Cl,−F,−CF3または−CNに置換されていても良い。]
【0034】
本発明のプロトン酸基を有する芳香族ポリエーテル(B)の中でも、下記一般式(5)で表わされる繰り返し構造単位を有する芳香族ポリエーテルが特に好ましい。
【化12】
[式(5)中、X1またはX2の少なくとも1つがプロトン酸基であり、他はそれぞれ独立してHまたはプロトン酸基であり、A3は−SO2−または−CO−、A4は直接結合,−CH2−,−C(CH3)2−,−C(CF3)2−,−O−,−SO2−または−CO−であり、k,lはそれぞれ独立して0または1を示し、芳香環の水素原子は、−CmH2m+1(mは1〜10の整数),プロトン酸基,−Cl,−F,−CF3または−CNに置換されていても良い。]
【0035】
前記式(4)または(5)で示される繰り返し構造単位を有する、プロトン酸基を有さない芳香族ポリエーテルは、プロトン伝導性に優れ、さらに、熱水、酸、アルカリ、アルコールなどによる加水分解や、ラジカルの攻撃による変性を受けにくいため、燃料電池内で用いた際にも、プロトン伝導性を長期に渡り保持する。なお、プロトン酸基を有する高分子であっても、主鎖に脂肪族鎖を有するポリオレフィン類、脂肪族ポリエーテル類、脂肪族ポリアミド類や、加水分解を受けやすいポリカーボネート類、芳香族ポリアミド類、ポリイミド類などは、燃料電池内で用いた際に変性を受け、強度やプロトン伝導性が低下するため好ましくない。
【0036】
また、前記式(5)で表わされる繰り返し構造単位を有する芳香族ポリエーテルは、プロトン酸基が電子吸引基である−SO2−または−CO−に直接結合した芳香環に結合していることから、他の芳香環に結合したプロトン酸基に比べ、結合力が強く、分解、解離を受けにくい。なお、既存の芳香族ポリエーテルを発煙硫酸などでスルホン化した場合には、電子吸引基である−SO2−または−CO−に直接結合していない芳香環にスルホン酸基が導入されることが知られている。
【0037】
本発明のプロトン酸基を有する芳香族ポリエーテル(B)は従来公知のモノマー類を用い、従来公知の方法により製造することができ、例えば、プロトン酸基を有する芳香族ジハライド化合物およびプロトン酸基を有さない芳香族ジハライド化合物とプロトン酸基を有さない芳香族ジヒドロキシ化合物を、あるいはプロトン酸基を有さない芳香族ジハライド化合物とプロトン酸基を有する芳香族ジヒドロキシ化合物およびプロトン酸基を有さない芳香族ジヒドロキシ化合物を縮合重合することにより製造することができる。また、従来公知の芳香族ポリエーテルを従来公知の方法によりスルホン化、アルキルスルホン化することにより得ることができる。
【0038】
なお、流動開始温度が100〜220℃である芳香族ポリエーテル(A)およびプロトン酸基を有する芳香族ポリエーテル(B)の製造において用いることのできるモノマー類に特に制限はないが、代表的な具体例を以下に例示する。
【0039】
芳香族ジハライド化合物としては、例えば、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、3,3’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、1,4−ジフルオロベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、4,4’−ジフルオロビフェニル、3,3’−ジブロモ−4,4’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジフルオロジフェニルメタン、4,4’−ジクロロジフェニルメタン、4,4’−ジフルオロジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)プロパン、α,α’−ビス(4−フルオロフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラメチル−5,5’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、2,5−ジフルオロトルエン、2,5−ジフルオロエチルベンゼン、2,5−ジフルオロ−p−キシレンなどを挙げられ、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0040】
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジメチルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,4−ビス(4−ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン、3,3−ジフルオロ−4,4’−ジヒドロキビフェニル、2−メチルハイドロキノン、2−エチルハイドロキノン、2−イソプロピルハイドロキノン、2−オクチルハイドロキノン、2,3−ジメチルハイドロキノン、2,3−ジエチルハイドロキノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、2,5−ジエチルハイドロキノン、2,5−ジイソプロピルハイドロキノン、2,6−ジメチルハイドロキノン、2,3,5−トリメチルハイドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルハイドロキノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α’−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼンなどを挙げられ、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0041】
プロトン酸基を有する芳香族ジハライド化合物としては、前記の芳香族ジハライド化合物のスルホン化物、アルキルスルホン化物のほか、2,5−ジクロロ安息香酸、2,5−ジフルオロ安息香酸、5,5’−カルボニルビス(2−フルオロ安息香酸)、5,5’−スルホニルビス(2−フルオロ安息香酸)、2,5−ジクロロフェニルホスホン酸、5,5’−カルボニルビス(2−フルオロベンゼンホスホン酸)およびそのアルカリ金属塩などを挙げることができる。
【0042】
プロトン酸基を有する芳香族ジヒドロキシ化合物としては、前記の芳香族ジヒドロキシ化合物のスルホン化物、アルキルスルホン化物のほか、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、5,5’−メチレンジサリチル酸、5,5’−チオジサリチル酸、2,5−ジヒドロキシフェニルホスホン酸などのリン酸基を有する芳香族ジヒドロキシ化合物およびそのアルカリ金属塩などを挙げることができる。
【0043】
なお、芳香族ジハライド化合物及び芳香族ジヒドロキシ化合物のスルホン化物、アルキルスルホン化物は、前記芳香族ジハライド化合物及び前記芳香族ジヒドロキシ化合物を、発煙硫酸などの公知のスルホン化剤でMacromol. Chem. Phys., 199, 1421 (1998)に記載されているスルホン化する等の方法により得ることができる。
【0044】
本発明のプロトン酸基を有する芳香族ポリエーテル(B)は、前述の方法の他に、従来公知の芳香族ポリエーテルを従来公知の方法によりスルホン化、アルキルスルホン化することによっても得ることができる。芳香族ポリエーテルをスルホン化する方法の具体例としては、公知のスルホン化剤、例えば濃硫酸(特開昭57−25328号公報)、発煙硫酸(特表平11−502245号公報)、クロロスルホン酸(Journal of Applied Polymer Science, 70, 477 (1998))、メタンスルホン酸(Macromolecules, 27 6267 (1994))などによりスルホン化する方法が挙げられる。芳香族ポリエーテルをアルキルスルホン化する方法の具体例としては、サルトン化合物を用いる方法(J. Amer. Chem. Soc., 76, 5357 (1954))、樹脂の芳香族環の水素をリチウムに置換し、次いでジハロゲノアルカンでハロゲノアルキル基に変え、スルホアルキル基に変換する方法やテトラメチレンハロゲニウムイオンを用いてハロゲノブチル基を導入し、次いでハロゲンをスルホン酸基に変換する方法などが挙げられる。これらの方法より得られるプロトン酸基を有する芳香族ポリエーテルは、水、塩酸水、有機溶剤などを用いて精製することにより、酸や塩を除去することができる。ここで、用いることのできる芳香族ポリエーテルに特に制限はないが、代表的な具体例としては、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシドや前述の流動開始温度が100〜220℃である芳香族ポリエーテルなどが挙げられる。
【0045】
本発明にかかる流動開始温度が100〜220℃である芳香族ポリエーテル(A)の分子量に特に制限はないが、還元粘度(濃度0.5g/dl、35℃で測定)にして0.3〜3.0dl/gの範囲が好ましく、0.5〜1.0dl/gの範囲が特に好ましい。分子量が低すぎると樹脂強度が低く、十分な接着力を得られない場合がある。また、分子量が高すぎると樹脂の溶融流動が不十分となり、十分な接着力を得られない場合がある。
【0046】
本発明にかかるプロトン酸基を有する芳香族ポリエーテル(B)の分子量に特に制限はないが、還元粘度(濃度0.5g/dl、35℃で測定)にして0.3〜3.0dl/gの範囲が好ましく、0.5〜2.0dl/gの範囲が特に好ましい。分子量が低すぎると樹脂強度が低く、乾燥・吸湿時の収縮・膨張により膜が割れる場合がある。また、分子量が高すぎると溶媒への溶解が困難となり、組成物とするための混合操作やキャストによる製膜が困難となる場合がある。
【0047】
本発明にかかるプロトン伝導性樹脂組成物の形態に特に制限はなく、流動開始温度が100〜220℃である芳香族ポリエーテル(A)の粉体とプロトン酸基を有する芳香族ポリエーテル(B)の粉体の混合物、該混合物を加熱圧縮して得られる膜や成形物、それぞれの芳香族ポリエーテルが溶剤に溶解あるいは分散したワニス、該ワニスから得られる膜などの形態を有することができる。ここで、膜や成形物の形態としては、それぞれの芳香族ポリエーテルが相溶し均一相を形成した膜や成形物であっても、相分離した膜や成形物であっても良い。
【0048】
なお、本発明の組成物の調整にあたって溶剤を用いる場合、その溶剤に特に制限はなく、例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、塩化メチル、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類、ジクロロエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどの脂肪酸エステル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類のほか、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、炭酸ジメチルなどの非プロトン性極性溶剤類などを単独で、あるいは混合して使用できる。
【0049】
本発明にかかるプロトン伝導膜は、本発明のプロトン伝導性樹脂組成物を含んでなる熱融着可能なプロトン伝導膜である。本発明のプロトン伝導膜は、本発明のプロトン伝導性樹脂組成物の熱プレスや溶液からのキャストにより得ることができる。ここで、本発明のプロトン伝導膜には、自立膜のみならず、基材、電極膜、熱融着性を有さないプロトン伝導膜等に密着した塗膜も含む。ここで、本発明にかかるプロトン伝導膜の厚みに特に制限はないが、自立膜である場合には10〜200μm、塗膜である場合には1〜100μmであることが好ましい。
【0050】
本発明にかかるプロトン伝導膜は、本発明のプロトン伝導性樹脂組成物を含んでいればよく、電気導電性を有する導電材、水素の酸化反応、酸素の還元反応を促進する触媒、強度や吸水膨張を調整するための無機フィラーや他の高分子、プロトン伝導性や電極との接着性を改善するプロトン酸基含有フッ素系高分子等と複合化されていても良い。本発明のプロトン伝導膜において、本発明のプロトン伝導性樹脂組成物と他の材料との比率に特に制限はないが、本発明のプロトン伝導性樹脂組成物の比率が20〜100wt%であると、プロトン伝導性と熱融着性を両立できるので好ましい。
【0051】
導電材としては、電気伝導性物質であればいずれのものでもよく、各種金属や炭素材料などが上げられる。例えば、アセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭および黒鉛等が挙げられ、これらは単独あるいは混合して、粉末状あるいはシート状で使用される。
【0052】
触媒としては、水素の酸化反応および酸素の還元反応を促進する金属であれば特に限定されないが、例えば鉛、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ガリウム、バナジウム、タングステン、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、白金、ロジウムまたはそれらの合金が挙げられる。
【0053】
強度や吸水膨張を調整するための無機フィラーや他の高分子に特に限定はなく、例えば、金属、ガラスやカーボンからなる繊維、ポリオレフィンやポリイミドの多孔質膜などが上げられる。
【0054】
本発明にかかるプロトン伝導膜は熱融着可能なプロトン伝導膜であり、100〜220℃、好ましくは140〜200℃、0.1〜100MPa、好ましくは1〜20MPaで加熱加圧することにより、相手材料と熱融着することができる。ここで、加熱温度が低すぎる場合には、融着の役割を担う芳香族ポリエーテルが溶融流動せず、融着できないため、好ましくない。また、加熱温度が高すぎる場合には、プロトン伝導を担うプロトン酸基を有する芳香族ポリエーテルからプロトン酸基の脱離が起こるため、好ましくない。
【0055】
なお、熱融着における被接着物である相手部材に特に制限はなく、本発明のプロトン伝導膜はもちろん、従来公知の高分子電解質膜、前述の導電材や触媒、および導電材や触媒を従来公知の高分子電解質で固めた電極等と熱融着することができる。中でも、熱融着の相手部材が本発明のプロトン伝導膜である場合には、極めて強固に融着するため、特に好ましい。ここで、従来公知の高分子電解質とは、イオンに解離し得るプロトン酸基を持たせた高分子であり、例えば、フッ素高分子、ポリエーテルケトン高分子、ポリエーテルサルホン高分子、ポリフェニレンサルファイド高分子、ポリイミド高分子、ポリアミド高分子、エポキシ高分子、ポリオレフィン高分子等にプロトン酸基を付与した高分子が挙げられる。フッ素高分子電解質としては、例えば、デュポン社製「Nafion」、旭硝子社製「Flemion」、旭化成社製「Aciplex」、ダウ社製「Dow膜」等が挙げられる。
【0056】
本発明にかかるプロトン伝導膜の熱融着による接着強度に特に制限はなく、含有する融着の役割を担う芳香族ポリエーテルの種類や量、相手部材の種類、融着温度や圧力等により異なるため、一概にはいえないが、少なくとも、接着物の水浸漬と乾燥を繰り返した際に剥離しない程度の接着強度を有することが好ましい。
【0057】
本発明のプロトン伝導性樹脂組成物および/またはプロトン伝導膜を用いることにより、信頼性に優れた燃料電池用膜−電極複合体を得ることができる。本発明のプロトン伝導性樹脂組成物および/またはプロトン伝導膜を用いた膜−電極複合体は、燃料電池の起動と停止に伴う温度や湿度の変化による接着界面の剥離が生じにくく、電池特性の低下が少ない。
【0058】
本発明のプロトン伝導性樹脂組成物および/またはプロトン伝導膜を用いた膜−電極複合体の製造方法に特に制限はなく、例えば次のような方法が例示できる。
1)本発明のプロトン伝導性樹脂組成物および/またはプロトン伝導膜を、カーボンペーパーなどの基材、導電材料、触媒、高分子電解質からなる、正負2枚の電極で挟み、熱融着する。
2)従来公知の高分子電解質膜表面に、本発明のプロトン伝導性樹脂組成物またはそのワニスを熱融着あるいは塗布し、正負2枚の電極で挟んで熱融着する。
3)本発明のプロトン伝導性樹脂組成物またはそのワニスを、正負2枚の電極表面に熱融着あるいは塗布し、従来公知の、あるいは本発明のプロトン伝導膜を挟んで熱融着する。
4)本発明のプロトン伝導性樹脂組成物またはそのワニスを、正負2枚の電極表面に熱融着あるいは塗布し、熱融着する。
5)導電材料、触媒などを含む本発明のプロトン伝導性樹脂組成物またはそのワニスをカーボンペーパーなどの基材に熱融着あるいは塗布して正負2枚の電極を作製し、従来公知の、あるいは本発明のプロトン伝導膜を挟んで熱融着する。
6)導電材料、触媒などを含む本発明のプロトン伝導性樹脂組成物またはそのワニスを、従来公知の、あるいは本発明のプロトン伝導膜の両面に熱融着あるいは塗布し、カーボンペーパーなどの基材で挟んで熱融着する。
【0059】
本発明にかかるプロトン伝導性樹脂組成物は、熱融着が可能で、かつ、熱融着後にも優れたプロトン伝導性を有し、燃料電池用プロトン伝導材料として好適である。より具体的には、該組成物は、プロトン酸基を有する芳香族ポリエーテルの分解(プロトン酸基の脱離)温度以下の温度での熱プレスによる融着が可能であり、プロトン酸基の脱離がないため融着後にも優れたプロトン伝導性を有す。さらに、該組成物は接着力が高く、燃料電池のプロトン伝導材料として使用した際には、湿度や温度の変動による膜と電極あるいは触媒と結着剤の界面剥離が生じにくく、高効率で信頼性に優れた燃料電池を得ることができる。
【0060】
本発明のプロトン伝導性樹脂組成物および/またはプロトン伝導膜を用いた膜−電極複合体を用いることにより、電池の起動と停止を繰り返しても電池特性が低下しにくく、信頼性に優れた燃料電池の提供が可能となる。
【0061】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
【0062】
実施例中の各種試験の試験方法は次に示すとおりである。
(1)還元粘度(ηinh)
芳香族ポリエーテル0.50gを溶媒100mlに溶解したのち、35℃において、ウベローデ粘度計で測定した。
(2)5%重量減少温度、重量減少開始温度
空気中にてDTA−TG(マック・サイエンス社製TG−DTA2000)を用い、昇温速度10℃/minで測定した。
(3)ガラス転移温度
示差走査熱量測定(DSC、マック・サイエンス社製DSC3100)により昇温速度10℃/minで400℃まで測定した。
【0063】
(4)流動開始温度(F.S.T)
高化式フローテスタ(島津製作所製・高化式フローテスターCFT500D)を用い、孔径1.0mm、孔長10.0mmのダイを備えたシリンダー中に試料を装入、ピストンにより9.8MPaで加圧したまま5℃/分の昇温速度で加熱した際に、試料がダイから流出を開始しピストンが移動し始める温度を測定した。
(5)熱融着性の有無
40×40mm角のフィルム状のプロトン伝導性樹脂組成物(プロトン伝導膜)2枚を加熱圧縮し、得られたフィルムを純水浸漬(室温2時間)および乾燥(120℃2時間)を4回繰り返した際の剥離の有無で判断した。
【0064】
(6)イオン交換基当量
プロトン伝導性樹脂組成物(プロトン伝導膜)を密閉できるガラス容器中に精秤し、そこに過剰量の塩化カルシウム水溶液を添加して一晩攪拌した。系内に発生した塩化水素を0.1N水酸化ナトリウム標準水溶液にてフェノールフタレイン指示薬を用いて滴定し、計算した。
(7)イオン伝導度(90℃、膜厚方向)
1M硫酸で湿潤したサンプルフィルムを、1cm2の空孔を有する100μm厚PETフィルムの片面に白金電極を貼った測定用セル2個で挟み、空孔を1M硫酸水で満たした。これを90℃の恒温槽内に設置してその抵抗値を測定した。サンプルフィルムを挟まなかった場合の抵抗値との差から、サンプルフィルム単体の抵抗値を求め、イオン伝導度(90℃、膜厚方向)を算出した。なお、イオン伝導度の計算に必要な膜厚は乾燥状態でマイクロメータを用いて測定した。
【0065】
(合成例1)
窒素導入管、温度計、分液器を備えた冷却器、及び撹拌装置を備えたフラスコに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン21.82g(0.10mol)、レゾルシン10.57g(0.096mol)および無水炭酸ナトリウム11.02g(0.104mol)を精秤した。これにN−メチル−2−ピロリドン86.5gおよび純水1.8gを加え、窒素ガスを通じ撹拌しながら、200℃まで2時間かけて昇温した後、6時間反応を行った。この際、留出する水は分液器より回収した。得られた粘稠な反応マスを冷却、N−メチル−2−ピロリドン80gで希釈した後、セライト濾過により副生する塩を除去した。このポリマー溶液を、水−メタノール(5/5,wt/wt)混合液500mlに排出し、析出したポリマーを濾集、5wt%塩酸水溶液、純水、メタノールで洗浄した後、100℃4時間乾燥してポリアリールエーテルケトン粉25.8g(収率90%)を得た。
得られたポリアリールエーテルケトン粉の還元粘度は0.56dl/g(p−クロロフェノール/フェノール(9/1,wt/wt)混合液で測定)、ガラス転移温度は118℃、5%重量減少温度は539℃、流動開始温度は175℃であった。
【0066】
(合成例2)
レゾルシン10.57g(0.096mol)の代わりに、レゾルシン5.28g(0.048mol)およびヒドロキノン5.28g(0.048mol)を用いた他は合成例1と同様にして、ポリアリールエーテルケトン粉26.5g(収率93%)を得た。
得られたポリアリールエーテルケトン粉の還元粘度は0.52dl/g(p−クロロフェノール/フェノール(9/1,wt/wt)混合液で測定)、ガラス転移温度は124℃、5%重量減少温度は533℃、流動開始温度は180℃であった。
【0067】
(合成例3)
レゾルシン10.57g(0.096mol)の代わりに、ヒドロキノン11.01g(0.10mol)を用い、N−メチル−2−ピロリドン86.5gの代わりにN−メチル−2−ピロリドン259.5gを用いた他は合成例1と同様にして6時間の反応を行った。なお、反応中ポリマーが析出し、固形物がスラリー状となった。反応終了後、固形物を濾過、ポリマーと副生塩を濾集し、純水、5wt%塩酸水溶液、純水、アセトンで洗浄した後、100℃4時間乾燥してポリエーテルエーテルケトン粉28.2g(収率98%)を得た。
得られたポリエーテルエーテルケトン粉の還元粘度は0.86dl/g(p−クロロフェノール/フェノール(9/1,wt/wt)混合液で測定)、ガラス転移温度は143℃、融点は334℃、5%重量減少温度は530℃、流動開始温度は340℃であった。
【0068】
(合成例4)
窒素導入管、温度計、トルエンで満たした分液器を備えた冷却器、及び撹拌装置を備えたフラスコに、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン28.72g(0.10mol)、レゾルシン10.57g(0.096mol)および無水炭酸ナトリウム11.02g(0.104mol)を精秤した。これにN−メチル−2−ピロリドン97.3gおよびトルエン10.8gを加え、窒素ガスを通じ撹拌しながら、195℃まで2時間かけて昇温した後、6時間反応を行った。反応はトルエン還流下に行い、留出する水は分液器により分液回収した。得られた粘稠な反応物を冷却、N−メチル−2−ピロリドン80gで希釈した後、セライト濾過により複製する塩を除去した。このポリマー溶液を、メタノール500mlに排出し、析出したポリマーを濾集、5wt%塩酸水溶液、純水、メタノールで洗浄した後、100℃4時間乾燥してポリエーテルスルホン粉30.8g(収率95%)を得た。
得られたポリアリールエーテルスルホン粉の還元粘度は0.71dl/g(N−メチル−2−ピロリドンで測定)、ガラス転移温度は167℃、5%重量減少温度は518℃、流動開始温度は215℃であった。
【0069】
(合成例5)
レゾルシン10.57g(0.096mol)の代わりに、ビスフェノールA21.92g(0.096mol)を用いた他は合成例4と同様にして、ポリスルホン粉40.7g(収率92%)を得た。
得られたポリスルホン粉の還元粘度は0.85dl/g(N−メチル−2−ピロリドンで測定)、ガラス転移温度は190℃、5%重量減少温度は510℃、流動開始温度は255℃であった。
【0070】
(合成例6)
4,4’−ジクロロジフェニルスルホン28.72g(0.10mol)の代わりに、2,6−ジクロロベンゾニトリル17.20g(0.10mol)を用い、N−メチル−2−ピロリドン97.3gおよびトルエン10.8gの代わりにN−メチル−2−ピロリドン62.8gおよびトルエン7.0gを用いた他は合成例4と同様にして、ポリエーテルニトリル粉19.0g(収率91%)を得た。
得られたポリエーテルニトリル粉の還元粘度は0.50dl/g(N−メチル−2−ピロリドンで測定)、ガラス転移温度は142℃、融点は337℃、5%重量減少温度は490℃、流動開始温度は350℃であった。
【0071】
(合成例7)
レゾルシン10.57g(0.096mol)の代わりに、レゾルシン5.29g(0.048mol)およびビスフェノールA10.96g(0.048mol)を用い、N−メチル−2−ピロリドン97.3gおよびトルエン10.8gの代わりにN−メチル−2−ピロリドン80.8gおよびトルエン9.0gを用いた他は合成例4と同様にして、ポリアリールエーテルニトリル粉25.2g(収率94%)を得た。
得られたポリアリールエーテルニトリル粉の還元粘度は0.63dl/g(N−メチル−2−ピロリドンで測定)、ガラス転移温度は160℃、5%重量減少温度は482℃、流動開始温度は210℃であった。
【0072】
(合成例8)
レゾルシン10.57g(0.096mol)の代わりに、ビスフェノールA21.92g(0.048mol)を用い、N−メチル−2−ピロリドン97.3gおよびトルエン10.8gの代わりにN−メチル−2−ピロリドン98.2gおよびトルエン10.9gを用いた他は合成例4と同様にして、ポリアリールエーテルニトリル粉30.8g(収率91%)を得た。
得られたポリアリールエーテルニトリル粉の還元粘度は0.69dl/g(N−メチル−2−ピロリドンで測定)、ガラス転移温度は170℃、5%重量減少温度は473℃、流動開始温度は225℃であった。
【0073】
(合成例9)
窒素導入管、温度計、トルエンで満たした分液器を備えた冷却器、及び撹拌装置を備えたフラスコに、3,3’−カルボニルビス(6−フルオロベンゼンスルホン酸ナトリウム)84.46g(0.20mol)、ビス(3−メチル−4ヒドロキシフェニル)メタン51.27g(0.20mol)および無水炭酸カリウム33.17g(0.24mol)を精秤した。これにジメチルスルホキシド510.9gおよびトルエン56.8gを加え、窒素ガスを通じ撹拌しながら、176℃まで2時間かけて昇温した後、10時間反応を行った。反応はトルエン還流下に行い、留出する水は分液器により分液回収した。得られた粘稠な反応物をジメチルスルホキシド300gで希釈した後、セライト濾過により副生する塩を除去した。このポリマー溶液を、アセトン10Lに排出し、析出したポリマーを濾集、アセトンで洗浄した後、150℃4時間乾燥してプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を有するポリアリールエーテルケトン粉112.1g(収率88%)を得た。
得られたポリアリールエーテルケトン粉の還元粘度は0.91dl/g(ジメチルスルホキシドで測定)、ガラス転移温度は250℃以上(250℃までの測定で未検出)であった。
【0074】
(合成例10)
3,3’−カルボニルビス(6−フルオロベンゼンスルホン酸ナトリウム)84.46g(0.20mol)の代わりに、3,3’−カルボニルビス(6−フルオロベンゼンスルホン酸ナトリウム)42.23g(0.10mol)および4,4’−ジフルオロベンゾフェノン21.82g(0.10mol)を用い、ジメチルスルホキシド510.9gおよびトルエン56.8gの代わりにジメチルスルホキシド429.3gおよびトルエン47.7gを用いた他は合成例9と同様にして、プロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を有するポリアリールエーテルケトン粉96.4g(収率90%)を得た。
得られたポリアリールエーテルケトン粉の還元粘度は1.25dl/g(ジメチルスルホキシドで測定)、ガラス転移温度は250℃以上(250℃までの測定で未検出)であった。
【0075】
(合成例11)
3,3’−カルボニルビス(6−フルオロベンゼンスルホン酸ナトリウム)84.46g(0.20mol)の代わりに、3,3’−スルホニルビス(6−クロロベンゼンスルホン酸ナトリウム)49.13g(0.10mol)および4,4’−ジクロロジフェニルスルホン28.72(0.10mol)を用い、ジメチルスルホキシド510.9gおよびトルエン56.8gの代わりにジメチルスルホキシド402.0gおよびトルエン44.7gを用いた他は合成例9と同様にして、プロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を有するポリアリールエーテルスルホン粉87.7g(収率87%)を得た。
得られたポリアリールエーテルスルホン粉の還元粘度は1.07dl/g(ジメチルスルホキシドで測定)、ガラス転移温度は250℃以上(250℃までの測定で未検出)であった。
【0076】
(実施例1)
合成例1で得られたポリアリールエーテルケトン粉2gと合成例9で得られたプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を有するポリアリールエーテルケトン2gをN−メチル−2−ピロリドンに加熱溶解し、ポリマー濃度10%の若干濁ったワニスを得た。得られたワニスを、それぞれのスペーサー厚みを有するブレードを用いてガラス基板上にキャストし、窒素通風下室温から200℃まで2時間かけて昇温乾燥し、厚さの異なる2種類の若干濁ったフィルムを得た。ここで、便宜上、厚さ30μmのものをフィルムA、50μmのものをフィルムBと呼ぶ。
【0077】
得られたフィルムAおよびフィルムBを2N硫酸水溶液および純水に1日づつ浸漬してスルホン酸ナトリウム基のプロトン交換を行い、フィルムC(プロトン交換前厚さ30μm)とフィルムD(プロトン交換前厚さ50μm)の2種のプロトン伝導膜を得た。
【0078】
フィルムCより40×40mmの試験片を切り出し、未乾燥で膨潤したままの状態で2枚重ね、周囲に厚さ50μmのスペーサーをおいて、200℃10MPaで5分間熱プレスしたところ、2枚が強固に接着した厚さ50μmのフィルムEを得た。フィルムEは、純水浸漬(室温2時間)および乾燥(120℃2時間)を4回繰り返しても剥離することはなかった。
【0079】
表1に、熱融着により得られたフィルムE(厚さ50μm)と熱融着をしていないフィルムD(厚さ50μm)のイオン交換基当量およびイオン伝導性(90℃、膜厚方向)を比較した。フィルムEのイオン交換基当量はフィルムDのものと同等で、スルホン酸基の脱離がないことがわかる。フィルムEのイオン伝導性はフィルムDのものより若干劣るが、これは接着界面の抵抗によるものである。
【0080】
(実施例2)
合成例1で得られたポリアリールエーテルケトン粉0.8gと合成例10で得られたプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を有するポリアリールエーテルケトン3.2gを用いた他は実施例1と同様にしてフィルムA〜Eを作製した。得られたフィルムEは強固に接着しており、実施例1と同様の水浸漬及び乾燥処理においても剥離することはなかった。
【0081】
表1に、熱融着により得られたフィルムE(厚さ50μm)と熱融着をしていないフィルムD(厚さ50μm)のイオン交換基当量およびイオン伝導性(90℃、膜厚方向)を示す。フィルムEのイオン交換基当量はフィルムDのものと同等で、スルホン酸基の脱離がないことがわかる。フィルムEのイオン伝導性はフィルムDのものより若干劣るが、低下の程度は小さく、接着界面の抵抗が小さいことがわかる。
【0082】
(比較例1)
合成例10で得られたプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を有するポリアリールエーテルケトン4gのみを用いた他は実施例1と同様にしてフィルムA〜Eを作製した。得られたフィルムEは接着しておらず、水に浸漬するとすぐに剥離した。
【0083】
表1に、フィルムE(厚さ50μm、剥離せず2枚が密着しているもの)と熱融着をしていないフィルムD(厚さ50μm)のイオン交換基当量およびイオン伝導性(90℃、膜厚方向)を示す。フィルムEのイオン交換基当量はフィルムDのものと同等で、スルホン酸基の脱離がないことがわかる。フィルムEのイオン伝導性はフィルムDのものより著しく低く、接着できていないため界面の抵抗が著しく大きいことがわかる。
【0084】
(比較例2)
合成例1で得られたポリアリールエーテルケトン粉2.8gと合成例9で得られたプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を有するポリアリールエーテルケトン1.2g用いた他は実施例1と同様にしてフィルムA〜Eを作製した。得られたフィルムEは強固に接着しており、実施例1と同様の水浸漬及び乾燥処理においても剥離することはなかった。
【0085】
表1に、熱融着により得られたフィルムE(厚さ50μm)と熱融着をしていないフィルムD(厚さ50μm)のイオン交換基当量およびイオン伝導性(90℃、膜厚方向)を示す。フィルムEのイオン交換基当量はフィルムDのものと同等で、スルホン酸基の脱離がないことがわかる。フィルムEのイオン伝導性はフィルムDのものより著しく低く、接着界面の抵抗が著しく大きいことがわかる。
【0086】
(実施例3〜5、比較例3〜6)
合成例2〜8で得られたポリアリールエーテルケトン粉0.8gと合成例11で得られたプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を有するポリアリールエーテルスルホン3.2g用いた他は実施例1と同様にしてフィルムA〜Eを作製した。表1に樹脂組成物の組成とフィルムE作製時の熱プレス温度、熱融着により得られたフィルムE(厚さ50μm)と熱融着をしていないフィルムD(厚さ50μm)のイオン交換基当量およびイオン伝導性(90℃、膜厚方向)を示す。
【0087】
【表1】
【0088】
実施例3において得られたフィルムEは強固に接着しており、実施例1と同様の水浸漬及び乾燥処理においても剥離することはなかった。フィルムEのイオン交換基当量はフィルムDのものと同等で、スルホン酸基の脱離がないことがわかる。フィルムEのイオン伝導性はフィルムDのものより若干劣るが、低下の程度は小さく、接着界面の抵抗が小さいことがわかる。
【0089】
比較例3においては、合成例3により得られたポリエーテルエーテルケトンがN−メチル−2−ピロリドンに溶解しなかったため、溶剤としてp−クロロフェノールを用いたワニスより製膜した。また、フィルムC2枚を200℃および300℃で熱プレスしたが、2枚は融着しなかった。300℃で熱プレスしたフィルムE(未融着)は黒褐色に変色しており、イオン交換基当量も2000g/molを超えるまでに増加しており、スルホン酸基の脱離が起こっていることが確認された。
【0090】
実施例4においては、熱プレス温度200℃ではフィルムC2枚が融着しなかったため、熱プレス温度220℃でフィルムEを作製した。得られたフィルムEは強固に接着しており、実施例1と同様の水浸漬及び乾燥処理においても剥離することはなかった。フィルムEのイオン交換基当量はフィルムDのものより若干増加しており、僅かにスルホン酸基が脱離していた。フィルムEのイオン伝導性はフィルムDのものより劣るが十分なイオン伝導性を保持していた。
【0091】
比較例4においては、熱プレス温度200℃ではフィルムC2枚が融着しなかったため、熱プレス温度260℃でフィルムEを作製した。得られたフィルムEは強固に接着しており、実施例1と同様の水浸漬及び乾燥処理においても剥離することはなかったが、黒色に変色していた。フィルムEのイオン交換基当量はフィルムDのものより大幅に増加しており、スルホン酸基の脱離のため、イオン伝導性は極めて小さかった。
【0092】
比較例5においては、フィルムC2枚を200℃および300℃で熱プレスしたが、2枚は融着しなかった。300℃で熱プレスしたフィルムE(未融着)は黒褐色に変色しており、イオン交換基当量も2000g/molを超えるまでに増加しており、スルホン酸基の脱離が起こっていることが確認された。
【0093】
実施例5においては、熱プレス温度200℃ではフィルムC2枚が融着しなかったため、熱プレス温度220℃でフィルムEを作製した。得られたフィルムEは強固に接着しており、実施例1と同様の水浸漬及び乾燥処理においても剥離することはなかった。フィルムEのイオン交換基当量はフィルムDのものより若干増加しており、僅かにスルホン酸基が脱離していた。フィルムEのイオン伝導性はフィルムDのものより劣るが十分なイオン伝導性を保持していた。
【0094】
比較例6においては、熱プレス温度200℃ではフィルムC2枚が融着しなかったため、熱プレス温度240℃でフィルムEを作製した。得られたフィルムEは強固に接着しており、実施例1と同様の水浸漬及び乾燥処理においても剥離することはなかった。フィルムEのイオン交換基当量はフィルムDのものより増加していることからスルホン酸基が脱離していることが確認され、そのイオン伝導性も僅かであった。
【0095】
(実施例6)
実施例2で得られたフィルムD(スルホン酸基を有するプロトン伝導膜)を純水に浸漬して膨潤させ、以下に示す市販の燃料電池用電極(空気極及び燃料極)で挟み、200℃10MPaで5分間熱プレスした。
得られた電解質膜−電極複合体はほぼ乾燥しており、電極の剥離はなかった。
【0096】
この電解質膜−電極複合体を、ElectroChem社製燃料電池試験セル(品番:EFC−05−REF)に組み込み、図1の燃料電池を組み立てた。この燃料電池は、電解質膜1を触媒付き電極2および2’がガスケット3を使用して挟み、さらにその外側にセパレータ4が置かれて、全体を加圧板5を用いて締め付けボルト7でしっかりと締め付けられた構造となっており、内部6にはガス流路が設けられている。
【0097】
燃料として1Mメタノール水溶液を使用し、燃料電池の電池特性を図2の燃料電池評価装置を用いて測定した。この評価装置は、燃料電池セル8の中に、図1の燃料電池が組み込んである。図の上側のラインではメタノール水溶液を送液ポンプ12により8を通して左側から右側に送液している。また、下側のラインでは空気を加湿用バブリングタンク9により加湿した状態で8を通して左側から右側に通気している。燃料極側の6の流路をメタノール水溶液が、空気極側の6の流路を空気が流れる様になっている。それぞれの流量はマスフローコントローラー11で制御する。メタノール水溶液および空気を流すことにより生じる電圧および電流密度を電子負荷10で測定することにより燃料電池を評価する仕組みになっている。
【0098】
この評価装置を用い以下の条件で測定したところ、約18.8mW/cm2の出力を得た。
測定条件 燃料電池温度: 80℃
メタノール水溶液濃度:1M(3.2wt%)
メタノール水溶液流量:2cc/min
空気圧力:0.05MPa
空気流量:100SCCM
空気バブリングタンク温度:50℃
【0099】
(比較例7)
比較例1で得られたフィルムD(スルホン酸基を有するプロトン伝導膜)を用い、実施例6と同様にして電解質膜−電極複合体の作製を試みたが、フィルムと電極は接着しなかった。
このフィルムと電極を燃料電池試験セルに組み込み、実施例6と同様にしてその電池特性を測定したところ、約3.6mW/cm2の出力を得た。実施例6に比べ、用いたフィルムのイオン伝導性が高いにもかかわらず、得られた出力が低いことから、本比較例においては、フィルム―電極界面の抵抗が大きいことがわかる。
【0100】
(実施例7)
実施例2で得られたポリマー濃度10%の若干濁ったワニスを、実施例6で用いたものと同じ燃料電池用電極(空気極及び燃料極)にキャストし、窒素通風下室温から200℃まで2時間かけて昇温乾燥し、プロトン伝導性樹脂組成物からなる厚さ30μmの塗膜を有する電極(空気極及び燃料極)を作製した。得られた電極を2N硫酸水溶液及び純水に1日ずつ浸漬してスルホン酸ナトリウム基のプロトン交換を行った。得られた塗膜(スルホン酸基を有するプロトン伝導膜)を有する空気極及び燃料極を未乾燥のまま重ね、200℃10MPaで5分間熱プレスし、電解質膜−電極複合体を作製した。得られた複合体はほぼ乾燥しており、電極の剥離はなかった。
この電解質膜−電極複合体を用い、実施例6と同様にして燃料電池の電池特性を測定したところ、約22.0mW/cm2の出力を得た。
【0101】
【発明の効果】
本発明により、熱融着が可能で、かつ、熱融着後にも優れたプロトン伝導性を有するプロトン伝導性芳香族炭化水素系樹脂組成物が提供される。該組成物は接着力が高く、燃料電池のプロトン伝導膜などのプロトン伝導材料として使用した際に、湿度や温度の変動による膜と電極あるいは触媒と結着剤の界面剥離が生じにくいため、高効率で信頼性に優れた燃料電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料電池の断面構造図を示す概略図である。
【図2】本発明において用いた燃料電池評価装置を示す図である。
【符号の説明】
1 電解質膜
2、2’ 触媒付き電極
3 ガスケット
4 セパレーター
5 加圧板
6 ガス流路
7 締め付けボルト
8 燃料電池セル
9 加湿用バブリングタンク
10 電子負荷
11 マスフローコントローラー
12 送液ポンプ
Claims (8)
- 流動開始温度が100〜220℃である芳香族ポリエーテル(A)60〜10重量%と、プロトン酸基を有する芳香族ポリエーテル(B)40〜90重量%からなることを特徴とするプロトン伝導性樹脂組成物。
- 前記芳香族ポリエーテル(B)が、下記一般式(4)で表わされる繰り返し構造単位を有する芳香族ポリエーテルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプロトン伝導性樹脂組成物。
- 前記芳香族ポリエーテル(B)が、下記一般式(5)で表わされる繰り返し構造単位を有する芳香族ポリエーテルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプロトン伝導性樹脂組成物。
- 前記プロトン酸基が、−CnH2n−SO3Y(nは0〜10の整数、YはH,NaまたはKである。)であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のプロトン伝導性樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のプロトン伝導性樹脂組成物を含んでなる熱融着可能なプロトン伝導膜。
- 請求項7に記載のプロトン伝導膜を用いてなる燃料電池。
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