JP2004305940A - 微小流路構造体及びそれを用いた化学反応方法 - Google Patents
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Abstract
【解決の手段】反応原料を含む流体を導入するための2以上の導入口及びそれに連通する導入流路と、反応生成物の抽出用流体を導入するための導入口及びそれに連通する抽出流路と、流体を排出するための排出流路及びそれに連通する排出口とを有した微小流路構造体であって、導入流路と抽出流路とは導入される流体が互いに接触できるように立体的に配置されてなる微小流路構造体及びそれを用いた化学反応方法を用いる。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学反応を行なう微小流路を有する微小流路構造体において、微小流路内の化学反応によって生成する生成物の抽出、分離を行なうに好適な方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、数cm角のガラス基板上に長さが数cm程度で、幅と深さがサブμmから数百μmの微小流路を有する微小流路構造体を用い、流体を微小流路へ導入することにより化学反応を行う研究が注目されている。このような微小流路では、微小空間での短い分子間距離および大きな比界面積の効果による分子の速やかな拡散により、特別な攪拌操作を行なわなくとも効率の良い化学反応を行なうことができることや、反応によって生じた目的化合物が反応相から抽出相へすばやく抽出、分離されることによって、引き続いて起こる副反応が抑えられることが示唆されている。(例えば、非特許文献1を参照。)上記の例等では、図1に示すようにY字状の微小流路に原材料を溶かした水相(1)と有機相(2)を導入し、Y字の合流部分で形成される有機相と水相の流体境界(3)で反応を起こしている。一般的に、マイクロスケールの流路内ではレイノルズ数が1より小さいケースがほとんどであり、よほど流速を大きくしない限りは図1に示すような層流の状態となる。また、拡散時間は微小流路の幅(4)の2乗に比例するので、微小流路の幅(4)を小さくするほど反応液を能動的に混合しなくとも分子の拡散によって混合が進み、反応や抽出が起こりやすくなる。また、図2に示すように、微小流路の流体排出口(6)もY字にしておけば、比較的容易に水相と有機相を分離することができ、これを利用して2種類の液相間で抽出操作、分離操作などが行われている。
【0003】
しかしながら、通常、図1のような場合、反応の進行は主に流体境界(3)で進行するため、分子の拡散効果だけでは反応生成物が流体境界(3)に蓄積されることが示唆されている。(例えば、非特許文献2を参照。)3種類の液相関では、図3に示すように2つの流体境界(3)が形成され、外側の流体同士を直接接触させることはできないため、前述した微小空間での反応の特徴である効率の良い化学反応、すばやい抽出、分離および副反応の抑制といった効果を十分に得ることができなかった。
【0004】
【非特許文献1】
H.Hisamoto(H.ひさもと)ら、「Fast and high conversion phase−transfer synthesis exploiting the liquid−liquid interface formed in a microchannel chip」 Chem. Commun., 2662〜2663頁, 2001年発行
【非特許文献2】
藤井著、「集積型マイクロリアクターチップ」 ながれ, 20巻, 99〜105頁, 2001年発行
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、かかる従来の実状に鑑みて提案されたものであり、反応に必要な原料を含んだ2以上の流体を微小流路に導入し、微小流路内で流体の進行方向に互いの流体境界で接触させて反応を起こさせ、生成物を反応相から抽出相に抽出し分離する場合、流体境界で蓄積した反応生成物を抽出相内でよりすみやかに均一に分散、抽出させることを可能とする構造を有した微小流路構造体、さらにこのような構造体を用いた化学反応方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するものとして、3以上の流体を同時に接触、あるいは混合することで反応させる反応相としての流路を有する微小流路構造体であって、一方の相が他方の相全てと接するように流路を立体的に配置したことを特徴とする微小流路構造体を用いることで、また、抽出用流体と反応原料を含む2以上の流体とを微小流路へ導入して互いに接触させた後、反応原料が反応して得られる生成物を反応の進行と共に抽出用流体へ移動させ、抽出用流体及び/又は反応原料を含む流体を得ることで、上記の従来技術による課題を解決することができ、遂に本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、反応原料を含む流体を導入するための2以上の導入口及びそれに連通する導入流路と、反応生成物の抽出用流体を導入するための導入口及びそれに連通する抽出流路と、流体を排出するための排出流路及びそれに連通する排出口とを有した微小流路構造体であって、前記導入流路と前記抽出流路とは導入される流体が互いに接触できるように立体的に配置されてなる微小流路構造体であり、また、微小流路を有する構造体を用いて化学反応を行う方法であって、抽出用流体と反応原料を含む2以上の流体とを微小流路へ導入して互いに接触させた後、反応原料が反応して得られる生成物を反応の進行と共に抽出用流体へ移動させ、前記抽出用流体及び/又は前記反応原料を含む流体を得る化学反応方法である。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
<化学反応方法>
上記したように、本発明の化学反応方法は、微小流路を有する構造体を用いて化学反応を行う方法であって、抽出用流体と反応原料を含む2以上の流体とを微小流路へ導入して互いに接触させた後、反応原料が反応して得られる生成物を反応の進行と共に抽出用流体へ移動させ、前記抽出用流体及び/又は前記反応原料を含む流体を得る方法である。
【0009】
本発明において用いられる抽出用流体とは、微小流路を有する構造体に導入された反応原料が反応して得られる生成物を抽出できる媒体を指し、これは反応生成物やその溶解用の溶媒などの物性に応じて適宜選択できる。例えば、ヨードメタンとエチレンジアミン(共に反応原料がアセトニトリルに溶解)であり、反応生成物がN−メチルエチレンジアミンの場合には、水等の親水性媒体を使えば良く、反応生成物やその溶解用の溶媒の種類等によっては疎水性媒体を使うこともできる。これらは目的に応じて公知の溶媒を適宜選択して使えばよい。
【0010】
本発明において用いられる反応原料を含む2以上の流体とは、目的とする反応生成物を得るために微小流路を有する構造体に導入される原料及びそれを溶解する媒体を指し、これら反応原料を含む流体は別々の微小流路より導入され、その後合流して接触することで反応が進行するのである。
【0011】
反応原料としては、ヨードメタンとエチレンジアミンといった原料間の接触により反応する原料であれば特に限定されない。また、反応原料を含む2以上の流体として、導入される流体が3以上となる場合には、目的に応じて同じ原料を含む流体としてもよい。これらは反応効率や原料の溶解性などで適宜決められる。
【0012】
上記した抽出用流体と反応原料を含む2以上の流体は微小流路へ導入され、反応原料を含む2以上の流体は互いに接触して化学反応を生じて反応生成物が生じる。そして反応の進行と共に、当該微小流路に反応原料を含む2以上の流体と同時に送液されている抽出用流体へ移動する。このように、反応生成物を抽出用流体へ移動させることで、例えば反応生成物がさらに副反応等により目的物以外のものに変わったり、反応生成物の存在により本来の反応が進行しにくくなることを抑制することが可能となり、反応を効率的に進行させることが可能となるのである。
【0013】
また、抽出用流体と反応原料を含む2以上の流体とを微小流路へ導入する際に、これらの流体に層流を形成させ反応させることができれば、前記した効果は一層向上するため好ましい。
【0014】
さらに、反応原料を含む2以上の流体の界面又はその近傍において化学反応を行わせることもその効果を高めることになり好ましく、また、抽出用流体により、反応原料を含む2以上の流体の界面近傍において生成する生成物を抽出することも効果的となる。
【0015】
そして、この後、抽出用流体、反応原料を含む流体、あるいは両者を得ることで、目的の反応生成物が得られることとなる。この際に、微小流路内、あるいは外部にて反応生成物を分離・分取することができる。
【0016】
ここで、本発明の微小流路構造体に備わる導入口とは、化学反応等を行わせるための流体を当該微小流路構造体へ導入させるための開口部であり、導入される流体はこの導入口よりこれに連通する導入流路を通じて送液される。本発明においては化学反応を実施するため、反応原料を含有した流体を2種以上、さらには必要に応じて反応生成物を抽出したりするための流体を導入するために、導入口及び導入流路の数としては、2以上有することが必須となる。
【0017】
導入流路へ送液された上記の流体は、導入流路に連通する微小流路へ送液される。微小流路においては導入された流体が層流をなし、この微小流路内において各流体相の間で化学反応を起こさせる。また、必要に応じて、光照射装置により光を照射したり、加熱装置により加熱したりして、微小流路部分へエネルギーを供給し化学反応を効率的に行わせることもできる。
【0018】
このようにして微小流路において化学反応させた後、送液方向から見て微小流路の後方側では、微小流路から分岐しかつ流体を排出するための2以上の排出流路及びそれらに連通する排出口が備えられている。この排出流路は、微小流路と排出流路との連通部分に分岐部を有しており、分岐部では微小流路内の層流が分離される。
【0019】
また、上記の微小流路とは、一般的に幅500μm以下、深さ300μm以下のサイズの流路である。また、導入流路と排出流路の幅と深さは特に制限はないが、微小流路と同様の幅と深さであっても良い。また、導入口と排出口の大きさも特に制限はないが、一般的に直径数0.1〜数mm程度の大きさであれば良い。
<微小流路構造体>
本発明の微小流路構造体は、上記した化学反応方法に用いられるものであって、反応原料を含む流体を導入するための2以上の導入口及びそれに連通する導入流路と、反応生成物の抽出用流体を導入するための導入口及びそれに連通する抽出流路と、流体を排出するための排出流路及びそれに連通する排出口とを有し、導入流路と抽出流路とは導入される流体が互いに接触できるように立体的に配置されてなるものである。このような構成をとることで、本発明の微小流路構造体の流路は、3以上の流体を同時に接触、あるいは混合することで反応させる反応相として機能させることができる。
【0020】
ここで、本発明の微小流路構造体に備わる導入口とは、反応原料を含む流体及び化学反応により生成した反応生成物を抽出するための抽出用流体を微小流路構造体へ導入させるための開口部である。反応原料を含む流体はこの導入口よりこれに連通する導入流路を通じて送液され、これらの導入口及び導入流路は目的とする反応生成物によるが、2以上備えている。また、化学反応により生成した反応生成物を抽出するための抽出用流体はこの導入口よりこれに連通する抽出流路を通じて送液される。
【0021】
本発明の微小流路構造体においては、これらの導入流路と抽出流路とが、互いに送液される流体が接触できるような構造となっており、この構造により、反応により生じた反応生成物を抽出用流体へ移動させることが可能となるのである。
【0022】
さらにより具体的に導入流路と抽出流路について述べれば、導入流路は送液される流体が合流できる構造となって、その合流部分から原料が接触して化学反応が進行する構造となっている。また、抽出流路は、送液される流体が、最初から導入流路を送液される流体と接触できる構造となっていてもよいが、導入口から適当な間は非接触となり、導入流路で反応生成物が徐々に生じてきた部位から接触できる構造となっていてもよい。
【0023】
これらの導入流路と抽出流路の配置については、導入される流体が互いに接触できるように立体的に配置されておればよい。さらに具体的例により述べれば、微小流路構造体が平板状である場合を例とすると、導入流路が下側で抽出流路が上側に、あるいはその逆で、導入流路が上側で前記抽出流路が下側に、配置されておればよい。より具体的には、少なくとも導入流路を備えた微小流路基板と少なくとも抽出流路を備えた微小流路基板とを重ねあわせて形成させることで、このような微小流路構造体を配置を達成させることができる。
【0024】
そして、反応により生成した反応生成物は抽出流路にて抽出され、その後、流体を排出するための排出流路に送液され、排出流路に連通する排出口より排出されることになる。
【0025】
図3に示すように、2以上の流体が隣り合う流体と流体方向に沿って接触し流体境界を保ちながら流れる微小流路を有する微小流路構造体(7)と、1以上の流体が流れる微小流路を有する微小流路構造体兼カバー体(8)とを別々の2枚の基板に形成し、これらを精密に貼り合わせることによって3以上の流体が連続した1つの流体界面を介して同時に接触する手段を微小流路に有している。
【0026】
本発明の微小流路構造体は、流体を導入する微小なポンプなどの流体導入手段を微小流路構造体自体に備えていても良いが、微小流路構造体の構造をより単純にして構成しやすくするためには、流体導入手段は外部に備えた方が好ましく、すなわち、本発明の微小流路構造体は、反応用の流体および抽出用の流体を導入するための3以上の導入口と、導入された前記流体を流す1以上の微小流路と、前記反応用流体および抽出用の流体を排出する1以上の排出口とを有し、前記微小流路が前記導入口及び前記排出口に連通した微小流路構造体であることが好ましい。この場合、微小流路構造体の外部に設置したシリンジポンプなどから流体導入口に流体を容易に導入することができる。
【0027】
上記のような機能を微小流路に持たせることで、反応に必要な原料を含んだ2以上の流体を微小流路に導入し、微小流路内で流体の進行方向に互いの流体境界で接触させて反応を起こさせ、反応生成物を反応相から抽出相に抽出し分離する場合、反応相の流体境界部分に例えば生成物の抽出効率がより高い直接抽出相が接触しているため、反応生成物が流体境界で蓄積されずに抽出相内でよりすみやかに均一に分散し十分な反応および抽出効果を得ることができる。また、各流体が流体境界を保持しているので、生成物が抽出された抽出相を反応相から容易に分離することができ、引続きおこる副反応の抑制等の効果を十分に得ることができる。
【0028】
微小流路を有する微小流路基板は、例えばガラスや石英、セラミック、シリコン、あるいは金属や樹脂等の基板材料を、機械加工やレーザー加工、エッチングなどにより直接加工することによって製作できる。また、基板材料がセラミックや樹脂の場合は、流路形状を有する金属等の鋳型を用いて成形することで製作することもできる。なお一般的に、前記微小流路基板は、流体導入口、流体排出口、および各微小流路の排出口に対応する位置に直径数mm程度の小穴を設けたカバー体と積層一体化させた微小流路構造体として使用する。カバー体と微小流路基板をの接合方法としては、基板材料がセラミックスや金属の場合は、ハンダ付けや接着剤を用いたり、基板材料がガラスや石英、樹脂の場合は、百度〜千数百度の高温下で荷重をかけて熱接合させたり、基板材料がシリコンの場合は洗浄により表面を活性化させて常温で接合させるなどそれぞれの基板材料に適した接合方法が用いられる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明の実施例を示し、更に詳しく発明の実施の形態について説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
【0030】
また、実施例においては1枚の基板上に1本の微小流路を形成したが、工業的に量産する場合は、1枚の基板上に多数の微小流路を形成する、あるいは多数形成した1枚の基板を積層することで可能となる。
【0031】
(実施例)
実施例として、図4に示すようなΨ字状の微小流路構造体を、図5に示される手順にて製作した。すなわち、図5において、反応用微小流路基板(11)上に形成した反応用微小流路(9)の幅は220μm、深さは80μm、長さ40mmであり、また流路の中央付近には高さ3μmの仕切り壁を形成した。流体導入口(5)につながる両側の2本の微小流路は、中心の微小流路と44°の角度でそれぞれ合流させた。また抽出用微小流路(10)の幅は100μm、深さは30μm、長さ60mmであり、反応用微小流路(9)と抽出用微小流路(10)は、70mm×38mm×1mm(厚さ)のパイレックス(登録商標)基板に一般的なフォトリソグラフィーとウエットエッチングにより形成し、反応用微小流路基板(11)および、抽出用微小流路基板(12)とした。抽出用微小流路基板(12)には、3つの流体導入口(5)と1つの流体排出口(6)の位置に直径0.6mmの貫通した小穴(13)を機械的加工手段により設けた。反応用微小流路基板(11)と抽出用微小流路基板(12)を熱融着により接合することで反応用微小流路(9)および抽出用微小流路(10)を密閉した。
【0032】
この反応用微小流路(9)の流体導入口(5)の一方からヨードメタンのアセトニトリル溶液の有機相を送液し、流体導入口(5)のもう一方からエチレンジアミンのアセトニトリル溶液の有機相を送液し、エチレンジアミンのメチル化反応を行なった。中央の抽出用微小流路(10)の流体導入口(5)には、水を抽出溶媒として導入し、2つのアセトニトリルの有機相と水相の送液速度を調整して抽出溶媒である水がエードメタンのアセトニトリル溶液とエチレンジアミンのアセトニトリル溶液の流体境界に立体的に接するように送液した。2つの有機相の送液速度は10μl/min、水相の送液速度は5μl/minであった。流体排出口から排出された水相を試験管で回収し、高速液体クロマトグラフィーを用いて分析したところ、エチレンジアミンとN−メチルエチレンジアミンの量比が約91:9で確認され、この反応におけるN−メチルエチレンジアミンの転換率は約9%程度であった。
【0033】
(比較例)
比較例として、図6に示すようなY字状の微小流路構造体を製作した。形成した微小流路(14)の幅は220μm、深さは80μm、長さ40mmである。また、流路の中央付近には高さ3μmの仕切り壁を形成した。流路は、70mm×38mm×1mm(厚さ)のパイレックス(登録商標)基板に一般的なフォトリソグラフィーとウエットエッチングにより形成し、2つの流体導入口(5)と1つの流体排出口(6)に相当する位置に、直径0.6mmの貫通した小穴(13)を機械的加工手段により設けた、同サイズのパイレックス(登録商標)基板(16)をカバー体として熱融着により接合することで微小流路(14)を密閉した。この微小流路の流体導入口(5)の一方からヨードメタンのアセトニトリル溶液である有機相を送液し、もう一方の流体導入口(5)からは、エチレンジアミンの水溶液である水相を送液し、送液速度を調整することで層流を形成してエチレンジアミンのメチル化反応を行なった。送液速度は有機相及び水相とも10μl/minであった。なおこの場合、エチレンジアミンの水溶液は生成物であるN−メチルエチレンジアミンの抽出溶媒を兼ねている。
【0034】
流体排出口から排出された水相を試験管で回収し、高速液体クロマトグラフィーを用いて分析したところ、エチレンジアミンとN−メチルエチレンジアミンの量比が約93:7で確認され、この反応におけるN−メチルエチレンジアミンの転換率は約7%程度であった。
【0035】
以上のことから、抽出溶媒を反応相の流体境界に立体的に接触させることで、抽出効率が向上し、反応系に用いる溶媒以外を抽出溶媒として用いることができると共に、その結果として反応を効率的に進行させることができることを確認した。
【0036】
【発明の効果】
本発明の微小流路構造体は、3以上の流体を同時に接触、あるいは混合することで反応させる反応相としての流路を有する微小流路構造体であって、一方の相が他方の相全てと接するように流路を立体的に配置したことを特徴とする微小流路構造体において、3以上の流体が連続した1つの流体界面を介して同時に接触させることができる。
【0037】
本発明の微小流路構造体を用いた化学反応方法は、反応に必要な原料を含んだ2以上の流体を微小流路に導入し、微小流路内で流体の進行方向に互いの流体境界で接触させて反応を起こさせ、反応生成物を反応相から抽出相に抽出し分離する場合、反応相の流体境界部分に例えば生成物の抽出効率がより高い直接抽出相が接触しているため、反応生成物が流体境界で蓄積されずに抽出相内でよりすみやかに均一に分散し十分な反応および抽出効果を得ることができ、また、各流体が流体境界を保持しているので、生成物が抽出された抽出相を反応相から容易に分離することができ、引続きおこる副反応の抑制等の効果を十分に得ることができる。そして、その結果として反応を効率的に進行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の液滴生成用微小流路を示す概略図である。
【図2】ダブルY字状微小流路内における層流を示す概念図である。
【図3】Ψ字状微小流路内における層流を示す概念図である。
【図4】3種以上の流体を同時に接触、あるいは混合することで反応させる反応相としての流路を有する微小流路構造体を示す概念図である。
【図5】実施例における溶媒抽出用微小流路を示す概略図である。
【図6】実施例における溶媒抽出用微小流路を示す概略図である。
【符号の説明】
1:水相
2:有機相
3:流体界面
4:微小流路の幅
5:流体導入口
6:流体排出口
7:微小流路構造体
8:微小流路構造体兼カバー体
9:反応用微小流路
10:抽出用微小流路
11:反応用微小流路基板
12:抽出用微小流路基板
13:貫通した小穴
14:微小流路
15:微小流路基板
16:カバー体
Claims (8)
- 反応原料を含む流体を導入するための2以上の導入口及びそれに連通する導入流路と、反応生成物の抽出用流体を導入するための導入口及びそれに連通する抽出流路と、流体を排出するための排出流路及びそれに連通する排出口とを有した微小流路構造体であって、前記導入流路と前記抽出流路とは導入される流体が互いに接触できるように立体的に配置されてなることを特徴とする微小流路構造体。
- 前記導入流路が下側に、前記抽出流路が上側に、配置されてなることを特徴とする請求項1記載の微小流路構造体。
- 前記導入流路が上側に、前記抽出流路が下側に、配置されてなることを特徴とする請求項1記載の微小流路構造体。
- 少なくとも導入流路を備えた微小流路基板と少なくとも抽出流路を備えた微小流路基板とを重ねあわせて形成されてなるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の微小流路構造体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の微小流路構造体を用いて化学反応を行う方法であって、抽出用流体と反応原料を含む2以上の流体とを微小流路へ導入して互いに接触させた後、反応原料が反応して得られる生成物を反応の進行と共に抽出用流体へ移動させ、前記抽出用流体及び/又は前記反応原料を含む流体を得ることを特徴とする化学反応方法。
- 抽出用流体と反応原料を含む2以上の流体とを微小流路へ導入して層流を形成させることを特徴とする請求項5記載の化学反応方法。
- 前記反応原料を含む2以上の流体の界面又はその近傍において化学反応を行わせることを特徴とする請求項6記載の化学反応方法。
- 前記抽出用流体を、前記反応原料を含む2以上の流体の界面近傍において生成する生成物を抽出することを特徴とする請求項7記載の化学反応方法。
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