JP4453346B2 - 微小流路構造体及びそれを用いた化学操作方法 - Google Patents
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Description
ΔP=P2−P1=32μLu/d2 (式1)
となる。これをハーゲン−ポアズイユの式という。ここで、μ[Pa・sあるいはkg/(m・s)]は粘性係数、L[m]は流路長(42)である。今、図19に示すように微小流路に密度と粘性係数の等しい2つの流体A(13)と流体B(14)が層流となって層流界面を形成して流れている場合、その層流界面に一定の長さJ(43)と一定に間隔L(42)を有する仕切り壁(22)が存在するとき、流体進行方向の仕切り壁仕と切り壁の間に生じる2流体間に働くせん断応力τ[Pa]は、
τ=fρu2/2 (式2)
となる。ここで、fはファニングの管摩擦係数、ρ[kg/m3]は流体の密度、u[m/s]は流体の線速度u[m/s]である。一般に管内が層流の場合、ファニングの管摩擦係数fは、無次元の係数であるレイノルズ数Reを用いると、
f=16/Re (式3)
また、レイノルズ数Reは
Re=ρuL/μ (式4)
で表される。(式3)と(式4)から(式2)のせん断応力τは以下のようになる。
仕切り壁での流体の線速度はゼロであり、仕切り壁と仕切り壁の間は流体の進行方向に働く力ΔPと、流体進行方向の仕切り壁仕と切り壁の間に生じる2流体間に働くせん断応力τの差による力によって、流体に加速度a[m/s2]が生じることから、以下の式が成立する。
ここで、M[kg]は微小流路の流路長L内に存在する流体の質量、S[m2]は微小流路の断面積であり、
ρ=M/L・S (式7)
(式1)、(式5)、(式6)、(式7)から加速度aは、
a=(8μu/ρL)・(4L/d2−1/L) (式8)
となる。
L=0.5・a・t2 (式10)
ここで、(式9)から仕切り壁と仕切り壁の間隔Lが短いほど流体の接触時間tが短くなり、流体境界の流体の線速度は遅くなり、流体境界での高効率な溶媒抽出及び/または化学反応が可能となるが、仕切り壁と仕切り壁の間隔Lが0、すなわちt=0では、流体と流体の接触時間が0、すなわち流体と流体は接触することがなくなり、流体間での物質移動が生じないため、本発明として意味をなさなくなる。従って、少なくとも仕切り壁と仕切り壁の間隔Lは0より大きくしなければならず、本発明における、仕切り壁と仕切り壁の間隔Lを微小流路の幅dで割ったL/dの値は0より大きいことが条件となる。
L/d=0.5 (式11)
となる。従って、微小流路の幅dに対する不連続な仕切り壁の間隔Lの比を0.5に設計することにより、理論的に流体境界での流体の加速度を実質上ゼロにすること、すなわち、流体境界での流体の線速度を実質的にゼロにすることができ、流体境界での高効率な溶媒抽出及び/または化学反応に対して、より理想的な微小流路構造体を設計することができる。
(実施例1)
実施例1として、図14に示すような微小流路構造体を製作した。微小流路(19)の形状は、導入口a(28)と導入口b(29)に連通する導入流路と排出口c(30)と排出口d(31)に連通する、排出流路がそれぞれY字状に2本に分岐している微小流路(19)を用いた。形成した微小流路の幅は100μm、深さは25μm(図14におけるC−C’断面を示す図15、D−D’断面を示す図16に認められる)、長さは30mmである。また、微小流路内部の構造として、微小流路の中央付近には、図13に示したような流体進行方向に不連続な高さ25μmの仕切り壁(22)を流体進行方向に形成した。流体進行方向の仕切り壁の長さと仕切り壁と仕切り壁の間隔は、50μm−50μm、100μm−100μm、200μm−200μmの3種類の微小流路を用いた。微小流路は、70mm×38mm×1mm(厚さ)のパイレックス(登録商標)基板に一般的なフォトリソグラフィーとウエットエッチングにより形成した。導入口a(28)と導入口b(29)、排出口c(30)と排出口d(31)に相当する位置に、直径0.6mmの貫通した小穴(35)を機械的加工手段により設けた同サイズのパイレックス(登録商標)基板をカバー体(34)として熱融着により接合することで微小流路を密閉し、微小流路構造体を形成した。
比較例1として、図10に示すような微小流路構造体を製作した。微小流路(19)の形状は、導入口a(28)と導入口b(29)に連通する導入流路と排出口c(30)と排出口d(31)に連通する、排出流路がそれぞれY字状に2本に分岐している微小流路(19)を用いた。形成した微小流路の幅は100μm、深さは25μm(図10におけるA−A’断面を示す図11、B−B’断面を示す図12に認められる)、長さは30mmである。また、微小流路内部の構造として、微小流路の中央付近には、図9に示したような流体進行方向に高さ3μmのガイド状(16)を形成した。微小流路は、70mm×38mm×1mm(厚さ)のパイレックス(登録商標)基板に一般的なフォトリソグラフィーとウエットエッチングにより形成した。導入口a(28)と導入口b(29)、排出口c(30)と排出口d(31)に相当する位置に、直径0.6mmの貫通した小穴(35)を機械的加工手段により設けた同サイズのパイレックス(登録商標)基板をカバー体(34)として熱融着により接合することで微小流路を密閉し、微小流路構造体を形成した。また水相と有機相の二相層流分離を良好にするため、以下のような手法を用いて、微小流路構造体の微小流路の片側内壁を疎水化処理した。すなわち、飽和KOH−エタノール溶液を導入口a(28)および導入口b(29)から送液速度5μL/分で30分間程度送液し、次に導入口aからはトルエン、導入口bからは10%オクタデシルトリクロロシランのトルエン溶液を送液速度5μL/分で3時間程度送液した。この処理により、トルエンのみを送液した導入口aから導入されて排出口c(30)から排出される側の微小流路片側内壁はもともとのパイレックス(登録商標)ガラスの親水性の状態であり、10%オクタデシルトリクロロシランのトルエン溶液を送液した導入口bから導入されて排出口d(31)から排出される側の微小流路片側内壁は疎水性に修飾される。
(実施例2)
実施例2として、実施例1と同じ微小流路構造体を用いて、水相に10%の水酸化ナトリウムを溶解させ、有機相であるトルエンに0.5mMのシクロヘキシルアルデヒドと0.5mMのグリシンtertブチルエステルのベンゾフェノンイミンを溶解させ、さらにキラル相間移動触媒として、0.1mMのN-(4-トリフルオロメチルベンジル)シンコニニウムブロミドを溶解させ、不斉アルドール反応を行った。微小流路には、導入口aから水相を送液速度25μL/分、10μL/分、5μL/分と送液速度を変えて送液し、この水相のそれぞれの送液速度に対して、導入口bから有機相を送液速度を50μL/分、20μL/分、10μL/分と送液速度を変えて送液した。反応温度は0℃で実施した。その結果、仕切り壁の近傍に流体境界が形成され、排出口cからは水相が、排出口dからは有機相が、お互いがほぼ混入しないで排出された。排出された有機相を高速液体クロマトグラフィーにより定量したところ、図20に示す生成物を得ることができた。それぞれの微小流路における送液速度による反応率(反応原料に対する生成物のモル%)は表2の結果となった。
比較例2として、比較例1と同じ微小流路構造体を用いて、水相に10%の水酸化ナトリウムを溶解させ、有機相であるトルエンに0.5mMのシクロヘキシルアルデヒドと0.5mMのグリシンtertブチルエステルのベンゾフェノンイミンを溶解させ、さらにキラル相間移動触媒として、0.1mMのN-(4-トリフルオロメチルベンジル)シンコニニウムブロミドを溶解させ、不斉アルドール反応を行った。微小流路には、導入口aから水相を送液速度25μL/分、10μL/分、5μL/分と送液速度を変えて送液し、この水相のそれぞれの送液速度に対して、導入口bから有機相を送液速度を50μL/分、20μL/分、10μL/分と送液速度を変えて送液した。反応温度は0℃で実施した。その結果、仕切り壁の近傍に流体境界が形成され、排出口cからは水相が、排出口dからは有機相が、お互いがほぼ混入しないで排出された。排出された有機相を高速液体クロマトグラフィーにより定量したところ、図20に示す生成物を得ることができた。それぞれの微小流路における送液速度による反応率(反応原料に対する生成物のモル%)は表2の結果となった。
2:有機相
3:流体境界
4:分岐部
5:合流部近傍
6:分岐部近傍
7:微小流路が直線以外の形状の部分の直前及び/又は直後の近傍付近
8:微小流路の中央近傍
9:微小流路の幅
10:流路長
11:流体導入口
12:流体排出口
13:流体A
14:流体B
15:線速度ベクトル
16:ガイド状
17:流路深さ
18:微小流路の底面
19:微小流路
20:仕切り壁の間隔
21:排出流路近傍
22:仕切り壁
23:仕切り壁の厚さ
24:仕切り壁の高さ
25:流体進行方向の仕切り壁と仕切り壁の最短間隔
26:流体進行方向の仕切り壁の最長の長さ
27:流体進行方向
28:導入口a
29:導入口b
30:排出口c
31:排出口d
32:基板
33:導入流路近傍
34:カバー体
35:小穴
36:ガイド状の厚さ
37:合流部
38:水平円筒管の直径
39:水平円筒管
40:線速度
41:円筒管端面
42:水平円筒管の流路長
43:仕切り壁の長さ
Claims (2)
- 流体を導入するための2つの導入口及びそれらに連通する導入流路と、前記導入流路が合流する合流部と連通しかつ導入された流体を流すための微小流路と、前記微小流路に連通しかつ所定の流体を排出する排出流路及びそれらに連通する排出口と、を有した微小流路構造体であって、2種の流体により形成される境界近傍の流体の線速度が流路内壁近傍以外の部分での流体の線速度よりも遅くなるように、2種の流体により形成される境界近傍に沿って、流体進行方向に複数の不連続な仕切り壁が形成されており、かつ、流体進行方向の前記不連続な仕切り壁と仕切り壁の間隔をL、微小流路の幅をdとしたときに、L/d=0.5となることを特徴とする微小流路構造体。
- 請求項1記載の微小流路構造体を用いて、隣接する2種の流体間で化学反応および/または溶媒抽出を行うことを特徴とする化学操作方法。
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