JP2004303984A - 強誘電体メモリ素子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】強誘電体層が還元され難い、強誘電体メモリ素子を提供する。
【解決手段】強誘電体キャパシタ上に絶縁層としてオゾンTEOS−SiO2膜をもちいるときは、水素バリア膜の形成位置をこのオゾンTEOS−SiO2上とする。また水素バリア膜の形成前に、このオゾンTEOS−SiO2膜に対して脱水処理をおこなう。
【選択図】 図3
【解決手段】強誘電体キャパシタ上に絶縁層としてオゾンTEOS−SiO2膜をもちいるときは、水素バリア膜の形成位置をこのオゾンTEOS−SiO2上とする。また水素バリア膜の形成前に、このオゾンTEOS−SiO2膜に対して脱水処理をおこなう。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メモリセルアレイを含む強誘電体メモリ素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
強誘電体メモリ素子の製造において、強誘電体層を形成した後、層間絶縁層の形成工程やドライエッチング工程などにおいて、強誘電体層が水素雰囲気下に曝されることがある。強誘電体層は、一般に金属酸化物からなる。このため、強誘電体層が水素に曝されると、強誘電体層を構成する酸素がこの水素により還元される。これにより、強誘電体層がダメージを受けることになる。たとえば、強誘電体層がSBT(SrBi2Ta2O9)からなる場合には、SBTが水素によって還元されると、粒界部において金属Biが生じ、上部電極と下部電極とが短絡することになる。これを防止する目的で、一般的に水素バリア膜と称される保護膜を強誘電体キャパシタ上に被覆する。水素バリア膜としては各種酸化物が検討されており、特にAl2O3の化学式で表される化合物が優れた水素バリア性能を示すため有力な候補材料として注目されている。
【0003】
ところが素子の形成過程において層間絶縁膜から発生する水分等がAl2O3と反応するとAl2O3の一部が水酸化物に変化してしまい、Al2O3の膜質が大きく損なわれてしまう。膜本来の水素バリア性能が発揮されず、還元雰囲気に対する耐性を望むことが出来ないという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、素子の形成過程において層間絶縁膜等から発生する水分から水素バリア膜を保護し、最終工程まで水素バリア性能を維持させることによって、強誘電体の還元劣化を防止することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の強誘電体メモリ素子は、メモリセルがマトリクス状に配列され、下部電極と、該下部電極と交差する方向に配列された上部電極と、少なくとも前記上部電極と前記下部電極との交差領域に配置された強誘電体層と、少なくともメモリセルアレイの上に水素バリア膜を含む層間絶縁層が形成された強誘電体メモリ素子において、前記水素バリア膜は前記層間絶縁層の中間に配置されることを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、水素バリア膜の材料が強誘電体層へ拡散、反応することを防止できるため、強誘電体キャパシタの特性劣化を防止できるという効果を有する。
【0007】
本発明の強誘電体メモリ素子は、前記層間絶縁層がオゾンTEOS−SiO2膜とプラズマTEOS−SiO2膜の積層によって構成されるとき、前記水素バリア膜はオゾンTEOS−SiO2に配置されることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、オゾンTEOS−SiO2成膜中に発生する水分が水素バリアの膜質を劣化させることを防止できるという効果を有する。
【0009】
本発明の強誘電体メモリ素子は、前記強誘電体層が、前記下部電極と前記上部電極との交差領域に設けられ、前記強誘電体層と前記上部電極との間に、中間電極が設けられていることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、強誘電体キャパシタの内部から、強誘電体キャパシタの領域外への電気力線のはみ出しが抑えられるため、強誘電体キャパシタのヒステリシスループの角型性を向上させることができるという効果を有する。
【0011】
本発明の強誘電体メモリ素子は、前記水素バリア膜がAl2O3の化学式で表記される酸化物を含有していることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、前記強誘電体キャパシタ上へ形成する水素バリアの膜厚を薄くすることができるためパターニング加工が簡単になるという効果を有する。
【0013】
本発明の強誘電体メモリ素子は、前記水素バリア膜が前記強誘電体層を形成する金属元素を少なくとも一つ以上含有する酸化物であることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、強誘電体層の成膜素子を利用して水素バリア膜を形成することができるため、プロセスラインを簡略化できるという効果を有する。
【0015】
本発明の強誘電体メモリ素子は、前記オゾンTEOS−SiO2膜の下部に耐水性の保護膜が設けられていることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、オゾンTEOS−SiO2膜から放出された水分が強誘電体層へ侵入することを防止できる為、水分による強誘電体キャパシタの特性劣化を防止できるという効果を有する。
【0017】
本発明の強誘電体メモリ素子は、前記保護膜が前記オゾンTEOS−SiO2膜と前記強誘電体層との密着層として機能することを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、オゾンTEOS−SiO2膜から放出された水分が強誘電体層へ侵入することを防止できると同時に、前記オゾンTEOS−SiO2膜と前記強誘電体層との密着力を確保できるという効果を有する。
【0019】
本発明の強誘電体メモリ素子は、前記メモリセルに対して選択的に情報の書き込みもしくは読み出しを行うための周辺回路部を含み、前記周辺回路部の上には、前記水素バリア膜が形成されていないことを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、周辺回路部の上に水素バリア膜が形成されていないことにより、周辺回路部に水素が進入することができるため、周辺回路部を水素によって回復させることができる。つまり、メモリセルアレイの強誘電体層が水素によって還元されるのを抑えつつ、周辺回路部を水素によって回復させることができるという効果を有する。
【0021】
本発明の強誘電体メモリ素子の製造方法は、強誘電体キャパシタからなるメモリセルがマトリクス状に配列されたメモリセルアレイを含む強誘電体メモリ素子の製造方法であって、以下の工程を含む。
(a)基板の上に、第1導電層を形成する工程、
(b)前記第1導電層の上に、強誘電体層を形成する工程、
(c)前記強誘電体層の上に、第2導電層を形成する工程、
(d)少なくとも、前記強誘電体層および前記第2導電層をパターニングする工程、
(e)前記基体の上に、前記第1導電層、前記強誘電体層および前記第2導電層を含む積層体を覆うようにオゾンTEOS−SiO2膜を形成する工程、
(f)前記第2導電層の上面が露出するまで、前記オゾンTEOS−SiO2層を除去する工程、および
(g)前記オゾンTEOS−SiO2膜に対して脱水処理を施す工程、
(h)前記第2導電層と部分的に重なるように、所定のパターンを有する第3導電層を形成する工程、
(i)少なくとも、前記第1導電層、前記強誘電体層および前記第2導電層が形成された領域に、水素バリア膜を形成する工程。
上記方法によれば、(d)の工程によって形成された強誘電体層および導電層と基板表面との段差部に(e)工程によって良好な段差被覆性を有するオゾンTEOS−SiO2膜で埋め込むことができる。これを脱水処理した上で水素バリア膜を被覆するため水分による水素バリア膜の劣化が防止できるという効果を有する。
【0022】
本発明の強誘電体メモリ素子の製造方法は、前記オゾンTEOS−SiO2膜に対して脱水処理を施す工程が酸素雰囲気における加熱処理であることを特徴とする。
【0023】
上記方法によれば、オゾンTEOS−SiO2膜からの水分が除去できるためこの上に形成される水素バリアの膜質劣化を防止できると同時に、水分によってダメージを受けた強誘電体層自身の特性も回復させることができるという効果を有する。
【0024】
本発明の強誘電体メモリ素子の製造方法は、前記オゾンTEOS−SiO2膜に対して脱水処理を施す工程が酸素プラズマに暴露する工程を含むことを特徴とする。
【0025】
上記方法によれば、オゾンTEOS−SiO2膜からの水分除去を基板加熱無しでおこなうことができるため、回路素子へのダメージを回避することができるという効果を有する。
【0026】
本発明の強誘電体メモリ素子の製造方法は、前記オゾンTEOS−SiO2膜に対して脱水処理を施す工程が、酸素プラズマに暴露した後、酸素雰囲気において加熱処理を施す工程であることを特徴とする。
【0027】
上記方法によれば、より効率的にオゾンTEOS−SiO2膜から水分を除去することができるため、オゾンTEOS−SiO2膜自身が緻密化し、強固な保護膜としてとの性能を発揮するという効果を有する。
【0028】
本発明の強誘電体メモリ素子の製造方法は、前記オゾンTEOS−SiO2膜に対して脱水処理を施す工程が、前記強誘電体層の形成温度以下でおこなわれることを特徴とする。
【0029】
上記方法によれば、前記強誘電体層から揮発性元素の欠損が抑制されるため、膜本来の強誘電性が損なわれないという効果を有する。
【0030】
本発明の強誘電体メモリ素子の製造方法は、前記(e)工程において、前記オゾンTEOS−SiO2膜の下部に予め耐水性の保護膜を形成することを特徴とする。
【0031】
上記方法に因れば,前記オゾンTEOS−SiO2膜に対する脱水処理の過程で発生する水分が強誘電体層に到達するのを防止することができるという効果を有する。
【0032】
前記(e)工程において前記オゾンTEOS−SiO2膜と前記強誘電体層との間の密着層として、耐水性を有する薄膜を形成することを特徴とする。
【0033】
上記方法によれば、オゾンTEOS−SiO2膜と強誘電体層との間の密着力を向上させると同時に、オゾンTEOS−SiO2膜に対する脱水処理の過程で発生する水分が強誘電体層に到達するのを防止することができるという効果を有する。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0035】
1.1 デバイスの構造
図1は、強誘電体メモリ素子を模式的に示す平面図であり、図2は、図1のA−A線に沿って強誘電体メモリ素子の一部を模式的に示す断面図である。図3は、図1のB−B線に沿って強誘電体メモリ素子の一部を模式的に示す断面図である。図4は、図2におけるメモリセルアレイを拡大した断面模式図である。図5は、図3におけるメモリセルアレイを拡大した断面模式図である。
【0036】
強誘電体メモリ素子1000は、メモリセルアレイ100と、周辺回路部200とを有する。そして、メモリセルアレイ100と周辺回路部200とは、異なる層に形成されている。周辺回路部200は、メモリセルアレイ100の外側の領域において形成されている。具体的には、周辺回路部の形成領域A200は、メモリセルアレイの形成領域A100の外側の領域において設けられている。この例では、下層に周辺回路部200が、上層にメモリセルアレイ100が形成されている。周辺回路部200の具体例としては、Yゲート、センスアンプ、入出力バッファ、Xアドレスデコーダ、Yアドレスデコーダまたはアドレスバッファを挙げることができる。
【0037】
メモリセルアレイ100は、行選択のための下部電極(ワード線)12と、列選択のための上部電極(ビット線)16とが直交するように配列されている。すなわち、X方向に沿って下部電極12が所定ピッチで配列され、X方向と直交するY方向に沿って上部電極16が所定ピッチで配列されている。なお、下部電極12がビット線、上部電極16がワード線でもよい。
【0038】
メモリセルアレイ100は、図2および図3に示すように、第1層間絶縁層10の上に設けられている。メモリセルアレイ100は、図4および図5に示すように、第1層間絶縁層10上に、下部電極12、強誘電体キャパシタを構成する強誘電体層14、中間電極18および上部電極(上電極)16が積層されて構成されている。強誘電体層14および中間電極18は、下部電極12と上部電極16との交差領域に設けられている。すなわち、下部電極12と上部電極16との交差領域において、強誘電体キャパシタ20からなるメモリセルが構成されている。
【0039】
図5に示すように、強誘電体キャパシタ20における下部電極12を少なくとも覆うように、絶縁層72が形成されている。この絶縁層72は、上部電極16の下に設けられている。絶縁層72が設けられていることにより、下部電極12と、中間電極18または上部電極16との短絡が防止されている。絶縁層72としては、良好なステップカバレッジを有するオゾンTEOS−SiO2膜をもちいることが望ましい。この上に第一水素バリア膜42を形成する。これによって隣接する強誘電体キャパシタ間の溝が埋め込まれる。
【0040】
また、図4および図5に示すように、少なくともメモリセルアレイ100の全面を覆うように、第二水素バリア膜44が形成されている。第2水素バリア膜44を形成することにより、第二水素バリア膜44の形成後の工程(たとえばパシベーション膜形成工程)で発生する水素によって、強誘電体キャパシタ20の強誘電体層14が還元されるのを抑えることができる。ここで第一水素バリア膜42、あるいは第二水素バリア膜44の材質は、水素バリア機能を有すれば特に限定されない。ただし強誘電体キャパシタの上部電極と下部電極との間の短絡を防止するため、第一水素バリア膜42は絶縁性材料を用いる必要がある。材料としてはアルミニウムの酸化物,マグネシウムの酸化物、ジルコニウムの酸化物、チタンの酸化物、ハフニウムの酸化物等が候補である。あるいは、強誘電体層に含有される材料をもちいても効果がある。たとえば強誘電体層14の材料としてSrBi2Ta2O9(SBT)をもちいるときは、SrBi2Ta2O9(SBT)そのものを水素バリア材料として利用することができる。ただしこの場合、結晶性薄膜としてではなく、アモルファス状態の膜として用いた方がより効果的な水素バリア性能を得ることができる。また、SrBi2Ta2O9(SBT)に含有される一部元素の酸化物でも良い。たとえばストロンチウムの酸化物、ビスマスの酸化物、あるいはタンタルの酸化物が候補である。これらの酸化物の組み合わせでも良い。同様に、強誘電体層14の材料として、Pb(Zr,Ti)O3(PZT)をもちいるときはPZTそのものや、ジルコニウムの酸化物、チタンの酸化物を第一水素バリア膜としてもちいることができる。第二水素バリア膜は水素バリア性能を有する材料であれば絶縁性材料のみならず導電性材料であっても構わない。
【0041】
第一水素バリア膜42は、周辺回路部の形成領域A200には、形成されていないことができる。これにより、メモリセルアレイ100における強誘電体層16が水素により還元されるのを抑えつつ、周辺回路部200を水素により回復することができる。
【0042】
また、図2および図3に示すように、メモリセルアレイ100を覆うように、第1層間絶縁層10の上に、第1保護層36が形成されている。さらに、配線層19を覆うように第1保護層36上に絶縁性の第2保護層38が形成されている。
【0043】
第1保護層36と、第2保護層38との間には、第二水素バリア膜44が形成されている。第二水素バリア膜44は、少なくともメモリセルアレイ領域A100に形成されることができる。第二水素バリア膜44を形成することにより、第二水素バリア膜44の形成後の工程(たとえばパシベーション膜形成工程)で発生する水素によって、メモリセルアレイ100における強誘電体層14が水素により還元されることをより確実に抑えることができる。第二水素バリア膜44の材質は、水素バリア機能を有すれば特に限定されず、絶縁性であっても非絶縁性であってもよい。第二水素バリア膜44が絶縁性の材質からなる場合には、第二水素バリア膜44の材質は、第一水素バリア膜42の材質で例示したものをとることができる。また、第二水素バリア膜44が導電性の材質からなる場合には、第二水素バリア膜44の材質としては、チタン、酸化イリジウム、窒化チタン、アルミニウム、を挙げることができる。
【0044】
また、第二水素バリア膜44は、周辺回路領域A200には形成されていないことができる。これにより、メモリセルアレイ100における強誘電体層14が水素により還元されるのを抑えつつ、周辺回路部200を水素により回復することができる。
【0045】
周辺回路部200は、図1に示すように、前記メモリセルに対して選択的に情報の書き込みもしくは読み出しを行うための各種回路を含み、例えば、下部電極12を選択的に制御するための第1駆動回路50と、上部電極34を選択的に制御するための第2駆動回路52と、センスアンプなどの信号検出回路(図示せず)とを含む。
【0046】
また、周辺回路部200は、図2に示すように、半導体基板110上に形成されたMOSトランジスタ112を含む。MOSトランジスタ112は、ゲート絶縁層112a,ゲート電極112bおよびソース/ドレイン領域112cを有する。各MOSトランジスタ112は素子分離領域114によって分離されている。MOSトランジスタ112が形成された半導体基板110上には、第1層間絶縁層10が形成されている。そして、周辺回路部200とメモリセルアレイ100とは、配線層19よって電気的に接続されている。
【0047】
次に、強誘電体メモリ素子1000における書き込み,読み出し動作の一例について述べる。
【0048】
まず、読み出し動作においては、選択セルのキャパシタに読み出し電圧「V0」が印加される。これは、同時に‘0’の書き込み動作を兼ねている。このとき、選択されたビット線を流れる電流またはビット線をハイインピーダンスにしたときの電位をセンスアンプにて読み出す。このとき、非選択セルのキャパシタには、読み出し時のクロストークを防ぐため、所定の電圧が印加される。
【0049】
書き込み動作においては、‘1’の書き込みの場合は、選択セルのキャパシタに「−V0」の電圧が印加される。‘0’の書き込みの場合は、選択セルのキャパシタに、該選択セルの分極を反転させない電圧が印加され、読み出し動作時に書き込まれた‘0’状態を保持する。このとき、非選択セルのキャパシタには、書き込み時のクロストークを防ぐため、所定の電圧が印加される。
【0050】
1.2 デバイスの作用効果
以下、強誘電体メモリ素子1000の作用効果を説明する。
(1)本実施の形態においては、第一水素バリア膜42を少なくともメモリセルアレイ100の全面を覆うように設けられている。このため、次の作用効果を奏することができる。
【0051】
第一水素バリア膜42を設けることにより、強誘電体層14が、第一水素バリア膜42を形成した後の工程で発生する水素によって還元されるのを抑えることができる。
【0052】
また、第一水素バリア膜42を全面に形成しているため、第一水素バリア膜42を微細なパターンにパターニングする必要がない。このため、第一水素バリア膜42のパターニングが容易となる。
【0053】
ここで第一水素バリア膜42は絶縁層72上に形成している。絶縁層72としてオゾンTEOS−SiO2膜を用いる場合にはこの順序で積層することが望ましい。オゾンTEOS−SiO2膜自身が多量の水分を含むため、この上に第一水素バリア膜を形成しても、オゾンTEOS−SiO2膜から放出される水分によって第一水素バリア膜の膜質が大きく劣化してしまう。一方、オゾンTEOS−SiO2膜を形成してから脱水処理を施した後、この上に第一水素バリア膜を形成する場合は、このような水分による第一水素バリア膜の劣化が回避できる。膜質の劣化が無くなるため、以後の工程において発生する水素がキャパシタまで侵入到達するのを防止することができる。
【0054】
(2)本実施の形態においては、第1保護層36の上に、少なくともメモリセルアレイの形成領域A100に、第二水素バリア膜44を設けている。このため、第一水素バリア膜42で述べた作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0055】
(3)強誘電体層14は、上部電極12と下部電極16との交差領域に形成されている。このため、キャパシタから外側へ電気力線がはみ出すのを抑えることができる。その結果、強誘電体層14における電界を強めることができるため、強誘電体層14を一定分極値にするのに必要な電圧を抑えることができる。したがって、ヒステリシスループの角型性を向上させることができる。すなわち、ヒステリシスループを方形に近づけることができる。その結果、強誘電体メモリ素子1000によれば、強誘電体キャパシタ20の特性を向上させることができる。
【0056】
1.3 プロセス
次に、上述した強誘電体メモリ素子の製造方法の一例について述べる。図6〜図14は、強誘電体メモリ素子1000の製造工程を模式的に示す断面図である。なお、図7〜図14は、メモリセルアレイ領域のみに着目して示した断面図である。
【0057】
図6に示すように、公知のLSIプロセスを用いて、周辺回路200を形成する。具体的には、半導体基板110上にMOSトランジスタ112を形成する。例えば、半導体基板110上の所定領域にトレンチ分離法,LOCOS法などを用いて素子分離領域114を形成し、ついでゲート絶縁層112aおよびゲート電極112bを形成し、その後、半導体基板110に不純物をドープすることでソース/ドレイン領域112cを形成する。このようにして駆動回路50,52および信号検出回路54などの各種回路を含む周辺回路部200が形成される。ついで、公知の方法により、第1層間絶縁層10を形成する。
【0058】
次に、第1層間絶縁層10の上に、メモリセルアレイ100を形成する。以下、図7〜図14を参照しながら、メモリセルアレイ100の形成方法を説明する。
【0059】
まず、図7に示すように、第1層間絶縁層10の上に、下部電極12のための第1導電層12aを形成する。第1導電層12aの材質としては、強誘電体キャパシタの電極となり得るものであれば特に限定されない。第1導電層12aの材質としては、たとえばIr,IrOx,Pt,RuOx,SrRuOx,LaSrCoOxを挙げることができる。また、第1導電層12aは、単層または複数の層を積層したものを用いることができる。第1導電層12aの形成方法としては、スパッタリング、真空蒸着、CVD等の方法が利用できる。
【0060】
次に、第1導電層12aの上に、強誘電体層14aを形成する。強誘電体層14aの材質としては、強誘電性を示してキャパシタ絶縁層として使用できれば、その組成は任意のものを適用することができる。このような強誘電体としては、たとえばPZT(PbZrzTi1−zO3)、SBT(SrBi2Ta2O9)を挙げることができ、さらに、これらの材料にニオブやニッケル、マグネシウム等の金属を添加したもの等が適用できる。強誘電体層14aの成形方法としては、たとえば、ゾルゲル材料やMOD材料を用いたスピンコート法やディッピング法、スパッタ法、MOCVD法、レーザアブレーション法を挙げることができる。
【0061】
次に、強誘電体層14aの上に、中間電極18のための第2導電層18aを形成する。第2導電層18aの材質および形成方法は、第1導電層12aと同様のものを適用することができる。
【0062】
次に、全面に、マスク層60を形成し、リソグラフィおよびエッチングによりマスク層60をパターニングする。すなわち、下部電極12を形成しようとする領域上に、マスク層60を形成する。マスク層60の材質は、第2導電層18a、強誘電体層14aおよび第1導電層12aのエッチングの際に、マスクとして機能し得る材質であれば特に限定されず、たとえば、窒化シリコン、酸化シリコン、窒化チタンを挙げることができる。マスク層60は、たとえばCVD法により形成されることができる。
【0063】
次に、図8に示すように、マスク層60をマスクとして、第2導電層18a、強誘電体層14aおよび第1導電層12aをエッチングし、第2導電層18a、強誘電体層14aおよび第1導電層12aをパターニングする。第1導電層12aをパターニングすることにより、所定のパターンを有する下部電極12が形成される。エッチング方法としては、RIE、スパッタエッチング、プラズマエッチングなどの方法を挙げることができる。
【0064】
次に、図9に示すように、全面に絶縁層72を形成する。絶縁層72の材質は、後の第1絶縁層のエッチバック工程で、マスク層60と同一のエッチングレートにすることができるものであれば特に限定されない。キャパシタ間の埋め込みを目的としてカバレッジ性能を優先するなら、オゾンTEOS−SiO2膜を用いるのが好ましい。絶縁層72の形成方法としては、たとえばCVD法を挙げることができる。絶縁層72の材質および形成方法が、マスク層60の材質および形成方法と同じであると、絶縁層72とマスク層60とのエッチングレートを同じにし易い。絶縁層72は、下部電極12と強誘電体層14aと第2導電層18aとマスク層60の積層体(以下「積層体」という)を覆い、その積層体の相互間を充填するように形成される。
【0065】
次に、図10に示すように、絶縁層72の上に、レジスト層R1を形成する。レジスト層R1は、その上面が平坦となるように形成される。レジスト層R1は、回転塗布法により形成されることができる。レジスト層R1の厚さは、絶縁層72に形成されている凹部の深さの2倍程度(たとえば0.8μm)であることができる。なお、塗布法を利用して上面が平坦な絶縁層72を形成した場合には、レジスト層R1を形成しなくてもよい。具体的には、絶縁層72がSOG(Spin On Glass)層によりなる場合には、レジスト層R1を形成しなくてもよい。
【0066】
次に、図11に示すように、絶縁層72およびレジスト層R1をエッチバックする。このエッチバックと同時に、マスク層60を除去し、第2導電層18aの上面を露出させる。エッチング方法は、たとえばRIEなどのドラインエッチングにより行うことができる。また、レジスト層R1と絶縁層72とのエッチングレートが同じ条件で行われることができる。たとえば、エッチングのエッチャントとしては、CHF3とO2との混合ガスを適用することができ、レジスト層R1と絶縁層72との選択比は、CHF3とO2との混合比により制御することができる。このエッチバックの際、絶縁層72が、少なくとも下部電極12の側壁を覆うようにする。
【0067】
次に、絶縁層72からの水分除去を目的として基板に熱処理を施す。この熱処理は、強誘電体キャパシタの特性回復も併せておこなうため酸素雰囲気でおこなうことが好ましい。
【0068】
次に、図12に示すように、全面に、第3導電層16aを堆積する。第3導電層16aの材質および形成方法は、たとえば第1導電層12aの材質および形成方法と同様であることができる。
【0069】
次に、第3導電層16aの上に、所定のパターンを有するレジスト層R2を形成する。レジスト層R2は、上部電極16を形成しようとする領域上に形成される。
【0070】
次に、レジスト層R2をマスクとして、第3導電層16a、第2層導電層18a、強誘電体層14a、絶縁層72をエッチングする。こうして、図13に示すように、第3導電層16aがパターニングされることにより上部電極16が形成される。また、第2導電層18aおよび強誘電体層14aがパターニングされることにより、上部電極16と下部電極12との交差領域に、中間電極層18および強誘電体層14が形成される。なお、上部電極16と下部電極12との交差領域以外の、上部電極16の下には、絶縁層72が残ることとなる。こうして、メモリセルアレイ100が形成される。
【0071】
次に、図1および図14に示すように、第1水素バリア膜42を形成する。ここで第一水素バリア膜42の材質は、水素バリア機能を有すれば特に限定されない。ただし強誘電体キャパシタの上部電極と下部電極との間の短絡を防止するため、第一水素バリア膜42は絶縁性材料を用いる必要がある。材料としてはアルミニウムの酸化物,マグネシウムの酸化物、ジルコニウムの酸化物、チタンの酸化物、ハフニウムの酸化物等が候補である。成膜方法としてはスパッタ、MOCVD、レーザーアブレーション等をもちいることができる。
この第1水素バリア膜42は、少なくともメモリセルアレイ100の全面を覆うようにパターニングされる。
【0072】
次に、第1水素バリア膜42の上に、公知の方法により、第1保護層36を形成する。次に、必要に応じて、第1保護層36を平坦化する。
【0073】
次に、第1保護層36の上に、第2水素バリア膜44を形成する。第2水素バリア膜44の形成方法としては、第1水素バリア膜42で示した方法を挙げることができる。この第2水素バリア膜44は、少なくともメモリセルアレイ100の全面を覆うようにパターニングされる。 次に、第1保護層36および第2水素バリア膜44の上に、第2保護層38を形成する。
【0074】
1.4 プロセスの作用効果
絶縁層72としてオゾンTEOS−SiO2膜をもちいた場合、プラズマTEOS−SiO2などと比べると,成膜雰囲気における水素の発生が少なく、強誘電体キャパシタへ与える水素ダメージは少ない。しかしながら反応性副生成物として発生する水が膜中に多量に取りこまれてしまう。成膜後、後工程において熱が加えられたとき、この水分が放出されると、特に強誘電体キャパシタの水素バリアとして形成されている酸化物の膜質を著しく損なってしまう。ところが上述1.1デバイスの構造で述べたように、まずオゾンTEOS−SiO2膜をキャパシタ上に直接形成したあとに水素バリア膜を形成すると、水素バリア膜に影響を与えることなく、事前にオゾンTEOS−SiO2膜の脱水処理が可能になる。たとえば上述1.3プロセスで述べたように、エッチバックによるレジスト層R1と絶縁層72の除去の後、酸素雰囲気における熱処理をおこなうと、オゾンTEOS−SiO2膜中の水分が除去される。このあとに水素バリア膜を形成すれば、後工程において加熱過程があっても、水分放出は無くなる為、水素バリア膜の膜質劣化は生じない。このため膜本来の水素バリア性能は劣化することなく、プロセスの最終工程まで維持される。このような水素バリア膜は優れた水素バリア性能を発揮するため、第1保護層や第2保護層などの成膜時において発生する水素から強誘電体キャパシタが保護される。メモリデバイスとしての信頼性は格段に向上する。
【0075】
実際のプロセスの違いによる特性比較として、強誘電体キャパシタの強誘電特性を図15と図16に示す。図15は上述のオゾンTEOS−SiO2膜に対して加熱処理による水分除去をおこなわなかった場合に測定されたヒステリシスループである。ループの開きが小さく、残留分極量が少ない。水素バリア膜の膜質劣化によって水素バリア性能が確保されず、保護膜の形成過程において強誘電体キャパシタにダメージが与えられたものと思われる。一方、オゾンTEOS−SiO2膜に対して加熱処理による脱水処理を施した場合は、図16に示されるような飽和特性を有する良好なヒステリシスカーブが測定された。オゾンTEOS−SiO2からの水分放出に起因した水素バリア膜の膜質劣化が抑止されたものと考えられる。その結果膜本来の水素バリア性能が発揮され、強誘電体キャパシタを水素雰囲気から完全に保護することが可能となった。
【0076】
1.5 その他のデバイス構造例ならびにプロセス例
1)上述のオゾンTEOS−SiO2膜からの水分除去法として、プラズマ処理も有効である。具体的には、絶縁層72としてオゾンTEOS−SiO2膜を成膜したあと、原料ガスの供給を止めてオゾンプラズマ雰囲気中に適当な時間待機させる方法が考えられる。この場合、同一反応器内で成膜とプラズマ処理を連続しておこなうことが可能となるため、スループットの向上を望むことができる。あるいはオゾンTEOS−SiO2膜を成膜したあと、別のプラズマ源をもちいて同様の処理を行っても良い。水分の除去能力を考慮して、プラズマ種を選択することもできる。
【0077】
オゾンTEOS−SiO2成膜後、オゾンプラズマ中に一定時間基板を暴露して水分除去をおこなってから第1水素バリア膜以降の成膜をおこなった場合、図17に示されるヒステリシループが測定された。図16と同様に良好な強誘電特性が得られている。プラズマ処理によってオゾンTEOS−SiO2膜から水分が除去され、水素バリア膜の膜質劣化が防止されたため強誘電体キャパシタの水素劣化が防止されたと考えられる。
【0078】
2)オゾンTEOS−SiO2膜からの水分除去法として、上述の基板加熱処理とプラズマ処理を組み合わせても良い。この場合、より効果的な水分除去が実現する。
【0079】
まず絶縁層72としてオゾンTEOS−SiO2膜を成膜したあと、連続してプラズマ処理を施す。次にレジスト層R1を形成してからエッチバックによってレジスト層R1とオゾンTEOS−SiO2膜(絶縁層72)を除去したあと、基板を酸素雰囲気で加熱処理する。最終的に得られた強誘電体キャパシタの特性を図18に示す。
【0080】
図16あるいは図17と比較すると、さらに特性が良好になっていることがわかる。オゾンTEOS−SiO2膜からの水分除去がより確実になったため、水素バリア膜の膜質がさらに向上していると考えられる。その結果、保護膜(第1保護層あるいは第2保護層)の形成過程において発生する水素から強誘電体キャパシタが完全に隔離することが可能となり、強誘電体の特性劣化を完全に防止することができた。
【0081】
3)実施例1で示したデバイス構造において、図19、図20に示すように、強誘電体層と絶縁層との間に保護膜40を設けることができる。図3、図5に示すデバイス構造にこの保護膜を加えることによって、絶縁層と強誘電体層が直接接しない構造とすることができる。この保護膜は実施例1で示した絶縁層からの水分除去工程において、絶縁層中から脱離した水分が強誘電体キャパシタ側に拡散するのを防止する役割を果たす。このことによって、水分の吸着による強誘電体キャパシタのリーク特性の劣化を防止することが可能となる。また、水が解離して生成するOH基などの強誘電体層への侵入を阻止できるため、強誘電体層の還元劣化を防止することができる。保護膜としては、耐水性があれば材料を選ばない。好ましくは強誘電体層と接する位置に配置されるため、強誘電体層に拡散してキャパシタ性能に悪影響を与えない材料が良い。たとえば上術のように水素バリア材料として挙げたアルミニウムの酸化物などが候補である。またこの保護膜は絶縁層と強誘電体層との間の密着層としての役割も果たす。このことによって熱プロセスによって発生する層間剥離などの問題を回避できる。
【0082】
上記プロセスによって得られた強誘電体メモリ素子において、パッシベーション工程後のキャパシタ特性を評価した。結果を図21に示す。図16あるいは図17と比較して、ヒステリシスループの角型性はさらに向上していることがわかる。保護層成膜時における水素のみならず、主に絶縁層から発生した水分が強誘電体キャパシタへ侵入するのを防止できたため、さらに優れたキャパシタ特性を得ることが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る強誘電体メモリ素子を模式的に示す平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿って強誘電体メモリ素子の一部を模式的に示す断面図である。
【図3】図1のB−B線に沿って強誘電体メモリ素子の一部を模式的に示す断面図である。
【図4】図2におけるメモリセルアレイを拡大した断面模式図である。
【図5】図3におけるメモリセルアレイを拡大した断面模式図である。
【図6】強誘電体メモリ素子の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図7】強誘電体メモリ素子の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図8】強誘電体メモリ素子の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図9】強誘電体メモリ素子の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図10】強誘電体メモリ素子の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図11】強誘電体メモリ素子の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図12】強誘電体メモリ素子の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図13】強誘電体メモリ素子の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図14】強誘電体メモリ素子の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図15】絶縁層72に対して脱水処理を行わなかった場合に測定された保護層形成後の強誘電体キャパシタのヒステリシス特性。
【図16】絶縁層72に対して加熱処理による脱水処理を施した場合に測定された保護層形成後の強誘電体キャパシタのヒステリシス特性。
【図17】絶縁層72に対してプラズマ処理による脱水処理を施した場合に測定された保護層形成後の強誘電体キャパシタのヒステリシス特性。
【図18】絶縁層72に対してプラズマ処理と加熱処理の両方の手法をもちいて脱水処理を施した場合に測定された保護層形成後の強誘電体キャパシタのヒステリシス特性。
【図19】図1のB−B線に沿って強誘電体メモリ素子の一部を模式的に示す断面図である。
【図20】図19におけるメモリセルアレイを拡大した図。
【図21】図20に示した素子構造において、保護層形成後に測定された強誘電体キャパシタのヒステリシス特性。
【符号の説明】
10 第1層間絶縁層
12 下部電極
14 強誘電体層
16 上部電極
18 中間電極層
19 配線層
36 第1保護層(プラズマTEOS−SiO2膜)
38 第2保護層(プラズマSi3N4膜)
40 保護膜(実施例2においてはAl2O3)
42 第1水素バリア膜
44 第2水素バリア膜
50 第1駆動回路
52 第2駆動回路
60 マスク層
72 絶縁層
100 メモリセルアレイ
110 半導体基板
112 MOSトランジスタ
112a ゲート絶縁層
112b ゲート電極
112c ソース/ドレイン領域
114 素子分離領域
200 周辺回路部
1000 強誘電体メモリ素子
【発明の属する技術分野】
本発明は、メモリセルアレイを含む強誘電体メモリ素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
強誘電体メモリ素子の製造において、強誘電体層を形成した後、層間絶縁層の形成工程やドライエッチング工程などにおいて、強誘電体層が水素雰囲気下に曝されることがある。強誘電体層は、一般に金属酸化物からなる。このため、強誘電体層が水素に曝されると、強誘電体層を構成する酸素がこの水素により還元される。これにより、強誘電体層がダメージを受けることになる。たとえば、強誘電体層がSBT(SrBi2Ta2O9)からなる場合には、SBTが水素によって還元されると、粒界部において金属Biが生じ、上部電極と下部電極とが短絡することになる。これを防止する目的で、一般的に水素バリア膜と称される保護膜を強誘電体キャパシタ上に被覆する。水素バリア膜としては各種酸化物が検討されており、特にAl2O3の化学式で表される化合物が優れた水素バリア性能を示すため有力な候補材料として注目されている。
【0003】
ところが素子の形成過程において層間絶縁膜から発生する水分等がAl2O3と反応するとAl2O3の一部が水酸化物に変化してしまい、Al2O3の膜質が大きく損なわれてしまう。膜本来の水素バリア性能が発揮されず、還元雰囲気に対する耐性を望むことが出来ないという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、素子の形成過程において層間絶縁膜等から発生する水分から水素バリア膜を保護し、最終工程まで水素バリア性能を維持させることによって、強誘電体の還元劣化を防止することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の強誘電体メモリ素子は、メモリセルがマトリクス状に配列され、下部電極と、該下部電極と交差する方向に配列された上部電極と、少なくとも前記上部電極と前記下部電極との交差領域に配置された強誘電体層と、少なくともメモリセルアレイの上に水素バリア膜を含む層間絶縁層が形成された強誘電体メモリ素子において、前記水素バリア膜は前記層間絶縁層の中間に配置されることを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、水素バリア膜の材料が強誘電体層へ拡散、反応することを防止できるため、強誘電体キャパシタの特性劣化を防止できるという効果を有する。
【0007】
本発明の強誘電体メモリ素子は、前記層間絶縁層がオゾンTEOS−SiO2膜とプラズマTEOS−SiO2膜の積層によって構成されるとき、前記水素バリア膜はオゾンTEOS−SiO2に配置されることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、オゾンTEOS−SiO2成膜中に発生する水分が水素バリアの膜質を劣化させることを防止できるという効果を有する。
【0009】
本発明の強誘電体メモリ素子は、前記強誘電体層が、前記下部電極と前記上部電極との交差領域に設けられ、前記強誘電体層と前記上部電極との間に、中間電極が設けられていることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、強誘電体キャパシタの内部から、強誘電体キャパシタの領域外への電気力線のはみ出しが抑えられるため、強誘電体キャパシタのヒステリシスループの角型性を向上させることができるという効果を有する。
【0011】
本発明の強誘電体メモリ素子は、前記水素バリア膜がAl2O3の化学式で表記される酸化物を含有していることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、前記強誘電体キャパシタ上へ形成する水素バリアの膜厚を薄くすることができるためパターニング加工が簡単になるという効果を有する。
【0013】
本発明の強誘電体メモリ素子は、前記水素バリア膜が前記強誘電体層を形成する金属元素を少なくとも一つ以上含有する酸化物であることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、強誘電体層の成膜素子を利用して水素バリア膜を形成することができるため、プロセスラインを簡略化できるという効果を有する。
【0015】
本発明の強誘電体メモリ素子は、前記オゾンTEOS−SiO2膜の下部に耐水性の保護膜が設けられていることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、オゾンTEOS−SiO2膜から放出された水分が強誘電体層へ侵入することを防止できる為、水分による強誘電体キャパシタの特性劣化を防止できるという効果を有する。
【0017】
本発明の強誘電体メモリ素子は、前記保護膜が前記オゾンTEOS−SiO2膜と前記強誘電体層との密着層として機能することを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、オゾンTEOS−SiO2膜から放出された水分が強誘電体層へ侵入することを防止できると同時に、前記オゾンTEOS−SiO2膜と前記強誘電体層との密着力を確保できるという効果を有する。
【0019】
本発明の強誘電体メモリ素子は、前記メモリセルに対して選択的に情報の書き込みもしくは読み出しを行うための周辺回路部を含み、前記周辺回路部の上には、前記水素バリア膜が形成されていないことを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、周辺回路部の上に水素バリア膜が形成されていないことにより、周辺回路部に水素が進入することができるため、周辺回路部を水素によって回復させることができる。つまり、メモリセルアレイの強誘電体層が水素によって還元されるのを抑えつつ、周辺回路部を水素によって回復させることができるという効果を有する。
【0021】
本発明の強誘電体メモリ素子の製造方法は、強誘電体キャパシタからなるメモリセルがマトリクス状に配列されたメモリセルアレイを含む強誘電体メモリ素子の製造方法であって、以下の工程を含む。
(a)基板の上に、第1導電層を形成する工程、
(b)前記第1導電層の上に、強誘電体層を形成する工程、
(c)前記強誘電体層の上に、第2導電層を形成する工程、
(d)少なくとも、前記強誘電体層および前記第2導電層をパターニングする工程、
(e)前記基体の上に、前記第1導電層、前記強誘電体層および前記第2導電層を含む積層体を覆うようにオゾンTEOS−SiO2膜を形成する工程、
(f)前記第2導電層の上面が露出するまで、前記オゾンTEOS−SiO2層を除去する工程、および
(g)前記オゾンTEOS−SiO2膜に対して脱水処理を施す工程、
(h)前記第2導電層と部分的に重なるように、所定のパターンを有する第3導電層を形成する工程、
(i)少なくとも、前記第1導電層、前記強誘電体層および前記第2導電層が形成された領域に、水素バリア膜を形成する工程。
上記方法によれば、(d)の工程によって形成された強誘電体層および導電層と基板表面との段差部に(e)工程によって良好な段差被覆性を有するオゾンTEOS−SiO2膜で埋め込むことができる。これを脱水処理した上で水素バリア膜を被覆するため水分による水素バリア膜の劣化が防止できるという効果を有する。
【0022】
本発明の強誘電体メモリ素子の製造方法は、前記オゾンTEOS−SiO2膜に対して脱水処理を施す工程が酸素雰囲気における加熱処理であることを特徴とする。
【0023】
上記方法によれば、オゾンTEOS−SiO2膜からの水分が除去できるためこの上に形成される水素バリアの膜質劣化を防止できると同時に、水分によってダメージを受けた強誘電体層自身の特性も回復させることができるという効果を有する。
【0024】
本発明の強誘電体メモリ素子の製造方法は、前記オゾンTEOS−SiO2膜に対して脱水処理を施す工程が酸素プラズマに暴露する工程を含むことを特徴とする。
【0025】
上記方法によれば、オゾンTEOS−SiO2膜からの水分除去を基板加熱無しでおこなうことができるため、回路素子へのダメージを回避することができるという効果を有する。
【0026】
本発明の強誘電体メモリ素子の製造方法は、前記オゾンTEOS−SiO2膜に対して脱水処理を施す工程が、酸素プラズマに暴露した後、酸素雰囲気において加熱処理を施す工程であることを特徴とする。
【0027】
上記方法によれば、より効率的にオゾンTEOS−SiO2膜から水分を除去することができるため、オゾンTEOS−SiO2膜自身が緻密化し、強固な保護膜としてとの性能を発揮するという効果を有する。
【0028】
本発明の強誘電体メモリ素子の製造方法は、前記オゾンTEOS−SiO2膜に対して脱水処理を施す工程が、前記強誘電体層の形成温度以下でおこなわれることを特徴とする。
【0029】
上記方法によれば、前記強誘電体層から揮発性元素の欠損が抑制されるため、膜本来の強誘電性が損なわれないという効果を有する。
【0030】
本発明の強誘電体メモリ素子の製造方法は、前記(e)工程において、前記オゾンTEOS−SiO2膜の下部に予め耐水性の保護膜を形成することを特徴とする。
【0031】
上記方法に因れば,前記オゾンTEOS−SiO2膜に対する脱水処理の過程で発生する水分が強誘電体層に到達するのを防止することができるという効果を有する。
【0032】
前記(e)工程において前記オゾンTEOS−SiO2膜と前記強誘電体層との間の密着層として、耐水性を有する薄膜を形成することを特徴とする。
【0033】
上記方法によれば、オゾンTEOS−SiO2膜と強誘電体層との間の密着力を向上させると同時に、オゾンTEOS−SiO2膜に対する脱水処理の過程で発生する水分が強誘電体層に到達するのを防止することができるという効果を有する。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0035】
1.1 デバイスの構造
図1は、強誘電体メモリ素子を模式的に示す平面図であり、図2は、図1のA−A線に沿って強誘電体メモリ素子の一部を模式的に示す断面図である。図3は、図1のB−B線に沿って強誘電体メモリ素子の一部を模式的に示す断面図である。図4は、図2におけるメモリセルアレイを拡大した断面模式図である。図5は、図3におけるメモリセルアレイを拡大した断面模式図である。
【0036】
強誘電体メモリ素子1000は、メモリセルアレイ100と、周辺回路部200とを有する。そして、メモリセルアレイ100と周辺回路部200とは、異なる層に形成されている。周辺回路部200は、メモリセルアレイ100の外側の領域において形成されている。具体的には、周辺回路部の形成領域A200は、メモリセルアレイの形成領域A100の外側の領域において設けられている。この例では、下層に周辺回路部200が、上層にメモリセルアレイ100が形成されている。周辺回路部200の具体例としては、Yゲート、センスアンプ、入出力バッファ、Xアドレスデコーダ、Yアドレスデコーダまたはアドレスバッファを挙げることができる。
【0037】
メモリセルアレイ100は、行選択のための下部電極(ワード線)12と、列選択のための上部電極(ビット線)16とが直交するように配列されている。すなわち、X方向に沿って下部電極12が所定ピッチで配列され、X方向と直交するY方向に沿って上部電極16が所定ピッチで配列されている。なお、下部電極12がビット線、上部電極16がワード線でもよい。
【0038】
メモリセルアレイ100は、図2および図3に示すように、第1層間絶縁層10の上に設けられている。メモリセルアレイ100は、図4および図5に示すように、第1層間絶縁層10上に、下部電極12、強誘電体キャパシタを構成する強誘電体層14、中間電極18および上部電極(上電極)16が積層されて構成されている。強誘電体層14および中間電極18は、下部電極12と上部電極16との交差領域に設けられている。すなわち、下部電極12と上部電極16との交差領域において、強誘電体キャパシタ20からなるメモリセルが構成されている。
【0039】
図5に示すように、強誘電体キャパシタ20における下部電極12を少なくとも覆うように、絶縁層72が形成されている。この絶縁層72は、上部電極16の下に設けられている。絶縁層72が設けられていることにより、下部電極12と、中間電極18または上部電極16との短絡が防止されている。絶縁層72としては、良好なステップカバレッジを有するオゾンTEOS−SiO2膜をもちいることが望ましい。この上に第一水素バリア膜42を形成する。これによって隣接する強誘電体キャパシタ間の溝が埋め込まれる。
【0040】
また、図4および図5に示すように、少なくともメモリセルアレイ100の全面を覆うように、第二水素バリア膜44が形成されている。第2水素バリア膜44を形成することにより、第二水素バリア膜44の形成後の工程(たとえばパシベーション膜形成工程)で発生する水素によって、強誘電体キャパシタ20の強誘電体層14が還元されるのを抑えることができる。ここで第一水素バリア膜42、あるいは第二水素バリア膜44の材質は、水素バリア機能を有すれば特に限定されない。ただし強誘電体キャパシタの上部電極と下部電極との間の短絡を防止するため、第一水素バリア膜42は絶縁性材料を用いる必要がある。材料としてはアルミニウムの酸化物,マグネシウムの酸化物、ジルコニウムの酸化物、チタンの酸化物、ハフニウムの酸化物等が候補である。あるいは、強誘電体層に含有される材料をもちいても効果がある。たとえば強誘電体層14の材料としてSrBi2Ta2O9(SBT)をもちいるときは、SrBi2Ta2O9(SBT)そのものを水素バリア材料として利用することができる。ただしこの場合、結晶性薄膜としてではなく、アモルファス状態の膜として用いた方がより効果的な水素バリア性能を得ることができる。また、SrBi2Ta2O9(SBT)に含有される一部元素の酸化物でも良い。たとえばストロンチウムの酸化物、ビスマスの酸化物、あるいはタンタルの酸化物が候補である。これらの酸化物の組み合わせでも良い。同様に、強誘電体層14の材料として、Pb(Zr,Ti)O3(PZT)をもちいるときはPZTそのものや、ジルコニウムの酸化物、チタンの酸化物を第一水素バリア膜としてもちいることができる。第二水素バリア膜は水素バリア性能を有する材料であれば絶縁性材料のみならず導電性材料であっても構わない。
【0041】
第一水素バリア膜42は、周辺回路部の形成領域A200には、形成されていないことができる。これにより、メモリセルアレイ100における強誘電体層16が水素により還元されるのを抑えつつ、周辺回路部200を水素により回復することができる。
【0042】
また、図2および図3に示すように、メモリセルアレイ100を覆うように、第1層間絶縁層10の上に、第1保護層36が形成されている。さらに、配線層19を覆うように第1保護層36上に絶縁性の第2保護層38が形成されている。
【0043】
第1保護層36と、第2保護層38との間には、第二水素バリア膜44が形成されている。第二水素バリア膜44は、少なくともメモリセルアレイ領域A100に形成されることができる。第二水素バリア膜44を形成することにより、第二水素バリア膜44の形成後の工程(たとえばパシベーション膜形成工程)で発生する水素によって、メモリセルアレイ100における強誘電体層14が水素により還元されることをより確実に抑えることができる。第二水素バリア膜44の材質は、水素バリア機能を有すれば特に限定されず、絶縁性であっても非絶縁性であってもよい。第二水素バリア膜44が絶縁性の材質からなる場合には、第二水素バリア膜44の材質は、第一水素バリア膜42の材質で例示したものをとることができる。また、第二水素バリア膜44が導電性の材質からなる場合には、第二水素バリア膜44の材質としては、チタン、酸化イリジウム、窒化チタン、アルミニウム、を挙げることができる。
【0044】
また、第二水素バリア膜44は、周辺回路領域A200には形成されていないことができる。これにより、メモリセルアレイ100における強誘電体層14が水素により還元されるのを抑えつつ、周辺回路部200を水素により回復することができる。
【0045】
周辺回路部200は、図1に示すように、前記メモリセルに対して選択的に情報の書き込みもしくは読み出しを行うための各種回路を含み、例えば、下部電極12を選択的に制御するための第1駆動回路50と、上部電極34を選択的に制御するための第2駆動回路52と、センスアンプなどの信号検出回路(図示せず)とを含む。
【0046】
また、周辺回路部200は、図2に示すように、半導体基板110上に形成されたMOSトランジスタ112を含む。MOSトランジスタ112は、ゲート絶縁層112a,ゲート電極112bおよびソース/ドレイン領域112cを有する。各MOSトランジスタ112は素子分離領域114によって分離されている。MOSトランジスタ112が形成された半導体基板110上には、第1層間絶縁層10が形成されている。そして、周辺回路部200とメモリセルアレイ100とは、配線層19よって電気的に接続されている。
【0047】
次に、強誘電体メモリ素子1000における書き込み,読み出し動作の一例について述べる。
【0048】
まず、読み出し動作においては、選択セルのキャパシタに読み出し電圧「V0」が印加される。これは、同時に‘0’の書き込み動作を兼ねている。このとき、選択されたビット線を流れる電流またはビット線をハイインピーダンスにしたときの電位をセンスアンプにて読み出す。このとき、非選択セルのキャパシタには、読み出し時のクロストークを防ぐため、所定の電圧が印加される。
【0049】
書き込み動作においては、‘1’の書き込みの場合は、選択セルのキャパシタに「−V0」の電圧が印加される。‘0’の書き込みの場合は、選択セルのキャパシタに、該選択セルの分極を反転させない電圧が印加され、読み出し動作時に書き込まれた‘0’状態を保持する。このとき、非選択セルのキャパシタには、書き込み時のクロストークを防ぐため、所定の電圧が印加される。
【0050】
1.2 デバイスの作用効果
以下、強誘電体メモリ素子1000の作用効果を説明する。
(1)本実施の形態においては、第一水素バリア膜42を少なくともメモリセルアレイ100の全面を覆うように設けられている。このため、次の作用効果を奏することができる。
【0051】
第一水素バリア膜42を設けることにより、強誘電体層14が、第一水素バリア膜42を形成した後の工程で発生する水素によって還元されるのを抑えることができる。
【0052】
また、第一水素バリア膜42を全面に形成しているため、第一水素バリア膜42を微細なパターンにパターニングする必要がない。このため、第一水素バリア膜42のパターニングが容易となる。
【0053】
ここで第一水素バリア膜42は絶縁層72上に形成している。絶縁層72としてオゾンTEOS−SiO2膜を用いる場合にはこの順序で積層することが望ましい。オゾンTEOS−SiO2膜自身が多量の水分を含むため、この上に第一水素バリア膜を形成しても、オゾンTEOS−SiO2膜から放出される水分によって第一水素バリア膜の膜質が大きく劣化してしまう。一方、オゾンTEOS−SiO2膜を形成してから脱水処理を施した後、この上に第一水素バリア膜を形成する場合は、このような水分による第一水素バリア膜の劣化が回避できる。膜質の劣化が無くなるため、以後の工程において発生する水素がキャパシタまで侵入到達するのを防止することができる。
【0054】
(2)本実施の形態においては、第1保護層36の上に、少なくともメモリセルアレイの形成領域A100に、第二水素バリア膜44を設けている。このため、第一水素バリア膜42で述べた作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0055】
(3)強誘電体層14は、上部電極12と下部電極16との交差領域に形成されている。このため、キャパシタから外側へ電気力線がはみ出すのを抑えることができる。その結果、強誘電体層14における電界を強めることができるため、強誘電体層14を一定分極値にするのに必要な電圧を抑えることができる。したがって、ヒステリシスループの角型性を向上させることができる。すなわち、ヒステリシスループを方形に近づけることができる。その結果、強誘電体メモリ素子1000によれば、強誘電体キャパシタ20の特性を向上させることができる。
【0056】
1.3 プロセス
次に、上述した強誘電体メモリ素子の製造方法の一例について述べる。図6〜図14は、強誘電体メモリ素子1000の製造工程を模式的に示す断面図である。なお、図7〜図14は、メモリセルアレイ領域のみに着目して示した断面図である。
【0057】
図6に示すように、公知のLSIプロセスを用いて、周辺回路200を形成する。具体的には、半導体基板110上にMOSトランジスタ112を形成する。例えば、半導体基板110上の所定領域にトレンチ分離法,LOCOS法などを用いて素子分離領域114を形成し、ついでゲート絶縁層112aおよびゲート電極112bを形成し、その後、半導体基板110に不純物をドープすることでソース/ドレイン領域112cを形成する。このようにして駆動回路50,52および信号検出回路54などの各種回路を含む周辺回路部200が形成される。ついで、公知の方法により、第1層間絶縁層10を形成する。
【0058】
次に、第1層間絶縁層10の上に、メモリセルアレイ100を形成する。以下、図7〜図14を参照しながら、メモリセルアレイ100の形成方法を説明する。
【0059】
まず、図7に示すように、第1層間絶縁層10の上に、下部電極12のための第1導電層12aを形成する。第1導電層12aの材質としては、強誘電体キャパシタの電極となり得るものであれば特に限定されない。第1導電層12aの材質としては、たとえばIr,IrOx,Pt,RuOx,SrRuOx,LaSrCoOxを挙げることができる。また、第1導電層12aは、単層または複数の層を積層したものを用いることができる。第1導電層12aの形成方法としては、スパッタリング、真空蒸着、CVD等の方法が利用できる。
【0060】
次に、第1導電層12aの上に、強誘電体層14aを形成する。強誘電体層14aの材質としては、強誘電性を示してキャパシタ絶縁層として使用できれば、その組成は任意のものを適用することができる。このような強誘電体としては、たとえばPZT(PbZrzTi1−zO3)、SBT(SrBi2Ta2O9)を挙げることができ、さらに、これらの材料にニオブやニッケル、マグネシウム等の金属を添加したもの等が適用できる。強誘電体層14aの成形方法としては、たとえば、ゾルゲル材料やMOD材料を用いたスピンコート法やディッピング法、スパッタ法、MOCVD法、レーザアブレーション法を挙げることができる。
【0061】
次に、強誘電体層14aの上に、中間電極18のための第2導電層18aを形成する。第2導電層18aの材質および形成方法は、第1導電層12aと同様のものを適用することができる。
【0062】
次に、全面に、マスク層60を形成し、リソグラフィおよびエッチングによりマスク層60をパターニングする。すなわち、下部電極12を形成しようとする領域上に、マスク層60を形成する。マスク層60の材質は、第2導電層18a、強誘電体層14aおよび第1導電層12aのエッチングの際に、マスクとして機能し得る材質であれば特に限定されず、たとえば、窒化シリコン、酸化シリコン、窒化チタンを挙げることができる。マスク層60は、たとえばCVD法により形成されることができる。
【0063】
次に、図8に示すように、マスク層60をマスクとして、第2導電層18a、強誘電体層14aおよび第1導電層12aをエッチングし、第2導電層18a、強誘電体層14aおよび第1導電層12aをパターニングする。第1導電層12aをパターニングすることにより、所定のパターンを有する下部電極12が形成される。エッチング方法としては、RIE、スパッタエッチング、プラズマエッチングなどの方法を挙げることができる。
【0064】
次に、図9に示すように、全面に絶縁層72を形成する。絶縁層72の材質は、後の第1絶縁層のエッチバック工程で、マスク層60と同一のエッチングレートにすることができるものであれば特に限定されない。キャパシタ間の埋め込みを目的としてカバレッジ性能を優先するなら、オゾンTEOS−SiO2膜を用いるのが好ましい。絶縁層72の形成方法としては、たとえばCVD法を挙げることができる。絶縁層72の材質および形成方法が、マスク層60の材質および形成方法と同じであると、絶縁層72とマスク層60とのエッチングレートを同じにし易い。絶縁層72は、下部電極12と強誘電体層14aと第2導電層18aとマスク層60の積層体(以下「積層体」という)を覆い、その積層体の相互間を充填するように形成される。
【0065】
次に、図10に示すように、絶縁層72の上に、レジスト層R1を形成する。レジスト層R1は、その上面が平坦となるように形成される。レジスト層R1は、回転塗布法により形成されることができる。レジスト層R1の厚さは、絶縁層72に形成されている凹部の深さの2倍程度(たとえば0.8μm)であることができる。なお、塗布法を利用して上面が平坦な絶縁層72を形成した場合には、レジスト層R1を形成しなくてもよい。具体的には、絶縁層72がSOG(Spin On Glass)層によりなる場合には、レジスト層R1を形成しなくてもよい。
【0066】
次に、図11に示すように、絶縁層72およびレジスト層R1をエッチバックする。このエッチバックと同時に、マスク層60を除去し、第2導電層18aの上面を露出させる。エッチング方法は、たとえばRIEなどのドラインエッチングにより行うことができる。また、レジスト層R1と絶縁層72とのエッチングレートが同じ条件で行われることができる。たとえば、エッチングのエッチャントとしては、CHF3とO2との混合ガスを適用することができ、レジスト層R1と絶縁層72との選択比は、CHF3とO2との混合比により制御することができる。このエッチバックの際、絶縁層72が、少なくとも下部電極12の側壁を覆うようにする。
【0067】
次に、絶縁層72からの水分除去を目的として基板に熱処理を施す。この熱処理は、強誘電体キャパシタの特性回復も併せておこなうため酸素雰囲気でおこなうことが好ましい。
【0068】
次に、図12に示すように、全面に、第3導電層16aを堆積する。第3導電層16aの材質および形成方法は、たとえば第1導電層12aの材質および形成方法と同様であることができる。
【0069】
次に、第3導電層16aの上に、所定のパターンを有するレジスト層R2を形成する。レジスト層R2は、上部電極16を形成しようとする領域上に形成される。
【0070】
次に、レジスト層R2をマスクとして、第3導電層16a、第2層導電層18a、強誘電体層14a、絶縁層72をエッチングする。こうして、図13に示すように、第3導電層16aがパターニングされることにより上部電極16が形成される。また、第2導電層18aおよび強誘電体層14aがパターニングされることにより、上部電極16と下部電極12との交差領域に、中間電極層18および強誘電体層14が形成される。なお、上部電極16と下部電極12との交差領域以外の、上部電極16の下には、絶縁層72が残ることとなる。こうして、メモリセルアレイ100が形成される。
【0071】
次に、図1および図14に示すように、第1水素バリア膜42を形成する。ここで第一水素バリア膜42の材質は、水素バリア機能を有すれば特に限定されない。ただし強誘電体キャパシタの上部電極と下部電極との間の短絡を防止するため、第一水素バリア膜42は絶縁性材料を用いる必要がある。材料としてはアルミニウムの酸化物,マグネシウムの酸化物、ジルコニウムの酸化物、チタンの酸化物、ハフニウムの酸化物等が候補である。成膜方法としてはスパッタ、MOCVD、レーザーアブレーション等をもちいることができる。
この第1水素バリア膜42は、少なくともメモリセルアレイ100の全面を覆うようにパターニングされる。
【0072】
次に、第1水素バリア膜42の上に、公知の方法により、第1保護層36を形成する。次に、必要に応じて、第1保護層36を平坦化する。
【0073】
次に、第1保護層36の上に、第2水素バリア膜44を形成する。第2水素バリア膜44の形成方法としては、第1水素バリア膜42で示した方法を挙げることができる。この第2水素バリア膜44は、少なくともメモリセルアレイ100の全面を覆うようにパターニングされる。 次に、第1保護層36および第2水素バリア膜44の上に、第2保護層38を形成する。
【0074】
1.4 プロセスの作用効果
絶縁層72としてオゾンTEOS−SiO2膜をもちいた場合、プラズマTEOS−SiO2などと比べると,成膜雰囲気における水素の発生が少なく、強誘電体キャパシタへ与える水素ダメージは少ない。しかしながら反応性副生成物として発生する水が膜中に多量に取りこまれてしまう。成膜後、後工程において熱が加えられたとき、この水分が放出されると、特に強誘電体キャパシタの水素バリアとして形成されている酸化物の膜質を著しく損なってしまう。ところが上述1.1デバイスの構造で述べたように、まずオゾンTEOS−SiO2膜をキャパシタ上に直接形成したあとに水素バリア膜を形成すると、水素バリア膜に影響を与えることなく、事前にオゾンTEOS−SiO2膜の脱水処理が可能になる。たとえば上述1.3プロセスで述べたように、エッチバックによるレジスト層R1と絶縁層72の除去の後、酸素雰囲気における熱処理をおこなうと、オゾンTEOS−SiO2膜中の水分が除去される。このあとに水素バリア膜を形成すれば、後工程において加熱過程があっても、水分放出は無くなる為、水素バリア膜の膜質劣化は生じない。このため膜本来の水素バリア性能は劣化することなく、プロセスの最終工程まで維持される。このような水素バリア膜は優れた水素バリア性能を発揮するため、第1保護層や第2保護層などの成膜時において発生する水素から強誘電体キャパシタが保護される。メモリデバイスとしての信頼性は格段に向上する。
【0075】
実際のプロセスの違いによる特性比較として、強誘電体キャパシタの強誘電特性を図15と図16に示す。図15は上述のオゾンTEOS−SiO2膜に対して加熱処理による水分除去をおこなわなかった場合に測定されたヒステリシスループである。ループの開きが小さく、残留分極量が少ない。水素バリア膜の膜質劣化によって水素バリア性能が確保されず、保護膜の形成過程において強誘電体キャパシタにダメージが与えられたものと思われる。一方、オゾンTEOS−SiO2膜に対して加熱処理による脱水処理を施した場合は、図16に示されるような飽和特性を有する良好なヒステリシスカーブが測定された。オゾンTEOS−SiO2からの水分放出に起因した水素バリア膜の膜質劣化が抑止されたものと考えられる。その結果膜本来の水素バリア性能が発揮され、強誘電体キャパシタを水素雰囲気から完全に保護することが可能となった。
【0076】
1.5 その他のデバイス構造例ならびにプロセス例
1)上述のオゾンTEOS−SiO2膜からの水分除去法として、プラズマ処理も有効である。具体的には、絶縁層72としてオゾンTEOS−SiO2膜を成膜したあと、原料ガスの供給を止めてオゾンプラズマ雰囲気中に適当な時間待機させる方法が考えられる。この場合、同一反応器内で成膜とプラズマ処理を連続しておこなうことが可能となるため、スループットの向上を望むことができる。あるいはオゾンTEOS−SiO2膜を成膜したあと、別のプラズマ源をもちいて同様の処理を行っても良い。水分の除去能力を考慮して、プラズマ種を選択することもできる。
【0077】
オゾンTEOS−SiO2成膜後、オゾンプラズマ中に一定時間基板を暴露して水分除去をおこなってから第1水素バリア膜以降の成膜をおこなった場合、図17に示されるヒステリシループが測定された。図16と同様に良好な強誘電特性が得られている。プラズマ処理によってオゾンTEOS−SiO2膜から水分が除去され、水素バリア膜の膜質劣化が防止されたため強誘電体キャパシタの水素劣化が防止されたと考えられる。
【0078】
2)オゾンTEOS−SiO2膜からの水分除去法として、上述の基板加熱処理とプラズマ処理を組み合わせても良い。この場合、より効果的な水分除去が実現する。
【0079】
まず絶縁層72としてオゾンTEOS−SiO2膜を成膜したあと、連続してプラズマ処理を施す。次にレジスト層R1を形成してからエッチバックによってレジスト層R1とオゾンTEOS−SiO2膜(絶縁層72)を除去したあと、基板を酸素雰囲気で加熱処理する。最終的に得られた強誘電体キャパシタの特性を図18に示す。
【0080】
図16あるいは図17と比較すると、さらに特性が良好になっていることがわかる。オゾンTEOS−SiO2膜からの水分除去がより確実になったため、水素バリア膜の膜質がさらに向上していると考えられる。その結果、保護膜(第1保護層あるいは第2保護層)の形成過程において発生する水素から強誘電体キャパシタが完全に隔離することが可能となり、強誘電体の特性劣化を完全に防止することができた。
【0081】
3)実施例1で示したデバイス構造において、図19、図20に示すように、強誘電体層と絶縁層との間に保護膜40を設けることができる。図3、図5に示すデバイス構造にこの保護膜を加えることによって、絶縁層と強誘電体層が直接接しない構造とすることができる。この保護膜は実施例1で示した絶縁層からの水分除去工程において、絶縁層中から脱離した水分が強誘電体キャパシタ側に拡散するのを防止する役割を果たす。このことによって、水分の吸着による強誘電体キャパシタのリーク特性の劣化を防止することが可能となる。また、水が解離して生成するOH基などの強誘電体層への侵入を阻止できるため、強誘電体層の還元劣化を防止することができる。保護膜としては、耐水性があれば材料を選ばない。好ましくは強誘電体層と接する位置に配置されるため、強誘電体層に拡散してキャパシタ性能に悪影響を与えない材料が良い。たとえば上術のように水素バリア材料として挙げたアルミニウムの酸化物などが候補である。またこの保護膜は絶縁層と強誘電体層との間の密着層としての役割も果たす。このことによって熱プロセスによって発生する層間剥離などの問題を回避できる。
【0082】
上記プロセスによって得られた強誘電体メモリ素子において、パッシベーション工程後のキャパシタ特性を評価した。結果を図21に示す。図16あるいは図17と比較して、ヒステリシスループの角型性はさらに向上していることがわかる。保護層成膜時における水素のみならず、主に絶縁層から発生した水分が強誘電体キャパシタへ侵入するのを防止できたため、さらに優れたキャパシタ特性を得ることが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る強誘電体メモリ素子を模式的に示す平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿って強誘電体メモリ素子の一部を模式的に示す断面図である。
【図3】図1のB−B線に沿って強誘電体メモリ素子の一部を模式的に示す断面図である。
【図4】図2におけるメモリセルアレイを拡大した断面模式図である。
【図5】図3におけるメモリセルアレイを拡大した断面模式図である。
【図6】強誘電体メモリ素子の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図7】強誘電体メモリ素子の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図8】強誘電体メモリ素子の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図9】強誘電体メモリ素子の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図10】強誘電体メモリ素子の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図11】強誘電体メモリ素子の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図12】強誘電体メモリ素子の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図13】強誘電体メモリ素子の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図14】強誘電体メモリ素子の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図15】絶縁層72に対して脱水処理を行わなかった場合に測定された保護層形成後の強誘電体キャパシタのヒステリシス特性。
【図16】絶縁層72に対して加熱処理による脱水処理を施した場合に測定された保護層形成後の強誘電体キャパシタのヒステリシス特性。
【図17】絶縁層72に対してプラズマ処理による脱水処理を施した場合に測定された保護層形成後の強誘電体キャパシタのヒステリシス特性。
【図18】絶縁層72に対してプラズマ処理と加熱処理の両方の手法をもちいて脱水処理を施した場合に測定された保護層形成後の強誘電体キャパシタのヒステリシス特性。
【図19】図1のB−B線に沿って強誘電体メモリ素子の一部を模式的に示す断面図である。
【図20】図19におけるメモリセルアレイを拡大した図。
【図21】図20に示した素子構造において、保護層形成後に測定された強誘電体キャパシタのヒステリシス特性。
【符号の説明】
10 第1層間絶縁層
12 下部電極
14 強誘電体層
16 上部電極
18 中間電極層
19 配線層
36 第1保護層(プラズマTEOS−SiO2膜)
38 第2保護層(プラズマSi3N4膜)
40 保護膜(実施例2においてはAl2O3)
42 第1水素バリア膜
44 第2水素バリア膜
50 第1駆動回路
52 第2駆動回路
60 マスク層
72 絶縁層
100 メモリセルアレイ
110 半導体基板
112 MOSトランジスタ
112a ゲート絶縁層
112b ゲート電極
112c ソース/ドレイン領域
114 素子分離領域
200 周辺回路部
1000 強誘電体メモリ素子
Claims (15)
- メモリセルがマトリクス状に配列され、下部電極と、該下部電極と交差する方向に配列された上部電極と、少なくとも前記上部電極と前記下部電極との交差領域に配置された強誘電体層と、少なくともメモリセルアレイの上に水素バリア膜を含む層間絶縁層が形成された強誘電体メモリ素子において、前記水素バリア膜は前記層間絶縁層の中間に配置されることを特徴とする強誘電体メモリ素子。
- 前記層間絶縁層がオゾンTEOS−SiO2膜とプラズマTEOS−SiO2膜膜の積層によって構成されるとき、前記水素バリア膜はオゾンTEOS−SiO2膜上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の強誘電体メモリ素子。
- 前記強誘電体層が、前記下部電極と前記上部電極との交差領域に設けられ、前記強誘電体層と前記上部電極との間に、中間電極が設けられていることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の強誘電体メモリ素子。
- 前記水素バリア膜がAl2O3の化学式で表記される酸化物を含有していることを特徴とする請求項1から請求項3に記載の強誘電体メモリ素子。
- 前記水素バリア膜が前記強誘電体層を形成する金属元素を少なくとも一つ以上含有する酸化物であることを特徴とする請求項1から請求項3に記載の強誘電体メモリ素子。
- 前記オゾンTEOS−SiO2膜の下部に耐水性の保護膜が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5に記載の強誘電体メモリ素子。
- 前記保護膜が前記オゾンTEOS−SiO2膜と前記強誘電体層との密着層として機能することを特徴とする請求項6記載の強誘電体メモリ素子。
- 前記メモリセルに対して選択的に情報の書き込みもしくは読み出しを行うための周辺回路部を含み、前記周辺回路部の上には、前記水素バリア膜が形成されていないことを特徴とする請求項1から請求項7に記載の強誘電体メモリ素子。
- 強誘電体キャパシタからなるメモリセルがマトリクス状に配列されたメモリセルアレイを含む強誘電体メモリ素子の製造方法であって、以下の工程を含む、強誘電体メモリ素子の製造方法。
(a)基板の上に、第1導電層を形成する工程、
(b)前記第1導電層の上に、強誘電体層を形成する工程、
(c)前記強誘電体層の上に、第2導電層を形成する工程、
(d)少なくとも、前記強誘電体層および前記第2導電層をパターニングする工程、
(e)前記基体の上に、前記第1導電層、前記強誘電体層および前記第2導電層を含む積層体を覆うようにオゾンTEOS−SiO2膜を形成する工程、
(f)前記第2導電層の上面が露出するまで、前記オゾンTEOS−SiO2層を除去する工程、および
(g)前記オゾンTEOS−SiO2膜に対して脱水処理を施す工程、
(h)前記第2導電層と部分的に重なるように、所定のパターンを有する第3導電層を形成する工程、
(i)少なくとも、前記第1導電層、前記強誘電体層および前記第2導電層が形成された領域に、水素バリア膜を形成する工程。 - 前記オゾンTEOS−SiO2膜に対して脱水処理を施す工程が酸素雰囲気における加熱処理であることを特徴とする請求項9記載の強誘電体メモリ素子の製造方法。
- 前記オゾンTEOS−SiO2膜に対して脱水処理を施す工程が酸素プラズマに暴露する工程を含むことを特徴とする請求項9記載の強誘電体メモリ素子の製造方法。
- 前記オゾンTEOS−SiO2膜に対して脱水処理を施す工程が、酸素プラズマに暴露した後、酸素雰囲気において加熱処理を施す工程であることを特徴とする請求項9に記載の強誘電体メモリ素子の製造方法。
- 前記オゾンTEOS−SiO2膜に対して脱水処理を施す工程が、前記強誘電体層の形成温度以下でおこなわれることを特徴とする請求項9から請求項12に記載の強誘電体メモリ素子の製造方法。
- 前記(e)工程において、前記オゾンTEOS−SiO2膜の下部に予め耐水性の保護膜を形成することを特徴とする請求項9から請求項13に記載の強誘電体メモリ素子の製造方法。
- 前記(e)工程において前記オゾンTEOS−SiO2膜と前記強誘電体層との間の密着層として、耐水性を有する薄膜を形成することを特徴とする請求項9から請求項13に記載の強誘電体メモリ素子の製造方法。
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JP2003095956A Withdrawn JP2004303984A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 強誘電体メモリ素子およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004303984A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2013146632A1 (ja) * | 2012-03-28 | 2015-12-14 | 株式会社日立国際電気 | 半導体デバイスの製造方法、基板処理方法、基板処理装置およびプログラム |
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2003
- 2003-03-31 JP JP2003095956A patent/JP2004303984A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2013146632A1 (ja) * | 2012-03-28 | 2015-12-14 | 株式会社日立国際電気 | 半導体デバイスの製造方法、基板処理方法、基板処理装置およびプログラム |
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Legal Events
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A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
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