JP5668303B2 - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
近年、デジタル技術の進展に伴い、大容量のデータを高速に処理したり、保存したりすることが行われている。このため、電子機器等に使用される半導体装置の高集積化及び高性能化が要求されている。例えば、半導体装置の一例である半導体記憶装置においては、DRAM(Dynamic Random Access Memory)を高集積化することが行われている。DRAMを高集積化するため、DRAMに使用されるキャパシタの容量絶縁膜として、従来の珪素酸化物又は珪素窒化物に代えて、強誘電体材料又は高誘電率材料が用いられている。また、より低電圧、且つ高速での書き込み動作及び読み出し動作が可能な不揮発性RAMを実現するため、自発分極特性を有する強誘電体膜を容量絶縁膜に用いている。このような半導体記憶装置は、強誘電体メモリ(FeRAM)と呼ばれる。
FeRAMは、強誘電体のヒステリシス特性を利用して情報を記憶する。強誘電体膜を1対の電極間のキャパシタ誘電体として有する強誘電体キャパシタは、電極間の印加電圧に応じて分極を生じ、印加電圧を取り去っても自発分極を有する性質を持つ。印加電圧の極性を反転させれば自発分極の極性も反転する。自発分極を検出することにより、情報を読み出すことが可能となる。FeRAMは、高速動作が可能で、低消費電力であり、書き込み/読み出し耐久性に優れている等の特徴を有する不揮発性メモリであり、今後の更なる発展が見込まれている。
しかしながら、低電圧動作及び集積度の向上を図るために、キャパシタ面積を縮小するとともに、キャパシタ誘電体膜を薄膜化し、強誘電体キャパシタの分極反転電圧を低くする必要がある。但し、単にキャパシタ誘電体膜を薄膜化し、現状と同じ電圧をキャパシタに印加したのでは、キャパシタ誘電体膜にかかる電界が現状よりも大きくなり、キャパシタ誘電体膜におけるリーク電流が増大する。また、誘電体膜を薄膜化することより、反転電荷量が低くなり、耐疲労特性及びインプリント特性も悪化する。これらの問題は、現在の強誘電体キャパシタキャパシタ開発において共通する問題点である。
一方、強誘電体キャパシタは、メモリ素子として用いられるのみならず、小面積で大容量が実現できるという特徴を活用して多くの用途に用いられている。例えば、メモリ素子を駆動するロジック回路の電源配線の平滑用キャパシタに、強誘電体キャパシタが用いられている。
従来、用途の異なるキャパシタは、それぞれ別個の製造工程により製造されていた。これは、用途が異なるキャパシタには異なる特性が要求されるため、同一の工程により製造することは困難を伴うためである。例えば、強誘電体メモリのメモリ素子に用いられるキャパシタには、低電圧動作、大きな反転電荷量(Qsw)、優れたリテンション特性及び良好なインプリント特性が要求される。これらを満たすキャパシタ誘電体として、薄い強誘電体膜が使用されている。平滑用キャパシタには、高い絶縁破壊耐圧が優先されるため、キャパシタ誘電体として、高い絶縁耐圧を有するSiO膜、SiN膜を用いる技術が知られている。同一半導体装置内に組み込まれた二種のキャパシタが、強誘電体キャパシタ及びMIM(金属−絶縁体−金属)キャパシタのように異なる誘電体を用いる場合、別々の製造工程で製作されている。
より簡単な製造工程で、メモリ素子及び平滑キャパシタを同一平面上に形成する方法で
は、強誘電体材料を使用する。強誘電体材料の誘電率は、一般的な絶縁材料より大きいので、より小さい面積で、メモリ素子及び平滑キャパシタを同一平面上に形成できる。現在までの強誘電体メモリ素子の製造工程においては、同一平面上に強誘電体メモリ素子及び平滑強誘電体キャパシタを同時に形成する。
しかしながら、低電圧動作及び集積度の向上を図るために、強誘電体膜を薄くする必要がある。強誘電体膜が薄くなると、キャパシタのリーク電流が上昇し、高絶縁耐圧の能力も低下する。強誘電体膜をある程度薄膜化すると、高絶縁耐圧用平滑キャパシタは、絶縁耐圧要求を満たさなくなる。この場合、SiO膜、SiN膜を用いてMIMキャパシタを利用することは、選択項目の一つである。また、メモリ素子用の薄い強誘電体を有するキャパシタと高絶縁耐圧の厚い強誘電体を有するキャパシタとが共存する場合にも適用することができる。即ち、強誘電体キャパシタにおける強誘電体膜が異なる膜厚を有する場合、それぞれ異なる強誘電体膜を堆積することで容易に対処することができるからである。
しかし、上述の方法では、各強誘電体キャパシタの強誘電体膜の膜厚が異なる数だけ、キャパシタの製造工程を繰り返す必要があり、製造工程が増加することにより製造コストが上昇する。絶縁膜上に下部電極、強誘電体膜を順次積層し、レジストを用いて、強誘電体膜を部分的にエッチングする。そして、上部電極を形成することにより、厚い強誘電体膜を有するキャパシタ(平滑強誘電体キャパシタ用キャパシタ)及び薄い強誘電体膜を有するキャパシタ(メモリ素子用キャパシタ)を形成する方法がある。
特開昭53−112686号公報 特開2007−281373号公報
FeRAM用強誘電体キャパシタの課題は、低電圧で動作するようにして、必要な反転電荷量が所定の信頼性試験後にも保証できるようにすることである。低電圧で動作するためには、強誘電体膜の薄膜化が必要である。強誘電体膜を薄膜化するに伴い、キャパシタの耐疲労特性、耐インプリント特性、リテンション特性を向上させる必要がある。
種々の電極、強誘電体膜の組成及び膜厚、強誘電体膜の結晶化方法に関して、キャパシタ特性への影響を調べた結果、強誘電体膜を薄くすると、キャパシタの耐疲労特性及び耐インプリント特性が悪くなる。キャパシタの耐インプリント特性とキャパシタのリーク電流との依存関係を、図30に示す。図30の縦軸は、キャパシタの電荷量の割合減少(Q3−Rate)を示しており、図30の横軸は、キャパシタのリーク電流を示している。キャパシタのリーク電流が大きくなると、耐インプリント特性(Q3−Rate)が改善される。したがって、キャパシタを低電圧動作させるために、電極と強誘電体膜の界面を向上させることが重要となる。
そこで、従来では、以下に説明するような処理を実施していた。例えば、強誘電体膜上に、平滑用強誘電体キャパシタの形成領域を被覆し、メモリ用強誘電体キャパシタの形成領域を表出する開口を有するレジストマスクを形成する。そして、レジストマスクをマスクとする反応性イオンエッチングを用いて、開口底面に表出する強誘電体膜をエッチングして薄くする。その後、上部電極を形成する。このような方法で形成された平滑用強誘電体キャパシタは、次の問題がある。
(1)強誘電体膜の表面にレジストを形成すると、レジストの有機物が強誘電体膜の結晶性を破壊し、強誘電体膜の強誘電性が悪くなる。(2)強誘電体膜の表面にレジストを形成すると、レジストを塗った強誘電体膜と上部電極の界面に膨れや膜剥がれが発生する。これらの膨れや膜剥がれの欠陥は、キャパシタの形状不良やパターン飛び等の不良を発生させ、ひいては半導体装置の歩留まりを低下させる。
本件は、強誘電体膜の表面をレジストに曝すことなく、特性が異なる複数のキャパシタを有する半導体装置を製造することを目的とする。
本件の一観点による半導体装置の製造方法は、半導体基板上における第1の領域及び第2の領域に、第1のキャパシタ及び第2のキャパシタがそれぞれ形成された半導体装置の製造方法において、前記半導体基板上或いは前記半導体基板の上方に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜の上方に下部電極層を形成する工程と、前記下部電極層上に強誘電体膜を形成する工程と、前記強誘電体膜上に第1の上部電極層を形成する工程と、前記第1の上部電極層上に、前記第1の領域を覆う第1のレジストを形成する工程と、前記第1のレジストをマスクとしてエッチングを行うことにより、前記第2の領域の前記第1の上部電極層を除去するとともに、前記第2の領域の前記強誘電体膜を削る工程と、前記第1の領域の前記第1の上部電極層上及び前記第1の領域以外の前記強誘電体膜上に、第2の上部電極層を形成する工程と、前記第2の上部電極層の上方であって前記第1の領域及び前記第2の領域に第2のレジストを形成する工程と、前記第2のレジストをマスクとして前記第1の上部電極層、前記第2の上部電極層、前記強誘電体膜及び前記下部電極層をエッチングし、前記第1のキャパシタ及び前記第2のキャパシタを形成する工程と、を有する。
本件によれば、強誘電体膜の表面をレジストに曝すことなく、特性が異なる複数のキャパシタを有する半導体装置を製造することができる。
実施例1に係る半導体装置の断面図(その1)である。 実施例1に係る半導体装置の断面図(その2)である。 実施例1に係る半導体装置の断面図(その3)である。 実施例1に係る半導体装置の断面図(その4)である。 実施例1に係る半導体装置の断面図(その5)である。 実施例1に係る半導体装置の断面図(その6)である。 実施例1に係る半導体装置の断面図(その7)である。 実施例1に係る半導体装置の断面図(その8)である。 実施例1に係る半導体装置の断面図(その9)である。 実施例1に係る半導体装置の断面図(その10)である。 実施例1に係る半導体装置の断面図(その11)である。 実施例1に係る半導体装置の断面図(その12)である。 セルアレイの試料についてのキャパシタのQtv特性を示す図である。 ディスクリートの試料についてのキャパシタのI−V特性を示す図である。 セルアレイの試料についてのキャパシタの疲労特性を示す図である。 各キャパシタのスイッチング電荷量(反転電荷量)の損失量を示す図である。 セルアレイの試料についてのキャパシタのQ3特性を示す図である。 Q3−Rateを示す図である。 実施例1の第1の変形例に係る半導体装置の断面図である。 実施例1の第2の変形例に係る半導体装置の断面図である。 実施例1の第3の変形例に係る半導体装置の断面図である。 実施例1の第4の変形例に係る半導体装置の断面図である。 実施例1の第5の変形例に係る半導体装置の断面図である。 実施例1の第6の変形例に係る半導体装置の断面図である。 実施例1の第7の変形例に係る半導体装置の断面図である。 実施例2に係る半導体装置の断面図である(その1)。 実施例2に係る半導体装置の断面図である(その2)。 実施例2に係る半導体装置の断面図である(その3)。 実施例2に係る半導体装置の断面図である(その4)。 実施例2に係る半導体装置の断面図である(その5)。 実施例2に係る半導体装置の断面図である(その6)。 実施例2に係る半導体装置の断面図である(その7)。 キャパシタの耐インプリント特性とキャパシタのリーク電流との依存関係を示す図である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態(以下、実施形態という)に係る半導体装置の製造方法について具体例を挙げて説明する。
本実施形態の第1の実施例について説明する。図1〜図12は、実施例1に係る半導体装置の断面図である。実施例1に係る半導体装置は、プレーナ型のFeRAMを有する半導体装置であって、以下のようにして製造される。
最初に、図1に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。まず、n型又はp型のシリコン(半導体)基板1の表面を熱酸化することにより素子分離絶縁膜2を形成し、この素子分離絶縁膜2でトランジスタの活性領域を画定する。このような素子分離構造は、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)と呼ばれるが、これに代えてSTI(Shallow
Trench Isolation)を採用してもよい。
次いで、シリコン基板1の活性領域に、p型不純物として、例えばボロンを導入してpウェル3を形成した後、その活性領域の表面を熱酸化することにより、ゲート絶縁膜4として熱酸化膜を形成する。ゲート絶縁膜4の膜厚は、例えば、6〜7nmである。
続いて、シリコン基板1の上側全面に、膜厚約50nmの非晶質シリコン膜と膜厚約150nmのタングステンシリサイド膜を順に形成する。非晶質シリコン膜の膜厚は、例えば、約50nmである。タングステンシリサイド膜の膜厚は、例えば、約150nmである。なお、非晶質シリコン膜に代えて多結晶シリコン膜を形成してもよい。その後に、フォトリソグラフィによりこれらの膜をパターニングして、シリコン基板1上にゲート電極5を形成する。ゲート電極5はワード線の一部となる。
更に、ゲート電極5をマスクとするイオン注入により、ゲート電極5の横のシリコン基板1にn型不純物として、例えば、リンを導入し、ソース/ドレインエクステンション6を形成する。
その後に、シリコン基板1の上側全面に絶縁膜を形成し、絶縁膜をエッチバックしてゲート電極5の横に絶縁性サイドウォール7を形成する。絶縁膜として、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成された酸化シリコン膜を用いてもよい。
続いて、ゲート電極5及び絶縁性サイドウォール7をマスクとして、シリコン基板1に砒素等のn型不純物を再びイオン注入することにより、ゲート電極5の側方のシリコン基板1にソース/ドレイン領域(不純物拡散領域)8を形成する。
更に、シリコン基板1の上側全面に、スパッタ法によりコバルト膜等の高融点金属膜を形成する。そして、高融点金属膜を加熱してシリコンと反応させることにより、ゲート電極5の上面と、ソース/ドレイン領域8におけるシリコン基板1の上面と、にそれぞれコバルトシリサイド層等の高融点金属シリサイド層9を形成する。熱処理によって、ソース/ドレイン領域8が活性化されて、ソース/ドレイン領域8が低抵抗化される。
その後に、素子分離絶縁膜2上などで未反応となっている高融点金属膜をウエットエッチングによって除去する。
ここまでの工程により、シリコン基板1の活性領域に、ゲート絶縁膜4、ゲート電極5、及びソース/ドレイン領域8等を有するMOS(Metal Oxide Semiconductor)トラン
ジスタが形成される。
次に、シリコン基板1の上面に、プラズマCVD法によって、酸化防止絶縁膜(カバー膜)10として酸窒化シリコン(SiON)膜を形成する。酸化防止絶縁膜10の膜厚は、例えば、約200nmである。
更に、シリコン基板1の上又はシリコン基板1の上方に、第1層間絶縁膜11を形成する。実施例1では、TEOS(tetra ethoxy silane)ガスを使用するプラズマCVD法に
より、酸化防止絶縁膜10の上に、第1層間絶縁膜11として酸化シリコン(SiO)膜を形成する。第1層間絶縁膜11の膜厚は、例えば、約1000nmである。
その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing、化学的機械研磨)法で、第1層間絶
縁膜11を研磨して、第1層間絶縁膜11の上面を平坦化する。CMP法により、シリコン基板1の表面から第1層間絶縁膜11の表面までの膜厚が所定値、例えば、約785nmとなる。
次に、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、酸化防止絶縁膜10と第1層間絶縁膜11とをパターニングして、ソース/ドレイン領域8の上にコンタクトホールを、例えば、0.25μmの径で形成する。
コンタクトホール内に、ソース/ドレイン領域8と電気的に接続されるタングステンプラグ12を形成する。例えば、膜厚30nmのTi膜と膜厚20nmのTiN膜を積層した密着膜(グルー膜)を介して、タングステン膜をCVD法により充填し、余分なタングステン膜をCMP法により除去することにより、タングステンプラグ12を形成する。タングステンプラグ12は、第1層間絶縁膜11の平坦面上で約300nmの膜厚を有する。
次に、酸素雰囲気中での熱アニールによって、タングステンプラグ12が酸化することを防ぐために、第2層間絶縁膜20を形成する。第2層間絶縁膜20は、例えば、SiON膜を約100nmの膜厚で堆積し、更にTEOS膜を約130nmの膜厚で堆積することにより形成する。
次いで、窒素雰囲気中で基板温度を650℃とするアニールを第2層間絶縁膜20に対して30分間行うことにより第2層間絶縁膜20の脱ガスを行う。
更に、第2層間絶縁膜20の上に、スパッタ法により、下部電極密着膜21としてアルミナ(Al)膜を形成する。下部電極密着膜21の膜厚は、例えば、約20nmである。その後、RTA(Rapid Thermal Anneal、急速加熱処理)により650℃の酸素雰囲気中で下部電極密着膜21を酸化する。下部電極密着膜21は、下部電極膜(下部電極層)22と第2層間絶縁膜20の密着性を向上させるために形成される。
次に、下部電極密着膜21の上に、スパッタ法により、下部電極膜22としてプラチナ膜を形成する。下部電極膜22の膜厚は、例えば、約75〜150nmである。プラチナ膜に代えて、イリジウム膜、ルテニウム膜、酸化ルテニウム(RuO)膜、及びSrRuO膜のいずれかの単層膜、或いはこれらの積層膜を、下部電極膜22として用いてもよい。なお、下部電極膜22を形成する前に下部電極密着膜21を形成しているので、下部電極膜22と第2層間絶縁膜20との密着力が高められる。
次に、シリコン基板1に対して、650℃の不活性ガス雰囲気中(例えば、Arガス雰囲気中)でRTAを行い、下部電極膜22の結晶性を均一化させるとともに、下部電極膜22、下部電極密着膜21及び第2層間絶縁膜20の密着性を向上させる。ここでは、RTAを行う例を示しているが、RTAを行わなくてもよい。
次に、PZTターゲットを用いるRF(Radio Frequency)スパッタ法により、下部電極
膜22の上に第1強誘電体膜23としてPZT(Pb(Zr, Ti1−X)O(0≦x
≦1))膜を形成する。第1強誘電体膜23の膜厚は、例えば、約50〜150nmである。成膜時のシリコン基板1の温度は、100℃以下であることが好ましく、例えば、シリコン基板1の温度を50℃にして成膜を行う。成膜温度が100℃以上になると、PZT膜における、PZT(101)及び(100)面配向が大きくなり、(111)面配向が弱くなるので、キャパシタの特性が悪くなる。一方、成膜温度が低すぎると、シリコン基板1の温度は非常に不安定となり、量産に不利である。
第1強誘電体膜23はPZT膜に限定されず、PZT膜にCa、Sr、La、Nb、Ta、Ir、及びWのいずれかを添加した材料を第1強誘電体膜23として用いてもよい。更に、(Bi1−X)Ti12(Rは希土類元素で0<x<1)、SrBiTa(SBT)、及びSrBiTi15等のBi層状化合物を、第1強誘電体膜23として用いてもよい。また、第1強誘電体膜23の成膜方法もスパッタ法に限定されず、ゾル・ゲル法やMOCVD(Metal Organic CVD)法で第1強誘電体膜23を形成す
るようにしてもよい。
強誘電体膜の結晶性は、強誘電体膜の結晶化方法に依存するが、下部電極膜22の結晶性及び下部電極膜22の表面に強く依存する。強誘電体膜の結晶は、下部電極膜22の結晶粒子間から成長していく。したがって、下部電極膜22の結晶の均一性は、強誘電体膜の結晶性を左右する。一方、下部電極膜22と強誘電体膜の界面に強誘電体膜の組成がずれると、強誘電体膜の結晶性も悪くなる。ペロブスカイト構造を持つSRO、LSCO、LNOなどの化合物を下部電極膜22の表面に成膜すると、強誘電体膜は、そのまま結晶成長する。
また、一般的な貴金属酸化膜を下部電極膜22の上に成膜する場合、これらの貴金属酸化物が(111)面に配向しないので、強誘電体膜の結晶性も悪くなる。一般的に、スパッタやゾル・ゲル法で成膜する強誘電体膜においては、Pt下部電極を使用する。MOCVD法で成膜する強誘電体膜においては、Ir下部電極を使用する。酸化物下部電極を使用する場合、該酸化物が貴金属を還元させることにより、強誘電体膜を成膜する。例えば、IrO/Ir下部電極を用いて、MOCVDで強誘電体膜を形成する。実際には、強誘電体膜を形成する直前に、IrOがIrを還元させ、PZT膜はIrの結晶粒子上に
引きつけられて成長する。酸化物下部電極を使用する場合、キャパシタの強誘電体と電極界面の酸素欠損を低減させ、疲労特性を向上させる。
スパッタ法で形成された第1強誘電体膜23は、成膜直後では結晶化しておらず非晶質の状態となっており、誘電体特性に乏しい。そこで、第1強誘電体膜23を結晶化させるため、第1強誘電体膜23に対して結晶化アニールを施す。結晶化アニールは、酸素含有雰囲気、例えば酸素濃度が2.0%となるように調整された酸素及びアルゴンの雰囲気において、RTAにより行われ、基板温度を580〜610℃(例えば600℃)、処理時間を90秒とする。これにより、第1強誘電体膜23は結晶化し、その膜中にPZT結晶粒が多数形成される。
なお、MOCVD法により第1強誘電体膜23を形成する場合は、第1強誘電体膜23は成膜の時点で結晶化しているので、上記の結晶化アニールは不要であるが、PZT膜表面の残留水分を飛ばすために、酸素の雰囲気中で熱処理を行ってもよい。
次に、第1強誘電体膜23の上に、RFスパッタ法により第2強誘電体膜24として非晶質のPZT膜を、40nm以下の膜厚で形成する。ここでは、第1強誘電体膜23の上に第2強誘電体膜24を形成する例を示しているが、第1強誘電体膜23の上に第2強誘電体膜24を形成しないようにしてもよい。第2強誘電体膜24の成膜時におけるシリコン基板1の温度は、100℃以下であることが好ましい。例えば、シリコン基板1の温度を50℃にして、第2強誘電体膜24の成膜を行ってもよい。
第2強誘電体膜24はPZT膜に限定されず、PZT膜にCa、Sr、La、Nb、Ta、Ir、及びWのいずれかを添加した材料を第2強誘電体膜24として用いてもよい。更に、(Bi1−X)Ti12(Rは希土類元素で0<x<1)、SrBiTa(SBT)、及びSrBiTi15等のBi層状化合物を、第2強誘電体膜24として用いてもよい。この場合、第1強誘電体膜23と第2強誘電体膜24とを同じ材料とするのが好ましい。
次に、第2強誘電体膜24の上に、スパッタ法により第1上部電極膜(第1上部電極層)30として酸化イリジウム膜を形成する。第1上部電極膜30の膜厚は、例えば、約25〜50nmである。
第1上部電極膜30の形成方法は、次の三種類がある。(1)低温成膜する場合(100℃以下)は、第2強誘電体膜24と第1上部電極膜30とを連続成膜する。つまり、第2強誘電体膜24を形成し、大気へ晒さないように、シリコン基板1を第1上部電極(IrO)チャンバーへ搬送し、第1上部電極膜30を形成する。
(2)低温成膜によって、第2強誘電体膜24と第1上部電極膜30とを連続成膜できない場合、シリコン基板1に対して熱処理を行い、大気へ晒さないようにして第1上部電極膜30を形成する。例えば、圧力が約5.0×10−6Paの減圧雰囲気において、基板温度を100〜350℃、例えば150℃とし、60秒間行われる。大気へ晒さないように第1上部電極チャンバーへ搬送し、第1上部電極膜30を形成する。
(3)高温成膜する場合(100℃以上)、第2強誘電体膜24を形成し、第1上部電極膜30を形成する。この場合、シリコン基板1を一度大気へ出しても、出さなくてもよい。
上記の三種類の第1上部電極膜30の形成方法は、第2強誘電体膜24と第1上部電極膜30との界面を制御するため、キャパシタの電気特性へ大きな影響を与える。
次に、図2に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。まず、例えば、スピンコート法により、第1上部電極膜30の上にフォトレジスト膜を形成する。そして、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、フォトレジスト膜をパターニングして、第1キャパシタが形成される領域を覆う第1レジスト31を形成する。第1キャパシタは、例えば、平滑キャパシタ、高耐圧キャパシタ及び高耐圧平滑キャパシタである。実施例1では、第1キャパシタが形成される領域を、第1キャパシタ領域とも表記する。
第1レジスト31をマスクにしてエッチングを行う。エッチング条件として、Cl及びArの混合ガスの雰囲気中(例えば、Clの供給流量を12sccm、Arの供給流量を48sccm、Source=2000W、Bias=1500W、0.7Paの圧力、エッチング時間を6〜10sec)でエッチングを行う。例えば、IrO上部電極が50nmの場合、10sec程度のエッチングを行ってもよい。
エッチングにより、第1キャパシタ領域以外の第1上部電極膜30を除去するとともに、第1キャパシタ領域以外の第2強誘電体膜24を削る。この場合、エッチングにより、第1キャパシタ領域以外の第2強誘電体膜24を完全に除去してもよい。また、エッチングにより、第1キャパシタ領域以外の第2強誘電体膜24を10〜20nm除去することにより、第1キャパシタ領域以外に第2強誘電体膜24を残存させてもよい。第2強誘電体膜24をさらにエッチングする場合は、上記の混合ガス比率を微調整し、エッチング時間を延長すればよい。本実施例では、第1キャパシタ領域以外の第2強誘電体膜24を完全に除去している。
その後、第1キャパシタ領域の第1レジスト31を除去する。図3は、第1キャパシタ領域の第1レジスト31を除去した場合の半導体装置の断面図である。
次に、第1キャパシタ領域の第1上部電極膜30の上及び第1キャパシタ領域以外の第1強誘電体膜23の上に、スパッタ法により、第2上部電極膜(第2上部電極層)33として酸化イリジウム膜を形成する。第2上部電極膜33の膜厚は、例えば、約15〜40nmである。第2上部電極膜33の形成は、上述の第1上部電極膜30の形成方法の(3)の方法により行うのが好ましい。高温で第2上部電極膜33を形成する場合、シリコン基板1の表面の不純物を除去でき、第2上部電極膜33と第1強誘電体膜23との界面を改善できるためである。例えば、成膜条件として、基板温度を300℃、Arの供給流量を140sccm、Oの供給流量を60sccm、1kWのパワー、5〜10secにより、第2
上部電極膜33を形成する。図4は、第2上部電極膜33を形成した場合の半導体装置の断面図である
その後、酸素含有雰囲気中において、第1キャパシタ領域の第1強誘電体膜23及び第2強誘電体膜24や、第2キャパシタが形成される領域の第1強誘電体膜23に対して、結晶化アニールを行う。第2キャパシタは、例えば、メモリ素子用キャパシタである。実施例1では、第2キャパシタが形成される領域を、第2キャパシタ領域とも表記する。
結晶化アニールを行うことにより、非晶質の第2強誘電体膜24を結晶化させるとともに、第1強誘電体膜23の結晶性を高めることができる。また、結晶化アニールを行うことにより、第1強誘電体膜23と第2強誘電体膜24との界面を改善することができる。アニールの条件は特に限定されないが、本実施形態では、基板温度を720℃、処理時間を120秒とする。更に、アニールが行われる酸素含有雰囲気として、酸素濃度が1%に調整された酸素ガスとアルゴンガスとの混合雰囲気を用いる。
上述のように、第1キャパシタ領域に第1上部電極膜30及び第2上部電極膜33が形成された状態、及び、第2キャパシタ領域に第2上部電極膜33が形成された状態で、第
2強誘電体膜24を結晶化している。これにより、第1上部電極膜30である酸化イリジウム及び第2上部電極膜33である酸化イリジウムが、第2強誘電体膜24の結晶粒界に入り込むことを抑止できる。また、酸化イリジウムによって第2強誘電体膜24にリークパスが形成されるのを抑制することができる。更に、結晶化アニールを行うことにより、第1上部電極膜30及び第2上部電極膜33を介して、酸素が第2強誘電体膜24に供給され、第2強誘電体膜24の酸素欠損が補われるという利点も得られる。
このような利点を得るために、酸素が第1上部電極膜30及び第2上部電極膜33を透過し易いように、第1上部電極膜30及び第2上部電極膜33の膜厚を薄くすることが好ましい。例えば、第1上部電極膜30及び第2上部電極膜33の膜厚は、10〜100nmであることが好ましい。
ただし、第1上部電極膜30及び第2上部電極膜33を、第2強誘電体膜24上に薄く形成するだけでは、後のエッチング工程等におけるダメージ、第1上部電極膜30だけでは吸収しきれず、第1強誘電体膜23及び第2誘電体膜が劣化する恐れがある。そこで、次の工程において、第2上部電極膜33の上に、スパッタ法により、第3上部電極膜(第3上部電極層)34として酸化イリジウム膜を形成する。第3上部電極膜34の膜厚は、例えば、約200nmである。第3上部電極膜34は、第1強誘電体膜23及び第2強誘電体膜24を保護するための導電性保護膜として機能する。図5は、第3上部電極膜34を形成した場合の半導体装置の断面図である。
そして、背面洗浄を行った後、第3上部電極膜34の上に、スパッタ法により、第1保護膜35としてTiN膜を形成する。第1保護膜35の膜厚は、例えば、34nmである。第1保護膜35は、還元性物質の透過を抑制する抑制膜として機能する。例えば、Tiのターゲットを用いて、基板温度を200℃にし、Arの供給量を50sccm、Nの供給量を90sccmとする混合ガス雰囲気中において、第1保護膜35を成膜する。
第1保護膜35は、第1上部電極膜30のハードマスクとしても使用できる。第1保護膜35は、TiN膜に限られない。例えば、TaN、TiON、TiO、TaO、TaON、TiAlO、TaAlO、TiAlON、TaAlON、TiSiON、TaSiON、TiSiO、TaSiO、AlO、ZrOなどから選択した材料を、第1保護膜35として使用してもよい。
次に、例えば、スピンコート法により、第1保護膜35の上にフォトレジスト膜を形成する。そして、フォトリソグラフィにより、フォトレジスト膜をパターニングする。この場合、第1キャパシタ領域に第2レジスト36Aが形成され、第2キャパシタ領域に第2レジスト36Bが形成されるように、フォトレジスト膜をパターニングする。図6は、第1キャパシタ領域に第2レジスト36Aを形成し、第2キャパシタ領域に第2レジスト36Bを形成した場合の半導体装置の断面図である。
そして、第2レジスト36A及び36Bをマスクにして、第1上部電極膜30、第2上部電極膜33、第3上部電極膜34及び第1保護膜35に対して異方性エッチングを行い、第1上部電極膜30、第2上部電極膜33、第3上部電極膜34及び第1保護膜35をパターニングする。第1保護膜35はハードマスクとして機能するので、エンドポイントを制御することにより、第1上部電極膜30、第2上部電極膜33、第3上部電極膜34及び第1保護膜35を綺麗にエッチングすることができる。
第1上部電極膜30、第2上部電極膜33、第3上部電極膜34及び第1保護膜35をエッチングすることにより、第1キャパシタ領域に上部電極37を形成し、第2キャパシタ領域に上部電極38を形成する。図7は、上部電極37及び上部電極38を形成した場
合の半導体装置の断面図である。図7に示すように、上部電極37は、第1上部電極膜30、第2上部電極膜33及び第3上部電極膜34を有し、上部電極38は、第2上部電極膜33及び第3上部電極膜34を有しているため、上部電極37と上部電極38とでは高さが異なっている。
その後、第2レジスト36A及び36Bを除去する。そして、第1保護膜35をドライエッチングにより除去する。次に、酸素含有雰囲気中において、シリコン基板1に対して熱処理を行う。熱処理の温度は600〜700℃とする。第1実施例においては、650℃にて40分間熱処理を行っている。この熱処理は、プロセス中において第1強誘電体膜23及び第2強誘電体膜24が受けたダメージを回復させるので、このような熱処理は回復アニールとも呼ばれる。
次に、例えば、スピンコート法により、シリコン基板1の上方にフォトレジスト膜を形成する。そして、フォトリソグラフィにより、フォトレジスト膜をパターニングする。この場合、第1キャパシタ領域に第3レジスト39Aが形成され、第2キャパシタ領域に第3レジスト39Bが形成されるように、フォトレジスト膜をパターニングする。
次に、第3レジスト39A及び39Bをマスクにして、第1強誘電体膜23及び第2強誘電体膜24に対して異方性エッチングを行い、第1強誘電体膜23及び第2強誘電体膜24をパターニングする。エンドポイントを制御することにより、第1キャパシタ領域の第1強誘電体膜23及び第2強誘電体膜24と、第2キャパシタ領域の第1強誘電体膜23とを同時にエッチングすることが可能である。図8は、第1キャパシタ領域の第1強誘電体膜23及び第2強誘電体膜24と、第2キャパシタ領域の第1強誘電体膜23とをエッチングした場合の半導体装置の断面図である。
その後、第3レジスト39A及び39Bを除去する。そして、酸素雰囲気にて、例えば300℃〜400℃、30分間〜120分間の熱処理を行う。次に、例えば、スパッタ法又はCVD法により、シリコン基板1の上方に第2保護膜40として酸化アルミニウム膜を形成する。酸化アルミニウム膜の膜厚は、例えば、20〜50nmである。次いで、酸素雰囲気にて、例えば400〜600℃、30〜120分間の熱処理を行う。
そして、例えば、スピンコート法により、シリコン基板1の上方にフォトレジスト膜を形成する。次に、フォトリソグラフィにより、フォトレジスト膜をパターニングする。この場合、第1キャパシタ領域及び第2キャパシタ領域を覆う第4レジスト41が形成されるように、フォトレジスト膜をパターニングする。続いて、第4レジスト41をマスクにして、下部電極膜22及び第2保護膜40に対して異方性エッチングを行い、下部電極膜22及び第2保護膜40をパターニングする。下部電極膜22及び第2保護膜40をパターニングすることにより、第1キャパシタ領域及び第2キャパシタ領域に下部電極42を形成する。図9は、第1キャパシタ領域及び第2キャパシタ領域に下部電極42を形成した場合の半導体装置の断面図である。
シリコン基板1の上方には、下部電極42、第1強誘電体膜23、第2強誘電体膜24及び上部電極37を有する第1キャパシタが形成されている。また、シリコン基板1の上方には、下部電極42、第1強誘電体膜23及び上部電極38を有する第2キャパシタが形成されている。第2保護膜40は、第1強誘電体膜23、第2強誘電体膜24、上部電極37及び上部電極38を覆うように、下部電極42上に残存している。
その後、第4レジスト41を除去する。次に、酸素雰囲気にて、例えば300℃〜400℃、30分間〜120分間の熱処理を行う。次いで、例えば、スパッタ法又はCVD法により、シリコン基板1の上方に第3保護膜43として酸化アルミニウム膜を形成する。
第3保護膜43の膜厚は、例えば、20nmである。図10は、第3保護膜43を形成した場合の半導体装置の断面図である。
そして、酸素雰囲気にて、例えば500℃〜700℃、30分間〜120分間の熱処理を行う。この結果、第1強誘電体膜23及び第2強誘電体膜24に酸素が供給され、第1キャパシタ及び第2キャパシタの電気的特性が回復する。
次に、例えば、プラズマTEOSCVD法により、第3保護膜43の上に、第3層間絶縁膜44としてシリコン酸化膜を形成する。第3層間絶縁膜44の膜厚は、例えば、1400nmである。そして、例えばCMP法により、第3層間絶縁膜44の表面を平坦化する。
次いで、NOガス又はNガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気にて、例えば350℃、2分間の熱処理を行う。熱処理の結果、第3層間絶縁膜44中の水分が除去されると共に、第3層間絶縁膜44の膜質が変化し、第3層間絶縁膜44中に水分が入りにくくなる。また、この熱処理により、第3層間絶縁膜44の表面が窒化され、第3層間絶縁膜44の表面にSiON膜が形成される。
そして、例えば、スパッタ法又はCVD法により、第3層間絶縁膜44の上に、第4保護膜45として酸化アルミニウム膜を形成する。第4保護膜45の膜厚は、例えば、20〜50nmである。次に、例えば、プラズマTEOSCVD法により、第4保護膜45の上に、第4層間絶縁膜46としてシリコン酸化膜を形成する。第4層間絶縁膜46の膜厚は、例えば、300nmである。
次いで、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、第2保護膜40、第3保護膜43、第3層間絶縁膜44、第4保護膜45及び第4層間絶縁膜46に、上部電極37まで達するコンタクトホール50Aを形成する。また、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、第2保護膜40、第3保護膜43、第3層間絶縁膜44、第4保護膜45及び第4層間絶縁膜46に、上部電極38まで達するコンタクトホール50Bを形成する。更に、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、第2保護膜40、第3保護膜43、第3層間絶縁膜44、第4保護膜45及び第4層間絶縁膜46に、下部電極42まで達するコンタクトホール50Cを形成する。
そして、酸素雰囲気にて、例えば400℃〜600℃、30分間〜120分間の熱処理を行う。この結果、第1強誘電体膜23及び第2強誘電体膜24に酸素が供給され、第1キャパシタ及び第2キャパシタの電気的特性が回復する。なお、この熱処理を、酸素雰囲気中ではなく、オゾン雰囲気中で行ってもよい。オゾン雰囲気中にて熱処理が行われた場合にも、第1強誘電体膜23及び第2強誘電体膜24に酸素が供給されて、第1キャパシタ及び第2キャパシタの電気的特性が回復する。
次に、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、第2保護膜40、第3保護膜43、第3層間絶縁膜44、第4保護膜45及び第4層間絶縁膜46に、タングステンプラグ12まで達するコンタクトホール50Dを形成する。図11は、コンタクトホール50A、50B、50C及び50Dを形成した場合の半導体装置の断面図である。
次いで、アニール処理を行うことにより、層間絶縁膜の脱ガスを行う。このアニール処理を行う工程においては、不活性ガス雰囲気中又は真空中で行うことが好ましい。そして、コンタクトホール50A、50B、50C及び50Dの内壁面に対する表面処理(RFエッチング)を行う。
次に、例えば、スパッタ法により、コンタクトホール50A、50B、50C及び50D内に、導電性バリア膜としてTiN膜を形成する。TiN膜の膜厚は、例えば、50〜150nmである。例えば、カバレッジの良好なENDURAのSIPチャンバーで、Tiターゲットを用いて、Ar(供給量50sccm)とN(供給量90sccm)の混合雰囲気中において、200℃でTiN膜を成膜する。導電性バリア膜はTiN膜に限定されない。TiN、TaN、CrN、HfN、ZrN、TiAlN、TaAlN、TiSiN、TaSiN、CrAlN、HfAlN、ZrAlN、TiON、TaON、CrON、HfON、ZrON、TiAlON、TaAlON、CrAlON、HfArON、ZrAlON、TiSiON、TaSiON、Ir、Ru、IrO、RuO、Ti/TiN、Ti/TaN、Ta/TiN、Ta/TaNからなる群から選択された少なくとも1種の膜を、導電性バリア膜として用いてもよい。
次いで、例えば、CVD法により、コンタクトホール50A、50B、50C及び50D内に、タングステン膜を形成する。タングステン膜の膜厚は、例えば、300nmである。タングステン膜に代えて、銅膜をコンタクトホール50A、50B、50C及び50D内に形成してもよい。或いは、コンタクトホール50A、50B、50C及び50D内に、グルー膜を形成し、グルー膜の上にタングステンやポリシリコンを部分的に埋め込んで、さらに銅膜を積層するようにしてもよい。
そして、例えば、CMP法により、第4層間絶縁膜46の表面が露出するまで、タングステン膜及び導電性バリア膜を研磨する。この結果、コンタクトホール50A、50B、50C及び50D内に、タングステンを含む導体プラグ51A、51B、51C及び51Dが夫々埋め込まれる。次に、例えば、アルゴンガスを用いたプラズマ洗浄を行う。これにより、導体プラグ51A、51B、51C及び51Dの表面に存在する自然酸化膜等が除去される。
次いで、例えば、スパッタ法により、第4層間絶縁膜46の上に、例えば、膜厚50nmのTiN膜と、例えば、膜厚550nmのAlCu合金膜と、例えば、膜厚5nmのTi膜と、例えば、膜厚50nmのTiN膜とを順次積層する。この結果、TiN膜、AlCu合金膜、Ti膜及びTiN膜を有する導体膜が、第4層間絶縁膜46の上に形成される。
そして、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、導体膜をパターニングする。この結果、第1層目の金属配線層52が形成される。即ち、導体プラグ51Aを介して上部電極37に電気的に接続された配線、及び、導体プラグ51Bを介して上部電極38に電気的に接続された配線が形成される。また、導体プラグ51Cを介して下部電極42に電気的に接続された配線、及び、導体プラグ51Dを介してタングステンプラグ12に電気的に接続された配線が形成される。図12は、導電プラグ51A、51B、51C、51D及び金属配線層52を形成した場合の半導体装置の断面図である。
その後、第1層目の金属配線層52の形成とほぼ同様の成膜方法や、パターニング方法によって3層配線や5層配線を行うと、本実施例に係る半導体装置の基本構造が完成する。つまり、第1キャパシタ及び第2キャパシタを有する半導体装置が製造される。
上述の方法によって形成された強誘電体キャパシタについて、プロセスアウト後に、強誘電体キャパシタの特性を測定した。計5種類の強誘電体キャパシタの特性を測定した結果を図13から図15に示す。5種類の強誘電体キャパシタは、第1強誘電体膜23の膜厚を90nmとし、第2強誘電体膜24の膜厚をそれぞれ0nm、10nm、15nm、20nm、30mmとしている。図13から図15における90nmは、第1強誘電体膜23の膜厚が90nmであり、第2強誘電体膜24の膜厚が0nmであること(第2強誘
電体膜24が形成されていない状態)を示している。図13から図15における90+10nmは、第1強誘電体膜23の膜厚が90nmであり、第2強誘電体膜24の膜厚が10nmであることを示している。図13から図15における90+15nmは、第1強誘電体膜23の膜厚が90nmであり、第2強誘電体膜24の膜厚が15nmであることを示している。図13から図15における90+20nmは、第1強誘電体膜23の膜厚が90nmであり、第2強誘電体膜24の膜厚が20nmであることを示している。図13から図15における90+30nmは、第1強誘電体膜23の膜厚が90nmであり、第2強誘電体膜24の膜厚が30nmであることを示している。
5層配線完成後のモニターチェックを行った。この実験では、ディスクリート(Discrete)及びセルアレイの2種類の試料を作製し、セルアレイのスイッチング電荷量(反転電荷量)Qswと印可電圧との関係(I−V特性)、ディスクリートのリーク電流と印可電圧との関係(I−V特性)、セルアレイの疲労特性、インプリント測定を行った。ディスクリートの試料では、ディスクリートの強誘電体キャパシタは、メモリセルではなく、RF回路や平滑回路等の論理回路に用いられることが多い。ディスクリートの試料では、強誘電体キャパシタの平面形状を50μm×50μmの正方形とした。セルアレイの試料では、平面形状が1.00μm×1.44μmの長方形の強誘電体キャパシタを1736個配列した。
図13Aは、セルアレイの試料についてのキャパシタのQtv特性を示す図である。図13Aの横軸は、印加電圧を示しており、図13Aの縦軸は、スイッチング電荷量(反転電荷量)を示している。図13Aに示すように、90+15nmの条件(第2強誘電体膜24の膜厚が15nmの場合)では、Qtvの立ち上がりが一番速くなり、飽和Qswも一番大きい。また、図13Aに示すように、90+20nm、90+10nm、90+30nm、90+0nmの条件の順に、Qtvの立ち上がりが遅くなる。この結果より、低電圧動作するためのメモリ素子として使用する場合、90+15nmの条件、すなわち第2強誘電体膜24の膜厚を15nmとするのが好ましいといえる。
図13Bは、ディスクリートの試料についてのキャパシタのI−V特性を示す図である。図13Bの横軸は、印加電圧を示しており、図13Bの縦軸は、キャパシタのリーク電流を示している。第2強誘電体膜24の膜厚は、キャパシタのリーク電流に大きな影響を与える。図13Bに示すように、第2強誘電体膜24を厚くすると、キャパシタのリーク電流を低減することができる。第2強誘電体膜24が厚くなっていくにつれて、キャパシタのリーク電流が下がる。したがって、RF回路や平滑回路に高耐圧平滑用キャパシタを使用する場合、第2強誘電体膜24の膜厚を厚くすることが好ましい。しかしながら、第2強誘電体膜24の膜厚が厚すぎると、上記の第2上部電極膜33を形成した後の熱処理において、第2強誘電体膜24の結晶性が悪くなる恐れがあるので、第2強誘電体膜24の膜厚は40nm以下であることが好ましい。
図14Aは、セルアレイの試料についてのキャパシタの疲労特性を示す図である。疲労特性は、分極反転を繰り返すと残留分極が次第に小さくなる現象である。図12Aの横軸は、ストレスサイクルを示しており、図12Aの縦軸は、スイッチング電荷量を示している。ストレスサイクルは、ストレス電圧の印加回数である。強誘電体メモリの書き換え回数は疲労現象により制限されるので、キャパシタの耐疲労特性を向上させることが好ましい。測定条件は下記の通りである。測定温度を90℃、ストレス電圧を5.25V、周波数を2MHz、測定電圧を1.8V、ストレスサイクルは1E10回まで行った。
図14Bは、5.25Vのストレス電圧で、1E10回のストレスサイクルを行った後の各キャパシタのスイッチング電荷量(反転電荷量)の損失量を示す図である。図14A及び図14Bに示す結果によれば、第2強誘電体膜24の膜厚が厚くなると、キャパシタ
の耐疲労特性も悪くなる。第2強誘電体膜24の膜厚が0nmである場合(第2強誘電体膜24が形成されていない状態の場合)と、第2強誘電体膜24の膜厚が15nmである場合とでは、耐疲労特性は同一レベルである。第2強誘電体膜24の膜厚が10nmである場合、セルアレイキャパシタの耐疲労特性が最も良い。
次に、セルアレイキャパシタの耐インプリント特性を評価した。インプリントはメモリセルに書き込んだデータが固定化して反転しにくくなる現象をいう。キャパシタが一方向に分極した状態で長時間放置されると、その状態が安定となり分極反転しにくくなる。この状態で分極反転しても、大きく減極して元の分極状態に近づいてしまう。インプリントの進行とともにヒステリシスループは電圧シフトする。シフトの方向は分極方向と逆向き、すなわち正の電圧によって分極した後放置した場合は負の電圧方向にシフトする。
インプリントは温度により加速し、測定は通常150℃程度に保持して行う。温度が高すぎて残留分極が小さくなった場合には、インプリントは残留分極の向きに依存するので、かえってインプリントは起きにくくなる。また、DCバイアス又は単極の連続パルスを印加することによってもインプリントは進行する。電圧シフトの方向は熱による場合と同じく、印加電圧と逆方向となる。電圧を印加せず温度により加速する場合をスタティック(サーマル)インプリントと呼び、電圧を印加する場合をダイナミックインプリントと呼ぶ。インプリントした方向の残留分極のリテンション特性はその状態が安定となるため一時的に向上する。しかし電圧シフトが大きくなると残留分極そのものが小さくなり結局データ保持能力は低下する。
インプリントによる減極のメモリ動作に対する影響を評価する方法として、Q123テストの測定手順と結果とを示して、その影響について説明する。Q123テストでは、2T2C方式のメモリ動作を模して測定を行う。2T2C方式における1個のメモリセルを用いて測定を行う。データはCap-A及びCap-Bの分極の向きが反対となるように書込まれる。Cap-A及びCap-Bは、隣接する二つのキャパシタ(Capacitor-A, Capacitor-B)である。Q123テストでは、2個の分極方向の異なるキャパシタを用いて分極反転の有無による信号差を測定する。
Cap-A及びCap-Bにそれぞれ+1.8V、−1.8Vで書込んだ後(“0”書込)、加速
のため150℃で保持する。保持中はキャパシタに電圧を印加しない(オープンの状態)。168、336、504、1008時間の高温保持の後、それぞれに+1.8Vのパルスを印加して読出しを行う(“0”読出)。このときのCap-A及びCap-Bの分極変化量の差を
Q2とする。Cap-Aは元々残留分極が反転しない向きであるが、高温保持中に減極した分
の分極変化が読出時に現れる。逆にCap-Bの分極反転量は減極により減少する。Q2はベ
ーク中に残留分極が減極せずにどれだけ残り、データ読出しに利用できるか、すなわちリテンション特性を表す(Qss−same state とも表す)。
Q2の測定に続いてベーク前とは逆向きのデータを書き込み(“1”書込)、すなわちCap-Aに−1.8V、Cap-Bに+1.8Vのパルスを印加して30秒間放置する。インプリ
ントが進行した状態ではこの間に分極が元の状態に戻ろうとして大きな減極が起こる。30秒放置後に再び+1.8Vのパルスを印加して読出しを行い(“1”読出)、Cap-A及びCap-Bの分極変化量の差をQ3とする。Q3はインプリント後に反転させた分極が減極後にどれだけ残り、データ読出しに利用できるかを表す(Qos: opposite stateとも表す)。ベ
ーク時間とともにインプリントは進行し、Q3は減少する。このQ3は、キャパシタのインプリント特性を示す。さらに、Q3と高温保持時間との傾きをQ3−Rateという。Q3−Rateが低い場合、キャパシタの耐インプリント特性がよい。
図15Aは、セルアレイの試料についてのキャパシタのQ3特性を示す図である。図1
5Bは、Q3−Rateを示す図である。図15A及び図15Bに示す結果によれば、第2強誘電体膜24の膜厚さが厚くなると、Q3の劣化が速くなり、Q3−Rateも大きくなる。第2強誘電体膜24の膜厚が0nmの場合(第2強誘電体膜24が形成されていない状態の場合)は、Q3−Rateが最も低い。この結果より、メモリ素子用キャパシタの耐インプリント特性を向上させるため、第2強誘電体膜24を薄くすることが好ましい。
上記の実験結果より、キャパシタのQtv、I−V特性、耐疲労特性及び耐インプリント特性は、トレードオフになっている。メモリ素子用キャパシタとして使用する場合は、キャパシタのリーク電流の影響が少ないので、Qtvの立ち上がりが速く、飽和Qswが高い、疲労損失が低い、Q3−Rateが低いことが好ましい。したがって、メモリ素子用キャパシタの第2強誘電体膜24の膜厚は、0〜20nmであることが好ましい。
図13から図15に示す結果を総合すると、メモリ素子用キャパシタの第2強誘電体膜24の膜厚は、10〜15nmであることがより好ましい。一方、RF回路や平滑回路の高耐圧平滑用キャパシタは、キャパシタのリーク電流が低く(高耐圧性能向上)、容量が安定していることが好ましいので、第2強誘電体膜24の膜厚は20nm以上であることが好ましい。上述のように、第2強誘電体膜24の膜厚は、40nm以下であることが好ましいので、高耐圧平滑用キャパシタの第2強誘電体膜24の膜厚は、20〜40nmであることが好ましく、30nmであることがより好ましい。
<変形例>
実施例1の変形例について説明する。以下に説明する第1の変形例から第7の変形例は、可能な限り組み合わせてもよい。
図16は、実施例1の第1の変形例に係る半導体装置の断面図である。第1の変形例では、第1キャパシタは第2強誘電体膜24を備えていない。すなわち、第1の変形例では、第1キャパシタの第1強誘電体膜23の上に第2強誘電体膜24が形成されていない。第1の変形例における半導体装置の製造工程では、第1強誘電体膜23を形成した後に、熱処理により第1強誘電体23を結晶化させて、第1上部電極膜30を形成し、第1キャパシタ領域にレジストを形成し、レジストをマスクにしてエッチングを行い、第2キャパシタの第1上部電極膜30を完全にエッチングし、第1強誘電体膜23の膜厚を薄くしている。
そのため、第1キャパシタの第1強誘電体膜23の膜厚と、第2キャパシタの第2強誘電体膜23の膜厚とが異なっている。エッチング時間を制御することにより、第2キャパシタの第1強誘電体膜23の膜厚を調整することが可能である。第1の変形例においては、第1強誘電体膜23の膜厚を厚くして成膜し、第2キャパシタの第1強誘電体膜23の膜厚をエッチングによって薄くすることにより、第2強誘電体膜24の形成を省略している。なお、第1の変形例では、第1上部電極膜30及び第2上部電極膜33とは、成膜条件が異なっている。
図17は、実施例1の第2の変形例に係る半導体装置の断面図である。第2の変形例では、第1キャパシタは第2強誘電体膜24を備えていない。すなわち、第2の変形例では、第1キャパシタの第1強誘電体膜23の上に第2強誘電体膜24が形成されていない。第1キャパシタの第1強誘電体膜23の膜厚と、第2キャパシタの第2強誘電体膜23の膜厚とが異なっている点については、第1の変形例と同様である。
また、第2の変形では、第1キャパシタは第2上部電極膜33を備えていない。すなわち、第2の変形例では、第1キャパシタの第1上部電極膜30の上に第2上部電極膜33
が形成されていない。第2の変形例では、第1上部電極膜30の成膜条件と同一の成膜条件によって第2上部電極膜33を形成する。そのため、第1キャパシタの第1強誘電体膜23の上に、膜厚が厚い第1上部電極膜30が形成される。すなわち、第2の変形例では、第1上部電極膜30と第2上部電極膜33とが一つの電極膜となって、第1キャパシタの第1強誘電体膜23の上に形成される。なお、第1上部電極膜30の成膜条件と異なる成膜条件によって第2上部電極膜33を形成し、第1キャパシタ領域の第1上部電極膜30の上に形成された第2上部電極膜33を除去してもよい。
図18は、実施例1の第3の変形例に係る半導体装置の断面図である。第3の変形例では、第1強誘電体膜23の上に第2強誘電体膜24が形成されていない。第1キャパシタの第1強誘電体膜23の膜厚と、第2キャパシタの第2強誘電体膜23とが異なっている点については、第1の変形例と同様である。第3の変形例では、第1キャパシタの第1上部電極膜30の上に第2上部電極膜33及び第3上部電極膜34が形成されていない。第3の変形例では、第2キャパシタの第2上部電極膜33の上に第3上部電極膜34が形成されていない。第3の変形例では、第1キャパシタの第1上部電極膜30の上の第2上部電極膜33についてはエッチングにより除去している。第3の変形例では、第3上部電極膜34を形成する工程を行っていない。第3の変形例では、第1上部電極膜30の膜厚を厚くして第1上部電極膜30が形成され、第2上部電極膜33の膜厚を厚くして第2上部電極膜33が形成されている。第2保護膜40の膜厚を厚くして第2保護膜40を形成するようにしてもよい。
図19は、実施例1の第4の変形例に係る半導体装置の断面図である。第4の変形例は、第1キャパシタ及び第2キャパシタを、スタック構造として形成した例である。第4の変形例では、第2キャパシタの第1強誘電体膜23の上に第2強誘電体膜24が形成されている。すなわち、第4の変形例では、第2キャパシタの第1強誘電体膜23の上に形成された第2強誘電体膜24をエッチングにより完全に除去せずに、第2キャパシタの第1強誘電体膜23の上に第2強誘電体膜24を残存させている。例えば、第2キャパシタの第1強誘電体膜23の上に、20nmの膜厚の第2強誘電体膜24を形成してもよい。また、第4の変形例では、第1キャパシタと第2キャパシタとで、下部電極42が共通となっていない。すなわち、第4の変形例では、第1キャパシタの下部電極42と、第2キャパシタの下部電極42とが、それぞれ独立となっている。第4の変形例によれば、第2キャパシタの反転電荷量を向上させることができる。
図20は、実施例1の第5の変形例に係る半導体装置の断面図である。第5の変形では、第1キャパシタは第2上部電極膜33を備えていない。すなわち、第5の変形例では、第1キャパシタの第1上部電極膜30の上に第2上部電極膜33が形成されていない。第5の変形例では、第1上部電極膜30の成膜条件と同一の成膜条件によって第2上部電極膜33を形成する。そのため、第1キャパシタの第2強誘電体膜24の上に、膜厚が厚い第1上部電極膜30が形成される。すなわち、第5の変形例では、第1上部電極膜30と第2上部電極膜33とが一つの電極膜となって、第1キャパシタの第2強誘電体膜24の上に形成される。なお、第1上部電極膜30の成膜条件と異なる成膜条件によって第2上部電極膜33を形成し、第1キャパシタ領域の第1上部電極膜30の上に形成された第2上部電極膜33を除去してもよい。
図21は、実施例1の第6の変形例に係る半導体装置の断面図である。第6の変形例では、第1キャパシタの第1上部電極膜30の上に第2上部電極膜33及び第3上部電極膜34が形成されていない。第6の変形例では、第2キャパシタの第2上部電極膜33の上に第3上部電極膜34が形成されていない。第6の変形例では、第1上部電極膜30の膜厚を厚くして第1上部電極膜30が形成され、第2上部電極膜33の膜厚を厚くして第2上部電極膜33が形成されている。第2保護膜40の膜厚を厚くして第2保護膜40を形
成するようにしてもよい。
図22は、実施例1の第7の変形例に係る半導体装置の断面図である。第7の変形例は、第1キャパシタ及び第2キャパシタを、スタック構造として形成した例である。第7の変形例では、第1キャパシタと第2キャパシタとで、下部電極42が共通となっていない。すなわち、第7の変形例では、第1キャパシタの下部電極42と、第2キャパシタの下部電極42とが、それぞれ独立となっている。
上部電極37及び38にPtを使用する場合、キャパシタのリーク電流は低くなるが、Qtvの立ち上がりが遅く、耐疲労特性が悪くなる。上部電極37及び38にPtOを使用する場合、キャパシタのリーク電流は低くなり、耐疲労特性を向上させる。さらに、上部電極37及び38にIrOxを使用する場合、IrOxの成膜条件により、キャパシタの電気特性が大きく変わる。低温でIrOxを成膜する場合、成膜時の酸素流量を調整することにより、キャパシタのリーク電流を低くすることが可能となる(Pt上部電極にリーク電流が届かない)。また、低温でIrOxを成膜する場合、成膜時の酸素流量を調整することにより、Qtvの立ち上がりが速くなり、耐疲労特性及びインプリント特性を更に向上させる。また、高温でIrOxを形成する場合、キャパシタのリーク電流が高くなるが、Qtvの立ち上がりが速くなり、飽和Qsw、耐疲労特性及び耐インプリント特性を大幅に改善できる。
RF回路や平滑容量に使用される高耐圧平滑キャパシタについては、キャパシタのリーク電流が低いことが好ましい。キャパシタのリーク電流を低くする場合、上部電極37及び38としてPt、PtOx及びIrOxのいずれかを使用することが好ましい。上部電極37及び38としてPtやPtOxを使用する場合、Ptと強誘電体膜との相互拡散が少ないので、キャパシタのリーク電流が低い。一方、上部電極37及び38としてIrOxを使用する場合、IrOxを低温で形成することが好ましい。メモリ素子用キャパシタについては、低電圧動作、耐疲労特性及びインプリント特性を向上させるため、上部電極37及び38として高温で形成されたIrOxを使用することが好ましい。
第1キャパシタは、平滑キャパシタ(高耐圧キャパシタ)として使用する素子を有し、第2キャパシタは、定電圧動作、耐疲労特性、耐インプリント特性及び信頼性を持つメモリ素子を有する。実施例1及びその変形例によれば、第1上部電極膜30及び第2強誘電体膜24のエッチング工程を追加することにより、特性が異なる第1キャパシタ及び第2キャパシタを有する半導体装置を製造することができる。したがって、大幅な工程変更を行わずに、特性が異なる第1キャパシタ及び第2キャパシタを有する半導体装置を製造することにより、半導体装置の製造コストを低減することができる。
実施例1及びその変形例によれば、第1キャパシタ領域の第1強誘電体膜23及び第2強誘電体膜24の上にレジストを形成しない状態で、第2キャパシタ領域の第1強誘電体膜24を除去している。また、実施例1及びその変形例によれば、第1キャパシタ領域の第1強誘電体膜23及び第2強誘電体膜24の上にレジストを形成しない状態で、第2キャパシタ領域の第2強誘電体膜24を削り、第2キャパシタ領域の第2強誘電体膜24の膜厚を薄くしている。したがって、実施例1及びその変形例によれば、第1キャパシタの第1強誘電体膜24の表面がレジストに曝されない状態で、第2キャパシタの強誘電体膜を薄くすることができる。実施例1及びその変形例によれば、第1キャパシタの第1強誘電体膜24の表面をレジストに曝すことなく、強誘電体膜の膜厚が異なる第1キャパシタ及び第2キャパシタを有する半導体装置を製造することができる。実施例1及びその変形例によれば、第1キャパシタの第1強誘電体膜24の表面をレジストに曝すことなく、特性が異なる複数のキャパシタを有する半導体装置を製造することができる。
本実施形態の第2の実施例について説明する。実施例2に係る半導体装置は、スタック構造型のFeRAMを有する半導体装置である。実施例2に係る半導体装置は、以下のようにして製造される。なお、実施例1と同一の構成要素については、実施例1と同一の符号を付す。
図23に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。図23は、実施例2に係る半導体装置の断面図である。まず、n型又はp型のシリコン(半導体)基板1の表面に、トランジスタの活性領域を画定するSTI(Shallow Trench Isolation)用の溝を形成する。次に、STI用の溝の中に酸化シリコン等の絶縁膜を埋め込み、シリコン基板1に素子分離絶縁膜2を形成する。なお、素子分離構造はSTIに限られず、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法で素子分離絶縁膜2を形成してもよい。
次いで、シリコン基板1の活性領域に、p型不純物として、例えば、ボロンを導入してpウェル3を形成した後、その活性領域の表面を熱酸化することにより、ゲート絶縁膜4として熱酸化膜を形成する。
続いて、シリコン基板1の上側全面に非晶質又は多結晶のシリコン膜を形成する。そして、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、シリコン膜をパターニングして、シリコン基板1上に2つのゲート電極5を形成する。シリコン基板1のpウェル3上には、2つのゲート電極5が間隔をおいて平行に配置され、2つのゲート電極5はワード線の一部となる。
次に、ゲート電極5をマスクにしてイオン注入を行うにより、ゲート電極5の横のシリコン基板1にn型不純物として、例えば、リンを導入し、ソース/ドレインエクステンション6を形成する。
次いで、シリコン基板1の上側全面に絶縁膜を形成し、絶縁膜をエッチバックしてゲート電極5の横に絶縁性サイドウォール7を形成する。絶縁膜として、例えばCVD法により形成された酸化シリコン膜を用いてもよい。
続いて、ゲート電極5及び絶縁性サイドウォール7をマスクにして、シリコン基板1に砒素等のn型不純物を再びイオン注入することにより、ゲート電極5の側方のシリコン基板1にソース/ドレイン領域(不純物拡散領域)8を形成する。
更に、シリコン基板1の上側全面に、スパッタ法によりコバルト膜等の高融点金属膜を形成する。そして、高融点金属膜を加熱してシリコンと反応させることにより、ゲート電極5の上面と、ソース/ドレイン領域8におけるシリコン基板1上と、にそれぞれコバルトシリサイド層等の高融点金属シリサイド層9を形成する。熱処理によって、ソース/ドレイン領域8が活性化されて、ソース/ドレイン領域8が低抵抗化される。
その後に、素子分離膜上などで未反応となっている高融点金属膜をウェットエッチングによって除去する。ここまでの工程により、シリコン基板1の活性領域に、ゲート絶縁膜4、ゲート電極5、及びソース/ドレイン領域8等を有するMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタが形成される。
次に、シリコン基板1の上側全面に、プラズマCVD法によって、酸化防止絶縁膜(カバー膜)10として酸窒化シリコン(SiON)膜を形成する。酸化防止絶縁膜10の膜厚は、例えば、約200nmである。
次いで、TEOS(tetra ethoxy silane)ガスを使用するプラズマCVD法により、酸
化防止絶縁膜10の上に、第1層間絶縁膜11として酸化シリコン(SiO)膜を形成する。第1層間絶縁膜11の膜厚は、例えば、約1000nmである。
続いて、CMP(Chemical Mechanical Polishing、化学的機械研磨)法で、第1層間絶
縁膜11を研磨して、第1層間絶縁膜11の上面を平坦化する。CMP法により、シリコン基板1の表面から第1層間絶縁膜11の表面までの膜厚が所定値、例えば、約700nmとなる。
そして、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、酸化防止絶縁膜10と第1層間絶縁膜11とをパターニングして、ソース/ドレイン領域8の上にコンタクトホールを、例えば、0.25μmの径で形成する。
次に、コンタクトホール内に、ソース/ドレイン領域8と電気的に接続されるタングステンプラグ12を形成する。例えば、膜厚30nmのTi膜と膜厚20nmのTiN膜を積層した密着膜(グルー膜)を介して、タングステン膜をCVD法により充填し、余分なタングステン膜をCMP法により除去することにより、タングステンプラグ12を形成する。
次いで、プラズマCVD法により、第1層間絶縁膜11の上に、第1酸化防止膜60として酸窒化シリコン(SiON)膜を形成する。第1酸化防止膜60の膜厚は、例えば、130nmである。酸窒化シリコン膜に代えて、第1酸化防止膜60としてSiN膜やAlO膜を形成してもよい。続いて、TEOSを原料としたプラズマCVD法により、第1酸化防止膜60の上に、第2層間絶縁膜61としてシリコン酸化膜を形成する。第2層間絶縁膜61の膜厚は、例えば、300nmである。
そして、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、第1酸化防止膜60及び第2層間絶縁膜61を貫通したコンタクトホールを、例えば、0.25μmの径で形成する。次に、コンタクトホール内に、タングステンプラグ12と電気的に接続されるタングステンプラグ62を形成する。例えば、膜厚30nmのTi膜と膜厚20nmのTiN膜を積層した密着膜(グルー膜)を介して、タングステン膜をCVD法により充填し、余分なタングステン膜をCMP法により除去することにより、タングステンプラグ62を形成する。
タングステンプラグ62を形成するために行うCMPでは、研磨対象である密着膜(グルー膜)及びタングステン膜に対する研磨速度が、下地の第2層間絶縁膜61よりも速くなるようなスラリを使用する。例えば、Cabot Microelectronics Corporation製のSSW2000を使用してもよい。第2層間絶縁膜61の上に研磨残を残さないために、CMPの研磨
量は、各膜の合計の膜厚よりも厚く設定される。すなわち、タングステンプラグ62を形成するために行うCMPは、オーバー研磨となる。その結果、タングステンプラグ62の上面の高さが、第2層間絶縁膜61よりも低くなる。そのため、タングステンプラグ62の周囲の第2層間絶縁膜61にリセスが形成される。第2層間絶縁膜61に形成されたリセスの深さは、例えば、20〜50nmであり、典型的には約50nm程度である。
次に、第2層間絶縁膜61の表面をアンモニア(NH)プラズマで処理し、第2層間絶縁膜61の表面の酸素原子にNH基を結合させる。第2層間絶縁膜61の上にTi原子が更に堆積しても、堆積したTi原子は酸素原子に捕獲されないため、第2層間絶縁膜61の表面を自在に移動できる。その結果、第2層間絶縁膜61の上には、(002)配向に自己組織化されたTi膜が形成される。アンモニアプラズマ処理は、例えば、対向電極を有する平行平板型のプラズマ処理装置を使用する。対向電極は、シリコン基板1に対して約9mm(350mils)離間した位置に設置される。処理条件は、例えば、266
Pa(2Torr)の圧力下、基板温度を400℃に保持した処理容器中にアンモニアガスを350sccmの流量で供給し、シリコン基板1側に13.56MHzの高周波を100
Wのパワーで、対向電極に350MHzの高周波を55Wのパワーで、60秒間供給することにより行われる。
次いで、例えば、シリコン基板1とターゲットとの間の距離を60mmに設定したスパッタ装置において、0.15PaのAr雰囲気下、20℃の基板温度で2.6kWのスパッタDCパワーを35秒間供給する。これにより、強いTi(002)配向のTi膜が、約100nmの膜厚に形成される。
次に、RTA法により窒素の雰囲気中で、基板温度650℃で、60secの熱処理を行うことにより、(111)配向の下地導電膜63が第2層間絶縁膜61の上に形成される。下地導電膜63は、例えば、窒化チタン膜(TiN膜)である。下地導電膜63の膜厚は100〜300nmが好ましい。本実施例においては、下地導電膜63の膜厚を約100nmにしている。
また、下地導電膜63は窒化チタン膜に限定されず、タングステン膜、シリコン膜、及び銅膜のいずれかを下地導電膜63として形成してもよい。但し、結晶性を向上するために、アンモニアプラズマ処理を行うことによって形成される窒化チタン膜を、下地導電膜63とすることが好ましい。
タングステンプラグ62の周囲に形成されているリセスの影響によって、下地導電膜63の上面には凹部が形成される。しかし、下地導電膜63の上面に凹部が形成されていると、後の工程により、下地導電膜63の上方に形成される強誘電体膜の結晶性が劣化する恐れがある。そこで、本実施例では、CMP法により下地導電膜63の上面を研磨して平坦化し、下地導電膜63の上面における凹部を除去する。このCMPで使用されるスラリは特に限定されないが、例えば、Cabot Microelectronics Corporation製のSSW2000を使
用してもよい。
CMP後の下地導電膜63の膜厚は、研磨誤差に起因して、シリコン基板1の面内や、複数のシリコン基板1の間でばらつく。そのばらつきを考慮して、本実施例では、研磨時間を制御することにより、CMP後の下地導電膜63の膜厚の目標値を50〜100nm、より好ましくは50nmとする。
下地導電膜63に対してCMPを行った後では、下地導電膜63の上面付近の結晶が研磨によって歪んだ状態となっている。しかし、結晶に歪が発生している下地導電膜63の上方にキャパシタの下部電極を形成すると、下地導電膜63の結晶の歪みが下部電極に伝わり、下部電極の結晶性が劣化し、ひいては下部電極の上の強誘電体膜の強誘電体特性が劣化する場合がある。このような不都合を回避するために、下地導電膜63の上面をNHプラズマに曝すことで、下地導電膜63の結晶の歪みが、下部電極に伝わらないようにする。
次に、NHプラズマ処理によって結晶の歪みが解消された下地導電膜63の上に、スパッタ法により、結晶性導電密着膜としてチタン膜を形成する。結晶性導電密着膜の膜厚は、例えば、約20nmである。次いで、RTA法により、窒素の雰囲気中で、基板温度650℃で、60secの熱処理を行うことにより、(111)配向の下地導電密着膜64が下地導電膜63の上に形成される。下地導電密着膜64は、例えば、窒化チタン膜(TiN膜)である。下地導電密着膜64は、下地導電密着膜64の配向の作用によって、下地導電密着膜64の上に形成される膜の配向を高める機能を有するとともに、下地導電密着膜64は、密着膜としての機能も有する。下地導電密着膜64は、窒化チタン膜に限
定されない。例えば、下地導電密着膜64は、薄い膜厚(20nmの膜厚が好ましい)の貴金属膜(Ir膜、Pt膜等)であってもよい。
続いて、下地導電密着膜64の上に、酸素バリア膜65としてTiAlN膜を形成する。酸素バリア膜65は、TiおよびAlの合金化したターゲットを使った反応性スパッタにより形成される。酸素バリア膜65の膜厚は、例えば、100nmである。酸素バリア膜65の形成条件を、例えば、Ar40sccm及び窒素10sccmの混合雰囲気において、253.3Paの圧力下、400℃の基板温度、1.0kWのスパッタパワーに設定する。
そして、酸素バリア膜65の上に、下部電極膜(下部電極層)66としてIr膜を形成する。Ir膜の膜厚は、例えば、100nmである。下部電極膜66の形成条件を、例えば、Ar雰囲気において、0.11Paの圧力下、500℃の基板温度、0.5kWのスパッタパワーに設定する。なお、Ir膜に代えて、Ptなどの白金族の金属、あるいはP
tO、IrOx、SrRuOなどの導電性酸化物を、下部電極膜66として用いてもよい。また、Ptなどの白金族の金属と、PtO、IrOx、SrRuOなどの導電性酸化物との積層膜を、下部電極膜66として用いてもよい。
次に、MOCVD法により、下部電極膜66の上に第1強誘電体膜67としてPZT膜を形成する。より具体的には、Pb(DPM)、Zr(dmhd)及びTi(O−iOr)(DPM)をTHF溶媒中に、いずれも0.3mol/lの濃度で溶解し、Pb、Zr及びTiの各液体原料を形成する。さらに、Pb、Zr及びTiの各液体原料を、MOCVD装置の気化器に、流量が0.474ml/分のTHF溶媒とともに、それぞれ0.326ml/分、0.200ml/分、及び0.200ml/分の流量で供給する。Pb、Zr及びTiの各液体原料を気化がすることにより、Pb、Zr及びTiの原料ガスが形成される。
次いで、MOCVD装置中に、665Pa(5Torr)の圧力下、620℃の基板温度で、Pb、Zr及びTiの原料ガスを、MOCVD装置に620秒間供給する。これにより、下部電極膜66の上に、所望のPZT膜が、例えば、100nmの膜厚に形成される。
続いて、例えばスパッタ法により、第1強誘電体膜67の上に、アモルファス状態の第2強誘電体膜68を形成する。第2強誘電体膜68は、例えば、PZT膜である。第2強誘電体膜68の膜厚は、例えば、1nm〜40nmである。第2強誘電体膜68をMOCVDで成膜する場合、鉛(Pb)供給用の有機ソースとして、Pb(DPM)(Pb(C1119)をTHF(Tetra Hydro Furan :CO)液に溶かした材料が用いられる。また、ジルコニウム(Zr)供給用の有機ソースとして、Zr(DMHD)(Zr((C15)をTHF液に溶かした材料が用いられる。チタン(Ti)供給用の有機ソースとして、Ti(O−iPr)(DPM)(Ti(CO)(C1119)をTHF液に溶かした材料が用いられる。
そして、第2強誘電体膜68の上に第1上部電極膜(第1上部電極層)69を形成する。第1上部電極膜69の形成に当たっては、まず、第2強誘電体膜68の上に、膜厚25〜50nmの酸化イリジウム膜(IrO膜)をスパッタ法により形成する。例えば、成膜温度を20℃とし、成膜ガスとしてAr及びOを用い、Arの流量を100sccm、Oの流量を50〜56sccmとし、スパッタパワーを2kW程度とする。
次に、例えば、スピンコート法により、第1上部電極膜69の上にフォトレジスト膜を形成する。そして、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、フォトレジスト膜をパターニングして、第1キャパシタが形成される領域を覆う第1レジスト70を形成する。第
1キャパシタは、例えば、例えば、平滑キャパシタ、高耐圧キャパシタ及び高耐圧平滑キャパシタである。実施例2では、第1キャパシタが形成される領域を、第1キャパシタ領域とも表記する。
次いで、第1レジスト70をマスクにして、エッチングを行うことにより、第1キャパシタ領域以外の第1上部電極膜69を除去するとともに、第1キャパシタ領域以外の第2強誘電体膜68を削る。この場合、エッチングにより、第1キャパシタ領域以外の第2強誘電体膜68を完全に除去してもよい。また、第1キャパシタ領域以外の第2強誘電体膜68を10〜20nm程度残すようにしてもよい。本実施例では、第1キャパシタ領域以外の第2強誘電体膜68を完全に除去している。図24は、第1キャパシタ領域以外の第1上部電極膜69及び第2強誘電体膜68を除去した場合の半導体装置の断面図である。
続いて、第1キャパシタ領域の第1レジスト70を除去する。そして、スパッタ法により、シリコン基板1の上方に、具体的には第1上部電極膜69及び第1強誘電体膜67の上に、第2上部電極膜(第2上部電極層)71として酸化イリジウム膜(IrO膜)を形成する。第2上部電極膜71の膜厚は、例えば、15〜50nmである。例えば、成膜温度を300℃とし、成膜ガスとしてAr及びOを用い、Arの流量を140sccm、Oの流量を60sccmとし、スパッタパワーを1kW程度とする。
次に、RTA法により、窒素の雰囲気中において、基板温度725℃で、Oの流量を20sccm、Arの流量を2000sccmとし、60secの熱処理を行う。この熱処理により、第2強誘電体膜68を完全に結晶化させるとともに、第1上部電極膜69及び第2上部電極膜71のプラズマダメージが回復し、第1強誘電体膜67中の酸素欠損が補償される。
次いで、スパッタ法により、第2上部電極膜71の上に第3上部電極膜(第3上部電極層)72として酸化イリジウム膜(IrO膜)を形成する。第3上部電極膜72の膜厚は、例えば、100nm〜300nmである。例えば、Ar雰囲気中、0.8Paの圧力下、1.0kWのスパッタパワーで79秒間、第3上部電極膜72を堆積すると、第3上部電極膜72の膜厚は200nmになる。この際、工程劣化を抑えるために、酸化イリジウム膜をIrOの化学量論組成に近い組成にすると、水素に対して触媒作用を生じなくなる。そのため、第2強誘電体膜68が水素ラジカルにより還元される問題が抑制され、キャパシタの水素耐性が向上する。なお、第3上部電極膜72の材料として、IrOの代わりにIr、Ru、Rh、Re、Os、Pd、これらの酸化物、及びSrRuOなどの導電性酸化物やこれらの積層構造を用いてもよい。
続いて、配線へのコンタクト抵抗を安定化するために、スパッタ法により、第3上部電極膜72の上に、水素バリア膜73としてIr膜を形成する。水素バリア膜73の膜厚は、例えば、100nmである。水素バリア膜73の形成は、Ar雰囲気中、1Paの圧力下、1.0kWのスパッタパワーで行われる。なお、Ir膜に代えて、水素バリア膜73として、Pt膜やSrRuO膜を用いてもよい。図25は、第3上部電極膜72の上に水素バリア膜73を形成した場合の半導体装置の断面図である。
そして、背面洗浄を行った後、下地導電膜63から水素バリア膜73までの各膜をパターニングするために用いるハードマスクを、水素バリア膜73の上に形成する。具体的には、まず、スパッタ法により、水素バリア膜73の上に、第1マスク材料層として窒化チタン膜(TiN膜)を形成する。窒化チタン膜に代えて、第1マスク材料層としてTiAlN膜、TaAlN膜、TaN膜及びこれらの積層膜を用いてもよい。次に、TEOSガスを使用するCVD法により、第1マスク材料層の上に、第2マスク材料層として酸化シリコン膜を形成する。次いで、第2マスク材料層を島状にパターニングし、第2マスク材
料層をマスクにして、第1マスク材料層をエッチングすることにより、第1マスク材料層及び第2マスク材料層を有するハードマスクが、水素バリア膜73の上に形成される。
続いて、ハードマスクで覆われていない部分における下部電極膜66から水素バリア膜73までの各膜をドライエッチングすることにより、第1キャパシタ及び第2キャパシタを形成する。実施例2では、第2キャパシタが形成される領域を、第2キャパシタ領域とも表記する。第2キャパシタは、例えば、メモリ素子用キャパシタである。ドライエッチングは、例えば、HBr、O、Ar及びCの混合ガスをエッチングガスとするプラズマエッチングである。
そして、ドライエッチング又はウェットエッチングにより、第2マスク材料層を除去する。次に、ドライエッチングにより、第1キャパシタ及び第2キャパシタで覆われていない部分における下地導電膜63、下地導電密着膜64、酸素バリア膜65を除去する。また、ドライエッチングにより、第1マスク材料層を除去する。エッチングは、例えば、ダウンフロー型プラズマエッチングにより行われる。エッチング条件として、チャンバー内に流量比で5%のCHガスと95%のOガスとの混合ガスをエッチングガスとして供給し、チャンバーの上部電極に周波数2.45GHzで、1400Wのパワーの高周波電力を供給して、基板温度を200℃とする。
なお、例えば、スピンコート法により、水素バリア膜73の上にフォトレジスト膜を形成してもよい。そして、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、フォトレジスト膜をパターニングして、第1キャパシタが形成される領域を覆うレジスト及び第2キャパシタが形成される領域を覆うレジストを形成してもよい。更に、第1キャパシタが形成される領域を覆うレジスト及び第2キャパシタが形成される領域を覆うレジストをマスクとして、下地導電膜63から水素バリア膜73までの各膜をエッチングしてもよい。
図26は、第1キャパシタ及び第2キャパシタを形成した場合の半導体装置の断面図である。第1キャパシタは、下部電極膜66、強誘電体膜75及び上部電極76を備える。強誘電体膜75は、第1強誘電体膜67及び第2強誘電体膜68を有する。上部電極76は、第1上部電極膜69、第2上部電極膜71及び第3上部電極膜72を有する。第2キャパシタは、下部電極膜66、第2強誘電体膜68及び上部電極77を備える。上部電極77は、第2上部電極膜71及び第3上部電極膜72を有する。
次いで、第1キャパシタ及び第2キャパシタを覆うように、第1保護膜80としてAl膜を、スパッタ法により形成する。第1保護膜80の膜厚は、例えば、20nmである。また、Al膜に代えて、第1保護膜80としてAlO膜をMOCVD法により形成してもよい。AlO膜の膜厚は、例えば、2〜5nmである。
第1強誘電体膜67及び第2強誘電体膜68のダメージを回復させる目的で、酸素含有雰囲気中で第1強誘電体膜67及び第2強誘電体膜68に対して回復アニールを施す。この回復アニールの条件は特に限定されないが、例えば、炉内において基板温度を550℃〜700℃にして、回復アニールが行われる。第1強誘電体膜67及び第2強誘電体膜68がPZT膜である場合、600℃の酸素雰囲気中で、60secの回復アニールを行うことが好ましい。
続いて、第1保護膜80を覆うように、第2保護膜81としてAl膜を、CVD法により形成する。第2保護膜81の膜厚は、例えば、約38nmである。第1保護膜80及び第2保護膜81が有する酸化アルミニウム膜は、水素や水分等の還元性物質が透過するのを阻止する機能に優れており、還元性物質によってキャパシタの強誘電体膜が還元されてその強誘電体特性が劣化するのを防止する役割を担う。
なお、第1保護膜80及び第2保護膜81の膜剥がれを防止するために、第1保護膜80及び第2保護膜81の形成前に、酸素を含む炉内でアニールを行ってもよい。アニールは、例えば、基板温度350℃、処理時間1時間の条件で行われる。アルミニウム酸化膜に代えて、第1保護膜80及び第2保護膜81として、チタン酸化膜、タンタル酸化膜、ジルコニウム酸化膜、アルミニウム窒化膜、タンタル窒化膜及びアルミニウム酸窒化膜のいずれかを用いてもよい。
次に、例えば、プラズマTEOSCVD法により、第2保護膜81の上に、第3層間絶縁膜82としてシリコン酸化膜を形成する。第3層間絶縁膜82の膜厚は、例えば、1500nmである。第3層間絶縁膜82としてシリコン酸化膜を形成する場合、原料ガスとして、例えば、TEOSガスと酸素ガスとヘリウムガスとの混合ガスを用いる。なお、第3層間絶縁膜82として、例えば、絶縁性を有する無機膜等を形成してもよい。次いで、例えば、CMP法により、第3層間絶縁膜82の表面を平坦化する。
続いて、NOガス又はNガス等を用いて発生させたプラズマ雰囲気にて、例えば350℃、2分間の熱処理を行う。熱処理の結果、第3層間絶縁膜82中の水分が除去されると共に、第3層間絶縁膜82の膜質が変化し、第3層間絶縁膜82中に水分が入りにくくなる。また、この熱処理により、第3層間絶縁膜82の表面が窒化され、第3層間絶縁膜82の表面にSiON膜が形成される。
そして、例えば、スパッタ法又はCVD法により、第3層間絶縁膜82の上に、バリア膜83として酸化アルミニウム膜を形成する。バリア膜83の膜厚は、例えば、20〜100nmである。平坦化された第3層間絶縁膜82の上にバリア膜83が形成されるため、バリア膜83は平坦となる。
次に、例えば、プラズマTEOSCVD法により、バリア膜83の上に、第4層間絶縁膜84としてシリコン酸化膜を形成する。第4層間絶縁膜84の膜厚は、例えば、800〜1000nmである。シリコン酸化膜に代えて、第4層間絶縁膜84として、SiON膜又はシリコン窒化膜等を形成してもよい。次いで、例えば、CMP法により、第4層間絶縁膜84の表面を平坦化する。図27は、バリア膜83の上に第4層間絶縁膜84を形成した場合の半導体装置の断面図である。
次いで、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、水素バリア膜73、第1保護膜80、第2保護膜81、第3層間絶縁膜82、バリア膜83及び第4層間絶縁膜84に、上部電極76まで達するコンタクトホール85Aを形成する。また、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、水素バリア膜73、第1保護膜80、第2保護膜81、第3層間絶縁膜82、バリア膜83及び第4層間絶縁膜84に、上部電極77まで達するコンタクトホール85Bを形成する。更に、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、第1酸化防止膜60、第2層間絶縁膜61、第1保護膜80、第2保護膜81、第3層間絶縁膜82、バリア膜83及び第4層間絶縁膜84に、タングステンプラグ12まで達するコンタクトホール85Cを形成する。図28は、コンタクトホール85A、85B及び85Cを形成した場合の半導体装置の断面図である。
コンタクトホール85A及び85Bを形成する際、水素バリア膜73を露出させた後、450℃の酸素雰囲気中において熱処理を行い、コンタクトホール85A及び85Bの形成に伴って生じた第1強誘電体膜67及び第2強誘電体膜68の酸素欠損を回復させる。
続いて、アニール処理を行うことにより、層間絶縁膜の水分を飛ばす。このアニール処理を行う工程においては、不活性ガス雰囲気中又は真空中で行うことが好ましい。そして
、コンタクトホール85A、85B及び85Cの内壁面に対する表面処理(RFエッチング)を行う。
そして、例えば、スパッタ法により、コンタクトホール85A、85B及び85C内に、導電性バリア膜としてTiN膜を形成する。TiN膜の膜厚は、例えば、50〜150nmである。例えば、カバレッジの良好なENDURAのSIPチャンバーで、Tiターゲットを用いて、Ar(供給量50Sccm)とN(供給量90Sccm)の混合雰囲気中において、200℃でTiN膜を成膜する。導電性バリア膜はTiN膜に限定されない。TiN、TaN、CrN、HfN、ZrN、TiAlN、TaAlN、TiSiN、TaSiN、CrAlN、HfAlN、ZrAlN、TiON、TaON、CrON、HfON、ZrON、TiAlON、TaAlON、CrAlON、HfArON、ZrAlON、TiSiON、TaSiON、Ir、Ru、IrO、RuO、Ti/TiN、Ti/TaN、Ta/TiN、Ta/TaNからなる群から選択された少なくとも1種の膜を、導電性バリア膜として用いてもよい。
次に、例えば、CVD法により、コンタクトホール85A、85B及び85C内に、タングステン膜を形成する。タングステン膜の膜厚は、例えば、300nmである。タングステン膜に代えて、銅膜をコンタクトホール85A、85B及び85C内に形成してもよい。或いは、コンタクトホール85A、85B及び85C内に、グルー膜を形成し、グルー膜の上にタングステンやポリシリコンを部分的に埋め込んで、さらに銅膜を積層するようにしてもよい。
そして、例えば、CMP法により、第4層間絶縁膜84の表面が露出するまで、タングステン膜及び導電性バリア膜を研磨する。この結果、コンタクトホール85A、85B及び85C内に、タングステンを含む導体プラグ90A、90B及び90Cが夫々埋め込まれる。次に、例えば、アルゴンガスを用いたプラズマ洗浄を行う。これにより、導体プラグ90A、90B及び90Cの表面に存在する自然酸化膜等が除去される。
次いで、例えば、スパッタ法により、第4層間絶縁膜84の上側全面に、例えば、膜厚50nmのTiN膜と、例えば、膜厚550nmのAlCu合金膜と、例えば、膜厚5nmのTi膜と、例えば、膜厚50nmのTiN膜とを順次積層する。この結果、TiN膜、AlCu合金膜、Ti膜及びTiN膜を有する導体膜が、第4層間絶縁膜84の上に形成される。
そして、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、導体膜をパターニングする。この結果、第1層目の金属配線層91が形成される。即ち、導体プラグ90A及び90Bを介して上部電極76及び77に電気的に接続された金属配線層91、及び、導体プラグ90Cを介してタングステンプラグ12に電気的に接続された金属配線層91が形成される。図29は、導体プラグ90A、90B及び90C及び金属配線層91を形成した場合の半導体装置の断面図である。
その後、第1層目の金属配線層の形成とほぼ同様の成膜方法や、パターニング方法によって3層配線や5層配線を行うと、本実施形態に係る半導体装置の基本構造が完成する。つまり、第1キャパシタ及び第2キャパシタを有する半導体装置が製造される。
図29に示すように、スタック構造の上に、第1キャパシタ及び第2キャパシタが形成されている。第1キャパシタは、平滑キャパシタ(高耐圧キャパシタ)として使用する素子を有し、第2キャパシタは、定電圧動作、耐疲労特性、耐インプリント特性及び信頼性を持つメモリ素子を有する。第2実施例によれば、第1上部電極膜69及び第2強誘電体膜68のエッチング工程を追加することにより、それぞれ特性が異なる第1キャパシタ及
び第2キャパシタを有する半導体装置を製造することができる。したがって、大幅な工程変更を行わずに、それぞれ特性が異なる第1キャパシタ及び第2キャパシタを有する半導体装置を製造することにより、半導体装置の製造コストを低減することができる。
実施例2によれば、第1キャパシタ領域の第1強誘電体膜67及び第2強誘電体膜68の上にレジストを形成しない状態で、第2キャパシタ領域の第2強誘電体膜68を除去している。また、実施例2によれば、第1キャパシタ領域の第1強誘電体膜67及び第2強誘電体膜68の上にレジストを形成しない状態で、第2キャパシタ領域の第2強誘電体膜68を削り、第2キャパシタ領域の第2強誘電体膜68の膜厚を薄くしている。したがって、実施例2によれば、第1キャパシタの強誘電体膜75の表面がレジストに曝されない状態で、第2キャパシタの強誘電体膜を薄くすることができる。実施例2によれば、第1キャパシタの強誘電体膜75の表面をレジストに曝すことなく、強誘電体膜の膜厚が異なる第1キャパシタ及び第2キャパシタを有する半導体装置を製造することができる。実施例2によれば、第1キャパシタの強誘電体膜75の表面をレジストに曝すことなく、特性が異なる複数のキャパシタを有する半導体装置を製造することができる。
第1強誘電体膜67及び第2強誘電体膜68の形成方法として、スパッタ法及びMOCVD法の他に、ゾル−ゲル法、有機金属分解(MOD)法、CSD(Chemical Solution Deposition)法、化学気相蒸着(CVD)法及びエピタキシャル成長法等が挙げられる。また、第1強誘電体膜67及び第2強誘電体膜68として、例えば、熱処理により結晶構造がBi層状構造又はペロブスカイト構造を有する膜を形成してもよい。結晶構造がBi層状構造又はペロブスカイト構造を有する膜として、PZT膜の他、La、Ca、Sr及びSi等の一種類又は複数種類を微量ドープしたPZT、SBT、BLT並びにBi系層状化合物などの一般式ABOで表される膜が挙げられる。
第1上部電極膜69を形成する際、例えば、Pt又はIrを含むターゲットを用いたスパッタリングを、Pt又はIrの酸化が生じる条件下で行ってもよい。第3上部電極膜72として酸化イリジウム膜を形成する場合、成膜温度を20℃乃至400℃、例えば、300℃とすることが好ましい。また、スパッタガスに含まれる酸素ガス及び不活性ガスの圧力に対する酸素ガスの分圧を、10%乃至60%にすることが好ましい。酸化イリジウム膜の膜厚を10nm乃至75nmにするのが好ましい。
第1上部電極膜69を形成した後の熱処理温度は、650℃乃至750℃、例えば、700℃とすることが好ましく、熱処理雰囲気は酸素含有量を1%乃至50%とすることが好ましい。
第1上部電極膜69及び第2上部電極膜71は、IrO膜に限定されるものではない。第1上部電極膜69及び第2上部電極膜71として、Pt、Ir、Ru、Rh、Re、Os及びPd等の一種類又は複数種類の貴金属元素を含有する金属膜を形成してもよいし、これらの酸化膜、例えばSrRuO膜を形成してもよい。また、導電膜として、2層構造以上の膜を形成してもよい。
なお、実施例1の変形例1から変形例6で説明した半導体装置の製造方法を、実施例2で説明した半導体装置の製造方法に適用してもよい。また、実施例1の変形例1から変形例6で説明した半導体装置の製造方法を可能な限り組み合わせて、実施例2で説明した半導体装置の製造方法に適用してもよい。
以上の実施例1、その変形例及び実施例2を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
半導体基板上における第1の領域及び第2の領域に、第1のキャパシタ及び第2のキャパシタがそれぞれ形成された半導体装置の製造方法において、
前記半導体基板上或いは前記半導体基板の上方に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜の上方に下部電極層を形成する工程と、
前記下部電極層上に強誘電体膜を形成する工程と、
前記強誘電体膜上に第1の上部電極層を形成する工程と、
前記第1の上部電極層上に、前記第1の領域を覆う第1のレジストを形成する工程と、
前記第1のレジストをマスクとしてエッチングを行うことにより、前記第2の領域の前記第1の上部電極層を除去するとともに、前記第2の領域の前記強誘電体膜を削る工程と、
前記第1の領域の前記第1の上部電極層上及び前記第1の領域以外の前記強誘電体膜上に、第2の上部電極層を形成する工程と、
前記第2の上部電極層の上方であって前記第1の領域及び前記第2の領域に第2のレジストを形成する工程と、
前記第2のレジストをマスクとして前記第1の上部電極層、前記第2の上部電極層、前記強誘電体膜及び前記下部電極層をエッチングし、前記第1のキャパシタ及び前記第2のキャパシタを形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記2)
前記強誘電体膜を熱処理する工程、を更に有することを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記3)
前記第1のキャパシタは、前記第1の上部電極層、前記第2の上部電極層、前記強誘電体膜及び前記下部電極層を有し、
前記第2のキャパシタは、前記第2の上部電極層、前記強誘電体膜及び前記下部電極層を有し、
前記第2のキャパシタが有する前記強誘電体膜の膜厚は、前記第1のキャパシタが有する前記強誘電体膜の膜厚よりも薄いことを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記4)
前記第2の上部電極層を熱処理する工程、を更に有することを特徴とする付記1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記5)
前記第2の上部電極層の上に、さらに第3の上部電極層を形成する工程、を更に有することを特徴とする付記1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記6)
半導体基板上或いは前記半導体基板の上方に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上の第1の領域に形成され、第1の下部電極、第1の強誘電体膜及び第1の上部電極が順次積層された第1のキャパシタと、
前記絶縁膜上の第2の領域に形成され、第2の下部電極、前記第1の強誘電体膜より薄い膜厚を有する第2の強誘電体膜及び前記第2の上部電極が順次積層された第2のキャパシタと、
を有することを特徴とする半導体装置。
(付記7)
前記第2の上部電極の膜厚が、前記第1の上部電極の膜厚より薄いことを特徴とする付記6に記載の半導体装置。
1 シリコン基板
11 第1層間絶縁膜
20、61 第2層間絶縁膜
22、66 下部電極膜
23、67 第1強誘電体膜
24、68 第2強誘電体膜
30、69 第1上部電極膜
31、70 第1レジスト
33、71 第2上部電極膜
34、72 第3上部電極膜
36A,B 第2レジスト
37、38、76、77 上部電極
39A,B 第3レジスト
41 第4レジスト
42 下部電極

Claims (4)

  1. 半導体基板の上方における第1の領域及び第2の領域に、第1のキャパシタ及び第2のキャパシタがそれぞれ形成された半導体装置の製造方法において、
    前記半導体基板の上方に絶縁膜を形成する工程と、
    前記絶縁膜の上方に下部電極層を形成する工程と、
    前記下部電極層上に強誘電体膜を形成する工程と、
    前記強誘電体膜上に第1の上部電極層を形成する工程と、
    前記第1の領域の前記第1の上部電極層上に、第1のレジストを形成する工程と、
    前記第1のレジストをマスクとしてエッチングを行うことにより、前記第1の領域以外の前記第1の上部電極層を除去するとともに、前記第1の領域以外の前記強誘電体膜を削る工程と、
    前記第1の領域の前記第1の上部電極層上及び前記第1の領域以外の前記強誘電体膜上に、第2の上部電極層を形成する工程と、
    前記第2の上部電極層の上方であって前記第1の領域及び前記第2の領域に第2のレジストを形成する工程と、
    前記第2のレジストをマスクとして前記第1の上部電極層、前記第2の上部電極層、前記強誘電体膜及び前記下部電極層をエッチングし、前記第1のキャパシタ及び前記第2のキャパシタを形成する工程と、
    を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記強誘電体膜を熱処理する工程、を更に有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記第1のキャパシタは、前記第1の上部電極層、前記第2の上部電極層、前記強誘電体膜及び前記下部電極層を有し、
    前記第2のキャパシタは、前記第2の上部電極層、前記強誘電体膜及び前記下部電極層を有し、
    前記第2のキャパシタが有する前記強誘電体膜の膜厚は、前記第1のキャパシタが有する前記強誘電体膜の膜厚よりも薄いことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 導体基板の上方に形成された絶縁膜と、
    前記絶縁膜上の第1の領域に形成され、第1の下部電極、第1の強誘電体膜及び第1の上部電極が順次積層された第1のキャパシタと、
    前記絶縁膜上の第2の領域に形成され、第2の下部電極、前記第1の強誘電体膜の膜厚より薄い膜厚を有する第2の強誘電体膜及び前記第1の上部電極の膜厚より薄い膜厚を有する第2の上部電極が順次積層された第2のキャパシタと、
    を有することを特徴とする半導体装置。
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