JP2004303550A - プラズマディスプレイの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高精細な隔壁を形成する場合、感光性ガラスペースト法では、凹凸のあるガラスペースト表面を直接露光するため、表面での光散乱が大きく、良好な隔壁形状が得られる露光量の範囲(露光マージン)が狭い問題があった。
【解決手段】基板上に有機成分と無機粒子とからなる感光性ペースト塗膜を形成した後キュアする工程と前記塗膜上に透明塗膜を形成する工程と、所定の開口パターンを有するマスクを用いて前記感光性ペースト塗膜を前記透明塗膜上から露光する工程を経た後に、前記感光性ペースト塗膜と前記透明塗膜を同時に現像によって除去することにより隔壁を形成することを特徴とするプラズマディスプレイの製造方法である。
【選択図】なし
【解決手段】基板上に有機成分と無機粒子とからなる感光性ペースト塗膜を形成した後キュアする工程と前記塗膜上に透明塗膜を形成する工程と、所定の開口パターンを有するマスクを用いて前記感光性ペースト塗膜を前記透明塗膜上から露光する工程を経た後に、前記感光性ペースト塗膜と前記透明塗膜を同時に現像によって除去することにより隔壁を形成することを特徴とするプラズマディスプレイの製造方法である。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」とする)は液晶パネルに比べて高速の表示が可能であり、かつ大型化が容易であることから、OA機器および広報表示装置などの分野に利用されている。また、高品位テレビジョンの分野などでの進展が非常に期待されている。
【0003】
PDPは、前面ガラス基板と背面ガラス基板との間に備えられた放電空間内で対向するアノードおよびカソード電極間にプラズマ放電を生じさせ、上記放電空間内に封入されているガスから発生した紫外線を、放電空間内に設けた蛍光体にあてることにより表示を行うものである。この場合、放電の広がりを一定領域に抑え、表示を規定のセル内で行わせると同時に、かつ均一な放電空間を確保するために隔壁(障壁、リブともいう)が設けられている。近年のハイビジョンの普及により、上記の隔壁の形状は、幅20〜40μm、高さ100〜250μmのミアンダ状(英語”Meander”で「曲がりくねった」という意味であり、蜂の巣のような構造の隔壁を指す。)や格子状のものなど、より高精細かつ複雑な構造が要求されている。 この隔壁の作成方法としては、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、型転写法、フォトリソグラフィー法等が用いられている。
【0004】
フォトリソグラフィー法による感光性ガラスペースト法は、感光性を持つ有機物を含む感光性ガラスペーストを基板上に塗布し、フォトマスクのパターンを露光により焼き付けた後に、未露光部を現像により洗い流して隔壁パターンを形成し、その後焼成して隔壁を得る方法である(例えば、特許文献1参照)。この方法は、工程が少なく、高精細化しやすいことなどの長所がある。
【0005】
サンドブラスト法はガラス基板にガラスペーストを塗布し、ドライフィルムレジストをラミネートし、パターン露光及び現像を行って、切削マスクを設け、切削粉を吹きつけることによってガラスペーストを部分的に切削する隔壁形成方法である(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−161298号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平8−50811号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、高精細な隔壁を形成する場合、感光性ガラスペースト法では、凹凸のあるガラスペースト表面を直接露光するため、表面での光散乱が大きく、良好な隔壁形状が得られる露光量の範囲(露光マージン)が狭い問題があった。参照特許文献1にはガラスペースト表面にポリビニルアルコール(PVA)やセルロース、あるいは、ポリエステル等の透明膜を形成することでパターン形状が向上することが記載されているが、これらは酸素遮断による感度向上をコンセプトとしている上に、現像による除去が不可能なため、露光後に剥離する必要があり、工程数が増えるため本問題には有効とは言えない。
【0009】
またサンドブラスト法では切削マスクとなるドライフィルムレジストの微細加工は自由であるが切削工程では、切削粉を高圧で吹き付けるため、高精細化が難しく、また工程が多いことも問題である。
【0010】
そこで本発明は、上記従来技術の問題点に着目し、感光性ガラスペースト法に於いて、露光時の表面散乱を抑制することにより、露光マージンが広い隔壁形成法によるプラズマディスプレイの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するため、以下の構成を有する。すなわち、基板上に有機成分と無機粒子とからなる感光性ペースト塗膜を形成した後キュアする工程と前記塗膜上に透明塗膜を形成する工程と、前記感光性ペースト塗膜を前記透明塗膜上から露光する工程を経た後に、前記感光性ペースト塗膜と前記透明塗膜を同時に現像によって除去することにより隔壁を形成することを特徴とするプラズマディスプレイの製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明における実施の形態を説明する。
【0013】
本発明の感光性ペースト法による隔壁形成では感光性有機成分と無機粒子からなる感光性ペーストより形成される塗膜を設けることを必須とする。この感光性有機成分の平均屈折率N1と無機粒子の屈折率であるN2が以下の式を満たすことが好ましい。
【0014】
−0.01≦N2−N1≦0.07 (1)
すなわち、有機成分と無機成分の屈折率を近づけることで有機/無機界面での光の屈折、散乱を制御し、塗膜中での光の直進透過性を高めるものである。しかしながら、折角に前記ペーストより形成された塗膜中での屈折率を合わせても、乾燥後のガラスペースト塗膜表面はガラス粉末による凹凸があり、このため大部分の光が散乱・反射されてしまう。
【0015】
そこでガラス粉末による凹凸を透明塗膜をラミネートすることで平坦化すれば、塗膜表面での光散乱がなく、効率良く、塗膜中に光りが進入するものである。すなわち、本発明においては、有機成分と無機粒子とからなる感光性ペースト塗膜を形成した後キュアする工程と前記塗膜上に透明塗膜を形成する工程が必要である。この透明塗膜はガラスの凹凸を覆うのに十分な厚み1〜50μmが好ましい。より好ましくは1〜15μmである。また表面での光散乱を抑制するためには表面粗さ(Ra)は0.001〜10μmが好ましい。
【0016】
なお、本発明における透明塗膜は、現像処理により除去可能な材質でさえ有れば何等限定されるものではない。なお、この透明塗膜は、現像処理に伴う処理(前処理など)により除去可能であり、除去するのに現像処理とは実質上全く独立した別個の処理を必要としない材質であっても良く、そのような場合は、処理時系列的に厳密に判断すれば同時でなくとも、実質上感光性ペースト塗膜と透明塗膜を同時に現像によって除去することができると言える。又、透明塗膜は、露光処理により硬化する必要性は特にないものである。但し、硬化特性が中途半端であると、現像処理に支障をきたす恐れがあるので好ましくなく、又、ゲル状物として現像液中に残り、シャワー現像の際の目詰まりの原因となるので、感光性ペースト塗膜と同様の硬化特性を有する方がより好ましいものではある。そこで、アルカリ現像が可能であることからカルボキシル基を有するコポリマーであり、樹脂酸価は50〜150mgKOH/gであることが好ましい。酸価が150を超えると現像許容幅が狭くなる。また、酸価が50未満では現像液に対する溶解性が低下する。
【0017】
カルボキシル基を有するポリマーは、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸またはこれらの酸無水物などのカルボキシル基含有モノマおよびメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、2−ヒドロキシアクリレートなどのモノマを選択し、アゾビスイソブチロニトリルのような開始剤を用いて共重合することにより得られるポリマーやジアミンと酸二無水物の反応によって得られるポリアミック酸などが挙げられる。
【0018】
また本発明の透明塗膜は感光性であってもよく、市販のレジストであって、例えばポジ型フォトレジスト(東京応化株式会社製OFPR−800、オーディルBF600)などの感光性レジストを用いることもできるが、この場合は感光性ペーストも合わせてポジ型であると現像処理上好ましい。
【0019】
カルボキシル基を有するポリマーとしては、焼成時の熱分解温度が低いことから、(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸を共重合成分とするコポリマーが好ましく用いられる。とりわけ、スチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体が好ましく用いられる。
【0020】
さらにこの透明塗膜の屈折率は空気とガラスペースト塗膜の平均屈折率の間、即ち1.00〜1.65であることが好ましい。この透明塗膜の平均屈折N3と感光性ペーストの有機成分の平均屈折率N1との屈折率差が次式で示される範囲が好ましい。
−0.5≦N1−N3≦0.5
さらには透明塗膜と有機成分の界面での屈折率差が無く、界面での散乱が存在しない、即ち、感光性ペーストにおける感光性有機成分に用いることが可能な成分組成をそのまま透明塗膜として用いることが好ましく、実際に用いる感光性ペーストにおける感光性有機成分と透明塗膜の組成が実質上同一であることが特に好ましい。
【0021】
又、無機粒子が感光性ペーストの表面に露出して、透明塗膜と接して界面をなすことも多々あるので、無機粒子の平均屈折率N2と透明塗膜の平均屈折率N3の間で次ぎの式が成り立つことも好ましい。
【0022】
−0.5≦N2−N3≦0.5
本発明における感光性ペーストは感光性有機成分とガラス微粒子からなる無機粒子を必須成分とする。
【0023】
本発明における感光性有機成分にはエチレン性不飽和基を有する化合物を含むことが好ましい。このような重合性モノマーとしては、1個以上の光重合可能な(メタ)アクリレート基またはアリル基を有するモノマーなどが挙げられる。これらの具体例としては、アルコール類(例えばエタノール、プロパノール、ヘキアノール、オクタノール、シクロヘキサノール、グリセリン、チリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど)のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、カルボン酸(例えば酢酸プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、酒石酸、クエン酸など)とアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジル、またはテトラグリシジルメテキシリレンジアミンとの反応生成物、アミド誘導体(例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドなど)、エポキシ化合物とアクリル酸またはメタクリル酸との反応物を挙げることができる。また、多官能モノマーにおいて、不飽和基はアクリル、メタクリル、ビニル、アリル基が混合して存在してもよい。これらは単独で用いてもよく、また組み合わせて用いてもよい。
【0024】
上記有機成分において、エチレン性不飽和基を有する化合物としてエチレン性不飽和基を有するポリマーを用いてもよい。エチレン性不飽和基としてはビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。
【0025】
側鎖にエチレン性不飽和結合を導入する方法として、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライドまたはアリルクロライド、マレイン酸などのカルボン酸を反応させて作る方法がある。
【0026】
グリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物としは、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル酸ギリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテルなどが挙げられる。とりわけ、CH2=CCH3COOCH2CHOHCH2−が好ましく用いられる。
【0027】
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリロイルイソシアナート、(メタ)アクリロイルエチルイソシアネートなどがある。また、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドは、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して0.05〜1モル当量反応させることが好ましい。
【0028】
エチレン性不飽和結合を有するアミン化合物の調整は、エチレン性不飽和結合を有するグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物等をアミノ化合物と反応させればよい。複数のエチレン性不飽和基含有化合物を混合して用いてもよい。
【0029】
また、感光性有機成分がカルボキシル基を有するコポリマーであり、樹脂酸価は50〜150mgKOH/gであることが好ましい。酸価が150を超えると現像許容幅が狭くなる。また、酸価が50未満では未露光部の現像液に対する溶解性が低下する。現像液濃度を高くすると露光部まで剥がれが発生し、高精細なパターンが得られにくくなる。
【0030】
カルボキシル基を有するポリマーは、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸またはこれらの酸無水物などのカルボキシル基含有モノマおよびメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、2−ヒドロキシアクリレートなどのモノマを選択し、アゾビスイソブチロニトリルのような開始剤を用いて共重合することにより得られる。
【0031】
カルボキシル基を有するポリマーとしては、焼成時の熱分解温度が低いことから、(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸を共重合成分とするコポリマーが好ましく用いられる。とりわけ、スチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体が好ましく用いられる。
【0032】
本発明における感光性有機成分に用いられる光重合開始剤は、ラジカル種を発生するものから好んで用いられる。光重合開始剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ベンゾインおよびその誘導体、ベンゾフェノンおよびその誘導体、アセトフェノンおよびその誘導体、イミダゾール誘導体、キノン誘導体、ジフェニルスルフィド誘導体、チオキサントンおよびその誘導体、ジベンジルケトン、フルオレノン、アントロンおよびその誘導体、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、ナフタレンスルフォニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイルおよびエオシン、メチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組み合わせなどが挙げられる。
【0033】
本発明では、これらを1種または2種以上使用することができる。光重合開始剤は、有機成分に対し、好ましくは0.05〜10重量%の範囲で添加され、より好ましくは、0.1〜10重量%である。光重合開始剤の添加量をこの範囲内とすることにより、露光部の残存率を保ちつつ良好な光感度を得ることができる。
【0034】
本発明で用いられる感光性ペーストは、さらにウレタン化合物を含有することが好ましい。ウレタン化合物を含有することにより、ペーストの柔軟性が向上し、焼成時の応力を小さくでき、亀裂や断線などの欠陥を効果的に抑制できるためである。さらに、熱分解性が向上し、焼成工程において焼成残渣が発生しにくくなるためである。本発明で好ましく使用するウレタン化合物として、例えば、下記一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
R1−(R4−R3)n−R4−R2 (1)
(R1およびR2はエチレン性不飽和基を含む置換基、水素、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基およびヒドロキシアラルキル基からなる群から選ばれたものであり、それぞれ同じであっても異なっていても良い。R3はアルキレンオキサイド基またはアルキレンオキサイドオリゴマー、R4はウレタン結合を含む有機基である。nは1〜10の自然数)
このようなウレタン化合物は、エチレンオキサイド単位を含むことが好ましい。より好ましくは、一般式(1)中、R3がエチレンオキサイド単位(以下、EOと示す)とプロピレンオキサイド単位(以下、POと示す)を含むオリゴマーであることであり、かつ、該オリゴマー中のEO含有量が8〜70重量%の範囲内であることである。EO含有量が70重量%以下であることにより、柔軟性がさらに向上し、焼成応力を小さくできるため、欠陥を効果的に抑制できる。さらに、熱分解性が向上し、隔壁形成後の焼成工程において、焼成残渣が発生しにくくなる。また、EO含有量が8%以上であることにより、他の有機成分との相溶性が向上する。
【0035】
また、ウレタン化合物が炭素−炭素二重結合を有することも好ましい。ウレタン化合物の炭素−炭素二重結合が他の架橋剤の炭素−炭素二重結合と反応して架橋体の中に含有されることにより、さらに重合収縮を抑制することができる。
【0036】
本発明で好ましく用いられるウレタン化合物の具体例としては、UA−2235PE(分子量18000,EO含有率20%)、UA−3238PE(分子量19000,EO含有率10%)、UA−3348PE(分子量22000,EO含有率15%)、UA−5348PE(分子量39000,EO含有率23%)(以上、新中村化学株式会社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの化合物は混合して用いてもよい。
【0037】
ウレタン化合物の含有量は、ペースト(無機成分を含む)中の0.1〜20重量%であることが好ましい。含有量を0.1重量%以上とすることで、適切なはがれ抑制の効果が得られる。20重量%を超えると、有機成分と無機微粒子の分散性が低下し、欠陥のが生じやすくなる。
【0038】
本発明で用いられるペーストは、これらの他に、分散剤、可塑剤、増粘剤、有機溶媒、沈降防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、有機染料、有機溶媒などを含む。
【0039】
ペーストを塗布する際に適度の粘度を示すなど、ペースト特性を調整するために、さらにポリマーを含むことも好ましい。メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース化合物、高分子量ポリエーテル、アクリル系樹脂は、焼成後の焼成残渣が少ないため、ポリマーとして好ましく用いることができる。また、既に上述したとおり、ポリマーに炭素−炭素2重結合を有する側鎖を導入することは、重合により3次元網目構造を形成する上で非常に好ましい。
【0040】
電極ペーストや隔壁ペーストに用いられるポリマーとしては、さらに未露光部の現像性をコントロールする機能をもっていることが好ましい。特に、分子側鎖にカルボキシル基を有する重量平均分子量2000〜6万、より好ましくは5000〜4万のポリマーが用いられる。ポリマーの酸価は、現像許容幅や未露光部の現像液に対する溶解性の点から50〜160が、特に70〜140の範囲が好ましい。
【0041】
本発明における無機粒子とは、例えばガラス粉末やセラミックス粉末である。
【0042】
ガラス粉末としては、ガラス転移点430〜500℃、軟化点が470〜580℃のガラス粉末を用いることが好ましい。また、ガラス粉末をペースト中に50重量%以上含有することによって、通常のディスプレイに用いられる基板上にパターン加工ができる。
【0043】
本発明の感光性ペーストに用いる無機微粒子として好ましく使用できるガラス粉末は例えば下記の組成を有するものである。
【0044】
上記のように、酸化リチウム、酸化ナトリウムまたは酸化カリウムのアルカリ金属酸化物のうち少なくとも1種を用い、その合計量が3〜15重量%、さらには3〜10重量%であることが好ましい。
【0045】
アルカリ金属酸化物は、ガラスの荷重軟化点、熱膨張係数のコントロールを容易にするのみならず、ガラスの屈折率を低くすることができるため、感光性有機成分との屈折率差を小さくすることが容易になる。アルカリ金属酸化物の合計量が3重量%以上とすることでガラスの低融点化の効果を得ることができ、15重量%以下とすることでガラスの化学的安定性を維持すると共に熱膨張係数を小さく抑えることができる。アルカリ金属としては、ガラスの屈折率を下げることやイオンのマイグレーションを防止することを考慮するならリチウムを選択するのが好ましい。
【0046】
酸化ケイ素の配合量は5〜30重量%が好ましく、より好ましくは10〜30重量%である。酸化ケイ素は、ガラスの緻密性、強度や安定性の向上に有効であり、また、ガラスの低屈折率化にも効果がある。熱膨張係数をコントロールしてガラス基板とのミスマッチによる剥離などを防ぐこともできる。5重量%以上とすることで、熱膨張係数を小さく抑えガラス基板に焼き付けた時にクラックを生じない。また、屈折率を低く抑えることができる。30重量%以下とすることで、ガラス転移点、荷重軟化点を低く抑え、ガラス基板への焼き付け温度を低くすることができる。
【0047】
酸化ホウ素は、低屈折率化にも有効であり、20〜45重量%、さらには20〜40重量%の範囲で配合することが好ましい。20重量%以上とすることで、ガラス転移点、荷重軟化点を低く抑えガラス基板への焼き付けを容易にする。また、45重量%以上とすることでガラスの化学的安定性を維持することができる。
【0048】
酸化バリウムおよび酸化ストロンチウムのうち少なくとも1種を用い、その合計量が2〜15重量%、さらには2〜10重量%であることが好ましい。これらの成分は、熱膨張係数の調整に有効であり、焼き付け温度の基板の耐熱性への適用、電気絶縁性、形成される隔壁の安定性や緻密性の点でも好ましい。2重量%以上とすることで結晶化による失透を防ぐこともできる。また、15重量%以下とすることにより、熱膨張係数を小さく抑え、屈折率も小さく抑えることができる。またガラスの化学的安定性も維持できる。
【0049】
酸化アルミニウムはガラス化範囲を広げてガラスを安定化する効果があり、ペーストのポットライフ延長にも有効である。10〜25重量%の範囲で配合することが好ましく、この範囲内とすることでガラス転移点、荷重軟化点を低く保ち、ガラス基板上への焼き付けを容易とすることができる。
【0050】
さらに、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムは、ガラスを溶融しやすくすると共に熱膨張係数を制御するために配合されることが好ましい。酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムは合計で2〜15重量%配合するのが好ましい。合計量が2重量%以上とすることで結晶化によるガラスの失透を防ぎ、15重量%以下とすることでガラスの化学的安定性を維持することができる。
【0051】
また、上記の組成には表記されていないが、酸化亜鉛や酸化チタン、酸化ジルコニウムなどを含有させることも好ましい。
【0052】
このようなガラス転移点および軟化点を有し、かつガラス微粒子の屈折率が1.5〜1.65になるように金属酸化物を配合してなるガラス微粒子を用いることにより、ガラス粉末と感光性有機成分の屈折率と整合させ、光散乱を抑制することにより高精度のパターン加工が可能になる。例えば、酸化ケイ素:22、酸化アルミニウム:23、酸化硼素:33、酸化リチウム:9、酸化マグネシウム:7、酸化バリウム:4および酸化亜鉛2(重量%)からなるガラス粉末は、ガラス転移点:490℃、軟化点:528℃そしてg線波長(436nm)においての屈折率:1.59であり、本発明の無機微粒子として好ましく使用することができる。
【0053】
ガラス粉末の作製法としては、例えば原料である酸化リチウム、酸化ケイ素、酸化硼素、酸化バリウムおよび酸化アルミニウムなどを所定の配合組成となるように混合し、900〜1200℃で溶融後、急冷し、ガラスフリットにしてから粉砕して1〜5μmの微細な粉末にする。原料は高純度の炭酸塩、酸化物、水酸化物などを使用できる。また、ガラス粉末の種類や組成によっては99.99%以上の超高純度なアルコキシドや有機金属の原料を使用し、ゾル・ゲル法で均質化に作製した粉末を使用すると高電気抵抗で緻密な気孔の少ない、高強度な絶縁層が得られるので好ましい。
【0054】
上記において使用されるガラス粉末粒子径は、作製しようとするパターンの形状を考慮して選ばれるが、粉末は、50重量%粒子径(平均粒子径)が2〜3.5μm、トップサイズ15μm以下であることが好ましい。さらに、10重量%粒子径が0.6〜1.5μm、90重量%粒子径が4〜8μm、比表面積1.5〜2.5m2/gを有していることが好ましい。より好ましくは平均粒子径2.5〜3.5μm、比表面積1.7〜2.4m2/gである。この範囲にあると紫外線露光時に光が十分透過し、上下で線幅差の少ない隔壁パターンが得られる。平均粒子径2.0μm以下、比表面積2.5m2/g以下とすることで、粉末が細かくなり過ぎず、露光時において光が散乱されて未露光部分を硬化させることを防ぐので好ましい。
【0055】
本発明のおける感光性ペーストは各種感光性有機成分と各種無機成分を上記式(1)を満たす所定の割合で調合した後、3本ローラーや混練機で均質に混合分散し作製する。
【0056】
次に本発明におけるプラズマディスプレイの製造方法を製造順に説明する。
ガラス、セラミックス等からなり、アドレス電極、及び誘電体が形成された基板上に、作製した感光性ペーストを全面塗布、もしくは部分的に塗布する。塗布方法としては、スクリーン印刷、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーター等の方法を用いることができる。塗布厚みは、塗布回数、スクリーンのメッシュ、ペーストの粘度によって調整できる。
【0057】
ここで、ペーストを基板上に塗布する場合、基板と塗布膜との密着性を高めるために基板の表面処理を行うことができる。表面処理液としては、シランカップリング剤、例えばビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス−(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等、あるいは有機金属、例えば有機チタン、有機アルミニウム、有機ジルコニウム等である。シランカップリング剤あるいは有機金属を有機溶媒、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等で0.1〜5%の濃度に希釈したものを用いる。次に、この表面処理液をスピナー等で基板上に均一に塗布した後に80〜140℃で10〜60分間乾燥することによって表面処理ができる。
【0058】
本発明では塗布した感光性ペースト表面に表面散乱を抑制するため透明塗膜を設けることを用いることを特徴とする。
【0059】
透明塗膜の形成方法はスピナー、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、等の方法が挙げられる。このほかにドライフィルムレジストをラミネートする方法もある。さらにはスリットを二つもつダイコーターを用いて感光性ペーストと透明塗膜を一括して塗布する方法もある。即ち、スリットダイコーターにスリットを平行に二つ設け、感光性ペーストと透明塗膜用溶液を同時に吐出することで二層を同時に形成する。写真用フィルムなどの形成法において好適に用いられている手法であり、この方法を用いれば工程を簡略化できて好ましい。
【0060】
塗布した後、露光装置を用いて露光を行う。露光は、通常のフォトリソグラフィー法で行われるように、フォトマスクを用いてマスク露光する方法が一般的である。用いるマスクは、感光性有機成分の種類によって、ネガ型もしくはポジ型のどちらかを選定する。
【0061】
また、フォトマスクを用いずに、赤色や青色のレーザー光等で直接描画する方法を用いても良い。
【0062】
露光装置としては、ステッパー露光機、プロキシミティ露光機等を用いることができる。また、大面積の露光を行う場合は、ガラス基板等の基板上に感光性ペーストを塗布した後に、搬送しながら露光を行うことによって、小さな露光面積の露光機で、大きな面積を露光することができる。
【0063】
この際使用される活性光源は、例えば可視光線、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザー光等が挙げられるが、これらの中で紫外線が好ましく、その光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌等等が使用できる。これらのなかでも超高圧水銀灯が好適である。露光条件は、塗布厚みによって異なるが、1〜100mW/cm2の出力の超高圧水銀灯を用いて20秒〜30分間露光を行う。
【0064】
露光後、感光性ペースト塗膜の感光部分と非感光部分の現像液に対する溶解度差を利用して現像を行うが、この時、同時に透明塗膜も現像により除去する。この場合、浸漬法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法で行う。
【0065】
用いる現像液、感光性ペースト中の有機成分が溶解可能である有機溶媒を使用できる。また、該有機溶媒にその溶解力が失われない範囲で水を添加しても良い。感光性ペースト中にカルボキシル基等の酸性基を持つ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像できる。アルカリ水溶液として水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム、水酸化カルシウムのような金属アルカリ水溶液を使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。
【0066】
有機アルカリとしては、アミン化合物を用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等が挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は通常0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。アルカリ濃度が低すぎると、可溶部が除去されず、アルカリ濃度が高すぎると、パターン部を剥離させ、また非可溶部を腐食させるおそれがあり好ましくない。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
【0067】
隔壁パターンを含む基板の焼成工程は焼成炉により行う。透明塗膜が感光性の場合には現像時に残った感光部分をこの時一括して焼成する。焼成雰囲気や温度はペーストや基板の種類によって異なるが、空気中、窒素、水素等の雰囲気下で焼成する。焼成温度は400〜610℃で行う。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用いることができる。また、以上の工程中に乾燥、予備反応の目的で、50〜300℃加熱工程を導入してもよい。
【0068】
以上の工程によって得られた隔壁層を有するガラス基板はプラズマディスプレイの前面側もしくは背面側に用いることができる。また、プラズマアドレス液晶ディスプレイのアドレス部分の放電を行うための基板として用いることができる。
【0069】
形成した隔壁層の間に蛍光体を塗布した後に、前面板のガラス基板を合わせて封着し、ヘリウム、ネオン、キセノン等の希ガスを封入することによって、プラズマディスプレイのパネル部分を製造できる。
【0070】
さらに、駆動用のドライバーICを実装することによって、プラズマディスプレイを製造することができる。
【0071】
【実施例】
以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中の濃度は、断りのない限り重量%である。まず、屈折率測定、光線透過率測定、露光マージンの評価、ディスプレイ特性の評価の方法について説明する。
【0072】
(屈折率測定)
ペースト中の有機成分(無機粒子を除いたペースト)の屈折率は、ペースト中の有機成分だけを調整して、塗布および乾燥工程後に、エリプソメトリー法によって、25℃における436nmの波長の光に関して測定を行った。その結果、屈折率は1.56であった。透明塗膜の有機成分も同様にして測定した。ガラスの屈折率は、液浸法により測定した。ガラス粒子を幾つかの屈折率浸液に浸し、光学顕微鏡で粒子と浸液との境界に発生するベッケ線が消失したときの浸液の屈折率をガラスの屈折率とした。
【0073】
(光線透過率の測定)
測定用サンプルは5cm角のガラス基板上に乾燥後の厚みが50μmになるように感光性ペーストを塗布乾燥し、次いで各種透明塗膜用溶液を調整し、感光性塗膜上に乾燥後の厚みが15μmになるように塗布乾燥し、サンプル調整した。光線透過率の測定は島津製作所製の分光光度計(UV−3101PC)を用いて行った。全光線透過率T1を測定した後、積分球の直進光を測定する部分を取り外し、直進光の光を検出しないようにして、拡散透過率T2(散乱等によって直進せずに透過した光の割合である拡散透過率)を測定した。さらに、次式に従って、正規透過率T3を計算により求めた。
【0074】
T3=(T2−T1)/T1
T1:全光線透過率
T2:拡散透過率
T3:正規透過率
(表面粗さの測定)
評価用サンプルは次の手順で行った。まず、ガラス基板上にスクリーン印刷法による複数回塗布によって、180μmの乾燥後厚みになるように感光性ペースト塗布を行った後、80℃で30分乾燥した。
【0075】
次に各種透明塗膜用溶液を調整し、スピナー法によって感光性ペースト塗膜上に10μmの乾燥後厚みになるように透明塗膜を形成し、東京精密(株)製、サ−フコム1500Aにて表面粗さRaを計測した。
(露光マージンの評価)
評価用サンプルは次の手順で行った。まず、ガラス基板上にスクリーン印刷法による複数回塗布によって、180μmの乾燥後厚みになるように感光性ペースト塗布を行った後、80℃で30分乾燥した。
【0076】
次に各種透明塗膜用溶液を調整し、スピナー法によって感光性ペースト塗膜上に10μmの乾燥後厚みになるように透明塗膜を形成した。
【0077】
次にフォトマスクを介して露光を行った。マスクは、ピッチ160μm、線幅30μm、プラズマディスプレイに於けるストライプ状の隔壁パターン形成が可能になるように設計したクロムマスクである。露光は、50mW/cm2の出力の超高圧水銀灯で100〜500mJ/cm2の紫外線露光を行った。その後、モノエタノールアミンの1%水溶液に浸漬して、現像を行った。
【0078】
さらに、得られたガラス基板を120℃で1時間乾燥した後、560℃で1時間焼成を行った。焼成により約20%程度の収縮が生じる。
【0079】
焼成後、パネルを切断して小片にし、隔壁の長手方向と垂直な断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所S2400)で観察し、隔壁の幅、高さを計測した。幅と高さがほぼスペック内でにある露光量の範囲を評価した。露光量範囲の中心を中心露光量としマージンを±%で示した。
【0080】
(ディスプレイ特性)
パネルを隔壁形成方向に沿って、1列おきに点灯させ、誤放電による点灯、不灯、またはちらつきがないか目視で評価した。基準は、誤放電による点灯セルや不灯セルの数が1個以内ならばディスプレイ特性はAA、2〜4個以内ならばディスプレイ特性はA、5〜7個以内ならばディスプレイ特性はB、8個以上でディスプレイパネルとしては不適であり、Cとした。
【0081】
(ペーストの作製方法)
ペーストの有機成分として用いたポリマー溶液、重合開始剤、架橋剤は次のとおりである。
【0082】
ポリマー溶液A:アクリル系ポリマー(スチレン/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体のカルボキシル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレートを付加反応したもの。重量平均分子量43,000、酸価95)の40%γ−ブチロラクトン溶液
ポリマー溶液B:エチルセルロース(数平均分子量80000)の5%テルピネオール溶液
架橋剤A:トリメチロールプロパントリアクリレート
架橋剤B:テトラプロピレングリコールジメタクリレート
架橋剤C:ビス(2−ヒドロキシ−3−メタクリロオキシプロピル)イソプロピルアミン
ウレタン化合物A:UA−3348PE(分子量22000,EO含有率15%)
ウレタン化合物B:UA−5348PE(分子量39000,EO含有率23%)
重合開始剤A:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン
重合開始剤B:
【0083】
【化1】
【0084】
重合開始剤C:過酸化ベンゾイル
低融点ガラス粉末A:酸化ビスマス38%、酸化ケイ素6%、酸化ホウ素20%、酸化亜鉛20%、酸化アルミニウム4%。ガラス転移点475℃、軟化点515℃、熱膨張係数75×10−7/℃、密度4.61g/cm3。
低融点ガラス粉末B:酸化リチウム7%、酸化ケイ素23%、酸化ホウ素32%、酸化バリウム4%、酸化アルミニウム20%、酸化カルシウム5%、酸化マグネシウム6%、酸化亜鉛3%。ガラス転移点495℃、軟化点530℃、熱膨張係数75×10−7/℃、密度2.54g/cm3、平均屈折率1.586、平均粒子径2.6μm。
【0085】
電極ペーストは、ポリマー溶液A(15重量部)、架橋剤A(3重量部)、重合開始剤A(1重量部)、ウレタン化合物A(1重量部)とジプロピレングリコールモノメチルエーテル(4重量部)、を50℃に加熱しながら溶解し、その後銀微粒子(平均粒子径1.5μm、比表面積0.80m2/g、80重量部)を添加し、混練機を用いて混練して作製した。
【0086】
誘電体ペーストは、ポリマー溶液B(20重量部)、架橋剤A(10重量部)、重合開始剤B(5重量部)、ウレタン化合物B(5重量部)を50℃に加熱しながら溶解し、無機成分(低融点ガラス粉末A(40重量部)、フィラー(酸化ケイ素:日本アエロジル社製、“アエロジル200”5重量部)、導電体粉末(酸化チタン、10重量部))からなる混合物を3本ローラー混練機で混練して作製した。なお、導電性粉末として混入された酸化チタンはフィラー成分としての役割も有する。
【0087】
隔壁ペーストは、ポリマー溶液A(30重量部)、架橋剤A+B(各2重量部)、重合開始剤A(2重量部)、ウレタン化合物A(3重量部)とγ−BL(5重量部)、を50℃に加熱しながら溶解し、低融点ガラス粉末B(50重量部)、フィラー(平均屈折率1.59、ガラス転移点652℃、平均粒子径2.4μm、10重量部)を加熱しながら攪拌し、混練機を用いて混練して作製した。
【0088】
(ディスプレイの製造方法)
プラズマディスプレイを以下の手順にて作製した。まず、旭硝子社製“PD−200”ガラス基板(42インチ)上に、感光性銀ペーストを用いたフォトリソグラフィー法によりアドレス電極パターンを形成した。次いで、アドレス電極が形成されたガラス基板上に誘電体層をスクリーン印刷法により20μmの厚みで形成した。しかる後、作製した感光性ペーストをスクリーン印刷によりアドレス電極パターンおよび誘電体層が形成された背面板用ガラス基板上に均一に塗布した。塗布膜にピンホールなどの発生を回避するために塗布・乾燥を数回以上繰り返し行い、膜厚みの調整を行った。途中の乾燥は80℃で10分間行った。その後、80℃で1時間保持して乾燥した。
【0089】
続いて、ネガ型クロムマスクを用いて、上面から30mJ/cm2出力の超高圧水銀灯で紫外線露光した。露光量は1.5mJ/cm2であった。
【0090】
次に、35℃に保持したモノエタノールアミンの0.3重量%水溶液をシャワーで150秒間かけることにより現像し、その後シャワースプレーを用いて水洗浄し、光硬化していないスペース部分を除去して背面板用ガラス基板上にストライプ状の隔壁パターンを形成した。その隔壁パターンをSEM観察、評価した。
【0091】
その後、焼成することにより、隔壁を形成した。次に、蛍光体層をディスペンサー法にて厚さ20μmに形成し、焼成して背面板を作製した。
【0092】
次に、“PD−200”ガラス基板上に、フォトエッチング方によりITO電極を形成した後、感光性銀ペーストを用いたフォトリソグラフィー法によりバス電極パターンを形成した。しかる後、透明誘電体層をスクリーン印刷法により30μmの厚みで形成した。さらに、500nm厚のMgO膜を電子ビーム蒸着法により形成して、放電のための複数の電極を形成した前面板を得た。
【0093】
次に、前面板及び背面板用ガラス基板にシール剤となる低融点ガラスペーストを設け、所定の配置になるよう位置合わせして対向配置し、450℃、30分間処理しガラス基板を封止した。その後、表示領域内部の排気及びNe95%、Xe5%の混合ガスの封入を行ってプラズマディスプレイパネルを完成させた。その後、白黒の市松模様に点灯させ、隔壁のかけ、剥がれによる点灯、不灯からパネルを評価した。
【0094】
【表1】
【0095】
(実施例1)
表1に示す透明塗膜成分を用いて各評価を行った。結果は表1に併記する。露光マージンは最もよく250〜500mJ/cm2であった。この隔壁パターンを用いてパネルを作製し、ディスプレイとしての評価を行ったところ結果は良好であった。
【0096】
(実施例2)
表1に示す透明塗膜成分を用いて各評価を行った。結果は表1に併記する。露光マージンは最もよく250〜500mJ/cm2であった。この隔壁パターンを用いてパネルを作製し、ディスプレイとしての評価を行ったところ結果は良好であった。
【0097】
(実施例3)
表1に示す透明塗膜成分を用いて各評価を行った。結果は表1に併記する。露光マージンは最もよく250〜500mJ/cm2であった。この隔壁パターンを用いてパネルを作製し、ディスプレイとしての評価を行ったところ結果は良好であった。
【0098】
(比較例1)
表1に示す透明塗膜成分を用いて各評価を行った。結果は表1に併記する。露光マージンは最もよく250〜500mJ/cm2であった。この隔壁パターンを用いてパネルを作製し、ディスプレイとしての評価を行ったところ結果は良好であった。
【0099】
【発明の効果】
本発明は基板上に有機成分と無機粒子とからなる感光性ペースト塗膜を形成後、この塗膜上に透明塗膜を形成することにより、塗膜表面でのガラス粒子の凹凸による光散乱を抑制し、正規透過率を向上させることで高精細隔壁形成時における露光マージンを向上させ、高精細プラズマディスプレイの安定供給に効果がある。
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」とする)は液晶パネルに比べて高速の表示が可能であり、かつ大型化が容易であることから、OA機器および広報表示装置などの分野に利用されている。また、高品位テレビジョンの分野などでの進展が非常に期待されている。
【0003】
PDPは、前面ガラス基板と背面ガラス基板との間に備えられた放電空間内で対向するアノードおよびカソード電極間にプラズマ放電を生じさせ、上記放電空間内に封入されているガスから発生した紫外線を、放電空間内に設けた蛍光体にあてることにより表示を行うものである。この場合、放電の広がりを一定領域に抑え、表示を規定のセル内で行わせると同時に、かつ均一な放電空間を確保するために隔壁(障壁、リブともいう)が設けられている。近年のハイビジョンの普及により、上記の隔壁の形状は、幅20〜40μm、高さ100〜250μmのミアンダ状(英語”Meander”で「曲がりくねった」という意味であり、蜂の巣のような構造の隔壁を指す。)や格子状のものなど、より高精細かつ複雑な構造が要求されている。 この隔壁の作成方法としては、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、型転写法、フォトリソグラフィー法等が用いられている。
【0004】
フォトリソグラフィー法による感光性ガラスペースト法は、感光性を持つ有機物を含む感光性ガラスペーストを基板上に塗布し、フォトマスクのパターンを露光により焼き付けた後に、未露光部を現像により洗い流して隔壁パターンを形成し、その後焼成して隔壁を得る方法である(例えば、特許文献1参照)。この方法は、工程が少なく、高精細化しやすいことなどの長所がある。
【0005】
サンドブラスト法はガラス基板にガラスペーストを塗布し、ドライフィルムレジストをラミネートし、パターン露光及び現像を行って、切削マスクを設け、切削粉を吹きつけることによってガラスペーストを部分的に切削する隔壁形成方法である(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−161298号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平8−50811号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、高精細な隔壁を形成する場合、感光性ガラスペースト法では、凹凸のあるガラスペースト表面を直接露光するため、表面での光散乱が大きく、良好な隔壁形状が得られる露光量の範囲(露光マージン)が狭い問題があった。参照特許文献1にはガラスペースト表面にポリビニルアルコール(PVA)やセルロース、あるいは、ポリエステル等の透明膜を形成することでパターン形状が向上することが記載されているが、これらは酸素遮断による感度向上をコンセプトとしている上に、現像による除去が不可能なため、露光後に剥離する必要があり、工程数が増えるため本問題には有効とは言えない。
【0009】
またサンドブラスト法では切削マスクとなるドライフィルムレジストの微細加工は自由であるが切削工程では、切削粉を高圧で吹き付けるため、高精細化が難しく、また工程が多いことも問題である。
【0010】
そこで本発明は、上記従来技術の問題点に着目し、感光性ガラスペースト法に於いて、露光時の表面散乱を抑制することにより、露光マージンが広い隔壁形成法によるプラズマディスプレイの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するため、以下の構成を有する。すなわち、基板上に有機成分と無機粒子とからなる感光性ペースト塗膜を形成した後キュアする工程と前記塗膜上に透明塗膜を形成する工程と、前記感光性ペースト塗膜を前記透明塗膜上から露光する工程を経た後に、前記感光性ペースト塗膜と前記透明塗膜を同時に現像によって除去することにより隔壁を形成することを特徴とするプラズマディスプレイの製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明における実施の形態を説明する。
【0013】
本発明の感光性ペースト法による隔壁形成では感光性有機成分と無機粒子からなる感光性ペーストより形成される塗膜を設けることを必須とする。この感光性有機成分の平均屈折率N1と無機粒子の屈折率であるN2が以下の式を満たすことが好ましい。
【0014】
−0.01≦N2−N1≦0.07 (1)
すなわち、有機成分と無機成分の屈折率を近づけることで有機/無機界面での光の屈折、散乱を制御し、塗膜中での光の直進透過性を高めるものである。しかしながら、折角に前記ペーストより形成された塗膜中での屈折率を合わせても、乾燥後のガラスペースト塗膜表面はガラス粉末による凹凸があり、このため大部分の光が散乱・反射されてしまう。
【0015】
そこでガラス粉末による凹凸を透明塗膜をラミネートすることで平坦化すれば、塗膜表面での光散乱がなく、効率良く、塗膜中に光りが進入するものである。すなわち、本発明においては、有機成分と無機粒子とからなる感光性ペースト塗膜を形成した後キュアする工程と前記塗膜上に透明塗膜を形成する工程が必要である。この透明塗膜はガラスの凹凸を覆うのに十分な厚み1〜50μmが好ましい。より好ましくは1〜15μmである。また表面での光散乱を抑制するためには表面粗さ(Ra)は0.001〜10μmが好ましい。
【0016】
なお、本発明における透明塗膜は、現像処理により除去可能な材質でさえ有れば何等限定されるものではない。なお、この透明塗膜は、現像処理に伴う処理(前処理など)により除去可能であり、除去するのに現像処理とは実質上全く独立した別個の処理を必要としない材質であっても良く、そのような場合は、処理時系列的に厳密に判断すれば同時でなくとも、実質上感光性ペースト塗膜と透明塗膜を同時に現像によって除去することができると言える。又、透明塗膜は、露光処理により硬化する必要性は特にないものである。但し、硬化特性が中途半端であると、現像処理に支障をきたす恐れがあるので好ましくなく、又、ゲル状物として現像液中に残り、シャワー現像の際の目詰まりの原因となるので、感光性ペースト塗膜と同様の硬化特性を有する方がより好ましいものではある。そこで、アルカリ現像が可能であることからカルボキシル基を有するコポリマーであり、樹脂酸価は50〜150mgKOH/gであることが好ましい。酸価が150を超えると現像許容幅が狭くなる。また、酸価が50未満では現像液に対する溶解性が低下する。
【0017】
カルボキシル基を有するポリマーは、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸またはこれらの酸無水物などのカルボキシル基含有モノマおよびメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、2−ヒドロキシアクリレートなどのモノマを選択し、アゾビスイソブチロニトリルのような開始剤を用いて共重合することにより得られるポリマーやジアミンと酸二無水物の反応によって得られるポリアミック酸などが挙げられる。
【0018】
また本発明の透明塗膜は感光性であってもよく、市販のレジストであって、例えばポジ型フォトレジスト(東京応化株式会社製OFPR−800、オーディルBF600)などの感光性レジストを用いることもできるが、この場合は感光性ペーストも合わせてポジ型であると現像処理上好ましい。
【0019】
カルボキシル基を有するポリマーとしては、焼成時の熱分解温度が低いことから、(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸を共重合成分とするコポリマーが好ましく用いられる。とりわけ、スチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体が好ましく用いられる。
【0020】
さらにこの透明塗膜の屈折率は空気とガラスペースト塗膜の平均屈折率の間、即ち1.00〜1.65であることが好ましい。この透明塗膜の平均屈折N3と感光性ペーストの有機成分の平均屈折率N1との屈折率差が次式で示される範囲が好ましい。
−0.5≦N1−N3≦0.5
さらには透明塗膜と有機成分の界面での屈折率差が無く、界面での散乱が存在しない、即ち、感光性ペーストにおける感光性有機成分に用いることが可能な成分組成をそのまま透明塗膜として用いることが好ましく、実際に用いる感光性ペーストにおける感光性有機成分と透明塗膜の組成が実質上同一であることが特に好ましい。
【0021】
又、無機粒子が感光性ペーストの表面に露出して、透明塗膜と接して界面をなすことも多々あるので、無機粒子の平均屈折率N2と透明塗膜の平均屈折率N3の間で次ぎの式が成り立つことも好ましい。
【0022】
−0.5≦N2−N3≦0.5
本発明における感光性ペーストは感光性有機成分とガラス微粒子からなる無機粒子を必須成分とする。
【0023】
本発明における感光性有機成分にはエチレン性不飽和基を有する化合物を含むことが好ましい。このような重合性モノマーとしては、1個以上の光重合可能な(メタ)アクリレート基またはアリル基を有するモノマーなどが挙げられる。これらの具体例としては、アルコール類(例えばエタノール、プロパノール、ヘキアノール、オクタノール、シクロヘキサノール、グリセリン、チリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど)のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、カルボン酸(例えば酢酸プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、酒石酸、クエン酸など)とアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジル、またはテトラグリシジルメテキシリレンジアミンとの反応生成物、アミド誘導体(例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドなど)、エポキシ化合物とアクリル酸またはメタクリル酸との反応物を挙げることができる。また、多官能モノマーにおいて、不飽和基はアクリル、メタクリル、ビニル、アリル基が混合して存在してもよい。これらは単独で用いてもよく、また組み合わせて用いてもよい。
【0024】
上記有機成分において、エチレン性不飽和基を有する化合物としてエチレン性不飽和基を有するポリマーを用いてもよい。エチレン性不飽和基としてはビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。
【0025】
側鎖にエチレン性不飽和結合を導入する方法として、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライドまたはアリルクロライド、マレイン酸などのカルボン酸を反応させて作る方法がある。
【0026】
グリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物としは、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル酸ギリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテルなどが挙げられる。とりわけ、CH2=CCH3COOCH2CHOHCH2−が好ましく用いられる。
【0027】
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリロイルイソシアナート、(メタ)アクリロイルエチルイソシアネートなどがある。また、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドは、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して0.05〜1モル当量反応させることが好ましい。
【0028】
エチレン性不飽和結合を有するアミン化合物の調整は、エチレン性不飽和結合を有するグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物等をアミノ化合物と反応させればよい。複数のエチレン性不飽和基含有化合物を混合して用いてもよい。
【0029】
また、感光性有機成分がカルボキシル基を有するコポリマーであり、樹脂酸価は50〜150mgKOH/gであることが好ましい。酸価が150を超えると現像許容幅が狭くなる。また、酸価が50未満では未露光部の現像液に対する溶解性が低下する。現像液濃度を高くすると露光部まで剥がれが発生し、高精細なパターンが得られにくくなる。
【0030】
カルボキシル基を有するポリマーは、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸またはこれらの酸無水物などのカルボキシル基含有モノマおよびメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、2−ヒドロキシアクリレートなどのモノマを選択し、アゾビスイソブチロニトリルのような開始剤を用いて共重合することにより得られる。
【0031】
カルボキシル基を有するポリマーとしては、焼成時の熱分解温度が低いことから、(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸を共重合成分とするコポリマーが好ましく用いられる。とりわけ、スチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体が好ましく用いられる。
【0032】
本発明における感光性有機成分に用いられる光重合開始剤は、ラジカル種を発生するものから好んで用いられる。光重合開始剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ベンゾインおよびその誘導体、ベンゾフェノンおよびその誘導体、アセトフェノンおよびその誘導体、イミダゾール誘導体、キノン誘導体、ジフェニルスルフィド誘導体、チオキサントンおよびその誘導体、ジベンジルケトン、フルオレノン、アントロンおよびその誘導体、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、ナフタレンスルフォニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイルおよびエオシン、メチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組み合わせなどが挙げられる。
【0033】
本発明では、これらを1種または2種以上使用することができる。光重合開始剤は、有機成分に対し、好ましくは0.05〜10重量%の範囲で添加され、より好ましくは、0.1〜10重量%である。光重合開始剤の添加量をこの範囲内とすることにより、露光部の残存率を保ちつつ良好な光感度を得ることができる。
【0034】
本発明で用いられる感光性ペーストは、さらにウレタン化合物を含有することが好ましい。ウレタン化合物を含有することにより、ペーストの柔軟性が向上し、焼成時の応力を小さくでき、亀裂や断線などの欠陥を効果的に抑制できるためである。さらに、熱分解性が向上し、焼成工程において焼成残渣が発生しにくくなるためである。本発明で好ましく使用するウレタン化合物として、例えば、下記一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
R1−(R4−R3)n−R4−R2 (1)
(R1およびR2はエチレン性不飽和基を含む置換基、水素、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基およびヒドロキシアラルキル基からなる群から選ばれたものであり、それぞれ同じであっても異なっていても良い。R3はアルキレンオキサイド基またはアルキレンオキサイドオリゴマー、R4はウレタン結合を含む有機基である。nは1〜10の自然数)
このようなウレタン化合物は、エチレンオキサイド単位を含むことが好ましい。より好ましくは、一般式(1)中、R3がエチレンオキサイド単位(以下、EOと示す)とプロピレンオキサイド単位(以下、POと示す)を含むオリゴマーであることであり、かつ、該オリゴマー中のEO含有量が8〜70重量%の範囲内であることである。EO含有量が70重量%以下であることにより、柔軟性がさらに向上し、焼成応力を小さくできるため、欠陥を効果的に抑制できる。さらに、熱分解性が向上し、隔壁形成後の焼成工程において、焼成残渣が発生しにくくなる。また、EO含有量が8%以上であることにより、他の有機成分との相溶性が向上する。
【0035】
また、ウレタン化合物が炭素−炭素二重結合を有することも好ましい。ウレタン化合物の炭素−炭素二重結合が他の架橋剤の炭素−炭素二重結合と反応して架橋体の中に含有されることにより、さらに重合収縮を抑制することができる。
【0036】
本発明で好ましく用いられるウレタン化合物の具体例としては、UA−2235PE(分子量18000,EO含有率20%)、UA−3238PE(分子量19000,EO含有率10%)、UA−3348PE(分子量22000,EO含有率15%)、UA−5348PE(分子量39000,EO含有率23%)(以上、新中村化学株式会社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの化合物は混合して用いてもよい。
【0037】
ウレタン化合物の含有量は、ペースト(無機成分を含む)中の0.1〜20重量%であることが好ましい。含有量を0.1重量%以上とすることで、適切なはがれ抑制の効果が得られる。20重量%を超えると、有機成分と無機微粒子の分散性が低下し、欠陥のが生じやすくなる。
【0038】
本発明で用いられるペーストは、これらの他に、分散剤、可塑剤、増粘剤、有機溶媒、沈降防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、有機染料、有機溶媒などを含む。
【0039】
ペーストを塗布する際に適度の粘度を示すなど、ペースト特性を調整するために、さらにポリマーを含むことも好ましい。メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース化合物、高分子量ポリエーテル、アクリル系樹脂は、焼成後の焼成残渣が少ないため、ポリマーとして好ましく用いることができる。また、既に上述したとおり、ポリマーに炭素−炭素2重結合を有する側鎖を導入することは、重合により3次元網目構造を形成する上で非常に好ましい。
【0040】
電極ペーストや隔壁ペーストに用いられるポリマーとしては、さらに未露光部の現像性をコントロールする機能をもっていることが好ましい。特に、分子側鎖にカルボキシル基を有する重量平均分子量2000〜6万、より好ましくは5000〜4万のポリマーが用いられる。ポリマーの酸価は、現像許容幅や未露光部の現像液に対する溶解性の点から50〜160が、特に70〜140の範囲が好ましい。
【0041】
本発明における無機粒子とは、例えばガラス粉末やセラミックス粉末である。
【0042】
ガラス粉末としては、ガラス転移点430〜500℃、軟化点が470〜580℃のガラス粉末を用いることが好ましい。また、ガラス粉末をペースト中に50重量%以上含有することによって、通常のディスプレイに用いられる基板上にパターン加工ができる。
【0043】
本発明の感光性ペーストに用いる無機微粒子として好ましく使用できるガラス粉末は例えば下記の組成を有するものである。
【0044】
上記のように、酸化リチウム、酸化ナトリウムまたは酸化カリウムのアルカリ金属酸化物のうち少なくとも1種を用い、その合計量が3〜15重量%、さらには3〜10重量%であることが好ましい。
【0045】
アルカリ金属酸化物は、ガラスの荷重軟化点、熱膨張係数のコントロールを容易にするのみならず、ガラスの屈折率を低くすることができるため、感光性有機成分との屈折率差を小さくすることが容易になる。アルカリ金属酸化物の合計量が3重量%以上とすることでガラスの低融点化の効果を得ることができ、15重量%以下とすることでガラスの化学的安定性を維持すると共に熱膨張係数を小さく抑えることができる。アルカリ金属としては、ガラスの屈折率を下げることやイオンのマイグレーションを防止することを考慮するならリチウムを選択するのが好ましい。
【0046】
酸化ケイ素の配合量は5〜30重量%が好ましく、より好ましくは10〜30重量%である。酸化ケイ素は、ガラスの緻密性、強度や安定性の向上に有効であり、また、ガラスの低屈折率化にも効果がある。熱膨張係数をコントロールしてガラス基板とのミスマッチによる剥離などを防ぐこともできる。5重量%以上とすることで、熱膨張係数を小さく抑えガラス基板に焼き付けた時にクラックを生じない。また、屈折率を低く抑えることができる。30重量%以下とすることで、ガラス転移点、荷重軟化点を低く抑え、ガラス基板への焼き付け温度を低くすることができる。
【0047】
酸化ホウ素は、低屈折率化にも有効であり、20〜45重量%、さらには20〜40重量%の範囲で配合することが好ましい。20重量%以上とすることで、ガラス転移点、荷重軟化点を低く抑えガラス基板への焼き付けを容易にする。また、45重量%以上とすることでガラスの化学的安定性を維持することができる。
【0048】
酸化バリウムおよび酸化ストロンチウムのうち少なくとも1種を用い、その合計量が2〜15重量%、さらには2〜10重量%であることが好ましい。これらの成分は、熱膨張係数の調整に有効であり、焼き付け温度の基板の耐熱性への適用、電気絶縁性、形成される隔壁の安定性や緻密性の点でも好ましい。2重量%以上とすることで結晶化による失透を防ぐこともできる。また、15重量%以下とすることにより、熱膨張係数を小さく抑え、屈折率も小さく抑えることができる。またガラスの化学的安定性も維持できる。
【0049】
酸化アルミニウムはガラス化範囲を広げてガラスを安定化する効果があり、ペーストのポットライフ延長にも有効である。10〜25重量%の範囲で配合することが好ましく、この範囲内とすることでガラス転移点、荷重軟化点を低く保ち、ガラス基板上への焼き付けを容易とすることができる。
【0050】
さらに、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムは、ガラスを溶融しやすくすると共に熱膨張係数を制御するために配合されることが好ましい。酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムは合計で2〜15重量%配合するのが好ましい。合計量が2重量%以上とすることで結晶化によるガラスの失透を防ぎ、15重量%以下とすることでガラスの化学的安定性を維持することができる。
【0051】
また、上記の組成には表記されていないが、酸化亜鉛や酸化チタン、酸化ジルコニウムなどを含有させることも好ましい。
【0052】
このようなガラス転移点および軟化点を有し、かつガラス微粒子の屈折率が1.5〜1.65になるように金属酸化物を配合してなるガラス微粒子を用いることにより、ガラス粉末と感光性有機成分の屈折率と整合させ、光散乱を抑制することにより高精度のパターン加工が可能になる。例えば、酸化ケイ素:22、酸化アルミニウム:23、酸化硼素:33、酸化リチウム:9、酸化マグネシウム:7、酸化バリウム:4および酸化亜鉛2(重量%)からなるガラス粉末は、ガラス転移点:490℃、軟化点:528℃そしてg線波長(436nm)においての屈折率:1.59であり、本発明の無機微粒子として好ましく使用することができる。
【0053】
ガラス粉末の作製法としては、例えば原料である酸化リチウム、酸化ケイ素、酸化硼素、酸化バリウムおよび酸化アルミニウムなどを所定の配合組成となるように混合し、900〜1200℃で溶融後、急冷し、ガラスフリットにしてから粉砕して1〜5μmの微細な粉末にする。原料は高純度の炭酸塩、酸化物、水酸化物などを使用できる。また、ガラス粉末の種類や組成によっては99.99%以上の超高純度なアルコキシドや有機金属の原料を使用し、ゾル・ゲル法で均質化に作製した粉末を使用すると高電気抵抗で緻密な気孔の少ない、高強度な絶縁層が得られるので好ましい。
【0054】
上記において使用されるガラス粉末粒子径は、作製しようとするパターンの形状を考慮して選ばれるが、粉末は、50重量%粒子径(平均粒子径)が2〜3.5μm、トップサイズ15μm以下であることが好ましい。さらに、10重量%粒子径が0.6〜1.5μm、90重量%粒子径が4〜8μm、比表面積1.5〜2.5m2/gを有していることが好ましい。より好ましくは平均粒子径2.5〜3.5μm、比表面積1.7〜2.4m2/gである。この範囲にあると紫外線露光時に光が十分透過し、上下で線幅差の少ない隔壁パターンが得られる。平均粒子径2.0μm以下、比表面積2.5m2/g以下とすることで、粉末が細かくなり過ぎず、露光時において光が散乱されて未露光部分を硬化させることを防ぐので好ましい。
【0055】
本発明のおける感光性ペーストは各種感光性有機成分と各種無機成分を上記式(1)を満たす所定の割合で調合した後、3本ローラーや混練機で均質に混合分散し作製する。
【0056】
次に本発明におけるプラズマディスプレイの製造方法を製造順に説明する。
ガラス、セラミックス等からなり、アドレス電極、及び誘電体が形成された基板上に、作製した感光性ペーストを全面塗布、もしくは部分的に塗布する。塗布方法としては、スクリーン印刷、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーター等の方法を用いることができる。塗布厚みは、塗布回数、スクリーンのメッシュ、ペーストの粘度によって調整できる。
【0057】
ここで、ペーストを基板上に塗布する場合、基板と塗布膜との密着性を高めるために基板の表面処理を行うことができる。表面処理液としては、シランカップリング剤、例えばビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス−(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等、あるいは有機金属、例えば有機チタン、有機アルミニウム、有機ジルコニウム等である。シランカップリング剤あるいは有機金属を有機溶媒、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等で0.1〜5%の濃度に希釈したものを用いる。次に、この表面処理液をスピナー等で基板上に均一に塗布した後に80〜140℃で10〜60分間乾燥することによって表面処理ができる。
【0058】
本発明では塗布した感光性ペースト表面に表面散乱を抑制するため透明塗膜を設けることを用いることを特徴とする。
【0059】
透明塗膜の形成方法はスピナー、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、等の方法が挙げられる。このほかにドライフィルムレジストをラミネートする方法もある。さらにはスリットを二つもつダイコーターを用いて感光性ペーストと透明塗膜を一括して塗布する方法もある。即ち、スリットダイコーターにスリットを平行に二つ設け、感光性ペーストと透明塗膜用溶液を同時に吐出することで二層を同時に形成する。写真用フィルムなどの形成法において好適に用いられている手法であり、この方法を用いれば工程を簡略化できて好ましい。
【0060】
塗布した後、露光装置を用いて露光を行う。露光は、通常のフォトリソグラフィー法で行われるように、フォトマスクを用いてマスク露光する方法が一般的である。用いるマスクは、感光性有機成分の種類によって、ネガ型もしくはポジ型のどちらかを選定する。
【0061】
また、フォトマスクを用いずに、赤色や青色のレーザー光等で直接描画する方法を用いても良い。
【0062】
露光装置としては、ステッパー露光機、プロキシミティ露光機等を用いることができる。また、大面積の露光を行う場合は、ガラス基板等の基板上に感光性ペーストを塗布した後に、搬送しながら露光を行うことによって、小さな露光面積の露光機で、大きな面積を露光することができる。
【0063】
この際使用される活性光源は、例えば可視光線、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザー光等が挙げられるが、これらの中で紫外線が好ましく、その光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌等等が使用できる。これらのなかでも超高圧水銀灯が好適である。露光条件は、塗布厚みによって異なるが、1〜100mW/cm2の出力の超高圧水銀灯を用いて20秒〜30分間露光を行う。
【0064】
露光後、感光性ペースト塗膜の感光部分と非感光部分の現像液に対する溶解度差を利用して現像を行うが、この時、同時に透明塗膜も現像により除去する。この場合、浸漬法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法で行う。
【0065】
用いる現像液、感光性ペースト中の有機成分が溶解可能である有機溶媒を使用できる。また、該有機溶媒にその溶解力が失われない範囲で水を添加しても良い。感光性ペースト中にカルボキシル基等の酸性基を持つ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像できる。アルカリ水溶液として水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム、水酸化カルシウムのような金属アルカリ水溶液を使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。
【0066】
有機アルカリとしては、アミン化合物を用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等が挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は通常0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。アルカリ濃度が低すぎると、可溶部が除去されず、アルカリ濃度が高すぎると、パターン部を剥離させ、また非可溶部を腐食させるおそれがあり好ましくない。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
【0067】
隔壁パターンを含む基板の焼成工程は焼成炉により行う。透明塗膜が感光性の場合には現像時に残った感光部分をこの時一括して焼成する。焼成雰囲気や温度はペーストや基板の種類によって異なるが、空気中、窒素、水素等の雰囲気下で焼成する。焼成温度は400〜610℃で行う。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用いることができる。また、以上の工程中に乾燥、予備反応の目的で、50〜300℃加熱工程を導入してもよい。
【0068】
以上の工程によって得られた隔壁層を有するガラス基板はプラズマディスプレイの前面側もしくは背面側に用いることができる。また、プラズマアドレス液晶ディスプレイのアドレス部分の放電を行うための基板として用いることができる。
【0069】
形成した隔壁層の間に蛍光体を塗布した後に、前面板のガラス基板を合わせて封着し、ヘリウム、ネオン、キセノン等の希ガスを封入することによって、プラズマディスプレイのパネル部分を製造できる。
【0070】
さらに、駆動用のドライバーICを実装することによって、プラズマディスプレイを製造することができる。
【0071】
【実施例】
以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中の濃度は、断りのない限り重量%である。まず、屈折率測定、光線透過率測定、露光マージンの評価、ディスプレイ特性の評価の方法について説明する。
【0072】
(屈折率測定)
ペースト中の有機成分(無機粒子を除いたペースト)の屈折率は、ペースト中の有機成分だけを調整して、塗布および乾燥工程後に、エリプソメトリー法によって、25℃における436nmの波長の光に関して測定を行った。その結果、屈折率は1.56であった。透明塗膜の有機成分も同様にして測定した。ガラスの屈折率は、液浸法により測定した。ガラス粒子を幾つかの屈折率浸液に浸し、光学顕微鏡で粒子と浸液との境界に発生するベッケ線が消失したときの浸液の屈折率をガラスの屈折率とした。
【0073】
(光線透過率の測定)
測定用サンプルは5cm角のガラス基板上に乾燥後の厚みが50μmになるように感光性ペーストを塗布乾燥し、次いで各種透明塗膜用溶液を調整し、感光性塗膜上に乾燥後の厚みが15μmになるように塗布乾燥し、サンプル調整した。光線透過率の測定は島津製作所製の分光光度計(UV−3101PC)を用いて行った。全光線透過率T1を測定した後、積分球の直進光を測定する部分を取り外し、直進光の光を検出しないようにして、拡散透過率T2(散乱等によって直進せずに透過した光の割合である拡散透過率)を測定した。さらに、次式に従って、正規透過率T3を計算により求めた。
【0074】
T3=(T2−T1)/T1
T1:全光線透過率
T2:拡散透過率
T3:正規透過率
(表面粗さの測定)
評価用サンプルは次の手順で行った。まず、ガラス基板上にスクリーン印刷法による複数回塗布によって、180μmの乾燥後厚みになるように感光性ペースト塗布を行った後、80℃で30分乾燥した。
【0075】
次に各種透明塗膜用溶液を調整し、スピナー法によって感光性ペースト塗膜上に10μmの乾燥後厚みになるように透明塗膜を形成し、東京精密(株)製、サ−フコム1500Aにて表面粗さRaを計測した。
(露光マージンの評価)
評価用サンプルは次の手順で行った。まず、ガラス基板上にスクリーン印刷法による複数回塗布によって、180μmの乾燥後厚みになるように感光性ペースト塗布を行った後、80℃で30分乾燥した。
【0076】
次に各種透明塗膜用溶液を調整し、スピナー法によって感光性ペースト塗膜上に10μmの乾燥後厚みになるように透明塗膜を形成した。
【0077】
次にフォトマスクを介して露光を行った。マスクは、ピッチ160μm、線幅30μm、プラズマディスプレイに於けるストライプ状の隔壁パターン形成が可能になるように設計したクロムマスクである。露光は、50mW/cm2の出力の超高圧水銀灯で100〜500mJ/cm2の紫外線露光を行った。その後、モノエタノールアミンの1%水溶液に浸漬して、現像を行った。
【0078】
さらに、得られたガラス基板を120℃で1時間乾燥した後、560℃で1時間焼成を行った。焼成により約20%程度の収縮が生じる。
【0079】
焼成後、パネルを切断して小片にし、隔壁の長手方向と垂直な断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所S2400)で観察し、隔壁の幅、高さを計測した。幅と高さがほぼスペック内でにある露光量の範囲を評価した。露光量範囲の中心を中心露光量としマージンを±%で示した。
【0080】
(ディスプレイ特性)
パネルを隔壁形成方向に沿って、1列おきに点灯させ、誤放電による点灯、不灯、またはちらつきがないか目視で評価した。基準は、誤放電による点灯セルや不灯セルの数が1個以内ならばディスプレイ特性はAA、2〜4個以内ならばディスプレイ特性はA、5〜7個以内ならばディスプレイ特性はB、8個以上でディスプレイパネルとしては不適であり、Cとした。
【0081】
(ペーストの作製方法)
ペーストの有機成分として用いたポリマー溶液、重合開始剤、架橋剤は次のとおりである。
【0082】
ポリマー溶液A:アクリル系ポリマー(スチレン/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体のカルボキシル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレートを付加反応したもの。重量平均分子量43,000、酸価95)の40%γ−ブチロラクトン溶液
ポリマー溶液B:エチルセルロース(数平均分子量80000)の5%テルピネオール溶液
架橋剤A:トリメチロールプロパントリアクリレート
架橋剤B:テトラプロピレングリコールジメタクリレート
架橋剤C:ビス(2−ヒドロキシ−3−メタクリロオキシプロピル)イソプロピルアミン
ウレタン化合物A:UA−3348PE(分子量22000,EO含有率15%)
ウレタン化合物B:UA−5348PE(分子量39000,EO含有率23%)
重合開始剤A:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン
重合開始剤B:
【0083】
【化1】
【0084】
重合開始剤C:過酸化ベンゾイル
低融点ガラス粉末A:酸化ビスマス38%、酸化ケイ素6%、酸化ホウ素20%、酸化亜鉛20%、酸化アルミニウム4%。ガラス転移点475℃、軟化点515℃、熱膨張係数75×10−7/℃、密度4.61g/cm3。
低融点ガラス粉末B:酸化リチウム7%、酸化ケイ素23%、酸化ホウ素32%、酸化バリウム4%、酸化アルミニウム20%、酸化カルシウム5%、酸化マグネシウム6%、酸化亜鉛3%。ガラス転移点495℃、軟化点530℃、熱膨張係数75×10−7/℃、密度2.54g/cm3、平均屈折率1.586、平均粒子径2.6μm。
【0085】
電極ペーストは、ポリマー溶液A(15重量部)、架橋剤A(3重量部)、重合開始剤A(1重量部)、ウレタン化合物A(1重量部)とジプロピレングリコールモノメチルエーテル(4重量部)、を50℃に加熱しながら溶解し、その後銀微粒子(平均粒子径1.5μm、比表面積0.80m2/g、80重量部)を添加し、混練機を用いて混練して作製した。
【0086】
誘電体ペーストは、ポリマー溶液B(20重量部)、架橋剤A(10重量部)、重合開始剤B(5重量部)、ウレタン化合物B(5重量部)を50℃に加熱しながら溶解し、無機成分(低融点ガラス粉末A(40重量部)、フィラー(酸化ケイ素:日本アエロジル社製、“アエロジル200”5重量部)、導電体粉末(酸化チタン、10重量部))からなる混合物を3本ローラー混練機で混練して作製した。なお、導電性粉末として混入された酸化チタンはフィラー成分としての役割も有する。
【0087】
隔壁ペーストは、ポリマー溶液A(30重量部)、架橋剤A+B(各2重量部)、重合開始剤A(2重量部)、ウレタン化合物A(3重量部)とγ−BL(5重量部)、を50℃に加熱しながら溶解し、低融点ガラス粉末B(50重量部)、フィラー(平均屈折率1.59、ガラス転移点652℃、平均粒子径2.4μm、10重量部)を加熱しながら攪拌し、混練機を用いて混練して作製した。
【0088】
(ディスプレイの製造方法)
プラズマディスプレイを以下の手順にて作製した。まず、旭硝子社製“PD−200”ガラス基板(42インチ)上に、感光性銀ペーストを用いたフォトリソグラフィー法によりアドレス電極パターンを形成した。次いで、アドレス電極が形成されたガラス基板上に誘電体層をスクリーン印刷法により20μmの厚みで形成した。しかる後、作製した感光性ペーストをスクリーン印刷によりアドレス電極パターンおよび誘電体層が形成された背面板用ガラス基板上に均一に塗布した。塗布膜にピンホールなどの発生を回避するために塗布・乾燥を数回以上繰り返し行い、膜厚みの調整を行った。途中の乾燥は80℃で10分間行った。その後、80℃で1時間保持して乾燥した。
【0089】
続いて、ネガ型クロムマスクを用いて、上面から30mJ/cm2出力の超高圧水銀灯で紫外線露光した。露光量は1.5mJ/cm2であった。
【0090】
次に、35℃に保持したモノエタノールアミンの0.3重量%水溶液をシャワーで150秒間かけることにより現像し、その後シャワースプレーを用いて水洗浄し、光硬化していないスペース部分を除去して背面板用ガラス基板上にストライプ状の隔壁パターンを形成した。その隔壁パターンをSEM観察、評価した。
【0091】
その後、焼成することにより、隔壁を形成した。次に、蛍光体層をディスペンサー法にて厚さ20μmに形成し、焼成して背面板を作製した。
【0092】
次に、“PD−200”ガラス基板上に、フォトエッチング方によりITO電極を形成した後、感光性銀ペーストを用いたフォトリソグラフィー法によりバス電極パターンを形成した。しかる後、透明誘電体層をスクリーン印刷法により30μmの厚みで形成した。さらに、500nm厚のMgO膜を電子ビーム蒸着法により形成して、放電のための複数の電極を形成した前面板を得た。
【0093】
次に、前面板及び背面板用ガラス基板にシール剤となる低融点ガラスペーストを設け、所定の配置になるよう位置合わせして対向配置し、450℃、30分間処理しガラス基板を封止した。その後、表示領域内部の排気及びNe95%、Xe5%の混合ガスの封入を行ってプラズマディスプレイパネルを完成させた。その後、白黒の市松模様に点灯させ、隔壁のかけ、剥がれによる点灯、不灯からパネルを評価した。
【0094】
【表1】
【0095】
(実施例1)
表1に示す透明塗膜成分を用いて各評価を行った。結果は表1に併記する。露光マージンは最もよく250〜500mJ/cm2であった。この隔壁パターンを用いてパネルを作製し、ディスプレイとしての評価を行ったところ結果は良好であった。
【0096】
(実施例2)
表1に示す透明塗膜成分を用いて各評価を行った。結果は表1に併記する。露光マージンは最もよく250〜500mJ/cm2であった。この隔壁パターンを用いてパネルを作製し、ディスプレイとしての評価を行ったところ結果は良好であった。
【0097】
(実施例3)
表1に示す透明塗膜成分を用いて各評価を行った。結果は表1に併記する。露光マージンは最もよく250〜500mJ/cm2であった。この隔壁パターンを用いてパネルを作製し、ディスプレイとしての評価を行ったところ結果は良好であった。
【0098】
(比較例1)
表1に示す透明塗膜成分を用いて各評価を行った。結果は表1に併記する。露光マージンは最もよく250〜500mJ/cm2であった。この隔壁パターンを用いてパネルを作製し、ディスプレイとしての評価を行ったところ結果は良好であった。
【0099】
【発明の効果】
本発明は基板上に有機成分と無機粒子とからなる感光性ペースト塗膜を形成後、この塗膜上に透明塗膜を形成することにより、塗膜表面でのガラス粒子の凹凸による光散乱を抑制し、正規透過率を向上させることで高精細隔壁形成時における露光マージンを向上させ、高精細プラズマディスプレイの安定供給に効果がある。
Claims (7)
- 基板上に有機成分と無機粒子とからなる感光性ペースト塗膜を形成した後キュアする工程と前記塗膜上に透明塗膜を形成する工程と、前記感光性ペースト塗膜を前記透明塗膜上から露光する工程を経た後に、前記感光性ペースト塗膜と前記透明塗膜を同時に現像によって除去することにより隔壁を形成することを特徴とするプラズマディスプレイの製造方法。
- 透明塗膜の平均屈折率が1〜1.65であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイの製造方法
- 有機成分の平均屈折率N1と無機粒子の平均屈折率N2の間で次ぎの式が成り立つことを特徴とする請求項1または2記載のプラズマディスプレイの製造方法。
−0.01≦N2−N1≦0.07 - 有機成分の平均屈折率N1と透明塗膜の平均屈折率N3の間で次ぎの式が成り立つことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマディスプレイの製造方法。
−0.5≦N1−N3≦0.5 - 無機粒子の平均屈折率N2と透明塗膜の平均屈折率N3の間で次ぎの式が成り立つことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラズマディスプレイの製造方法。
−0.5≦N2−N3≦0.5 - 透明塗膜が感光性レジストであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のプラズマディスプレイの製造方法。
- 感光性ペースト塗膜と透明塗膜を同時に形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のプラズマディスプレイの製造方法。
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