JP2004302306A - ハロゲン化銀カラー写真感光材料 - Google Patents
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Abstract
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化銀カラー写真感光材料に関するものであり、特に迅速処理性、発色性、色再現性、処理後の画像堅牢性に優れ、更にはランニング液で処理した場合の処理安定性に優れるハロゲン化銀カラー写真感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
減色法によるハロゲン化銀写真感光材料(以下、単に「感光材料」という場合がある。)においては、イエロー、マゼンタおよびシアンの3原色の色素によって色画像が形成される。現行のp−フェニレンジアミン系カラー現像主薬を使用するカラー写真法においては、マゼンタ色素形成カプラー(以下、本明細書では単に「マゼンタカプラー」という場合がある)としてはピラゾロアゾール系マゼンタカプラーが吸収特性、光堅牢性の観点で好ましく用いられている。その中でも特許文献1に記載されている6位に三級アルキル基を有し、2位にフェニレン基を有する1H−ピラゾロ〔1,5−b〕〔1,2,4〕トリアゾール系マゼンタカプラーは、光及び熱に対して高い堅牢性を有する色像が得られる。しかしながら前記特許文献1に具体的に記載されているカプラーは2位のフェニレン基のメタ位にスルホンアミド基を有すカプラーであり、この2位フェニレン基のメタ位に置換基を有すカプラーから得られる色素の分光吸収特性は長波長側の裾の部分の吸収が多くブロード化することが判り、色再現性上さらなる改良が望まれていた。また、このカプラーを含む感光材料は、露光してから現像するまでの保存性において写真性能が変化するといった問題を有していることが判った。更に、感光材料に於いては現像における処理液の組成変化に対して写真特性の変化の少ない感光材料が望まれている。処理液の組成変化の大きな原因として、自動現像機を用いるランニング処理ないし間欠連続処理における、他の処理液成分の混入蓄積の増大がある。これは、処理液補充量が減少し、タンク液が補充液で更新される率が低くなったり、液の使用期限が長くなる場合に顕著になる。上記の「他の処理液の混入」は処理内での隣の処理液のスプラッシュや搬送リーダー、ベルトまたはフィルムを吊り下げるハンガー等により発色現像液中に現像直後の処理液成分が持ちこまれる所謂バックコンタミネーション等により引き起こされる。これらの蓄積する混入成分の内、定着剤が混入した発色現像液で、上記の特許文献1に記載のカプラーを含有する感光材料は、その写真特性の変化が大きくさらなる改良が望まれていた。
【0003】
また、特許文献2に記載されている2位のフェニレン基のオルト位にメチル基を有するカプラーを含有する感光材料においても、上記の課題の他にも発色性が低いといった課題を有していることが判り、更なる改良が望まれていた。
これらの問題を解決するため、さらにカプラーの開発研究がなされ、特許文献3、4等で提案されている。しかしながらこれらのカプラーを含め1H−ピラゾロ〔1,5−b〕〔1,2,4〕トリアゾール系マゼンタカプラーは低濃度部の光堅牢性が十分ではない。特にマゼンタの低濃度域は人の顔の画像でも重要な濃度領域である。
一方、近年、カラーペーパーはミニラボによる処理が主流となりつつある。ミニラボに対する要求としては、仕上がり品質が高く、安定であることもさることながら、少ない設置面積で多くの処理枚数を処理する、いわゆる迅速処理適性が求められている。
前記特許文献3で使用されている特定のビスフェノール化合物は、ビスフェノール化合物自身がカプラーの競争化合物となり、迅速処理を行った場合に、発色濃度の低下をもたらすという問題がある。
このような状況下において低濃度域でも高い光堅牢性を有し、また迅速処理を行った場合にも高い発色濃度が得られる技術の開発が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平1−302249号公報
【特許文献2】
特開平3−48845号公報
【特許文献3】
特開平6−43611号公報
【特許文献4】
特開2001−242606号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、迅速処理性に優れるハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することにあり、更には、発色性、色再現性、処理後の画像堅牢性に優れ、ランニング液で処理した場合の処理安定性に優れるハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することにある。
【0006】
本発明者らは鋭意検討の結果、以下のハロゲン化銀カラー写真感光材料によって、上記の目的が達成されることを見出した。本発明はこのような知見に基づきなされるに至ったものである。
(1)支持体上にイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、及びシアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の各層を少なくとも一層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料であって、下記一般式(M−I)〜(M−X)のいずれかで表されるマゼンタ色素形成カプラーの少なくとも一種と、下記一般式(Ph−1)又は(Ph−2)で表される化合物の少なくとも一種が同一層に含有されていることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0007】
【化15】
【0008】
式中、Y1およびY2は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはヘテロ環オキシ基を表す。R1はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基を表す。R2は、置換又は無置換の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R2において置換基はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基またはヒドロキシル基から選ばれる。これらの置換基はさらに置換基を有していても良い。Xはハロゲン原子を表す。pは0、1または2を表す。pが2の場合、複数のR1は同じであっても異なっていても良い。
【0009】
【化16】
【0010】
式中、Y3およびY4は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基を表す。R3はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基を表す。R4は、置換又は無置換の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R4において置換基はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基またはヒドロキシル基から選ばれる。これらの置換基はさらに置換基を有していても良い。Xはハロゲン原子を表す。qは0、1または2を表す。qが2の場合、複数のR3は同じであっても異なっていても良い。
【0011】
【化17】
【0012】
式中、L1は−NR7−または−O−を表す。R5はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基を表す。R6は、置換又は無置換の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R7は水素原子、あるいは置換又は無置換の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R6、R7において置換基はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基またはヒドロキシル基から選ばれる。これらの置換基はさらに置換基を有していても良い。Xはハロゲン原子を表す。rは0、1または2を表す。rが2の場合、複数のR5は同じであっても異なっていても良い。
【0013】
【化18】
【0014】
式中、L2は−NR10−または−O−を表す。R8はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基を表す。R9は、置換又は無置換の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R10は水素原子、あるいは置換又は無置換の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R9、R10において置換基はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基またはヒドロキシル基から選ばれる。これらの置換基はさらに置換基を有していても良い。Xはハロゲン原子を表す。sは0、1または2を表す。sが2の場合、複数のR8は同じであっても異なっていても良い。
【0015】
【化19】
【0016】
式中、R11はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基を表す。R12は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、シクロアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基またはヒドロキシル基を表す。R13は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルホニル基、アミノ基、スルフィニル基またはヒドロキシル基から選ばれる置換基を表す。R14は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、シクロアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基またはヒドロキシル基を表す。Xはハロゲン原子を表す。tは0、1または2を表す。tが2の場合、複数のR11は同じであっても異なっていても良い。
【0017】
【化20】
【0018】
式中、R15はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基を表す。R16、R17およびR18は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基またはヒドロキシル基を表す。Xはハロゲン原子を表す。uは0、1または2を表す。uが2の場合、複数のR15は同じであっても異なっていても良い。
【0019】
【化21】
【0020】
式中、R19およびR20は各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基を表す。v、wは各々独立に、0または1を表すが、同時に0になることはない。L3は−NR22−または−O−を表し、xは0または1を表す。R21は、置換又は無置換の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R22は水素原子、あるいは置換又は無置換の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R21、R22において置換基はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基またはヒドロキシル基から選ばれる。これらの置換基はさらに置換基を有していても良い。Xはハロゲン原子を表す。
【0021】
【化22】
【0022】
式中、R23およびR24は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。R25は、置換又は無置換の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R26はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基を表す。yは0、1または2を表す。yが2の場合、複数のR26は同じであっても異なっていても良い。L4は−(C=O)−、−(C=O)−O−、−O−(C=O)−、−(C=O)−NR27−、−NR27−(C=O)−、−NR27−(C=O)−NR27−、−O−(C=O)−NR27−、−NR27−(C=O)−O−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR27−から選ばれる2価の連結基を表す。R27は水素原子、あるいは置換又は無置換の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R25およびR27において置換基はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基またはヒドロキシル基から選ばれる。これらの置換基はさらに置換基を有していても良い。Xはハロゲン原子を表す。
【0023】
【化23】
【0024】
式中、R28は、置換又は無置換の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R28において置換基はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基またはヒドロキシル基から選ばれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基を有していても良い。R29はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基を表す。Xはハロゲン原子を表す。zは0、1または2を表す。zが2の場合、複数のR29は同じであっても異なっていても良い。
【0025】
【化24】
【0026】
式中、R31は三級アルキル基を表し、R32およびR33は各々独立に、水素原子または置換基を表し、Xは水素原子、ハロゲン原子またはアリールオキシ基を表す。AおよびBは各々独立に、−CO−または−SO2−を表し、αは0または1を表す。R34は水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、R35はアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルアミノ基またはアリールアミノ基を表す。R34とR35が互いに結合して5〜7員環を形成してもよい。
【0027】
【化25】
【0028】
一般式(Ph−1)、(Ph−2)中、Rb1は脂肪族基、アリール基、カルバモイル基、アシルアミノ基、カルボニル基、スルホニル基を表し、Rb6は脂肪族基、アリール基、アミノ基、アシル基を表す。Rb7〜Rb9、Rb19およびRb20は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族基、アリール基、複素環基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、オキシカルボニルオキシ基、カルバモイル基、アシルアミノ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルファモイル基、アルキルチオ基またはアリールチオ基を表す。Rb17、Rb18は各々独立に、脂肪族基またはアリール基を表す。
(2)前記一般式(Ph−1)又は(Ph−2)で表される化合物が下記一般式(Ph−3)で表される化合物であることを特徴とする(1)項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0029】
【化26】
【0030】
式中、Rb21は直鎖、分岐または環状の、飽和もしくは不飽和の無置換の脂肪族基、分岐または環状の、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、−SR’、−CONR’R”、−CO2R’、−OC(=O)R’、で置換された飽和もしくは不飽和の脂肪族基を表す。R’およびR”は各々独立に、水素原子、または、直鎖、分岐もしくは環状の無置換の脂肪族基を表す。
(3)前記一般式(Ph−3)で表される化合物において、Rb21が直鎖、分岐または環状の、飽和もしくは不飽和の無置換の脂肪族基であることを特徴とする(2)項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(4)前記一般式(Ph−3)で表される化合物において、Rb21の炭素原子数の総和が12以上であることを特徴とする(2)または(3)項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(5)下記一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を更に含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0031】
【化27】
【0032】
式中、R41は脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、フォスホリル基または−Si(R47)(R48)(R49)を表す。ここで、R47、R48およびR49は各々独立に、脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基またはアリールオキシ基を表す。R42〜R46は各々独立に、水素原子または置換基を表す。Ra1〜Ra4は各々独立に、水素原子または脂肪族基を表す。
(6)下記一般式(TS−I)〜(TS−VII)のいずれかで表される化合物、金属錯体、紫外線吸収剤、及び水不溶性の単独重合体もしくは共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種を更に含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0033】
【化28】
【0034】
一般式(TS−I)中、R51は水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、フォスホリル基または−Si(R58)(R59)(R60)を表す。ここで、R58、R59及びR60は各々独立に、脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基またはアリールオキシ基を表す。X51は−O−または−N(R57)−を表す。ここで、R57はR51と同義である。X55は−N=または−C(R52)=を表わし、X56は−N=または−C(R54)=を表わし、X57は−N=または−C(R56)=を表わす。R52、R53、R54、R55及びR56は各々独立に、水素原子または置換基を表す。R51とR52、R57とR56、R51とR57が互いに結合して5〜7員環を形成していても良い。さらに、R52とR53、R53とR54が互いに結合して、5〜7員環またはスピロ環、ビシクロ環を形成しても良い。但し、R51〜R57の全てが水素原子であることはなく、一般式(TS−I)で表わされる化合物の総炭素数は10以上であり、さらに一般式(TS−I)で表わされる化合物は、前記一般式(Ph−1)〜(Ph−3)、一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表わされる化合物であることはない。
一般式(TS−II)中、R61、R62、R63及びR64は各々独立に、水素原子または脂肪族基を表し、R61とR62、R63とR64が互いに結合し、5〜7員環を形成しても良い。X61は水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基またはオキシラジカル基を表す。X62は5〜7員環を形成するに必要な非金属原子群を表す。但し、一般式(TS−II)で表わされる化合物の総炭素数は8以上である。
一般式(TS−III)中、R65及びR66は各々独立に、水素原子、脂肪族基、アリール基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基またはアリールスルホニル基を表し、R67は水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、置換アミノ基、ヘテロ環基またはヒドロキシ基を表わす。ここで、R65とR66、R66とR67、R65とR67が互いに結合し、5〜7員環を形成しても良いが、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を形成することはない。また、R65とR66の両方が水素原子であることはなく、R65とR66の総炭素数は7以上である。
一般式(TS−IV)中、R71は水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、Li、NaまたはKを表わし、R72は脂肪族基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R71とR72が互いに結合し、5〜7員環を形成しても良い。qは0、1または2を表す。但し、R71、R72の総炭素数は10以上である。
一般式(TS−V)中、R81、R82及びR83は各々独立に、脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族アミノ基またはアリールアミノ基を表し、tは0または1を表す。R81とR82、R81とR83は互いに結合し、5〜8員環を形成しても良い。但し、R81、R82、R83の総炭素数は10以上である。
一般式(TS−VI)中、R85、R86、R87及びR88は各々独立に、水素原子または置換基を表わす。但しR85、R86、R87及びR88の全てが水素原子であることはなく、R85、R86、R87及びR88の任意の2つが結合し、5〜7員環を形成していても良いが、炭素原子のみの芳香環を形成することはない。一般式(TS−VI)で表わされる化合物の総炭素数は10以上である。
一般式(TS−VII)中、R91は炭素原子数の総和が10以上の疎水性基を表し、Y91はアルコール性水酸基を含有する一価の有機基を表す。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
まず、本発明に用いられる一般式(M−I)〜(M−X)のいずれかで表されるマゼンタ色素形成カプラーに使用される各基について説明する。
各基の具体例は、以下に示す通りであり、一般式(M−I)〜(M−X)のいずれかで使用する各基における、対応する基はいずれも下記の具体例を挙げることができる。なお、特に断らない限り、上記マゼンタカプラー以外の一般式にも適用される。
アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、(t)ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル)、アルケニル基(例えば、ビニル、アリル)、アルキニル基(例えば、プロパルギル)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル)、ヘテロ環基(複素環基とも称す。例えば、ピリジル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、フリル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、セレナゾリル、スルホラニル、ピペリジニル、ピラゾリル、テトラゾリル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子)、アルコキシ基(アルキルオキシ基とも称す。例えば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ドデシルオキシ)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、ナフチルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(複素環オキシ基とも称す。例えば、ピリジルオキシ、フリルオキシ、ピラジニルオキシ、ピリミジニルオキシ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、オクチルチオ、ドデシルチオ)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル)、シクロアルコキシカルボニル基(例えば、シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシカルボニル基(例えば、ピリジルオキシカルボニル、フリルオキシカルボニル、ピラジニルオキシカルボニル、ピリミジニルオキシカルボニル)、
【0036】
スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、ジメチルアミノスルホニル、ブチルアミノスルホニル、ヘキシルアミノスルホニル、シクロヘキシルアミノスルホニル、オクチルアミノスルホニル、ドデシルアミノスルホニル、フェニルアミノスルホニル、ナフチルアミノスルホニル、2−ピリジルアミノスルホニル)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド、エチルウレイド、ペンチルウレイド、シクロヘキシルウレイド、オクチルウレイド、ドデシルウレイド、フェニルウレイド、ナフチルウレイド、2−ピリジルアミノウレイド)、アシル基(例えば、アセチル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、ペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、オクチルカルボニル、2−エチルヘキシルカルボニル、ドデシルカルボニル、フェニルカルボニル、ナフチルカルボニル、ピリジルカルボニル)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、エチルカルボニルオキシ、ブチルカルボニルオキシ、オクチルカルボニルオキシ、ドデシルカルボニルオキシ、フェニルカルボニルオキシ)、アミド基(アシルアミノ基とも称す。例えば、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ、ジメチルカルボニルアミノ、プロピルカルボニルアミノ、ペンチルカルボニルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ、オクチルカルボニルアミノ、ドデシルカルボニルアミノ、フェニルカルボニルアミノ、ナフチルカルボニルアミノ)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル、シクロヘキシルアミノカルボニル、オクチルアミノカルボニル、2−エチルヘキシルアミノカルボニル、ドデシルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、ナフチルアミノカルボニル、2−ピリジルアミノカルボニル)、
【0037】
スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、ブチルスルフィニル、シクロヘキシルスルフィニル、2−エチルヘキシルスルフィニル、ドデシルスルフィニル、フェニルスルフィニル、ナフチルスルフィニル、2−ピリジルスルフィニル)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ブチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、2−エチルヘキシルスルホニル、ドデシルスルホニル、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル、2−ピリジルスルホニル)、アミノ基(アルキルアミノ基及びアリールアミノ基も含まれる。例えば、アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、ナフチルアミノ、2−ピリジルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、ヘキシルスルホニルアミノ、シクロヘキシルスルホニルアミノ、オクチルスルホニルアミノ、ドデシルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ)。
【0038】
本発明に用いられる前記一般式(M−I)で表されるマゼンタカプラーについて説明する。
前記一般式(M−I)において、Y1およびY2は各々独立に、水素原子またはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ヘテロ環オキシ基を表す。これらの中で、水素原子、あるいは炭素数1〜20の、アルキル基またはアルコキシ基が好ましいが、より好ましくは水素原子、あるいは炭素数1〜12のアルキル基またはアルコキシ基である。Y1、Y2は同じであっても異なっていても良い。
【0039】
R1はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基を表す。これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。
これらのうちで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミド基、アミノ基、ヒドロキシル基が好ましく、より好ましいものは、炭素数1〜12(好ましくは1〜8)のアルキル基、アルコキシ基、アミド基である。pは0、1または2を表す。pが2の場合、複数のR1は同じであっても異なっていても良い。好ましくはpは0または1である。
【0040】
R2は置換又は無置換のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。
【0041】
R2において置換基はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基またはヒドロキシル基から選ばれる。これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。
【0042】
R2としては好ましいのは、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基である。また、R2の置換基として好ましいのはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミド基である。
Xはハロゲン原子を表す。塩素原子または臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
【0043】
本発明に用いられる前記一般式(M−II)で表されるマゼンタカプラーについて説明する。
前記一般式(M−II)において、Y3およびY4は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基を表す。水素原子あるいは炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基またはアリールオキシ基が好ましい。より好ましくは水素原子あるいは炭素数1〜12のアルキル基またはアルコキシ基である。Y3、Y4は同じであっても異なっていても良い。
【0044】
R3はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基を表す。これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。これらのちうちで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミド基、アミノ基、ヒドロキシル基が好ましく、より好ましいものは、炭素数1〜12(好ましくは1〜8)のアルキル基、アルコキシ基、アミド基である。qは0、1または2を表す。qが2の場合、複数のR3は同じであっても異なっていても良い。好ましくはqは0または1である。
【0045】
R4は置換又は無置換のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R4において置換基はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基またはヒドロキシル基から選ばれる。これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。R4としては好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基であり、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基、アリール基である。R4の置換基として好ましいのはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基である。
Xはハロゲン原子を表す。塩素原子または臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
【0046】
本発明に用いられる前記一般式(M−III)で表されるマゼンタカプラーについて説明する。
前記一般式(M−III)において、L1は−NR7−または−O−を表す。R5はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基を表す。これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。これらのうちで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミド基、アミノ基、ヒドロキシル基が好ましく、より好ましいものは、炭素数1〜12(好ましくは1〜8)のアルキル基、アルコキシ基、アミド基である。rは0、1または2を表す。rが2の場合、複数のR5は同じであっても異なっていても良い。好ましくはrは0または1である。
【0047】
R6は置換又は無置換のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R7は水素原子、あるいは置換又は無置換の、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。R6、R7において置換基はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基またはヒドロキシル基から選ばれる。これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。R6としては好ましくは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基である。R6の置換基として好ましいのはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基である。R7としては好ましくは水素原子あるいは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、より好ましくは水素原子あるいは炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基である。R7の置換基として好ましいのはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基である。Xはハロゲン原子を表す。塩素原子または臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
【0048】
本発明に用いられる前記一般式(M−IV)で表されるマゼンタカプラーについて説明する。
前記一般式(M−IV)において、L2は−NR10−または−O−を表す。R8はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基を表す。これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。これらのうちで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミド基、アミノ基、ヒドロキシル基が好ましく、より好ましいものは、炭素数1〜12(好ましくは1〜8)のアルキル基、アルコキシ基、アミド基である。sは0、1または2を表す。sが2の場合、複数のR8は同じであっても異なっていても良い。好ましくはsは0または1である。
【0049】
R9は、置換又は無置換の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R10は水素原子、あるいは置換又は無置換の、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。R10は水素原子あるいは炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。より好ましくは水素原子あるいは炭素数1〜12のアルキル基である。R9、R10において置換基はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基またはヒドロキシル基から選ばれる。これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。R9としては好ましくは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基である。R9の置換基として好ましいのはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基である。R10としては好ましくは水素原子あるいは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基であり、より好ましくは水素原子あるいは炭素数1〜12のアルキル基、アリール基である。R10の置換基として好ましいのはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基である。Xはハロゲン原子を表す。塩素原子または臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
【0050】
本発明に用いられる前記一般式(M−V)で表されるマゼンタカプラーについて説明する。
前記一般式(M−V)において、R11はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基を表す。これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。これらのうちで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミド基、アミノ基、ヒドロキシル基が好ましく、より好ましいものは、炭素数1〜12(好ましくは1〜8)のアルキル基、アルコキシ基、アミド基である。tは0、1または2を表す。tが2の場合、複数のR11は同じであっても異なっていても良い。好ましくはtは0または1である。
R12は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、シクロアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルホニル基、スルフィニル基、アミノ基またはヒドロキシル基を表す。これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。R12として好ましいのは水素原子あるいはアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、ヒドロキシル基であり、より好ましくは水素原子あるいはアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミド基である。これらのうち特に炭素数1〜36のものが好ましく、1〜26のものがより好ましい。
【0051】
R13は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基またはヒドロキシル基を表す。これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。R13として好ましいのは水素原子あるいはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、ヒドロキシル基であり、より好ましくは水素原子あるいはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミド基である。これらのうち特に炭素数1〜36のものが好ましく、1〜26のものがより好ましい。
【0052】
R14は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、シクロアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基またはヒドロキシル基を表す。これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。R14として好ましいのは水素原子あるいはアルキル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、ヒドロキシル基であり、より好ましくは水素原子あるいはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミド基である。これらのうち特に炭素数1〜36のものが好ましく、1〜26のものがより好ましい。Xはハロゲン原子を表す。塩素原子または臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
【0053】
本発明に用いられる前記一般式(M−VI)で表されるマゼンタカプラーについて説明する。
前記一般式(M−VI)において、R15はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基を表す。これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。これらのうちで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミド基、アミノ基、ヒドロキシル基が好ましく、より好ましいものは、炭素数1〜12(好ましくは1〜8)のアルキル基、アルコキシ基、アミド基である。uは0、1または2を表す。uが2の場合、複数のR15は同じであっても異なっていても良い。好ましくはuは0または1である。
【0054】
R16、R17およびR18は各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基またはヒドロキシル基を表す。これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。R16、R17、R18として好ましいのは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基またはヒドロキシル基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基またはアミド基である。これらのうち特に炭素数1〜36のものが好ましく、1〜26のものがより好ましい。Xはハロゲン原子を表す。塩素原子または臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
【0055】
本発明に用いられる前記一般式(M−VII)で表されるマゼンタカプラーについて説明する。
前記一般式(M−VII)において、R19およびR20は各々独立に、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基を表す。これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。R19、R20として好ましいのは水素原子あるいはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、ヒドロキシル基であり、より好ましくは水素原子あるいはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミド基である。v、wは各々独立に、0または1を表すが、同時に0になることはない。
【0056】
L3は−NR22−または−O−を表し、xは0または1を表す。R21は、置換又は無置換の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R22は水素原子、あるいは置換又は無置換の、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R21、R22において置換基はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基またはヒドロキシル基から選ばれる。これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。R21としては好ましくは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基である。R21の置換基として好ましいのはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、ヒドロキシル基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミド基である。R22としては好ましくは水素原子あるいは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、より好ましくは水素原子あるいは炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基である。R22の置換基として好ましいのはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、ヒドロキシル基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミド基である。Xはハロゲン原子を表す。塩素原子または臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
【0057】
本発明に用いられる前記一般式(M−VIII)で表されるマゼンタカプラーについて説明する。
前記一般式(M−VIII)において、R23およびR24は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R23およびR24は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基が好ましく、水素原子あるいは炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基がより好ましい。L4は−(C=O)−、−(C=O)−O−、−O−(C=O)−、−(C=O)−NR27−、−NR27−(C=O)−、−NR27−(C=O)−NR27−、−O−(C=O)−NR27−、−NR27−(C=O)−O−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR27−から選ばれる2価の連結基を表す。L4としては好ましくは−(C=O)−、−(C=O)−O−、−O−(C=O)−、−(C=O)−NR27−、−NR27−(C=O)−、−NR27−(C=O)−NR27−であり、より好ましくは−(C=O)−、−(C=O)−O−、−O−(C=O)−、−(C=O)−NR27−、−NR27−(C=O)−である。R25は、置換又は無置換の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R25において置換基はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基またはヒドロキシル基から選ばれる。これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。R25としては好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基であり、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基、アリール基である。R25の置換基として好ましいのはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、ヒドロキシル基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミド基である。
【0058】
R26はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基を表す。これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。R26として好ましいのはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、ヒドロキシル基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミド基である。これらのうち特に炭素数1〜36のものが好ましく、1〜26のものがより好ましい。yは0、1または2を表す。yが2の場合、複数のR26は同じであっても異なっていても良い。好ましくはyは0または1である。
【0059】
R27は水素原子、あるいは置換又は無置換の、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。R27は水素原子あるいは炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。より好ましくは水素原子あるいは炭素数1〜12のアルキル基である。R27において置換基はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基またはヒドロキシル基から選ばれる。これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。R27としては好ましくは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基である。R27の置換基として好ましいのはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、ヒドロキシル基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミド基である。Xはハロゲン原子を表す。塩素原子または臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
【0060】
本発明に用いられる前記一般式(M−IX)で表されるマゼンタカプラーについて説明する。
前記一般式(M−IX)において、R28は、置換又は無置換の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R28において置換基はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基またはヒドロキシル基から選ばれる。これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。R28としては好ましくは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基である。R28の置換基として好ましいのはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、ヒドロキシル基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミド基である。
【0061】
R29はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ウレイド基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基を表す。これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。R29として好ましいのはアルキル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アミド基、ヒドロキシル基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミド基である。これらのうち特に炭素数1〜36のものが好ましく、1〜26のものがより好ましい。zは0、1または2を表す。zが2の場合、複数のR29は同じであっても異なっていても良い。好ましくはzは0または1である。Xはハロゲン原子を表す。塩素原子または臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
【0062】
一般式(M−X)で表されるカプラーについて更に詳しく説明する。
R31は三級アルキル基を表し、該三級アルキル基は置換基を有していてもよいし、分枝したアルキル基が互いに結合して環を形成してもよい。その置換基としては、例えばハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、カルボキシル基、シアノ基等が好ましい。分枝したアルキル基が互に結合して環を形成しているR31としては、1−メチルシクロプロピル基、1−エチルシクロプロピル基、アダマンチル基等があげられる。最も好ましいR31はt−ブチル基である。R32およびR33は各々独立に、水素原子または置換基を表し、その置換基としては、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基等が好ましい。本発明においてはR32が水素原子であって、かつR33が水素原子、アルキル基またはアルコキシ基であることが好ましく、R32およびR33の双方が共に水素原子のときが最も好ましい。
【0063】
R34は水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、アルキル基とは置換または無置換の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表す。置換アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、カルボキシル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、オキシカルボニル基、カルボニルオキシ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、イミド基(例えば、コハク酸イミド、フタル酸イミド、ヘキサデシルコハク酸イミド、オクタデシルコハク酸イミド)、ウレタン基(例えば、メチルウレタン、エチルウレタン、ドデシルウレタン、フェニルウレタン)、ウレイド基、スルホニル基等があげられる。アリール基とは、置換又は無置換のアリール基を表し、置換アリール基の置換基としては前記の置換基R34で説明した置換アルキル基の置換基と同義である。R35はアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルアミノ基またはアリールアミノ基を表し、アルキル基とは置換または無置換の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表す。置換アルキル基の置換基としては前記の置換基R34で説明した置換アルキル基の置換基と同義である。アルキル基としては、置換アルキル基または炭素数14以上の直鎖若しくは分岐鎖の無置換のアルキル基が有機溶剤に対する溶解性の点から好ましい。更に好ましくは、置換アルキル基であり、炭素数の総和が14以上の置換アルキル基がより好ましい。この置換アルキル基の置換基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボンアミド基、ウレタン基、ウレイド基、イミド基、スルホンアミド基、スルホニル基等が好ましい。特にアルコキシカルボニル基が好ましい。
【0064】
R35のアリール基とは置換または無置換のアリール基を表し、置換アリール基の置換基としては前記の置換基R34で説明した置換アルキル基の置換基と同義である。R35のアルコキシ基とは、置換または無置換の直鎖または分岐鎖のアルキルオキシ基であり、置換アルキルオキシ基の置換基としては前記の置換基R34で説明した置換アルキル基の置換基と同義である。R35のアルキルアミノ基とは置換または無置換の直鎖または分岐鎖のアルキルアミノ基であり、置換アルキルアミノ基の置換基としては前記の置換基R34で説明した置換アルキル基の置換基と同義である。R35のアリールアミノ基とは、置換または無置換のアリールアミノ基であり、置換アリールアミノ基の置換基としては前記の置換基R34で説明した置換アルキル基の置換基と同義である。R35はアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルアミノ基が溶解性の点で好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基が合成が容易である点で更に好ましく、アルキル基が特に好ましい。A及びBは−CO−または−SO2−を表し、αは0または1を表す。Aとしては、−CO−が現像主薬の酸化体とのカップリングで得られる色素の最大吸収波形が短波であり好ましい。R34とR35はお互いに結合して5〜7員環を形成してもよい。5〜7員環の代表的な例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0065】
【化29】
【0066】
5〜7員環のそれぞれの環上に置換可能な置換基、例えば前記のR32およびR33で説明した置換基等を有してもよい。R34とR35が結合した場合には、好ましくはイミド環またはラクタム環であるが、より好ましくはR34とR35は結合しない場合である。αは0が好ましく、最も好ましいのは、αが0であり、かつR34が水素原子である。Xは水素原子、ハロゲン原子またはアリールオキシ基を表す。本発明に用いられるカプラーにおいては、このハロゲン原子またはアリールオキシ基であるXが現像主薬の酸化体とのカップリング反応において離脱する。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子があげられる。アリールオキシ基とは、置換または無置換のアリールオキシ基を表し、置換アリールオキシ基の置換基としては、前記置換基R34で説明した置換アルキル基の置換基と同義である。アリールオキシ基としては、フェノキシ、4−メチルフェノキシ、4−tert−ブチルフェノキシ、4−メトキシカルボニルフェノキシ、4−エトキシカルボニルフェノキシ、4−カルボキシフェノキシ、4−シアノフェノキシ、2,4−ジメチルフェノキシ等を挙げることができる。好ましいXはハロゲン原子またはアリールオキシ基であり、より好ましくはハロゲン原子であり、最も好ましいのは塩素原子である。
【0067】
次に、本発明における代表的マゼンタカプラーの具体例を示すが、これらによって限定されるものではない。
【0068】
【化30】
【0069】
【化31】
【0070】
【化32】
【0071】
【化33】
【0072】
【化34】
【0073】
【化35】
【0074】
【化36】
【0075】
【化37】
【0076】
【化38】
【0077】
【化39】
【0078】
【化40】
【0079】
【化41】
【0080】
【化42】
【0081】
【化43】
【0082】
【化44】
【0083】
【化45】
【0084】
【化46】
【0085】
【化47】
【0086】
【化48】
【0087】
【化49】
【0088】
【化50】
【0089】
【化51】
【0090】
【化52】
【0091】
【化53】
【0092】
【化54】
【0093】
【化55】
【0094】
【化56】
【0095】
【化57】
【0096】
【化58】
【0097】
【化59】
【0098】
【化60】
【0099】
【化61】
【0100】
【化62】
【0101】
【化63】
【0102】
【化64】
【0103】
【化65】
【0104】
【化66】
【0105】
【化67】
【0106】
【化68】
【0107】
【化69】
【0108】
【化70】
【0109】
【化71】
【0110】
【化72】
【0111】
【化73】
【0112】
【化74】
【0113】
【化75】
【0114】
【化76】
【0115】
【化77】
【0116】
【化78】
【0117】
【化79】
【0118】
【化80】
【0119】
【化81】
【0120】
【化82】
【0121】
【化83】
【0122】
【化84】
【0123】
【化85】
【0124】
【化86】
【0125】
【化87】
【0126】
【化88】
【0127】
【化89】
【0128】
【化90】
【0129】
【化91】
【0130】
【化92】
【0131】
【化93】
【0132】
【化94】
【0133】
【化95】
【0134】
【化96】
【0135】
【化97】
【0136】
【化98】
【0137】
【化99】
【0138】
【化100】
【0139】
【化101】
【0140】
【化102】
【0141】
【化103】
【0142】
【化104】
【0143】
【化105】
【0144】
【化106】
【0145】
【化107】
【0146】
【化108】
【0147】
【化109】
【0148】
本発明に用いられる一般式(M−I)〜(M−X)のいずれかで表されるマゼンタカプラーは、特開昭60−197688号および特開平3−184980号、同6−43611号、特開2001−356455号の各公報に記載された方法もしくはこれに準じた方法で容易に合成できる。
【0149】
一般式(M−I)〜(M−X)のいずれかで表されるカプラーの使用量は感光材料1m2当たり0.001〜3.0gが好ましく、更に好ましくは0.01〜1.0gが好ましい。また、特に反射型感光材料の場合は0.01〜0.8gが好ましく、更に好ましくは0.02〜0.6gである。本発明において一般式(M−I)〜(M−X)のいずれかで表されるカプラーはハロゲン化銀乳剤層やその隣接層に使用するのが好ましく、特に好ましくはハロゲン化銀乳剤層である。ハロゲン化銀乳剤層に使用する場合には、ハロゲン化銀1モル当たり0.001〜10モルで使用するのが好ましく、更に好ましくは0.05〜2モルで使用するのが好ましい。
【0150】
次に、本発明に使用される一般式(Ph−1)又は(Ph−2)で表される化合物について詳細に説明する。
Rb1は脂肪族基、アリール基、カルバモイル基、アシルアミノ基、カルボニル基、スルホニル基を表し、Rb6は脂肪族基、アリール基、アミノ基、アシル基を表す。Rb7〜Rb9、Rb19、Rb20は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族基、アリール基、複素環基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、オキシカルボニルオキシ基、カルバモイル基、アシルアミノ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルファモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表す。Rb17およびRb18は各々独立に脂肪族基、アリール基を表す。
【0151】
上記の各基は更に置換基で置換されてもよい。上記の脂肪族基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基を総称するものであり、例えばメチル、エチル、i−プロピル、t−ブチル、t−オクチル、シクロヘキシル等が挙げられる。アリール基としては置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
Rb1が表す脂肪族基、アリール基、カルバモイル基、アシルアミノ基(アミド基とも称す)、カルボニル基(アシル基とも称す)、スルホニル基の各基の具体例は、一般式(M−I)〜(M−X)の基で挙げた具体例を挙げることができる。
【0152】
Rb6は脂肪族基(1−エチルペンチル、1−ヘキシルノニル、ウンデシル、ドデシル、ペンタデシル、ヘプタデシル)、アリール基、アミノ基、アシル基を表し、Rb7〜Rb9、Rb19およびRb20は各々独立に水素原子またはハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族基、アリール基、複素環基、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ、オクチルオキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基、複素環オキシ基、オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が好ましく、例えばメトキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニルフェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニル)、アシル基、アシルオキシ基、オキシカルボニルオキシ基(アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基が好ましく、例えば、メトキシカルボニルオキシ、オクチルオキシカルボニルオキシ、フェノキシカルボニルオキシ)、脂肪族スルホニル基(例えばメタンスルホニル、ブタンスルホニル)、カルバモイル基、アシルアミノ基、アシルアミド基(例えばヘプチルアミド、ウンデシルアミド、ペンタデシルアミド、1−ヘキシルノニルアミド)、スルホニル基、スルフィニル基、スルファモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表す。Rb17およびRb18は各々独立に脂肪族基(1−エチルヘキシル基、1−ヘキシルデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基)、アリール基を表す。
これらの各基の具体例は、一般式(M−I)〜(M−X)の基で挙げた具体例を挙げることができる。
【0153】
一般式(Ph−1)において、Rb6は脂肪族基であることが好ましく、更に無置換の脂肪族基が好ましく、特に分岐の脂肪族基が好ましい。また、Rb6の総炭素数は8以上25以下が好ましく、12以上20以下が特に好ましい。Rb1は脂肪族基、アリール基、カルバモイル基、オキシカルボニル基が好ましく、脂肪族基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。Rb7、Rb8、Rb9は水素原子、脂肪族基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
一般式(Ph−2)において、Rb17、Rb18は脂肪族基が好ましい。R17、R18は水素原子、脂肪族基が好ましく、水素原子が特に好ましい。Rb1はカルバモイル基、オキシカルボニル基、脂肪族基が好ましく、カルバモイル基、オキシカルボニル基が特に好ましい。
【0154】
一般式(Ph−1)又は(Ph−2)で表される化合物のうち、特に一般式(Ph−3)で表される化合物が好ましい。
以下に、一般式(Ph−3)で表される化合物について詳しく説明する。
一般式(Ph−3)において、Rb21は直鎖、分岐または環状の、飽和もしくは不飽和の無置換の脂肪族基、直鎖、分岐または環状の、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、−SR’、−CONR’R”、−CO2R’、−OCOR’で置換された飽和または不飽和の脂肪族基を表す。R’およびR”は各々独立に、水素原子、または、直鎖、分岐または環状の、飽和もしくは不飽和の無置換の脂肪族基を表し、直鎖の無置換脂肪族基としてはヘプチル、ノニル、ウンデシル、ドデシル、ペンタデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、イコシル、ヘンイコシル、トリイコシル、8−ヘプタデセル、8,11−ヘプタデカジエニル、8,11,14−ヘプタデカトリエニルが挙げられ、分岐脂肪族基としてはt−ブチル、t−ペンチル、1−プロピルブチル、1−エチルペンチル、1−ヘキシルノニルが挙げられ、環状の脂肪族基としてはシクロヘキシル、シクロオクチル、ジシクロヘキシルメチル、(4−メチル)シクロヘキシルメチル、アダマンチル、ノルボルネニル、1−(3−メチル)ヘキシル−5−メチルノニルが挙げられる。
Rb21の脂肪族基に置換し得るハロゲン原子としては弗素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等が挙げられ、ハロゲン原子に置換された脂肪族基としてはパーフルオロノニル、8,9−ジクロロヘプタデシル、1−クロロ−1−ヘキシルノニル、1−ブロモヘプチル、1−ブロモプロパデシル、1−ブロモ−1−ヘキシルノニルが挙げられる。ヒドロキシル基で置換された脂肪族基としては9−ヒドロキシノニル、15−ヒドロキシペンタデシル、11−ヒドロキシへプタペンチルが挙げられる。−SR’基で置換された脂肪族基としては2−ドデシルチオエチル、1−ヘキシル−1−メチルチオノニル、1−t−オクチルチオペンチル、1−メチルチオプロパデシル、1−t−ブチルチオ−1−ヘキシルノニルが挙げられる。−CONR’R”基で置換された脂肪族基としては1−(N,N−ジブチル)カルバモイルブチル、3−(N,N−ジブチル)カルバモイル−1−メチルプロピル、1−カルバモイルメチルへプタデシル、2−(N,N−ジブチル)カルバモイルシクロヘキシルが挙げられる。−CO2R’基で置換された脂肪族基としては2−ドデシルオキシカルボニル−1−メチルエチル、1−ドデシル−2−メトキシカルボニルエチルが挙げられる。−OC(=O)R’基で置換された脂肪族基としてはドデシルカルボニルオキシエチル、2−アセチルオキシ−1−ドデシルエチルが挙げられる。また、2つの2−アシルアミノ−p−クレゾール母核が1つの脂肪族基を共有していても良い。
【0155】
Rb21の炭素数の総和は8以上25以下が好ましく、12以上20以下が特に好ましい。炭素数の総和がこれ以下であると防止剤がカプラーと共に分散されている油層中から抜けやすくなり効果を発揮しにくくなる。また、炭素数の総和がこれ以上であると、等モル添加する場合に体積増加となり、薄層化の妨げとなり、しかもカプラーと共に分散されている油層中に溶けにくくなる。
また、好ましい脂肪族基の種類としては、褪色防止能が優れるという観点で、無置換の脂肪族基が好ましく、その中で直鎖、分岐の脂肪族基が更に好ましく、分岐脂肪族基が特に好ましい。分岐脂肪族基の中でもα位で分岐している脂肪族基が特に好ましい。
以下に本発明に用いられる一般式(Ph−1)〜(Ph−3)で表される好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0156】
【化110】
【0157】
【化111】
【0158】
【化112】
【0159】
【化113】
【0160】
【化114】
【0161】
【化115】
【0162】
【化116】
【0163】
【化117】
【0164】
【化118】
【0165】
【化119】
【0166】
【化120】
【0167】
【化121】
【0168】
【化122】
【0169】
本発明に用いられる一般式(Ph−1)〜(Ph−3)のいずれかで表される化合物の添加量はカプラーに対して10モル%〜200モル%が好ましく、20モル%〜150モル%が更に好ましく、40モル%〜120モル%が特に好ましい。
本発明に用いられる一般式(Ph−1)〜(Ph−3)のいずれかで表される化合物は1種でも、数種併用されてもよい。また、本発明に用いられる一般式(Ph−1)〜(Ph−3)のいずれかで表される化合物は、本発明に用いられる一般式(M−I)〜(M−X)のいずれかで表される色素形成カプラーと別層に添加されても、同一層に添加されても良いが、本発明に用いられる一般式(M−I)〜(M−X)で表される色素形成カプラーと同一層に添加される場合が好ましい。ただし、本発明に用いられる一般式(Ph−1)〜(Ph−3)のいずれかで表される化合物の少なくとも1種は、本発明に用いられる一般式(M−I)〜(M−X)のいずれかで表される色素形成カプラーと同一層に添加される。
【0170】
次に一般式(Ph−1)〜(Ph−3)のいずれかで表わされる化合物の具体的な合成法を示す。
合成例(A−22)の合成
2−アミノ−p−クレゾール 28.7g(0.233モル)と重曹38.6g(0.460モル)にアセトニトリル126mlを加え、加熱攪拌下にイソパルミチン酸クロライド63.2g(0.23モル)を30分間で滴下した。更に1時間加熱攪拌をし、メタノール100mlを加え、不溶物を濾別し、メタノール100mlで不溶物を洗浄した。得られた溶液を室温で攪拌下に水50mlを25分間で滴下し、晶析した。水冷し、更に2時間攪拌した。析出した結晶を濾過し、メタノール/水=5/1 250mlで洗浄し、更に水250mlで洗浄した。得られた結晶を45℃送風乾燥機で1日乾燥し、80.5gの白色結晶を得た。収率96.8% 融点82〜84℃
他の化合物も同様な方法で合成することができる。
【0171】
以下に一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される化合物について詳しく説明する。
一般式(E−1)〜(E−3)中、R41は脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、フォスホリル基または−Si(R47)(R48)(R49)を表す。ここで、R47、R48及びR49は各々独立に脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基またはアリールオキシ基を表す。R42〜R46は水素原子または置換基を表す。Ra1〜Ra4は各々独立に、水素原子または脂肪族基(例えばメチル、エチル)を表す。各基の好ましい具体例は一般式(M−I)〜(M−X)の説明で挙げられたものと同様である。
一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表わされる化合物について、本発明の効果の点での好ましい置換基について述べる。
一般式(E−1)〜(E−3)において、R41は脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基またはフォスホリル基であって、R42、R43、R45及びR46は各々独立に、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基またはアシルアミノ基である場合が好ましく、R41は脂肪族基であって、R42、R43、R45及びR46は各々独立に、水素原子または脂肪族基である場合がさらに好ましい。
以下に本発明に用いられる一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0172】
【化123】
【0173】
【化124】
【0174】
【化125】
【0175】
【化126】
【0176】
本発明に用いられる一般式(E−1)、(E−2)、(E−3)のいずれかで表される化合物の添加量はカプラーに対して10〜100モル%が好ましく、20〜80モル%が更に好ましく、30〜60モル%が特に好ましい。
一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される化合物は、特開昭53−17729号、同53−20327号、同54−145530号、同55−21004号、同56−159644号の各公報に記載された方法もしくはこれに準じた方法で合成することができる。
本発明に用いられる一般式(E−1)、(E−2)、(E−3)のいずれかで表される化合物は1種でも、数種併用されてもよく、本発明に用いられる一般式(M−I)〜(M−X)のいずれかで表される色素形成カプラーと別層に添加されても、同一層に添加されても良いが、本発明に用いられる一般式(M−I)〜(M−X)で表される色素形成カプラーと同一層に添加される場合が好ましい。
【0177】
次に、本発明に用いられる一般式(TS−I)〜(TS−VII)のいずれかで表される化合物、及び、金属錯体、紫外線吸収剤並びに水不溶性の単独重合体もしくは共重合体を詳細に説明する。
【0178】
一般式(TS−I)で表わされる化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−I)中、R51は水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、フォスホリル基(例えばジエチルフォスホリル、ジフェニルフォスホリル、ジフェノキシフォスホリル)、または、−Si(R58)(R59)(R60)を表す。
ここで、R58、R59、R60は各々独立に、脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基またはアリールオキシ基を表す。X51は−O−または−N(R57)−を表す。ここで、R57はR51と同義である。X55は−N=または−C(R52)=、X56は−N=または−C(R54)=、X57は−N=または−C(R56)=を表わす。R52〜R56は各々独立に、水素原子または置換基を表し、好ましい置換基としては脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基または−X51−R51である。
但し、R51〜R57のすべてが水素原子であることはなく、総炭素数は10以上(好ましくは10〜50)であり、好ましくは総炭素数16以上(好ましくは16〜40)である。
ただし、一般式(TS−I)で表される化合物は、前記一般式(Ph−1)〜(Ph−3)、(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される化合物であることはない。
【0179】
本発明に用いられる一般式(TS−I)で表される化合物は、特公昭63−50691号公報の一般式(I)、特公平2−37575号公報の一般式(IIIa)(IIIb)(IIIc)、同2−50457号公報の一般式、同5−67220号公報の一般式、同5−70809の一般式(IX)、同6−19534号公報の一般式、特開昭62−227889号公報の一般式(I)、同62−244046号公報の一般式(I)(II)、特開平2−66541号公報の一般式(I)(II)、同2−139544号公報の一般式(II)(III)、同2−194062号公報の一般式(I)、同2−212836号公報の一般式(B)(C)(D)、同3−200758号公報の一般式(III)、同3−48845号公報の一般式(II)(III)、同3−266836号公報の一般式(B)(C)(D)、同3−969440号公報の一般式(I)、同4−330440号公報の一般式(I)、同5−297541号公報の一般式(I)、同6−130602号公報の一般式、国際公開WO91/11749号パンフレットの一般式(1)(2)(3)、独国特許出願公開第4008785A1号明細書の一般式(I)、米国特許第4931382号明細書の一般式(II)、欧州特許第203746B1号明細書の一般式(a)、同第264730B1号明細書の一般式(I)、特開昭62−89962号公報の一般式(III)等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
本発明の効果の点で一般式(TS−I)で表される化合物は、一般式(TS−ID)〜(TS−IH)のいずれかで表される化合物が好ましい。
【0180】
【化127】
【0181】
一般式(TS−ID)〜(TS−IH)において、R51〜R57は一般式(TS−I)で定義したものと同じである。Ra1〜Ra4は各々独立に、水素原子または脂肪族基(例えばメチル、エチル)を表し、X52およびX53は各々独立に2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、オキシ基、スルホニル基があげられる。式中、同一分子中の同記号は同じであっても異なっていても良い。
一般式(TS−ID)〜(TS−IH)のいずれかで表わされる化合物について、本発明の効果の点での好ましい置換基について述べる。
(TS−ID)において、R51は水素原子、脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基またはフォスホリル基であって、R52、R53、R55及びR56は各々独立に、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基またはアシルアミノ基である場合が好ましく、R51は脂肪族基であって、R52、R53、R55及びR56は各々独立に、水素原子または脂肪族基である場合はさらに好ましい。一般式(TS−IE)、(TS−IF)、(TS−IG)において、R51は水素原子、脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基またはフォスホリル基であって、R52、R53、R55及びR56が各々独立に、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基またはアシルアミノ基であって、R54が脂肪族基、カルバモイル基またはアシルアミノ基であって、X52およびX53は、アルキレン基またはオキシ基である場合が好ましく、R51が水素原子、脂肪族基、アシル基またはホスホリル基であって、R52、R53、R55及びR56が各々独立に、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基またはアシルアミノ基であって、R54が脂肪族基またはカルバモイル基であって、X52およびX53が、−CHR58−(R58はアルキル基)である場合はさらに好ましい。一般式(TS−IH)において、R51が脂肪族基、アリール基またはヘテロ環基であって、R53、R55が各々独立に、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基またはヘテロ環オキシ基である場合が好ましく、R51が、アリール基またはヘテロ環基であって、R53、R55が各々独立にアリールオキシ基またはヘテロ環オキシ基である場合はさらに好ましい。
本発明の効果の点で、一般式(TS−I)で表わされる化合物は、(TS−IE)、(TS−IG)のいずれかで表わされる化合物が好ましい。
【0182】
一般式(TS−II)で表わされる化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−II)中、R61、R62、R63及びR64は各々独立に水素原子または脂肪族基(例えばメチル、エチルであって、好ましくはアルキル基)を表し、X61は水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基またはオキシラジカル基を表す。X62は5〜7員環(例えばピペリジン環、ピペラジン環)を形成するに必要な非金属原子群を表す。一般式(TS−II)で表わされる化合物の総炭素数は8以上(好ましくは8〜60)である。
【0183】
本発明に用いられる一般式(TS−II)で表される化合物は、特公平2−32298号公報の一般式(I)、同3−39296号公報の一般式(I)、同3−40373号公報の一般式、特開平2−49762号公報の一般式(I)、同2−208653号公報の一般式(II)、同2−217845号公報の一般式(III)、米国特許第4906555号明細書の一般式(B)、欧州特許出願公開第309400A2号明細書の一般式、同第309401A1号明細書の一般式、同第309402A1号明細書の一般式等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
一般式(TS−II)で表わされる化合物について、本発明の効果の点での好ましい置換基について述べる。本発明の効果の点で、R61、R62、R63及びR64は脂肪族基である場合が好ましく、メチル基である場合はさらに好ましい。本発明の効果の点で、X61は水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシル基、アシルオキシ基またはオキシラジカル基である場合が好ましく、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシル基、またはオキシラジカル基である場合はさらに好ましく、脂肪族基、脂肪族オキシ基である場合は最も好ましい。本発明の効果の点で、X62は6員環である場合が好ましく、ピペリジン環である場合はさらに好ましい。本発明の効果の点で、一般式(TS−II)で表わされる化合物は、R61、R62、R63及びR64がメチル基であって、X61が水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシル基またはオキシラジカル基であって、X62が6員環である場合が好ましく、R61、R62、R63及びR64がメチル基であって、X61が脂肪族基または脂肪族オキシ基であって、X62はピペリジン環を形成している場合はさらに好ましい。
【0184】
一般式(TS−III)で表わされる化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−III)中、R65及びR66は各々独立に水素原子、脂肪族基、アリール基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基を表し、R67は水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、置換アミノ基(置換基としては置換可能ならば良く、例えば脂肪族基、アリール基、アシル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基等の置換したアミノ基)、ヘテロ環基(例えばピペリジン環、チオモルホリン環)又はヒドロキシ基を表し、可能な場合にはR65とR66、R66とR67、R65とR67は互いに結合し5〜7員環(例えばモルホリン環、ピラゾリジン環)を形成しても良いが、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を形成することはない。但し、R65、R66が同時に水素原子であることはなく、一般式(III)で表わされる化合物の総炭素数は7以上(好ましくは7〜50)である。
本発明に用いられる一般式(TS−III)で表される化合物は、特公平6−97332号公報の一般式(I)、特公平6−97334号公報の一般式(I)、特開平2−148037号公報の一般式(I)、同2−150841号公報の一般式(I)、同2−181145号公報の一般式(I)、同3−266836号公報の一般式(I)、同4−350854号公報の一般式(IV)、同5−61166号公報の一般式(I)等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
本発明の効果の点で一般式(TS−III)で表される化合物は、一般式(TS−IIIA)〜(TS−IIID)のいずれかで表される化合物が好ましい。
【0185】
【化128】
【0186】
一般式(TS−IIIA)〜(TS−IIID)においてR65〜R66は一般式(TS−III)で定義したものと同じである。Rb1〜Rb3はR65と同義であり、Rb4は水素原子、脂肪族基またはアリール基である。X63は5〜7員環(例えばピラゾリジン環、ピラゾリン環)を形成するに必要な非金属原子群を表す。
一般式(TS−IIIA)〜(TS−IIID)で表わされる化合物について、本発明の効果の点での好ましい置換基について述べる。一般式(TS−IIIA)においては、R65及びRb1が各々独立に水素原子、脂肪族基またはアリール基であって、R66およびRb2が各々独立に脂肪族基、アリール基またはアシル基である場合が好ましく、R65およびRb1が各々独立に脂肪族基であって、R66およびRb2が各々独立に脂肪族基、アリール基またはアシル基である場合はさらに好ましい。一般式(TS−IIIB)においては、R65は水素原子、脂肪族基、アリール基、アシル基または脂肪族オキシカルボニル基であって、Rb3は脂肪族基、アリール基またはアシル基であって、X63は5員環を形成する非金属原子群である場合が好ましく、R65が水素原子または脂肪族基であって、Rb3は脂肪族基またはアリール基であって、X63はピラゾリジン環を形成する原子群である場合はさらに好ましい。一般式(TS−IIIC)においては、R65及びR66が各々独立に水素原子、脂肪族基、アリール基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基であって、Rb3は水素原子、脂肪族基またはアシル基である場合が好ましく、R65およびR66が各々独立に脂肪族基、アシル基または脂肪族オキシカルボニル基であって、Rb3が水素原子、脂肪族基またはアシル基である場合はさらに好ましい。一般式(TS−IIID)においては、R65が水素原子、脂肪族基、アリール基、アシル基またはカルバモイル基であって、Rb5が脂肪族基またはアリール基であって、Rb4が脂肪族基またはアリール基である場合が好ましく、R65が脂肪族基、アリール基、アシル基またはカルバモイル基であって、Rb5が脂肪族基またはアリール基であって、Rb4が脂肪族基またはアリール基である場合はさらに好ましい。
本発明の効果の点で、一般式(TS−III)で表わされる化合物は、一般式(TS−IIIB)、(TS−IIIC)または(TS−IIID)で表わされる化合物がさらに好ましく、一般式(TS−IIIB)または(TS−IIIC)で表わされる化合物は最も好ましい。
【0187】
一般式(TS−IV)で表わされる化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−IV)中、R71およびR72は各々独立に、脂肪族基、アリール基またはヘテロ環基(例えば2−ピリジル、2−ピリミジル)、さらに、R71は水素原子、Li、NaまたはKを表し、R71とR72は互いに結合し、5〜7員環(例えばテトラヒドロチオフェン環、チオモルホリン環)を形成しても良い。qは0、1または2を表す。但し、R71、R72の総炭素数は10以上(好ましくは10〜60)である。
本発明に用いられる一般式(TS−IV)で表される化合物は、特公平2−44052号公報の一般式(I)、特開平3−48242号公報の一般式(T)、同3−266836号公報の一般式(A)、同5−323545号公報の一般式(I)(II)(III)、同6−148837号公報の一般式(I)、米国特許第4933271号明細書の一般式(I)、同第4770987号明細書の一般式(1)等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
本発明の効果の点で、一般式(TS−IV)において、qが0または2であることが好ましく、qが0である場合には、R71およびR72が各々独立に、脂肪族基またはアリール基である場合、またR71とR72が結合し6員環を形成した場合が好ましく、qが2である場合はR71が水素原子、Na、K、脂肪族基またはアリール基であって、R72は脂肪族基またはアリール基である場合が好ましく、R71が水素原子、NaまたはKであって、R72がアリール基である場合はさらに好ましい。
【0188】
一般式(TS−V)で表わされる化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−V)中、R81、R82およびR83は各々独立に、脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族アミノ基またはアリールアミノ基を表し、tは0または1を表す。R81とR82、R81とR83は互いに結合し、5〜8員環を形成しても良い。但し、R81、R82、R83の総炭素数は10以上(好ましくは10〜50)である。
本発明に用いられる一般式(TS−V)で表される化合物は、特開平3−25437号公報の一般式(I)、同3−142444号公報の一般式(I)、米国特許第4749645号明細書の一般式、同第4980275号明細書の一般式等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
本発明の効果の点で、一般式(TS−V)において、tが1であって、R81、R82およびR83が各々独立に、脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基またはアリールアミノ基である場合(好ましくはR81、R82およびR83の少なくとも1つが脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基またはアリールオキシ基である場合)が好ましく、またR81とR82が結合し8員環を形成した場合であっても好ましく、tが1であって、R81、R82およびR83が各々独立にアリール基、脂肪族オキシ基またはアリールオキシ基である場合(好ましくはR81、R82およびR83の少なくとも1つがアリール基またはアリールオキシ基である)場合はさらに好ましい。
【0189】
一般式(TS−VI)で表わされる化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−VI)中、R85、R86、R87およびR88は各々独立に水素原子または置換基(例えば脂肪族、アリール、脂肪族オキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ホスホリル、アシルアミノ、カルバモイル)を表わす。但しR85、R86、R87およびR88のすべてが水素原子であることはなく、R85、R86、R87およびR88の任意の2つが結合し、5〜7員環(例えば、シクロヘキセン環、シクロヘキサン環)を形成していても良いが、炭素原子のみの芳香環を形成することはない。一般式(TS−VI)で表わされる化合物の総炭素数は10以上(好ましくは10〜50)である。
本発明に用いられる一般式(TS−VI)で表される化合物は、米国特許第4713317号明細書の一般式(I)、特開平8−44017号公報の一般式(I)、同8−44018号公報の一般式(I)、同8−44019号公報の一般式(I)、同8−44020号公報の一般式(I)(II)、同8−44021号公報の一般式(I)、同8−44022号公報の一般式(I)(II)等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
本発明の効果の点で一般式(TS−VI)で表される化合物は、一般式(TS−VIA)〜(TS−VIC)のいずれかで表される化合物が好ましい。
【0190】
【化129】
【0191】
一般式(TS−VIA)〜(TS−VIC)において、R85、R86およびR87は一般式(TS−VI)で定義したものと同じである。Rd1は脂肪族基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族アミノ基またはアリールアミノ基を表わし、Rd2およびRd3は各々独立に、アルケニル基を表わし、Rd4は水素原子、脂肪族基またはアリール基を表わす。u、vは各々独立に1、2または3を表わす。
一般式(TS−VIA)〜(TS−VIC)で表わされる化合物について、本発明の効果の点での好ましい置換基について述べる。一般式(TS−VIA)においては、R85、R86およびR87は各々独立に水素原子または脂肪族基であって、Rd1は脂肪族オキシ基、脂肪族アミノ基またはアリールアミノ基である場合が好ましく、R85、R86およびR87は水素原子または脂肪族基であって、Rd1は脂肪族オキシ基または脂肪族アミノ基である場合がさらに好ましい。一般式(TS−VIB)においては、R85が脂肪族基またはアリール基であって、Rd2がアルケニル基であって、uは1、2または3である場合が好ましく、R85が脂肪族基またはアリール基であって、Rd2がアルケニル基であって、uは2または3である場合がさらに好ましい。一般式(TS−VIC)においては、R85は脂肪族基またはアリール基であって、Rd3がアルケニル基であって、Rd4が水素原子または脂肪族基であって、uは1、2または3である場合が好ましく、R85は脂肪族基またはアリール基であって、Rd3がアルケニル基であって、Rd4は水素原子、アルケニル基であって、uは2または3である場合がさらに好ましい。
本発明の効果の点で、一般式(TS−VI)において、一般式(TS―VIA)または(TS−VIB)で表わされる化合物がさらに好ましく、一般式(TS−VIA)で表わされる化合物が最も好ましい。
【0192】
次に、一般式〔TS−VII〕で表される化合物について説明する。
R91は炭素原子数の総和が10以上(好ましくは10〜50、さらに好ましくは10〜32)の疎水性基を表し、好ましくは炭素数1〜32のアルキル基、炭素数2〜32のアルケニル基、炭素数2〜32のアルキニル基、炭素数3〜32のシクロアルキル基、炭素数3〜32のシクロアルケニル基等が挙げられる。アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基は直鎖でも分岐でもよい。また、これらの脂肪族基には置換基を有するものも含む。
【0193】
芳香族基の例としては、アリール基、芳香族ヘテロ環基(例えば、ピリジル基、フリル基等)等が挙げられる。また、これらの芳香族基には置換基を有するものも含む。
【0194】
R91は好ましくはそれぞれアルキル基又はアリール基である。
【0195】
R91で表される脂肪族基又は芳香族基の置換基としては特に制限はないが、好ましくはアルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシルアミノ基、アミノ基等が挙げられる。さらに好ましくは脂肪族基である。Y91はアルコール性水酸基を含有する一価の有機基を表す。Y91は好ましくは下記一般式〔AL〕で表される一価の有機基である。
一般式〔AL〕 Y92−(L92)m92−
式中、Y92は多価アルコールに含まれる複数の水酸基の内の一つから水素原子を除いた化合物残基を表し、L92は2価の連結基を表す。m92は0又は1を表す。
ここで水素原子を除いてY92の表す基となる多価アルコールとしてはグリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ソルビタン、ソルビド、ソルビット、糖類等が好ましい。Lで表される2価の連結基としては、−C(=O)−、−SO2−が好ましい。
【0196】
また一般式〔TS−VII〕で表される化合物の別の形態における好ましい化合物としては、R91が炭素原子数12以上の脂肪族基(好ましくは、炭素原子数12〜32のアルキル基またはアルケニル基)であり、Y91がOH基である化合物である。
【0197】
以下、本発明における金属錯体について述べる。
本発明における金属錯体は、中心金属が、Cu、Co、Ni、PdまたはPtであるものが好ましく、Niであるものがより好ましい。また、好ましくは水に対する溶解度が低く、(好ましくは室温での溶解度が50%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは10%以下)である。好ましい化合物は化合物全体の炭素数でも規定することができ、総炭素数15〜65が好ましく、20〜60がより好ましく、25〜55がさらに好ましく、30〜50が最も好ましい。
本発明における金属錯体は、どのような配位子を有するものでも構わない。好ましくはジチオレート系錯体またはサリチルアルドキシム系錯体であり、サリチルアルドキシム系錯体がより好ましい。
本発明における金属錯体としては、ジチオレート系ニッケル錯体、サリチルアルドキシム系ニッケル錯体等多くが知られており有効であるが、特公昭61−13736号公報の一般式(I)、同61−13737号公報の一般式(I)、同61−13738号公報の一般式(I)、同61−13739号公報の一般式(I)、同61−13740号公報の一般式(I)、同61−13742号公報の一般式(I)、同61−13743号公報の一般式(I)、同61−13744号公報の一般式(I)、特公平5−69212号公報の一般式、同5−88809号公報の一般式(I)(II)、特開昭63−199248号公報の一般式、同64−75568号公報の一般式(I)(II)、特開平3−182749号公報記載の一般式(I)(II)、米国特許第4590153号明細書記載の一般式(II)(III)(IV)(V)、同第4912027号明細書記載の一般式(II)(III)(IV)等に記載の化合物が好ましい。
本発明の効果の点で金属錯体は、一般式(TS−VIIIA)で表される化合物が好ましい。
【0198】
【化130】
【0199】
一般式(TS−VIIIA)において、R101、R102、R103およびR104は各々独立に、水素原子または置換基(例えば脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、アシルアミノ基)を表し、R105は水素原子、脂肪族基またはアリール基を表し、R106は水素原子、脂肪族基、アリール基またはヒドロキシ基を表す。MはCu、Co、Ni、PdまたはPtを表す。2つのR106が互いに結合し、5〜7員環を形成しても良く、隣接のR101とR102、R102とR103、R103とR104、R104とR105は互いに結合し、5〜6員環を形成しても良い。
本発明の効果の点で、一般式(TS−VIIIA)において、R101、R102、R103およびR104は水素原子、脂肪族基または脂肪族オキシ基であって、R105は水素原子、R106は水素原子、脂肪族基またはヒドロキシ基であって、MはNiである場合が好ましく、R101、R102、R103およびR104が水素原子または脂肪族オキシ基であって、R105は水素原子、R106はヒドロキシ基であって、MはNiである場合がさらに好ましい。
【0200】
次に本発明に用いられる紫外線吸収剤について説明する。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は、400nm以下に最大吸収波長(λmax)を有する化合物であれば如何なるものでも良いが、好ましくは下記一般式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)のいずれかで表される化合物である。
一般式(A)
【0201】
【化131】
【0202】
式中、R121は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基を表わし、R122、R123は各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わす。
【0203】
好ましくは、式中、R121は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基を表わし、R122、R123は各々独立に、水素原子、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基を表わす。
一般式(B)
【0204】
【化132】
【0205】
式中、R124、R125、R126は各々独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルコキシ基、ヒドロキシル基を表わす。
一般式(C)
【0206】
【化133】
【0207】
式中、R127はヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキル基を表わす。R128、R129は各々独立に水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキル基を表わし、R128とR127あるいはR129とR127が隣りあった位置にあって5〜6員環を形成してもよい。XA、YAはCN、−COR140、−COOR140、−SO2R140、−CON(R140)(R141)、−COOHを表わしXA、YAはお互いに同じでも異なっていてもよい。R140およびR141は各々独立にアルキル基、アリール基を表わし、R141は水素原子であってもよい。
【0208】
好ましくは、R127はヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキル基を表わし、R128、R129は水素原子、ヒドロキシ、R127と同意味のアルコキシ基、アルキル基を表わし、R128とR127、R129とR127の隣の位置にあって5〜6員環(例えばメチレンジオキシ環)を形成してもよい。XAおよびYAは各々独立にCN、−COR140、−COOR140、−SO2R140、−CON(R140)(R141)、−COOHを表わす。R140、R141は炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基を表わし、R141は水素原子であってもよい。
一般式(D)
【0209】
【化134】
【0210】
式中、R130およびR131は各々独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基を表すが、R130とR131が同時に水素原子であることはない。またNとともに5〜6員環を形成してもよい。X、Yは一般式(C)について述べたと同じ意味をもつ。
【0211】
好ましくはR130、R131は水素原子、炭素数1〜12の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数3〜6のアルケニル基を表わし、R130、R131は互いに同じでも異なっていてもよいが同時に水素原子であることはない。またNとともに5〜6員環(例えばピペリジン環、モルホリン環など)を形成してもよい。XA、YAは一般式(C)について述べたと同じ意味をもつ。
一般式(E)
【0212】
【化135】
【0213】
式中、R132、R133、R134は各々独立に置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基もしくは複素環基を表わす。但し、R132、R133、R134のうち少なくとも1つが下記一般式(F)を表わす。
一般式(F)
【0214】
【化136】
【0215】
式中、R135、R136は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基を表わす。
一般式(TS−I)〜(TS−VII)のいずれかで表される化合物、金属錯体、並びに紫外線吸収剤の具体的化合物例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0216】
【化137】
【0217】
【化138】
【0218】
【化139】
【0219】
【化140】
【0220】
【化141】
【0221】
【化142】
【0222】
【化143】
【0223】
【化144】
【0224】
【化145】
【0225】
【化146】
【0226】
【化147】
【0227】
【化148】
【0228】
【化149】
【0229】
【化150】
【0230】
【化151】
【0231】
【化152】
【0232】
【化153】
【0233】
【化154】
【0234】
【化155】
【0235】
【化156】
【0236】
【化157】
【0237】
【化158】
【0238】
【化159】
【0239】
【化160】
【0240】
【化161】
【0241】
【化162】
【0242】
【化163】
【0243】
【化164】
【0244】
【化165】
【0245】
【化166】
【0246】
【化167】
【0247】
【化168】
【0248】
【化169】
【0249】
【化170】
【0250】
次に、本発明に使用される水不溶性かつ有機溶媒可溶性の単独重合体又は共重合体について詳細に説明する。
本発明において、水不溶性とは、水に対する溶解度が0.1%以下のことをいう。水不溶性かつ有機溶媒可溶性の単独又は共重合体(以下、本発明に使用される共重合体という)としては各種のものを用いることができるが、例えば下記に示すものを好ましく用いることができる。
(1)ビニル系重合体及び共重合体
本発明に使用されるビニル系重合体及び共重合体を形成するモノマーを更に具体的に示す。
【0251】
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルエステル類、メタクリルアミド類、オレフィン類、クロトン酸エステル、イタコン酸ジエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルケトン類ビニル異節環化合物(例えば、ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルトリアゾール、N−ビニルピロリドン)、グリシジルエステル類、不飽和ニトリル類などを挙げることができる。
【0252】
本発明に使用される重合体は、上記モノマーのホモポリマーでも良く、また必要に応じて、二種以上のモノマーから成る共重合体でも良い。更に、本発明に使用される重合体は、水溶性にならない程度に酸基を有するモノマーを含有していても良いが(好ましくは20%以下である。)、全く含有しないものが好ましい。上記酸基を有するモノマーとしては、アクリル酸;メタクリル酸;イタコン酸;マレイン酸;イタコン酸モノアルキル(例えば、イタコン酸モノメチル);マレイン酸モノアルキル(例えば、マレイン酸モノメチル);シトラコン酸;スチレンスルホン酸;ビニルベンジルスルホン酸;アクリロイルオキシアルキルスルホン酸(例えば、アクリロイルオキシメチルスルホン酸);メタクリロイルオキシアルキルスルホン酸(例えば、メタクリロイルオキシメチルスルホン酸、メタクリロイルオキシエチルスルホン酸、メタクリロイルオキシプロピルスルホン酸);アクリルアミドアルキルスルホン酸(例えば、2−アクリルアミド−2−メチルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸);メタクリルアミドアルキルスルホン酸(例えば、2−メタクリルアミド−2−メチルエタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸);アクリロイルオキシアルキルホスフェート(例えば、アクリロイルオキシエチルホスフェート、3−アクリロイルオキシプロピル−2−ホスフェート);メタクリロイルオキシアルキルホスフェート(例えば、メタクリロイルオキシエチルホスフェート、3−メタクリロイルオキシプロピル−2−ホスフェート)などを挙げることができる。
【0253】
これらの酸基を有するモノマーは、アルカリ金属(例えば、Na、Kなど)又はアンモニウムイオンの塩であってもよい。
【0254】
本発明に使用される重合体を形成するモノマーとしては、アクリレート系、メタクリレート系、アクリルアミド系及びメタアクリルアミド系が好ましい。
【0255】
上記モノマーより形成される重合体は、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法及びラテックス重合法により得られる。これらの重合に用いられる開始剤としては、水溶性重合開始剤、親油性重合開始剤が用いられる。
【0256】
水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸ナトリウム、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩等の水溶性アゾ化合物、過酸化水素を用いることができる。
【0257】
親油性重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサノン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジエチル等の親油性アゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシドを挙げることができる。
【0258】
(2)多価アルコールと多塩基酸とが縮合して得られるポリエステル樹脂多価アルコールとしては、HO−Ra−OH(Raは炭素数2〜約12の炭化水素類、特に脂肪族炭化水素類)なる構造を有するグリコール類、又は、ポリアルキレングリコールが有効であり、多塩基酸としては、HOOC−Rb−COOH(Rbは単なる結合を表すか、又は炭素数1〜12の炭化水素類)を有するものが有効である。
【0259】
(3)開環重合法により得られるポリエステル
これらのポリエステルは、β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン、ジメチルプロピオラクトン等より得られる。
(4)その他
グリコール又は二価フェノールと、炭酸エステル或いはホスゲンとの重縮合により得られるポリカーボネート樹脂、多価アルコールと多価イソシアナートとの重付加により得られるポリウレタン樹脂又は多価アミンと多塩基酸より得られるポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0260】
本発明に用いられる重合体の数平均分子量は特に限定はないが、好ましくは20万以下であり、更に好ましくは800以上10万以下である。
【0261】
本発明に用いられる重合体の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。(共重合体の組成は質量比で示す。)
P−1)ポリ(N−sec−ブチルアクリルアミド)
P−2)ポリ(N−tert−ブチルアクリルアミド)
P−3)ジアセトンアクリルアミド−メチルメタクリレート共重合体(25:75)
P−4)ポリシクロヘキシルメタクリレート
P−5)N−tert−ブチルアクリルアミド−メチルメタクリレート共重合体(60:40)
P−6)ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)
P−7)ポリ(tert−ブチルメタクリレート)
P−8)ポリビニルアセテート
P−9)ポリビニルプロピオネート
P−10)ポリメチルメタクリレート
【0262】
P−11)ポリエチルメタクリレート
P−12)ポリエチルアクリレート
P−13)酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体(90:10)
P−14)ポリ−n−ブチルアクリレート
P−15)ポリ−n−ブチルメタクリレート
P−16)ポリイソブチルメタクリレート
P−17)ポリイソプロピルメタクリレート
P−18)ポリオクチルアクリレート
P−19)n−ブチルアクリレート−アクリルアミド共重合体(95:5)
P−20)ステアリルメタクリレート−アクリル酸共重合体(90:10)
【0263】
P−21)メチルメタクリレート−塩化ビニル共重合体(70:30)
P−22)メチルメタクリレート−スチレン共重合体(90:10)
P−23)メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体(50:50)
P−24)n−ブチルメタクリレート−メチルメタクリレート−スチレン共重合体(50:20:30)
P−25)酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体(85:15)
P−26)塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(65:35)
P−27)メチルメタクリレート−アクリルニトリル共重合体(65:35)
P−28)n−ブチルメタクリレート−ペンチルメタクリレート−N−ビニル−2−ピロリドン共重合体(38:38:24)
P−29)メチルメタクリレート−n−ブチルメタクリレート−イソブチル−メタクリレート−アクリル酸共重合体(37:29:25:9)
P−30)n−ブチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(95:5)
【0264】
P−31)メチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(95:5)
P−32)ベンジルメタクリレート−アクリル酸共重合体(93:7)
P−33)n−ブチルメタクリレート−メチルメタクリレート−ベンジルメタクリレート−アクリル酸共重合体(35:35:25:5)
P−34)n−ブチルメタクリレート−メチルメタクリレート−ベンジルメタクリレート共重合体(40:30:30)
P−35)ジアセトンアクリルアミド−メチルメタクリレート共重合体(50:50)
P−36)メチルビニルケトン−イソブチルメタクリレート共重合体(55:45)
P−37)エチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート共重合体(70:30)
P−38)ジアセトンアクリルアミド−n−ブチルアクリレート共重合体(60:40)
P−39)メチルメタクリレート−ステアリルメタクリレート−ジアセトンアクリルアミド共重合体(40:40:20)
P−40)n−ブチルアクリレート−ステアリルメタクリレート−ジアセトンアクリルアミド共重合体(70:20:10)
【0265】
P−41)ステアリルメタクリレート−メチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(50:40:10)
P−42)メチルメタクリレート−スチレン−ビニルスルホンアミド共重合体(70:20:10)
P−43)メチルメタクリレート−フェニルビニルケトン共重合体(70:30)
P−44)n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート−n−ブチルメタクリレート共重合体(35:35:30)
P−45)n−ブチルメタクリレート−N−ビニル−2−ピロリドン共重合体(90:10)
P−46)ポリペンチルアクリレート
P−47)シクロヘキシルメタクリレート−メチルメタクリレート−n−プロピルメタクリレート共重合体(37:29:34)
P−48)ポリペンチルメタクリレート
P−49)メチルメタクリレート−n−ブチルメタクリレート共重合体(65:35)
P−50)ビニルアセテート−ビニルプロピオネート共重合体(75:25)
【0266】
P−51)n−ブチルメタクリレート−3−アクリルオキシブタン−1−スルホン酸ナトリウム共重合体(97:3)
P−52)n−ブチルメタクリレート−メチルメタクリレート−アクリルアミド共重合体(35:35:30)
P−53)n−ブチルメタクリレート−メチルメタクリレート−塩化ビニル共重合体(37:36:27)
P−54)n−ブチルメタクリレート−スチレン共重合体(82:18)
P−55)tert−ブチルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体(70:30)
P−56)ポリ(N−tert−ブチルメタクリルアミド)
P−57)N−tert−ブチルアクリルアミド−メチルフェニルメタクリレート共重合体(60:40)
P−58)メチルメタクリレート−アクリルニトリル共重合体(70:30)
P−59)メチルメタクリレート−メチルビニルケトン共重合体(28:72)
P−60)メチルメタクリレート−スチレン共重合体(75:25)
【0267】
P−61)メチルメタクリレート−ヘキシルメタクリレート共重合体(70:30)
P−62)ブチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(85:15)
P−63)メチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(80:20)
P−64)メチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(98:2)
P−65)メチルメタクリレート−N−ビニル−2−ピロリドン共重合体(90:10)
P−66)n−ブチルメタクリレート−塩化ビニル共重合体(90:10)
P−67)n−ブチルメタクリレート−スチレン共重合体(70:30)
P−68)1,4−ブタンジオール−アジピン酸ポリエステル
P−69)エチレングリコール−セバシン酸ポリエステル
P−70)ポリカプロラクタム
【0268】
P−71)ポリプロピオラクタム
P−72)ポリジメチルプロピオラクトン
P−73)N−tert−ブチルアクリルアミド−ジメチルアミノエチルアルアミド共重合体(85:15)
P−74)N−tert−ブチルメタクリルアミド−ビニルピリジン共重合体(95:5)
P−75)マイレン酸ジエチル−n−ブチルアクリレート共重合体(65:35)
P−76)N−tert−ブチルアクリルアミド−2−メトキシエチルアクリレート共重合体(55:45)
【0269】
本発明に用いることができる更に別の好ましい態様の重合体は、少なくとも1種の芳香族基を有する単量体単位をその構成要素として含む実質的に水に不溶な重合体であり、数平均分子量は2000未満である。数平均分子量は好ましくは200以上2000未満、より好ましくは200以上1000以下である。本発明に用いられる重合体は1種類の単量体よりなる、いわゆるホモポリマーであってもよいし、2種類以上の単量体よりなる共重合体であってもよい。共重合体である場合には本発明に関わる芳香族基を有する単量体が重量組成で20%以上含まれていることが好ましい。上記の条件を満たせば重合体の構造は特に限定されないが、好ましい構造としてはスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレンもしくはこれらのベンゼン環上に置換基を持った単量体を構成要素とする重合体、芳香族アクリルアミド、芳香族メタクリルアミド、芳香族アクリル酸エステル、芳香族メタクリル酸エステルを構成要素とする重合体が挙げられる。ここで芳香族基とは、例えばフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、ビフェニル基等が挙げられる。またこれら芳香族基は、アルキル基やハロゲン原子等により置換されていても良い。また、共重合体である場合のコモノマーとしては、例えば特開昭63−264748号公報に挙げられた化合物を好ましく用いることができる。原料の入手しやすさ、乳化物の経時安定性の点でスチレン、α−メチルスチレンまたはβ−メチルスチレンから誘導される重合体が好ましい。これらの重合体は特開平7−140616号公報の段落番号0014〜0020に記載されたP−1〜P−37が好ましく、該段落番号の記載は本明細書の一部として好ましく取り込まれる。
【0270】
本発明の効果の点で、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物、金属錯体、紫外線吸収剤、および水不溶性の単独重合体又は共重合体において、一般式(TS−I)、(TS−II)、(TS−IV)、(TS−V)(TS−VI)または(TS−VII)のいずれかで表される化合物、紫外線吸収剤、水不溶性の単独重合体又は共重合体である場合が好ましく、一般式(TS−I)、(TS−II)、(TS−V)、(TS−VI)、又は(TS−VII)のいずれかで表される化合物、紫外線吸収剤、水不溶性の単独重合体又は共重合体である場合がさらに好ましい。
【0271】
本発明に用いられる一般式(TS−I)〜(TS−VII)のいずれかで表される化合物、金属錯体、紫外線吸収剤、又は、水不溶性の単独重合体もしくは共重合体は1種でも、数種併用されてもよく、本発明に用いられる一般式(M−I)〜(M−X)のいずれかで表される色素形成カプラーと別層に添加されても、同一層に添加されても良いが、本発明に用いられる一般式(M−I)〜(M−X)で表される色素形成カプラーと同一層に添加される場合が好ましい。
一般式(TS−I)〜(TS−VII)のいずれかで表される化合物及び金属錯体、紫外線吸収剤、水不溶性の単独重合体もしくは共重合体の添加量は、本発明に用いられる一般式(M−I)〜(M−X)で表される色素形成カプラーに対して1〜400質量%である場合が好ましく、10〜300質量%である場合は更に好ましく、15〜200質量%である場合は最も好ましい。
【0272】
本発明に用いられる一般式(Ph−1)〜(Ph−3)のいずれかで表される化合物、一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される化合物、一般式(TS−I)〜(TS−VII)のいずれかで表される化合物、金属錯体、紫外線吸収剤、水不溶性の単独重合体もしくは共重合体と併用して、他の化合物を併用しても良い。
これらの併用しても良い化合物としては、特開平4−174430号公報の一般式(I)で表されるホウ素化合物、米国特許第5183731号明細書の一般式(II)、又は特開平8−53431号公報の一般式(S1)で表されるエポキシ化合物、欧州特許第271322B1号明細書の一般式、又は特開平4−19736号公報の一般式(I)(II)(III)(IV)のいずれかで表されるジスルフィド系化合物、米国特許第5242785号明細書の一般式(I)(II)(III)(IV)のいずれかで表される反応性化合物、特開平8−283279号公報の一般式(1)で表される環状リン化合物、特開平7−84350号公報の一般式(SO)、同9−114061号公報の一般式(G)、同9−146242号公報の一般式(II)、同9−329876号公報一般式(A)、特開昭62−175748号公報の一般式(VII)のいずれかで表されるアルコール性化合物が挙げられる。また、上記公報に、本発明に用いられる一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかに包含される化合物の例示を含む場合、これらも本発明における例示化合物として挙げることができる。
【0273】
本発明において、本発明に用いられる一般式(M−I)〜(M−X)のいずれかで表されるマゼンタ色素形成カプラー、一般式(Ph−1)〜(Ph−3)のいずれかで表される化合物、一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される化合物、一般式(TS−I)〜(TS−VII)のいずれかで表される化合物及び金属錯体、紫外線吸収剤、水不溶性の単独重合体又は共重合体は、公知の分散方法により感光材料に導入できるが、高沸点有機溶媒(低沸点有機溶媒の併用も可)に溶解し、ゼラチン水溶液に乳化分散してハロゲン化銀乳剤に添加する水中油滴分散法が好ましく用いられる。なお、本発明に用いられる金属錯体は高沸点有機溶媒で分散して用いるのが好ましい。
水中油滴分散法に用いられる高沸点有機溶媒の例は米国特許第2,322,027号明細書等に記載されている。また、ポリマー分散法の1つとしてラテックス分散法の具体例が米国特許第4,199,363号、西独特許(OLS)第2,541,274号、特公昭53−41091号、欧州特許出願公開第0,727,703A1号、同第0,727,704A1号などの各明細書に記載されている。さらに、有機溶媒可溶性ポリマーによる分散法が国際公開WO88/723号パンフレットに記載されている。
【0274】
水中油滴分散法に用いることのできる高沸点有機溶媒としては、フタル酸エステル類(フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル等)、リン酸またはホスホン酸エステル類(リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル等)、脂肪酸エステル類(コハク酸ジ−2−エチルヘキシル、クエン酸トリブチル等)、安息香酸エステル類(安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸ドデシル等)、アミド類(N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジメチルオレインアミド等)、アルコールまたはフェノール類(イソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−アミルフェノール等)、アニリン類(N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−tert−オクチルアニリン等)、塩素化パラフィン類、炭化水素類(ドデシルベンゼン、ジイソプロピルナフタレン等)、カルボン酸類(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)酪酸等などが挙げられる。また、補助溶媒として沸点が30℃以上160℃以下の有機溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド等)を併用してもよい。高沸点有機溶媒はカプラーに対して、質量比で0〜10倍量、好ましくは0〜4倍量用いるのが好ましい。
【0275】
本発明に用いられるカプラーと本発明に用いられる化合物とを親水性保護コロイド中に乳化分散して親油性微粒子とするには、界面活性剤などの分散助剤を用いて、撹拌器、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波装置などにより分散する。
【0276】
また、乳化分散物状態での保存時の経時安定性改良、乳剤と混合した塗布用最終組成物での写真性能変化抑制・経時安定性改良等の観点から必要に応じて乳化分散物から、減圧蒸留、ヌードル水洗あるいは限外ろ過などの方法により補助溶媒の全て又は一部を除去することができる。
この様にして得られる親油性微粒子分散物の平均粒子サイズは、0.04〜0.50μmが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.30μmであり、最も好ましくは0.08〜0.20μmである。平均粒子サイズは、コールターサブミクロン粒子アナライザーmodelN4(コールターエレクトロニクス社、商品名)等を用いて測定できる。
【0277】
以下に、本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料(以下、単に「感光材料」という場合がある)について詳細に説明する。
【0278】
本発明においてハロゲン化銀カラー写真感光材料は、支持体上に、イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層と、マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層と、シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層とをそれぞれ少なくとも一層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料が好ましく用いられる。
本発明において、前記イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はイエロー発色層として、前記マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はマゼンタ発色層として及び前記シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はシアン発色層として機能する。該イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層に各々含有されるハロゲン化銀乳剤は、相互に異なる波長領域の光(例えば、青色領域、緑色領域及び赤色領域の光)に対して、感光性を有しているのが好ましい。
【0279】
本発明の感光材料は、前記イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層以外にも、所望により後述する親水性コロイド層、アンチハレーション層、中間層及び着色層を有していてもよい。
【0280】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、カラーネガフィルム、カラーポジフィルム、カラー反転フィルム、カラー反転印画紙、カラー印画紙、映画用カラーネガ、映画用カラーポジ、ディスプレイ感光材料、カラープルーフ(特にデジタルカラープルーフ)感光材料等に用いることができる。
【0281】
本発明においては、直接鑑賞用に用いられる感光材料、カラー印画紙(カラーペーパー)、ディスプレイ感光材料、カラープルーフ、カラー反転フイルム(カラーリバーサル)、カラー反転印画紙、映画用カラーポジで好ましく適用される。なかでも、カラー印画紙やカラー反転フイルムが好ましい。
本発明が、カラーペーパーに適用される場合は、特開平11−7109号公報に記載の感光材料等が好ましく、特に該特開平11−7109号公報の段落番号0071〜0087の記載は本明細書の一部としてそのまま取り込まれる。
本発明が、カラーネガフイルムに適用される場合は、特開平11−305396号公報の段落番号0115〜0217の記載が好ましく適用され、本明細書の一部として取り込まれる。
本発明が、カラー反転フイルムに適用される場合は、特開2001−142181号公報に記載の感光材料に好ましく、該公報の段落番号0164〜0188の記載および特開平11−84601号公報の段落番号0018〜0021の記載が好ましく適用され、本明細書の一部として取り込まれる。
【0282】
以下に本発明に好ましく用いられるハロゲン化銀感光材料に関して詳細に述べる。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子は、好ましくは実質的に{100}面を持つ立方体または14面体の結晶粒子(これらは粒子頂点が丸みを帯び、さらに高次の面を有していてもよい)または8面体の結晶粒子、または全投影面積の50%以上が{100}面または{111}面からなるアスペクト比2以上の平板状粒子が好ましい。アスペクト比とは、投影面積に相当する円の直径を粒子の厚さで割った値である。本発明では、立方体または{100}面を主平面とする平板状粒子または{111}面を主平面とする平板状粒子が好ましく適用される。
【0283】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤としては、塩化銀、臭化銀、沃臭化銀、塩(沃)臭化銀乳剤等が用いられるが、迅速処理性の観点からは、塩化銀含有率が90モル%以上の塩化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、または塩臭沃化銀乳剤が好ましく、更に塩化銀含有率が98モル%以上の塩化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、または塩臭沃化銀乳剤が好ましい。このようなハロゲン化銀乳剤の中でも、ハロゲン化銀粒子のシェル部分に、全銀モルあたり0.01〜0.50モル%、より好ましくは0.05〜0.40モル%の沃塩化銀相を有するものも高感度が得られ、高照度露光適性に優れるため好ましい。また、ハロゲン化銀粒子の表面に全銀モルあたり0.2〜5モル%、より好ましくは0.5〜3モル%の臭化銀局在相を有するものが、高感度が得られ、しかも写真性能の安定化が図れることから特に好ましい。
【0284】
本発明における乳剤は、沃化銀を含有することが好ましい。沃化物イオンの導入は、沃化物塩の溶液を単独で添加させるか、或いは銀塩溶液と高塩化物塩溶液の添加と併せて沃化物塩溶液を添加しても良い。後者の場合は、沃化物塩溶液と高塩化物塩溶液を別々に、またはヨウ化物塩と高塩化物塩の混合溶液として添加しても良い。沃化物塩は、アルカリもしくはアルカリ土類沃化物塩のような溶解性塩の形で添加する。或いは米国特許第5,389,508号明細書に記載される有機分子から沃化物イオンを開裂させることで沃化物を導入することもできる。また別の沃化物イオン源として、微小沃化銀粒子を用いることもできる。
【0285】
沃化物塩溶液の添加は、粒子形成の一時期に集中して行っても良く、またある一定期間かけて行っても良い。高塩化物乳剤への沃化物イオンの導入位置は、高感度で低被りな乳剤を得る上で制限される。沃化物イオンの導入は、乳剤粒子のより内部に行うほど感度の増加が小さい。故に沃化物塩溶液の添加は、粒子体積の50%より外側が好ましく、より好ましくは70%より外側から、最も好ましくは80%より外側から行うのが良い。また沃化物塩溶液の添加は、好ましくは粒子体積の98%より内側で、最も好ましくは96%より内側で終了するのが良い。沃化物塩溶液の添加は、粒子表面から少し内側で終了することで、より高感度で低被りな乳剤を得ることができる。
【0286】
粒子内の深さ方向への沃化物イオン濃度の分布は、エッチング/TOF−SIMS(Time of Flight − Secondary Ion Mass Spectrometry)法により、例えばPhi Evans社製TRIFTII型TOF−SIMS(商品名)を用いて測定できる。TOF−SIMS法については、具体的には日本表面科学会編「表面分析技術選書 二次イオン質量分析法」丸善株式会社(1999年発行)に記載されている。エッチング/TOF−SIMS法で乳剤粒子を解析すると、沃化物塩溶液の添加を粒子の内側で終了しても、粒子表面に向けて沃化物イオンがしみ出していることが分析できる。本発明における乳剤が沃化銀を含有する場合、エッチング/TOF−SIMS法による分析で、沃化物イオンは粒子表面で濃度極大を有し、内側に向けて沃化物イオン濃度が減衰していることが好ましい。
【0287】
本発明の感光材料中の乳剤は、臭化銀局在層を有することが好ましい。
本発明における乳剤が臭化銀局在相を含有する場合、臭化銀含有率が少なくとも10モル%以上の臭化銀局在相を粒子表面にエピタキシャル成長させてつくることが好ましい。また、表層近傍に臭化銀含有率1モル%以上の最外層シェル部を有することが好ましい。
臭化銀局在相の臭化銀含有率は、1〜80モル%の範囲が好ましく、5〜70モル%の範囲が最も好ましい。臭化銀局在相は、本発明におけるハロゲン化銀粒子を構成する全銀量の0.1〜30モル%の銀から構成されていることが好ましく、0.3〜20モル%の銀から構成されていることが更に好ましい。臭化銀局在相中には、イリジウムイオン等のVIII族金属錯イオンを含有させることが好ましい。これらの化合物の添加量は目的に応じて広範囲にわたるが、ハロゲン化銀1モルに対して1×10−9〜1×10−2モルが好ましい。
【0288】
本発明においては、ハロゲン化銀粒子を形成及び/または成長させる過程で遷移金属イオンを添加し、ハロゲン化銀粒子の内部及び/または表面に金属イオンを組み込むことが好ましい。用いる金属イオンとしては遷移金属イオンが好ましく、なかでも、鉄、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、鉛、カドミウム、または、亜鉛であることが好ましい。さらにこれらの金属イオンは配位子を伴い6配位八面体型錯体として用いることがより好ましい。無機化合物を配位子として用いる場合には、シアン化物イオン、ハロゲン化物イオン、チオシアン、水酸化物イオン、過酸化物イオン、アジ化物イオン、亜硝酸イオン、水、アンモニア、ニトロシルイオン、または、チオニトロシルイオンを用いることが好ましく、上記の鉄、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、鉛、カドミウム、または、亜鉛のいずれの金属イオンに配位させて用いることも好ましく、複数種の配位子を1つの錯体分子中に用いることも好ましい。
【0289】
この中で本発明におけるハロゲン化銀乳剤には、高照度相反則不軌改良の目的で、少なくとも一つの有機配位子を持つイリジウムイオンを持つことが特に好ましい。
配位子として有機化合物を用いる場合、他の遷移金属の場合にも共通であるが、好ましい有機化合物としては主鎖の炭素数が5以下の鎖状化合物および/または5員環あるいは6員環の複素環化合物を挙げることが出来る。さらに好ましい有機化合物は分子内に窒素原子、リン原子、酸素原子、または、硫黄原子を金属への配位原子として有する化合物であり、最も好ましくはフラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、フラザン、ピラン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンであり、さらにこれらの化合物を基本骨格としそれらに置換基を導入した化合物もまた好ましい。
特にこれらの中で、イリジウムイオンに好ましい配位子は、チアゾール配意子の中でも5−メチルチアゾールが特に好ましく用いられる。
【0290】
金属イオンと配位子の組み合わせとして好ましくは、鉄イオン及びルテニウムイオンとシアン化物イオンの組み合わせが挙げられる。これらの化合物においてシアン化物イオンは中心金属である鉄またはルテニウムへの配位数のうち過半数を占めることが好ましく、残りの配位部位はチオシアン、アンモニア、水、ニトロシルイオン、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ピラジン、または、4,4’−ビピリジンで占められることが好ましい。最も好ましくは中心金属の6つの配位部位が全てシアン化物イオンで占められ、ヘキサシアノ鉄錯体またはヘキサシアノルテニウム錯体を形成することである。これらシアン化物イオンを配位子とする錯体は粒子形成中に銀1モル当たり1×10−8モル〜1×10−2モル添加することが好ましく、1×10−6モル〜5×10−4モル添加することが最も好ましい。
【0291】
またイリジウムイオンは、有機配位子だけでなく、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、中でも塩化物イオンまたは臭化物イオンを用いることが好ましい。イリジウム錯体としては、前述の有機配位子をもつもの以外に、以下の具体的化合物を用いることが出来る。
[IrCl6]3−、[IrCl6]2−、[IrCl5(H2O)]2−、[IrCl5(H2O)]−、[IrCl4(H2O)2]−、[IrCl4(H2O)2]0、[IrCl3(H2O)3]0、[IrCl3(H2O)3]+、[IrBr6]3−、[IrBr6]2−、[IrBr5(H2O)]2−、[IrBr5(H2O)]−、[IrBr4(H2O)2]−、[IrBr4(H2O)2]0、[IrBr3(H2O)3]0および[IrBr3(H2O)3]+である。
【0292】
これらのイリジウム錯体は粒子形成中に銀1モル当たり1×10−10モル〜1×10−3モル添加することが好ましく、1×10−8モル〜1×10−5モル添加することが最も好ましい。ルテニウムおよびオスミウムを中心金属とした場合にはニトロシルイオン、チオニトロシルイオン、または水分子と塩化物イオンを配位子として共に用いることも好ましい。より好ましくはペンタクロロニトロシル錯体、ペンタクロロチオニトロシル錯体、または、ペンタクロロアクア錯体を形成することであり、ヘキサクロロ錯体を形成することも好ましい。これらの錯体は粒子形成中に銀1モル当たり1×10−10モル〜1×10−6モル添加することが好ましく、より好ましくは1×10−9モル〜1×10−6モル添加することである。
【0293】
本発明において上記の錯体は、ハロゲン化銀粒子形成時に反応溶液中に直接添加するか、ハロゲン化銀粒子を形成するためのハロゲン化物水溶液中、あるいはそれ以外の溶液中に添加し、粒子形成反応溶液に添加することにより、ハロゲン化銀粒子内に組み込むことが好ましい。さらにこれらの方法を組み合わせてハロゲン化銀粒子内へ含有させることも好ましい。
【0294】
これらの錯体をハロゲン化銀粒子に組み込む場合、粒子内部に均一に存在させることも好ましいが、特開平4−208936号、同2−125245号、同3−188437号各公報に開示されている様に、粒子表面層のみに存在させることも好ましく、粒子内部のみに錯体を存在させ粒子表面には錯体を含有しない層を付加することも好ましい。また、米国特許第5,252,451号および同第5,256,530号明細書に開示されているように、錯体を粒子内に組み込んだ微粒子で物理熟成して粒子表面相を改質することも好ましい。さらに、これらの方法を組み合わせて用いることも出来、複数種の錯体を1つのハロゲン化銀粒子内に組み込んでもよい。上記の錯体を含有させる位置のハロゲン組成には特に制限はなく、塩化銀層、塩臭化銀層、臭化銀層、沃塩化銀層、沃臭化銀層に何れに錯体を含有させることも好ましい。
【0295】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズ(粒子の投影面積と等価な円の直径を以て粒子サイズとし、その数平均をとったもの)は、0.01μm〜2μmが好ましい。
また、それらの粒子サイズ分布は変動係数(粒子サイズ分布の標準偏差を平均粒子サイズで除したもの)20%以下、望ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下の所謂単分散なものが好ましい。このとき、広いラチチュードを得る目的で上記の単分散乳剤を同一層にブレンドして使用することや、重層塗布することも好ましく行われる。
【0296】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防止する、あるいは写真性能を安定化させる目的で種々の化合物あるいはそれ等の前駆体を添加することができる。これらの化合物の具体例は前出の特開昭62−215272号公報明細書の第39頁〜第72頁に記載のものが好ましく用いられる。更に欧州特許第0447647号明細書に記載された5−アリールアミノ−1,2,3,4−チアトリアゾール化合物(該アリール残基には少なくとも一つの電子吸引性基を持つ)も好ましく用いられる。
【0297】
また、本発明において、ハロゲン化銀乳剤の保存性を高めるため、特開平11−109576号公報に記載のヒドロキサム酸誘導体、特開平11−327094号公報に記載のカルボニル基に隣接して、両端がアミノ基もしくはヒドロキシル基が置換した二重結合を有す環状ケトン類(特に一般式(S1)で表されるもので、段落番号0036〜0071は本明細書に取り込むことができる。)、特開平11−143011号公報に記載のスルホ置換のカテコールやハイドロキノン類(例えば、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゼンジスルホン酸、3,4−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、3,4,5−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸およびこれらの塩など)、特開平11−102045号公報の一般式(I)〜(III)のいずれかで表される水溶性還元剤は本発明においても好ましく使用される。
【0298】
分光増感は、本発明の感光材料における各層の乳剤に対して所望の光波長域に分光感度を付与する目的で行われる。
本発明の感光材料において、青、緑、赤領域の分光増感に用いられる分光増感色素としては例えば、F.M.Harmer著 Heterocyclic compounds−Cyanine dyes and related compounds(John Wiley & Sons [New York,London]社刊1964年)に記載されているものを挙げることができる。具体的な化合物の例ならびに分光増感法は、前出の特開昭62−215272号公報の第22頁右上欄〜第38頁に記載のものが好ましく用いられる。また、特に塩化銀含有率の高いハロゲン化銀乳剤粒子の赤感光性分光増感色素としては特開平3−123340号公報に記載された分光増感色素が安定性、吸着の強さ、露光の温度依存性等の観点から非常に好ましい。
【0299】
これらの分光増感色素の添加量は場合に応じて広範囲にわたり、ハロゲン化銀1モルあたり0.5×10−6モル〜1.0×10−2モルの範囲が好ましい。更に好ましくは、1.0×10−6モル〜5.0×10−3モルの範囲である。
【0300】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤は、通常化学増感を施される。化学増感法については、不安定硫黄化合物の添加に代表される硫黄増感、金増感に代表される貴金属増感、あるいは還元増感等を単独もしくは併用して用いることができる。化学増感に用いられる化合物については、特開昭62−215272号公報の第18頁右下欄〜第22頁右上欄に記載のものが好ましく用いられる。このうち、特に、金増感を施したものであることが好ましい。金増感を施すことにより、レーザー光等によって走査露光したときの写真性能の変動を更に小さくすることができるからである。
【0301】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤に金増感を施すには、種々の無機金化合物や無機配位子を有する金(I)錯体及び有機配位子を有する金(I)化合物を利用することができる。無機金化合物としては、例えば塩化金酸もしくはその塩、無機配位子を有する金(I)錯体としては、例えばジチオシアン酸金(I)カリウム等のジチオシアン酸金化合物やジチオ硫酸金(I)3ナトリウム等のジチオ硫酸金化合物等の化合物を用いることが好ましい。
【0302】
有機配位子を有する金(I)化合物としては、特開平4−267249号公報に記載のビス金(I)メソイオン複素環類、例えば四フッ化硼酸金(I)ビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)、特開平11−218870号公報に記載の有機メルカプト金(I)錯体、例えばカリウム ビス(1−[3−(2−スルホナートベンズアミド)フェニル]−5−メルカプトテトラゾールカリウム塩)オーレート(I)5水和物、特開平4−268550号公報に記載の窒素化合物アニオンが配位した金(I)化合物、例えば、ビス(1−メチルヒダントイナート)金(I)ナトリウム塩四水和物、を用いることができる。また、米国特許第3,503,749号明細書に記載されている金(I)チオレート化合物、特開平8−69074号、同8−69075号、同9−269554号各公報に記載の金化合物、米国特許第5,620,841号、同第5,912,112号、同第5,620,841号、同第5,939,245号、同第5,912,111号各明細書に記載の化合物も用いることができる。
これらの化合物の添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり5×10−7〜5×10−3モル、好ましくは5×10−6〜5×10−4モルである。
【0303】
また、コロイド状硫化金を用いることも可能であり、その製造方法はリサーチ・ディスクロージャー(Reserch Disclosure,37154)、ソリッド ステート イオニクス(Solid State Ionics)第79巻、60〜66頁、1995年刊、Compt.Rend.Hebt.Seances Acad.Sci.Sect.B 第263巻、1328頁、1966年刊等に記載されている。コロイド状硫化金としてさまざまなサイズのものを利用でき、粒径50nm以下のものも用いることができる。添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり金原子として5×10−7〜5×10−3モル、好ましくは5×10−6〜5×10−4モルである。
本発明においては、金増感を更に他の増感法、例えば硫黄増感、セレン増感、テルル増感、還元増感あるいは金化合物以外を用いた貴金属増感等と組み合わせてもよい。
【0304】
本発明に係わる感光材料には、イラジエーションやハレーションを防止したり、セーフライト安全性等を向上させる目的で親水性コロイド層に、欧州特許出願公開第0337490A2号明細書の第27〜76頁に記載の、処理により脱色可能な染料(中でもオキソノール染料、シアニン染料)を添加することが好ましい。さらに、欧州特許第0819977号明細書に記載の染料も本発明に好ましく添加される。これらの水溶性染料の中には使用量を増やすと色分離やセーフライト安全性を悪化するものもある。色分離を悪化させないで使用できる染料としては、特開平5−127324号、同5−127325号、同5−216185号各公報に記載された水溶性染料が好ましい。
【0305】
本発明においては、水溶性染料の代わり、あるいは水溶性染料と併用しての処理で脱色可能な着色層が用いられる。用いられる処理で脱色可能な着色層は、乳剤層に直かに接してもよく、ゼラチンやハイドロキノンなどの処理混色防止剤を含む中間層を介して接するように配置されていてもよい。この着色層は、着色された色と同種の原色に発色する乳剤層の下層(支持体側)に設置されることが好ましい。各原色毎に対応する着色層を全て個々に設置することも、このうちに一部のみを任意に選んで設置することも可能である。また複数の原色域に対応する着色を行った着色層を設置することも可能である。着色層の光学反射濃度は、露光に使用する波長域(通常のプリンター露光においては400nm〜700nmの可視光領域、走査露光の場合には使用する走査露光光源の波長)において最も光学濃度の高い波長における光学濃度値が0.2以上3.0以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.5以上2.5以下、特に0.8以上2.0以下が好ましい。
【0306】
着色層を形成するためには、従来公知の方法が適用できる。例えば、特開平2−282244号公報3頁右上欄〜8頁に記載された染料や、特開平3−7931号公報3頁右上欄〜11頁左下欄に記載された染料のように固体微粒子分散体の状態で親水性コロイド層に含有させる方法、アニオン性色素をカチオンポリマーに媒染する方法、色素をハロゲン化銀等の微粒子に吸着させて層中に固定する方法、特開平1−239544号公報に記載されているようなコロイド銀を使用する方法などである。色素の微粉末を固体状で分散する方法としては、例えば、少なくともpH6以下では実質的に水不溶性であるが、少なくともpH8以上では実質的に水溶性である微粉末染料を含有させる方法が特開平2−308244号公報の第4〜13頁に記載されている。また、例えば、アニオン性色素をカチオンポリマーに媒染する方法としては、特開平2−84637号公報の第18〜26頁に記載されている。光吸収剤としてのコロイド銀の調製法については米国特許第2,688,601号、同第3,459,563号明細書に示されている。これらの方法のなかで微粉末染料を含有させる方法、コロイド銀を使用する方法などが好ましい。
【0307】
本発明をカラー印画紙に適用する場合は、イエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン発色性ハロゲン化銀乳剤層をそれぞれ少なくとも1層ずつ有してなることが好ましく、一般には、これらのハロゲン化銀乳剤層は支持体から近い順にイエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層、シアン発色性ハロゲン化銀乳剤層である。しかしながら、これとは異なった層構成を取っても構わない。
【0308】
本発明の感光材料において、イエローカプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層は支持体上のいずれの位置に配置されてもかまわないが、該イエローカプラー含有層にハロゲン化銀平板粒子を含有する場合は、マゼンタカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層又はシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも一層よりも支持体から離れた位置に塗設されていることが好ましい。また、発色現像促進、脱銀促進、増感色素による残色の低減の観点からは、イエローカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は他のハロゲン化銀乳剤層より、支持体から最も離れた位置に塗設されていることが好ましい。更に、Blix退色の低減の観点からはシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は他のハロゲン化銀乳剤層の中央の層が好ましく、光退色の低減の観点からはシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は最下層が好ましい。また、イエロー、マゼンタ及びシアンのそれぞれの発色性層は2層又は3層からなってもよい。例えば、特開平4−75055号、同9−114035号、同10−246940号各公報、米国特許第5,576,159号明細書等に記載のように、ハロゲン化銀乳剤を含有しないカプラー層をハロゲン化銀乳剤層に隣接して設け、発色層とすることも好ましい。
【0309】
例えば写真用支持体としては、透過型支持体や反射型支持体を用いることができる。透過型支持体としては、セルロースナイトレートフィルムやポリエチレンテレフタレート、三酢酸セルロースフイルムなどの透明フィルム、更には2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)とエチレングリコール(EG)とのポリエステルやNDCAとテレフタル酸とEGとのポリエステル等に磁性層などの情報記録層を設けたものが好ましく用いられる。本発明においては反射支持体(反射型支持体)が好ましく、反射型支持体としては特に複数のポリエチレン層やポリエステル層でラミネートされ、このような耐水性樹脂層(ラミネート層)の少なくとも一層に酸化チタン等の白色顔料を含有する反射支持体が好ましい。
【0310】
本発明において適用されるハロゲン化銀乳剤やその他の素材(添加剤など)及び写真構成層(層配置など)、並びにこの感光材料を処理するために適用される処理法や処理用添加剤としては、特開昭62−215272号、特開平2−33144号公報、欧州特許出願公開第0,355,660A2号明細書に記載されているもの、特に欧州特許出願公開第0,355,660A2号明細書に記載されているものが好ましく用いられる。更には、特開平5−34889号、同4−359249号、同4−313753号、同4−270344号、同5−66527号、同4−34548号、同4−145433号、同2−854号、同1−158431号、同2−90145号、同3−194539号、同2−93641号各公報、欧州特許公開第0520457A2号明細書等に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料やその処理方法も好ましい。
【0311】
本発明に用いられる支持体として反射型支持体、透明支持体等が挙げられる。
特に、本発明においては、前記の反射型支持体やハロゲン化銀乳剤、更にはハロゲン化銀粒子中にドープされる異種金属イオン種、ハロゲン化銀乳剤の保存安定剤又はカブリ防止剤、化学増感法(増感剤)、分光増感法(分光増感剤)、シアン、マゼンタ、イエローカプラー及びその乳化分散法、色像保存性改良剤(ステイン防止剤や褪色防止剤)、染料(着色層)、ゼラチン種、感光材料の層構成や感光材料の被膜pHなどについては、下記表に示す公報の各箇所に記載のものが特に好ましく適用できる。
【0312】
【表1】
【0313】
本発明において併用することができるシアン、マゼンタ及びイエローカプラーとしては、その他、特開昭62−215272号公報の第91頁右上欄4行目〜121頁左上欄6行目、特開平2−33144号公報の第3頁右上欄14行目〜18頁左上欄末行目と第30頁右上欄6行目〜35頁右下欄11行目や欧州特許出願公開第0355,660A2号明細書の第4頁15行目〜27行目、5頁30行目〜28頁末行目、45頁29行目〜31行目、47頁23行目〜63頁50行目に記載のカプラーも有用である。
また、本発明は国際公開WO98/33760号パンフレットの一般式(II)及び(III)、特開平10−221825号公報の一般式(D)で表される化合物を添加してもよく、好ましい。
【0314】
本発明に使用可能なシアン色素形成カプラー(単に、「シアンカプラー」という場合がある)としては、ピロロトリアゾール系カプラーが好ましく用いられ、特開平5−313324号公報の一般式(I)又は(II)で表されるカプラー及び特開平6−347960号公報の一般式(I)で表されるカプラー並びにこれらの公報に記載されている例示カプラーが特に好ましい。また、フェノール系、ナフトール系のシアンカプラーも好ましく、例えば、特開平10−333297号公報に記載の一般式(ADF)で表されるシアンカプラーが好ましい。上記以外のシアンカプラーとしては、欧州特許0488248号明細書及び欧州特許出願公開第0491197A1号明細書に記載のピロロアゾール型シアンカプラー、米国特許第5,888,716号明細書に記載の2,5−ジアシルアミノフェノールカプラー、同第4,873,183号、同第4,916,051号明細書に記載の6位に電子吸引性基、水素結合基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラー、特に、特開平8−171185号、同8−311360号、同8−339060号公報に記載の6位にカルバモイル基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラーも好ましい。
【0315】
また、特開平2−33144号公報に記載のジフェニルイミダゾール系シアンカプラーの他に、欧州特許出願公開第0333185A2号明細書に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素離脱基をもたせて2当量化したものや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開昭64−32260号公報に記載された環状活性メチレン系シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプラー例3、8、34が特に好ましい)、欧州特許出願公開第0456226A1号明細書に記載のピロロピラゾール型シアンカプラー、欧州特許第0484909号明細書に記載のピロロイミダゾール型シアンカプラーを使用することもできる。
【0316】
尚、これらのシアンカプラーのうち、特開平11−282138号公報に記載の一般式(I)で表されるピロロアゾール系シアンカプラーが特に好ましく、該公報の段落番号0012〜0059の記載は例示シアンカプラー(1)〜(47)を含め、本発明にそのまま適用され、本明細書の一部として好ましく取り込まれる。
【0317】
本発明に用いられる一般式(M−I)〜(M−X)で表される色素形成カプラーは単独で使用しても他のマゼンタ色素形成カプラーと併用してもよい。併用してもよいマゼンタ色素形成カプラーとしては、前記の表の公知文献に記載されたような5−ピラゾロン系マゼンタカプラーやピラゾロアゾール系マゼンタカプラーが用いられるが、中でも色相や画像安定性、発色性等の点で特開昭61−65245号公報に記載されたような2級又は3級アルキル基がピラゾロトリアゾール環の2、3又は6位に直結したピラゾロトリアゾールカプラー、特開昭61−65246号公報に記載されたような分子内にスルホンアミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−147254号公報に記載されたようなアルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラーや欧州特許第226,849A号や同第294,785A号明細書に記載されたような6位にアルコキシ基やアリールオキシ基をもつピラゾロアゾールカプラーの使用が好ましい。
【0318】
また、本発明に使用されるイエロー色素形成カプラー(本明細書において、単に「イエローカプラー」という場合がある)としては、前記表中に記載の化合物の他に、欧州特許出願公開第0447969A1号明細書に記載のアシル基に3〜5員の環状構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラー、同第0482552A1号明細書に記載の環状構造を有するマロンジアニリド型イエローカプラー、同第953870A1号、同第953871A1号、同第953872A1号、同第953873A1号、同第953874A1号、同第953875A1号等各明細書に記載のピロール−2又は3−イルもしくはインドール−2又は3−イルカルボニル酢酸アニリド系カプラー、米国特許第5,118,599号明細書に記載されたジオキサン構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラーが好ましく用いられる。その中でも、アシル基が1−アルキルシクロプロパン−1−カルボニル基であるアシルアセトアミド型イエローカプラー、アニリドの一方がインドリン環を構成するマロンジアニリド型イエローカプラー、米国特許第3,841,880号明細書、特開昭52−82423号公報、特開平2−28645号公報、欧州特許出願公開第1246006号明細書記載の1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシドが結合した酢酸エステル系および酢酸アニリド系カプラーを使用することもできる。
【0319】
本発明に使用するカプラーは、前出表中記載の高沸点有機溶媒の存在下で(又は不存在下で)ローダブルラテックスポリマー(例えば米国特許第4,203,716号明細書)に含浸させて、又は水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーとともに溶かして親水性コロイド水溶液に乳化分散させることが好ましい。好ましく用いることのできる水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーは、米国特許第4,857,449号明細書の第7欄〜15欄及び国際公開WO88/00723号パンフレットの第12頁〜30頁に記載の単独重合体又は共重合体が挙げられる。より好ましくはメタクリレート系あるいはアクリルアミド系ポリマー、特にアクリルアミド系ポリマーの使用が色像安定性等の上で好ましい。
【0320】
本発明においては公知の混色防止剤を用いることができるが、その中でも以下に挙げる公報に記載のものが好ましい。
例えば、特開平5−333501号公報に記載の高分子量のレドックス化合物、国際公開WO98/33760号パンフレット、米国特許第4,923,787号明細書等に記載のフェニドンやヒドラジン系化合物、特開平5−249637号公報、同10−282615号公報及び独国特許出願公開第19629142A1号明細書等に記載のホワイトカプラーを用いることができる。また、特に現像液のpHを上げ、現像の迅速化を行う場合には独国特許出願公開第19618786A1号、欧州特許出願公開第839623A1号、欧州特許出願公開第842975A1号、独国特許出願公開第19806846A1号及び仏国特許出願公開第2760460A1号各明細書等に記載のレドックス化合物を用いることも好ましい。
【0321】
本発明においては紫外線吸収剤としてモル吸光係数の高いトリアジン骨核を有する化合物を用いることが好ましく、例えば、以下の公報に記載の化合物を用いることができる。これらは、感光性層又は/及び非感光性に好ましく添加される。例えば、特開昭46−3335号、同55−152776号、特開平5−197074号、同5−232630号、同5−307232号、同6−211813号、同8−53427号、同8−234364号、同8−239368号、同9−31067号、同10−115898号、同10−147577号、同10−182621号の各公報、独国特許第19739797A号、欧州特許第711804A号明細書及び特表平8−501291号公報等に記載されている化合物を使用できる。
【0322】
本発明の感光材料に用いることのできる結合剤又は保護コロイドとしては、ゼラチンを用いることが有利であるが、それ以外の親水性コロイドを単独であるいはゼラチンとともに用いることができる。好ましいゼラチンとしては、鉄、銅、亜鉛、マンガン等の不純物として含有される重金属は、好ましくは5ppm以下、更に好ましくは3ppm以下である。また、感光材料中に含まれるカルシウム量は、好ましくは20mg/m2以下、更に好ましくは10mg/m2以下、最も好ましくは5mg/m2以下である。
【0323】
本発明においては、親水性コロイド層中に繁殖して画像を劣化させる各種の黴や細菌を防ぐために、特開昭63−271247号公報に記載のような防菌・防黴剤を添加するのが好ましい。さらに、感光材料の被膜pHは4.0〜7.0が好ましく、より好ましくは4.0〜6.5である。
【0324】
本発明においては、感光材料の塗布安定性向上、静電気発生防止、帯電量調節等の点から界面活性剤を感光材料に添加することができる。界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤があり、例えば特開平5−333492号公報に記載のものが挙げられる。本発明に用いる界面活性剤としてはフッ素原子含有の界面活性剤が好ましい。特に、フッ素原子含有界面活性剤を好ましく用いることができる。これらのフッ素原子含有界面活性剤は単独で用いても、従来公知の他の界面活性剤と併用してもかまわないが、好ましくは従来公知の他の界面活性剤との併用である。これらの界面活性剤の感光材料への添加量は特に限定されるものではないが、一般的には、1×10−5〜1g/m2、好ましくは1×10−4〜1×10−1g/m2、更に好ましくは1×10−3〜1×10−2g/m2である。
【0325】
本発明の感光材料は、画像情報に応じて光を照射される露光工程と、前記光照射された感光材料を現像する現像工程とにより、画像を形成することができる。本発明の感光材料は、通常のネガプリンターを用いたプリントシステムに使用される以外に、陰極線(CRT)を用いた走査露光方式にも適している。陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、簡便でかつコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種、あるいは2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤、緑、青に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。
【0326】
感光材料が異なる分光感度分布を有する複数の感光性層を持ち、陰極性管も複数のスペクトル領域の発光を示す蛍光体を有する場合には、複数の色を一度に露光、即ち陰極線管に複数の色の画像信号を入力して管面から発光させてもよい。各色ごとの画像信号を順次入力して各色の発光を順次行わせ、その色以外の色をカットするフィルムを通して露光する方法(面順次露光)を採ってもよく、一般には、面順次露光の方が、高解像度の陰極線管を用いることができるため、高画質化のためには好ましい。
【0327】
本発明の感光材料は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いたデジタル走査露光方式が好ましく使用される。システムをコンパクトで、安価なものにするために半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)を使用することが好ましい。特にコンパクトで、安価、更に寿命が長く安定性が高い装置を設計するためには半導体レーザーの使用が好ましく、露光光源の少なくとも一つは半導体レーザーを使用することが好ましい。
【0328】
このような走査露光光源を使用する場合、本発明の感光材料の分光感度極大波長は、使用する走査露光用光源の波長により任意に設定することができる。半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーあるいは半導体レーザーと非線形光学結晶を組合わせて得られるSHG光源では、レーザーの発振波長を半分にできるので、青色光、緑色光が得られる。従って、感光材料の分光感度極大は通常の青、緑、赤の3つの波長領域に持たせることが可能である。このような走査露光における露光時間は、画素密度を400dpiとした場合の画素サイズを露光する時間として定義すると、好ましい露光時間としては1×10−4秒以下、更に好ましくは1×10−6秒以下である。
【0329】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、以下の公知資料に記載の露光、現像システムと組み合わせることで好ましく用いることができる。前記現像システムとしては、特開平10−333253号公報に記載の自動プリント並びに現像システム、特開2000−10206号公報に記載の感光材料搬送装置、特開平11−215312号公報に記載の画像読取装置を含む記録システム、特開平11−88619号公報並びに同10−202950号公報に記載のカラー画像記録方式からなる露光システム、特開平10−210206号公報に記載の遠隔診断方式を含むデジタルフォトプリントシステム、及び特開2000−310822号公報に記載の画像記録装置を含むフォトプリントシステムが挙げられる。
【0330】
本発明に適用できる好ましい走査露光方式については、前記の表1に掲示した公報に詳しく記載されている。
【0331】
本発明の感光材料をプリンター露光する際、米国特許第4,880,726号明細書に記載のバンドストップフィルターを用いることが好ましい。これによって光混色が取り除かれ、色再現性が著しく向上する。
本発明においては、欧州特許出願公開第0789270A1号や同第0789480A1号の明細書に記載のように、画像情報を付与する前に、予め、黄色のマイクロドットパターンを前露光し、複写規制を施しても構わない。
【0332】
本発明の感光材料の処理には、特開平2−207250号公報の第26頁右下欄1行目〜34頁右上欄9行目、及び同4−97355号公報の第5頁左上欄17行目〜18頁右下欄20行目に記載の処理素材や処理方法が好ましく適用でき、本願の明細書の一部として好ましく取り込まれる。また、この現像液に使用する保恒剤としては、前記の表に掲示した公報に記載の化合物が好ましく用いられる。
【0333】
本発明は迅速処理適性を有する感光材料にも好ましく適用される。迅速処理を行う場合には、発色現像時間は好ましくは60秒以下、更に好ましくは50秒以下6秒以上、より好ましくは30秒以下6秒以上である。同様に、漂白定着時間は好ましくは60秒以下、更に好ましくは50秒以下6秒以上、より好ましくは30秒以下6秒以上である。また、水洗又は安定化時間は、好ましくは150秒以下、更に好ましくは130秒以下6秒以上である。
尚、発色現像時間とは、感光材料が発色現像液中に入ってから次の処理工程の漂白定着液に入るまでの時間をいう。例えば、自動現像機などで処理される場合には、感光材料が発色現像液中に浸漬されている時間(いわゆる液中時間)と、感光材料が発色現像液を離れ、次の処理工程の漂白定着浴に向けて空気中を搬送されている時間(いわゆる空中時間)との両者の合計を発色現像時間という。同様に、漂白定着時間とは、感光材料が漂白定着液中に入ってから次の水洗又は安定浴に入るまでの時間をいう。また、水洗又は安定化時間とは、感光材料が水洗又は安定化液中に入ってから乾燥工程に向けて液中にある時間(いわゆる液中時間)をいう。
【0334】
本発明の感光材料を露光後、現像する方法としては、従来のアルカリ剤と現像主薬を含む現像液で現像する方法、現像主薬を感光材料に内蔵し、現像主薬を含まないアルカリ液などのアクチベーター液で現像する方法などの湿式方式のほか、処理液を用いない熱現像方式などを用いることができる。特に、アクチベーター方法は、現像主薬を処理液に含まないため、処理液の管理や取扱いが容易であり、また廃液処理時の負荷が少なく環境保全上の点からも好ましい方法である。
アクチベーター方法において、感光材料中に内蔵される現像主薬又はその前駆体としては、例えば、特開平8−234388号、同9−152686号、同9−152693号、同9−211814号、同9−160193号各公報に記載されたヒドラジン型化合物が好ましい。
【0335】
また、感光材料の塗布銀量を低減し、過酸化水素を用いた画像増幅処理(補力処理)する現像方法も好ましく用いられる。特に、この方法をアクチベーター方法に用いることは好ましい。具体的には、特開平8−297354号、同9−152695号公報に記載された過酸化水素を含むアクチベーター液を用いた画像形成方法が好ましく用いられる。前記アクチベーター方法において、アクチベーター液で処理後、通常脱銀処理されるが、低銀量の感光材料を用いた画像増幅処理方法では、脱銀処理を省略し、水洗又は安定化処理といった簡易な方法を行うことができる。また、感光材料から画像情報をスキャナー等で読み取る方式では、撮影用感光材料などの様に高銀量の感光材料を用いた場合でも、脱銀処理を不要とする処理形態を採用することができる。
【0336】
本発明で用いられるアクチベーター液、脱銀液(漂白/定着液)、水洗及び安定化液の処理素材や処理方法は公知のものを用いることができる。好ましくは、リサーチ・ディスクロージャーItem 36544(1994年9月)第536頁〜第541頁、特開平8−234388号公報に記載されたものを用いることができる。
【0337】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0338】
実施例1
(乳剤B−Hの調製)
攪拌したゼラチン水溶液中に、硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加して混合する定法で、球相当径0.55μm 変動係数10%の立方体高塩化銀乳剤を調製した。但し、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、臭化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり2モル%)、RhBr5(H2O)、およびK4[Ru(CN)6]を添加した。硝酸銀の添加が90%終了した時点で沃化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり0.3モル%)を添加した。更に硝酸銀の添加が92%の時点から98%の時点にかけて、K2[Ir(5−メチルチアゾール)Cl5]およびK2[Ir(H2O)Cl5]を添加した。得られた乳剤に脱塩処理を施した後、ゼラチンを加え再分散した。この乳剤にチオスルフォン酸ナトリウムと下記増感色素A、増感色素Bおよび増感色素Cを添加し、硫黄増感剤としてチオ硫酸ナトリウム5水和物と金増感剤として金(I)チオグルコースを用い最適になるように熟成した。更に1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールおよび1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを添加した。このようにして得られた乳剤を、乳剤B−Hとした。
【0339】
(乳剤B−Lの調製)
乳剤B−Hとは、硝酸銀と塩化ナトリウムの添加速度のみを変えて、球相当径0.45μm 変動係数10%の立方体高塩化銀乳剤を調製した。得られた乳剤を、乳剤B−Lとした。
【0340】
【化171】
【0341】
(乳剤G−Hの調製)
攪拌したゼラチン水溶液中に、硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加して混合する定法で、球相当径0.35μm 変動係数10%の立方体高塩化銀乳剤を調製した。但し、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、RhBr5(H2O)およびK4[Ru(CN)6]を添加した。硝酸銀の添加が80%の時点から100%の時点にかけて、臭化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり4モル%)を添加した。硝酸銀の添加が90%終了した時点で沃化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり0.2モル%)を添加した。硝酸銀の添加が92%の時点から95%の時点にかけて、K2[Ir(5−メチルチアゾール)Cl5]を添加した。更に硝酸銀の添加が92%の時点から98%の時点にかけて、K2[Ir(H2O)Cl5]を添加した。得られた乳剤に脱塩処理を施した後、ゼラチンを加え再分散した。この乳剤にチオスルフォン酸ナトリウムを添加し、硫黄増感剤としてチオ硫酸ナトリウム5水和物と金増感剤として金(I)チオグルコースを用い最適になるように熟成した。更に下記増感色素D、E、F及びG、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールおよび臭化カリウムを添加した。このようにして得られた乳剤を、乳剤G−Hとした。
(乳剤G−Lの調製)
乳剤G−Hとは、硝酸銀と塩化ナトリウムの添加速度のみを変えて、球相当径0.28μm 変動係数10%の立方体高塩化銀乳剤を調製した。得られた乳剤を、乳剤G−Lとした。
【0342】
【化172】
【0343】
(乳剤R−Hの調製)
攪拌したゼラチン水溶液中に、硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加して混合する定法で、球相当径0.35μm 変動係数10%の立方体高塩化銀乳剤を調製した。但し、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、K4[Ru(CN)6]を添加した。硝酸銀の添加が80%の時点から100%の時点にかけて、臭化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり4.3モル%)を添加した。硝酸銀の添加が90%終了した時点で沃化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり0.10モル%)を添加した。硝酸銀の添加が92%の時点から95%の時点にかけて、K2[Ir(5−メチルチアゾール)Cl5]を添加した。更に硝酸銀の添加が92%の時点から98%の時点にかけて、K2[Ir(H2O)Cl5]を添加した。得られた乳剤に脱塩処理を施した後、ゼラチンを加え再分散した。この乳剤にチオスルフォン酸ナトリウムを添加し、硫黄増感剤としてチオ硫酸ナトリウム5水和物と金増感剤として金(I)チオグルコースを用い最適になるように熟成した。更に下記増感色素H、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、下記化合物Iおよび臭化カリウムを添加した。このようにして得られた乳剤を、乳剤R−Hとした。
(乳剤R−Lの調製)
乳剤R−Hとは、硝酸銀と塩化ナトリウムの添加速度のみを変えて、球相当径0.28μm 変動係数10%の立方体高塩化銀乳剤を調製した。得られた乳剤を、乳剤R−Lとした。
【0344】
【化173】
【0345】
第三層塗布液調製
マゼンタカプラー(EXM)25.9g、肢芽船吸収剤(UV−A)13.0g、色像安定剤(Cpd−2)2.2g、色像安定剤(Cpd−6)13.0g、色像安定剤(Cpd−7)2.2g、色像安定剤(Cpd−8)2.2g、色像安定剤(Cpd−9)2.2g、色像安定剤(Cpd−10)2.2g、色像安定剤(Cpd−11)0.02g、色像安定剤(Cpd−20)2.2gを、溶媒(Solv−3)13g、溶媒(Solv−4)25.9g、溶媒(Solv−9)30.2g及び酢酸エチル60mLに溶解し、この液を7.5gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む20質量%ゼラチン水溶液345g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、水を加えて900gの乳化分散物Aを調製した。
一方、前記乳化分散物Aと前記乳剤G−H、G−Lを混合溶解し、後記組成となるように第三層塗布液を調製した。乳剤塗布量は、銀量換算塗布量を示す。
【0346】
第一層、第二層、第四層〜第七層用の塗布液も第三層塗布液と同様の方法で調製した。各層のゼラチン硬化剤としては、1−オキシ−3,5−ジクロロ−s−トリアジンナトリウム塩(H−1)、(H−2)、(H−3)を用いた。また、各層に(Ab−1)、(Ab−2)、及び(Ab−3)をそれぞれ全量が15.0mg/m2、60.0mg/m2、及び5.0mg/m2となるように添加した。
【0347】
【化174】
【0348】
【化175】
【0349】
また、1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを、第二層、第四層、および第六層、それぞれ0.2mg/m2、0.2mg/m2、0.6mg/m2となるように添加した。また、青感性乳剤層および緑感性乳剤層に対し、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを、それぞれハロゲン化銀1モル当たり、1×10−4モル、2×10−4モル添加した。また、赤感性乳剤層にメタクリル酸とアクリル酸ブチルの共重合体ラテックス(質量比1:1、平均分子量200000〜400000)を0.05g/m2を添加した。また第二層、第四層および第六層にカテコール−3,5−ジスルホン酸二ナトリウムをそれぞれ6mg/m2、6mg/m2、18mg/m2となるように添加した。また、各層にポリスチレンスルホン酸ナトリウムを必要に応じて加え塗布液の粘度を調節した。また、イラジエーション防止のために、以下の染料(カッコ内は塗布量を表す)を添加した。
【0350】
【化176】
【0351】
(層構成)
以下に、各層の構成を示す。数字は塗布量(g/m2)を表す。ハロゲン化銀乳剤は、銀換算塗布量を表す。
【0352】
支持体
ポリエチレン樹脂ラミネート紙
[第一層側のポリエチレン樹脂に白色顔料(TiO2;含有率16質量%、ZnO;含有率4質量%)と蛍光増白剤(4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾリル)スチルベン。含有率0.03質量%)、青味染料(群青、含有率0.33質量%)を含む。ポリエチレン樹脂の量は29.2g/m2]
【0353】
【0354】
【0355】
【0356】
【0357】
【0358】
【0359】
【化177】
【0360】
【化178】
【0361】
【化179】
【0362】
【化180】
【0363】
【化181】
【0364】
【化182】
【0365】
【化183】
【0366】
【化184】
【0367】
【化185】
【0368】
【化186】
【0369】
以上のようにして作製した試料001に対して第三層の組成を以下の様に変更した試料101を作製した。
【0370】
試料101の第三層(緑感光性乳剤層)の組成
【0371】
試料102〜試料188は試料101に対して、マゼンタカプラーを表2及び3に示すカプラーに等モルで置き換え、また表2及び3に示す本発明に用いられる一般式(Ph−1)〜(Ph−3)のいずれかで表される化合物を添加した。なお、本発明に用いられる一般式(Ph−1)〜(Ph−3)のいずれかで表される化合物はマゼンタカプラーに対して70モル%添加した。その際、第三層の油溶分が一定となるように溶媒の量を減じて各々の試料を作製した。
【0372】
上記の感光材料001を127mm幅のロール状に加工し、デジタルミニラボフロンティア330(商品名、富士写真フイルム社製)を用いて感光材料に標準的な写真画像を露光した。その後下記処理工程にて使用した発色現像補充液の容量が発色現像タンク容量の2倍となるまで連続処理(ランニングテスト)を行った。処理液組成と工程時間の異なる以下の2つの処理を行い感光材料を評価した。
【0373】
処理工程A
以下のランニング処理液を用いた処理を処理Aとした。
【0374】
処理工程 温度 時間 補充量*
発色現像 38.5℃ 45秒 45mL
漂白定着 38.0℃ 45秒 35mL
リンス1 38.0℃ 20秒 −
リンス2 38.0℃ 20秒 −
リンス3** 38.0℃ 20秒 −
リンス4** 38.0℃ 20秒 121mL
乾燥 80℃
(注)
* 感光材料1m2あたりの補充量
** 富士写真フイルム(株)製リンスクリーニングシステムRC50Dをリンス3に装着し、リンス3からリンス液を取り出してポンプにより逆浸透モジュール(RC50D)へ送る。同槽で送られた透過水はリンス4に供給し、濃縮液はリンス3に戻す。逆浸透モジュールへの透過水量は50〜300mL/分を維持するようにポンプ圧を調整し、1日10時間温調循環させた。リンスは1から4への4タンク向流方式とした。
【0375】
各処理液の組成は以下の通りである。
【0376】
【0377】
【0378】
処理工程B
上記の感光材料001を127mm幅のロール状に加工し、デジタルミニラボフロンティア330(富士写真フイルム社製、商品名)を用いて感光材料に標準的な写真画像を露光した。その後下記処理工程にて使用した発色現像補充液の容量が発色現像タンク容量の2倍となるまで連続処理(ランニングテスト)を行った。このランニング処理液を用いた処理を処理Bとした。
【0379】
処理工程 温度 時間 補充量*
発色現像 45.0℃ 17秒 45mL
漂白定着 40.0℃ 17秒 35mL
リンス1 40.0℃ 8秒 −
リンス2 40.0℃ 8秒 −
リンス3** 40.0℃ 8秒 −
リンス4** 38.0℃ 8秒 121mL
乾燥 80℃ 15秒
(注)
* 感光材料1m2あたりの補充量
** 富士写真フイルム(株)製リンスクリーニングシステムRC50Dをリンス3に装着し、リンス3からリンス液を取り出してポンプにより逆浸透モジュール(RC50D)へ送る。同槽で送られた透過水はリンス4に供給し、濃縮液はリンス3に戻す。逆浸透モジュールへの透過水量は50〜300mL/分を維持するようにポンプ圧を調整し、1日10時間温調循環させた。リンスは1から4への4タンク向流方式とした。
【0380】
各処理液の組成は以下の通りである。
【0381】
【0382】
【0383】
【化187】
【0384】
試料101〜188は感光材料を塗布後、25℃55%相対湿度条件に10日保存の後に以下の評価を行った。
(評価1 光堅牢性)
各試料に対して上記処理工程Aでグレイを与える露光を与え、上記処理工程Aで発色現像処理を行った。
光源としては半導体レーザー光を用い688nmの光源(R光)、半導体レーザーにSHGを組み合わせることで532nmの光源(G光)、473nmの光源(B光)を得た。R光の光量を外部変調器を用いて変調し、回転多面体に反射させて、走査方向に対して直行して移動する試料に走査露光した。この走査露光は400dpiで行い、1画素当たりの平均露光時間は8×10−8秒であった。半導体レーザーは温度による光量変化を抑えるために、ペルチェ素子を用いて温度を一定にした。
この様に作製した試料を用い、10万ルクスのXe光に21日間暴露前後での濃度測定を行った。感光材料の表面温度は50℃になるように調節した。マゼンタ発色部の初期濃度0.3での保存後の相対残存率(%)を算出した。
【0385】
(評価2 迅速処理時の処理安定性)
各試料に評価1の露光装置を用い、処理工程Bにおいてグレイの階調を与える様に露光条件を決定した。該露光を与えた試料を処理工程Bにおいて搬送速度を1.5倍にした処理Cを行った。処理工程Bにおいて濃度2.0を与える露光部の処理工程Cでの濃度を測定し、処理工程Bに対する処理工程Cのマゼンタの濃度変化(ΔM)を算出した。
評価結果を表2及び3に示す。なお、これらの各表におけるΔDmaxは上記のΔMのことである。
【0386】
【表2】
【0387】
【表3】
【0388】
【化188】
【0389】
表2及び3に示した結果から明らかなように、一般式(Ph−1)〜(Ph−3)のいずれかで表される化合物を添加した試料は比較化合物1を添加した試料と比較して、相対残存率が高く、かつ処理安定性に優れることが判る。また、該化合物の中でも試料103〜111等と試料112〜116等との比較から、一般式(Ph−3)で表される化合物の方が特に効果が大きいことが判る。また、試料103〜106と試料108〜111等との比較から、一般式(Ph−3)におけるRb21が無置換の脂肪族基である化合物がより効果が大きいことが判る。また試料104等と試料105等との比較からRb21の総炭素数が11以下の化合物よりも総炭素数12以上の化合物の方が効果が大きいことが判る。また、試料103等と試料106等との比較からRb21が直鎖よりも分岐の方が効果が大きいことが判る。
【0390】
実施例2
実施例1で作製した試料102、103、104、108、111、112、113、118、119、126、127、134、135、142、143、150、151、158、159、166、167、174、175、182、183に対して表4及び5に示す一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される化合物を更に追加添加した以外は全く同様にして試料201〜274を作製した。一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される化合物の添加量はマゼンタカプラーに対し20mol%とした。その際には第三層の油溶分が一定となるように溶媒の量を減じて試料を作製した。実施例1と同様に露光、現像処理を行い、光堅牢性の評価を実施例1と同様に行った。
この結果を表4及び5に示す。
【0391】
【表4】
【0392】
【表5】
【0393】
表4及び5に示した結果から明らかなように、一般式(E−1)〜(E−3)で表される化合物を更に添加することによって更に画像堅牢性は向上することが判る。また、その向上する程度は(Ph−1)又は(Ph−2)で表される化合物が添加されている試料の方が大きいことが判る。
【0394】
実施例3
実施例2で作製した試料201、204、225、230、236、242、248、254、260、266、272に対して表6〜8に示すその他の防止剤化合物を更に追加添加した以外は全く同様にして試料301〜454を作製した。その他の防止剤化合物の添加量はマゼンタカプラーに対し20mol%とした。その際には第三層の油溶分が一定となるように溶媒の量を減じて試料を作製した。実施例1と同様に露光、現像処理を行い、光堅牢性の評価を実施例1と同様に行った。
この結果を表6〜8に示す。
【0395】
【表6】
【0396】
【表7】
【0397】
【表8】
【0398】
表6〜8から明らかなように、一般式(TS−I)〜(TS−VII)のいずれかで表される化合物、金属錯体、紫外線吸収剤、及び水不溶性の単独重合体もしくは共重合体等をさらに添加することによって、画像堅牢性はさらに向上することが判る。また、その向上する程度は(Ph−1)又は(Ph−2)で表される化合物が添加されている試料の方が大きいことが判る。
【0399】
実施例4
実施例1の試料101〜188、実施例2の試料201〜274、実施例3の試料301〜454において第二層、第三層、第四層の紫外線吸収剤種を(UV−A)から(UV−B)に変更した試料を作製し、実施例1と同様の評価を行った結果、ほぼ同様の結果が得られた。
【0400】
実施例5
実施例1の試料101〜188、実施例2の試料201〜274、実施例3の試料301〜454において第二層、第四層の(Cpd−4)を等モルの(Cpd−12)に変更した試料を作製し、実施例1と同様の評価を行った結果、本発明に用いられるカプラーと添加剤を併用することで光堅牢性が改良されることが確認され、その効果が特に顕著であった。
【0401】
実施例6
実施例5の試料を硫酸バリウム練り込んだ175μmの厚みのPET反射支持体上に塗設した試料を作製し、実施例1に準じた評価を行った結果、ほぼ同様の結果が得られた。
【0402】
実施例7
実施例1の試料101〜188、実施例2の試料201〜274、実施例3の試料301〜454を以下に示す露光装置を用いて走査露光を与え、実施例1に準じた評価を行ったところ、本発明の構成の試料を用いると光堅牢性と処理安定性に優れるという本発明の効果が得られることが分かった。
【0403】
使用した露光装置
デジタルミニラボ フロンティア330(商品名、富士写真フイルム社製)、
Lambda 130(商品名、Durst社製)、
LIGHTJET 5000(商品名、Gretag社製)
【0404】
実施例8
実施例1の試料において以下の変更をした試料を作製した。
青色感光性ハロゲン化銀乳剤層の塗設量 240%
緑色感光性ハロゲン化銀乳剤層の塗設量 250%
赤色感光性ハロゲン化銀乳剤層の塗設量 260%
支持体:180μm厚みのポリエチレンテレフタレート透明支持体
【0405】
これら試料を、実施例1の処理工程Bにおいてそれぞれの処理工程を2.7倍に延長した処理を行った。実施例1に準じての評価を行った結果、本発明に用いられるマゼンタカプラーと本発明に用いられる化合物とを用いると画像堅牢性に優れた感光材料が得られた。
【0406】
【発明の効果】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、迅速処理性、発色性、色再現性、処理後の画像堅牢性に優れ、ランニング液で処理した場合の処理安定性に優れる。
Claims (6)
- 支持体上にイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、及びシアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の各層を少なくとも一層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料であって、下記一般式(M−I)〜(M−X)のいずれかで表されるマゼンタ色素形成カプラーの少なくとも一種と、下記一般式(Ph−1)又は(Ph−2)で表される化合物の少なくとも一種が同一層に含有されていることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記一般式(Ph−3)で表される化合物において、Rb21が直鎖、分岐または環状の、飽和もしくは不飽和の無置換の脂肪族基であることを特徴とする請求項2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記一般式(Ph−3)で表される化合物において、Rb21の炭素原子数の総和が12以上であることを特徴とする請求項2または3に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 下記一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を更に含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 下記一般式(TS−I)〜(TS−VII)のいずれかで表される化合物、金属錯体、紫外線吸収剤、及び水不溶性の単独重合体もしくは共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種を更に含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
一般式(TS−II)中、R61、R62、R63及びR64は各々独立に、水素原子または脂肪族基を表し、R61とR62、R63とR64が互いに結合し、5〜7員環を形成しても良い。X61は水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基またはオキシラジカル基を表す。X62は5〜7員環を形成するに必要な非金属原子群を表す。但し、一般式(TS−II)で表わされる化合物の総炭素数は8以上である。
一般式(TS−III)中、R65及びR66は各々独立に、水素原子、脂肪族基、アリール基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基またはアリールスルホニル基を表し、R67は水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、置換アミノ基、ヘテロ環基またはヒドロキシ基を表わす。ここで、R65とR66、R66とR67、R65とR67が互いに結合し、5〜7員環を形成しても良いが、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を形成することはない。また、R65とR66の両方が水素原子であることはなく、R65とR66の総炭素数は7以上である。
一般式(TS−IV)中、R71は水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、Li、NaまたはKを表わし、R72は脂肪族基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R71とR72が互いに結合し、5〜7員環を形成しても良い。qは0、1または2を表す。但し、R71、R72の総炭素数は10以上である。
一般式(TS−V)中、R81、R82及びR83は各々独立に、脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族アミノ基またはアリールアミノ基を表し、tは0または1を表す。R81とR82、R81とR83は互いに結合し、5〜8員環を形成しても良い。但し、R81、R82、R83の総炭素数は10以上である。
一般式(TS−VI)中、R85、R86、R87及びR88は各々独立に、水素原子または置換基を表わす。但しR85、R86、R87及びR88の全てが水素原子であることはなく、R85、R86、R87及びR88の任意の2つが結合し、5〜7員環を形成していても良いが、炭素原子のみの芳香環を形成することはない。一般式(TS−VI)で表わされる化合物の総炭素数は10以上である。
一般式(TS−VII)中、R91は炭素原子数の総和が10以上の疎水性基を表し、Y91はアルコール性水酸基を含有する一価の有機基を表す。
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