JP4139721B2 - ハロゲン化銀カラー写真感光材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化銀カラー写真感光材料に関するものであり、特に迅速処理性、発色性、色再現性、処理後の画像堅牢性に優れ、特にイエロー色素画像および白地の光堅牢性に優れるハロゲン化銀カラー写真感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
減色法によるハロゲン化銀写真感光材料(以下、単に「感光材料」という場合がある。)においては、イエロー、マゼンタおよびシアンの3原色の色素によって色画像が形成される。現行のp−フェニレンジアミン系カラー現像主薬を使用するカラー写真法においては、イエローカプラーとして、アシル酢酸アニリド系化合物が使用されている。しかし、これらのカプラーから得られるイエロー色素の色相は、吸収の長波側すそ切れが悪いため赤味を帯び、純度の高いイエローの色相を得るのが困難であった。また、前記色素は高温高湿条件下、あるいは光照射条件下で分解し易く、現像処理後の画像保存性に問題があった。更には、該色素の分子吸光係数が小さく、所望の発色濃度を得るために多量のカプラーやハロゲン化銀を必要とする。このため、感光材料の膜厚が厚くならざるを得ない。このような膜厚の増加は得られる色像の鮮鋭性が低下する場合があるだけではなく、近年、特に求められている迅速処理に対して大きな妨げとなる。このような状況下でこれらの性能の改良が望まれていた。
【0003】
これらの問題を解決するためにアシル基およびアニリド基の改良が行われ、最近になって、従来のアシル酢酸アニリド系を改良したカプラーとして、1−アルキルシクロプロパンカルボニル酢酸アニリド系化合物や環状マロンジアミド型カプラー、ピロール−2または3−イルもしくはインドール−2または3−イルカルボニル酢酸アニリド系カプラー等が提案された。これらのカプラーから生成する色素は、従来のものより色相、分子吸光係数において改良されたが、画像保存性の点で未だ十分ではなく、また、構造が複雑になった分、合成ルートが長く、カプラーコストが高くなり、実用的には問題があった。また他に特許文献1〜3等に記載の1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシドが結合した酢酸エステル系および酢酸アニリド系カプラーが提案されているが、発色性が低く、吸収の長波側すそ切れも悪かった。前記文献記載の1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシドが結合した酢酸エステル系および酢酸アニリド系カプラー発色性、吸収の長波側すそ切れを改良したカプラーが特許文献4に記載されている。特許文献4記載のカプラー高い発色性を示し、また優れた吸収特性を示す。しかしながらこれらのカプラーは高温保存条件下、低濃度部の光堅牢性が十分ではなかった。高温保存条件下での光に曝される状況は例えば営業写真館でのディスプレーなどで見られる状況である。また、人の顔の画像は低濃度のイエローを利用しており、イエローのこの濃度領域の堅牢性は重要である。このような状況下で、低濃度領域のイエロー画像の更なる改良が望まれていた。この光堅牢性を改良するには上記特許文献4の実施例で使用されているビスフェノール化合物では、上述のような保存条件下では必ずしも十分でなく、特に光ステインの改良に対して有効な手段がなく、さらなる改良が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第3,841,880号明細書
【特許文献2】
特開昭52−82423号公報
【特許文献3】
特開平2−28645号公報
【特許文献4】
欧州特許出願公開第1246006号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、迅速処理性に優れるハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することにあり、更には、発色性、色再現性、処理後の画像堅牢性に優れ、特に色素画像と白地の光堅牢性に優れるハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、以下のハロゲン化銀カラー写真感光材料によって、上記の目的が達成されることを見出した。
(1)支持体上にイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、及びシアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の各層を少なくとも一層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料であって、イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層に下記一般式(II)で表されるイエロー色素形成カプラーの少なくとも一種、下記一般式(TS−II)で表される化合物の少なくとも一種および下記一般式(Ph)で表される化合物の少なくとも一種とをそれぞれ含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0007】
【0008】
一般式(II)中、R1はアルコキシプロピル基を表す。R2は置換基を表す。mは1以上5以下の整数を表す。mが2以上のとき複数のR2はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。ただし、R2の少なくとも1つは−CONH−基に対してオルト位に位置したアルキルチオ基である。R3は置換基を表す。nは0以上4以下の整数を表す。nが2以上のとき複数のR3はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。Xは水素原子または現像主薬酸化体とのカップリング反応により離脱可能な基を表す。
【0009】
【化8】
【0010】
一般式(TS−II)中、R61、R62、R63およびR64は各々独立に水素原子または脂肪族基を表し、R61とR62、R63とR64が互いに結合して5〜7員環を形成してもよい。X61は水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基またはオキシラジカル基を表す。X62は5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
【0011】
【化9】
【0012】
一般式(Ph)中、Rb1は脂肪族基、アリール基、カルバモイル基、アシルアミノ基、カルボニル基又はスルホニル基を表し、Rb2〜Rb5は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族基、アリール基、複素環基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、オキシカルボニルオキシ基、カルバモイル基、アシルアミノ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルファモイル基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を表す。
(2)前記一般式(II)で表されるイエロー色素形成カプラーにおいて、 R2の少なくとも1つが−CONH−基に対してオルト位に位置したアルキルチオ基であり、かつR2の他の1つが前記アルキルチオ基に対してパラ位の位置でt−ブチル基であることを特徴とする(1)に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(3)前記一般式(II)で表されるイエロー色素形成カプラーにおいて、Xが5,5−ジメチルオキサゾリジン−2,4−ジオン−3−イル基であることを特徴とする(1)または(2)に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(4)下記一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を更に含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0013】
【化10】
【0014】
式中、R41は脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、フォスホリル基または−Si(R47)(R48)(R49)を表す。ここで、R47、R48及びR49は各々独立に脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基またはアリールオキシ基を表す。R42〜R46は各々独立に、水素原子または置換基を表す。Ra1〜Ra4は各々独立に、水素原子または脂肪族基を表す。
(5)下記一般式(TS−I)、(TS−III)、(TS−IV)、(TS−V)、(TS−VI)または(TS−VII)のいずれかで表される化合物、金属錯体、紫外線吸収剤、及び水不溶性の単独重合体もしくは共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種を更に含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0015】
【化11】
【0016】
一般式(TS−I)中、R51は水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、フォスホリル基または−Si(R58)(R59)(R60)を表す。ここで、R58、R59及びR60は各々独立に、脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基またはアリールオキシ基を表す。X51は−O−または−N(R57)−を表す。ここで、R57はR51と同義である。X55は−N=または−C(R52)=を表わし、X56は−N=または−C(R54)=を表わし、X57は−N=または−C(R56)=を表わす。R52、R53、R54、R55及びR56は各々独立に、水素原子または置換基を表す。R51とR52、R57とR56、R51とR57が互いに結合して5〜7員環を形成していても良い。さらに、R52とR53、R53とR54が互いに結合して、5〜7員環またはスピロ環、ビシクロ環を形成しても良い。但し、R51〜R57の全てが水素原子であることはなく、一般式(TS−I)で表わされる化合物の総炭素数は10以上であり、さらに一般式(TS−I)で表わされる化合物は、前記一般式(Ph)、又は一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表わされる化合物であることはない。
一般式(TS−III)中、R65及びR66は各々独立に、水素原子、脂肪族基、アリール基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基またはアリールスルホニル基を表し、R67は水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、置換アミノ基、ヘテロ環基またはヒドロキシ基を表わす。ここで、R65とR66、R66とR67、R65とR67が互いに結合し、5〜7員環を形成しても良いが、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を形成することはない。また、R65とR66の両方が水素原子であることはなく、R65とR66の総炭素数は7以上である。
【0017】
一般式(TS−IV)、R71は水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、Li、NaまたはKを表わし、R72は脂肪族基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R71とR72が互いに結合し、5〜7員環を形成しても良い。qは0、1または2を表す。但し、R71、R72の総炭素数は10以上である。
一般式(TS−V)中、R81、R82及びR83は各々独立に、脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族アミノ基またはアリールアミノ基を表し、tは0または1を表す。R81とR82、R81とR83は互いに結合し、5〜8員環を形成しても良い。但し、R81、R82、R83の総炭素数は10以上である。
一般式(TS−VI)中、R85、R86、R87及びR88は各々独立に、水素原子または置換基を表わす。但しR85、R86、R87及びR88の全てが水素原子であることはなく、R85、R86、R87及びR88の任意の2つが結合し、5〜7員環を形成していても良いが、炭素原子のみの芳香環を形成することはない。一般式(TS−VI)で表わされる化合物の総炭素数は10以上である。
一般式(TS−VII)中、R91は炭素原子数の総和が10以上の疎水性基を表し、Y91はアルコール性水酸基を含有する一価の有機基を表す。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本明細書中における脂肪族とは、その脂肪族部位は直鎖、分岐鎖または環状で飽和であっても不飽和であっても良く、例えばアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基を表し、これらは無置換であっても置換基を有していてもよい。また、アリールとは、単環であっても縮合環であっても良く、無置換であっても置換基を有していてもよい。また、ヘテロ環とは、そのヘテロ環部位は環内にヘテロ原子(例えば、窒素原子、イオウ原子、酸素原子)を持つものであり、飽和環であっても、不飽和環であってもよく、単環であっても縮合環であってもよく、無置換であっても置換基を有していてもよい。
【0021】
発明における置換基とは、置換可能な基であればよく、例えば脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、脂肪族オキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシフォスフィニル基、ジアリールオキシフォスフィニル基等を挙げることができる。
まず、本発明に用いられる一般式(II)で表される化合物(本明細書ではイエロー色素形成カプラーとも称す)を詳細に説明する。
【0022】
【化13】
【0023】
式中、R1はアルコキシプロピル基を表す。
【0024】
なお、上記のアルコキシプロピル基はさらに置換基で置換されていてもよく、該置換基としては下記の基が挙げられる。
例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が挙げられる。
【0025】
好ましくは、R1の総炭素数は4以上40以下が好ましく、7以上30以下が最も好ましい。
【0026】
好ましいR1は、3−ラウリルオキシプロピル基、3−ヘキシルオキシプロピル基、3−ブトキシプロピル基であり、最も好ましくは3−ブトキシプロピル基である。
【0029】
一般式(II)において、R2は水素原子以外の置換基を表す。この置換基の例としては前述のR1で説明した、アルコキシプロピル基に置換してもよい置換基の例として挙げたものが挙げられる。好ましくは、R2はハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、アルキル基(例えばメチル、イソプロピル、t−ブチル)、アリール基(例えばフェニル、ナフチル)、アルコキシ基(例えばメトキシ、イソプロピルオキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ、2−メトキシフェニルチオ)、アシルオキシ基(例えばアセチルオキシ)、アミノ基(例えばジメチルアミノ、モルホリノ)、アシルアミノ基(例えばアセトアミド)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、カルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えばN−メチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基である。
ただし、R2の少なくとも1つは、−CONH−基に対してオルト位に置換したアルキルチオ基である。さらにR2は上記の−CONH−基に対してオルト位にある置換基に対し、パラ位の位置にも置換しているものが好ましく、このとき該パラ位に置換したR2はアルキル基、好ましくはt−アルキル基、さらに好ましくはt−ブチル基である。最も好ましくはR2は、−CONH−基に対して2位が2−エチルヘキシルチオ基であり、かつ5位がt−ブチル基である。
【0030】
一般式(II)において、mは1以上5以下の整数を表す。mが2以上のとき複数のR2はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。本発明の効果の点で好ましくはmは1以上3以下である。
【0031】
一般式(II)においてXは水素原子または現像主薬酸化体とのカップリング反応により離脱可能な基を表す。Xが現像主薬酸化体とのカップリング反応により離脱可能な基である場合の例としては窒素原子で離脱する基、酸素原子で離脱する基、イオウ原子で離脱する基、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子)などが挙げられる。
窒素原子で離脱する基としては、ヘテロ環基(好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、アリール(本明細書では4n+2個の環状共役電子を有するものを意味する)もしくは非アリール、単環もしくは縮合環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有する5もしくは6員のヘテロ環基であり、例えばスクシンイミド、マレインイミド、フタルイミド、ジグリコールイミド、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、インドール、ベンゾピラゾール、ベンツイミダゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾリジン−2,4−ジオン、オキサゾリジン−2,4−ジオン、チアゾリジン−2−オン、ベンツイミダゾリン−2−オン、ベンゾオキサゾリン−2−オン、ベンゾチアゾリン−2−オン、2−ピロリン−5−オン、2−イミダゾリン−5−オン、インドリン−2,3−ジオン、2,6−ジオキシプリン、パラバン酸、1,2,4−トリアゾリジン−3,5−ジオン、2−ピリドン、4−ピリドン、2−ピリミドン、6−ピリダゾン、2−ピラゾン、2−アミノ−1,3,4−チアゾリジン−4−オン)、カルボナミド基(例えばアセタミド、トリフルオロアセタミド)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、アリールアゾ基(例えばフェニルアゾ、ナフチルアゾ)、カルバモイルアミノ基(例えばN−メチルカルバモイルアミノ)などが挙げられる。
【0032】
窒素原子で離脱する基のうち、好ましいものはヘテロ環基であり、さらに好ましいものは、環構成原子として窒素原子を1、2、3または4個有するアリールヘテロ環基、または下記一般式(L)で表されるヘテロ環基である。
【0033】
【化14】
【0034】
式中、Lは−NC(=O)−と共に5〜6員環の含窒素ヘテロ環を形成する残基を表す。
これらの例示は上記ヘテロ環基の説明の中で挙げており、これらが更に好ましい。なかでも、Lは5員環の含窒素ヘテロ環を形成する残基が好ましい。
【0035】
酸素原子で離脱する基としては、アリールオキシ基(例えばフェノキシ、1−ナフトキシ)、ヘテロ環オキシ基(例えばピリジルオキシ、ピラゾリルオキシ)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシ基(例えばメトキシ、ドデシルオキシ)、カルバモイルオキシ基(例えばN,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルバモイルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ)などが挙げられる。
酸素原子で離脱する基のうち、好ましいものはアリールオキシ基、アシルオキシ基、ヘテロ環オキシ基である。
【0036】
イオウ原子で離脱する基としては、アリールチオ基(例えばフェニルチオ、ナフチルチオ)、ヘテロ環チオ基(例えばテトラゾリルチオ、1,3,4-チアジアゾリルチオ、1,3,4-オキサゾリルチオ、ベンツイミダゾリルチオ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ、オクチルチオ、ヘキサデシルチオ)、アルキルスルフィニル基(例えばメタンスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばベンゼンスルフィニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)などが挙げられる。
イオウ原子で離脱する基のうち、好ましいものはアリールチオ基、ヘテロ環チオ基であり、ヘテロ環チオ基がより好ましい。
【0037】
Xは置換基により置換されていてもよく、Xを置換する置換基の例としては前述のR1のアルコキシプロピル基が有してよい置換基の例として挙げたものが挙げられる。
Xは、好ましくは窒素原子で離脱する基、酸素原子で離脱する基、イオウ原子で離脱する基であり、より好ましくは窒素原子で離脱する基であり、更に好ましくは、窒素原子で離脱する基で述べた好ましい基の順に好ましい。最も好ましくは、Xは5,5−ジメチルオキサゾリジン−2,4−ジオン−3−イル基である。
【0038】
またXは写真性有用基であってもよい。この写真性有用基としては、現像抑制剤、脱銀促進剤、レドックス化合物、色素、カプラー等、あるいはこれらの前駆体が挙げられる。
【0039】
カプラーを感光材料中で不動化するために、R1、X、あるいはR2の少なくとも1つは置換基を含めた総炭素数が8以上60以下であることが好ましく、より好ましくは総炭素数が8以上50以下である。
【0043】
一般式(II)において、R3は置換基を表す。この置換基の例としては前述のアルコキシプロピル基が有してよい置換基の例として挙げたものが挙げられる。好ましくはR3はハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、アルキル基(例えばメチル、イソプロピル)、アリール基(たとえばフェニル、ナフチル)、アルコキシ基(例えばメトキシ、イソプロピルオキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ)、アシルオキシ基(例えばアセチルオキシ)、アミノ基(例えばジメチルアミノ、モルホリノ)、アシルアミノ基(例えばアセトアミド)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、カルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えばN−メチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基である。
nは0以上4以下の整数を表す。nが2以上のとき複数のR3はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
【0044】
一般式(II)で表わされる色素形成カプラーは、具体的には下記一般式(III)で表わされる色素形成カプラーであり、好ましい。
【0045】
【化16】
【0046】
一般式(III)において、R1、R2、R3、n、Xは一般式(II)において述べたものと同じものを表し、好ましい範囲も同様である。
R4はアルキル基を表わす。m’は0以上4以下の整数を表わす。m’が2以上のとき、複数のR2は同じでも異なってもよく、互いに結合して環を形成してもよい。m’は0〜2が好ましく、0〜1がさらに好ましく、1である場合が最も好ましい。
R4のアルキル基は置換基を有してもよく、該置換基としては前述のR1のアルコキシプロピル基が有してよい置換基として例示したものが挙げられる。該置換基としては、好ましくはアルキル基、アリール基が挙げられ、アルキル基がより好ましい。R4のアルキル基は一級アルキル基または第三級アルキル基が好ましく、一級アルキル基がより好ましく、β位で分岐した一級アルキル基がさらに好ましく、2−エチルヘキシル基が最も好ましい。
なお、R4の置換基をも含めた総炭素数は1以上30以下が好ましく、3以上30以下より好ましく、3以上20以下がさらに好ましく、4以上12以下が最も好ましい。
【0047】
本発明において一般式(II)もしくは(III)のいずれかで表されるカプラーのうち、好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なおカップリング位の水素原子が、カップリング位に結合したC=N部の窒素上に移動した互変異性体も本発明に含まれる。
【0048】
【化17】
【0049】
【化18】
【0051】
【化20】
【0053】
なお、以降の説明において、以上に示された例示化合物を引用する場合、それぞれの例示化合物に付された括弧書きの番号(x)を用いて、「カプラー(x)」と表示することとする。
【0054】
以下に上記一般式(II)もしくは(III)で表される化合物の具体的な合成例を示す。
【0062】
合成例1:カプラー(6)の合成
カプラー(6)は、下記に示すルートにより合成した。
【0063】
【化23】
【0064】
3−ブトキシプロピルアミン181.2g、トリエチルアミン198.2mL、トルエン840mLの溶液に氷冷攪拌下、オルトニトロベンゼンスルホニルクロライド300.0gを少量づつ添加した。反応系の温度を40℃まで昇温し、さらに1時間撹拌した。塩酸50mL、水750mLを加えて分液し、有機層を重曹水750mLで洗浄し、化合物(B−1)の反応液を得た。
【0065】
8.5gの10%Pd/C、水50mLの混合物に先の化合物(B−1)の反応液およびトルエン100mLを添加し40℃にて、80%抱水ヒドラジン165g、水50mLを1時間かけて滴下し、さらに45℃にて1時間撹拌した。セライトろ過してトルエン350mL、イソプロパノール500mL、水1.5Lで洗浄した後分液し、有機層を水500mLで2度洗浄し化合物(B−2)の反応液を得た。減圧濃縮して溶媒800mLを留去した後、トルエン400mL、3,3−ジエトキシアクリル酸エチル305.7g、p−トルエンスルホン酸1水和物2.6gを添加し85℃で30分間撹拌した。さらに90%ナトリウムエトキシド13.8gを加え、120℃で4時間加熱撹拌した。冷却後、塩酸25mL、水500mLを加えて分液し、さらにp−トルエンスルホン酸1水和物50g、水500mLを加えて洗浄した。減圧濃縮して溶媒を留去した後、メタノール600mL、水30mLを加え晶析し、さらにメタノール100mL、水110mLを滴下して0℃まで冷却した。吸引濾過してメタノール−水で洗浄し、440.1gの化合物(B−3)を得た。
【0066】
2−エチルヘキサンチオール343g、N,N−ジメチルアセトアミド800mL、炭酸カリウム364gに窒素雰囲気下、4−t−ブチル−2−ニトロクロロベンゼン470gを加え、90℃で2時間加熱攪拌をした後、氷水1000mLに注ぎ酢酸エチル1000mLで抽出した。有機溶媒層を飽和食塩水で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別し、減圧下に溶媒を留去し、化合物(B−4)の油状物806gを得た。
【0067】
還元鉄740g、塩化アンモニウム74.0gをイソプロパノール2200mL、水370mLに分散し、加熱還流下、1時間攪拌した。これに、化合物(B−4)806gを少量づつ添加した。さらに2時間加熱還流下、攪拌した後、セライトを通して吸引ろ過した。濾液に酢酸エチル、水を加えて分液し、有機溶媒層を飽和食塩水で洗浄した。有機溶媒層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、化合物(B−5)の油状物671gを得た。
【0068】
化合物(B−3)110g、化合物(B−5)84.5gの混合物を減圧下、145〜150℃で6時間加熱撹拌し、化合物(B−6)の粗製物を得た。この反応粗製物にトルエン750mLを加えて氷冷攪拌下に、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン41.2gを15分間で添加した。室温で1時間撹拌した後、水を加えて分液し、有機層を水で洗浄し、化合物(B−7)の反応液を得た。
【0069】
5,5−ジメチルオキサゾリジン−2,4−ジオン39.0g、炭酸カリウム41.8、N,N−ジメチルアセトアミド150mLの混合物に室温攪拌下、先に合成した化合物(B−7)の反応液すべてを30分間で滴下し、その後50℃まで昇温して2時間撹拌した。分液し、有機層を0.1規定水酸化カリウム水溶液、希塩酸水、水で洗浄した。溶媒を減圧留去し、メタノール溶媒から晶析してカプラー(6)171.6gを得た。
【0070】
他の色素形成カプラーも上記の方法に準じた方法または米国特許第5,455,149号明細書に記載の方法に準じた方法で容易に合成することができる。
【0071】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料において、前記一般式(II)または(III)で表される色素形成カプラーの感光材料中の含有量は、好ましくは1m2あたり0.01g〜10g、より好ましくは1m2あたり0.1g〜2gであり、同一感光性乳剤層中のハロゲン化銀1モルあたり、好ましくは1×10−3モル〜1モルが適当であり、より好ましくは2×10−3モル〜3×10−1モルである。
本発明において、前記一般式(II)または(III)で表される色素形成カプラーは、ハロゲン化銀乳剤層やその隣接層に使用するのが好ましく、特に好ましくはハロゲン化銀乳剤層である。
【0072】
次に、本発明の一般式(TS− II)で表される化合物について詳細に説明する。
【0073】
【化24】
【0074】
一般式(TS−II)中、R61、R62、R63及びR64は各々独立に水素原子または脂肪族基(例えばメチル、エチルであって、好ましくはアルキル基)を表し、X61は水素原子、脂肪族基(例えばメチル、エチル、アリル)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ、オクチルオキシ、シクロヘキシルオキシ)、脂肪族オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニル)、アシル基(例えばアセチル、ピバロイル、メタクリロイル)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ)、脂肪族オキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ、オクチルオキシカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ)、脂肪族スルホニル基(例えばメタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル)、脂肪族スルフィニル基(例えばメタンスルフィニル、オクタンスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばベンゼンスルフィニル、p−トルエンスルフィニル)、スルファモイル基(例えばジメチルスルファモイル)、カルバモイル基(例えばジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル)、ヒドロキシ基またはオキシラジカル基を表す。X62は5〜7員環(例えばピペリジン環、ピペラジン環)を形成するに必要な非金属原子群を表す。一般式(TS−II)で表わされる化合物の総炭素数は8以上(好ましくは8〜60)である。
【0075】
本発明の一般式(TS−II)で表される化合物は、特公平2-32298号公報記載の一般式(I)、同3-39296号公報記載の一般式(I)、同3-40373号公報記載の一般式、特開平2-49762号公報記載の一般式(I)、同2-208653号公報記載の一般式(II)、同2-217845号公報記載の一般式(III)、米国特許第4906555号明細書記載の一般式(B)、欧州特許出願公開第309400A2号明細書記載の一般式、同第309401A1号明細書記載の一般式、同第309402A1号明細書記載の一般式等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
【0076】
一般式(TS−II)で表わされる化合物について、本発明の効果の点での好ましい置換基について述べる。本発明の効果の点で、R61、R62、R63及びR64は脂肪族基である場合が好ましく、メチル基である場合はさらに好ましい。本発明の効果の点で、X61は水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシル基、アシルオキシ基またはオキシラジカル基である場合が好ましく、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシル基、またはオキシラジカル基である場合はさらに好ましく、脂肪族基、脂肪族オキシ基である場合は最も好ましい。本発明の効果の点で、X62は6員環である場合が好ましく、ピペリジン環である場合はさらに好ましい。本発明の効果の点で、一般式(TS−II)で表わされる化合物は、R61、R62、R63及びR64がメチル基であって、X61が水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシル基またはオキシラジカル基であって、X62が6員環である場合が好ましく、R61、R62、R63及びR64がメチル基であって、X61が脂肪族基または脂肪族オキシ基であって、X62はピペリジン環を形成している場合はさらに好ましい。
【0077】
本発明の一般式(TS− II)で表される化合物の添加量は色素形成カプラーに対して0.5モル%〜200モル%が好ましく、1モル%〜100モル%がさらに好ましく、1モル%〜50モル%が特に好ましい。
以下に本発明の一般式(TS− II)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0078】
【化25】
【0079】
【化26】
【0080】
【化27】
【0081】
【化28】
【0082】
【化29】
【0083】
次に、本発明の一般式(Ph)で表される化合物について詳細に説明する。
【0084】
【化30】
【0085】
一般式(Ph)において、Rb1は脂肪族基、アリール基、カルバモイル基、アシルアミノ基、カルボニル基又はスルホニル基を表し、Rb2〜Rb5は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族基、アリール基、複素環基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、オキシカルボニルオキシ基、カルバモイル基、アシルアミノ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルファモイル基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を表す。
【0086】
以下に一般式(Ph)で表される化合物について詳細に説明する。
Rb1は脂肪族基、アリール基、カルバモイル基、アシルアミノ基、カルボニル基又はスルホニル基を表す。また、これらの置換基は更に他の置換基によって置換され得る。脂肪族基としてはメチル、エチル、i−プロピル、t−ブチル、t−オクチル、シクロヘキシル等が挙げられる。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられる。カルバモイル基としてはN,N−ジエチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル、ヘキシルカルバモイル、N,N−ジフェニルカルバモイルが挙げられる。アシルアミノ基としてはブチルアミド、ヘキシルアミド、オクチルアミド、ベンズアミド等が挙げられる。カルボニル基としてはヘキシルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル等が挙げられる。スルホニル基としてはブチルスルホニル、オクチルスルホニル、ドデシルスルホニルなどが挙げられる。
【0087】
Rb2〜Rb5は各々独立に、水素原子またはハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、ヒドロキシ基、アルキル基(例えばメチル、エチル、ブチル、アリル等)、アリール基(例えばフェニル、ナフチル等)、複素環基(例えばピペリジル基、ピロリル基、インドリル基等)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ、オクチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ、ナフトキシ等)、複素環オキシ基(例えばピペリジルオキシ、ピロリルオキシ、インドリルオキシ等)、オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニルフェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニル)、アシル基(例えばアセチル、ピバロイル、メタクリロイル等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ等)、オキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ、オクチルオキシカルボニルオキシ、フェノキシカルボニルオキシ)、脂肪族スルホニル基(例えばメタンスルホニル、ブタンスルホニル等)、カルバモイル基(例えばN,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、ジフェニルカルバモイル、ヘキシルカルバモイル等)、アシルアミノ基(例えばヘプチルアミド、ウンデシルアミド、ペンタデシルアミド、1−ヘキシルノニルアミド等)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル等)、スルフィニル基(例えばメタンスルフィニル、オクタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル、p−トルエンスルフィニル等)、スルファモイル基(例えばジメチルスルファモイル等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ、オクチルチオ、ドデシルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)を表す。またRb1〜Rb5はそれぞれ連結基となって2つ以上のフェノール母核を連結しても良い。
Rb1として好ましい基はアルキル基、カルバモイル基、アシルアミド基であり、中でもアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。Rb2としてはアミド基、脂肪族オキシ基、アルキレン連結基が好ましく、アルキレン連結基である場合は2つのフェノール母核が連結されていることが好ましい。
【0088】
以下に、一般式(Ph)で表される化合物の好ましい構造を示す。
【0089】
【化31】
【0090】
一般式(Ph−1)で表される化合物について詳しく説明する。
Rb6は脂肪族基、アリール基、アミノ基、アシル基を表し、Rb1は一般式(Ph)で定義したものと同義であり、好ましい範囲も同じである。Rb7、Rb8、Rb9は各々独立に、一般式(Ph)で定義したRb2〜Rb5と同義であり、好ましい範囲も同じである。Rb6は脂肪族基であることが好ましく、更に無置換の脂肪族基が好ましく、特に分岐の脂肪族基が好ましい。また、Rb6の総炭素数は8以上25以下が好ましく、12以上20以下が特に好ましい。Rb1は脂肪族基、アリール基、カルバモイル基、オキシカルボニル基が好ましく、脂肪族基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。Rb7、Rb8、Rb9は水素原子、脂肪族基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0091】
一般式(Ph−2)で表される化合物について詳しく説明する。
Rb1は一般式(Ph)で定義したものと同義であり、好ましい範囲も同じである。Rb10は水素原子、脂肪族基(例えばブチル、ベンジル等)、アシル基(例えばアクリロイル、1−メチルアクリロイル、2−メチルアクリロイル等)、オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、フェノキシカルボニル等)シリル基、ホスホリル基を表す。Xbはアルキレン連結基(例えばメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピルメチレン、ペンチルメチレン等、)フェニレン連結基(フェニレン等)、−O−連結基、又は−S−連結基である。Rb11〜Rb16は各々独立に、一般式(Ph)で定義したRb2〜Rb5と同義であり好ましい範囲も同じである。
【0092】
Rb10で好ましい基は光堅牢性改良の観点では、水素原子、アシル基、アルキル基であり、水素原子、アシル基が更に好ましい。光堅牢性改良の観点では水素原子が特に好ましいが、Rb10が水素原子であると、一般式(Ph−2)で表される化合物自体がパラフェニレンジアミン酸化体と反応してシアン発色することによる色にごりを生じるため好ましくない。Xbはアルキレン連結が好ましく、−CHRb21(Rb21は水素原子、脂肪族基またはアリール基を表わす。)が更に好ましく、Rb21は脂肪族基であることが特に好ましい。Rb11、Rb14は脂肪族基が好ましく、炭素数6以下の脂肪族基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。
Rb1は脂肪族基、アリール基、カルバモイル基、オキシカルボニル基が好ましく、脂肪族基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。Rb12、Rb13、Rb15、Rb16は水素原子、脂肪族基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0093】
一般式(Ph−3)で表される化合物について詳しく説明する。
Rb17、Rb18は各々独立に脂肪族基、アリール基を表わす。Rb1は一般式(Ph)で定義したものと同義であり、好ましい範囲も同じである。Rb19、Rb20は一般式(Ph)で定義したRb2〜Rb5と同義であり、好ましい範囲も同じである。
Rb17、Rb18は脂肪族基が好ましい。Rb19、Rb20は水素原子、脂肪族基が好ましく、水素原子が特に好ましい。Rb1はカルバモイル基、オキシカルボニル基、脂肪族基が好ましく、カルバモイル基、オキシカルボニル基が特に好ましい。
【0094】
以下に本発明に用いられる一般式(Ph)で表される化合物の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0095】
【化32】
【0096】
【化33】
【0097】
【化34】
【0098】
【化35】
【0099】
【化36】
【0100】
【化37】
【0101】
【化38】
【0102】
【化39】
【0103】
【化40】
【0104】
【化41】
【0105】
【化42】
【0106】
【化43】
【0107】
【化44】
【0108】
【化45】
【0109】
【化46】
【0110】
【化47】
【0111】
本発明に用いられる一般式(Ph)で表される化合物の添加量は色素形成カプラーに対して10モル%〜200モル%が好ましく、20モル%〜150モル%が更に好ましく、40モル%〜120モル%が特に好ましい。
【0112】
次に一般式(Ph)で表わされる化合物の具体的な合成法を示す。
合成例(A−22)の合成
2−アミノ−p−クレゾール 28.7g(0.233モル)と重曹38.6g(0.460モル)にアセトニトリル126mLを加え、加熱攪拌下にイソパルミチン酸クロライド63.2g(0.23モル)を30分間で滴下した。更に1時間加熱攪拌をし、メタノール100mLを加え、不溶物を濾別し、メタノール100mLで不溶物を洗浄した。得られた溶液を室温で攪拌下に水50mLを25分間で滴下し、晶析した。水冷し、更に2時間攪拌した。析出した結晶を濾過し、メタノール/水=5/1 250mLで洗浄し、更に水250mLで洗浄した。得られた結晶を45℃送風乾燥機で1日乾燥し、80.5gの白色結晶を得た。収率96.8% 融点82〜84℃
他の化合物も同様な方法で合成することができる。
【0113】
以下に本発明に用いられる一般式(TS−II)で表される化合物、一般式(Ph)で表される化合物と好ましく組み合わせて用いることができる一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される化合物について詳しく説明する。
【0114】
【化48】
【0115】
R41は脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、フォスホリル基または-Si(R47)(R48)(R49)を表す。ここで、R47、R48及びR49は各々独立に脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基またはアリールオキシ基を表す。R42〜R46は水素原子または置換基を表す。Ra1〜Ra4は各々独立に、水素原子または脂肪族基(例えばメチル、エチル)を表す。
一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表わされる化合物について、本発明の効果の点での好ましい置換基について述べる。
一般式(E−1)〜(E−3)において、R41は脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基またはフォスホリル基であって、R42、R43、R45及びR46は各々独立に、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基またはアシルアミノ基である場合が好ましく、R41は脂肪族基であって、R42、R43、R45及びR46は各々独立に、水素原子または脂肪族基である場合はさらに好ましい。
以下に以下に本発明の一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0116】
【化49】
【0117】
【化50】
【0118】
【化51】
【0119】
【化52】
【0120】
一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される化合物は、特開昭53-17729号公報、同53-20327号公報、同54-145530号公報、同55-21004号公報、同56-159644号公報に記載の方法もしくはこれに準じた方法で合成することができる。本発明に好ましく用いられる一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される化合物の添加量は色素形成カプラーに対して10モル%〜100モル%が好ましく、20モル%〜80モル%が更に好ましく、30モル%〜60モル%が特に好ましい。
【0121】
次に、以下に本発明に用いられる一般式(TS−II)で表される化合物、一般式(Ph)で表される化合物と好ましく組み合わせて、さらにはこの組合せに一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される化合物と組合わせて、好ましく組み合わせて用いることができる一般式(TS−I)、(TS−III)、(TS−IV)、(TS−V)、(TS−VI)または(TS−VII)で表される化合物、金属錯体、紫外線吸収剤、及び水不溶性の単独重合体もしくは共重合体を詳細に説明する。
以下に一般式(TS−I)で表される化合物を詳細に説明する。
【0122】
【化53】
【0123】
一般式(TS−I)中、R51は水素原子、脂肪族基(例えば、メチル、i−プロピル、s−ブチル、ドデシル、メトキシエトキシ、アリル、ベンジル)、アリール基(例えば、フェニル、p−メトキシフェニル)、ヘテロ環基(例えば2−テトラヒドロフリル、ピラニル)、アシル基(例えばアセチル、ピバロイル、ベンゾイル、アクリロイル)、脂肪族オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル、p−メトキシフェノキシカルボニル)、脂肪族スルホニル基(例えばメタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル)、フォスホリル基(例えばジエチルフォスホリル、ジフェニルフォスホリル、ジフェノキシフォスホリル)、または、−Si(R58)(R59)(R60)を表す。ここで、R58、R59、R60は同一でも異なってもいても良く、それぞれ独立に、脂肪族基(例えばメチル、エチル、t−ブチル、ベンジル、アリル)、アリール基(例えばフェニル)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ、ブトキシ)またはアリールオキシ基(例えばフェノキシ)を表す。
【0124】
X51は−O−または−N(R57)−を表す。ここで、R57はR51と同義である。X55は−N=または−C(R52)=、X56は−N=または−C(R54)=、X57は−N=または−C(R56)=をそれぞれ表わす。R52、R53、R54、R55、R56は各々独立に、水素原子または置換基を表し、好ましい置換基としては脂肪族基(例えばメチル、t−ブチル、t−ヘキシル、ベンジル)、アリール基(例えばフェニル)、脂肪族オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、脂肪族スルホニル基(例えばメタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル、p−ヒドロキシベンゼンスルホニル)または−X51−R51である。
【0125】
但し、R51〜R57のすべてが水素原子であることはなく、総炭素数は10以上(好ましくは10〜50)であり、好ましくは総炭素数16以上(好ましくは16〜40)である。また、一般式(TS−I)で表わされる化合物は、一般式(Ph)、又は一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表わされる化合物となることはない(すなわち、一般式(Ph)、又は一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表わされる化合物である場合を除く)。
【0126】
本発明に用いられる一般式(TS−I)で表される化合物は、特公昭63-50691号公報記載の一般式(I)、特公平2-37575号公報記載の一般式(IIIa),(IIIb),(IIIc)、同2-50457号公報記載の一般式、同5-67220号公報記載の一般式、同5-70809号公報記載の一般式(IX)、同6-19534号公報記載の一般式、特開昭62-227889号公報記載の一般式(I)、同62-244046号公報記載の一般式(I),(II)、特開平2-66541号公報記載の一般式(I),(II)、同2-139544号公報記載の一般式(II),(III)、同2-194062号公報記載の一般式(I)、同2-212836号公報記載の一般式(B),(C),(D)、同3-200758号公報記載の一般式(III)、同3-48845号公報記載の一般式(II),(III)、同3-266836号公報記載の一般式(B),(C),(D)、同3-969440号公報記載の一般式(I)、同4-330440号公報記載の一般式(I)、同5-297541号公報記載の一般式(I)、同6-130602号公報記載の一般式、国際公開WO91/11749号パンフレット記載の一般式(1),(2),(3)、独国特許出願公開第4008785A1号明細書記載の一般式(I)、米国特許第4931382号明細書記載の一般式(II)、欧州特許第203746B1号明細書記載の一般式(a)、同第264730B1号明細書記載の一般式(I)、特開昭62-89962号公報記載の一般式(III)等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
本発明の効果の点で一般式(TS-I)で表される化合物は、一般式(TS-ID)〜(TS-IH)のいずれかで表される化合物が好ましい。
【0127】
【化54】
【0128】
一般式(TS−ID)〜(TS−IH)において、R51〜R57及びX51は一般式(TS-I)で定義したものと同じである。X52およびX53は各々独立に2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、オキシ基、スルホニル基が挙げられる。式中、同一分子中の同記号は同じであっても異なっていても良い。
なお、一般式(TS−ID)〜(TS−IG)のいずれかで表わされる化合物は、一般式(Ph)、一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表わされる化合物になることはない。
【0129】
一般式(TS−ID)〜(TS−IH)のいずれかで表わされる化合物について、本発明の効果の点での好ましい置換基について述べる。
(TS−ID)において、R51は水素原子、脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基またはフォスホリル基であって、R52、R53、R55及びR56は各々独立に、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基またはアシルアミノ基である場合が好ましく、R51は脂肪族基であって、R52、R53、R55及びR56は各々独立に、水素原子または脂肪族基である場合はさらに好ましい。一般式(TS−IE)、(TS−IF)、(TS−IG)において、R51は水素原子、脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基またはフォスホリル基であって、R52、R53、R55及びR56が各々独立に、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基またはアシルアミノ基であって、R54が脂肪族基、カルバモイル基またはアシルアミノ基であって、X52およびX53は、アルキレン基またはオキシ基である場合が好ましく、R51が水素原子、脂肪族基、アシル基またはホスホリル基であって、R52、R53、R55及びR56が各々独立に、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基またはアシルアミノ基であって、R54が脂肪族基またはカルバモイル基であって、X52およびX53が、−CHR58−(R58はアルキル基)である場合はさらに好ましい。一般式(TS−IH)において、R51が脂肪族基、アリール基またはヘテロ環基であって、R53、R55が各々独立に、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基またはヘテロ環オキシ基である場合が好ましく、R51が、アリール基またはヘテロ環基であって、R53、R55が各々独立にアリールオキシ基またはヘテロ環オキシ基である場合はさらに好ましい。
本発明の効果の点で、一般式(TS−I)で表わされる化合物は、(TS−IE)、(TS−IG)のいずれかで表わされる化合物が好ましい。
【0130】
一般式(TS−III)で表わされる化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−III)中、R65及びR66は各々独立に水素原子、脂肪族基(例えばメチル、エチル、t-ブチル、オクチル、メトキシエトキシ)、アリール基(例えばフェニル、4-メトキシフェニル)、アシル基(例えばアセチル、ピバロイル、メタクリロイル)、脂肪族オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、カルバモイル基(例えばジメチルカルバモイル、フェニルカルバモイル)、脂肪族スルホニル基(例えばメタンスルホニル、ブタンスルホニル)又はアリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)を表し、R67は水素原子、脂肪族基(例えばメチル、エチル、t−ブチル、オクチル、メトキシエトキシ)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ、オクチルオキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−メトキシフェノキシ)、脂肪族チオ基(例えばメチルチオ、オクチルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ、p−メトキシフェニルチオ)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ、ピバロイルオキシ)、脂肪族オキシカルボニルオキシ基(例えばメトキシカルボニルオキシ、オクチルオキシカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ)、置換アミノ基(置換基としては置換可能ならば良く、例えば脂肪族基、アリール基、アシル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基等の置換したアミノ基)、ヘテロ環基(例えばピペリジン環、チオモルホリン環)又はヒドロキシ基を表し、可能な場合にはR65とR66、R66とR67、R65とR67は互いに結合し5〜7員環(例えばモルホリン環、ピラゾリジン環)を形成しても良いが、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を形成することはない。但し、R65、R66が同時に水素原子であることはなく、一般式(TS−III)で表わされる化合物の総炭素数は7以上(好ましくは7〜50)である。
【0131】
本発明に用いられる一般式(TS−III)で表される化合物は、特公平6-97332号公報記載の一般式(I)、特公平6-97334号公報記載の一般式(I)、特開平2-148037号公報記載の一般式(I)、同2-150841号公報記載の一般式(I)、同2-181145号公報記載の一般式(I)、同3-266836号公報記載の一般式(I)、同4-350854号公報記載の一般式(IV)、同5-61166号公報記載の一般式(I)等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
本発明の効果の点で一般式(TS−III)で表される化合物は、一般式(TS−IIIA)〜(TS−IIID)のいずれかで表される化合物が好ましい。
【0132】
【化55】
【0133】
一般式(TS−IIIA)〜(TS−IIID)においてR65〜R66は一般式(TS−III)で定義したものと同じである。Rb1〜Rb3、Rb5はR65と同義であり、Rb4は水素原子、脂肪族基(例えばオクチル、ドデシル、3−フェノキシプロピル)またはアリール基(例えば、フェニル、4−ドデシルオキシフェニル)である。X63は5〜7員環(例えばピラゾリジン環、ピラゾリン環)を形成するに必要な非金属原子群を表す。
【0134】
一般式(TS−IIIA)〜(TS−IIID)のいずれかで表わされる化合物について、本発明の効果の点での好ましい置換基について述べる。一般式(TS−IIIA)においては、R65及びRb1が各々独立に水素原子、脂肪族基またはアリール基、であって、R66およびRb2が各々独立に脂肪族基、アリール基またはアシル基である場合が好ましく、R65およびRb1が各々独立に脂肪族基であって、R66およびRb2が各々独立に脂肪族基、アリール基またはアシル基である場合はさらに好ましい。一般式(TS−IIIB)においては、R65は水素原子、脂肪族基、アリール基、アシル基または脂肪族オキシカルボニル基であって、Rb3は脂肪族基、アリール基またはアシル基であって、X63は5員環を形成する非金属原子群である場合が好ましく、R65が水素原子または脂肪族基であって、Rb3は脂肪族基またはアリール基であって、X63はピラゾリジン環を形成する原子群である場合はさらに好ましい。一般式(TS−IIIC)においては、R65及びR66が各々独立に水素原子、脂肪族基、アリール基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基であって、Rb3は水素原子、脂肪族基またはアシル基である場合が好ましく、R65およびR66が各々独立に脂肪族基、アシル基または脂肪族オキシカルボニル基であって、Rb3が水素原子、脂肪族基またはアシル基である場合はさらに好ましい。一般式(TS−IIID)においては、R65が水素原子、脂肪族基、アリール基、アシル基またはカルバモイル基であって、Rb5が脂肪族基またはアリール基であって、Rb4が脂肪族基またはアリール基である場合が好ましく、R65が脂肪族基、アリール基、アシル基またはカルバモイル基であって、Rb5が脂肪族基またはアリール基であって、Rb4が脂肪族基またはアリール基である場合はさらに好ましい。
本発明の効果の点で、一般式(TS−III)で表わされる化合物は、一般式(TS−IIIB)、(TS−IIIC)または(TS−IIID)で表わされる化合物がさらに好ましく、一般式(TS−IIIB)または(TS−IIIC)で表わされる化合物は最も好ましい。
【0135】
一般式(TS−IV)で表わされる化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−IV)中、R71およびR72は各々独立に、脂肪族基(例えばメチル、メトキシカルボニルエチル、ドデシルオキシカルボニルエチル、ベンジル)、アリール基(例えばフェニル、4−オクチルオキシフェニル、2−ブトキシ−5−(t)オクチルフェニル)またはヘテロ環基(例えば2−ピリジル、2−ピリミジル)、さらに、R71は水素原子、Li、NaまたはKを表し、R71とR72は互いに結合し、5〜7員環(例えばテトラヒドロチオフェン環、チオモルホリン環)を形成しても良い。qは0、1または2を表す。但し、R71、R72の総炭素数は10以上(好ましくは10〜60)である。
【0136】
本発明に用いられる一般式(TS−IV)で表される化合物は、特公平2-44052号公報記載の一般式(I)、特開平3-48242号公報記載の一般式(T)、同3-266836号公報記載の一般式(A)、同5-323545号公報記載の一般式(I),(II),(III)、同6-148837号公報記載の一般式(I)、米国特許第4933271号明細書記載の一般式(I)、同第4770987号明細書記載の一般式(1)等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
【0137】
本発明の効果の点で、一般式(TS−IV)において、qが0または2であることが好ましく、qが0である場合には、R71およびR72が各々独立に、脂肪族基またはアリール基である場合、またR71とR72が結合し6員環を形成した場合が好ましく、qが2である場合はR71が水素原子、Na、K、脂肪族基またはアリール基であって、R72は脂肪族基またはアリール基である場合が好ましく、R71が水素原子、NaまたはKであって、R72がアリール基である場合はさらに好ましい。
【0138】
一般式(TS−V)で表わされる化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−V)中、R81、R82およびR83は各々独立に、脂肪族基(例えばメチル、エチル、t−オクチル、アリル)、アリール基(例えばフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−ビニルフェニル)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ、t−オクチルオキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ、2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ)、脂肪族アミノ基(例えばブチルアミノ、ジブチルアミノ)またはアリールアミノ基(例えばアニリノ、4−メトキシアニリノ、N−メチルアニリノ)を表し、tは0または1を表す。R81とR82、R81とR83は互いに結合し、5〜8員環を形成しても良い。但し、R81、R82、R83の総炭素数は10以上(好ましくは10〜50)である。
【0139】
本発明に用いられる一般式(TS−V)で表される化合物は、特開平3-25437号公報記載の一般式(I)、同3-142444号公報記載の一般式(I)、米国特許第4749645号明細書記載の一般式、同第4980275号明細書記載の一般式等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
【0140】
本発明の効果の点で、一般式(TS−V)において、tが1であって、R81、R82およびR83が各々独立に、脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基またはアリールアミノ基である場合(好ましくはR81、R82およびR83の少なくとも1つが脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基またはアリールオキシ基である場合)が好ましく、またR81とR82が結合し8員環を形成した場合であっても好ましく、tが1であって、R81、R82およびR83が各々独立にアリール基、脂肪族オキシ基またはアリールオキシ基である場合(好ましくはR81、R82およびR83の少なくとも1つがアリール基またはアリールオキシ基である)場合はさらに好ましい。
【0141】
一般式(TS−VI)で表わされる化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−VI)中、R85、R86、R87およびR88は各々独立に、水素原子または置換基(例えば脂肪族、アリール、脂肪族オキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ホスホリル、アシルアミノ、カルバモイル)を表わす。但しR85、R86、R87およびR88のすべてが水素原子であることはなく、R85、R86、R87およびR88の任意の2つが結合し、5〜7員環(例えば、シクロヘキセン環、シクロヘキサン環)を形成していても良いが、炭素原子のみの芳香環を形成することはない。一般式(TS−VI)で表わされる化合物の総炭素数は10以上(好ましくは10〜50)である。
【0142】
本発明に用いられる一般式(TS−VI)で表される化合物は、米国特許第4713317号明細書記載の一般式(I)、特開平8-44017号公報記載の一般式(I)、同8-44018号公報記載の一般式(I)、同8-44019号公報記載の一般式(I)、同8-44020号公報記載の一般式(I),(II)、同8-44021号公報記載の一般式(I)、同8-44022号公報記載の一般式(I),(II)等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
【0143】
本発明の効果の点で一般式(TS−VI)で表される化合物は、一般式(TS−VIA)〜(TS−VIC)のいずれかで表される化合物が好ましい。
【0144】
【化56】
【0145】
一般式(TS−VIA)〜(TS−VIC)において、R85、R86およびR87は一般式(TS−VI)で定義したものと同じである。Rd1は脂肪族基(例えばメチル、ブチル、(t)ブチル、ドデシル)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ、ブトキシ、(t)ブトキシ、ドデシルオキシ、アリルオキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシ、)、脂肪族アミノ基(例えばメチルアミノ、アリルアミノ、ジアリルアミノ)またはアリールアミノ基(例えばアニリノ、N−メチルアニリノ)を表わし、Rd2およびRd3は各々独立に、アルケニル基(例えばビニル、アリル、オレイル)を表わし、Rd4は水素原子、脂肪族基(例えばメチル、アリル、ビニル、オクチル)またはアリール基(例えばフェニル、ナフチル、4−ビニルフェニル)を表わす。u、vは各々独立に1、2または3を表わす。
一般式(TS−VIA)〜(TS−VIC)のいずれかで表わされる化合物について、本発明の効果の点での好ましい置換基について述べる。一般式(TS−VIA)においては、R85、R86およびR87は各々独立に水素原子または脂肪族基であって、Rd1は脂肪族オキシ基、脂肪族アミノ基またはアリールアミノ基である場合が好ましく、R85、R86およびR87は水素原子または脂肪族基であって、Rd1は脂肪族オキシ基または脂肪族アミノ基である場合がさらに好ましい。一般式(TS−VIB)においては、R85が脂肪族基またはアリール基であって、Rd2がアルケニル基であって、uは1、2または3である場合が好ましく、R85が脂肪族基またはアリール基であって、Rd2がアルケニル基であって、uは2または3である場合がさらに好ましい。一般式(TS−VIC)においては、R85は脂肪族基またはアリール基であって、Rd3がアルケニル基であって、Rd4が水素原子または脂肪族基であって、uは1、2または3である場合が好ましく、R85は脂肪族基またはアリール基であって、Rd3がアルケニル基であって、Rd4は水素原子、アルケニル基であって、uは2または3である場合がさらに好ましい。
本発明の効果の点で、一般式(TS−VI)において、一般式(TS−VIA)または(TS−VIB)で表わされる化合物がさらに好ましく、一般式(TS−VIA)で表わされる化合物が最も好ましい。
【0146】
次に、一般式(TS−VII)で表される化合物について説明する。
R91は炭素原子数の総和が10以上(好ましくは10〜50、さらに好ましくは10〜32)の疎水性基を表し、好ましくは炭素数1〜32のアルキル基、炭素数2〜32のアルケニル基、炭素数2〜32のアルキニル基、炭素数3〜32のシクロアルキル基、炭素数3〜32のシクロアルケニル基等が挙げられる。アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基は直鎖でも分岐でもよい。
また、これらの脂肪族基には置換基を有するものも含む。
【0147】
芳香族基の例としては、アリール基(例えば、フェニル基等)、芳香族ヘテロ環基(例えば、ピリジル基、フリル基等)等が挙げられる。また、これらの芳香族基には置換基を有するものも含む。
【0148】
R91は好ましくはそれぞれアルキル基又はアリール基である。
【0149】
R91で表される脂肪族基又は芳香族基の置換基としては特に制限はないが、好ましくはアルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシルアミノ基、アミノ基等が挙げられる。さらに好ましくは脂肪族基である。
【0150】
Y91はアルコール性水酸基を含有する一価の有機基を表す。Y91は好ましくは下記一般式〔AL〕で表される一価の有機基である。
一般式〔AL〕 Y92−(L92)m92−
式中、Y92は多価アルコールに含まれる複数の水酸基の内のひとつから水素原子を除いた化合物残基を表し、L92は2価の連結基を表す。m92は0又は1を表す。
ここで水素原子を除いてY92の表す基となる多価アルコールとしてはグリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ソルビタン、ソルビド、ソルビット、糖類等が好ましい。L92で表される2価の連結基としては、−C(=O)−、−SO2−が好ましい。
【0151】
また一般式(TS-VII)で表される化合物の別の形態における好ましい化合物としては、R91が炭素原子数12以上の脂肪族基(好ましくは、炭素原子数12〜32のアルキル基またはアルケニル基)であり、Y91がOH基である化合物である。
【0152】
以下、本発明における金属錯体について述べる。
本発明における金属錯体は、中心金属が、Cu、Co、Ni、PdまたはPtであるものが好ましく、Niであるものがより好ましい。また、好ましくは水に対する溶解度が低く、(好ましくは室温での溶解度が50%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは10%以下)である。好ましい化合物は化合物全体の炭素数でも規定することができ、総炭素数15〜65が好ましく、20〜60がより好ましく、25〜55がさらに好ましく、30〜50が最も好ましい。
本発明における金属錯体は、どのような配位子を有するものでも構わない。好ましくはジチオレート系錯体またはサリチルアルドキシム系錯体であり、サリチルアルドキシム系錯体がより好ましい。
【0153】
本発明における金属錯体としては、ジチオレート系ニッケル錯体、サリチルアルドキシム系ニッケル錯体等多くが知られており有効であるが、特公昭61-13736号公報記載の一般式(I)、同61-13737号公報記載の一般式(I)、同61-13738号公報記載の一般式(I)、同61-13739号公報記載の一般式(I)、同61-13740号公報記載の一般式(I)、同61-13742号公報記載の一般式(I)、同61-13743号公報記載の一般式(I)、同61-13744号公報記載の一般式(I)、特公平5-69212号公報記載の一般式、同5-88809号公報記載の一般式(I),(II)、特開昭63-199248号公報記載の一般式、同64-75568号公報記載の一般式(I),(II)、特開平3-182749号公報記載の一般式(I),(II)、米国特許第4590153号明細書記載の一般式(II),(III),(IV),(V)、同第4912027号明細書記載の一般式(II),(III),(IV)等に記載の化合物が好ましい。
本発明の効果の点で金属錯体は、一般式(TS−VIIIA)で表される化合物が好ましい。
【0154】
【化57】
【0155】
一般式(TS−VIIIA)において、R101、R102、R103およびR104は各々独立に、水素原子または置換基(例えば脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、アシルアミノ基)を表し、R105は水素原子、脂肪族基(例えばメチル、エチル、ビニル、ウンデシル)またはアリール基(例えばフェニル、ナフチル)を表し、R106は水素原子、脂肪族基(例えばメチル、エチル)、アリール基(例えばフェニル、4-メチルフェニル)またはヒドロキシ基を表す。MはCu、Co、Ni、PdまたはPtを表す。2つのR106が互いに結合し、5〜7員環を形成しても良く、隣接のR101とR102、R102とR103、R103とR104、R104とR105は互いに結合し、5〜6員環を形成しても良い。
本発明の効果の点で、一般式(TS−VIIIA)において、R101、R102、R103およびR104は水素原子、脂肪族基または脂肪族オキシ基であって、R105は水素原子、R106は水素原子、脂肪族基またはヒドロキシ基であって、MはNiである場合が好ましく、R101、R102、R103およびR104が水素原子または脂肪族オキシ基であって、R105は水素原子、R106はヒドロキシ基であって、MはNiである場合がさらに好ましい。
【0156】
次に本発明に用いられる紫外線吸収剤について説明する。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は、400nm以下に最大吸収波長(λmax)を有する化合物であれば如何なるものでも良いが、好ましくは下記一般式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)で表される化合物である。
【0157】
【化58】
【0158】
式中R21は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基を表わし、R22、R23は各々同じでも異なってもいてもよく、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わす。
【0159】
より詳しくは、式中、R21は水素原子、ハロゲン原子(例えばCl、Br)、炭素数1〜5のアルキル基(例えばメチル、エチル、ブチルなど)、炭素数1〜4のアルコキシ基(例えばメトキシ、ブトキシなど)を表わし、R22、R23は各々同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基(例えばメチル、エチル、secブチル、tertブチル、tertオクチル、ドデシル、カルボキシエチル、n−オクチルオキシカルボニルエチルなど)、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基(例えばフェニル、p−クロロフェニル、p−メトキシフェニルなど)を表わす。
【0160】
【化59】
【0161】
式中、R24、R25、R26は各々同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜12のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、ドデシルオキシなど)ヒドロキシル基を表わす。
【0162】
【化60】
【0163】
式中、R27はヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキル基を表わす。R28、R29は水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキル基を表わし、R28とR27あるいはR29とR27が隣りあった位置にあって5〜6員環を形成してもよい。X、YはCN、−COR140、−COOR140、−SO2R140、−CON(R140)(R141)、−COOHを表わしX、Yはお互いに同じでも異なっていてもよい。R140、R141はアルキル基、アリール基を表わし、R141は水素原子であってもよい。
【0164】
より詳しくは、R27はヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、n−ブトキシなど)、炭素数1〜6のアルキル基(例えばメチル、エチル、t−ブチル、isoプロピルなど)を表わし、R28、R29は水素原子、ヒドロキシ、R27と同意味のアルコキシ基、アルキル基を表わし、R28とR27、R29とR27の隣の位置にあって5〜6員環(例えばメチレンジオキシ環)を形成してもよい。X、YはCN、−COR140、−COOR140、−SO2R140、−CON(R140)(R141)、−COOHを表わしX、Yはお互いに同じでも異なっていてもよい。R140、R141は炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアルキル基(例えばメチル、エチル、メトキシエチル、n−ヘキシル、フェノキシエチルなど)、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基(例えばフェニル、p−クロロフェニル、p−メチルフェニル、p−tertブチルフェニルなど)を表わし、R141は水素原子であってもよい。
【0165】
【化61】
【0166】
式中、R30、R31は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基を表わし、R30、R31は互いに同じでも異なっていてもよいが同時に水素原子であることはない。またNとともに5〜6員環を形成してもよい。X、Yは一般式(C)について述べたと同じ意味をもつ。
【0167】
より詳しくはR30、R31は水素原子、炭素数1〜12の置換もしくは無置換のアルキル基(例えばメチル、エチル、t−ブチル、n−ドデシル、メトキシエチル、エトキシエチルなど)、炭素数3〜6のアルケニル基(例えばフェニル、トリル、p−クロロフェニル、p−メトキシフェニルなど)を表わし、R30、R31は互いに同じでも異なっていてもよいが同時に水素原子であることはない。またNとともに5〜6員環(例えばピペリジン環、モルホリン環など)を形成してもよい。X、Yは一般式(C)について述べたと同じ意味をもつ。
【0168】
【化62】
【0169】
式中、R32、R33、R34は各々独立に置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基もしくは複素環基を表わす。但し、R32、R33、R34のうち少なくとも1つが下記一般式(F)を表わす。
【0170】
【化63】
【0171】
式中、R35、R36は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基を表わす。
一般式(TS−I)〜(TS−VII)で表される化合物、金属錯体、および紫外線吸収剤の具体的化合物例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0172】
【化64】
【0173】
【化65】
【0174】
【化66】
【0175】
【化67】
【0176】
【化68】
【0177】
【化69】
【0178】
【化70】
【0179】
【化71】
【0180】
【化72】
【0181】
【化73】
【0182】
【化74】
【0183】
【化75】
【0184】
【化76】
【0185】
【化77】
【0186】
【化78】
【0187】
【化79】
【0188】
【化80】
【0189】
【化81】
【0190】
【化82】
【0191】
【化83】
【0192】
【化84】
【0193】
【化85】
【0194】
【化86】
【0195】
【化87】
【0196】
【化88】
【0197】
【化89】
【0198】
【化90】
【0199】
【化91】
【0200】
【化92】
【0201】
次に、本発明に係る水不溶性かつ有機溶媒可溶性の単独重合体又は共重合体について詳細に説明する。
水不溶性かつ有機溶媒可溶性の単独又は共重合体(以下、本発明の共重合体という)としては各種のものを用いることができるが、例えば下記に示すものを好ましく用いることができる。本発明において、水不溶性とは、水に対する溶解度が0.1%以下のことをいう。
(1)ビニル系重合体及び共重合体
本発明に係るビニル系重合体及び共重合体を形成するモノマーを更に具体的に示す。
【0202】
アクリル酸エステル:例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、tert−オクチルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、2−ブロモエチルアクリレート、4−クロロブチルアクリレート、シアノエチルアクリレート、2−アセトキシエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、2−クロロシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−iso−プロポキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールアクリレート(付加モル数n=9)、1−ブロモ−2−メトキシエチルアクリレート、1,1−ジクロロ−2−エトキシエチルアクリレート;
【0203】
メタクリル酸エステル:例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレート、スルホプロピルメタクリレート、N−エチル−N−フェニルアミノエチルメタクリレート、2−(3−フェニルプロピルオキシ)エチルメタクリレート、ジメチルアミノフェノキシエチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、トリエチレングリコールモノメタクリレート、ジプロピレングリコールモノメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、2−アセトキシエチルメタクリレート、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−iso−プロポキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルメタクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルメタクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(付加モル数n=6);
【0204】
ビニルエステル類:例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル;アクリルアミド:例えば、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、エチルアクリルアミド、プロピルアクリルアミド、ブチルアクリルアミド、tert−ブチルアクリルアミド、シクロヘキシルアクリルアミド、ベンジルアクリルアミド、ヒドロキシメチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、フェニルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、β−シアノエチルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド;
【0205】
メタクリルアミド類:例えば、メタクリルアミド、メチルメタクリルアミド、エチルメタクリルアミド、プロピルメタクリルアミド、ブチルメタクリルアミド、tert−ブチルメタクリルアミド、シクロヘキシルメタクリルアミド、ベンジルメタクリルアミド、ヒドロキシメチルメタクリルアミド、メトキシエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、フェニルメタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、ジエチルメタクリルアミド、β−シアノエチルメタクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)メタクリルアミド;
【0206】
オレフィン類:例えば、ジシクロペンタジエン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン;スチレン類:例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル;
【0207】
クロトン酸エステル:例えば、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル;イタコン酸ジエステル類:例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル;マレイン酸ジエステル類:例えば、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル;フマル酸ジエステル類:例えば、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジブチル;などが挙げられる。
【0208】
その他のモノマーの例としては、次のものが挙げられる。
アリル化合物:例えば、酢酸アリル、カプロン酸アリル、ラウリン酸アリル、安息香酸アリル;ビニルエーテル類:例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル;ビニルケトン類:例えば、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン;ビニル異節環化合物:例えば、ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルトリアゾール、N−ビニルピロリドン;グリシジルエステル類:例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート;不飽和ニトリル類:例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル;などを挙げることができる。
【0209】
本発明に使用される重合体は、上記モノマーのホモポリマーでも良く、また必要に応じて、二種以上のモノマーから成る共重合体でも良い。更に、本発明に使用される重合体は、水溶性にならない程度に酸基を有するモノマーを含有していても良いが(好ましくは20%以下である。)、全く含有しないものが好ましい。上記酸基を有するモノマーとしては、アクリル酸;メタクリル酸;イタコン酸;マレイン酸;イタコン酸モノアルキル(例えば、イタコン酸モノメチル);マレイン酸モノアルキル(例えば、マレイン酸モノメチル);シトラコン酸;スチレンスルホン酸;ビニルベンジルスルホン酸;アクリロイルオキシアルキルスルホン酸(例えば、アクリロイルオキシメチルスルホン酸);メタクリロイルオキシアルキルスルホン酸(例えば、メタクリロイルオキシメチルスルホン酸、メタクリロイルオキシエチルスルホン酸、メタクリロイルオキシプロピルスルホン酸);アクリルアミドアルキルスルホン酸(例えば、2−アクリルアミド−2−メチルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸);メタクリルアミドアルキルスルホン酸(例えば、2−メタクリルアミド−2−メチルエタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸);アクリロイルオキシアルキルホスフェート(例えば、アクリロイルオキシエチルホスフェート、3−アクリロイルオキシプロピル−2−ホスフェート);メタクリロイルオキシアルキルホスフェート(例えば、メタクリロイルオキシエチルホスフェート、3−メタクリロイルオキシプロピル−2−ホスフェート)などを挙げることができる。
【0210】
これらの酸基を有するモノマーは、アルカリ金属(例えば、Na、Kなど)又はアンモニウムイオンの塩であってもよい。
【0211】
本発明に使用される重合体を形成するモノマーとしては、アクリレート系、メタクリレート系、アクリルアミド系及びメタアクリルアミド系が好ましい。
【0212】
上記モノマーより形成される重合体は、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法及びラテックス重合法により得られる。これらの重合に用いられる開始剤としては、水溶性重合開始剤、親油性重合開始剤が用いられる。
【0213】
水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類、4,4'−アゾビス−4−シアノ吉草酸ナトリウム、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩等の水溶性アゾ化合物、過酸化水素を用いることができる。
【0214】
親油性重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサノン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2'−アゾビスイソ酪酸ジエチル等の親油性アゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシドを挙げることができる。
【0215】
(2)多価アルコールと多塩基酸とが縮合して得られるポリエステル樹脂多価アルコールとしては、HO−Ra−OH(Raは炭素数2〜約12の炭化水素類、特に脂肪族炭化水素類)なる構造を有するグリコール類、又は、ポリアルキレングリコールが有効であり、多塩基酸としては、HOOC−Rb−COOH(Rbは単なる結合を表すか、又は炭素数1〜12の炭化水素類)を有するものが有効である。
【0216】
多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、1,4−ブタンジオール、イソブチレンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、1−メチルグリセリン、エリトリット、マンニット、ソルビット等が挙げられる。
【0217】
多塩基酸の具体例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、メタコン酸、イソヒメリン酸、シクロペンタジエン−無水マレイン酸付加物、ロジン−無水マレイン酸付加物が挙げられる。
【0218】
(3)開環重合法により得られるポリエステル
これらのポリエステルは、β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン、ジメチルプロピオラクトン等より得られる。
(4)その他
グリコール又は二価フェノールと、炭酸エステル或いはホスゲンとの重縮合により得られるポリカーボネート樹脂、多価アルコールと多価イソシアナートとの重付加により得られるポリウレタン樹脂又は多価アミンと多塩基酸より得られるポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0219】
本発明に用いられる重合体の数平均分子量は特に限定はないが、好ましくは20万以下であり、更に好ましくは800以上10万以下である。
【0220】
本発明に用いられる重合体の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。(共重合体の組成は質量比で示す。)
P−1)ポリ(N−sec−ブチルアクリルアミド)
P−2)ポリ(N−tert−ブチルアクリルアミド)
P−3)ジアセトンアクリルアミド−メチルメタクリレート共重合体(25:75)
P−4)ポリシクロヘキシルメタクリレート
P−5)N−tert−ブチルアクリルアミド−メチルメタクリレート共重合体(60:40)
P−6)ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)
P−7)ポリ(tert−ブチルメタクリレート)
P−8)ポリビニルアセテート
P−9)ポリビニルプロピオネート
P−10)ポリメチルメタクリレート
【0221】
P−11)ポリエチルメタクリレート
P−12)ポリエチルアクリレート
P−13)酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体(90:10)
P−14)ポリ-n-ブチルアクリレート
P−15)ポリ−n−ブチルメタクリレート
P−16)ポリイソブチルメタクリレート
P−17)ポリイソプロピルメタクリレート
P−18)ポリオクチルアクリレート
P−19)n−ブチルアクリレート−アクリルアミド共重合体(95:5)
P−20)ステアリルメタクリレート−アクリル酸共重合体(90:10)
【0222】
P−21)メチルメタクリレート−塩化ビニル共重合体(70:30)
P−22)メチルメタクリレート−スチレン共重合体(90:10)
P−23)メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体(50:50)
P−24)n−ブチルメタクリレート−メチルメタクリレート−スチレン共重合体(50:20:30)
P−25)酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体(85:15)
P−26)塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(65:35)
P−27)メチルメタクリレート−アクリルニトリル共重合体(65:35)
P−28)n−ブチルメタクリレート−ペンチルメタクリレート−N−ビニル−2−ピロリドン共重合体(38:38:24)
P−29)メチルメタクリレート−n−ブチルメタクリレート−イソブチル−メタクリレート−アクリル酸共重合体(37:29:25:9)
P−30)n−ブチルメタクリレート−アクリル酸(95:5)
【0223】
P−31)メチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(95:5)
P−32)ベンジルメタクリレート−アクリル酸共重合体(93:7)
P−33)n−ブチルメタクリレート−メチルメタクリレート−ベンジルメタクリレート−アクリル酸共重合体(35:35:25:5)
P−34)n−ブチルメタクリレート−メチルメタクリレート−ベンジルメタクリレート共重合体(40:30:30)
P−35)ジアセトンアクリルアミド−メチルメタクリレート共重合体(50:50)
P−36)メチルビニルケトン−イソブチルメタクリレート共重合体(55:45)
P−37)エチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート共重合体(70:30)
P−38)ジアセトンアクリルアミド−n−ブチルアクリレート共重合体(60:40)
P−39)メチルメタクリレート−ステアリルメタクリレート−ジアセトンアクリルアミド共重合体(40:40:20)
P−40)n−ブチルアクリレート−ステアリルメタクリレート−ジアセトンアクリルアミド共重合体(70:20:10)
【0224】
P−41)ステアリルメタクリレート−メチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(50:40:10)
P−42)メチルメタクリレート−スチレン−ビニルスルホンアミド共重合体(70:20:10)
P−43)メチルメタクリレート−フェニルビニルケトン共重合体(70:30)
P−44)n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート−n−ブチルメタクリレート共重合体(35:35:30)
P−45)n−ブチルメタクリレート−N−ビニル−2−ピロリドン共重合体(90:10)
P−46)ポリペンチルアクリレート
P−47)シクロヘキシルメタクリレート−メチルメタクリレート−n−プロピルメタクリレート共重合体(37:29:34)
P−48)ポリペンチルメタクリレート
P−49)メチルメタクリレート−n−ブチルメタクリレート共重合体(65:35)
P−50)ビニルアセテート−ビニルプロピオネート共重合体(75:25)
【0225】
P−51)n−ブチルメタクリレート−3−アクリルオキシブタン−1−スルホン酸ナトリウム共重合体(97:3)
P−52)n−ブチルメタクリレート−メチルメタクリレート−アクリルアミド共重合体(35:35:30)
P−53)n−ブチルメタクリレート−メチルメタクリレート−塩化ビニル共重合体(37:36:27)
P−54)n−ブチルメタクリレート−スチレン共重合体(82:18)
P−55)tert−ブチルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体(70:30)
P−56)ポリ(N−tert−ブチルメタクリルアミド)
P−57)N−tert−ブチルアクリルアミド−メチルフェニルメタクリレート共重合体(60:40)
P−58)メチルメタクリレート−アクリルニトリル共重合体(70:30)
P−59)メチルメタクリレート−メチルビニルケトン共重合体(28:72)
P−60)メチルメタクリレート−スチレン共重合体(75:25)
【0226】
P−61)メチルメタクリレート−ヘキシルメタクリレート共重合体(70:30)
P−62)ブチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(85:15)
P−63)メチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(80:20)
P−64)メチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(98:2)
P−65)メチルメタクリレート−N−ビニル−2−ピロリドン共重合体(90:10)
P−66)n−ブチルメタクリレート−塩化ビニル共重合体(90:10)
P−67)n−ブチルメタクリレート−スチレン共重合体(70:30)
P−68)1,4−ブタンジオール−アジピン酸ポリエステル
P−69)エチレングリコール−セバシン酸ポリエステル
P−70)ポリカプロラクタム
【0227】
P−71)ポリプロピオラクタム
P−72)ポリジメチルプロピオラクトン
P−73)N−tert−ブチルアクリルアミド−ジメチルアミノエチルアルアミド共重合体(85:15)
P−74)N−tert−ブチルメタクリアミド−ビニルピリジン共重合体(95:5)
P−75)マイレン酸ジエチル−n−ブチルアクリレート共重合体(65:35)
P−76)N−tert−ブチルアクリルアミド−2−メトキシエチルアクリレート共重合体(55:45)
【0228】
本発明に用いることができる更に別の好ましい態様の重合体は、少なくとも1種の芳香族基を有する単量体単位をその構成要素として含む実質的に水に不溶な重合体であり、数平均分子量は2000未満である。数平均分子量は好ましくは200以上2000未満、より好ましくは200以上1000以下である。本発明の重合体は1種類の単量体よりなる、いわゆるホモポリマーであってもよいし、2種類以上の単量体よりなる共重合体であってもよい。共重合体である場合には本発明に関わる芳香族基を有する単量体が重量組成で20%以上含まれていることが好ましい。上記の条件を満たせば重合体の構造は特に限定されないが、好ましい構造としてはスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレンもしくはこれらのベンゼン環上に置換基を持った単量体を構成要素とする重合体、芳香族アクリルアミド、芳香族メタクリルアミド、芳香族アクリル酸エステル、芳香族メタクリル酸エステルを構成要素とする重合体が挙げられる。ここで芳香族基とは、例えばフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、ビフェニル基等が挙げられる。またこれら芳香族基は、アルキル基やハロゲン原子等により置換されていても良い。また、共重合体である場合のコモノマーとしては、例えば特開昭63−264748号公報に挙げられた化合物を好ましく用いることができる。原料の入手しやすさ、乳化物の経時安定性の点でスチレン、α−メチルスチレンまたはβ−メチルスチレンから誘導される重合体が好ましい。これらの重合体は特開平7-140616号公報の段落番号0014〜0020に記載されたP-1〜P-37が好ましく、該段落番号の記載は本明細書の一部として好ましく取り込まれる。
【0229】
本発明において光退色改良等の本発明の効果の点で、一般式(TS−II)で表される化合物および一般式(Ph)で表される化合物と、さらにはこれらに加えて一般式(E−1)〜(E−3)で表される化合物と併用して、これらの組合せにさらに一般式(TS−I)、(TS−III)〜(TS−VII)で表される化合物および金属錯体、紫外線吸収剤、水不溶性の単独重合体もしくは共重合体と併用するのが好ましく、特に好ましくは、一般式(TS−I)、(TS−V)、(TS−VI)、(TS−VII)、紫外線吸収剤、水不溶性の単独重合体もしくは共重合体である。
【0230】
本発明に用いられる一般式(TS−II)、(Ph)又は(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される化合物は1種でも、数種併用されてもよく、一般式(I)、(II)又は(III)のいずれかで表される色素形成カプラーを含有する層またはその隣接層に使用するのが好ましく、特に好ましくは一般式(I)、(II)又は(III)のいずれかで表される色素形成カプラーを含有する層である。
本発明に用いられる一般式(TS−I)、(TS−III)〜(TS−VII)のいずれかで表される化合物、又は、金属錯体、紫外線吸収剤、水不溶性の単独重合体もしくは共重合体は1種でも、数種併用されてもよく、一般式(I)、(II)又は(III)のいずれかで表される色素形成カプラーと別層に添加されても、同一層に添加されても良いが、一般式(I)、(II)又は(III)のいずれかで表される色素形成カプラーと同一層に添加される場合が好ましい。なお、紫外線吸収剤の場合には、イエロー色素形成カプラー含有層の隣接層に添加されることも好ましい。
一般式(TS−I)、(TS−III)〜(TS−VII)のいずれかで表される化合物及び金属錯体、紫外線吸収剤、水不溶性の単独重合体もしくは共重合体の添加量は、一般式(I)、(II)又は(III)のいずれかで表される色素形成カプラーに対して1〜400質量%である場合が好ましく、10〜300質量%である場合は更に好ましく、15〜200質量%である場合は最も好ましい。
【0231】
本発明に用いられる一般式(TS−II)で表される化合物および一般式(Ph)で表される化合物、一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される化合物、さらには一般式(TS−I)、(TS−III)〜(TS−VII)のいずれかで表される化合物、金属錯体、紫外線吸収剤、水不溶性の単独重合体もしくは共重合体と併用して他の化合物を併用しても良い。
これらの併用しても良い化合物としては、特開平4-174430号公報記載の一般式(I)で表されるホウ素化合物、米国特許第5183731号明細書記載の一般式(II)、または特開平8-53431号公報記載の一般式(S1)で表されるエポキシ化合物、欧州特許第271322B1号明細書記載の一般式、または特開平4-19736号公報記載の一般式(I),(II),(III),(IV)のいずれかで表されるジスルフィド系化合物、米国特許第5242785号明細書記載の一般式(I),(II),(III),(IV)のいずれかで表される反応性化合物、特開平8-283279号公報記載の一般式(1)で表される環状リン化合物、特開平7-84350号公報記載の一般式(SO)、同9-114061号公報記載の一般式(G)、同9-146242号公報記載の一般式(II)、同9-329876号公報記載の一般式(A)、または特開昭62-175748号公報記載の一般式(VII)で表されるアルコール性化合物が挙げられる。また、上記公報に本発明に用いられる一般式(TS−I)、(TS−III)〜(TS−VII)のいずれかに包含される化合物の例示を含む場合、これらも本発明の例示化合物として挙げることができる。
【0232】
本発明において、本発明に使用される色素形成カプラー、一般式(TS−I)で表される化合物、一般式(Ph)で表される化合物、一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される化合物、一般式(TS−I)、(TS−III)〜(TS−VII)のいずれかで表される化合物、金属錯体、紫外線吸収剤および水不溶性の単独重合体は公知の分散方法により感光材料に導入できるが、高沸点有機溶媒(低沸点有機溶媒の併用も可)に溶解し、ゼラチン水溶液に乳化分散してハロゲン化銀乳剤に添加する水中油滴分散法が好ましく用いられる。なお、本発明に用いられる金属錯体は高沸点有機溶媒で分散して用いるのが好ましい。
水中油滴分散法に用いられる高沸点有機溶媒の例は米国特許第2,322,027号明細書等に記載されている。また、ポリマー分散法の1つとしてラテックス分散法の具体例が米国特許第4,199,363号、西独特許(OLS)第2,541,274号、特公昭53−41091号、欧州特許出願公開第0,727,703A1号、同第0,727,704A1号の各明細書などに記載されている。さらに、有機溶媒可溶性ポリマーによる分散法がPCT国際公開WO88/723号パンフレットに記載されている。
【0233】
水中油滴分散法に用いることのできる高沸点有機溶媒としては、フタル酸エステル類(フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル等)、リン酸またはホスホン酸エステル類(リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル等)、脂肪酸エステル類(コハク酸ジ−2−エチルヘキシル、クエン酸トリブチル等)、安息香酸エステル類(安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸ドデシル等)、アミド類(N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジメチルオレインアミド等)、アルコールまたはフェノール類(イソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−アミルフェノール等)、アニリン類(N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−tert−オクチルアニリン等)、塩素化パラフィン類、炭化水素類(ドデシルベンゼン、ジイソプロピルナフタレン等)、カルボン酸類(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)酪酸等などが挙げられる。また、補助溶媒として沸点が30℃以上160℃以下の有機溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド等)を併用してもよい。高沸点有機溶媒は色素形成カプラーに対して、質量比で0〜10倍量、好ましくは0〜4倍量、用いるのが好ましい。
【0234】
本発明に係る色素形成カプラーと本発明に係る化合物とを親水性保護コロイド中に乳化分散して親油性微粒子とするには、界面活性剤などの分散助剤を用いて、撹拌器、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波装置などにより分散する。
【0235】
また、乳化分散物状態での保存時の経時安定性改良、乳剤と混合した塗布用最終組成物での写真性能変化抑制・経時安定性改良等の観点から必要に応じて乳化分散物から、減圧蒸留、ヌードル水洗あるいは限外ろ過などの方法により補助溶媒の全て又は一部を除去することができる。
この様にして得られる親油性微粒子分散物の平均粒子サイズは、0.04〜0.50μmが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.30μmであり、最も好ましくは0.08〜0.20μmである。平均粒子サイズは、コールターサブミクロン粒子アナライザーmodelN4(コールターエレクトロニクス社、商品名)等を用いて測定できる。
【0236】
以下に、本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料(以下、単に「感光材料」という場合がある)について詳細に説明する。
【0237】
本発明においてハロゲン化銀カラー写真感光材料は、支持体上に、イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層と、マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層と、シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層とをそれぞれ少なくとも一層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料が好ましく用いられる。
本発明において、前記イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はイエロー発色層として、前記マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はマゼンタ発色層として及び前記シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はシアン発色層として機能する。該イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層に各々含有されるハロゲン化銀乳剤は、相互に異なる波長領域の光(例えば、青色領域、緑色領域及び赤色領域の光)に対して、感光性を有しているのが好ましい。
【0238】
本発明の感光材料は、前記イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層以外にも、所望により後述する親水性コロイド層、アンチハレーション層、中間層及び着色層を有していてもよい。
【0239】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、カラーネガフィルム、カラーポジフィルム、カラー反転フィルム、カラー反転印画紙、カラー印画紙、映画用カラーネガ、映画用カラーポジ、ディスプレイ感光材料、カラープルーフ(特にデジタルカラープルーフ)感光材料等に用いることができる。
【0240】
本発明においては、直接鑑賞用に用いられる感光材料、カラー印画紙(カラーペーパー)、ディスプレイ感光材料、カラープルーフ、カラー反転フイルム(カラーリバーサル)、カラー反転印画紙、映画用カラーポジで好ましく適用される。なかでも、カラー印画紙やカラー反転フイルムが好ましい。
本発明が、カラーペーパーに適用される場合は、特開平11−7109号公報に記載の感光材料等が好ましく、特に該公報の段落番号0071〜0087の記載は本明細書の一部としてそのまま取り込まれる。
本発明が、カラーネガフイルムに適用される場合は、特開平11−305396号公報の段落番号0115〜0217の記載が好ましく適用され、本明細書の一部として取り込まれる。
本発明が、カラー反転フイルムに適用される場合は、特開2001−142181号に記載の感光材料に好ましく、該明細書の段落番号0164〜0188の記載および特開平11−84601号公報の段落番号0018〜0021の記載が好ましく適用され、本明細書の一部として取り込まれる。
【0241】
以下に本発明に好ましく用いられるハロゲン化銀感光材料に関して詳細に述べる。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子は、好ましくは実質的に{100}面を持つ立方体または14面体の結晶粒子(これらは粒子頂点が丸みを帯び、さらに高次の面を有していてもよい)または8面体の結晶粒子、または全投影面積の50%以上が{100}面または{111}面からなるアスペクト比2以上の平板状粒子が好ましい。アスペクト比とは、投影面積に相当する円の直径を粒子の厚さで割った値である。本発明では、立方体または{100}面を主平面とする平板状粒子または{111}面を主平面とする平板状粒子が好ましく適用される。
【0242】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤としては、塩化銀、臭化銀、沃臭化銀、塩(沃)臭化銀乳剤等が用いられるが、迅速処理性の観点からは、塩化銀含有率が90モル%以上の塩化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、または塩臭沃化銀乳剤が好ましく、更に塩化銀含有率が98モル%以上の塩化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、または塩臭沃化銀乳剤が好ましい。このようなハロゲン化銀乳剤の中でも、ハロゲン化銀粒子のシェル部分に、全銀モルあたり0.01〜0.50モル%、より好ましくは0.05〜0.40モル%の沃塩化銀相を有するものも高感度が得られ、高照度露光適性に優れるため好ましい。また、ハロゲン化銀粒子の表面に全銀モルあたり0.2〜5モル%、より好ましくは0.5〜3モル%の臭化銀局在相を有するものが、高感度が得られ、しかも写真性能の安定化が図れることから特に好ましい。
【0243】
本発明における乳剤は、沃化銀を含有することがこのましい。沃化物イオンの導入は、沃化物塩の溶液を単独で添加させるか、或いは銀塩溶液と高塩化物塩溶液の添加と併せて沃化物塩溶液を添加しても良い。後者の場合は、沃化物塩溶液と高塩化物塩溶液を別々に、またはヨウ化物塩と高塩化物塩の混合溶液として添加しても良い。沃化物塩は、アルカリもしくはアルカリ土類沃化物塩のような溶解性塩の形で添加する。或いは米国特許第5,389,508号明細書に記載される有機分子から沃化物イオンを開裂させることで沃化物を導入することもできる。また別の沃化物イオン源として、微小沃化銀粒子を用いることもできる。
【0244】
沃化物塩溶液の添加は、粒子形成の一時期に集中して行っても良く、またある一定期間かけて行っても良い。高塩化物乳剤への沃化物イオンの導入位置は、高感度で低被りな乳剤を得る上で制限される。沃化物イオンの導入は、乳剤粒子のより内部に行うほど感度の増加が小さい。故に沃化物塩溶液の添加は、粒子体積の50%より外側が好ましく、より好ましくは70%より外側から、最も好ましくは80%より外側から行うのが良い。また沃化物塩溶液の添加は、好ましくは粒子体積の98%より内側で、最も好ましくは96%より内側で終了するのが良い。沃化物塩溶液の添加は、粒子表面から少し内側で終了することで、より高感度で低被りな乳剤を得ることができる。
【0245】
粒子内の深さ方向への沃化物イオン濃度の分布は、エッチング/TOF−SIMS(Time of Flight − Secondary Ion Mass Spectrometry)法により、例えばPhi Evans社製TRIFTII型TOF−SIMS(商品名)を用いて測定できる。TOF−SIMS法については、具体的には日本表面科学会編「表面分析技術選書 二次イオン質量分析法」丸善株式会社(1999年発行)に記載されている。エッチング/TOF−SIMS法で乳剤粒子を解析すると、沃化物塩溶液の添加を粒子の内側で終了しても、粒子表面に向けて沃化物イオンがしみ出していることが分析できる。本発明における乳剤が沃化銀を含有する場合、エッチング/TOF−SIMS法による分析で、沃化物イオンは粒子表面で濃度極大を有し、内側に向けて沃化物イオン濃度が減衰していることが好ましい。
【0246】
本発明の感光材料中の乳剤は、臭化銀局在層を有することが好ましい。
本発明における乳剤が臭化銀局在相を含有する場合、臭化銀含有率が少なくとも10モル%以上の臭化銀局在相を粒子表面にエピタキシャル成長させてつくることが好ましい。また、表層近傍に臭化銀含有率1モル%以上の最外層シェル部を有することが好ましい。
臭化銀局在相の臭化銀含有率は、1〜80モル%の範囲が好ましく、5〜70モル%の範囲が最も好ましい。臭化銀局在相は、本発明におけるハロゲン化銀粒子を構成する全銀量の0.1〜30モル%の銀から構成されていることが好ましく、0.3〜20モル%の銀から構成されていることが更に好ましい。臭化銀局在相中には、イリジウムイオン等のVIII族金属錯イオンを含有させることが好ましい。これらの化合物の添加量は目的に応じて広範囲にわたるが、ハロゲン化銀1モルに対して1×10-9〜1×10-2モルが好ましい。
【0247】
本発明においては、ハロゲン化銀粒子を形成及び/または成長させる過程で遷移金属イオンを添加し、ハロゲン化銀粒子の内部及び/または表面に金属イオンを組み込むことが好ましい。用いる金属イオンとしては遷移金属イオンが好ましく、なかでも、鉄、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、鉛、カドミウム、または、亜鉛であることが好ましい。さらにこれらの金属イオンは配位子を伴い6配位八面体型錯体として用いることがより好ましい。無機化合物を配位子として用いる場合には、シアン化物イオン、ハロゲン化物イオン、チオシアン、水酸化物イオン、過酸化物イオン、アジ化物イオン、亜硝酸イオン、水、アンモニア、ニトロシルイオン、または、チオニトロシルイオンを用いることが好ましく、上記の鉄、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、鉛、カドミウム、または、亜鉛のいずれの金属イオンに配位させて用いることも好ましく、複数種の配位子を1つの錯体分子中に用いることも好ましい。
【0248】
この中で本発明におけるハロゲン化銀乳剤には、高照度相反則不軌改良の目的で、少なくとも一つの有機配位子を持つイリジウムイオンを持つことが特に好ましい。
配位子として有機化合物を用いる場合、他の遷移金属の場合にも共通であるが、好ましい有機化合物としては主鎖の炭素数が5以下の鎖状化合物および/または5員環あるいは6員環の複素環化合物を挙げることが出来る。さらに好ましい有機化合物は分子内に窒素原子、リン原子、酸素原子、または、硫黄原子を金属への配位原子として有する化合物であり、最も好ましくはフラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、フラザン、ピラン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンであり、さらにこれらの化合物を基本骨格としそれらに置換基を導入した化合物もまた好ましい。
特にこれらの中で、イリジウムイオンに好ましい配位子は、チアゾール配位子の中でも5−メチルチアゾールが特に好ましく用いられる。
【0249】
金属イオンと配位子の組み合わせとして好ましくは、鉄イオン及びルテニウムイオンとシアン化物イオンの組み合わせが挙げられる。これらの化合物においてシアン化物イオンは中心金属である鉄またはルテニウムへの配位数のうち過半数を占めることが好ましく、残りの配位部位はチオシアン、アンモニア、水、ニトロシルイオン、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ピラジン、または、4,4’−ビピリジンで占められることが好ましい。最も好ましくは中心金属の6つの配位部位が全てシアン化物イオンで占められ、ヘキサシアノ鉄錯体またはヘキサシアノルテニウム錯体を形成することである。これらシアン化物イオンを配位子とする錯体は粒子形成中に銀1モル当たり1×10-8モル〜1×10-2モル添加することが好ましく、1×10-6モル〜5×10-4モル添加することが最も好ましい。
【0250】
またイリジウムイオンは、有機配位子だけでなく、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、中でも塩化物イオンまたは臭化物イオンを用いることが好ましい。イリジウム錯体としては、前述の有機配位子をもつもの以外に、以下の具体的化合物を用いることが出来る。
[IrCl6]3-、[IrCl6]2-、[IrCl5(H2O)]2-、[IrCl5(H2O)]-、[IrCl4(H2O)2]-、[IrCl4(H2O)2]0、[IrCl3(H2O)3]0、[IrCl3(H2O)3]+、[IrBr6]3-、[IrBr6]2-、[IrBr5(H2O)]2-、[IrBr5(H2O)]-、[IrBr4(H2O)2]-、[IrBr4(H2O)2]0、[IrBr3(H2O)3]0および[IrBr3(H2O)3]+である。
【0251】
これらのイリジウム錯体は粒子形成中に銀1モル当たり1×10-10モル〜1×10-3モル添加することが好ましく、1×10-8モル〜1×10-5モル添加することが最も好ましい。ルテニウムおよびオスミウムを中心金属とした場合にはニトロシルイオン、チオニトロシルイオン、または水分子と塩化物イオンを配位子として共に用いることも好ましい。より好ましくはペンタクロロニトロシル錯体、ペンタクロロチオニトロシル錯体、または、ペンタクロロアクア錯体を形成することであり、ヘキサクロロ錯体を形成することも好ましい。これらの錯体は粒子形成中に銀1モル当たり1×10-10モル〜1×10-6モル添加することが好ましく、より好ましくは1×10-9モル〜1×10-6モル添加することである。
【0252】
本発明において上記の錯体は、ハロゲン化銀粒子形成時に反応溶液中に直接添加するか、ハロゲン化銀粒子を形成するためのハロゲン化物水溶液中、あるいはそれ以外の溶液中に添加し、粒子形成反応溶液に添加することにより、ハロゲン化銀粒子内に組み込むことが好ましい。さらにこれらの方法を組み合わせてハロゲン化銀粒子内へ含有させることも好ましい。
【0253】
これらの錯体をハロゲン化銀粒子に組み込む場合、粒子内部に均一に存在させることも好ましいが、特開平4−208936号、同2−125245号、同3−188437号の各公報に開示されている様に、粒子表面層のみに存在させることも好ましく、粒子内部のみに錯体を存在させ粒子表面には錯体を含有しない層を付加することも好ましい。また、米国特許第5,252,451号および同第5,256,530号明細書に開示されているように、錯体を粒子内に組み込んだ微粒子で物理熟成して粒子表面相を改質することも好ましい。さらに、これらの方法を組み合わせて用いることも出来、複数種の錯体を1つのハロゲン化銀粒子内に組み込んでもよい。上記の錯体を含有させる位置のハロゲン組成には特に制限はなく、塩化銀層、塩臭化銀層、臭化銀層、沃塩化銀層、沃臭化銀層に何れに錯体を含有させることも好ましい。
【0254】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズ(粒子の投影面積と等価な円の直径を以て粒子サイズとし、その数平均をとったもの)は、0.01μm〜2μmが好ましい。
また、それらの粒子サイズ分布は変動係数(粒子サイズ分布の標準偏差を平均粒子サイズで除したもの)20%以下、望ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下の所謂単分散なものが好ましい。このとき、広いラチチュードを得る目的で上記の単分散乳剤を同一層にブレンドして使用することや、重層塗布することも好ましく行われる。
【0255】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防止する、あるいは写真性能を安定化させる目的で種々の化合物あるいはそれ等の前駆体を添加することができる。これらの化合物の具体例は前出の特開昭62−215272号公報の第39頁〜第72頁に記載のものが好ましく用いられる。更に欧州特許第0447647号明細書に記載された5−アリールアミノ−1,2,3,4−チアトリアゾール化合物(該アリール残基には少なくとも一つの電子吸引性基を持つ)も好ましく用いられる。
【0256】
また、本発明において、ハロゲン化銀乳剤の保存性を高めるため、特開平11−109576号公報に記載のヒドロキサム酸誘導体、特開平11−327094号公報に記載のカルボニル基に隣接して、両端がアミノ基もしくはヒドロキシル基が置換した二重結合を有す環状ケトン類(特に一般式(S1)で表されるもので、段落番号0036〜0071は本明細書に取り込むことができる。)、特開平11−143011号公報に記載のスルホ置換のカテコールやハイドロキノン類(例えば、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゼンジスルホン酸、3,4−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、3,4,5−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸およびこれらの塩など)、特開平11−102045号公報の一般式(I)〜(III)のいずれかで表される水溶性還元剤は本発明においても好ましく使用される。
【0257】
分光増感は、本発明の感光材料における各層の乳剤に対して所望の光波長域に分光感度を付与する目的で行われる。
本発明の感光材料において、青、緑、赤領域の分光増感に用いられる分光増感色素としては例えば、F.M.Harmer著 Heterocyclic compounds−Cyanine dyes and related compounds(John Wiley & Sons [New York,London]社刊1964年)に記載されているものを挙げることができる。具体的な化合物の例ならびに分光増感法は、前出の特開昭62−215272号公報の第22頁右上欄〜第38頁に記載のものが好ましく用いられる。また、特に塩化銀含有率の高いハロゲン化銀乳剤粒子の赤感光性分光増感色素としては特開平3−123340号公報に記載された分光増感色素が安定性、吸着の強さ、露光の温度依存性等の観点から非常に好ましい。
【0258】
これらの分光増感色素の添加量は場合に応じて広範囲にわたり、ハロゲン化銀1モルあたり0.5×10-6モル〜1.0×10-2モルの範囲が好ましい。更に好ましくは、1.0×10-6モル〜5.0×10-3モルの範囲である。
【0259】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤は、通常化学増感を施される。化学増感法については、不安定硫黄化合物の添加に代表される硫黄増感、金増感に代表される貴金属増感、あるいは還元増感等を単独もしくは併用して用いることができる。化学増感に用いられる化合物については、特開昭62−215272号公報の第18頁右下欄〜第22頁右上欄に記載のものが好ましく用いられる。このうち、特に、金増感を施したものであることが好ましい。金増感を施すことにより、レーザー光等によって走査露光したときの写真性能の変動を更に小さくすることができるからである。
【0260】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤に金増感を施すには、種々の無機金化合物や無機配位子を有する金(I)錯体及び有機配位子を有する金(I)化合物を利用することができる。無機金化合物としては、例えば塩化金酸もしくはその塩、無機配位子を有する金(I)錯体としては、例えばジチオシアン酸金(I)カリウム等のジチオシアン酸金化合物やジチオ硫酸金(I)3ナトリウム等のジチオ硫酸金化合物等の化合物を用いることが好ましい。
【0261】
有機配位子を有する金(I)化合物としては、特開平4−267249号公報に記載のビス金(I)メソイオン複素環類、例えば四フッ化硼酸金(I)ビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)、特開平11−218870号公報に記載の有機メルカプト金(I)錯体、例えばカリウム ビス(1−[3−(2−スルホナートベンズアミド)フェニル]−5−メルカプトテトラゾールカリウム塩)オーレート(I)5水和物、特開平4−268550号公報に記載の窒素化合物アニオンが配位した金(I)化合物、例えば、ビス(1−メチルヒダントイナート)金(I)ナトリウム塩四水和物、を用いることができる。また、米国特許第3、503、749号明細書に記載されている金(I)チオレート化合物、特開平8−69074号、同8−69075号、同9−269554号の各公報に記載の金化合物、米国特許第5,620,841号、同第5,912,112号、同第5,620,841号、同第5,939,245号、同第5,912,111号の各明細書に記載の化合物も用いることができる。
これらの化合物の添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり5×10-7〜5×10-3モル、好ましくは5×10-6〜5×10-4モルである。
【0262】
また、コロイド状硫化金を用いることも可能であり、その製造方法はリサーチ・ディスクロージャー(Reserch Disclosure,37154)、ソリッド ステート イオニクス(Solid State Ionics)第79巻、60〜66頁、1995年刊、Compt.Rend.Hebt.Seances Acad.Sci.Sect.B 第263巻、1328頁、1966年刊等に記載されている。コロイド状硫化金としてさまざまなサイズのものを利用でき、粒径50nm以下のものも用いることができる。添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり金原子として5×10-7〜5×10-3モル、好ましくは5×10-6〜5×10-4モルである。
本発明においては、金増感を更に他の増感法、例えば硫黄増感、セレン増感、テルル増感、還元増感あるいは金化合物以外を用いた貴金属増感等と組み合わせてもよい。
【0263】
本発明に係わる感光材料には、イラジエーションやハレーションを防止したり、セーフライト安全性等を向上させる目的で親水性コロイド層に、欧州特許出願公開第0337490A2号明細書の第27〜76頁に記載の、処理により脱色可能な染料(中でもオキソノール染料、シアニン染料)を添加することが好ましい。さらに、欧州特許0819977号明細書に記載の染料も本発明に好ましく添加される。これらの水溶性染料の中には使用量を増やすと色分離やセーフライト安全性を悪化するものもある。色分離を悪化させないで使用できる染料としては、特開平5−127324号、同5−127325号、同5−216185号の各公報に記載された水溶性染料が好ましい。
【0264】
本発明においては、水溶性染料の代わり、あるいは水溶性染料と併用しての処理で脱色可能な着色層が用いられる。用いられる処理で脱色可能な着色層は、乳剤層に直かに接してもよく、ゼラチンやハイドロキノンなどの処理混色防止剤を含む中間層を介して接するように配置されていてもよい。この着色層は、着色された色と同種の原色に発色する乳剤層の下層(支持体側)に設置されることが好ましい。各原色毎に対応する着色層を全て個々に設置することも、このうちに一部のみを任意に選んで設置することも可能である。また複数の原色域に対応する着色を行った着色層を設置することも可能である。着色層の光学反射濃度は、露光に使用する波長域(通常のプリンター露光においては400nm〜700nmの可視光領域、走査露光の場合には使用する走査露光光源の波長)において最も光学濃度の高い波長における光学濃度値が0.2以上3.0以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.5以上2.5以下、特に0.8以上2.0以下が好ましい。
【0265】
着色層を形成するためには、従来公知の方法が適用できる。例えば、特開平2−282244号公報3頁右上欄〜8頁に記載された染料や、特開平3−7931号公報3頁右上欄〜11頁左下欄に記載された染料のように固体微粒子分散体の状態で親水性コロイド層に含有させる方法、アニオン性色素をカチオンポリマーに媒染する方法、色素をハロゲン化銀等の微粒子に吸着させて層中に固定する方法、特開平1−239544号公報に記載されているようなコロイド銀を使用する方法などである。色素の微粉末を固体状で分散する方法としては、たとえば、少なくともpH6以下では実質的に水不溶性であるが、少なくともpH8以上では実質的に水溶性である微粉末染料を含有させる方法が特開平2−308244号公報の第4〜13頁に記載されている。また、例えば、アニオン性色素をカチオンポリマーに媒染する方法としては、特開平2−84637号公報の第18〜26頁に記載されている。光吸収剤としてのコロイド銀の調製法については米国特許第2,688,601号、同第3,459,563号明細書に示されている。これらの方法のなかで微粉末染料を含有させる方法、コロイド銀を使用する方法などが好ましい。
【0266】
本発明をカラー印画紙に適用する場合は、イエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン発色性ハロゲン化銀乳剤層をそれぞれ少なくとも1層ずつ有してなることが好ましく、一般には、これらのハロゲン化銀乳剤層は支持体から近い順にイエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層、シアン発色性ハロゲン化銀乳剤層である。しかしながら、これとは異なった層構成を取っても構わない。
【0267】
本発明の感光材料において、イエローカプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層は支持体上のいずれの位置に配置されてもかまわないが、該イエローカプラー含有層にハロゲン化銀平板粒子を含有する場合は、マゼンタカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層又はシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも一層よりも支持体から離れた位置に塗設されていることが好ましい。また、発色現像促進、脱銀促進、増感色素による残色の低減の観点からは、イエローカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は他のハロゲン化銀乳剤層より、支持体から最も離れた位置に塗設されていることが好ましい。更に、Blix退色の低減の観点からはシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は他のハロゲン化銀乳剤層の中央の層が好ましく、光退色の低減の観点からはシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は最下層が好ましい。また、イエロー、マゼンタ及びシアンのそれぞれの発色性層は2層又は3層からなってもよい。例えば、特開平4−75055号、同9−114035号、同10−246940号の各公報、米国特許第5,576,159号明細書等に記載のように、ハロゲン化銀乳剤を含有しないカプラー層をハロゲン化銀乳剤層に隣接して設け、発色層とすることも好ましい。
【0268】
例えば写真用支持体としては、透過型支持体や反射型支持体を用いることができる。透過型支持体としては、セルロースナイトレートフィルムやポリエチレンテレフタレート、三酢酸セルロースフイルムなどの透明フィルム、更には2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)とエチレングリコール(EG)とのポリエステルやNDCAとテレフタル酸とEGとのポリエステル等に磁性層などの情報記録層を設けたものが好ましく用いられる。本発明においては反射支持体(反射型支持体)が好ましく、反射型支持体としては特に複数のポリエチレン層やポリエステル層でラミネートされ、このような耐水性樹脂層(ラミネート層)の少なくとも一層に酸化チタン等の白色顔料を含有する反射支持体が好ましい。
【0269】
本発明において適用されるハロゲン化銀乳剤やその他の素材(添加剤など)及び写真構成層(層配置など)、並びにこの感光材料を処理するために適用される処理法や処理用添加剤としては、特開昭62−215272号、特開平2−33144号の各公報、欧州特許出願公開第0,355,660A2号明細書に記載されているもの、特に欧州特許出願公開第0,355,660A2号明細書に記載されているものが好ましく用いられる。更には、特開平5−34889号、同4−359249号、同4−313753号、同4−270344号、同5−66527号、同4−34548号、同4−145433号、同2−854号、同1−158431号、同2−90145号、同3−194539号、同2−93641号の各公報、欧州特許公開第0520457A2号明細書等に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料やその処理方法も好ましい。
【0270】
本発明に用いられる支持体として反射型支持体、透明支持体等が挙げられる。特に、本発明においては、前記の反射型支持体やハロゲン化銀乳剤、更にはハロゲン化銀粒子中にドープされる異種金属イオン種、ハロゲン化銀乳剤の保存安定剤又はカブリ防止剤、化学増感法(増感剤)、分光増感法(分光増感剤)、シアン、マゼンタ、イエローカプラー及びその乳化分散法、色像保存性改良剤(ステイン防止剤や褪色防止剤)、染料(着色層)、ゼラチン種、感光材料の層構成や感光材料の被膜pHなどについては、下記表に示す公報の各箇所に記載のものが特に好ましく適用できる。
【0271】
【表1】
【0272】
本発明において併用することができるシアン、マゼンタ及びイエローカプラーとしては、その他、特開昭62−215272号公報の第91頁右上欄4行目〜121頁左上欄6行目、特開平2−33144号公報の第3頁右上欄14行目〜18頁左上欄末行目と第30頁右上欄6行目〜35頁右下欄11行目や欧州特許出願公開第0355,660A2号明細書の第4頁15行目〜27行目、5頁30行目〜28頁末行目、45頁29行目〜31行目、47頁23行目〜63頁50行目に記載のカプラーも有用である。
また、本発明は国際公開WO98/33760号パンフレット記載の一般式(II)及び(III)、特開平10−221825号公報記載の一般式(D)で表される化合物を添加してもよく、好ましい。
【0273】
本発明に使用可能なシアン色素形成カプラー(単に、「シアンカプラー」という場合がある)としては、ピロロトリアゾール系カプラーが好ましく用いられ、特開平5−313324号公報記載の一般式(I)又は(II)で表されるカプラー及び特開平6−347960号公報記載の一般式(I)で表されるカプラー並びにこれらの公報に記載されている例示カプラーが特に好ましい。また、フェノール系、ナフトール系のシアンカプラーも好ましく、例えば、特開平10−333297号公報に記載の一般式(ADF)で表されるシアンカプラーが好ましい。上記以外のシアンカプラーとしては、欧州特許第0488248号明細書及び欧州特許出願公開第0491197A1号明細書に記載のピロロアゾール型シアンカプラー、米国特許第5,888,716号明細書に記載の2,5−ジアシルアミノフェノールカプラー、米国特許第4,873,183号、同第4,916,051号明細書に記載の6位に電子吸引性基、水素結合基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラー、特に、特開平8−171185号、同8−311360号、同8−339060号の各公報に記載の6位にカルバモイル基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラーも好ましい。
【0274】
また、特開平2−33144号公報に記載のジフェニルイミダゾール系シアンカプラーの他に、欧州特許出願公開第0333185A2号明細書に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素離脱基をもたせて2当量化したものや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開昭64−32260号公報に記載された環状活性メチレン系シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプラー例3、8、34が特に好ましい)、欧州特許出願公開第0456226A1号明細書に記載のピロロピラゾール型シアンカプラー、欧州特許0484909号明細書に記載のピロロイミダゾール型シアンカプラーを使用することもできる。
【0275】
尚、これらのシアンカプラーのうち、特開平11−282138号公報に記載の一般式(I)で表されるピロロアゾール系シアンカプラーが特に好ましく、該公報の段落番号0012〜0059の記載は例示シアンカプラー(1)〜(47)を含め、本発明にそのまま適用され、本明細書の一部として好ましく取り込まれる。
【0276】
本発明に用いられるマゼンタ色素形成カプラー(単に、「マゼンタカプラー」という場合がある)としては、前記の表の公知文献に記載されたような5−ピラゾロン系マゼンタカプラーやピラゾロアゾール系マゼンタカプラーが用いられるが、中でも色相や画像安定性、発色性等の点で特開昭61−65245号公報に記載されたような2級又は3級アルキル基がピラゾロトリアゾール環の2、3又は6位に直結したピラゾロトリアゾールカプラー、特開昭61−65246号公報に記載されたような分子内にスルホンアミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−147254号公報に記載されたようなアルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラーや欧州特許出願公開第226,849A号明細書や同第294,785A号明細書に記載されたような6位にアルコキシ基やアリールオキシ基をもつピラゾロアゾールカプラーの使用が好ましい。特に、マゼンタカプラーとしては特開平8−122984号公報に記載の一般式(M−I)で表されるピラゾロアゾールカプラーが好ましく、該公報の段落番号0009〜0026はそのまま本発明に適用され、本明細書の一部として取り込まれる。これに加えて、欧州特許第854384号、同第884640号明細書等に記載の3位と6位の両方に立体障害基を有するピラゾロアゾールカプラーも好ましく用いられる。
【0277】
また、本発明に使用されるイエロー色素形成カプラー(本明細書において、単に「イエローカプラー」という場合がある)は単独で使用しても他のイエロー色素形成カプラーと併用しても良く、併用してもよいイエロー色素形成カプラーとしては、前記表中に記載の化合物の他に、欧州特許出願公開第0447969A1号明細書に記載のアシル基に3〜5員の環状構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラー、同第0482552A1号明細書に記載の環状構造を有するマロンジアニリド型イエローカプラー、同第953870A1号、同第953871A1号、同第953872A1号、同第953873A1号、同第953874A1号、同第953875A1号の各明細書等に記載のピロール−2又は3−イルもしくはインドール−2又は3−イルカルボニル酢酸アニリド系カプラー、米国特許第5,118,599号明細書に記載されたジオキサン構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラーが好ましく用いられる。その中でも、アシル基が1−アルキルシクロプロパン−1−カルボニル基であるアシルアセトアミド型イエローカプラー、アニリドの一方がインドリン環を構成するマロンジアニリド型イエローカプラーの使用が特に好ましい。これらのカプラーは、単独あるいは併用することができる。
【0278】
本発明に使用するカプラーは、前出表中記載の高沸点有機溶媒の存在下で(又は不存在下で)ローダブルラテックスポリマー(例えば米国特許第4,203,716号明細書)に含浸させて、又は水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーとともに溶かして親水性コロイド水溶液に乳化分散させることが好ましい。好ましく用いることのできる水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーは、米国特許第4,857,449号明細書の第7欄〜15欄及び国際公開WO88/00723号パンフレットの第12頁〜30頁に記載の単独重合体又は共重合体が挙げられる。より好ましくはメタクリレート系あるいはアクリルアミド系ポリマー、特にアクリルアミド系ポリマーの使用が色像安定性等の上で好ましい。
【0279】
本発明においては公知の混色防止剤を用いることができるが、その中でも以下に挙げる公報に記載のものが好ましい。
例えば、特開平5−333501号公報に記載の高分子量のレドックス化合物、国際公開WO98/33760号パンフレット、米国特許第4,923,787号明細書等に記載のフェニドンやヒドラジン系化合物、特開平5−249637号、同10−282615号公報及び独国特許第19629142A1号等に記載のホワイトカプラーを用いることができる。また、特に現像液のpHを上げ、現像の迅速化を行う場合には独国特許第19618786A1号、欧州特許第839623A1号、欧州特許第842975A1号、独国特許19806846A1号及び仏国特許第2760460A1号の各明細書等に記載のレドックス化合物を用いることも好ましい。
【0280】
本発明においては紫外線吸収剤としてモル吸光係数の高いトリアジン骨核を有する化合物を用いることが好ましく、例えば、以下の公報に記載の化合物を用いることができる。これらは、感光性層又は/及び非感光性に好ましく添加される。例えば、特開昭46−3335号、同55−152776号、特開平5−197074号、同5−232630号、同5−307232号、同6−211813号、同8−53427号、同8−234364号、同8−239368号、同9−31067号、同10−115898号、同10−147577号、同10−182621号の各公報、独国特許第19739797A号、欧州特許第711804A号明細書及び特表平8−501291号公報等に記載されている化合物を使用できる。
【0281】
本発明の感光材料に用いることのできる結合剤又は保護コロイドとしては、ゼラチンを用いることが有利であるが、それ以外の親水性コロイドを単独であるいはゼラチンとともに用いることができる。好ましいゼラチンとしては、鉄、銅、亜鉛、マンガン等の不純物として含有される重金属は、好ましくは5ppm以下、更に好ましくは3ppm以下である。また、感光材料中に含まれるカルシウム量は、好ましくは20mg/m2以下、更に好ましくは10mg/m2以下、最も好ましくは5mg/m2以下である。
【0282】
本発明においては、親水性コロイド層中に繁殖して画像を劣化させる各種の黴や細菌を防ぐために、特開昭63−271247号公報に記載のような防菌・防黴剤を添加するのが好ましい。さらに、感光材料の被膜pHは4.0〜7.0が好ましく、より好ましくは4.0〜6.5である。
【0283】
本発明においては、感光材料の塗布安定性向上、静電気発生防止、帯電量調節等の点から界面活性剤を感光材料に添加することができる。界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤があり、例えば特開平5−333492号公報に記載のものが挙げられる。本発明に用いる界面活性剤としてはフッ素原子含有の界面活性剤が好ましい。特に、フッ素原子含有界面活性剤を好ましく用いることができる。これらのフッ素原子含有界面活性剤は単独で用いても、従来公知の他の界面活性剤と併用してもかまわないが、好ましくは従来公知の他の界面活性剤との併用である。これらの界面活性剤の感光材料への添加量は特に限定されるものではないが、一般的には、1×10-5〜1g/m2、好ましくは1×10-4〜1×10-1g/m2、更に好ましくは1×10-3〜1×10-2g/m2である。
【0284】
本発明の感光材料は、画像情報に応じて光を照射される露光工程と、前記光照射された感光材料を現像する現像工程とにより、画像を形成することができる。
本発明の感光材料は、通常のネガプリンターを用いたプリントシステムに使用される以外に、陰極線(CRT)を用いた走査露光方式にも適している。陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、簡便でかつコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種、あるいは2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤、緑、青に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。
【0285】
感光材料が異なる分光感度分布を有する複数の感光性層を持ち、陰極性管も複数のスペクトル領域の発光を示す蛍光体を有する場合には、複数の色を一度に露光、即ち陰極線管に複数の色の画像信号を入力して管面から発光させてもよい。各色ごとの画像信号を順次入力して各色の発光を順次行わせ、その色以外の色をカットするフィルムを通して露光する方法(面順次露光)を採ってもよく、一般には、面順次露光の方が、高解像度の陰極線管を用いることができるため、高画質化のためには好ましい。
【0286】
本発明の感光材料は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いたデジタル走査露光方式が好ましく使用される。システムをコンパクトで、安価なものにするために半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)を使用することが好ましい。特にコンパクトで、安価、更に寿命が長く安定性が高い装置を設計するためには半導体レーザーの使用が好ましく、露光光源の少なくとも一つは半導体レーザーを使用することが好ましい。
【0287】
このような走査露光光源を使用する場合、本発明の感光材料の分光感度極大波長は、使用する走査露光用光源の波長により任意に設定することができる。半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーあるいは半導体レーザーと非線形光学結晶を組合わせて得られるSHG光源では、レーザーの発振波長を半分にできるので、青色光、緑色光が得られる。従って、感光材料の分光感度極大は通常の青、緑、赤の3つの波長領域に持たせることが可能である。このような走査露光における露光時間は、画素密度を400dpiとした場合の画素サイズを露光する時間として定義すると、好ましい露光時間としては1×10-4秒以下、更に好ましくは1×10-6秒以下である。
【0288】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、以下の公知資料に記載の露光、現像システムと組み合わせることで好ましく用いることができる。前記現像システムとしては、特開平10−333253号公報に記載の自動プリント並びに現像システム、特開2000−10206号公報に記載の感光材料搬送装置、特開平11−215312号公報に記載の画像読取装置を含む記録システム、特開平11−88619号並びに同10−202950号公報に記載のカラー画像記録方式からなる露光システム、特開平10−210206号公報に記載の遠隔診断方式を含むデジタルフォトプリントシステム、及び特開2000−310822号明細書に記載の画像記録装置を含むフォトプリントシステムが挙げられる。
【0289】
本発明に適用できる好ましい走査露光方式については、前記の表1に掲示した公報に詳しく記載されている。
【0290】
本発明の感光材料をプリンター露光する際、米国特許第4,880,726号明細書に記載のバンドストップフィルターを用いることが好ましい。これによって光混色が取り除かれ、色再現性が著しく向上する。
本発明においては、欧州特許出願公開第0789270A1号や同0789480A1号明細書に記載のように、画像情報を付与する前に、予め、黄色のマイクロドットパターンを前露光し、複写規制を施しても構わない。
【0291】
本発明の感光材料の処理には、特開平2−207250号公報の第26頁右下欄1行目〜34頁右上欄9行目、及び同4−97355号公報の第5頁左上欄17行目〜18頁右下欄20行目に記載の処理素材や処理方法が好ましく適用でき、本願の明細書の一部として好ましく取り込まれる。また、この現像液に使用する保恒剤としては、前記の表に掲示した公報に記載の化合物が好ましく用いられる。
【0292】
本発明は迅速処理適性を有する感光材料にも好ましく適用される。迅速処理を行う場合には、発色現像時間は好ましくは60秒以下、更に好ましくは50秒以下6秒以上、より好ましくは30秒以下6秒以上である。同様に、漂白定着時間は好ましくは60秒以下、更に好ましくは50秒以下6秒以上、より好ましくは30秒以下6秒以上である。また、水洗又は安定化時間は、好ましくは150秒以下、更に好ましくは130秒以下6秒以上である。
尚、発色現像時間とは、感光材料が発色現像液中に入ってから次の処理工程の漂白定着液に入るまでの時間をいう。例えば、自動現像機などで処理される場合には、感光材料が発色現像液中に浸漬されている時間(いわゆる液中時間)と、感光材料が発色現像液を離れ、次の処理工程の漂白定着浴に向けて空気中を搬送されている時間(いわゆる空中時間)との両者の合計を発色現像時間という。同様に、漂白定着時間とは、感光材料が漂白定着液中に入ってから次の水洗又は安定浴に入るまでの時間をいう。また、水洗又は安定化時間とは、感光材料が水洗又は安定化液中に入ってから乾燥工程に向けて液中にある時間(いわゆる液中時間)をいう。
【0293】
本発明の感光材料を露光後、現像する方法としては、従来のアルカリ剤と現像主薬を含む現像液で現像する方法、現像主薬を感光材料に内蔵し、現像主薬を含まないアルカリ液などのアクチベーター液で現像する方法などの湿式方式のほか、処理液を用いない熱現像方式などを用いることができる。特に、アクチベーター方法は、現像主薬を処理液に含まないため、処理液の管理や取扱いが容易であり、また廃液処理時の負荷が少なく環境保全上の点からも好ましい方法である。
アクチベーター方法において、感光材料中に内蔵される現像主薬又はその前駆体としては、例えば、特開平8−234388号、同9−152686号、同9−152693号、同9−211814号、同9−160193号の各公報に記載されたヒドラジン型化合物が好ましい。
【0294】
また、感光材料の塗布銀量を低減し、過酸化水素を用いた画像増幅処理(補力処理)する現像方法も好ましく用いられる。特に、この方法をアクチベーター方法に用いることは好ましい。具体的には、特開平8−297354号公報、同9−152695号公報に記載された過酸化水素を含むアクチベーター液を用いた画像形成方法が好ましく用いられる。前記アクチベーター方法において、アクチベーター液で処理後、通常脱銀処理されるが、低銀量の感光材料を用いた画像増幅処理方法では、脱銀処理を省略し、水洗又は安定化処理といった簡易な方法を行うことができる。また、感光材料から画像情報をスキャナー等で読み取る方式では、撮影用感光材料などの様に高銀量の感光材料を用いた場合でも、脱銀処理を不要とする処理形態を採用することができる。
【0295】
本発明で用いられるアクチベーター液、脱銀液(漂白/定着液)、水洗及び安定化液の処理素材や処理方法は公知のものを用いることができる。好ましくは、リサーチ・ディスクロージャーItem 36544(1994年9月)第536頁〜第541頁、特開平8−234388号公報に記載されたものを用いることができる。
【0296】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
【0297】
(乳剤B−Hの調製)
攪拌したゼラチン水溶液中に、硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加して混合する定法で、球相当径0.55μm 変動係数10%の立方体高塩化銀乳剤を調製した。但し、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、臭化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり2モル%)、RhBr5(H2O)、およびK4[Ru(CN)6]を添加した。硝酸銀の添加が90%終了した時点で沃化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり0.3モル%)を添加した。更に硝酸銀の添加が92%の時点から98%の時点にかけて、K2[Ir(5−メチルチアゾール)Cl5]およびK2[Ir(H2O)Cl5]を添加した。得られた乳剤に脱塩処理を施した後、ゼラチンを加え再分散した。この乳剤にチオスルフォン酸ナトリウムと下記増感色素A、増感色素Bおよび増感色素Cを添加し、硫黄増感剤としてチオ硫酸ナトリウム5水和物と金増感剤として金(I)チオグルコースを用い最適になるように熟成した。更に1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールおよび1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを添加した。このようにして得られた乳剤を、乳剤B−Hとした。
【0298】
(乳剤B−Lの調製)
乳剤B−Hとは、硝酸銀と塩化ナトリウムの添加速度のみを変えて、球相当径0.45μm 変動係数10%の立方体高塩化銀乳剤を調製した。得られた乳剤を、乳剤B−Lとした。
【0299】
【化93】
【0300】
(乳剤G−Hの調製)
攪拌したゼラチン水溶液中に、硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加して混合する定法で、球相当径0.35μm 変動係数10%の立方体高塩化銀乳剤を調製した。但し、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、RhBr5(H2O)およびK4[Ru(CN)6]を添加した。硝酸銀の添加が80%の時点から100%の時点にかけて、臭化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり4モル%)を添加した。硝酸銀の添加が90%終了した時点で沃化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり0.2モル%)を添加した。硝酸銀の添加が92%の時点から95%の時点にかけて、K2[Ir(5−メチルチアゾール)Cl5]を添加した。更に硝酸銀の添加が92%の時点から98%の時点にかけて、K2[Ir(H2O)Cl5]を添加した。得られた乳剤に脱塩処理を施した後、ゼラチンを加え再分散した。この乳剤にチオスルフォン酸ナトリウムを添加し、硫黄増感剤としてチオ硫酸ナトリウム5水和物と金増感剤として金(I)チオグルコースを用い最適になるように熟成した。更に下記増感色素D、E、F及びG、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールおよび臭化カリウムを添加した。このようにして得られた乳剤を、乳剤G−Hとした。
(乳剤G−Lの調製)
乳剤G−Hとは、硝酸銀と塩化ナトリウムの添加速度のみを変えて、球相当径0.28μm 変動係数10%の立方体高塩化銀乳剤を調製した。得られた乳剤を、乳剤G−Lとした。
【0301】
【化94】
【0302】
(乳剤R−Hの調製)
攪拌したゼラチン水溶液中に、硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加して混合する定法で、球相当径0.35μm 変動係数10%の立方体高塩化銀乳剤を調製した。但し、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、K4[Ru(CN)6]を添加した。硝酸銀の添加が80%の時点から100%の時点にかけて、臭化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり4.3モル%)を添加した。硝酸銀の添加が90%終了した時点で沃化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり0.10モル%)を添加した。硝酸銀の添加が92%の時点から95%の時点にかけて、K2[Ir(5−メチルチアゾール)Cl5]を添加した。更に硝酸銀の添加が92%の時点から98%の時点にかけて、K2[Ir(H2O)Cl5]を添加した。得られた乳剤に脱塩処理を施した後、ゼラチンを加え再分散した。この乳剤にチオスルフォン酸ナトリウムを添加し、硫黄増感剤としてチオ硫酸ナトリウム5水和物と金増感剤として金(I)チオグルコースを用い最適になるように熟成した。更に下記増感色素H、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、下記化合物Iおよび臭化カリウムを添加した。このようにして得られた乳剤を、乳剤R−Hとした。
(乳剤R−Lの調製)
乳剤R−Hとは、硝酸銀と塩化ナトリウムの添加速度のみを変えて、球相当径0.28μm 変動係数10%の立方体高塩化銀乳剤を調製した。得られた乳剤を、乳剤R−Lとした。
【0303】
【化95】
【0304】
第一層塗布液調製
イエローカプラー(6)31.9g、色像安定剤(Cpd−1)1.0g、色像安定剤(Cpd−2)1.0g、色像安定剤(Cpd−8)7.4g、色像安定剤(Cpd−17)1.0g、色像安定剤(Cpd−18)7.6g、色像安定剤(Cpd−19)9.0g、色像安定剤、(Cpd−20)1.0g、添加剤(ExC−1)0.1g、(色像安定剤(UV−2)1.0gを、溶媒(Solv−4)26g、溶媒(Solv−6)4g、溶媒(Solv−9)26g及び酢酸エチル60mLに溶解し、この液を4gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む20質量%ゼラチン水溶液270g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、水を加えて900gの乳化分散物Aを調製した。
一方、前記乳化分散物Aと前記乳剤B−H、B−Lを混合溶解し、後記組成となるように第一層塗布液を調製した。乳剤塗布量は、銀量換算塗布量を示す。
【0305】
第二層〜第七層用の塗布液も第一層塗布液と同様の方法で調製した。各層のゼラチン硬化剤としては、1−オキシ−3,5−ジクロロ−s−トリアジンナトリウム塩(H−1)、(H−2)、(H−3)を用いた。また、各層に(Ab−1)、(Ab−2)、及び(Ab−3)をそれぞれ全量が15.0mg/m2、60.0mg/m2、及び5.0mg/m2となるように添加した。
【0306】
【化96】
【0307】
【化97】
【0308】
また、1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを、第二層、第四層、および第六層、それぞれ0.2mg/m2、0.2mg/m2、0.6mg/m2となるように添加した。また、青感性乳剤層および緑感性乳剤層に対し、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを、それぞれハロゲン化銀1モル当たり、1×10-4モル、2×10-4モル添加した。また、赤感性乳剤層にメタクリル酸とアクリル酸ブチルの共重合体ラテックス(質量比1:1、平均分子量200000〜400000)を0.05g/m2を添加した。また第二層、第四層および第六層にカテコール−3,5−ジスルホン酸二ナトリウムをそれぞれ6mg/m2、6mg/m2、18mg/m2となるように添加した。また、各層にポリスチレンスルホン酸ナトリウムを必要に応じて加え塗布液の粘度を調節した。また、イラジエーション防止のために、以下の染料(カッコ内は塗布量を表す)を添加した。
【0309】
【化98】
【0310】
(層構成)
以下に、各層の構成を示す。数字は塗布量(g/m2)を表す。ハロゲン化銀乳剤は、銀換算塗布量を表す。
【0311】
支持体
ポリエチレン樹脂ラミネート紙
[第一層側のポリエチレン樹脂に白色顔料(TiO2;含有率16質量%、ZnO;含有率4質量%)と蛍光増白剤(4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾリル)スチルベン。含有率0.03質量%)、青味染料(群青、含有率0.33質量%)を含む。ポリエチレン樹脂の量は29.2g/m2]
【0312】
第一層(青感性乳剤層)
塩臭沃化銀乳剤(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤B−Hと小サイズ
乳剤B−Lとの5:5混合物(銀モル比)。) 0.17
ゼラチン 1.43
イエローカプラー(6) 0.34
色像安定剤(Cpd−1) 0.01
色像安定剤(Cpd−2) 0.01
色像安定剤(Cpd−8) 0.08
色像安定剤(Cpd−18) 0.01
色像安定剤(Cpd−19) 0.08
色像安定剤(Cpd−20) 0.09
色像安定剤(Cpd−21) 0.01
添加剤(ExC−1) 0.001
色像安定剤(UV−2) 0.01
溶媒(Solv−4) 0.27
溶媒(Solv−6) 0.04
溶媒(Solv−9) 0.27
【0313】
第二層(混色防止層)
ゼラチン 0.73
混色防止剤(Cpd−4) 0.06
色像安定剤(Cpd−5) 0.02
色像安定剤(Cpd−6) 0.04
色像安定剤(Cpd−7) 0.01
色像安定剤(UV−A) 0.04
溶媒(Solv−1) 0.02
溶媒(Solv−2) 0.02
溶媒(Solv−5) 0.08
溶媒(Solv−8) 0.09
【0314】
第三層(緑感性乳剤層)
塩臭沃化銀乳剤(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤G−Hと小サイズ
乳剤G−Lとの1:3混合物(銀モル比)。) 0.12
ゼラチン 0.97
マゼンタカプラー(ExM) 0.12
紫外線吸収剤(UV−A) 0.06
色像安定剤(Cpd−2) 0.01
色像安定剤(Cpd−6) 0.06
色像安定剤(Cpd−7) 0.01
色像安定剤(Cpd−8) 0.01
色像安定剤(Cpd−9) 0.01
色像安定剤(Cpd−10) 0.01
色像安定剤(Cpd−11) 0.0001
溶媒(Solv−3) 0.06
溶媒(Solv−4) 0.12
溶媒(Solv−6) 0.05
溶媒(Solv−9) 0.14
【0315】
第四層(混色防止層)
ゼラチン 0.58
混色防止剤(Cpd−4) 0.05
色像安定剤(Cpd−5) 0.02
色像安定剤(Cpd−6) 0.03
色像安定剤(Cpd−7) 0.02
色像安定剤(UV−A) 0.03
溶媒(Solv−1) 0.02
溶媒(Solv−2) 0.06
溶媒(Solv−5) 0.07
溶媒(Solv−8) 0.07
【0316】
第五層(赤感性乳剤層)
塩臭沃化銀乳剤(金硫黄増関された立方体、大サイズ乳剤R−Hと小サイズ
乳剤R−Lとの4:6混合物(銀モル比)。) 0.10
ゼラチン 1.11
シアンカプラー(ExC−1) 0.12
シアンカプラー(ExC−2) 0.02
シアンカプラー(ExC−3) 0.03
色像安定剤(Cpd−1) 0.01
色像安定剤(Cpd−7) 0.01
色像安定剤(Cpd−9) 0.04
色像安定剤(Cpd−10) 0.01
色像安定剤(Cpd−14) 0.01
色像安定剤(Cpd−15) 0.17
色像安定剤(Cpd−16) 0.01
色像安定剤(Cpd−17) 0.01
色像安定剤(Cpd−18) 0.05
色像安定剤(Cpd−19) 0.03
色像安定剤(UV−4) 0.10
溶媒(Solv−5) 0.17
【0317】
第六層(紫外線吸収層)
ゼラチン 0.34
紫外線吸収剤(UV−C) 0.27
化合物(S1−4) 0.0015
溶媒(Solv−7) 0.09
第七層(保護層)
ゼラチン 0.65
添加剤(Cpd−22) 0.03
流動パラフィン 0.02
界面活性剤(Cpd−13) 0.02
【0318】
【化99】
【0319】
【化100】
【0320】
【化101】
【0321】
【化102】
【0322】
【化103】
【0323】
【化104】
【0324】
【化105】
【0325】
【化106】
【0326】
【化107】
【0327】
以上のようにして作製した試料001に対して第一層の組成を以下の様に変更した試料101を作製した。
【0328】
試料101の第一層(青感光性乳剤層)の組成
第一層(青感性乳剤層)
塩臭沃化銀乳剤(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤B−Hと小サイズ
乳剤B−Lとの5:5混合物(銀モル比)。) 0.17
ゼラチン 1.43
イエローカプラー(6)(例示化合物(6)) 0.34
溶媒(Solv−4) 0.46
溶媒(Solv−9) 0.46
【0329】
試料102〜試料124は試料101に対して、一般式(TS−II)で表される化合物はイエローカプラーに対して20モル%添加、一般式(Ph)で表される化合物はイエローカプラ−に対して70モル%添加した。その際、第一層の油溶分が一定となるように溶媒の量を減じて各々の試料を作製した。
【0330】
上記の感光材料001を127mm幅のロール状に加工し、デジタルミニラボフロンティア330(富士写真フイルム社製)を用いて感光材料に標準的な写真画像を露光した。その後下記処理工程にて使用した発色現像補充液の容量が発色現像タンク容量の2倍となるまで連続処理(ランニングテスト)を行った。処理液組成と工程時間の異なる以下の2つの処理を行い感光材料を評価した。
【0331】
処理工程A
以下のランニング処理液を用いた処理を処理Aとした。
【0332】
処理工程 温度 時間 補充量*
発色現像 38.5℃ 45秒 45mL
漂白定着 38.0℃ 45秒 35mL
リンス1 38.0℃ 20秒 −
リンス2 38.0℃ 20秒 −
リンス3** 38.0℃ 20秒 −
リンス4** 38.0℃ 20秒 121mL
乾燥 80℃
(注)
* 感光材料1m2あたりの補充量
** 富士写真フイルム(株)製リンスクリーニングシステムRC50D(商品名)をリンス3に装着し、リンス3からリンス液を取り出してポンプにより逆浸透モジュール(RC50D)へ送る。同槽で送られた透過水はリンス4に供給し、濃縮液はリンス3に戻す。逆浸透モジュールへの透過水量は50〜300mL/分を維持するようにポンプ圧を調整し、1日10時間温調循環させた。リンスは1から4への4タンク向流方式とした。
【0333】
各処理液の組成は以下の通りである。
【0334】
【0335】
【0336】
処理工程B
上記の感光材料001を127mm幅のロール状に加工し、デジタルミニラボフロンティア330(富士写真フイルム社製、商品名)を用いて感光材料に標準的な写真画像を露光した。その後下記処理工程にて使用した発色現像補充液の容量が発色現像タンク容量の2倍となるまで連続処理(ランニングテスト)を行った。このランニング処理液を用いた処理を処理Bとした。
【0337】
処理工程 温度 時間 補充量*
発色現像 45.0℃ 17秒 45mL
漂白定着 40.0℃ 17秒 35mL
リンス1 40.0℃ 8秒 −
リンス2 40.0℃ 8秒 −
リンス3** 40.0℃ 8秒 −
リンス4** 38.0℃ 8秒 121mL
乾燥 80℃ 15秒
(注)
* 感光材料1m2あたりの補充量
** 富士写真フイルム(株)製リンスクリーニングシステムRC50Dをリンス3に装着し、リンス3からリンス液を取り出してポンプにより逆浸透モジュール(RC50D)へ送る。同槽で送られた透過水はリンス4に供給し、濃縮液はリンス3に戻す。逆浸透モジュールへの透過水量は50〜300mL/分を維持するようにポンプ圧を調整し、1日10時間温調循環させた。リンスは1から4への4タンク向流方式とした。
【0338】
各処理液の組成は以下の通りである。
【0339】
【0340】
【0341】
【化108】
【0342】
試料101〜124は感光材料を塗布後25℃55%相対湿度条件に10日保存の後に以下の評価を行った。
(評価1 光堅牢性)
各試料に対して上記処理工程Bでグレイを与える露光を与え、上記処理工程Bで発色現像処理を行った。
光源としては半導体レーザー光を用い688nmの光源(R光)、半導体レーザーにSHGを組み合わせることで532nmの光源(G光)、473nmの光源(B光)を得た。R光の光量を外部変調器を用いて変調し、回転多面体に反射させて、走査方向に対して直行して移動する試料に走査露光した。この走査露光は400dpiで行い、1画素当たりの平均露光時間は8×10-8秒であった。半導体レーザーは温度による光量変化を抑えるために、ペルチェ素子を用いて温度を一定にした。
この様に作製した試料を用い、10万ルクスのXe光に14日間暴露前後での濃度測定を行った。感光材料の表面温度は50℃になるように調節した。イエロー発色部の初期濃度0.3での保存後の相対残存率(%)を算出した。また、未露光部の光照射前後のイエロー濃度を測定し、ステイン変化(ΔDmin)を算出した。
得られた結果を表2に示す。
【0343】
【表2】
【0344】
一般式(Ph)で表される化合物はイエロー色素の光退色改良効果あるものの、光ステインの改良効果はほとんどない。また一般式(TS−II)で表される化合物は光退色改良効果と光ステイン改良効果を有している。両者を併用すると、光退色の到達レベルと光ステインの発生が単独で使用場合よりも更に改良されることがわかる。
【0345】
(実施例2)
実施例1で作製した試料113および123において、本発明の化合物を表3及び4に示すように、さらに別の色像安定剤を追加添加した試料201〜232を作製した。これらの追加添加した化合物の添加量は、イエローカプラ−に対して各20モル%になるように行った。その際には第一層の油溶分が一定となるように溶媒の量を減じて試料を作製した。
実施例1と同様に光堅牢性の評価を行った。得られた結果を表3及び4に示す。
【0346】
【表3】
【0347】
【表4】
【0348】
一般式(Ph)で表される化合物と一般式(TS−II)で表される化合物を併用し、更に、一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される化合物、一般式(TS−I)、(TS−III)〜(TS−VII)のいずれかで表される化合物、金属錯体、紫外線吸収剤、水不溶性の単独重合体もしくは共重合体と併用すると更に光堅牢性が改良されることが分かる。
【0349】
(実施例3)
実施例2の試料216に対して第一層のイエローカプラ−を表5に示すイエローカプラ−に変更した試料を作製した。イエローカプラ−の変更は等モルになるよう行った。実施例1と同様にして光退色を評価した。この結果を表5に示す。
【0350】
【表5】
【0351】
イエローカプラーの構造が−CONH−基に対してオルト位にアルキルチオ基である本発明のイエローカプラーを用いた試料が堅牢性に優れ、更にはアルキルチオ基に対してパラ位にt−ブチル基を有するカプラーを用いた試料が更に堅牢性に優れることがわかる。
【0352】
(実施例4)
試料001および実施例1〜3の各試料において、第一層の溶媒量を減じて疎水性添加剤の総量を67%にし、ゼラチン量を67%に減じた試料を作製した。実施例1と同様の評価を行った結果、本発明のイエローカプラ−と本発明の化合物との組合せにより、光堅牢性が改良されることがわかった。
【0353】
(実施例5)
実施例3の試料において第二層、第三層および第四層の紫外線吸収剤種を(UV−A)から(UV−B)に変更した試料を作製し、実施例1と同様の評価を行った結果、ほぼ同様の結果が得られた。
【0354】
(実施例6)
試料001および実施例1、2並びに4の各試料において、第二層、第三層および第四層の紫外線吸収剤種を(UV−A)から(UV−B)に変更した試料を作製し、実施例1と同様の評価を行った結果、本発明のイエローカプラ−と本発明の化合物との組合せにより、光堅牢性が改良されることがわかった。
【0355】
(実施例7)
実施例3の各試料において第二層、第四層の(Cpd−4)を等モルの(Cpd−12)に変更した試料を作製し、実施例1と同様の評価を行った結果、本発明のイエローカプラーと本発明の化合物を併用することで光堅牢性が改良されることが確認され、その効果が特に顕著であった。
【0356】
(実施例8)
実施例7の各試料を硫酸バリウム練り込んだ175μm厚みのPET反射支持体上に塗設した試料を作製し、実施例1の方法で評価を行った結果、ほぼ同様の結果が得られた。
【0357】
(実施例9)
実施例1〜8で作製した各試料を以下に示す各々の露光装置を用いて走査露光を与え、処理工程Aで処理し、実施例1と同様の光堅牢性評価を行ったところ、本発明の試料はいずれの露光装置を使用しても比較試料と比較し、いずれも光堅牢性が優れることがわかった。
【0358】
露光装置
デジタルミニラボ フロンティア330(商品名、富士写真フイルム社製)
Lambda 130(商品名、Durst社製)
LIGHTJET 5000(商品名、Gretag社製)
【0359】
(実施例10)
実施例3の各試料において以下の変更をした試料を作製した。
青色感光性ハロゲン化銀乳剤層の塗設量 240%
緑色感光性ハロゲン化銀乳剤層の塗設量 250%
赤色感光性ハロゲン化銀乳剤層の塗設量 260%
支持体:180μm厚みのポリエチレンテレフタレート透明支持体
【0360】
これらの各試料を、実施例1の処理工程Bにおいてそれぞれの処理工程を2.7倍に延長した処理を行った。実施例1と同じ評価を行った結果、本発明のイエローカプラーと本発明の化合物を組合わせて使用すると、比較試料と比較し、画像堅牢性に優れていることがわかった。
【0361】
【発明の効果】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、迅速処理性、発色性、色再現性、処理後の画像堅牢性に優れ、特にイエロー色素画像および白地の光堅牢性に優れる。
Claims (5)
- 支持体上にイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、及びシアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の各層を少なくとも一層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料であって、イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層に下記一般式(II)で表されるイエロー色素形成カプラーの少なくとも一種、下記一般式(TS−II)で表される化合物の少なくとも一種および下記一般式(Ph)で表される化合物の少なくとも一種とをそれぞれ含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記一般式(II)で表されるイエロー色素形成カプラーにおいて、 R2の少なくとも1つが−CONH−基に対してオルト位に位置したアルキルチオ基であり、かつR2の他の1つが前記アルキルチオ基に対してパラ位の位置でt−ブチル基であることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記一般式(II)で表されるイエロー色素形成カプラーにおいて、Xが5,5−ジメチルオキサゾリジン−2,4−ジオン−3−イル基であることを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 下記一般式(E−1)〜(E−3)のいずれかで表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を更に含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 下記一般式(TS−I)、(TS−III)、(TS−IV)、(TS−V)、(TS−VI)または(TS−VII)のいずれかで表される化合物、金属錯体、紫外線吸収剤、及び水不溶性の単独重合体もしくは共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種を更に含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
一般式(TS−III)中、R65及びR66は各々独立に、水素原子、脂肪族基、アリール基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基またはアリールスルホニル基を表し、R67は水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、置換アミノ基、ヘテロ環基またはヒドロキシ基を表わす。ここで、R65とR66、R66とR67、R65とR67が互いに結合し、5〜7員環を形成しても良いが、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を形成することはない。また、R65とR66の両方が水素原子であることはなく、R65とR66の総炭素数は7以上である。
一般式(TS−IV)、R71は水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、Li、NaまたはKを表わし、R72は脂肪族基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R71とR72が互いに結合し、5〜7員環を形成しても良い。qは0、1または2を表す。但し、R71、R72の総炭素数は10以上である。
一般式(TS−V)中、R81、R82及びR83は各々独立に、脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族アミノ基またはアリールアミノ基を表し、tは0または1を表す。R81とR82、R81とR83は互いに結合し、5〜8員環を形成しても良い。但し、R81、R82、R83の総炭素数は10以上である。
一般式(TS−VI)中、R85、R86、R87及びR88は各々独立に、水素原子または置換基を表わす。但しR85、R86、R87及びR88の全てが水素原子であることはなく、R85、R86、R87及びR88の任意の2つが結合し、5〜7員環を形成していても良いが、炭素原子のみの芳香環を形成することはない。一般式(TS−VI)で表わされる化合物の総炭素数は10以上である。
一般式(TS−VII)中、R91は炭素原子数の総和が10以上の疎水性基を表し、Y91はアルコール性水酸基を含有する一価の有機基を表す。
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