JP2004117987A - 色素形成カプラー及びハロゲン化銀カラー写真感光材料 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料、更に詳細には色再現性、画像保存性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
減色法によるハロゲン化銀写真感光材料(以下、単に「感光材料」という場合がある。)においては、イエロー、マゼンタおよびシアンの3原色の色素によって色画像が形成される。現行のp−フェニレンジアミン系カラー現像主薬を使用するカラー写真法においては、イエローカプラーとして、アシル酢酸アニリド系化合物が使用されている。しかし、これらのカプラーから得られるイエロー色素の色相は、吸収の長波側すそ切れが悪いため赤味を帯び、純度の高いイエローの色相を得るのが困難であり、また、該色素の分子吸光係数が小さく、所望の発色濃度を得るために多量のカプラーやハロゲン化銀を必要とし、感光材料の膜厚が厚くなって得られる色像の鮮鋭性が低下する場合があるといった問題を有していた。さらに、前記色素は高温高湿条件下、あるいは光照射条件下で分解し易く、現像処理後の画像保存性に問題があり改良が望まれている。
【0003】
これらの問題を解決するためにアシル基およびアニリド基の改良が行われ、最近になって、従来のアシル酢酸アニリド系を改良したカプラーとして、1−アルキルシクロプロパンカルボニル酢酸アニリド系化合物(例えば、特許文献1参照。)や環状マロンジアミド型カプラー(例えば、特許文献2参照。)、ピロール−2または3−イルもしくはインドール−2または3−イルカルボニル酢酸アニリド系カプラー(例えば、特許文献3〜4参照。)等が提案された。これらのカプラーから生成する色素は、従来のものより色相、分子吸光係数において改良されたが、画像保存性の点で未だ十分ではなく、また、構造が複雑になった分、合成ルートが長く、カプラーコストが高くなり、実用的には問題があった。また他に1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシドが結合した酢酸エステル系および酢酸アニリド系カプラー(例えば、特許文献5〜7参照。)が提案されているが、発色性が低く、吸収の長波側すそ切れも悪くこれらの改良が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−218042号公報
【特許文献2】
特開平5−11416号公報
【特許文献3】
欧州特許出願公開第953870号明細書
【特許文献4】
欧州特許出願公開第953871号明細書
【特許文献5】
米国特許第3,841,880号明細書
【特許文献6】
特開昭52−82423号公報
【特許文献7】
特開平2−28645号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記問題点を克服し、色相、保存安定性が良好な色素を与え、発色性の高い色素形成カプラーを提供すること、またこの色素形成カプラーを使用し、発色性に優れ、白地や色素画像が長期間変色、褪色せず、高度の保存性を有するハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。本発明の他の目的は、色相、発色性に優れ、かぶり、混色が少なく、色素画像が長期間変化せず、塗布後長期間保存しても発色性に変化の少ないハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。本発明の他の目的は、色相、発色性に優れ、色素画像が長期間変色せず、現像処理安定性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、下記一般式(I)で表されるイエロー色素形成カプラーにより前記課題を解決できることを見出した。本発明はこの知見に基づきなされるに至ったものである。すなわち本発明は、以下のものを提供するものである。
(1)下記一般式(I)で表されるイエロー色素形成カプラー。
【0007】
【化3】
【0008】
式中、Qは−N=C−N(R1)−とともに5〜7員環を形成する非金属原子群を表す。R1、R2は各々独立に置換基を表す。mは0以上5以下の整数を表す。mが2以上のとき複数のR2はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。Xは水素原子または現像主薬酸化体とのカップリング反応により離脱可能な基を表す。但し、一般式(I)はその置換可能な位置に、下記一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いた残基が直接もしくは必要に応じて連結基を介して置換しているものである。
【0009】
【化4】
【0010】
一般式(TS−I)中、R51は水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、フォスホリル基または−Si(R58)(R59)(R60)を表す。ここで、R58、R59及びR60は各々独立に脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基またはアリールオキシ基を表す。X51は−O−または−N(R57)−を表す。ここで、R57はR51と同義である。X55は−N=または−C(R52)=、X56は−N=または−C(R54)=、X57は−N=または−C(R56)=を表し、R52、R53、R54、R55及びR56は各々独立に、水素原子または置換基を表す。R51とR52、R57とR56、R51とR57は互いに結合して5〜7員環を形成していても良い。さらに、R52とR53、R53とR54が互いに結合して、5〜7員環またはスピロ環、ビシクロ環を形成しても良い。但し、R51〜R57の全てが水素原子であることはなく、一般式(TS−I)で表される化合物の総炭素数は3以上である。
【0011】
一般式(TS−II)中、R61、R62、R63及びR64は各々独立に水素原子または脂肪族基を表し、R61とR62、R63とR64は結合し、5〜7員環を形成しても良い。X61は水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基またはオキシラジカル基を表す。X62は5〜7員環を形成するに必要な非金属原子群を表す。一般式(TS−II)で表される化合物の総炭素数は4以上である。
【0012】
一般式(TS−III)中、R65及びR66は各々独立に水素原子、脂肪族基、アリール基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基またはアリールスルホニル基を表し、R67は水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、置換アミノ基、ヘテロ環基またはヒドロキシ基を表し、可能な場合にはR65とR66、R66とR67、R65とR67は互いに結合し、5〜7員環を形成しても良いが、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を形成することはない。但し、R65とR66の両方が水素原子であることはなく、R65とR66の総炭素数は2以上である。
一般式(TS−IV)中、R71は水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、Li、NaまたはKを表し、R72は脂肪族基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R71とR72は互いに結合し、5〜7員環を形成しても良い。qは0、1または2を表す。但し、R71、R72の総炭素数は1以上である。
【0013】
一般式(TS−V)中、R81、R82及びR83は各々独立に脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族アミノ基またはアリールアミノ基を表し、tは0または1を表す。R81とR82、R81とR83は互いに結合し、5〜8員環を形成しても良い。但し、R81、R82、R83の総炭素数は3以上である。
一般式(TS−VI)中、R85、R86、R87及びR88は各々独立に水素原子または置換基を表す。但しR85、R86、R87及びR88の全てが水素原子であることはなく、R85、R86、R87及びR88の任意の2つが結合し、5〜7員環を形成していても良いが、炭素原子のみの芳香環を形成することはない。一般式(TS−VI)で表される化合物の総炭素数は3以上である。
【0014】
(2)支持体上の少なくとも1層に、前記(1)項記載の一般式(I)で表されるイエロー色素形成カプラーの少なくとも1種を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(3)前記一般式(I)においてQが−C(−R11)=C(−R12)−SO2−または−C(−R11)=C(−R12)−CO−で表される基(R11とR12は互いに結合して−C=C−とともに5〜7員環を形成する基、またはそれぞれ独立に水素原子もしくは置換基)であることを特徴とする前記(2)項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(4)前記一般式(I)で表されるイエロー色素形成カプラーが、一般式(II)で表されるイエロー色素形成カプラーであることを特徴とする前記(2)または(3)項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0015】
【化5】
【0016】
式中、R1、R2、mおよびXは、一般式(I)で定義したものと同じである。R3は、置換基を表わす。nは0以上4以下の整数を表わす。但し、一般式(II)はその置換可能な位置に、前記一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いた残基が直接もしくは必要に応じて連結基を介して置換しているものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本明細書中における脂肪族とは、その脂肪族部位は直鎖、分岐鎖または環状で飽和であっても不飽和であっても良く、例えばアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基を表し、これらは無置換であっても置換基を有していてもよい。また、アリールとは、単環であっても縮合環であっても良く、無置換であっても置換基を有していてもよい。また、ヘテロ環とは、そのヘテロ環部位は環内にヘテロ原子(例えば、窒素原子、イオウ原子、酸素原子)を持つものであり、飽和環であっても、不飽和環であってもよく、単環であっても縮合環であってもよく、無置換であっても置換基を有していてもよい。
【0018】
本発明における置換基とは、置換可能な基であればよく、例えば脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、脂肪族オキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシフォスフィニル基、ジアリールオキシフォスフィニル基等を挙げることができる。
【0019】
最初に、本発明の一般式(I)で表される化合物(本明細書ではイエロー色素形成カプラーとも称す)を詳細に説明する。
なお、本発明では、本発明の一般式(I)で表されるイエロー色素形成カプラーから一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基とした部分(以下、「退色防止剤基」という場合がある。)の構造を除いた残基をイエロー色素形成カプラー基という。
【0020】
【化6】
【0021】
式中、R1は水素原子以外の置換基を表す。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が挙げられる。R1として、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表わされる化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが結合していてもよい。
【0022】
なお、上述の置換基はさらに置換基で置換されていてもよく、該置換基としては上述の基が挙げられ、また、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが置換していてもよい。
【0023】
好ましくはR1は、置換もしくは無置換のアルキル基である。R1の総炭素数は1以上60以下が好ましく、4以上50以下がより好ましく、5以上40以下がさらに好ましい。R1が置換アルキル基である場合の置換基としては前述のR1の置換基として挙げた例、又は一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが挙げられる。
【0024】
一般式(I)においてQは−N=C−N(R1)−とともに5〜7員環を形成する非金属原子群を表す。好ましくは形成される5〜7員環は置換もしくは無置換、単環もしくは縮合環のヘテロ環であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択される。さらに好ましくはQは−C(−R11)=C(−R12)−SO2−、または−C(−R11)=C(−R12)−CO−で表される基を表す(本発明においてこれらの基の表記はこれらの基で表される基の結合の向きを制限するものではない。)。R11、R12は互いに結合して−C=C−とともに5〜7員環を形成する基、またはそれぞれ独立に水素原子もしくは置換基を表す。形成される5員〜7員の環は飽和または不飽和環であり、該環は脂環、芳香環、ヘテロ環であってもよく、例えば、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環が挙げられ、これらの環は更に置換基(該置換基としては前述のR1の置換基として挙げた例が挙げられる)を有していても良く、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものがその任意の位置で置換していても良い。一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが置換している場合は、可能ならば該環に直接、あるいは該環と連結基を介して置換していても良い。
これらの各置換基や複数の置換基が互いに結合して形成した環は、更に置換基(前述のR1の置換基として例示した基が挙げられる)で置換されてもよい。
【0025】
一般式(I)において、R2は水素原子以外の置換基を表す。この置換基の例としては前述のR1の置換基の例として挙げたものが挙げられる。好ましくはR2はハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、アルキル基(例えばメチル、イソプロピル)、アリール基(例えばフェニル、ナフチル)、アルコキシ基(例えばメトキシ、イソプロピルオキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、t−オクチルチオ、t−ブチルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ、2−メトキシフェニルチオ)、アシルオキシ基(例えばアセチルオキシ)、アミノ基(例えばジメチルアミノ、モルホリノ)、アシルアミノ基(例えばアセトアミド)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、カルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えばN−メチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基である。R2として、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが結合していてもよい。
【0026】
なおR2が−CONH−基に対してオルト位にある場合、好ましくはハロゲン原子またはヘテロ原子(例えば酸素原子、硫黄原子、窒素原子)で該環に結合する基(例えばアルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基)である。
なお、上述の置換基はさらに置換基で置換されていてもよく、該置換基としては上述の基が挙げられ、また、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが置換していてもよい。
R2の総炭素数は0以上60以下が好ましく、0以上50以下がより好ましく、1以上40以下がさらに好ましい。
【0027】
一般式(I)において、mは0以上5以下の整数を表す。mが2以上のとき複数のR2はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
mは好ましくは0〜3であり、0〜2がより好ましく、1〜2がさらに好ましく、2である場合が最も好ましい。
【0028】
一般式(I)においてXは水素原子または現像主薬酸化体とのカップリング反応により離脱可能な基を表す。Xが現像主薬酸化体とのカップリング反応により離脱可能な基である場合の例としては窒素原子で離脱する基、酸素原子で離脱する基、イオウ原子で離脱する基、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子)などが挙げられる。
【0029】
窒素原子で離脱する基としては、ヘテロ環基(好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、アリール(本明細書では4n+2個の環状共役電子を有するものを意味する)もしくは非アリール、単環もしくは縮合環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有する5もしくは6員のヘテロ環基であり、例えばスクシンイミド、マレインイミド、フタルイミド、ジグリコールイミド、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、インドール、ベンゾピラゾール、ベンツイミダゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾリン−2,4−ジオン、オキサゾリジン−2,4−ジオン、チアゾリジン−2−オン、ベンツイミダゾリン−2−オン、ベンゾオキサゾリン−2−オン、ベンゾチアゾリン−2−オン、2−ピロリン−5−オン、2−イミダゾリン−5−オン、インドリン−2,3−ジオン、2,6−ジオキシプリンパラバン酸、1,2,4−トリアゾリジン−3,5−ジオン、2−ピリドン、4−ピリドン、2−ピリミドン、6−ピリダゾン、2−ピラゾン、2−アミノ−1,3,4−チアゾリジン−4−オン)、カルボナミド基(例えばアセタミド、トリフルオロアセタミド)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、アリールアゾ基(例えばフェニルアゾ、ナフチルアゾ)、カルバモイルアミノ基(例えばN−メチルカルバモイルアミノ)などが挙げられる。
【0030】
窒素原子で離脱する基のうち、好ましいものはヘテロ環基であり、さらに好ましいものは、環構成原子として窒素原子を1、2、3または4個有するアリールヘテロ環基、または下記一般式(L)で表されるヘテロ環基である。
【0031】
【化7】
【0032】
式中、Lは−NC(=O)−と共に5〜6員環の含窒素ヘテロ環を形成する残基を表す。
これらの例示は上記ヘテロ環基の説明の中で挙げており、これらが更に好ましい。
なかでも、Lは5員環の含窒素ヘテロ環を形成する残基が好ましい。
【0033】
酸素原子で離脱する基としては、アリールオキシ基(例えばフェノキシ、1−ナフトキシ)、ヘテロ環オキシ基(例えばピリジルオキシ、ピラゾリルオキシ)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシ基(例えばメトキシ、ドデシルオキシ)、カルバモイルオキシ基(例えばN,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルバモイルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ)などが挙げられる。
酸素原子で離脱する基のうち、好ましいものはアリールオキシ基、アシルオキシ基、ヘテロ環オキシ基である。
【0034】
イオウ原子で離脱する基としては、アリールチオ基(例えばフェニルチオ、ナフチルチオ)、ヘテロ環チオ基(例えばテトラゾリルチオ、1,3,4−チアジアゾリルチオ、1,3,4−オキサゾリルチオ、ベンツイミダゾリルチオ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ、オクチルチオ、ヘキサデシルチオ)、アルキルスルフィニル基(例えばメタンスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばベンゼンスルフィニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)などが挙げられる。
イオウ原子で離脱する基のうち、好ましいものはアリールチオ基、ヘテロ環チオ基であり、ヘテロ環チオ基がより好ましい。
【0035】
Xは置換基により置換されていてもよく、Xを置換する置換基の例としては前述のR1の置換基の例として挙げたものが挙げられる。
Xに一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが置換する場合は、Xの離脱基の任意の位置に置換して良い。
Xは、好ましくは窒素原子で離脱する基、酸素原子で離脱する基、イオウ原子で離脱する基であり、より好ましくは窒素原子で離脱する基であり、更に好ましくは、窒素原子で離脱する基で述べた好ましい基の順に好ましい。
【0036】
またXは写真性有用基であってもよい。この写真性有用基としては、現像抑制剤、脱銀促進剤、レドックス化合物、色素、カプラー等、あるいはこれらの前駆体が挙げられる。
【0037】
カプラーを感光材料中で不動化するために、Q、R1、X、あるいはR2の少なくとも1つは置換基を含めた総炭素数が6以上60以下であることが好ましく、より好ましくは総炭素数が8以上50以下である。
【0038】
本発明の効果の点で一般式(I)で表される化合物(本明細書ではイエロー色素形成カプラーとも称す)は次の一般式(II)で表される化合物(本明細書ではイエロー色素形成カプラーとも称す)であることが好ましい。以下に一般式(II)で表される化合物を詳細に説明する。
【0039】
【化8】
【0040】
一般式(II)において、R1、R2、m、Xは一般式(I)において述べたものと同じものを表し、好ましい範囲も同様である。
【0041】
一般式(II)において、R3は置換基を表す。この置換基の例としては前述のR1の置換基の例として挙げたものが挙げられる。好ましくはR3はハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、アルキル基(例えばメチル、イソプロピル)、アリール基(たとえばフェニル、ナフチル)、アルコキシ基(例えばメトキシ、イソプロピルオキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ)、アシルオキシ基(例えばアセチルオキシ)、アミノ基(例えばジメチルアミノ、モルホリノ)、アシルアミノ基(例えばアセトアミド)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、カルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えばN−メチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基である。R3として、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが結合していてもよい。
【0042】
なお、上述の置換基はさらに置換基で置換されていてもよく、該置換基としては例えば上述の基が挙げられ、また、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが置換していてもよい。
nは0以上4以下の整数を表す。nが2以上のとき複数のR3はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(II)において、本発明の効果の点で、イエロー色素形成カプラー基に一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが置換する位置は、R1、R2もしくはR3に置換する場合またはR2が結合するベンゼン環に直接もしくはR3が結合するベンゼン環に直接置換する場合が好ましく、R1もしくはR2に置換する場合またはR2が結合するベンゼン環に直接置換する場合が更に好ましく、R2に置換する場合またはR2が結合するベンゼン環に直接置換する場合が最も好ましい。
以下に、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが連結するイエロー色素形成カプラー基の好ましい一般式を示す。
【0043】
【化9】
【0044】
一般式(I−1)〜(I−3)においてR1、R2、R3、X、m、nは一般式(I)及び(II)で述べたものと同じものを表し、好ましい範囲も同様である。*印は一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものとの結合手を表わす。n1は0以上3以下の整数を表し、m1は0以上4以下の整数を表す。R13、R21、R31は2価の有機基または単なる結合手を表す。2価の有機基とは、2箇所の単結合で結合する有機基であれば良く、例えば、各々R1、R2、R3又はXで規定した置換基からさらに任意の1つの水素原子を除いてできた2価の基、あるいは下記に示す2価の基又は可能ならばそれらの基が2種、3種もしくは複数種結合してできた基を表す。
【0045】
【化10】
【0046】
式中、R14及びR15はアルキル基又はアリール基を表す。
n1は好ましくは0〜2であり、0〜1がより好ましい。また、m1は好ましくは0〜2であり、0〜1がより好ましく、0がさらに好ましい。
R13、R21、R31は、好ましくは単なる結合手、アルキレン基、アリーレン基、−O−アルキレン基、−S−アルキレン基、−NH−を含む上記の例示の基であり、単なる結合手、アルキレン基、アリーレン基、−O−アルキレン基、−S−アルキレン基、−NH−がより好ましい。
【0047】
本発明の効果の点で一般式(I−2)又は(I−3)で表されるイエロー色素形成カプラー基が好ましく、一般式(I−2)である場合は更に好ましい。
以下に本発明の一般式(I)又は(II)で表されるカプラーのうちの一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基とした部分を除いたイエロー色素形成カプラー基の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、カップリング位の水素原子がカップリング位に結合したC=N部の窒素上に移動した互変異性体も本発明に含まれることとする。また、各構造式における*印は、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものとの結合手を表す。
【0048】
【化11】
【0049】
【化12】
【0050】
【化13】
【0051】
【化14】
【0052】
【化15】
【0053】
【化16】
【0054】
【化17】
【0055】
【化18】
【0056】
【化19】
【0057】
【化20】
【0058】
なお、以降の説明において、以上に例示されたイエロー色素形成カプラー基を引用する場合、それぞれのイエロー色素形成カプラー基に付された括弧書きの番号(C−x)を用いて、「(C−x)」と表示することとする。
【0059】
本発明の一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーは、イエロー色素形成カプラー基に一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが結合可能な任意の位置で結合しているものである。イエロー色素形成カプラー基には退色防止剤基が複数結合してもよく、その場合の退色防止剤基は同じでも異なっていてもよい。
【0060】
【化21】
【0061】
以下に一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物について詳細に述べる。
【0062】
一般式(TS−I)で表される化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−I)中、R51は水素原子、脂肪族基(例えば、メチル、i−プロピル、s−ブチル、ドデシル、メトキシエトキシ、アリル、ベンジル)、アリール基(例えば、フェニル、p−メトキシフェニル)、ヘテロ環基(例えば2−テトラヒドロフリル、ピラニル)、アシル基(例えばアセチル、ピバロイル、ベンゾイル、アクリロイル)、脂肪族オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル、p−メトキシフェノキシカルボニル)、脂肪族スルホニル基(例えばメタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル)、フォスホリル基(例えばジエチルフォスホリル、ジフェニルフォスホリル、ジフェノキシフォスホリル)または−Si(R58)(R59)(R60)を表す。ここで、R58、R59及びR60は各々独立に脂肪族基(例えばメチル、エチル、t−ブチル、ベンジル、アリル)、アリール基(例えばフェニル)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ、ブトキシ)またはアリールオキシ基(例えばフェノキシ)を表す。
【0063】
X51は−O−または−N(R57)−を表す。ここで、R57はR51と同義である。X55は−N=または−C(R52)=、X56は−N=または−C(R54)=、X57は−N=または−C(R56)=を表す。R52、R53、R54、R55及びR56は各々独立に水素原子または置換基を表し、好ましい置換基としては脂肪族基(例えばメチル、t−ブチル、t−ヘキシル、ベンジル)、アリール基(例えばフェニル)、脂肪族オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、脂肪族スルホニル基(例えばメタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル、p−ヒドロキシベンゼンスルホニル)または−X51−R51である。
【0064】
R51とR52、R57とR56、R51とR57は互いに結合して5〜7員環(例えばクロマン環、モルホリン環)を形成していても良い。さらに、R52とR53、R53とR54が互いに結合して、5〜7員環(例えばクロマン環、インダン環)またはスピロ環、ビシクロ環を形成しても良い。但し、R51〜R57のすべてが水素原子であることはなく、総炭素数は3以上(好ましくは3〜50)であり、好ましくは総炭素数7以上(好ましくは7〜40)である。
【0065】
本発明の一般式(TS−I)で表される化合物は、特公昭63−50691号公報記載の一般式(I)、特公平2−37575号公報記載の一般式(IIIa),(IIIb),(IIIc)、同2−50457号公報記載の一般式、同5−67220号公報記載の一般式、同5−70809号公報記載の一般式(IX)、同6−19534号公報記載の一般式、特開昭62−227889号公報記載の一般式(I)、同62−244046号公報記載の一般式(I),(II)、特開平2−66541号公報記載の一般式(I),(II)、同2−139544号公報記載の一般式(II),(III)、同2−194062号公報記載の一般式(I)、同2−212836号公報記載の一般式(B),(C),(D)、同3−200758号公報記載の一般式(III)、同3−48845号公報記載の一般式(II),(III)、同3−266836号公報記載の一般式(B),(C),(D)、同3−969440号公報記載の一般式(I)、同4−330440号公報記載の一般式(I)、同5−297541号公報記載の一般式(I)、同6−130602号公報記載の一般式、国際公開WO91/11749号パンフレット記載の一般式(1),(2),(3)、独国特許出願公開第4,008,785号明細書記載の一般式(I)、米国特許第4,931,382号明細書記載の一般式(II)、欧州特許第203,746号明細書記載の一般式(a)、同264,730号明細書記載の一般式(I)、特開昭62−89962号公報記載の一般式(III)等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
本発明の効果の点で一般式(TS−I)で表される化合物は、一般式(TS−IA)〜(TS−IH)のいずれかで表される化合物が好ましい。
【0066】
【化22】
【0067】
一般式(TS−IA)〜(TS−IH)において、R51〜R57およびX51は一般式(TS−I)で定義したものと同じである。Ra1〜Ra4は水素原子または脂肪族基(例えばメチル、エチル)を表し、X52およびX53は各々独立に2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、オキシ基、スルホニル基が挙げられる。式中、同一分子中の同記号は同じであっても異なっていても良い。
一般式(TS−IA)〜(TS−IH)のいずれかで表される化合物について、本発明の効果の点での好ましい置換基について述べる。
【0068】
一般式(TS−IA)、(TS−IB)、(TS−IC)、(TS−ID)において、R51が水素原子、脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、フォスホリル基であって、R52、R53、R55及びR56が各々独立に、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基またはアシルアミノ基である場合が好ましく、R51が脂肪族基であって、R52、R53、R55及びR56が各々独立に、水素原子または脂肪族基である場合がさらに好ましい。一般式(TS−IE)、(TS−IF)、(TS−IG)において、R51は水素原子、脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基またはフォスホリル基であって、R52、R53、R55及びR56が各々独立に、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基またはアシルアミノ基であって、R54が脂肪族基、カルバモイル基またはアシルアミノ基であって、X52およびX53は、アルキレン基またはオキシ基である場合が好ましく、R51が水素原子、脂肪族基、アシル基またはホスホリル基であって、R52、R53、R55及びR56が各々独立に、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基またはアシルアミノ基であって、R54が脂肪族基またはカルバモイル基であって、X52およびX53が−CHR58−(R58はアルキル基)である場合がさらに好ましい。一般式(TS−IH)において、R51が脂肪族基、アリール基またはヘテロ環基であって、R53、R55が各々独立に、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基またはヘテロ環オキシ基である場合が好ましく、R51がアリール基またはヘテロ環基であって、R53、R55が各々独立にアリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基である場合がさらに好ましい。
【0069】
本発明の効果の点で、イエロー色素形成カプラー基に結合する一般式(TS−I)で表される化合物は、一般式(TS−IA)、(TS−IB)、(TS−IC)、(TS−IE)または(TS−IG)で表される化合物が好ましく、一般式(TS−IB)、(TS−IC)、(TS−IE)または(TS−IG)で表される化合物がより好ましく、一般式(TS−IC)のR52、R53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合または一般式(TS−IE)もしくは(TS−IG)で表される化合物の場合が更に好ましく、一般式(TS−IE)または(TS−IG)で表される化合物の場合が最も好ましい。
以下に一般式(TS−I)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0070】
【化23】
【0071】
【化24】
【0072】
【化25】
【0073】
【化26】
【0074】
【化27】
【0075】
【化28】
【0076】
一般式(TS−I)で表される化合物がイエロー色素形成カプラーに組み込まれ、本発明の一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなる場合、一般式(TS−I)又は(TS−IA)〜(TS−IH)のいずれかで表される化合物の結合部位は、その置換可能な位置であれば良く、具体的にはその任意の水素原子の代わりにイエロー色素形成カプラー基が結合し、一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなるものである。退色防止剤基にはイエロー色素形成カプラー基が複数結合してもよく、その場合のイエロー色素形成カプラー基は同じでも異なっていてもよい。
以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する、一般式(TS−I)又は(TS−IA)〜(TS−IH)のいずれかで表される化合物を基とした場合の好ましい一般式を示す。
【0077】
【化29】
【0078】
【化30】
【0079】
一般式(TS−IA1)〜(TS−IG3)におけるR51〜R56、Ra1〜Ra4およびX52は一般式(TS−I)および(TS−IA)〜(TS−IH)で定義したものと同じであり、好ましい範囲も同様である。R511はR51で定義した置換基から1つの任意の水素原子を除いた2価の基、R521はR52で定義した置換基から1つの任意の水素原子を除いた2価の基を表し、好ましい範囲もR51又はR52と同様である。*印はイエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0080】
これらの一般式(TS−IA1)〜(TS−IG3)のいずれかで表される基の中で本発明の効果の点で好ましい基としては、一般式(TS−IB1)、(TS−IB2)、(TS−IB3)、(TS−IC1)のR52、R53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合、(TS−IC2)のR53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合、(TS−IC3)のR52、R53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合、(TS−IC4)のR52、R53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合、(TS−IC5)のR53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合、(TS−IC6)のR52、R53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合、(TS−IE1)、(TS−IE2)、(TS−IG1)、(TS−IG2)、(TS−IG3)のいずれかで表される基が好ましく、一般式(TS−IC1)のR52、R53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合、(TS−IC2)のR53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合、(TS−IC4)のR52、R53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合、(TS−IC5)のR53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合、(TS−IE1)、(TS−IE2)、(TS−IG1)、(TS−IG2)、(TS−IG3)のいずれかで表される基が更に好ましく、一般式(TS−IE1)、(TS−IE2)、(TS−IG1)、(TS−IG3)のいずれかで表される基が最も好ましい。
以下に、イエロー色素形成カプラー基に結合する一般式(TS−IA1)〜(TS−IG3)のいずれかで表される基の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各構造式における*印は、イエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0081】
【化31】
【0082】
【化32】
【0083】
【化33】
【0084】
一般式(TS−II)で表される化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−II)中、R61、R62、R63及びR64は各々独立に水素原子または脂肪族基(例えばメチル、エチルであって、好ましくはアルキル基)を表し、X61は水素原子、脂肪族基(例えばメチル、エチル、アリル)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ、オクチルオキシ、シクロヘキシルオキシ)、脂肪族オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニル)、アシル基(例えばアセチル、ピバロイル、メタクリロイル)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ)、脂肪族オキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ、オクチルオキシカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ)、脂肪族スルホニル基(例えばメタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル)、脂肪族スルフィニル基(例えばメタンスルフィニル、オクタンスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばベンゼンスルフィニル、p−トルエンスルフィニル)、スルファモイル基(例えばジメチルスルファモイル)、カルバモイル基(例えばジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル)、ヒドロキシ基またはオキシラジカル基を表す。X62は5〜7員環(例えばピペリジン環、ピペラジン環)を形成するに必要な非金属原子群を表す。一般式(TS−II)で表される化合物の総炭素数は4以上(好ましくは4〜60)である。
【0085】
本発明の一般式(TS−II)で表される化合物は、特公平2−32298号公報記載の一般式(I)、同3−39296号公報記載の一般式(I)、同3−40373号公報記載の一般式、特開平2−49762号公報記載の一般式(I)、同2−208653号公報記載の一般式(II)、同2−217845号公報記載の一般式(III)、米国特許第4,906,555号明細書記載の一般式(B)、欧州特許出願公開309,400号明細書記載の一般式、同309,401号明細書記載の一般式、同309,402号明細書記載の一般式等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
【0086】
一般式(TS−II)で表される化合物について、本発明の効果の点での好ましい置換基について述べる。本発明の効果の点で、R61、R62、R63及びR64は脂肪族基である場合が好ましく、メチル基である場合がさらに好ましい。本発明の効果の点で、X61は水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシル基、アシルオキシ基またはオキシラジカル基である場合が好ましく、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシル基またはオキシラジカル基である場合がさらに好ましく、脂肪族基または脂肪族オキシ基である場合が最も好ましい。本発明の効果の点で、X62は該C−N(X61)−Cと共に6員環を形成する場合が好ましく、ピペリジン環を形成する場合がさらに好ましい。本発明の効果の点で、一般式(TS−II)で表される化合物は、R61、R62、R63及びR64がいずれもメチル基であって、X61が水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシル基またはオキシラジカル基であって、X62が該C−N(X61)−Cと共に6員環を形成する場合が好ましく、R61、R62、R63及びR64がいずれもメチル基であって、X61が脂肪族基、脂肪族オキシ基であって、X62が該C−N(X61)−Cと共にピペリジン環を形成する場合がさらに好ましい。
以下に一般式(TS−II)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0087】
【化34】
【0088】
【化35】
【0089】
【化36】
【0090】
一般式(TS−II)で表される化合物がイエロー色素形成カプラーに組み込まれ、本発明の一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなる場合、一般式(TS−II)で表される化合物の結合部位は、その置換可能な位置であれば良く、具体的にはその任意の水素原子の代わりにイエロー色素形成カプラー基が結合し、一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなるものである。退色防止剤基にはイエロー色素形成カプラー基が複数結合してもよく、その場合のイエロー色素形成カプラー基は同じでも異なっていてもよい。
本発明の効果の点で、イエロー色素形成カプラー基に結合する一般式(TS−II)で表される化合物の好ましい結合様式は、イエロー色素形成カプラー基が、X61の置換基に結合している場合、X61が置換する該窒素原子と直接結合している場合、またはX62を形成する非金属原子群もしくは該非金属原子群上の置換基と結合している場合であり、より好ましくはイエロー色素形成カプラー基がX62を形成する非金属原子群上の置換基と結合している場合である。
以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−II)で表される化合物を基とした場合の好ましい一般式を示す。
【0091】
【化37】
【0092】
一般式(TS−IIA1)〜(TS−IIA3)においてR61〜R64、X61、X62は一般式(TS−II)で定義したものと同じであり、好ましい範囲も同様である。X611はX61で定義した置換基から任意の1つの水素原子を除いた2価の基であり、好ましい範囲もX61と同様である。*印はイエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0093】
これらの一般式(TS−IIA1)〜(TS−IIA3)のいずれかで表される基の中で本発明の効果の点で好ましい基としては、一般式(TS−IIA2)で表される基が好ましい。
以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−IIA1)〜(TS−IIA3)のいずれかで表される基の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各構造式における*印は、イエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0094】
【化38】
【0095】
一般式(TS−III)で表される化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−III)中、R65及びR66は各々独立に水素原子、脂肪族基(例えばメチル、エチル、t−ブチル、オクチル、メトキシエトキシ)、アリール基(例えばフェニル、4−メトキシフェニル)、アシル基(例えばアセチル、ピバロイル、メタクリロイル)、脂肪族オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、カルバモイル基(例えばジメチルカルバモイル、フェニルカルバモイル)、脂肪族スルホニル基(例えばメタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)を表し、R67は水素原子、脂肪族基(例えばメチル、エチル、t−ブチル、オクチル、メトキシエトキシ)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ、オクチルオキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−メトキシフェノキシ)、脂肪族チオ基(例えばメチルチオ、オクチルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ、p−メトキシフェニルチオ)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ、ピバロイルオキシ)、脂肪族オキシカルボニルオキシ基(例えばメトキシカルボニルオキシ、オクチルオキシカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ)、置換アミノ基(置換基としては置換可能ならば良く、例えば脂肪族基、アリール基、アシル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基等の置換したアミノ基)、ヘテロ環基(例えばピペリジン環、チオモルホリン環)、ヒドロキシ基を表し、可能な場合にはR65とR66、R66とR67、R65とR67は互いに結合し、5〜7員環(例えばモルホリン環、ピラゾリジン環)を形成しても良いが、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を形成することは無い。但し、R65とR66の両方が水素原子であることはなく、一般式(III)で表される化合物の総炭素数は2以上(好ましくは2〜50)である。
【0096】
本発明の一般式(TS−III)で表される化合物は、特公平6−97332号公報記載の一般式(I)、同6−97334号公報記載の一般式(I)、特開平2−148037号公報記載の一般式(I)、同2−150841号公報記載の一般式(I)、同2−181145号公報記載の一般式(I)、同3−266836号公報記載の一般式(I)、同4−350854号公報記載の一般式(IV)、同5−61166号公報記載の一般式(I)等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
本発明の効果の点で一般式(TS−III)で表される化合物は、一般式(TS−IIIA)〜(TS−IIID)のいずれかで表される化合物が好ましい。
【0097】
【化39】
【0098】
一般式(TS−IIIA)〜(TS−IIID)においてR65〜R66は一般式(TS−III)で定義したものと同じである。Rb1〜Rb3及びRb5は各々独立にR65と同義であり、Rb4は水素原子、脂肪族基(例えばオクチル、ドデシル、3−フェノキシプロピル)、アリール基(例えば、フェニル、4−ドデシルオキシフェニル)である。X63は5〜7員環(例えばピラゾリジン環、ピラゾリン環)を形成するに必要な非金属原子群を表す。
【0099】
一般式(TS−IIIA)〜(TS−IIID)のいずれかで表される化合物について、本発明の効果の点での好ましい置換基について述べる。一般式(TS−IIIA)においては、R65及びRb1が各々独立に水素原子、脂肪族基またはアリール基であって、R66およびRb2が各々独立に脂肪族基、アリール基またはアシル基である場合が好ましく、R65およびRb1が各々独立に脂肪族基であって、R66およびRb2が各々独立に脂肪族基、アリール基またはアシル基である場合がさらに好ましい。一般式(TS−IIIB)においては、R65が水素原子、脂肪族基、アリール基、アシル基または脂肪族オキシカルボニル基であって、Rb3が脂肪族基、アリール基またはアシル基であって、X63が該N−Nと共に5員環を形成する非金属原子群である場合が好ましく、R65が水素原子または脂肪族基であって、Rb3が脂肪族基またはアリール基であって、X63が該N−Nと共にピラゾリジン環を形成する原子群である場合がさらに好ましい。一般式(TS−IIIC)においては、R65及びR66が各々独立に水素原子、脂肪族基、アリール基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基であって、Rb3が水素原子、脂肪族基、アシル基である場合が好ましく、R65およびR66が各々独立に脂肪族基、アシル基または脂肪族オキシカルボニル基であって、Rb3が水素原子、脂肪族基またはアシル基である場合がさらに好ましい。一般式(TS−IIID)においては、R65が水素原子、脂肪族基、アリール基、アシル基またはカルバモイル基であって、Rb4が脂肪族基またはアリール基であって、Rb5が脂肪族基またはアリール基である場合が好ましく、R65が脂肪族基、アリール基、アシル基またはカルバモイル基であって、Rb5が脂肪族基またはアリール基であって、Rb4が脂肪族基またはアリール基である場合がさらに好ましい。
以下に一般式(TS−III)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0100】
【化40】
【0101】
【化41】
【0102】
一般式(TS−III)で表される化合物がイエロー色素形成カプラーに組み込まれ、本発明の一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなる場合、一般式(TS−III)又は(TS−IIIA)〜(TS−IIID)のいずれかで表される化合物の結合部位は、その置換可能な位置であれば良く、具体的にはその任意の水素原子の代わりにイエロー色素形成カプラー基が結合し、一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなるものである。退色防止剤基にはイエロー色素形成カプラー基が複数結合してもよく、その場合のイエロー色素形成カプラー基は同じでも異なっていてもよい。
本発明の効果の点で、イエロー色素形成カプラー基に結合する一般式(TS−III)で表される化合物は、一般式(TS−IIIC)または(TS−IIID)で表される化合物が好ましく、一般式(TS−IIID)で表される化合物が更に好ましい。その場合、連結する部位はR65の置換基あるいはR65が結合する窒素原子にイエロー色素形成カプラーが結合した場合が好ましい。
以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−III)で表される化合物を基とした場合の好ましい一般式を示す。
【0103】
【化42】
【0104】
一般式(TS−IIIC1)〜(TS−IIID2)におけるR66、Rb3〜Rb5は一般式(TS−III)及び(TS−IIIA)〜(TS−IIID)で定義したものと同じであり、好ましい範囲も同様である。R651はR65で定義した置換基から1つの任意の水素原子を除いた2価の基であり、好ましい範囲もR65と同様である。*印はイエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0105】
これらの一般式(TS−IIIC1)〜(TS−IIID2)のいずれかで表される基の中で本発明の効果の点で好ましい基としては、一般式(TS−IIID1)又は(TS−IIID2)で表される基が好ましい。
以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−IIIC1)〜(TS−IIID2)のいずれかで表される基の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各構造式における*印は、イエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0106】
【化43】
【0107】
一般式(TS−IV)で表される化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−IV)中、R71およびR72は各々独立に、脂肪族基(例えばメチル、メトキシカルボニルエチル、ドデシルオキシカルボニルエチル、ベンジル)、アリール基(例えばフェニル、4−オクチルオキシフェニル、2−ブトキシ−5−(t)オクチルフェニル)またはヘテロ環基(例えば2−ピリジル、2−ピリミジル)を表し、さらに、R71は水素原子、Li、NaまたはKを表し、R71とR72は互いに結合し、5〜7員環(例えばテトラヒドロチオフェン環、チオモルホリン環)を形成しても良い。qは0、1、2を表す。但し、R71、R72の総炭素数は1以上(好ましくは1〜60)である。
本発明の一般式(TS−IV)で表される化合物は、特公平2−44052号公報記載の一般式(I)、特開平3−48242号公報記載の一般式(T)、同3−266836号公報記載の一般式(A)、同5−323545号公報記載の一般式(I),(II),(III)、同6−148837号公報記載の一般式(I)、米国特許第4,933,271号明細書記載の一般式(I)、同第4,770,987号明細書記載の一般式(1)等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
【0108】
本発明の効果の点で、一般式(TS−IV)において、qが0または2であることが好ましく、qが0であって、R71およびR72が各々独立に脂肪族基またはアリール基である場合、もしくはR71とR72が結合して6員環を形成した場合、あるいはqが2であってR71が水素原子、Na、K、脂肪族基またはアリール基であって、R72が脂肪族基またはアリール基である場合が好ましく、qが0であってR71およびR72が各々独立に、脂肪族基である場合、あるいはqが2であってR71が水素原子、NaまたはKであって、R72がアリール基である場合がさらに好ましい。
以下に一般式(TS−IV)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0109】
【化44】
【0110】
【化45】
【0111】
【化46】
【0112】
一般式(TS−IV)で表される化合物がイエロー色素形成カプラーに組み込まれ、本発明の一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなる場合、一般式(TS−IV)で表される化合物の結合部位は、その置換可能な位置であれば良く、具体的にはその任意の水素原子の代わりにイエロー色素形成カプラー基が結合し、一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなるものである。退色防止剤基にはイエロー色素形成カプラー基が複数結合してもよく、その場合のイエロー色素形成カプラー基は同じでも異なっていてもよい。
本発明の効果の点で、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−IV)で表される化合物の好ましい結合様式は、R71の置換基あるいはR71が置換する該硫黄原子と直接イエロー色素形成カプラー基が結合している場合である。
以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−IV)で表される化合物を基とした場合の好ましい一般式を示す。
【0113】
【化47】
【0114】
一般式(TS−IVA1)〜(TS−IVA3)においてR72は一般式(TS−IV)で定義したものと同じであり、好ましい範囲も同様である。R711はR71で定義した置換基から1つの任意の水素原子を除いた2価の基であり、好ましい範囲もR71と同様である。*印はイエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0115】
これらの一般式(TS−IVA1)〜(TS−IVA3)のいずれかで表される基の中で本発明の効果の点で好ましい基としては、一般式(TS−IVA2)又は(TS−IVA3)で表される基が好ましく、一般式(TS−IVA3)で表される基が最も好ましい。
以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−IVA1)〜(TS−IVA3)のいずれかで表される基の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各構造式における*印は、イエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0116】
【化48】
【0117】
一般式(TS−V)で表される化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−V)中、R81、R82及びR83は各々独立に、脂肪族基(例えばメチル、エチル、t−オクチル、アリル)、アリール基(例えばフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−ビニルフェニル)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ、t−オクチルオキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ、2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ)、脂肪族アミノ基(例えばブチルアミノ、ジブチルアミノ)またはアリールアミノ基(例えばアニリノ、4−メトキシアニリノ、N−メチルアニリノ)を表し、tは0または1を表す。R81とR82、R81とR83は互いに結合し、5〜8員環を形成しても良い。但し、R81、R82、R83の総炭素数は3以上(好ましくは3〜50)である。
本発明の一般式(TS−V)で表される化合物は、特開平3−25437号公報記載の一般式(I)、同3−142444号公報記載の一般式(I)、米国特許第4,749,645号明細書記載の一般式、同4,980,275号明細書記載の一般式等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
【0118】
本発明の効果の点で、一般式(TS−V)において、tが1であって、R81、R82およびR83が各々独立に、脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基またはアリールアミノ基である場合(好ましくはR81、R82およびR83の少なくとも1つが脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基またはアリールオキシ基である場合)が好ましく、またR81とR82が結合し8員環を形成した場合であっても好ましく、tが1であって、R81、R82およびR83が各々独立にアリール基、脂肪族オキシ基またはアリールオキシ基である場合(好ましくはR81、R82およびR83の少なくとも1つがアリール基またはアリールオキシ基である)場合がさらに好ましい。
以下に一般式(TS−V)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0119】
【化49】
【0120】
【化50】
【0121】
一般式(TS−V)で表される化合物がイエロー色素形成カプラーに組み込まれ、本発明の一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなる場合、一般式(TS−V)で表される化合物の結合部位は、その置換可能な位置であれば良く、具体的にはその任意のR81、R82あるいはR83中の水素原子の代わりにイエロー色素形成カプラー基が結合し、一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなるもの、あるいはR81の代わりにイエロー色素形成カプラー基が結合し、一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなるものである。退色防止剤基にはイエロー色素形成カプラー基が複数結合してもよく、その場合のイエロー色素形成カプラー基は同じでも異なっていてもよい。
本発明の効果の点で、イエロー色素形成カプラー基に結合する一般式(TS−V)で表される化合物の好ましい結合様式は、R81の置換基あるいはR81が置換する該リン原子と直接イエロー色素形成カプラー基が結合している場合である。
以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−V)で表される化合物を基とした場合の好ましい一般式を示す。
【0122】
【化51】
【0123】
一般式(TS−VA1)及び(TS−VA2)においてR82〜R83は一般式(TS−V)で定義したものと同じであり、好ましい範囲も同様である。R811はR81で定義した置換基から1つの任意の水素原子を除いた2価の基であり、好ましい範囲も同様である。*印はイエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0124】
以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−VA1)又は(TS−VA2)で表される基の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各構造式における*印は、イエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0125】
【化52】
【0126】
一般式(TS−VI)で表される化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−VI)中、R85、R86、R87およびR88は各々独立に水素原子または置換基(例えば脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ホスホリル基、アシルアミノ基、カルバモイル基)を表す。但しR85、R86、R87およびR88のすべてが水素原子であることはなく、R85、R86、R87およびR88の任意の2つが結合し、5〜7員環(例えば、シクロヘキセン環、シクロヘキサン環)を形成していても良いが、炭素原子のみの芳香環を形成することはない。一般式(TS−VI)で表される化合物の総炭素数は3以上(好ましくは3〜50)、より好ましくは10以上(好ましくは10〜50)である。
【0127】
本発明の一般式(TS−VI)で表される化合物は、米国特許第4,713,317号明細書記載の一般式(I)、特開平8−44017号公報記載の一般式(I)、同8−44018号公報記載の一般式(I)、同8−44019号公報記載の一般式(I)、同8−44020号公報記載の一般式(I),(II)、同8−44021号公報記載の一般式(I)、同8−44022号公報記載の一般式(I),(II)等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
本発明の効果の点で一般式(TS−VI)で表される化合物は、一般式(TS−VIA)〜(TS−VIC)のいずれかで表される化合物が好ましい。
【0128】
【化53】
【0129】
一般式(TS−VIA)〜(TS−VIC)において、R85、R86およびR87は一般式(TS−VI)で定義したものと同じである。Rd1は脂肪族基(例えばメチル、ブチル、(t)ブチル、ドデシル)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ、ブトキシ、(t)ブトキシ、ドデシルオキシ、アリルオキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシ)、脂肪族アミノ基(例えばメチルアミノ、アリルアミノ、ジアリルアミノ)またはアリールアミノ基(例えばアニリノ、N−メチルアニリノ)を表し、Rd2およびRd3は各々独立に、アルケニル基(例えばビニル、アリル、オレイル)を表し、Rd4は水素原子、脂肪族基(例えばメチル、アリル、ビニル、オクチル)またはアリール基(例えばフェニル、ナフチル、4−ビニルフェニル)を表す。u、vは各々独立に1、2または3を表す。
【0130】
一般式(TS−VIA)〜(TS−VIC)のいずれかで表される化合物において、本発明の効果の点での好ましい置換基について述べる。一般式(TS−VIA)においては、R85、R86およびR87が水素原子または脂肪族基であって、Rd1が脂肪族オキシ基、脂肪族アミノ基またはアリールアミノ基である場合が好ましく、R85、R86およびR87が水素原子または脂肪族基であって、Rd1が脂肪族オキシ基または脂肪族アミノ基である場合がさらに好ましい。一般式(TS−VIB)においては、R85が脂肪族基またはアリール基であって、Rd2がアルケニル基であって、uが1、2または3である場合が好ましく、R85が脂肪族基またはアリール基であって、Rd2がアルケニル基であって、uが2または3である場合がさらに好ましい。一般式(TS−VIC)においては、R85が脂肪族基またはアリール基であって、Rd3がアルケニル基であって、Rd4が水素原子または脂肪族基であって、uが1、2または3である場合が好ましく、R85が脂肪族基またはアリール基であって、Rd3がアルケニル基であって、Rd4が水素原子またはアルケニル基であって、uが2または3である場合がさらに好ましい。
【0131】
本発明の効果の点で、一般式(TS−VI)において、一般式(TS−VIA)又は(TS−VIB)で表される化合物がさらに好ましく、一般式(TS−VIA)で表される化合物が最も好ましい。
以下に一般式(TS−VI)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0132】
【化54】
【0133】
【化55】
【0134】
【化56】
【0135】
一般式(TS−VI)で表される化合物がイエロー色素形成カプラーに組み込まれ、本発明の一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなる場合、一般式(TS−I)又は(TS−VIA)〜(TS−VIC)のいずれかで表される化合物の結合部位は、その置換可能な位置であれば良く、具体的にはその任意の水素原子の代わりにイエロー色素形成カプラー基が結合し、一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなるものである。退色防止剤基にはイエロー色素形成カプラー基が複数結合してもよく、その場合のイエロー色素形成カプラー基は同じでも異なっていてもよい。
本発明の効果の点で、イエロー色素形成カプラー基に結合する一般式(TS−VI)で表される化合物は、一般式(TS−VIA)または(TS−VIC)で表される化合物が好ましい。その場合、連結する部位は一般式(TS−VIA)のRd1の結合する炭素原子に直接あるいはRd1の置換基に、一般式(TS−VIC)のR85の結合する炭素原子に直接あるいはR85またはRd4の置換基にイエロー色素形成カプラー基が結合した場合が好ましく、一般式(TS−VIA)のRd1の結合する炭素原子に直接、あるいは、一般式(TS−VIC)のR85の結合する炭素原子に直接あるいはR85の置換基にイエロー色素形成カプラー基が結合した場合が更に好ましい。以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−VI)で表される化合物を基とした場合の好ましい一般式を示す。
【0136】
【化57】
【0137】
一般式(TS−VIA1)〜(TS−VIC3)においてR85〜R87、Rd3及びRd4は一般式(TS−VI)及び(TS−VIA)〜(TS−VIC)で定義したものと同じであり、好ましい範囲も同様である。Rd11はRd1で定義した置換基から1つの任意の水素原子を除いた2価の基であり、R851はR85で定義した置換基から1つの任意の水素原子を除いた2価の基であり、好ましい範囲も各々Rd1およびR85と同様である。*印はイエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0138】
これらの一般式(TS−VIA1)〜(TS−VIC3)のいずれかで表される基の中で本発明の効果の点で好ましい基としては、一般式(TS−VIA1)、(TS−VIC1)又は(TS−VIC3)のいずれかで表される基が好ましい。
以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−VIA1)〜(TS−VIC3)のいずれかで表される基の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各構造式における*印は、イエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0139】
【化58】
【0140】
本発明の効果の点で、一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーは、一般式(TS−IB1)、(TS−IB2)、(TS−IB3)、(TS−IC1)、(TS−IC2)、(TS−IC3)、(TS−IC4)、(TS−IC6)、(TS−IE1)、(TS−IE2)、(TS−IG1)、(TS−IG2)、(TS−IG3)、(TS−IIA2)、(TS−IIID1)、(TS−IIID2)、(TS−IVA2)、(TS−IVA3)、(TS−VA1)、(TS−VA2)、(TS−VIA1)、(TS−VIC1)又は(TS−VIC3)のいずれかで表される基が連結したものが好ましい。本発明の効果の点で、一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーは、一般式(TS−IC1)、(TS−IC2)、(TS−IC3)、(TS−IC4)、(TS−IC6)、(TS−IE1)、(TS−IE2)、(TS−IG1)、(TS−IG2)、(TS−IG3)、(TS−IIID1)、(TS−IIID2)、(TS−IVA2)、(TS−IVA3)、(TS−VA1)又は(TS−VA2)のいずれかで表される基が連結したものはより好ましく、一般式(TS−IC1)、(TS−IC3)、(TS−IC4)、(TS−IC6)、(TS−IE1)、(TS−IE2)、(TS−IG1)、(TS−IG2)、(TS−IG3)、(TS−IVA3)又は(TS−VA2)のいずれかで表される基が連結したものは更に好ましく、一般式(TS−IC1)、(TS−IC4)、(TS−IE1)、(TS−IE2)、(TS−IG2)又は(TS−VA2)のいずれかで表される基が連結したものは最も好ましい。ただし、これらの中で一般式(TS−IC1)〜(TS−IC6)である場合にはR52、R53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合である。
【0141】
本発明の一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーは、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物が添加されてもよく、その場合1種であっても数種であってもよく、別層に添加されても、同一層に添加されても良いが、一般式(I)又は(II)のイエロー色素色素形成カプラーと同一層に添加される場合が好ましく、さらにその場合、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物の分子量は、その効果の点で250以上1000以下であることが好ましく、250以上800以下である場合がさらに好ましい。
一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物の添加量は、一般式(I)又は(II)のイエロー色素形成カプラーに対して1〜400質量%である場合が好ましく、10〜300質量%である場合が更に好ましく、25〜200質量%である場合が最も好ましい。
以下に本発明の一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーの具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0142】
【表1】
【0143】
【表2】
【0144】
【表3】
【0145】
【化59】
【0146】
以下に上記一般式(I)又は(II)で表される化合物の具体的な合成例を示す。
【0147】
合成例1:カプラー(3)の合成
カプラー(3)は、下記に示すルートにより合成した。
【0148】
【化60】
【0149】
オクタデシルアミン53.8gとアセトニトリル500mLの溶液を氷冷攪拌下に、オルトニトロベンゼンスルホニルクロライド44.3gを少量づつ添加した。反応系の温度を室温まで昇温し、さらに1時間撹拌した。反応液を水1000mLに注ぎ、析出した結晶を濾過し、乾燥した。得られた結晶を酢酸エチル、ヘキサン混合溶媒から晶析して88.6gの化合物(A−1)を得た。
【0150】
還元鉄44.8g、塩化アンモニウム4.5gをイソプロパノール270mL、水45mLに分散し、1時間加熱還流した。この分散物を加熱還流下、攪拌しながら化合物(A−1)54.4gを少量ずつ添加した。さらに1時間加熱攪拌した後、セライトを通して吸引ろ過した。濾液に酢酸エチル、水を加えて分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、化合物(A−2)の油状物48.5gを得た。
【0151】
化合物(A−2)43.4g、イミノエーテル(A−0)の塩酸塩39.1g、エチルアルコール200mLの溶液を加熱還流下1日撹拌した。更にイミノエーテルの塩酸塩19.2gを加え加熱還流下、1日撹拌した。酢酸エチル、水を加えて分液し、有機層を希塩酸水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、酢酸エチル、ヘキサン混合溶媒から晶析して39.0gの化合物(A−3)を得た。
【0152】
一方、窒素雰囲気下、化合物(A−4)30.0gにジメチルフォルムアミド200mL、炭酸カリウム28gを加え60℃で攪拌下に、オルトフルオロニトロベンゼン14.4gを15分間で滴下した。更に60℃で2時間攪拌した後、氷水500mLに注ぎ、析出した結晶を濾過し、水500mLで洗浄し、40.0gの化合物(A−5)を得た。
【0153】
還元鉄30.0g、塩化アンモニウム3.0gをイソプロパノール180mL、水32mLに分散し、1時間加熱還流した。この分散物を加熱還流下、攪拌しながら、化合物(A−5)40.0gを少量づつ添加した。さらに1時間加熱攪拌した後、セライトを通して吸引ろ過した。濾液に酢酸エチル、水を加えて分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、アセトニトリル150mLから晶析して36.2gの化合物(A−6)を得た。
【0154】
化合物(A−3)10.0g、化合物(A−6)7.5g、m−ジクロルベンゼン20mLの溶液を加熱還流下6時間攪拌し、化合物(А−7)の粗製物溶液を得た。これを氷冷却下、攪拌しながらN−クロロサクシンイミド2.6gを少しづつ添加した。更に1時間攪拌した後、氷水100mLに注ぎ、酢酸エチル80mLを加え、分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、酢酸エチルを減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより、n−ヘキサン、酢酸エチルを用いて精製し、化合物(A−8)を11.5g得た。
【0155】
5,5−ジメチルオキサゾリジン−2,4−ジオン2.0g、トリエチルアミン2.2mLをN,N−ジメチルアセトアミド100mLに溶解し、先に合成した化合物(A−8)11.5gを添加し、80℃にて2時間撹拌した。酢酸エチル、水を加えて分液し、有機層を0.1規定水酸化カリウム水溶液、希塩酸水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、アセトン、ヘキサン混合溶媒を溶離液として用いて精製し、アモルファス状態のカプラー(3)8.7gを得た。
【0156】
合成例2:カプラー(12)の合成
カプラー(12)は、下記に示すルートにより合成した。
【0157】
【化61】
【0158】
窒素雰囲気下で、カテコール33.0gにジメチルホルムアミド100mL、炭酸カリウム50gを加え、60℃で攪拌下に、o−フルオロニトロベンゼン24.0gを15分間で滴下した。更に2時間60℃で攪拌した後、氷水400mLに注ぎ、酢酸エチル400mLを加えて分液し、有機層を飽和食塩水300mLで2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、化合物(B−1)の油状粗製物45.0gを得た。
【0159】
前述の化合物(B−1)20.0gにジメチルフォルムアミド100mL、炭酸カリウム13.8gを加え、100℃で攪拌下に3−クロロプロパノール14.5gを10分間で滴下した。更に4時間100℃で攪拌した後、氷水400mLに注ぎ、酢酸エチル400mLを加えて分液し、有機層を飽和食塩水300mLで2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、アセトン、ヘキサン混合溶媒を溶離液として用いて精製し、油状の化合物(B−2)15.7gを得た。
【0160】
化合物(B−2)10.4gにアセトニトリル100mL、トリエチルアミン5.1mLを加え、氷冷下で攪拌下に化合物(B−3)8.4gを10分間で滴下した。更に、1時間攪拌をした後、氷水400mLに注ぎ、酢酸エチル400mLを加えて分液し、有機層を飽和食塩水300mLで2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、化合物(B−4)の油状粗製物16.3gを得た。
【0161】
還元鉄20.0g、塩化アンモニウム2.0gをイソプロパノール120mL、水20mLに分散し、1時間加熱還流した。この分散物に化合物(B−4)13.3gをイソプロピルアルコール20mLに溶かした溶液を15分間で滴下した。さらに2時間加熱還流した後、セライトを通して吸引ろ過した。濾液に酢酸エチル200mL、水を加えて分液し、有機層を飽和食塩水200mLで洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、化合物(B−5)の油状粗製物13.3gを得た。
【0162】
化合物(A−3)13.6g、前述の化合物(B−5)13.3g、p−キシレン20mLの溶液を加熱還流下6時間撹拌し、化合物(B−6)の粗製物溶液を得た。これを氷冷却後、N−クロロサクシンイミド3.5gを少しづつ添加した。更に1時間攪拌した後、氷水100mLに注ぎ、酢酸エチル80mLを加え、分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、酢酸エチルを減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより、n−ヘキサン、酢酸エチルを用いて精製し、化合物(B−7)を17.2g得た。
【0163】
5,5−ジメチルオキサゾリジン−2,4−ジオン9.0g、トリエチルアミン9.7mLをN,N−ジメチルアセトアミド100mLに溶解し、これに室温下、先に合成した化合物(B−7)をアセトニトリル40mLに溶解したものを10分間で滴下し、80℃まで昇温して30分撹拌した。酢酸エチル、水を加えて分液し、有機層を0.1規定水酸化カリウム水溶液、希塩酸水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、アセトン、ヘキサン混合溶媒を溶離液として用いて精製し、メタノール50mLから晶析してカプラー(12)12.4gを得た。融点114〜116℃。
【0164】
本発明においてハロゲン化銀カラー写真感光材料(以下、単に「感光材料」という場合がある)は、支持体上に、イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層と、マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層と、シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層とをそれぞれ少なくとも一層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料が好ましく用いられる。
本発明において、前記イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はイエロー発色層として、前記マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はマゼンタ発色層として及び前記シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はシアン発色層として機能する。該イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層に各々含有されるハロゲン化銀乳剤は、相互に異なる波長領域の光(例えば、青色領域、緑色領域及び赤色領域の光)に対して、感光性を有しているのが好ましい。
【0165】
本発明の感光材料は、前記イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層以外にも、所望により後述する親水性コロイド層、アンチハレーション層、中間層及び着色層を有していてもよい。
【0166】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料において、本発明の前記イエロー色素形成カプラーは、ハロゲン化銀1モル当たり1×10−3〜1モル添加するのが好ましく、2×10−3〜3×10−1モル添加するのがより好ましい。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、支持体上の少なくとも1層に前記イエロー色素形成カプラーの少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0167】
本発明に好ましく用いられるハロゲン化銀感光材料に関して以下に詳細に述べる。
本発明に好ましく用いられるハロゲン化銀カラー写真感光材料は、カプラーを使用する方式の感光材料に適用される。特に、一般用もしくは映画用のカラーネガフィルム、スライド用もしくはテレビ用のカラー反転フイルム、カラーペーパー(印画紙)、一般用もしくは映画用カラーポジフィルム、ディスプレイ用感光材料、カラー反転ペーパー、走査露光もしくは面露光用のカラープルーフのような種々のカラー感光材料やカプラーを使用する白黒感光材料に適用することができる。また、カラーネガフイルムにおいては、特公平2−32615号公報、実公平3−39784号公報に記載されているレンズ付きフイルムユニット用に好適である。これらのうち、観察者が直接観察するハロゲン化銀カラー写真感光材料、例えば、スライド用もしくはテレビ用のカラー反転フイルム、カラーペーパー(印画紙)、一般用もしくは映画用カラーポジフィルム、ディスプレイ用感光材料、カラー反転ペーパー、走査露光もしくは面露光用のカラープルーフが好ましく、カラーペーパー(印画紙)、一般用もしくは映画用カラーポジフィルム、ディスプレイ用感光材料、カラー反転ペーパー、走査露光もしくは面露光用のカラープルーフがさらに好ましく、カラーペーパー(印画紙)、ディスプレイ用感光材料、走査露光用カラープルーフが好ましい。
【0168】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子は、好ましくは実質的に{100}面を持つ立方体または14面体の結晶粒子(これらは粒子頂点が丸みを帯び、さらに高次の面を有していてもよい)または8面体の結晶粒子、または全投影面積の50%以上が{100}面または{111}面からなるアスペクト比2以上の平板状粒子が好ましい。アスペクト比とは、投影面積に相当する円の直径を粒子の厚さで割った値である。本発明では、立方体または{100}面を主平面とする平板状粒子または{111}面を主平面とする平板状粒子が好ましく適用される。
【0169】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤としては、塩化銀、臭化銀、沃臭化銀、塩(沃)臭化銀乳剤等が用いられるが、迅速処理性の観点からは、塩化銀含有率が90モル%以上の塩化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、または塩臭沃化銀乳剤が好ましく、更に塩化銀含有率が98モル%以上の塩化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、または塩臭沃化銀乳剤が好ましい。このようなハロゲン化銀乳剤の中でも、ハロゲン化銀粒子のシェル部分に、全銀モルあたり0.01〜0.50モル%、より好ましくは0.05〜0.40モル%の沃塩化銀相を有するものも高感度が得られ、高照度露光適性に優れるため好ましい。また、ハロゲン化銀粒子の表面に全銀モルあたり0.2〜5モル%、より好ましくは0.5〜3モル%の臭化銀局在相を有するものが、高感度が得られ、しかも写真性能の安定化が図れることから特に好ましい。
【0170】
本発明の乳剤は、沃化銀を含有することがこのましい。沃化物イオンの導入は、沃化物塩の溶液を単独で添加させるか、或いは銀塩溶液と高塩化物塩溶液の添加と併せて沃化物塩溶液を添加しても良い。後者の場合は、沃化物塩溶液と高塩化物塩溶液を別々に、またはヨウ化物塩と高塩化物塩の混合溶液として添加しても良い。沃化物塩は、アルカリもしくはアルカリ土類沃化物塩のような溶解性塩の形で添加する。或いは米国特許第5,389,508号明細書に記載される有機分子から沃化物イオンを開裂させることで沃化物を導入することもできる。また別の沃化物イオン源として、微小沃化銀粒子を用いることもできる。
【0171】
沃化物塩溶液の添加は、粒子形成の一時期に集中して行っても良く、またある一定期間かけて行っても良い。高塩化物乳剤への沃化物イオンの導入位置は、高感度で低被りな乳剤を得る上で制限される。沃化物イオンの導入は、乳剤粒子のより内部に行うほど感度の増加が小さい。故に沃化物塩溶液の添加は、粒子体積の50%より外側が好ましく、より好ましくは70%より外側から、最も好ましくは80%より外側から行うのが良い。また沃化物塩溶液の添加は、好ましくは粒子体積の98%より内側で、最も好ましくは96%より内側で終了するのが良い。沃化物塩溶液の添加は、粒子表面から少し内側で終了することで、より高感度で低被りな乳剤を得ることができる。
【0172】
粒子内の深さ方向への沃化物イオン濃度の分布は、エッチング/TOF−SIMS(Time of Flight−Secondary Ion Mass Spectrometry)法により、例えばPhiEvans社製TRIFTII型TOF−SIMS(商品名)を用いて測定できる。TOF−SIMS法については、具体的には日本表面科学会編「表面分析技術選書二次イオン質量分析法」丸善株式会社(1999年発行)に記載されている。エッチング/TOF−SIMS法で乳剤粒子を解析すると、沃化物塩溶液の添加を粒子の内側で終了しても、粒子表面に向けて沃化物イオンがしみ出していることが分析できる。本発明の乳剤が沃化銀を含有する場合、エッチング/TOF−SIMS法による分析で、沃化物イオンは粒子表面で濃度極大を有し、内側に向けて沃化物イオン濃度が減衰していることが好ましい。
【0173】
本発明の感光材料中の乳剤は、臭化銀局在層を有することが好ましい。
本発明の乳剤が臭化銀局在相を含有する場合、臭化銀含有率が少なくとも10モル%以上の臭化銀局在相を粒子表面にエピタキシャル成長させてつくることが好ましい。また、表層近傍に臭化銀含有率1モル%以上の最外層シェル部を有することが好ましい。
臭化銀局在相の臭化銀含有率は、1〜80モル%の範囲が好ましく、5〜70モル%の範囲が最も好ましい。臭化銀局在相は、本発明におけるハロゲン化銀粒子を構成する全銀量の0.1〜30モル%の銀から構成されていることが好ましく、0.3〜20モル%の銀から構成されていることが更に好ましい。臭化銀局在相中には、イリジウムイオン等のVIII族金属錯イオンを含有させることが好ましい。これらの化合物の添加量は目的に応じて広範囲にわたるが、ハロゲン化銀1モルに対して10−9〜10−2モルが好ましい。
【0174】
本発明においては、ハロゲン化銀粒子を形成及び/または成長させる過程で遷移金属イオンを添加し、ハロゲン化銀粒子の内部及び/または表面に金属イオンを組み込むことが好ましい。用いる金属イオンとしては遷移金属イオンが好ましく、なかでも、鉄、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、鉛、カドミウム、または、亜鉛であることが好ましい。さらにこれらの金属イオンは配位子を伴い6配位八面体型錯体として用いることがより好ましい。無機化合物を配位子として用いる場合には、シアン化物イオン、ハロゲン化物イオン、チオシアン、水酸化物イオン、過酸化物イオン、アジ化物イオン、亜硝酸イオン、水、アンモニア、ニトロシルイオン、または、チオニトロシルイオンを用いることが好ましく、上記の鉄、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、鉛、カドミウム、または、亜鉛のいずれの金属イオンに配位させて用いることも好ましく、複数種の配位子を1つの錯体分子中に用いることも好ましい。
この中で本発明のハロゲン化銀乳剤には、高照度相反則不軌改良の目的で、少なくとも一つの有機配位子を持つイリジウムイオンを持つことが特に好ましい。配位子として有機化合物を用いる場合、他の遷移金属の場合にも共通であるが、好ましい有機化合物としては主鎖の炭素数が5以下の鎖状化合物および/または5員環あるいは6員環の複素環化合物を挙げることが出来る。さらに好ましい有機化合物は分子内に窒素原子、りん原子、酸素原子、または、硫黄原子を金属への配位原子として有する化合物であり、最も好ましくはフラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、フラザン、ピラン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンであり、さらにこれらの化合物を基本骨格としそれらに置換基を導入した化合物もまた好ましい。
特にこれらの中で、イリジウムイオンに好ましい配位子は、チアゾール配意子の中でも5−メチルチアゾールが特に好ましく用いられる。
【0175】
金属イオンと配位子の組み合わせとして好ましくは、鉄イオン及びルテニウムイオンとシアン化物イオンの組み合わせが挙げられる。これらの化合物においてシアン化物イオンは中心金属である鉄またはルテニウムへの配位数のうち過半数を占めることが好ましく、残りの配位部位はチオシアン、アンモニア、水、ニトロシルイオン、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ピラジンまたは4,4’−ビピリジンで占められることが好ましい。最も好ましくは中心金属の6つの配位部位が全てシアン化物イオンで占められ、ヘキサシアノ鉄錯体またはヘキサシアノルテニウム錯体を形成することである。これらシアン化物イオンを配位子とする錯体は粒子形成中に銀1モル当たり1×10−8〜1×10−2モル添加することが好ましく、1×10−6〜5×10−4モル添加することが最も好ましい。
またイリジウムイオンは、有機配位子だけでなく、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、中でも塩化物イオンまたは臭化物イオンを用いることが好ましい。イリジウム錯体としては、前述の有機配位子をもつもの以外に、以下の具体的化合物を用いることが出来る。
[IrCl6]3−、[IrCl6]2−、[IrCl5(H2O)]2−、[IrCl5(H2O)]−、[IrCl4(H2O)2]−、[IrCl4(H2O)2]0、[IrCl3(H2O)3]0、[IrCl3(H2O)3]+、[IrBr6]3−、[IrBr6]2−、[IrBr5(H2O)]2−、[IrBr5(H2O)]−、[IrBr4(H2O)2]−、[IrBr4(H2O)2]0、[IrBr3(H2O)3]0および[IrBr3(H2O)3]+である。これらのイリジウム錯体は粒子形成中に銀1モル当たり1×10−10〜1×10−3モル添加することが好ましく、1×10−8〜1×10−5モル添加することが最も好ましい。ルテニウムおよびオスミウムを中心金属とした場合にはニトロシルイオン、チオニトロシルイオン、または水分子と塩化物イオンを配位子として共に用いることも好ましい。より好ましくはペンタクロロニトロシル錯体、ペンタクロロチオニトロシル錯体、または、ペンタクロロアクア錯体を形成することであり、ヘキサクロロ錯体を形成することも好ましい。これらの錯体は粒子形成中に銀1モル当たり1×10−10〜1×10−6モル添加することが好ましく、より好ましくは1×10−9〜1×10−6モル添加することである。
【0176】
本発明において上記の錯体は、ハロゲン化銀粒子形成時に反応溶液中に直接添加するか、ハロゲン化銀粒子を形成するためのハロゲン化物水溶液中、あるいはそれ以外の溶液中に添加し、粒子形成反応溶液に添加することにより、ハロゲン化銀粒子内に組み込むことが好ましい。さらにこれらの方法を組み合わせてハロゲン化銀粒子内へ含有させることも好ましい。
【0177】
これらの錯体をハロゲン化銀粒子に組み込む場合、粒子内部に均一に存在させることも好ましいが、特開平4−208936号、同2−125245号、同3−188437号各公報に開示されている様に、粒子表面層のみに存在させることも好ましく、粒子内部のみに錯体を存在させ粒子表面には錯体を含有しない層を付加することも好ましい。また、米国特許第5,252,451号および同第5,256,530号明細書に開示されているように、錯体を粒子内に組み込んだ微粒子で物理熟成して粒子表面相を改質することも好ましい。さらに、これらの方法を組み合わせて用いることも出来、複数種の錯体を1つのハロゲン化銀粒子内に組み込んでもよい。上記の錯体を含有させる位置のハロゲン組成には特に制限はなく、塩化銀層、塩臭化銀層、臭化銀層、沃塩化銀層、沃臭化銀層に何れに錯体を含有させることも好ましい。
【0178】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズ(粒子の投影面積と等価な円の直径を以て粒子サイズとし、その数平均をとったもの)は、0.01μm〜2μmが好ましい。
また、それらの粒子サイズ分布は変動係数(粒子サイズ分布の標準偏差を平均粒子サイズで除したもの)20%以下、望ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下の所謂単分散なものが好ましい。このとき、広いラチチュードを得る目的で上記の単分散乳剤を同一層にブレンドして使用することや、重層塗布することも好ましく行われる。
【0179】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防止する、あるいは写真性能を安定化させる目的で種々の化合物あるいはそれ等の前駆体を添加することができる。これらの化合物の具体例は前出の特開昭62−215272号公報の第39頁〜第72頁に記載のものが好ましく用いられる。更に欧州特許第0,447,647号明細書に記載された5−アリールアミノ−1,2,3,4−チアトリアゾール化合物(該アリール残基には少なくとも一つの電子吸引性基を持つ)も好ましく用いられる。
【0180】
また、本発明において、ハロゲン化銀乳剤の保存性を高めるため、特開平11−109576号公報に記載のヒドロキサム酸誘導体、同11−327094号公報に記載のカルボニル基に隣接して両端がアミノ基もしくはヒドロキシル基が置換した二重結合を有す環状ケトン類(特に一般式(S1)で表されるもので、段落番号0036〜0071は本明細書に取り込むことができる。)、同11−143011号公報に記載のスルホ置換のカテコールやハイドロキノン類(例えば、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゼンジスルホン酸、3,4−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、3,4,5−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸およびこれらの塩など)、同11−102045号公報記載の一般式(I)〜(III)で表される水溶性還元剤は本発明においても好ましく使用される。
【0181】
分光増感は、本発明の感光材料における各層の乳剤に対して所望の光波長域に分光感度を付与する目的で行われる。
本発明の感光材料において、青、緑、赤領域の分光増感に用いられる分光増感色素としては例えば、F.M.Harmer著 Heterocyclic compounds−Cyanine dyes andrelated compounds (John Wiley & Sons [New York, London] 社刊1964年)に記載されているものを挙げることができる。具体的な化合物の例ならびに分光増感法は、前出の特開昭62−215272号公報の第22頁右上欄〜第38頁に記載のものが好ましく用いられる。また、特に塩化銀含有率の高いハロゲン化銀乳剤粒子の赤感光性分光増感色素としては特開平3−123340号公報に記載された分光増感色素が安定性、吸着の強さ、露光の温度依存性等の観点から非常に好ましい。
【0182】
これらの分光増感色素の添加量は場合に応じて広範囲にわたり、ハロゲン化銀1モルあたり0.5×10−6〜1.0×10−2モルの範囲が好ましい。更に好ましくは、1.0×10−6〜5.0×10−3モルの範囲である。
【0183】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤は、通常化学増感を施される。化学増感法については、不安定硫黄化合物の添加に代表される硫黄増感、金増感に代表される貴金属増感、あるいは還元増感等を単独もしくは併用して用いることができる。化学増感に用いられる化合物については、特開昭62−215272号公報の第18頁右下欄〜第22頁右上欄に記載のものが好ましく用いられる。このうち、特に、金増感を施したものであることが好ましい。金増感を施すことにより、レーザー光等によって走査露光したときの写真性能の変動を更に小さくすることができるからである。
【0184】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤に金増感を施すには、種々の無機金化合物や無機配位子を有する金(I)錯体及び有機配位子を有する金(I)化合物を利用することができる。無機金化合物としては、例えば塩化金酸もしくはその塩、無機配位子を有する金(I)錯体としては、例えばジチオシアン酸金(I)カリウム等のジチオシアン酸金化合物やジチオ硫酸金(I)3ナトリウム等のジチオ硫酸金化合物等の化合物を用いることが好ましい。
【0185】
有機配位子を有する金(I)化合物としては、特開平4−267249号公報に記載のビス金(I)メソイオン複素環類、例えば四フッ化硼酸金(I)ビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)、同11−218870号公報に記載の有機メルカプト金(I)錯体、例えばカリウム ビス(1−[3−(2−スルホナートベンズアミド)フェニル]−5−メルカプトテトラゾールカリウム塩)オーレート(I)5水和物、同4−268550号公報に記載の窒素化合物アニオンが配位した金(I)化合物、例えば、ビス(1−メチルヒダントイナート)金(I)ナトリウム塩四水和物、を用いることができる。また、米国特許第3,503,749号明細書に記載されている金(I)チオレート化合物、特開平8−69074号、同8−69075号、同9−269554号の各公報に記載の金化合物、米国特許第5,620,841号、同第5,912,112号、同第5,620,841号、同第5,939,245号、同第5,912,111号の各明細書に記載の化合物も用いることができる。
これらの化合物の添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり5×10−7〜5×10−3モル、好ましくは5×10−6〜5×10−4モルである。
【0186】
また、コロイド状硫化金を用いることも可能であり、その製造方法はリサーチ・ディスクロージャー(Reserch Disclosure,37154)、ソリッド ステート イオニクス(Solid State Ionics)第79巻、60〜66頁、1995年刊、Compt.Rend.Hebt.Seances Acad.Sci.Sect.B第263巻、1328頁、1966年刊等に記載されている。コロイド状硫化金としてさまざまなサイズのものを利用でき、粒径50nm以下のものも用いることができる。添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり金原子として5×10−7〜5×10−3モル、好ましくは5×10−6〜5×10−4モルである。
本発明においては、金増感を更に他の増感法、例えば硫黄増感、セレン増感、テルル増感、還元増感あるいは金化合物以外を用いた貴金属増感等と組み合わせてもよい。
【0187】
本発明に係わる感光材料には、イラジエーションやハレーションを防止したり、セーフライト安全性等を向上させる目的で親水性コロイド層に、欧州特許出願公開第0,337,490号明細書の第27〜76頁に記載の、処理により脱色可能な染料(中でもオキソノール染料、シアニン染料)を添加することが好ましい。さらに、欧州特許第0,819,977号明細書に記載の染料も本発明に好ましく添加される。これらの水溶性染料の中には使用量を増やすと色分離やセーフライト安全性を悪化するものもある。色分離を悪化させないで使用できる染料としては、特開平5−127324号、同5−127325号、同5−216185号の各公報に記載された水溶性染料が好ましい。
【0188】
本発明においては、水溶性染料の代わり、あるいは水溶性染料と併用しての処理で脱色可能な着色層が用いられる。用いられる処理で脱色可能な着色層は、乳剤層に直かに接してもよく、ゼラチンやハイドロキノンなどの処理混色防止剤を含む中間層を介して接するように配置されていてもよい。この着色層は、着色された色と同種の原色に発色する乳剤層の下層(支持体側)に設置されることが好ましい。各原色毎に対応する着色層を全て個々に設置することも、このうちに一部のみを任意に選んで設置することも可能である。また複数の原色域に対応する着色を行った着色層を設置することも可能である。着色層の光学反射濃度は、露光に使用する波長域(通常のプリンター露光においては400〜700nmの可視光領域、走査露光の場合には使用する走査露光光源の波長)において最も光学濃度の高い波長における光学濃度値が0.2以上3.0以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.5以上2.5以下、特に0.8以上2.0以下が好ましい。
【0189】
着色層を形成するためには、従来公知の方法が適用できる。例えば、特開平2−282244号公報3頁右上欄〜8頁に記載された染料や、同3−7931号公報3頁右上欄〜11頁左下欄に記載された染料のように固体微粒子分散体の状態で親水性コロイド層に含有させる方法、アニオン性色素をカチオンポリマーに媒染する方法、色素をハロゲン化銀等の微粒子に吸着させて層中に固定する方法、特開平1−239544号公報に記載されているようなコロイド銀を使用する方法などである。色素の微粉末を固体状で分散する方法としては、たとえば、少なくともpH6以下では実質的に水不溶性であるが、少なくともpH8以上では実質的に水溶性である微粉末染料を含有させる方法が特開平2−308244号公報の第4〜13頁に記載されている。また、例えば、アニオン性色素をカチオンポリマーに媒染する方法としては、特開平2−84637号公報の第18〜26頁に記載されている。光吸収剤としてのコロイド銀の調製法については米国特許第2,688,601号、同第3,459,563号明細書に示されている。これらの方法のなかで微粉末染料を含有させる方法、コロイド銀を使用する方法などが好ましい。
【0190】
本発明をカラー印画紙に適用する場合は、イエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン発色性ハロゲン化銀乳剤層をそれぞれ少なくとも1層ずつ有してなることが好ましく、一般には、これらのハロゲン化銀乳剤層は支持体から近い順にイエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層、シアン発色性ハロゲン化銀乳剤層である。
しかしながら、これとは異なった層構成を取っても構わない。
【0191】
本発明の感光材料において、イエローカプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層は支持体上のいずれの位置に配置されてもかまわないが、該イエローカプラー含有層にハロゲン化銀平板粒子を含有する場合は、マゼンタカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層又はシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも一層よりも支持体から離れた位置に塗設されていることが好ましい。また、発色現像促進、脱銀促進、増感色素による残色の低減の観点からは、イエローカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は他のハロゲン化銀乳剤層より、支持体から最も離れた位置に塗設されていることが好ましい。更に、Blix退色の低減の観点からはシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は他のハロゲン化銀乳剤層の中央の層が好ましく、光退色の低減の観点からはシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は最下層が好ましい。また、イエロー、マゼンタ及びシアンのそれぞれの発色性層は2層又は3層からなってもよい。例えば、特開平4−75055号、同9−114035号、同10−246940号の各公報、米国特許第5,576,159号明細書等に記載のように、ハロゲン化銀乳剤を含有しないカプラー層をハロゲン化銀乳剤層に隣接して設け、発色層とすることも好ましい。
【0192】
本発明において適用されるハロゲン化銀乳剤やその他の素材(添加剤など)及び写真構成層(層配置など)、並びにこの感光材料を処理するために適用される処理法や処理用添加剤としては、特開昭62−215272号、特開平2−33144号公報、欧州特許出願公開第0,355,660号明細書に記載されているもの、特に欧州特許出願公開第0,355,660号明細書に記載されているものが好ましく用いられる。更には、特開平5−34889号、同4−359249号、同4−313753号、同4−270344号、同5−66527号、同4−34548号、同4−145433号、同2−854号、同1−158431号、同2−90145号、同3−194539号、同2−93641号の各公報、欧州特許公開第0,520,457号明細書等に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料やその処理方法も好ましい。
【0193】
特に、本発明においては、前記の反射型支持体やハロゲン化銀乳剤、更にはハロゲン化銀粒子中にドープされる異種金属イオン種、ハロゲン化銀乳剤の保存安定剤又はカブリ防止剤、化学増感法(増感剤)、分光増感法(分光増感剤)、シアン、マゼンタ、イエローカプラー及びその乳化分散法、色像保存性改良剤(ステイン防止剤や褪色防止剤)、染料(着色層)、ゼラチン種、感光材料の層構成や感光材料の被膜pHなどについては、下記表に示す公報の各箇所に記載のものが特に好ましく適用できる。
【0194】
【表4】
【0195】
本発明において用いられるシアン、マゼンタ及びイエローカプラーとしては、その他、特開昭62−215272号公報の第91頁右上欄4行目〜121頁左上欄6行目、特開平2−33144号公報の第3頁右上欄14行目〜18頁左上欄末行目と第30頁右上欄6行目〜35頁右下欄11行目や欧州特許出願公開第0,355,660号明細書の第4頁15〜27行目、5頁30行目〜28頁末行目、45頁29〜31行目、47頁23行目〜63頁50行目に記載のカプラーも有用である。
また、本発明においては、国際公開WO98/33760号パンフレットの一般式(II)及び(III)、特開平10−221825号公報の一般式(D)で表される化合物を添加してもよく、好ましい。
【0196】
本発明に使用可能なシアン色素形成カプラー(単に、「シアンカプラー」という場合がある)としては、ピロロトリアゾール系カプラーが好ましく用いられ、特開平5−313324号公報の一般式(I)又は(II)で表されるカプラー及び同6−347960号公報の一般式(I)で表されるカプラー並びにこれらの公報に記載されている例示カプラーが特に好ましい。また、フェノール系、ナフトール系のシアンカプラーも好ましく、例えば、同10−333297号公報に記載の一般式(ADF)で表されるシアンカプラーが好ましい。上記以外のシアンカプラーとしては、欧州特許第0,488,248号明細書及び欧州特許出願公開第0,491,197号明細書に記載のピロロアゾール型シアンカプラー、米国特許第5,888,716号明細書に記載の2,5−ジアシルアミノフェノールカプラー、同第4,873,183号、同第4,916,051号公報に記載の6位に電子吸引性基、水素結合基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラー、特に、特開平8−171185号、同8−311360号、同8−339060号公報に記載の6位にカルバモイル基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラーも好ましい。
【0197】
また、特開平2−33144号公報に記載のジフェニルイミダゾール系シアンカプラーの他に、欧州特許出願公開第0,333,185号明細書に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素離脱基をもたせて2当量化したものや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開昭64−32260号公報に記載された環状活性メチレン系シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプラー例3、8、34が特に好ましい)、欧州特許出願公開第0,456,226号明細書に記載のピロロピラゾール型シアンカプラー、欧州特許第0,484,909号明細書に記載のピロロイミダゾール型シアンカプラーを使用することもできる。
【0198】
尚、これらのシアンカプラーのうち、特開平11−282138号公報に記載の一般式(I)で表されるピロロアゾール系シアンカプラーが特に好ましく、該公報の段落番号0012〜0059の記載は例示シアンカプラー(1)〜(47)を含め、本発明にそのまま適用され、本明細書の一部として好ましく取り込まれる。
【0199】
本発明に用いられるマゼンタ色素形成カプラー(単に、「マゼンタカプラー」という場合がある)としては、前記の表4記載の公知文献に記載されたような5−ピラゾロン系マゼンタカプラーやピラゾロアゾール系マゼンタカプラーが用いられるが、中でも色相や画像安定性、発色性等の点で特開昭61−65245号公報に記載されたような2級又は3級アルキル基がピラゾロトリアゾール環の2、3又は6位に直結したピラゾロトリアゾールカプラー、同61−65246号公報に記載されたような分子内にスルホンアミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、同61−147254号公報に記載されたようなアルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラーや欧州特許出願公開第226,849号や同第294,785号明細書に記載されたような6位にアルコキシ基やアリールオキシ基をもつピラゾロアゾールカプラーの使用が好ましい。特に、マゼンタカプラーとしては特開平8−122984号公報に記載の一般式(M−I)で表されるピラゾロアゾールカプラーが好ましく、該公報の段落番号0009〜0026はそのまま本発明に適用され、本明細書の一部として取り込まれる。これに加えて、欧州特許第854,384号、同第884,640号明細書に記載の3位と6位の両方に立体障害基を有するピラゾロアゾールカプラーも好ましく用いられる。
【0200】
また、本発明のイエロー色素形成カプラーは単独で使用しても、また他のイエロー色素形成カプラーと併用してもよい。併用してもよいイエロー色素形成カプラー(本明細書において、単に「イエローカプラー」という場合がある)としては、前記表中に記載の化合物の他に、欧州特許出願公開第0,447,969号明細書に記載のアシル基に3〜5員の環状構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラー、欧州特許出願公開第0,482,552号明細書に記載の環状構造を有するマロンジアニリド型イエローカプラー、欧州特許出願公開第953,870号、同第953,871号、同第953,872号、同第953,873号、同第953,874号、同第953,875号明細書等に記載のピロール−2又は3−イルもしくはインドール−2又は3−イルカルボニル酢酸アニリド系カプラー、米国特許第5,118,599号明細書に記載されたジオキサン構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラーが好ましく用いられる。その中でも、アシル基が1−アルキルシクロプロパン−1−カルボニル基であるアシルアセトアミド型イエローカプラー、アニリドの一方がインドリン環を構成するマロンジアニリド型イエローカプラーの使用が特に好ましい。これらのカプラーは、単独あるいは併用することができる。
【0201】
本発明に使用するカプラーは、本発明のイエロー色素形成カプラーを含め、前出表中記載の高沸点有機溶媒の存在下で(又は不存在下で)ローダブルラテックスポリマー(例えば米国特許第4,203,716号明細書参照)に含浸させて、又は水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーとともに溶かして親水性コロイド水溶液に乳化分散させることが好ましい。好ましく用いることのできる水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーは、米国特許第4,857,449号明細書の第7欄〜15欄及び国際公開WO88/00723号パンフレットの第12頁〜30頁に記載の単独重合体又は共重合体が挙げられる。より好ましくはメタクリレート系あるいはアクリルアミド系ポリマー、特にアクリルアミド系ポリマーの使用が色像安定性等の上で好ましい。
【0202】
水中油滴分散法に用いることのできる高沸点有機溶媒としては、フタル酸エステル類(フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル等)、リン酸またはホスホン酸エステル類(リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル等)、脂肪酸エステル類(コハク酸ジ−2−エチルヘキシル、クエン酸トリブチル等)、安息香酸エステル類(安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸ドデシル等)、アミド類(N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジメチルオレインアミド等)、アルコールまたはフェノール類(イソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−アミルフェノール等)、アニリン類(N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−tert−オクチルアニリン等)、塩素化パラフィン類、炭化水素類(ドデシルベンゼン、ジイソプロピルナフタレン等)、カルボン酸類(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)酪酸等)などが挙げられる。また、補助溶媒として沸点が30℃以上160℃以下の有機溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド等)を併用してもよい。高沸点有機溶媒はカプラーに対して、質量比で0〜10倍量、好ましくは0〜4倍量、用いるのが好ましい。
【0203】
また、乳化分散物状態での保存時の経時安定性改良、乳剤と混合した塗布用最終組成物での写真性能変化抑制・経時安定性改良等の観点から必要に応じて乳化分散物から、減圧蒸留、ヌードル水洗あるいは限外ろ過などの方法により補助溶媒の全て又は一部を除去することができる。
この様にして得られる親油性微粒子分散物の平均粒子サイズは、0.04〜0.50μmが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.30μmであり、最も好ましくは0.08〜0.20μmである。平均粒子サイズは、コールターサブミクロン粒子アナライザーmodelN4(コールターエレクトロニクス社、商品名)等を用いて測定できる。
【0204】
本発明においては任意の混色防止剤を用いることができるが、その中でも以下に挙げる公報等に記載のものが好ましい。
例えば、特開平5−333501号公報に記載の高分子量のレドックス化合物、国際公開WO98/33760号パンフレット、米国特許第4,923,787号明細書等に記載のフェニドンやヒドラジン系化合物、特開平5−249637号、同10−282615号公報及び独国特許出願公開第19629142号明細書等に記載のホワイトカプラーを用いることができる。また、特に現像液のpHを上げ、現像の迅速化を行う場合には独国特許出願公開第19618786号、欧州特許出願公開第839623号、同第842975号、独国特許出願公開19806846号及び仏国特許出願公開第2760460号の各明細書等に記載のレドックス化合物を用いることも好ましい。
【0205】
本発明においては紫外線吸収剤としてモル吸光係数の高いトリアジン骨核を有する化合物を用いることが好ましく、例えば、以下の公報等に記載の化合物を用いることができる。これらは、感光性層又は/及び非感光性に好ましく添加される。例えば、特開昭46−3335号、同55−152776号、特開平5−197074号、同5−232630号、同5−307232号、同6−211813号、同8−53427号、同8−234364号、同8−239368号、同9−31067号、同10−115898号、同10−147577号、同10−182621号の各公報、独国特許出願公開第19739797号明細書、欧州特許出願公開第711804号明細書及び特表平8−501291号公報等に記載されている化合物を使用できる。
【0206】
本発明に係わる感光材料に用いることのできる結合剤又は保護コロイドとしては、ゼラチンを用いることが有利であるが、それ以外の親水性コロイドを単独であるいはゼラチンとともに用いることができる。好ましいゼラチンとしては、鉄、銅、亜鉛、マンガン等の不純物として含有される重金属は、好ましくは5ppm以下、更に好ましくは3ppm以下である。また、感光材料中に含まれるカルシウム量は、好ましくは20mg/m2以下、更に好ましくは10mg/m2以下、最も好ましくは5mg/m2以下である。
【0207】
本発明においては、親水性コロイド層中に繁殖して画像を劣化させる各種の黴や細菌を防ぐために、特開昭63−271247号公報に記載のような防菌・防黴剤を添加するのが好ましい。さらに、感光材料の被膜pHは4.0〜7.0が好ましく、より好ましくは4.0〜6.5である。
【0208】
本発明においては、感光材料の塗布安定性向上、静電気発生防止、帯電量調節等の点から界面活性剤を感光材料に添加することができる。界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤があり、例えば特開平5−333492号公報に記載のものが挙げられる。本発明に用いる界面活性剤としてはフッ素原子含有の界面活性剤が好ましい。特に、フッ素原子含有界面活性剤を好ましく用いることができる。これらのフッ素原子含有界面活性剤は単独で用いても、従来公知の他の界面活性剤と併用してもかまわないが、好ましくは従来公知の他の界面活性剤との併用である。これらの界面活性剤の感光材料への添加量は特に限定されるものではないが、一般的には、1×10−5〜1g/m2、好ましくは1×10−4〜1×10−1g/m2、更に好ましくは1×10−3〜1×10−2g/m2である。
【0209】
本発明において写真用支持体としては、透過型支持体や反射型支持体を用いることができる。透過型支持体としては、セルロースナイトレートフィルムやポリエチレンテレフタレートなどの透明フィルム、更には2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)とエチレングリコール(EG)とのポリエステルやNDCAとテレフタル酸とEGとのポリエステル等に磁性層などの情報記録層を設けたものが好ましく用いられる。反射型支持体としては特に複数のポリエチレン層やポリエステル層でラミネートされ、このような耐水性樹脂層(ラミネート層)の少なくとも一層に酸化チタン等の白色顔料を含有する反射支持体が好ましい。
【0210】
更に前記の耐水性樹脂層中には蛍光増白剤を含有するのが好ましい。また、蛍光増白剤は感光材料の親水性コロイド層中に分散してもよい。蛍光増白剤として、好ましくは、ベンゾオキサゾール系、クマリン系、ピラゾリン系が用いることができ、更に好ましくは、ベンゾオキサゾリルナフタレン系及びベンゾオキサゾリルスチルベン系の蛍光増白剤である。使用量は、特に限定されていが、好ましくは1〜100mg/m2である。耐水性樹脂に混合する場合の混合比は、好ましくは樹脂に対して0.0005〜3質量%であり、更に好ましくは0.001〜0.5質量%である。
反射型支持体としては、透過型支持体、または上記のような反射型支持体上に、白色顔料を含有する親水性コロイド層を塗設したものでもよい。
また、反射型支持体は、鏡面反射性または第2種拡散反射性の金属表面をもつ支持体であってもよい。
【0211】
本発明においてさらに好ましい反射支持体としては、ハロゲン化銀乳剤層を設ける側の紙基体上に微小空孔を有するポリオレフィン層を有していることが挙げられる。ポリオレフィン層は多層から成っていてもよく、その場合、好ましくはハロゲン化銀乳剤層側のゼラチン層に隣接するポリオレフィン層は微小空孔を有さず(例えばポリプロピレン、ポリエチレン)、紙基体上に近い側に微小空孔を有するポリオレフィン(例えばポリプロピレン、ポリエチレン)から成るものがより好ましい。紙基体および写真構成層の間に位置するこれら多層もしくは一層のポリオレフィン層の密度は0.40〜1.0g/mLであることが好ましく、0.50〜0.70g/mLがより好ましい。また、紙基体および写真構成層の間に位置するこれら多層もしくは一層のポリオレフィン層の厚さは10〜100μmが好ましく、15〜70μmがさらに好ましい。また、ポリオレフィン層と紙基体の厚さの比は0.05〜0.2が好ましく、0.1〜0.5がさらに好ましい。また、上記、紙基体の写真構成層とは逆側(裏面)にポリオレフィン層を設けることも、反射支持体の剛性を高める点から好ましく、この場合、裏面のポリオレフィン層は表面が艶消しされたポリエチレンまたはポリプロピレンが好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。裏面のポリオレフィン層は5〜50μmが好ましく、10〜30μmがより好ましく、さらに密度が0.7〜1.1g/mLであることが好ましい。本発明における反射支持体において、紙基体上に設けるポリオレフィン層に関する好ましい態様については、特開平10−333277号、同10−333278号、同11−52513号、同11−65024号の各公報、欧州特許第0,880,065号、および同第0,880,066号明細書に記載されている例が挙げられる。
【0212】
本発明の感光材料は、画像情報に応じて光を照射される露光工程と、前記光照射された感光材料を現像する現像工程とにより、画像を形成することができる。本発明の感光材料は、通常のネガプリンターを用いたプリントシステムに使用される以外に、陰極線(CRT)を用いた走査露光方式にも適している。陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、簡便でかつコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種、あるいは2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤、緑、青に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。
【0213】
感光材料が異なる分光感度分布を有する複数の感光性層を持ち、陰極性管も複数のスペクトル領域の発光を示す蛍光体を有する場合には、複数の色を一度に露光、即ち陰極線管に複数の色の画像信号を入力して管面から発光させてもよい。各色ごとの画像信号を順次入力して各色の発光を順次行わせ、その色以外の色をカットするフィルムを通して露光する方法(面順次露光)を採ってもよく、一般には、面順次露光の方が、高解像度の陰極線管を用いることができるため、高画質化のためには好ましい。
【0214】
本発明の感光材料は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いたデジタル走査露光方式が好ましく使用される。システムをコンパクトで、安価なものにするために半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)を使用することが好ましい。特にコンパクトで、安価、更に寿命が長く安定性が高い装置を設計するためには半導体レーザーの使用が好ましく、露光光源の少なくとも一つは半導体レーザーを使用することが好ましい。
【0215】
このような走査露光光源を使用する場合、本発明の感光材料の分光感度極大波長は、使用する走査露光用光源の波長により任意に設定することができる。半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーあるいは半導体レーザーと非線形光学結晶を組合わせて得られるSHG光源では、レーザーの発振波長を半分にできるので、青色光、緑色光が得られる。従って、感光材料の分光感度極大は通常の青、緑、赤の3つの波長領域に持たせることが可能である。このような走査露光における露光時間は、画素密度を400dpiとした場合の画素サイズを露光する時間として定義すると、好ましい露光時間としては10−4秒以下、更に好ましくは10−6秒以下である。
【0216】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、以下の公報に記載の露光、現像システムと組み合わせることで好ましく用いることができる。前記現像システムとしては、特開平10−333253号公報に記載の自動プリント並びに現像システム、特開2000−10206号公報に記載の感光材料搬送装置、特開平11−215312号公報に記載の画像読取装置を含む記録システム、同11−88619号公報並びに同10−202950号公報に記載のカラー画像記録方式からなる露光システム、同10−210206号公報に記載の遠隔診断方式を含むデジタルフォトプリントシステム、及び特願平10−159187号明細書に記載の画像記録装置を含むフォトプリントシステムが挙げられる。
【0217】
本発明に適用できる好ましい走査露光方式については、前記の表4に掲示した公報に詳しく記載されている。
【0218】
本発明の感光材料をプリンター露光する際、米国特許第4,880,726号明細書に記載のバンドストップフィルターを用いることが好ましい。これによって光混色が取り除かれ、色再現性が著しく向上する。
本発明においては、欧州特許出願公開第0,789,270号や同0,789,480号明細書に記載のように、画像情報を付与する前に、予め、黄色のマイクロドットパターンを前露光し、複写規制を施しても構わない。
【0219】
本発明の感光材料の処理には、特開平2−207250号公報の第26頁右下欄1行目〜34頁右上欄9行目、及び同4−97355号公報の第5頁左上欄17行目〜18頁右下欄20行目に記載の処理素材や処理方法が好ましく適用できる。また、この現像液に使用する保恒剤としては、前記の表4に掲示した公報に記載の化合物が好ましく用いられる。
【0220】
本発明は迅速処理適性を有する感光材料にも好ましく適用される。迅速処理を行う場合には、発色現像時間は好ましくは60秒以下、更に好ましくは50秒以下6秒以上、より好ましくは30秒以下6秒以上である。同様に、漂白定着時間は好ましくは60秒以下、更に好ましくは50秒以下6秒以上、より好ましくは30秒以下6秒以上である。また、水洗又は安定化時間は、好ましくは150秒以下、更に好ましくは130秒以下6秒以上である。
尚、発色現像時間とは、感光材料が発色現像液中に入ってから次の処理工程の漂白定着液に入るまでの時間をいう。例えば、自動現像機などで処理される場合には、感光材料が発色現像液中に浸漬されている時間(いわゆる液中時間)と、感光材料が発色現像液を離れ、次の処理工程の漂白定着浴に向けて空気中を搬送されている時間(いわゆる空中時間)との両者の合計を発色現像時間という。同様に、漂白定着時間とは、感光材料が漂白定着液中に入ってから次の水洗又は安定浴に入るまでの時間をいう。また、水洗又は安定化時間とは、感光材料が水洗又は安定化液中に入ってから乾燥工程に向けて液中にある時間(いわゆる液中時間)をいう。
【0221】
本発明の感光材料を露光後、現像する方法としては、従来のアルカリ剤と現像主薬を含む現像液で現像する方法、現像主薬を感光材料に内蔵し、現像主薬を含まないアルカリ液などのアクチベーター液で現像する方法などの湿式方式のほか、処理液を用いない熱現像方式などを用いることができる。特に、アクチベーター方法は、現像主薬を処理液に含まないため、処理液の管理や取扱いが容易であり、また廃液処理時の負荷が少なく環境保全上の点からも好ましい方法である。アクチベーター方法において、感光材料中に内蔵される現像主薬又はその前駆体としては、例えば、特開平8−234388号、同9−152686号、同9−152693号、同9−211814号、同9−160193号の各公報に記載されたヒドラジン型化合物が好ましい。
【0222】
また、感光材料の塗布銀量を低減し、過酸化水素を用いた画像増幅処理(補力処理)する現像方法も好ましく用いられる。特に、この方法をアクチベーター方法に用いることは好ましい。具体的には、特開平8−297354号、同9−152695号公報に記載された過酸化水素を含むアクチベーター液を用いた画像形成方法が好ましく用いられる。前記アクチベーター方法において、アクチベーター液で処理後、通常脱銀処理されるが、低銀量の感光材料を用いた画像増幅処理方法では、脱銀処理を省略し、水洗又は安定化処理といった簡易な方法を行うことができる。また、感光材料から画像情報をスキャナー等で読み取る方式では、撮影用感光材料などの様に高銀量の感光材料を用いた場合でも、脱銀処理を不要とする処理形態を採用することができる。
【0223】
本発明で用いられるアクチベーター液、脱銀液(漂白/定着液)、水洗及び安定化液の処理素材や処理方法は任意のものを用いることができる。好ましくは、リサーチ・ディスクロージャーItem 36544(1994年9月)第536頁〜第541頁、特開平8−234388号公報に記載されたものを用いることができる。
【0224】
本発明の構成をカラーリバーサルに適用する場合においては、特開2001−142181号公報に記載の内容が本明細書の一部として好ましく取り込まれる。
【0225】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0226】
[実施例1]
試料001の作製
(青感層乳剤Aの調製)
塩化銀98.9モル% 臭化銀1モル% 沃化銀0.1モル%のハロゲン組成からなる、平均辺長0.65μm、辺長の変動係数8%のハロゲン化銀立方体粒子を形成した。分光増感色素−1および2をそれぞれ2.5×10−4モル/Agモルと2.0×10−4モル/Agモル添加した。なお、粒子形成に際しては、K3IrCl5(H2O)、K4Ru(CN)6、K4Fe(CN)6、チオスルフォン酸化合物−1、チオ硫酸ナトリウム、金増感剤−1、及びメルカプト化合物−1、2を最適量用いた。
このようにして高感側乳剤A−1を作製した。
同様にして、平均辺長0.50μm、辺長の変動係数9%の立方体粒子を形成した。分光増感ならびに化学増感を比表面積を合わせる補正(辺長比0.65/0.50=1.3倍)を行なった量で実施し、低感度側乳剤A−2を作製した。
【0227】
【化62】
【0228】
(緑感層用乳剤Cの調製)
粒子形成時の温度を下げ並びに増感色素の種類を下記のごとく変える以外は、乳剤A−1、2の調製条件と同様にして緑感光性乳剤用高感側乳剤C−1、低感側乳剤C−2を作製した。
【0229】
【化63】
【0230】
粒子サイズは高感側が平均辺長0.40μm、低感側が平均辺長0.30μmである。その変動係数は、いずれも8%であった。
増感色素Dをハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤に対しては3.0×10−4モル、小サイズ乳剤に対しては3.6×10−4モル、また、増感色素Eをハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤に対しては4.0×10−5モル、小サイズ乳剤に対しては7.0×10−5モル添加した。
【0231】
(赤感層用乳剤Eの調製)
粒子形成時の温度を下げ並びに増感色素の種類を下記のごとく変える以外は、乳剤A−1、2の調製条件と同様にして赤感性乳剤用高感側乳剤E−1、低感側乳剤E−2を作製した。
【0232】
【化64】
【0233】
粒子サイズは高感側が平均辺長0.38μm、低感側が平均辺長0.32μmであり、辺長の変動係数は各々9%と10%であった。
増感色素GおよびHをそれぞれ、ハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤に対しては8.0×10−5モル、小サイズ乳剤に対しては10.7×10−5モル添加した。
さらに、以下の化合物Iを赤感性乳剤層にハロゲン化銀1モル当たり3.0×10−3モル添加した。
【0234】
【化65】
【0235】
第一層塗布液調製
イエローカプラー(ExY)57g、色像安定剤(Cpd−1)7g、色像安定剤(Cpd−2)4g、色像安定剤(Cpd−3)7g、色像安定剤(Cpd−8)2gを溶媒(Solv−1)21g及び酢酸エチル80mLに溶解し、この液を4gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む23.5質量%ゼラチン水溶液220g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、水を加えて900gの乳化分散物Aを調製した。
一方、前記乳化分散物Aと前記乳剤A−1、A−2を混合溶解し、後記組成となるように第一層塗布液を調製した。乳剤塗布量は、銀量換算塗布量を示す。
【0236】
第二層〜第七層用の塗布液も第一層塗布液と同様の方法で調製した。各層のゼラチン硬化剤としては、1−オキシ−3,5−ジクロロ−s−トリアジンナトリウム塩(H−1)、(H−2)、(H−3)を用いた。また、各層に(Ab−1)、(Ab−2)、(Ab−3)、及び(Ab−4)をそれぞれ全量が15.0mg/m2、60.0mg/m2、5.0mg/m2及び10.0mg/m2となるように添加した。
【0237】
【化66】
【0238】
【化67】
【0239】
また、1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを、第二層、第四層、第六層および第七層に、それぞれ0.2mg/m2、0.2mg/m2、0.6mg/m2、0.1mg/m2となるように添加した。
また、青感性乳剤層および緑感性乳剤層に対し、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを、それぞれハロゲン化銀1モル当たり、1×10−4モル、2×10−4モル添加した。
また、赤感性乳剤層にメタクリル酸とアクリル酸ブチルの共重合体ラテックス(質量比1:1、平均分子量200000〜400000)を0.05g/m2添加した。
また第二層、第四層および第六層にカテコール−3,5−ジスルホン酸二ナトリウムをそれぞれ6mg/m2、6mg/m2、18mg/m2となるように添加した。
また、イラジエーション防止のために、以下の染料(カッコ内は塗布量を表す)を添加した。
【0240】
【化68】
【0241】
(層構成)
以下に、各層の構成を示す。数字は塗布量(g/m2)を表す。ハロゲン化銀乳剤は、銀換算塗布量を表す。
【0242】
支持体
ポリエチレン樹脂ラミネート紙[第一層側のポリエチレン樹脂に白色顔料(TiO2;含有率16質量%、ZnO;含有率4質量%)と蛍光増白剤(4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾリル)スチルベン。含有率0.03質量%)、青味染料(群青、含有率0.33質量%)を含む。ポリエチレン樹脂の量は29.2g/m2]
【0243】
第一層(青感性乳剤層)
塩臭沃化銀乳剤A(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤A−1と小サイ
ズ乳剤A−2との3:7混合物(銀モル比)。) 0.24
ゼラチン 1.25
イエローカプラー(ExY) 0.57
色像安定剤(Cpd−1) 0.07
色像安定剤(Cpd−2) 0.04
色像安定剤(Cpd−3) 0.07
色像安定剤(Cpd−8) 0.02
溶媒(Solv−1) 0.21
【0244】
第二層(混色防止層)
ゼラチン 1.15
混色防止剤(Cpd−4) 0.10
色像安定剤(Cpd−5) 0.018
色像安定剤(Cpd−6) 0.13
色像安定剤(Cpd−7) 0.07
溶媒(Solv−1) 0.04
溶媒(Solv−2) 0.12
溶媒(Solv−5) 0.11
【0245】
第三層(緑感性乳剤層)
塩臭沃化銀乳剤C(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤C−1と小サイ
ズ乳剤C−2との1:3混合物(銀モル比)。) 0.14
ゼラチン 1.21
マゼンタカプラー(ExM) 0.15
紫外線吸収剤(UV−A) 0.14
色像安定剤(Cpd−2) 0.003
色像安定剤(Cpd−4) 0.002
色像安定剤(Cpd−6) 0.09
色像安定剤(Cpd−8) 0.02
色像安定剤(Cpd−9) 0.01
色像安定剤(Cpd−10) 0.01
色像安定剤(Cpd−11) 0.0001
溶媒(Solv−3) 0.09
溶媒(Solv−4) 0.18
溶媒(Solv−5) 0.10
溶媒(Solv−6) 0.07
【0246】
第四層(混色防止層)
ゼラチン 0.68
混色防止剤(Cpd−4) 0.06
色像安定剤(Cpd−5) 0.011
色像安定剤(Cpd−6) 0.08
色像安定剤(Cpd−7) 0.04
溶媒(Solv−1) 0.02
溶媒(Solv−2) 0.07
溶媒(Solv−5) 0.065
【0247】
第五層(赤感性乳剤層)
塩臭沃化銀乳剤E(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤E−1と小サイ
ズ乳剤E−2との5:5混合物(銀モル比)。) 0.16
ゼラチン 0.95
シアンカプラー(ExC−1) 0.023
シアンカプラー(ExC−2) 0.05
シアンカプラー(ExC−3) 0.17
紫外線吸収剤(UV−A) 0.055
色像安定剤(Cpd−1) 0.22
色像安定剤(Cpd−7) 0.003
色像安定剤(Cpd−9) 0.01
色像安定剤(Cpd−12) 0.01
溶媒(Solv−8) 0.05
【0248】
第六層(紫外線吸収層)
ゼラチン 0.46
紫外線吸収剤(UV−B) 0.35
化合物(S1−4) 0.0015
溶媒(Solv−7) 0.18
【0249】
第七層(保護層)
ゼラチン 1.00
ポリビニルアルコールのアクリル変性共重合体(変性度17%)
0.4
流動パラフィン 0.02
界面活性剤(Cpd−13) 0.02
【0250】
【化69】
【0251】
【化70】
【0252】
【化71】
【0253】
【化72】
【0254】
【化73】
【0255】
【化74】
【0256】
【化75】
【0257】
【化76】
【0258】
【化77】
【0259】
【化78】
【0260】
試料101〜131の作製
以上のようにして作製した試料001の第一層の組成を以下の様に変更した以外は試料001と同様にして試料101〜131を作製した。
第一層 青感光性乳剤層の組成変更内容
【0261】
試料101:
塩臭沃化銀乳剤A(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤A−1と小サイ
ズ乳剤A−2との3:7混合物(銀モル比)。) 0.24
ゼラチン 1.20
イエローカプラー(比較イエローカプラーY1) 0.53
溶媒(Solv−4) 0.20
溶媒(Solv−9) 0.20
【0262】
試料103:
塩臭沃化銀乳剤A(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤A−1と小サイ
ズ乳剤A−2との3:7混合物(銀モル比)。) 0.18
ゼラチン 1.20
イエローカプラー((3)) 0.46
溶媒(Solv−4) 0.20
溶媒(Solv−9) 0.20
【0263】
上記試料103では、試料101に対してハロゲン化銀乳剤塗布量を75%に、イエローカプラー塗布量を67モル%に低減した。
試料102〜試料131は、上記試料103におけるイエローカプラーを表5に示した等モルのイエローカプラーに変更したこと以外は試料103と同様にして作製した。
【0264】
試料101〜131をそれぞれ127mm幅のロール状に加工し、デジタルミニラボ フロンティア330(富士写真フイルム社製、商品名)を用いて感光材料に標準的なな写真画像を露光し、下記処理工程にて使用した発色現像補充液の容量が発色現像タンク容量の2倍となるまで連続処理(ランニングテスト)を行った。処理液組成と工程時間の異なる以下の2つの処理を行い感光材料を評価した。
【0265】
処理工程A
以下のランニング処理液を用いた処理を処理Aとした。
【0266】
処理工程 温度 時間 補充量*
発色現像 38.5℃ 45秒 45mL
漂白定着 38.0℃ 45秒 35mL
リンス1** 38.0℃ 20秒 −
リンス2** 38.0℃ 20秒 −
リンス3** 38.0℃ 20秒 −
リンス4** 38.0℃ 20秒 121mL
乾燥 80℃
(注)
* 感光材料1m2あたりの補充量
** 富士写真フイルム(株)製リンスクリーニングシステムRC50D(商品名)をリンス3に装着し、リンス3からリンス液を取り出してポンプにより逆浸透モジュール(RC50D)へ送る。同槽で送られた透過水はリンス4に供給し、濃縮液はリンス3に戻す。逆浸透モジュールへの透過水量は50〜300mL/分を維持するようにポンプ圧を調整し、1日10時間温調循環させた。リンスはリンス1から4への4タンク向流方式とした。
【0267】
各処理液の組成は以下の通りである。
【0268】
【0269】
【0270】
処理工程B
試料101〜131をそれぞれ127mm幅のロール状に加工し、処理時間、処理温度を変えられるように富士写真フイルム(株)製ミニラボプリンタープロセッサー PP350(商品名)を改造した実験処理装置用いて感光材料に平均濃度のネガティブフイルムから像様露光を行い、下記処理工程にて使用した発色現像補充液の容量が発色現像タンク容量の2倍となるまで連続処理(ランニングテスト)を行った。このランニング処理液を用いた処理を処理Bとした。
【0271】
処理工程 温度 時間 補充量*
発色現像 45.0℃ 17秒 45mL
漂白定着 40.0℃ 17秒 35mL
リンス1** 40.0℃ 8秒 −
リンス2** 40.0℃ 8秒 −
リンス3** 40.0℃ 8秒 −
リンス4** 38.0℃ 8秒 121mL
乾燥 80℃ 15秒
(注)
* 感光材料1m2あたりの補充量
** 富士写真フイルム(株)製リンスクリーニングシステムRC50D(商品名)をリンス3に装着し、リンス3からリンス液を取り出してポンプにより逆浸透モジュール(RC50D)へ送る。同槽で送られた透過水はリンス4に供給し、濃縮液はリンス3に戻す。逆浸透モジュールへの透過水量は50〜300mL/分を維持するようにポンプ圧を調整し、1日10時間温調循環させた。リンスはリンス1から4への4タンク向流方式とした。
【0272】
各処理液の組成は以下の通りである。
【0273】
【0275】
【化79】
【0276】
試料101〜131は感光材料を塗布後25℃55%相対湿度条件下で10日保存の後に以下の評価を行った。
(評価1 光堅牢性)
各試料に対して3色分解の露光を与え、上記処理工程Aで発色現像処理を行い、イエローの単色発色試料を得た。蛍光灯光源下2万ルクスによる30日間暴露前後での濃度測定を行った。イエロー発色部の初期濃度0.5での保存後の相対残存率を算出した。
カプラーへの退色防止置換基導入による改良幅を評価するのに以下に示す改良度を算出した。
改良度=[100−(比較カプラーを用いた試料における残存率)]/[100−(退色防止基導入カプラーを用いた試料における残存率)]
評価結果を表5に示す。
【0277】
【表5】
【0278】
従来のイエローカプラーのアシル基をヘテロ環に改良した骨格のイエローカプラーを用いた試料102〜131は、イエローカプラーの塗布量を67%に減らしているが比較イエローカプラーY1を用いた試料101と比べて同等の発色濃度が得られた。また、表5から明らかなように、退色防止剤基を導入した本発明のイエローカプラーは、低濃度部の光堅牢性が改良されていることがわかった。例えば、イエロー色素形成カプラー基(C−1)の末端に水素原子が置換したカプラーを用いた試料102(比較例)に対して、同カプラー基の末端に退色防止剤基(TI−12)が結合したカプラー(3)を用いた試料103(本発明例)は光堅牢性(残存率)が向上しており、本発明のイエローカプラーは退色を防止できることがわかった。
【0279】
[実施例2]
実施例1の試料101〜131において第一層と第五層の配置を逆転した試料201〜231を作製した。
実施例1に準じて評価を行った結果、特にグレイの画像において実施例1の試料と比較してイエローとマゼンタの濃度向上が認められた。また、本発明のカプラーを用いると光堅牢性に優れる感光材料が得られることがわかった。
【0280】
[実施例3]
実施例1及び2の試料において、第五層(赤感光性乳剤層)の組成を以下の様に変更した試料を作製し、処理工程Bで処理を行った試料を用いて光堅牢性の評価を行った結果、本発明の構成では画像堅牢性に優れることが再現できた。
【0281】
第五層 赤感性乳剤層の組成変更内容
塩臭沃化銀乳剤E(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤E−1と小サイ
ズ乳剤E−2との5:5混合物(銀モル比)。) 0.10
ゼラチン 1.11
シアンカプラー(ExC−1) 0.02
シアンカプラー(ExC−3) 0.01
シアンカプラー(ExC−4) 0.11
シアンカプラー(ExC−5) 0.01
色像安定剤(Cpd−1) 0.01
色像安定剤(Cpd−6) 0.06
色像安定剤(Cpd−7) 0.02
色像安定剤(Cpd−9) 0.04
色像安定剤(Cpd−10) 0.01
色像安定剤(Cpd−14) 0.01
色像安定剤(Cpd−15) 0.12
色像安定剤(Cpd−16) 0.01
色像安定剤(Cpd−17) 0.01
色像安定剤(Cpd−18) 0.07
色像安定剤(Cpd−20) 0.01
紫外線吸収剤(UV−5) 0.01
溶媒(Solv−5) 0.15
【0282】
【発明の効果】
本発明によれば、色相、発色性に優れ、白地や色素画像が長期間変色、褪色せず、高度の保存性を有するハロゲン化銀写真感光材料を低コストで提供することができる。本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、カブリや混色が少なく、塗布後長期間生保存しても発色濃度の低下がなく、かつ、現像処理安定性に優れる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料、更に詳細には色再現性、画像保存性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
減色法によるハロゲン化銀写真感光材料(以下、単に「感光材料」という場合がある。)においては、イエロー、マゼンタおよびシアンの3原色の色素によって色画像が形成される。現行のp−フェニレンジアミン系カラー現像主薬を使用するカラー写真法においては、イエローカプラーとして、アシル酢酸アニリド系化合物が使用されている。しかし、これらのカプラーから得られるイエロー色素の色相は、吸収の長波側すそ切れが悪いため赤味を帯び、純度の高いイエローの色相を得るのが困難であり、また、該色素の分子吸光係数が小さく、所望の発色濃度を得るために多量のカプラーやハロゲン化銀を必要とし、感光材料の膜厚が厚くなって得られる色像の鮮鋭性が低下する場合があるといった問題を有していた。さらに、前記色素は高温高湿条件下、あるいは光照射条件下で分解し易く、現像処理後の画像保存性に問題があり改良が望まれている。
【0003】
これらの問題を解決するためにアシル基およびアニリド基の改良が行われ、最近になって、従来のアシル酢酸アニリド系を改良したカプラーとして、1−アルキルシクロプロパンカルボニル酢酸アニリド系化合物(例えば、特許文献1参照。)や環状マロンジアミド型カプラー(例えば、特許文献2参照。)、ピロール−2または3−イルもしくはインドール−2または3−イルカルボニル酢酸アニリド系カプラー(例えば、特許文献3〜4参照。)等が提案された。これらのカプラーから生成する色素は、従来のものより色相、分子吸光係数において改良されたが、画像保存性の点で未だ十分ではなく、また、構造が複雑になった分、合成ルートが長く、カプラーコストが高くなり、実用的には問題があった。また他に1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシドが結合した酢酸エステル系および酢酸アニリド系カプラー(例えば、特許文献5〜7参照。)が提案されているが、発色性が低く、吸収の長波側すそ切れも悪くこれらの改良が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−218042号公報
【特許文献2】
特開平5−11416号公報
【特許文献3】
欧州特許出願公開第953870号明細書
【特許文献4】
欧州特許出願公開第953871号明細書
【特許文献5】
米国特許第3,841,880号明細書
【特許文献6】
特開昭52−82423号公報
【特許文献7】
特開平2−28645号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記問題点を克服し、色相、保存安定性が良好な色素を与え、発色性の高い色素形成カプラーを提供すること、またこの色素形成カプラーを使用し、発色性に優れ、白地や色素画像が長期間変色、褪色せず、高度の保存性を有するハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。本発明の他の目的は、色相、発色性に優れ、かぶり、混色が少なく、色素画像が長期間変化せず、塗布後長期間保存しても発色性に変化の少ないハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。本発明の他の目的は、色相、発色性に優れ、色素画像が長期間変色せず、現像処理安定性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、下記一般式(I)で表されるイエロー色素形成カプラーにより前記課題を解決できることを見出した。本発明はこの知見に基づきなされるに至ったものである。すなわち本発明は、以下のものを提供するものである。
(1)下記一般式(I)で表されるイエロー色素形成カプラー。
【0007】
【化3】
【0008】
式中、Qは−N=C−N(R1)−とともに5〜7員環を形成する非金属原子群を表す。R1、R2は各々独立に置換基を表す。mは0以上5以下の整数を表す。mが2以上のとき複数のR2はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。Xは水素原子または現像主薬酸化体とのカップリング反応により離脱可能な基を表す。但し、一般式(I)はその置換可能な位置に、下記一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いた残基が直接もしくは必要に応じて連結基を介して置換しているものである。
【0009】
【化4】
【0010】
一般式(TS−I)中、R51は水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、フォスホリル基または−Si(R58)(R59)(R60)を表す。ここで、R58、R59及びR60は各々独立に脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基またはアリールオキシ基を表す。X51は−O−または−N(R57)−を表す。ここで、R57はR51と同義である。X55は−N=または−C(R52)=、X56は−N=または−C(R54)=、X57は−N=または−C(R56)=を表し、R52、R53、R54、R55及びR56は各々独立に、水素原子または置換基を表す。R51とR52、R57とR56、R51とR57は互いに結合して5〜7員環を形成していても良い。さらに、R52とR53、R53とR54が互いに結合して、5〜7員環またはスピロ環、ビシクロ環を形成しても良い。但し、R51〜R57の全てが水素原子であることはなく、一般式(TS−I)で表される化合物の総炭素数は3以上である。
【0011】
一般式(TS−II)中、R61、R62、R63及びR64は各々独立に水素原子または脂肪族基を表し、R61とR62、R63とR64は結合し、5〜7員環を形成しても良い。X61は水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基またはオキシラジカル基を表す。X62は5〜7員環を形成するに必要な非金属原子群を表す。一般式(TS−II)で表される化合物の総炭素数は4以上である。
【0012】
一般式(TS−III)中、R65及びR66は各々独立に水素原子、脂肪族基、アリール基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基またはアリールスルホニル基を表し、R67は水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、置換アミノ基、ヘテロ環基またはヒドロキシ基を表し、可能な場合にはR65とR66、R66とR67、R65とR67は互いに結合し、5〜7員環を形成しても良いが、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を形成することはない。但し、R65とR66の両方が水素原子であることはなく、R65とR66の総炭素数は2以上である。
一般式(TS−IV)中、R71は水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、Li、NaまたはKを表し、R72は脂肪族基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R71とR72は互いに結合し、5〜7員環を形成しても良い。qは0、1または2を表す。但し、R71、R72の総炭素数は1以上である。
【0013】
一般式(TS−V)中、R81、R82及びR83は各々独立に脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族アミノ基またはアリールアミノ基を表し、tは0または1を表す。R81とR82、R81とR83は互いに結合し、5〜8員環を形成しても良い。但し、R81、R82、R83の総炭素数は3以上である。
一般式(TS−VI)中、R85、R86、R87及びR88は各々独立に水素原子または置換基を表す。但しR85、R86、R87及びR88の全てが水素原子であることはなく、R85、R86、R87及びR88の任意の2つが結合し、5〜7員環を形成していても良いが、炭素原子のみの芳香環を形成することはない。一般式(TS−VI)で表される化合物の総炭素数は3以上である。
【0014】
(2)支持体上の少なくとも1層に、前記(1)項記載の一般式(I)で表されるイエロー色素形成カプラーの少なくとも1種を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(3)前記一般式(I)においてQが−C(−R11)=C(−R12)−SO2−または−C(−R11)=C(−R12)−CO−で表される基(R11とR12は互いに結合して−C=C−とともに5〜7員環を形成する基、またはそれぞれ独立に水素原子もしくは置換基)であることを特徴とする前記(2)項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(4)前記一般式(I)で表されるイエロー色素形成カプラーが、一般式(II)で表されるイエロー色素形成カプラーであることを特徴とする前記(2)または(3)項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0015】
【化5】
【0016】
式中、R1、R2、mおよびXは、一般式(I)で定義したものと同じである。R3は、置換基を表わす。nは0以上4以下の整数を表わす。但し、一般式(II)はその置換可能な位置に、前記一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いた残基が直接もしくは必要に応じて連結基を介して置換しているものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本明細書中における脂肪族とは、その脂肪族部位は直鎖、分岐鎖または環状で飽和であっても不飽和であっても良く、例えばアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基を表し、これらは無置換であっても置換基を有していてもよい。また、アリールとは、単環であっても縮合環であっても良く、無置換であっても置換基を有していてもよい。また、ヘテロ環とは、そのヘテロ環部位は環内にヘテロ原子(例えば、窒素原子、イオウ原子、酸素原子)を持つものであり、飽和環であっても、不飽和環であってもよく、単環であっても縮合環であってもよく、無置換であっても置換基を有していてもよい。
【0018】
本発明における置換基とは、置換可能な基であればよく、例えば脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、脂肪族オキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシフォスフィニル基、ジアリールオキシフォスフィニル基等を挙げることができる。
【0019】
最初に、本発明の一般式(I)で表される化合物(本明細書ではイエロー色素形成カプラーとも称す)を詳細に説明する。
なお、本発明では、本発明の一般式(I)で表されるイエロー色素形成カプラーから一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基とした部分(以下、「退色防止剤基」という場合がある。)の構造を除いた残基をイエロー色素形成カプラー基という。
【0020】
【化6】
【0021】
式中、R1は水素原子以外の置換基を表す。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が挙げられる。R1として、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表わされる化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが結合していてもよい。
【0022】
なお、上述の置換基はさらに置換基で置換されていてもよく、該置換基としては上述の基が挙げられ、また、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが置換していてもよい。
【0023】
好ましくはR1は、置換もしくは無置換のアルキル基である。R1の総炭素数は1以上60以下が好ましく、4以上50以下がより好ましく、5以上40以下がさらに好ましい。R1が置換アルキル基である場合の置換基としては前述のR1の置換基として挙げた例、又は一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが挙げられる。
【0024】
一般式(I)においてQは−N=C−N(R1)−とともに5〜7員環を形成する非金属原子群を表す。好ましくは形成される5〜7員環は置換もしくは無置換、単環もしくは縮合環のヘテロ環であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択される。さらに好ましくはQは−C(−R11)=C(−R12)−SO2−、または−C(−R11)=C(−R12)−CO−で表される基を表す(本発明においてこれらの基の表記はこれらの基で表される基の結合の向きを制限するものではない。)。R11、R12は互いに結合して−C=C−とともに5〜7員環を形成する基、またはそれぞれ独立に水素原子もしくは置換基を表す。形成される5員〜7員の環は飽和または不飽和環であり、該環は脂環、芳香環、ヘテロ環であってもよく、例えば、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環が挙げられ、これらの環は更に置換基(該置換基としては前述のR1の置換基として挙げた例が挙げられる)を有していても良く、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものがその任意の位置で置換していても良い。一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが置換している場合は、可能ならば該環に直接、あるいは該環と連結基を介して置換していても良い。
これらの各置換基や複数の置換基が互いに結合して形成した環は、更に置換基(前述のR1の置換基として例示した基が挙げられる)で置換されてもよい。
【0025】
一般式(I)において、R2は水素原子以外の置換基を表す。この置換基の例としては前述のR1の置換基の例として挙げたものが挙げられる。好ましくはR2はハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、アルキル基(例えばメチル、イソプロピル)、アリール基(例えばフェニル、ナフチル)、アルコキシ基(例えばメトキシ、イソプロピルオキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、t−オクチルチオ、t−ブチルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ、2−メトキシフェニルチオ)、アシルオキシ基(例えばアセチルオキシ)、アミノ基(例えばジメチルアミノ、モルホリノ)、アシルアミノ基(例えばアセトアミド)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、カルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えばN−メチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基である。R2として、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが結合していてもよい。
【0026】
なおR2が−CONH−基に対してオルト位にある場合、好ましくはハロゲン原子またはヘテロ原子(例えば酸素原子、硫黄原子、窒素原子)で該環に結合する基(例えばアルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基)である。
なお、上述の置換基はさらに置換基で置換されていてもよく、該置換基としては上述の基が挙げられ、また、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが置換していてもよい。
R2の総炭素数は0以上60以下が好ましく、0以上50以下がより好ましく、1以上40以下がさらに好ましい。
【0027】
一般式(I)において、mは0以上5以下の整数を表す。mが2以上のとき複数のR2はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
mは好ましくは0〜3であり、0〜2がより好ましく、1〜2がさらに好ましく、2である場合が最も好ましい。
【0028】
一般式(I)においてXは水素原子または現像主薬酸化体とのカップリング反応により離脱可能な基を表す。Xが現像主薬酸化体とのカップリング反応により離脱可能な基である場合の例としては窒素原子で離脱する基、酸素原子で離脱する基、イオウ原子で離脱する基、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子)などが挙げられる。
【0029】
窒素原子で離脱する基としては、ヘテロ環基(好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、アリール(本明細書では4n+2個の環状共役電子を有するものを意味する)もしくは非アリール、単環もしくは縮合環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有する5もしくは6員のヘテロ環基であり、例えばスクシンイミド、マレインイミド、フタルイミド、ジグリコールイミド、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、インドール、ベンゾピラゾール、ベンツイミダゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾリン−2,4−ジオン、オキサゾリジン−2,4−ジオン、チアゾリジン−2−オン、ベンツイミダゾリン−2−オン、ベンゾオキサゾリン−2−オン、ベンゾチアゾリン−2−オン、2−ピロリン−5−オン、2−イミダゾリン−5−オン、インドリン−2,3−ジオン、2,6−ジオキシプリンパラバン酸、1,2,4−トリアゾリジン−3,5−ジオン、2−ピリドン、4−ピリドン、2−ピリミドン、6−ピリダゾン、2−ピラゾン、2−アミノ−1,3,4−チアゾリジン−4−オン)、カルボナミド基(例えばアセタミド、トリフルオロアセタミド)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、アリールアゾ基(例えばフェニルアゾ、ナフチルアゾ)、カルバモイルアミノ基(例えばN−メチルカルバモイルアミノ)などが挙げられる。
【0030】
窒素原子で離脱する基のうち、好ましいものはヘテロ環基であり、さらに好ましいものは、環構成原子として窒素原子を1、2、3または4個有するアリールヘテロ環基、または下記一般式(L)で表されるヘテロ環基である。
【0031】
【化7】
【0032】
式中、Lは−NC(=O)−と共に5〜6員環の含窒素ヘテロ環を形成する残基を表す。
これらの例示は上記ヘテロ環基の説明の中で挙げており、これらが更に好ましい。
なかでも、Lは5員環の含窒素ヘテロ環を形成する残基が好ましい。
【0033】
酸素原子で離脱する基としては、アリールオキシ基(例えばフェノキシ、1−ナフトキシ)、ヘテロ環オキシ基(例えばピリジルオキシ、ピラゾリルオキシ)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシ基(例えばメトキシ、ドデシルオキシ)、カルバモイルオキシ基(例えばN,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルバモイルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ)などが挙げられる。
酸素原子で離脱する基のうち、好ましいものはアリールオキシ基、アシルオキシ基、ヘテロ環オキシ基である。
【0034】
イオウ原子で離脱する基としては、アリールチオ基(例えばフェニルチオ、ナフチルチオ)、ヘテロ環チオ基(例えばテトラゾリルチオ、1,3,4−チアジアゾリルチオ、1,3,4−オキサゾリルチオ、ベンツイミダゾリルチオ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ、オクチルチオ、ヘキサデシルチオ)、アルキルスルフィニル基(例えばメタンスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばベンゼンスルフィニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)などが挙げられる。
イオウ原子で離脱する基のうち、好ましいものはアリールチオ基、ヘテロ環チオ基であり、ヘテロ環チオ基がより好ましい。
【0035】
Xは置換基により置換されていてもよく、Xを置換する置換基の例としては前述のR1の置換基の例として挙げたものが挙げられる。
Xに一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが置換する場合は、Xの離脱基の任意の位置に置換して良い。
Xは、好ましくは窒素原子で離脱する基、酸素原子で離脱する基、イオウ原子で離脱する基であり、より好ましくは窒素原子で離脱する基であり、更に好ましくは、窒素原子で離脱する基で述べた好ましい基の順に好ましい。
【0036】
またXは写真性有用基であってもよい。この写真性有用基としては、現像抑制剤、脱銀促進剤、レドックス化合物、色素、カプラー等、あるいはこれらの前駆体が挙げられる。
【0037】
カプラーを感光材料中で不動化するために、Q、R1、X、あるいはR2の少なくとも1つは置換基を含めた総炭素数が6以上60以下であることが好ましく、より好ましくは総炭素数が8以上50以下である。
【0038】
本発明の効果の点で一般式(I)で表される化合物(本明細書ではイエロー色素形成カプラーとも称す)は次の一般式(II)で表される化合物(本明細書ではイエロー色素形成カプラーとも称す)であることが好ましい。以下に一般式(II)で表される化合物を詳細に説明する。
【0039】
【化8】
【0040】
一般式(II)において、R1、R2、m、Xは一般式(I)において述べたものと同じものを表し、好ましい範囲も同様である。
【0041】
一般式(II)において、R3は置換基を表す。この置換基の例としては前述のR1の置換基の例として挙げたものが挙げられる。好ましくはR3はハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、アルキル基(例えばメチル、イソプロピル)、アリール基(たとえばフェニル、ナフチル)、アルコキシ基(例えばメトキシ、イソプロピルオキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ)、アシルオキシ基(例えばアセチルオキシ)、アミノ基(例えばジメチルアミノ、モルホリノ)、アシルアミノ基(例えばアセトアミド)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、カルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えばN−メチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基である。R3として、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが結合していてもよい。
【0042】
なお、上述の置換基はさらに置換基で置換されていてもよく、該置換基としては例えば上述の基が挙げられ、また、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが置換していてもよい。
nは0以上4以下の整数を表す。nが2以上のとき複数のR3はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(II)において、本発明の効果の点で、イエロー色素形成カプラー基に一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが置換する位置は、R1、R2もしくはR3に置換する場合またはR2が結合するベンゼン環に直接もしくはR3が結合するベンゼン環に直接置換する場合が好ましく、R1もしくはR2に置換する場合またはR2が結合するベンゼン環に直接置換する場合が更に好ましく、R2に置換する場合またはR2が結合するベンゼン環に直接置換する場合が最も好ましい。
以下に、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが連結するイエロー色素形成カプラー基の好ましい一般式を示す。
【0043】
【化9】
【0044】
一般式(I−1)〜(I−3)においてR1、R2、R3、X、m、nは一般式(I)及び(II)で述べたものと同じものを表し、好ましい範囲も同様である。*印は一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものとの結合手を表わす。n1は0以上3以下の整数を表し、m1は0以上4以下の整数を表す。R13、R21、R31は2価の有機基または単なる結合手を表す。2価の有機基とは、2箇所の単結合で結合する有機基であれば良く、例えば、各々R1、R2、R3又はXで規定した置換基からさらに任意の1つの水素原子を除いてできた2価の基、あるいは下記に示す2価の基又は可能ならばそれらの基が2種、3種もしくは複数種結合してできた基を表す。
【0045】
【化10】
【0046】
式中、R14及びR15はアルキル基又はアリール基を表す。
n1は好ましくは0〜2であり、0〜1がより好ましい。また、m1は好ましくは0〜2であり、0〜1がより好ましく、0がさらに好ましい。
R13、R21、R31は、好ましくは単なる結合手、アルキレン基、アリーレン基、−O−アルキレン基、−S−アルキレン基、−NH−を含む上記の例示の基であり、単なる結合手、アルキレン基、アリーレン基、−O−アルキレン基、−S−アルキレン基、−NH−がより好ましい。
【0047】
本発明の効果の点で一般式(I−2)又は(I−3)で表されるイエロー色素形成カプラー基が好ましく、一般式(I−2)である場合は更に好ましい。
以下に本発明の一般式(I)又は(II)で表されるカプラーのうちの一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基とした部分を除いたイエロー色素形成カプラー基の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、カップリング位の水素原子がカップリング位に結合したC=N部の窒素上に移動した互変異性体も本発明に含まれることとする。また、各構造式における*印は、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものとの結合手を表す。
【0048】
【化11】
【0049】
【化12】
【0050】
【化13】
【0051】
【化14】
【0052】
【化15】
【0053】
【化16】
【0054】
【化17】
【0055】
【化18】
【0056】
【化19】
【0057】
【化20】
【0058】
なお、以降の説明において、以上に例示されたイエロー色素形成カプラー基を引用する場合、それぞれのイエロー色素形成カプラー基に付された括弧書きの番号(C−x)を用いて、「(C−x)」と表示することとする。
【0059】
本発明の一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーは、イエロー色素形成カプラー基に一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物から任意の水素原子を除いて基としたものが結合可能な任意の位置で結合しているものである。イエロー色素形成カプラー基には退色防止剤基が複数結合してもよく、その場合の退色防止剤基は同じでも異なっていてもよい。
【0060】
【化21】
【0061】
以下に一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物について詳細に述べる。
【0062】
一般式(TS−I)で表される化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−I)中、R51は水素原子、脂肪族基(例えば、メチル、i−プロピル、s−ブチル、ドデシル、メトキシエトキシ、アリル、ベンジル)、アリール基(例えば、フェニル、p−メトキシフェニル)、ヘテロ環基(例えば2−テトラヒドロフリル、ピラニル)、アシル基(例えばアセチル、ピバロイル、ベンゾイル、アクリロイル)、脂肪族オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル、p−メトキシフェノキシカルボニル)、脂肪族スルホニル基(例えばメタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル)、フォスホリル基(例えばジエチルフォスホリル、ジフェニルフォスホリル、ジフェノキシフォスホリル)または−Si(R58)(R59)(R60)を表す。ここで、R58、R59及びR60は各々独立に脂肪族基(例えばメチル、エチル、t−ブチル、ベンジル、アリル)、アリール基(例えばフェニル)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ、ブトキシ)またはアリールオキシ基(例えばフェノキシ)を表す。
【0063】
X51は−O−または−N(R57)−を表す。ここで、R57はR51と同義である。X55は−N=または−C(R52)=、X56は−N=または−C(R54)=、X57は−N=または−C(R56)=を表す。R52、R53、R54、R55及びR56は各々独立に水素原子または置換基を表し、好ましい置換基としては脂肪族基(例えばメチル、t−ブチル、t−ヘキシル、ベンジル)、アリール基(例えばフェニル)、脂肪族オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、脂肪族スルホニル基(例えばメタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル、p−ヒドロキシベンゼンスルホニル)または−X51−R51である。
【0064】
R51とR52、R57とR56、R51とR57は互いに結合して5〜7員環(例えばクロマン環、モルホリン環)を形成していても良い。さらに、R52とR53、R53とR54が互いに結合して、5〜7員環(例えばクロマン環、インダン環)またはスピロ環、ビシクロ環を形成しても良い。但し、R51〜R57のすべてが水素原子であることはなく、総炭素数は3以上(好ましくは3〜50)であり、好ましくは総炭素数7以上(好ましくは7〜40)である。
【0065】
本発明の一般式(TS−I)で表される化合物は、特公昭63−50691号公報記載の一般式(I)、特公平2−37575号公報記載の一般式(IIIa),(IIIb),(IIIc)、同2−50457号公報記載の一般式、同5−67220号公報記載の一般式、同5−70809号公報記載の一般式(IX)、同6−19534号公報記載の一般式、特開昭62−227889号公報記載の一般式(I)、同62−244046号公報記載の一般式(I),(II)、特開平2−66541号公報記載の一般式(I),(II)、同2−139544号公報記載の一般式(II),(III)、同2−194062号公報記載の一般式(I)、同2−212836号公報記載の一般式(B),(C),(D)、同3−200758号公報記載の一般式(III)、同3−48845号公報記載の一般式(II),(III)、同3−266836号公報記載の一般式(B),(C),(D)、同3−969440号公報記載の一般式(I)、同4−330440号公報記載の一般式(I)、同5−297541号公報記載の一般式(I)、同6−130602号公報記載の一般式、国際公開WO91/11749号パンフレット記載の一般式(1),(2),(3)、独国特許出願公開第4,008,785号明細書記載の一般式(I)、米国特許第4,931,382号明細書記載の一般式(II)、欧州特許第203,746号明細書記載の一般式(a)、同264,730号明細書記載の一般式(I)、特開昭62−89962号公報記載の一般式(III)等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
本発明の効果の点で一般式(TS−I)で表される化合物は、一般式(TS−IA)〜(TS−IH)のいずれかで表される化合物が好ましい。
【0066】
【化22】
【0067】
一般式(TS−IA)〜(TS−IH)において、R51〜R57およびX51は一般式(TS−I)で定義したものと同じである。Ra1〜Ra4は水素原子または脂肪族基(例えばメチル、エチル)を表し、X52およびX53は各々独立に2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、オキシ基、スルホニル基が挙げられる。式中、同一分子中の同記号は同じであっても異なっていても良い。
一般式(TS−IA)〜(TS−IH)のいずれかで表される化合物について、本発明の効果の点での好ましい置換基について述べる。
【0068】
一般式(TS−IA)、(TS−IB)、(TS−IC)、(TS−ID)において、R51が水素原子、脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、フォスホリル基であって、R52、R53、R55及びR56が各々独立に、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基またはアシルアミノ基である場合が好ましく、R51が脂肪族基であって、R52、R53、R55及びR56が各々独立に、水素原子または脂肪族基である場合がさらに好ましい。一般式(TS−IE)、(TS−IF)、(TS−IG)において、R51は水素原子、脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基またはフォスホリル基であって、R52、R53、R55及びR56が各々独立に、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基またはアシルアミノ基であって、R54が脂肪族基、カルバモイル基またはアシルアミノ基であって、X52およびX53は、アルキレン基またはオキシ基である場合が好ましく、R51が水素原子、脂肪族基、アシル基またはホスホリル基であって、R52、R53、R55及びR56が各々独立に、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基またはアシルアミノ基であって、R54が脂肪族基またはカルバモイル基であって、X52およびX53が−CHR58−(R58はアルキル基)である場合がさらに好ましい。一般式(TS−IH)において、R51が脂肪族基、アリール基またはヘテロ環基であって、R53、R55が各々独立に、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基またはヘテロ環オキシ基である場合が好ましく、R51がアリール基またはヘテロ環基であって、R53、R55が各々独立にアリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基である場合がさらに好ましい。
【0069】
本発明の効果の点で、イエロー色素形成カプラー基に結合する一般式(TS−I)で表される化合物は、一般式(TS−IA)、(TS−IB)、(TS−IC)、(TS−IE)または(TS−IG)で表される化合物が好ましく、一般式(TS−IB)、(TS−IC)、(TS−IE)または(TS−IG)で表される化合物がより好ましく、一般式(TS−IC)のR52、R53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合または一般式(TS−IE)もしくは(TS−IG)で表される化合物の場合が更に好ましく、一般式(TS−IE)または(TS−IG)で表される化合物の場合が最も好ましい。
以下に一般式(TS−I)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0070】
【化23】
【0071】
【化24】
【0072】
【化25】
【0073】
【化26】
【0074】
【化27】
【0075】
【化28】
【0076】
一般式(TS−I)で表される化合物がイエロー色素形成カプラーに組み込まれ、本発明の一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなる場合、一般式(TS−I)又は(TS−IA)〜(TS−IH)のいずれかで表される化合物の結合部位は、その置換可能な位置であれば良く、具体的にはその任意の水素原子の代わりにイエロー色素形成カプラー基が結合し、一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなるものである。退色防止剤基にはイエロー色素形成カプラー基が複数結合してもよく、その場合のイエロー色素形成カプラー基は同じでも異なっていてもよい。
以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する、一般式(TS−I)又は(TS−IA)〜(TS−IH)のいずれかで表される化合物を基とした場合の好ましい一般式を示す。
【0077】
【化29】
【0078】
【化30】
【0079】
一般式(TS−IA1)〜(TS−IG3)におけるR51〜R56、Ra1〜Ra4およびX52は一般式(TS−I)および(TS−IA)〜(TS−IH)で定義したものと同じであり、好ましい範囲も同様である。R511はR51で定義した置換基から1つの任意の水素原子を除いた2価の基、R521はR52で定義した置換基から1つの任意の水素原子を除いた2価の基を表し、好ましい範囲もR51又はR52と同様である。*印はイエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0080】
これらの一般式(TS−IA1)〜(TS−IG3)のいずれかで表される基の中で本発明の効果の点で好ましい基としては、一般式(TS−IB1)、(TS−IB2)、(TS−IB3)、(TS−IC1)のR52、R53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合、(TS−IC2)のR53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合、(TS−IC3)のR52、R53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合、(TS−IC4)のR52、R53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合、(TS−IC5)のR53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合、(TS−IC6)のR52、R53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合、(TS−IE1)、(TS−IE2)、(TS−IG1)、(TS−IG2)、(TS−IG3)のいずれかで表される基が好ましく、一般式(TS−IC1)のR52、R53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合、(TS−IC2)のR53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合、(TS−IC4)のR52、R53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合、(TS−IC5)のR53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合、(TS−IE1)、(TS−IE2)、(TS−IG1)、(TS−IG2)、(TS−IG3)のいずれかで表される基が更に好ましく、一般式(TS−IE1)、(TS−IE2)、(TS−IG1)、(TS−IG3)のいずれかで表される基が最も好ましい。
以下に、イエロー色素形成カプラー基に結合する一般式(TS−IA1)〜(TS−IG3)のいずれかで表される基の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各構造式における*印は、イエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0081】
【化31】
【0082】
【化32】
【0083】
【化33】
【0084】
一般式(TS−II)で表される化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−II)中、R61、R62、R63及びR64は各々独立に水素原子または脂肪族基(例えばメチル、エチルであって、好ましくはアルキル基)を表し、X61は水素原子、脂肪族基(例えばメチル、エチル、アリル)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ、オクチルオキシ、シクロヘキシルオキシ)、脂肪族オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニル)、アシル基(例えばアセチル、ピバロイル、メタクリロイル)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ)、脂肪族オキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ、オクチルオキシカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ)、脂肪族スルホニル基(例えばメタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル)、脂肪族スルフィニル基(例えばメタンスルフィニル、オクタンスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばベンゼンスルフィニル、p−トルエンスルフィニル)、スルファモイル基(例えばジメチルスルファモイル)、カルバモイル基(例えばジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル)、ヒドロキシ基またはオキシラジカル基を表す。X62は5〜7員環(例えばピペリジン環、ピペラジン環)を形成するに必要な非金属原子群を表す。一般式(TS−II)で表される化合物の総炭素数は4以上(好ましくは4〜60)である。
【0085】
本発明の一般式(TS−II)で表される化合物は、特公平2−32298号公報記載の一般式(I)、同3−39296号公報記載の一般式(I)、同3−40373号公報記載の一般式、特開平2−49762号公報記載の一般式(I)、同2−208653号公報記載の一般式(II)、同2−217845号公報記載の一般式(III)、米国特許第4,906,555号明細書記載の一般式(B)、欧州特許出願公開309,400号明細書記載の一般式、同309,401号明細書記載の一般式、同309,402号明細書記載の一般式等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
【0086】
一般式(TS−II)で表される化合物について、本発明の効果の点での好ましい置換基について述べる。本発明の効果の点で、R61、R62、R63及びR64は脂肪族基である場合が好ましく、メチル基である場合がさらに好ましい。本発明の効果の点で、X61は水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシル基、アシルオキシ基またはオキシラジカル基である場合が好ましく、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシル基またはオキシラジカル基である場合がさらに好ましく、脂肪族基または脂肪族オキシ基である場合が最も好ましい。本発明の効果の点で、X62は該C−N(X61)−Cと共に6員環を形成する場合が好ましく、ピペリジン環を形成する場合がさらに好ましい。本発明の効果の点で、一般式(TS−II)で表される化合物は、R61、R62、R63及びR64がいずれもメチル基であって、X61が水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アシル基またはオキシラジカル基であって、X62が該C−N(X61)−Cと共に6員環を形成する場合が好ましく、R61、R62、R63及びR64がいずれもメチル基であって、X61が脂肪族基、脂肪族オキシ基であって、X62が該C−N(X61)−Cと共にピペリジン環を形成する場合がさらに好ましい。
以下に一般式(TS−II)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0087】
【化34】
【0088】
【化35】
【0089】
【化36】
【0090】
一般式(TS−II)で表される化合物がイエロー色素形成カプラーに組み込まれ、本発明の一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなる場合、一般式(TS−II)で表される化合物の結合部位は、その置換可能な位置であれば良く、具体的にはその任意の水素原子の代わりにイエロー色素形成カプラー基が結合し、一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなるものである。退色防止剤基にはイエロー色素形成カプラー基が複数結合してもよく、その場合のイエロー色素形成カプラー基は同じでも異なっていてもよい。
本発明の効果の点で、イエロー色素形成カプラー基に結合する一般式(TS−II)で表される化合物の好ましい結合様式は、イエロー色素形成カプラー基が、X61の置換基に結合している場合、X61が置換する該窒素原子と直接結合している場合、またはX62を形成する非金属原子群もしくは該非金属原子群上の置換基と結合している場合であり、より好ましくはイエロー色素形成カプラー基がX62を形成する非金属原子群上の置換基と結合している場合である。
以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−II)で表される化合物を基とした場合の好ましい一般式を示す。
【0091】
【化37】
【0092】
一般式(TS−IIA1)〜(TS−IIA3)においてR61〜R64、X61、X62は一般式(TS−II)で定義したものと同じであり、好ましい範囲も同様である。X611はX61で定義した置換基から任意の1つの水素原子を除いた2価の基であり、好ましい範囲もX61と同様である。*印はイエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0093】
これらの一般式(TS−IIA1)〜(TS−IIA3)のいずれかで表される基の中で本発明の効果の点で好ましい基としては、一般式(TS−IIA2)で表される基が好ましい。
以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−IIA1)〜(TS−IIA3)のいずれかで表される基の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各構造式における*印は、イエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0094】
【化38】
【0095】
一般式(TS−III)で表される化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−III)中、R65及びR66は各々独立に水素原子、脂肪族基(例えばメチル、エチル、t−ブチル、オクチル、メトキシエトキシ)、アリール基(例えばフェニル、4−メトキシフェニル)、アシル基(例えばアセチル、ピバロイル、メタクリロイル)、脂肪族オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、カルバモイル基(例えばジメチルカルバモイル、フェニルカルバモイル)、脂肪族スルホニル基(例えばメタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)を表し、R67は水素原子、脂肪族基(例えばメチル、エチル、t−ブチル、オクチル、メトキシエトキシ)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ、オクチルオキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−メトキシフェノキシ)、脂肪族チオ基(例えばメチルチオ、オクチルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ、p−メトキシフェニルチオ)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ、ピバロイルオキシ)、脂肪族オキシカルボニルオキシ基(例えばメトキシカルボニルオキシ、オクチルオキシカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ)、置換アミノ基(置換基としては置換可能ならば良く、例えば脂肪族基、アリール基、アシル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基等の置換したアミノ基)、ヘテロ環基(例えばピペリジン環、チオモルホリン環)、ヒドロキシ基を表し、可能な場合にはR65とR66、R66とR67、R65とR67は互いに結合し、5〜7員環(例えばモルホリン環、ピラゾリジン環)を形成しても良いが、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を形成することは無い。但し、R65とR66の両方が水素原子であることはなく、一般式(III)で表される化合物の総炭素数は2以上(好ましくは2〜50)である。
【0096】
本発明の一般式(TS−III)で表される化合物は、特公平6−97332号公報記載の一般式(I)、同6−97334号公報記載の一般式(I)、特開平2−148037号公報記載の一般式(I)、同2−150841号公報記載の一般式(I)、同2−181145号公報記載の一般式(I)、同3−266836号公報記載の一般式(I)、同4−350854号公報記載の一般式(IV)、同5−61166号公報記載の一般式(I)等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
本発明の効果の点で一般式(TS−III)で表される化合物は、一般式(TS−IIIA)〜(TS−IIID)のいずれかで表される化合物が好ましい。
【0097】
【化39】
【0098】
一般式(TS−IIIA)〜(TS−IIID)においてR65〜R66は一般式(TS−III)で定義したものと同じである。Rb1〜Rb3及びRb5は各々独立にR65と同義であり、Rb4は水素原子、脂肪族基(例えばオクチル、ドデシル、3−フェノキシプロピル)、アリール基(例えば、フェニル、4−ドデシルオキシフェニル)である。X63は5〜7員環(例えばピラゾリジン環、ピラゾリン環)を形成するに必要な非金属原子群を表す。
【0099】
一般式(TS−IIIA)〜(TS−IIID)のいずれかで表される化合物について、本発明の効果の点での好ましい置換基について述べる。一般式(TS−IIIA)においては、R65及びRb1が各々独立に水素原子、脂肪族基またはアリール基であって、R66およびRb2が各々独立に脂肪族基、アリール基またはアシル基である場合が好ましく、R65およびRb1が各々独立に脂肪族基であって、R66およびRb2が各々独立に脂肪族基、アリール基またはアシル基である場合がさらに好ましい。一般式(TS−IIIB)においては、R65が水素原子、脂肪族基、アリール基、アシル基または脂肪族オキシカルボニル基であって、Rb3が脂肪族基、アリール基またはアシル基であって、X63が該N−Nと共に5員環を形成する非金属原子群である場合が好ましく、R65が水素原子または脂肪族基であって、Rb3が脂肪族基またはアリール基であって、X63が該N−Nと共にピラゾリジン環を形成する原子群である場合がさらに好ましい。一般式(TS−IIIC)においては、R65及びR66が各々独立に水素原子、脂肪族基、アリール基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基であって、Rb3が水素原子、脂肪族基、アシル基である場合が好ましく、R65およびR66が各々独立に脂肪族基、アシル基または脂肪族オキシカルボニル基であって、Rb3が水素原子、脂肪族基またはアシル基である場合がさらに好ましい。一般式(TS−IIID)においては、R65が水素原子、脂肪族基、アリール基、アシル基またはカルバモイル基であって、Rb4が脂肪族基またはアリール基であって、Rb5が脂肪族基またはアリール基である場合が好ましく、R65が脂肪族基、アリール基、アシル基またはカルバモイル基であって、Rb5が脂肪族基またはアリール基であって、Rb4が脂肪族基またはアリール基である場合がさらに好ましい。
以下に一般式(TS−III)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0100】
【化40】
【0101】
【化41】
【0102】
一般式(TS−III)で表される化合物がイエロー色素形成カプラーに組み込まれ、本発明の一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなる場合、一般式(TS−III)又は(TS−IIIA)〜(TS−IIID)のいずれかで表される化合物の結合部位は、その置換可能な位置であれば良く、具体的にはその任意の水素原子の代わりにイエロー色素形成カプラー基が結合し、一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなるものである。退色防止剤基にはイエロー色素形成カプラー基が複数結合してもよく、その場合のイエロー色素形成カプラー基は同じでも異なっていてもよい。
本発明の効果の点で、イエロー色素形成カプラー基に結合する一般式(TS−III)で表される化合物は、一般式(TS−IIIC)または(TS−IIID)で表される化合物が好ましく、一般式(TS−IIID)で表される化合物が更に好ましい。その場合、連結する部位はR65の置換基あるいはR65が結合する窒素原子にイエロー色素形成カプラーが結合した場合が好ましい。
以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−III)で表される化合物を基とした場合の好ましい一般式を示す。
【0103】
【化42】
【0104】
一般式(TS−IIIC1)〜(TS−IIID2)におけるR66、Rb3〜Rb5は一般式(TS−III)及び(TS−IIIA)〜(TS−IIID)で定義したものと同じであり、好ましい範囲も同様である。R651はR65で定義した置換基から1つの任意の水素原子を除いた2価の基であり、好ましい範囲もR65と同様である。*印はイエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0105】
これらの一般式(TS−IIIC1)〜(TS−IIID2)のいずれかで表される基の中で本発明の効果の点で好ましい基としては、一般式(TS−IIID1)又は(TS−IIID2)で表される基が好ましい。
以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−IIIC1)〜(TS−IIID2)のいずれかで表される基の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各構造式における*印は、イエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0106】
【化43】
【0107】
一般式(TS−IV)で表される化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−IV)中、R71およびR72は各々独立に、脂肪族基(例えばメチル、メトキシカルボニルエチル、ドデシルオキシカルボニルエチル、ベンジル)、アリール基(例えばフェニル、4−オクチルオキシフェニル、2−ブトキシ−5−(t)オクチルフェニル)またはヘテロ環基(例えば2−ピリジル、2−ピリミジル)を表し、さらに、R71は水素原子、Li、NaまたはKを表し、R71とR72は互いに結合し、5〜7員環(例えばテトラヒドロチオフェン環、チオモルホリン環)を形成しても良い。qは0、1、2を表す。但し、R71、R72の総炭素数は1以上(好ましくは1〜60)である。
本発明の一般式(TS−IV)で表される化合物は、特公平2−44052号公報記載の一般式(I)、特開平3−48242号公報記載の一般式(T)、同3−266836号公報記載の一般式(A)、同5−323545号公報記載の一般式(I),(II),(III)、同6−148837号公報記載の一般式(I)、米国特許第4,933,271号明細書記載の一般式(I)、同第4,770,987号明細書記載の一般式(1)等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
【0108】
本発明の効果の点で、一般式(TS−IV)において、qが0または2であることが好ましく、qが0であって、R71およびR72が各々独立に脂肪族基またはアリール基である場合、もしくはR71とR72が結合して6員環を形成した場合、あるいはqが2であってR71が水素原子、Na、K、脂肪族基またはアリール基であって、R72が脂肪族基またはアリール基である場合が好ましく、qが0であってR71およびR72が各々独立に、脂肪族基である場合、あるいはqが2であってR71が水素原子、NaまたはKであって、R72がアリール基である場合がさらに好ましい。
以下に一般式(TS−IV)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0109】
【化44】
【0110】
【化45】
【0111】
【化46】
【0112】
一般式(TS−IV)で表される化合物がイエロー色素形成カプラーに組み込まれ、本発明の一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなる場合、一般式(TS−IV)で表される化合物の結合部位は、その置換可能な位置であれば良く、具体的にはその任意の水素原子の代わりにイエロー色素形成カプラー基が結合し、一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなるものである。退色防止剤基にはイエロー色素形成カプラー基が複数結合してもよく、その場合のイエロー色素形成カプラー基は同じでも異なっていてもよい。
本発明の効果の点で、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−IV)で表される化合物の好ましい結合様式は、R71の置換基あるいはR71が置換する該硫黄原子と直接イエロー色素形成カプラー基が結合している場合である。
以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−IV)で表される化合物を基とした場合の好ましい一般式を示す。
【0113】
【化47】
【0114】
一般式(TS−IVA1)〜(TS−IVA3)においてR72は一般式(TS−IV)で定義したものと同じであり、好ましい範囲も同様である。R711はR71で定義した置換基から1つの任意の水素原子を除いた2価の基であり、好ましい範囲もR71と同様である。*印はイエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0115】
これらの一般式(TS−IVA1)〜(TS−IVA3)のいずれかで表される基の中で本発明の効果の点で好ましい基としては、一般式(TS−IVA2)又は(TS−IVA3)で表される基が好ましく、一般式(TS−IVA3)で表される基が最も好ましい。
以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−IVA1)〜(TS−IVA3)のいずれかで表される基の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各構造式における*印は、イエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0116】
【化48】
【0117】
一般式(TS−V)で表される化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−V)中、R81、R82及びR83は各々独立に、脂肪族基(例えばメチル、エチル、t−オクチル、アリル)、アリール基(例えばフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−ビニルフェニル)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ、t−オクチルオキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ、2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ)、脂肪族アミノ基(例えばブチルアミノ、ジブチルアミノ)またはアリールアミノ基(例えばアニリノ、4−メトキシアニリノ、N−メチルアニリノ)を表し、tは0または1を表す。R81とR82、R81とR83は互いに結合し、5〜8員環を形成しても良い。但し、R81、R82、R83の総炭素数は3以上(好ましくは3〜50)である。
本発明の一般式(TS−V)で表される化合物は、特開平3−25437号公報記載の一般式(I)、同3−142444号公報記載の一般式(I)、米国特許第4,749,645号明細書記載の一般式、同4,980,275号明細書記載の一般式等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
【0118】
本発明の効果の点で、一般式(TS−V)において、tが1であって、R81、R82およびR83が各々独立に、脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基またはアリールアミノ基である場合(好ましくはR81、R82およびR83の少なくとも1つが脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基またはアリールオキシ基である場合)が好ましく、またR81とR82が結合し8員環を形成した場合であっても好ましく、tが1であって、R81、R82およびR83が各々独立にアリール基、脂肪族オキシ基またはアリールオキシ基である場合(好ましくはR81、R82およびR83の少なくとも1つがアリール基またはアリールオキシ基である)場合がさらに好ましい。
以下に一般式(TS−V)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0119】
【化49】
【0120】
【化50】
【0121】
一般式(TS−V)で表される化合物がイエロー色素形成カプラーに組み込まれ、本発明の一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなる場合、一般式(TS−V)で表される化合物の結合部位は、その置換可能な位置であれば良く、具体的にはその任意のR81、R82あるいはR83中の水素原子の代わりにイエロー色素形成カプラー基が結合し、一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなるもの、あるいはR81の代わりにイエロー色素形成カプラー基が結合し、一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなるものである。退色防止剤基にはイエロー色素形成カプラー基が複数結合してもよく、その場合のイエロー色素形成カプラー基は同じでも異なっていてもよい。
本発明の効果の点で、イエロー色素形成カプラー基に結合する一般式(TS−V)で表される化合物の好ましい結合様式は、R81の置換基あるいはR81が置換する該リン原子と直接イエロー色素形成カプラー基が結合している場合である。
以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−V)で表される化合物を基とした場合の好ましい一般式を示す。
【0122】
【化51】
【0123】
一般式(TS−VA1)及び(TS−VA2)においてR82〜R83は一般式(TS−V)で定義したものと同じであり、好ましい範囲も同様である。R811はR81で定義した置換基から1つの任意の水素原子を除いた2価の基であり、好ましい範囲も同様である。*印はイエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0124】
以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−VA1)又は(TS−VA2)で表される基の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各構造式における*印は、イエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0125】
【化52】
【0126】
一般式(TS−VI)で表される化合物をさらに詳細に述べる。
一般式(TS−VI)中、R85、R86、R87およびR88は各々独立に水素原子または置換基(例えば脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ホスホリル基、アシルアミノ基、カルバモイル基)を表す。但しR85、R86、R87およびR88のすべてが水素原子であることはなく、R85、R86、R87およびR88の任意の2つが結合し、5〜7員環(例えば、シクロヘキセン環、シクロヘキサン環)を形成していても良いが、炭素原子のみの芳香環を形成することはない。一般式(TS−VI)で表される化合物の総炭素数は3以上(好ましくは3〜50)、より好ましくは10以上(好ましくは10〜50)である。
【0127】
本発明の一般式(TS−VI)で表される化合物は、米国特許第4,713,317号明細書記載の一般式(I)、特開平8−44017号公報記載の一般式(I)、同8−44018号公報記載の一般式(I)、同8−44019号公報記載の一般式(I)、同8−44020号公報記載の一般式(I),(II)、同8−44021号公報記載の一般式(I)、同8−44022号公報記載の一般式(I),(II)等で表される化合物を包含し、これらの明細書に記載されている方法、新実験科学講座第14巻(丸善株式会社、1977年、1978年)に記載の一般的方法に準じて合成することができる。
本発明の効果の点で一般式(TS−VI)で表される化合物は、一般式(TS−VIA)〜(TS−VIC)のいずれかで表される化合物が好ましい。
【0128】
【化53】
【0129】
一般式(TS−VIA)〜(TS−VIC)において、R85、R86およびR87は一般式(TS−VI)で定義したものと同じである。Rd1は脂肪族基(例えばメチル、ブチル、(t)ブチル、ドデシル)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ、ブトキシ、(t)ブトキシ、ドデシルオキシ、アリルオキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシ)、脂肪族アミノ基(例えばメチルアミノ、アリルアミノ、ジアリルアミノ)またはアリールアミノ基(例えばアニリノ、N−メチルアニリノ)を表し、Rd2およびRd3は各々独立に、アルケニル基(例えばビニル、アリル、オレイル)を表し、Rd4は水素原子、脂肪族基(例えばメチル、アリル、ビニル、オクチル)またはアリール基(例えばフェニル、ナフチル、4−ビニルフェニル)を表す。u、vは各々独立に1、2または3を表す。
【0130】
一般式(TS−VIA)〜(TS−VIC)のいずれかで表される化合物において、本発明の効果の点での好ましい置換基について述べる。一般式(TS−VIA)においては、R85、R86およびR87が水素原子または脂肪族基であって、Rd1が脂肪族オキシ基、脂肪族アミノ基またはアリールアミノ基である場合が好ましく、R85、R86およびR87が水素原子または脂肪族基であって、Rd1が脂肪族オキシ基または脂肪族アミノ基である場合がさらに好ましい。一般式(TS−VIB)においては、R85が脂肪族基またはアリール基であって、Rd2がアルケニル基であって、uが1、2または3である場合が好ましく、R85が脂肪族基またはアリール基であって、Rd2がアルケニル基であって、uが2または3である場合がさらに好ましい。一般式(TS−VIC)においては、R85が脂肪族基またはアリール基であって、Rd3がアルケニル基であって、Rd4が水素原子または脂肪族基であって、uが1、2または3である場合が好ましく、R85が脂肪族基またはアリール基であって、Rd3がアルケニル基であって、Rd4が水素原子またはアルケニル基であって、uが2または3である場合がさらに好ましい。
【0131】
本発明の効果の点で、一般式(TS−VI)において、一般式(TS−VIA)又は(TS−VIB)で表される化合物がさらに好ましく、一般式(TS−VIA)で表される化合物が最も好ましい。
以下に一般式(TS−VI)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0132】
【化54】
【0133】
【化55】
【0134】
【化56】
【0135】
一般式(TS−VI)で表される化合物がイエロー色素形成カプラーに組み込まれ、本発明の一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなる場合、一般式(TS−I)又は(TS−VIA)〜(TS−VIC)のいずれかで表される化合物の結合部位は、その置換可能な位置であれば良く、具体的にはその任意の水素原子の代わりにイエロー色素形成カプラー基が結合し、一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーとなるものである。退色防止剤基にはイエロー色素形成カプラー基が複数結合してもよく、その場合のイエロー色素形成カプラー基は同じでも異なっていてもよい。
本発明の効果の点で、イエロー色素形成カプラー基に結合する一般式(TS−VI)で表される化合物は、一般式(TS−VIA)または(TS−VIC)で表される化合物が好ましい。その場合、連結する部位は一般式(TS−VIA)のRd1の結合する炭素原子に直接あるいはRd1の置換基に、一般式(TS−VIC)のR85の結合する炭素原子に直接あるいはR85またはRd4の置換基にイエロー色素形成カプラー基が結合した場合が好ましく、一般式(TS−VIA)のRd1の結合する炭素原子に直接、あるいは、一般式(TS−VIC)のR85の結合する炭素原子に直接あるいはR85の置換基にイエロー色素形成カプラー基が結合した場合が更に好ましい。以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−VI)で表される化合物を基とした場合の好ましい一般式を示す。
【0136】
【化57】
【0137】
一般式(TS−VIA1)〜(TS−VIC3)においてR85〜R87、Rd3及びRd4は一般式(TS−VI)及び(TS−VIA)〜(TS−VIC)で定義したものと同じであり、好ましい範囲も同様である。Rd11はRd1で定義した置換基から1つの任意の水素原子を除いた2価の基であり、R851はR85で定義した置換基から1つの任意の水素原子を除いた2価の基であり、好ましい範囲も各々Rd1およびR85と同様である。*印はイエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0138】
これらの一般式(TS−VIA1)〜(TS−VIC3)のいずれかで表される基の中で本発明の効果の点で好ましい基としては、一般式(TS−VIA1)、(TS−VIC1)又は(TS−VIC3)のいずれかで表される基が好ましい。
以下に、イエロー色素形成カプラーに結合する一般式(TS−VIA1)〜(TS−VIC3)のいずれかで表される基の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各構造式における*印は、イエロー色素形成カプラー基との結合手を表す。
【0139】
【化58】
【0140】
本発明の効果の点で、一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーは、一般式(TS−IB1)、(TS−IB2)、(TS−IB3)、(TS−IC1)、(TS−IC2)、(TS−IC3)、(TS−IC4)、(TS−IC6)、(TS−IE1)、(TS−IE2)、(TS−IG1)、(TS−IG2)、(TS−IG3)、(TS−IIA2)、(TS−IIID1)、(TS−IIID2)、(TS−IVA2)、(TS−IVA3)、(TS−VA1)、(TS−VA2)、(TS−VIA1)、(TS−VIC1)又は(TS−VIC3)のいずれかで表される基が連結したものが好ましい。本発明の効果の点で、一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーは、一般式(TS−IC1)、(TS−IC2)、(TS−IC3)、(TS−IC4)、(TS−IC6)、(TS−IE1)、(TS−IE2)、(TS−IG1)、(TS−IG2)、(TS−IG3)、(TS−IIID1)、(TS−IIID2)、(TS−IVA2)、(TS−IVA3)、(TS−VA1)又は(TS−VA2)のいずれかで表される基が連結したものはより好ましく、一般式(TS−IC1)、(TS−IC3)、(TS−IC4)、(TS−IC6)、(TS−IE1)、(TS−IE2)、(TS−IG1)、(TS−IG2)、(TS−IG3)、(TS−IVA3)又は(TS−VA2)のいずれかで表される基が連結したものは更に好ましく、一般式(TS−IC1)、(TS−IC4)、(TS−IE1)、(TS−IE2)、(TS−IG2)又は(TS−VA2)のいずれかで表される基が連結したものは最も好ましい。ただし、これらの中で一般式(TS−IC1)〜(TS−IC6)である場合にはR52、R53、R55、R56の少なくとも1つが水素原子で無い場合である。
【0141】
本発明の一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーは、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物が添加されてもよく、その場合1種であっても数種であってもよく、別層に添加されても、同一層に添加されても良いが、一般式(I)又は(II)のイエロー色素色素形成カプラーと同一層に添加される場合が好ましく、さらにその場合、一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物の分子量は、その効果の点で250以上1000以下であることが好ましく、250以上800以下である場合がさらに好ましい。
一般式(TS−I)〜(TS−VI)のいずれかで表される化合物の添加量は、一般式(I)又は(II)のイエロー色素形成カプラーに対して1〜400質量%である場合が好ましく、10〜300質量%である場合が更に好ましく、25〜200質量%である場合が最も好ましい。
以下に本発明の一般式(I)又は(II)で表されるイエロー色素形成カプラーの具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0142】
【表1】
【0143】
【表2】
【0144】
【表3】
【0145】
【化59】
【0146】
以下に上記一般式(I)又は(II)で表される化合物の具体的な合成例を示す。
【0147】
合成例1:カプラー(3)の合成
カプラー(3)は、下記に示すルートにより合成した。
【0148】
【化60】
【0149】
オクタデシルアミン53.8gとアセトニトリル500mLの溶液を氷冷攪拌下に、オルトニトロベンゼンスルホニルクロライド44.3gを少量づつ添加した。反応系の温度を室温まで昇温し、さらに1時間撹拌した。反応液を水1000mLに注ぎ、析出した結晶を濾過し、乾燥した。得られた結晶を酢酸エチル、ヘキサン混合溶媒から晶析して88.6gの化合物(A−1)を得た。
【0150】
還元鉄44.8g、塩化アンモニウム4.5gをイソプロパノール270mL、水45mLに分散し、1時間加熱還流した。この分散物を加熱還流下、攪拌しながら化合物(A−1)54.4gを少量ずつ添加した。さらに1時間加熱攪拌した後、セライトを通して吸引ろ過した。濾液に酢酸エチル、水を加えて分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、化合物(A−2)の油状物48.5gを得た。
【0151】
化合物(A−2)43.4g、イミノエーテル(A−0)の塩酸塩39.1g、エチルアルコール200mLの溶液を加熱還流下1日撹拌した。更にイミノエーテルの塩酸塩19.2gを加え加熱還流下、1日撹拌した。酢酸エチル、水を加えて分液し、有機層を希塩酸水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、酢酸エチル、ヘキサン混合溶媒から晶析して39.0gの化合物(A−3)を得た。
【0152】
一方、窒素雰囲気下、化合物(A−4)30.0gにジメチルフォルムアミド200mL、炭酸カリウム28gを加え60℃で攪拌下に、オルトフルオロニトロベンゼン14.4gを15分間で滴下した。更に60℃で2時間攪拌した後、氷水500mLに注ぎ、析出した結晶を濾過し、水500mLで洗浄し、40.0gの化合物(A−5)を得た。
【0153】
還元鉄30.0g、塩化アンモニウム3.0gをイソプロパノール180mL、水32mLに分散し、1時間加熱還流した。この分散物を加熱還流下、攪拌しながら、化合物(A−5)40.0gを少量づつ添加した。さらに1時間加熱攪拌した後、セライトを通して吸引ろ過した。濾液に酢酸エチル、水を加えて分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、アセトニトリル150mLから晶析して36.2gの化合物(A−6)を得た。
【0154】
化合物(A−3)10.0g、化合物(A−6)7.5g、m−ジクロルベンゼン20mLの溶液を加熱還流下6時間攪拌し、化合物(А−7)の粗製物溶液を得た。これを氷冷却下、攪拌しながらN−クロロサクシンイミド2.6gを少しづつ添加した。更に1時間攪拌した後、氷水100mLに注ぎ、酢酸エチル80mLを加え、分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、酢酸エチルを減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより、n−ヘキサン、酢酸エチルを用いて精製し、化合物(A−8)を11.5g得た。
【0155】
5,5−ジメチルオキサゾリジン−2,4−ジオン2.0g、トリエチルアミン2.2mLをN,N−ジメチルアセトアミド100mLに溶解し、先に合成した化合物(A−8)11.5gを添加し、80℃にて2時間撹拌した。酢酸エチル、水を加えて分液し、有機層を0.1規定水酸化カリウム水溶液、希塩酸水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、アセトン、ヘキサン混合溶媒を溶離液として用いて精製し、アモルファス状態のカプラー(3)8.7gを得た。
【0156】
合成例2:カプラー(12)の合成
カプラー(12)は、下記に示すルートにより合成した。
【0157】
【化61】
【0158】
窒素雰囲気下で、カテコール33.0gにジメチルホルムアミド100mL、炭酸カリウム50gを加え、60℃で攪拌下に、o−フルオロニトロベンゼン24.0gを15分間で滴下した。更に2時間60℃で攪拌した後、氷水400mLに注ぎ、酢酸エチル400mLを加えて分液し、有機層を飽和食塩水300mLで2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、化合物(B−1)の油状粗製物45.0gを得た。
【0159】
前述の化合物(B−1)20.0gにジメチルフォルムアミド100mL、炭酸カリウム13.8gを加え、100℃で攪拌下に3−クロロプロパノール14.5gを10分間で滴下した。更に4時間100℃で攪拌した後、氷水400mLに注ぎ、酢酸エチル400mLを加えて分液し、有機層を飽和食塩水300mLで2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、アセトン、ヘキサン混合溶媒を溶離液として用いて精製し、油状の化合物(B−2)15.7gを得た。
【0160】
化合物(B−2)10.4gにアセトニトリル100mL、トリエチルアミン5.1mLを加え、氷冷下で攪拌下に化合物(B−3)8.4gを10分間で滴下した。更に、1時間攪拌をした後、氷水400mLに注ぎ、酢酸エチル400mLを加えて分液し、有機層を飽和食塩水300mLで2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、化合物(B−4)の油状粗製物16.3gを得た。
【0161】
還元鉄20.0g、塩化アンモニウム2.0gをイソプロパノール120mL、水20mLに分散し、1時間加熱還流した。この分散物に化合物(B−4)13.3gをイソプロピルアルコール20mLに溶かした溶液を15分間で滴下した。さらに2時間加熱還流した後、セライトを通して吸引ろ過した。濾液に酢酸エチル200mL、水を加えて分液し、有機層を飽和食塩水200mLで洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、化合物(B−5)の油状粗製物13.3gを得た。
【0162】
化合物(A−3)13.6g、前述の化合物(B−5)13.3g、p−キシレン20mLの溶液を加熱還流下6時間撹拌し、化合物(B−6)の粗製物溶液を得た。これを氷冷却後、N−クロロサクシンイミド3.5gを少しづつ添加した。更に1時間攪拌した後、氷水100mLに注ぎ、酢酸エチル80mLを加え、分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、酢酸エチルを減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより、n−ヘキサン、酢酸エチルを用いて精製し、化合物(B−7)を17.2g得た。
【0163】
5,5−ジメチルオキサゾリジン−2,4−ジオン9.0g、トリエチルアミン9.7mLをN,N−ジメチルアセトアミド100mLに溶解し、これに室温下、先に合成した化合物(B−7)をアセトニトリル40mLに溶解したものを10分間で滴下し、80℃まで昇温して30分撹拌した。酢酸エチル、水を加えて分液し、有機層を0.1規定水酸化カリウム水溶液、希塩酸水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、アセトン、ヘキサン混合溶媒を溶離液として用いて精製し、メタノール50mLから晶析してカプラー(12)12.4gを得た。融点114〜116℃。
【0164】
本発明においてハロゲン化銀カラー写真感光材料(以下、単に「感光材料」という場合がある)は、支持体上に、イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層と、マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層と、シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層とをそれぞれ少なくとも一層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料が好ましく用いられる。
本発明において、前記イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はイエロー発色層として、前記マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はマゼンタ発色層として及び前記シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はシアン発色層として機能する。該イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層に各々含有されるハロゲン化銀乳剤は、相互に異なる波長領域の光(例えば、青色領域、緑色領域及び赤色領域の光)に対して、感光性を有しているのが好ましい。
【0165】
本発明の感光材料は、前記イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層以外にも、所望により後述する親水性コロイド層、アンチハレーション層、中間層及び着色層を有していてもよい。
【0166】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料において、本発明の前記イエロー色素形成カプラーは、ハロゲン化銀1モル当たり1×10−3〜1モル添加するのが好ましく、2×10−3〜3×10−1モル添加するのがより好ましい。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、支持体上の少なくとも1層に前記イエロー色素形成カプラーの少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0167】
本発明に好ましく用いられるハロゲン化銀感光材料に関して以下に詳細に述べる。
本発明に好ましく用いられるハロゲン化銀カラー写真感光材料は、カプラーを使用する方式の感光材料に適用される。特に、一般用もしくは映画用のカラーネガフィルム、スライド用もしくはテレビ用のカラー反転フイルム、カラーペーパー(印画紙)、一般用もしくは映画用カラーポジフィルム、ディスプレイ用感光材料、カラー反転ペーパー、走査露光もしくは面露光用のカラープルーフのような種々のカラー感光材料やカプラーを使用する白黒感光材料に適用することができる。また、カラーネガフイルムにおいては、特公平2−32615号公報、実公平3−39784号公報に記載されているレンズ付きフイルムユニット用に好適である。これらのうち、観察者が直接観察するハロゲン化銀カラー写真感光材料、例えば、スライド用もしくはテレビ用のカラー反転フイルム、カラーペーパー(印画紙)、一般用もしくは映画用カラーポジフィルム、ディスプレイ用感光材料、カラー反転ペーパー、走査露光もしくは面露光用のカラープルーフが好ましく、カラーペーパー(印画紙)、一般用もしくは映画用カラーポジフィルム、ディスプレイ用感光材料、カラー反転ペーパー、走査露光もしくは面露光用のカラープルーフがさらに好ましく、カラーペーパー(印画紙)、ディスプレイ用感光材料、走査露光用カラープルーフが好ましい。
【0168】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子は、好ましくは実質的に{100}面を持つ立方体または14面体の結晶粒子(これらは粒子頂点が丸みを帯び、さらに高次の面を有していてもよい)または8面体の結晶粒子、または全投影面積の50%以上が{100}面または{111}面からなるアスペクト比2以上の平板状粒子が好ましい。アスペクト比とは、投影面積に相当する円の直径を粒子の厚さで割った値である。本発明では、立方体または{100}面を主平面とする平板状粒子または{111}面を主平面とする平板状粒子が好ましく適用される。
【0169】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤としては、塩化銀、臭化銀、沃臭化銀、塩(沃)臭化銀乳剤等が用いられるが、迅速処理性の観点からは、塩化銀含有率が90モル%以上の塩化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、または塩臭沃化銀乳剤が好ましく、更に塩化銀含有率が98モル%以上の塩化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、または塩臭沃化銀乳剤が好ましい。このようなハロゲン化銀乳剤の中でも、ハロゲン化銀粒子のシェル部分に、全銀モルあたり0.01〜0.50モル%、より好ましくは0.05〜0.40モル%の沃塩化銀相を有するものも高感度が得られ、高照度露光適性に優れるため好ましい。また、ハロゲン化銀粒子の表面に全銀モルあたり0.2〜5モル%、より好ましくは0.5〜3モル%の臭化銀局在相を有するものが、高感度が得られ、しかも写真性能の安定化が図れることから特に好ましい。
【0170】
本発明の乳剤は、沃化銀を含有することがこのましい。沃化物イオンの導入は、沃化物塩の溶液を単独で添加させるか、或いは銀塩溶液と高塩化物塩溶液の添加と併せて沃化物塩溶液を添加しても良い。後者の場合は、沃化物塩溶液と高塩化物塩溶液を別々に、またはヨウ化物塩と高塩化物塩の混合溶液として添加しても良い。沃化物塩は、アルカリもしくはアルカリ土類沃化物塩のような溶解性塩の形で添加する。或いは米国特許第5,389,508号明細書に記載される有機分子から沃化物イオンを開裂させることで沃化物を導入することもできる。また別の沃化物イオン源として、微小沃化銀粒子を用いることもできる。
【0171】
沃化物塩溶液の添加は、粒子形成の一時期に集中して行っても良く、またある一定期間かけて行っても良い。高塩化物乳剤への沃化物イオンの導入位置は、高感度で低被りな乳剤を得る上で制限される。沃化物イオンの導入は、乳剤粒子のより内部に行うほど感度の増加が小さい。故に沃化物塩溶液の添加は、粒子体積の50%より外側が好ましく、より好ましくは70%より外側から、最も好ましくは80%より外側から行うのが良い。また沃化物塩溶液の添加は、好ましくは粒子体積の98%より内側で、最も好ましくは96%より内側で終了するのが良い。沃化物塩溶液の添加は、粒子表面から少し内側で終了することで、より高感度で低被りな乳剤を得ることができる。
【0172】
粒子内の深さ方向への沃化物イオン濃度の分布は、エッチング/TOF−SIMS(Time of Flight−Secondary Ion Mass Spectrometry)法により、例えばPhiEvans社製TRIFTII型TOF−SIMS(商品名)を用いて測定できる。TOF−SIMS法については、具体的には日本表面科学会編「表面分析技術選書二次イオン質量分析法」丸善株式会社(1999年発行)に記載されている。エッチング/TOF−SIMS法で乳剤粒子を解析すると、沃化物塩溶液の添加を粒子の内側で終了しても、粒子表面に向けて沃化物イオンがしみ出していることが分析できる。本発明の乳剤が沃化銀を含有する場合、エッチング/TOF−SIMS法による分析で、沃化物イオンは粒子表面で濃度極大を有し、内側に向けて沃化物イオン濃度が減衰していることが好ましい。
【0173】
本発明の感光材料中の乳剤は、臭化銀局在層を有することが好ましい。
本発明の乳剤が臭化銀局在相を含有する場合、臭化銀含有率が少なくとも10モル%以上の臭化銀局在相を粒子表面にエピタキシャル成長させてつくることが好ましい。また、表層近傍に臭化銀含有率1モル%以上の最外層シェル部を有することが好ましい。
臭化銀局在相の臭化銀含有率は、1〜80モル%の範囲が好ましく、5〜70モル%の範囲が最も好ましい。臭化銀局在相は、本発明におけるハロゲン化銀粒子を構成する全銀量の0.1〜30モル%の銀から構成されていることが好ましく、0.3〜20モル%の銀から構成されていることが更に好ましい。臭化銀局在相中には、イリジウムイオン等のVIII族金属錯イオンを含有させることが好ましい。これらの化合物の添加量は目的に応じて広範囲にわたるが、ハロゲン化銀1モルに対して10−9〜10−2モルが好ましい。
【0174】
本発明においては、ハロゲン化銀粒子を形成及び/または成長させる過程で遷移金属イオンを添加し、ハロゲン化銀粒子の内部及び/または表面に金属イオンを組み込むことが好ましい。用いる金属イオンとしては遷移金属イオンが好ましく、なかでも、鉄、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、鉛、カドミウム、または、亜鉛であることが好ましい。さらにこれらの金属イオンは配位子を伴い6配位八面体型錯体として用いることがより好ましい。無機化合物を配位子として用いる場合には、シアン化物イオン、ハロゲン化物イオン、チオシアン、水酸化物イオン、過酸化物イオン、アジ化物イオン、亜硝酸イオン、水、アンモニア、ニトロシルイオン、または、チオニトロシルイオンを用いることが好ましく、上記の鉄、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、鉛、カドミウム、または、亜鉛のいずれの金属イオンに配位させて用いることも好ましく、複数種の配位子を1つの錯体分子中に用いることも好ましい。
この中で本発明のハロゲン化銀乳剤には、高照度相反則不軌改良の目的で、少なくとも一つの有機配位子を持つイリジウムイオンを持つことが特に好ましい。配位子として有機化合物を用いる場合、他の遷移金属の場合にも共通であるが、好ましい有機化合物としては主鎖の炭素数が5以下の鎖状化合物および/または5員環あるいは6員環の複素環化合物を挙げることが出来る。さらに好ましい有機化合物は分子内に窒素原子、りん原子、酸素原子、または、硫黄原子を金属への配位原子として有する化合物であり、最も好ましくはフラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、フラザン、ピラン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンであり、さらにこれらの化合物を基本骨格としそれらに置換基を導入した化合物もまた好ましい。
特にこれらの中で、イリジウムイオンに好ましい配位子は、チアゾール配意子の中でも5−メチルチアゾールが特に好ましく用いられる。
【0175】
金属イオンと配位子の組み合わせとして好ましくは、鉄イオン及びルテニウムイオンとシアン化物イオンの組み合わせが挙げられる。これらの化合物においてシアン化物イオンは中心金属である鉄またはルテニウムへの配位数のうち過半数を占めることが好ましく、残りの配位部位はチオシアン、アンモニア、水、ニトロシルイオン、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ピラジンまたは4,4’−ビピリジンで占められることが好ましい。最も好ましくは中心金属の6つの配位部位が全てシアン化物イオンで占められ、ヘキサシアノ鉄錯体またはヘキサシアノルテニウム錯体を形成することである。これらシアン化物イオンを配位子とする錯体は粒子形成中に銀1モル当たり1×10−8〜1×10−2モル添加することが好ましく、1×10−6〜5×10−4モル添加することが最も好ましい。
またイリジウムイオンは、有機配位子だけでなく、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、中でも塩化物イオンまたは臭化物イオンを用いることが好ましい。イリジウム錯体としては、前述の有機配位子をもつもの以外に、以下の具体的化合物を用いることが出来る。
[IrCl6]3−、[IrCl6]2−、[IrCl5(H2O)]2−、[IrCl5(H2O)]−、[IrCl4(H2O)2]−、[IrCl4(H2O)2]0、[IrCl3(H2O)3]0、[IrCl3(H2O)3]+、[IrBr6]3−、[IrBr6]2−、[IrBr5(H2O)]2−、[IrBr5(H2O)]−、[IrBr4(H2O)2]−、[IrBr4(H2O)2]0、[IrBr3(H2O)3]0および[IrBr3(H2O)3]+である。これらのイリジウム錯体は粒子形成中に銀1モル当たり1×10−10〜1×10−3モル添加することが好ましく、1×10−8〜1×10−5モル添加することが最も好ましい。ルテニウムおよびオスミウムを中心金属とした場合にはニトロシルイオン、チオニトロシルイオン、または水分子と塩化物イオンを配位子として共に用いることも好ましい。より好ましくはペンタクロロニトロシル錯体、ペンタクロロチオニトロシル錯体、または、ペンタクロロアクア錯体を形成することであり、ヘキサクロロ錯体を形成することも好ましい。これらの錯体は粒子形成中に銀1モル当たり1×10−10〜1×10−6モル添加することが好ましく、より好ましくは1×10−9〜1×10−6モル添加することである。
【0176】
本発明において上記の錯体は、ハロゲン化銀粒子形成時に反応溶液中に直接添加するか、ハロゲン化銀粒子を形成するためのハロゲン化物水溶液中、あるいはそれ以外の溶液中に添加し、粒子形成反応溶液に添加することにより、ハロゲン化銀粒子内に組み込むことが好ましい。さらにこれらの方法を組み合わせてハロゲン化銀粒子内へ含有させることも好ましい。
【0177】
これらの錯体をハロゲン化銀粒子に組み込む場合、粒子内部に均一に存在させることも好ましいが、特開平4−208936号、同2−125245号、同3−188437号各公報に開示されている様に、粒子表面層のみに存在させることも好ましく、粒子内部のみに錯体を存在させ粒子表面には錯体を含有しない層を付加することも好ましい。また、米国特許第5,252,451号および同第5,256,530号明細書に開示されているように、錯体を粒子内に組み込んだ微粒子で物理熟成して粒子表面相を改質することも好ましい。さらに、これらの方法を組み合わせて用いることも出来、複数種の錯体を1つのハロゲン化銀粒子内に組み込んでもよい。上記の錯体を含有させる位置のハロゲン組成には特に制限はなく、塩化銀層、塩臭化銀層、臭化銀層、沃塩化銀層、沃臭化銀層に何れに錯体を含有させることも好ましい。
【0178】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズ(粒子の投影面積と等価な円の直径を以て粒子サイズとし、その数平均をとったもの)は、0.01μm〜2μmが好ましい。
また、それらの粒子サイズ分布は変動係数(粒子サイズ分布の標準偏差を平均粒子サイズで除したもの)20%以下、望ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下の所謂単分散なものが好ましい。このとき、広いラチチュードを得る目的で上記の単分散乳剤を同一層にブレンドして使用することや、重層塗布することも好ましく行われる。
【0179】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防止する、あるいは写真性能を安定化させる目的で種々の化合物あるいはそれ等の前駆体を添加することができる。これらの化合物の具体例は前出の特開昭62−215272号公報の第39頁〜第72頁に記載のものが好ましく用いられる。更に欧州特許第0,447,647号明細書に記載された5−アリールアミノ−1,2,3,4−チアトリアゾール化合物(該アリール残基には少なくとも一つの電子吸引性基を持つ)も好ましく用いられる。
【0180】
また、本発明において、ハロゲン化銀乳剤の保存性を高めるため、特開平11−109576号公報に記載のヒドロキサム酸誘導体、同11−327094号公報に記載のカルボニル基に隣接して両端がアミノ基もしくはヒドロキシル基が置換した二重結合を有す環状ケトン類(特に一般式(S1)で表されるもので、段落番号0036〜0071は本明細書に取り込むことができる。)、同11−143011号公報に記載のスルホ置換のカテコールやハイドロキノン類(例えば、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゼンジスルホン酸、3,4−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、3,4,5−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸およびこれらの塩など)、同11−102045号公報記載の一般式(I)〜(III)で表される水溶性還元剤は本発明においても好ましく使用される。
【0181】
分光増感は、本発明の感光材料における各層の乳剤に対して所望の光波長域に分光感度を付与する目的で行われる。
本発明の感光材料において、青、緑、赤領域の分光増感に用いられる分光増感色素としては例えば、F.M.Harmer著 Heterocyclic compounds−Cyanine dyes andrelated compounds (John Wiley & Sons [New York, London] 社刊1964年)に記載されているものを挙げることができる。具体的な化合物の例ならびに分光増感法は、前出の特開昭62−215272号公報の第22頁右上欄〜第38頁に記載のものが好ましく用いられる。また、特に塩化銀含有率の高いハロゲン化銀乳剤粒子の赤感光性分光増感色素としては特開平3−123340号公報に記載された分光増感色素が安定性、吸着の強さ、露光の温度依存性等の観点から非常に好ましい。
【0182】
これらの分光増感色素の添加量は場合に応じて広範囲にわたり、ハロゲン化銀1モルあたり0.5×10−6〜1.0×10−2モルの範囲が好ましい。更に好ましくは、1.0×10−6〜5.0×10−3モルの範囲である。
【0183】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤は、通常化学増感を施される。化学増感法については、不安定硫黄化合物の添加に代表される硫黄増感、金増感に代表される貴金属増感、あるいは還元増感等を単独もしくは併用して用いることができる。化学増感に用いられる化合物については、特開昭62−215272号公報の第18頁右下欄〜第22頁右上欄に記載のものが好ましく用いられる。このうち、特に、金増感を施したものであることが好ましい。金増感を施すことにより、レーザー光等によって走査露光したときの写真性能の変動を更に小さくすることができるからである。
【0184】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤に金増感を施すには、種々の無機金化合物や無機配位子を有する金(I)錯体及び有機配位子を有する金(I)化合物を利用することができる。無機金化合物としては、例えば塩化金酸もしくはその塩、無機配位子を有する金(I)錯体としては、例えばジチオシアン酸金(I)カリウム等のジチオシアン酸金化合物やジチオ硫酸金(I)3ナトリウム等のジチオ硫酸金化合物等の化合物を用いることが好ましい。
【0185】
有機配位子を有する金(I)化合物としては、特開平4−267249号公報に記載のビス金(I)メソイオン複素環類、例えば四フッ化硼酸金(I)ビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)、同11−218870号公報に記載の有機メルカプト金(I)錯体、例えばカリウム ビス(1−[3−(2−スルホナートベンズアミド)フェニル]−5−メルカプトテトラゾールカリウム塩)オーレート(I)5水和物、同4−268550号公報に記載の窒素化合物アニオンが配位した金(I)化合物、例えば、ビス(1−メチルヒダントイナート)金(I)ナトリウム塩四水和物、を用いることができる。また、米国特許第3,503,749号明細書に記載されている金(I)チオレート化合物、特開平8−69074号、同8−69075号、同9−269554号の各公報に記載の金化合物、米国特許第5,620,841号、同第5,912,112号、同第5,620,841号、同第5,939,245号、同第5,912,111号の各明細書に記載の化合物も用いることができる。
これらの化合物の添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり5×10−7〜5×10−3モル、好ましくは5×10−6〜5×10−4モルである。
【0186】
また、コロイド状硫化金を用いることも可能であり、その製造方法はリサーチ・ディスクロージャー(Reserch Disclosure,37154)、ソリッド ステート イオニクス(Solid State Ionics)第79巻、60〜66頁、1995年刊、Compt.Rend.Hebt.Seances Acad.Sci.Sect.B第263巻、1328頁、1966年刊等に記載されている。コロイド状硫化金としてさまざまなサイズのものを利用でき、粒径50nm以下のものも用いることができる。添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり金原子として5×10−7〜5×10−3モル、好ましくは5×10−6〜5×10−4モルである。
本発明においては、金増感を更に他の増感法、例えば硫黄増感、セレン増感、テルル増感、還元増感あるいは金化合物以外を用いた貴金属増感等と組み合わせてもよい。
【0187】
本発明に係わる感光材料には、イラジエーションやハレーションを防止したり、セーフライト安全性等を向上させる目的で親水性コロイド層に、欧州特許出願公開第0,337,490号明細書の第27〜76頁に記載の、処理により脱色可能な染料(中でもオキソノール染料、シアニン染料)を添加することが好ましい。さらに、欧州特許第0,819,977号明細書に記載の染料も本発明に好ましく添加される。これらの水溶性染料の中には使用量を増やすと色分離やセーフライト安全性を悪化するものもある。色分離を悪化させないで使用できる染料としては、特開平5−127324号、同5−127325号、同5−216185号の各公報に記載された水溶性染料が好ましい。
【0188】
本発明においては、水溶性染料の代わり、あるいは水溶性染料と併用しての処理で脱色可能な着色層が用いられる。用いられる処理で脱色可能な着色層は、乳剤層に直かに接してもよく、ゼラチンやハイドロキノンなどの処理混色防止剤を含む中間層を介して接するように配置されていてもよい。この着色層は、着色された色と同種の原色に発色する乳剤層の下層(支持体側)に設置されることが好ましい。各原色毎に対応する着色層を全て個々に設置することも、このうちに一部のみを任意に選んで設置することも可能である。また複数の原色域に対応する着色を行った着色層を設置することも可能である。着色層の光学反射濃度は、露光に使用する波長域(通常のプリンター露光においては400〜700nmの可視光領域、走査露光の場合には使用する走査露光光源の波長)において最も光学濃度の高い波長における光学濃度値が0.2以上3.0以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.5以上2.5以下、特に0.8以上2.0以下が好ましい。
【0189】
着色層を形成するためには、従来公知の方法が適用できる。例えば、特開平2−282244号公報3頁右上欄〜8頁に記載された染料や、同3−7931号公報3頁右上欄〜11頁左下欄に記載された染料のように固体微粒子分散体の状態で親水性コロイド層に含有させる方法、アニオン性色素をカチオンポリマーに媒染する方法、色素をハロゲン化銀等の微粒子に吸着させて層中に固定する方法、特開平1−239544号公報に記載されているようなコロイド銀を使用する方法などである。色素の微粉末を固体状で分散する方法としては、たとえば、少なくともpH6以下では実質的に水不溶性であるが、少なくともpH8以上では実質的に水溶性である微粉末染料を含有させる方法が特開平2−308244号公報の第4〜13頁に記載されている。また、例えば、アニオン性色素をカチオンポリマーに媒染する方法としては、特開平2−84637号公報の第18〜26頁に記載されている。光吸収剤としてのコロイド銀の調製法については米国特許第2,688,601号、同第3,459,563号明細書に示されている。これらの方法のなかで微粉末染料を含有させる方法、コロイド銀を使用する方法などが好ましい。
【0190】
本発明をカラー印画紙に適用する場合は、イエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン発色性ハロゲン化銀乳剤層をそれぞれ少なくとも1層ずつ有してなることが好ましく、一般には、これらのハロゲン化銀乳剤層は支持体から近い順にイエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層、シアン発色性ハロゲン化銀乳剤層である。
しかしながら、これとは異なった層構成を取っても構わない。
【0191】
本発明の感光材料において、イエローカプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層は支持体上のいずれの位置に配置されてもかまわないが、該イエローカプラー含有層にハロゲン化銀平板粒子を含有する場合は、マゼンタカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層又はシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも一層よりも支持体から離れた位置に塗設されていることが好ましい。また、発色現像促進、脱銀促進、増感色素による残色の低減の観点からは、イエローカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は他のハロゲン化銀乳剤層より、支持体から最も離れた位置に塗設されていることが好ましい。更に、Blix退色の低減の観点からはシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は他のハロゲン化銀乳剤層の中央の層が好ましく、光退色の低減の観点からはシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は最下層が好ましい。また、イエロー、マゼンタ及びシアンのそれぞれの発色性層は2層又は3層からなってもよい。例えば、特開平4−75055号、同9−114035号、同10−246940号の各公報、米国特許第5,576,159号明細書等に記載のように、ハロゲン化銀乳剤を含有しないカプラー層をハロゲン化銀乳剤層に隣接して設け、発色層とすることも好ましい。
【0192】
本発明において適用されるハロゲン化銀乳剤やその他の素材(添加剤など)及び写真構成層(層配置など)、並びにこの感光材料を処理するために適用される処理法や処理用添加剤としては、特開昭62−215272号、特開平2−33144号公報、欧州特許出願公開第0,355,660号明細書に記載されているもの、特に欧州特許出願公開第0,355,660号明細書に記載されているものが好ましく用いられる。更には、特開平5−34889号、同4−359249号、同4−313753号、同4−270344号、同5−66527号、同4−34548号、同4−145433号、同2−854号、同1−158431号、同2−90145号、同3−194539号、同2−93641号の各公報、欧州特許公開第0,520,457号明細書等に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料やその処理方法も好ましい。
【0193】
特に、本発明においては、前記の反射型支持体やハロゲン化銀乳剤、更にはハロゲン化銀粒子中にドープされる異種金属イオン種、ハロゲン化銀乳剤の保存安定剤又はカブリ防止剤、化学増感法(増感剤)、分光増感法(分光増感剤)、シアン、マゼンタ、イエローカプラー及びその乳化分散法、色像保存性改良剤(ステイン防止剤や褪色防止剤)、染料(着色層)、ゼラチン種、感光材料の層構成や感光材料の被膜pHなどについては、下記表に示す公報の各箇所に記載のものが特に好ましく適用できる。
【0194】
【表4】
【0195】
本発明において用いられるシアン、マゼンタ及びイエローカプラーとしては、その他、特開昭62−215272号公報の第91頁右上欄4行目〜121頁左上欄6行目、特開平2−33144号公報の第3頁右上欄14行目〜18頁左上欄末行目と第30頁右上欄6行目〜35頁右下欄11行目や欧州特許出願公開第0,355,660号明細書の第4頁15〜27行目、5頁30行目〜28頁末行目、45頁29〜31行目、47頁23行目〜63頁50行目に記載のカプラーも有用である。
また、本発明においては、国際公開WO98/33760号パンフレットの一般式(II)及び(III)、特開平10−221825号公報の一般式(D)で表される化合物を添加してもよく、好ましい。
【0196】
本発明に使用可能なシアン色素形成カプラー(単に、「シアンカプラー」という場合がある)としては、ピロロトリアゾール系カプラーが好ましく用いられ、特開平5−313324号公報の一般式(I)又は(II)で表されるカプラー及び同6−347960号公報の一般式(I)で表されるカプラー並びにこれらの公報に記載されている例示カプラーが特に好ましい。また、フェノール系、ナフトール系のシアンカプラーも好ましく、例えば、同10−333297号公報に記載の一般式(ADF)で表されるシアンカプラーが好ましい。上記以外のシアンカプラーとしては、欧州特許第0,488,248号明細書及び欧州特許出願公開第0,491,197号明細書に記載のピロロアゾール型シアンカプラー、米国特許第5,888,716号明細書に記載の2,5−ジアシルアミノフェノールカプラー、同第4,873,183号、同第4,916,051号公報に記載の6位に電子吸引性基、水素結合基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラー、特に、特開平8−171185号、同8−311360号、同8−339060号公報に記載の6位にカルバモイル基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラーも好ましい。
【0197】
また、特開平2−33144号公報に記載のジフェニルイミダゾール系シアンカプラーの他に、欧州特許出願公開第0,333,185号明細書に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素離脱基をもたせて2当量化したものや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開昭64−32260号公報に記載された環状活性メチレン系シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプラー例3、8、34が特に好ましい)、欧州特許出願公開第0,456,226号明細書に記載のピロロピラゾール型シアンカプラー、欧州特許第0,484,909号明細書に記載のピロロイミダゾール型シアンカプラーを使用することもできる。
【0198】
尚、これらのシアンカプラーのうち、特開平11−282138号公報に記載の一般式(I)で表されるピロロアゾール系シアンカプラーが特に好ましく、該公報の段落番号0012〜0059の記載は例示シアンカプラー(1)〜(47)を含め、本発明にそのまま適用され、本明細書の一部として好ましく取り込まれる。
【0199】
本発明に用いられるマゼンタ色素形成カプラー(単に、「マゼンタカプラー」という場合がある)としては、前記の表4記載の公知文献に記載されたような5−ピラゾロン系マゼンタカプラーやピラゾロアゾール系マゼンタカプラーが用いられるが、中でも色相や画像安定性、発色性等の点で特開昭61−65245号公報に記載されたような2級又は3級アルキル基がピラゾロトリアゾール環の2、3又は6位に直結したピラゾロトリアゾールカプラー、同61−65246号公報に記載されたような分子内にスルホンアミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、同61−147254号公報に記載されたようなアルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラーや欧州特許出願公開第226,849号や同第294,785号明細書に記載されたような6位にアルコキシ基やアリールオキシ基をもつピラゾロアゾールカプラーの使用が好ましい。特に、マゼンタカプラーとしては特開平8−122984号公報に記載の一般式(M−I)で表されるピラゾロアゾールカプラーが好ましく、該公報の段落番号0009〜0026はそのまま本発明に適用され、本明細書の一部として取り込まれる。これに加えて、欧州特許第854,384号、同第884,640号明細書に記載の3位と6位の両方に立体障害基を有するピラゾロアゾールカプラーも好ましく用いられる。
【0200】
また、本発明のイエロー色素形成カプラーは単独で使用しても、また他のイエロー色素形成カプラーと併用してもよい。併用してもよいイエロー色素形成カプラー(本明細書において、単に「イエローカプラー」という場合がある)としては、前記表中に記載の化合物の他に、欧州特許出願公開第0,447,969号明細書に記載のアシル基に3〜5員の環状構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラー、欧州特許出願公開第0,482,552号明細書に記載の環状構造を有するマロンジアニリド型イエローカプラー、欧州特許出願公開第953,870号、同第953,871号、同第953,872号、同第953,873号、同第953,874号、同第953,875号明細書等に記載のピロール−2又は3−イルもしくはインドール−2又は3−イルカルボニル酢酸アニリド系カプラー、米国特許第5,118,599号明細書に記載されたジオキサン構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラーが好ましく用いられる。その中でも、アシル基が1−アルキルシクロプロパン−1−カルボニル基であるアシルアセトアミド型イエローカプラー、アニリドの一方がインドリン環を構成するマロンジアニリド型イエローカプラーの使用が特に好ましい。これらのカプラーは、単独あるいは併用することができる。
【0201】
本発明に使用するカプラーは、本発明のイエロー色素形成カプラーを含め、前出表中記載の高沸点有機溶媒の存在下で(又は不存在下で)ローダブルラテックスポリマー(例えば米国特許第4,203,716号明細書参照)に含浸させて、又は水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーとともに溶かして親水性コロイド水溶液に乳化分散させることが好ましい。好ましく用いることのできる水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーは、米国特許第4,857,449号明細書の第7欄〜15欄及び国際公開WO88/00723号パンフレットの第12頁〜30頁に記載の単独重合体又は共重合体が挙げられる。より好ましくはメタクリレート系あるいはアクリルアミド系ポリマー、特にアクリルアミド系ポリマーの使用が色像安定性等の上で好ましい。
【0202】
水中油滴分散法に用いることのできる高沸点有機溶媒としては、フタル酸エステル類(フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル等)、リン酸またはホスホン酸エステル類(リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル等)、脂肪酸エステル類(コハク酸ジ−2−エチルヘキシル、クエン酸トリブチル等)、安息香酸エステル類(安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸ドデシル等)、アミド類(N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジメチルオレインアミド等)、アルコールまたはフェノール類(イソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−アミルフェノール等)、アニリン類(N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−tert−オクチルアニリン等)、塩素化パラフィン類、炭化水素類(ドデシルベンゼン、ジイソプロピルナフタレン等)、カルボン酸類(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)酪酸等)などが挙げられる。また、補助溶媒として沸点が30℃以上160℃以下の有機溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド等)を併用してもよい。高沸点有機溶媒はカプラーに対して、質量比で0〜10倍量、好ましくは0〜4倍量、用いるのが好ましい。
【0203】
また、乳化分散物状態での保存時の経時安定性改良、乳剤と混合した塗布用最終組成物での写真性能変化抑制・経時安定性改良等の観点から必要に応じて乳化分散物から、減圧蒸留、ヌードル水洗あるいは限外ろ過などの方法により補助溶媒の全て又は一部を除去することができる。
この様にして得られる親油性微粒子分散物の平均粒子サイズは、0.04〜0.50μmが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.30μmであり、最も好ましくは0.08〜0.20μmである。平均粒子サイズは、コールターサブミクロン粒子アナライザーmodelN4(コールターエレクトロニクス社、商品名)等を用いて測定できる。
【0204】
本発明においては任意の混色防止剤を用いることができるが、その中でも以下に挙げる公報等に記載のものが好ましい。
例えば、特開平5−333501号公報に記載の高分子量のレドックス化合物、国際公開WO98/33760号パンフレット、米国特許第4,923,787号明細書等に記載のフェニドンやヒドラジン系化合物、特開平5−249637号、同10−282615号公報及び独国特許出願公開第19629142号明細書等に記載のホワイトカプラーを用いることができる。また、特に現像液のpHを上げ、現像の迅速化を行う場合には独国特許出願公開第19618786号、欧州特許出願公開第839623号、同第842975号、独国特許出願公開19806846号及び仏国特許出願公開第2760460号の各明細書等に記載のレドックス化合物を用いることも好ましい。
【0205】
本発明においては紫外線吸収剤としてモル吸光係数の高いトリアジン骨核を有する化合物を用いることが好ましく、例えば、以下の公報等に記載の化合物を用いることができる。これらは、感光性層又は/及び非感光性に好ましく添加される。例えば、特開昭46−3335号、同55−152776号、特開平5−197074号、同5−232630号、同5−307232号、同6−211813号、同8−53427号、同8−234364号、同8−239368号、同9−31067号、同10−115898号、同10−147577号、同10−182621号の各公報、独国特許出願公開第19739797号明細書、欧州特許出願公開第711804号明細書及び特表平8−501291号公報等に記載されている化合物を使用できる。
【0206】
本発明に係わる感光材料に用いることのできる結合剤又は保護コロイドとしては、ゼラチンを用いることが有利であるが、それ以外の親水性コロイドを単独であるいはゼラチンとともに用いることができる。好ましいゼラチンとしては、鉄、銅、亜鉛、マンガン等の不純物として含有される重金属は、好ましくは5ppm以下、更に好ましくは3ppm以下である。また、感光材料中に含まれるカルシウム量は、好ましくは20mg/m2以下、更に好ましくは10mg/m2以下、最も好ましくは5mg/m2以下である。
【0207】
本発明においては、親水性コロイド層中に繁殖して画像を劣化させる各種の黴や細菌を防ぐために、特開昭63−271247号公報に記載のような防菌・防黴剤を添加するのが好ましい。さらに、感光材料の被膜pHは4.0〜7.0が好ましく、より好ましくは4.0〜6.5である。
【0208】
本発明においては、感光材料の塗布安定性向上、静電気発生防止、帯電量調節等の点から界面活性剤を感光材料に添加することができる。界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤があり、例えば特開平5−333492号公報に記載のものが挙げられる。本発明に用いる界面活性剤としてはフッ素原子含有の界面活性剤が好ましい。特に、フッ素原子含有界面活性剤を好ましく用いることができる。これらのフッ素原子含有界面活性剤は単独で用いても、従来公知の他の界面活性剤と併用してもかまわないが、好ましくは従来公知の他の界面活性剤との併用である。これらの界面活性剤の感光材料への添加量は特に限定されるものではないが、一般的には、1×10−5〜1g/m2、好ましくは1×10−4〜1×10−1g/m2、更に好ましくは1×10−3〜1×10−2g/m2である。
【0209】
本発明において写真用支持体としては、透過型支持体や反射型支持体を用いることができる。透過型支持体としては、セルロースナイトレートフィルムやポリエチレンテレフタレートなどの透明フィルム、更には2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)とエチレングリコール(EG)とのポリエステルやNDCAとテレフタル酸とEGとのポリエステル等に磁性層などの情報記録層を設けたものが好ましく用いられる。反射型支持体としては特に複数のポリエチレン層やポリエステル層でラミネートされ、このような耐水性樹脂層(ラミネート層)の少なくとも一層に酸化チタン等の白色顔料を含有する反射支持体が好ましい。
【0210】
更に前記の耐水性樹脂層中には蛍光増白剤を含有するのが好ましい。また、蛍光増白剤は感光材料の親水性コロイド層中に分散してもよい。蛍光増白剤として、好ましくは、ベンゾオキサゾール系、クマリン系、ピラゾリン系が用いることができ、更に好ましくは、ベンゾオキサゾリルナフタレン系及びベンゾオキサゾリルスチルベン系の蛍光増白剤である。使用量は、特に限定されていが、好ましくは1〜100mg/m2である。耐水性樹脂に混合する場合の混合比は、好ましくは樹脂に対して0.0005〜3質量%であり、更に好ましくは0.001〜0.5質量%である。
反射型支持体としては、透過型支持体、または上記のような反射型支持体上に、白色顔料を含有する親水性コロイド層を塗設したものでもよい。
また、反射型支持体は、鏡面反射性または第2種拡散反射性の金属表面をもつ支持体であってもよい。
【0211】
本発明においてさらに好ましい反射支持体としては、ハロゲン化銀乳剤層を設ける側の紙基体上に微小空孔を有するポリオレフィン層を有していることが挙げられる。ポリオレフィン層は多層から成っていてもよく、その場合、好ましくはハロゲン化銀乳剤層側のゼラチン層に隣接するポリオレフィン層は微小空孔を有さず(例えばポリプロピレン、ポリエチレン)、紙基体上に近い側に微小空孔を有するポリオレフィン(例えばポリプロピレン、ポリエチレン)から成るものがより好ましい。紙基体および写真構成層の間に位置するこれら多層もしくは一層のポリオレフィン層の密度は0.40〜1.0g/mLであることが好ましく、0.50〜0.70g/mLがより好ましい。また、紙基体および写真構成層の間に位置するこれら多層もしくは一層のポリオレフィン層の厚さは10〜100μmが好ましく、15〜70μmがさらに好ましい。また、ポリオレフィン層と紙基体の厚さの比は0.05〜0.2が好ましく、0.1〜0.5がさらに好ましい。また、上記、紙基体の写真構成層とは逆側(裏面)にポリオレフィン層を設けることも、反射支持体の剛性を高める点から好ましく、この場合、裏面のポリオレフィン層は表面が艶消しされたポリエチレンまたはポリプロピレンが好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。裏面のポリオレフィン層は5〜50μmが好ましく、10〜30μmがより好ましく、さらに密度が0.7〜1.1g/mLであることが好ましい。本発明における反射支持体において、紙基体上に設けるポリオレフィン層に関する好ましい態様については、特開平10−333277号、同10−333278号、同11−52513号、同11−65024号の各公報、欧州特許第0,880,065号、および同第0,880,066号明細書に記載されている例が挙げられる。
【0212】
本発明の感光材料は、画像情報に応じて光を照射される露光工程と、前記光照射された感光材料を現像する現像工程とにより、画像を形成することができる。本発明の感光材料は、通常のネガプリンターを用いたプリントシステムに使用される以外に、陰極線(CRT)を用いた走査露光方式にも適している。陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、簡便でかつコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種、あるいは2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤、緑、青に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。
【0213】
感光材料が異なる分光感度分布を有する複数の感光性層を持ち、陰極性管も複数のスペクトル領域の発光を示す蛍光体を有する場合には、複数の色を一度に露光、即ち陰極線管に複数の色の画像信号を入力して管面から発光させてもよい。各色ごとの画像信号を順次入力して各色の発光を順次行わせ、その色以外の色をカットするフィルムを通して露光する方法(面順次露光)を採ってもよく、一般には、面順次露光の方が、高解像度の陰極線管を用いることができるため、高画質化のためには好ましい。
【0214】
本発明の感光材料は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いたデジタル走査露光方式が好ましく使用される。システムをコンパクトで、安価なものにするために半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)を使用することが好ましい。特にコンパクトで、安価、更に寿命が長く安定性が高い装置を設計するためには半導体レーザーの使用が好ましく、露光光源の少なくとも一つは半導体レーザーを使用することが好ましい。
【0215】
このような走査露光光源を使用する場合、本発明の感光材料の分光感度極大波長は、使用する走査露光用光源の波長により任意に設定することができる。半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーあるいは半導体レーザーと非線形光学結晶を組合わせて得られるSHG光源では、レーザーの発振波長を半分にできるので、青色光、緑色光が得られる。従って、感光材料の分光感度極大は通常の青、緑、赤の3つの波長領域に持たせることが可能である。このような走査露光における露光時間は、画素密度を400dpiとした場合の画素サイズを露光する時間として定義すると、好ましい露光時間としては10−4秒以下、更に好ましくは10−6秒以下である。
【0216】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、以下の公報に記載の露光、現像システムと組み合わせることで好ましく用いることができる。前記現像システムとしては、特開平10−333253号公報に記載の自動プリント並びに現像システム、特開2000−10206号公報に記載の感光材料搬送装置、特開平11−215312号公報に記載の画像読取装置を含む記録システム、同11−88619号公報並びに同10−202950号公報に記載のカラー画像記録方式からなる露光システム、同10−210206号公報に記載の遠隔診断方式を含むデジタルフォトプリントシステム、及び特願平10−159187号明細書に記載の画像記録装置を含むフォトプリントシステムが挙げられる。
【0217】
本発明に適用できる好ましい走査露光方式については、前記の表4に掲示した公報に詳しく記載されている。
【0218】
本発明の感光材料をプリンター露光する際、米国特許第4,880,726号明細書に記載のバンドストップフィルターを用いることが好ましい。これによって光混色が取り除かれ、色再現性が著しく向上する。
本発明においては、欧州特許出願公開第0,789,270号や同0,789,480号明細書に記載のように、画像情報を付与する前に、予め、黄色のマイクロドットパターンを前露光し、複写規制を施しても構わない。
【0219】
本発明の感光材料の処理には、特開平2−207250号公報の第26頁右下欄1行目〜34頁右上欄9行目、及び同4−97355号公報の第5頁左上欄17行目〜18頁右下欄20行目に記載の処理素材や処理方法が好ましく適用できる。また、この現像液に使用する保恒剤としては、前記の表4に掲示した公報に記載の化合物が好ましく用いられる。
【0220】
本発明は迅速処理適性を有する感光材料にも好ましく適用される。迅速処理を行う場合には、発色現像時間は好ましくは60秒以下、更に好ましくは50秒以下6秒以上、より好ましくは30秒以下6秒以上である。同様に、漂白定着時間は好ましくは60秒以下、更に好ましくは50秒以下6秒以上、より好ましくは30秒以下6秒以上である。また、水洗又は安定化時間は、好ましくは150秒以下、更に好ましくは130秒以下6秒以上である。
尚、発色現像時間とは、感光材料が発色現像液中に入ってから次の処理工程の漂白定着液に入るまでの時間をいう。例えば、自動現像機などで処理される場合には、感光材料が発色現像液中に浸漬されている時間(いわゆる液中時間)と、感光材料が発色現像液を離れ、次の処理工程の漂白定着浴に向けて空気中を搬送されている時間(いわゆる空中時間)との両者の合計を発色現像時間という。同様に、漂白定着時間とは、感光材料が漂白定着液中に入ってから次の水洗又は安定浴に入るまでの時間をいう。また、水洗又は安定化時間とは、感光材料が水洗又は安定化液中に入ってから乾燥工程に向けて液中にある時間(いわゆる液中時間)をいう。
【0221】
本発明の感光材料を露光後、現像する方法としては、従来のアルカリ剤と現像主薬を含む現像液で現像する方法、現像主薬を感光材料に内蔵し、現像主薬を含まないアルカリ液などのアクチベーター液で現像する方法などの湿式方式のほか、処理液を用いない熱現像方式などを用いることができる。特に、アクチベーター方法は、現像主薬を処理液に含まないため、処理液の管理や取扱いが容易であり、また廃液処理時の負荷が少なく環境保全上の点からも好ましい方法である。アクチベーター方法において、感光材料中に内蔵される現像主薬又はその前駆体としては、例えば、特開平8−234388号、同9−152686号、同9−152693号、同9−211814号、同9−160193号の各公報に記載されたヒドラジン型化合物が好ましい。
【0222】
また、感光材料の塗布銀量を低減し、過酸化水素を用いた画像増幅処理(補力処理)する現像方法も好ましく用いられる。特に、この方法をアクチベーター方法に用いることは好ましい。具体的には、特開平8−297354号、同9−152695号公報に記載された過酸化水素を含むアクチベーター液を用いた画像形成方法が好ましく用いられる。前記アクチベーター方法において、アクチベーター液で処理後、通常脱銀処理されるが、低銀量の感光材料を用いた画像増幅処理方法では、脱銀処理を省略し、水洗又は安定化処理といった簡易な方法を行うことができる。また、感光材料から画像情報をスキャナー等で読み取る方式では、撮影用感光材料などの様に高銀量の感光材料を用いた場合でも、脱銀処理を不要とする処理形態を採用することができる。
【0223】
本発明で用いられるアクチベーター液、脱銀液(漂白/定着液)、水洗及び安定化液の処理素材や処理方法は任意のものを用いることができる。好ましくは、リサーチ・ディスクロージャーItem 36544(1994年9月)第536頁〜第541頁、特開平8−234388号公報に記載されたものを用いることができる。
【0224】
本発明の構成をカラーリバーサルに適用する場合においては、特開2001−142181号公報に記載の内容が本明細書の一部として好ましく取り込まれる。
【0225】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0226】
[実施例1]
試料001の作製
(青感層乳剤Aの調製)
塩化銀98.9モル% 臭化銀1モル% 沃化銀0.1モル%のハロゲン組成からなる、平均辺長0.65μm、辺長の変動係数8%のハロゲン化銀立方体粒子を形成した。分光増感色素−1および2をそれぞれ2.5×10−4モル/Agモルと2.0×10−4モル/Agモル添加した。なお、粒子形成に際しては、K3IrCl5(H2O)、K4Ru(CN)6、K4Fe(CN)6、チオスルフォン酸化合物−1、チオ硫酸ナトリウム、金増感剤−1、及びメルカプト化合物−1、2を最適量用いた。
このようにして高感側乳剤A−1を作製した。
同様にして、平均辺長0.50μm、辺長の変動係数9%の立方体粒子を形成した。分光増感ならびに化学増感を比表面積を合わせる補正(辺長比0.65/0.50=1.3倍)を行なった量で実施し、低感度側乳剤A−2を作製した。
【0227】
【化62】
【0228】
(緑感層用乳剤Cの調製)
粒子形成時の温度を下げ並びに増感色素の種類を下記のごとく変える以外は、乳剤A−1、2の調製条件と同様にして緑感光性乳剤用高感側乳剤C−1、低感側乳剤C−2を作製した。
【0229】
【化63】
【0230】
粒子サイズは高感側が平均辺長0.40μm、低感側が平均辺長0.30μmである。その変動係数は、いずれも8%であった。
増感色素Dをハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤に対しては3.0×10−4モル、小サイズ乳剤に対しては3.6×10−4モル、また、増感色素Eをハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤に対しては4.0×10−5モル、小サイズ乳剤に対しては7.0×10−5モル添加した。
【0231】
(赤感層用乳剤Eの調製)
粒子形成時の温度を下げ並びに増感色素の種類を下記のごとく変える以外は、乳剤A−1、2の調製条件と同様にして赤感性乳剤用高感側乳剤E−1、低感側乳剤E−2を作製した。
【0232】
【化64】
【0233】
粒子サイズは高感側が平均辺長0.38μm、低感側が平均辺長0.32μmであり、辺長の変動係数は各々9%と10%であった。
増感色素GおよびHをそれぞれ、ハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤に対しては8.0×10−5モル、小サイズ乳剤に対しては10.7×10−5モル添加した。
さらに、以下の化合物Iを赤感性乳剤層にハロゲン化銀1モル当たり3.0×10−3モル添加した。
【0234】
【化65】
【0235】
第一層塗布液調製
イエローカプラー(ExY)57g、色像安定剤(Cpd−1)7g、色像安定剤(Cpd−2)4g、色像安定剤(Cpd−3)7g、色像安定剤(Cpd−8)2gを溶媒(Solv−1)21g及び酢酸エチル80mLに溶解し、この液を4gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む23.5質量%ゼラチン水溶液220g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、水を加えて900gの乳化分散物Aを調製した。
一方、前記乳化分散物Aと前記乳剤A−1、A−2を混合溶解し、後記組成となるように第一層塗布液を調製した。乳剤塗布量は、銀量換算塗布量を示す。
【0236】
第二層〜第七層用の塗布液も第一層塗布液と同様の方法で調製した。各層のゼラチン硬化剤としては、1−オキシ−3,5−ジクロロ−s−トリアジンナトリウム塩(H−1)、(H−2)、(H−3)を用いた。また、各層に(Ab−1)、(Ab−2)、(Ab−3)、及び(Ab−4)をそれぞれ全量が15.0mg/m2、60.0mg/m2、5.0mg/m2及び10.0mg/m2となるように添加した。
【0237】
【化66】
【0238】
【化67】
【0239】
また、1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを、第二層、第四層、第六層および第七層に、それぞれ0.2mg/m2、0.2mg/m2、0.6mg/m2、0.1mg/m2となるように添加した。
また、青感性乳剤層および緑感性乳剤層に対し、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを、それぞれハロゲン化銀1モル当たり、1×10−4モル、2×10−4モル添加した。
また、赤感性乳剤層にメタクリル酸とアクリル酸ブチルの共重合体ラテックス(質量比1:1、平均分子量200000〜400000)を0.05g/m2添加した。
また第二層、第四層および第六層にカテコール−3,5−ジスルホン酸二ナトリウムをそれぞれ6mg/m2、6mg/m2、18mg/m2となるように添加した。
また、イラジエーション防止のために、以下の染料(カッコ内は塗布量を表す)を添加した。
【0240】
【化68】
【0241】
(層構成)
以下に、各層の構成を示す。数字は塗布量(g/m2)を表す。ハロゲン化銀乳剤は、銀換算塗布量を表す。
【0242】
支持体
ポリエチレン樹脂ラミネート紙[第一層側のポリエチレン樹脂に白色顔料(TiO2;含有率16質量%、ZnO;含有率4質量%)と蛍光増白剤(4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾリル)スチルベン。含有率0.03質量%)、青味染料(群青、含有率0.33質量%)を含む。ポリエチレン樹脂の量は29.2g/m2]
【0243】
第一層(青感性乳剤層)
塩臭沃化銀乳剤A(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤A−1と小サイ
ズ乳剤A−2との3:7混合物(銀モル比)。) 0.24
ゼラチン 1.25
イエローカプラー(ExY) 0.57
色像安定剤(Cpd−1) 0.07
色像安定剤(Cpd−2) 0.04
色像安定剤(Cpd−3) 0.07
色像安定剤(Cpd−8) 0.02
溶媒(Solv−1) 0.21
【0244】
第二層(混色防止層)
ゼラチン 1.15
混色防止剤(Cpd−4) 0.10
色像安定剤(Cpd−5) 0.018
色像安定剤(Cpd−6) 0.13
色像安定剤(Cpd−7) 0.07
溶媒(Solv−1) 0.04
溶媒(Solv−2) 0.12
溶媒(Solv−5) 0.11
【0245】
第三層(緑感性乳剤層)
塩臭沃化銀乳剤C(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤C−1と小サイ
ズ乳剤C−2との1:3混合物(銀モル比)。) 0.14
ゼラチン 1.21
マゼンタカプラー(ExM) 0.15
紫外線吸収剤(UV−A) 0.14
色像安定剤(Cpd−2) 0.003
色像安定剤(Cpd−4) 0.002
色像安定剤(Cpd−6) 0.09
色像安定剤(Cpd−8) 0.02
色像安定剤(Cpd−9) 0.01
色像安定剤(Cpd−10) 0.01
色像安定剤(Cpd−11) 0.0001
溶媒(Solv−3) 0.09
溶媒(Solv−4) 0.18
溶媒(Solv−5) 0.10
溶媒(Solv−6) 0.07
【0246】
第四層(混色防止層)
ゼラチン 0.68
混色防止剤(Cpd−4) 0.06
色像安定剤(Cpd−5) 0.011
色像安定剤(Cpd−6) 0.08
色像安定剤(Cpd−7) 0.04
溶媒(Solv−1) 0.02
溶媒(Solv−2) 0.07
溶媒(Solv−5) 0.065
【0247】
第五層(赤感性乳剤層)
塩臭沃化銀乳剤E(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤E−1と小サイ
ズ乳剤E−2との5:5混合物(銀モル比)。) 0.16
ゼラチン 0.95
シアンカプラー(ExC−1) 0.023
シアンカプラー(ExC−2) 0.05
シアンカプラー(ExC−3) 0.17
紫外線吸収剤(UV−A) 0.055
色像安定剤(Cpd−1) 0.22
色像安定剤(Cpd−7) 0.003
色像安定剤(Cpd−9) 0.01
色像安定剤(Cpd−12) 0.01
溶媒(Solv−8) 0.05
【0248】
第六層(紫外線吸収層)
ゼラチン 0.46
紫外線吸収剤(UV−B) 0.35
化合物(S1−4) 0.0015
溶媒(Solv−7) 0.18
【0249】
第七層(保護層)
ゼラチン 1.00
ポリビニルアルコールのアクリル変性共重合体(変性度17%)
0.4
流動パラフィン 0.02
界面活性剤(Cpd−13) 0.02
【0250】
【化69】
【0251】
【化70】
【0252】
【化71】
【0253】
【化72】
【0254】
【化73】
【0255】
【化74】
【0256】
【化75】
【0257】
【化76】
【0258】
【化77】
【0259】
【化78】
【0260】
試料101〜131の作製
以上のようにして作製した試料001の第一層の組成を以下の様に変更した以外は試料001と同様にして試料101〜131を作製した。
第一層 青感光性乳剤層の組成変更内容
【0261】
試料101:
塩臭沃化銀乳剤A(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤A−1と小サイ
ズ乳剤A−2との3:7混合物(銀モル比)。) 0.24
ゼラチン 1.20
イエローカプラー(比較イエローカプラーY1) 0.53
溶媒(Solv−4) 0.20
溶媒(Solv−9) 0.20
【0262】
試料103:
塩臭沃化銀乳剤A(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤A−1と小サイ
ズ乳剤A−2との3:7混合物(銀モル比)。) 0.18
ゼラチン 1.20
イエローカプラー((3)) 0.46
溶媒(Solv−4) 0.20
溶媒(Solv−9) 0.20
【0263】
上記試料103では、試料101に対してハロゲン化銀乳剤塗布量を75%に、イエローカプラー塗布量を67モル%に低減した。
試料102〜試料131は、上記試料103におけるイエローカプラーを表5に示した等モルのイエローカプラーに変更したこと以外は試料103と同様にして作製した。
【0264】
試料101〜131をそれぞれ127mm幅のロール状に加工し、デジタルミニラボ フロンティア330(富士写真フイルム社製、商品名)を用いて感光材料に標準的なな写真画像を露光し、下記処理工程にて使用した発色現像補充液の容量が発色現像タンク容量の2倍となるまで連続処理(ランニングテスト)を行った。処理液組成と工程時間の異なる以下の2つの処理を行い感光材料を評価した。
【0265】
処理工程A
以下のランニング処理液を用いた処理を処理Aとした。
【0266】
処理工程 温度 時間 補充量*
発色現像 38.5℃ 45秒 45mL
漂白定着 38.0℃ 45秒 35mL
リンス1** 38.0℃ 20秒 −
リンス2** 38.0℃ 20秒 −
リンス3** 38.0℃ 20秒 −
リンス4** 38.0℃ 20秒 121mL
乾燥 80℃
(注)
* 感光材料1m2あたりの補充量
** 富士写真フイルム(株)製リンスクリーニングシステムRC50D(商品名)をリンス3に装着し、リンス3からリンス液を取り出してポンプにより逆浸透モジュール(RC50D)へ送る。同槽で送られた透過水はリンス4に供給し、濃縮液はリンス3に戻す。逆浸透モジュールへの透過水量は50〜300mL/分を維持するようにポンプ圧を調整し、1日10時間温調循環させた。リンスはリンス1から4への4タンク向流方式とした。
【0267】
各処理液の組成は以下の通りである。
【0268】
【0269】
【0270】
処理工程B
試料101〜131をそれぞれ127mm幅のロール状に加工し、処理時間、処理温度を変えられるように富士写真フイルム(株)製ミニラボプリンタープロセッサー PP350(商品名)を改造した実験処理装置用いて感光材料に平均濃度のネガティブフイルムから像様露光を行い、下記処理工程にて使用した発色現像補充液の容量が発色現像タンク容量の2倍となるまで連続処理(ランニングテスト)を行った。このランニング処理液を用いた処理を処理Bとした。
【0271】
処理工程 温度 時間 補充量*
発色現像 45.0℃ 17秒 45mL
漂白定着 40.0℃ 17秒 35mL
リンス1** 40.0℃ 8秒 −
リンス2** 40.0℃ 8秒 −
リンス3** 40.0℃ 8秒 −
リンス4** 38.0℃ 8秒 121mL
乾燥 80℃ 15秒
(注)
* 感光材料1m2あたりの補充量
** 富士写真フイルム(株)製リンスクリーニングシステムRC50D(商品名)をリンス3に装着し、リンス3からリンス液を取り出してポンプにより逆浸透モジュール(RC50D)へ送る。同槽で送られた透過水はリンス4に供給し、濃縮液はリンス3に戻す。逆浸透モジュールへの透過水量は50〜300mL/分を維持するようにポンプ圧を調整し、1日10時間温調循環させた。リンスはリンス1から4への4タンク向流方式とした。
【0272】
各処理液の組成は以下の通りである。
【0273】
【0275】
【化79】
【0276】
試料101〜131は感光材料を塗布後25℃55%相対湿度条件下で10日保存の後に以下の評価を行った。
(評価1 光堅牢性)
各試料に対して3色分解の露光を与え、上記処理工程Aで発色現像処理を行い、イエローの単色発色試料を得た。蛍光灯光源下2万ルクスによる30日間暴露前後での濃度測定を行った。イエロー発色部の初期濃度0.5での保存後の相対残存率を算出した。
カプラーへの退色防止置換基導入による改良幅を評価するのに以下に示す改良度を算出した。
改良度=[100−(比較カプラーを用いた試料における残存率)]/[100−(退色防止基導入カプラーを用いた試料における残存率)]
評価結果を表5に示す。
【0277】
【表5】
【0278】
従来のイエローカプラーのアシル基をヘテロ環に改良した骨格のイエローカプラーを用いた試料102〜131は、イエローカプラーの塗布量を67%に減らしているが比較イエローカプラーY1を用いた試料101と比べて同等の発色濃度が得られた。また、表5から明らかなように、退色防止剤基を導入した本発明のイエローカプラーは、低濃度部の光堅牢性が改良されていることがわかった。例えば、イエロー色素形成カプラー基(C−1)の末端に水素原子が置換したカプラーを用いた試料102(比較例)に対して、同カプラー基の末端に退色防止剤基(TI−12)が結合したカプラー(3)を用いた試料103(本発明例)は光堅牢性(残存率)が向上しており、本発明のイエローカプラーは退色を防止できることがわかった。
【0279】
[実施例2]
実施例1の試料101〜131において第一層と第五層の配置を逆転した試料201〜231を作製した。
実施例1に準じて評価を行った結果、特にグレイの画像において実施例1の試料と比較してイエローとマゼンタの濃度向上が認められた。また、本発明のカプラーを用いると光堅牢性に優れる感光材料が得られることがわかった。
【0280】
[実施例3]
実施例1及び2の試料において、第五層(赤感光性乳剤層)の組成を以下の様に変更した試料を作製し、処理工程Bで処理を行った試料を用いて光堅牢性の評価を行った結果、本発明の構成では画像堅牢性に優れることが再現できた。
【0281】
第五層 赤感性乳剤層の組成変更内容
塩臭沃化銀乳剤E(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤E−1と小サイ
ズ乳剤E−2との5:5混合物(銀モル比)。) 0.10
ゼラチン 1.11
シアンカプラー(ExC−1) 0.02
シアンカプラー(ExC−3) 0.01
シアンカプラー(ExC−4) 0.11
シアンカプラー(ExC−5) 0.01
色像安定剤(Cpd−1) 0.01
色像安定剤(Cpd−6) 0.06
色像安定剤(Cpd−7) 0.02
色像安定剤(Cpd−9) 0.04
色像安定剤(Cpd−10) 0.01
色像安定剤(Cpd−14) 0.01
色像安定剤(Cpd−15) 0.12
色像安定剤(Cpd−16) 0.01
色像安定剤(Cpd−17) 0.01
色像安定剤(Cpd−18) 0.07
色像安定剤(Cpd−20) 0.01
紫外線吸収剤(UV−5) 0.01
溶媒(Solv−5) 0.15
【0282】
【発明の効果】
本発明によれば、色相、発色性に優れ、白地や色素画像が長期間変色、褪色せず、高度の保存性を有するハロゲン化銀写真感光材料を低コストで提供することができる。本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、カブリや混色が少なく、塗布後長期間生保存しても発色濃度の低下がなく、かつ、現像処理安定性に優れる。
Claims (2)
- 下記一般式(I)で表されるイエロー色素形成カプラー。
一般式(TS−II)中、R61、R62、R63及びR64は各々独立に水素原子または脂肪族基を表し、R61とR62、R63とR64は結合し、5〜7員環を形成しても良い。X61は水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基またはオキシラジカル基を表す。X62は5〜7員環を形成するに必要な非金属原子群を表す。一般式(TS−II)で表される化合物の総炭素数は4以上である。
一般式(TS−III)中、R65及びR66は各々独立に水素原子、脂肪族基、アリール基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基またはアリールスルホニル基を表し、R67は水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、置換アミノ基、ヘテロ環基またはヒドロキシ基を表し、可能な場合にはR65とR66、R66とR67、R65とR67は互いに結合し、5〜7員環を形成しても良いが、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を形成することはない。但し、R65とR66の両方が水素原子であることはなく、R65とR66の総炭素数は2以上である。
一般式(TS−IV)中、R71は水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、Li、NaまたはKを表し、R72は脂肪族基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R71とR72は互いに結合し、5〜7員環を形成しても良い。qは0、1または2を表す。但し、R71、R72の総炭素数は1以上である。
一般式(TS−V)中、R81、R82及びR83は各々独立に脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族アミノ基またはアリールアミノ基を表し、tは0または1を表す。R81とR82、R81とR83は互いに結合し、5〜8員環を形成しても良い。但し、R81、R82、R83の総炭素数は3以上である。
一般式(TS−VI)中、R85、R86、R87及びR88は各々独立に水素原子または置換基を表す。但しR85、R86、R87及びR88の全てが水素原子であることはなく、R85、R86、R87及びR88の任意の2つが結合し、5〜7員環を形成していても良いが、炭素原子のみの芳香環を形成することはない。一般式(TS−VI)で表される化合物の総炭素数は3以上である。 - 支持体上の少なくとも1層に、前記請求項1記載の一般式(I)で表されるイエロー色素形成カプラーの少なくとも1種を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
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