JP2004302237A - カメラ - Google Patents

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JP2004302237A JP2003096336A JP2003096336A JP2004302237A JP 2004302237 A JP2004302237 A JP 2004302237A JP 2003096336 A JP2003096336 A JP 2003096336A JP 2003096336 A JP2003096336 A JP 2003096336A JP 2004302237 A JP2004302237 A JP 2004302237A
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Tatsuo Saito
竜夫 斉藤
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Fujinon Corp
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Fuji Photo Optical Co Ltd
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Abstract

【目的】フイルム給送中にシャッタレリーズが行われることによってフイルム給送に負荷がかかりフイルム給送モータの駆動時間とフイルム給送長との対応がずれないようにする。
【構成】プレワインド給送時にフイルム給送用モータを駆動すると同時にタイマーをスタートし、タイマーのカウントがアップした時点でモータの駆動を停止する。この給送中に、シャッタレリーズの操作を検知することに応答してフイルム給送用のモータの駆動を停止するとともに、それまでのタイマー計時をリセットし、その後にレリーズ操作を解除したことを検知することに応答して再びフイルム給送用のモータを駆動し、かつ前記計時を最初からスタートする。
【選択図】 図10

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フイルム給送用モータの駆動時間を監視して予め決められた長さだけ写真フイルムを給送制御する写真用のカメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カメラのフイルム給送には、順巻き上げと予備巻き上げ方式とがある。順巻き上げ方式は、パトローネから写真フイルムを引き出しながら撮影を行い、全ての撮影コマに撮影を行った後にその写真フイルムをパトローネに巻き戻す。他方、予備巻き上げ方式は、予めパトローネから未露光の写真フイルムを全部引き出し、その後撮影を行いながらパトローネに巻き込む。
【0003】
どちらの方式のカメラにおいても、モータの駆動を利用してフイルムを給送するタイプでは、所定の長さの写真フイルムを給送した後に、そのモータの駆動を自動的に停止させる手段としてタイマー回路での計時を利用しているものが多い(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−292487号公報(段落番号0055)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、フイルム給送中に不用意にシャッタレリーズが行われると、フイルム給送に負荷を与える構造のカメラがある。このような場合、シャッタレリーズによりフイルム給送に負荷がかかってフイルム給送の速度が遅くなったり、あるいはフイルム給送が止まってしまう不都合が生じる。このような不都合が生じると、フイルム給送用のモータを駆動させる時間経過とフイルム給送長との対応が取れなくなり、規定の撮影枚数通りに撮影が行えない不都合が生じるおそれがあった。
【0006】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、フイルム給送中にシャッタレリーズを行うとフイルム給送に負荷を与える構造のものであって、フイルム給送中にシャッタレリーズが行われた場合でもフイルム給送用のモータを駆動させる時間経過とフイルム給送長との対応が狂わないように防止するようにした構造のカメラを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明のカメラでは、フイルム給送中にシャッタ部材の操作を検知することに応答して前記フイルム給送用のモータの駆動を停止するとともに、それまでの計時をリセットし、その後にシャッタ部材の操作を解除したことを検知することに応答して再び前記モータを駆動すると同時に前記計時を最初からスタートする制御手段を備えたものである。
【0008】
制御手段としては、シャッタ部材が操作されたことを検知するシャッタ部材検知用スイッチと、モータの駆動を利用して写真フイルムを給送するフイルム給送機構と、前記モータの駆動時間を計時するためのタイマー手段と、フイルム給送中に前記シャッタ部材検知用スイッチを監視し、前記シャッタ部材の操作を検知することに応答して前記モータの駆動を停止するとともに、それまでの前記タイマー手段での計時をリセットし、その後に前記シャッタ部材の操作を解除したことを検知することに応答して再び前記モータを駆動すると同時に前記タイマー手段での計時を最初からスタートする制御部とで構成するのが望ましい。
【0009】
シャッタ部材検知用スイッチとしては、フイルム給送に負荷を与える分の押下ストローク操作を検知するのが望ましく、シャッタ部材がシャッタレリーズを行う分のストロークまでを検知する必要はない。つまり、シャッタレリーズを行う全ストロークの半分、又はそれ以上、あるいはそれ以下の押下操作を検知するように構成してもよい。
【0010】
本発明のフイルム給送機構としては、シャッタ部材の操作によりフイルム給送に負荷がかかる構造のものである。このような構造としては、撮影中に行う1コマ給送とは逆の方向にフイルムを給送するときにシャッタレリーズを阻止するレリーズ阻止手段を備えたものがある。
【0011】
レリーズ阻止手段としては、フイルム給送用モータのギヤ及びその駆動を利用して写真フイルムを給送するためのギヤ列とのうちの一部ギヤの回転方向に連動してシャッタレリーズを阻止する。このため、逆にシャッタ部材を操作すると、レリーズ阻止手段が一部のギヤに負荷を与える。このため、1コマ給送とは逆の方向にフイルムを給送するときにシャッタ部材の操作が行われたらモータの駆動を停止して、シャッタ部材の操作を解除したときに再びモータを駆動させる。このとき、モータの駆動を停止するための計時を行っているので、その計時も再度モータを駆動してから最初からスタートすればよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、カメラ10には、正面に撮影レンズ11とファインダ12が、上面左寄りにシャッタボタン13が、さらには背面に裏蓋14が外部に露呈してそれぞれ設けられている。
【0013】
カメラ10は、図2に示すように、前カバー15と後カバー16とで本体部17を挟装した構造となっている。本体部17には、左側にパトローネ装填室18、右側にフイルム巻き取り室19とがそれぞれ設けられており、これらの室の間に暗箱26が形成されている。暗箱26の奥にはアパーチャーが形成されている。暗箱26は、撮影レンズ11を通った被写体光をアパーチャーに導く。アパーチャーは、パトローネ装填室18とフイルム巻き取り室19との間の背面に形成されたフイルム通路上に形成されている。
【0014】
後カバー16には、フイルム交換時に開閉される裏蓋14が開閉自在に取り付けられている。裏蓋14には、パトローネ装填室18の底を閉じる底部が設けられ、パトローネは、カメラ10の底からスプールの軸方向に沿って装填される。
【0015】
本体部17には、詳しくは後述するフイルム巻き止め機構を含むフイルム給送機構、シャッタチャージ機構、及びフイルムカウンタ機構などが取り付けられる。
【0016】
パトローネ装填室18には、図3に示すように、フイルム先端が露呈した市販状態となっている153タイプの写真フイルムパトローネ20が装填される。写真フイルムパトローネ20は、パトローネ21と写真フイルム22とで構成されている。パトローネ装填室18には、パトローネ21のスプール23に係合してスプール23を回転させるフォーク24が設けられている。また、フイルム巻き取り室19には、巻き取り軸25が回転自在に設けられている。
【0017】
なお、このカメラ10は、予めパトローネ21から巻き取り軸25に全ての写真フイルム22を巻き取る予備巻き上げ給送を行った後に、撮影しながらパトローネ21に巻き込む予備巻き上げ式となっている。
【0018】
図3ないし図5に示すように、フイルム給送機構は、フイルム給送用モータ27、ギヤ列28、遊星歯車機構29、巻き取り軸伝達用ギヤ列30、スプール伝達用ギヤ列31、及びフォーク24とで構成されており、モータ27の駆動をその回転方向に応じてスプール23又は巻き取り軸25との何れか一方に伝達する。なお、符号27aはモータ27の出力軸に取り付けたギヤである。
【0019】
巻き取り軸25は、筒状をしており、内部にフイルム給送用モータ27が配され、また外周上部に巻き取り軸伝達用ギヤ列30を構成する巻き取り用ギヤ37が形成されている。スプール伝達用ギヤ列31には、出力ギヤがスプール駆動用ギヤ32となっている。このギヤ32に、フォーク24が形成されている。
【0020】
モータ27の駆動は、ギヤ列28、遊星歯車機構29の太陽歯車33へ順に伝達される。ここで、予備巻き上げ給送時には、モータ27が正転(図4において反時計方向)し、また1コマ給送時にはモータ27が逆転する。遊星歯車機構29は、モータ27の駆動の回転方向に応じて遊星歯車34が公転してその噛合位置が二位置の間で切り替わる。一方は、モータ27の正転駆動を巻き取り軸伝達用ギヤ列30に入力する位置であり、また他方は、モータ27の逆転駆動をスプール伝達用ギヤ列31に入力する位置である。なお、遊星歯車34は二段ギヤとなっており、一方の大ギヤ34aが太陽歯車33に噛合し、他方の小ギヤ34bが出力ギヤとなっている。
【0021】
ギヤ列28は、大ギヤ35aと小ギヤ35bとからなる二段ギヤ35、及びその小ギヤ35bに噛合するギヤ36とからなり、ギヤ36が太陽歯車33に噛合してモータ27の駆動を遊星歯車機構29に入力する。巻き取り軸伝達用ギヤ列30は、巻き取り軸に設けた巻き取り用ギヤ37となっており、モータ27が正転駆動したときにその巻き取り用ギヤ37に遊星歯車34の小ギヤ34bが噛合する。スプール伝達用ギヤ列31は、遊星歯車34の小ギヤ34bが噛合する入力ギヤ38、スプール駆動用ギヤ32、及びこれらの間に配される5個のギヤ38〜41とで構成されている。なお、ギヤ41aとギヤ41bとは同軸上で結合されており、一緒に回転するギヤである。
【0022】
詳しくは図3に示すように、フイルム通路の上部には、パーフォレーション22aに係合するスプロケット45が設けられている。スプロケット45は、軸部材46により回転自在に支持されている。軸部材46には同軸にシャッタセットカム47が係合する。
【0023】
なお、軸部材46には、スイッチ片48が設けられている。スイッチ片48は、スプロケット45が回転するとフイルム給送検知用のスイッチ49をON−OFFする。1コマ給送時の場合、そのスイッチ49から得られる信号のうちのONからOFFに変わる立ち下がり信号を検知することに応答してモータ27の駆動を停止する。
【0024】
軸部材46とシャッタセットカム47との間には、一方向クラッチが内蔵されている。一方向クラッチは、フイルム巻き取り室19からパトローネ装填室18に向けた巻き込み方向(1コマ給送方向)への写真フイルム22の移送に応じたスプロケット45の回転のみをシャッタセットカム47に伝達し、逆方向へスプロケット45が回転した時にはその回転をシャッタセットカム47に伝達しない。つまり、予備巻き上げ給送時にはシャッタセットカム47が回転することはない。
【0025】
シャッタセットカム47には、シャッタチャージ用のカム47aが設けられている。カム47aは、1コマ給送方向に応じたスプロケット45の回転のみが伝達され、この回転を利用して詳しくは後述するシャッタ駆動レバー50と係止レバー51とを順次に回転させてシャッタチャージを行う。
【0026】
シャッタ駆動レバー50は、第1軸52を中心としてチャージ位置とレリーズ完了位置との間で回転し、チャージバネ53によりレリーズ完了位置に向けて付勢されている。係止レバー51は、第2軸54を中心として保持位置と解除位置との間で回転し、バネ55により解除位置に向けて付勢されている。シャッタセットカム47が回転すると、シャッタ駆動レバー50がチャージ位置に回転され、次に係止レバー51が保持位置に回転する。係止レバー51が保持位置に回転すると、一端がシャッタ部材57に係合してその位置に保持されるとともに、シャッタ駆動レバー50をチャージ位置に保持する。
【0027】
なお、1コマ給送時において、次の撮影コマをセットするときのモータ駆動開始タイミングを得るために、チャージ検知用のスイッチ58が設けられている。チャージ検知用のスイッチ58は、シャッタ駆動レバー50がチャージ位置に回転するとOFFし、レリーズ完了位置に回転するとONする。
【0028】
シャッタ部材57は、弾性を有する材料で水平面部57aと垂直面部57bとを接合したL字形状に形成されている。垂直面部57bはパトローネ装填室18の前面に昇降自在に取り付けられ、また水平面部57aはパトローネ装填室18の上に配される。水平面部57aには上面にシャッタボタン13が設けられており、また下面に下方に伸びたガイド軸57cが設けられている。
【0029】
ガイド軸57cは、ガイド孔59に入り込み、シャッタ部材57の昇降をガイドする。そのガイド孔59は、スプール駆動用ギヤ32をパトローネ装填室18との間で回転可能に覆う支持板60の上面に形成されている。また、ガイド軸57cとガイド孔59との間には、バネ61が設けられている。バネ61は、シャッタ部材57を上昇位置に向けて付勢する。シャッタボタン13を押下操作すると、シャッタ部材57がバネ61の付勢に抗して下降位置に移動し、この移動に連動して係止レバー51との係合が解除される。
【0030】
なお、シャッタ部材57の下にはレリーズ検知用のスイッチ62が配されている。レリーズ検知用のスイッチ62は、シャッタ部材57が下降位置、すなわちシャッタレリーズのときにONして、シャッタ部材57が上昇位置、すなわちレリーズ解除のときにOFFする。
【0031】
このようにシャッタレリーズがなされると、係止レバー51が解除位置に向けて回転し、シャッタ駆動レバー50のチャージ位置での保持を解除する。これにより、シャッタ駆動レバー50は、チャージ位置からレリーズ完了位置に向けてチャージバネ53の付勢により瞬時に回転する。この回転途中で、シャッタ駆動レバー50に設けた蹴飛ばし片50aがシャッタ羽根63の一端63aを蹴飛ばす。シャッタ羽根63は、一端63aが蹴飛ばされることで軸64を中心としてシャッタ開口65の前面で一往復揺動する。その後は引き戻しバネ66によってシャッタ開口65を塞ぐ位置に戻される。
【0032】
露光が完了すると、シャッタ駆動レバー50がレリーズ完了位置に回転している。また、係止レバー51が解除位置に位置している。また、シャッタ部材57は、上昇位置に戻されている。1コマ給送時でのモータ27の駆動開始は、チャージ検知用のスイッチ58がONし、かつレリーズ検知用のスイッチ62がOFFしていることに応答して行われる。
【0033】
スプール駆動用ギヤ32には、図6に示すように、上面に輪郭円形の凸部32aが形成されている。凸部32aは、ロック部材70を回転自在に支持する。ロック部材70は、スプール駆動用ギヤ32との間での摩擦抵抗によってスプール駆動用ギヤ32の回転方向に従動して回転する。この回転は、支持板60に設けた一対のストッパ60a,60bによって二位置の間で規制されている。予備巻き上げ給送の時には図3において一方のストッパ60bに当接するロック位置となる。また、1コマ給送時には、他方のストッパ60bに当接してロック解除位置となる。
【0034】
ロック部材70には、係合部70aが設けられている。係合部70aは、ロック部材70がロック位置のときにシャッタ部材57の水平面部57aの下に入り込んでシャッタ部材57の下降位置への移動を阻止する。またロック解除位置のときには、係合部70aが水平面部57aの下から退避してシャッタ部材57の下降位置への移動を許容する。
【0035】
予備巻き上げ給送時にはスプール23に、フイルム給送用モータ27の正転駆動が直接に伝達されない。しかし、フイルム給送用モータ27が正転すると巻き取り軸25が写真フイルム22をパトローネ21から引き出す。このため、パトローネ21のスプール23もフイルム送り出し方向に回転される。これにより、スプール駆動用ギヤ32が図3において時計方向に回転し、この回転に従動してロック部材70が時計方向に回転してロック位置となる。よって予備巻き上げ給送時にはシャッタレリーズが確実に阻止される。
【0036】
逆に、1コマ給送時には、フイルム給送用モータ27の逆転駆動がスプール駆動用ギヤ32に直接に伝達されるため、ロック部材70は図3において反時計方向に回転してロック解除位置に回転し、よってシャッタレリーズが許容される。
【0037】
図7は、スイッチ片48とフイルム給送検知用のスイッチ49とを示している。スイッチ片48はスプロケット45と同期して回転する。例えば、1コマ分の長さだけ写真フイルム22が移送されたときにスプロケット45が1回転する場合には、図8に示すように、フイルム給送検知用のスイッチ49から得られる立ち下がり信号との間が予測の1コマ給送時間となる。
【0038】
図9に示すように、フイルム給送検知用のスイッチ49、チャージ検知用のスイッチ58、レリーズ検知用のスイッチ62、及び裏蓋開閉検知用のスイッチ80のそれぞれから得られる信号は制御部81に送られる。制御部81は、タイマー回路82、ROM83、及びRAM84を内蔵しており、ROM83に記憶されたプログラムを実行し、各スイッチから得られる信号に応答してドライバ27bを介してフイルム給送用のモータ27を制御する。
【0039】
次に、図10ないし図12を参照しながら上記構成の作用を説明する。カメラ10の裏蓋14を開いて写真フイルムパトローネ20を装填する。
【0040】
フイルム装填は、パトローネ21をパトローネ装填室18に装填し、且つ予め露呈しているフイルム先端を巻き取り軸25に引っ掛かる長さまで引き出してから裏蓋14を閉める。これにより、フイルム先端が裏蓋14に設けた押さえローラと巻き取り軸25とで挟装される。
【0041】
裏蓋開閉検知用のスイッチ80は、先の裏蓋14を閉じる操作に応答してOFF信号を出力する。このOFF信号を得ることとレリーズ検知用のスイッチ62がOFFであることに応答してフイルム給送用のモータ27が正転駆動する。
【0042】
モータ27の正転駆動が駆動すると、図4において遊星歯車34が時計方向に公転してそれの小ギヤ34bが巻き取り用ギヤ37に噛合してモータ27の正転駆動が巻き取り軸25に伝達される。巻き取り軸25がフイルム巻き取り方向に回転すると、巻き取り軸25に設けた爪25aがパーフォレーション22aに係合することで写真フイルム22が巻き取り軸25に巻き取られてゆく。このとき、スプール伝達用ギヤ列31は、遊星歯車機構29と噛合が解除され、フリーとなっている。
【0043】
巻き取り軸25は、図4において時計方向に回転して写真フイルム22を巻き取る。これにより、写真フイルム22がパトローネ21から引き出され、スプール23がフイルム送り出し方向に回転し、スプール駆動用ギヤ32が図3において時計方向に回転する。ロック部材70は、この回転に従動して時計方向に回転してロック位置に回転する。ロック位置に回転すると、係合部70aがシャッタ部材57の水平面部57aの下に入り込んでシャッタ部材57の下降位置への移動を阻止する。このように予備巻き上げ給送中にシャッタレリーズを阻止するから二重に露光されるような不都合を確実に防止することができる。
【0044】
予備巻き上げ中は、写真フイルム22が送り出し方向に移送されているから、スプロケット45及び軸部材46が図3に示す時計方向に回転し、フイルム給送検知用のスイッチ49をON−OFFしている。
【0045】
図10に示すように、モータ27を正転駆動後にタイマー回路82でタイマーをスタートしてからカウントアップする一定時間内にそのフイルム給送検知用のスイッチ49から得られる信号のうちの立ち下がり信号を検知するか否かを判断する。このときの一定時間には、フイルム給送時、フイルム給送検知用のスイッチ49が立ち下がり信号を出力する時間に対して余裕のある時間を設定する。巻き取り軸25の巻き始めに時間を要する事が見込まれる場合にはこの時間も見込む。そして、立ち下がり信号を検知するごとにタイマー回路82のカウント値をリセットして同時にカウントを開始してプレワインドを継続する。
【0046】
本実施形態では、プレワインドの初期に、4パルスの立ち下がり信号を検出するまで8秒、以降は1.5秒にタイマー回路82のカウント時間を切り替えている。というのは、初期には巻き取り軸25にフイルム先端を絡ませる時間が必要であり、以降はフイルム給送のロックを監視する時間であるので短い時間に設定している。
【0047】
そして、写真フイルム22の全部が巻き取り軸25に巻き取られると、フイルム給送検知用のスイッチ49のON−OFFの繰り返し信号がなくなり、ON又はOFFとの何れか一方の信号のみの検知となる。この信号の変化を検知してからタイマー回路82でのカウントがアップしたときに、制御部81が予備巻き上げが完了と判断し、これから一定時間経過後にフイルム給送用モータ27の正転駆動を停止する。
【0048】
ところで、プレワインド中にシャッタボタン13を押下操作すると、シャッタ部材57がロック部材70の係合部70aを押圧する。このロック部材70は、巻き取り用ギヤ37に回転自在に支持されており、また、巻き取り用ギヤ37は、プレワインド中にスプール23の回転に従動してフイルム送り出し方向に回転している。したがって、シャッタボタン13を押下操作すると、ロック部材70を介して巻き取り用ギヤ37の回転に負荷がかかり、巻き取り用ギヤ37の回転が遅くなったり、回転が停止するなどの不都合が生じてプレワインド時の時間経過とフイルム給送長との対応が狂う。
【0049】
このため、タイマー回路82でカウントして一定時間内にレリーズ検知用のスイッチ62がONする場合には、モータ27の正転駆動をいったん停止する。そして、レリーズ検知用のスイッチ62がOFFすることで、これに応答してモータ27の正転駆動を再び開始し、それまでのタイマー回路82のカウント値をリセットすると同時に再びスタートからカウントを開始する。
【0050】
このように、プレワインド中にシャッタボタン13が押されてフイルム給送に負荷がかかると、いったんフイルム給送を停止し、その後、シャッタボタン13の押下操作が解除されてから再びフイルム給送とプレワインドが終了する予測のカウントを開始することで、時間経過とフイルム給送長との対応のずれを防ぐようにしている。
【0051】
予備巻き上げ給送が完了すると、フイルム給送用モータ27が逆転駆動される。これにより、遊星歯車機構29の駆動伝達経路が切り替わり、今度はスプール駆動用ギヤ32にモータ27の駆動が伝達され、スプール駆動用ギヤ32がフイルム巻き取り方向に回転し、写真フイルム22がパトローネ21に巻き込まれる。このとき、スプール駆動用ギヤ32が図3において反時計方向に回転するため、ロック部材70も反時計方向に回転してロック解除位置となる。これにより、係合部70aがシャッタ部材57の水平面部57aの下から退避してシャッタ部材57の昇降移動を許容する。
【0052】
一方、写真フイルム22の移送に連動してスプロケット45が回転してシャッタチャージが行われる。そして、図11に示すように、タイマー回路82でのタイマースタートから一定時間内に、フイルム給送検知用のスイッチ49から得られる立ち下がり信号を検知することに応答してモータ27の駆動を停止する。これにより、1コマ給送が完了し、最初の撮影コマがアパーチャーにセットされた状態となる。なお、このとき、シャッタチャージも完了しており、チャージ検知用のスイッチ58がOFFしている。
【0053】
シャッタボタン13を押下操作すると、シャッタ部材57が下降位置に移動して係止レバー51の保持が解除される。そして係止レバー51が解除位置に回転する。これにより、シャッタ駆動レバー50がレリーズ完了位置に向けて回転してシャッタ羽根63を蹴飛ばし、そしてシャッタ羽根63が撮影光軸63bを横切るように揺動することで写真フイルム22に露光が行われる。露光完了後にはシャッタ駆動レバー50がレリーズ完了位置に回転しているため、チャージ検知用のスイッチ58がONする。このスイッチ58がONで且つレリーズ検知用のスイッチ62がOFFであることに応答してフイルム給送用のモータ27の逆転駆動が開始される。
【0054】
以下、前述したと同じにフイルム給送検知用のスイッチ49から得られる信号に基づいてモータ27の駆動を停止し、シャッタレリーズ後にチャージ検知用のスイッチ58から得られる信号に基づいてモータ27を再駆動することで順次に撮影を行ってゆくことができる。
【0055】
フイルムカウンタ機構のカウンタ板は、残数を表示する。最後の撮影コマに撮影を完了すると、カウンタ板がスタート位置に戻る。カウンタ板がスタート位置に戻ると、シャッタ駆動レバー50とシャッタセットカム47との係合を解除し、シャッタ駆動レバー50のチャージ位置への移動を阻止する。これにより、最後の撮影コマに撮影を完了した後はチャージ検知用のスイッチ58のONが保持される。よって、フイルム給送検知用のスイッチ49から立ち上がり信号を検知した後にチャージ検知用のスイッチ58がONしている場合には、モータ27の逆転駆動をいったん停止し、写真フイルム22の全部をパトローネ21に巻き込むリワインド処理となる。
【0056】
リワインド処理は、図12に示すように、モータ27を逆転駆動する。これにより、スプール駆動用ギヤ32がスプール23をフイルム巻き取り方向に回転して撮影済みの写真フイルム22がパトローネ21に巻き込まれる。この間、スプロケット45が回転し、フイルム給送検知用のスイッチ49をON−OFFする。制御部81は、モータ27を逆転駆動してからタイマー回路82でカウントする一定時間内にフイルム給送検知用のスイッチ49から得られる立ち上がり信号を検知し続けることでリワインド給送を継続する。
【0057】
写真フイルム22の全部がパトローネ21に巻き込まれると、スプロケット45の回転が停止し、フイルム給送検知用のスイッチ49から得られる信号が変化しない信号となる。その信号が一定時間変化が無い状態、すなわちタイマーカウントオーバーになったときから所定時間経過後にモータ27の逆転駆動を停止する。この間に、全ての撮影済みの写真フイルム22がパトローネ21に収納される。そして、モータ27の逆転駆動を停止した後に、所定時間だけモータ27を正転駆動する。この僅かな正転駆動により遊星歯車34をモータ正転駆動時の噛合位置に戻す。これにより、次回のプレワインド時に、遊星歯車34の噛合位置の切り替わり時間を短縮することができ、プレワインド時の時間経過とフイルム給送長との対応付けを確実に行うことができる。
【0058】
ところで、リワインド中に、シャッタボタン13を押下操作した場合にも時間経過とフイルム給送長との対応が狂う。このため、リワインド中にも、タイマー回路82でカウントしてそのカウント時間内にレリーズ検知用のスイッチ62がONしている場合には、モータ27の逆転駆動をいったん停止させ、レリーズ検知用のスイッチ62がOFFすることに応答して再びモータ27の逆転駆動とタイマー回路82のカウント値カウントとを開始する。
【0059】
このように、リワインド中もシャッタボタンが押されてフイルム給送に負荷がかかり、モータを駆動する時間経過とフイルム給送長との対応が狂う直前に、いったんモータの駆動を停止し、シャッタボタンの押下操作が解除されてから再びモータの駆動とタイマーカウントとを開始する。
【0060】
上記のように、シャッタボタン75を押下操作したときにフイルム給送に負荷を与えてモータ27を駆動する時間経過とフイルム給送長との対応が狂うのを防止する制御をプレワインド及びリワインド時に行っているが、本発明ではこれらのみに限らず、例えば1コマ給送時にも行うようにしてもよい。
【0061】
上記実施形態では、ロック部材70をロック位置と解除位置との二位置の間で回転させているが、代わりに、スライド移動としてもよい。また、ロック部材70を移動させるためのギヤとしては、スプール駆動用ギヤ32に限らず、フイルム給送用モータの駆動が伝達されるギヤであれば、いずれのギヤを用いてもよい。また、ロック部材70を一部のギヤに直接に係合させる構造に限らず、リンク機構などを介して間接的に係合させる構造としてもよい。さらには、フイルム給送用のギヤ列ではなく、フイルム給送用モータ27のギヤ27aの回転方向に応じて移動するロック部材としてもよい。
【0062】
さらに、上記実施形態のカメラでは、シャッタボタン13の下方にパトローネ装填室18を配する構成としているが、代わりにフイルム巻き取り室を配しても良い。この場合、巻き取り軸伝達用ギヤ列の一部のギヤを利用してロック部材を二位置の間で移動させる構成にすればよい。また、シャッタボタン13を有するシャッタ部材57を下降させてシャッタレリーズを行うようにしているが、代わりに、シャッタボタン自体を弾性変形自在にして押下操作したときの弾性変形によってレリーズするように構成してもよい。この場合はロック部材でシャッタボタンの弾性変形を阻止するように係合部をシャッタボタンの下又は一部に係合させる構成にすればよい。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、フイルム給送中にシャッタレリーズの操作を検知することに応答して前記フイルム給送用のモータの駆動を停止するとともに、それまでの計時をリセットし、その後にシャッタレリーズの操作を解除したことを検知することに応答して再び前記モータを駆動すると同時に前記計時を最初からスタートする制御手段を備えたから、フイルム給送中にシャッタレリーズの操作が行われてもフイルム給送用のモータを駆動させる時間経過とフイルム給送長との対応を確実なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カメラの外観を示す斜視図である。
【図2】カメラの内部の要部を示す分解斜視図である。
【図3】フイルム給送機構、シャッタチャージ機構、及びレリーズ阻止手段を概略的に示す斜視図である。
【図4】予備巻き上げ給送時のフイルム給送用ギヤ列を示す説明図である。
【図5】1コマ給送時のフイルム給送用ギヤ列を示す説明図である。
【図6】シャッタ部材、一部のギヤ、及びロック部材の要部を示す斜視図である。
【図7】フイルム給送検知用のスイッチとスイッチ片とを示す説明図である。
【図8】フイルム給送検知用のスイッチから得られる信号を示すグラフである。
【図9】カメラの電気的概略を示すブロック図である。
【図10】予備巻き上げ給送時の動作を示すフローチャート図である。
【図11】1コマ給送時の動作を示すフローチャート図である。
【図12】最後の撮影コマを撮影した後に全部の写真フイルムをパトローネに巻き込むリワインド給送の動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
13 シャッタボタン
18 パトローネ装填室
25 巻き取り軸
27 フイルム給送用モータ
29 遊星歯車機構
32 スプール駆動用ギヤ
49 フイルム給送検知用のスイッチ
57 シャッタ部材
62 レリーズ検知用スイッチ
70 ロック部材
81 制御部

Claims (2)

  1. フイルム給送用のモータを駆動すると同時に計時を開始して所定時間経過後に前記モータの駆動を停止することでフイルム給送を制御するカメラにおいて、
    前記フイルム給送中にシャッタ部材の操作を検知することに応答して前記モータの駆動を停止するとともに、それまでの前記計時をリセットし、その後にシャッタ部材の操作を解除したことを検知することに応答して再び前記モータを駆動すると同時に前記計時を最初からスタートする制御手段を備えたことを特徴するカメラ。
  2. 前記制御手段は、シャッタ部材が操作されたことを検知するシャッタ部材検知用スイッチと、前記モータの駆動を利用して写真フイルムを給送するフイルム給送機構と、前記モータの駆動時間を計時するためのタイマー手段と、フイルム給送中に前記シャッタ部材検知用スイッチを監視し、前記シャッタ部材の操作を検知することに応答して前記モータの駆動を停止するとともに、それまでの前記タイマー手段での計時をリセットし、その後に前記シャッタ部材の操作を解除したことを検知することに応答して再び前記モータを駆動し、かつ前記タイマー手段での計時を最初からスタートする制御部とで構成されていることを特徴する請求項1記載のカメラ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106534786A (zh) * 2016-11-22 2017-03-22 西南林业大学 基于图像识别的野生动物数据传输系统

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