JP2004301202A - 自在継手用ブーツ - Google Patents
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Abstract
【課題】自在継手の屈曲動作時にバンドの端部でブーツが損傷をされることを防止することを目的とする。
【解決手段】自在継手の軸部の外周に環状の留具により固定される小径側取付部16を蛇腹部12の一端に一体成形するとともに、自在継手のアウターレースの外周に固定される大径側取付部18を蛇腹部12の他端に一体成形した自在継手用ブーツ10において、小径側取付部16におけるバンドが装着される装着溝20より蛇腹部12側に、自在継手の屈曲動作によってバンド端部に発生する歪みを分散させるための環状の溝26を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】自在継手の軸部の外周に環状の留具により固定される小径側取付部16を蛇腹部12の一端に一体成形するとともに、自在継手のアウターレースの外周に固定される大径側取付部18を蛇腹部12の他端に一体成形した自在継手用ブーツ10において、小径側取付部16におけるバンドが装着される装着溝20より蛇腹部12側に、自在継手の屈曲動作によってバンド端部に発生する歪みを分散させるための環状の溝26を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自在継手の作動部を被覆保護するために用いられる自在継手用ブーツに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、図7に示すように、蛇腹部92を有し、この蛇腹部92の一端に、自在継手30の軸部32の外周に固定される小径側取付部94を一体成形するとともに、蛇腹部92の他端に、自在継手30のアウターレース34の外周に固定される大径側取付部96を一体成形したゴム製の自在継手用ブーツ90が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−99331号公報
【0004】
図8は、小径側取付部94の周辺の拡大断面図である。図示するように、小径側取付部94には、外側から環状のバンド38が装着されている。バンド38により自在継手用ブーツ90は軸部32の外周に締め付け固定される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術では、自在継手30の屈曲動作によって、自在継手用ブーツ90は、前記バンド38の蛇腹部92側の端部38Cと当たる部位から破損する問題があった。自在継手30の屈曲動作によって、軸部32が、図8の矢印Aに示すようにアウターレース側(図中右側)が持ち上がる方向に傾斜したとき、自在継手用ブーツ90の小径側取付部94は、蛇腹92の引っ張り変形により前記バンド38の端部38Cと当たる部位を支点に変形してしまい、この部位に歪みが集中するためである。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、自在継手の屈曲動作時にバンドの端部でブーツが損傷をされることを防止することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
前述した課題の少なくとも一部を解決するための手段として、以下に示す構成をとった。
【0008】
この発明の自在継手用ブーツは、
自在継手の軸部の外周に環状の留具により固定される小径側取付部を蛇腹部の一端に一体成形するとともに、前記自在継手のアウターレースの外周に固定される大径側取付部を前記蛇腹部の他端に一体成形した自在継手用ブーツにおいて、
前記小径側取付部における前記留具が装着される部位より前記蛇腹部側に、前記自在継手の屈曲動作によって前記留具の端部と当たる部位に発生する歪みを分散させるための凹部を形成したことを特徴としている。
【0009】
この構成の自在継手用ブーツによれば、自在継手の屈曲動作によって、軸部がアウターレース側が持ち上がる方向に傾斜した場合に、凹部は、小径側取付部における留具が装着される部位より蛇腹部側に形成されていることから、凹部に応力集中が起こる。このために、小径側取付部において、この凹部と、留具の蛇腹部側の端部と当たる部位とで歪みが分散して発生することになり、歪みが1箇所に集中的に発生することがない。したがって、自在継手用ブーツが損傷することを防止することができる。
【0010】
前記凹部は、前記小径側取付部の内壁に設けられた構成とすることができる。この構成によれば、軸部がアウターレース側が持ち上がる方向に傾斜した際に、小径側取付部の内壁に設けた凹部が開口部を広げるように変形することで、留具の端部と当たる部位に生じる歪みを低減させることができる。
【0011】
前記小径側取付部の内壁に設けられた凹部は、前記内壁の周方向に環状の溝とすることができる。環状の溝とすることで、留具端部と当たる部位に発生する歪みを確実に分散させることができる。また、溝のすぐ蛇腹部側の部位が、自在継手の屈曲の方向によっては軸部と当たることで支え部となって、この付近の変形を抑えることができる。
【0012】
上記構成の自在継手用ブーツを、少なくとも軸方向にスライド可能な自在継手用として用いた構成とすることができる。軸方向にスライド可能な自在継手は、自在継手用ブーツに、より大きな歪みを発生させる。上記構成によれば、凹部によって歪みを分散させることができることから、損傷防止の効果がより高い。
【0013】
【発明の他の態様】
この発明は、以下のような他の態様も含んでいる。その第1の態様は、この発明の自在継手用ブーツにおいて、前記凹部は、前記小径側取付部の外壁に設けられた態様である。第2の態様は、この発明の自在継手用ブーツにおいて、前記凹部は、前記小径側取付部の内壁と外壁に共に設けられた態様である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。この実施例を次の順序に従って説明する。
A.構成:
B.作用・効果:
C.他の実施形態:
【0015】
A.構成:
図1は、本発明の一実施例としての自在継手用ブーツ10の一部を示す断面図である。
【0016】
図示するように、自在継手用ブーツ10は、多数の山部13および谷部14を軸方向(図中、横方向)に交互に並べた蛇腹部12を有しており、この蛇腹部12の一端に、自在継手30(図7参照)の軸部32(図7参照)の外周に固定される小径側取付部16が一体成形されるとともに、蛇腹部12の他端に、自在継手30のアウターレース34(図7参照)の外周に固定される大径側取付部18が一体成形されており、自在継手用ブーツ10はその全体をクロロプレンゴム(CR)によるゴムの一体物として成形されている。なお、ゴムに換えて、TPE等による樹脂の一体物とすることもできる。CRに換えて他のゴムとすることもできる。上記自在継手30およびバンド38は、従来例で説明したものと同じものが用いられる。
【0017】
図2は、小径側取付部16の一部の拡大断面図である。図示するように、小径側取付部16は円筒状に成形されていて、その外周面に、環状のバンド38を装着するための環状の装着溝20が設けられている。バンド38は、SUS等による金属製で、装着溝20に装着されて、小径側取付部16を軸部32に締め付け固定する。バンド38は、特許請求の範囲でいう留具に相当する。なお、バンド38は、金属製に換えて、樹脂等、他の材料から構成されるものであっても構わない。小径側取付部16の内壁には、周方向に環状の突起部22,24が形成されており、締め付け時の固定強度を高めることができる。
【0018】
また、小径側取付部16の内壁の所定の部位には、周方向に環状の溝26が形成されている。ここで言う所定の部位は、小径側取付部16における装着溝20より蛇腹部12側の位置である。小径側取付部16と蛇腹部12との境界は、ほぼ図中1点鎖線Xの部分であり、装着溝20より蛇腹部12側の位置とは、装着溝20の蛇腹部12側の端部を通る厚み方向の線(図中2点鎖線Y)より図中右側の範囲であることから、上記所定の部位は、小径側取付部16における図中1点鎖線Xと2点鎖線Yの間の範囲である。環状の溝26は、この範囲のうちの内壁に当たる部分に設けられている。上記溝26は、断面が半円形の等幅の溝である。
【0019】
上記構成の自在継手用ブーツ10は、自在継手30の作動部を被覆保護すべく、小径側取付部16を自在継手30の軸部32の外周にバンド38の力を借りて固定するとともに、大径側取付部18を同じ自在継手30のアウターレース34の外周にアウターレース側バンド40(図7参照)の力を借りて固定することにより、自在継手30に装着される。
【0020】
B.作用・効果:
図3は、自在継手30の屈曲動作によって、自在継手用ブーツ10がどのように変形するか示す説明図である。図中、バンド38は省略されている。また、自在継手30の部分も省略されている。図示するように、自在継手30の軸部32がアウターレース側が持ち上がる方向に傾斜した場合に、自在継手用ブーツ10の軸部32の上側となる部分では(図中Bに示した)、小径側取付部16における溝26に応力集中が起こり、この溝26を広げるように(溝の26の開口部を広げるように)して変形する。このために、従来例では、2点鎖線に示すように変形して、バンド38の蛇腹部側の端部と当たる部位(図中、P点)に歪みが集中的に発生していたが、この実施例では、そのP点と上記溝26との2箇所に歪みが分散して発生することになる。特に、溝26が先に広がって、その後上記P点に歪みが発生することになることから、P点への歪みの発生は従来例に比べて大きく改善される。したがって、自在継手用ブーツ10は、従来例のように歪みが上記P点に集中的に発生することがないことから、損傷を防止することができる。
【0021】
なお、軸部32がアウターレース側が持ち上がる方向に傾斜した場合に、図3中のCに示すように、溝26のすぐ蛇腹部側の部位28が軸部32と当たることで支え部となってこの付近の変形を抑えることができる。したがって、この作用によってもブーツの損傷の防止が図られる。
【0022】
図4は、上記P点における歪み率を本実施例と従来例とで比較したグラフである。このグラフでは、自在継手30の屈曲角に対する歪み率が表されている。このグラフからも、本実施例においての上記P点の歪み率は、従来例に比較して減少していることがわかる。なお、このグラフは、軸部32の軸方向のスライド量が0mm、すなわち軸方向への運動がない場合のものである。
【0023】
一般に、自動車の動力伝達装置に使用される自在継手は、エンジン側と車輪側の間に介在されるドライブシャフトの両端にそれぞれ設けられている。一方側の自在継手は、ディファレンシャルとドライブシャフトを連結し、他方側の自在継手は、ドライブシャフトと車輪とを連結する。後者の自在継手は、前述したような軸方向への運動がないものである。これに対して、前者の自在継手は、軸方向への運動があるものである。本実施例の自在継手用ブーツ10は、どちら側の自在継手にも用いることができる。
【0024】
図5は、軸方向のスライド量が+14mmとなった場合に、上記P点における歪み率がどのように変わるかを示すグラフである。+14mmとは、軸部32を小径側取付部16方向(図1中左側)に14mm押し進めたことを示す。図示するように、本実施例においての上記P点の歪み率は、従来例と比較したときに、スライド量が0mmの場合(図4)に較べて、より大幅に減少することがわかる。したがって、本実施例の自在継手用ブーツ10は、ディファレンシャルとドライブシャフトを連結する自在継手用として用いた場合、損傷防止の効果をより高めることができる。
【0025】
C.他の実施形態:
本発明の他の実施形態について、次に説明する。
(1)前記実施例では、凹部としての環状の溝26は、小径側取付部16における装着溝20より蛇腹部12側の位置であって、その小径側取付部16の内壁の部分に形成したが、これに換えて、図6に示すように、同じく小径側取付部16における装着溝20より蛇腹部12側の位置であって、その小径側取付部16の外壁の部分に、環状の溝50を形成するように構成してもよい。この構成によっても、前記実施例と同様に、バンド38の蛇腹部側の端部と当たる部位(図中、P点)に発生する歪みを低減させることができる。
【0026】
(2)また、前記実施例で小径側取付部16の内壁に設けた溝26と、前記(1)で小径側取付部16の外壁に設けた溝50とを共に備えた構成とすることもできる。この構成によれば、P点に発生する歪みをより一層低減させることができる。
【0027】
(3)なお、凹部としての環状の溝は、小径側取付部16における装着溝20より蛇腹部12側の位置であれば、小径側取付部16の蛇腹部側の側部(図6中の52)に設ける構成とすることもできる。この構成では、溝の開口部の広がり方向が、軸部32のスライド方向と一致しないことから、小径側取付部16の内壁に設けた溝26や外壁に設けた溝50に較べて、P点に発生する歪みの低減効果は少ないが、それでも歪みの発生をその溝側に分散することができる。
【0028】
(4)前記実施例では、凹部としての環状の溝26は、1本であったが、これに換えて、複数本設ける構成としてもよい。また、環状の溝26は、断面を半円形に形成されていたが、これに換えて、断面を矩形としてもよく、また、断面をV字型としてもよい。また、溝に換えて、半球状の穴を、環状に複数並べた構成としてもよい。要は、自在継手の屈曲動作によって前記留具の端部と当たる部位に発生する歪みを分散させるための凹部であればどのような形状であってもよい。なお、ここでいう凹部とはあくまでも穴状のもので、小径側取付部の内壁の角部(蛇腹部側の角部)を、軸部の外周に対して所定幅の隙間ができるように加工した構成は含まない。
【0029】
以上、本発明の実施例を詳述してきたが、本発明は、こうした実施態様に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様にて実施することができるのは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての自在継手用ブーツ10の一部を示す断面図である。
【図2】小径側取付部16の一部の拡大断面図である。
【図3】自在継手30の屈曲動作によって自在継手用ブーツ10がどのように変形するか示す説明図である。
【図4】P点における歪み率を本実施例と従来例とで比較したグラフである。
【図5】軸方向のスライド量が+14mmとなった場合にP点における歪み率がどのように変わるかを示すグラフである。
【図6】本発明の他の実施形態の一部の拡大断面図である。
【図7】従来の技術の自在継手用ブーツ90の破断断面図である。
【図8】自在継手用ブーツ90の一部拡大断面図である。
【符号の説明】
10…自在継手用ブーツ
12…蛇腹部
13…山部
14…谷部
16…小径側取付部
18…大径側取付部
20…装着溝
22,24…突起部
26…溝
30…自在継手
32…軸部
34…アウターレース
38…バンド
40…アウターレース側バンド
【発明の属する技術分野】
本発明は、自在継手の作動部を被覆保護するために用いられる自在継手用ブーツに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、図7に示すように、蛇腹部92を有し、この蛇腹部92の一端に、自在継手30の軸部32の外周に固定される小径側取付部94を一体成形するとともに、蛇腹部92の他端に、自在継手30のアウターレース34の外周に固定される大径側取付部96を一体成形したゴム製の自在継手用ブーツ90が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−99331号公報
【0004】
図8は、小径側取付部94の周辺の拡大断面図である。図示するように、小径側取付部94には、外側から環状のバンド38が装着されている。バンド38により自在継手用ブーツ90は軸部32の外周に締め付け固定される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術では、自在継手30の屈曲動作によって、自在継手用ブーツ90は、前記バンド38の蛇腹部92側の端部38Cと当たる部位から破損する問題があった。自在継手30の屈曲動作によって、軸部32が、図8の矢印Aに示すようにアウターレース側(図中右側)が持ち上がる方向に傾斜したとき、自在継手用ブーツ90の小径側取付部94は、蛇腹92の引っ張り変形により前記バンド38の端部38Cと当たる部位を支点に変形してしまい、この部位に歪みが集中するためである。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、自在継手の屈曲動作時にバンドの端部でブーツが損傷をされることを防止することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
前述した課題の少なくとも一部を解決するための手段として、以下に示す構成をとった。
【0008】
この発明の自在継手用ブーツは、
自在継手の軸部の外周に環状の留具により固定される小径側取付部を蛇腹部の一端に一体成形するとともに、前記自在継手のアウターレースの外周に固定される大径側取付部を前記蛇腹部の他端に一体成形した自在継手用ブーツにおいて、
前記小径側取付部における前記留具が装着される部位より前記蛇腹部側に、前記自在継手の屈曲動作によって前記留具の端部と当たる部位に発生する歪みを分散させるための凹部を形成したことを特徴としている。
【0009】
この構成の自在継手用ブーツによれば、自在継手の屈曲動作によって、軸部がアウターレース側が持ち上がる方向に傾斜した場合に、凹部は、小径側取付部における留具が装着される部位より蛇腹部側に形成されていることから、凹部に応力集中が起こる。このために、小径側取付部において、この凹部と、留具の蛇腹部側の端部と当たる部位とで歪みが分散して発生することになり、歪みが1箇所に集中的に発生することがない。したがって、自在継手用ブーツが損傷することを防止することができる。
【0010】
前記凹部は、前記小径側取付部の内壁に設けられた構成とすることができる。この構成によれば、軸部がアウターレース側が持ち上がる方向に傾斜した際に、小径側取付部の内壁に設けた凹部が開口部を広げるように変形することで、留具の端部と当たる部位に生じる歪みを低減させることができる。
【0011】
前記小径側取付部の内壁に設けられた凹部は、前記内壁の周方向に環状の溝とすることができる。環状の溝とすることで、留具端部と当たる部位に発生する歪みを確実に分散させることができる。また、溝のすぐ蛇腹部側の部位が、自在継手の屈曲の方向によっては軸部と当たることで支え部となって、この付近の変形を抑えることができる。
【0012】
上記構成の自在継手用ブーツを、少なくとも軸方向にスライド可能な自在継手用として用いた構成とすることができる。軸方向にスライド可能な自在継手は、自在継手用ブーツに、より大きな歪みを発生させる。上記構成によれば、凹部によって歪みを分散させることができることから、損傷防止の効果がより高い。
【0013】
【発明の他の態様】
この発明は、以下のような他の態様も含んでいる。その第1の態様は、この発明の自在継手用ブーツにおいて、前記凹部は、前記小径側取付部の外壁に設けられた態様である。第2の態様は、この発明の自在継手用ブーツにおいて、前記凹部は、前記小径側取付部の内壁と外壁に共に設けられた態様である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。この実施例を次の順序に従って説明する。
A.構成:
B.作用・効果:
C.他の実施形態:
【0015】
A.構成:
図1は、本発明の一実施例としての自在継手用ブーツ10の一部を示す断面図である。
【0016】
図示するように、自在継手用ブーツ10は、多数の山部13および谷部14を軸方向(図中、横方向)に交互に並べた蛇腹部12を有しており、この蛇腹部12の一端に、自在継手30(図7参照)の軸部32(図7参照)の外周に固定される小径側取付部16が一体成形されるとともに、蛇腹部12の他端に、自在継手30のアウターレース34(図7参照)の外周に固定される大径側取付部18が一体成形されており、自在継手用ブーツ10はその全体をクロロプレンゴム(CR)によるゴムの一体物として成形されている。なお、ゴムに換えて、TPE等による樹脂の一体物とすることもできる。CRに換えて他のゴムとすることもできる。上記自在継手30およびバンド38は、従来例で説明したものと同じものが用いられる。
【0017】
図2は、小径側取付部16の一部の拡大断面図である。図示するように、小径側取付部16は円筒状に成形されていて、その外周面に、環状のバンド38を装着するための環状の装着溝20が設けられている。バンド38は、SUS等による金属製で、装着溝20に装着されて、小径側取付部16を軸部32に締め付け固定する。バンド38は、特許請求の範囲でいう留具に相当する。なお、バンド38は、金属製に換えて、樹脂等、他の材料から構成されるものであっても構わない。小径側取付部16の内壁には、周方向に環状の突起部22,24が形成されており、締め付け時の固定強度を高めることができる。
【0018】
また、小径側取付部16の内壁の所定の部位には、周方向に環状の溝26が形成されている。ここで言う所定の部位は、小径側取付部16における装着溝20より蛇腹部12側の位置である。小径側取付部16と蛇腹部12との境界は、ほぼ図中1点鎖線Xの部分であり、装着溝20より蛇腹部12側の位置とは、装着溝20の蛇腹部12側の端部を通る厚み方向の線(図中2点鎖線Y)より図中右側の範囲であることから、上記所定の部位は、小径側取付部16における図中1点鎖線Xと2点鎖線Yの間の範囲である。環状の溝26は、この範囲のうちの内壁に当たる部分に設けられている。上記溝26は、断面が半円形の等幅の溝である。
【0019】
上記構成の自在継手用ブーツ10は、自在継手30の作動部を被覆保護すべく、小径側取付部16を自在継手30の軸部32の外周にバンド38の力を借りて固定するとともに、大径側取付部18を同じ自在継手30のアウターレース34の外周にアウターレース側バンド40(図7参照)の力を借りて固定することにより、自在継手30に装着される。
【0020】
B.作用・効果:
図3は、自在継手30の屈曲動作によって、自在継手用ブーツ10がどのように変形するか示す説明図である。図中、バンド38は省略されている。また、自在継手30の部分も省略されている。図示するように、自在継手30の軸部32がアウターレース側が持ち上がる方向に傾斜した場合に、自在継手用ブーツ10の軸部32の上側となる部分では(図中Bに示した)、小径側取付部16における溝26に応力集中が起こり、この溝26を広げるように(溝の26の開口部を広げるように)して変形する。このために、従来例では、2点鎖線に示すように変形して、バンド38の蛇腹部側の端部と当たる部位(図中、P点)に歪みが集中的に発生していたが、この実施例では、そのP点と上記溝26との2箇所に歪みが分散して発生することになる。特に、溝26が先に広がって、その後上記P点に歪みが発生することになることから、P点への歪みの発生は従来例に比べて大きく改善される。したがって、自在継手用ブーツ10は、従来例のように歪みが上記P点に集中的に発生することがないことから、損傷を防止することができる。
【0021】
なお、軸部32がアウターレース側が持ち上がる方向に傾斜した場合に、図3中のCに示すように、溝26のすぐ蛇腹部側の部位28が軸部32と当たることで支え部となってこの付近の変形を抑えることができる。したがって、この作用によってもブーツの損傷の防止が図られる。
【0022】
図4は、上記P点における歪み率を本実施例と従来例とで比較したグラフである。このグラフでは、自在継手30の屈曲角に対する歪み率が表されている。このグラフからも、本実施例においての上記P点の歪み率は、従来例に比較して減少していることがわかる。なお、このグラフは、軸部32の軸方向のスライド量が0mm、すなわち軸方向への運動がない場合のものである。
【0023】
一般に、自動車の動力伝達装置に使用される自在継手は、エンジン側と車輪側の間に介在されるドライブシャフトの両端にそれぞれ設けられている。一方側の自在継手は、ディファレンシャルとドライブシャフトを連結し、他方側の自在継手は、ドライブシャフトと車輪とを連結する。後者の自在継手は、前述したような軸方向への運動がないものである。これに対して、前者の自在継手は、軸方向への運動があるものである。本実施例の自在継手用ブーツ10は、どちら側の自在継手にも用いることができる。
【0024】
図5は、軸方向のスライド量が+14mmとなった場合に、上記P点における歪み率がどのように変わるかを示すグラフである。+14mmとは、軸部32を小径側取付部16方向(図1中左側)に14mm押し進めたことを示す。図示するように、本実施例においての上記P点の歪み率は、従来例と比較したときに、スライド量が0mmの場合(図4)に較べて、より大幅に減少することがわかる。したがって、本実施例の自在継手用ブーツ10は、ディファレンシャルとドライブシャフトを連結する自在継手用として用いた場合、損傷防止の効果をより高めることができる。
【0025】
C.他の実施形態:
本発明の他の実施形態について、次に説明する。
(1)前記実施例では、凹部としての環状の溝26は、小径側取付部16における装着溝20より蛇腹部12側の位置であって、その小径側取付部16の内壁の部分に形成したが、これに換えて、図6に示すように、同じく小径側取付部16における装着溝20より蛇腹部12側の位置であって、その小径側取付部16の外壁の部分に、環状の溝50を形成するように構成してもよい。この構成によっても、前記実施例と同様に、バンド38の蛇腹部側の端部と当たる部位(図中、P点)に発生する歪みを低減させることができる。
【0026】
(2)また、前記実施例で小径側取付部16の内壁に設けた溝26と、前記(1)で小径側取付部16の外壁に設けた溝50とを共に備えた構成とすることもできる。この構成によれば、P点に発生する歪みをより一層低減させることができる。
【0027】
(3)なお、凹部としての環状の溝は、小径側取付部16における装着溝20より蛇腹部12側の位置であれば、小径側取付部16の蛇腹部側の側部(図6中の52)に設ける構成とすることもできる。この構成では、溝の開口部の広がり方向が、軸部32のスライド方向と一致しないことから、小径側取付部16の内壁に設けた溝26や外壁に設けた溝50に較べて、P点に発生する歪みの低減効果は少ないが、それでも歪みの発生をその溝側に分散することができる。
【0028】
(4)前記実施例では、凹部としての環状の溝26は、1本であったが、これに換えて、複数本設ける構成としてもよい。また、環状の溝26は、断面を半円形に形成されていたが、これに換えて、断面を矩形としてもよく、また、断面をV字型としてもよい。また、溝に換えて、半球状の穴を、環状に複数並べた構成としてもよい。要は、自在継手の屈曲動作によって前記留具の端部と当たる部位に発生する歪みを分散させるための凹部であればどのような形状であってもよい。なお、ここでいう凹部とはあくまでも穴状のもので、小径側取付部の内壁の角部(蛇腹部側の角部)を、軸部の外周に対して所定幅の隙間ができるように加工した構成は含まない。
【0029】
以上、本発明の実施例を詳述してきたが、本発明は、こうした実施態様に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様にて実施することができるのは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての自在継手用ブーツ10の一部を示す断面図である。
【図2】小径側取付部16の一部の拡大断面図である。
【図3】自在継手30の屈曲動作によって自在継手用ブーツ10がどのように変形するか示す説明図である。
【図4】P点における歪み率を本実施例と従来例とで比較したグラフである。
【図5】軸方向のスライド量が+14mmとなった場合にP点における歪み率がどのように変わるかを示すグラフである。
【図6】本発明の他の実施形態の一部の拡大断面図である。
【図7】従来の技術の自在継手用ブーツ90の破断断面図である。
【図8】自在継手用ブーツ90の一部拡大断面図である。
【符号の説明】
10…自在継手用ブーツ
12…蛇腹部
13…山部
14…谷部
16…小径側取付部
18…大径側取付部
20…装着溝
22,24…突起部
26…溝
30…自在継手
32…軸部
34…アウターレース
38…バンド
40…アウターレース側バンド
Claims (4)
- 自在継手の軸部の外周に環状の留具により固定される小径側取付部を蛇腹部の一端に一体成形するとともに、前記自在継手のアウターレースの外周に固定される大径側取付部を前記蛇腹部の他端に一体成形した自在継手用ブーツにおいて、
前記小径側取付部における前記留具が装着される部位より前記蛇腹部側に、前記自在継手の屈曲動作によって前記留具の端部と当たる部位に発生する歪みを分散させるための凹部を形成したことを特徴とする自在継手用ブーツ。 - 前記凹部は、前記小径側取付部の内壁に設けられた請求項1に記載の自在継手用ブーツ。
- 前記凹部は、前記内壁の周方向に環状の溝である請求項1または2に記載の自在継手用ブーツ。
- 少なくとも軸方向にスライド可能な自在継手用として用いられる請求項1ないし3のいずれかに記載の自在継手用ブーツ。
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