JP2004300613A - ポリエステル仮撚加工糸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリエステルフィルムを再生原料とし、仮撚加工性が良好でかつ毛羽が少ない仮撚加工糸を得る。具体的に、ポリエステルフィルムを再生原料としたポリエステル仮撚加工糸を製造するにあたり、特定粒子を特定量含有したポリエステルフィルムを再生原料として溶融紡糸を行うと共に特定油剤を糸条に対し特定量付与することにより、仮撚加工性が安定し、毛羽の少なくなる。
【解決手段】酸化アルミニウム粒子を0.05重量%以上5重量%以下含有したポリエステルフィルムを再生原料とした溶融紡糸を行うとともに、油剤中に重量平均分子量が4,000以上のポリエーテル成分を5重量%以上50重量%以下含有するポリエーテル系紡糸油剤を糸条に対し0.3重量%以上1.5重量%付与させる。
【選択図】 なし
【解決手段】酸化アルミニウム粒子を0.05重量%以上5重量%以下含有したポリエステルフィルムを再生原料とした溶融紡糸を行うとともに、油剤中に重量平均分子量が4,000以上のポリエーテル成分を5重量%以上50重量%以下含有するポリエーテル系紡糸油剤を糸条に対し0.3重量%以上1.5重量%付与させる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープ等に用いられているポリエステルフィルムを再生原料としたポリエステル仮撚加工糸の製造方法に関し、特に、仮撚加工性が良好でかつ毛羽が少ない仮撚加工糸の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す。)をはじめとするポリエステルは、高融点で耐薬品性があり低価格のため、繊維、フィルムおよび成形品等に広く用いられている。
【0003】
近年、環境問題から種々の分野でリサイクル性が求められてきており、ポリエステルにおいてもPETボトルをはじめとするポリエステル成形品を、再溶融しチップ化して、再び繊維、フィルムあるいは成形品にするというリサイクルが行われている。しかしながら、このようにポリエステルからなる繊維、フィルムあるいは成形品を再溶融すると、機械的強度の低下等が発生するという問題があった。そして、この機械的強度を改善する試みとして、ポリエステルに特定量の水を付与して溶融混練する方法や、ポリエステルに特定粒子を添加する方法が提案されている(特許文献1と特許文献2参照。)。しかしながら、これらの方法でポリエステルを繊維に再生した場合、特に、得られた再生繊維を仮撚加工する場合には機械的強度改善効果は不十分な場合があり、なお機械的強度が低下し、糸切れや、毛羽が発生するという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−300742号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2001−040528号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、上述した従来の問題点を解消し、仮撚加工性が良好で毛羽の少ないポリエステル仮撚加工糸を得る方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明は、次の構成を有する。即ち、本発明のポリエステル仮撚加工糸の製造方法は、再生原料であるポリエステルフィルムを溶融紡糸し得られた糸条を仮撚加工するに際し、再生原料として、酸化アルミニウム粒子を0.05重量%以上5重量%以下含有したポリエステルフィルムを使用し、かつ、油剤中に重量平均分子量が4,000以上のポリエーテル成分を5重量%以上50重量%以下含有するポリエーテル系紡糸油剤を糸条に対し0.3重量%以上1.5重量%付与することを特徴とするポリエステル仮撚加工糸の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のポリエステル仮撚加工糸の製造方法について詳細に説明する。
【0009】
本発明は、ポリエステルフィルムを再生原料としてポリエステル仮撚加工糸を製造する方法である。
【0010】
ポリエステルフィルムを構成しているポリエステルとは、ポリアルキレンテレフタレートやポリアルキレンナフタレートなどのポリエステルであるが、主たる酸成分をテレフタル酸、主たるグリコール成分をエチレングリコールとして構成されるポリエチレンテレフタレート(PET)が本発明に適している。また、上記成分の他にイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸あるいはポリエチレングリコールなどの第3成分が共重合されていてもよい。
【0011】
更に、本発明で再生原料として用いられるポリエステルフィルムは、本発明の目的を達成するため、αアルミナ、γアルミナおよびδアルミナ等から選ばれる酸化アルミニウム粒子を0.05重量%以上5重量%含有するものである。酸化アルミニウム粒子の配合量が0.05重量%に満たない場合は、仮撚加工性において劣り毛羽多発の問題が発生する。また、酸化アルミニウム粒子の配合量が5重量%を超えると、溶融紡糸での糸切れが多発し、仮撚加工性にも問題が発生する。酸化アルミニウム粒子の好ましい配合量は、0.1〜3重量%である。
【0012】
再生原料となるポリエステルフィルム形状に特に指定はないが、エクストルーダー等で均一に溶融させる観点から、屑状に細かくして用いることが好ましい。
【0013】
本発明においては、上記したポリエステルフィルム再生原料を用いて溶融紡糸を行う。溶融紡糸は公知の方法により実施でき、溶融紡糸する前に二酸化チタン等の艶消し剤等を添加することが可能である。
【0014】
溶融紡糸は通常の公知の方法により行うことができる。例えば、通常280℃〜300℃の溶融温度下で口金を通してポリマーを吐出し、冷却した後、紡糸油剤を付与する。
【0015】
本発明においては、溶融紡糸時に、油剤中に重量平均分子量が3,500以上のポリエーテル成分を5重量%以上50重量%以下含有するポリエーテル系紡糸油剤を用いることが重要である。
【0016】
重量平均分子量が4,000以上のポリエーテル成分の具体例としては、例えば、エチレンオキシドからなるポリエーテル、プロピレンオキシドからなるポリエーテル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドがランダムまたはブロックに共重合したポリエーテル等が挙げられる。中でも、仮撚加工性や耐毛羽性の観点からエチレンオキシドとプロピレンオキシドがランダムまたはブロックに共重合したポリエーテルを用いることが好ましい。また、該共重合ポリエーテルの各成分の共重合比率は好ましくは20:80〜80:20である。
【0017】
ポリエーテル成分は、毛羽を少なくする観点から、重量平均分子量が4,000以上のものを用いる。また、平滑性の点から重量平均分子量が10,000以下が好ましい。
【0018】
本発明では、毛羽抑制効果を得るために、上記した重量平均分子量4,000以上のポリエーテル成分は油剤中に5重量%以上必要であるが、50重量%を超えると油剤粘度が高くなり平滑性が損なわれる。油剤中の好ましいポリエーテル成分の含有率は10〜30重量%である。
【0019】
なお、油剤中のポリエーテルの重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)等によって求めたものである。
【0020】
本発明においては、上記したポリエーテル系紡糸油剤を、溶融紡糸したポリエステル糸条に対し、0.3重量%以上1.5重量%以下で付与することが重要である。この油剤の付着量が0. 3重量%未満では平滑性が低下すると共に、仮撚加工での毛羽抑制効果が少ない。また、油剤の付着量が1.5重量%を超えると仮撚加工でのヒーター汚れが多くなり、仮撚加工での糸切れが多くなる。油剤の付着量は、好ましくは0.5〜1.0重量%である。
【0021】
本発明では、通常、ポリエステル糸条を、紡糸速度2,000m/分以上3,500m/分以下で一旦巻き取り、部分配向糸(POY)とした後、仮撚加工処理を行う。仮撚加工処理としては、延伸摩擦仮撚加工や延伸ピン仮撚加工等が挙げられる。特に生産性の観点から延伸摩擦仮撚加工が好ましい。延伸摩擦仮撚加工とは、延伸と同時に、ウレタンディスクやベルトニップによる仮撚加工を行う方法のことであり、加工速度は通常400〜1,000m/分である。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。なお、実施例中における油分付着量と仮撚加工性毛羽の評価は、次のように行った。
(油分付着量)
得られた部分配向糸(POY)を10g精秤し、メタノール100mlで油剤を抽出する。抽出分のPOYに対する割合(重量%)を油分付着量(重量%)とした(サンプル数5の平均値)。
(仮撚加工性)
仮撚加工速度800m/分で仮撚加工糸5kg分の仮撚加工を行ったときの、糸切れを評価し、216錘中の糸切れ本数を比率(%)に換算した。
(毛羽)
フライカウンター装置(東レ(株)製 モデルMFC−1110型)を用いて、加工糸5,000mあたりの毛羽カウント数を計測し、8本の平均値とした(単位:個/5,000m)。
【0023】
<実施例1>
酸化アルミニウム(δアルミナ)を0.5重量%含有するPETフィルムを再生原料とし、溶融紡糸(紡糸温度290℃)を行った。エチレンオキシド/プロピレンオキシド(=50/50)の共重合ポリエーテル(重量平均分子量:5,000)を20重量%含有するポリエーテル系紡糸油剤を、溶融紡糸した糸条に対し0.8重量%付着させた後、紡糸速度3,000m/分で巻き取った。 得られたポリエステル部分配向糸(POY)を、ウレタンディスクによる仮撚加工機にて延伸摩擦仮撚加工(延伸倍率1.75倍、加工ヒーター温度220℃、加工速度800m/分)を行い、167デシテックス48フィラメントの仮撚加工糸を得た。得られたポリエステル仮撚加工糸の糸切れ発生率は0%であり、毛羽レベルは5000mあたり0個であった。結果を表1に示す。
【0024】
<実施例2〜5、比較例1〜3>
表1のとおり、酸化アルミニウム含有量の異なるPETフィルムを使用したこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0025】
<実施例6〜10、比較例4〜6>
表1のとおり、共重合ポリエーテルの重量平均分子量と油剤中の含有率を変更したこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0026】
<実施例11〜12、比較例7〜8>
表1のとおり、油剤の付着量を変更したこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
<実施例13>
酸化アルミニウム(βアルミナ)を0.8重量%含有するPETフィルムを再生原料とし、溶融紡糸を行った(溶融紡糸温度295℃)。エチレンオキシド/プロピレンオキシド(=60/40)の共重合ポリエーテル(重量平均分子量:6,000)を10重量%含有するポリエーテル系紡糸油剤を、溶融紡糸した糸条に対し、0.9重量%付着させた後、紡糸速度3,200m/分で巻き取った。 得られたポリエステル部分配向糸(POY)を、ウレタンディスクによる仮撚加工機にて延伸摩擦仮撚加工(延伸倍率1.72倍、加工ヒーター温度210℃、加工速度800m/分)を行い、167デシテックス48フィラメントの仮撚加工糸を得た。得られたポリエステル仮撚加工糸の糸切れ発生率は0%であり、毛羽レベルは5000mあたり0個であった。
【0029】
<実施例14>
酸化アルミニウム(δアルミナ)を0.5重量%含有するPETフィルムを再生原料とし、溶融紡糸(紡糸温度290℃)を行った。エチレンオキシドのみからなるポリエーテル(重量平均分子量:5,000)を20重量%含有するポリエーテル系紡糸油剤を、溶融紡糸した糸条に対し0.8重量%付着させた後、紡糸速度3,000m/分で巻き取った。 得られたポリエステル部分配向糸(POY)を、ウレタンディスクによる仮撚加工機にて延伸摩擦仮撚加工(延伸倍率1.75倍、加工ヒーター温度220℃、加工速度800m/分)を行い、167デシテックス48フィラメントの仮撚加工糸を得た。得られたポリエステル仮撚加工糸の糸切れ発生率は0.46%であり、毛羽レベルは5000mあたり1個であった。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、特定種、特定量の無機粒子を含有したフィルムを再生原料とし、かつ溶融紡糸の際に特定の油剤を用いることにより、仮撚加工性が安定し、毛羽の少ないポリエステル仮撚加工糸を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープ等に用いられているポリエステルフィルムを再生原料としたポリエステル仮撚加工糸の製造方法に関し、特に、仮撚加工性が良好でかつ毛羽が少ない仮撚加工糸の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す。)をはじめとするポリエステルは、高融点で耐薬品性があり低価格のため、繊維、フィルムおよび成形品等に広く用いられている。
【0003】
近年、環境問題から種々の分野でリサイクル性が求められてきており、ポリエステルにおいてもPETボトルをはじめとするポリエステル成形品を、再溶融しチップ化して、再び繊維、フィルムあるいは成形品にするというリサイクルが行われている。しかしながら、このようにポリエステルからなる繊維、フィルムあるいは成形品を再溶融すると、機械的強度の低下等が発生するという問題があった。そして、この機械的強度を改善する試みとして、ポリエステルに特定量の水を付与して溶融混練する方法や、ポリエステルに特定粒子を添加する方法が提案されている(特許文献1と特許文献2参照。)。しかしながら、これらの方法でポリエステルを繊維に再生した場合、特に、得られた再生繊維を仮撚加工する場合には機械的強度改善効果は不十分な場合があり、なお機械的強度が低下し、糸切れや、毛羽が発生するという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−300742号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2001−040528号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、上述した従来の問題点を解消し、仮撚加工性が良好で毛羽の少ないポリエステル仮撚加工糸を得る方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明は、次の構成を有する。即ち、本発明のポリエステル仮撚加工糸の製造方法は、再生原料であるポリエステルフィルムを溶融紡糸し得られた糸条を仮撚加工するに際し、再生原料として、酸化アルミニウム粒子を0.05重量%以上5重量%以下含有したポリエステルフィルムを使用し、かつ、油剤中に重量平均分子量が4,000以上のポリエーテル成分を5重量%以上50重量%以下含有するポリエーテル系紡糸油剤を糸条に対し0.3重量%以上1.5重量%付与することを特徴とするポリエステル仮撚加工糸の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のポリエステル仮撚加工糸の製造方法について詳細に説明する。
【0009】
本発明は、ポリエステルフィルムを再生原料としてポリエステル仮撚加工糸を製造する方法である。
【0010】
ポリエステルフィルムを構成しているポリエステルとは、ポリアルキレンテレフタレートやポリアルキレンナフタレートなどのポリエステルであるが、主たる酸成分をテレフタル酸、主たるグリコール成分をエチレングリコールとして構成されるポリエチレンテレフタレート(PET)が本発明に適している。また、上記成分の他にイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸あるいはポリエチレングリコールなどの第3成分が共重合されていてもよい。
【0011】
更に、本発明で再生原料として用いられるポリエステルフィルムは、本発明の目的を達成するため、αアルミナ、γアルミナおよびδアルミナ等から選ばれる酸化アルミニウム粒子を0.05重量%以上5重量%含有するものである。酸化アルミニウム粒子の配合量が0.05重量%に満たない場合は、仮撚加工性において劣り毛羽多発の問題が発生する。また、酸化アルミニウム粒子の配合量が5重量%を超えると、溶融紡糸での糸切れが多発し、仮撚加工性にも問題が発生する。酸化アルミニウム粒子の好ましい配合量は、0.1〜3重量%である。
【0012】
再生原料となるポリエステルフィルム形状に特に指定はないが、エクストルーダー等で均一に溶融させる観点から、屑状に細かくして用いることが好ましい。
【0013】
本発明においては、上記したポリエステルフィルム再生原料を用いて溶融紡糸を行う。溶融紡糸は公知の方法により実施でき、溶融紡糸する前に二酸化チタン等の艶消し剤等を添加することが可能である。
【0014】
溶融紡糸は通常の公知の方法により行うことができる。例えば、通常280℃〜300℃の溶融温度下で口金を通してポリマーを吐出し、冷却した後、紡糸油剤を付与する。
【0015】
本発明においては、溶融紡糸時に、油剤中に重量平均分子量が3,500以上のポリエーテル成分を5重量%以上50重量%以下含有するポリエーテル系紡糸油剤を用いることが重要である。
【0016】
重量平均分子量が4,000以上のポリエーテル成分の具体例としては、例えば、エチレンオキシドからなるポリエーテル、プロピレンオキシドからなるポリエーテル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドがランダムまたはブロックに共重合したポリエーテル等が挙げられる。中でも、仮撚加工性や耐毛羽性の観点からエチレンオキシドとプロピレンオキシドがランダムまたはブロックに共重合したポリエーテルを用いることが好ましい。また、該共重合ポリエーテルの各成分の共重合比率は好ましくは20:80〜80:20である。
【0017】
ポリエーテル成分は、毛羽を少なくする観点から、重量平均分子量が4,000以上のものを用いる。また、平滑性の点から重量平均分子量が10,000以下が好ましい。
【0018】
本発明では、毛羽抑制効果を得るために、上記した重量平均分子量4,000以上のポリエーテル成分は油剤中に5重量%以上必要であるが、50重量%を超えると油剤粘度が高くなり平滑性が損なわれる。油剤中の好ましいポリエーテル成分の含有率は10〜30重量%である。
【0019】
なお、油剤中のポリエーテルの重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)等によって求めたものである。
【0020】
本発明においては、上記したポリエーテル系紡糸油剤を、溶融紡糸したポリエステル糸条に対し、0.3重量%以上1.5重量%以下で付与することが重要である。この油剤の付着量が0. 3重量%未満では平滑性が低下すると共に、仮撚加工での毛羽抑制効果が少ない。また、油剤の付着量が1.5重量%を超えると仮撚加工でのヒーター汚れが多くなり、仮撚加工での糸切れが多くなる。油剤の付着量は、好ましくは0.5〜1.0重量%である。
【0021】
本発明では、通常、ポリエステル糸条を、紡糸速度2,000m/分以上3,500m/分以下で一旦巻き取り、部分配向糸(POY)とした後、仮撚加工処理を行う。仮撚加工処理としては、延伸摩擦仮撚加工や延伸ピン仮撚加工等が挙げられる。特に生産性の観点から延伸摩擦仮撚加工が好ましい。延伸摩擦仮撚加工とは、延伸と同時に、ウレタンディスクやベルトニップによる仮撚加工を行う方法のことであり、加工速度は通常400〜1,000m/分である。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。なお、実施例中における油分付着量と仮撚加工性毛羽の評価は、次のように行った。
(油分付着量)
得られた部分配向糸(POY)を10g精秤し、メタノール100mlで油剤を抽出する。抽出分のPOYに対する割合(重量%)を油分付着量(重量%)とした(サンプル数5の平均値)。
(仮撚加工性)
仮撚加工速度800m/分で仮撚加工糸5kg分の仮撚加工を行ったときの、糸切れを評価し、216錘中の糸切れ本数を比率(%)に換算した。
(毛羽)
フライカウンター装置(東レ(株)製 モデルMFC−1110型)を用いて、加工糸5,000mあたりの毛羽カウント数を計測し、8本の平均値とした(単位:個/5,000m)。
【0023】
<実施例1>
酸化アルミニウム(δアルミナ)を0.5重量%含有するPETフィルムを再生原料とし、溶融紡糸(紡糸温度290℃)を行った。エチレンオキシド/プロピレンオキシド(=50/50)の共重合ポリエーテル(重量平均分子量:5,000)を20重量%含有するポリエーテル系紡糸油剤を、溶融紡糸した糸条に対し0.8重量%付着させた後、紡糸速度3,000m/分で巻き取った。 得られたポリエステル部分配向糸(POY)を、ウレタンディスクによる仮撚加工機にて延伸摩擦仮撚加工(延伸倍率1.75倍、加工ヒーター温度220℃、加工速度800m/分)を行い、167デシテックス48フィラメントの仮撚加工糸を得た。得られたポリエステル仮撚加工糸の糸切れ発生率は0%であり、毛羽レベルは5000mあたり0個であった。結果を表1に示す。
【0024】
<実施例2〜5、比較例1〜3>
表1のとおり、酸化アルミニウム含有量の異なるPETフィルムを使用したこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0025】
<実施例6〜10、比較例4〜6>
表1のとおり、共重合ポリエーテルの重量平均分子量と油剤中の含有率を変更したこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0026】
<実施例11〜12、比較例7〜8>
表1のとおり、油剤の付着量を変更したこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
<実施例13>
酸化アルミニウム(βアルミナ)を0.8重量%含有するPETフィルムを再生原料とし、溶融紡糸を行った(溶融紡糸温度295℃)。エチレンオキシド/プロピレンオキシド(=60/40)の共重合ポリエーテル(重量平均分子量:6,000)を10重量%含有するポリエーテル系紡糸油剤を、溶融紡糸した糸条に対し、0.9重量%付着させた後、紡糸速度3,200m/分で巻き取った。 得られたポリエステル部分配向糸(POY)を、ウレタンディスクによる仮撚加工機にて延伸摩擦仮撚加工(延伸倍率1.72倍、加工ヒーター温度210℃、加工速度800m/分)を行い、167デシテックス48フィラメントの仮撚加工糸を得た。得られたポリエステル仮撚加工糸の糸切れ発生率は0%であり、毛羽レベルは5000mあたり0個であった。
【0029】
<実施例14>
酸化アルミニウム(δアルミナ)を0.5重量%含有するPETフィルムを再生原料とし、溶融紡糸(紡糸温度290℃)を行った。エチレンオキシドのみからなるポリエーテル(重量平均分子量:5,000)を20重量%含有するポリエーテル系紡糸油剤を、溶融紡糸した糸条に対し0.8重量%付着させた後、紡糸速度3,000m/分で巻き取った。 得られたポリエステル部分配向糸(POY)を、ウレタンディスクによる仮撚加工機にて延伸摩擦仮撚加工(延伸倍率1.75倍、加工ヒーター温度220℃、加工速度800m/分)を行い、167デシテックス48フィラメントの仮撚加工糸を得た。得られたポリエステル仮撚加工糸の糸切れ発生率は0.46%であり、毛羽レベルは5000mあたり1個であった。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、特定種、特定量の無機粒子を含有したフィルムを再生原料とし、かつ溶融紡糸の際に特定の油剤を用いることにより、仮撚加工性が安定し、毛羽の少ないポリエステル仮撚加工糸を得ることができる。
Claims (3)
- 再生原料であるポリエステルフィルムを溶融紡糸し得られた糸条を仮撚加工するに際し、再生原料として、酸化アルミニウム粒子を0.05重量%以上5重量%以下含有したポリエステルフィルムを使用し、かつ、油剤中に重量平均分子量が4,000以上のポリエーテル成分を5重量%以上50重量%以下含有するポリエーテル系紡糸油剤を糸条に対し0.3重量%以上1.5重量%付与することを特徴とするポリエステル仮撚加工糸の製造方法。
- ポリエーテル成分が、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダムまたはブロック共重合体であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル仮撚加工糸の製造方法。
- 仮撚加工が延伸摩擦仮撚加工であることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル仮撚加工糸の製造方法。
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