JP2011162889A - ポリエステル混繊糸およびポリエステル布帛 - Google Patents

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Abstract

【課題】パウダータッチで、ソフト感、軽量感に優れ、しかも経筋斑が発生せず品位に優れた布帛が得られるポリエステル混繊糸およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリエステルマルチフィラメントAが鞘部を、ポリエステルマルチフィラメントBが芯部を形成する芯鞘型混繊糸であって、下記要件を満足することを特徴とするポリエステル混繊糸。
a)下記(イ)〜(ハ)を満足すること。
(イ)10dtex≦DA+DB≦60dtex
(ロ)0.5dtex≦DA/FA≦2.0dtex
(ハ)1.0dtex≦DB/FB≦3.0dtex
DA:ポリエステルマルチフィラメントAの全繊度(dtex)
DB:ポリエステルマルチフィラメントBの全繊度(dtex)
FA:ポリエステルマルチフィラメントAのフィラメント数
FB:ポリエステルマルチフィラメントBのフィラメント数
b)ポリエステルマルチフィラメントAが、下記一般式(1)で表されるアルキルスルホン酸化合物を添加してなるポリエステルを繊維化後にアルカリ化合物の水溶液で処理してえられたものである。
RSOM 式(1)
(但し、Rは炭素数3〜30のアルキル基又は炭素数7〜40のアリール基もしくはアルキルアリール基、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を示す。)
c)ポリエステルマルチフィラメントAの平均糸長がポリエステルマルチフィラメントBの平均糸長より5〜25%長いこと。
d)混繊糸の強度が2.5cN/dtex以上であること。
e)ポリエステルマルチフィラメントAを構成するポリマー全重量に対して0.1〜3重量%のポリメチルメタアクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーを含有すること。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル混繊糸及びその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、パウダータッチで、ソフト感、軽量感に優れ且つ糸長方向での均一品質性に優れたポリエステル混繊糸およびその製造方法に関するものである。
ポリエステルはその優れた特性を生かし衣料用繊維として広く用いられている。しかし近年、衣料での要求は益々高度化しており、特に婦人服などにおいて、ソフトなフィブリル感に優れ、且つ軽量感等、着用快適性にも優れたものが求められるようになっている。こうしたフィブリル感を付与する方法として、有機スルホン酸金属塩などを添加配合したポリエステルからなる繊維を織編物となし、織編物表面にアルカリ処理を施してバッフィング処理を行うか、若しくはバッフィング処理を施した後アルカリ加水分解処理を行うことにより、ポリエステル繊維をミクロフィブリル化して織編物表面に毛羽を形成せしめる方法が開示されている。(例えば、特許文献1など)
しかし、ポリエステルに非相溶である有機スルホン酸金属塩などをブレンドして得られるポリエステル繊維では、有機スルホン酸金属塩などのポリエステル繊維内での分散状態をコントロールすることが難しく、織編物を構成する繊維間でフィブリル化の程度に斑が生じ、織編物の表面に筋状の斑が発生し、織物品位が劣化するという問題がある。
また、最近では単にフィブリル感というのではなく、極めてソフトで、パウダーが触れたような繊細なタッチが求められている。また、一方では、軽量感、反撥弾性等、着用快適性にも優れたものが望まれているが、上述の如く従来技術では軽量感を得るために細繊度化した場合、更に織編物を構成する繊維間でのフィブリル斑が大きくなるという問題があった。
特開昭58−98457号公報
本発明は、上記従来技術を背景になされたもので、その目的は、パウダータッチで、ソフト感、軽量感に優れ、しかも経筋斑が発生せず品位に優れた布帛が得られるポリエステル混繊糸およびその製造方法を提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、有機スルホン酸金属塩に加え、さらに特定のポリマーをブレンドしたポリエステル繊維は、フィブリル化が促進され、しかも該ポリマーを含有しない繊維よりも高伸度化が図れ、これらの繊維を細繊度化した場合、パウダータッチで、軽量感、反撥弾性等、着用快適性にも優れた、品質の高いポリエステル混繊糸を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明の目的は、下記により達成される。
ポリエステルマルチフィラメントAが鞘部を、ポリエステルマルチフィラメントBが芯部を形成する芯鞘型混繊糸であって、下記要件を満足することを特徴とするポリエステル混繊糸。
a)下記(イ)〜(ハ)を満足すること。
(イ)10dtex≦DA+DB≦60dtex
(ロ)0.5dtex≦DA/FA≦2.0dtex
(ハ)1.0dtex≦DB/FB≦3.0dtex
DA:ポリエステルマルチフィラメントAの全繊度(dtex)
DB:ポリエステルマルチフィラメントBの全繊度(dtex)
FA:ポリエステルマルチフィラメントAのフィラメント数
FB:ポリエステルマルチフィラメントBのフィラメント数
b)ポリエステルマルチフィラメントAが、下記一般式(1)で表されるアルキルスルホン酸化合物を添加してなるポリエステルを繊維化後にアルカリ化合物の水溶液で処理して得られたものである。
RSOM 式(1)
(但し、Rは炭素数3〜30のアルキル基又は炭素数7〜40のアリール基もしくはアルキルアリール基、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を示す。)
c)ポリエステルマルチフィラメントAの平均糸長がポリエステルマルチフィラメントBの平均糸長より5〜25%長いこと。
d)混繊糸の強度が2.5cN/dtex以上であること。
e)ポリエステルマルチフィラメントAを構成するポリマー全重量に対して0.1〜3重量%のポリメチルメタアクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーを含有すること。
好ましくは、
ポリエステルマルチフィラメントBがポリエステル全酸成分に対して8〜40モル%の第3成分を共重合したポリエステルであるポリエステル混繊糸。
別の発明の態様として、
ポリエステル混繊糸の製造方法であって、ポリエステルマルチフィラメントAとポリエステルマルチフィラメントBを同一または異なる紡糸口金からそれぞれ溶融紡糸し、夫々の吐出糸条群を冷却固化した後、これらを合糸し、1500〜4000m/分の速度で引き取った未延伸糸に、空気交絡を施し、延伸するポリエステル混繊糸の製造方法が提供される。
さらに別の発明の態様として、
上記ポリエステル混繊糸を含む織編物からなる布帛が提供される。
本発明のポリエステル混繊糸は、ソフトで、パウダータッチであり、加えて軽量感、高反撥弾性等の着用快適性も兼ね備えており、しかも経筋欠点がなく品質的にも優れた布帛を得ることができる。また、本発明の製造方法によれば、上記ポリエステル混繊糸を効率よく安定して製造することができる。
(ポリエステルマルチフィラメントAについて)
本発明の混繊糸を構成するポリエステルマルチフィラメントAで使用するポリエステルは、テレフタル酸を主たる酸成分とし、少なくとも1種のアルキレングリコール、好ましくはエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールから選ばれた少なくとも1種のアルキレングリコールを主たるグリコール成分とするポリアルキレンテレフタレートを主たる対象とし、なかでもポリエチレンテレフタレートが好ましい。かかるポリエステルには、本発明の目的を阻害しない範囲内、好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下の範囲内で従来公知の共重合成分が含まれていてもよく、例えばイソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等の二官能性カルボン酸や、例えばシクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等のジオール化合物を例示することができる。さらには、ポリオキシアルキレングリコールを共重合してもよい。
かかるポリエステルは任意の方法によって合成したものでよい。例えば、ポリエチレンテレフタレートについて説明すれば、通常、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるか又はテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテレフタル酸のグリコールエステル及び/又はその低重合体を生成させる第1段階の反応と、第1段階の反応生成ものを減圧下加圧して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第2段階の反応によって製造される。上記ポリエステルの固有粘度(オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定)は0.4〜0.8の範囲が好ましく、0.5〜0.7の範囲が適当である。
またポリエステルマルチフィラメントAで使用するポリエステルには、繊維化後にアルカリ処理によりパウダータッチを発現させるために下記式(1)で表される有機スルホン酸金属塩をポリマー全重量基準で0.5〜2.5重量%添加されてなることが肝要である。これにより、ポリエステル混繊糸は、パウダータッチで、軽量感、反撥弾性等、着用快適性にも優れ、しかも経筋斑が発生せず品位に優れた布帛とすることができる。
RSOM 式(1)
(但し、Rは炭素数3〜30のアルキル基または炭素数7〜40のアリール基もしくはアルキルアリール基、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を示す。)
上記式において、Rがアルキル基またはアルキルアリール基であるときは、該アルキルは直鎖状でも分岐した側鎖を有していてもよい。特にポリエステルとの相溶性の点からRがアルキル基であるアルキルスルホン酸金属塩が好ましい。また、Mはナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)等のアルカリ金属、またはカルシウム(Ca1/2)、マグネシウム(Mg1/2)等のアルカリ土類金属であり、なかでもナトリウム、カリウムが好ましい。
このような有機スルホン酸金属塩としては、具体的には、ステアリルスルホン酸ナトリウム、オクチルスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明においては、上記有機スルホン酸金属塩の含有量は、マルチフィラメントAの、有機スルホン酸金属塩を含有するポリエステル全重量を基準として0.5〜2.5重量%、好ましくは0.8〜1.2重量%である必要がある。これにより、上記ポリエステル混繊糸を、アルカリ減量処理することにより、マルチフィラメントAの表面に繊維軸方向に配列したフィブリルを形成し、ソフトタッチの布帛を得ることができる。したがって、有機スルホン酸金属塩の含有量が0.5%未満では、繊維のフィブリル化が十分に起こらなくなりソフト感が不足する。逆に、上記含有量が2.5%を超える場合は、強度低下を招き、毛羽が多発するだけでなく、フィブリル化が不均一となり、布帛表面に経筋斑が発生する。
一方、ポリエステルマルチフィラメントAはポリメチルメタアクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーを含むことが必要で、その混合割合は、前述した有機スルホン酸金属塩を含有するポリエステルと、上記ポリメチルメタアクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーとの混合ポリマー全重量を基準として0.1〜2.0重量%、好ましくは、0.2〜1.0重量%である必要がある。これによって、上記マルチフィラメントAがポリエステル混繊糸の鞘部に配され、該ポリエステル混繊糸からは、ソフトな風合いを有し、経筋斑のない高品質の布帛を得ることができる。これは、マルチフィラメントAが、ポリメチルメタアクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーが含有されることによって低配向となるためと推定される。
(ポリエステルマルチフィラメントBについて)
ポリエステルマルチフィラメントBで使用されるポリエステルは、テレフタル酸を主たる酸成分とし、少なくとも1種のアルキレングリコール、好ましくはエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールから選ばれた少なくとも1種のアルキレングリコールを主たるグリコール成分とするポリアルキレンテレフタレートを主たる対象とし、なかでもポリエチレンテレフタレートが好ましい。
好ましくはポリエステル全酸成分に対して8〜40モル%の第3成分を共重合したポリエステルである。第3成分として、例えばイソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等の二官能性カルボン酸や、例えばシクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等のジオール化合物を例示することができる。さらには、ポリオキシアルキレングリコールを共重合してもよい。
(混繊糸について)
本発明のポリエステル混繊糸においては、軽量感、反撥弾性等、着用快適性を満足させるために、総繊度が10〜60dtex、マルチフィラメントA及びBの繊度、フィラメント数が下記(イ)〜(ハ)を満足することが必要である。
(イ)10dtex≦DA+DB≦60dtex
(ロ)0.5dtex≦DA/FA≦2.0dtex
(ハ)1.0dtex≦DB/FB≦3.0dtex
DA:ポリエステルマルチフィラメントAの全繊度(デシテックス)
DB:ポリエステルマルチフィラメントBの全繊度(デシテックス)
FA:ポリエステルマルチフィラメントAのフィラメント数
FB:ポリエステルマルチフィラメントBのフィラメント数
ポリエステルマルチフィラメントAを構成するフィラメントの単糸繊度(DA/FA)が0.5dtex未満の場合には繊細なタッチは得られるものの、毛羽が多発する等、品位面での問題が生じる。一方、2.0dtexを超える場合には十分に繊細なタッチを得ることが出来ない。また、ポリエステルマルチフィラメントBを構成するフィラメントの単糸繊度(DB/FBA)が1.0dtex未満の場合には十分な反撥弾性が得られず、3.0dtexを超える場合にはポリエステルマルチフィラメントAの効果が薄れ、混繊糸にした際の繊細なタッチが失われる。
更に、ポリエステルマルチフィラメントAの平均糸長がポリエステルマルチフィラメントBの平均糸長より5〜25%長いことが必要である。マルチフィラメントAの平均糸長が、マルチフィラメントBの平均糸長よりも5〜20%、好ましくは8〜15%長いことが必要であり、これによりマルチフィラメントAが鞘部に配された構造となる。上記糸長の差が、5%未満では布帛の反撥弾性が低くなり、一方、20%を越えると布帛がガサツキ感を呈するようになる。
(混繊糸の製造方法)
以上に説明したポリエステル混繊糸は次の方法により製造することができる。すなわち、有機スルホン酸金属塩を0.5〜2.5重量%含有したポリエステルと、ポリメチルメタアクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーとの混合ポリマーで、ポリメチルメタアクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーの割合が該混合ポリマーの重量を基準として0.5〜3.0重量%である混合ポリマーをポリエステルマルチフィラメントA用ポリマーとし、ポリメチルメタアクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーのいずれも含有していないポリマー、好ましくは全酸成分を基準として8〜40モル%の割合で第3成分を共重合したポリエステルをポリエステルマルチフィラメントB用ポリマーとし、同一または異なる紡糸口金から夫々溶融吐出し、夫々の吐出糸条群を冷却固化した後、これらを合糸し、1500〜4000m/分の速度で引き取った未延伸糸に、空気交絡を施し、延伸することによって、上記のポリエステル混繊糸を製造することができる。
一方のポリエステルに、有機スルホン酸金属塩、および、ポリメチルメタクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーを含有させるのに際しては、有機スルホン酸金属塩をあらかじめ含有させたポリエステルのペレットに、ポリメチルメタクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーのペレットを添加し、これらを溶融混合して、紡糸口金から溶融吐出するか、あるいは、有機スルホン酸金属塩をあらかじめ含有させたポリエステルを溶融したものと、ポリメチルメタクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーを溶融したものとを混合して、紡糸口金から溶融吐出する方法などを採用することができる。また、成形性の点からは、有機スルホン酸金属塩をあらかじめ含有させたポリエステルと、ポリメチルメタクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーとを溶融状態で混合し、あらかじめペレットとして成形しておき、これを紡糸口金から溶融吐出させるのが好ましい。この際、使用するポリメチルメタアクリレート系ポリマー及びポリスチレン系ポリマーは、アタックチックまたはシンジオタクチック構造を示す非晶性ポリマーであっても良いし、また、アイソタックチック構造を示す結晶性のポリマーであっても構わない。
上記方法においては、一方の吐出糸条には、ポリメチルメタアクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーが含有されていることにより、伸長粘度低下、及び、配向結晶抑制が発現する。そして、これらを合糸して、引き取った未延伸糸条においては、上記ポリマーを含有した未延伸マルチフィラメントAが、該ポリマーを含有しない未延伸マルチフィラメントBよりも高伸度となっており、さらに、該未延伸糸を同時延伸することで、マルチフィラメントAが鞘部、マルチフィラメントBが芯部に配されたポリエステル混繊糸を得ることができる。
この際、上記の未延伸糸においては、これを構成する未延伸マルチフィラメントAと未延伸マルチフィラメントBの伸度差が、あまり小さくても芯鞘構造となりにくく、また大きすぎても同時延伸で張力変動が発生しやすくなる。このため、未延伸マルチフィラメントAの平均伸度が、未延伸マルチフィラメントBよりも30〜130%大きいことが好ましく、50〜100%大きいことがより好ましい。
未延伸糸の引き取り速度は、1500m/分未満の場合には、同時延伸の際、未延伸糸が脆化して糸切れが多発する。一方、4000m/分を超える場合には、紡糸工程で毛羽が発生しやすくなる。
(布帛の作成)
以上に説明した本発明のポリエステル混繊糸は、従来の公知の製編織工程へ供給されて織編物、好ましくは織物として使用される。得られた織編物は、通常ポリエステル布帛に施されるアルカリ減量処理により、該ポリエステル混繊糸の鞘部を構成するポリエステルマルチフィラメントAから有機スルホン酸金属塩が溶出除去され、ポリエステル混繊糸の表面部がフィブリル化する。
(アルカリ減量)
上記の製織編された布帛を、公知のアルカリ減量装置を用いてスルホン酸金属塩を溶出する方法は次の通りである。
ここで使用するアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等をあげることができる。なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが特に好ましい。
かかるアルカリ化合物の水溶液の濃度は、アルカリ化合物の種類、処理条件等によって異なるが、通常0.01〜40重量%の範囲が好ましく、特に0.1〜30重量%の範囲が好ましい。処理温度は常温〜100℃の範囲が好ましく、処理時間は1分〜4時間の範囲で通常行なわれる。また、このアルカリ化合物の水溶液の処理によって溶出除去する量は、繊維重量に対して2重量%以上の範囲にすべきである。このようにアルカリ化合物の水溶液で処理することによって、該ポリエステル混繊糸から有機スルホン酸金属塩が溶出除去され、ポリエステル混繊糸の表面部にフィブリルが形成される。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例における各項目は次の方法で測定した。
(1)固有粘度
オルソ−クロルフェノールに溶解し、ウベローデ粘度管を用い、35℃で測定した。
(2)紡糸断糸
紡糸設備で1週間溶融紡糸を行い断糸した回数を記録し、1日1錘当りの紡糸断糸回数を紡糸断糸とした。ただし、人為的あるいは機械的要因による断糸は断糸回数から除外した。
(3)未延伸マルチフィラメントAと未延伸マルチフィラメントBの伸度差
未延伸糸を気温25℃、湿度60%の恒温恒湿に保たれた部屋に1昼夜放置した後、サンプル長さ100mmを(株)島津製作所製引張試験機テンシロンにセットし、200mm/分の速度にて引張り荷伸曲線を記録した。記録したチャートから2群の構成マルチフィラメントの荷伸曲線を特定し、各々の破断時の伸度を読み取り、その差を未延伸マルチフィラメントAと未延伸マルチフィラメントBとの伸度差とした。
(4)マルチフィラメントAとBとの糸長差
50cmのポリエステル混繊糸の一端に0.176cN/dtex(0.2g/de)の荷重を掛け、垂直に吊るし、正確に5cm間隔のマーキングを行った。荷重を外し、マーキング部分を正確に切りとって10本の試料とした。この試料より、鞘部のフィラメントおよび芯部のフィラメントとを各々10本取出し、各々の単糸に0.03cN/dtex(1/30g/de)の加重を掛けて、垂直に吊るし、各々の長さを測定する。10本の試料について上記の測定を行い、各々の平均値をLa(鞘部糸長)およびLb(芯部糸長)とし、下記式で糸長差を計算した。
糸長差=(La−Lb)/La×100%
(5)ポリエステル混繊糸の強度、伸度
JIS L−1013−75に準じて測定した。
(6)毛羽個数
東レ(株)製DT−104型毛羽カウンター装置を用いて、複合仮撚加工糸を500m/分の速度で20分間連続測定して発生毛羽数を計測し、サンプル長1万m当たりの個数で表した。
(7)染めの経筋
混繊糸に400回/mの撚りを掛け、経緯使いの平織り組織(目付け135g/m)で製織し、80℃で精錬・リラックス処理、160℃・45秒でプレセット乾熱処理を行った。この織物を、常法のカレンダー加工機に通し、160℃に加熱されたローラーで押圧した後、10%のアルカリ減量処理を行い、押圧された織物表面を主体的にフィブリル化した。ついで120℃・30分で染色を行い、自然乾燥した後、160℃・45秒でファイナルセットを行い、評価用織物とした。3人の検査員により、フィブリル化した織物表面の目視検査を行い、以下の格付けを行った。
レベル1 :織物表面が均一な細かい毛羽状態となっており、経筋は認められない。
レベル5 :織物表面の毛羽状態が不均一で、長短の明瞭な経筋が一面に認められる。
レベル2〜4:織物表面の毛羽状態および経筋の発生状況が上記レベル1とレベル5の間に格付けされる。
(8)風合い
(7)で得られた織物について、3人の検査官により、手で触って、ソフト感、パウダータッチを下記のようにそれぞれ3段階で評価した。
(ソフト感)
レベル1:ソフトでしなやかな感触がある
レベル2:ややソフト感が乏しい
レベル3:カサカサした触感あるいは硬い触感である
(パウダータッチ)
レベル1:極めてパウダータッチ感が良好である。
レベル2:ややパウダータッチに乏しい。
レベル3:パウダータッチでない。
(9)反撥性(曲げ硬さ、曲げ反撥性)
KES(男用冬スーツ風合い)により、曲げ反撥性(BR(%))、及び、曲げ硬さ(BS(g))を測定した。曲げ反撥性(BR)が90%以上、曲げ硬さ(BS)が2.3g以上のものが、反撥弾性が良好である。
[実施例1]
固有粘度が0.64で、炭素数が14のアルキルスルホン酸ナトリウムを1.2重量%含有するポリエチレンテレフタレートに、分子量が50000、メルトインデックスが9.0のシンジオタクティックポリスチレン(PS)を、該ポリエチレンテレフタレートの重量を基準として1.5重量%混合した混合ポリマー(A1)のペレットを作成しこれを常法で乾燥した。一方、固有粘度が0.64であるポリエチレンテレフタレート(B1)のペレットを常法で乾燥した。
上記ポリマーA1及びB1の乾燥ペレットを、それぞれ2基のスクリュー押出機を装備した複合紡糸設備にて各々常法で溶融し、スピンブロックを通して、スピンパックに導入した。A1の溶融ポリマー流は、該スピンパックに組み込まれた円形吐出孔を24個穿設した紡糸口金から、B1の溶融ポリマー流は円形吐出孔を12個穿設した紡糸口金よりそれぞれ別々に吐出した。引き続き、吐出された2群のポリマー流を、通常のクロスフロー型紡糸筒からの冷却風で冷却・固化し、一つの糸条として集束し、3200m/分の速度で引き取り60dtex/36フィラメントの未延伸糸を得た。
公知の延伸方法で1.6倍に延伸し、40dtex/36フィラメントの混繊糸を得た。
この混繊糸を構成する鞘部はポリマーA1からなるマルチフィラメントA(20dtex24フィラメント)であり、芯部はポリマーB1からなるマルチフィラメントB(20dtex12フィラメント)であった。評価結果を表1に示す。
[実施例2、比較例1]
ポリスチレンの含有量を0.5重量%、0重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして混繊糸を得た。結果を表1に示す。
[実施例3、比較例2]
ポリスチレンを、分子量が33000、メルトインデックスが14.0のポリメチルメタクリレート(PMMA)に変更し、その含有量を3.0重量%、3.5重量%とした以外は、実施例1と同様にして混繊糸を得た。結果を表1に示す。
[実施例4〜5、比較例3〜4]
アルキルスルホン酸ナトリウムの含有量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして混繊糸を得た。結果を表1に示す。
[実施例6〜7、比較例5〜6]
ポリエステルマルチフィラメントA及びBの単糸繊度を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして混繊糸を得た。結果を表1に示す。
Figure 2011162889
本発明のポリエステル混繊糸は、パウダータッチで、ソフト感、軽量感に優れ、しかも経筋斑が発生せず品位に優れた布帛を得ることができる。このため、婦人衣料をはじめ、繊細な風合いが要求される用途にも広く展開することができる。

Claims (4)

  1. ポリエステルマルチフィラメントAが鞘部を、ポリエステルマルチフィラメントBが芯部を形成する芯鞘型混繊糸であって、下記要件を満足することを特徴とするポリエステル混繊糸。
    a)下記(イ)〜(ハ)を満足すること。
    (イ)10dtex≦DA+DB≦60dtex
    (ロ)0.5dtex≦DA/FA≦2.0dtex
    (ハ)1.0dtex≦DB/FB≦3.0dtex
    DA:ポリエステルマルチフィラメントAの全繊度(dtex)
    DB:ポリエステルマルチフィラメントBの全繊度(dtex)
    FA:ポリエステルマルチフィラメントAのフィラメント数
    FB:ポリエステルマルチフィラメントBのフィラメント数
    b)ポリエステルマルチフィラメントAが、下記一般式(1)で表されるアルキルスルホン酸化合物を添加してなるポリエステルを繊維化後にアルカリ化合物の水溶液で処理してえられたものである。
    RSOM 式(1)
    (但し、Rは炭素数3〜30のアルキル基又は炭素数7〜40のアリール基もしくはアルキルアリール基、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を示す。)
    c)ポリエステルマルチフィラメントAの平均糸長がポリエステルマルチフィラメントBの平均糸長より5〜25%長いこと。
    d)混繊糸の強度が2.5cN/dtex以上であること。
    e)ポリエステルマルチフィラメントAを構成するポリマー全重量に対して0.1〜3重量%のポリメチルメタアクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーを含有すること。
  2. ポリエステルマルチフィラメントBがポリエステル全酸成分に対して8〜40モル%の第3成分を共重合したポリエステルである請求項1に記載のポリエステル混繊糸。
  3. 請求項1〜2記載のポリエステル混繊糸の製造方法であって、ポリエステルマルチフィラメントAとポリエステルマルチフィラメントBを同一または異なる紡糸口金からそれぞれ溶融紡糸し、夫々の吐出糸条群を冷却固化した後、これらを合糸し、1500〜4000m/分の速度で引き取った未延伸糸に、空気交絡を施し、延伸することを特徴とするポリエステル混繊糸の製造方法。
  4. 請求項1〜2のいずれかに記載のポリエステル混繊糸を含む織編物からなる布帛。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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