JP2004300404A - 放射線硬化型組成物、光導波路およびその形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の放射線硬化型組成物は、(A)一般式(1):(R1)p(R2)qSi(X)4−p−q(式中、R1はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、R2は炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基(ただし、フッ素原子を含有するものを除く。)、Xは加水分解性基、pは1又は2の整数、qは0又は1の整数である。)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物またはその縮合物、及び(B)光酸発生剤を含有し、かつ当該組成物中のシラノール(Si−OH)基含量が、全Si上の結合基に対して0.1〜0.5である。
【選択図】図1
Description
これら伝送システムで用いられる光導波路は、例えば映画や動画等の大容量の情報伝達や光コンピュータ等を実現するための光デバイス、光電集積回路(OEIC)、並びに光集積回路(光IC)等における基本構成要素である。そして、光導波路は、大量の需要があることから鋭意研究される一方、特に高性能で、低コストの製品が求められている。
さらにこうしたC−D結合化やC−F結合化では、C−D結合の3倍音が1.55μm波長帯に依然現れてしまい、低損失化が困難であったり、あるいはC−F基の導入によってコア/クラッドやクラッド/基材の界面で剥離が生じたりするといった問題があった。
本発明では、このような事情を背景として、上述の各物性に優れる光導波路を迅速かつ簡易に形成するための材料を得ようとするものである。
また、本発明の別の目的は、このような光導波路を短時間でかつ簡単なプロセスで形成することができる光導波路の形成方法を提供することである。
すなわち、本発明(請求項1)の放射線硬化型組成物は、下記成分(A)及び(B):
(A)下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物及び該加水分解物の縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上、
(R1)p(R2)qSi(X)4−p−q (1)
[一般式(1)中、R1はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、R2は炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基(ただし、フッ素原子を含有するものを除く。)、Xは加水分解性基、pは1又は2の整数、qは0又は1の整数である。]
および
(B)光酸発生剤
を含有する放射線硬化型組成物であって、該組成物中の全Si上の結合基に占めるシラノール(Si−OH)基の含有率が、10〜50%であることを特徴としている。
このように構成した放射線硬化型組成物を用いれば、放射線照射の際に優れたパターニング性等を発揮しつつ、容易にかつ安価に光導波路を形成させることができる。また、この光導波路は、可視域から近赤外域に亘る広範囲の波長を有する光について、導波路損失が少なく、かつ耐クラック性や耐熱性等の特性にも優れている。
また、前記成分(A)として、さらに下記一般式(4)及び(5)からなる群より選ばれる少なくとも一種以上の構造を有するものを用いることができる(請求項4)。
本発明(請求項6)の光導波路の形成方法は、下部クラッド層と、該下部クラッド層上の領域の一部に形成されたコア部分と、前記コア部分を被覆するように前記下部クラッド層上に形成された上部クラッド層とを有してなる光導波路の形成方法において、前記下部クラッド層、前記コア部分および前記上部クラッド層の中から選ばれる少なくとも一つ以上を、上述の放射線硬化型組成物を材料として用いて塗工した後、放射線照射して光導波路を形成することを特徴としている。
本発明(請求項7)の光導波路は、下部クラッド層と、該下部クラッド層上の領域の一部に形成されたコア部分と、前記コア部分を被覆するように前記下部クラッド層上に形成された上部クラッド層とを有してなる光導波路において、前記下部クラッド層、前記コア部分および前記上部クラッド層の中から選ばれる少なくとも一つ以上が、上述の放射線硬化型組成物からなることを特徴としている。
また、本発明の放射線硬化型組成物によれば、優れた透明性や耐熱性を有し、界面で剥離を起こしたり導波路内部にクラックを発生させることがなく、しかも優れた形状精度を有する光導波路を製造することができる。
さらに、本発明の光導波路の形成方法によれば、導波路損失が少なく、しかもパターニング性、耐クラック性等に優れた光導波路を短時間でかつ簡単なプロセスで形成することができる。したがって、光通信システムにおいて用いられる光回路を作製するのに好適に用いられる光導波路を、安価に提供することができる。
[(A)成分]
本発明の成分(A)は、下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物及び該加水分解物の縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上からなるものであり、好ましくは、シラノール基含量が1〜10mmol/gのものである。ここで、加水分解性シラン化合物の加水分解物とは、例えば加水分解反応によりアルコキシ基がシラノール基に変化した生成物を意味するばかりでなく、一部のシラノール基同士、あるいはシラノール基とアルコキシ基が縮合した部分縮合物をも意味するものである。
(R1)p(R2)qSi(X)4−p−q (1)
[一般式(1)中、R1はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、R2は炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、Xは加水分解性基、pは1又は2の整数、qは0又は1の整数である。]
成分(A)は、一般に、前記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物、またはこれと一般式(1)以外の加水分解性シラン化合物との混合物を加熱することにより得ることができる。加熱によって加水分解性シラン化合物が加水分解されて加水分解物となり、あるいは該加水分解物が縮合反応を起こして、成分(A)が生成する。
一般式(1)におけるR1は、フッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基である。ここで、非加水分解性とは、加水分解性基Xが加水分解される条件において、そのまま安定に存在する性質であることを意味する。このような非加水分解性の有機基として、フッ素化アルキル基やフッ素化アリール基等を挙げることができる。具体的なフッ素化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、トリフルオロプロピル基、ヘプタデカフルオロデシル基、トリデカフルオロオクチル基、ノナフルオロヘキシル基等が挙げられる。また、具体的なフッ素化アリール基としては、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。
これらのうち、より好ましくは、CnF2n+1CmH2m[mは0〜5の整数、nは1〜12の整数であり、m+nは1〜12である。]で表されるフッ素化アルキル基であり、ヘプタデカフルオロデシル基、トリデカフルオロオクチル基、ノナフルオロヘキシル基等のようなフッ素含有量が大きく、かつ長鎖のものが特に好ましい。
一般式(1)中の添え字pは1又は2の整数であるが、好ましくは1である。
一般式(1)におけるR2は、炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基(ただし、フッ素原子を含有するものを除く。)である。R2としては、非重合性の有機基および重合性の有機基あるいはいずれか一方の有機基を選ぶことができる。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。好ましいハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等を挙げることができる。
また、アラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
また、重合性の有機基におけるラジカル重合性の官能基、およびカチオン重合性の官能基のうち、より好ましいものは、カチオン重合性の官能基である。光酸発生剤により、シラノール基における硬化反応のみならず、カチオン重合性の官能基における硬化反応を同時に生じさせることができるためである。
ここで、一般式(1)中の添え字qは0又は1の整数であるが、好ましくは0である。
一般式(1)におけるXは、加水分解性基である。ここで、加水分解性基とは、通常、1気圧でかつ触媒および過剰の水の存在下において、0〜150℃の温度範囲内で1〜10時間加熱することにより、加水分解されてシラノール基を生成することができる基、もしくはシロキサン縮合物を形成することができる基である。
ここで触媒としては、酸触媒、又はアルカリ触媒が挙げられる。酸触媒としては、例えば1価もしくは多価の有機酸や無機酸、ルイス酸等が挙げられる。有機酸の具体例としては、蟻酸、酢酸、シュウ酸等が挙げられる。ルイス酸の具体例としては、金属化合物、Ti、Zr、Al、B等の無機塩、アルコキシド、カルボキシレート等が挙げられる。アルカリ触媒の具体例としては、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物や、アミン類、酸性塩、塩基性塩等が挙げられる。加水分解に必要な触媒の添加量は、全シラン化合物に対して、0.001〜5%が好ましく、0.002〜1%であることがより好ましい。
ここで、炭素数1〜12のアルコキシ基の好ましい具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシベンジロキシ基、メトキシエトキシ基、アセトキシエトキシ基、2−(メタ)アクリロキシエトキシ基、3−(メタ)アクリロキシプロポキシ基、4−(メタ)アクリロキシブトキシ基などの他、グリシジロキシ基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エトキシ基等のエポキシ基含有アルコキシ基や、メチルオキセタニルメトキシ基、エチルオキセタニルメトキシ基等のオキセタニル基含有アルコキシ基や、オキサシクロヘキシロキシ等の6員環エーテル基を有するアルコキシ基等を挙げることができる。
ただし、このように加水分解性基としてハロゲン原子を含む加水分解性シラン化合物を用いる場合、組成物の保存安定性を低下させないように注意を払う必要がある。すなわち、加水分解によって生成するハロゲン化水素の量にもよるが、かかるハロゲン化水素を、中和や蒸留等の操作により除去して、組成物の保存安定性に悪影響を及ぼさないようにすることが好ましい。
一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の具体例としては、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリクロロシラン、メチル−3,3,3,−トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジメトキシメチル−3,3,3,−トリフルオロプロピルシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジクロロシラン、3,3,4,4,5,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、3,3,4,4,5,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘプタデカフルオロデシルメチルジクロロシラン、3−ヘプタフルオロイソプロポキシプロピルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン等が挙げられる。これらの中で、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランや3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン等が好ましい。
上記以外の加水分解性シラン化合物として、テトラクロロシラン、テトラアミノシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジロキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン等の4個の加水分解性基を有するシラン化合物;メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、重水素化メチルトリメトキシシラン等の3個の加水分解性基を有するシラン化合物;あるいはジメチルジクロロシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン等の2個の加水分解性基を有するシラン化合物等が挙げられる。
一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物を加熱して(A)成分を得る方法は、後述のシラノール基含量を過大、もしくは過少にしない限り、特に限定されないが、一例として、以下に示す1)〜3)の工程からなる方法を挙げることができる。ただし、一般式(1)で示される加水分解性シラン化合物の加水分解物において、一部未加水分解の加水分解性基が残っていてもよく、その場合は、加水分解性シラン化合物と加水分解物との混合物となる。
2)次いで、得られた溶液の粘度を調節しながら、有機溶媒を容器内にさらに収容し、混合溶液とする。
3)得られた混合溶液を、空気雰囲気中において、有機溶媒もしくは加水分解性シラン化合物の沸点以下の温度で攪拌しながら、水を滴下した後、0〜150℃で、1〜24時間の間加熱攪拌する。なお、加熱攪拌中、必要に応じて蒸留によって混合溶液を濃縮したり、あるいは有機溶媒を置換することも好ましい。ここで、最終硬化物の屈折率や、組成物の硬化性、粘度等を調整するために、上記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物以外の加水分解性シラン化合物を混合させて、シロキサンオリゴマーを調製することもできる。この場合、上記1)の工程で一般式(1)の加水分解性シラン化合物とそれ以外の加水分解性シラン化合物とを添加して混合した後に、加熱し反応させることができる。
(A)成分は、下記一般式(2)及び(3)からなる群のうち少なくとも一種以上の構造を有することが好ましい。
(A)成分が上記構造を有していると、本発明の放射線硬化型組成物から製造される光導波路の耐クラック性等の物性をより一層向上させることができる。
さらに、前記一般式(1)のR1が、CF3(CF2)n(CH2)m[mは0〜5の整数、nは1〜11の整数であり、m+nは1〜11である。]であることが好ましい。R1がこのような構造であると、本発明の放射線硬化型組成物を用いてフォトリソグラフィー法により光導波路を製造する際のパターニング性、該光導波路の耐クラック性、および導波路損失等をより一層向上させることができる。
R1が上記構造である場合において、(A)成分はさらに、下記一般式(4)及び(5)からなる群のうち少なくとも一種以上の構造を有することが好ましい。
これらの一般式(4)または一般式(5)の構造を有する加水分解性化合物の具体例としては、上述の一般式(1)、または一般式(1)以外の加水分解性シラン化合物の具体例のうち、フェニル基またはフッ素化フェニル基を有する化合物が挙げられる。これらのうち、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン等が特に好ましい。
(A)成分が上記構造を有していると、本発明の放射線硬化型組成物を用いて形成される光導波路の耐熱性やパターニング性をより一層向上させることができる。
(B)成分は光酸発生剤である。放射線を照射することにより、(B)成分が分解し、(A)成分を光硬化させる酸性活性物質を放出することができる。
ここで、放射線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、電子線、α線、γ線等を挙げることができる。ただし、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が大であり、しかも照射装置が比較的安価でかつ小型である観点から、紫外線を使用することが好ましい。
[一般式(6)中、カチオンはオニウムイオンであり、WはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O,I、Br、Clまたは−N≡Nであり、R7、R8、R9およびR10は同一または異なる有機基であり、a、b、cおよびdはそれぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。また、Mはハロゲン化物錯体[MZm+n]の中心原子を構成する金属またはメタロイドであり、例えばB、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coである。Zは、例えばF、Cl、Br等のハロゲン原子またはアリール基であり、mはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、nはMの原子価である。]
[一般式(7)中、Qは1価もしくは2価の有機基、R11は炭素数1〜12の1価の有機基、添え字sは0又は1、添え字tは1又は2である。]
一般式(6)におけるアニオン[MZm+n]の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4 −)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6 −)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6 −)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6 −)、ヘキサクロルアンチモネート(SbCl6 −)、テトラフェニルボレート、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロメチルフェニル)ボレート等が挙げられる。
また、一般式(6)におけるアニオン[MZm+n]の代わりに、一般式[MZnOH−]で表されるアニオンを使用することも好ましい。さらに、過塩素酸イオン(ClO4 −)、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CF3SO4 −)、フルオロスルフォン酸イオン(FSO4 −)、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸アニオン、トリニトロトルエンスルフォン酸アニオン等の他のアニオンを有するオニウム塩を使用することもできる。
[R16−Ph1−I+−Ph2−R17][Y−] (9)
[一般式(9)中、R16およびR17は、それぞれ1価の有機基であり、同一でも異なっていてもよく、R16およびR17の少なくとも一方は、炭素数が4以上のアルキル基を有しており、Ph1およびPh2はそれぞれ芳香族基であり、同一でも異なっていてもよく、Y−は1価の陰イオンであり、周期律表3族、5族のフッ化物陰イオンもしくは、ClO4 −、CF3SO3 −から選ばれる陰イオンである。]
さらに、ジアリールヨードニウム塩としては、具体的に、(4−n−デシロキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムトリフルオロスルホネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメチルスルフォネート等の1種または2種以上の組み合わせを挙げることができる。
一般式(7)で表されるスルフォン酸誘導体としては、ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、イミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類、1−オキシ−2−ヒドロキシ−3−プロピルアルコールのスルホネート類、ピロガロールトリスルホネート類、ベンジルスルホネート類等を挙げることができる。
これらの中で好ましくはイミドスルホネート類であり、さらに好ましくはトリフルオロメチルスルホネート誘導体である。
光硬化性と得られる硬化物の耐候性等とのバランスをより良好にする観点から、(B)成分としての光酸発生剤の添加量を、(A)成分100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
本発明の放射線硬化型組成物は、(C)有機溶媒を配合することによって組成物の保存安定性を向上させ、かつ適当な粘度を付与することができ、均一な厚さを有する光導波路を形成することができる。
このような有機溶媒としては、例えば脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、モノアルコール系溶媒、多価アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、含窒素系溶媒、含硫黄系溶媒等を用いることができる。これらの有機溶媒は、一種単独あるいは二種以上を組み合わせて用いられる。
また、より好ましい有機溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、トルエン、キシレン、およびメタノールからなる群より選択される少なくとも一つの化合物が挙げられる。
本発明の放射線硬化型組成物中の全Si上の結合基に占めるシラノール基の含有率は、10〜50%(好ましくは20〜40%)であることが必要である。この範囲を外れると、アルカリ現像の際に目的とする形状のパターニングを得ることができなかったり、あるいは光導波路を形成した場合に導波路損失値が増大することがある。
さらに、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、酸拡散制御剤、反応性希釈剤、ラジカル発生剤(光重合開始剤)、光増感剤、金属アルコキシド、無機微粒子、脱水剤、レベリング剤、重合禁止剤、重合開始助剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、高分子添加剤等を配合させることも好ましい。
(D)成分の酸拡散制御剤は、光照射によって光酸発生剤から生じた酸性活性物質の被膜中における拡散を制御し、非照射領域での硬化反応を抑制する作用を有する化合物と定義される。ただし、定義上、光酸発生剤と区別するため、(D)成分の酸拡散制御剤は、酸発生機能を有しない化合物である。
このような酸拡散制御剤を添加することにより、光硬化性組成物を効果的に硬化して、パターン精度を向上させることができる。
このような含窒素有機化合物としては、例えば、下記一般式(10)で表される化合物が挙げられる。
NR18R19R20 (10)
[一般式(10)中、R18、R19およびR20はそれぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のアラルキル基を表す。]
含窒素有機化合物の具体例としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン等のトリアルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、1−ナフチルアミン等の芳香族アミン類;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類等を挙げることができる。
なお、酸拡散制御剤は、一種単独で使用することもできるし、あるいは二種以上を混合して使用することもできる。
この理由は、かかる酸拡散制御剤の添加量が0.001重量部未満では、プロセス条件によっては、光導波路のパターン形状や寸法再現性が低下することがあるためであり、一方、かかる酸拡散制御剤の添加量が15重量部を超えると、(A)成分の光硬化性が低下することがあるためである。
したがって、酸拡散制御剤の添加量を、(A)成分100重量部に対して、0.001〜10重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.005〜5重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
このような下層用組成物、コア用組成物および上層用組成物としては、それぞれ、最終的に得られる各部の屈折率の関係が、光導波路に要求される条件を満足することとなるように、互いに異なる樹脂組成物を用いることができる。ただし、光導波路の形成等がより容易となることから、下層用組成物と上層用組成物とは同一の樹脂組成物であることがより好ましい。
なお、以下の説明では、下部クラッド層2、コア部分4および上部クラッド層6に、それぞれ本発明の放射線硬化型組成物を使用しているが、例えばコア部分4のみに用いてもよい。その場合には、他の下部クラッド層2や上部クラッド層6については、公知の光導波路材料、例えば石英ガラス等を使用することができる。
また、光の導波方向に対して垂直な方向のコア部分4の幅についても特に制限されるものではないが、例えば1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。
なお、以下の形成例では、下部クラッド層2、コア部分4および上部クラッド層6を、それぞれ硬化後において屈折率が異なる硬化物が得られる光導波路形成用光硬化性組成物である下層用組成物、コア用組成物、および上層用組成物から形成することを想定して、説明する。
まず、図2中の(a)に示すように、平坦な表面を有する基板1を用意する。この基板1の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、シリコン基板やガラス基板等を用いることができる。
用意した基板1の表面に、下部クラッド層2を形成する工程である。具体的には、図2中の(b)に示すように、基板1の表面に、下層用組成物を塗布し、乾燥またはプリベークさせて下層用薄膜を形成する。そして、この下層用薄膜に、光を照射することにより硬化させて、下部クラッド層2を形成することができる。
コア層およびクラッド層の形成に用いる光は、特に制限されるものではないが、通常200〜450nmの紫外〜可視領域の光、好ましくは波長365nmの紫外線を含む光が用いられる。波長200〜450nmでの照射は、照度が1〜1000mW/cm2、照射量が0.01〜5000mJ/cm2、好ましくは0.1〜1000mJ/cm2となるように行なわれて、露光される。
収束光を用いて光導波路を形成する場合、収束光と被照射体のいずれか一方を移動させることによって、光導波路の形状となるように露光することができる。これらの光源の中でも、365nmの紫外線強度の高い光源が好ましく、例えば、ランプ光源としては高圧水銀ランプ、レーザー光源としてはアルゴンレーザーが好ましい。
なお、下部クラッド層2の形成工程では、薄膜の全面に光を照射し、その全体を硬化することが好ましい。
また、下層用組成物からなる下層用薄膜は、塗布後、50〜200℃でプリベークすることが好ましい。
なお、下部クラッド層の形成工程における塗布方法や、レオロジー特性の改良方法等は、後述するコア部分の形成工程や、上部クラッド層の形成工程においてもそのまま適用することができる。
なお、下部クラッド層の形成工程における光の照射量、種類、および照射装置等は、後述するコア部分の形成工程や、上部クラッド層の形成工程においてもそのまま適用することができる。
次に、この下部クラッド層2上に、図2中の(c)に示すように、コア用組成物を塗布し、乾燥またはさらにプリベークさせてコア用薄膜3を形成する。
その後、図2中の(d)に示すように、コア用薄膜3の上面に対して、所定のパターンに従って、例えば所定のラインパターンを有するフォトマスク7を介して放射線5の照射を行うことが好ましい。
これにより、光が照射された箇所のみが硬化するので、それ以外の未硬化の部分を現像液によって現像除去することにより、図2中の(e)に示すように、下部クラッド層2上に、パターニングされた硬化膜からなるコア部分4を形成させることができる。
a.液晶表示装置と同様の原理を利用した、所定のパターンに従って光透過領域と不透過領域とよりなるマスク像を電気光学的に形成する手段を利用する方法。
b.多数の光ファイバーを束ねてなる導光部材を用い、この導光部材における所定のパターンに対応する光ファイバーを介して光を照射する方法。
c.レーザ光、あるいはレンズ、ミラー等の集光性光学系により得られる収束光を走査させながら光硬化性組成物に照射する方法。
このように所定のパターンに従ってパターン露光し、選択的に硬化させた薄膜に対しては、硬化部分と未硬化部分との溶解性の差異を利用して、現像処理することができる。したがって、パターン露光後、未硬化部分を除去するとともに、硬化部分を残存させることにより、結果として、コア部分を形成させることができる。
また、現像液中の塩基性物質の濃度を、通常0.05〜25重量%、好ましくは0.1〜3.0重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
現像液として有機溶媒を用いた場合には、そのまま風乾することにより、また、アルカリ水溶液を用いた場合には流水洗浄を例えば30〜90秒間行なった後、圧縮空気や圧縮窒素等で風乾させて表面上の水分を除去することにより、パターン状被膜を形成させることができる。
なお、コア用組成物には、下層用組成物や上層用組成物よりも、アミノ基含有量の高いアミノポリシロキサンを用いることが好ましい。
次いで、コア部分4が上方に形成された下部クラッド層2の表面に、上層用組成物を塗布し、乾燥またはプリベークさせて上層用薄膜を形成する。この上層用薄膜に対し、光を照射して硬化させることにより、図1に示したように上部クラッド層6を形成することができる。
また、放射線の照射によって得られる上部クラッド層6には、必要に応じて、さらに上述したポストベークを施すことが好ましい。ポストベークすることにより、硬度および耐熱性に優れた上部クラッド層を得ることができる。
そして、コア部分4の屈折率については、上下のクラッド層2、6の屈折率の値を考慮して定めることが好ましく、上下のクラッド層2、6の屈折率の値よりも0.002〜0.5大きい値とすることがより好ましい。
[合成例1]
撹拌機、還流管付のフラスコに、フェニルトリメトキシシラン(30.79g)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン(22.64g)、テトラエトキシシラン(4.62g)、1−メトキシ−2−プロパノール(29.93g)、およびシュウ酸(0.04g)を添加、攪拌した後、溶液の温度を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(11.98g)を滴下し、滴下終了後、溶液を120℃にて6時間攪拌した。そして、最終的に固形分を65重量%に調整した(A)成分の1−メトキシ−2−プロパノール溶液を得た。これを「シロキサンオリゴマー溶液1」とする。
撹拌機、還流管付のフラスコに、フェニルトリメトキシシラン(30.56g)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン(18.15g)、テトラエトキシシラン(9.88g)、メチル−n−アミルケトン(27.72g)、およびシュウ酸(0.04g)を添加、攪拌した後、溶液の温度を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(13.66g)を滴下し、滴下終了後、溶液を120℃にて6時間攪拌した。そして、最終的に固形分を70重量%に調整した(A)成分のメチル−n−アミルケトン溶液を得た。これを「シロキサンオリゴマー溶液2」とする。
撹拌機、還流管付のフラスコに、メチルトリメトキシシラン(2.97g)、フェニルトリメトキシシラン(29.01g)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン(25.64g)、1−メトキシ−2−プロパノール(31.00g)、およびシュウ酸(0.04g)を添加、攪拌した後、溶液の温度を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(11.35g)を滴下し、滴下終了後、溶液を120℃にて6時間攪拌した。そして、最終的に固形分を70重量%に調整した(A)成分の1−メトキシ−2−プロパノール溶液を得た。これを「シロキサンオリゴマー溶液3」とする。
撹拌機、還流管付のフラスコに、フェニルトリメトキシシラン(30.79g)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン(22.64g)、テトラエトキシシラン(4.62g)、1−メトキシ−2−プロパノール(29.93g)、およびシュウ酸(0.04g)を添加、攪拌した後、溶液の温度を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(11.98g)を滴下し、滴下終了後、溶液を120℃にて6時間攪拌した。その後、1−メトキシ−2−プロパノールを除去し、得られた粘調液体をさらに真空乾燥した。これを「シロキサンオリゴマー4」とする。
ペンタフルオロフェニルエチルトリクロロシラン(236.9g)と(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリクロロシラン(231.5g)を脱水処理したテトラヒドロフラン1リットルに溶解し、ここに水(92.9g)を液温が上昇しないようにゆっくりと滴下した。続いて、反応液を攪拌しながら、ここに炭酸水素ナトリウム(433.4g)を加えた。炭酸ガスの発生が終了後、さらに1時間攪拌を続けた。次いで、反応液を濾過し、ロータリーエバポレーターで濾液のテトラヒドロフランを留去したところ、無色透明で粘調な液体を得た。さらに、この液体を真空乾燥することにより「シロキサンオリゴマー5」を得た。
撹拌機、還流管付のフラスコに、メチルトリメトキシシラン(32.27g)、フェニルトリメトキシシラン(24.41g)、1−メトキシ−2−プロパノール(23.85g)、およびシュウ酸(0.03g)を添加、攪拌した後、溶液の温度を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(19.44g)を滴下し、滴下終了後、溶液を120℃にて6時間攪拌した。そして、最終的に固形分を70重量%に調整した1−メトキシ−2−プロパノール溶液を得た。これを「シロキサンオリゴマー溶液6」とする。
撹拌機、還流管付のフラスコに、メチルメタクリレートと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランから成る共重合体(固形分濃度:27重量%、メトキシプロパノール希釈)(28.16g)、メチルトリメトキシシラン(36.42g)、フェニルトリメトキシシラン(20.37g)、およびシュウ酸(0.04g)を添加、攪拌した後、溶液の温度を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(15.01g)を滴下し、滴下終了後、溶液を60℃にて6時間攪拌した。そして、最終的に固形分を70重量%に調整した1−メトキシ−2−プロパノール溶液を得た。これを「シロキサンオリゴマー溶液7」とする。
シロキサンオリゴマー溶液1(固形分および有機溶媒)92.56gに対し、光酸発生剤として1−(4,7−ジ−t−ブトキシ)−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート0.32g、トリ−n−オクチルアミン0.03g、1−メトキシ−2−プロパノール7.09gを添加し、均一に混合することにより、固形分濃度を65重量%に調整した「組成物1」を得た。
組成物3をシリコン基板の表面上にスピンコータで塗布し、120℃で10分間乾燥させた後、波長365nm、照度6mW/cm2の紫外線を露光機(キャノン製フォトアライナー)にて3分間照射した。さらに、200℃にて1時間加熱することにより、厚み9μmの下部クラッド層を形成した。この下部クラッド層における波長1550nmの光の屈折率は1.439であった。
次いで、組成物1を下部クラッド層の上にスピンコータで塗布し、100℃で5分間乾燥させた後、幅9μmの光導波路パターンを刻んだフォトマスクを用いて、波長365nm、照度6mW/cm2の紫外線を露光機にて1分間照射することにより、露光を行った。その後、この基板を100℃にて1分間加熱した後、5%テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド(TMAH)水溶液よりなる現像液中に浸漬して未露光部を溶解、水洗浄した。その後、紫外線を3分間照射した後、200℃にて1時間加熱することにより、厚さ9μmのコア部分を形成した。得られたコア部分における波長1550nmの光の屈折率は、1.445であった。
さらに、このコア部分を有する下部クラッド層の上面に、放射線硬化型組成物3をスピンコータで塗布し、120℃で10分間乾燥させた後、波長365nm、照度6mW/cm2の紫外線を10分間照射した。さらに、250℃にて1時間加熱することにより、厚み9μmの上部クラッド層を形成し、これにより、光導波路を形成した。形成された上部クラッド層における波長1550nmの光の屈折率は1.439であった。
各組成物をNMR測定溶媒である重水素化クロロホルムで希釈し、Si−NMRにてシラノール含量を測定した。具体的には、−120ppm〜−60ppmにかけて現れる置換基、結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィティングにてピーク分離し、ピークの面積比から各成分のモル%を算出した。得られた各成分中のシラノール基数を掛け合わせ、全Si上の結合基に占める割合(%)を算出した。
計算例を以下に示すと、
モル% シラノール基数
ピーク1:R−Si(OH)3 a 3
ピーク2:R−Si(OH)2(OSi) b 2
ピーク3:R−Si(OH)(OSi)2 c 1
ピーク4:R−Si(OSi)3 d 0
全Si上の結合基に占めるシラノールの含有率(%)
=(3a+2b+c)×100/[4×(a+b+c+d)]
作製した導波路をへき開にて端面出しを行い、光学顕微鏡にてコア形状(幅、高さ)を測定した。設計値(幅9μm、高さ9μm)に対して、設計値±0.5μm以内である場合を「○」、それ以外の場合や形状が長方形、台形であったり、コアがパターニングできなかったりした場合を「×」とした。
[導波路損失]
波長1310nm又は1550nmの光を導波路の一端から入射させたときに他端から出射する光量を、光量計(アンリツ社製MT9810A)のパワーメータにより損失[dB]を測定した。導波路損失[dB/cm]は、導波路をへき開にてカットすることで、各長さにおける損失を測定し、長さに対して損失をプロットして、その傾きから算出することで得た(カットバック法)。
作製した導波路をへき開した端面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、基板/下部クラッド層、下部クラッド層/コア部分、コア部分/上部クラッド層、および下部クラッド層/上部クラッド層間の剥離の有無を判定した。さらに、導波路の上方から光学顕微鏡により、コアライン上での剥離の有無を観察した。いずれの場合でも剥離が観察されなかった場合を「○」、いずれかで剥離が観察された場合を「×」とした。
[クラック耐性]
得られた導波路を300℃にて1時間加熱、自然冷却し、光学顕微鏡にて導波路全体のクラック発生の有無を観察し、クラックが確認されなかった場合を「○」、クラックがコアとクラッドのいずれかで確認された場合を「×」とした。
[長期信頼性]
得られた光導波路を、温度85℃、相対湿度85%の条件下で2000時間放置した後、温度25℃、相対湿度50%に24時間放置し、伝送損失を測定し、導波路損失を算出した。導波路損失が、波長1310nmおよび1550nmのいずれにおいても0.5dB/cm以下の場合を「○」、それ以外を「×」とした。
2 下部クラッド層
3 コア用薄膜
4 コア部分
5 放射線
6 上部クラッド層
7 フォトマスク
Claims (7)
- 下記成分(A)及び(B):
(A)下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物及び該加水分解物の縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上、
(R1)p(R2)qSi(X)4−p−q (1)
[一般式(1)中、R1はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、R2は炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基(ただし、フッ素原子を含有するものを除く。)、Xは加水分解性基、pは1又は2の整数、qは0又は1の整数である。]
および
(B)光酸発生剤
を含有する放射線硬化型組成物であって、
該組成物中の全Si上の結合基に占めるシラノール(Si−OH)基の含有率が、10〜50%であることを特徴とする放射線硬化型組成物。 - 前記式(1)中のR1が、CF3(CF2)n(CH2)m[mは0〜5の整数、nは1〜11の整数であり、m+nは1〜11である。]である請求項2記載の放射線硬化型組成物。
- 前記成分(A)100重量部に対する前記(B)光酸発生剤の添加量が0.01〜15重量部である請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射線硬化型組成物。
- 下部クラッド層と、該下部クラッド層上の領域の一部に形成されたコア部分と、前記コア部分を被覆するように前記下部クラッド層上に形成された上部クラッド層とを有してなる光導波路の形成方法において、
前記下部クラッド層、前記コア部分および前記上部クラッド層の中から選ばれる少なくとも一つ以上を、請求項1〜5のいずれか1項に記載の放射線硬化型組成物を材料として用いて塗工した後、放射線照射して光導波路を形成することを特徴とする光導波路の形成方法。 - 下部クラッド層と、該下部クラッド層上の領域の一部に形成されたコア部分と、前記コア部分を被覆するように前記下部クラッド層上に形成された上部クラッド層とを有してなる光導波路において、
前記下部クラッド層、前記コア部分および前記上部クラッド層の中から選ばれる少なくとも一つ以上が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の放射線硬化型組成物からなることを特徴とする光導波路。
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