JP2005314623A - 硬化性組成物及び該硬化性組成物から形成される硬化フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】光導波路等の光学材料等に利用可能な、耐熱性、クラック耐性及び平坦化性に優れ、かつ、石英並みの屈折率及び低誘電率を有する硬化物を形成し得る硬化性組成物を提供する。
【解決手段】
一般式(1):
(R1)p(R2)qSi(X)4-p-q (1)
[式中、R1はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の同一である
か又は異なる有機基を示し、R2はフッ素原子を含有しない炭素数が1〜12である非加
水分解性の有機基を示し、Xは同一であるか又は異なる加水分解性基を示す。また、pは1又は2であり、qは0又は1である。]
で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物及びその縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上を含有する硬化性組成物であって、該硬化性組成物から形成される硬化物の、波長1310nmの光の屈折率が1.445±0.002である硬化性組成物。
【選択図】なし
【解決手段】
一般式(1):
(R1)p(R2)qSi(X)4-p-q (1)
[式中、R1はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の同一である
か又は異なる有機基を示し、R2はフッ素原子を含有しない炭素数が1〜12である非加
水分解性の有機基を示し、Xは同一であるか又は異なる加水分解性基を示す。また、pは1又は2であり、qは0又は1である。]
で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物及びその縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上を含有する硬化性組成物であって、該硬化性組成物から形成される硬化物の、波長1310nmの光の屈折率が1.445±0.002である硬化性組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、硬化性組成物及び該硬化性組成物から形成される硬化フィルムに関する。さらに詳しくは、光導波路等の光学材料等に利用可能な、耐熱性、クラック耐性及び平坦化性に優れ、かつ、石英並みの屈折率及び低誘電率を有する硬化物を形成し得る硬化性組成物及び該硬化性組成物から形成される硬化フィルムに関する。
マルチメディア時代を迎え、光通信システムやコンピュータにおける情報処理の大容量化および高速化の要求から、光を伝送媒体とする伝送システムが、公衆通信網、LAN(ローカルエリアネットワーク)、FA(ファクトリーオートメーション)、コンピュータ間のインターコネクト、家庭内配線等に使用されるようになっている。これら伝送システムで用いられる光導波路は、例えば映画や動画等の大容量の情報伝達や光コンピュータ等を実現するための光デバイス、光電集積回路(OEIC)、光集積回路(光IC)等における基本構成要素である。そして、光導波路は、大量の需要があることから鋭意研究される一方、特に高性能で、低コストの製品が求められている。
このような光導波路としては、従来、石英系光導波路やポリマー系光導波路が知られている。このうち、石英系光導波路は、伝送特性としてはポリマー系光導波路に比べ優れた特性を有しているものの、酸化物微粒子の堆積に引き続いて行なわれるガラス化工程(1200℃以上)やエッチング処理を必要とするため、作製するには長時間の厳しい作製条件が要求される。他方、ポリマー系光導波路は、スピンコート法やディップコート法等により容易に薄膜を形成できる上、リアクティブイオンエッチング(RIE)やフォトリソグラフィーによって低温プロセスでの作製が可能である。特に、フォトリソグラフィーを用いた光導波路は、短時間で作製できるため、石英系光導波路と比較して、より簡単かつ低コストで形成することができるという利点がある。
該ポリマー系光導波路の材料として、耐熱性に優れるフッ素化ポリイミドが知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、フッ素化ポリイミドにおいては、膜厚が薄い場合には影響は少ないが、光導波路に使用する膜厚になると、その構造上の結晶性の高さから膜が脆くなる、また、その弾性率の高さから製造過程で反りが生じる等の問題点を有しており、さらには、その屈折率が石英よりも高いために、フッ素化ポリイミドからなる光導波路を光ファイバ(石英をコア部分に使用)に接続した場合、接続部分での光損失(接続損失)を伴うという問題点を有している。
以上のように、従来のポリマー系光導波路は、製造自体は石英系光導波路と比較して比較的容易であるものの、低い伝送損失とクラック耐性とを共に満足し、かつ、剥離やクラックが発生することなく長期的に安定して用い得る性質等を全て備えることが求められていた。本発明は、このような事情を背景として、光導波路等の光学材料等に利用可能な、耐熱性、クラック耐性及び平坦化性に優れ、かつ、石英並みの屈折率及び低誘電率を有する硬化物を形成し得る硬化性組成物及び該硬化性組成物から形成される硬化フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物及び該加水分解物の縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上を必須成分として含有する硬化性組成物においては、高屈折率成分の加水分解性シラン化合物と低屈折率成分の加水分解性シラン化合物との組み合わせにより、得られる硬化物の屈折率の制御が可能であり、また、各加水分解性シラン化合物のケイ素原子上の結合基として長鎖アルキル基を選択することにより、塗膜に弾性を付与し、クラック耐性を向上させることが可能であり、さらに、スピンコートにより成膜が可能であることから平坦化性にも優れる、光導波路等の光学材料等に利用可能な硬化物を形成可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
(1)一般式(1):
(R1)p(R2)qSi(X)4-p-q (1)
[式中、R1はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の同一であるか又は異なる有機基を示し、R2はフッ素原子を含有しない炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基を示し、Xは同一であるか又は異なる加水分解性基を示す。また、pは1又は2であり、qは0又は1である。]
で表される加水分解性シラン化合物(以下、これを「加水分解性シラン化合物(1)」と略称することがある。)の加水分解物及びその縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上を含有する硬化性組成物であって、該硬化性組成物から形成される硬化物の、波長1310nmの光の屈折率が1.445±0.002であることを特徴とする硬化性組成物、
(2)さらに塩基性化合物を含有することを特徴とする上記(1)の硬化性組成物、及び
(3)上記(1)または(2)の硬化性組成物から形成されることを特徴とする硬化フィルム、である。
(1)一般式(1):
(R1)p(R2)qSi(X)4-p-q (1)
[式中、R1はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の同一であるか又は異なる有機基を示し、R2はフッ素原子を含有しない炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基を示し、Xは同一であるか又は異なる加水分解性基を示す。また、pは1又は2であり、qは0又は1である。]
で表される加水分解性シラン化合物(以下、これを「加水分解性シラン化合物(1)」と略称することがある。)の加水分解物及びその縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上を含有する硬化性組成物であって、該硬化性組成物から形成される硬化物の、波長1310nmの光の屈折率が1.445±0.002であることを特徴とする硬化性組成物、
(2)さらに塩基性化合物を含有することを特徴とする上記(1)の硬化性組成物、及び
(3)上記(1)または(2)の硬化性組成物から形成されることを特徴とする硬化フィルム、である。
本発明の硬化性組成物によれば、耐熱性、クラック耐性及び平坦化性に優れ、界面剥離やクラックの発生を伴うことなく100μm以上の厚膜化が可能で、かつ、石英並みの屈折率及び低誘電率を有する硬化物、特に硬化フィルムを形成可能である。これらの性質より、該硬化物から形成される光導波路においては、光ファイバ(石英をコア部分に使用)と接続した場合でも接続部分での光損失(接続損失)を低減することができ、全体として光伝送損失の少ない光導波路を作製可能である。さらには、積層型光導波路の平坦化膜、電子回路と光回路のハイブリッド型素子の層間絶縁膜、マイクロリング共振器の平坦化膜等の光学材料等に利用可能である。
上記一般式(1)中、R1は、フッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の同一であるか又は異なる有機基である。本明細書において、非加水分解性とは、Xで示される加水分解性基が加水分解される条件において、そのまま安定に存在する性質であることを意味する。かかる非加水分解性の有機基としては、例えばフッ素化アルキル基、フッ素化アリール基、又はこれらの水素原子の一部もしくは全部が重水素;塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等で置換された有機基等が挙げられる。
かかるフッ素化アルキル基としては、組成式:Cm+nH2mF2n+1 [mは0〜5の整数であり、nは1〜12の整数であり、m+nは1〜12の整数である。]で表されるフッ素化アルキル基が好ましく、本発明の硬化性組成物から形成される硬化物のパターニング性、クラック耐性等の物性をより一層向上させ、また、導波路損失を低減する観点からは、一般式:CF3(CF2)n-1(CH2)m [m及びnは前記定義のとおりである。]で表されるフッ素化アルキル基がより好ましい。かかるフッ素化アルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、トリフルオロプロピル基、ヘプタデカフルオロデシル基、トリデカフルオロオクチル基、ノナフルオロヘキシル基等が挙げられる。これらの中でもフッ素含有量が高く、かつ長鎖のアルキル鎖を有するヘプタデカフルオロデシル基、トリデカフルオロオクチル基、ノナフルオロヘキシル基等が好ましい。また、フッ素化アリール基としては、例えばペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。これらのフッ素化アルキル基及びフッ素化アリール基は、その水素原子の一部又は全部が、重水素;塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等で置換されていてもよい。
R2は、フッ素原子を含有しない炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基であり、かかる非加水分解性の有機基としては、例えばアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロ原子を含有する有機基、重合性基を含有する有機基、又はこれらの水素原子の一部もしくは全部が重水素;塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等で置換された有機基等が挙げられる。これらの有機基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。かかるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、重水素化フェニル基、ハロゲン化フェニル基等が挙げられ、アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
ヘテロ原子を含有する有機基としては、塩基性でない基が好ましく、例えばエーテル結合を含有する有機基、エステル結合を含有する有機基、スルフィド結合を含有する有機基等が挙げられる。
重合性基を含有する有機基としては、分子中にラジカル重合性基及び/又はカチオン重合性基等を含有する有機基が好ましく、例えばビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、オレフィン基、スチリル基等のラジカル重合性基を含有する有機基;ビニルエーテル基、エポキシ基、オキセタニル基等のカチオン重合性基を含有する有機基等が挙げられる。該重合性基を導入することにより、ラジカル重合及び/又はカチオン重合を生じさせて、硬化性組成物をより効果的に硬化させることができる。
上記一般式(1)におけるXは、同一であるか又は異なる加水分解性基である。本明細書において、加水分解性基とは、大気圧下、かつ後述の加水分解触媒および水の存在下において、0〜150℃の温度範囲内で1〜10時間加熱することにより、加水分解されてシラノール基を生成し得る基、又はシロキサン縮合物を形成し得る基を意味する。
Xが示す加水分解性基としては、例えば炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アシルオキシ基等が挙げられる。かかる炭素数1〜12のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ベンジロキシ基等が挙げられる。これらのアルコキシ基は置換基を有していてもよく、置換基を有するアルコキシ基としては、例えばフェノキシベンジロキシ基、メトキシエトキシ基、アセトキシエトキシ基、2−(メタ)アクリロキシエトキシ基、3−(メタ)アクリロキシプロポキシ基、4−(メタ)アクリロキシブトキシ基等の(メタ)アクリロキシ基含有アルコキシ基;グリシドキシ基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エトキシ基等のエポキシ基含有アルコキシ基;メチルオキセタニルメトキシ基、エチルオキセタニルメトキシ基等のオキセタニル基含有アルコキシ基;オキサシクロヘキシロキシ基等の6員環エーテル基を含有するアルコキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。ただし、ハロゲン原子を含有する加水分解性基を有する加水分解性シラン化合物(1)を用いる場合、得られる硬化性組成物の保存安定性を高める観点から、必要に応じて、加水分解性シラン化合物(1)の加水分解によって生成するハロゲン化水素を、中和や蒸留等の操作により除去するのが好ましい。
アシルオキシ基としては、例えばアセトキシ基等が挙げられる。
上記一般式(1)中、pは1又は2であるが、1であるのが好ましい。また、qは0又は1であるが、0であるのが好ましい。
本発明に使用する加水分解性シラン化合物(1)としては、例えばトリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリクロロシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルメチルジクロロシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、(ペンタフルオロフェニル)プロピルトリメトキシシラン、(ペンタフルオロフェニル)プロピルトリクロロシラン等が挙げられる。これらの中でも、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン等が好ましい。
本明細書において、加水分解性シラン化合物(1)の加水分解物とは、加水分解反応により加水分解性シラン化合物(1)の加水分解性基の一部又は全部がシラノール基に変化した加水分解反応混合物を意味し、加水分解性シラン化合物(1)の加水分解物の縮合物とは、該加水分解反応混合物中のシラノール基同士又はシラノール基と加水分解性基との縮合反応により得られるシロキサン縮合物を意味する。
本発明の硬化性組成物の必須成分である、加水分解性シラン化合物(1)の加水分解物及びその縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上からなる組成物(以下、これを「組成物(A)」と略称することがある。)の調製方法は、該組成物中のシラノール基の含有率を過大又は過少としない限り特に制限されないが、該シラノール基の含有率を後述の好適範囲内に制御する観点からは、例えば、加水分解性シラン化合物(1)、酸触媒及び溶媒を混合して得られた溶液に、空気雰囲気中、大気圧及び攪拌下、該溶液中の各成分の沸点以下の温度にて水を滴下した後、0℃〜150℃で1〜24時間、加熱攪拌する方法等に準ずるのが好ましい。なお、加熱攪拌中、必要に応じて蒸留によって反応溶液を濃縮したり、又は溶媒を置換することも好ましい。
かかる触媒としては、加水分解反応及び縮合反応を促進するものであれば特に制限はなく、例えば酸又は塩基等の触媒が挙げられる。酸としては、例えばギ酸、酢酸、シュウ酸等の1価又は多価の有機酸;塩酸、リン酸、硫酸等の無機酸;Ti、Zr、Al、B等の無機塩、アルコキシド、カルボキシレート等のルイス酸等が挙げられる。塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;アンモニア等の無機塩基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類等が挙げられる。これらは単独で使用しても二種以上を組み合わせて使用してもよい。触媒の使用量は、使用する触媒の種類によっても異なるが、通常、全シラン化合物に対して、0.001〜5質量%の範囲であるのが好ましく、0.002〜1質量%の範囲であるのがより好ましい。
かかる溶媒としては、通常、大気圧下での沸点が50〜200℃の範囲内の値を有し、各成分を均一に溶解させることのできる有機溶媒であるのが好ましく、例えばエーテル;エステル;ケトン;脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素;1価アルコール、多価アルコール等のアルコール;含窒素化合物、含硫黄化合物等の含ヘテロ原子化合物等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用しても二種以上を組み合わせて使用してもよい。
溶媒の使用量は、加水分解性シラン化合物(1)100質量部に対して、1〜1000質量部であるのが好ましく、10〜100質量部であるのがより好ましい。
ここで、本発明の硬化性組成物は、その硬化物の屈折率や、硬化性、粘度等を調整するために、加水分解性シラン化合物(1)以外の加水分解性シラン化合物及びその加水分解物並びにこれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上からなる組成物を含有していてもよい。この場合、加水分解性シラン化合物(1)と加水分解性シラン化合物(1)以外の加水分解性シラン化合物との混合物を、上記の加水分解反応及び縮合反応に付し、両加水分解性シラン化合物から形成されるシロキサン縮合物を調製してもよい。
かかる加水分解性シラン化合物(1)以外の加水分解性シラン化合物としては、例えばテトラクロロシラン、テトラアミノシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジロキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン等の4個の加水分解性基を有するシラン化合物;メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、重水素化メチルトリメトキシシラン等の3個の加水分解性基を有するシラン化合物;ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン等の2個の加水分解性基を有するシラン化合物等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物から形成される硬化物の、波長1310nmの光の屈折率は、1.445±0.002である。加水分解性シラン化合物(1)、及び必要に応じて、加水分解性シラン化合物(1)以外の加水分解性シラン化合物からなる化合物群から、高屈折率成分である加水分解性シラン化合物及び低屈折率成分である加水分解性シラン化合物を適宜選択して併用することにより、形成される硬化物の屈折率を上記の値に調整することができる。
本発明の硬化性組成物中の全ケイ素原子上の結合基数に占めるシラノール基の含有率は、10〜50%の範囲であるのが好ましく、20〜40%の範囲であるのがより好ましい。シラノール基の含有率がこの範囲を外れると、アルカリ現像の際に目的とする形状のパターニングを得ることができなかったり、又は光導波路を形成した場合に導波路損失値が増大することがあり好ましくない。なお、該シラノール基含有率は、29Si−NMR等にて定量することができる。例えば、各組成物を、NMR測定溶媒である重水素化クロロホルムに溶解させ、29Si−NMR(ジメチルシロキサン基準)にて、−120ppm〜−60ppmにかけて現れる置換基、結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィティングにてピーク分離し、ピークの面積比から各成分のモル%を算出し、得られた各成分中のシラノール基数を掛け合わせ、全ケイ素原子上の結合基数に占めるシラノール基の含有率(%)を算出する。
ここで、本発明の硬化性組成物は、その硬化物のパターニング性、クラック耐性、導波路損失等の物性をより一層向上させる観点から、下記一般式(2)及び(3)で表される構造からなる群のうち少なくとも一種以上を有することが好ましい。
[一般式(2)又は(3)中、R3はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基を示し、R4はフッ素原子を含んでいてもよい炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基を示す。なお、R3とR4は同一の基であってもよい。]
R3が示す、フッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基としては、一般式:CF3(CF2)n-1(CH2)m [m及びnは前記定義のとおりである。]で表される基であるのが好ましい。
R3が示す、フッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基としては、一般式:CF3(CF2)n-1(CH2)m [m及びnは前記定義のとおりである。]で表される基であるのが好ましい。
また、本発明の硬化性組成物は、その硬化物のパターニング性、耐熱性等の物性をより一層向上させる観点から、下記一般式(4)及び(5)で表される構造からなる群のうち少なくとも一種以上を有することが好ましい。
[一般式(4)又は(5)中、R5はフェニル基又はフッ素化フェニル基を示し、R6はフッ素原子を含んでいてもよい炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基を示す。なお、R5とR6は同一の基であってもよい。]
これらの一般式(4)又は一般式(5)で表される構造を有する加水分解性シラン化合物としては、加水分解性シラン化合物(1)又は加水分解性シラン化合物(1)以外の加水分解性シラン化合物のうち、フェニル基又はフッ素化フェニル基を有する化合物が挙げられ、これらの中でも、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン等が特に好ましい。
さらに、本発明の硬化性組成物は、その硬化物のパターニング性、クラック耐性、耐熱性、導波路損失等の物性をより一層向上させ、さらには屈折率を制御する観点から、上記一般式(2)及び(3)で表される構造からなる群のうち少なくとも一種以上、並びに上記一般式(4)及び(5)で表される構造からなる群のうち少なくとも一種以上を有することが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、溶媒を配合させることによって、組成物の保存安定性を向上させることができ、また、適度な粘度を付与することができ、均一な膜厚を有する硬化フィルムを形成することができる。
かかる溶媒としては、上記加水分解反応及び縮合反応の溶媒として記載したものと同じものを使用することができるが、本発明の硬化性組成物の保存安定性をより向上させる観点からは、1価又は多価アルコール、ケトン、エステル、芳香族炭化水素を使用するのが好ましく、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、トルエン、キシレン、メタノール等が挙げられる。これらの溶媒は単独で使用しても二種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、本発明の硬化性組成物に配合する溶媒は、組成物の塗布方法を考慮して選択するのが好ましい。例えば、均一な厚さを有する薄膜が容易に得られることから、スピンコート法を用いることが好ましいが、その場合に使用する溶媒としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のグリコールアルキルエーテルアセテート類;乳酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等のエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のジエチレングリコール類;メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン類等が好ましく、これらの中でも、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンが特に好ましい。
溶媒の配合量は、組成物(A)100質量部に対して、1〜300質量部であるのが好ましく、2〜200質量部であるのがより好ましい。溶媒の使用量が上記の範囲内であれば、組成物の保存安定性を向上させ、かつ適度な粘度を付与することができ、均一な膜厚を有する硬化フィルムを形成することができる。
なお、溶媒の配合方法は、特に制限されないが、例えば、組成物(A)を調製する際に予め添加してもよいし、組成物(A)の調製後に添加してもよい。
さらに、本発明の硬化性組成物には、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、例えば塩基性化合物、光酸発生剤、熱酸発生剤、反応性希釈剤、ラジカル発生剤(光重合開始剤)、光増感剤、金属アルコキシド、無機微粒子、脱水剤、レベリング剤、重合禁止剤、重合開始助剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、高分子添加剤等を配合させることも好ましい。これらの中でも、塩基性化合物を配合させるのが特に好ましい。
本発明の硬化性組成物に塩基性化合物を直接配合させると、その触媒作用により硬化が生じ、保存安定性が低下することから、本発明の硬化性組成物に配合させる塩基性化合物としては、放射線や熱などの外部刺激に応答して、本発明の硬化性組成物を硬化させることが可能な塩基性活性物質を放出する化合物(塩基発生剤)を使用するのが特に好ましい。ここで、放射線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、電子線、α線、γ線等を挙げることができる。これらの中でも、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が大であり、しかも照射装置が比較的安価でかつ小型である観点から、紫外線を使用するのが好ましい。
かかる塩基性化合物としては、光塩基発生剤及び熱塩基発生剤等が挙げられ、これらの中でも光塩基発生剤が貯蔵安定性の観点から好ましい。
光塩基発生剤の例としては、2−ニトロベンジル N−シクロヘキシルカルバメイト(市販品名:NBC−101、みどり化学株式会社製)、トリフェニルスルフォニウムハイドロオキサイド(市販品名:TPS−OH、みどり化学株式会社製)、アニソイン N−シクロヘキシルカルバメイト(市販品名:ANC−101、みどり化学株式会社製)、ニフェジピン(東京化成工業株式会社製)等が挙げられる。
熱塩基発生剤の例としては、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンジイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
光塩基発生剤の例としては、2−ニトロベンジル N−シクロヘキシルカルバメイト(市販品名:NBC−101、みどり化学株式会社製)、トリフェニルスルフォニウムハイドロオキサイド(市販品名:TPS−OH、みどり化学株式会社製)、アニソイン N−シクロヘキシルカルバメイト(市販品名:ANC−101、みどり化学株式会社製)、ニフェジピン(東京化成工業株式会社製)等が挙げられる。
熱塩基発生剤の例としては、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンジイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
塩基性化合物の配合量は、特に制限されないが、組成物(A)100質量部に対して、通常、0.001〜5質量部の範囲であるのが好ましい。塩基性化合物の添加量が0.001質量部未満では、硬化性が低下し、十分な硬化速度が得られない傾向があり好ましくなく、一方、塩基性化合物の添加量が5質量部を超えると、急激な硬化によって、塗膜にクラックが生じやすくなり好ましくない。
また、本発明の硬化性組成物の粘度は、25℃において、5〜5000mPa・sが好ましく、10〜1000mPa・sがより好ましい。粘度が5000mPa・sを超えると、均一な塗膜を形成することが困難となる場合があり好ましくない。本発明の硬化性組成物の粘度は、溶媒や反応性希釈剤の配合量によって、適宜調整することができる。
本発明の硬化フィルムは、基板の表面に本発明の硬化性組成物を塗布し、乾燥またはプリベークさせて薄膜を形成し、次いで、該薄膜に光照射及び/又は加熱して硬化させることにより形成することができる。
硬化フィルムの厚さは、特に限定されないが、クラックの発生を伴うことなく厚膜化することを目的とする場合には、好ましくは50μm以上、より好ましくは80μm以上、特に好ましくは100μm以上である。この場合、硬化フィルムの上限値は、クラック耐性の観点から、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。
該硬化フィルムの形成に用いる光は、特に制限されるものではないが、通常、200〜450nmの紫外〜可視領域の光、好ましくは波長365nmの紫外線を含む光が用いられる。波長200〜450nmでの照射は、照度が1〜1000mW/cm2、照射量が0.01〜5000mJ/cm2、好ましくは0.1〜1000mJ/cm2となるように行なわれて露光される。
硬化フィルムの厚さは、特に限定されないが、クラックの発生を伴うことなく厚膜化することを目的とする場合には、好ましくは50μm以上、より好ましくは80μm以上、特に好ましくは100μm以上である。この場合、硬化フィルムの上限値は、クラック耐性の観点から、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。
該硬化フィルムの形成に用いる光は、特に制限されるものではないが、通常、200〜450nmの紫外〜可視領域の光、好ましくは波長365nmの紫外線を含む光が用いられる。波長200〜450nmでの照射は、照度が1〜1000mW/cm2、照射量が0.01〜5000mJ/cm2、好ましくは0.1〜1000mJ/cm2となるように行なわれて露光される。
照射する光の種類としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等を用いることができるが、光源の工業的な汎用性から、好ましくは200〜400nm、特に好ましくは365nmの紫外線を含む波長が好ましい。そして、照射装置としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプなどの広い面積を同時に照射するランプ光源と、パルス、連続発光等のレーザー光源のいずれか一方又は両方の光源から、ミラー、レンズ、光ファイバーを用いて収束光を生じさせるものを用いることができる。
ここで、本発明の硬化性組成物を基板に塗布する方法としては、例えばスピンコート法、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、又はインクジェット法等の方法を用いることができる。これらの中でも、特に均一な厚さの薄膜が得られることから、スピンコート法を採用するのがより好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1] サンプルAの作製
撹拌機、還流管を備えたフラスコに、フェニルトリメトキシシラン(30.79g)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン(22.64g)、テトラエトキシシラン(4.62g)、1−メトキシ−2−プロパノール(29.93g)及びシュウ酸(0.04g)を添加し、攪拌した後、得られた溶液を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(11.98g)を滴下し、滴下終了後、120℃にて6時間攪拌した。得られた反応混合物に、最終的に固形分濃度が65質量%になるように、1−メトキシ−2−プロパノールを添加して「硬化性組成物A」を得た。該硬化性組成物Aを、シリコン基板の表面上にスピンコータで塗布し、120℃で10分間乾燥させた。さらに、350℃にて1時間加熱することにより硬化フィルムを作製し、これを「サンプルA」とした。
撹拌機、還流管を備えたフラスコに、フェニルトリメトキシシラン(30.79g)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン(22.64g)、テトラエトキシシラン(4.62g)、1−メトキシ−2−プロパノール(29.93g)及びシュウ酸(0.04g)を添加し、攪拌した後、得られた溶液を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(11.98g)を滴下し、滴下終了後、120℃にて6時間攪拌した。得られた反応混合物に、最終的に固形分濃度が65質量%になるように、1−メトキシ−2−プロパノールを添加して「硬化性組成物A」を得た。該硬化性組成物Aを、シリコン基板の表面上にスピンコータで塗布し、120℃で10分間乾燥させた。さらに、350℃にて1時間加熱することにより硬化フィルムを作製し、これを「サンプルA」とした。
[実施例2] サンプルBの作製
撹拌機、還流管を備えたフラスコに、フェニルトリメトキシシラン(30.79g)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン(22.64g)、テトラエトキシシラン(4.62g)、1−メトキシ−2−プロパノール(29.93g)及びシュウ酸(0.04g)を添加し、攪拌した後、得られた溶液を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(11.98g)を滴下し、滴下終了後、120℃にて6時間攪拌した。そして、得られた反応混合物に、最終的に固形分濃度が65質量%になるように、1−メトキシ−2−プロパノール添加し、さらに、光塩基発生剤(0.1g、商品名「NBC−101」、みどり化学株式会社製)を添加して「硬化性組成物B」を得た。該硬化性組成物Bを、シリコン基板の表面上にスピンコータで塗布し、120℃で10分間乾燥させた後、波長365nm、照度6mW/cm2の紫外線を露光機(フォトアライナー、キャノン株式会社製)にて3分間照射した。さらに、250℃にて1時間加熱することにより硬化フィルムを作製し、これを「サンプルB」とした。
撹拌機、還流管を備えたフラスコに、フェニルトリメトキシシラン(30.79g)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン(22.64g)、テトラエトキシシラン(4.62g)、1−メトキシ−2−プロパノール(29.93g)及びシュウ酸(0.04g)を添加し、攪拌した後、得られた溶液を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(11.98g)を滴下し、滴下終了後、120℃にて6時間攪拌した。そして、得られた反応混合物に、最終的に固形分濃度が65質量%になるように、1−メトキシ−2−プロパノール添加し、さらに、光塩基発生剤(0.1g、商品名「NBC−101」、みどり化学株式会社製)を添加して「硬化性組成物B」を得た。該硬化性組成物Bを、シリコン基板の表面上にスピンコータで塗布し、120℃で10分間乾燥させた後、波長365nm、照度6mW/cm2の紫外線を露光機(フォトアライナー、キャノン株式会社製)にて3分間照射した。さらに、250℃にて1時間加熱することにより硬化フィルムを作製し、これを「サンプルB」とした。
[比較例1] サンプルCの作製
撹拌機、還流管を備えたフラスコに、ジメチルジメトキシシラン(16.20g)、メチルトリメトキシシラン(93.50g)、フェニルトリメトキシシラン(66.03g)、1−メトキシ−2−プロパノール(29.93g)及びシュウ酸(0.1g)を添加し、攪拌した後、得られた溶液を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(11.98g)を滴下し、滴下終了後、60℃にて6時間攪拌した。得られた反応混合物に、最終的に固形分濃度が65質量%になるように、1−メトキシ−2−プロパノールを添加して「硬化性組成物C」を得た。該硬化性組成物Cをシリコン基板の表面上にスピンコータで塗布し、120℃で10分間乾燥させた後、波長365nm、照度6mW/cm2の紫外線を露光機(フォトアライナー、キャノン株式会社製)にて3分間照射した。さらに、250℃にて1時間加熱することにより硬化フィルムを作製し、これを「サンプルC」とした。
撹拌機、還流管を備えたフラスコに、ジメチルジメトキシシラン(16.20g)、メチルトリメトキシシラン(93.50g)、フェニルトリメトキシシラン(66.03g)、1−メトキシ−2−プロパノール(29.93g)及びシュウ酸(0.1g)を添加し、攪拌した後、得られた溶液を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(11.98g)を滴下し、滴下終了後、60℃にて6時間攪拌した。得られた反応混合物に、最終的に固形分濃度が65質量%になるように、1−メトキシ−2−プロパノールを添加して「硬化性組成物C」を得た。該硬化性組成物Cをシリコン基板の表面上にスピンコータで塗布し、120℃で10分間乾燥させた後、波長365nm、照度6mW/cm2の紫外線を露光機(フォトアライナー、キャノン株式会社製)にて3分間照射した。さらに、250℃にて1時間加熱することにより硬化フィルムを作製し、これを「サンプルC」とした。
[比較例2] サンプルDの作製
撹拌機、還流管を備えたフラスコに、テトラエトキシシラン(346.00g)及びシュウ酸(0.1g)を添加し、攪拌した後、得られた溶液を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(11.98g)を滴下し、滴下終了後、60℃にて6時間攪拌した。得られた反応混合物に、最終的に固形分濃度が65質量%になるように、1−メトキシ−2−プロパノールを添加して「硬化性組成物D」を得た。該硬化性組成物Dをシリコン基板の表面上にスピンコータで塗布し、120℃で10分間乾燥させた後、波長365nm、照度6mW/cm2の紫外線を露光機(フォトアライナー、キャノン株式会社製)にて3分間照射した。さらに、250℃にて1時間加熱することにより硬化フィルムを作製し、これを「サンプルD」とした。
撹拌機、還流管を備えたフラスコに、テトラエトキシシラン(346.00g)及びシュウ酸(0.1g)を添加し、攪拌した後、得られた溶液を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(11.98g)を滴下し、滴下終了後、60℃にて6時間攪拌した。得られた反応混合物に、最終的に固形分濃度が65質量%になるように、1−メトキシ−2−プロパノールを添加して「硬化性組成物D」を得た。該硬化性組成物Dをシリコン基板の表面上にスピンコータで塗布し、120℃で10分間乾燥させた後、波長365nm、照度6mW/cm2の紫外線を露光機(フォトアライナー、キャノン株式会社製)にて3分間照射した。さらに、250℃にて1時間加熱することにより硬化フィルムを作製し、これを「サンプルD」とした。
[試験例]
サンプルA〜Dの物性を、以下に示す(1)〜(4)の評価方法に基づき評価した。その評価結果を以下の表1に示す。
サンプルA〜Dの物性を、以下に示す(1)〜(4)の評価方法に基づき評価した。その評価結果を以下の表1に示す。
<評価方法>
(1)屈折率測定評価
メトリコン社製のプリズムカップラーを用いて波長1310nmの光の屈折率を測定した。
(1)屈折率測定評価
メトリコン社製のプリズムカップラーを用いて波長1310nmの光の屈折率を測定した。
(2)厚膜化・クラック耐性評価
各サンプルを成膜したときにクラックが発生する膜厚とクラックが発生しない膜厚の境界膜厚を調べることで評価した。サンプルの膜厚は接触式膜厚計にて評価した。
各サンプルを成膜したときにクラックが発生する膜厚とクラックが発生しない膜厚の境界膜厚を調べることで評価した。サンプルの膜厚は接触式膜厚計にて評価した。
(3)耐熱性評価
熱重量測定装置(TGA)を用いて、各塗膜が1%質量減少する際の温度とした。
熱重量測定装置(TGA)を用いて、各塗膜が1%質量減少する際の温度とした。
(4)平坦化性評価
ライン/スペース/ハイト=20μm/20μm/20μm のパターン上に成膜し、パターンの凹凸を完全に塞ぐことができ、かつその表面の凹凸が反映されないときは:○、塞ぐことができるが、凹凸が反映されるときは:△、塞ぐことが出来ない場合は:×とした。
ライン/スペース/ハイト=20μm/20μm/20μm のパターン上に成膜し、パターンの凹凸を完全に塞ぐことができ、かつその表面の凹凸が反映されないときは:○、塞ぐことができるが、凹凸が反映されるときは:△、塞ぐことが出来ない場合は:×とした。
サンプルAの誘電率は、k=2.4であり、層間絶縁等の低誘電体材料としても利用可能である。
Claims (4)
- 一般式(1):
(R1)p(R2)qSi(X)4-p-q (1)
[式中、R1はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の同一であるか又は異なる有機基を示し、R2はフッ素原子を含有しない炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基を示し、Xは同一であるか又は異なる加水分解性基を示す。また、pは1又は2であり、qは0又は1である。]
で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物及びその縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上を含有する硬化性組成物であって、該硬化性組成物から形成される硬化物の、波長1310nmの光の屈折率が1.445±0.002であることを特徴とする硬化性組成物。 - さらに塩基性化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
- 光学材料用であることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物から形成されることを特徴とする硬化フィルム。
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JP2004160759A JP2005314623A (ja) | 2004-03-31 | 2004-05-31 | 硬化性組成物及び該硬化性組成物から形成される硬化フィルム |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015033805A1 (ja) * | 2013-09-04 | 2015-03-12 | 旭硝子株式会社 | 硬化性組成物、硬化膜を有する物品、ハードコート用組成物、ハードコート層を有する物品およびタッチパネル |
KR101876862B1 (ko) * | 2016-12-09 | 2018-07-11 | 한국생산기술연구원 | 광학용 코팅필름의 제조방법 및 이에 의해 제조되는 광학용 코팅필름 |
-
2004
- 2004-05-31 JP JP2004160759A patent/JP2005314623A/ja active Pending
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---|---|---|---|---|
WO2015033805A1 (ja) * | 2013-09-04 | 2015-03-12 | 旭硝子株式会社 | 硬化性組成物、硬化膜を有する物品、ハードコート用組成物、ハードコート層を有する物品およびタッチパネル |
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