JP3818241B2 - 光導波路の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリシロキサンの硬化物であるコア層から構成される光導波路に関し、より詳細には、波長1.55μmにおける光学特性が良好で光通信部品として有用な光導波路、及び生産性の良好な光導波路に関する。
【従来の技術】
【0002】
マルチメディア時代を迎え、光通信システムやコンピュータにおける情報処理の大容量化および高速化の要求から、光の伝送媒体として光導波路が注目されている。このような目的で使用される光導波路は、伝送損失、偏波依存性などの光学特性が良好なことに加え、その性能が外部環境に影響せず長期に安定していること、また、微細かつ複雑な形状の光導波路を環境汚染することなく、低エネルギー、短時間、少ない工程で歩留まりよく製造することが望まれている。
従来の光導波路としては、石英系導波路が代表的であり、一般に以下の工程により製造されている。
▲1▼シリコン基板上に、火炎堆積法(FHD)やCVD法等の手法によりガラス膜よりなる下部クラッド層を形成する。
▲2▼下部クラッド層上に、これと屈折率の異なる無機質の薄膜を形成し、この薄膜を反応性イオンエッチング法(RIE)を利用してパターニングすることによりコア部分を形成する。
▲3▼更に、火炎堆積法によって上部クラッド層を形成する。
【0003】
しかしながら、このような石英系導波路の製造方法では、光学特性、耐久性は良好であるとされるが、製造には、石英膜を堆積する為に高温で長時間の処理が必要であり、導波路のパターン形成には光レジストを用いる工程と危険性の高いガスを用いてエッチングする工程が含まれることから特殊な装置が必要である。すなわち、多数の複雑な工程と特殊な装置を用いても製造時間が長くかかり、かつ歩留まりも低いなどの問題を有している。
これらの問題に対して、光導波路の製造時間の短縮、工程数の削減、歩留まりの向上などの生産性の向上を目的に、液状の硬化性組成物を用いる技術が近年幾つか提案されている。例えば、特開平06−109936においては重水素化又はハロゲン化ポリシロキサンの塗膜にマスクを介して酸素の存在下UV光を照射することで溶解度を変化させ有機溶剤でエッチングする技術が開示されているがパターニング性は満足できるものではない。特開平10−254140号公報においては加水分解性シランの縮合物、光酸発生剤、脱水剤からなる硬化性組成物、特開2000−180643においてはエポキシ基含有のシラン化合物、有機オリゴマー、重合開始剤からなる感光性組成物が開示されている。しかしながら、いずれの技術においても生産性が高く、光通信に有用な1.55μmでの光学特性を満足するものは開示されていない。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上のような事情を背景としてなされたものであって、工業的な生産性の高い湿式リソグラフィー法が適用でき、光通信に有用な1.55μmでの光学特性が良好な光導波路の製造方法を提供することを目的とする。
以上述べた従来技術の課題を解決することを目的に鋭意検討した結果、本発明に示す光導波路の製造方法を発明するにいたった。すなわち、本発明は、下記一般式(1):
R 1 m Si(X) 4−m (1)
(式中、mは0〜3であり、R 1 は、それぞれ独立に、炭素数1〜12の非加水分解性の環状、分岐状、直鎖状のアルキル基、アリール基、アラルキル基から選ばれ、置換基上の水素原子の一部もしくは総てが重水素、フッ素、塩素置換されていてもよい。Xは、加水分解性基であり、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルカルボキシレート基から選ばれる。)
で表され、かつ、フェニル基を含有するものの割合が40〜90mol%である加水分解性シラン化合物、その加水分解物、又は両者の混合物と、光酸発生剤とを含む放射線硬化性樹脂組成物を調製する工程と、塩基性物質を溶媒で希釈してなる現像液を用いた湿式光リソグラフィー法によって、上記放射線硬化性樹脂組成物を用いて、コア部分となるべきパターン状被膜を形成する工程と、上記パターン状被膜をポストベーク処理して、シラノール濃度が10mmol/g以下であるコア部分を形成する工程とを含むことを特徴とする光導波路の製造方法を提供するものである。
【0005】
以下に、本発明の各成分、実施形態を図面を適時参照しながら具体的に説明する。
本発明において、光導波路のコア層を形成する放射線硬化性性組成物はフェニル基含有量が40〜90mol%であるポリシロキサン成分(A)を含有する放射線硬化性樹脂組成物である。本組成物は、成分(A)以外にも、必要に応じて、後述する成分(B)〜(H)あるいはその他の成分を含有することができる。
【0006】
本発明の成分(A)であるポリシロキサンは、下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物、その加水分解物、又は両者の混合物を縮合させて得られる。
【化1】
R1 mSi(X)4−m (1)
ここで、一般式(1)中、mは0〜3であり、R1は、それぞれ独立に、炭素数1〜12の非加水分解性の環状、分岐状、直鎖状のアルキル基、アリール基、アラルキル基から選ばれ、置換基上の水素原子の一部もしくは総てが重水素、フッ素、塩素置換されていてもよい。Xは、加水分解性基であり、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルカルボキシレート基から選ばれる。
【0007】
具体的には、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、ドデシル、及びこれらの重水素置換体、アリール基としてはフェニル、ビフェニル、ナフチル、及びこれらの重水素、フッ素、又は塩素の各置換体、アラルキル基としてはトリル、キシリル、メシチル、及びこれらの重水素、フッ素、塩化物が挙げられる。好ましいアルキル基としてはメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル、トリジューテリオメチル、好ましいアリール基としては、フェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンタジューテリオフェニル、特に好ましくは、アリール基としてフェニルを挙げることができる。また、好ましいアラルキル基としては、トリフルオロメチルフェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニルを挙げることができる。
【0008】
加水分解性基Xとしては、水素原子、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルカルボキシレート基が挙げられる。アルコキシ基はメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、オクチロキシ、ドデシロキシ等が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、アミノ基としては、アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アルキルカルボキシレートとしてはアセトキシ、プロピオレート、好ましいXはアルコキシ基であり、より好ましくは、メトキシ、エトキシである。
【0009】
一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物を、フェニル基含有加水分解性シラン化合物(a)とフェニル基を含有しない加水分解性シラン化合物(b)にわけて、その具体例を挙げる。なお、成分(A)のフェニル基含有量を所定の値とするよう、(a)と(b)を混合して用いられる。さらに、(a)、(b)それぞれ複数種を混合して用いてもよい。
【0010】
フェニル基含有加水分解性シラン化合物(a)としては、ベンジルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリアミノシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリクロロシラン、ペンタジューテリオフェニルトリメトキシシラン、ペンタジューテリオフェニルトリアセトキシシラン、ペンタジューテリオフェニルトリクロロシラン、ペンタジューテリオフェニルトリエトキシシシラン、キシリルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルフェニルトチメトキシシラン、ビフェニルトリメトキシシラン、ビフェニルトリクロロシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジクロロシランなどを挙げることができる。これらの中で好ましい具体例としては、フェニルトリメトキシシランを挙げることができる。
【0011】
フェニル基を含有しない加水分解性シラン化合物(b)としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラ(2−メタクリロキシエトキシ)シラン、テトラ(2−アクリロキシエトキシ)シラン、テトラクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトラアミノシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、メチルジメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、トリジューテリオメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリジューテリオメチル)ジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルシラン、トリエチルクロロシランなどを挙げることができる。これらの中で、好ましい具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランを挙げることができる。
【0012】
ポリシロキサンの製造原料となる加水分解性シラン化合物の加水分解または縮合させる為の条件は、加水分解性基がアルコキシ基である場合、加水分解、縮合の工程において溶剤を添加することなく実施することができる。
一方、加水分解性基がハロゲン基などの希釈溶剤となる副生成物を生成せず、かつ、自己触媒となる酸を副生する原料の場合、後述する有機溶剤を予め添加して希釈した後に加水分解、縮合反応を実施することが望ましい。その場合、生成する酸は反応後も残存し、硬化性組成物としての安定性を損なうことから、例えば、塩基性物質による中和、水での洗浄、イオン交換樹脂の添加などの工程を加えることにより安定な硬化性組成物にすることが好ましい。
【0013】
以下に、加水分解性基がアルコキシ基である場合のシラン化合物の加水分解、縮合工程を一例として示す。すなわち、下記1)〜4)の工程によって実施される。
加水分解性シラン化合物を容器に収容する。
2)次いで、所定量の水及び触媒を攪拌しながら滴下する。
この工程は加水分解性シランの加水分解を開始する工程であり、工程1)と同じ温度で乾燥雰囲気下で行われる。添加する水の量をPモル、加水分解性シラン化合物中の総加水分解性基のモル数をQとした場合、 P/Q比が小さすぎると加水分解、縮合物の収量と分子量が低下する結果、形成される光導波路の耐久性が低下する。一方、 P/Q比が大きすぎる場合、分子量が適正範囲を越えることで保存安定性が低下する。このことから、通常、0.1<P/Q<7の範囲、好ましくは0.3<P/Q<4の範囲で行われる。添加する水は通常イオン交換水、蒸留水を用いる。
【0014】
また、反応を加速する目的で触媒を添加してもよく、触媒の添加量は加水分解性シラン100重量部に対して、0.0001〜10重量部、好ましくは、0.001〜1重量部である。触媒の添加方法は特に規定されないが好ましくは水溶液として加える。触媒としては蟻酸、酢酸、蓚酸、乳酸、マロン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、フタル酸、ピロメリット酸、p―トルエンスルフォン酸、メタンスルフォン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルフォン酸、などの1価、2価、3価の有機酸、塩酸、リン酸、硝酸、フッ酸、臭素酸、塩素酸、過塩素酸、などの無機酸、周期律表でアルカリ金属、アルカリ土類の水酸化物、4級アルキルアンモニウムの水酸化物や炭酸塩、1〜3級アミン類などのアルカリ、アンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムスルフォネートなどの酸性塩、次亜塩素酸ナトリウム、塩基性塩、スズ、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、硼素などのケイ素以外の金属アルコキシドおよびそれらのキレート錯体、などをあげることができ、この中で有機酸、無機酸、金属アルコキシド、金属アルコキシドのキレート化合物など酸性触媒が好ましく、有機酸が特に好ましい。
【0015】
3)ついで、所定温度で所定時間加熱攪拌する。
この工程は加水分解性シランの加水分解、縮合を実施する工程であり、反応温度はシラン化合物、水、及び加水分解により副生するアルコールの沸点以下で行われ、通常0℃〜150℃、好ましくは20℃〜100℃、乾燥雰囲気下で行われる。反応時間は通常1時間〜12時間である。
【0016】
4)必要に応じ、所定の溶剤を加え希釈することができる。
この工程においては所定の溶剤による希釈もしくは置換をおこなうが、光導波路を形成するに適切な希釈溶剤への置換をこの段階で行うことが好ましい。好ましい希釈溶剤としてはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、などのケトン系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系、トルエン、キシレンなどの炭化水素系、メタノール、エタノール、ブタノール、オクタノール、フルフリルアルコールなどのアルコール系、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル含有アルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸オクチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのエステル系溶剤から単一もしくは2種以上組み合わせて選ばれる。好ましい溶剤はケトン系、アルコール系、エーテル含有アルコール系及びエステル系溶剤であり、さらに好ましくは、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、ブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル、乳酸ブチルを挙げることができる。
これら希釈溶剤は加水分解性シラン化合物の仕込量100重量部に対して、0〜1000重量部、好ましくは40〜250重量部用いられる。溶剤置換の方法は特に制限されないが、常圧下で蒸留置換する方法、減圧下で蒸留する方法などを挙げることができる。
【0017】
(A)ポリシロキサン中のフェニル基含有量は、40〜90mol%であることが必要であるが、好ましくは50〜80mol%である。フェニル基含有量が40mol%未満の場合は、波長1.55μmでの光学特性が低下する為好ましくない。一方、90mol%を越える場合、パターン形成時の解像度が低下する為、好ましくない。なお、成分(A)のフェニル基含有量の値は、縮合反応前の各加水分解性シラン化合物の混合物についてのフェニル基含有量(仕込量)である。 成分(A)の分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略記)で求めたポリスチレン換算の重量平均分子量で500〜50000、好ましくは1000〜20000の範囲とすることが好ましい。重量平均分子量が500未満の場合、光導波路の耐久性が低下し、一方50000を越えると保存安定性が低下する為好ましくない。
【0018】
本発明の放射線硬化性樹脂組成物には、成分(B)として、光酸発生剤を添加することができる。光酸発生剤は光照射により酸成分を発生させる化合物であれば特に限定されないが、好ましくは一般式(2)で表される構造を有するオニウム塩(第1群の化合物)や、一般式(3)で表される構造を有するスルホン酸誘導体(第2群の化合物)を挙げることができる。特に有効な化合物は芳香族オニウム塩である。
例えば特開昭50−151996号公報、特開昭50−158680号公報などに記載の芳香族ハロニウム塩、特開昭50−151997号公報、特開昭52−30899号公報、特開昭56−55420号公報、特開昭55−125105号公報などに記載のVIA族芳香族オニウム塩、特開昭50−158698号公報などに記載のVA族芳香族オニウム塩、特開昭56−8428号公報、特開昭56−149402号公報、特開昭57−192429号公報などに記載のオキソスルホキソニウム塩、特開昭49−17040号公報などに記載の芳香族ジアゾニウム塩、米国特許第4139655号明細書に記載のチオビリリウム塩などが好ましい。また、鉄/アレン錯体、アルミニウム錯体/光分解ケイ素化合物系開始剤なども挙げることができる。
【0019】
【化2】
[R2 aR3 bR4 cR5 dW]+m[MZm+n]−m (2)
[一般式(2)中、カチオンはオニウムイオンであり、WはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、または−N≡Nであり、 R2、R3、R4、R5は同一または異なる有機基であり、a、b、c、dはそれぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。また、Mはハロゲン化物錯体[MZm+n]の中心原子を構成する金属またはメタロイドであり、例えば、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coである。Zは例えば、F、Cl、Brなどのハロゲン原子またはアリール基であり、mはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、nはMの原子価である]
【0020】
【化3】
QS―[S(=O)2―R6]t (3)
[一般式(3)中、Qは1価もしくは2価の有機基、R6は炭素数1〜12の1価の有機基、sは0または1、tは1又は2である]
【0021】
まず、第1群の化合物であるオニウム塩は光を受けることにより酸性活性物質を放出することができる化合物である。
ここで一般式(2)における[MZm+n]の具体例として、テトラフルオロボレート(BF4 −)、ヘキサフルオロフォスフェート(PF6 −)、ヘキサフルオロアンチモネート(Sb6 −)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6 −)、このようなオニウム塩のうち、(B)成分としヘキサクロロアンチモネート(SbCl6 −)、テトラフェニルボレート(BPh4 −)、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート[B(CF3―Ph)4 −]、ペンタキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(B(C6F5)4 −)などが挙げられる。
また、一般式(2)に使用するアニオン[MZm+n]のかわりに、一般式(MZnOH−)で表されるアニオンを使用することもできる。さらに、価塩素酸イオン(ClO4 −)、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CF3SO3 −)、フルオロスルフォン酸(FSO3 −)、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸イオン、トリニトロトルエンスルフォン酸イオン、などの他のアニオンを有するオニウム塩を使用することもできる。
【0022】
次に第2群の化合物について説明する。 一般式(3)で表されるスルフォン酸誘導体の例を示すと、ジスルフォン酸類、ジスルフォニルジアゾメタン類、ジスルフォニルメタン類、スルフォニルベンゾイルメタン類、イミドスルフォネート類、ベンゾインスルフォネート類、1−オキシ−2−ヒドロキシ3−プロピルアルコール、のスルフォネート類、ピロガロールトリスルフォネート類、ベンジルスルフォネート類を挙げることができる。また、一般式(3)で表されるスルフォン酸誘導体の中で、より好ましくはイミドスルフォネート類であり、さらに好ましくはトリフルオロメタンスルフォネート誘導体である。
【0023】
光酸発生剤として好適に使用できる化合物の市販品としては、UVI−6950、UVI−6970、UVI−6974、UVI−6990(以上、ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマーSP−150、SP−151、SP−170、SP−171、SP−172(以上、旭電化工業(株)製)、Irgacure 261(以上、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)、CI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)製)、CD−1010、CD−1011、CD−1012、KI85(以上、サートマー社製)、DS―100、 DS―101、 DAM―101、 DAM―102、 DAM―105、 DAM―201、DSM―301、DTS−103、NAI−100、 NAI−101、 NAI−105、 NAI−106、PAI―101、SI―100、 SI―101、 SI―105、 SI―106、PI―105、NDI―105、BENZOIN TOSYLATE、MBZ―101、 MBZ―301、PYR―100、PYR―200、DNB―101、NB―101、NB―201、NDS−103、NAT―103、NAT―105、NDS―103、 NDS―105、 NDS―155、NDS―165、CMS―105、TPS−102、TPS−103、TPS−105、MDS−103、MDS−105、MDS−205、MDS−305、DTS−103、MPI−103、BBI―101、BBI―102、BBI−103、BBI―105、 BBI―106、 BBI―109、 BBI―201、DPI―105、 DPI―109、 DPI―201、MPI―103、 MPI―105、 MPI―106、 MPI―109(以上、みどり化学(株)製)、PCI−061T、PCI−062T、PCI−020T、PCI−022T(以上、日本化薬(株)製)、IBPF、IBCF(以上三和ケミカル(株)製)などを挙げることができる。これらのうち、さらに好ましい光酸発生剤としては、200nm以上の波長域における吸収極大が360nm以下にある第1群の化合物であるオニウム塩の光酸発生剤をあげることができる。
【0024】
光酸発生剤(成分B)の添加量は(A)成分のポリシロキサン100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは、0.1〜5重量部、より好ましくは、0.1〜1部である。0.01部重量部未満では硬化性が不十分となり、10重量部を越えると光導波路としての光学特性が低下する。
【0025】
また、本発明の組成物を用いて湿式リソグラフィー法によりパターン化されたコア層を形成する際、光酸発生剤から生じた酸性活性物質の被膜中における拡散を制御し、非照射領域での硬化反応を抑制することを目的に酸拡散制御剤(C)を添加することができる。ただし、光酸発生剤(B)と異なり、(C)成分の酸拡散制御剤は酸発生機能を有しない化合物である。
このような酸拡散制御剤を添加することにより、放射線硬化性樹脂組成物を効果的に硬化して、パターン精度を向上せしめることができる。
【0026】
(C)成分の酸拡散制御剤としては、形成工程中の露光や加熱処理によって塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましい。
このような含窒素有機化合物としては、例えば、下記一般式(4)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」という。)が挙げられる。
【化4】
NR7R8R9 (4)
[一般式(4)中、R7、R8およびR9は相互に独立であって、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のアラルキル基を表している。]
【0027】
また、別の含窒素有機化合物としては、同一分子内に窒素原子を2個有するジアミノ化合物(以下、「含窒素化合物(II)」という。)や、窒素原子を3個以上有するジアミノ重合体(以下、「含窒素化合物(III)」という。)、あるいは、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
【0028】
ここで、含窒素化合物(I)としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン類;
ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン等のジアルキルアミン類; トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン等のトリアルキルアミン類;
アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、1−ナフチルアミン等の芳香族アミン類;
エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類等を挙げることができる。
【0029】
また、含窒素化合物(II)としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン等を挙げることができる。
【0030】
また、含窒素化合物(III)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ジメチルアミノエチルアクリルアミドの重合体等を挙げることができる。
また、アミド基含有化合物としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
また、ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリブチルチオウレア等を挙げることができる。
また、含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;
ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、N−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;
ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等を挙げることができる。
【0031】
これらの含窒素有機化合物のうち、含窒素化合物(I)、含窒素複素環化合物等が好ましい。また、含窒素化合物(I)の中では、トリアルキルアミン類が特に好ましく、含窒素複素環化合物の中では、ピリジン類が特に好ましい。なお、酸拡散制御剤は、一種単独で使用することもできるし、あるいは二種以上を混合して使用することもできる。
【0032】
また、酸拡散制御剤の添加量は、(A)成分のシロキサン100重量部に対して、0.001〜15重量部の範囲内の値とすることが好ましく、0.001〜10重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.005〜5重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。。酸拡散制御剤の添加量が0.001重量部未満では、プロセス条件によっては、光導波路のパターン形状や寸法再現性が低下する場合がある。一方、酸拡散制御剤の添加量が15重量部を超えると、(A)成分の硬化性が低下する場合がある。
【0033】
本発明の光導波路形成において、表面張力低下剤(D)を添加することができる。
(D)成分の表面張力低下剤は本発明の硬化物を形成する際、硬化性組成物のコーテイングする工程における塗膜のはじき、凹凸、うねりなど、表面張力の不適合に由来するコーテイング性能を改善する目的で添加され、微量の添加で表面張力を低減する機能を有する化合物から選ばれる。そのような表面張力低下剤は市販されている界面活性剤、レベリング材、消泡剤、脱泡剤、整泡剤および塗料添加剤の中から選ぶことができる。
【0034】
表面張力低下剤は基本的には極性基と疎水性基の両者を含有する化合物である。構造的にはシリコーン系、有機系、フッ素系の製品が市販されており、これらは極性基のイオン性から、それぞれアニオン系、ノニオン性、カチオン性、両性、に類別される。表面張力低下剤は以上述べた化合物の中から選択することができるが、本発明の主たる構成成分であるポリシロキサンとの相溶性が高いことと微量で効果が得られることから、シリコーン系もしくはフッ素系の表面張力低下剤が好ましい。
【0035】
シリコーン系表面張力低下剤としてはポリエーテル変性シリコーン類、ポリエステルシリコーン類、アルキル変性シリコーン類、アクリルシリコーン類などから選ばれるが、より好ましくはこれらの中でノニオン系であり特にポリエーテル変性シリコーン類の表面張力低下剤が選ばれる。また、フッ素系としてはフルオロアルキルシリコーン類、フルオロアルキルカルボン酸類、フルオロアルキルアルコール類、フルオロアルキルエーテル類、フルオロアルキル4級アンモニウム塩などから選ばれる。これらの中から単独もしくは2種以上混合して配合することができる。
【0036】
表面張力低下剤の添加量は光導波路形成用組成物100重量部に対して、0.0001〜0.1部、好ましくは0.001〜0.1部である。また、組成物中の乾燥後の固形分100重量部に対しては、0.001〜1部、好ましくは0.01〜1部である。表面張力低下剤の添加量が0.0001部未満の場合、本発明の光導波路の均質性、平滑性が低下する場合があり、一方、0.1部を越えて添加する場合、光導波路の表面粗さが増加する為好ましくない。
【0037】
表面張力低下剤の添加時期は本発明の硬化物を形成する組成物製造のどの段階でもよいがが、化学反応による消泡剤の純度低下を防ぐ為、(A)成分のポリシロキサン製造後に添加することが好ましい。また、添加方法は表面張力低下剤が組成物中均一に溶解するならば制限を受けないが、予め有機溶剤で希釈した後添加する方法が均一化までの時間を短縮できる為好ましい。
【0038】
市販されている製品を例示すると、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のシリコン系製品では、シリコーン塗料添加剤として製品化されているSH200、DC3PA、SH7PA、DC11PA、SH21PA、SH28PA、SH29PA、SH30PA、ST80PA、ST83PA、ST86PA、ST90PA、ST94PA、ST96PA、ST97PA、ST101PA、ST102PA、ST103PA、ST105PA、ST110PA、SH550、SH710、など、また、シリコーン消泡剤として製品化されているSH200、FS1265、SH203、SD5591、SH7PA、化粧品用シリコーンとして製品化されているSH3746、SH3771C、SH3772C、SH3773C、SH3775C、SH3748、SH3749、などを挙げることができる。
また、ビックケミー・ジャパン(株)製のシリコーン系表面調整剤として製品化されているBYK−300、BYK−301、BYK−335、BYK−302、BYK−331、BYK−306、BYK−330、BYK−341、BYK−344、BYK−307、BYK−332、BYK−333、BYK−310、シリコーン系レベリング剤として製品化されているBYK−077、BYK−315、BYK−320、BYK−325、BYK−322、BYK−323、など反応性シリコーン系表面調整剤として製品化されているBYK−370、BYK−371、BYK−373、BYK−375など、紫外線硬化型用表面調整剤として製品化されているBYK−UV3500、BYK−UV3510、BYK−UV3530、また、溶剤型および無溶剤型塗料用非シリコーン系消泡剤として製品化されているBYK−051、BYK−052、BYK−053、BYK−055、BYK−057、などをあげることができる。
【0039】
また、フッ素系塗料添加剤として製品化されている例をあげると共栄社油脂化学工業(株)製フローレンAC−300、フローレンAC−900、フローレンAO−3、フローレンAKS、フローノンSB−110N、フローノンSB−210、フローノンSB−510、フローノンSB−551、新秋田化成(株)製EF−305、EF−306A、などがある。
【0040】
界面活性剤として製品化されているものには、例えば、花王(株)製エマール0、エマールAD−25R、エマールTD、エマールE−27C、エマールNC−35、レオドールMS−50、レオドールSP−L10、レオドールAO−10、レオドールTW−L120、レオドールTW−O120、レオドールスーパーTW−S120、レオドール430、ネオペレックスF−25、ネオペレックスNo25、エマノーン1112、エマノーン4110EMANO−NN3299、エマゾールL−10H、エマゾールP−120、エマゾールO−120、など、花王アトラス(株)製エマルゲン105、エマルゲン108、エマルゲン147、エマルゲン210、エマルゲン320P、エマルゲン404、エマルゲン430、エマルゲン903、エマルゲン906、エマルゲン920、エマルゲン950、エマルゲン705、エマルゲンPP−150、エマルゲンPP−230、エマルゲンPP−250、エマルゲンPP−290、アミート105、アミート308、アミート320、コータミン24P、コータミンD−86P、アンヒトール24B、アンヒトール86Bなどを挙げることができる。なお、これら界面活性剤として製品化されているもの中では特にノニオン性のものが好ましい。
【0041】
光増感剤(E)
光増感剤(E)は本発明においてポリシロキサンを含有する硬化物を光硬化により形成する際に光に対する感度を高める。(E)成分は、波長300nm以上のいずれかの波長におけるモル吸光係数(光路長1cm)が1000以上である縮合芳香族化合物である。該モル吸光係数が10000であると組成物の放射線硬化性をより向上させることができるため好ましい。
光増感剤として用いる縮合芳香族化合物はヘテロ原子、例えば酸素、硫黄、窒素、リン、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)などを有していてもよい。
【0042】
縮合芳香族化合物の添加量は成分(A)のシロキサン100重量部に対して、0.0001〜1重量部、好ましくは、0.001〜0.1部である。
【0043】
成分(E)の具体例としては、アントラセン、シアノアントラセン、ブロムアントラセン、クロルアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9−ヒドロキシメチルアントラセン、などのアントラセン誘導体、アントラキノン、2−ヒドロキシメチルアントキノン、エチルアントラキノン、アントラキノン誘導体、チオキサントン、クロルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、3−(ジエチルチオキサントニルオキシ)−2―ヒドキシートリメチルアンモニウム、チオキサントンなどのチオキサントン誘導体、ベンゾフェノン、オルトベンゾイル安息香酸メチル、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン、4、4‘―ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−ベンゾイルビフェニル、1、4−ジベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン誘導体、ベンジル、ナフタレン、ベンゾイルナフタレンなどのナフタレン誘導体、10−ブチル−2−クロロアクリドン、アクリドンなどのアクリドン誘導体、ペリレン誘導体、6−メチルクマリン、ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−ヒドロキシ4−メチルクマリン、クマリン、などのクマリン誘導体、ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、などのアミノ安息香酸エステル誘導体、アクリジン、1、7−ジアクリジルヘプタン、9−ヒドロキシ4−メチキシアクリジンなどのアクリジン誘導体、N―オクチルービス(α―モルフォニルジメチルアセチル)カルバゾール、エチルカルバゾール、メチルカルバゾール、などのカルバゾール誘導体などを挙げることができる。これらの中で好ましい化合物はアントラセン、チオキサントン誘導体、ベンゾフェノン誘導体である。
【0044】
架橋性有機化合物(F)
成分(F)は、成分(A)以外の架橋性の化合物から選ばれ、そのような架橋性化合物としては、以下のものを例示することができる。
第1の例として、(A)以外の酸性活性物質で重合、架橋する加水分解性シラン化合物もしくはその縮合物を例示すると、例えば、シランカップリング剤として市販されている、グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、グリシジロキシプロピルジメチルメトキシシラン、2−トリメトキシシリルエチルシクロヘキセンオキシド、2−トリエトキシシリルエチルシクロヘキセンオキシド等のエポキシ置換アルコキシシラン類、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシトリメトキシシランなどのアクリル置換アルコキシシラン類、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどのメルカプト置換アルコキシシラン類、アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ置換アルコキシシラン類、及びこれらの加水分解、縮合物からなる群から選ばれる1種以上の化合物を挙げることができる。
【0045】
第2の例として、分子中に1個以上のエポキシ基を含有するエポキシ化合物、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類;エポキシ化大豆油;エポキシステアリン酸ブチル;エポキシステアリン酸オクチル;エポキシ化アマニ油;エポキシ化ポリブタジエンなどを例示することができる。
【0046】
第3の例として、分子中に1個以上のオキセンタン基を含有するオキセタン化合物としては、例えば、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、ビス(3−エチル−3−メチルオキシ)ブタンなどのオキセタン類を挙げることができる。
【0047】
第4の例として、分子中に1個以上のビニルエーテル基を含有するビニルエーテル化合物として、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどのビニルエーテル類を挙げることができる。
【0048】
第5の例として、分子中に1個以上のエポキシ、オキセタン、ビニルエーテル基、加水分解性シリル基からなる群から選ばれる一つ以上の基を含有するビニル系重合体を挙げることができる。これらの基は1分子中に0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%含有することができる。これらの官能基の共重合は、これら官能基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類を主構成成分のビニルモノマーとラジカル共重合する方法、もしくは、カルボン酸、エポキシ基、ヒドロキシ基を含有するビニル系重合体にポリマー反応により導入する方法などにより製造される。
【0049】
例えば、加水分解性シリル基含有のビニル系重合体の製造においては、メタクリロキシプロピルトリメトキシシランをラジカル共重合する方法に加え、カルボン酸含有ビニル系重合体とグリシジロキシプロピルトリメトキシシランを反応させる方法、ヒドキシ含有ビニル系重合体にトリメトキシシリルプロピルイソシアネートを反応させる方法、エポキシ基含有ビニル系重合体にアミノプロピルトリエトキシシランを反応させる方法などにより製造される。これら架橋性基を含有したビニル系重合体のGPCによる重量平均分子量は500〜100000、好ましくは、1000〜50000、より好ましくは、3000〜10000である。
【0050】
ビニル系重合体の主構成成分となるビニルモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、などの芳香族不飽和エチレン含有化合物、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、フチル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸類、N―ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムなどのN―ビニルラクタム類、(メタ)アクリロイルモルフォリン、N,N―ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド類などを挙げることができる。ビニル系重合体の製造はビスアゾバレロニトリルなどのジアゾ系の熱ラジカル重合開始剤、ビニルモノマー、有機溶剤の混合液を50℃〜150℃の範囲で1〜10時間加熱攪拌する公知の方法により製造される。架橋性有機化合物の添加は通常、成分(A)と混合する方法により行われるが、成分(A)のシロキサンの製造時に加水分解性シランと架橋性有機化合物との混合物を加水分解して配合することも可能である。
【0051】
成分(F)の添加量は、成分(A)のシロキサン100重量部に対して、0〜100重量部、好ましくは、20〜70部である。
【0052】
無機微粒子(G)
本発明の光導波路の強度を高めることを目的として、無機微粒子(G)を添加することができる。無機微粒子としては、特に限定されないが、酸化物、窒化物が好ましく、酸化物としては例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化硼素、酸化チタニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、窒化物としては窒化ケイ素、窒化硼素などを挙げることができる。これら無機微粒子の平均粒子径は1〜100nm、好ましくは5〜50nmであり、粒子径が1nm未満の材料は安定に存在せず、一方、100nmを越えると光導波路の表面粗さが低下することにより光学特性が低下する。添加量は(A)成分のポリシロキサン100重量部に対して、1〜200重量部、好ましくは10〜100重量部加えることができる。添加量が1重量部未満では強度向上の効果が低く、一方200重量部を越えると強度が低下する為好ましくない。
【0053】
無機微粒子は粉体又は溶剤分散のコロイド液として入手されるが、組成物中での分散性が良好な為、溶剤分散のコロイド液がより好ましい。また、光導波路における光散乱による光伝送損失を損なわない為、無機微粒子と(A)成分のシロキサンとの屈折率差は0.03以下、より好ましくは0.003以下にすることが好ましい。市販されている無機微粒子の製品例のうちコロイダルシリカの例を挙げると、日産化学工業(株)製のスノーテックスO、スノーテックスN、メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、DMAC−ST、などを挙げることができる。
【0054】
金属アルコキシド(H)
本発明の光導波路の屈折率を制御する目的で金属アルコキシド(H)を添加することができる。そのような金属アルコキシドを例示すると、金属元素としては、Ge、Sn、B、Al、Ga、In、Sb、Ti、Zrであり、アルコキシ基としては炭素数1〜12の直鎖状、分枝上、環状のアルコキシ基から選ばれる。
【0055】
具体例を示すと、テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラブトキシゲルマニウム、メチルトリエトキシゲルマニウム、フェニルトリメトキシゲルマニウム、テトラブトキシスズ、テトラブトキシスズ、メチルトリブトキシスズ、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリブトキシボラン、トリブトキシアルミニウム、トリス(エチルアセトアセトナト)アルミニウム、ジブトキシ(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリイソプロポキシガリウム、トリブトキシガリウム、トリイソプロポキシインジウム、トリブトキシインジウム、トリイソプロポキシアンチモン、トリブトキシアンチモン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、ジアセチルアセトナト(ジブトキシ)チタン、テトラキス(エチルアセトアセトナト)チタニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセトナト)ジルコニウムなどを挙げることができる。
【0056】
これらの金属アルコキシドの添加量は(A)成分のポリシロキサン100重量部に対して、0.01〜50部であり、(A)成分のポリシロキサンの製造後もしくは製造前に添加する。製造前に添加する場合はシロキサン製造時の加水分解性シラン化合物と同時に混合後、加水分解、共縮合することが好ましい。
【0057】
さらに、本発明の放射線硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、溶剤などをさらに添加することができる。ここで溶剤は、当該組成物の粘度を調整し、塗布性を改善する硬化を有する。
溶剤の具体例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、などのケトン系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系、トルエン、キシレンなどの炭化水素系、メタノール、エタノール、ブタノール、オクタノール、フルフリルアルコールなどのアルコール系、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル含有アルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸オクチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのエステル系溶剤から単一もしくは2種以上組み合わせて選ばれる。好ましい溶剤はケトン系、アルコール系、エーテル含有アルコール系及びエステル系溶剤であり、さらに好ましくは、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、ブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル、乳酸ブチルを挙げることができる。
【0058】
本発明の光導波路は、放射線硬化性樹脂組成物を使用して湿式リソグラフィー法により製造される。当該光導波路中のコア層中のシラノール濃度は10mmol/g以下であり、好ましくは、5mmol/g以下である。シラノール濃度が10mmol/gを超える場合、波長1.55μmにおける光伝送損失は1.0dB/cmを超えた値となり好ましくない。
すなわち、ポリシロキサンを主成分とする放射線硬化性樹脂組成物で製造した光導波路の波長1.55μmでの伝送損失を下げる為コア層中のシラノ−ル濃度は10mmol/g以下であることが要請される。また、コア層の形成をポリシロキサン成分(A)と光酸発生剤(成分B)を含む放射線硬化性樹脂組成物を用いることにより優れた生産性とパターン精度を得ることができる。
なお、シラノール濃度(mol/g)は、固体29Si−NMR法により求められシラノ−ル濃度(mol/全Si mole)と全Si濃度(mol/g)を乗じて求めた値として定義される。
【0059】
光導波路の各層の屈折率は光導波路としての光学的要求から、それぞれ、n1(下部クラッド層)、n2(コア層)、n3(上部クラッド層)とすると、光導波路を形成する為には、n2>(n1又はn3)の関係に決められる。このようにすることにより光信号を光導波路中に効率的に導くことができる。
【0060】
本発明の光導波路において用いられる基材の種類を挙げると−20℃〜80℃の範囲での線膨張率が100ppm/K以下、好ましくは50ppm以下である材料から選ばれる。そのような材料を例示すると、シリコン、チタニウムなどの金属、シリコンカーバイド、炭化硼素、炭化チタニウム、などの金属炭化物、シリコンナイトライド、窒化硼素、などの金属窒化物、アルミナ、溶融石英、ジルコニア、などの1種の金属の酸化物、ムライト、コーデュライト、ソーダ石灰ガラス、硼珪酸ガラス、パイレックス(コーニング(株)製)、などの2種以上の金属を含有するガラス、などの無機基材、ポリイミド、ポりアリレート、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、架橋ポリアクリレート、架橋ポリメタクリレート、ポリオレフィン、などのガラス転移温度が200℃以上である熱可塑性もしくは架橋有機ポリマーの中から選ぶことができる。これら基材は単独もしくは多層にしたものを基材として用いることもできる。
【0061】
これらの中で好ましい基材を例示すると、無機基材としてはシリコン、溶融石英、アルミナ、パイレックス、硼珪酸ガラスなど、また、表面に酸化ケイ素膜を形成したシリコン基板など、有機基材としてはポリイミド、エポキシ樹脂、ポリオレフィンなどのガラス転移温度が200℃以上である熱可塑性もしくは架橋有機ポリマーの基材を挙げることができる。
【0062】
[光導波路の形成]
光導波路形成時の実施形態であり、光硬化による光導波路の製造を例に取って説明する。
1.光導波路形成用放射線硬化性樹脂組成物の調製
光導波路を構成するクラッド層を形成するための光導波路形成用の組成物は、前述したポリシロキサン成分(A)と光酸発生剤(成分B)を含む放射線硬化性樹脂組成物を用いてもよく、また、熱、光硬化性の組成物を用いても良い。
調製された下層用組成物、コア用組成物および上層用組成物としては、それぞれ、最終的に得られる各部の屈折率の関係が、光導波路に要求される条件を満足するように、例えば、コア径が5〜10μmで比屈折率差が0.2〜0.6%となるように選ぶことができる。
(A)成分のシロキサンの原料である加水分解性シラン化合物の種類等を適宜選択することにより、異なる屈折率を有する硬化膜が得られる光導波路形成用放射線硬化性樹脂組成物とすることができる。そして、屈折率の差が適宜の大きさとなるような二種または三種の光導波路形成用放射線硬化性樹脂組成物を用い、最も高い屈折率の硬化膜を与える光導波路形成用放射線硬化性樹脂組成物をコア用組成物とし、他の組成物を下層用組成物および上層用組成物として用いることが好ましい。
【0063】
ただし、クラッド層用組成物とは同一の光導波路形成用組成物であってもよく、通常は同一の組成物であることが、経済的に有利であり、製造管理も容易となることからより好ましい。
また、クラッド用光導波路形成用組成物を調製する際に、その粘度を、100〜10,000cps(25℃)の範囲内の値とすることが好ましく、100〜8,000cps(25℃)の範囲内の値とすることがより好ましく、300〜3,000cps(25℃)の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、各光導波路形成用組成物の粘度がこれらの範囲外の値となると、取り扱いが困難になったり、均一な塗膜を形成することが困難となる場合があるためである。
なお、光導波路形成用組成物の粘度は、反応性希釈剤や有機溶媒の配合量によって、適宜調整することができる。
【0064】
2.形成方法
以下に、本発明の放射線硬化性樹脂組成物を使用した湿式リソグラフィー法による光導波路を製造工程を、いわゆるチャンネル型光導波路の例を用いて説明する。ただし、本発明における光導波路の構造は、特に限定されるものではない。
断面が図1の構造を有する光導波路は、図2に示すような工程を経て形成される。すなわち、下部クラッド層13、コア部分15および上部クラッド層17(図示せず。)を、いずれも、それらの層を形成するための光導波路形成用組成物を塗工したのち、熱硬化もしくは光硬化することにより形成することが好ましい。
なお、以下の形成例では、下部クラッド層、コア部分および上部クラッド層を、それぞれ硬化後において屈折率が異なる硬化物が得られる光導波路形成用組成物である下層用組成物、コア用組成物、および上層用組成物から形成することを想定して、説明する。
【0065】
本発明の光導波路中の下部クラッド層、コア層、上部クラッド層を形成する硬化性組成物を塗布する方法について説明する。塗布方法は硬化膜の表面が均一であれば特に制限を受けなく、スピンコート法、スプレー法、ロールコート法、インクジェット法などの方法を用いることができるが、この中では半導体業界で高精度の工業的塗布技術として採用されているスピンコート法が好ましい。
スピンコートの条件は0℃〜100℃の範囲で10〜1000回転/分で1〜60秒で実施される液状組成物を基板に均一に塗布する第1の工程と高速回転により一定膜厚を形成する第2の工程からなる。表面粗さを制御する為には第2の工程が支配的であり、また、硬化性の液状組成物の粘度に対応した条件が選定される。硬化性の液状組成物の粘度が100〜3000cpsの場合、好ましくは、500〜5000回転/分で30〜100秒で実施され、粘度が3000〜10000cpsの場合、1000〜8000回転/分で60〜300秒で実施される。
【0066】
基板の準備
まず、図2(a)に示すように、平坦な表面を有する基板12を用意する。
▲2▼下部クラッド層の形成工程
用意した基板12の表面に、下部クラッド層13を形成する工程である。具体的には、図2(b)に示すように、基板12の表面に、下層用組成物を塗布し、乾燥またはプリベークさせて下層用薄膜を形成する。そして、この下層用薄膜を加熱もしくは、光を照射することにより硬化させて、下部クラッド層13を形成することができる。
【0067】
コア層及びクラッド層の形成に用いる加熱温度は特に制限されないが通常50℃〜300℃の範囲で1分〜24時間で実施される。また、光は、特に制限されるものでは無いが、通常200〜450nmの紫外〜可視領域の光、好ましくは波長365nmの紫外線を含む光が用いられる。200〜450nm での照度は1〜1000mW/cm2、照射量が0.01〜5000mJ/cm2、好ましくは0.1〜1000mJ/cm2なるように照射して、露光される。
【0068】
ここに、照射される放射線の種類としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線、電子線等を用いることができるが、光源の工業的な汎用性から特に紫外線、好ましくは200〜400nm、特に好ましくは365nmの紫外線を含む波長が好ましい。そして、照射装置としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプなどの広い面積を同時に照射するランプ光源、パルス、連続発光のレーザー光源、及び、両者のいずれかの光源から、ミラー、レンズ、光ファイバーを用いて収束光を用いることができる。収束光を用いて光導波路を形成する場合、収束光もしくは被照射体を移動させることにより光導波路の形状に露光することができる。これらの光源の中で365nmの紫外線強度の高い光源が好ましく、例えば、ランプ光源としては高圧水銀ランプ、レーザー光源としてはアルゴンレーザーが好ましい。なお、下部クラッド層13の形成工程では、薄膜の全面に光を照射し、その全体を硬化することが好ましい。
【0069】
また、塗布組成物のレオロジー特性を塗布方法に適切に対応したものとするために、表面張力低下剤以外の添加剤を必要に応じて配合することができる。また、下部クラッド層用組成物からなる膜は、塗布後、50〜200℃でプリベークすることが好ましい。
なお、下部クラッド層の形成工程における塗布方法や、レオロジー特性の改良等については、後述するコア部分の形成工程や、上部クラッド層の形成工程においてもあてはまる内容である。
【0070】
また、露光後に、塗膜全面が十分硬化するように、さらに加熱処理(以下、「ポストベーク」という。)を行うことが好ましい。この加熱条件は、光導波路形成用組成物の配合組成、添加剤の種類等により変わるが、通常、30〜400℃、好ましくは50〜300℃で、例えば5分間〜72時間の加熱条件とすれば良い。
なお、下部クラッド層の形成工程における光の照射量、種類、および照射装置等については、後述するコア部分の形成工程や、上部クラッド層の形成工程においてもあてはまる内容である。
【0071】
▲3▼コア部分の形成
次に、この下部クラッド層13上に、図2(c)に示すように、コア用組成物を塗布し、乾燥またはさらにプリベークさせてコア用薄膜14を形成する。
その後、図2(d)に示すように、コア用薄膜14の上面に対して、所定のパターンに従って、例えば所定のラインパターンを有するフォトマスク19を介して光16の照射を行うことが好ましい。
これにより、光が照射された箇所のみが硬化するので、それ以外の未硬化の部分を現像除去することにより、図2(e)に示すように、下部クラッド層13上に、パターニングされた硬化膜よりなるコア部分15を形成することができる。
また、コア部分15を形成するためのコア用薄膜14に対する光16の照射は、所定のパターンを有するフォトマスク19に従って行われた後、現像液により未露光部分を現像することにより、未硬化の不要な部分が除去され、これによってコア部分15が形成される。
【0072】
このように所定のパターンに従って光の照射を行う方法としては、光の透過部と非透過部とからなるフォトマスクを用いる方法に限られず、例えば、以下に示すa〜cの方法が挙げられる。
a.液晶表示装置と同様の原理を利用した、所定のパターンに従って光透過領域と不透過領域とよりなるマスク像を電気光学的に形成する手段を利用する方法。
b.多数の光ファイバーを束ねてなる導光部材を用い、この導光部材における所定のパターンに対応する光ファイバーを介して光を照射する方法。
c.レーザ光、あるいはレンズ、ミラー等の集光性光学系により得られる収束光を走査させながら組成物に照射する方法。
【0073】
なお、露光後、露光部分の硬化を促進させるために、加熱処理(以下、「PEB」という。)を行うことが好ましい。その加熱条件は、光導波路形成用組成物の配合組成、添加剤の種類等により変わるが、通常、30〜200℃、好ましくは50〜150℃である。
一方、露光前に、光導波路形成用組成物からなる塗膜を、室温条件に、1〜10時間放置するだけで、コア部分の形状を半円形とすることができる。したがって、半円形のコア部分を得たい場合には、このように露光前に、室温条件に、数時間放置することが好ましい。
【0074】
このようにして所定のパターンに従ってパターン露光し、選択的に硬化させた薄膜に対しては、硬化部分と未硬化部分との溶解性の差異を利用して、現像処理することができる。したがって、パターン露光後、未硬化部分を除去するとともに、硬化部分を残存させることにより、結果として、コア部分を形成することができる。
ここで、現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エタノールアミン、N―メチルエタノールアミン、N、N―ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノナンなどの塩基性物質と水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブタノール、オクタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、N−メチルピロリドン、ホルムアミド、N、N―ジメチルホルムアミド、 N、N―ジメチルアセトアミド、などの溶媒で希釈された溶液を用いることができる。
また、現像液中の塩基性物質の濃度を、通常0.05〜25重量%、好ましくは0.1〜3.0重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
【0075】
また、現像時間は、通常30〜600秒間であり、また現像方法は液盛り法、ディッピング法、シャワー現像法などの公知の方法を採用することができる。
現像液として有機溶媒を用いた場合はそのまま風乾することにより、また、アルカリ水溶液を用いた場合には流水洗浄を、例えば30〜90秒間行い、圧縮空気や圧縮窒素等で風乾させることによって表面上の水分を除去することにより、パターン状被膜が形成される。
【0076】
次いで、パターニング部をさらに硬化させるために、ホットプレートやオーブンなどの加熱装置により、例えば30〜400℃の温度で5〜600分間ポストベーク処理し、硬化されたコア部分が形成されることになる。
また、酸拡散制御剤をコア、クラッドの両層に添加する場合、酸拡散制御剤の含有量はコア層の濃度が高いように設定することが好ましいが、クラッド層をパターニングする必要のない場合はクラッド層に酸拡散制御剤を添加しないで用いることができる。
このように構成することにより、コア部分のパターン精度をより向上させることができる一方、下部クラッド層用組成物や上部クラッド層用組成物では、優れた保存安定性が得られるとともに、比較的少ない光照射量で、十分に硬化させることができる。
【0077】
▲4▼上部クラッド層の形成
次いで、コア部分15が形成された下部クラッド層13の表面に、上層用組成物を塗布し、乾燥またはプリベークさせて上層用薄膜を形成する。この上層用薄膜に対し、光を照射して硬化させることにより、図1に示したように上部クラッド層17を形成することができる。
また、光の照射によって得られる上部クラッド層は、必要に応じて、さらに上述したポストベークすることが好ましい。ポストベークすることにより、硬度および耐熱性に優れた上部クラッド層を得ることができる。
【0078】
【実施例】
以下の実施例においては基材としてシリコンウエハーを用いた。光導波路の形成手順については前述した手順に従い実施した。本実施例においては下部クラッド層と上部クラッド層を同一組成物を用いた。表1の実施例―1においては、クラッド層を熱硬化により形成した。それ以外の実施例ならびに比較例では光硬化によりクラッド層を硬化した。コア層はマスクを用いた露光により直線光導波路パターンを形成した。下部クラッド層の厚みは15μm、コア層の厚みは8μm、幅は8μm、長さ6cm、コア間のスペースは20μm、上部クラッド層の厚みは15μmになるように実施した。また、シングルモード光導波路の設計としてコア層の屈折率がクラッド層の屈折率の1.003倍高めになるように組成を設計した。
【0079】
評価
[伝送損失の評価]
シリコンウエハー上に下部クラッド層15μm、コア層の厚み8μm、上部クラッド層15μmの硬化層を形成した光導波路を試験片を用い、波長1.55μmを用いカットバック法により光伝送損失を測定した。
[光導波路中のコア層のシラノ−ル濃度の評価]
光導波路形成と同じ条件でシリコンウエハー上に形成した8μm膜厚のコア層をかきとり、粉末試料とし、ジルコニアセルに充填し、固体29Si−NMRを測定し、波形解析により、各種結合様式のSi種を分離、全Siの中でSi−OHのモル比を算出し、これにポリシロキサン合成時の仕込みシリコン原料中のSi含有比を乗じて求めた。
[解像度の評価]
コア層前駆体のポリシロキサン組成物をシリコンウエハー上に厚み8μmで形成後、120℃で10分のプレベイク後、開口部8μmのマスクを通して365nmで500mJ/cm2の光量で露光後、100℃、1分の加熱後、2.38%テトラメチルアンモニウム水溶液で23℃、2分現像、200℃で1時間加熱(ポストベイク)実施後、光学顕微鏡でパターン状態を観察した。断面が8μm角の正方形の良好なコアパターンが形成されたものを○、パターンサイズが8μmだがコア層の角が丸く変形しているものを△、パターンが得られないものを×と評価した。
【0080】
【光導波路形成用組成物の製造】
[ポリシロキサン溶液1の製造]
撹拌機付の容器内に、フェニルトリメトキシシラン(99.0g、0.50モル)と、メチルトリメトキシシラン(87.0g、0.64モル)と、電気伝導率が8×10−5S・cm−1のイオン交換水(45.9g、2.55モル)と、シュウ酸(0.1g、1.1×103モル)とを収容した後、60℃、6時間の条件で加熱撹拌することにより、ポリシロキサンの合成を行った。
次いで、容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えた後、エバポレーターを用いて加水分解により副生したメタノールを除去した。そして、最終的に固形分を55重量%に調整したポリシロキサンを含有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を得た。これを「ポリシロキサン溶液1」とする。本ポリシロキサン中のフェニル基含有量は43.8mol%であった。
【0081】
[ポリシロキサン溶液2の製造]
撹拌機付の容器内に、フェニルトリメトキシシラン(123.8g、0.63モル)と、メチルトリメトキシシラン(70.1g、0.52モル)と、電気伝導率が8×10−5S・cm−1のイオン交換水(45.9g、2.55モル)と、シュウ酸(0.15g、1.66×103モル)とを収容した後、60℃、6時間の条件で加熱撹拌することにより、ポリシロキサンの合成を行った。
次いで、容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えた後、エバポレーターを用いて加水分解により副生したメタノールを除去した。そして、最終的に固形分を55重量%に調整したポリシロキサンを含有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を得た。これを「ポリシロキサン溶液2」とする。本ポリシロキサン中のフェニル基含有量は54.8mol%であった。
【0082】
[ポリシロキサン溶液3の製造]
撹拌機付の容器内に、フェニルトリメトキシシラン(152.5g、0.77モル)と、メチルトリメトキシシラン(50.4g、0.37モル)と、電気伝導率が8×10−5S・cm−1のイオン交換水(45.9g、2.55モル)と、シュウ酸(0.15g、1.66×103モル)とを収容した後、60℃、6時間の条件で加熱撹拌することにより、ポリシロキサンの合成を行った。
次いで、容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えた後、エバポレーターを用いて加水分解により副生したメタノールを除去した。そして、最終的に固形分を55重量%に調整したポリシロキサンを含有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を得た。これを「ポリシロキサン溶液3」とする。本ポリシロキサン中のフェニル基含有量は67.5mol%であった。
【0083】
[ポリシロキサン溶液4の製造]
撹拌機付の容器内に、フェニルトリメトキシシラン(181.8g、0.918モル)と、メチルトリメトキシシラン(27.3g、0.20モル)と、電気伝導率が8×10−5S・cm−1のイオン交換水(45.9g、2.55モル)と、シュウ酸(0.15g、1.66×103モル)とを収容した後、60℃、6時間の条件で加熱撹拌することにより、ポリシロキサンの合成を行った。
次いで、容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えた後、エバポレーターを用いて加水分解により副生したメタノールを除去した。そして、最終的に固形分を55重量%に調整したポリシロキサンを含有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を得た。これを「ポリシロキサン溶液4」とする。本ポリシロキサン中のフェニル基含有量は82.4mol%であった。
【0084】
[ポリシロキサン溶液5の製造]
撹拌機付の容器内に、フェニルトリメトキシシラン(225.7g、1.14モル)と電気伝導率が8×10−5S・cm−1のイオン交換水(45.9g、2.55モル)と、シュウ酸(0.15g、1.66×103モル)とを収容した後、60℃、6時間の条件で加熱撹拌することにより、ポリシロキサンの合成を行った。
次いで、容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えた後、エバポレーターを用いて加水分解により副生したメタノールを除去した。そして、最終的に固形分を55重量%に調整したポリシロキサンを含有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を得た。これを「ポリシロキサン溶液5」とする。
【0085】
[ポリシロキサン溶液6の製造]
(a)アクリルポリマー溶液1
撹拌機付き容器内に、メチルメタアクリレート(450g,4.50モル)、メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン(50g,0.20モル)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(600g)、そして2,2'−アゾビス−(2.4−ジメチルバレロニトリル)(35g,0.14モル)を収容した後、系内を窒素置換する。その後、反応容器内温度が70℃に設定し6時間撹拌する。最終的に固形分濃度を45重量%に調製しアクリルポリマーを含有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を得た。これを「アクリルポリマー溶液1」とする。
【0086】
(b)ポリシロキサン溶液6
撹拌機付き容器内にアクリルポリマー溶液(133.33g)、メチルトリメトキシシラン(231.36g, 1.70モル)、フェニルトリメトキシシラン(193.48g, 0.97モル)、電気伝導率が8×10−5S・cm−1のイオン交換水(108.48g、6.0モル)、そしてシュウ酸(0.30g, 3.32×103モル)を収容した後、60℃、6時間の条件で加熱撹拌することにより、フェニルトリメトキシシランおよびメチルトリメトキシシラン及びアクリルポリマー溶液の加水分解を行った。
次いで、容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えた後、エバポレーターを用いて加水分解により副生したメタノールを除去した。そして、最終的に固形分を45重量%に調整したポリシロキサンを含有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を得た。これを「ポリシロキサン溶液6」とする。
【0087】
[ポリシロキサン溶液7の製造]
撹拌機付の容器内に、メチルトリメトキシシラン(100.8g, 0.741モル)、フェニルトリメトキシシラン(79.2g、0.40モル)と電気伝導率が8×10−5S・cm−1のイオン交換水(45.9g、2.55モル)と、シュウ酸(0.15g、1.66×103モル)とを収容した後、60℃、6時間の条件で加熱撹拌することにより、ポリシロキサンの合成を行った。
次いで、容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えた後、エバポレーターを用いて加水分解により副生したメタノールを除去した。そして、最終的に固形分を55重量%に調整したポリシロキサンを含有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を得た。これを「ポリシロキサン溶液7」とする。本ポリシロキサン中のフェニル基含有量は35mol%であった。
【0088】
【光導波路形成用硬化性組成物の調製例】
[コア形成用の光導波路形成用硬化性組成物A−1の調製]
上述したポリシロキサン溶液1の固形分換算100重量部に対し、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部、酸拡散制御剤としてトリオクチルアミン0.005重量部、表面張力低下剤(東レ・ダウコーニング(株)製SH28PA)0.01重量部を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、コア層形成用の光導波路形成用硬化性組成物Aを得た。シリコンウエハー上に形成した塗膜を120℃で10分加熱後、500mJ/cm2の高圧水銀ランプでUV照射し、さらに200℃で1時間ベイクした塗膜の波長1.55μmでの屈折率は1.4841であった。
【0089】
[コア形成用の光導波路形成用硬化性組成物B−1の調製]
上述したポリシロキサン溶液2の固形分換算100重量部に対し、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部、酸拡散制御剤としてトリオクチルアミン0.005重量部、表面張力低下剤(東レ・ダウコーニング(株)製SH28PA)0.01重量部を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、コア層形成用の光導波路形成用硬化性組成物Bを得た。シリコンウエハー上に形成した塗膜を120℃で10分加熱後、500mJ/cm2の高圧水銀ランプでUV照射し、さらに200℃で1時間ベイクした塗膜の波長1.55μmでの屈折率は1.4988であった。
【0090】
[コア形成用の光導波路形成用硬化性組成物C−1の調製]
上述したポリシロキサン溶液3の固形分換算100重量部に対し、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部、酸拡散制御剤としてトリオクチルアミン0.005重量部、表面張力低下剤(東レ・ダウコーニング(株)製SH28PA)0.01重量部を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、コア層形成用の光導波路形成用硬化性組成物Cを得た。シリコンウエハー上に形成した塗膜を120℃で10分加熱後、500mJ/cm2の高圧水銀ランプでUV照射し、さらに200℃で1時間ベイクした塗膜の波長1.55μmでの屈折率は1.5124であった。
【0091】
[コア形成用の光導波路形成用硬化性組成物D−1の調製]
上述したポリシロキサン溶液4の固形分換算100重量部に対し、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部、酸拡散制御剤としてトリオクチルアミン0.005重量部、表面張力低下剤(東レ・ダウコーニング(株)製SH28PA)0.01重量部を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、コア層形成用の光導波路形成用硬化性組成物Dを得た。シリコンウエハー上に形成した塗膜を120℃で10分加熱後、500mJ/cm2の高圧水銀ランプでUV照射し、さらに200℃で1時間ベイクした塗膜の波長1.55μmでの屈折率は1.5268であった。
【0092】
[コア形成用の光導波路形成用硬化性組成物E−1の調製]
上述したポリシロキサン溶液5の固形分換算100重量部に対し、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部、酸拡散制御剤としてトリオクチルアミン0.005重量部、表面張力低下剤(東レ・ダウコーニング(株)製SH28PA)0.01重量部を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、コア層形成用の光導波路形成用硬化性組成物Eを得た。シリコンウエハー上に形成した塗膜を120℃で10分加熱後、500mJ/cm2の高圧水銀ランプでUV照射し、さらに200℃で1時間ベイクした塗膜の波長1.55μmでの屈折率は1.5411であった。
【0093】
[コア形成用の光導波路形成用硬化性組成物F−1の調製]
上述したポリシロキサン溶液7の固形分換算100重量部に対し、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部、酸拡散制御剤としてトリオクチルアミン0.005重量部、表面張力低下剤(東レ・ダウコーニング(株)製SH28PA)0.01重量部を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、コア層形成用の光導波路形成用硬化性組成物Eを得た。シリコンウエハー上に形成した塗膜を120℃で10分加熱後、500mJ/cm2の高圧水銀ランプでUV照射し、さらに200℃で1時間ベイクした塗膜の波長1.55μmでの屈折率は1.4672であった。
【0094】
[クラッド形成用の光導波路形成用硬化性組成物(A−2)の調製]
上述したポリシロキサン溶液6の固形分換算60重量部に対し、ポリシロキサン1溶液40重量部、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部、光増感剤(9−ヒドロキシメチルアントラセン)0.2重量部、表面張力低下剤(東レ・ダウコーニング(株)製SH28PA)0.01重量部を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、クラッド層形成用の光導波路形成用硬化性組成物を得た。シリコンウエハー上に形成した塗膜を120℃で10分加熱後、500mJ/cm2の高圧水銀ランプでUV照射し、さらに200℃で1時間ベイクした塗膜の波長1.55μmでの屈折率は1.4781であった。
【0095】
[クラッド形成用の光導波路形成用硬化性組成物(B−2)の調製]
上述したポリシロキサン溶液6の固形分換算60重量部に対し、ポリシロキサン2溶液40重量部、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部、光増感剤(9−ヒドロキシメチルアントラセン)0.2重量部、表面張力低下剤(東レ・ダウコーニング(株)製SH28PA)0.01重量部を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、クラッド層形成用の光導波路形成用硬化性組成物を得た。シリコンウエハー上に形成した塗膜を120℃で10分加熱後、500mJ/cm2の高圧水銀ランプでUV照射し、さらに200℃で1時間ベイクした塗膜の波長1.55μmでの屈折率は1.4928であった。
【0096】
[クラッド形成用の光導波路形成用硬化性組成物(C−2)の調製]
上述したポリシロキサン溶液6の固形分換算60重量部に対し、ポリシロキサン3溶液40重量部、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部、光増感剤(9−ヒドロキシメチルアントラセン)0.2重量部、表面張力低下剤(東レ・ダウコーニング(株)製SH28PA)0.01重量部を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、クラッド層形成用の光導波路形成用硬化性組成物を得た。シリコンウエハー上に形成した塗膜を120℃で10分加熱後、500mJ/cm2の高圧水銀ランプでUV照射し、さらに200℃で1時間ベイクした塗膜の波長1.55μmでの屈折率は1.5154であった。
【0097】
[クラッド形成用の光導波路形成用硬化性組成物(D−2)の調製]
上述したポリシロキサン溶液6の固形分換算60重量部に対し、ポリシロキサン4溶液40重量部、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部、光増感剤(9−ヒドロキシメチルアントラセン)0.2重量部、表面張力低下剤(東レ・ダウコーニング(株)製SH28PA)0.01重量部を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、クラッド層形成用の光導波路形成用硬化性組成物を得た。シリコンウエハー上に形成した塗膜を120℃で10分加熱後、500mJ/cm2の高圧水銀ランプでUV照射し、さらに200℃で1時間ベイクした塗膜の波長1.55μmでの屈折率は1.5208であった。
【0098】
[クラッド形成用の光導波路形成用硬化性組成物(E−2)の調製]
上述したポリシロキサン溶液6の固形分換算60重量部に対し、ポリシロキサン5溶液40重量部、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部、光増感剤(9−ヒドロキシメチルアントラセン)0.2重量部、表面張力低下剤(東レ・ダウコーニング(株)製SH28PA)0.01重量部を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、クラッド層形成用の光導波路形成用硬化性組成物を得た。シリコンウエハー上に形成した塗膜を120℃で10分加熱後、500mJ/cm2の高圧水銀ランプでUV照射し、さらに200℃で1時間ベイクした塗膜の波長1.55μmでの屈折率は1.4612であった。
【0099】
[クラッド形成用の光導波路形成用硬化性組成物(F−2)の調製]
上述したポリシロキサン溶液7の固形分換算60重量部に対し、ポリシロキサン5溶液40重量部、光酸発生剤(みどり化学(株)社製 TPS−105)1重量部、光増感剤(9−ヒドロキシメチルアントラセン)0.2重量部、表面張力低下剤(東レ・ダウコーニング(株)製SH28PA)0.01重量部を添加し、均一に混合し、0.5μmフィルターで濾過することにより、クラッド層形成用の光導波路形成用硬化性組成物を得た。シリコンウエハー上に形成した塗膜を120℃で10分加熱後、500mJ/cm2の高圧水銀ランプでUV照射し、さらに200℃で1時間ベイクした塗膜の波長1.55μmでの屈折率は1.5411であった。
[光導波路の評価結果]
前述した試験方法に基づき、実施例において調製した硬化性組成物を用い、コア層前駆体ポリシロキサン中のSi−OH濃度、光導波路として形成したコア層中のSi−OH濃度と湿式光リソグラフィーでの解像度、及び1.55μmでの光導波路の伝送損失値を評価した結果を表1に示す。表1より、コア層前駆体ポリシロキサン中のSi−OH濃度がY〜Zmol/g、コア層中のSi−OH濃度がX以下の領域で1.0dB/cm以下の低い伝送損失値を示す結果を示した。このことから、、コア層前駆体ポリシロキサン中のSi−OH濃度がY〜Zmol/gの材料を用いることでコア層中のSi−OH濃度をX以下で改造度が良好で、低い伝送損失値を示す良好な光導波路を製造できることが明らかになった。
【0100】
【表1】
表1 光導波路の製造例と評価結果
【0101】
【発明の効果】
本発明によれば、良好な解像度を有して、光通信に有用な1.55μmでの伝送損失が低い光導波路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光導波路の断面図である。
【図2】(a)〜(e)は、光導波路の製造方法の一部工程図である。
【符号の説明】
12 基板
13 下部クラッド層
14 コア用薄膜
15 コア部分
16 光線
17 上部クラッド層
19 フォトマスク
Claims (2)
- 下記一般式(1):
R 1 m Si(X) 4−m (1)
(式中、mは0〜3であり、R 1 は、それぞれ独立に、炭素数1〜12の非加水分解性の環状、分岐状、直鎖状のアルキル基、アリール基、アラルキル基から選ばれ、置換基上の水素原子の一部もしくは総てが重水素、フッ素、塩素置換されていてもよい。Xは、加水分解性基であり、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルカルボキシレート基から選ばれる。)
で表され、かつ、フェニル基を含有するものの割合が40〜90mol%である加水分解性シラン化合物、その加水分解物、又は両者の混合物と、光酸発生剤とを含む放射線硬化性樹脂組成物を調製する工程と、
塩基性物質を溶媒で希釈してなる現像液を用いた湿式光リソグラフィー法によって、上記放射線硬化性樹脂組成物を用いて、コア部分となるべきパターン状被膜を形成する工程と、
上記パターン状被膜をポストベーク処理して、シラノール濃度が10mmol/g以下であるコア部分を形成する工程と
を含むことを特徴とする光導波路の製造方法。 - 上記の放射線硬化性樹脂組成物を調製する工程において、上記光酸発生剤の添加量が、上記加水分解性シラン化合物、その加水分解物、又は両者の混合物100重量部に対して、0.01〜10重量部である請求項1に記載の光導波路の製造方法。
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