JP2004300188A - 樹脂補強用複合化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】様々な機械工業部品、電気電子部品などの産業用材料として、靱性に優れ、さらに強度、剛性、耐熱性が高く、バリアー性に優れる樹脂組成物を得るための樹脂補強用ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物を提供する。
【解決手段】ジカルボン酸とリン酸カルシウムからなる樹脂補強用ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、様々な機械工業部品、電気電子部品などの産業用材料として、靱性に優れ、さらに強度、剛性、耐熱性が高く、バリアー性に優れる樹脂組成物を得るための樹脂補強用ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
樹脂の強度、剛性、耐熱性などを改良するために、例えばガラス繊維や炭素繊維などの無機繊維状充填材、タルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウム、ウォラストナイトなどの無機物粒子、あるいは雲母、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母などの層状化合物などの各種無機充填材を溶融混練する方法が提案され、またこれらの材料のいくつかは、包装・容器などの汎用的消費分野や、自動車分野、電気・電子分野、機械・工業分野、事務機器分野、航空・宇宙分野などの各種部品などに用いられている。これらの手法は、製法が容易であり、得られる成形体の強度や剛性がより向上する点では有効であるものの、各種無機充填材同士の凝集が生じたり、また充填材自体が大きいために、靭性を失う傾向にある。例えば、強靭性が特徴であるポリアミド樹脂に関しても上記の無機充填材を配合した組成物が数多く開発されているが、用途によって、靭性の低下、ウエルド強度の低下、リワーク時の物性低下などの問題が生じる場合がある。
【0003】
ここで、熱可塑性樹脂中の無機フィラーの分散性が優れ、それによって優れた機械的特性およびガス透過性の低い物性を有する無機−有機複合材の提供及びその製造法が開示されている(例えば特許文献1)。本方法は無機フィラーの原料同士を付着させる予備混合過程と、引き続き、無機フィラーの水熱合成を行う水熱合成過程と熱可塑性樹脂の重合を行う重合過程とを同時に行うことを特徴とし、微細な無機フィラーが樹脂に微分散した構造をもつ。しかしながら発明者らの検討によると、ガス透過性に優れるものの、靭性の点で十分とはいえない場合があり、また重合法に限られるという問題があった。
【0004】
また、上記課題を解決すべく、靱性を損なうことなく、剛性、強度を向上させたポリアミド樹脂と微細なアパタイトからなる樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
これら公知の方法はいずれも樹脂の重合時に補強材を添加するというものであり、当業者にとってより簡便な溶融混練法によって樹脂に添加することが可能であり、さらに靭性を損なうことなく、樹脂の強度、剛性、バリアー性を向上させる樹脂補強材が望まれていた。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−19798号公報
【特許文献2】
特許第3307959号公報
【特許文献3】
特許第3309901号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、樹脂補強用の無機充填材として、溶融混練法によって簡便な方法によって樹脂に添加することが可能であり、さらに靭性を損なうことなく、樹脂の強度、剛性、バリアー性を向上させる化合物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物が上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
1.ジカルボン酸とリン酸カルシウムからなる樹脂補強用ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物。
2.リン酸カルシウムが層状をなし、ジカルボン酸が該層間に存在することを特徴とする上記1に記載のジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物。
3.該複合化合物が、2.0nm以上の層間距離を持つことを特徴とする上記1または2に記載のジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物。
4.該複合化合物の粒子の平均長さが、2μm以下であることを特徴とする上記1から3のいずれかに記載のジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物。
【0009】
5.上記1から4のいずれかに記載の複合化合物と樹脂とを溶融混練してなることを特徴とする樹脂組成物。
6.樹脂99.5〜50.0質量部および該複合化合物0.5〜50.0質量部からなることを特徴とする上記5に記載の樹脂組成物。
7.該樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂およびアクリル樹脂のいずれかから選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂であることを特徴とする上記5または6に記載の樹脂組成物。
8.該樹脂が、ポリアミド樹脂であることを特徴とする上記5から7のいずれかに記載の樹脂組成物。
9.該樹脂成分中に該複合化合物が、最大分散粒径10μm以下で分散していることを特徴とする上記5〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、樹脂補強用ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物、および樹脂とジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物からなる樹脂組成物に関するものである。
本発明で用いられる樹脂とは、公知のものであれば特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂又はゴム、熱硬化性樹脂をあげることができる。
【0011】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、アラミド、ポリイミド等の縮合樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン等のポリエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等の含ハロゲンビニル化合物樹脂等をあげることができる。これら樹脂は、1種でもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0012】
熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等をあげることができる。これら樹脂は、1種でもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、これら樹脂の中でも、コスト的な観点から、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂及びゴムから選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂が、好ましく用いられる。さらに、強度、剛性、靭性の物性的バランスに優れるポリアミド樹脂はより好ましい。
【0013】
該ポリアミドとしては例えば、ポリカプロラクタム(ポリアミド6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ポリアミド116)、ポリウンデカラクタム(ポリアミド11)、ポリドデカラクタム(ポリアミド12)が挙げられる。
【0014】
また、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミドTMHT)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド(9T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(6T)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)、ポリビス(3−メチル−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ポリアミド11T(H))である。
【0015】
また、上記のうち少なくとも2種の異なったポリアミド成分を含むポリアミド共重合体、およびこれらの混合物などであってもよい。
これらのポリアミドのうち、製造コストの観点から好ましいポリアミドは、ポリカプロラクタム(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、およびこれらのうち少なくとも2種の異なったポリアミド成分を含むポリアミド共重合体、およびこれらの混合物などをあげることができる。
上記樹脂を得るための原料や製法は公知のものであれば特に限定されるものではない。
【0016】
本発明で用いられる樹脂補強用ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物とは、樹脂の靭性、強度、耐熱性、バリアー性などの特性を向上させる目的で添加される化合物であり、下記一般式で示される。
Ca(HPO2−z(RC(PO・mH
ただし、0<Z≦1、0≦m≦10である。Rは炭素数1以上のアルキル、アリール基を示し、具体的にはCH、Cなどの直鎖メチレン基およびその置換体、Cなどの不飽和結合を有するアルケンおよびその置換体、C、C10などの芳香族基およびその置換体を挙げることができる。
【0017】
ここで、好ましい樹脂補強用ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物としては、樹脂99.5〜50.0質量部に対して、0.5〜50質量部添加するものであり、さらに好ましくは、樹脂99.0〜65質量部に対して、1.0〜35質量部であり、更に好ましくは、樹脂98.0〜80質量部に対して、2.0質量部〜20質量部である。上記範囲内であれば、補強した樹脂の靭性、強度、剛性、バリアー性に特に優れる傾向にあり、また得られる樹脂組成物の成形性も優れる傾向にある。
【0018】
また、より粒子の分散性に優れ、靭性、強度、剛性、バリアー性に優れる樹脂組成物を得る観点から、ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物は、2.0nm以上、さらに好ましくは2.15nm以上、最も好ましくは2.3nm以上の層間距離を持つ結晶構造であることが好ましい。このとき、層間距離とは、広角X腺回折法によって得られる(100)面に相当するピークから算出される。具体的な例をあげると、ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物として、Ca(HPO)((CH)(PO・5HOである場合、X線の線源として、銅Kα(波長λ=0.1542nm)を用いて、広角X線回折を測定すると、回折角(2θ)が3.82度に(100)面ピークが存在する。このとき、ブラッグの反射式より、層間距離は2.35nmと算出される。
【0019】
さらに、より粒子の分散性に優れ、靭性、バリアー性が高いポリアミド樹脂組成物を得る観点から、ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物の粒子の平均長さが、2μm以下、さらに好ましくは、1.5μm以下、最も好ましくは1μm以下である。ここで、前記平均長さとは、ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物の粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)にて直接観察し、粒子の最も長い軸(長辺)の長さをLiと定義し、単位体積中に粒子の長さLiであるジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物の粒子がNi個存在するとき、
平均長さL=ΣLiNi/ΣLiNi
と定義している。
【0020】
本発明で用いられるジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物の原料および製法は特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、H.Monmaらによる“Complexes of apatitic layered compound Ca(HPO(PO・5HO with dicarboxylates”, Jornal of Inclusion Phenomena, D.Reidel Publishing Company, 1984, 2, p.127−134や、“Zolitic dehydration−rehydration ofadipate−intercalated octacalcium phosphate”,Jornal of Materias Science:Materials in Medicine, Chapman and Hall Ltd., 1990,1, p.21−25に述べられているように、α−リン酸三カルシウムとジカルボン酸を混合して、pHを6に調整して40度で加熱処理する方法など公知の合成方法をあげることができる。得られたジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物は、このままスラリーとして用いてもよいし、ろ過分離法や遠心分離法によって固液分離して使用しても差し支えない。
【0021】
ここで、ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物を効率よく製造し、その後生成するアパタイトと樹脂、とりわけポリアミドとのなじみを良好として、靭性、強度、剛性、バリアー性に特に優れる樹脂組成物を得る観点から、ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物はポリアミド原料の溶液中で合成されることが好ましい。より具体的には、ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物の原料と、ポリアミド原料の溶液を混合し、加熱攪拌することによって、ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物がポリアミド原料溶液に分散したスラリー状態で得ることができる。該スラリーは、樹脂補強用としてそのままスラリー状で、または固液分離して粉末として、またはそのままポリアミドの重合用に用いることもできるために、製造工程、製造コストを考慮した場合有用な方法ということができる。ここで、ポリアミド原料とは、前記ポリアミドの原料となるものであれば特に限定されるものではなく、公知のアミノ酸、ラクタム、及びジアミンとジカルボン酸とからなる塩及びそのオリゴマーを挙げることができる。
【0022】
上記方法において、ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物の原料は、例えば、リン酸系カルシウム化合物、リン酸系カルシウム化合物と非リン酸系カルシウム化合物、リン酸系カルシウム化合物と非カルシウム系リン酸化合物、非カルシウム系リン酸化合物と非リン酸系カルシウム化合物からなる混合物とジカルボン酸を混合した原料をあげることができる。
上記リン酸系化合物としては、リン酸一水素カルシウム(CaHPO)、リン酸一水素カルシウム二水和物(CaHPO・2HO)、二リン酸二水素カルシウム(CaH)、リン酸二水素カルシウム一水和物(Ca(HPO・HO)、二リン酸カルシウム(α−およびβ−Ca)、リン酸三カルシウム(α−およびβ−Ca(PO)、リン酸四カルシウム(Ca(POO)、リン酸八カルシウム(Ca(PO・5HO)などをあげることができる。これらの原料は一種類で用いてもよいし、二種類以上組み合わせて用いても良い。
【0023】
上記非リン酸系カルシウム化合物としては、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、炭化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなどのフッ化カルシウムを除く無機化合物や、酢酸カルシウム、安息香酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、しゅう酸カルシウム、酒石酸カルシウム、クエン酸カルシウムなどの有機カルシウム化合物などをあげることができる。これらの原料は一種類で用いてもよいし、二種類以上組み合わせて用いても良い。
【0024】
非カルシウム系リン酸化合物としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、リン酸エステルなどを上げることができる。これらの原料は一種類で用いてもよいし、二種類以上組み合わせて用いても良い。
上記ジカルボン酸としては特に限定されるものではなく、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸、エイコジオン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ジグリコール酸などをあげることができる。これらの原料は一種類で用いてもよいし、二種類以上組み合わせて用いても良い。
【0025】
ここで、より効率的に、微細なジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物を得る観点から好ましい原料としては、リン酸一水素カルシウム (CaHPO)、リン酸一水素カルシウム二水和物(CaHPO・2HO)、リン酸三カルシウム(α−およびβ−Ca(PO)、リン酸八カルシウム(Ca(PO・5HO)、およびこれらと水酸化カルシウム、または炭酸カルシウムとの混合物と、ジカルボン酸の組み合わせである。さらに同様の理由から、原料の一部である上記リン酸一水素カルシウム (CaHPO)、リン酸一水素カルシウム二水和物(CaHPO・2HO)、リン酸三カルシウム(α−およびβ−Ca(PO)、リン酸八カルシウム(Ca(PO・5HO)の粒子の平均長さが、50μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは40μm以下であり、最も好ましくは25μm以下である。ここで、上記原料の平均長さの測定は、前述したジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物の平均長さの測定方法と同じである。
【0026】
上記方法において、より効率的に、結晶性がよく、微細なジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物を得る観点から原料の好ましい組成は、カルシウムとリンのモル比(Ca/P)が1.30−1.65、さらに好ましいくは1.40から1.60、最も好ましくは1.45から1.55である。さらに同様な理由から、カルシウムとジカルボン酸(Ca/ジカルボン酸)のモル比は好ましくは1から30であり、さらに好ましくは3から25であり、もっと好ましくは5から20である。
【0027】
ポリアミド原料溶液中でジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物を得る際の加熱温度は、生成速度、収率の観点から、好ましくは30℃から80℃であり、さらに好ましくは40℃から70℃であり、最も好ましくは50℃から65℃である。
本発明の樹脂補強用ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物は、樹脂と溶融混練使用される。これによって得られる樹脂組成物は、靭性に優れ、強度、剛性、耐熱性が高く、バリアー性に優れる特徴をもつ。
【0028】
該樹脂に溶融混練する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、樹脂とジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物を溶融混練して製造する方法、樹脂とジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物をあらかじめ溶融混練し、マスターバッチを作成した後、マスターバッチと樹脂とを混合する方法でもよい。更には、これら方法を必要に応じて組み合わせてもよい。
該溶融混練により製造する場合には、溶融混練を行う装置としては、一般に実用されている混練機が適用できる。例えば、一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー等を用いればよい。中でも、減圧装置、及びサイドフィーダー設備を装備した2軸押出機が最も好ましい。溶融混練の方法は、全成分を同時に混練する方法、あらかじめ予備混練したブレンド物を用いて混練する方法、更に押出機の途中から逐次、各成分をフィードし、混練する方法などをあげることができる。また、ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物をスラリーの状態で添加する場合には、液体添加ポンプを用いて、押出機の途中からフィードすることが好ましい。
【0029】
溶融混練の条件は、特に制限されるものではないが、減圧度に関しては、0〜0.07MPaが好ましい。混練の温度は、JISK7121に準じた示差走査熱量(DSC)測定で求まる融点又は軟化点より1〜100℃高い温度が好ましい。混練機での剪断速度は100(SEC−1)以上であることが好ましく、混練時の平均滞留時間は、1〜15分が好ましい。樹脂組成物中の溶媒は1質量%以下であることが好ましい。上記範囲内であれば、生産性に優れ、また得られる樹脂組成物の補強効果に優れる傾向にある。
【0030】
上記樹脂組成物において、ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物の無機成分の含有量は特に限定されないが、樹脂99.5〜50.0質量部に対して、0.5〜50質量部であり、さらに好ましくは、樹脂99.0〜65質量部に対して、1.0〜35質量部であり、もっと好ましくは、樹脂98.0〜80質量部に対して、2.0質量部〜20質量部である。上記範囲内であれば靭性、強度、剛性、バリアー性に優れ、また成型時の流動性や成形性を落とす傾向を避けることができる。該質量比は樹脂組成物のペレットや成形品などをJISR3420に従って強熱減量(Ig.loss)を測定し、その質量減少量から求めることができる。例えば、ペレットを十分乾燥した後、白金皿に約1g秤量し、650±20℃の電気炉で灰化し、冷却後、その質量をはかり、無機成分の含有量を定量する。
【0031】
上記樹脂組成物において、溶融混練したジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物は樹脂組成物中でジカルボン酸がリン酸カルシウムから脱離した状態であっても差し支えない。例えば、層状のジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物が、層状のまま分散していてもよいし、一枚一枚に剥離していてもよいし、また、層間に存在するジカルボン酸が溶融混練時に脱離していてもよい。本理由については今のところ明らかではないが、ジカルボン酸がリン酸カルシウムと樹脂とのぬれを向上させる効果があるものと考えている。そのとき、より靭性に優れ、バリアー性に優れる樹脂組成物を得るといった観点から、ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物はなるべく二次凝集を起こさずに単分散しているほうがよい。
【0032】
例えば、樹脂組成物中で最大分散粒径、すなわち二次凝集している、もしくは単分散している粒子の最大粒子長さは、10μm以下であり、好ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは2μm以下である。ここで、分散状態は、樹脂組成物の成形品の薄片をミクロトームなどによって切り出し、アパタイトの透過型電子顕微鏡(TEM)(例えば、写真倍率1.0万倍から3.0万倍の範囲で凝集の大きさに応じて選択)により観察することができる。
【0033】
上記樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、成形性改良剤を添加しても差し支えない。前記成形性改良剤は、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド化合物、ポリアルキレングリコールあるいはその末端変性物、低分子量ポリエチレンあるいは酸化低分子量ポリエチレン、置換ベンジリデンソルビトール、ポリシロキサン、カプロラクトン類、無機結晶核剤類からなる化合物類から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0034】
上記樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、熱劣化、熱時の変色防止、耐熱エージング性、耐候性の向上を目的に、劣化抑制剤を添加しても差し支えない。前記劣化抑制剤は、酢酸銅やヨウ化銅などの銅化合物やヒンダードフェノール化合物などのフェノール系安定剤、ホスファイト系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤、トリアジン系安定剤、イオウ系安定剤から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0035】
本発明のポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、着色剤を添加しても差し支えない。前記着色剤は、ニグロシンなどの染料、酸化チタンあるいはカーボンブラックなどの顔料、あるいはアルミニウム、着色アルミニウム、ニッケル、スズ、銅、金、銀、白金、酸化鉄、ステンレス、チタンなどの金属粒子、マイカ製パール顔料、カラーグラファイト、カラーガラス繊維、カラーガラスフレークなどのメタリック顔料などから選ばれる少なくとも1種の着色剤である。
【0036】
上記樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、導電性カーボンブラックを添加しても差し支えない。前記導電性カーボンブラックは、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブなどから選ばれる少なくとも1種のカーボンブラックであり、中でも良好な鎖状構造を有し凝集密度が大きいものが好ましい。
上記樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、難燃剤を配合してもさせても差し支えない。難燃剤は、非ハロゲン系難燃剤、あるいは臭素系難燃剤が好ましい。
【0037】
前記非ハロゲン系難燃剤は、赤リン、リン酸アンモニウム、あるいはポリリン酸アンモニウムなどのリン系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化ジルコニウム、酸化スズ、錫酸亜鉛、ヒドロキシ錫酸亜鉛などの金属水酸化物あるいは無機金属化合物の水和物や、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウムなどのホウ酸化合物などの無機化合物系難燃剤、メラミン、メラム、メレム、メロン(300℃以上でメレム3分子から3分子の脱アンモニアによる生成物)、メラミンシアヌレート、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、サクシノグアナミン、アジポグアナミン、メチルグルタログアナミン、メラミン樹脂などのトリアジン系難燃剤、シリコーン樹脂、シリコーンオイル、シリカなどのシリコーン系難燃剤から選ばれる少なくとも1種の難燃剤である。
【0038】
前記臭素系難燃剤は、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ビスフェノール型エポキシ系重合体および臭素系架橋芳香族重合体からなる化合物類から選ばれる少なくとも1種の難燃剤である。
上記樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、無機充填材を配合しても差し支えない。前記無機充填剤は、ガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、アパタイト、リン酸ナトリウム、蛍石、窒化珪素、チタン酸カリウム、二硫化モリブデンなどから選ばれる少なくとも1種の無機充填剤である。
【0039】
上記樹脂組成物は、各種成形加工性に優れるため、公知の成形方法、例えばプレス成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、溶着成形、押出成形、吹込成形、フィルム成形、中空成形、多層成形、発泡成形、溶融紡糸など、一般に知られているプラスチック成形方法を用いても、良好に成形加工ができる。
上記樹脂組成物は、靭性に優れ、さらに強度、剛性、耐熱性が高く、またバリアー性に優れるため、包装・容器等の汎用的消費分野や、自動車分野、電気・電子分野、機械・工業分野、事務機器分野、航空・宇宙分野等の各種部品等への応用が期待される。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例、比較例において記載した評価は、以下の方法により実施した。
(1)硫酸相対粘度測定
96%濃硫酸100gに対してペレット状、もしくは成形品から切り出した樹脂組成物1.00gを溶解させ、JIS K6810に従って25℃にて測定した。
(2)無機成分の含有量(質量部/100質量部ポリアミド樹脂組成物)
ポリアミド樹脂樹脂組成物を100±20℃で8時間乾燥し冷却する。白金皿に、乾燥した樹脂組成物を1gとり、650±20℃の電気炉で灰化し、冷却後、その質量をはかり、無機成分の含有量を定量した。
【0041】
(3)原料、ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物の原料液のカルシウムとリンとのモル比Ca/Pのモル比を算出した。
(3−1)カルシウムの定量:
原料、ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物の原料液あるいはジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物0.5gを白金皿に秤量し、500℃電気炉で炭化する。冷却後、塩酸5mlおよび純水5mlを加えヒーター上で煮沸溶解する。再び冷却し、純水を加え500mlとした。装置はThermoJarrellAsh製IRIS/IPを用いて、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析により、波長317.933nmにて定量した。
【0042】
(3−2)リンの定量:
原料、ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物の原料液あるいはジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物0.5gを秤量し濃硫酸を20ml加え、ヒーター上で湿式分解した。冷却後、過酸化水素5mlを加え、ヒーター上で加熱し、全量が2〜3mlになるまで濃縮した。再び冷却し、純水で500mlとした。装置はThermoJarrellAsh製IRIS/IPを用いて、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析により、波長213.618(nm)にて定量した。
【0043】
(4)広角X線回折
測定条件は以下のとおりである。
X線:銅Kα
波数:0.1542nm
管電圧:40KV
管電流:200mA
走査速度:4deg./min
発散スリット:1deg.
散乱スリット:1deg.
受光スリット:0.15mm
【0044】
(5)走査型電子顕微鏡(SEM)観察
ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合体やその原料となるリン酸一水素カルシウム二水和物の平均長さの測定には以下の装置を用いて求めた。
ファインコーター:日本電子(株)製JFC−1600
コーティング条件は30mA、60秒間で行った。
走査型電子顕微鏡:日本電子(株)製JSM−6700F
測定条件は加速電圧9.00kV、印加電流10.0μAで行った。
【0045】
(6)樹脂組成物の物性
樹脂としてポリアミドを用いた場合の例を示す。
射出成形機(日精樹脂(株)製PS40E)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定し、射出14秒、冷却15秒の射出成形条件で評価用ダンベル片、短冊片を得た。
(6−1)曲げ弾性率(GPa)および曲げ強度(MPa)
ASTM D790に準じて行った。
(6−2)引張り強度(MPa)および引張り伸度(%)
ASTM D638に準じて行った。
(6−3)ノッチ付きIzod衝撃強度
ASTM D256に準じて行った。
【0046】
(6−4)荷重たわみ温度(℃)
ASTM D648に準じて行った。
(6−5)ウエルド強度保持率
ウエルド部を有する短冊片を成形し、ASTM D638に準じて行った(23℃、50%湿度)。ウエルド強度保持率は以下の式に従って算出した。
ウエルド強度保持率=(ウエルド部を有するダンベル片の引張強度)/(ウエルド部を有さないダンベル片の引張強度)×100 (%)
(6−6)吸水率
得られたダンベル片を23℃で蒸留水に浸して、24、120、240時間後それぞれ取り出した。そのつど、23度、湿度50%雰囲気下で30分放置した後に質量を測定した。吸水率は以下の式に従って算出した。
吸水率=(吸水処理後の質量)/(吸水処理前の質量)×100 (%)
【0047】
ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物の製造例
(製造例a−1)
粒子の平均長さ5μmのα−リン酸三カルシウム145g(0.47モル)とアジピン酸256g(1.75モル)を蒸留水7kgに加えて23℃、200rpmで攪拌した。さらに、23%アンモニウム水溶液を滴下して溶液のpHを6.5に調整した。その後、55℃に加熱し、この状態で6時間、500rpmで攪拌しながら加熱処理を行った。その後、白色沈殿物をろ過して、蒸留水7kgで洗浄作業を3回繰り返し、窒素雰囲気下、50℃で一週間乾燥させた。
得られた白色粉末を、金属分析、広角X腺回折測定、走査型電子顕微鏡を行い、層間距離が2.35nm、粒子の平均長さが1.4μmのジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物、Ca(HPO)((CH)4C)(PO・5HOであることを確認した。
【0048】
(製造例a−2)
粒子の平均長さ25μmのリン酸一水素カルシウム二水和物600g(3.49モル)と炭酸カルシウム174g(1.74モル)、アジピン酸84.8g(0.58モル)と蒸留水2kgに加えて23℃、200rpmで攪拌した。さらに、50質量%のポリアミド66の原料(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩)の水溶液12Kg作成した。上記二つの溶液を混合して、55℃に加熱し、この状態で6時間、500rpmで攪拌しながら加熱処理を行った。その後、白色沈殿物をろ過して、蒸留水10kgで洗浄作業を3回繰り返し、窒素雰囲気下、50℃で一週間乾燥させた。
得られた白色粉末を、金属分析、広角X腺回折測定、走査型電子顕微鏡を行い、層間距離が2.35nm、粒子の平均長さが1.4μmのジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物、Ca(HPO)((CH)4C)(PO・5HOであることを確認した。
【0049】
リン酸八カルシウムの製造例
(製造例b−1)
粒子の平均長さ25μmのリン酸一水素カルシウム二水和物300g(1.74モル)と炭酸カルシウム58.0g(0.58モル)を蒸留水9kgに加えて23℃、200rpmで攪拌した。55℃に加熱し、この状態で6時間、500rpmで攪拌しながら加熱処理を行った。その後、白色沈殿物をろ過して、蒸留水10kgで洗浄作業を3回繰り返し、窒素雰囲気下、50℃で一週間乾燥させた。
得られた白色粉末を金属分析、広角X腺回折測定、走査型電子顕微鏡を行い、粒子の平均長さが6.0μmのリン酸八カルシウム、Ca(PO・5HOであることを確認した。
【0050】
【実施例1】
ポリアミド66(旭化成(株)製:レオナ(登録商標)1300)100質量部に対して、製造例a−1のジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物を5質量部になるように混合し、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて、押出機のトップから配合して溶融混練し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0051】
【実施例2】
ポリアミド66(旭化成(株)製:レオナ(登録商標)1300)100質量部に対して、製造例a−2のジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物を5質量部になるように混合し、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて、押出機のトップから配合して溶融混練し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0052】
【比較例1】
ポリアミド66(旭化成(株)製:レオナ(登録商標)1300)の評価結果を表1に示す。
【0053】
【比較例2】
ポリアミド66(旭化成(株)製:レオナ(登録商標)1300)100質量部に対して、製造例b−1のリン酸八カルシウムを5質量部になるように混合し、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて、押出機のトップから配合して溶融混練し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0054】
【比較例3】
ポリアミド66(旭化成(株)製:レオナ(登録商標)1300)100質量部に対して、太平化学産業(株)製ヒドロキシアパタイトHAP−200(平均径0.4ミクロン、平均長2ミクロンの六角柱状結晶)を5質量部になるように混合し、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて、溶融混練し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0055】
【比較例4】
ポリアミド66(旭化成(株)製:レオナ(登録商標)1300)100質量部に対して、粒子の平均長さ5μmのα−リン酸三カルシウムを5質量部になるように混合し、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて、押出機のトップから配合して溶融混練し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0056】
【比較例5】
ポリアミド66(旭化成(株)製:レオナ(登録商標)1300)100質量部に対して、粒子の平均長さ25μmのリン酸一水素カルシウム二水和物を5質量部になるように混合し、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて、溶融混練し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0057】
【比較例6】
ポリアミド66(旭化成(株)製:レオナ(登録商標)1300)100質量部に対して、協和化学(株)製の有機化膨潤性フッ素雲母MAE−120を5質量部になるように混合し、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて、溶融混練し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
Figure 2004300188
【0059】
【発明の効果】
本発明の樹脂補強用ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物は樹脂と溶融混練することにより靱性に優れ、さらに強度、剛性、耐熱性が高く、バリアー性に優れる樹脂組成物を得られるため、包装・容器などの汎用的消費分野や、自動車分野、電気・電子分野、機械・工業分野、事務機器分野、航空・宇宙分野などの各種部品などへの応用が期待される。

Claims (9)

  1. ジカルボン酸とリン酸カルシウムからなる樹脂補強用ジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物。
  2. リン酸カルシウムが層状をなし、ジカルボン酸が該層間に存在することを特徴とする請求項1に記載のジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物。
  3. 該複合化合物が、2.0nm以上の層間距離を持つことを特徴とする請求項1または2に記載のジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物。
  4. 該複合化合物の粒子の平均長さが、2μm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のジカルボン酸−リン酸カルシウム複合化合物。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の複合化合物と樹脂とを溶融混練してなることを特徴とする樹脂組成物。
  6. 樹脂99.5〜50.0質量部および該複合化合物0.5〜50.0質量部からなることを特徴とする請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. 該樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂およびアクリル樹脂のいずれかから選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項5または6に記載の樹脂組成物。
  8. 該樹脂が、ポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 該樹脂成分中に該複合化合物が、最大分散粒径10μm以下で分散していることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
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