JP2004299575A - 車両のフェンダ構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】タイヤからの水しぶきの発生を抑制する。
【解決手段】タイヤの外周の上方から略下方を覆いつつ、車幅外方端部から略下方に延出する外側部1aを有するインナフェンダ1と、外側部1aに基端部2aが固定され、基端部2aから車幅外方に延出する上板2bと上板2bの車幅外方端部から略下方へ延出する縦板2cとを有するスプラッシュガード2と、を含んで構成される車両のフェンダ構造において、外側部1aの下端は、インナフェンダ1の車両前後方向の全長に亘って、上板2bより下方かつ縦板2cの下端より上方に位置しつつ、縦板2cとの間に隙間ができるように車幅外方へ鋭角に折り曲げられる。タイヤからスプラッシュガード2に向かって斜め上方向に飛散した水しぶきは、縦板2cで反射し跳ね上がって、外側部1aの折曲部1bに溜まり、タイヤの前方に排出されるので、タイヤに落下することが低減され、水しぶきの発生を抑制する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のフェンダ構造に関し、特に、タイヤから飛散した水しぶきを車両前後方向に効率的に排出することにより、水しぶきの発生を抑制させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両のフェンダの車幅外方には、タイヤからの水しぶきをタイヤハウス内から車幅外方へ飛散することを抑制するためのスプラッシュガードが取り付けられている。
【0003】
スプラッシュガードは、実開平6−57775号公報(特許文献1)に開示されるように、タイヤの上方を覆うインナフェンダの車幅外方端部から下方へ延出するように設けられた縦板と、この縦板から車幅内方に向かって突出した横板とを有している。横板は、タイヤの外周に沿って車両前後方向に延長され、その車両前後方向の中央部から前端及び後端に向かって下方に傾斜している。これにより、車両のタイヤから横板の上方に飛散した水しぶきは、縦板に沿って下方へ流れ落ちて横板上に溜まり、横板上を伝って横板の車両前後方向の端部から下方に排出される。
【0004】
【特許文献1】
実開平6−57775号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、横板は、転舵したタイヤに干渉しないように、車幅内方への突出量が制限されている。したがって、水しぶきの発生量が多い場合には、水しぶきが横板上を伝って車両前後方向へ排出し切れずに、横板から溢れてしまい、タイヤに再び落下して、水しぶきの発生量を更に増加させてしまう恐れがあった。
【0006】
そこで、本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、タイヤからスプラッシュガードに向かって飛散した水しぶきが再びタイヤに落下することを低減させ、水しぶきの発生を抑制させる車両のフェンダ構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の発明は、車輪の外周の上方から略下方を覆いつつ、車幅外方端部から略下方に延出する外側部を有するインナフェンダと、前記外側部に基端部が固定され、前記基端部から車幅外方に延出する上板と前記上板の車幅外方端部から略下方へ延出する縦板とを有するスプラッシュガードと、を含んで構成される車両のフェンダ構造において、前記外側部の下端は、前記インナフェンダの車両前後方向の全長に亘って、前記上板より下方かつ前記縦板の下端より上方に位置しつつ、前記縦板との間に隙間ができるように車幅外方へ鋭角に折り曲げられたことを特徴とする。
【0008】
かかる構成によれば、インナフェンダの外側部の下端は、インナフェンダの車両前後方向の全長に亘って、インナフェンダの上板より下方かつ縦板の下端より上方に位置しつつ、縦板との間に隙間ができるように車幅外方へ鋭角に折り曲げられるので、車輪からスプラッシュガードに向かって斜め上方向に水しぶきが飛散すると、水しぶきは縦板で反射し跳ね上がって、外側部の折曲部分に溜まる。
そして、外側部の折曲部分に溜まった水しぶきは、外側部の折曲部分を伝って車輪の前方又は後方に排出される。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記外側部は、車幅外方に向かって下方に延出する部分と車幅内方に向かって下方に延長する部分とが交互に接続された階段状に形成されつつ、前記スプラッシュガードの下端近傍まで下方に延出されるとともに、車幅内方に向かって下方に延長する部分にスリットが設けられ、前記外側部の下端は、前記インナフェンダの車両前後方向の全長に亘って、前記上板より下方かつ前記縦板の下端より上方に位置するように車幅外方へ鋭角に折り曲げられたことを特徴とする
かかる構成によれば、インナフェンダの外側部が階段状になり、スプラッシュガードの下端近傍まで下方に延出されるとともに、車幅内方に向かって下方に延長する部分にスリットが設けられ、外側部の下端は、インナフェンダの車両前後方向の全長に亘って、上板より下方かつ縦板の下端より上方に位置するように車幅外方へ鋭角に折り曲げられるので、車輪から外側部に向かって斜め上方向に飛散した水しぶきは、外側部の車幅外方に向かって下方に延出する部分の下面に当たり下方へ落下して、外側部の車幅内方に向かって下方に延長する部分に設けられたスリットを通り抜け、外側部とスプラッシュガードとの間に入り込む。そして、外側部とスプラッシュガードとの間に入り込んだ水しぶきは、外側部の折曲部分に溜まり、外側部の折曲部分を伝って車輪の前方又は後方に排出される。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記外側部の下端は、前記階段状に形成された部分の車幅外方端部より外方まで折り曲げられたことを特徴とする。
かかる構成によれば、インナフェンダの外側部の下端は、階段状に形成された部分の車幅外方端部より外方まで折り曲げられるので、スリットを通り抜けた水しぶきは、階段状に形成された部分の車幅外方端部から、外側部の折曲部分に落下し、外側部の折曲部分を伝って車輪の前方又は後方に排出される。
【0011】
請求項4記載の発明は、前記縦板の下端に、車幅内方へ突出する下板が設けられたことを特徴とする。
かかる構成によれば、スプラッシュガードの縦板の下端に、車幅内方へ突出する下板が設けられるので、水しぶきが外側部の折曲部分から溢れても下板上に落下して溜まり、下板を伝って車輪の前方又は後方に排出される。
【0012】
請求項5記載の発明は、前記縦板に、前記スプラッシュガードの車両前後方向の全長に亘って、車輪前部近傍の所定位置から前方及び後方に向かって夫々下方に傾斜するように、車幅内方へ突出するリブが設けられたことを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、スプラッシュガードの縦板に、スプラッシュガードの車両前後方向の全長に亘って、車輪前部近傍の所定位置から前方及び後方に向かって夫々下方に傾斜するように、車幅内方へ突出するリブが設けられるので、縦板の車幅内方側の面に沿ってリブの上方から流れ落ちた水しぶきがリブ上に溜まり、リブを伝って車輪の前方又は後方に排出される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付された図面を参照して本発明を詳述する。
本発明の第1実施例における車両のフェンダ構造は、図1に示すように、車両のタイヤ(車輪)の外周に沿ってタイヤの上方から略下方を覆うように設けられたインナフェンダ1と、インナフェンダ1の車幅外方の端部に略全周に亘って取り付けられたスプラッシュガード2と、を含んで構成されている。
【0015】
インナフェンダ1は、その車幅外方の端部に下方へ延出された外側部1aを有している。
スプラッシュガード2は、樹脂あるいはゴム等で形成されており、外側部1aに固定される基端部2aと、基端部2aから車幅外方へ延出する上板2bと、上板2bの車幅外方の端部から下方へ延出する縦板2cと、縦板2cの下端から車幅内方へ延出する下板2dと、縦板2cから車幅内方へ延出するリブ2eと、を有している。そして、スプラッシュガード2は、車両の外側面の一部を形成するフェンダ3の外側面と縦板2cの外側面とが略同一面になるように、基端部2aがボルト4によりフェンダ3の下端にインナフェンダ1と共締めされている。
【0016】
外側部1aの下端は、スプラッシュガード2の上板2bより下方かつ縦板2cより上方に位置している。また、外側部1aの下端は、縦板2cとの間に隙間ができるように車幅外方へ鋭角に折り曲げられ、雨どいとして機能する折曲部1bが形成されている。
【0017】
外側部1aの折曲部分即ち折曲部1bと下板2dとは、図2に示すように、タイヤの外周に沿うように、インナフェンダ1の車両前後方向の全長に亘って延長され、その車両前後方向の中央部から前方に向かって下方に傾斜している。リブ2eは、折曲部1bの下方に位置しており、タイヤ前部近傍の所定位置から前方及び後方に向かって夫々下方に傾斜している。
【0018】
このような構造により、車両が走行することによって、タイヤからスプラッシュガード2に向かって斜め上方向に飛散した水しぶきは、縦板2cで反射して、折曲部1bと縦板2cとの間を通り、折曲部1bの上方へ跳ね上がって、折曲部1bの上方に溜まる。折曲部1bは車両前方に向かって下方に傾斜しているので、折曲部1bの上方に溜まった水しぶきは、折曲部1bに沿ってタイヤの前方まで排出される。なお、折曲部1bから水しぶきが溢れた場合でも、その下方に配置されたリブ2eに水しぶきが溜まり、リブ2eに沿って車両前後方向に排出される。これにより、スプラッシュガードに向かってタイヤから飛散した水しぶきが、車両前後方向に効率よく排出されるので、水しぶきの発生量が多くとも再びタイヤに落下することが低減され、水しぶきの発生量を抑制することができる。
【0019】
なお、以上の実施例では、折曲部1bと下板2dは、その車両前後方向の中央部から前方に向かって下方に傾斜するが、更に、車両前後方向の中央部から後方に向かって下方に傾斜するようにしてもよい。これにより、車両前後方向の中央部から後方の折曲部1b又は下板2d上に溜まった水しぶきは、タイヤの後方へ排出される。
【0020】
次に、本発明の第2実施例について説明する。
図3に示すように、本実施例のインナフェンダ1の外側部1aは、スプラッシュガード2の下板2d近傍まで延出され、インナフェンダ1の外側部1aとスプラッシュガード2とに囲まれた空間が形成される。更に、外側部1aは、車幅外方に向かって斜め下方に延長する部分と車幅内方に向かって斜め下方に延長する部分とが交互に接続された階段状に形成されている。外側部1aの車幅内方に向かって斜め下方に延長する部分には、車両前後方向に複数並んでスリット1cが夫々設けられている。リブ2eは、上下方向に所定間隔を置いて縦板2cに複数設けられている。外側部1aの下端は、外側部1aの階段状に形成された部分の車幅外方端部より外方まで折り曲げられている。
【0021】
このような構造により、タイヤからスプラッシュガード2に向かって斜め上方向に飛散した水しぶきは、外側部1aの車幅外方に向かって下方に延出する部分の下面に当たり下方へ落下して、外側部1aの車幅内方に向かって下方に延長する部分に設けられたスリット1cを通り抜け、外側部1aとスプラッシュガード2の縦板2cとの間に入り込む。外側部1aは下板2d近傍まで延出しているので、外側部1aと縦板2cとの間の空間に入り込んだ水しぶきは、そのまま下板2dより下方へ落下することが抑制され、リブ2e、折曲部1b又は下板2dの上面を伝って、車両前後方向に排出される。これにより、タイヤに水しぶきが落下することが低減され、水しぶきの発生を抑制することができる。折曲部1bは、外側部1aの階段状に形成された部分の車幅外方端部より外方まで折り曲げられているので、スリット1cを通り抜けた水しぶきは、例えリブ2eに落下しなくとも折曲部1b上に落下するので、水しぶきがタイヤに落下することを更に低減させることができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、車輪からスプラッシュガードに向かって水しぶきが飛散すると、水しぶきはスプラッシュガードの縦板で反射し跳ね上がって、インナフェンダの外側部の折曲部分に溜まり、外側部の折曲部分を伝って車輪の前方又は後方に排出されるので、車輪に水しぶきが落下することが低減され、水しぶきの発生を抑制することができる。
【0023】
請求項2記載の発明によれば、車輪からインナフェンダの外側部に向かって斜め上方向に飛散した水しぶきは、外側部の車幅外方に向かって下方に延出する部分の下面に当たり下方へ落下して、外側部の車幅内方に向かって下方に延長する部分に設けられたスリットを通り抜け、外側部とスプラッシュガードとの間に入り込む。そして、外側部とスプラッシュガードとの間に入り込んだ水しぶきは、外側部の折曲部分に溜まり、外側部の折曲部分を伝って車輪の前方又は後方に排出されるので、車輪に水しぶきが落下することをより低減させることができる。
【0024】
請求項3記載の発明によれば、スリットを通り抜けた水しぶきは、インナフェンダの外側部の階段状に形成された部分の車幅外方端部から外側部の折曲部分に落下し、外側部の折曲部分を伝って車輪の前方又は後方に排出されるので、車輪に水しぶきが落下することをより低減させることができる。
【0025】
請求項4記載の発明によれば、水しぶきがインナフェンダの外側部の折曲部分から溢れてもスプラッシュガードの下板上に落下して溜まり、下板を伝って車輪の前方又は後方に排出されるので、車輪に水しぶきが落下することをより低減させることができる。
【0026】
請求項5記載の発明によれば、縦板の車幅内方側の面に沿ってリブの上方から流れ落ちた水しぶきがリブ上に溜まり、リブを伝って車輪の前方又は後方に排出されるので、車輪に水しぶきが落下することをより低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例における車両のフェンダ構造図
【図2】同上の車両のフェンダ構造を示す側面図
【図3】本発明の第2実施例における車両のフェンダ構造図
【符号の説明】
1 インナフェンダ
1a 外側部
1b 折曲部
1c スリット
2 スプラッシュガード
2a 基端部
2b 上板
2c 縦板
2d 下板
2e リブ

Claims (5)

  1. 車輪の外周の上方から略下方を覆いつつ、車幅外方端部から略下方に延出する外側部を有するインナフェンダと、
    前記外側部に基端部が固定され、前記基端部から車幅外方に延出する上板と前記上板の車幅外方端部から略下方へ延出する縦板とを有するスプラッシュガードと、を含んで構成される車両のフェンダ構造において、
    前記外側部の下端は、前記インナフェンダの車両前後方向の全長に亘って、前記上板より下方かつ前記縦板の下端より上方に位置しつつ、前記縦板との間に隙間ができるように車幅外方へ鋭角に折り曲げられたことを特徴とする車両のフェンダ構造。
  2. 前記外側部は、車幅外方に向かって下方に延出する部分と車幅内方に向かって下方に延長する部分とが交互に接続された階段状に形成されつつ、前記スプラッシュガードの下端近傍まで下方に延出されるとともに、車幅内方に向かって下方に延長する部分にスリットが設けられ、前記外側部の下端は、前記インナフェンダの車両前後方向の全長に亘って、前記上板より下方かつ前記縦板の下端より上方に位置するように車幅外方へ鋭角に折り曲げられたことを特徴とする請求項1に記載の車両のフェンダ構造。
  3. 前記外側部の下端は、前記階段状に形成された部分の車幅外方端部より外方まで折り曲げられたことを特徴とする請求項2に記載の車両のフェンダ構造。
  4. 前記縦板の下端に、車幅内方へ突出する下板が設けられたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の車両のフェンダ構造。
  5. 前記縦板に、前記スプラッシュガードの車両前後方向の全長に亘って、車輪前部近傍の所定位置から前方及び後方に向かって夫々下方に傾斜するように、車幅内方へ突出するリブが設けられたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の車両のフェンダ構造。
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