JP2004298152A - 豆腐様食品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】常温で長期間の保存流通が可能となった豆腐に代わる豆腐様の食感・風味を有する食品を提供する。
【解決手段】豆乳、熱凝固性タンパク質及び澱粉を含み、レトルト殺菌を行う。熱凝固性タンパク質が好ましくは乳清タンパク質であり、熱凝固性タンパク質及び澱粉の豆腐様食品に対する添加量が、それぞれ0.5〜20重量%及び0.5〜10重量%である。更には、熱凝固性タンパク質及び澱粉を、豆乳を含む水系に加えて加熱攪拌溶解するか、或いは澱粉を、豆乳を含む水系に加えて加熱攪拌溶解した後、タンパク質凝固温度以下の温度で熱凝固性タンパク質を添加する方法により製造する。
【選択図】なし
【解決手段】豆乳、熱凝固性タンパク質及び澱粉を含み、レトルト殺菌を行う。熱凝固性タンパク質が好ましくは乳清タンパク質であり、熱凝固性タンパク質及び澱粉の豆腐様食品に対する添加量が、それぞれ0.5〜20重量%及び0.5〜10重量%である。更には、熱凝固性タンパク質及び澱粉を、豆乳を含む水系に加えて加熱攪拌溶解するか、或いは澱粉を、豆乳を含む水系に加えて加熱攪拌溶解した後、タンパク質凝固温度以下の温度で熱凝固性タンパク質を添加する方法により製造する。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は常温で長期間の保存流通が可能な豆腐に代わる豆腐様の食感・風味を有する食品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
豆腐は冷蔵保存が必須であり、賞味期間も数日間のものが一般的であるが、加工食品の多様化により、豆腐も冷蔵だけでなく、常温流通や冷凍流通できるようにして欲しいとの要望がある。
【0003】
冷凍流通可能な豆腐について、豆乳と澱粉と豆腐用凝固剤とを混合成分として含む豆腐において、前記混合成分として、更に乳清蛋白を含めたことを特徴とする冷凍耐性を有する豆腐(特許文献1)が検討されている。特許文献3によると、冷凍耐性を有する豆腐が製造でき、冷凍による長期間の保存が可能となるが、常温流通させるためのレトルト殺菌には耐えられるものでなく、レトルト殺菌のような強力な殺菌を行っても組織が荒れず、良好な豆腐様食品が求められていた。
【特許文献1】特開平9−94075号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、常温で長期間の保存流通が可能となった豆腐に代わる豆腐様の食感・風味を有する食品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、豆乳に、熱凝固性タンパク質及び澱粉を使用することにより、レトルト殺菌にも耐え、脱水されて食感が固くなることがない豆腐様食品が得られることが判った。更に、熱凝固性タンパク質に乳清タンパク質を使用することにより、また、熱凝固性タンパク質及び澱粉の豆腐様食品に対する添加量が、それぞれ0.5〜20重量%及び0.5〜20重量%とすることにより、より豆腐の食感に近い良好な食感となることを見いだした。
【0006】
すなわち本発明は、以下の態様を有する豆腐様食品及びその製造方法に関する;
項1.豆乳、熱凝固性タンパク質及び澱粉を含むことを特徴とする常温流通可能な豆腐様食品。
項2.熱凝固性タンパク質が乳清タンパク質である項1記載の常温流通可能な豆腐様食品。
項3.熱凝固性タンパク質及び澱粉の豆腐様食品に対する添加量が、それぞれ0.5〜20重量%及び0.5〜10重量%である項1又は2に記載の常温流通可能な豆腐様食品。
項4.熱凝固性タンパク質及び澱粉を、豆乳を含む水系に加えて加熱攪拌溶解する項1乃至3に記載の豆腐様食品の製造方法。
項5.澱粉を、豆乳を含む水系に加えて加熱攪拌溶解した後、タンパク質凝固温度以下の温度で熱凝固性タンパク質を添加する項1乃至3に記載の豆腐様食品の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に係る豆腐様食品は、加熱凝固成分として熱凝固性タンパク質及び澱粉を必須成分として含むことを特徴とするものである。
【0008】
本発明で使用する熱凝固性タンパク質は、加熱や加圧等により凝固するタンパク質であり、具体的には、乳清タンパク質、卵タンパク質、アルブミン等の卵由来のタンパク質、大豆タンパク質、小麦タンパク質、ミオシンタンパク質、コラーゲン、血しょうタンパク質等を挙げることができる。好ましくは、乳清タンパク質である。乳清タンパク質は、乳から調製される乳清(ホエー)を更に濃縮精製したものであり、好ましくは、乳が牛乳由来のものである。本発明では、タンパク質含量が80%以上(乾燥物換算)のものが好ましい。このような、熱凝固性タンパク質は商業上入手することができ、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のミルプロ[商標]シリーズを挙げることができる。
【0009】
本発明で使用する澱粉は、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、甘藷澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、米澱粉等の生澱粉や、それらに架橋化、エーテル化、エステル化等の加工を施した加工澱粉を用いることができる。好ましくは加工澱粉である。このような澱粉も商業上入手することができ、例えば、日本エヌエスシー株式会社製のコルフロ67、シルキーテックス1、松谷化学工業株式会社製のパインベークCC等を挙げることができる。
【0010】
熱凝固性タンパク質の豆腐様食品に対する添加量であるが、熱凝固性タンパク質及び澱粉の種類により添加量が異なるため一概には言えないが、0.5〜20重量%である。中でも、乳清タンパク質を用いる場合は、0.5〜15重量%、好ましくは、1〜8重量%を挙げることができる。また、澱粉の豆腐様食品に対する添加量が、それぞれ0.5〜10重量%、より好ましくは1〜8重量%、更に好ましくは、2〜6重量%である。
【0011】
また、本発明は、常温流通な食品とするために、レトルト殺菌を行う。レトルト殺菌の条件であるが、100〜150℃、10〜60分間程度、好ましくは、121℃15〜20分間程度の加熱・加圧殺菌を挙げることができる。なお、同様の殺菌条件であれば、レトルト殺菌以外の方法、例えば、オートクレーブ殺菌などで殺菌を行っても構わない。
【0012】
なお、本発明では常温流通を目的としているため、上記レトルト殺菌を条件としているが、チルドや冷凍製品とする場合は、80〜98℃、15〜90分間程度のボイル殺菌やスチーム殺菌を行っても良い。
【0013】
なお、本発明で使用する豆乳は、JAS(日本農林規格)にて分類されている四種類の規格に合致するもの、例えば、豆乳(大豆固形分8%以上;大豆たん白質換算3.8%以上)、調製豆乳(大豆固形分6%以上;大豆たん白質換算3.0%以上)、豆乳飲料(大豆固形分2%以上;大豆たん白質換算0.9%以上)、大豆たん白飲料(大豆たん白50%以下使用の豆乳飲料)などを挙げることができ、これら無調整豆乳、調製豆乳等より、商業上入手可能なものを使用することが出来る。また、豆乳の豆腐様食品に対する添加量としては、1〜99重量%、好ましくは、5〜50重量%を例示することができる。
【0014】
その他添加できる素材として、各種食品や食品添加物を挙げることができる。例えば、油脂、乳化油脂、増粘多糖類、ガム質、乾燥こんにゃく加工品、色素、香料、糖質、スクラロース等の高甘味度甘味料類、糖アルコール類、オリゴ糖類、トレハロース等、食塩、調味料、乳化剤、日持ち向上剤、機能性素材(鉄、カルシウム等のミネラル、米ぬか抽出物、コラーゲン等)を挙げることができるが、これらに限定されず、その他のものを適宜添加しても良い。
【0015】
増粘多糖類としては、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、寒天、ジェランガム、ネイティブジェランガム、カラギナン、ファーセレラン、アルギン酸、アルギン酸塩、ペクチン、ゼラチン、ローカストビーンガム、アラビアガム、プルラン、タラガム、グルコマンナン、タマリンド種子多糖類、サイリウムシードガム、ファーセレラン、ウェランガム、マクロホモプシスガム等を挙げることができる。好ましくは、キサンタンガムであり、使用する増粘多糖類によって、ゲル化をしない限度の量を適宜選択して使用することが出来る。
【0016】
なお、従来豆腐には、凝固剤(にがり)として、グルコノデルタラクトン、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどを添加するが、本発明は、加熱凝固成分として熱凝固性タンパク質及び澱粉を使用するため、これらにがり成分を添加する必要がない。但し、本発明の効果を損なわない限り、これら少量のにがり成分を含んでいても構わない。
【0017】
更に、本発明では、前記に加えて以下の方法により製造することが好ましい。まず、好ましい製造方法の一つとして、熱凝固性タンパク質及び澱粉を、豆乳を加えた水に加えて、加熱攪拌溶解する製造方法を挙げることができる。加熱攪拌溶解する条件は、澱粉を水に添加した後、糊化する温度以上の温度まで加熱すればよいが、60〜100℃、好ましくは、80〜98℃で2〜15分間攪拌する条件を例示することができる。
【0018】
好ましいもう一方の製造方法として、澱粉を、豆乳を加えた水に加えて加熱攪拌溶解した後、タンパク質凝固温度以下の温度で熱凝固性タンパク質を添加する製造方法を挙げることができる。タンパク質凝固温度は、使用するタンパク質によって異なるが、例えば、乳清タンパク質の場合は約70℃、卵白タンパク質の場合は約60℃、大豆タンパク質の場合は約65℃を例示することができる。澱粉を水に加えて、加熱攪拌溶解する条件は、澱粉を水に添加した後、糊化する温度以上の温度まで加熱すればよいが、60〜100℃、好ましくは、80〜98℃で2〜15分間攪拌する条件を例示することができる。加熱攪拌溶解後、タンパク質凝固温度以下の温度まで冷ましてから、熱凝固性タンパク質を添加する。添加方法は、粉体をそのまま添加しても良いし、水に予め溶解して添加しても良いが、本発明では粉体をそのまま添加することにより、簡便で、しかも所望の食感の食品となる。添加した後、攪拌することが好ましいが、このまま常温まで冷却することもできる。
【0019】
本発明の豆腐様食品は、豆腐のような風味・食感を有するものであるので、豆腐の代替品として広く用いることができる。特に、常温流通させるためにレトルト殺菌を行っても、離水したり、固くしまったりすることがなく、豆腐のなめらかな食感を維持できるので、レトルト製品に使用する豆腐代替品として有用である。
【0020】
例えば、レトルト豆腐様食品として、豆腐代替食品とすることができるし、レトルトパウチの惣菜食品の具材として、本発明の豆腐様食品を豆腐代替に使用することが出来る。例えば、麻婆豆腐、鍋の素、豆腐あんかけなどがあげられる。
【0021】
本発明により、豆腐の様な風味・食感を有する豆腐代替品となる食品が提供できるようになった。更には、レトルト殺菌を行っても離水して固くしまりすぎることがなく、なめらかで良好な食感を有する豆腐様食品となった。なお、本願発明は、豆腐凝固剤(にがり)を必要とせず、豆乳由来のタンパク質とは違う異種タンパク質を使用することにより凝固する豆腐様食品を提供するものである。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。また、特に記載のない限り「部」とは、「重量部」を意味するものとする。文中*印のものは、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、文中※印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。
【0023】
実施例1:レトルト豆腐様食品(1)
下記処方のうち、水と豆乳を加えた中に、その他の原料を投入して、90℃達温まで加熱攪拌溶解後、容器に充填し、レトルト殺菌(121℃20分/100g)して、レトルト豆腐様食品(1)を調製した。
【0024】
【0025】
実施例2:レトルト豆腐様食品(2)
実施例2の処方のうち、水に豆乳を加えた中に、澱粉を添加して、80℃10分間加熱攪拌溶解し、60℃まで冷却後、乳清蛋白、食塩を添加して10分間攪拌して容器充填を行い、レトルト殺菌(121℃20分/100g)して、レトルト豆腐様食品(2)を調製した。
【0026】
実施例3:レトルトあんかけ豆腐
下記調味液処方のうち、水に、澱粉及び増粘剤を加え、80℃10分間加熱攪拌溶解した後、残りの原料を加え、攪拌溶解し、調味液を調製した。
【0027】
【0028】
下記あんかけ部処方の配合でアルミパウチ充填後レトルト殺菌(121℃20分/100g)を行いレトルトあんかけを調製した。このレトルトあんかけと実施例1で調製した豆腐様食品(1)100g容器詰め品をセットとして箱詰めし、常温流通可能な豆腐付きレトルトあんかけ製品を製造した。
【0029】
【0030】
実施例4:レトルト麻婆豆腐(豆腐入り)
下記調味液処方のうち、水に、澱粉及び増粘剤を加え、80℃10分間加熱攪拌溶解した後、残りの原料を加え、攪拌溶解し、調味液を調製した。
【0031】
【0032】
下記配合でアルミパウチ充填後、レトルト殺菌(121℃25分/210g)を行い、レトルト麻婆豆腐(豆腐入り)を調製した。
【0033】
【0034】
比較例として、豆腐様食品(2)の代わりに、市販の絹ごし豆腐、木綿豆腐及び充填豆腐を使用してレトルト麻婆豆腐を調製したが、いずれの比較例も豆腐中の水分が脱水してしまい、豆腐がしまったように固くなった。
【0035】
実施例5:ゴマ豆腐様食品
下記処方のうち、水に豆乳、砂糖、澱粉及び増粘剤を加え、80℃10分間加熱攪拌溶解し、60℃以下まで冷却後、練りゴマペースト、食塩及び乳清タンパク質を加え、攪拌後、カップに充填し、121℃20分間レトルト殺菌を行い、レトルトゴマ豆腐様食品を製造した。
【0036】
【発明の属する技術分野】
本発明は常温で長期間の保存流通が可能な豆腐に代わる豆腐様の食感・風味を有する食品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
豆腐は冷蔵保存が必須であり、賞味期間も数日間のものが一般的であるが、加工食品の多様化により、豆腐も冷蔵だけでなく、常温流通や冷凍流通できるようにして欲しいとの要望がある。
【0003】
冷凍流通可能な豆腐について、豆乳と澱粉と豆腐用凝固剤とを混合成分として含む豆腐において、前記混合成分として、更に乳清蛋白を含めたことを特徴とする冷凍耐性を有する豆腐(特許文献1)が検討されている。特許文献3によると、冷凍耐性を有する豆腐が製造でき、冷凍による長期間の保存が可能となるが、常温流通させるためのレトルト殺菌には耐えられるものでなく、レトルト殺菌のような強力な殺菌を行っても組織が荒れず、良好な豆腐様食品が求められていた。
【特許文献1】特開平9−94075号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、常温で長期間の保存流通が可能となった豆腐に代わる豆腐様の食感・風味を有する食品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、豆乳に、熱凝固性タンパク質及び澱粉を使用することにより、レトルト殺菌にも耐え、脱水されて食感が固くなることがない豆腐様食品が得られることが判った。更に、熱凝固性タンパク質に乳清タンパク質を使用することにより、また、熱凝固性タンパク質及び澱粉の豆腐様食品に対する添加量が、それぞれ0.5〜20重量%及び0.5〜20重量%とすることにより、より豆腐の食感に近い良好な食感となることを見いだした。
【0006】
すなわち本発明は、以下の態様を有する豆腐様食品及びその製造方法に関する;
項1.豆乳、熱凝固性タンパク質及び澱粉を含むことを特徴とする常温流通可能な豆腐様食品。
項2.熱凝固性タンパク質が乳清タンパク質である項1記載の常温流通可能な豆腐様食品。
項3.熱凝固性タンパク質及び澱粉の豆腐様食品に対する添加量が、それぞれ0.5〜20重量%及び0.5〜10重量%である項1又は2に記載の常温流通可能な豆腐様食品。
項4.熱凝固性タンパク質及び澱粉を、豆乳を含む水系に加えて加熱攪拌溶解する項1乃至3に記載の豆腐様食品の製造方法。
項5.澱粉を、豆乳を含む水系に加えて加熱攪拌溶解した後、タンパク質凝固温度以下の温度で熱凝固性タンパク質を添加する項1乃至3に記載の豆腐様食品の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に係る豆腐様食品は、加熱凝固成分として熱凝固性タンパク質及び澱粉を必須成分として含むことを特徴とするものである。
【0008】
本発明で使用する熱凝固性タンパク質は、加熱や加圧等により凝固するタンパク質であり、具体的には、乳清タンパク質、卵タンパク質、アルブミン等の卵由来のタンパク質、大豆タンパク質、小麦タンパク質、ミオシンタンパク質、コラーゲン、血しょうタンパク質等を挙げることができる。好ましくは、乳清タンパク質である。乳清タンパク質は、乳から調製される乳清(ホエー)を更に濃縮精製したものであり、好ましくは、乳が牛乳由来のものである。本発明では、タンパク質含量が80%以上(乾燥物換算)のものが好ましい。このような、熱凝固性タンパク質は商業上入手することができ、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のミルプロ[商標]シリーズを挙げることができる。
【0009】
本発明で使用する澱粉は、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、甘藷澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、米澱粉等の生澱粉や、それらに架橋化、エーテル化、エステル化等の加工を施した加工澱粉を用いることができる。好ましくは加工澱粉である。このような澱粉も商業上入手することができ、例えば、日本エヌエスシー株式会社製のコルフロ67、シルキーテックス1、松谷化学工業株式会社製のパインベークCC等を挙げることができる。
【0010】
熱凝固性タンパク質の豆腐様食品に対する添加量であるが、熱凝固性タンパク質及び澱粉の種類により添加量が異なるため一概には言えないが、0.5〜20重量%である。中でも、乳清タンパク質を用いる場合は、0.5〜15重量%、好ましくは、1〜8重量%を挙げることができる。また、澱粉の豆腐様食品に対する添加量が、それぞれ0.5〜10重量%、より好ましくは1〜8重量%、更に好ましくは、2〜6重量%である。
【0011】
また、本発明は、常温流通な食品とするために、レトルト殺菌を行う。レトルト殺菌の条件であるが、100〜150℃、10〜60分間程度、好ましくは、121℃15〜20分間程度の加熱・加圧殺菌を挙げることができる。なお、同様の殺菌条件であれば、レトルト殺菌以外の方法、例えば、オートクレーブ殺菌などで殺菌を行っても構わない。
【0012】
なお、本発明では常温流通を目的としているため、上記レトルト殺菌を条件としているが、チルドや冷凍製品とする場合は、80〜98℃、15〜90分間程度のボイル殺菌やスチーム殺菌を行っても良い。
【0013】
なお、本発明で使用する豆乳は、JAS(日本農林規格)にて分類されている四種類の規格に合致するもの、例えば、豆乳(大豆固形分8%以上;大豆たん白質換算3.8%以上)、調製豆乳(大豆固形分6%以上;大豆たん白質換算3.0%以上)、豆乳飲料(大豆固形分2%以上;大豆たん白質換算0.9%以上)、大豆たん白飲料(大豆たん白50%以下使用の豆乳飲料)などを挙げることができ、これら無調整豆乳、調製豆乳等より、商業上入手可能なものを使用することが出来る。また、豆乳の豆腐様食品に対する添加量としては、1〜99重量%、好ましくは、5〜50重量%を例示することができる。
【0014】
その他添加できる素材として、各種食品や食品添加物を挙げることができる。例えば、油脂、乳化油脂、増粘多糖類、ガム質、乾燥こんにゃく加工品、色素、香料、糖質、スクラロース等の高甘味度甘味料類、糖アルコール類、オリゴ糖類、トレハロース等、食塩、調味料、乳化剤、日持ち向上剤、機能性素材(鉄、カルシウム等のミネラル、米ぬか抽出物、コラーゲン等)を挙げることができるが、これらに限定されず、その他のものを適宜添加しても良い。
【0015】
増粘多糖類としては、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、寒天、ジェランガム、ネイティブジェランガム、カラギナン、ファーセレラン、アルギン酸、アルギン酸塩、ペクチン、ゼラチン、ローカストビーンガム、アラビアガム、プルラン、タラガム、グルコマンナン、タマリンド種子多糖類、サイリウムシードガム、ファーセレラン、ウェランガム、マクロホモプシスガム等を挙げることができる。好ましくは、キサンタンガムであり、使用する増粘多糖類によって、ゲル化をしない限度の量を適宜選択して使用することが出来る。
【0016】
なお、従来豆腐には、凝固剤(にがり)として、グルコノデルタラクトン、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどを添加するが、本発明は、加熱凝固成分として熱凝固性タンパク質及び澱粉を使用するため、これらにがり成分を添加する必要がない。但し、本発明の効果を損なわない限り、これら少量のにがり成分を含んでいても構わない。
【0017】
更に、本発明では、前記に加えて以下の方法により製造することが好ましい。まず、好ましい製造方法の一つとして、熱凝固性タンパク質及び澱粉を、豆乳を加えた水に加えて、加熱攪拌溶解する製造方法を挙げることができる。加熱攪拌溶解する条件は、澱粉を水に添加した後、糊化する温度以上の温度まで加熱すればよいが、60〜100℃、好ましくは、80〜98℃で2〜15分間攪拌する条件を例示することができる。
【0018】
好ましいもう一方の製造方法として、澱粉を、豆乳を加えた水に加えて加熱攪拌溶解した後、タンパク質凝固温度以下の温度で熱凝固性タンパク質を添加する製造方法を挙げることができる。タンパク質凝固温度は、使用するタンパク質によって異なるが、例えば、乳清タンパク質の場合は約70℃、卵白タンパク質の場合は約60℃、大豆タンパク質の場合は約65℃を例示することができる。澱粉を水に加えて、加熱攪拌溶解する条件は、澱粉を水に添加した後、糊化する温度以上の温度まで加熱すればよいが、60〜100℃、好ましくは、80〜98℃で2〜15分間攪拌する条件を例示することができる。加熱攪拌溶解後、タンパク質凝固温度以下の温度まで冷ましてから、熱凝固性タンパク質を添加する。添加方法は、粉体をそのまま添加しても良いし、水に予め溶解して添加しても良いが、本発明では粉体をそのまま添加することにより、簡便で、しかも所望の食感の食品となる。添加した後、攪拌することが好ましいが、このまま常温まで冷却することもできる。
【0019】
本発明の豆腐様食品は、豆腐のような風味・食感を有するものであるので、豆腐の代替品として広く用いることができる。特に、常温流通させるためにレトルト殺菌を行っても、離水したり、固くしまったりすることがなく、豆腐のなめらかな食感を維持できるので、レトルト製品に使用する豆腐代替品として有用である。
【0020】
例えば、レトルト豆腐様食品として、豆腐代替食品とすることができるし、レトルトパウチの惣菜食品の具材として、本発明の豆腐様食品を豆腐代替に使用することが出来る。例えば、麻婆豆腐、鍋の素、豆腐あんかけなどがあげられる。
【0021】
本発明により、豆腐の様な風味・食感を有する豆腐代替品となる食品が提供できるようになった。更には、レトルト殺菌を行っても離水して固くしまりすぎることがなく、なめらかで良好な食感を有する豆腐様食品となった。なお、本願発明は、豆腐凝固剤(にがり)を必要とせず、豆乳由来のタンパク質とは違う異種タンパク質を使用することにより凝固する豆腐様食品を提供するものである。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。また、特に記載のない限り「部」とは、「重量部」を意味するものとする。文中*印のものは、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、文中※印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。
【0023】
実施例1:レトルト豆腐様食品(1)
下記処方のうち、水と豆乳を加えた中に、その他の原料を投入して、90℃達温まで加熱攪拌溶解後、容器に充填し、レトルト殺菌(121℃20分/100g)して、レトルト豆腐様食品(1)を調製した。
【0024】
【0025】
実施例2:レトルト豆腐様食品(2)
実施例2の処方のうち、水に豆乳を加えた中に、澱粉を添加して、80℃10分間加熱攪拌溶解し、60℃まで冷却後、乳清蛋白、食塩を添加して10分間攪拌して容器充填を行い、レトルト殺菌(121℃20分/100g)して、レトルト豆腐様食品(2)を調製した。
【0026】
実施例3:レトルトあんかけ豆腐
下記調味液処方のうち、水に、澱粉及び増粘剤を加え、80℃10分間加熱攪拌溶解した後、残りの原料を加え、攪拌溶解し、調味液を調製した。
【0027】
【0028】
下記あんかけ部処方の配合でアルミパウチ充填後レトルト殺菌(121℃20分/100g)を行いレトルトあんかけを調製した。このレトルトあんかけと実施例1で調製した豆腐様食品(1)100g容器詰め品をセットとして箱詰めし、常温流通可能な豆腐付きレトルトあんかけ製品を製造した。
【0029】
【0030】
実施例4:レトルト麻婆豆腐(豆腐入り)
下記調味液処方のうち、水に、澱粉及び増粘剤を加え、80℃10分間加熱攪拌溶解した後、残りの原料を加え、攪拌溶解し、調味液を調製した。
【0031】
【0032】
下記配合でアルミパウチ充填後、レトルト殺菌(121℃25分/210g)を行い、レトルト麻婆豆腐(豆腐入り)を調製した。
【0033】
【0034】
比較例として、豆腐様食品(2)の代わりに、市販の絹ごし豆腐、木綿豆腐及び充填豆腐を使用してレトルト麻婆豆腐を調製したが、いずれの比較例も豆腐中の水分が脱水してしまい、豆腐がしまったように固くなった。
【0035】
実施例5:ゴマ豆腐様食品
下記処方のうち、水に豆乳、砂糖、澱粉及び増粘剤を加え、80℃10分間加熱攪拌溶解し、60℃以下まで冷却後、練りゴマペースト、食塩及び乳清タンパク質を加え、攪拌後、カップに充填し、121℃20分間レトルト殺菌を行い、レトルトゴマ豆腐様食品を製造した。
【0036】
Claims (5)
- 豆乳、熱凝固性タンパク質及び澱粉を含むことを特徴とする常温流通可能な豆腐様食品。
- 熱凝固性タンパク質が乳清タンパク質である請求項1記載の常温流通可能な豆腐様食品。
- 熱凝固性タンパク質及び澱粉の豆腐様食品に対する添加量が、それぞれ0.5〜20重量%及び0.5〜10重量%である請求項1又は2に記載の常温流通可能な豆腐様食品。
- 熱凝固性タンパク質及び澱粉を、豆乳を含む水系に加えて加熱攪拌溶解する請求項1乃至3に記載の豆腐様食品の製造方法。
- 澱粉を、豆乳を含む水系に加えて加熱攪拌溶解した後、タンパク質凝固温度以下の温度で熱凝固性タンパク質を添加する請求項1乃至3に記載の豆腐様食品の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003098046A JP2004298152A (ja) | 2003-04-01 | 2003-04-01 | 豆腐様食品及びその製造方法 |
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JP2003098046A JP2004298152A (ja) | 2003-04-01 | 2003-04-01 | 豆腐様食品及びその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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ID=33409675
Family Applications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004298152A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006217802A (ja) * | 2005-01-11 | 2006-08-24 | Nippon Meat Packers Inc | コラーゲン入り豆腐 |
JP2018093787A (ja) * | 2016-12-13 | 2018-06-21 | 日本製粉株式会社 | 豆乳ゲル化食品およびその製造方法 |
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2003
- 2003-04-01 JP JP2003098046A patent/JP2004298152A/ja active Pending
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