JP2004295977A - 光ディスク用基板の製造方法 - Google Patents

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JP2004295977A
JP2004295977A JP2003085467A JP2003085467A JP2004295977A JP 2004295977 A JP2004295977 A JP 2004295977A JP 2003085467 A JP2003085467 A JP 2003085467A JP 2003085467 A JP2003085467 A JP 2003085467A JP 2004295977 A JP2004295977 A JP 2004295977A
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Haruhiko Takahashi
治彦 高橋
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Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

【課題】複屈折が制御されており、且つ転写率が高いく光ディスク基板を、低い樹脂ヤケ頻度をもって製造することができる新規な方法の提供。
【解決手段】射出圧縮方式による光ディスク用基板の連続的に製造方法において、樹脂がガラス転移温度が260℃以下の脂環構造含有樹脂であり、加熱シリンダ内での樹脂の温度が樹脂のガラス転移温度より50℃高い温度以上であって、且つ370℃以下であり、溶融した樹脂をキャビティ内に射出する時の、金型の初期開き幅が、0.1〜1mmで設定された任意の距離a±5%であり、そして溶融樹脂をキャビティ内に射出した後、キャビティ内の樹脂の温度が、前記加熱シリンダ内の樹脂温度より15%低い温度になるまでの間に、金型の開き幅を0.05mm以下にする、ことを特徴とする方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報記録媒体として好適な光ディスク用基板の製造方法に関し、さらに詳しくは、複屈折が制御されており、且つ転写率が高い光ディスク基板を、低い樹脂ヤケ頻度をもって製造することができる、高容量の光情報記録媒体用の光ディスク用基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
脂環式オレフィン重合体などの脂環構造含有樹脂は、低吸水性、透明性、耐熱性、低複屈折性に優れるため、コンピューターなどの情報記録媒体として使用される光磁気ディスク(MO)や、相変化型光ディスク(PD)、映像などの情報記録媒体として使用されるデジタルビデオディスク(DVD)等の基板材料として好適であることが従来から知られている。
ところで、厚みが0.6mm以下の薄型の光ディスク用基板は、射出成形により製造されるとき、射出による樹脂の流れ方向に樹脂が配向するため、より高度な複屈折率の制御が求められる。
【0003】
樹脂の温度を上げると、光ディスクに求められている複屈折率を実現することができるのは知られている。ところが、特に脂環構造含有樹脂は、加熱による酸化劣化を受けやすいため、樹脂の温度を高くし過ぎることは好ましくない。
特開2000−182283号では、樹脂を射出して金型のキャビティ内に充填する際、金型の初期開き幅を0.1〜0.5mmに設定し、充填後に加圧して金型を閉じることを提案している。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−182283号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者が検討した結果、脂環式オレフィン重合体を用いて大量に光ディスク用基板を製造する際、この開き幅が上記範囲内にあっても、複屈折率が安定せず、また、長時間の連続製造によって、基板に樹脂ヤケが生じることが判った。この原因が、初期開き幅が一定していない場合に複屈折率の変動が生じること、成形時の樹脂温度が高くなると基板に焼けの生じることにあると確認した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、これらの知見に基づき、連続して生産される光ディスク用基板の複屈折率と樹脂ヤケ頻度をバランス良く向上させることを目的として検討した結果、型開き幅の振れを少なくし、更に樹脂の温度を制御することで、複屈折率を小さくし、樹脂ヤケ頻度を低下させることができる上、転写率も向上することを見いだし、本発明を完成させた。
【0007】
従って本発明は、一対の金型間に形成されるキャビティ内に、加熱シリンダ内で溶融した樹脂を射出し、金型によりキャビティ内に射出された樹脂を圧縮して光ディスク用基板を製造する方法において、
(1) 樹脂が、ガラス転移温度が260℃以下の脂環構造含有樹脂であり、
(2) 加熱シリンダ内での樹脂の温度が樹脂のガラス転移温度より100℃高い温度以上であって、且つ370℃以下であり、
(3) 溶融した樹脂をキャビティ内に射出する時の、金型の初期開き幅が、0.1〜1mmで設定された任意の距離a±5%であり、そして
(4) 溶融した樹脂をキャビティ内に射出した後、キャビティ内の樹脂の温度が、前記加熱シリンダ内の樹脂温度より15%低い温度になるまでの間に、金型の開き幅を0.05mm以下になるように金型を閉じる、
ことを特徴とする光ディスク用基板の製造方法を提供する。
【0008】
上記の方法において、より好ましい条件は、(2)前記加熱シリンダ内での樹脂の温度が樹脂のガラス転移温度より110℃高い温度以上であって、且つ365℃以下であり、(3)前記溶融した樹脂をキャビティ内に射出する時の、金型の初期開き幅が、0.1〜0.8mmで設定された任意の距離a±3%であり、(4)前記溶融した樹脂をキャビティ内に射出した後、キャビティ内の樹脂の温度が、前記加熱シリンダ内の樹脂温度より10%低い温度になるまでの間に、金型の開き幅を0.03mm以下になるように金型を閉じる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の光ディスク用基板の製造方法においては、固定金型と可動金型から成る一対の金型により構成されるキャビティ内に溶融した樹脂(溶融樹脂)を射出して充填し、加圧し、冷却することにより基板を製造する。この際、固定金型及び/又は可動金型内部に、製造しようとする基板表面に必要なパターンを形成するためのスタンパが装着されている。また、固定金型と可動金型との間の最小間隔は製造しようとする基板の厚さにより定まり、この間隔を「最小キャビティ厚さ」と称する。本発明の方法においては、固定金型と可動金型との間隔を最小キャビティ厚さより大きくした状態で溶融樹脂を射出し、圧縮を行う。ここで、最小キャビティ厚さを基準とした、即ち最小キャビティ厚さをゼロとした、固定金型と可動金型との間の間隔を「金型の開き幅」と称し、樹脂の射出時における金型の開き幅を「金型の初期開き幅」と称する。
【0010】
本発明の方法においては、樹脂としてガラス転移温度が260℃以下の脂環構造含有樹脂を用い、この樹脂を加熱シリンダ内で加熱溶融し、キャビティ内に射出する。この際の溶融樹脂の温度は、使用する樹脂のガラス転移温度より100℃高い温度かそれより高い温度(即ち、ガラス転移温度より100℃高い温度以上の温度)であり、且つ370℃以下の温度である。加熱シリンダ内での溶融樹脂のより好ましい温度は、使用する樹脂のガラス転移温度より110℃高い温度かそれより高い温度(即ち、ガラス転移温度より110℃高い温度以上の温度)であり、且つ365℃以下の温度である。
【0011】
溶融樹脂の温度が、使用する樹脂のガラス転移温度より100℃高い温度に比べて低温である場合、キャビティ内での溶融樹脂の流動性のムラにより製造された基板の複屈折の制御が困難になる。他方、溶融樹脂の温度が370℃より高くなると、樹脂が酸化劣化を受けやすくなり、樹脂ヤケの頻度がたかくなる。
【0012】
本発明の方法においては、溶融樹脂をキャビティ内に射出する際の金型の初期開き幅は、0.1mm〜1mmの範囲で設定され、好ましくは0.1mm〜0.8mmに設定される。また、その変動幅は、設定値の±5%以内、好ましくは±3%以内、に制御される。金型の初期開き幅が0.1mm未満の場合には、複屈折を下げる効果が充分に得られず逆に、金型の初期開き幅が1.0mmより大きい場合には金型のすき間に溶融樹脂が入り込み、基板外周端部にバリが発生するため、いずれも、好ましくない。設定値の変動幅が±5%より大きくなれば、複屈折率の値の変動が大きく、一定品質の製品を生産することが困難となるため好ましくない。
【0013】
次に、可動金型を固定金型の方向に押し付けて、型閉じをすることにより、キャビティ内に射出・充填された溶融樹脂を加圧し、この間にキャビティ内の溶融樹脂の温度を低下せしめる。この際、キャビティ内の樹脂の温度が、加熱シリンダ内の樹脂の温度より15%低い温度、好ましくは10%低い温度になるまでの間に、金型の開き幅が0.05mm以下、好ましくは0.03mm以下になるように、可動金型への加圧の程度と樹脂の冷却速度とを調整する。ここで、例えば、加熱シリンダ内の樹脂の温度が360℃だと仮定すると、加熱シリンダ内の樹脂の温度より15%低い温度とは、306℃[360℃×(1−0.85)]となる。圧縮時期がこれより遅い場合(また冷却時期が速い場合)、スタンパーのパターンの基板への転写率の低下や二重転写が生じるため好ましくない。
【0014】
本発明の方法において使用される脂環構造含有樹脂は、主鎖及び/または側鎖に脂環式構造を有するものであり、機械強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有するものが好ましい。また脂環構造含有樹脂のガラス転移温度の上限は260℃、好ましくは250℃、より好ましくは230℃である。また、ガラス転移温度の下限は、通常50℃、好ましくは60℃、より好ましくは70℃である。ここで、ガラス転移温度はJIS−K7121に基いて測定した値である。
【0015】
脂環式構造としては、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造などが挙げられるが、機械強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素原子数は、機械強度、耐熱性、成形加工性の観点から、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲である。脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、全繰り返し単位中の通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位の割合がこの範囲にあることが透明性および耐熱性の観点から好ましい。
【0016】
こうした脂環構造含有樹脂の具体例としては、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体、環状共役ジエン系重合体及びその水素添加物などが好ましく、ノルボルネン系重合体が耐熱性、機械強度の点からより好ましい。
【0017】
(1)ノルボルネン系重合体
ノルボルネン系重合体は、例えば、特開平3−14882号公報や、特開平3−122137号公報などに開示されている公知の重合体であり、具体的には、ノルボルネン系モノマーの開環重合体及びその水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとビニル化合物の付加共重合体などが挙げられる。
【0018】
重合に用いるノルボルネン系モノマーの具体例としては、ビシクロ[2.2.1]へプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
【0019】
5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−エトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル−2−メチルプロピオネイト、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル−2−メチルオクタネイト、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、
【0020】
5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−i−プロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸イミド、5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
【0021】
トリシクロ[4.3.12,5.01,6]デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.12,5.01,6]デカ−3−エン、トリシクロ[4.4.12,5.01,6]ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ[4.4.12,5.01,6]ウンデカ−3,8−ジエン、トリシクロ[4.4.12,5.01,6]ウンデカ−3−エン、テトラシクロ[7.4.110,13.01,9.02,7]トリデカ−2,4,6−11−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.111,14.01,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−11−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンともいう)などのノルボルナン環を有しないノルボルネン系モノマー;
【0022】
テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8−メチル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン、8−メチル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン、8−エチル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン、8−メチリデン−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン、8−ビニル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン、
【0023】
8−ヒドロキシメチル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン、8−カルボキシ−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン、8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン、8−フェニル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン、ペンタシクロ[6.5.11,8.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−3,10−ジエン、ペンタシクロ[7.4.13,6.110,13.01,9.02,7]ペンタデカ−4,11−ジエンなどのノルボルナン環を有するノルボルネン系モノマーが、それぞれ挙げられる。
【0024】
上記のノルボルネン系モノマーは、それぞれ単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0025】
本発明においては、上記ノルボルネン系モノマー以外に、共重合可能なモノマーとして、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20個を有するα−オレフィン;
【0026】
シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などを用いることができる。これらの共重合可能なモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0027】
上記モノマーの開環重合体は、開環重合触媒として、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの金属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系、あるいは、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒系を用いて、溶媒中または無溶媒で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kg/cmの重合圧力で開環重合させることにより得ることができる。ノルボルネン系開環重合体の水素添加物は、常法に従って、開環(共)重合体を水素添加触媒の存在下に水素により水素化する方法により得ることができる。
【0028】
ノルボルネン系モノマーと上記共重合可能なモノマーとの付加共重合体は、例えば、モノマー成分を、溶媒中または無溶媒で、チタン、ジルコニウム、又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒系の存在下で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kg/cmの重合圧力で共重合させる方法により得ることができる。
【0029】
(2)単環の環状オレフィン系重合体
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、特開昭64−66216号公報に開示されているシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体の付加重合体を用いることができる。
【0030】
(3)環状共役ジエン系重合体
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、特開平6−136057号公報や特開平7−258318号公報に開示されているシクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−または1,4−付加重合した重合体及びその水素添加物などを用いることができる。
【0031】
(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体
ビニル脂環式炭化水素系重合体としては、例えば、特開昭51−59989号公報に開示されているビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びその水素添加物、特開昭63−43910号公報、特開昭64−1706号公報などに開示されているスチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環部分の水素添加物などを用いることができる。また、これらビニル脂環式炭化水素系重合体の立体配置については、アタクティック、アイソタクティック、シンジオタクティックの何れでもよく、例えば、ダイアッド表示によるシンジオタクティシティーで、0〜100%の何れのものも用いることができる。
【0032】
本発明で使用される脂環構造含有樹脂の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリイソプレン換算の重量平均分子量で、5,000〜500,000、好ましくは8,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲であるときに、機械強度と成形加工性とが高度にバランスし、好適である。
【0033】
上記脂環構造含有樹脂には、所望により、フェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤等の酸化防止剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などの紫外線吸収剤、耐光安定剤、帯電防止剤、脂肪族アルコールのエステル、多価アルコールの部分エステルおよび部分エーテル等の各種配合剤を配合してもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、他の樹脂、ゴム質重合体等を混合して用いることもできる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例にて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。又、以下において特に断りのない限り「部」及び「%」は質量基準である。尚、以下の製造例、実施例及び比較例における各種物性の測定法は次のとおりである。
【0035】
物性の測定
(1)数平均分子量(Mn)はシクロヘキサンを溶剤とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算値として測定した。
(2) 主鎖及び芳香環の水素添加率(核水素添加率)はH−NMRにより測定した。
(3) ガラス転移温度(Tg)はJIS−K7121に基づいて測定した。
(4)複屈折(Max値)は、Dr.Schenk社製「MT−146」を用いてシングルパスにて評価した。基板検体30枚のγ=23mmのMaxを測定し、平均値及びバラツキを求めた。
(5)転写率は、原子間力顕微鏡、AFM(デジタルインスツルメンツ社製、「NanoScopeIIIa」(商品名)にて測定したスタンパーピット部の高さ(Hs)と、基板のピット深さ(Hd)の値を次式にあてはめて算出した。転写率(%)=(Hd/Hs)×100により測定した。
(6)樹脂ヤケ頻度は、各条件において、500時間連続成型後に基板100枚を抜き取り、評価した。外観検査装置(BASLER社製)にて粒形5μm以上の黒点(樹脂酸化劣化物)が検出された枚数をカウントした。
(7)バリ長さは、基板外周端部に発生したバリの長さを、三次元形状測定桟にて測定した。
【0036】
実施例1.
樹脂の調製
8−メチル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン(別名:メチルテトラシクロドデカン;以下、MTDという)90%と5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(別名:(5−メチル−2−ノルボルネン)10%を含んでなるモノマーをメタセシス重合触媒を用いて重合して得られた開環重合体100部をシクロヘキサン400部に溶解し、水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学社製)5部を加え、水素により50kg/cm に加圧して、攪拌しながら温度200℃まで加温した後、4時間反応させ、開環重合体の水素添加物を得た。水素化後の反応溶液を、開環重合体の水素添加物含量20%となるようにシクロヘキサンにて希釈し、珪藻土(ラジオライト#500)を濾過床として、加圧濾過(フンダフイルター、石川島播磨重工社製)を使用し、圧力2.5kg/cm で加圧濾過して、無色透明な溶液を得た。
【0037】
上記溶液100部を、更に金属ファイバー製フィルター(口径3μm、ニチダイ社製)で濾過した後、ゼータープラスフィルター10H(口径0.5〜1μm、キュノ社製)にて濾過し、更に金属ファイバー製フィルター(口径0.2μm、ニチダイ社製)にて濾過して異物を除去し、得られた濾液に、シクロヘキサンに溶解した老化防止剤(チバガイギー社製「イルガノックス1010」)、及び軟質重合体(旭化成社製「タフテックH1052」)を、いずれも水素化ポリマー100部に対して0.2部となるようにそれぞれ添加した。その後、得られた溶液からシクロヘキサンを円筒形濃縮乾燥器(日立製作所社製)を用いて除去した。このときの円筒形濃縮乾燥機の運転条件は、第1ステップ:温度270℃、圧力100Torr、第2ステップ:温度270℃、圧力5Torrであった。
【0038】
クラス1000のクリーンルーム内で、溶融状態のポリマーをダイから押し出し、水冷した後、ペレタイザー(長田製作所製「OSP−2」)でカッティングし、ペレット18部を得た。ペレットは表面を研磨したステンレス製密閉容器に充填し、保管した。ペレット10重量%のトルエン溶液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、残留シクロヘキサン量は測定限界以下であった。得られた開環重合体の水素添加物は、無色透明で、数分子量は27000であった。ガラス転移温度は140℃であった。更に、重クロロホルム溶液として、H−NMRスペクトルにより測定した水素添加率はほぼ100%であった。
【0039】
ディスク基板の製造
上述のように作成したペレットを乾燥機中で100℃、4時間加熱処理を行い、乾燥機から取出して10分後、窒素置換した加熱シリンダーに充填し、樹脂温度を360℃にして溶融樹脂を用意し、射出成形機に射出し、冷却し、次いで金型を開いて(型開き)直径120mm、厚さ0.6mmのディスク単板を得た。ここで用いた射出成形機は、クリーン度クラスが1000であるクリーンルーム内に設置された射出成形機(住友重機械工業社製「SD40ER」)であり、SACD高記録密度層用のスタンパを装着した103℃に加熱された固定金型と105℃に加熱された可動金型とは、射出成形機内に、クリーン度クラス100の環境で保持されているものである。また、金型の圧縮力は最大で45kg/cm の能力を有しており、金型開き量制御にて金型の初期開き幅(初期型開量)を0.6mmに設定し、射出開始から0.07秒経過後に最大圧縮力にて金型を閉じ(型閉)て、金型の開き幅(型閉時クリアランス)を0.01mmにした。また、冷却時間(射出充填完了から型開き開始までの時間)を2.5秒とした。
【0040】
実施例2.
初期型開量を0.4mmに変更した以外は実施例1と同様に行った。
比較例1.
樹脂温度を380℃に変更した以外は実施例2と同様に行った。
比較例2.
金型開き量制御ではなく、圧縮圧力二段制御(一段目10kg/cm 、射出開始から0.07秒間、二段目45kg/cm にて冷却時間終了まで)で行った以外は比較例1と同様に行った。
比較例3.
樹脂温度を230℃に変更した以外は実施例1と同様に行った。
比較例4.
初期型開量を0.05mmに変更した以外は実施例1と同様に行った。
比較例5.
初期型開量を1.2mmに変更した以外は実施例1と同様に行った。
比較例6.
射出開始から1.0秒経過後に最大圧縮力にて型閉を実施した以外は実施例1と同様に行った。射出開始から1.0秒後のキャビティー内の樹脂の温度を接触式温度計にて測定したところ212℃であった。
【0041】
【表1】
Figure 2004295977
上記の表から明らかな通り、
(1) 樹脂としてガラス転移温度が260℃以下の脂環構造含有樹脂を使用する光ヂィスク基板の製造において、
(2) 加熱シリンダ内での樹脂の温度が樹脂のガラス転移温度より50℃高い温度以上であって、且つ370℃以下であり、
(3) 溶融した樹脂をキャビティ内に射出する時の、金型の初期開き幅が、0.1〜1mmで設定された任意の距離a±5%であり、そして
(4) 溶融樹脂をキャビティ内に射出した後、キャビティ内の樹脂の温度が、前記加熱シリンダ内の樹脂温度より15%低い温度になるまでの間に、金型の開き幅を0.05mm以下にする、
という条件が満たされる場合に、複屈折が制御されており、且つ転写率が高いく光ディスク基板を、低い樹脂ヤケ頻度をもって連続製造することができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、複屈折が制御されており、且つ転写率が高いく光ディスク基板を、低い樹脂ヤケ頻度をもって製造することができる新規な方法が提供される。

Claims (2)

  1. 一対の金型間に形成されるキャビティ内に、加熱シリンダ内で溶融した樹脂を射出し、金型によりキャビティ内に射出された樹脂を圧縮して光ディスク用基板を製造する方法において、
    (1) 樹脂が、ガラス転移温度が260℃以下の脂環構造含有樹脂であり、
    (2) 加熱シリンダ内での樹脂の温度が樹脂のガラス転移温度より100℃高い温度以上であって、且つ370℃以下であり、
    (3) 溶融した樹脂をキャビティ内に射出する時の、金型の初期開き幅が、0.1〜1mmで設定された任意の距離a±5%であり、そして
    (4) 溶融した樹脂をキャビティ内に射出した後、キャビティ内の樹脂の温度が、前記加熱シリンダ内の樹脂温度より15%低い温度になるまでの間に、金型の開き幅を0.05mm以下になるように金型を閉じる、
    ことを特徴とする光ディスク用基板の製造方法。
  2. (2)前記加熱シリンダ内での樹脂の温度が樹脂のガラス転移温度より110℃高い温度以上であって、且つ365℃以下であり、(3)前記溶融した樹脂をキャビティ内に射出する時の、金型の初期開き幅が、0.1〜0.8mmで設定された任意の距離a±3%であり、(4)前記溶融した樹脂をキャビティ内に射出した後、キャビティ内の樹脂の温度が、前記加熱シリンダ内の樹脂温度より10%低い温度になるまでの間に、金型の開き幅を0.03mm以下になるように金型を閉じることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007037085A1 (ja) * 2005-09-27 2007-04-05 Scivax Corporation 熱インプリント用樹脂
JP2014172390A (ja) * 2013-03-13 2014-09-22 Nippon Zeon Co Ltd 光学部材の成形方法
JP2015116789A (ja) * 2013-12-20 2015-06-25 日本ゼオン株式会社 プラスチック成形方法

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