JP2005153442A - 脂環式構造含有熱可塑性樹脂の成形方法及び成形品。 - Google Patents

脂環式構造含有熱可塑性樹脂の成形方法及び成形品。 Download PDF

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Abstract

【課題】 射出時の樹脂温度が超高温となる射出成形において、長期間安定して、ヤケや異物混入などの問題が発生しない、脂環式構造含有熱可塑性樹脂の成形方法及びその成形方法によって得られる成形品を提供すること。
【解決手段】 水との接触角が77〜87度の範囲にあり、且つ、脂環式構造含有熱可塑性樹脂10〜30mgを350℃、30分間溶融し、圧縮試験機によって剥離した時の剥離強度が127N以下の材質を有する射出成形機を用いた該脂環式構造含有熱可塑性樹脂の成形方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、脂環式構造含有熱可塑性樹脂の成形方法に関し、さらに詳しくは、高温で射出成形を行う脂環式構造含有熱可塑性樹脂の成形方法に関する。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂は、耐熱性、透明性、低吸湿性、低吸水性、耐薬品性、耐湿性、耐水性、透明性、低複屈折性の優れた樹脂として光学材料、医療材料、電気絶縁材料、自動車部品材料等として広く用いられている。中でも、他の透明な熱可塑性樹脂と比較して低複屈折性に優れており、光学材料として特に注目を浴びている。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂の成形方法としては、通常の射出成形方法が挙げられる。
しかし、通常の射出成形機を用いて得られる成形品は、長時間操業をした場合に、黄変色物などが混入したり、着色や表面の荒れ等が生じることがあり、成形方法に更なる改良が求められていた。
例えば、特許文献1には、表面粗さ(Ra)が0.2μm以下で、且つ剥離強度20kg/cm以下の表面を有するスクリュー及び/又はシリンダを備えた射出成形機を用いて、脂環式重合体を射出成形する光学部材の製法が開示されている。
特開2000−318006号公報
昨今、光ディスク等の光学製品の成形は、より高い精密性や生産性を求められており、これに答えるために、射出時の樹脂温度を従来に比べてより高温で成形する方法が試みられつつある。しかし、特許文献1記載の射出成形装置を用いると、270℃程度のシリンダー温度では、ある程度の効果がみられるものの、340℃以上のシリンダー温度では、ヤケ、異物混入などが発生し、生産の長期安定性が不十分であった。
従って、本発明の目的は、射出時の樹脂温度が超高温となる射出成形においても、長期間安定して、ヤケや異物混入などの問題が発生しない、脂環式構造含有熱可塑性樹脂の成形方法及びその成形方法によって得られる成形品を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成すべく、射出成形機のスクリューの材質及びその物性と該スクリューを用いた脂環式構造含有熱可塑性樹脂の成形性との関係について鋭意研究を行った。その結果、水との接触角が特定の範囲にあり、且つ、成形に用いる脂環式構造含有熱可塑性樹脂の剥離強度が特定の範囲にあるスクリューは、表面に傷がなく、平滑性に優れ、又、溶融状態の脂環式構造含有熱可塑性樹脂とスクリュー表面が適度に馴染むため溶融樹脂を押出す能力に優れているので、長期においても溶融樹脂の滞留やスクリューの傷等による、ヤケや異物混入が発生せず、品質良好な成形品を得られることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに到った。
かくして本発明によれば、水との接触角が77〜87度の範囲にあり、且つ、脂環式構造含有熱可塑性樹脂10〜30mgを350℃、30分間溶融し、圧縮試験機によって剥離した時の剥離強度が127N以下のスクリューを有する射出成形機を用いた該脂環式構造含有熱可塑性樹脂の成形方法、及び、表面に窒化チタンアルミがコーティングされたスクリューを備えた射出成形機を用いた脂環式構造含有熱可塑性樹脂の成形方法が提供され、シリンダー温度が340℃以上であることが好ましい。本発明によれば前記の成形方法によって成形された成形品が提供され、成形品が光学成形品であることが好ましく、該光学成形品が光ディスクであることがさらに好ましい。
本発明の成形方法によれば、溶融樹脂を超高温で射出する精密成形の長期の生産において、ヤケの発生や、異物の混入がないので、長期において安定してヤケや黒点の極めて少ない成形品を得ることができる。
本発明の脂環式構造含有熱可塑性樹脂の成形方法は、溶融状態の脂環式構造含有熱可塑性樹脂を押出す能力に優れ、かつ溶融樹脂が滞留せず、コーティングの剥離や傷の発生もないスクリューを有する射出成形機を用いる。
本発明で用いる脂環式構造含有熱可塑性樹脂とは、脂環式構造を有する繰り返し単位を重合体中に50重量%以上含有する重合体であって、ガラス転移温度(Tg)が、通常、50〜300℃、好ましくは60〜200℃、より好ましくは70〜170℃である樹脂をいう。ここで、Tgは、示差走査型熱量計にて昇温速度10℃/分で測定する。
本発明においては、脂環式構造含有熱可塑性樹脂に不飽和結合がある場合は、該樹脂を水素添加したものが好ましい。
環を構成する炭素原子数は、成形品の機械的強度、耐熱性、成形加工性の観点から、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲である。
また、脂環式構造含有熱可塑性樹脂の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)を用いるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレン換算の重量平均分子量が、通常、5,000〜500,000、好ましくは8,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲である。分子量が上記範囲であると、成形品の機械的強度と成形加工性がバランスするので好ましい。
このような脂環式構造含有熱可塑性樹脂の具体例としては、ノルボルネン系重合体、単環シクロアルケン重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、環状共役ジエン重合体、芳香族ビニル重合体核水添物などが挙げられる。また、脂環式構造としては、単環、多環(縮合多環、橋架け環、これらの組み合わせ多環など)が挙げられる。脂環式構造を構成する炭素原子数は、通常、4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲である。脂環式構造の炭素数が上記範囲であると、機械的強度、耐熱性および成形性の諸特性が高度にバランスされ、好適である。
ノルボルネン系重合体には、ノルボルネン系単量体の開環(共)重合体、ノルボルネン系単量体の付加(共)重合体および必要に応じてそれらの不飽和結合部分を水素添加して得られる重合体などが挙げられる。
単環シクロアルケン重合体は、単環シクロアルケン単量体または環状共役ジエン単量体を付加(共)重合して不飽和結合部分を水素添加することによって得ることができる。
ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニルシクロアルカンの重合体;ビニルシクロアルケンの重合体またはビニルシクロアルカンもしくはビニルシクロアルケンと共重合可能な他の単量体とを(共)重合し、必要に応じてそれらの不飽和結合部分を水素添加して得られる重合体などが挙げられる。
環状共役ジエン重合体は、環状共役ジエン単量体の付加(共)重合体である。
芳香族ビニル重合体核水添物は、芳香族ビニル単量体または芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体とを(共)重合し、芳香環およびオレフィン性不飽和結合部分を水素添加して得られる。
これらの中で、ノルボルネン系単量体の開環(共)重合体およびその水素添加物が好ましい。
なお、本発明において、ノルボルネン系単量体、単環シクロアルケン単量体、ビニル脂環式炭化水素および環状共役ジエン単量体を「脂環式構造含有単量体」と称することがある。
脂環式構造含有単量体の例としては、ノルボルネン系単量体としてビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)及びその誘導体、トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3−エン、トリシクロ〔4.4.0.12,5〕ウンデカ−3,7−ジエン、トリシクロ〔4.4.0.12,5〕ウンデカ−3,8−ジエン、トリシクロ〔4.4.0.12,5〕ウンデカ−3−エン、テトラシクロ〔7.4.0.110,13.02,7〕トリデカ−2,4,6,11−テトラエン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)及びその誘導体など;
単環シクロアルケンとしてシクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテンなど;ビニル脂環式炭化水素としてビニルシクロペンタン、2−メチル−4−ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロオクタンなどのビニルシクロアルカンや、ビニルシクロペンテン、2−メチル−4−ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセンなどのビニルシクロアルケン;環状共役ジエン単量体としてシクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなど;などを挙げることができる。
一方、芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
上記脂環式構造含有単量体及び芳香族ビニル単量体は、それぞれ1種単独で、または2種以上を組み合わせても用いることができる。
脂環式構造含有単量体または芳香族ビニル単量体と共重合可能なその他の単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテンなどの鎖状オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン等が挙げられる。これらの単量体は、それぞれ1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用できる。
上記脂環式構造含有熱可塑性樹脂は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシル基、エポキシ基、グリシジル基、オキシカルボニル基、カルボニル基、アミド基、エステル基、酸無水物基などの極性基を含有していてもよい。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂の重合方法および必要に応じて行われる水素添加の方法は、格別な制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。
前記ノルボルネン系単量体の、又はこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環(共)重合は、開環重合触媒として、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、白金などの金属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒、あるいは、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、助触媒の有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用い、通常、溶媒中で温度−50℃〜100℃、圧力0〜5MPaで行う。
ノルボルネン系単量体および単環シクロアルケン、または、これらと上記共重合可能な単量体との付加共重合は、例えば、単量体成分を、チタン、ジルコニウム、またはバナジウム化合物と助触媒の有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下で、通常、温度−50℃〜100℃、圧力0〜5MPaで行う。
芳香族ビニル単量体、ビニルシクロアルカンまたはビニルシクロアルケンの重合反応は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などの公知の方法、いずれでもよいが、カチオン重合では重合体の分子量が小さくなり、ラジカル重合では分子量分布が広くなって成形品の機械的強度が低下する傾向があるので、アニオン重合が好ましい。また、懸濁重合、溶液重合、塊状重合のいずれでもよい。これらの重合体の中では芳香族ビニル単量体単独重合体、芳香族ビニル単量体単位を50重量%以上含有するランダムおよびブロック共重合体の水素添加物が好ましい。スチレン単独重合体水素添加物は、アイソタクチック、シンジオタクチックおよびアタクチックのいずれでも良い。
芳香族ビニル単量体、ビニルシクロアルカンまたはビニルシクロアルケンのアニオン重合は、具体的には有機溶媒中で、重合触媒としてn−ブチルリチウム、1,4−ジリチオブタンなどの有機アルカリ金属を使用する。機械的強度や耐熱性の確保などの目的で、分子量分布の狭い重合体を得るためにジブチルエーテル、トリエチルアミンなどのルイス塩基を添加する。
上記有機溶媒は炭化水素系溶媒が好ましく、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類などが挙げられる。有機溶媒の使用量は、単量体濃度が、通常、1〜40重量%、好ましくは10〜30重量%になる量である。
アニオン重合反応は、通常、−70〜150℃、好ましくは−50〜120℃で、通常、0.01〜20時間、好ましくは0.1〜10時間の反応である。
環状共役ジエン単量体の重合は、例えば特開平6−136057号公報や特開平7−258318号公報に記載された公知の方法によって行うことができる。
上記脂環式構造含有熱可塑性樹脂の重合転化率は、通常、95重量%以上、好ましくは97重量%以上、より好ましくは99重量%以上である。重合転化率を高くすることにより放出有機物量のより少ない成形品が得られる。
上記脂環式構造含有熱可塑性樹脂は、重合反応後に環や主鎖および側鎖の炭素−炭素不飽和結合を水素添加すると、成形品の放出有機物量をより少なくすることができる。水素添加反応において、芳香族環を含むすべての炭素-炭素不飽和結合の内、水素添加された炭素-炭素不飽和結合の割合が、99.85%以上であると好ましく、99.3%以上であるとより好ましく、99.98%以上であると特に好ましい。
水素添加反応は、水素添加する重合体の種類により、反応温度、水素分圧、反応時間及び反応溶液濃度を適宜に最適な範囲に設定する。水素添加反応においては、通常、水素添加触媒を水素添加対象重合体100重量部あたり0.01〜50重量部用いて、反応温度25〜300℃、水素分圧0.5〜10MPaにて反応時間0.5〜20時間反応させる。
水素添加触媒としては、例えば、ニッケル、コバルトなどの金属化合物と有機アルミニウムや有機リチウムと組み合わせてなる均一系触媒が好ましい。必要に応じて活性炭、ケイソウ土、マグネシアなどの担体を用いる。水素添加触媒の使用量は、触媒成分が水素添加対象重合体100重量部当たり、通常、0.03〜50重量部となる量である。
水素添加された脂環式構造含有熱可塑性樹脂は、水素添加反応溶液を濾過して水素添加触媒を濾別した溶液から溶媒などの揮発成分を除去することにより回収される。濾過の迅速化のために、溶液中にケイソウ土、シリカ、合成ゼオライト、パーライトなどの濾過助剤を添加して(ボディフィード)も、あるいは予め濾過器に濾過助剤で濾過床を形成して(プリコート)から濾過を行ってもよい。
前記揮発成分を除去する方法としては、凝固法や直接乾燥法などが挙げられるが、直接乾燥法を用いることにより放出有機物量のより少ない成形品が得られる。
凝固法は、重合体溶液を重合体の貧溶媒と混合することにより、重合体を析出させる方法であり、貧溶媒としては、例えば、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などの極性溶媒を挙げることができる。凝固して固液分離した後、小塊状の重合体(クラム)を加熱乾燥して溶媒を除去する。
直接乾燥法は、重合体溶液を減圧下で加熱して溶媒を除去する方法である。この方法は、遠心薄膜連続蒸発乾燥機、掻面熱交換型連続反応器型乾燥機、高粘度リアクタ装置、円筒形濃縮乾燥器などの公知の装置を用いて行うことができる。真空度や温度はその装置によって適宜選択することができる。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂は凝固法や直接乾燥法により溶媒を除去した後、さらに減圧下で加熱して乾燥する。これにより、放出水分量及び放出有機物量のより少ない成形品を与える樹脂材料が得られる。乾燥の際の圧力は、通常、10kPa以下、好ましくは3kPa以下で、加熱温度は、通常、260℃以上、好ましくは280℃以上である。
本発明において、脂環式構造含有熱可塑性樹脂はペレットとして用いる。本発明においてペレットとは、成形用樹脂材料であって、熱可塑性樹脂単独を、または、熱可塑性樹脂に必要に応じて配合剤を配合した混合物を、溶融、混練した後、平均代表長さ、通常、0.5〜20mm、好ましくは1〜10mmの大きさの粒にしたものである。ここで代表長さとは投影した場合に最大となる部位の長さを言う。例えば、押出機で押し出されたストランドを、ペレタイザを用いて得られる平均径2mm、平均長さ3mmの円柱状のペレットにおける平均代表長さは、2の平方と3の平方との和の平方根で3.6mmである。また、先端に扁平球用ペレタイザを設置した二軸スクリュー混練機で押し出して得られる、平均径10mm、中央部平均最大厚み5mmの扁平球状のペレットにおける平均代表長さは11.2mmである。
上記必要に応じて配合される配合剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、帯電防止剤、安定剤、近赤外線吸収剤、染料や顔料などの着色剤、他の熱可塑性樹脂、ゴム質重合体、滑剤、可塑剤、アンチブロッキング剤、蛍光増白剤、防臭剤、有機または無機充填剤、架橋剤、加硫剤などが挙げられる。
酸化防止剤は、脂環式構造含有熱可塑性樹脂の透明性、低吸水性等を低下させることなく成形時の酸化劣化等による成形品の着色や機械的強度低下を防止できるので、配合剤として特に重要である。
本発明に用いられる射出成形機は、水との接触角が77〜87度の範囲にあり、且つ、脂環式構造含有熱可塑性樹脂10〜30mgを350℃、30分間溶融し、圧縮試験機によって剥離した時の剥離強度が127N以下のスクリューを有する。
本発明において、剥離強度は、先ずスクリューと同じ加工工程を経て作成された表面を持つテストピースに、脂環式重合体のペレットを載せ、それを350℃のギヤオーブン中に30分間放置した後、室温まで冷却し、次に、万能引張圧縮試験機(TCM500:新興通信工業(株)製)を用い、圧縮用ロードセル4903N、圧縮速度1mm/分の条件で、テストピースの表面に対して25度の角度から厚さ0.5mmのステンレス鋼板からなる圧子を押し当ててペレットを剥がす試験を行うことで測定して得られる値である。
また、本発明において、水との接触角は、23℃の環境下において、イオン交換水3μlをテストピースに滴下し、30秒後の接触角を接触角計(CA−X150、協和界面科学(株)製)を使用し測定した値である。
水との接触角及び剥離強度がこの範囲にあると、射出時の樹脂温度が超高温となる該脂環式構造含有熱可塑性樹脂の射出成形において、長期間安定して、ヤケや異物混入などの問題が発生しない。
本発明に用いられるスクリューは、例えば、スクリュー母材をコーティングすることにより得られる。コーティング材としては、特に限定されないが、窒化チタンアルミが好ましい。コーティング方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法(物理蒸着法);CVD(化学蒸着法)等が挙げられ、中でもイオンプレーディング法を用いることが好ましい。イオンプレーディング法は、真空槽内で、膜の原料となる物質を、加熱やイオンの衝突などの物理的手段によって蒸発させ、同時にイオン化して、これを導入ガス(窒素ガス等)と反応させることによって負極にした処理品表面に膜として堆積させる。イオンプレーディング法を用いると、水との接触角が77〜87度の範囲にあり、且つ、脂環式構造含有熱可塑性樹脂10〜30mgを350℃、30分間溶融し、圧縮試験機によって剥離した時の剥離強度が127N以下のコーティング表面を有するスクリューを得ることができる。
コーティング膜の膜厚は特に限定されないが、膜厚が1〜10μmの範囲にあると好ましく、2〜4μmの範囲にあるとより好ましい。膜厚がこの範囲にあると、コーティング膜の強度、平滑性の点で好ましい。
射出成形の条件は、特に限定されないが、シリンダー温度を、通常、340〜400℃、好ましくは350〜380℃程度にして、金型温度を、通常、70〜150℃、好ましくは80〜110℃程度の温度に設定し、ノズル温度を、通常、260〜300℃程度にして射出成形するのが好ましい。射出圧力は、通常2.9×10〜1.9×10N/m、好ましくは6.9×10〜1.2×10N/mである。射出速度は、通常0.5〜50cm/秒であり、射出時間として通常0.05〜5秒で射出する。保圧は、通常4.9×10〜2.0×10N/m、好ましくは9.8×10〜4.9×10N/mであり、その保圧で通常、0.05〜50秒維持する。スクリューの回転数は、通常、10〜500rpm、好ましくは100〜300rpmである。
射出成形に用いる金型は、特に限定されないが、射出成形時に発生するガスを抜くために、ガス抜き溝を金型に備えておくことが好ましい。本発明においては、fθレンズなどを形成する場合には、ガス抜き用の孔を設けることが好ましい。ガスを抜くことによって、射出成形物の表面平滑性が高くなり、無色透明性も高くなる。
本発明の成形方法により得られた、脂環式構造含有熱可塑性樹脂からなる成形品は、黒点や異物がほとんど存在しないので、光学特性、電気特性、表面特性などに優れる。
このような特性から、本発明の成型方法は、光ディスク;スーパーオーディオディスク;光ファイバー、カメラ用レンズ、オーバーヘッドプロジェクター用レンズ、LBP用Fθレンズ、プリズム、液晶表示素子(LCD)、光拡散板、導光板、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、集光フィルムなどの光学製品;液体薬品容器、アンプル、輸液用バッグ、点眼薬容器、半導体用ウエハ格納容器などの各種清浄容器;注射器、医療用輸液チューブなどの医療器材の成形方法として好適であり、特に、光ディスク、スーパーオーディオディスクの成形方法として好適である。
以下、本発明について、参考例、実施例および比較例を挙げて、より具体的に説明する。ただし本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。以下において、部または%は、特に断りがない限り重量基準である。
以下の実施例および比較例における各種物性の測定法は次の通りである。
(1)水素添加率
水素添加反応の前後に、脂環式構造含有熱可塑性樹脂を1H−NMRで測定し、水素添加反応の前の脂環式構造含有熱可塑性樹脂中の芳香族環を含むすべての炭素-炭素不飽和結合に対する水素添加された炭素-炭素不飽和結合の割合(%)を算出した。
(2)ガラス転移温度(Tg)
脂環式構造含有熱可塑性樹脂のTg(℃)は,JIS K7121に基づいて示差走査型熱量計を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定した。
(3)脂環式構造含有熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)
シクロヘキサンを溶剤としてガスクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリイソプレン換算の値で重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求めた。
(4)剥離強度
スクリューと同じ加工工程を経て作成されたテストピースに樹脂ペレットを載せ、350℃のギヤオーブン中に30分間放置した後、室温まで冷却する。次いで、万能引張圧縮試験機(TCM500:新興通信工業(株)製)を用い、圧縮用ロードセル4903N、圧縮速度1mm/分の条件で、テストピースの表面に対して25度の角度から厚さ0.5mmのステンレス鋼板からなる圧子を押し当てて溶融樹脂が剥離した時の荷重(N)を測定した。
(5)接触角
接触角計(協和界面科学(株)製 CA−X150)を使用し、23℃の環境下において、イオン交換水3μlをテストピースに滴下し、30秒後の接触角を測定した。
(6)黒点およびヤケ異物(不均質スポット発生割合)
毎1時間経過した時点で、ディスク100枚を抜き取り、外観検査装置(S3 Blank scanner、BASLER社製)にて、粒径1μm以上の黒点が見られた基板数をカウントし、その割合を求めた。黒点が1%を越えた時点で終了とした。
参考例1(脂環式構造含有熱可塑性樹脂の製造)
6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン(以下、MTDと記す。)90%と5−メチル−2−ノルボルネン(以下、MNBと記す。)10%を含んでなる単量体を、開環重合触媒を用いて重合して得られた開環共重合体100部をシクロヘキサン400部に溶解し、水素添加触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学社製)5部を加え、水素により5MPaに加圧して、攪拌しながら温度200℃まで加温した後、4時間反応させ、MTD−MNB開環共重合体水素添加物を得た。水素添加後の反応溶液を、MTD−MNB開環共重合体水素添加物含量20%となるようにシクロヘキサンにて希釈し、珪藻土(ラジオライト#500)を濾過床として、加圧濾過(フンダフイルター、石川島播磨重工社製)を使用し、圧力0.25MPaで加圧濾過して、無色透明のMTD−MNB開環共重合体水素添加物溶液Iを得た。
100部のMTD−MNB開環共重合体水素添加物溶液Iを、更に金属ファイバー製フィルター(口径3μm、ニチダイ社製)で濾過した後、ゼータープラスフィルター10H(口径0.5〜1μm、キュノ社製)にて濾過し、更に金属ファイバー製フィルター(口径0.2μm、ニチダイ社製)にて濾過して異物を除去し、得られた濾液に、それぞれシクロヘキサンに溶解した酸化防止剤(イルガノックス1010、チバスペシャリティケミカルズ社製)、およびゴム質重合体(タフテックH1052、旭化成社製)を、いずれもMTD−MNB開環共重合体水素添加物100部に対して0.2部となるように、溶液にて添加した。その後、シクロヘキサンを円筒形濃縮乾燥器(日立製作所社製)を用いて、運転条件を第1ステップ(温度270℃、圧力13.3kPa)、第2ステップ(温度270℃、圧力667Pa)として除去した。得られた樹脂組成物をクラス1000のクリーンルーム内で、押出機にかけて溶融状態でダイから押し出し、水冷した後、ペレタイザ(OSP−2、長田製作所製)に通して3mm径のストランドとし、ストランドカッタで長さ3mmづつに切断してMTD−MNB開環共重合体水素添加物ペレット18部を得た。ペレットは表面を研磨したステンレス製密閉容器に保管した。ペレット10重量%のトルエン溶液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、残留シクロヘキサン量は測定限界以下であった。MTD−MNB開環共重合体水素添加物は無色透明で、Mw42000、Mn18000、Tg140℃、水素添加率はほぼ100%であった。
[実施例1]
水との接触角が80.5度、剥離強度が101Nである表面を与える窒化チタンアルミをコーティングしたスクリューを備えた射出成形機を用いて、スーパーオーディオCDのディスク単板を成型した。スーパーオーディオCD高記録密度層用のスタンパーを装着した射出成形機(SD40ER、住友重機械工業社製)を、クリーン度がクラス1000であるクリーンルーム内に設置し、ダイ部分がクリーン度クラス100の環境に保持された状態で、前記樹脂材料をこの射出成形機に仕込み、樹脂温度(バレル設定最高温度)375℃にて、金型温度は固定側103℃、可動側105℃として、凹凸形状により信号を記録した層を有する直径120mm、厚さ0.6mmのディスク単板(基盤)を成型した。なお、金型の圧縮力は最大で4.5MPaの能力を有しており、金型開き量制御にて初期型開き量を0.6mmに設定し、射出開始から0.07秒経過後に最大圧縮力にて型閉めを実施した。冷却時間(射出充填完了から型開き開始までの時間)を2.5秒とした。ペレットは成形直前まで、乾燥機中で100℃、4時間加熱処理を行い、乾燥機取出し後30分以内に成形を行い、成形機ホッパ下部には不活性ガスである窒素を5リットル/分程度の供給速度で供給して窒素置換を行った。黒点が1%を越えた時点で終了としたところ、ディスク単板の成型は、1500時間まで連続成形が可能であった。評価結果を表1に示した。
[比較例1]
水との接触角が76.1度、剥離強度が119Nである表面を与える窒化チタンをコーティングしたスクリューを備えた射出成形機を用いた他は、実施例1と同じ方法によりディスク単板を成形した。評価結果を表1に示した。ディスク単板の成形は、ヤケ異物混入により、500時間の連続成形で停止した。
[比較例2]
水との接触角が60.2度、剥離強度が121Nである表面を有する炭化タングステンをコーティングしたスクリューを備えた射出成形機を用いて、上記の方法によりディスク単板を成形した。評価結果を表1に示した。ディスク単板の成形は、ヤケ異物混入により、300時間の連続成形で停止した。
[比較例3]
水との接触角が73.9度、剥離強度が128Nである表面を有する炭窒化チタンをコーティングしたスクリューを備えた射出成形機を用いて、上記の方法によりディスク単板を成型した。評価結果を表1に示した。ディスク単板の成形は、ヤケ異物混入により、400時間の連続成形で停止した。
Figure 2005153442
表1から以下のことがわかる。水との接触角が77〜87度の範囲にあり、且つ、脂環式構造含有熱可塑性樹脂10〜30mgを350℃、30分間溶融し、圧縮試験機によって剥離した時の剥離強度が127N以下のスクリューを有する射出成形機を用いた該脂環式構造含有熱可塑性樹脂の成形方法は、成形時の樹脂ヤケや異物混入などを低減でき、長期間、安定的に成形することができる(実施例1)。それに対して、水との接触角が77〜87度の範囲にないスクリューを備えた射出成形機を用いた該脂環式構造含有熱可塑性樹脂の成形方法では、成形時の樹脂ヤケや異物混入が発生し、長期間、安定的に成形することができなかった(比較例1、2、3)。
本発明の該脂環式構造含有熱可塑性樹脂の成形方法は、高温での成形に適しているので、光ディスクなどの光学成形品の成形方法として好適に用いることが出来る。

Claims (6)

  1. 水との接触角が77〜87度の範囲にあり、且つ、脂環式構造含有熱可塑性樹脂10〜30mgを350℃、30分間溶融し、圧縮試験機によって剥離した時の剥離強度が127N以下の範囲にあるスクリューを有する射出成形機を用いた該脂環式構造含有熱可塑性樹脂の成形方法。
  2. 表面に窒化チタンアルミがコーティングされたスクリューを備えた射出成形機を用いた脂環式構造含有熱可塑性樹脂の成形方法。
  3. シリンダー温度が340℃以上である請求項1又は2記載の成形方法。
  4. 請求項1、2又は3記載の成形方法によって成形された成形品。
  5. 成形品が光学成形品である請求項4記載の成形品。
  6. 光学成形品が光ディスクである請求項5記載の成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007083462A (ja) * 2005-09-21 2007-04-05 Nippon Zeon Co Ltd 射出成形用金型および樹脂成形品の製造方法

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