JP2007083462A - 射出成形用金型および樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 射出成形における成形サイクルタイムの短縮と、糸引き現象の抑制に好適な金型とこれを用いた射出成形方法の提供。
【解決手段】 射出成形用ノズルから金型内に溶融樹脂を注入するスプルに、熱伝導率が35W/m・K以上の、好ましくは射出成形用ノズルに接する部位の有効直径が1〜10mmであるスプルブッシュを備えた射出成形用金型、および加熱シリンダ部、射出成形用ノズルを備えた射出成形機を用い、樹脂材料を加熱シリンダ部により溶融樹脂とし、前記溶融樹脂をこの射出成形用金型を用いて射出成形する樹脂成形品の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は射出成形用金型および樹脂成形品の製造方法に関し、詳しくは糸引き現象の起こらない、射出成形のサイクルタイムを短くできる射出成形用金型およびこの金型を用いた樹脂成形品の製造方法に関する。
射出成形用金型は、射出成形機のノズルから溶融樹脂を注入するスプルを備え、スプルおよびランナを介してキャビティに溶融樹脂を導入して成形品を製造する構造をしている。金型のスプル部は高温高圧の樹脂が比較的高速で流通する部分で摩耗が激しいので、スプルブッシュと呼ばれる部品を取り付け交換可能としている場合が多い。射出成形において、成形サイクルタイムを短縮して生産性を向上させるには、脱型タイミングを早めることが必要になるが、スプル入口部の樹脂が固化する前に脱型すると糸引きを生ずる(図5参照)ため、脱型にはスプル入口部の樹脂が固化するまで待たざるを得ない。特に、成形製品が小型であったり、薄型製品である場合は、スプル部の冷却硬化がネックとなってサイクルタイムの短縮が図れなかった。この点を改善してスプル入口部の樹脂の硬化を促進して、脱型タイミングを早められるようにするスプルブッシュやノズルの検討がなされてきた。たとえば、特許文献1および2ではスプルブッシュの樹脂導入口に仕切り板を設けて冷却を早め、スプルとノズルの糸引きを抑えている。また、特許文献3には射出成形機のノズル先端部に良熱伝導性の口金を取り付けて、ノズル側の樹脂を冷却して糸引きを抑える方法が開示されている。
特開2001−246649号公報 特開2003−154552号公報 特開2002−347075号公報
上述のように、成形サイクルタイムの短縮は常に射出成形の課題となる。なかでも、成形品が小形または薄形でスプルの冷却硬化時間がサイクルタイムの律速になっている場合は、スプルの冷却硬化時間の短縮が大きな課題である。また、ノズル付近のスプルの冷却不足により糸引き現象が起き、製品に糸の一部が付着し不良品が発生することを防ぐことも重要である。上記文献のように、スプルブッシュの樹脂導入口に仕切り板を設けたり、シリンダの内径を小さくした構成にすると、射出圧が上がり易くなってしまい、薄肉成形品の成形には適さない場合が多い。
従って、本発明は、薄肉成形品の成形に適し、さらに射出成形における成形サイクルタイムの短縮と、糸引き現象の抑制に好適な金型とこれを用いた射出成形方法の提供を目的としている。
本発明者らは、スプルの熱伝導率に着目した。従来技術ではスプルの材質として、ステンレス系材料が用いられており、この材質の熱伝導率が小さいことがわかった。
上記課題を解決するために以下の手段を示す。
(1)射出成形用ノズルから金型内に溶融樹脂を注入するスプルに、熱伝導率が35W/m・K以上の材質からなるスプルブッシュを備えた射出成形用金型。
(2)スプルブッシュの射出成形用ノズルに接する部位の有効直径が1〜10mmであるスプルブッシュを備えた(1)に記載の射出成形用金型。
(3)加熱シリンダ部、射出成形用ノズルを備えた射出成形機を用い、樹脂材料を加熱シリンダ部により溶融樹脂とし、前記溶融樹脂を、(1)または(2)に記載の射出成形用金型を用いて射出成形する樹脂成形品の製造方法。
(4)前記射出成形用ノズルの温度が、前記溶融樹脂の温度より10〜100℃低い(3)に記載の樹脂成形品の製造方法。
(5)樹脂材料が、脂環式構造を有する樹脂である(3)または(4)に記載の樹脂成形品の製造方法。
本発明の射出成形用金型は、成形時にスプルの冷却硬化速度が早く、特にノズル付近のスプルの冷却硬化が十分起こるので糸引き現象が起き難く、射出成形のサイクルタイムを短縮でき、生産性を上げることができるとともに、糸の製品や金型等への付着による不良品の発生や成形トラブルも抑えることができる。
本発明の射出成形用金型は、射出成形用ノズルから金型内に溶融樹脂を注入するスプルに熱伝導率35W/m・K以上の材料からなるスプルブッシュを備えている。通常の射出成形機は、図1または図4に示すように成形品の素材となる樹脂を溶融混練するスクリュー付きの加熱シリンダ部10と、溶融混練された樹脂をその先端から射出するノズル4とを備えた射出成形機本体に、成形品を形成する金型が取り付けられた構造をしている。金型は固定型(固定側型板)2と可動型(可動側型板)3とがセットになっており、その接合部に形成された空間にノズル4から溶融樹脂が射出されて成形品が作られる。樹脂をノズルから射出するときは、溶融樹脂は固定型2に形成されたスプル7と呼ばれる樹脂流通口を通り、さらにランナ8を介して複数の製品形成用の空間であるキャビティ9に導入される。導入された溶融樹脂はキャビティ9に所定量充填されると、溶融樹脂より低温に制御されている金型により冷却され硬化する。そして、金型内の樹脂が硬化したら、可動型3が固定型2から分離され(図4の状態)、成形製品がピンで押出されてキャビティ9から取り出される。その際、ランナ8とスプル7に流入した樹脂も複数の成形製品と一体となって取り出される。なお、このランナ8およびスプル7で硬化した樹脂もランナおよびスプルと呼ばれている。スプル7は上述のように金型への溶融樹脂の導入路であり、溶融樹脂が高温高圧の状態で比較的高速で流通する部分である。そのため、流路が摩耗や変形し易く強度や耐摩耗性が必要である。そこで、固定型のスプル部のみを別途製造してこれをボルト等により固定型2に取り付け、摩耗したらこの部分のみを取り替え可能としている。このスプル部のみの部品をスプルブッシュ1と呼んでいる。これまで、スプルブッシュ1は耐久性や溶融樹脂の流通性を考慮して材質や形状が選択されてきた。
本発明におけるスプルブッシュは、耐久性や溶融樹脂の流通性に加えて熱伝導性を良好にすることが重要である。本発明では、熱伝導率35W/m・K以上、好ましくは60W/m・K以上、さらに好ましくは100W/m・K以上の材料からなるスプルブッシュを用いる。具体的なスプルブッシュ用の材料としては、ベリリウム銅などの銅合金、銅、ニッケル、ニッケル合金、アルミニウム、アルミニウム合金、強靭鋳鉄、亜鉛合金、モリブデン合金、マグネシウム合金が挙げられる。成形樹脂、サイクルタイムなどの射出成形条件、要求する耐久性、スプルの形状等との兼ね合いで最適な素材を選択すればよい。
スプルブッシュ1の形状は、溶融樹脂の導入口であるので、通常略円筒形をしている。スプルブッシュ1の射出成形用ノズルに接する部分6には固定型2との接続用に鍔が付いており、この鍔部を固定型にボルト等で固定している(ボルトは図示していない)。図6にスプルブッシュ1の例を示すが、円筒内部の空間であるスプルは射出成形用ノズルに接する部分から内部のランナ部に向かって若干拡がっている。拡がりの程度は、長さに対する直径の比で1/100〜1/10程度が好ましい。これは、金型から成形品をスプルごと脱型し易くする工夫である。本発明に用いるスプルブッシュも上述のような形状でよいが、射出成形用ノズルに接する部分の有効直径を好ましくは1〜10mm、より好ましくは2〜6mmとすることが望ましい。スプルブッシュの射出成形用ノズルに接する部分の有効直径が大きすぎると、スプルが太くなり樹脂の冷却速度が遅くなる。逆に、スプルブッシュの射出成形用ノズルに接する部分の有効直径が小さすぎると、溶融樹脂の流れが悪くなり、ノズルからの射出圧力を大きくしなければならなかったり、スプルブッシュの摩耗が激しくなったりする。なお、スプルブッシュの射出成形用ノズルに接する部分が円形でない場合は、厳密には直径ではないので、同一面積の円とみなしてその直径を有効直径と呼んでいる。
一方、スプルブッシュの射出成形用ノズルに接する部分の有効直径はノズル先端部の射出口直径より0.1〜2mm大きくすることが好ましい。通常、図2に示すようにノズル先端部5とスプルブッシュの射出成形用ノズルに接する部分6とは、溶融樹脂が外部へ漏れないように互いに密着しているが、ノズル4とスプルブッシュ1との熱伝導を抑えるために密着部の面積を小さくしている。そこで、上述のようにスプルブッシュの射出成形用ノズルに接する部分6の流通断面積をノズル先端の流通断面積より大きくしてノズル側から射出された高圧の溶融樹脂が、スプル側に流通し易くし、外部に漏れ難くすることが望ましい。また、通常、金型の温度を一定に保持する目的で、金型内部に温度調節用液体を通す流路を設ける。その流路を温調配管という。本発明において、スプルブッシュと温調配管との距離は50mm以下とすることが好ましい。
本発明の金型に備えられたスプルブッシュの、軸に直交するスプル断面形状は、断面外周部に凹凸を有しても良い。スプルブッシュのスプルの断面形状は通常円形である。しかし、スプル内に導入された溶融樹脂を早急に冷却硬化させたい場合はスプルブッシュと樹脂との接触面積を大きくすることが好ましい。そのために、スプルの断面形状を、例えば図3に示すような外周部に波形を持つ円(A)、歯車形を持つ円(B)や変形歯車形または波形を持つ円(C)などとすることが好ましい。スプル断面形状は脱型の容易さを考慮してあまり複雑でないほうがよいが、円形である必要はない。楕円形や多角形でもよいし、該略円形や楕円形で外周に細かい半円形、波形、三角形などの比較的細かい凹凸形状があってもよい。本発明では、これらを称して断面の外周部に凹凸形状があるとしている。なお、上記スプルの断面形状は、樹脂入口部から樹脂の流れに沿って少しづつ大きくなる相似形であることが望ましい。
上述した本発明の金型を備えた射出成形機により樹脂材料を定法に従って射出成形すれば、容易に射出成形品が製造できる。この金型を用いるとスプル部分の冷却硬化が早く、スプルとノズル先端部における樹脂の糸引きがほとんど起こらない。特に、キャビティの容量が小さい場合や、成形品の最大肉厚が5mm以下の場合には、成形における樹脂の冷却硬化時間はスプルの冷却硬化時間に依存することが多いので、スプルの冷却機能に優れる本発明の金型は好適である。さらに、射出成形機の射出成形用ノズルの温度を溶融樹脂の温度より10〜100℃低くしてやると、成形樹脂を金型内で冷却硬化させているときに、ノズル内の樹脂も適当に冷却され粘度が上昇して、ノズル先端の樹脂が糸引きしにくくなる。低下させるノズルの温度は、樹脂の種類や成形機の性能により異なるが、溶融樹脂の温度が200〜400℃程度の樹脂であれば、溶融樹脂の温度よりも10〜100℃低くすることが好ましく、溶融樹脂の温度よりも30〜60℃低くすることがより好ましい。本発明において、溶融樹脂の温度はシリンダ設定温度の最も高い温度を指し、用いる樹脂のガラス転移温度をTg(℃)とすると、Tg+100℃以上、Tg+300℃以下が好ましい。また、金型の温度は、30℃以上、Tg以下が好ましい。
本発明に用いる樹脂材料としては、熱可塑性樹脂であれば特に制限されないが、特に透明性の高い樹脂の場合が効果的である。具体的な樹脂としては、ノルボルネン系樹脂などの脂環式構造を有する樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンや水素化ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン等の鎖状オレフィン系重合体、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、エポキシ系樹脂等が挙げられる。
中でも、脂環式構造を有する樹脂が好ましい。脂環式構造を有する樹脂は、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性等の観点から小型で精密な光学製品の材料とする場合が多く、サイクルタイムの短縮や糸引きによる生産性低下の防止が重要な課題であり、本発明の方法をこの樹脂に適用することが好ましい。
脂環式構造を有する樹脂は、主鎖及び/又は側鎖に脂環式構造を有する樹脂である。機械的強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有する樹脂が特に好ましい。
脂環式構造としては、飽和環状炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和環状炭化水素(シクロアルケン、シクロアルキン)構造などを挙げることができる。機械的強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が最も好ましい。脂環式構造を構成する炭素原子数は、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械的強度、耐熱性や、成形品の成形性の特性が高度にバランスされ、好適である。
脂環式構造を有する樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位の割合が過度に少ないと、耐熱性が低下し好ましくない。なお、脂環式構造を有する樹脂中における脂環式構造を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位は、使用目的に応じて適宜選択される。
脂環式構造を有する樹脂の具体例としては、
(1)ノルボルネン系単量体の開環重合体及びノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体、並びにこれらの水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加重合体及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加共重合体などのノルボルネン系重合体、
(2)単環の環状オレフィン系重合体及びその水素添加物、
(3)環状共役ジエン系重合体及びその水素添加物、
(4)ビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びビニル脂環式炭化水素系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との共重合体、並びにこれらの水素添加物、ビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環の水素添加物及びビニル芳香族単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との共重合体の芳香環の水素添加物などのビニル脂環式炭化水素系重合体、などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系重合体及びビニル脂環式炭化水素系重合体が好ましく、ノルボルネン系単量体の開環重合体水素添加物、ノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体水素添加物、ビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環の水素添加物及びビニル芳香族単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との共重合体の芳香環の水素添加物がさらに好ましい。
本発明に用いる樹脂材料は、上記樹脂の他に各種添加剤が配合されたものであってもよい。添加剤としては、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、帯電防止剤等が挙げられる。配合量は、成形品の用途に応じて適宜調整すればよい。
実施例により本発明の金型および成形製品の製造方法について、更に具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
(成形用樹脂の製造)
ステンレス製オートクレーブに窒素雰囲気下で、脱水シクロヘキサンを300部(重量部、以下同じ)、ジブチルエーテルを0.1部、15%n−ブチルリチウム含有ヘキサン溶液を0.47部挿入した。これを撹拌しながら60℃に加温した。加温後、スチレン93%、イソプレン7%の混合モノマー100部を3時間かけて添加し重合反応をした。混合モノマー添加後30分間60℃に保ったまま撹拌を続け、重合を進めた。重合完了後、イソプロピルアルコールを0.1部添加して重合を停止させた。次いで、得られた共重合体のシクロヘキサン溶液400部に安定化ニッケル水素化触媒(日揮化学工業株式会社製、60%ニッケル担持シリカーアルミナ担体)を6部加え、オートクレーブ内を水素雰囲気とした。オートクレーブ内を撹拌しながらさらに水素を導入し、温度160℃、内圧4.5MPaとした。水素を供給して温度、圧力を保ちながら6時間水素化した。水素化反応終了後、触媒をろ過して除去し、シクロヘキサン600部を加え、2000部のイソプロピルアルコール中に注ぐと、水素化ポリスチレン共重合体が析出した。これをろ過し、減圧乾燥して脂環構造を有する樹脂を得た。
(成形試験(実施例1、2、比較例1))
上述の樹脂を用いて、下記の成形機等で成形試験を行った。
射出成形機:東芝株式会社製450tタイプ
金型:12インチ楔形導光板(250×188×(2.0〜6.0)mm)成形用金型
スプルブッシュ:図6に示すようにノズル側直径が可動型側直径より小さい円錐台形のスプルを設けた円筒のノズル側外周に備えた鍔で金型に固定している。材質はそれぞれ
実施例1は、ベリリウム銅合金製(熱伝導率140W/m・k)
実施例2は、ニッケル製(熱伝導率80W/m・k)
比較例1は、SUS420J製(熱伝導率30W/m・k)である。
成形樹脂温度は260℃、金型温度は80℃、ノズル温度および成形背圧は表1、表2、表3に示す条件で射出成形を行い、糸引きの状態を観察した。その結果を表1、表2、表3に示す。
なお、実施例1,2はサイクルタイム40秒であり、比較例1は60秒であった。
Figure 2007083462
Figure 2007083462
Figure 2007083462
表1〜3から判るように、従来の材質のスプルブッシュを使用した金型による成形(比較例1)では、すべての条件で糸引きが起こった。それに較べ、本発明のスプルブッシュを備えた金型による成形では、サイクルタイムを2/3と短縮しても、ノズル温度を下げることにより糸引き現象が起こらないことがわかる。さらに、熱伝導率がさらに高い材質からなるスプルブッシュを用いた実施例1のほうが実施例2に比べて、糸引き現象が起き難く、成形条件選択の幅が広がる。このように成形製品の大きさ(厚さ)に比べ、スプルが太く冷却の律速となっているような射出成形用金型では、本発明で使用しているスプルブッシュはサイクルタイムおよび糸引き現象の改善に大きな効果が認められる。
本発明は、小型射出成形製品や薄型射出成形製品、特に、導光板、拡散板、薄型レンズなどの光学部品のように光特性や寸法精度に厳しい樹脂成形製品の大量、迅速な製造に好適な金型および成形方法として利用できる。
図1は、射出成形中の本発明のスプルブッシュを備えた金型とノズルである。 図2は、本発明のスプルブッシュとノズルの接触部の拡大図である。 図3は、スプルの軸に直交する断面の形状の例である。 図4は、射出成形中の本発明のスプルブッシュを備えた金型とノズルである。 図5は、射出成形中の従来のスプルブッシュを備えた金型とノズルである。 図6は、スプルブッシュの寸法図である。
符号の説明
1:スプルブッシュ
2:固定型
3:可動型
4:ノズル
5:ノズル先端部
6:スプルブッシュの射出成形用ノズルに接する部位
7:スプル
8:ランナ
9:キャビティ(または成形品)
10:加熱シリンダ部
11:糸引き

Claims (5)

  1. 射出成形用ノズルから金型内に溶融樹脂を注入するスプルに、熱伝導率が35W/m・K以上の材質からなるスプルブッシュを備えた射出成形用金型。
  2. スプルブッシュの射出成形用ノズルに接する部位の有効直径が1〜10mmである請求項1に記載の射出成形用金型。
  3. 加熱シリンダー部、射出成形用ノズルを備えた射出成形機を用い、樹脂材料を加熱シリンダー部により溶融樹脂とし、前記溶融樹脂を請求項1または2に記載の射出成形用金型を用いて射出成形する樹脂成形品の製造方法。
  4. 前記射出成形用ノズルの温度が、前記溶融樹脂の温度より10〜100℃低い請求項3に記載の樹脂成形品の製造方法。
  5. 樹脂材料が、脂環式構造を有する樹脂である請求項3または4に記載の樹脂成形品の製造方法。
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