JP2004294783A - 光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光半導体素子を気密に収容するとともに長期にわたり正常かつ安定に作動させ、また光信号を効率よく伝送させ得る光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置とする。
【解決手段】本発明の光半導体素子収納用パッケージは、載置部1aを有する基体1と、基体1の上側主面の外周部に載置部1aを囲繞するように接合され、側部に貫通孔2aを有する枠体2と、一端部が貫通穴2aの枠体2の外面側の端部に端面を貫通穴2aの内部に位置させて嵌着され、非球面レンズ5が内側に取着された金属から成る筒状の保持部材5aと、内周面が保持部材5aの枠体2の外側の外周面に接合されるとともに枠体2側の端面が枠体2の外面に接合され、この端面と反対側の端部に光ファイバ固定部材7を介して光ファイバ6が接合される筒状の支持部材10と、貫通孔2aの載置部1a側の端部に接合された透光性部材4とを具備している。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の光半導体素子収納用パッケージは、載置部1aを有する基体1と、基体1の上側主面の外周部に載置部1aを囲繞するように接合され、側部に貫通孔2aを有する枠体2と、一端部が貫通穴2aの枠体2の外面側の端部に端面を貫通穴2aの内部に位置させて嵌着され、非球面レンズ5が内側に取着された金属から成る筒状の保持部材5aと、内周面が保持部材5aの枠体2の外側の外周面に接合されるとともに枠体2側の端面が枠体2の外面に接合され、この端面と反対側の端部に光ファイバ固定部材7を介して光ファイバ6が接合される筒状の支持部材10と、貫通孔2aの載置部1a側の端部に接合された透光性部材4とを具備している。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野等に用いられ、光半導体素子を収納するための光半導体素子収納用パッケージに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光通信分野等で用いられ高い周波数で作動する半導体レーザ(LD),フォトダイオード(PD)等の光半導体素子を気密封止して収容するための光半導体素子収納用パッケージ(以下、単にパッケージともいう)の例を図2に示す。図2において、21は基体、22は枠体、24は透光性部材、26は光ファイバ、28は光半導体素子である。
【0003】
基体21は、鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金,銅(Cu)−タングステン(W)合金等の金属やアルミナ(Al2O3)質焼結体,窒化アルミニウム(AlN)質焼結体,ムライト(3Al2O3・2SiO2)質焼結体等のセラミックスから成り、その上側主面の中央部には、LD,PD等の光半導体素子28が載置される載置部21aが形成されている。載置部21aには、光半導体素子28が、回路基板やサブキャリア等の載置用基台29を介して載置される。
【0004】
基体21の上側主面の外周部には、載置部21aを囲繞するようにして接合され、一側部に光信号の入出力部となる貫通孔22aを有する、Fe−Ni−Co合金等の金属やAl2O3質焼結体,AlN質焼結体,3Al2O3・2SiO2質焼結体等のセラミックスから成る枠体22が接合され立設されている。
【0005】
また、枠体22の貫通孔22aには、非球面レンズ25を内包する保持部材25aが、保持部材25aの材質の熱膨張係数と同等の熱膨張係数を有する材質よりなる緩衝部材30を介して接合される。枠体22の内側の貫通孔22aの開口の周囲には透光性部材24が接合され気密封止される。この透光性部材24はガラスやサファイア等から成る円板状等の部材であり、その両主面は光学研磨され、光信号を効率よく透過させることができる。
【0006】
このパッケージは、載置部21aに光半導体素子28が、回路基板やサブキャリア等の載置用基台29を介して載置された後、枠体22の上面に、Fe−Ni−Co合金等の金属から成る蓋体23がろう付け法やシームウエルド法等の溶接法で取着されることによって、基体21、枠体22、蓋体23、透光性部材24、非球面レンズ25、保持部材25aおよび緩衝部材30から成る容器が形成され、この容器内部で光半導体素子28を収容し気密に封止することができる。そして、光ファイバ26固定用の枠状や筒状の金属製の光ファイバ固定部材(以下、単に固定部材ともいう)27が、保持部材25aの枠体22外側の一端に溶接され、しかる後、光ファイバ26が固定部材27に外部から挿通固定されて枠体22の一側部に固定されることによって、製品としての光半導体装置となる(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0007】
この光半導体装置は、外部電気回路から供給される電気信号によって光半導体素子28に光を励起させ、この光を透光性部材24、非球面レンズ25、光ファイバ26の順に透過させ、光ファイバ26を介して外部に伝送することによって、高速光通信等に使用される。または、外部から光ファイバ26を伝送されてくる光信号を、非球面レンズ25、透光性部材24の順に透過させ、光半導体素子28に受光させて光信号を電気信号に変換することによって、高速光通信等に使用される。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−159656号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のパッケージにおいて、保持部材25aの枠体22外側の一端に固定部材27を溶接するときに発生する熱応力が非球面レンズ25に加わり、非球面レンズ25と保持部材25aとの融着部にクラックが発生するという問題点があった。この結果、非球面レンズ25の透光性が低下し光信号を効率よく伝送させることができなくなるとともに、光半導体素子28と光ファイバ26との光軸がずれて光結合効率が低下するという問題点を有していた。
【0010】
従って、本発明は上記問題点に鑑み完成されたものであり、その目的は、非球面レンズと保持部材との融着部にクラックが発生するのを防止して、光半導体素子収納用パッケージの内部に収容する光半導体素子を気密に収容し、光半導体素子を長期にわたり正常かつ安定に作動させ、また光信号を効率よく伝送させ得る光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上側主面に光半導体素子を載置するための載置部を有する基体と、該基体の前記上側主面の外周部に前記載置部を囲繞するように接合され、側部に貫通孔を有する枠体と、一端部が前記貫通穴の前記枠体の外面側の端部に端面を前記貫通穴の内部に位置させて嵌着され、非球面レンズが内側に取着された金属から成る筒状の保持部材と、内周面が前記保持部材の前記枠体の外側の外周面に接合されるとともに前記枠体側の端面が前記枠体の外面に接合され、前記端面と反対側の端部に光ファイバ固定部材を介して光ファイバが接合される筒状の支持部材と、前記貫通孔の前記載置部側の端部に接合された透光性部材とを具備していることを特徴とする。
【0012】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上側主面に光半導体素子を載置するための載置部を有する基体と、この基体の上側主面の外周部に載置部を囲繞するように接合され、側部に貫通孔を有する枠体と、一端部が貫通穴の枠体の外面側の端部に端面を貫通穴の内部に位置させて嵌着され、非球面レンズが内側に取着された金属から成る筒状の保持部材と、内周面が保持部材の枠体の外側の外周面に接合されるとともに枠体側の端面が枠体の外面に接合され、この端面と反対側の端部に光ファイバ固定部材を介して光ファイバが接合される筒状の支持部材と、貫通孔の載置部側の端部に接合された透光性部材とを具備していることから、光半導体素子収納用パッケージに光ファイバ固定部材を接合する際、光ファイバ固定部材を保持部材に直接接合させるのではなく、支持部材に接合させるので保持部材に熱が急速に伝わって保持部材が歪むのを有効に抑制することができる。
【0013】
また、支持部材の端面が枠体の外面に接合されているので支持部材に伝わった熱を枠体に有効に分散することができ、保持部材に熱が伝わるのをより有効に抑制できる。
【0014】
さらに、保持部材の外周面の中央部で枠体と支持部材とが接合されているため、強度が比較的弱い枠体と支持部材との接合部に熱応力が発生したとしても、保持部材がこれらの接合部を補強することができ、支持部材の位置精度を良好に維持して支持部材に固定された光ファイバと光半導体素子との光結合効率を高いものとすることができる。
【0015】
また、保持部材の一端部が枠体の貫通孔に嵌着されていることにより、非球面レンズの位置精度が向上し、非球面レンズの集光性を良好に維持するとともに、光半導体素子と光ファイバとの光結合効率を良好に維持することができ、光信号を効率よく伝送させ得る光半導体素子収納用パッケージとすることができる。
【0016】
本発明の光半導体素子収納用パッケージにおいて、好ましくは、前記貫通孔は前記枠体の外面側の開口部に全周にわたって段差が形成されており、該段差に前記保持部材の一端部が嵌着されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、貫通孔の枠体の外面側の開口部に全周にわたって段差が形成されており、この段差に保持部材の一端部が嵌着されていることから、保持部材をより精度よく枠体に取り付けて非球面レンズの位置精度を著しく向上させることができ、光ファイバと光半導体素子との光結合効率をより向上させることができる。
【0018】
また、貫通孔の内周面と保持部材の内周面とを面一にすることができ、光半導体素子から発せられた後に透光性部材を透過して貫通孔に入射してきた光を、保持部材によって遮ることなくすべて非球面レンズに入射させることができ、光の損失を有効に抑制することができる。
【0019】
本発明の光半導体装置は、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージと、前記載置部に載置された光半導体素子と、前記枠体の上面に取着された蓋体と、前記支持部材の前記端部に前記光ファイバ固定部材を介して接合された光ファイバとを具備していることを特徴とする。
【0020】
本発明の光半導体装置は、上記の構成により、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージを用いた気密信頼性が高いとともに光伝送効率に優れたものとなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の光半導体素子収納用パッケージについて以下に詳細に説明する。図1は本発明のパッケージについて実施の形態の一例を示す断面図であり、1は基体、2は枠体、4は透光性部材、5は非球面レンズ、5aは保持部材、6は光ファイバ、7は光ファイバ固定部材、8は光半導体素子、10は支持部材である。
【0022】
本発明のパッケージは、上側主面に光半導体素子8を載置するための載置部1aを有する基体1と、この基体1の上側主面の外周部に載置部1aを囲繞するように接合され、側部に貫通孔2aを有する枠体2と、一端部が貫通穴2aの枠体2の外面側の端部に端面を貫通穴2aの内部に位置させて嵌着され、非球面レンズ5が内側に取着された金属から成る筒状の保持部材5aと、内周面が保持部材5aの枠体2の外側の外周面に接合されるとともに枠体2側の端面が枠体2の外面に接合され、この端面と反対側の端部に固定部材7を介して光ファイバ6が接合される筒状の支持部材10と、貫通孔2aの載置部1a側の端部に接合された透光性部材4とを具備している。
【0023】
本発明の基体1は、Fe−Ni−Co合金やCu−W合金等の金属、またはAl2O3質焼結体,AlN質焼結体,3Al2O3・2SiO2質焼結体等のセラミックスから成る平面視形状が四角形状等の平板状である。金属から成る場合、そのインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって所定形状に製作される。また、基体1が例えばAl2O3質焼結体から成る場合以下のようにして作製される。Al2O3,酸化珪素(SiO2),酸化カルシウム(CaO),酸化マグネシウム(MgO)等の原料粉末に適当な有機バインダや可塑剤,分散剤,溶剤等を添加混合して泥漿状となす。これを従来周知のドクターブレード法でシート状となすことによって複数枚のセラミックグリーンシートを得る。しかる後、これらのセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施し、還元雰囲気中で約1600℃の温度で焼成することによって製作される。
【0024】
基体1の上側主面には、LD,PD等の光半導体素子8が載置される載置部1aが形成されており、載置部1aには光半導体素子8が回路基板やサブキャリア等の載置用基台9を介して載置されている。
【0025】
また、基体1の上側主面の外周部には、一側部に光信号の入出力部となる貫通孔2aを有する枠体2が載置部1aを囲繞するようにして接合立設されている。この枠体2は、基体1とともにその内側(内部空間)に光半導体素子8を収容する空所を形成する。枠体2は平面視形状が四角形状等の枠状体であり、基体1と同様にFe−Ni−Co合金やCu−W合金等の金属、またはAl2O3質焼結体,AlN質焼結体,3Al2O3・2SiO2質焼結体等のセラミックスから成り、基体1と一体成形される、または基体1に銀(Ag)ろう等のろう材でろう付けされる、またはシーム溶接法等の溶接法により接合されることによって、基体1の上側主面の外周部に接合される。
【0026】
枠体2の側部には貫通孔2aが形成されており、この貫通穴2aの枠体2の外面側の端部に非球面レンズ5が内側に取着された保持部材5aの一端部が端面を貫通穴2aの内部に位置させて嵌め込まれ、金(Au)−錫(Sn)半田、鉛(Pb)−Sn半田等の低融点のろう材やガラス等の接着剤によって固定されている。
【0027】
また、枠体2の外側にはみ出した保持部材5aの外周部には、枠体2側の端面が枠体2の外面に接合されるように筒状の支持部材10がその内周面で接合されている。そして、この支持部材10の枠体2の外面に接合される端面と反対側の端部には固定部材7を介して光ファイバ6が接合される。
【0028】
このような支持部材10は、Fe−Ni−Co合金等の金属から成る筒状のものであり、金属のインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって所定形状に製作される。
【0029】
支持部材10の厚みBは、図1に示すように保持部材5aの厚みAよりも薄くなっているのがよい。この構成により、支持部材10の枠体2外側の端部に固定部材7を溶接するときに発生する熱応力が、支持部材10の固定部材7側が適度に変形することによって低減される。そのため、熱応力が非球面レンズ5と保持部材5aとの融着部へ伝わるのを有効に抑制し、この融着部にクラックが発生するのを効果的に抑制できる。また、支持部材10よりも厚い保持部材5aにより非球面レンズ5の位置精度を良好に維持することができる。これらの結果、非球面レンズ5の透光性を良好に維持するとともに、光半導体素子8と光ファイバ6との光結合効率を良好に維持することができ、光信号を効率よく伝送させ得るパッケージとすることができる。
【0030】
支持部材10の厚みBは0.25〜0.5mmであるのが好ましい。0.25mm未満では、支持部材10の剛性が低下して歪み等が加わった場合に極度に変形し易くなる。その結果、支持部材10の枠体2の外側の端部に固定部材7を溶接するときに発生する熱応力によって支持部材10が容易に変形し、この変形によって非球面レンズ5と保持部材5aとの融着部にクラックが発生したり光軸がずれ易くなり、その結果、光損失が増大し易くなる。また、0.5mmを超えると、支持部材10の剛性が高くなって適度な変形が困難になる。その結果、支持部材10の枠体2外側の端部に固定部材7を溶接するときに発生する熱応力が低減されず、非球面レンズ5と保持部材5aとの融着部にクラックが発生し易くなる。
【0031】
また保持部材5aは貫通孔2aの枠体2外面側の一部でのみ固定されているため、保持部材5aが枠体2と接合される部分の面積を最小限に抑えることができ、保持部材5aに接合時の枠体2との間に発生する熱膨張差による熱応力が加わるのを抑え、その結果、非球面レンズ5にクラック等の破損が生ずるのを防止できる。
【0032】
さらに好ましくは、図1に示すように、貫通孔2aは枠体2の外面側の開口部に全周にわたって段差が形成されており、この段差に保持部材5aの一端部が嵌着されているのがよい。これにより、保持部材5aをより精度よく枠体2に取り付けて非球面レンズ5の位置精度を著しく向上させることができ、光ファイバ6と光半導体素子8との光結合効率をより向上させることができる。また、貫通孔2aの内周面と保持部材5aの内周面とを面一にすることができ、光半導体素子8から発せられた後に透光性部材4を透過して貫通孔2aに入射してきた光を、保持部材5aによって遮ることなくすべて非球面レンズ5に入射させることができ、光の損失を有効に抑制することができる。
【0033】
枠体2の貫通孔2aの載置部1a側の端部には、透光性部材4がろう付けされている。透光性部材4は、ガラスやサファイア等から成る円板状等の板状のものであり、一主面の外周部に全周にわたって金属層が形成されており、この金属層をAgろう,Au−Sn半田,Pb−Sn半田等によりろう付けすることによって、支持部材10に気密に接合される。
【0034】
このような金属層は、従来周知のモリブデン(Mo)−マンガン(Mn)等のメタライズ層の表面にNi層やAu層をめっき法等により被着されたもの、または、蒸着法等により形成されたチタン(Ti)層やクロム(Cr)層を下地として白金(Pt)層やAu層がめっき法等により順次被着されたものである。さらに、透光性部材4の主面の光信号透過部は光学研磨が施され、透過する光信号の波長に合わせて材料、厚みが適宜選択された多層の誘電体層から成る反射防止層が施されていることが好ましい。
【0035】
本発明のパッケージは、Fe−Ni−Co合金等の金属から成る枠状や円筒状の固定部材7に固定された光ファイバ6が、固定部材7の一端を支持部材10の枠体2外側の端部にレーザ溶接法等の溶接によって接合されることにより、光ファイバ6が固定部材7を介して枠体2の一側部に設けられる。これにより、光ファイバ6を介してパッケージ内部に収容する光半導体素子8と外部との光信号の授受が可能となる。
【0036】
そして、光半導体素子8を透光性部材4に光学的に結合するようにして載置部1aに載置するとともに光半導体素子8の電極を外部電気回路基板に電気的に接続し、しかる後、枠体2の上面にFe−Ni−Co合金等の金属やセラミックス等から成る蓋体3を半田付け法やシームウエルド法により取着することにより、製品としての光半導体装置となる。この光半導体装置は、外部電気回路から供給される電気信号によって光半導体素子8に光を励起させ、この光を透光性部材4、非球面レンズ5、光ファイバ6の順に透過させ、光ファイバ6を介して外部に伝送することによって、高速光通信等に使用される。または、外部から光ファイバ6を伝送されてくる光信号を、非球面レンズ5、透光性部材4を透過させ、光半導体素子8に受光させて光信号を電気信号に変換することによって、高速光通信等に使用される。
【0037】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を施すことは何等差し支えない。
【0038】
【発明の効果】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上側主面に光半導体素子を載置するための載置部を有する基体と、この基体の上側主面の外周部に載置部を囲繞するように接合され、側部に貫通孔を有する枠体と、一端部が貫通穴の枠体の外面側の端部に端面を貫通穴の内部に位置させて嵌着され、非球面レンズが内側に取着された金属から成る筒状の保持部材と、内周面が保持部材の枠体の外側の外周面に接合されるとともに枠体側の端面が枠体の外面に接合され、この端面と反対側の端部に光ファイバ固定部材を介して光ファイバが接合される筒状の支持部材と、貫通孔の載置部側の端部に接合された透光性部材とを具備していることから、光半導体素子収納用パッケージに光ファイバ固定部材を接合する際、光ファイバ固定部材を保持部材に直接接合させるのではなく、支持部材に接合させるので保持部材に熱が急速に伝わって保持部材が歪むのを有効に抑制することができる。
【0039】
また、支持部材の端面が枠体の外面に接合されているので支持部材に伝わった熱を枠体に有効に分散することができ、保持部材に熱が伝わるのをより有効に抑制できる。
【0040】
さらに、保持部材の外周面の中央部で枠体と支持部材とが接合されているため、強度が比較的弱い枠体と支持部材との接合部に熱応力が発生したとしても、保持部材がこれらの接合部を補強することができ、支持部材の位置精度を良好に維持して支持部材に固定された光ファイバと光半導体素子との光結合効率を高いものとすることができる。
【0041】
また、保持部材の一端部が枠体の貫通孔に嵌着されていることにより、非球面レンズの位置精度が向上し、非球面レンズの集光性を良好に維持するとともに、光半導体素子と光ファイバとの光結合効率を良好に維持することができ、光信号を効率よく伝送させ得る光半導体素子収納用パッケージとすることができる。
【0042】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、貫通孔の枠体の外面側の開口部に全周にわたって段差が形成されており、この段差に保持部材の一端部が嵌着されていることから、保持部材をより精度よく枠体に取り付けて非球面レンズの位置精度を著しく向上させることができ、光ファイバと光半導体素子との光結合効率をより向上させることができる。
【0043】
また、貫通孔の内周面と保持部材の内周面とを面一にすることができ、光半導体素子から発せられた後に透光性部材を透過して貫通孔に入射してきた光を、保持部材によって遮ることなくすべて非球面レンズに入射させることができ、光の損失を有効に抑制することができる。
【0044】
本発明の光半導体装置は、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージと、載置部に載置された光半導体素子と、枠体の上面に取着された蓋体と、支持部材の枠体の外側の端部に光ファイバ固定部材を介して接合された光ファイバとを具備していることにより、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージを用いた気密信頼性が高いとともに光伝送効率に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光半導体素子収納用パッケージについて実施の形態の例を示す断面図である。
【図2】従来の光半導体素子収納用パッケージの例を示す断面図である。
【符号の説明】
1:基体
1a:載置部
2:枠体
2a:貫通孔
3:蓋体
4:透光性部材
5:非球面レンズ
5a:保持部材
6:光ファイバ
7:光ファイバ固定部材
8:光半導体素子
10:支持部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野等に用いられ、光半導体素子を収納するための光半導体素子収納用パッケージに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光通信分野等で用いられ高い周波数で作動する半導体レーザ(LD),フォトダイオード(PD)等の光半導体素子を気密封止して収容するための光半導体素子収納用パッケージ(以下、単にパッケージともいう)の例を図2に示す。図2において、21は基体、22は枠体、24は透光性部材、26は光ファイバ、28は光半導体素子である。
【0003】
基体21は、鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金,銅(Cu)−タングステン(W)合金等の金属やアルミナ(Al2O3)質焼結体,窒化アルミニウム(AlN)質焼結体,ムライト(3Al2O3・2SiO2)質焼結体等のセラミックスから成り、その上側主面の中央部には、LD,PD等の光半導体素子28が載置される載置部21aが形成されている。載置部21aには、光半導体素子28が、回路基板やサブキャリア等の載置用基台29を介して載置される。
【0004】
基体21の上側主面の外周部には、載置部21aを囲繞するようにして接合され、一側部に光信号の入出力部となる貫通孔22aを有する、Fe−Ni−Co合金等の金属やAl2O3質焼結体,AlN質焼結体,3Al2O3・2SiO2質焼結体等のセラミックスから成る枠体22が接合され立設されている。
【0005】
また、枠体22の貫通孔22aには、非球面レンズ25を内包する保持部材25aが、保持部材25aの材質の熱膨張係数と同等の熱膨張係数を有する材質よりなる緩衝部材30を介して接合される。枠体22の内側の貫通孔22aの開口の周囲には透光性部材24が接合され気密封止される。この透光性部材24はガラスやサファイア等から成る円板状等の部材であり、その両主面は光学研磨され、光信号を効率よく透過させることができる。
【0006】
このパッケージは、載置部21aに光半導体素子28が、回路基板やサブキャリア等の載置用基台29を介して載置された後、枠体22の上面に、Fe−Ni−Co合金等の金属から成る蓋体23がろう付け法やシームウエルド法等の溶接法で取着されることによって、基体21、枠体22、蓋体23、透光性部材24、非球面レンズ25、保持部材25aおよび緩衝部材30から成る容器が形成され、この容器内部で光半導体素子28を収容し気密に封止することができる。そして、光ファイバ26固定用の枠状や筒状の金属製の光ファイバ固定部材(以下、単に固定部材ともいう)27が、保持部材25aの枠体22外側の一端に溶接され、しかる後、光ファイバ26が固定部材27に外部から挿通固定されて枠体22の一側部に固定されることによって、製品としての光半導体装置となる(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0007】
この光半導体装置は、外部電気回路から供給される電気信号によって光半導体素子28に光を励起させ、この光を透光性部材24、非球面レンズ25、光ファイバ26の順に透過させ、光ファイバ26を介して外部に伝送することによって、高速光通信等に使用される。または、外部から光ファイバ26を伝送されてくる光信号を、非球面レンズ25、透光性部材24の順に透過させ、光半導体素子28に受光させて光信号を電気信号に変換することによって、高速光通信等に使用される。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−159656号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のパッケージにおいて、保持部材25aの枠体22外側の一端に固定部材27を溶接するときに発生する熱応力が非球面レンズ25に加わり、非球面レンズ25と保持部材25aとの融着部にクラックが発生するという問題点があった。この結果、非球面レンズ25の透光性が低下し光信号を効率よく伝送させることができなくなるとともに、光半導体素子28と光ファイバ26との光軸がずれて光結合効率が低下するという問題点を有していた。
【0010】
従って、本発明は上記問題点に鑑み完成されたものであり、その目的は、非球面レンズと保持部材との融着部にクラックが発生するのを防止して、光半導体素子収納用パッケージの内部に収容する光半導体素子を気密に収容し、光半導体素子を長期にわたり正常かつ安定に作動させ、また光信号を効率よく伝送させ得る光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上側主面に光半導体素子を載置するための載置部を有する基体と、該基体の前記上側主面の外周部に前記載置部を囲繞するように接合され、側部に貫通孔を有する枠体と、一端部が前記貫通穴の前記枠体の外面側の端部に端面を前記貫通穴の内部に位置させて嵌着され、非球面レンズが内側に取着された金属から成る筒状の保持部材と、内周面が前記保持部材の前記枠体の外側の外周面に接合されるとともに前記枠体側の端面が前記枠体の外面に接合され、前記端面と反対側の端部に光ファイバ固定部材を介して光ファイバが接合される筒状の支持部材と、前記貫通孔の前記載置部側の端部に接合された透光性部材とを具備していることを特徴とする。
【0012】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上側主面に光半導体素子を載置するための載置部を有する基体と、この基体の上側主面の外周部に載置部を囲繞するように接合され、側部に貫通孔を有する枠体と、一端部が貫通穴の枠体の外面側の端部に端面を貫通穴の内部に位置させて嵌着され、非球面レンズが内側に取着された金属から成る筒状の保持部材と、内周面が保持部材の枠体の外側の外周面に接合されるとともに枠体側の端面が枠体の外面に接合され、この端面と反対側の端部に光ファイバ固定部材を介して光ファイバが接合される筒状の支持部材と、貫通孔の載置部側の端部に接合された透光性部材とを具備していることから、光半導体素子収納用パッケージに光ファイバ固定部材を接合する際、光ファイバ固定部材を保持部材に直接接合させるのではなく、支持部材に接合させるので保持部材に熱が急速に伝わって保持部材が歪むのを有効に抑制することができる。
【0013】
また、支持部材の端面が枠体の外面に接合されているので支持部材に伝わった熱を枠体に有効に分散することができ、保持部材に熱が伝わるのをより有効に抑制できる。
【0014】
さらに、保持部材の外周面の中央部で枠体と支持部材とが接合されているため、強度が比較的弱い枠体と支持部材との接合部に熱応力が発生したとしても、保持部材がこれらの接合部を補強することができ、支持部材の位置精度を良好に維持して支持部材に固定された光ファイバと光半導体素子との光結合効率を高いものとすることができる。
【0015】
また、保持部材の一端部が枠体の貫通孔に嵌着されていることにより、非球面レンズの位置精度が向上し、非球面レンズの集光性を良好に維持するとともに、光半導体素子と光ファイバとの光結合効率を良好に維持することができ、光信号を効率よく伝送させ得る光半導体素子収納用パッケージとすることができる。
【0016】
本発明の光半導体素子収納用パッケージにおいて、好ましくは、前記貫通孔は前記枠体の外面側の開口部に全周にわたって段差が形成されており、該段差に前記保持部材の一端部が嵌着されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、貫通孔の枠体の外面側の開口部に全周にわたって段差が形成されており、この段差に保持部材の一端部が嵌着されていることから、保持部材をより精度よく枠体に取り付けて非球面レンズの位置精度を著しく向上させることができ、光ファイバと光半導体素子との光結合効率をより向上させることができる。
【0018】
また、貫通孔の内周面と保持部材の内周面とを面一にすることができ、光半導体素子から発せられた後に透光性部材を透過して貫通孔に入射してきた光を、保持部材によって遮ることなくすべて非球面レンズに入射させることができ、光の損失を有効に抑制することができる。
【0019】
本発明の光半導体装置は、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージと、前記載置部に載置された光半導体素子と、前記枠体の上面に取着された蓋体と、前記支持部材の前記端部に前記光ファイバ固定部材を介して接合された光ファイバとを具備していることを特徴とする。
【0020】
本発明の光半導体装置は、上記の構成により、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージを用いた気密信頼性が高いとともに光伝送効率に優れたものとなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の光半導体素子収納用パッケージについて以下に詳細に説明する。図1は本発明のパッケージについて実施の形態の一例を示す断面図であり、1は基体、2は枠体、4は透光性部材、5は非球面レンズ、5aは保持部材、6は光ファイバ、7は光ファイバ固定部材、8は光半導体素子、10は支持部材である。
【0022】
本発明のパッケージは、上側主面に光半導体素子8を載置するための載置部1aを有する基体1と、この基体1の上側主面の外周部に載置部1aを囲繞するように接合され、側部に貫通孔2aを有する枠体2と、一端部が貫通穴2aの枠体2の外面側の端部に端面を貫通穴2aの内部に位置させて嵌着され、非球面レンズ5が内側に取着された金属から成る筒状の保持部材5aと、内周面が保持部材5aの枠体2の外側の外周面に接合されるとともに枠体2側の端面が枠体2の外面に接合され、この端面と反対側の端部に固定部材7を介して光ファイバ6が接合される筒状の支持部材10と、貫通孔2aの載置部1a側の端部に接合された透光性部材4とを具備している。
【0023】
本発明の基体1は、Fe−Ni−Co合金やCu−W合金等の金属、またはAl2O3質焼結体,AlN質焼結体,3Al2O3・2SiO2質焼結体等のセラミックスから成る平面視形状が四角形状等の平板状である。金属から成る場合、そのインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって所定形状に製作される。また、基体1が例えばAl2O3質焼結体から成る場合以下のようにして作製される。Al2O3,酸化珪素(SiO2),酸化カルシウム(CaO),酸化マグネシウム(MgO)等の原料粉末に適当な有機バインダや可塑剤,分散剤,溶剤等を添加混合して泥漿状となす。これを従来周知のドクターブレード法でシート状となすことによって複数枚のセラミックグリーンシートを得る。しかる後、これらのセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施し、還元雰囲気中で約1600℃の温度で焼成することによって製作される。
【0024】
基体1の上側主面には、LD,PD等の光半導体素子8が載置される載置部1aが形成されており、載置部1aには光半導体素子8が回路基板やサブキャリア等の載置用基台9を介して載置されている。
【0025】
また、基体1の上側主面の外周部には、一側部に光信号の入出力部となる貫通孔2aを有する枠体2が載置部1aを囲繞するようにして接合立設されている。この枠体2は、基体1とともにその内側(内部空間)に光半導体素子8を収容する空所を形成する。枠体2は平面視形状が四角形状等の枠状体であり、基体1と同様にFe−Ni−Co合金やCu−W合金等の金属、またはAl2O3質焼結体,AlN質焼結体,3Al2O3・2SiO2質焼結体等のセラミックスから成り、基体1と一体成形される、または基体1に銀(Ag)ろう等のろう材でろう付けされる、またはシーム溶接法等の溶接法により接合されることによって、基体1の上側主面の外周部に接合される。
【0026】
枠体2の側部には貫通孔2aが形成されており、この貫通穴2aの枠体2の外面側の端部に非球面レンズ5が内側に取着された保持部材5aの一端部が端面を貫通穴2aの内部に位置させて嵌め込まれ、金(Au)−錫(Sn)半田、鉛(Pb)−Sn半田等の低融点のろう材やガラス等の接着剤によって固定されている。
【0027】
また、枠体2の外側にはみ出した保持部材5aの外周部には、枠体2側の端面が枠体2の外面に接合されるように筒状の支持部材10がその内周面で接合されている。そして、この支持部材10の枠体2の外面に接合される端面と反対側の端部には固定部材7を介して光ファイバ6が接合される。
【0028】
このような支持部材10は、Fe−Ni−Co合金等の金属から成る筒状のものであり、金属のインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって所定形状に製作される。
【0029】
支持部材10の厚みBは、図1に示すように保持部材5aの厚みAよりも薄くなっているのがよい。この構成により、支持部材10の枠体2外側の端部に固定部材7を溶接するときに発生する熱応力が、支持部材10の固定部材7側が適度に変形することによって低減される。そのため、熱応力が非球面レンズ5と保持部材5aとの融着部へ伝わるのを有効に抑制し、この融着部にクラックが発生するのを効果的に抑制できる。また、支持部材10よりも厚い保持部材5aにより非球面レンズ5の位置精度を良好に維持することができる。これらの結果、非球面レンズ5の透光性を良好に維持するとともに、光半導体素子8と光ファイバ6との光結合効率を良好に維持することができ、光信号を効率よく伝送させ得るパッケージとすることができる。
【0030】
支持部材10の厚みBは0.25〜0.5mmであるのが好ましい。0.25mm未満では、支持部材10の剛性が低下して歪み等が加わった場合に極度に変形し易くなる。その結果、支持部材10の枠体2の外側の端部に固定部材7を溶接するときに発生する熱応力によって支持部材10が容易に変形し、この変形によって非球面レンズ5と保持部材5aとの融着部にクラックが発生したり光軸がずれ易くなり、その結果、光損失が増大し易くなる。また、0.5mmを超えると、支持部材10の剛性が高くなって適度な変形が困難になる。その結果、支持部材10の枠体2外側の端部に固定部材7を溶接するときに発生する熱応力が低減されず、非球面レンズ5と保持部材5aとの融着部にクラックが発生し易くなる。
【0031】
また保持部材5aは貫通孔2aの枠体2外面側の一部でのみ固定されているため、保持部材5aが枠体2と接合される部分の面積を最小限に抑えることができ、保持部材5aに接合時の枠体2との間に発生する熱膨張差による熱応力が加わるのを抑え、その結果、非球面レンズ5にクラック等の破損が生ずるのを防止できる。
【0032】
さらに好ましくは、図1に示すように、貫通孔2aは枠体2の外面側の開口部に全周にわたって段差が形成されており、この段差に保持部材5aの一端部が嵌着されているのがよい。これにより、保持部材5aをより精度よく枠体2に取り付けて非球面レンズ5の位置精度を著しく向上させることができ、光ファイバ6と光半導体素子8との光結合効率をより向上させることができる。また、貫通孔2aの内周面と保持部材5aの内周面とを面一にすることができ、光半導体素子8から発せられた後に透光性部材4を透過して貫通孔2aに入射してきた光を、保持部材5aによって遮ることなくすべて非球面レンズ5に入射させることができ、光の損失を有効に抑制することができる。
【0033】
枠体2の貫通孔2aの載置部1a側の端部には、透光性部材4がろう付けされている。透光性部材4は、ガラスやサファイア等から成る円板状等の板状のものであり、一主面の外周部に全周にわたって金属層が形成されており、この金属層をAgろう,Au−Sn半田,Pb−Sn半田等によりろう付けすることによって、支持部材10に気密に接合される。
【0034】
このような金属層は、従来周知のモリブデン(Mo)−マンガン(Mn)等のメタライズ層の表面にNi層やAu層をめっき法等により被着されたもの、または、蒸着法等により形成されたチタン(Ti)層やクロム(Cr)層を下地として白金(Pt)層やAu層がめっき法等により順次被着されたものである。さらに、透光性部材4の主面の光信号透過部は光学研磨が施され、透過する光信号の波長に合わせて材料、厚みが適宜選択された多層の誘電体層から成る反射防止層が施されていることが好ましい。
【0035】
本発明のパッケージは、Fe−Ni−Co合金等の金属から成る枠状や円筒状の固定部材7に固定された光ファイバ6が、固定部材7の一端を支持部材10の枠体2外側の端部にレーザ溶接法等の溶接によって接合されることにより、光ファイバ6が固定部材7を介して枠体2の一側部に設けられる。これにより、光ファイバ6を介してパッケージ内部に収容する光半導体素子8と外部との光信号の授受が可能となる。
【0036】
そして、光半導体素子8を透光性部材4に光学的に結合するようにして載置部1aに載置するとともに光半導体素子8の電極を外部電気回路基板に電気的に接続し、しかる後、枠体2の上面にFe−Ni−Co合金等の金属やセラミックス等から成る蓋体3を半田付け法やシームウエルド法により取着することにより、製品としての光半導体装置となる。この光半導体装置は、外部電気回路から供給される電気信号によって光半導体素子8に光を励起させ、この光を透光性部材4、非球面レンズ5、光ファイバ6の順に透過させ、光ファイバ6を介して外部に伝送することによって、高速光通信等に使用される。または、外部から光ファイバ6を伝送されてくる光信号を、非球面レンズ5、透光性部材4を透過させ、光半導体素子8に受光させて光信号を電気信号に変換することによって、高速光通信等に使用される。
【0037】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を施すことは何等差し支えない。
【0038】
【発明の効果】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上側主面に光半導体素子を載置するための載置部を有する基体と、この基体の上側主面の外周部に載置部を囲繞するように接合され、側部に貫通孔を有する枠体と、一端部が貫通穴の枠体の外面側の端部に端面を貫通穴の内部に位置させて嵌着され、非球面レンズが内側に取着された金属から成る筒状の保持部材と、内周面が保持部材の枠体の外側の外周面に接合されるとともに枠体側の端面が枠体の外面に接合され、この端面と反対側の端部に光ファイバ固定部材を介して光ファイバが接合される筒状の支持部材と、貫通孔の載置部側の端部に接合された透光性部材とを具備していることから、光半導体素子収納用パッケージに光ファイバ固定部材を接合する際、光ファイバ固定部材を保持部材に直接接合させるのではなく、支持部材に接合させるので保持部材に熱が急速に伝わって保持部材が歪むのを有効に抑制することができる。
【0039】
また、支持部材の端面が枠体の外面に接合されているので支持部材に伝わった熱を枠体に有効に分散することができ、保持部材に熱が伝わるのをより有効に抑制できる。
【0040】
さらに、保持部材の外周面の中央部で枠体と支持部材とが接合されているため、強度が比較的弱い枠体と支持部材との接合部に熱応力が発生したとしても、保持部材がこれらの接合部を補強することができ、支持部材の位置精度を良好に維持して支持部材に固定された光ファイバと光半導体素子との光結合効率を高いものとすることができる。
【0041】
また、保持部材の一端部が枠体の貫通孔に嵌着されていることにより、非球面レンズの位置精度が向上し、非球面レンズの集光性を良好に維持するとともに、光半導体素子と光ファイバとの光結合効率を良好に維持することができ、光信号を効率よく伝送させ得る光半導体素子収納用パッケージとすることができる。
【0042】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、貫通孔の枠体の外面側の開口部に全周にわたって段差が形成されており、この段差に保持部材の一端部が嵌着されていることから、保持部材をより精度よく枠体に取り付けて非球面レンズの位置精度を著しく向上させることができ、光ファイバと光半導体素子との光結合効率をより向上させることができる。
【0043】
また、貫通孔の内周面と保持部材の内周面とを面一にすることができ、光半導体素子から発せられた後に透光性部材を透過して貫通孔に入射してきた光を、保持部材によって遮ることなくすべて非球面レンズに入射させることができ、光の損失を有効に抑制することができる。
【0044】
本発明の光半導体装置は、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージと、載置部に載置された光半導体素子と、枠体の上面に取着された蓋体と、支持部材の枠体の外側の端部に光ファイバ固定部材を介して接合された光ファイバとを具備していることにより、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージを用いた気密信頼性が高いとともに光伝送効率に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光半導体素子収納用パッケージについて実施の形態の例を示す断面図である。
【図2】従来の光半導体素子収納用パッケージの例を示す断面図である。
【符号の説明】
1:基体
1a:載置部
2:枠体
2a:貫通孔
3:蓋体
4:透光性部材
5:非球面レンズ
5a:保持部材
6:光ファイバ
7:光ファイバ固定部材
8:光半導体素子
10:支持部材
Claims (3)
- 上側主面に光半導体素子を載置するための載置部を有する基体と、該基体の前記上側主面の外周部に前記載置部を囲繞するように接合され、側部に貫通孔を有する枠体と、一端部が前記貫通穴の前記枠体の外面側の端部に端面を前記貫通穴の内部に位置させて嵌着され、非球面レンズが内側に取着された金属から成る筒状の保持部材と、内周面が前記保持部材の前記枠体の外側の外周面に接合されるとともに前記枠体側の端面が前記枠体の外面に接合され、前記端面と反対側の端部に光ファイバ固定部材を介して光ファイバが接合される筒状の支持部材と、前記貫通孔の前記載置部側の端部に接合された透光性部材とを具備していることを特徴とする光半導体素子収納用パッケージ。
- 前記貫通孔は前記枠体の外面側の開口部に全周にわたって段差が形成されており、該段差に前記保持部材の一端部が嵌着されていることを特徴とする請求項1記載の光半導体素子収納用パッケージ。
- 請求項1または請求項2記載の光半導体素子収納用パッケージと、前記載置部に載置された光半導体素子と、前記枠体の上面に取着された蓋体と、前記支持部材の前記端部に前記光ファイバ固定部材を介して接合された光ファイバとを具備していることを特徴とする光半導体装置。
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