JP2004294017A - 熱交換器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱交換器の製造方法であって、アルミニウムからなるチューブと冷却フィンとを交互に積層して形成したコアに、アルミニウムからなるタンク部を組み付けて熱交換器を組み立てる組み付け工程S1と、前記組み付け工程S1で組み立てられた熱交換器を加熱処理してろう付けするろう付け工程S3と、前記ろう付け工程S3でろう付けされた熱交換器の燃料電池からの循環水が流通する内表面に、樹脂コーティング層を形成するためのコーティング液を塗布する塗布工程S6と、前記塗布工程S6終了後、熱交換器内部に空気を導入する空気導入工程S8とからなる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば燃料電池を駆動源とする燃料電池自動車で用いられる熱交換器の製造方法に関し、さらに詳しくは、防錆対策のために形成した樹脂コーティング層を被覆不良なく均一な膜厚となし得る熱交換器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、駆動源として燃料電池を搭載した燃料電池自動車であるFCEV車(fuel cell electiric vehicle)の冷却系には、例えば電極などの導電性部材が燃料電池内部に多く存在するため、感電防止の観点より冷媒の導電性を低レベルにする必要があり、極めて導電性の少ない純水が使用されている。また、冷却系システムの構成部品としては、導電率を悪化させないようにするため極力ステンレスを使用し、熱交換器は軽量小型化のためアルミニウムを使用している。
【0003】
しかし、熱交換器をアルミニウムで形成した場合、純水によってアルミニウムが腐食し、その腐食したアルミニウム金属が純水に混入したり、純水導電率が悪化することがある。これを防止すべく、アルミニウムからなる熱交換器の流路内面(例えばチューブ内面)に熱硬化型有機コーティング(フェノール系、アクリル系、エポキシフェノール系)を行うことで、この熱交換器の内面に樹脂コート層を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−167782号公報(第4頁及び第5頁、第1図及び第2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、熱交換器の流路内面にコート剤を塗布した場合、図7に示す如くチューブ101と冷却フィン102とを交互に積層してなるコア103の両端にヘッダタンク104、105を取り付けてなる熱交換器106では、チューブ101の内面に形成された樹脂コート層107の一部に溶剤洗浄されたような被覆不良個所108が生じる場合がある。すなわち、チューブ101の内面に形成された樹脂コート層107の一部が剥がれて、アルミニウムの地肌が露出してしまうことがある。
【0006】
これは、コーティング工程において、コート液溶剤が熱交換器の内部から外部へと抜け難いため、半乾きの形成塗膜を溶剤蒸気が再溶解して塗膜不良を起こすものと考えられる。
【0007】
また、図8に示すように、チューブ101の端部において、液だまり109が発生し、これが半乾きとなって最悪の場合、チューブ101の流路を塞いでしまうことがある。すなわち、コート剤は、チューブ101の内面をその自重の作用で流動するが、半乾き状態となると、その端部で溜まり硬化して当該チューブ101内の流路を閉塞することがある。
【0008】
このように、樹脂コート層107の被覆不良や液だまり109が発生すると、熱交換器106の内面が純水によって錆びてしまい、腐食したアルミニウム金属が純水に混入したり、純水導電率が悪化する場合も考えられる。
【0009】
そこで、本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、チューブ端部の液詰まり及びコート層の被覆不良を無くして均一な塗膜のコート層を形成し、且つ錆の発生を防止することのできる熱交換器を製造可能とする熱交換器の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意研究の結果、熱交換器の内面が循環水(例えば純水)によって腐食するのを防止するために行うコーティング液の塗布工程後の乾燥工程において、熱交換器内部に空気を導入することで、当該熱交換器の内部に残存する余分なコーティング溶剤成分を排出できることを知見した。
【0011】
さらに、本発明者等は、同じくコーティング液の塗布工程後の乾燥工程において、コーティング後のコーティング液の排液スピードを所定のスピードに制御することで、熱交換器内部に残存する余分なコーティング溶剤成分を排出し得ることも知見した。具体的な解決手段は、次の通りである。
【0012】
請求項1記載の発明は、アルミニウムからなるチューブと冷却フィンとを交互に積層して形成したコアに、アルミニウムからなるタンク部を組み付けて熱交換器を組み立てる組み付け工程と、前記組み付け工程で組み立てられた熱交換器を加熱処理してろう付けするろう付け工程と、前記ろう付けされた熱交換器の燃料電池からの循環水が流通する内表面に、樹脂コーティング層を形成するためのコーティング液を塗布する塗布工程と、前記塗布工程終了後、熱交換器内部に空気を導入する空気導入工程とを有することを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の熱交換器の製造方法であって、前記空気導入時に、前記導入する空気を加温することを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の熱交換器の製造方法であって、前記加温する温度を、50℃〜80℃としたことを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか一つに記載の熱交換器の製造方法であって、前記空気の導入量を、0.1リットル/分〜1リットル/分としたことを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか一つに記載の熱交換器の製造方法であって、前記空気を、前記熱交換器のコア上部からコア下部に流すことを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明は、アルミニウムからなるチューブと冷却フィンとを交互に積層して形成したコアに、アルミニウムからなるタンク部を組み付け熱交換器を組み立てる組み付け工程と、前記組み付け工程で組み立てられた熱交換器を加熱処理してろう付けするろう付け工程と、前記ろう付けされた熱交換器の燃料電池からの循環水が流通する内表面に、樹脂コーティング層を形成するためのコーティング液を塗布する塗布工程と、前記塗布工程終了後、前記コーティング液の排液スピードを所定のスピードに制御する排液速度制御工程とを有することを特徴とする。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の熱交換器の製造方法であって、前記排液スピードを、1mm/秒〜3mm/秒としたことを特徴とする。
【0019】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、熱交換器の内表面にコーティング液を塗布した後、熱交換器内部に空気を導入しているので、熱交換器内に残存する不要なコーティング溶剤成分を当該熱交換器外へと排出することができる。その結果、本発明では、熱交換器の内表面に被覆不良などを起こさずに、均一な塗膜の樹脂コーティング層を内表面に形成することができる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、熱交換器の内部に導入する空気を加温しているため、熱交換器に残存する不要なコーティング溶剤成分を迅速に除去することができる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、加温する空気の温度を所定温度としたので、不要なコーティング溶剤成分を迅速に除去することができると共に、樹脂コーティング層を均一な塗膜とすることができる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、空気導入時の空気導入量を所定量に規定したので、不要なコーティング溶剤成分を除去することができる。
【0023】
請求項5記載の発明によれば、空気を熱交換器のコア上部からコア下部に流すようにしたので、溶剤蒸気は空気より比重が大きいため、効率良く不要なコーティング溶剤成分を熱交換器から排出することができる。
【0024】
請求項6記載の発明によれば、熱交換器の内表面にコーティング液を塗布した後、コーティング液の廃液スピードを所定のスピードに制御しているので、熱交換器内に残存する不要なコーティング溶剤成分を当該熱交換器外へと排出することができる。その結果、本発明では、熱交換器の内表面に被覆不良などを起こさずに、均一な塗膜の樹脂コーティング層を内表面に形成することができる。
【0025】
請求項7記載の発明によれば、コーティング液の廃液スピードを所定のスピードとしているので、余分なコーティング溶剤成分の液切り効果が得られ、その余分なコーティング溶剤成分を短時間で熱交換器から排出することができ、被覆不良のない均一な樹脂コーティング層を形成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
先ず、本実施の形態の熱交換器の製造方法について説明する前に、本発明方法によって製造される熱交換器及びこの熱交換器が使用されるFCEV冷却系システムについて簡単に説明する。
【0028】
「FCEV冷却系システムの概略構成」
図1は、燃料電池を搭載した電気自動車の冷却系システム図である。燃料電池を駆動源とするいわゆる燃料電池車は、当該燃料電池を約80℃に加温保持することで水素と酸素による反応が行われて電気を最も効率良く生成するため、加温し過ぎないように冷媒を循環させて燃料電池を冷却している。
【0029】
この冷却系システム1では、加温された燃料電池を冷却する冷媒は、燃料電池本体2に形成された流路を流れると、ポンプ3によって熱交換器4へ送られ、熱交換器4で暖められた冷媒が熱交換器4によって冷却される。そして、冷却された冷媒は、再び燃料電池本体2へと送られ、加温された燃料電池を所定温度に保つように冷却する。このような経路を循環する冷媒には、例えば導電性の低い純水または純水に凍結防止剤であるエチレングレコールを混合したものが使用される。これは、燃料電池本体2の内部には導電性材料からなる電極などが設けられているため、その内部を循環する冷媒が導電性を持っていると、水素と酸素の反応に悪影響を与えるためである。
【0030】
「熱交換器の概略構成」
本発明方法によって製造される熱交換器4は、図2に示すように、内部に流路が形成された長尺形状のチューブ5と、チューブ5内を流れる純水(冷媒)をこの熱交換器4に当たる空気によって冷却する蛇腹形状の冷却フィン6とを有し、これらチューブ5と冷却フィン6とを交互に複数積層することによってコア7を形成し、そのコア7の上下端にヘッダタンク8,9を取り付けることにより構成される。
【0031】
一方のヘッダタンク8は、燃料電池本体2から流入する純水を導入させる入口側のタンクであり、その一端側に入口パイプ10を有している。他方のヘッダタンク9は、熱交換器4の内部を流れて冷却された純水を排出する出口側のタンクであり、その他端側に出口パイプ11を有している。
【0032】
そして、この熱交換器4では、内部を流れる純水によってその内面が腐食しないように、樹脂コーティング層12が形成されている。樹脂コーティング層12は、チューブ4の流路13だけではなく、ヘッダタンク8,9の流路14、15、入口パイプ10及び出口パイプ11の流路16,17である内面の全てに形成されている。樹脂コーティング層12は、例えばフェノール系の熱硬化型有機樹脂からなる。
【0033】
なお、熱交換器4は、軽量化及び小型化のために、アルミニウムのクラッド材から形成されている。
【0034】
「製造プロセス」
次に、前記した熱交換器4を製造する方法について説明する。図3は、本発明の製造方法における製造工程を示す工程図である。製造工程は、大きく分けるとコア及びヘッダタンクの組み付け工程S1と、組み立てたコア及びヘッダタンクにフラックスを塗布するフラックス塗布工程S2と、コア及びヘッダタンクを固定するろう付け工程S3と、フラックスを除去する洗浄工程S4と、熱交換器4の流路内面に防錆対策のための樹脂コーティング層12を形成するコーティング工程S5とを有し、これらを順次行うことで熱交換器4が製造される。
【0035】
<組み付け工程S1>
始めに、組み付け工程S1が行われる。この組み付け工程S1では、チューブ5と冷却フィン6とを交互に積層してコア7を形成した後、このコア7の両端に入口パイプ10を取り付けたヘッダタンク8と、出口パイプ11を取り付けた出口パイプ11を取り付ける。このプロセスを経ることにより、熱交換器2が組み立てられる。
【0036】
<フラックス塗布工程S2>
次に、フラックス塗布工程S2を行う。フラックス塗布工程S2では、熱交換器4にろう付け用のフラックスが塗布される。本実施の形態では、フラックスには、ノコロック(Alcanの登録商標)が使用される。そして、フラックスの塗布は、熱交換器4の内表面に可能な限りフラックスが付着しないように、当該熱交換器4の外表面のみに、ノコロック水溶液を流しかけること、あるいは、シャワーすることにより行う。そして、熱交換器4に熱風を吹き付け、フラックス水溶液の水分を除去することによりフラックスの塗布が完了する。
【0037】
<ろう付け工程S3>
続いて、ろう付け工程S3を行う。このろう付け工程S3では、組み付け工程S1で組み立てられた熱交換器4を炉内に搬送させ、所定温度で加熱処理することによってチューブ5、冷却フィン6、ヘッダタンク8,9などがろう付けされる。本実施の形態では、熱交換器4を窒素ガス雰囲気のろう付け炉内で、約600℃の温度に所定時間加熱処理することによりろう付けを行った。
【0038】
<洗浄工程S4>
次に、洗浄工程S4を行う。洗浄工程S4では、加熱した純水を熱交換器4の流路内に導入することによって、当該流路内にろう付けされたフラックスを除去する。本実施の形態では、例えば100℃に加熱した純水中に、熱交換器4を24時間程度浸漬することにより、流路内面に付着したフラックスを除去する。
【0039】
なお、フラックスを除去するために、純水による加熱洗浄の他に、例えば、強アルカリ性のアルミニウム用脱脂剤等による洗浄が可能であるが、この場合には、水洗等の後処理が必要になる。
【0040】
従って、純水によりフラックスを洗浄するのが望ましい。そして、このように、フラックスの洗浄を行うことにより、化成処理を行うことなく、後述するコート剤との密着性を良好にすることができる。一般に、コート剤(コーティング液)との密着性を向上させると共に耐水性能を向上させるために、下地処理が行われるが、このような下地処理を行うことなく、コート剤との密着性を高めることが可能になる。
【0041】
<コーティング工程S5>
次に、コーティング工程S5を行う。コーティング工程S5は、大きく分けて塗布工程S6と、乾燥工程S7と、焼き付け工程S11からなり、熱交換器4の流路内面に樹脂コーティング層12を形成する工程である。すなわち、このコーティング工程S5では、入口パイプ10,入口側のヘッダタンク8,チューブ5,出口側のヘッダタンク9及び出口パイプ11のそれぞれの流路内面に、樹脂コーティング層12を形成する。
【0042】
塗布工程S6は、コート剤を所定の濃度で溶剤に希釈したコーティング液を熱交換器4内に充満した後、コーティング液を熱交換器4内から排出することによって、当該熱交換器4の内表面に塗布させる処理を行う。
【0043】
この塗布工程S6では、例えば図4に示すように、コーティング液18が収容されたコーティング液漕19を熱交換器4の上部に位置するように昇降テーブル20の上に載せ、出口側のヘッダタンク9を下に向けて配置した熱交換器4の出口パイプ11からホース21を介して、コーティング液18を所定の圧力で熱交換器4の流路内部に供給する。
【0044】
そして、コーティング液18が熱交換器4の流路内面全体に行き渡ったら、昇降テーブル20を矢印で示すように下降させて出口パイプ11から余分なコーティング液18を排出させる。これにより、入口パイプ10,入口側のヘッダタンク8,チューブ5,出口側のヘッダタンク9及び出口パイプ11の流路内面には、コーティング液18が均一の塗布される。
【0045】
コーティング液18のコート剤には、例えばフェノール系,アクリル系,エポキシフェノール系などの熱硬化型有機コート剤が使用可能である。本実施の形態では、エチレングリコールエーテル系溶剤で固体分20重量%〜25重量%に希釈したフェノールエポキシ系コート剤(日東シンコー株式会社製のニットールN−600 ,主成分ビスフェノールA型エポキシ樹脂)を使用した。そして、コーティング液18には、前記コート剤をシンナー(セロソルブアセテート+n−ブタノール)に混合した、固形分濃度20〜25重量%の溶液を用いた。
【0046】
次に、熱交換器4の流路内面に塗布したコーティング液18を乾燥させる乾燥工程S7の処理を行う。乾燥工程S7は、熱交換器4の流路内部に残存する余分な半乾きのコーティング溶剤成分を流路系外に除去するための空気導入工程S8と、余分な液敵を外部へ排出する直立乾燥工程S9及び水平乾燥工程S10の3工程からなる。
【0047】
先ず、始めに空気導入工程S8を行う。空気導入工程S8は、図5に示すように、入口側のヘッダタンク8を上にし出口側のヘッダタンク9を下にして熱交換器4を配置し、入口パイプ10から空気を導入して熱交換器4の上部から下部へと流し、出口パイプ11から排出するようにする。空気を熱交換器4のコア上部からコア下部に流すようにすれば、溶剤蒸気は空気より比重が大きいため、半乾きの形成塗膜を再熔解して塗膜不良の原因を引き起こす前記溶剤蒸気を効率良く熱交換器4の外部へと排出させることができる。
【0048】
また、この空気導入工程S8では、空気導入量を0.1〜1リットル/分程度とするのが最適で、これ以上流すとチューブ5内に形成された半乾きの形成塗膜が流動し、チューブ5の流路を閉塞しかねない。一方、空気導入量を0.1リットル/分未満とすると溶剤の除去が不十分となり、やはりチューブ5の流路内に半乾きの形成塗膜が詰まる虞れがある。
【0049】
また、熱交換器4に空気を導入する際に、空気を加温することで余分な溶剤を迅速に除去することができる。加温する温度としては、50℃〜80℃とすることが望ましい。50℃未満の場合は、迅速な溶剤除去に効果が無く、80℃を越えると残存した溶剤の発泡により半乾き形成塗膜が流動し、最悪チューブ5の流路13を閉塞することがある。
【0050】
次に、直立乾燥工程S9を行う。直立乾燥工程S9は、空気導入工程S8と同じようにチューブ5が上下位置となるように熱交換器4を配置させた状態で、常温にて10〜30分程度放置する。これにより、熱交換器4内の余分な液滴が出口パイプ11から外部に排出される。続いて、熱交換器4を上下方向に振動させる。そして、この後、水平乾燥工程S10を行う。水平乾燥工程S10は、チューブ5が水平になるように熱交換器4を配置させた状態で、常温に2時間程度放置する。
【0051】
このように、乾燥工程S7を、空気導入工程S8、直立乾燥工程S9及び水平乾燥工程S10の3段工程に分けて行うことにより、チューブ5内に目詰まりが形成されるのを防止することができる。なお、直立乾燥工程S9の後に、遠心分離装置等により、チューブ5内から余分な液滴を除去し切れる場合には、必ずしも水平乾燥工程S10を行う必要はない。
【0052】
そして、最後に焼き付け工程S11を行う。焼き付け工程S11は、コート剤が熱交換器4の流路内表面に焼き付けられる。この焼き付け工程S11は、焼き付け炉内において、例えば、130℃で30分程度焼成した後、150℃で60分程度焼成することにより行われる。このように、焼成を2段階に分けることにより、熱交換器4の流路内面の樹脂が発泡することを防止できる。
【0053】
そして、この焼成により、入口パイプ10,入口側のヘッダタンク8,チューブ5,出口側のヘッダタンク9および出口パイプ11の流路内面に、樹脂コーティング層12が均一な膜厚として被覆不良を起こすこと無く形成される。
【0054】
以上、本発明を適用した熱交換器の製造方法について説明したが、本発明は、上述の実施の形態に制限されることなく種々の変更が可能である。
【0055】
例えば、熱交換器4の流路内面に樹脂コーティング層12を形成するためのコーティング液18を塗布する塗布工程S6の後に行う乾燥工程S7のうち、空気導入工程S8に代えて、コーティング液18の排液スピードを所定のスピードとなるように制御する排液速度制御工程S12(図6の製造工程図参照)を行うようにしても、前述した実施の形態と同じ作用・効果を得ることができる。
【0056】
排液速度制御工程S12は、熱交換器4の流路にコーティング液18を導入した後、昇降テーブル20を下降させて出口パイプ11から余分なコーティング液18(塗膜不良の原因となる樹脂溶剤)を排出させるときの排液速度を所定のスピードとなるように制御する工程である。この排液速度制御工程S12では、液面がチューブ5から離れる際の排液スピードを1mm/秒〜3mm/秒とする。1mm/秒未満の排液スピードでは、処理時間の増加を招き、3mm/秒超の排液スピードでは、チューブ5の端部での液切り効果は得られない。
【0057】
排液スピードは、チューブ5の端部の液切り性を確保することが目的であり、チューブ5の端面以外の塗膜形成には影響を与えないので、液面がチューブ5の端部近傍になるまでは、排液スピードは100mm/秒以内の速度であれば、排液スピードを上げても構わない。排液スピードは、100mm/秒以上では、塗料の表面張力により成形塗膜が薄膜化する。
【0058】
このように、塗膜不良の原因となる樹脂溶剤を取り除くべく余分なコーティング液18を所定のスピードで排出させれば、チューブ5の端部での液詰まりを防止することができる。したがって、この後の工程を前述した工程と同じように処理することによって、塗膜不良の無い均一な樹脂コーティング層12を熱交換器4の流路内面に形成することができる。
【0059】
また、本発明においては、前記排液速度制御工程S12を行った後に、前記した空気導入工程S8を行うようにしてもよい。そうすることによって、熱交換器4の流路内面には、より一層、塗膜不良の無い均一な膜厚の樹脂コーティング層12を形成することができ、チューブ5の端部でのコーティング液18の詰まりも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、燃料電池を搭載した電気自動車の冷却系システム図である。
【図2】図2は、本発明方法により製造される熱交換器の断面図である。
【図3】図3は、本発明方法の製造工程を示す工程図である。
【図4】図4は、コーティング液の塗布工程及び余分なコーティング液を排出する装置の一例を示す図である。
【図5】図5は、空気導入工程で熱交換器の流路に空気を導入する様子を示す図である。
【図6】図6は、塗布工程後にコーティング液の排液スピードを所定のスピードに制御する排液速度制御工程を適用した本発明方法の他の例を示す工程図である。
【図7】図7(a)は、従来の製法によって熱交換器の流路内面に樹脂コーティング層を形成した熱交換器を示す正面図であり、同図(b)はその熱交換器のチューブ内面に被覆不良個所が生じたことを示す要部拡大図である。
【図8】図8は、従来の製法によって熱交換器の流路内面に樹脂コーティング層を形成した熱交換器を示す正面図であり、同図(b)はその熱交換器のチューブ端部に液詰まりが生じたことを示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1…冷却系システム
2…燃料電池本体
3…ポンプ
4…熱交換器
5…チューブ
6…冷却フィン
7…コア
8,9…ヘッダタンク
10…入口パイプ
11…出口パイプ
12…樹脂コーティング層
18…コーティング液
20…昇降テーブル
Claims (7)
- アルミニウムからなるチューブ(5)と冷却フィン(6)とを交互に積層して形成したコア(7)に、アルミニウムからなるタンク部(8,9)を組み付けて熱交換器(4)を組み立てる組み付け工程(S1)と、
前記組み付け工程(S1)で組み立てられた熱交換器(4)を加熱処理してろう付けするろう付け工程(S3)と、
前記ろう付けされた熱交換器(4)の燃料電池からの循環水が流通する内表面に、樹脂コーティング層(12)を形成するためのコーティング液(18)を塗布する塗布工程(S6)と、
前記塗布工程(S6)終了後、前記熱交換器(4)の内部に空気を導入する空気導入工程(S8)と、
を有することを特徴とする熱交換器の製造方法。 - 請求項1記載の熱交換器の製造方法であって、
前記空気導入時に、前記導入する空気を加温することを特徴とする熱交換器の製造方法。 - 請求項2記載の熱交換器の製造方法であって、
前記加温する温度を、50℃〜80℃としたことを特徴とする熱交換器の製造方法。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載された熱交換器の製造方法であって、
前記空気の導入量を、0.1リットル/分〜1リットル/分としたことを特徴とする熱交換器の製造方法。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載された熱交換器の製造方法であって、
前記空気を、前記熱交換器(4)のコア上部からコア下部に流すことを特徴とする熱交換器の製造方法。 - アルミニウムからなるチューブ(5)と冷却フィン(6)とを交互に積層して形成したコア(7)に、アルミニウムからなるタンク部(8,9)を組み付け熱交換器(4)を組み立てる組み付け工程(S1)と、
前記組み付け工程(S1)で組み立てられた熱交換器(4)を加熱処理してろう付けするろう付け工程(S3)と、
前記ろう付けされた熱交換器(4)の燃料電池からの循環水が流通する内表面に、樹脂コーティング層(12)を形成するためのコーティング液(18)を塗布する塗布工程(S6)と、
前記塗布工程(S6)終了後、前記コーティング液(18)の排液スピードを所定のスピードに制御する排液速度制御工程(S12)と、
を有することを特徴とする熱交換器の製造方法。 - 請求項6記載の熱交換器の製造方法であって、
前記排液スピードを、1mm/秒〜3mm/秒としたことを特徴とする熱交換器の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003090196A JP2004294017A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 熱交換器の製造方法 |
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---|---|---|---|---|
US20130014733A1 (en) * | 2006-03-03 | 2013-01-17 | Centrum Equities Acquisition, Llc | Method for cooling an internal combustion engine having exhaust gas recirculation and charge air cooling |
JP2013231531A (ja) * | 2012-04-27 | 2013-11-14 | Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd | 熱交換器 |
JP2014047933A (ja) * | 2012-08-29 | 2014-03-17 | Toyota Motor Corp | 水漏れ補修方法及び水漏れ補修装置 |
-
2003
- 2003-03-28 JP JP2003090196A patent/JP2004294017A/ja active Pending
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US20130014733A1 (en) * | 2006-03-03 | 2013-01-17 | Centrum Equities Acquisition, Llc | Method for cooling an internal combustion engine having exhaust gas recirculation and charge air cooling |
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